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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025014657
(43)【公開日】2025-01-30
(54)【発明の名称】被服
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/002 20060101AFI20250123BHJP
   A41D 27/28 20060101ALI20250123BHJP
【FI】
A41D13/002 105
A41D27/28 A
A41D27/28 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023117393
(22)【出願日】2023-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】391009372
【氏名又は名称】ミドリ安全株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】加藤 健一
(72)【発明者】
【氏名】杉山 みなみ
【テーマコード(参考)】
3B035
3B211
【Fターム(参考)】
3B035AA01
3B035AB03
3B035AC01
3B035AD04
3B211AA01
3B211AB01
3B211AB11
3B211AC01
3B211AC02
3B211AC18
(57)【要約】
【課題】被服用ファン取付孔および被服用ファン取付孔に設置された被服用ファンを覆うことができるとともに、被服用ファンが稼働したときに空気が流れる空気の通路を確保することができる被服を提供する。
【解決手段】被服用ファン17が設置される被服用ファン取付孔19が設けられている被服本体3と、被服用ファン取付孔19を被服本体3の外側から覆い、非接合部位21が形成されるようにして、被服本体3に設けられたカバー材5と、通気性を備えた素材で構成され、カバー材5との間に空間23が形成されるようにして、カバー材5の内側でカバー材5に設けられている空間形成材7と、通気性と弾性とを備えた材料で構成され、空間23内に収容されており、被服用ファン取付孔19に設置された被服用ファン17が稼働したときに、空間形成材7とともに空気を通すクッション材9とを有する被服1である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被服用ファンが設置される被服用ファン取付孔が設けられている被服本体と、
前記被服用ファン取付孔を前記被服本体の外側から覆い、前記被服本体との間に形成される隙間空間を外部の空間と通じさせるために、前記被服本体に接合されておらず前記被服本体から離れている非接合部位が形成されるようにして、前記被服本体に設けられたカバー材と、
通気性を備えた素材で構成され、前記カバー材との間に空間が形成されるようにして、前記カバー材の内側で前記カバー材に設けられている空間形成材と、
通気性と弾性とを備えた材料で構成され、前記空間内に収容されており、前記被服用ファン取付孔に設置された被服用ファンが稼働したときに、前記空間形成材とともに空気を通すクッション材と、
を有する被服。
【請求項2】
前記クッション材によって前記カバー材の非接合部位が前記被服本体から離れることで、前記被服用ファン取付孔に通じる開口部が形成されるように構成されている請求項1に記載の被服。
【請求項3】
前記被服本体に設けられ、前記被服用ファン取付孔を開閉する被服用ファン取付孔開閉部を有する請求項1または請求項2に記載の被服。
【請求項4】
前記被服用ファン取付孔開閉部は、前記被服用ファン取付孔の一方の側を塞ぐ第1の閉塞部材と、前記被服用ファン取付孔の他方の側を塞ぐ第2の閉塞部材とを備えて構成されており、
前記第1の閉塞部材の一部には、線ファスナー構成材が設けられており、前記第1の閉塞部材の他一部は、前記被服本体に接合されており、
前記第2の閉塞部材の一部にも、線ファスナー構成材が設けられており、前記第2の閉塞部材の他一部も、前記被服本体に接合されており、
前記第1の閉塞部材の線ファスナー構成材と前記第2の閉塞部材の線ファスナー構成材とが互いに接合されることで、前記被服用ファン取付孔が閉じられ、前記第1の閉塞部材の線ファスナー構成材と前記第2の閉塞部材の線ファスナー構成材とが互いに離れることで、前記被服用ファン取付孔が開かれるように構成されている請求項3に記載の被服。
【請求項5】
前記被服本体の前記被服用ファン取付孔の周辺部には、係止部が設けられており、
前記被服用ファン取付孔開閉部は、前記被服用ファン取付孔を塞ぐ閉塞部材を備えて構成されており、
前記閉塞部材の一部は、前記被服本体に接合されており、
前記閉塞部材の他の一部には、前記被服本体の係止部に係止される被係止部が設けられており、
前記閉塞部材の被係止部が前記被服本体の係止部に係止されることで、前記被服用ファン取付孔が閉じられ、前記閉塞部材の被係止部の前記被服本体の係止部への係止が解除されることで、前記被服用ファン取付孔が開かれるように構成されており、被係止部が係止部に対して着脱自在になっている請求項3に記載の被服。
【請求項6】
前記被服本体の係止部は、面ファスナーで構成されており、
前記閉塞部材の被係止部も、面ファスナーで構成されており、
前記閉塞部材の被係止部の前記被服本体の係止部への係止が解除された状態で、前記閉塞部材の被係止部を構成する面ファスナーの一部と前記閉塞部材の被係止部を構成する面ファスナーの他の一部とが互いにくっつくことで、前記閉塞部材が折り畳まれるように構成されている請求項5に記載の被服。
【請求項7】
被服用ファンが設置される被服用ファン取付孔が設けられている被服本体と、
一部が通気性を備えた素材で構成されており、残りの部位が防水透湿性生地で構成されており、前記被服用ファン取付孔を前記被服本体の外側から覆い、前記被服本体との間に形成される隙間空間を外部の空間と通じさせるために、前記被服本体に接合されておらず前記被服本体から離れている非接合部位が形成されるようにして、前記被服本体に設けられた第1のカバー材と、
