(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025001467
(43)【公開日】2025-01-08
(54)【発明の名称】扉ロック管理システム及び扉ロック管理プログラム
(51)【国際特許分類】
A47K 17/00 20060101AFI20241225BHJP
E03D 9/00 20060101ALI20241225BHJP
E03D 11/00 20060101ALI20241225BHJP
H04Q 9/00 20060101ALI20241225BHJP
【FI】
A47K17/00
E03D9/00 Z
E03D11/00 Z
H04Q9/00 301B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023101078
(22)【出願日】2023-06-20
(71)【出願人】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】長曽我部 勇貴
(72)【発明者】
【氏名】西山 暢治
(72)【発明者】
【氏名】藤川 拓人
(72)【発明者】
【氏名】家守 輝幸
【テーマコード(参考)】
2D037
2D038
2D039
5K048
【Fターム(参考)】
2D037AA02
2D037EA00
2D037EA01
2D037EB00
2D038KA02
2D038KA03
2D038KA06
2D039AA02
2D039CC00
2D039CD00
2D039FA02
2D039FA04
2D039FA05
2D039FA07
5K048AA15
5K048BA01
5K048BA52
5K048EB02
5K048EB12
5K048GB08
5K048HA21
(57)【要約】
【課題】トイレ個室が使用中であるときに管理者がトイレ個室の扉を解錠することを抑制可能な扉ロック管理システム及び扉ロック管理プログラムを提供することを目的とする。
【解決手段】内部に便器装置が設置されたトイレ個室の扉を施錠及び解錠する施解錠部と、前記施解錠部を制御する制御部と、を含む施解錠装置を備え、前記制御部は、前記トイレ個室内の異常が異常検知部によって検知されると、前記扉を施錠するように前記施解錠部を制御し、前記トイレ個室の使用状況を検知する使用状況検知部が、前記トイレ個室が使用中であることを検知しているときに、前記トイレ個室の外部からの解錠操作によって前記扉を解錠しないように前記施解錠部を制御することを特徴とする扉ロック管理システムが提供される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に便器装置が設置されたトイレ個室の扉を施錠及び解錠する施解錠部と、
前記施解錠部を制御する制御部と、
を含む施解錠装置を備え、
前記制御部は、
前記トイレ個室内の異常が異常検知部によって検知されると、前記扉を施錠するように前記施解錠部を制御し、
前記トイレ個室の使用状況を検知する使用状況検知部が、前記トイレ個室が使用中であることを検知しているときに、前記トイレ個室の外部からの解錠操作によって前記扉を解錠しないように前記施解錠部を制御することを特徴とする扉ロック管理システム。
【請求項2】
前記使用状況検知部は、使用者が前記トイレ個室の内側から前記扉を施錠したことを検知した場合に、前記トイレ個室が使用中であると判断することを特徴とする請求項1に記載の扉ロック管理システム。
【請求項3】
前記使用状況検知部は、前記便器装置が使用されていることを検知した場合に、前記トイレ個室が使用中であると判断することを特徴とする請求項1に記載の扉ロック管理システム。
【請求項4】
前記使用状況検知部は、前記トイレ個室内の人を検知した場合に、前記トイレ個室が使用中であると判断することを特徴とする請求項1に記載の扉ロック管理システム。
【請求項5】
前記トイレ個室外に設けられる表示装置をさらに備え、
前記表示装置は、前記トイレ個室が使用中であると前記使用状況検知部が判断した場合に、前記トイレ個室が使用中であることを表示することを特徴とする請求項2~4のいずれか1つに記載の扉ロック管理システム。
【請求項6】
管理者が携帯可能な端末装置が接近したときに前記端末装置と通信可能となる通信装置をさらに備え、
前記制御部は、前記トイレ個室が使用中であることを前記使用状況検知部が検知しないときに、前記端末装置と前記通信装置とが通信すると、前記扉を解錠するように前記施解錠部を制御することを特徴とする請求項1に記載の扉ロック管理システム。
【請求項7】
前記便器装置と、
前記扉と、
前記異常検知部と、
前記使用状況検知部と、
をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の扉ロック管理システム。
【請求項8】
内部に便器装置が設置されたトイレ個室の扉を施錠及び解錠する施解錠部と、前記施解錠部を制御する制御部と、を含む施解錠装置の前記制御部に、
前記トイレ個室内の異常が異常検知部によって検知されると、前記扉を施錠するように前記施解錠部を制御し、
前記トイレ個室の使用状況を検知する使用状況検知部が前記トイレ個室が使用中であることを検知しているときに、前記トイレ個室の外部からの解錠操作によって前記扉を解錠しないように前記施解錠部を制御する動作を実行させることを特徴とする扉ロック管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に、扉ロック管理システム及び扉ロック管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
トイレ室内の個室に設けられた便器装置においては、例えば詰まりといった異常が発生することがある。ここで、例えば特許文献1に記載されたように、便器装置の異常が検知されたときに、トイレ室の出入口の扉や個室のドアを自動施錠することが考えられる。これにより、異常が検知された便器装置を使用者が使用してしまうことを抑制し、便器装置の管理、清掃、保守の効率を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、施錠(ロック)された個室の扉を、個室の外部から解錠する手段を設けることが考えられる。これにより、トイレ室の管理者は、異常が検知されて自動施錠された個室の扉を外部から解錠し、個室内の清掃等の管理を行うことができる。一方で、個室の使用者が、個室の内側から扉を施錠している場合も考えられる。使用者が使用中の個室の扉を、管理者が外部から解錠してしまう可能性がある。
【0005】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、トイレ個室が使用中であるときに管理者がトイレ個室の扉を解錠することを抑制可能な扉ロック管理システム及び扉ロック管理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、内部に便器装置が設置されたトイレ個室の扉を施錠及び解錠する施解錠部と、前記施解錠部を制御する制御部と、を含む施解錠装置を備え、前記制御部は、前記トイレ個室内の異常が異常検知部によって検知されると、前記扉を施錠するように前記施解錠部を制御し、前記トイレ個室の使用状況を検知する使用状況検知部が、前記トイレ個室が使用中であることを検知しているときに、前記トイレ個室の外部からの解錠操作によって前記扉を解錠しないように前記施解錠部を制御することを特徴とする扉ロック管理システムである。
【0007】
この扉ロック管理システムによれば、トイレ個室が使用中であるときに管理者がトイレ個室の扉を解錠してしまうことが抑制できる。
【0008】
第2の発明は、第1の発明において、前記使用状況検知部は、使用者が前記トイレ個室の内側から前記扉を施錠したことを検知した場合に、前記トイレ個室が使用中であると判断することを特徴とする扉ロック管理システムである。
【0009】
この扉ロック管理システムによれば、トイレ個室の内側からの施錠に基づいてトイレ個室が使用中であることを判断することができる。これにより、使用中のトイレ個室の扉を誤って解錠することをより抑制することができる。
【0010】
第3の発明は、第1の発明において、前記使用状況検知部は、前記便器装置が使用されていることを検知した場合に、前記トイレ個室が使用中であると判断することを特徴とする扉ロック管理システムである。
【0011】
この扉ロック管理システムによれば、便器装置の使用状況に基づいてトイレ個室が使用中であることを判断できる。これにより、簡易な構成により、使用中のトイレ個室の扉を誤って解錠することをより抑制することができる。
【0012】
第4の発明は、第1の発明において、前記使用状況検知部は、前記トイレ個室内の人を検知した場合に、前記トイレ個室が使用中であると判断することを特徴とする扉ロック管理システムである。
【0013】
この扉ロック管理システムによれば、トイレ個室内の人の存在の有無に基づいてトイレ個室が使用中であることを判断できる。これにより、簡易な構成により、使用中のトイレ個室の扉を誤って解錠することをより抑制することができる。
【0014】
第5の発明は、第2~4のいずれか1つの発明において、前記トイレ個室外に設けられる表示装置をさらに備え、前記表示装置は、前記トイレ個室が使用中であると前記使用状況検知部が判断した場合に、前記トイレ個室が使用中であることを表示することを特徴とする扉ロック管理システムである。
