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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025014660
(43)【公開日】2025-01-30
(54)【発明の名称】シート止着具および組付方法
(51)【国際特許分類】
   A44B 13/00 20060101AFI20250123BHJP
【FI】
A44B13/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023117397
(22)【出願日】2023-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】000006828
【氏名又は名称】YKK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 悠也
(72)【発明者】
【氏名】足立 武文
【テーマコード(参考)】
3B100
【Fターム(参考)】
3B100AB06
(57)【要約】
【課題】一対のシート部材の間を加飾可能なシート止着具および組付方法を提供すること。
【解決手段】本実施形態のシート止着具10は、表皮材3に表皮材5を止着する長尺のものであり、表皮材3に固定される雌部材30と、表皮材5に固定される雄部材20とを備える。雌部材30は、本体片部31と、雄部材20と係合可能に本体片部31の内側に形成される係合部40とを有する。本体片部31は、雄部材20が係合部40に係合した係合状態において、雄部材20の少なくとも一部を外側から覆って配置されると共に、表皮材3,5のそれぞれに対する固定位置P1,P2の間で表皮材3,5に対して外側に露出する構成とされる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1シート部材(3,5)に第2シート部材(5,3)を止着する長尺のシート止着具(10,10B)であって、
前記第1シート部材(3,5)に固定される雌部材(30,30B)と、前記第2シート部材(5,3)に固定される雄部材(20,20B)とを備え、
前記雌部材(30,30B)は、本体片部(31)と、前記雄部材(20,20B)と係合可能に前記本体片部(31)の内側に形成される係合部(40)とを有し、
前記本体片部(31)は、前記雄部材(20,20B)が前記係合部(40)に係合した係合状態において、前記雄部材(20,20B)の少なくとも一部を外側から覆って配置されると共に、前記第1シート部材(3,5)および前記第2シート部材(5,3)のそれぞれに対する固定位置(P1,P2)の間で前記第1シート部材(3,5)および前記第2シート部材(5,3)に対して外側に露出する構成とされるシート止着具。
【請求項2】
前記本体片部(31)は、前記第1シート部材(3,5)に固定される固定部(32)と、前記固定部(32)から連続して延設された延設部(33)とを有し、
前記延設部(33)は、外側に露出する面とは反対側である内側に前記雄部材(20,20B)の一部を収納する収納空間(330)を形成し、
前記係合部(40)は、前記収納空間(330)内に形成される請求項1に記載のシート止着具。
【請求項3】
前記延設部(33)の外面の少なくとも一部は、湾曲を呈する請求項2に記載のシート止着具。
【請求項4】
前記係合部(40)は、前記延設部(33)の内側から前記収納空間(330)に向けて突出する係合片部(41)を有し、前記延設部(33)は、前記係合部(40)との連続部分よりも前記第2シート部材(5,3)に対する固定位置(P2)側に延びる突出部(34)を有し、
前記突出部(34)の先端(332)は、前記係合状態で前記第2シート部材(5,3)に当接する請求項2または請求項3に記載のシート止着具。
【請求項5】
前記係合部(40)は、前記延設部(33)の内側から前記収納空間(330)に向けて突出する係合片部(41)を有し、
前記雄部材(20)は、前記係合片部(41)の先端(411)に係合される被係合部(22)を有し、
前記固定部(32)には、前記延設部(33)との連続部分とは反対側の部分に連続する受け部(35)が形成され、
前記受け部(35)は、前記係合状態の前記雄部材(20,20B)を前記被係合部(22)側とは反対側で受ける構成とされる請求項2または請求項3に記載のシート止着具。
【請求項6】
前記係合部(40)は、前記延設部(33)の内側から突出する係合片部(41)と、前記固定部(32)に連続し且つ前記係合片部(41)と対向する位置に配置される係合突部(36)とを有し、
前記雄部材(20B)は、前記係合片部(41)および前記係合突部(36)のそれぞれに係合する一対の被係合部(22B)を有する請求項2または請求項3に記載のシート止着具。
【請求項7】
前記雄部材(20,20B)は、前記係合部(40)に係合される被係合部(22,22B)を有すると共に、可撓性を有する長尺の雄部材本体(21,21B)と、前記雄部材本体(21,21B)に取り付けられるテープ部材(26)とを備え、