通気性を備えた素材で構成され、前記第1のカバー材との間に第1の空間が形成されるようにして、前記第1のカバー材の内側で前記第1のカバー材に設けられている第1の空間形成材と、
通気性と弾性とを備えた材料で構成され、前記第1の空間内に収容されており、前記被服用ファン取付孔に設置された被服用ファンが稼働したときに、前記第1の空間形成材とともに空気を通す第1のクッション材と、
防水透湿性生地で構成されており、前記第1のカバー材を前記第1のカバー材の外側から覆い、前記第1のカバー材との間に形成される隙間空間を外部の空間と通じさせるために、前記被服本体および前記第1のカバー材に接合されておらず前記被服本体および前記第1のカバー材から離れている非接合部位が形成されるようにして、前記被服本体、前記第1のカバー材の少なくともいずれかに設けられた第2のカバー材と、
通気性を備えた素材で構成され、前記第2のカバー材との間に第2の空間が形成されるようにして、前記第2のカバー材の内側で前記第2のカバー材に設けられている第2の空間形成材と、
通気性と弾性とを備えた材料で構成され、前記第2の空間内に収容されており、前記被服用ファン取付孔に設置された被服用ファンが稼働したときに、前記第1のカバー材の通気性を備えた部位および前記第2の空間形成材とともに空気を通す第2のクッション材と、
を有し、前記被服本体の被服用ファン取付孔が設けられている部位の厚さ方向で見たときに、前記被服用ファン取付孔の一部と前記第1のクッション材とが互いに重なり、前記被服用ファン取付孔の他の一部と前記第2のクッション材と第1のカバー材の通気性を備えた部位とが互いに重なっている被服。
【請求項8】
被服用ファンが設置される被服用ファン取付孔が設けられている被服本体と、
前記被服用ファン取付孔を前記被服本体の外側から覆い、前記被服本体との間に形成される隙間空間を外部の空間と通じさせるために、前記被服本体に接合されておらず前記被服本体から離れている非接合部位が形成されるようにして、前記被服本体に設けられたカバー材と、
通気性と弾性とを備えた材料で構成され、前記カバー材の内側に収容されており、前記被服用ファン取付孔に設置された被服用ファンが稼働したときに、空気を通すクッション材と、
を有する被服。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被服に係り、特に、空調服として使用されるものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外気の取込み経路を確保しつつ被服用ファンの吸気口を覆っている被服(電動ファン付き被服)として、着脱可能な通気ダクトやスペーサを用いたり、2枚仕立ての服地のうち外側生地の裾にワイヤーを設けたりするものが知られている。これらの被服は、被服用ファンを取り外して通常の作業用雨衣として着用する場合にも、被服用ファン取付孔が目立ちにくく、好適に着用することができる。ここで、従来の技術に関する文献として特許文献1~特許文献3を掲げる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許開2020―147887号公報
【特許文献2】実用新案登録第3226981号公報
【特許文献3】特許開2021―143448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、被服を着用しまた洗濯するたびに、通気ダクトやスペーサを着脱するのは煩雑であり、紛失するおそれもある。また、外側生地の裾にワイヤーを設ける場合、少しの圧力でもワイヤーが折れ曲がりやすいことから丁度良い開口度を保つことが難しく、破損した場合も交換しにくい。
【0005】
本発明は、被服用ファン取付孔および被服用ファン取付孔に設置された被服用ファンを覆うことができるとともに、被服用ファンが稼働したときに空気が流れる空気の通路を確保することができる被服を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様に係る被服は、被服用ファンが設置される被服用ファン取付孔が設けられている被服本体と、前記被服用ファン取付孔を前記被服本体の外側から覆い、前記被服本体との間に形成される隙間空間を外部の空間と通じさせるために、前記被服本体に接合されておらず前記被服本体から離れている非接合部位が形成されるようにして、前記被服本体に設けられたカバー材と、通気性を備えた素材で構成され、前記カバー材との間に空間が形成されるようにして、前記カバー材の内側で前記カバー材に設けられている空間形成材と、通気性と弾性とを備えた材料で構成され、前記空間内に収容されており、前記被服用ファン取付孔に設置された被服用ファンが稼働したときに、前記空間形成材とともに空気を通すクッション材とを有する被服である。
【0007】
本発明の態様に係る被服では、前記クッション材によって前記カバー材の非接合部位が前記被服本体から離れることで、前記被服用ファン取付孔に通じる開口部が形成されるように構成されている。
【0008】
本発明の態様に係る被服は、前記被服本体に設けられ、前記被服用ファン取付孔を開閉する被服用ファン取付孔開閉部を有する被服である。
【0009】
本発明の態様に係る被服では、前記被服用ファン取付孔開閉部が、前記被服用ファン取付孔の一方の側を塞ぐ第1の閉塞部材と、前記被服用ファン取付孔の他方の側を塞ぐ第2の閉塞部材とを備えて構成されており、前記第1の閉塞部材の一部には、線ファスナー構成材が設けられており、前記第1の閉塞部材の他一部は、前記被服本体に接合されており、前記第2の閉塞部材の一部にも、線ファスナー構成材が設けられており、前記第2の閉塞部材の他一部も、前記被服本体に接合されており、前記第1の閉塞部材の線ファスナー構成材と前記第2の閉塞部材の線ファスナー構成材とが互いに接合されることで、前記被服用ファン取付孔が閉じられ、前記第1の閉塞部材の線ファスナー構成材と前記第2の閉塞部材の線ファスナー構成材とが互いに離れることで、前記被服用ファン取付孔が開かれるように構成されている。
【0010】