【0015】
この扉ロック管理システムによれば、表示装置によってトイレ個室が使用中であることが表示されるため、管理者が解錠しようとする行為自体を抑制することができる。これにより、トイレ個室を使用中の使用者が、扉が解錠されてしまうのではないかと不安になることを抑制することができる。
【0016】
第6の発明は、第1の発明において、管理者が携帯可能な端末装置が接近したときに前記端末装置と通信可能となる通信装置をさらに備え、前記制御部は、前記トイレ個室が使用中であることを前記使用状況検知部が検知しないときに、前記端末装置と前記通信装置とが通信すると、前記扉を解錠するように前記施解錠部を制御することを特徴とする扉ロック管理システムである。
【0017】
この扉ロック管理システムによれば、施解錠装置に接触して施解錠部を動かす鍵を用いずに、扉を解錠することができる。これにより、例えば鍵の管理コストを削減することができる。また、例えば、鍵忘れの際に鍵を取りに戻るなどの時間的なコストを削減することができる。
【0018】
第7の発明は、第1の発明において、前記便器装置と、前記扉と、前記異常検知部と、前記使用状況検知部と、をさらに備えたことを特徴とする扉ロック管理システムである。
【0019】
この扉ロック管理システムによれば、トイレ個室が使用中であるときに管理者がトイレ個室の扉を解錠してしまうことが抑制できる。
【0020】
第8の発明は、内部に便器装置が設置されたトイレ個室の扉を施錠及び解錠する施解錠部と、前記施解錠部を制御する制御部と、を含む施解錠装置の前記制御部に、前記トイレ個室内の異常が異常検知部によって検知されると、前記扉を施錠するように前記施解錠部を制御し、前記トイレ個室の使用状況を検知する使用状況検知部が前記トイレ個室が使用中であることを検知しているときに、前記トイレ個室の外部からの解錠操作によって前記扉を解錠しないように前記施解錠部を制御する動作を実行させることを特徴とする扉ロック管理プログラム。
【0021】
この扉ロック管理プログラムによれば、トイレ個室が使用中であるときに管理者がトイレ個室の扉を解錠してしまうことが抑制できる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の態様によれば、トイレ個室が使用中であるときに管理者がトイレ個室の扉を解錠することを抑制可能な扉ロック管理システム及び扉ロック管理プログラムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、実施形態に係る扉ロック管理システムが設けられるトイレ室を例示する模式図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る扉ロック管理システムが設けられるトイレ個室TBを例示する模式図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る扉ロック管理システムを例示する模式的ブロック図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る扉ロック管理システムの動作を説明するフローチャートである。
【
図5】
図5は、実施形態に係る扉ロック管理システムの動作を説明するフローチャートである。
【
図6】
図6は、実施形態に係る扉ロック管理システムの動作を説明するフローチャートである。
【
図7】
図7は、実施形態に係る別の扉ロック管理システムを例示する模式的ブロック図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る別の扉ロック管理システムを例示する模式的ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、実施形態に係る扉ロック管理システムが設けられるトイレ室を例示する模式図である。
図1に表したように、トイレ室TRには、1又は複数のトイレ個室TB(トイレブース)が設けられている。各トイレ個室TBの内部には便器装置11が設けられる。便器装置11は、例えば洋式又は和式の大便器装置である。各トイレ個室TBは、トイレ個室TBの使用者がトイレ個室TBに出入りするための扉14(ドア)を有する。例えば、トイレ個室TBが使用中の場合(内側に使用者がいる場合)は、扉14は閉じた状態とされる。トイレ個室TBが使用中でない場合は、扉14は開いた状態でもよいし、閉じた状態でもよい。
【0025】
また、トイレ室TR内には、洗面台15や小便器装置16が設けられてもよい。洗面台15には、水を吐出する水栓装置15a(例えば自動水栓装置)や、水栓装置15aからの水を受けるボウル部15bなどが設けられる。