前記雄部材本体(21,21B)は、その前記被係合部(22,22B)を除き、その長手方向に直交する厚さ方向における厚さ寸法が、当該雄部材本体(21,21B)の前記長手方向および前記厚さ方向に直交する幅方向における幅寸法よりも小さい寸法とされる請求項1に記載のシート止着具。
【請求項8】
前記雌部材(30,30B)は前記雄部材(20,20B)よりも軟質の材料で形成される請求項1に記載のシート止着具。
【請求項9】
第1シート部材(3,5)に第2シート部材(5,3)を長尺のシート止着具(10,10B)によって止着する組付方法であって、
前記シート止着具(10,10B)は、本体片部(31)および前記本体片部(31)の内側に形成される係合部(40)を有する雌部材(30,30B)と、前記係合部(40)に係合可能な雄部材(20,20B)とを備え、
前記雌部材(30,30B)を前記第1シート部材(3,5)に固定する一方、前記雄部材(20,20B)を前記第2シート部材(5,3)に固定し、
前記雄部材(20,20B)を前記係合部(40)に係合させ、
前記雄部材(20,20B)を前記係合部(40)に係合させた係合状態においては、前記本体片部(31)が、前記雄部材(20,20B)の少なくとも一部を外側から覆って配置されると共に、前記第1シート部材(3,5)および前記第2シート部材(5,3)のそれぞれに対する固定位置(P1,P2)の間で前記第1シート部材(3,5)および前記第2シート部材(5,3)に対して外側に露出して配置される組付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用シートなどにおいて互いに隣り合うシート部材同士を止着するシート止着具および組付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用シート(自動車用座席)などにおける各部位は、合成樹脂の発泡材で形成されるクッション体の表面を被覆するカバー部材や表皮材等のシート部材を備えることが多い。これらのシート部材の辺縁部(シート辺縁)同士は、例えば特許文献1や特許文献2に記載のシート止着具によって互いに止着される。
【0003】
特許文献1に記載のシート止着具は、第1シート部材の辺縁部に固定された第1止着部材と、第2シート部材の辺縁部に固定された第2止着部材とを備えており、第1止着部材および第2止着部材は互いに係合する構成とされている。このシート止着具において第1止着部材に第2止着部材を係合させた状態では、第2止着部材のうち第2シート部材に固定された固定部分が、第1止着部材および第2止着部材同士の係合部分よりも第1シート部材側に配置され、これにより、第1止着部材および第2止着部材の双方が第1シート部材および第2シート部材によって覆い隠され、外側にシート止着具が露出しないようになっている。
【0004】
また、特許文献2に記載のシート止着具は、一方のシート辺縁が固定された第1部材と、他方のシート辺縁が固定された第2部材とを備えており、第1部材および第2部材は互いに係合する構成とされている。このシート止着具において第2部材を第1部材に係合させた状態では、他方のシート辺縁のうち第2部材に固定された固定部分が、第1部材および第2部材よりも一方のシート辺縁側に配置され、これにより、第1部材および第2部材の双方が一方のシート辺縁および他方のシート辺縁によって覆われ、外側にシート止着具が露出しないようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第7191490号公報
【特許文献2】特許第5514901号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、一般に、シート止着具は、前述した特許文献1,2に記載のシート止着具のように、一対のシート部材の辺縁部に覆われて外側に露出しない配置とされる部材であり、積極的に外側に露出するような部材として構成されていない。
しかし、例えば一対のシート部材の辺縁部の間の部分で加飾したい場合には、特許文献1,2に記載されているように外側に露出しないシート止着具では用途に適さない。
【0007】
本発明の目的は、一対のシート部材の間を加飾可能なシート止着具および組付方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明のシート止着具は、第1シート部材に第2シート部材を止着する長尺のシート止着具であって、前記第1シート部材に固定される雌部材と、前記第2シート部材に固定される雄部材とを備え、前記雌部材は、本体片部と、前記雄部材と係合可能に前記本体片部の内側に形成される係合部とを有し、前記本体片部は、前記雄部材が前記係合部に係合した係合状態において、前記雄部材の少なくとも一部を外側から覆って配置されると共に、前記第1シート部材および前記第2シート部材のそれぞれに対する固定位置の間で前記第1シート部材および前記第2シート部材に対して外側に露出する構成とされる。
本発明のシート止着具によれば、雌部材の係合部に雄部材が係合することで第1シート部材に第2シート部材が止着され、このとき、雌部材の本体片部が、係合状態の雄部材の少なくとも一部を覆って配置されると共に、前述した固定位置の間で第1シート部材および第2シート部材に対して雌部材の少なくとも一部が外側に露出することとなる。このため、少なくとも露出する本体片部に加飾部として、第1シート部材と第2シート部材との間を加飾することができる。