本発明の態様に係る被服では、前記被服本体の前記被服用ファン取付孔の周辺部には、係止部が設けられており、前記被服用ファン取付孔開閉部が、前記被服用ファン取付孔を塞ぐ閉塞部材を備えて構成されており、前記閉塞部材の一部が、前記被服本体に接合されており、前記閉塞部材の他の一部には、前記被服本体の係止部に係止される被係止部が設けられており、前記閉塞部材の被係止部が前記被服本体の係止部に係止されることで、前記被服用ファン取付孔が閉じられ、前記閉塞部材の被係止部の前記被服本体の係止部への係止が解除されることで、前記被服用ファン取付孔が開かれるように構成されており、被係止部が係止部に対して着脱自在になっている。
【0011】
本発明の態様に係る被服では、前記被服本体の係止部が、面ファスナーで構成されており、前記閉塞部材の被係止部も、面ファスナーで構成されており、前記閉塞部材の被係止部の前記被服本体の係止部への係止が解除された状態で、前記閉塞部材の被係止部を構成する面ファスナーの一部と前記閉塞部材の被係止部を構成する面ファスナーの他の一部とが互いにくっつくことで、前記閉塞部材が折り畳まれるように構成されている。
【0012】
本発明の態様に係る被服は、被服用ファンが設置される被服用ファン取付孔が設けられている被服本体と、一部が通気性を備えた素材で構成されており、残りの部位が防水透湿性生地で構成されており、前記被服用ファン取付孔を前記被服本体の外側から覆い、前記被服本体との間に形成される隙間空間を外部の空間と通じさせるために、前記被服本体に接合されておらず前記被服本体から離れている非接合部位が形成されるようにして、前記被服本体に設けられた第1のカバー材と、通気性を備えた素材で構成され、前記第1のカバー材との間に第1の空間が形成されるようにして、前記第1のカバー材の内側で前記第1のカバー材に設けられている第1の空間形成材と、通気性と弾性とを備えた材料で構成され、前記第1の空間内に収容されており、前記被服用ファン取付孔に設置された被服用ファンが稼働したときに、前記第1の空間形成材とともに空気を通す第1のクッション材と、防水透湿性生地で構成されており、前記第1のカバー材を前記第1のカバー材の外側から覆い、前記第1のカバー材との間に形成される隙間空間を外部の空間と通じさせるために、前記被服本体および前記第1のカバー材に接合されておらず前記被服本体および前記第1のカバー材から離れている非接合部位が形成されるようにして、前記被服本体、前記第1のカバー材の少なくともいずれかに設けられた第2のカバー材と、通気性を備えた素材で構成され、前記第2のカバー材との間に第2の空間が形成されるようにして、前記第2のカバー材の内側で前記第2のカバー材に設けられている第2の空間形成材と、通気性と弾性とを備えた材料で構成され、前記第2の空間内に収容されており、前記被服用ファン取付孔に設置された被服用ファンが稼働したときに、前記第1のカバー材の通気性を備えた部位および前記第2の空間形成材とともに空気を通す第2のクッション材とを有し、前記被服本体の被服用ファン取付孔が設けられている部位の厚さ方向で見たときに、前記被服用ファン取付孔の一部と前記第1のクッション材とが互いに重なり、前記被服用ファン取付孔の他の一部と前記第2のクッション材と第1のカバー材の通気性を備えた部位とが互いに重なっている被服である。
【0013】
本発明の態様に係る被服は、被服用ファンが設置される被服用ファン取付孔が設けられている被服本体と、前記被服用ファン取付孔を前記被服本体の外側から覆い、前記被服本体との間に形成される隙間空間を外部の空間と通じさせるために、前記被服本体に接合されておらず前記被服本体から離れている非接合部位が形成されるようにして、前記被服本体に設けられたカバー材と、通気性と弾性とを備えた材料で構成され、前記カバー材の内側に収容されており、前記被服用ファン取付孔に設置された被服用ファンが稼働したときに、空気を通すクッション材とを有する被服である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、被服用ファン取付孔および被服用ファン取付孔に設置された被服用ファンを覆うことができるとともに、被服用ファンが稼働したときに空気が流れる空気の通路を確保することができる被服を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1の実施形態に係る被服を示す図であり、(a)は被服を後側から見た図であり、(b)は(a)におけるIB―IB断面を示す図である。
図2】本発明の第2の実施形態に係る被服を示す図であり、(a)は被服を後側から見た図であり、(b)は(a)におけるIIB―IIB断面を示す図である。
図3】本発明の第3の実施形態に係る被服を後側から見た図である。
図4図3におけるIV―IV断面を示す図であって、被服用ファン取付け孔開閉部の表示を省略している図である。
図5図3におけるV―V断面を示す図である。
図6】本発明の第3の実施形態に係る被服の被服本体等を前側から見た図である。
図7】本発明の実施形態に係る被服に被服用ファンを設置した状態を示す図である。
図8】本発明の第4の実施形態に係る被服を後側から見た図である。
図9図8におけるIX―IX断面を示す図であって、被服用ファン取付け孔開閉部の表示を省略している図である。
図10図8におけるX―X断面を示す図である。
図11】本発明の第4の実施形態に係る被服の被服本体等を前側から見た図である。
図12】本発明の第4の実施形態に係る被服の被服用ファン取付孔開閉部を示す図であり、(a)は、被服用ファン取付孔開閉部を後側から見た図であり、(b)は(a)におけるXIIB矢視図であり、(c)~(e)は開閉部材の動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
〔第1の実施形態〕
本発明の第1の実施形態に係る被服(衣服)1は、電動ファン付き被服として使用されるものであり、図1図7で示すように、被服本体3とカバー材(カバー生地)5と空間形成材7とクッション材9とを備えて構成されている。被服1として上衣を掲げている。
【0017】
ここで、説明の便宜のために、被服1における所定の一方向を左右方向とし、左右方向に対して直交する方向を前後方向とし、左右方向と前後方向とに対して直交する方向を上下方向とする。
【0018】