【0026】
実施形態に係る扉ロック管理システム100が導入される施設には、例えば複数のトイレ室TRが設けられる。各トイレ室TRは、例えばトイレ室TRが設けられた施設の管理者によって管理される。管理者は、トイレ室TRの清掃やメンテナンスを行う。例えばメンテナンスは、不具合が生じているかの確認、または不具合の詳細の確認、必要に応じて不具合を解消する措置や不具合の拡大を防ぐ措置を講じること等である。
【0027】
扉ロック管理システム100は、トイレ個室TB内の異常を検知し、内部で異常が検知されたトイレ個室TBの扉14を、適宜、施錠及び解錠するシステムである。例えば、実施形態に係る扉ロック管理システム100は、管理装置30を有していてもよい。例えば1つの管理装置30が、各トイレ室TRの各トイレ個室TBに設けられた装置(後述する施解錠装置や検知部)と、有線、無線またはそれらの組合せにより、通信可能に接続される。これにより、管理装置30が複数のトイレ個室TBの施錠を管理する。ただし、実施形態において、トイレ個室TBの数は、任意であり1でもよい。
【0028】
具体的には、管理装置30には、サーバやパーソナルコンピュータなどのコンピュータ装置を用いることができる。管理装置30は、トイレ室TRの外部、例えば扉ロック管理システム100が導入される施設の中央管理室などに設置されてもよい。ただし、管理装置30の配置は、任意でありトイレ室TR内に配置してもよい。
【0029】
図2は、実施形態に係る扉ロック管理システムが設けられるトイレ個室TBを例示する模式図である。
図2に表したように、実施形態に係る扉ロック管理システム100は、施解錠装置20を備える。施解錠装置20は、トイレ個室TBの扉14に設置され、扉14を施錠及び解錠する。扉ロック管理システム100は、扉14の施錠の状態を表示する表示装置40と、管理者が施解錠装置20による施錠を解除するための情報を入力する入力装置50と、を備えていてもよい。
【0030】
便器装置11は、例えば汚物を受けて排水管に排出する便器(便器本体)を含む。便器装置11は、便器本体に供給する水のタンクやポンプを含んでもよい。また、便器装置11は、便器装置11の使用者が着座する便座や便蓋を含む便座装置を含んでもよい。便座装置は、着座した使用者の局部に洗浄水を吐出する局部洗浄機能、局部を乾燥させる温風機能、便座を暖める暖房便座機能、便器内又はトイレ個室TB内を脱臭する脱臭機能、便器を洗浄する洗浄機能など、種々の機能部を必要に応じて有していてもよい。また、トイレ個室TB内には、便器装置(便座装置)の各機能部を操作するための、リモコン12が設けられてもよい。例えば使用者がリモコン12のボタンなどの操作部を操作することにより、便器装置に操作指令が送信される。便器装置(便座装置)は、受信した操作指令に応じて各機能部を動作させる。
【0031】
便器装置11には、着座センサや人体検知センサが設けられてもよい。着座センサは、使用者の便座への着座及び離座を検知する。着座センサには、例えば測距センサ(赤外線投光式センサ)、超音波センサ、タクトスイッチ、静電容量スイッチ(タッチセンサ)、または歪みセンサなどを用いることができる。人体検知センサは、トイレ個室TB内の使用者の存在や動きを検知する。人体検知センサには、例えば焦電センサ、マイクロ波センサ、超音波センサ、または測距センサ(赤外線投光式センサ)を用いることができる。
【0032】
図3は、実施形態に係る扉ロック管理システムを例示する模式的ブロック図である。
施解錠装置20は、施解錠部21と、制御部22と、通信部23と、を有する。施解錠部21は、トイレ個室TBの扉14に取り付けられ、扉14を施錠及び解錠する。
【0033】
施解錠部21には、例えば、電気錠(電子錠)を用いることができる。一例として、施解錠部21は、モータ式の電気錠である。例えば、施解錠部21は、閂やフックなど形状を有する係合部を有する。係合部は、扉14と隣接するパネル(ドア枠など)に設けられた金具などと係合する。係合部が係合した状態を維持することにより、施解錠部21は、扉14を施錠する。すなわち、施解錠部21は、扉14が閉じた状態を保持する。施解錠部21は、係合部の係合を解除する(又は解除可能な状態とする)ことにより、扉14を解錠する。すなわち、施解錠部21は、扉14が閉じた状態を保持せず、扉14が開くことが可能な状態とする。また、施解錠部21は、係合部の位置を制御する位置制御機構を有する。位置制御機構は、例えばモータを含むアクチュエータを含み、係合部を動かす。位置制御機構は、例えば係合部を動かすことで、金具等と係合部とを係合させ、扉14を施錠する。位置制御機構は、例えば係合が解除される位置への係合部の移動を制限して、扉14を施錠する。また、位置制御機構は、例えば係合部を動かすことで、係合部の金具等との係合を解除して、扉14を解錠する。または、位置制御機構は、係合解除位置への係合部の移動を制限しないことで、扉14を解錠する。