また、加飾のためにシート止着具とは他の部材を用いる必要はないので、当該他の部材の追加によるコストの増大や組付けの手間が煩雑となるおそれをなくすことができる。
【0009】
(2)本発明の一態様のシート止着具では、前記本体片部は、前記第1シート部材に固定される固定部と、前記固定部から連続して延設されたとを有し、前記延設部は、外側に露出する面とは反対側である内側に前記雄部材の一部を収納する収納空間を形成し、前記係合部は、前記収納空間内に形成されてもよい。
このような構成によれば、前述した収納空間内に形成される係合部に係合する雄部材の少なくとも一部は延設部によって外側から覆われることとなり、この延設部が加飾部となり、第1シート部材と第2シート部材との間を加飾することができる。
【0010】
(3)本発明の一態様のシート止着具では、延設部の外面の少なくとも一部は、湾曲を呈してもよい。
このような構成によれば、例えば固定部に連続する部分がコ字形状などの角張った形状である場合に比べて、手触りがよく、また、シート止着具自体の可撓性を向上させることができ、止着部分が湾曲形状であってもシート止着具を容易に湾曲変形させて固定でき、シート止着具の可撓性を向上させるためにその長手法方向に直交する幅方向に沿った複数のスリットなどを形成する必要をなくし得る
【0011】
(4)本発明の一態様のシート止着具では、前記係合部は、前記延設部の内側から前記収納空間に向けて突出する係合片部を有し、前記延設部は、前記係合部との連続部分よりも前記第2シート部材に対する固定位置側に延びる突出部を有し、前記突出部の先端は、前記係合状態で前記第2シート部材に当接してもよい。
このような構成によれば、雌部材および雄部材の係合状態で、突出部の先端が第2シート部材に当接することで、雄部材を延設部によって大きく覆うことができ、外観意匠を向上し得る。
また、突出部の先端が第2シート部材に当接することで雌部材および雄部材の係合状態を安定させることができる。
【0012】
(5)本発明の一態様のシート止着具では、前記係合部は、前記延設部の内側から前記収納空間に向けて突出する係合片部を有し、前記雄部材は、前記係合片部の先端に係合される被係合部を有し、前記固定部には、前記延設部との連続部分とは反対側の部分に連続する受け部が形成され、前記受け部は、前記係合状態の前記雄部材を前記被係合部側とは反対側で受ける構成とされてもよい。
このような構成によれば、雄部材を受け部に受けさせながら雌部材に差し込むことで、係合片部が一時的に曲げ変形するので雄部材の被係合部を当該係合片部の先端に容易に係合させることができる。
一方、係合状態では、係合片部が「返し」として機能し得て雄部材が雌部材から引き抜かれるのを阻止し得、更に、雄部材が雌部材から引き抜かれようしても、当該係合片部には、その先端が雄部材に近接する力が働き得て、係合片部と受け部との間隔が狭まって係合強度をより高め得る。
【0013】
(6)本発明の一態様のシート止着具では、前記係合部は、前記延設部の内側から突出する係合片部と、前記固定部に連続し且つ前記係合片部と対向する位置に配置される係合突部とを有し、前記雄部材は、前記係合片部および前記係合突部のそれぞれに係合する一対の被係合部を有してもよい。
このような構成によれば、雄部材の一対の被係合部が係合片部および係合突部に係合されるので、係合強度を向上させ得る。
【0014】
(7)本発明の一態様のシート止着具では、前記雄部材は、前記係合部に係合される被係合部を有すると共に、可撓性を有する長尺の雄部材本体と、前記雄部材本体に取り付けられるテープ部材とを備え、前記雄部材本体は、その前記被係合部を除き、その長手方向に直交する厚さ方向における厚さ寸法が、当該雄部材本体の前記長手方向および前記厚さ方向に直交する幅方向における幅寸法よりも小さい寸法とされてもよい。
このような構成によれば、雄部材本体を概ね平たい形状に形成でき、例えば硬質樹脂などで雄部材本体を構成しても可撓性を備えさせ得る。また、雄部材本体にテープ部材が取り付けられているので、このテープ部材を第2シート部材に対して表側から縫製等によって容易に固定できる。なお、第2シート部材はテープ部材が固定された部分を折り返すことで、固定したテープ部材が表側に露出することをなくし得る。
【0015】
(8)本発明の一態様のシート止着具では、前記雌部材は前記雄部材よりも軟質の材料で形成されてもよい。
このような構成によれば、雄部材と係合部との係合強度を維持しつつ、雌部材を軟質の材料で形成することでシート止着具の全体としての可撓性を向上させ得る。
【0016】
(9)本発明の組付け方法は、第1シート部材に第2シート部材を長尺のシート止着具によって止着する組付方法であって、前記シート止着具は、本体片部および前記本体片部の内側に形成される係合部を有する雌部材と、前記係合部に係合可能な雄部材とを備え、前記雌部材を前記第1シート部材に固定する一方、前記雄部材を前記第2シート部材に固定し、前記雄部材を前記係合部に係合させ、前記雄部材を前記係合部に係合させた係合状態においては、前記本体片部が、前記雄部材の少なくとも一部を外側から覆って配置されると共に、前記第1シート部材および前記第2シート部材のそれぞれに対する固定位置の間で前記第1シート部材および前記第2シート部材に対して外側に露出して配置される。