被服本体(上衣本体)3は、前身頃11と後身頃13と袖15とを備えて構成されている。なお、袖15が設けられていない場合もある。被服本体3は、防水性を備えた生地(布地)で構成されている。なお、より好ましくは、被服本体3は透湿防水性素材(防水透湿性生地)で構成されている。被服本体3には、被服用ファン17が設置される被服用ファン取付孔19が設けられている。
【0019】
カバー材5も、被服本体3と同様に、防水性を備えた生地、もしくは、防水透湿性生地で構成されている。カバー材5は、被服用ファン取付孔19を被服本体3の外側から覆い、被服本体3にたとえば縫着されて設けられている。
【0020】
カバー材5は、被服本体3に接合されておらず被服本体3から離れている非接合部位21が、下側に形成されるようにして、被服本体3に設けられている。カバー材5が縫着されて被服本体3に設けられているので、カバー材5は、被服本体3からは容易には離れないようになっている。
【0021】
また、カバー材5と被服本体3との間には、隙間空間6が形成されている。非接合部位21は、隙間空間6と被服1の外部の空間8とを通じさせるために設けられている。さらに、説明すると、非接合部位21が設けられていることで、詳しくは後述する開口部25が形成される。また、隙間空間6は、詳しくは後述する被服用ファン取付孔側空間27にもなる。
【0022】
空間形成材7は、通気性を備えた素材(たとえば、網状の生地(メッシュ生地))で構成されている。空間形成材7は、カバー材5との間に空間23が形成されるようにして、カバー材5の内側であって被服本体3の外側で、カバー材5にたとえば縫着によって設けられている。空間形成材7が縫着によってカバー材5に設けられているので、空間形成材7は、カバー材5、被服本体3からは容易には離れないようになっている。なお、空間23を、クッション材収容空間もしくはクッション材収容部と呼んでもよい。
【0023】
クッション材9は、通気性と弾性とを備えた材料(たとえば、所定の厚さの3次元立体編み物)で構成されていり、空間23内に収容されている。クッション材9は、被服用ファン取付孔19に設置された被服用ファン17が稼働したときに、空間形成材7とともに空気を通す(空気の流路を形成する)ようになっている。
【0024】
クッション材9は、たとえば合成樹脂で構成された細長い素材を、空気を編むように絡み合わせた形態で、もしくは、3次元立体編み物にした形態になっている。したがって、クッション材9内には、空洞(素材間の空間)が形成されているとともに、クッション材9の表面には、空洞が現れている。そして、上述したように、クッション材9は、通気性と弾性とを備えている。クッション材9として、たとえば、株式会社ユニチカテクノスのキュービックアイ(登録商標)、株式会社エアウィーヴのエアファイバー(登録商標)を掲げることができる。
【0025】
上衣1(上衣本体3)は、たとえば左右対称に形成されている。被服用ファン取付孔19、空間形成材7およびクッション材9は、上衣1の後身頃13の下端の近くに一対で設けられている。一対の被服用ファン取付孔19等は、左右方向で互いが所定の距離だけ離れている。
【0026】
上衣1では、カバー材5の非接合部位21が被服本体3から離れることで、被服用ファン取付孔19に通じる開口部(被服用ファン取付孔とは異なる開口部)25が形成されるようになっている。さらに説明すると、開口部25は、常態で、たとえば、クッション材9が弾性変形してクッション材収容空間23内に収容されていることで、カバー材5の非接合部位21が被服本体3から離れることで形成されている。
【0027】
常態とは、被服1に重力以外の外力が加わっていない状態である。被服本体3のカバー材5が設けられている部位では、被服本体3の厚さ方向とカバー材5の厚さ方向と空間形成材7の厚さ方向とクッション材9の厚さ方向とが、概ね一致して概ね前後方向になっている。
【0028】
前後方向で見ると、カバー材5およびクッション材9が、被服用ファン取付孔19および被服用ファン取付孔19に設置された被服用ファン17を覆っている。また、前後方向で、後側から前側に向かって、カバー材5、クッション材9、空間形成材7、被服用ファン取付孔側空間27(隙間空間6)、被服用ファン取付孔19(被服本体3)がこの順にならんでいる。
【0029】
被服用ファン取付孔側空間27は、常態で開口部25が形成されたことにより、空間形成材7と被服本体3との間に形成される。被服用ファン取付孔側空間27は、クッション材収容空間23とは異なる空間である。
【0030】
被服用ファン取付孔19に設置された被服用ファン17が稼働する。すると、開口部25および被服用ファン取付孔側空間27と、空間形成材7およびクッション材9および被服用ファン取付孔側空間27とを通って、空気が流れ、被服用ファン17の空気吸引口29(図7参照)で吸引されるようになっている。
【0031】
空気吸引口29で吸引された空気は、被服用ファン17の空気吐出口31(図7参照)から吐出されるようになっている。さらに、着用者が被服用ファン17が設置された被服1を着用して被服用ファン17が稼働すると、被服用ファン17の空気吐出口31から吐出された空気が、着用者と被服本体3との間の空間に供給され、着用者の体を冷やすようになっている。
【0032】
なお、被服1のカバー材5のところに所定の外力(カバー材5を被服本体3側に押し付ける力)が加わることで、開口部25および被服用ファン取付孔側空間27が概ね無くなるときがある。このときでも、被服用ファン取付孔19に設置された被服用ファン17が稼働すると、空間形成材7およびクッション材9とを通って空気が流れるようになっている。
【0033】
ここで、被服1についてさらに詳しく説明する。カバー材5下端の左右方向の寸法L1の値は、被服本体3のカバー材5下端に対向している部位の左右方向の寸法L2の値よりも大きくなっている。同様にして、カバー材5のほぼ全体の左右方向の寸法の値も、被服本体3のカバー材に対向している部位の左右方向の寸法の値よりも大きくなっている。さらに説明すると、被服用ファン取付孔19と対向する範囲については、「カバー材5の幅方向長さ>服地後身頃13の幅方向長さ」になっており、浮き分(ゆとり)が取られている。