【0034】
制御部22は、施解錠部21と通信可能に接続されており、施解錠部21の動作を制御する。施解錠部21は、制御部22からの信号に応じて、扉14の施解錠を行う。例えば制御部22から位置制御機構に施錠又は解錠を実行させる信号が送信される。その信号を受信に応じて位置制御機構が係合部を制御することで、施解錠部21が扉14を施錠又は解錠する。制御部22は、施解錠部21を制御する制御回路であり、例えばマイコンなどのコンピュータを含んでもよい。
【0035】
なお、施解錠部21は、制御部22の制御による施解錠だけでなく、トイレ個室TBの使用者によるトイレ個室TBの内側からの操作に応じて、扉14を施錠及び解錠することが可能でよい。例えば、使用者が施解錠部21の係合部に手動で力を加えて係合部を移動させることで、扉14の施錠及び解錠が行われてもよい。あるいは、トイレ個室TBの内側に、使用者が施錠及び解錠を指示するための内側操作部(例えば押しボタンなどのスイッチ)を設けてもよい。使用者が内側操作部を操作することにより、位置制御機構に信号が送信される。これにより、位置制御機構が係合部の位置を制御することで、施解錠部21は扉14を施錠及び解錠してもよい。
【0036】
実施形態は上記に限らず、施解錠部21は、制御部22からの信号に基づいて、扉14を閉じたままにする状態と、扉14が開くことが可能な状態と、を切り替えることが可能な構成でよい。
【0037】
制御部22は、通信部23と通信可能に接続されている。制御部22は、通信部23を介して、他の装置と信号を送受信する。通信部23は、管理装置30の通信部32と通信可能である。すなわち、制御部22は、通信部23及び通信部32を介して、判定部31と通信可能である。また、通信部23は、検知部62aと通信可能である。すなわち、制御部22は、通信部23を介して検知部62aと通信可能である。ただし、制御部22と検知部62aとの間の通信は、通信部23を介さなくてもよい。また、通信部23は、便器装置11に設けられた通信部17と通信可能でもよい。例えば、制御部22は、通信部23及び通信部17を介して、便器装置11に設けられた検知部61aと通信可能でもよい。通信部23は、入力装置50の通信部52と通信可能でもよい。例えば、制御部22は、通信部23及び通信部52を介して、入力装置50の入力部51と通信可能でもよい。
【0038】
管理装置30は、判定部31と通信部32とを有する。判定部31には、サーバやパーソナルコンピュータなどのコンピュータ装置を用いることができる。判定部31は、通信部32を介して、他の装置と信号を送受信する。通信部32は、便器装置11に設けられた通信部17と通信可能である。すなわち、判定部31は、通信部32及び通信部17を介して、便器装置11に設けられた検知部61aと通信可能である。通信部32は、表示装置40の通信部42と通信可能でもよい。判定部31は、通信部32及び通信部42を介して、表示装置40の表示部41と通信可能でもよい。通信部32は、入力装置50の通信部52と通信可能でもよい。判定部31は、通信部32及び通信部52を介して、入力装置50の入力部51と通信可能でもよい。
【0039】
扉ロック管理システム100は、例えば、トイレ個室TBの使用状況を検知する使用状況検知部62を有する。使用状況検知部62は、例えば検知部62aと判定部62b(判定部31の一部)とにより構成される。検知部62aは、トイレ個室の使用状況の判定に用いる情報を取得する。この例では、検知部62aは、施解錠装置20の状態を検知するように、施解錠装置20に対して設けられている。検知部62aは、通信部23及び通信部32を介して、判定部62bと通信可能に接続される。これにより、検知部62aの検知結果が判定部62bに送信される。判定部62bは、検知部62aの検知結果に基づいて、トイレ個室TBの使用状況を判断する。使用状況検知部62は、トイレ個室TBが使用中であるか、すなわちトイレ個室TB内に使用者が存在するか、を判断する。例えば、トイレ個室TBの内側から扉14が施錠された場合は、トイレ個室TB内に使用者が存在すると判断できる。
【0040】
一例としては、検知部62aは、施解錠部21の係合部(閂など)の位置を検知可能な位置センサである。検知部62aは、例えば係合部が施錠位置に位置するか否かに応じた情報を取得する。検知部62aの検知結果により、扉14が施解錠部21によって施錠中であるかを検知する。例えば、検知部62a(位置センサ)には、測距センサ(赤外線投光式センサ)などの光学式センサ、磁気センサまたはタクトスイッチなど、施錠状態を検知可能な任意のセンサを用いることができる。