本発明の組付方法によれば、前述した作用効果を発揮する本発明のシート止着具と同様の作用効果を発揮し得る組付け方法を提供し得る。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、一対のシート部材の間を加飾可能なシート止着具および組付方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係るシート止着具を備える自動車用シートを示す概略説明図。
図2】前記実施形態に係るシート止着具の連結状態を示すII-II線断面図。
図3】前記実施形態に係るシート止着具の雄部材を示す断面図。
図4】前記実施形態に係るシート止着具の雌部材を示す断面図。
図5】前記実施形態に係るシート止着具による組付手順を示す説明図。
図6】前記実施形態に係るシート止着具の変形例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[本実施形態の構成]
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1および図2において、本実施形態に係るシート止着具10は、自動車の車両用の座席である自動車用シート1のシート本体2を覆う第1シート部材としての表皮材3(本体表皮材)に対して、自動車用シート1のバックパネル4を覆う表皮材5(パネル表皮材)を止着するものである。このシート止着具10は、表皮材5の辺縁部5Aに固定される雄部材20(インナー部材)と、表皮材3の辺縁部3Aに沿って固定される雌部材30(アウター部材)とを備えている。なお、本実施形態におけるバックパネル4は、通常タイプのバックタイプよりも柔軟性のあるソフトバックパネルで構成されており、シート本体2とは分離された別体のものである。
以下の説明において、シート止着具10の長手方向(前後方向)をX軸方向とし、シート止着具10の幅方向(左右方向)をY軸方向とし、シート止着具10の厚さ方向(表裏方向)をZ軸方向とする。X,Y,Z軸方向は互いに直交する。
【0020】
雄部材20および雌部材30のそれぞれは、X軸方向に直交する面内における断面形状が同一となるように、例えばY軸方向に沿った複数の間欠スリットなどは形成されずに、X軸方向に連続して形成されている。また、雌部材30は、雄部材20よりも軟質の材料で形成されている。もちろん、雄部材20および雌部材30は互いに同じ材質で形成されていてもよいし、雄部材20は雌部材30よりも軟質の材料に形成されていてもよい。
【0021】
雄部材20は、図2および図3に示すように、可撓性を有するX軸方向に長尺の雄部材本体21と、雄部材本体21に取り付けられる可撓性を有するX軸方向に長尺のテープ部材26とを備えている。テープ部材26としては、可撓性を備えるものであれば各種のものを用いることができるが、本実施形態では不織布とする。
【0022】
雄部材本体21は、雄部材20と雌部材30との係合状態で後述する延設部33側に突出して配置される被係合部22と、その先端部分から被係合部22にかけて斜めに傾斜した斜面23と、雄部材本体21の先端部分で斜面23に連続していると共に係合状態でY軸方向に沿うように形成された被受け面24とを有している。被受け面24は、本実施形態ではテープ部材26の面に沿った平坦面を備えている。また、雄部材本体21には、その後端側(表皮材5側)で開口し且つテープ部材26が固着される溝部25が形成されている。この雄部材本体21は、被係合部22を除き、Z軸方向における厚さ寸法が、Y軸方向における幅寸法よりも小さい寸法とされており、このため、本実施形態では、雄部材本体21は、Y軸方向に平たく曲げやすい全体形状となっている。
【0023】
テープ部材26は、雄部材本体21に形成された溝部25に差し込まれた状態で固着された固着部分261と、固着部分261に連続し且つ雄部材本体21の後端側(表皮材5側)から延出した延出部分262とを有している。テープ部材26は、その延出部分262のうち雄部材本体21から所定間隔を隔てた部分で表皮材5の辺縁部5Aに沿って縫製されることによって固定位置P2に固定されている。
【0024】
雌部材30は、図2および図4に示すように、係合状態の雄部材20の少なくとも一部、本実施形態では雄部材本体21およびテープ部材26の一部を外側(表皮材3,5の表側)から覆って配置される本体片部31と、本体片部31の内側(表皮材3,5の裏側)に形成される係合部40とを有している。
【0025】
本体片部31は、表皮材3の辺縁部3Aに沿って縫製されることによって固定位置P1で固定される固定部32と、固定部32から連続して延設された断面湾曲形状の延設部33と、固定部32に連続し且つ雄部材20の被受け面24を受ける受け部35とを有しており、延設部33の内側に係合部40が設けられている。
【0026】