【0034】
カバー材5は矩形な薄い板状に形成されており、クッション材収容空間23やクッション材9は所定な厚さの矩形状に形成されている。空間23内に設けられたクッション材9は、カバー材5に保持されており、カバー材5に対してほぼ移動しないようになっているとともに、カバー材5に対してほぼ姿勢を変えないようになっている。また、カバー材5は、矩形の4本の辺のうちの上側で左右方向に延びている1方の辺と、矩形の4本の辺のうちの上下方向に延びている2本の辺のところで、被服本体3に縫着されている。カバー材5は、矩形の4本の辺のうちの下側で左右方向に延びている辺のところが非接合部位21になっている。
【0035】
上述した浮き分(ゆとり)が取られていることで、クッション材9が弾性変形して開口部25、被服用ファン取付孔側空間27が形成されている。開口部25、被服用ファン取付孔側空間27を上下方向で見ると、断面形状(図示せず)が弓形状になっている。カバー材5、空間形成材7およびクッション材9が、弓の弧の部分に相当し、被服本体3のクッション材9等と対向している部位が、弓の弦に相当している。なお、クッション材9が弾性変形することなく、図7で示すように、上下方向で見て矩形状になっていてもよい。この場合、空間形成材7が被服用ファン17の空気吸引口29に接していてもよい。
【0036】
ここで、被服用ファン17の被服本体3への設置について、図7を参照しつつ説明する。被服用ファン17は、背の低い円柱状に形成されている筐体本体部33と鍔部35とを具備した筐体37を備えて構成されている。また、被服用ファン17は、リング状の筐体設置部材39を備えて構成されている。
【0037】
筐体本体部33の側面部には、図示しないオスネジが形成されており、筐体設置部材39の内周部には、図示しないメスネジが形成されている。被服用ファン取付孔19に被服用ファン17が設置された状態では、筐体本体部33が被服用ファン取付孔19を貫通している。鍔部35は、被服本体3(後身頃13)の外側で後身頃13に当接している。筐体設置部材39は、被服本体3(後身頃13)の内側で筐体本体部33に螺合しており、鍔部35と筐体設置部材39とで、後身頃13を前後方向で挟み込んでいる。これにより、被服用ファン17が被服本体3(後身頃13)に固定されている。
【0038】
次に、被服用ファン17が設置されている被服1を着用者が着用し被服用ファン17が稼働したときの空気に流れについて説明する。
【0039】
被服用ファン17が稼働すると、開口部25および被服用ファン取付孔側空間27と、空間形成材7およびクッション材9および被服用ファン取付孔側空間27とを通って、空気が流れる。そして、空気が被服用ファン17の空気吸引口29で吸引される。
【0040】
空気吸引口29で吸引された空気は、被服用ファン17の空気吐出口31から吐出される。そして、被服用ファン17の空気吐出口31から吐出された空気が、着用者と被服本体3との間に空間に供給され、着用者の体を冷やす。
【0041】
なお、被服本体3(前身頃11、後身頃13)の裾部41、袖15の袖口、および、襟部43は、被服本体3に内部に入った空気の外部の空間8への漏れをしにくくするために、付勢力をもって着用者身体や下着に密着するようになっている。
【0042】
被服1は、カバー材5と空間形成材7とクッション材9とを備えて構成されている。カバー材5は、被服用ファン取付孔19を被服本体3の外側から覆い、被服本体3に接合されていない非接合部位21が形成されるようにして被服本体3に設けられている。空間形成材7は、通気性を備えた素材で構成されており、カバー材5との間に空間23が形成されるようにしてカバー材5の内側でカバー材5に設けられている。クッション材9は、通気性と弾性とを備えた材料で構成され空間23内に収容されており、被服用ファン取付孔19に設置された被服用ファン17が稼働したときに、空間形成材7とともに空気を通すようになっている。
【0043】
これにより、被服用ファン取付孔19および被服用ファン取付孔19に設置された被服用ファン17をカバー材5で覆うことができる。また、被服用ファン17が稼働したときに空気が流れる流路を空間形成材7とクッション材9とで確保することができる。
【0044】
すなわち、被服1では、クッション材9および空間形成材7が多数の通気孔を有している。これにより、クッション材9(空間形成材7)と被服用ファン17の空気吸引口29との間隔が小さいか、あるいは、クッション材9(空間形成材7)が被服用ファン17の空気吸引口29に接している状態でも外気を十分に取り込むことができる。
【0045】
また、図1等から理解されるように、被服用ファン取付孔19がカバー材5で覆われている。開口部25(非接合部位21)が、被服用ファン取付孔19よりも下側に位置している。これにより、雨水が、被服用ファン取付孔19を通って、被服本体3の内部に入ることが防止される。
【0046】
また、被服1では、クッション材9によってカバー材5の非接合部位21が被服本体3から離れることで、開口部25が形成されるように構成されている。これにより、常態で、外気を一層抵抗なく被服用ファン17で吸引し、被服1の内側に外気を入れることができる。
【0047】
〔第2の実施形態〕
本発明の第2の実施形態に係る被服1aは、1つの被服用ファン取付孔19に対して、カバー材5、クッション材9等が複数(たとえば2つ)設けられている点が、本発明の第1の実施形態に係る被服1と異なり、その他の点は、被服1と同様に構成されている。
【0048】
すなわち、被服1aは、図2で示すように、被服本体3と第1のカバー材5Aと第1の空間形成材7Aと第1のクッション材9Aと第2のカバー材5Bと第2の空間形成材7Bと第2のクッション材9Bとを備えて構成されている。
【0049】
被服本体3は、透湿防水性素材で構成されている。被服本体3には、被服用ファン17が設置される被服用ファン取付孔19が設けられている。第1のカバー材5Aは、一部45が通気性を備えた素材(たとえば、網状の生地(メッシュ生地))で構成されている。第1のカバー材5Aは、残りの部位が防水透湿性生地で構成されている。カバー材5と同様にして、第1のカバー材5Aは、被服用ファン取付孔19を被服本体3の外側から覆っている。第1のカバー材5Aは、被服本体3との間に形成される隙間空間6を外部の空間8と通じさせるために、被服本体3に接合されておらず被服本体3から離れている非接合部位21A(開口部25A)が下側に形成されるようにして、被服本体3に設けられている。