【0041】
扉ロック管理システム100は、例えば、トイレ個室TB内の異常を検知する異常検知部61を有する。異常検知部61は、例えば検知部61aと判定部61b(判定部31の一部)とにより構成される。この例では、検知部61aは、便器装置11の異常(詰まり等)を検知するように、便器装置11に対して設けられている。検知部61aは、通信部17及び通信部32を介して、判定部61bと通信可能に接続される。これにより、検知部61aの検知結果が判定部61bに送信される。判定部61bは、検知部61aの検知結果に基づいて、トイレ個室TBに異常が生じているか判断する。
【0042】
一例としては、検知部61aは、便器装置11の便鉢の内部の水位を検知する水位センサである。水位センサにより取得された便鉢の内部の水位が所定値以上だった場合、異常が発生したと判定する。この場合、例えば便器や排水管などの詰まりが発生した可能性がある。水位センサには、静電容量式やフロート式など、適宜の方式を用いることができる。
【0043】
表示装置40は、例えば表示部41と通信部42とを有する。表示装置40(表示部41)は、トイレ個室TBの外に設けられ、トイレ個室TBが使用中であるかを表示する。表示部41には、例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどの表示装置を用いることができる。また、表示部41は、LED等の光源でもよく、例えば点灯や点滅によってトイレ個室TBの使用状況を表示してもよい。
【0044】
入力装置50は、入力部51と通信部52とを有する。入力部51は、トイレ個室TBの外に設けられる。入力装置50(入力部51)は、管理者等がトイレ個室TBの外部から、施錠された扉14を解錠するための情報を入力する装置である。管理者が入力部51に所定の情報を入力すると、通信部52及び通信部23を介して、施解錠装置20の制御部22に信号が送信される。制御部22は、その信号に応じて、施解錠部21を制御して扉14を解錠する。ただし、使用者がトイレ個室TBを使用中の場合には、制御部22は、扉14を解錠しない。
【0045】
入力部51は、例えばテンキーなどの入力スイッチである。または、入力部51は、管理者が携帯するカードキーなどの端末の情報を読み取る通信装置でもよい。管理者は、カードキーをかざす等して、端末の情報を入力部51に読み取らせる(入力する)ことで、扉14を解錠することができる。
【0046】
なお、通信は、有線、無線またはそれらの組合せによる適宜の方式で行うことができる。例えば、通信は、インターネットやLAN(Local Area Network)を介した通信でもよい。通信部は、例えば有線又は無線通信に対応した通信モジュールである。
【0047】
図4~
図6を参照して、扉ロック管理システムの動作の一例について説明する。
図4は、実施形態に係る扉ロック管理システムの動作を説明するフローチャートである。
図4は、使用者がトイレ個室TBに入室してから扉14を施錠するまでの動作を表している。
使用者がトイレ個室TBに入室する(ステップS101)。使用者は、トイレ個室TBの内側から施解錠部21を操作して、扉14を施錠する。
【0048】
施解錠装置20に設置された検知部62aが、扉14が施錠されているか、を検知する(ステップS102)。通信部23は、検知部62aの検知結果を管理装置30に通知する(ステップS103)。判定部61bは、検知部62aの検知結果に基づいて、トイレ個室の使用状況を判定する。
【0049】
図5は、実施形態に係る扉ロック管理システムの動作を説明するフローチャートである。
図5は、トイレ個室TB内の異常が発生してから扉が施錠されるまでの動作を表している。
便器装置11に設置された検知部61aは、異常の検知に用いる情報を取得する(ステップS104)。通信部17は、検知部61aの検知結果を管理装置30に通知する。判定部61bは、検知部61aの検知結果に基づいて異常があるか否かを判定する。
【0050】
異常が発生している場合、管理装置30の通信部32は、施解錠装置20に扉14の施錠命令を送信する(ステップS105)。制御部22は、その施錠命令を受信し、施解錠部21を制御して扉14を施錠する(ステップS106)。なお、例えば判定部61bを便器装置11に設け、管理装置30を経由せず、便器装置11から施解錠装置20に直接、施錠命令を送信してもよい。
【0051】