延設部33は、Z軸方向において外側に凸となるように円弧状に湾曲して形成されており、その基端331には固定部32が連続している。延設部33の先端332側には係合状態で係合部40との連続部分よりも表皮材5側に配置される突出部34を有している。このように形成される延設部33は、その外面の少なくとも一部が湾曲を呈しており、外側に露出する面とは反対側である内側に雄部材20の少なくとも一部を収納する収納空間330を形成している。収納空間330内には係合部40が形成されている。この延設部33は、係合状態で固定部32に対して表側に配置される構成とされている。なお、本実施形態では、固定部32は、延設部33の基端331から平坦に若干延びた部分で構成されているが、この形状に限らず、例えば、延設部33の湾曲形状に沿って湾曲して形成されていてもよい。
【0027】
突出部34は、係合部40との連続部分から分岐するように延びて形成されており、前述したように雄部材20と雌部材30との係合状態で前記連続部分よりも表皮材5側に延びて配置され、その先端332が表皮材5の表面5Bに当接する構成とされている。なお、突出部34も延設部33の一部を構成して断面湾曲形状とされている。また、突出部34の先端332には内側に突出した案内突部341が形成されており、この案内突部341は、雄部材20を雌部材30に差し込む際に当該雄部材20の斜面23(図3参照)を固定部32側に向けて案内する。
【0028】
受け部35は、固定部32に対し、当該固定部32および延設部33の連続部分とは反対側の部分に連続している。受け部35は、固定部32側から先端332側に向かって延びている。また、受け部35は、突出部34の方向に向けて突出していると共に、Z軸方向において突出部34の下端の位置よりも下方の位置に配置される。当該突出部34との間で収納空間330の入り口を形成しており、当該入り口は収納空間330内よりも狭い開口となっている。また、受け部35は、係合状態でY軸方向に沿って配置され且つシート止着具10の表裏方向(本実施形態ではZ軸方向)で延設部33と対向して配置されると共に、係合状態の雄部材20をZ軸方向において被係合部22側とは反対側で受ける構成とされている。
【0029】
係合部40は、延設部33の内側から収納空間330に向けて突出する係合片部41を有しており、本実施形態では、係合片部41は、延設部33の内側から受け部35側あるいは固定部32側に向かって斜めに突出し且つ先端411で雄部材20の被係合部22に係合する構成とされている。係合片部41の先端は受け部35の先端よりも固定部32側に配置されている。係合片部41は、延設部33と一体的に連続して形成されているので、ある程度の可撓性を有している。このため、雄部材20が雌部材30に差し込まれる際には被係合部22に押され、受け部35との間隔を拡げるように若干撓んで雄部材20を差し込みやすい状態にする。一方、係合片部41の先端411が雄部材20に被係合部22と係合した係合状態において雄部材20に引抜き力が加えられると、係合片部41は受け部35との間隔を狭めるように撓み、これにより、係合片部41と被係合部22とがより深く係合する(係合片部41と被係合部22との係合代が増す)こととなって係合強度をより高め得る。
【0030】
[組付手順]
以上のシート止着具10によって表皮材3に表皮材5を止着する組付手順について説明する。
【0031】
まず、図4に示すように、雌部材30の固定部32を表皮材3の辺縁部3Aに対して表面3Bから縫製によって固定位置P1で固定する。一方、図3に示すように、雄部材20のテープ部材26の延出部分262を表皮材5の辺縁部5Aに対して表面5B側から縫製によって固定位置P2で固定する。
【0032】
ここで、雄部材20がX軸方向にその断面形状が同一となるように連続して形成される一方、雌部材30がX軸方向にその断面形状が同一となるように連続して形成されるので、雄部材20および雌部材30の係合位置がX軸方向にある程度ズレてしまったとしても係合不良は生じないので、雄部材20および雌部材30同士の製造や表皮材3,5に対する縫製時に、互いに位置合わせをする必要をなくすことができる。
【0033】
このため、ある工場で雄部材20の製造や表皮材5に対する縫製を行い、前記工場とは異なる他の工場で雌部材30の製造や表皮材3に対する縫製を行った場合でも、雄部材20および雌部材30を互いに好適に係合させることができる。従って、本実施形態のシート止着具10では、例えば、X軸方向に複数のエレメント(務歯)が連なるエレメント列を左右に有するスライドファスナーを用いる場合に左右のエレメント列のX軸方向への位置ズレ(ピッチズレ)に起因する係合不良などは生じ得ない。
【0034】
また、本実施形態のシート止着具10では、雄部材20や雌部材30にはX軸方向に直交する方向に延びるスリットなどは設けられずにX軸方向に連続して形成されているので、例えば前述したスリットなどが設けられる場合と比べて、雌部材30に雄部材20を係合させる手間を軽減し得る。
【0035】
なお、表皮材5の辺縁部5Aが折り返されていない状態では、雄部材20は、テープ部材26の延出部分262が雄部材本体21に対して表皮材5の辺縁部5Aにおける端縁511側に配置され、雄部材本体21の被係合部22はテープ部材26の固着部分261よりも表皮材5の表面5B側の位置に配置される。
【0036】