【0050】
空間形成材7と同様にして、第1の空間形成材7Aは、通気性を備えた素材(たとえば、網状の生地(メッシュ生地))で構成されている。第1の空間形成材7Aは、第1のカバー材5Aとの間に第1の空間23Aが形成されるようにして、第1のカバー材5Aの内側であって被服本体3の外側で第1のカバー材5Aにたとえば縫着されて設けられている。
【0051】
クッション材9と同様にして、第1のクッション材9Aは、通気性と弾性とを備えた材料で構成されている。第1のクッション材9Aは、第1の空間23A内に収容されており、被服用ファン取付孔19に設置された被服用ファン17が稼働したときに、第1の空間形成材7Aとともに空気を通すようになっている。
【0052】
カバー材5と同様にして、第2のカバー材5Bは、防水透湿性生地で構成されている。第2のカバー材5Bは、第1のカバー材5Aを第1のカバー材5Aの外側から覆っている。第2のカバー材5Bは、被服本体3、第1のカバー材5Aの少なくともいずれかに設けられている。第2のカバー材5Bには、第1のカバー材5Aとの間に形成される隙間空間6を外部の空間8と通じさせるための非接合部位21Bが下側に形成されている。第2のカバー材5Bは、非接合部位21B(開口部25B)では、被服本体3および第1のカバー材5Aに接合されておらず被服本体3および第1のカバー材5Aから離れている。
【0053】
空間形成材7と同様にして、第2の空間形成材7Bは、通気性を備えた素材で構成されている。第2の空間形成材7Bは、第2のカバー材5Bとの間に第2の空間23Bが形成されるようにして、第2のカバー材5Bの内側で第1のカバー材5Aに設けられている。
【0054】
クッション材9と同様にして、第2のクッション材9Bは、通気性と弾性とを備えた材料で構成されている。第2のクッション材9Bは、第2の空間23B内に収容されている。第2のクッション材9Bは、被服用ファン取付孔19に設置された被服用ファン17が稼働したときに、第1のカバー材5Aの通気性を備えた部位45および第2の空間形成材7Bとともに空気を通すようになっている。
【0055】
被服1aでは、被服本体3の被服用ファン取付孔19が設けられている部位の厚さ方向(前後方向)で見たときに、被服用ファン取付孔19の一部と第1のクッション材9Aとが互いに重なっている。また、前後方向で見たときに、被服用ファン取付孔19の他の一部と第2のクッション材9Bと第1のカバー材5Aの通気性を備えた部位45とが互いに重なっている。なお、第1のクッション材9Aは第2のクッション材9Bよりも上下方向において下側に位置している。
【0056】
これにより、被服用ファン17が稼働したときの空気の流路を2系統にすることができ、被服用ファン17の稼働時における外気の取り込みを一層的確にすることができる。
【0057】
〔第3の実施形態〕
本発明の第3の実施形態に係る被服1bは、被服用ファン取付孔開閉部47が設けられている点が、本発明の第1の実施形態、第2の実施形態に係る被服1、1aと異なり、その他の点は、被服1、1aと同様に構成されている。
【0058】
すなわち、図3図6で示すように、被服1bには、被服本体3に設けられ被服用ファン取付孔19を開閉する被服用ファン取付孔開閉部47が設けられている。なお、図3図6では、左右対称に形成されている被服1bの片側だけを描いている。
【0059】
被服用ファン取付孔開閉部47は、たとえば、被服本体3と同じ防水透湿性生地で構成されている。被服用ファン取付孔開閉部47は、被服用ファン取付孔19の一方の側を塞ぐ第1の閉塞部材49と、第1の閉塞部材49と同じ材料で構成されており被服用ファン取付孔19の他方の側を塞ぐ第2の閉塞部材51とを備えて構成されている。なお、第1の閉塞部材49の形状と第2の閉塞部材51の形状とは互いが一致している。
【0060】
第1の閉塞部材49の一部には、線ファスナー構成材53が設けられており、第1の閉塞部材49の他一部は、被服本体3にたとえば縫着されて接合されている。第2の閉塞部材51の一部にも、線ファスナー構成材55が設けられており、第2の閉塞部材51の他一部も、被服本体3にたとえば縫着されて接合されている。
【0061】
第1の閉塞部材49の線ファスナー構成材53と第2の閉塞部材51の線ファスナー構成材55とが互いに接合されることで、被服用ファン取付孔19が閉じられる(塞がれる)ように構成されている。第1の閉塞部材49の線ファスナー構成材53と第2の閉塞部材51の線ファスナー構成材55とが互いに離れることで、被服用ファン取付孔19が開かれるように構成されている。
【0062】
さらに説明する。被服本体3のカバー材5が設けられている部位では、被服本体3の厚さ方向と第1の閉塞部材49の厚さ方向と第2の閉塞部材51の厚さ方向とが、概ね前後方向になっており、これらの厚さ方向が互いに概ね一致している。また、前後方向で見ると、第1の閉塞部材49と第2の閉塞部材51とで、被服用ファン取付孔19全体を覆うようになっている。
【0063】
第1の閉塞部材49の端の一部には、線ファスナー構成材53が設けられている。第1の閉塞部材49は、線ファスナー構成材53が設けられている端の部位が、被服本体3に非接合になっているとともに、前後方向で見て被服用ファン取付孔19を通過して上下方向に延びている。第1の閉塞部材49の他の一部が、前後方向で見て被服本体3の被服用ファン取付孔19の周辺部に接合されている。
【0064】
第2の閉塞部材51の端の一部にも、線ファスナー構成材55が設けられている。第2の閉塞部材51も、線ファスナー構成材55が設けられている端の部位が、被服本体3に非接合になっているとともに、前後方向で見て被服用ファン取付孔19を通過し上下方向に延びている。第2の閉塞部材51の他の一部も、前後方向で見て被服本体3の被服用ファン取付孔19の周辺部に接合されている。
【0065】