このように、制御部22は、トイレ個室TB内の異常が異常検知部61によって検知されると、扉14を施錠するように施解錠部21を制御する。なお、異常が検知された場合、制御部22は、少なくともトイレ個室TB内に使用者がいないときに、扉14を施錠する。異常が検知された場合、制御部22は、トイレ個室TB内に使用者がいるときは扉14を施錠せず、使用者がトイレ個室TBから出た後に扉14を施錠してもよい。または、制御部22は、トイレ個室TB内に使用者がいるときに扉14を施錠してもよい。トイレ個室TBの内側からは、異常の検知結果に関わらず、使用者が任意のタイミングで扉14を施解錠することができる。
【0052】
また、必要に応じて扉14を電動で開閉する開閉装置を設けてもよい。異常が検知されたときに、扉14が開いた状態であった場合は、適宜、制御部22が開閉装置を制御し、扉14を閉じてから施錠してもよい。開閉装置は、任意の構成でよく、例えばモータ等を含む駆動部と、駆動部の駆動力を扉14に伝達するベルト等の伝達部と、を含む。
【0053】
図6は、実施形態に係る扉ロック管理システムの動作を説明するフローチャートである。
図6は、清掃等を行う管理者が、施錠された扉14を解錠するときの動作を表している。
例えば、使用者によるトイレ個室TBの内側からの操作によって、施解錠部21が扉14を施錠している。または、トイレ個室TB内において異常が検知され、制御部22による制御によって、施解錠部21が扉14を施錠している。
【0054】
管理者は、入力装置50の入力部51に所定の情報を入力する(ステップS107)。入力装置50の通信部52は、入力部51への入力に応じた信号を施解錠装置20に送信する(ステップS108)。このようにして、施錠中のトイレ個室TBの扉14を解錠する解錠命令が、入力装置50を経由して、制御部22に送信される。
【0055】
解錠命令を受信した施解錠装置20の通信部23は、管理装置30に解錠命令を送信する(ステップS109)。例えば、通信部23及び通信部32を介して、制御部22から、判定部31を含むコンピュータ装置へ解錠命令が送信される。なお、解錠命令は、入力部51への入力に応じて、入力装置50から、施解錠装置20を経由せずに直接、管理装置30に送信されてもよい。
【0056】
管理装置30は、解錠命令を受信すると、解錠の可否を判定し、判定結果を施解錠装置20に送信する(ステップS110)。例えば、管理装置30から、通信部32及び通信部23を介して、制御部22に解錠可否の判定結果が送信される。
【0057】
具体的には、管理装置30(判定部31)は、使用状況検知部62の検知結果に基づいて、解錠可否を判定する。管理装置30(判定部31)は、使用状況検知部62がトイレ個室TB内に使用者が存在すると判定した場合は解錠不可と判定し、使用状況検知部62がトイレ個室TB内に使用者が存在しないと判定した場合は解錠可と判定する。
【0058】
施解錠装置20において、管理装置30から送信された解錠可否の判定結果が解錠可であった場合(ステップS111:YES)、制御部22は、施解錠部21を制御して扉14を解錠する(ステップS112)。一方、管理装置30から送信された解錠可否の判定結果が解錠不可であった場合(ステップS111:NO)、制御部22は、施解錠部21を制御して扉14を解錠しない(ステップS113)。
【0059】
このように、制御部22は、トイレ個室TBが使用中であることを使用状況検知部62が検知しないときには、トイレ個室TBの外部からの所定の解錠操作によって扉14が解錠可能なように施解錠部21を制御する。
図6の例においては、外部からの解錠操作は、入力装置50に情報を入力する操作である。例えば、トイレ個室TBが使用中でないときに、入力装置50への入力操作が行われると、制御部22は、施解錠部21に解錠動作を実行させる信号を送信する。
【0060】
一方、制御部22は、トイレ個室TBが使用中であることを使用状況検知部62が検知しているときには、トイレ個室の外部からの解錠操作によって扉14を解錠しないように施解錠部21を制御する。つまり、例えば、制御部22は、トイレ個室TBが使用中のときにトイレ個室の外部からの解錠操作があっても、施解錠部21に扉14を解錠させない制御を行う(例えば施解錠部21に扉14を解錠させる制御を実行しない)。すなわち、
図6の例においては、トイレ個室TBが使用中に入力装置50への入力操作が行われても、制御部22は、施解錠部21に解錠動作を実行させる信号を送信しない。実施形態によれば、トイレ個室TBが使用中であるときに管理者がトイレ個室の扉を解錠してしまうことが抑制できる。
【0061】
