(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025014648
(43)【公開日】2025-01-30
(54)【発明の名称】形成方法及び形成装置
(51)【国際特許分類】
B28B 1/30 20060101AFI20250123BHJP
C04B 28/02 20060101ALI20250123BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20250123BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20250123BHJP
【FI】
B28B1/30
C04B28/02
B33Y10/00
B33Y30/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023117377
(22)【出願日】2023-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】坂上 肇
(72)【発明者】
【氏名】石関 嘉一
(72)【発明者】
【氏名】大川 悠奈
(72)【発明者】
【氏名】北村 勇斗
【テーマコード(参考)】
4G052
4G112
【Fターム(参考)】
4G052DA01
4G052DB12
4G052DC06
4G112PA04
4G112PA19
4G112PE01
4G112PE02
(57)【要約】
【課題】積層により構造物を形成するための形成方法及び形成装置を提供する。
【解決手段】形成方法では、造形材を吐出するノズル11と、積層経路に応じて、ノズル11を移動させるロボットアーム15と、切り込みを入れた補強材を、ノズル11内の造形材に送出させる補強材供給装置30と、を備えた3Dプリンタ10を用いて、積層経路において、ノズル11から吐出される造形材で形成されるレイヤL1を積み上げることにより積層させた構造物を形成する。造形材の吐出前に、流動しているモルタルM1で、鋼線W1を切断しながら混入させた補強造形材を生成し、ノズル11から、補強造形材を吐出させて構造物を形成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
造形材を吐出するノズルと、
積層経路に応じて、前記ノズルを移動させる移動装置と、
前記ノズル内の前記造形材に補強材を送出させる補強材供給装置と、を備えた形成装置を用いて、前記積層経路において、前記ノズルから吐出される前記造形材で形成されるレイヤを積み上げることにより積層させた構造物を形成する方法であって、
前記補強材供給装置において、前記造形材の吐出前に、流動している前記造形材で、線状補強材を切断しながら混入させた補強造形材を生成し、
前記ノズルから、前記補強造形材を吐出させて前記構造物を形成することを特徴とする形成方法。
【請求項2】
前記構造物は、隣接する少なくとも2以上の積層経路によって積層された部位を有し、
前記部位において、前記積層経路には、前記補強造形材を吐出させる第1積層経路と、前記線状補強材を混合しない造形材を吐出させる第2積層経路と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の形成方法。
【請求項3】
積層経路において、造形材で形成されるレイヤを積み上げることにより積層させた構造物を形成する形成装置であって、
前記造形材を吐出するノズルと、
前記積層経路に応じて、前記ノズルを移動させる移動装置と、
切り込みを入れた補強材を、前記ノズル内の造形材に送出させる補強材供給装置と、を備えたことを特徴とする形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、移動するノズルから吐出される造形材を積層させて形成する構造物の形成方法及び形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
建築物等の立体の構造物を形成する場合、3次元(3D)プリンタを利用することがある。この3Dプリンタにおいては、ノズルから材料を吐出させながらノズルを移動させて各レイヤを形成する。そして、各レイヤを積み重ねることにより立体形状を有する構造物を形成する。3次元プリンタを用いて、所望の形状の側面を有する構造物を形成するための構造物形成システムが検討されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、3Dプリンタを用いて、構造物を形成する場合に一筆書きを用いることもある(例えば、特許文献2参照。)。この文献に記載の形成支援システムは、モルタルを吐出するノズルが移動する積層経路を生成する制御部を備える。制御部は、積層部の平面形状において、積層部の幅方向に分割した分割領域を生成する。そして、この分割領域の全部を一筆書きで繋げる積層経路を生成する。