次に、図5に示すように、表皮材5を、シート本体2を覆う所定位置に設け、表皮材3の辺縁部3Aをその裏面3C側に折り返しながら雌部材30を表面3B側から傾倒させる。一方、図5に示すように、表皮材3に対する雌部材30の固定位置P1に対向する位置に表皮材5を配置し、テープ部材26の延出部分262が固定された辺縁部5Aを表皮材5の裏面5C側に折り返しながら雄部材本体21を表皮材5よりも表皮材3側へ配置し、雄部材本体21の被係合部22はZ軸方向においてテープ部材26の固着部分261よりも外側に配置される。
【0037】
続いて、雄部材本体21を雌部材30の先端332および受け部35の間へ差し込む。このとき、被係合部22は延設部33に対してX軸方向に対向する位置に配置される。更に、雄部材本体21の斜面23を係合片部41によって案内させつつ、被係合部22が係合片部41よりも固定部32側(表皮材3側)に位置するまで雄部材20を雌部材30に差し込んで、当該被係合部22を係合片部41に係合させる。このとき、係合片部41の先端411における係合面と、雄部材20の被係合部22における被係合面とは、Z軸方向に沿って配置され、Y軸方向に離間不能に互いに係り合った状態となる雄部材本体21の被受け面24が雌部材30の受け部35に受け止められることで、被係合部22と係合片部41との係合状態が保たれる。
【0038】
この係合状態では、本実施形態では、表皮材3,5のそれぞれの固定位置P1,P2はY軸方向で互いに対向して配置され、雌部材30は、表皮材3,5の間に配置され、係合部40は固定位置P1よりも固定位置P2側の位置に配置される。このように配置される雌部材30の延設部33は、雄部材本体21の全体と、テープ部材26の延出部分262のうち表皮材5の辺縁部5Aに縫製されていない部分とを、Z軸方向において外側から覆うと共に、表皮材3および表皮材5のそれぞれに対する固定位置P1,P2の間で表皮材3,5に対して外側に露出して配置され、雄部材本体21は、収納空間330に完全に収納された状態となる。また、延出部分262のうち辺縁部5Aに縫製された固定位置P2よりも辺縁側の部分は表皮材5の裏面5C側に折り返されているので表面5B側には露出しない配置となっている。更に、係合状態では、雌部材30の延設部33における先端332は表皮材5の表面5Bに当接あるいは当接可能に配置されており、受け部35は、Z軸方向における外側に位置する延設部33と対向して配置される。なお、シート止着具10は、前述した係合状態では本体片部31と雄部材20との間には若干の空間が形成されるように構成されており、これにより、雄部材20を雌部材30に係合挿入しやすい構成としている。
【0039】
このようにして、シート止着具10は組付けられ、表皮材3に表皮材5が止着される。止着状態では、シート止着具10の雌部材30における延設部33だけが、表皮材3,5の間で外部に露出するので、少なくとも当該延設部33に任意の色やコーティング、ラミネートなどを施しておくことで、表皮材3,5との間を容易に加飾することができる。なお、前述したように延設部33にラミネートなどが施された場合でも、延設部33自体が外部に露出することとする。なお、雄部材20に対してある程度のX軸方向の位置ズレが許容される雌部材30は、必ずしも雄部材20と同一工場で位置合せしながら表皮材3,5に縫製する必要はないので、雄部材20を製造、縫製する工場とは異なる他の各工場で、様々な加飾が施された複数種の雌部材30を製造、縫製することができ、このため、複数種の雌部材30の中から用いる雌部材30を選択することができ、表皮材3,5の間における加飾バリエーションを増すことができる。
【0040】
[変形例]
前記実施形態では、シート止着具10の雌部材30は、係合片部41および受け部35を有し、係合片部41が片爪形状の雄部材本体21の被係合部22と係合すると共に、受け部35が雄部材本体21の被受け面24を受ける構成となっているが、これに限らず、例えば図6の変形例に示すように、シート止着具10Bには、両爪形状の雄部材本体21Bと係合する雌部材30Bが構成されていてもよい。
【0041】
雄部材本体21Bは、テープ部材26の固着部分261を間にしてZ軸方向に対向して配置される一対の被係合部22Bを有して略矢じり形状に構成されている。
雌部材30Bは、固定部32に連続する前述した受け部35に代えて、延設部33の内側に連続する係合片部41に対向する係合突部36を有している。係合突部36は受け部35から連続して延びる片37の先端において係合片部41側に突出して形成されている。
このシート止着具10Bでは、雄部材本体21Bが雌部材30Bに差し込まれ、一対の被係合部22Bが雌部材30Bの係合片部41および係合突部36に係合されることで、雄部材本体21Bを有する雄部材20Bと雌部材30Bとが係合状態となる。
【0042】
前記実施形態では、雄部材20および雌部材30のそれぞれは、断面形状が同一となるように長手方向に連続して形成されているが、例えば、雄部材20および雌部材30の一方または双方には、X軸方向に直交する方向に延びる複数のスリットなどが構成されていてもよい。
【0043】
前記実施形態では、延設部33は断面湾曲形状に形成されているが、これに限らず、本体片部31が表皮材3,5の間で外側に露出する構成であればよく、例えば、角形状、角形状と湾曲形状との組合せ形状など、求めるデザインに応じて延設部33の形状を適宜変更して形成してもよい。