第1の閉塞部材49の線ファスナー構成材53および第2の閉塞部材51の線ファスナー構成材55同士が接合されている状態をファスナー接合状態とする。ファスナー接合状態を前後方向で見ると、第1の閉塞部材49と第2の閉塞部材51との内側に被服用ファン取付孔19が位置しており、被服用ファン取付孔19が第1の閉塞部材49と第2の閉塞部材51とで塞がれている。また、ファスナー接合状態を前後方向で見ると、第1の閉塞部材49の被服本体3に接合されている部位と、第2の閉塞部材51の被服本体3に接合されている部位とで、被服用ファン取付孔19が囲まれている。また、ファスナー接合状態では、第1の閉塞部材49および線ファスナー構成材53と、第2の閉塞部材51と線ファスナー構成材55とが左右対称になっている。ファスナー接合状態では、線ファスナー構成材53と線ファスナー構成材55とが、被服用ファン取付孔19の中央と通って上下方向に延びている。
【0066】
第1の閉塞部材49のファスナー構成材53および第2の閉塞部材51の線ファスナー構成材55同士が非接合されている状態をファスナー非接合状態とする。ファスナー非接合状態で、第1の閉塞部材49の線ファスナー構成材53と第2の閉塞部材51の線ファスナー構成材55とに、線ファスナー構成材53と線ファスナー構成材55とを互いに離す左右方向の力を加える。すると、第1の閉塞部材49、第2の閉塞部材51が図6図7で示すように変形し、被服用ファン取付孔19が開くようになっている。
【0067】
さらに、ファスナー非接合状態で、被服用ファン取付孔19に被服用ファン17を設置すると、図7で示すように、被服用ファン17が、第1の閉塞部材49(線ファスナー構成材53)と第2の閉塞部材51(線ファスナー構成材55)との間に入り込む。そして、第1の閉塞部材49、第2の閉塞部材51が変形し、被服用ファン17の空気吸引口29が第1の閉塞部材49と第2の閉塞部材51との間から現れるようになっている。
【0068】
なお、図7で示すように、被服用ファン17の筐体設置部材39に面ファスナー57等の接合材を設け、第1の閉塞部材49および第2の閉塞部材51にも面ファスナー59等の接合材を設けてもよい。そして、ファスナー非接合状態で、被服用ファン取付孔19に被服用ファン17を設置したとき、面ファスナー57に面ファスナー59が接合され、第1の閉塞部材49、第2の閉塞部材51が被服用ファン17に固定されるようにしてもよい。
【0069】
このほか、第1の閉塞部材49および第2の閉塞部材51(図7で示す構成)において、面ファスナー57、59を削除し、ファスナー構成材53、55の近傍の部位(参照符号75で示す部位)のそれぞれに面ファスナー等の接合材を設けてもよい。また、第1の閉塞部材49および第2の閉塞部材51の外側(横方向で被服用ファン17から見て外側)の被服本体3の部位に面ファスナー77を設けてもよい。そして、部位75に設けた面ファスナーのそれぞれが面ファスナー77のそれぞれに係止されることで、第1の閉塞部材49および第2の閉塞部材51を折り返し留めてもよい。これにより、第1の閉塞部材49および第2の閉塞部材51が固定されるようにしてもよい。この固定により、面ファスナー57に面ファスナー59を接合させた場合と同様にして、被服用ファン17の空気吸引口29が第1の閉塞部材49と第2の閉塞部材51との間から現れる。なお、面ファスナーに代えてスナップボタン等の接合材(ファスナー)を採用してもよい。
【0070】
また、部位75に設けた面ファスナーに代えて布テープ等の帯状体を設けてもよい。この場合、帯状体の長手方向の一方の端部が、縫合等によって、第1の閉塞部材49、第2の閉塞部材51に接合されている。また、帯状体の長手方向の他方の端部には面ファスナーが設けられている。そして、帯状体の他方の端部の面ファスナーが、面ファスナー77に係止されることで、第1の閉塞部材49および第2の閉塞部材51が固定されるようになっている。この場合でも、面ファスナーに代えてスナップボタン等の接合材(ファスナー)を採用してよい。
【0071】
また、帯状体を用いた場合、帯状体を、第1の閉塞部材49、第2の閉塞部材51に接合するのではなく、帯状体を、被服本体3に接合し、帯状体が第1の閉塞部材49、第2の閉塞部材51に向けて被服本体3から延びている態様であってもよい。
【0072】
ところで、被服1(1a)を被服用ファン設置可能な作業用雨衣として使用するとなると、作業用雨衣は、生地価格や防水加工のコストなどの理由から一般的な作業用上衣よりも高価になってしまう。そこで、なるべく1着で通年着回せるようにしたいというニーズがある。
【0073】
被服1bでは、被服用ファン取付孔19を開閉する被服用ファン取付孔開閉部47が設けられている。これにより、晩秋から早春にかけて、被服用ファン17を使用する必要が無い場合に、被服用ファン取付孔19を閉じておけば、被服1bを通年、快適に使用することができる。
【0074】
すなわち、被服用ファン取付孔開閉部47が設けられているので、被服用ファン17を取り外して被服1bを着用する場合にも、被服用ファン取付孔19がカバー材5で覆われるので目立ちにくくなる。さらに、被服用ファン取付孔開閉部47で被服用ファン取付孔19を塞げば外気の流入を防ぐことができ防寒性を高めることができる。
【0075】
また、被服1bでは、被服用ファン取付孔開閉部47が、第1の閉塞部材49と第2の閉塞部材51と線ファスナー構成材53、55とを備えて構成されている。これにより、被服用ファン取付孔19の開閉を簡単な操作で行うことができる。
【0076】
〔第4の実施形態〕
本発明の第4の実施形態に係る被服1cは、被服用ファン取付孔開閉部47の形態が、本発明の第3の実施形態に係る被服1bと異なり、その他の点は、被服1bと同様に構成されている。
【0077】
すなわち、図8図12で示すように、被服1cでは、被服本体3の被服用ファン取付孔19の周辺部に、係止部(たとえば面ファスナー)61、63、65が設けられている。なお、図8図11では、左右対称に形成されている被服1cの片側だけを描いている。被服用ファン取付孔開閉部47は、たとえば、被服本体3と同じ防水透湿性生地で構成されており被服用ファン取付孔19を塞ぐ矩形な薄い板状の閉塞部材67を備えて構成されている。
【0078】