【0004】
更に、モルタル等の引張強度や曲げ強度を改善するために、短繊維を混合した繊維補強モルタルを用いる技術も検討されている(例えば、特許文献3参照。)。この文献に記載の技術では、3Dプリンタによる押出積層時に、100~130mm、および150~190mmである繊維補強モルタルを用いる。
【0005】
また、各層間の接合強度を向上させるための技術も検討されている(例えば、特許文献4参照。)。この文献に記載の積層構造物の構築技術では、繊維材ないし鋼線材を予め適宜の長さに切断加工された補強体を、圧縮空気により順次に殻壁部を構成するプリント層の上面に吹き付ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2018-69661号公報
【特許文献2】特開2023-64588号公報
【特許文献3】特開2022-124859号公報
【特許文献4】特許第6993794号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
補強材を添加することにより、積層構造物の強化を図ることができる。しかしながら、特許文献3の技術では、モルタルを吐出させるポンプや、モルタルを搬送するチューブにおいて、繊維による閉塞が生じる可能性がある。また、特許文献4の技術では、補強体を層内に埋入するために、繊維材ないし鋼線材を予め適宜の長さに切断加工された補強体を、圧縮空気により順次に殻壁部を構成するプリント層の上面に吹き付ける。この場合、繊維が飛散するため、繊維量の制御が難しかった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する形成方法は、造形材を吐出するノズルと、積層経路に応じて、前記ノズルを移動させる移動装置と、前記ノズル内の造形材に補強材を送出させる補強材供給装置と、を備えた形成装置を用いる。そして、積層経路において、前記ノズルから吐出される造形材で形成されるレイヤを積み上げることにより積層させた構造物を形成する。この場合、前記補強材供給装置により、前記造形材の吐出前に、流動している前記造形材で、線状補強材を切断しながら混入させた補強造形材を生成し、前記ノズルから、前記補強造形材を吐出させて前記構造物を形成する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、効率的に構造物を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】実施形態における線状補強材の挿入部の説明図である。
【
図3】実施形態におけるハードウェア構成の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、
図1~
図5を用いて、形成方法及び形成装置を具体化した一実施形態を説明する。
図1に示すように、本実施形態では、3Dプリンタ10を用いて、レイヤL1を積層した構造物を構築する。この3Dプリンタ10は、制御装置20によって制御される。この3Dプリンタ10は、補強材供給装置30を備える。また、3Dプリンタ10を動作させるための積層経路は、設計装置40によって生成される。
【0012】
(3Dプリンタ10の構成)
図1に示すように、3Dプリンタ10は、吐出部としてのノズル11、ロボットアーム15を備える。
【0013】
ノズル11は、その先端部が開口した吐出管11aを有している。本実施形態では、吐出管11aは、下方を向いている。ノズル11の吐出管11aと反対側の端部には、ホース12の端部が接続されている。ホース12は、圧送ポンプ13に接続されている。この圧送ポンプ13の圧力により、ホース12を介してノズル11に供給されたモルタルM1は、吐出管11aから下方に吐出される。
【0014】
ノズル11には、取付部14を介してロボットアーム15が取り付けられる。ノズル11は、このロボットアーム15(移動装置)に支持され、このロボットアーム15の動きに従って水平方向や上下方向に移動する。ロボットアーム15は、制御装置20の制御部21からの指示によって移動が制御される。本実施形態の制御部21は、移動時においてもノズル11からのモルタルM1の吐出方向が常に下方になるように、ロボットアーム15を制御する。