【0044】
前記実施形態では、前記係合部40は、延設部33の内側に形成されているが、これに限らず、雄部材20と係合可能な位置であれば延設部33とは異なる位置に形成されていてもよい。
【0045】
前記実施形態では、延設部33は係合部40との連続部分よりも係合状態で表皮材5側に延びて配置される突出部34を有しているが、これに限らず、例えば延設部33のうち係合部40に連続する部分よりも先の部分において雄部材20を覆う必要がない場合には、突出部34の構成を省略してもよい。この場合、延設部33の先端332は表皮材5に非当接な位置に配置されることとなる。また、延設部33が突出部34を有している場合であっても、先端332が表皮材5に対して非当接な位置に配置される構成であってもよい。
【0046】
前記実施形態では、係合部40は、延設部33の内側から固定部32側に向かって斜めに突出した係合片部41を有しているが、これに限らず、例えば、延設部33の内側からZ軸方向に沿って突出した係合片部であっても雄部材20の被係合部22と係合可能な構成であればよい。
【0047】
前記実施形態では、雄部材本体21は、前述したように厚さ寸法が幅寸法よりも小さい寸法とされ、係合状態でY軸方向に平たい配置となる構成とされているが、これに限らず、雌部材30と係合可能な構成であれば上記寸法関係とは異なる寸法関係で雄部材本体21を構成してもよい。
【0048】
前記実施形態では、雄部材20のテープ部材26を不織布で構成しているが、これに限らず、前述したように可撓性を有するものであればよく、例えば、糸を織り込んだ織物であってもよく、また、折曲可能なシート材で構成されていてもよい。
【0049】
前記実施形態では、雌部材30は雄部材20よりも軟質の材料で形成されているが、これに限らず、例えば雄部材20と同じ材料で形成されていてもよく、また、雄部材20が雌部材よりも軟質の材料で形成されていてもよい。
【0050】
前記実施形態では、雄部材20および雌部材30のそれぞれは、縫製によって表皮材3,5に固定されているが、これに限らず、十分な固定強度を得られるのであれば、例えば接着などによって固定されていてもよい。
【0051】
前記実施形態では、雌部材30が表皮材3に固定され、雄部材20が表皮材5に固定されるものとして説明したが、これとは逆に、雌部材30が表皮材5に固定され、雄部材20が表皮材3に固定されてもよく、この場合には、表皮材5が第1シート部材に相当し、表皮材3が第2シート部材に相当することとなる。
【0052】
前記実施形態では、シート止着具10は、自動車用シート1のシートカバーである表皮材3,5を繋ぐものとして説明したが、このほか、航空機や船舶等の座席、学校やオフィスビルで使用される座席、運動用器具類、住居用ソファーやベッドなどの家具類、カバン、衣類、テント等の架設物、輸送用の梱包物などに用いられるシート部材同士を繋ぐものであってもよい。
【0053】
[本実施形態の効果]
(1)本実施形態のシート止着具10,10Bは、表皮材3に表皮材5を止着する長尺のものであり、表皮材3に固定される雌部材30,30Bと、表皮材5に固定される雄部材20,20Bとを備える。雌部材30,30Bは、本体片部31と、雄部材20,20Bと係合可能に本体片部31の内側に形成される係合部40とを有する。本体片部31は、雄部材20,20Bの少なくとも一部を外側から覆って配置されると共に、表皮材3,5のそれぞれに対する固定位置P1,P2の間で表皮材3,5に対して雌部材30,30Bの少なくとも一部が外側に露出する構成とされる。これにより、雌部材30,30Bの係合部40に雄部材20,20Bが係合することで表皮材3に表皮材5が止着され、このとき、係合状態の雄部材20,20Bの少なくとも一部を覆って配置されると共に、前述した固定位置P1,P2の間で表皮材3,5に対して外側に露出することとなる。このため、少なくとも本体片部31の一部が表皮材3と表皮材5との間で加飾部材として使用することができる。また、加飾のためにシート止着具10,10Bとは他の部材を用いる必要はないので、当該他の部材の追加によるコストの増大や組付けの手間が煩雑となるおそれをなくすことができる。
【0054】
(2)本体片部31は、表皮材3に固定される固定部32と、固定部32から連続して延設された延設部33とを有し、延設部33は、外側に露出する面とは反対側である内側に雄部材20,20Bの一部を収納する収納空間330を形成し、係合部40は、収納空間330内に形成される。このため、前述した収納空間330に形成される係合部40に係合する雄部材20,20Bの少なくとも一部は延設部33によって外側から覆われることとなり、この延設部33として表皮材3と表皮材5との間を加飾することができる。
【0055】
(3)延設部33の外面の少なくとも一部は、湾曲を呈する。このため、例えば固定部32に連続する部分がコ字形状などの角張った形状である場合に比べて、シート止着具自体の可撓性を向上させることができ、止着部分が湾曲形状であってもシート止着具10,10Bを容易に湾曲変形させて固定でき、シート止着具10,10の可撓性を向上させるためにY軸方向に沿った複数のスリットなどを形成する必要をなくし得る。