閉塞部材67の一部は、被服本体3にたとえば縫合によって接合されている。この接合されている部位は、閉塞部材67の4本の辺部のうちの左右方向に延びている1本の辺部のところに形成されている。
【0079】
閉塞部材67の他の一部には、図12で示すように、被服本体3の係止部61、63、65に係止される被係止部(たとえば面ファスナー)69、71、73が設けられている。面ファスナー69、71、73は、閉塞部材67の4本の辺部のうちの残りの3本の辺部のところに設けられている。
【0080】
閉塞部材67の被係止部69、71、73が被服本体3の係止部61、63、65に係止されることで、被服用ファン取付孔19が閉じられる(塞がれる)ように構成されている(図12(d)参照)。閉塞部材67の被係止部69、71、73の被服本体3の係止部61、63、65への係止が解除されることで、被服用ファン取付孔19が開かれるように構成されている(図12(a)、(b)、(c)参照)。
【0081】
被服用ファン取付孔19が閉じられている状態では、面ファスナー61と面ファスナー69とが互いに接合されており、面ファスナー63と面ファスナー71とが互いに接合されており、面ファスナー65と面ファスナー73とが互いに接合されている。また、被服1cでは、すでに理解されるように、被係止部69、71、73が係止部61、63、65に対して着脱自在になっている。すなわち、被係止部69、71、73の係止部61、63、65への係止、被係止部69、71、73の係止部61、63、65からの解放を、容易にすることができるようになっている。
【0082】
また、被服1cで、閉塞部材67の被係止部69、71、73の被服本体3の係止部61、63、65への係止が解除された状態にする(図12(a)等参照)。この状態で、閉塞部材67の被係止部を構成する面ファスナー69、71の一部と閉塞部材の被係止部を構成する面ファスナー69、71の他の一部とが互いにくっつくことで、閉塞部材が折り畳まれるように構成されている(図12(e)参照)。
【0083】
閉塞部材67の被係止部を構成する面ファスナー69、71、73として、フリータイプ、はめ込みタイプ等のオス面とメス面との区別が無い面ファスナーが採用されている。たとえば、普通の面ファスナーでは、一方の面がフックのみが設けられているオス面になっており、他方の面がループのみが設けられているメス面になっている。これに対して、フリータイプの面ファスナーでは、1つの面にフックとループとの両方が設けられており、上記1つの面同士を接合することができるようになっている。被服本体の面ファスナーも、オス面とメス面との区別が無い面ファスナーになっている。
【0084】
なお、閉塞部材67の被係止部を構成する面ファスナーの一部をオス面とし、閉塞部材67の被係止部を構成する面ファスナーの他の一部をメス面としてもよい。そして、閉塞部材67の被係止部の被服本体3の係止部への係止が解除された状態で、閉塞部材67が折り畳まれるように構成されていてもよい。この場合、被服本体3の面ファスナーも、閉塞部材67の面ファスナーに合わせて、一部がオス面になっており、他の一部がメス面になっているものとする。
【0085】
さらに、被服本体3の係止部、閉塞部材67の被係止部をボタン等の留め具で構成してもよい。この場合も、閉塞部材67の被係止部の被服本体3の係止部への係止が解除された状態で、閉塞部材67が折り畳まれるように構成されているものとする。
【0086】
被服1cでは、被服用ファン取付孔開閉部47が、係止部61、63、65とこの係止部61、63、65に着脱自在な被係止部69、71、73とを備えて構成されている。これにより、被服用ファン取付孔19の開閉を簡単な操作で行うことができる。
【0087】
被服1cでの、閉塞部材67の被係止部69、71、73の被服本体3の係止部61、63、65への係止が解除された状態を係止解除状態とする。被服1cでは、係止解除状態で、閉塞部材67の被係止部を構成する面ファスナー69、71の一部と面ファスナー69、71の他の一部(図12(a)の下側の部位)とが互いにくっつくことで、閉塞部材67が折り畳まれるように構成されている。これにより、係止解除状態で、閉塞部材67を容易に折り畳み小さくすることができ、係止解除状態で閉塞部材67が邪魔になることを極力回避することができる。
【0088】
ところで、上記説明では、カバー材5と空間形成材7とで形成された空間23内にクッション材9が保持されているが、クッション材9が、たとえば接着剤等によってカバー材5の内側でカバー材5に設けられていてもよい。
【0089】
すなわち、被服を、湿防水性素材で構成され被服用ファンが設置される被服用ファン取付孔が設けられている被服本体と、防水透湿性生地で構成され被服用ファン取付孔を被服本体の外側から覆い、被服本体との間に形成される隙間空間を外部の空間と通じさせるために、被服本体に接合されておらず被服本体から離れている非接合部位が下側に形成されるようにして被服本体に設けられたカバー材と、通気性と弾性とを備えた材料で構成されカバー材の内側に収容されており、被服用ファン取付孔に設置された被服用ファンが稼働したときに、空気を通すクッション材とを有する被服としてもよい。
【0090】
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0091】
1、1a、1b、1c 被服
3 被服本体
5 カバー材
5A 第1のカバー材
5B 第2のカバー材
6 隙間空間
7 空間形成材
7A 第1の空間形成材
7B 第2の空間形成材
8 外部の空間
9 クッション材
9A 第1のクッション材
9B 第2のクッション材
17 被服用ファン
19 被服用ファン取付孔
21、21A、21B 非接合部位
23 空間
23A 第1の空間
23B 第2の空間
25、25A、25B 開口部
47 被服用ファン取付孔開閉部
49 第1の閉塞部材
51 第2の閉塞部材
53、55 線ファスナー構成材
61、63、65 係止部(面ファスナー)
69、71、73 被係止部(面ファスナー)
67 閉塞部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12