【0015】
本実施形態では、モルタルM1に、線状補強材として、所定太さ、所定長さの鋼線片Wd1を添加する。
図2に示すように、ノズル11の吐出管11aには、枝管11bが設けられている。この枝管11bは、吐出管11a内でモルタルM1が、吐出されるまで直線的に流動する領域に接続される。この枝管11bの内径d1は、鋼線W1(線状補強材)の太さよりもわずかに大きく、鋼線W1が管内を摺動できる大きさである。そして、枝管11bによって、補強材供給装置30から、吐出管11a内で流動しているモルタルM1に鋼線W1が供給される。
【0016】
補強材供給装置30は、制御部31、送出ローラ32、回転刃33を備える。制御部31は、送出ローラ32、回転刃33の動作を制御する。送出ローラ32は、鋼線W1を枝管11bに送出する。そして、制御部31は、送出ローラ32の回転速度を制御することにより、鋼線W1の送出量を制御する。
【0017】
回転刃33は、鋼線W1に切り込みを入れることにより、ハーフカットを行なう。回転刃33を回転させることにより、所定周期で、刃先が鋼線W1に接触して、接触個所に切り込みが入る。そして、制御部31は、送出ローラ32の回転速度に応じて、回転刃33の回転速度を変更することにより、鋼線W1における切り込み間隔を調節することができる。また、この切り込みの深さは、送出ローラ32から送出される鋼線W1と回転刃33との位置関係に応じて調整することができる。本実施形態では、この切り込みの深さは、モルタルM1内で、鋼線W1が切り離されて、所定長さの鋼線片Wd1となる深さであればよい。例えば、鋼線W1が、吐出管11a内で流動しているモルタルM1によって切断させる深さとして、ほぼ切断された状態であればよい。
【0018】
切り込みを入れた鋼線W1は、枝管11bを介して吐出管11aに導入される。そして、吐出管11aの内部で、モルタルM1の吐出圧力を受けて、切り込みで、鋼線片Wd1に分離してモルタルM1と混合されて、補強造形材が生成される。
【0019】
(ハードウェア構成例)
図3は、制御装置20、補強材供給装置30、設計装置40等として機能する情報処理装置H10のハードウェア構成例である。
【0020】
情報処理装置H10は、通信装置H11、入力装置H12、表示装置H13、記憶装置H14、プロセッサH15を有する。なお、このハードウェア構成は一例であり、他のハードウェアを有していてもよい。
【0021】
通信装置H11は、他の装置との間で通信経路を確立して、データの送受信を実行するインタフェースである。
入力装置H12は、利用者等からの入力を受け付ける装置である。表示装置H13は、各種情報を表示する装置である。
【0022】
記憶装置H14は、制御装置20、補強材供給装置30の各種機能を実行するためのデータや各種プログラムを格納する記憶部である。
プロセッサH15は、記憶装置H14に記憶されるプログラムやデータを用いて、制御装置20、補強材供給装置30における各処理を制御する。プロセッサH15の一例としては、例えばCPUやMPU等がある。
【0023】
(制御装置20、設計装置40の機能)
図1に示すように、制御装置20は、構造物形成処理を実行する制御部21を備える。そのため、記憶部に格納された構造物形成プログラムを実行することにより、制御部21は、積層管理部211、移動制御部212及び吐出量制御部213として機能する。
【0024】
積層管理部211は、積層させるモルタルM1の経路及び高さを管理する処理を実行する。積層管理部211は、積み上げたレイヤL1の数をカウントし、現在のモルタルM1の積層数を記憶し、構造物の最終的な積層数になった場合にノズル11の移動を停止する。
【0025】
移動制御部212は、経路に応じてノズル11を移動させるロボットアーム15の動きを制御する処理を実行する。
吐出量制御部213は、モルタルM1の圧送ポンプ13を制御して、ノズル11から吐出されるモルタルM1の吐出量を制御する処理を実行する。
【0026】
積層経路記憶部22には、構造物を形成するノズル11の積層経路データが記録される。この積層経路データは、経路及び経路吐出幅を決定した場合に記録される。積層経路データには、構造物識別子、レイヤ識別子毎の経路、経路吐出幅、添加要否情報に関するデータが含まれる。
【0027】
構造物識別子データ領域には、各構造物を特定するための識別子に関するデータが記録される。
レイヤ識別子データ領域には、一筆書きで始点から終点までの各レイヤの階層数に関するデータが記録される。