【0056】
(4)係合部40は、延設部33の内側から収納空間330に向けて突出する係合片部41を有し、延設部33は、係合部40との連続部分よりも表皮材5に対する固定位置P2側に延びる突出部34を有し、突出部34の先端332は、係合状態で表皮材5に当接する。このため、雌部材30,30Bおよび雄部材20,20Bの係合状態で、突出部34の先端332が表皮材5に当接することで、雄部材20,20Bを延設部33によって大きく覆うことができ、例えば雄部材20,20Bに加飾が施されていなくても、外観意匠を向上し得る。また、突出部34の先端332が表皮材5に当接することで雌部材30,30Bおよび雄部材20,20Bの係合状態を安定させることができる。
【0057】
(5)係合部40は、延設部33の内側から収納空間330に向けて突出する係合片部41を有し、雄部材20は、係合片部41の先端411に係合される被係合部22を有し、固定部32には、延設部33との連続部分とは反対側の部分に連続する受け部35が形成され、受け部35は、係合状態の雄部材20,20Bを被係合部22側とは反対側で受ける構成とされる。このため、雄部材20を受け部35に受けさせながら雌部材30に差し込むことで、係合片部41が一時的に曲げ変形するので雄部材20の被係合部22を当該係合片部41の先端411に容易に係合させることができる。一方、係合状態では、係合片部41が「返し」として機能し得て雄部材20が雌部材30から引き抜かれるのを阻止し得、更に、雄部材20が雌部材30から引き抜かれようしても、当該係合片部41には、その先端411が雄部材20に近接する力が働き得て、係合片部41と受け部35との間隔が狭まって係合強度をより高め得る。
【0058】
(6)本実施形態の図6に示す変形例に係るシート止着具10Bでは、係合部40は、延設部33の内側から突出する係合片部41と、固定部32に連続し且つ係合片部41と対向する位置に配置される係合突部36とを有し、雄部材20Bは、係合片部41および係合突部36のそれぞれに係合する一対の被係合部22Bを有する。このため、雄部材20Bの一対の被係合部22Bが係合片部41および係合突部36に係合されるので、係合強度を向上させ得る。
【0059】
(7)雄部材20,20Bは、係合部40に係合される被係合部22,22Bを有すると共に、可撓性を有する長尺の雄部材本体21,21Bと、雄部材本体21,21Bに取り付けられるテープ部材としてのテープ部材26とを備え、雄部材本体21,21Bは、その被係合部22,22Bを除き、Z軸方向における厚さ寸法が、当該雄部材本体21,21BのY軸方向における幅寸法よりも小さい寸法とされる。このため、雄部材本体21,21Bを概ね平たい形状に形成でき、例えば硬質樹脂などで雄部材本体21,21Bを構成しても可撓性を備えさせ得る。また、雄部材本体21,21Bにテープ部材26が取り付けられているので、このテープ部材26を表皮材5に対して表側(表面5B側)から縫製等によって容易に固定できる。なお、表皮材5はテープ部材26が固定された部分を折り返すことで、固定したテープ部材26が表側に露出することをなくし得る。
【0060】
(8)雌部材30,30Bは雄部材20,20Bよりも軟質の材料で形成される。このため、雄部材20,20Bと係合部40との係合強度を維持しつつ、雌部材30,30Bを軟質の材料で形成することでシート止着具10,10Bの全体としての可撓性を向上させ得る。
【0061】
(9)本実施形態の組付方法は、表皮材3に表皮材5を長尺のシート止着具10,10Bによって止着する組付方法であって、シート止着具10,10Bは、本体片部31および本体片部31の内側に形成される係合部40を有する雌部材30,30Bと、前記係合部40に係合可能な雄部材20,20Bとを備え、雌部材30,30Bを表皮材3に固定する一方、雄部材20,20Bを表皮材5に固定し、雄部材20,20Bを係合部40に係合させ、雄部材20,20Bを係合部40に係合させた係合状態においては、本体片部31が、雄部材20,20Bの少なくとも一部を外側から覆って配置されると共に、表皮材3,5のそれぞれに対する固定位置P1,P2の間で表皮材3,5に対して外側に露出して配置される。このため、前述した本実施形態のシート止着具10,10Bと同様の作用効果を発揮し得る組付方法を提供し得る。
【符号の説明】
【0062】
1…自動車用シート、10,10B…シート止着具、2…シート本体、20,20B…雄部材、21,21B…雄部材本体、22,22B…被係合部、23…斜面、24…被受け面、25…溝部、26…テープ部材、261…固着部分、262…延出部分、3,5…表皮材(シート部材)、30,30B…雌部材、31…本体片部、32…固定部、33…延設部、330…収納空間、331…基端、332,411…先端、34…突出部、341…案内突部、35…受け部、36…係合突部、37…片、3A,5A…辺縁部、3B,5B…表面、3C,5C…裏面、4…バックパネル、40…係合部、41…係合片部、511…端縁、P1,P2…固定位置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6