【0028】
経路データ領域には、この階層における3Dプリンタ10のノズル11の経路の3次元座標が記録される。
経路吐出幅データ領域には、一方向に移動するノズル11から吐出されるモルタルM1により形成される経路部の幅に関するデータが記録される。
添加要否情報データ領域には、経路位置に応じて、鋼線片Wd1の添加の要否を判定するデータが記録される。
【0029】
積層経路記憶部22に記録される積層経路データは、設計装置40により生成される。この設計装置40は、3次元CAD(Computer Aided Design)により生成された3Dモデルから積層経路データを生成する。
【0030】
(形成処理)
次に、
図4、
図5を用いて、形成処理について説明する。
図4に示すように、まず、設計装置40は、ルート設定を行なう(ステップS11)。具体的には、設計装置40は、形成する構造物の設計図面を取得する。次に、設計装置40は、積層する各レイヤの形状及び各部分の設計幅を取得する。次に、設計装置40は、構造物の高さを、モルタルM1の階層高さで除算して、各レイヤの形状(ノード、リンク)を生成し、積層数を算出する。そして、設計装置40は、任意のノードを始点として決定し、この始点から各リンクを経由して全ノードを巡回するルートを生成する。この場合、1階層で一つの部位(例えば壁)を形成する積層経路を、二重化により隣接させたルートで構成することにより、一筆書きにより積層する場合を想定する。
【0031】
次に、設計装置40は、補強領域の設定を行なう(ステップS12)。具体的には、設計装置40は、ルートにおいて、構造物の外側を積層するルートと内側を積層するルートとを特定する。ここで、内側を積層するルートとは、構造物を構成される壁によって、所定容量以下の狭い空間で閉鎖される領域を形成するルートである。
【0032】
図5に示すように、構造物の1階層(xy平面)において、一つの壁を複数のルートで形成する。具体的には、位置ST1から、ルートR11→ルートR21→…で、位置ST1までを巡回することにより一筆書きで1階層を形成する。この場合、外側に露出するルートR1i(白色の領域)を積層する場合には、補強材を添加しない設定を行なう。一方、内側のロットR2i(網掛の領域)を積層する場合には、モルタルM1に鋼線片Wd1を添加する設定を行なう。
【0033】
そして、設計装置40は、生成した積層経路データを、制御装置20の積層経路記憶部22に記録する。この積層経路データには、設定された添加要否情報を含む。
次に、制御装置20は、積層物の形成を行なう(ステップS13)。ここでは、3Dプリンタ10を用いて、積層経路記憶部22に記録された積層経路を用いて、構造物を形成する。この場合、移動制御部212は、経路に応じてノズル11を移動させるロボットアーム15の動きを制御する。吐出量制御部213は、モルタルM1の圧送ポンプ13を制御して、ノズル11から吐出されるモルタルM1の吐出量を制御する。吐出量制御部213は、添加要否情報により、添加領域の場合には、補強材供給装置30の制御部31を制御して、モルタルM1に鋼線片Wd1を添加する。この場合、制御部31は、送出ローラ32の回転速度を調整して、モルタルM1に混入させる鋼線片Wd1の量を調整する。更に、制御部31は、送出ローラ32の回転速度に応じて、回転刃33の回転速度を調節することにより、切り込み位置に応じて、モルタルM1に混入させる鋼線片Wd1の長さを調整する。
【0034】
(実施形態の作用)
ノズル11内を流れるモルタルM1に鋼線片Wd1が添加されるので、モルタルM1の引張強度や曲げ強度が向上するため、ひび割れが抑制される。
【0035】
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態では、補強材供給装置30の送出ローラ32は、鋼線W1を枝管11bに送出する。これにより、吐出管11a内のモルタルM1に鋼線片Wd1を混入させることができる。送出ローラ32の回転速度を変更することにより、モルタルM1に混入させる鋼線の量を調整することができる。
【0036】
(2)本実施形態では、補強材供給装置30の回転刃33は、鋼線W1に切り込みを入れることにより、ハーフカットを行なう。これにより、吐出管11a内に、鋼線W1が引きずり込まれると同時に、切断されて繊維状になる。回転刃33の回転速度を変更することにより、切り込み位置を調整して、モルタルM1に混入される鋼線の長さを調整することができる。
【0037】
(3)本実施形態では、設計装置40は、3次元CAD(Computer Aided Design)により生成された3Dモデルから積層経路データを生成する。これにより、構造物を3Dプリンタ10により形成できる。
【0038】
(4)本実施形態では、設計装置40は、補強領域の設定を行なう(ステップS12)。これにより、積層経路において、鋼線片Wd1を添加する領域と、鋼線片Wd1を添加しない領域とを設定できる。
【0039】
(5)本実施形態では、制御装置20は、積層物の形成を行なう(ステップS13)。この場合、積層管理部211は、添加要否情報により、添加領域の場合には、補強材供給装置30を制御して、モルタルM1に鋼線片Wd1を添加する。これにより、外側で、モルタルM1からの鋼線の突出を抑制することができる。
【0040】
(6)本実施形態では、枝管11bは、吐出管11a内でモルタルM1が直線的に流動する領域に接続される。これにより、吐出管11a内での鋼線片Wd1の目詰まりを抑制することができる。
【0041】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態では、補強材供給装置30の送出ローラ32は、鋼線W1を枝管11bに送出する。鋼線W1の送出方法は、送出ローラ32を用いる場合に限定されない。例えば、吐出管11a内のモルタルM1の流動によって生じる負圧を用いて、鋼線W1を枝管11bから送出してもよい。ここで、鋼線片Wd1を添加しない場合には、鋼線W1のロック機構を設ける。また、超音波振動を利用して、鋼線W1を送出してもよい。
【0042】
・上記実施形態では、設計装置40は、補強領域の設定を行なう(ステップS12)。具体的には、設計装置40は、ルートにおいて、構造物の外側を積層するルートと内側を積層するルートとを特定する。補強領域の設定は、内側、外側に限定されるものではない。閉鎖空間に配置されるものによって決定してもよい。例えば、
図5におけるルートR21で囲まれる空間内で、鋼線の突出を望まない場合には、設計装置40は、ルートR21において、鋼線片Wd1を添加しない設定を行なう。
【0043】
また、前記構造物で外部に露出しない領域に鋼線片Wd1を添加し、構造物で外部に露出する領域に鋼線片Wd1を添加しない設定を行なうようにしてもよい。例えば、一つの壁を、3重以上で、一筆書きにより1階層を形成する。そして、中間の積層経路に鋼線片Wd1を添加するようにしてもよい。また、表面を被覆材で覆う領域を、鋼線片Wd1を添加しない設定を行なうようにしてもよい。
【0044】
・上記実施形態では、吐出管11aには、枝管11bが設けられている。枝管11bの接続形態(位置や本数等)は限定されない。
・上記実施形態では、回転刃33は、鋼線W1に切り込みを入れることにより、ハーフカットを行なう。モルタルM1内に、鋼線W1を分割した鋼線片Wd1を、順次、混入できれば、カット方法は限定されない。
・上記実施形態では、制御部31は、送出ローラ32の回転速度を制御することにより、鋼線W1の送出量を制御する。ここで、圧送ポンプ13により、ノズル11から吐出されるモルタルM1の吐出量を取得して、この吐出量に応じて、送出ローラ32の回転速度を制御するようにしてもよい。ここで、吐出量が多い場合には、送出ローラ32の回転速度を高くして、鋼線片Wd1の混入量を多くする。
【0045】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、以下に追記する。
(a)前記切り込みを入れた線状補強材を、前記造形材を流動内で切断することを特徴とする請求項1又は2に記載の形成方法。
(b)前記補強材供給装置において、前記補強造形材に混入させる補強材の量を変更することを特徴とする請求項1、2又は(a)に記載の形成方法。
(c)前記補強材供給装置において、前記切り込みの間隔を変更することを特徴とする請求項1、2又は(a)に記載の形成方法。
【0046】
(d)前記構造物で外部に露出しない領域を前記第1積層経路で構成し、前記構造物で外部に露出する領域を前記第2積層経路で構成することを特徴とする請求項2に記載の形成方法。
【符号の説明】
【0047】
M1…モルタル、Wd1…鋼線片、10…3Dプリンタ、11…ノズル、11a…吐出管、12…ホース、14…取付部、15…ロボットアーム、20…制御装置、21…制御部、211…積層管理部、212…移動制御部、213…吐出量制御部、22…積層経路記憶部、30…補強材供給装置、31…制御部、32…送出ローラ、33…回転刃、40…設計装置。