上記の例では、入力装置50が入力を受けることにより解錠命令が送信されたが、異常が検知されていないトイレ個室TBに設置された入力装置50を、入力を受け付けないように制御しもよい。例えば、異常検知部61が異常を検知していないことを示す信号が、管理装置30または便器装置11から入力装置50に送られる。その信号に応じて、入力装置50は、入力を受け付けないモードに移行してもよい。または、入力装置50の電源が切られてもよい。このように、入力装置50が入力を受け付けないことで、使用中のトイレ個室TBの解錠を抑制することができる。
【0062】
なお、外部からの解錠操作は、入力装置50への入力操作に限らない。例えば、外部からの解錠操作は、管理者が携帯する管理者端末(例えばスマートフォンやタブレット端末など)や管理装置30から、制御部22へ解錠命令を送信することでもよい。例えば、トイレ個室TBが使用中でないときに、管理者端末や管理装置30からの解錠命令を受信すると、制御部22は、施解錠部21に解錠動作を実行させる信号を送信する。一方、制御部22は、例えばトイレ個室TBの使用中に、管理者端末や管理装置30からの解錠命令を受信しても、施解錠部21に解錠動作を実行させる信号を送信しない。
【0063】
または、外部からの解錠操作は、シリンダー錠のように管理者が外部から手動で施解錠装置20に力を加える操作であってもよい。すなわち、外部からの解錠操作は、管理者が手動で施解錠部21の係合部(閂など)を動かそうとする操作であってもよい。例えば、トイレ個室TBが使用中でないときには、制御部22は、位置制御機構によって係合部の係合解除位置への移動を制限しない。これにより、管理者は手動で施解錠部21を動かして扉14を解錠することができる。一方、例えば、トイレ個室TBが使用中には、制御部22は、位置制御機構によって係合部の係合解除位置への移動を制限する。これにより、管理者によって手動で施解錠部21が動かず、扉14は解錠しない。
【0064】
なお、例えば緊急時に備えて、上記の所定の解錠操作とは別に、トイレ個室TBが使用中であっても外部から管理者が扉14を解錠することができる操作(例えば管理装置30などから施解錠装置20への強制解錠命令の送信など)を設定してもよい。
【0065】
上記の例では、使用状況検知部62は、使用者がトイレ個室TBの内側から扉14を施錠したことを検知した場合に、トイレ個室TBが使用中であると判定する。このように、実施形態によれば、トイレ個室TBの内側からの施錠に基づいてトイレ個室TBが使用中であることを判断することができる。これにより、使用中のトイレ個室TBの扉を誤って解錠することをより抑制することができる。
【0066】
具体的には、例えば、判定部62bは、検知部62aから扉14が施錠中であるかの検知結果を取得する。また、判定部62bは、例えば
図5に関して説明したように、異常が検知されて、通信部23を介して制御部22へ施錠命令が送信されたかの情報を取得する。判定部62bは、通信部23を介して制御部22へ施錠命令が送信されて、扉14が施錠中の場合は、異常が発生して自動施錠が行われたと考えられるため、トイレ個室TBは使用中でないと判定する。一方、判定部62bは、通信部23を介して制御部22へ施錠命令が送信されずに、扉14が施錠中の場合は、使用者が内側から施錠したと考えられるため、トイレ個室TBが使用中であると判定する。
【0067】
なお、使用状況検知部62及びトイレ個室TBが使用中であるか否かを判定する方法は上記に限らない。使用状況検知部62の別の例について、
図7及び
図8を参照して説明する。
【0068】
図7は、実施形態に係る別の扉ロック管理システムを例示する模式的ブロック図である。
図7においては、使用状況検知部62の検知部62aは、施解錠装置20ではなく、便器装置11に設けられている。具体的には、検知部62aには、便器装置11に設けられた着座センサを用いることができる。検知部62aの検知結果は、通信部17及び通信部32を介して、判定部62bへ送信される。判定部62bは、検知部62aの検知結果に基づいて、トイレ個室TBの使用状況を判定する。例えば、判定部62bは、便器装置11への着座が検知されているときは、便器装置11が使用中であり、トイレ個室TBが使用中であると判定する。一方、判定部62bは、例えば、便器装置11への着座が検知されていないときは、便器装置11が使用中でなく、トイレ個室TBが使用中でないと判定する。
【0069】
このように、使用状況検知部62は、便器装置11が使用されていることを検知した場合に、トイレ個室TBが使用中であると判断してもよい。実施形態によれば、便器装置11の使用状況に基づいてトイレ個室TBが使用中であることを判断できる。これにより、簡易な構成により、使用中のトイレ個室TBの扉14を誤って解錠することをより抑制することができる。
【0070】
検知部62aには、着座センサに限らず、便器装置11に設けられた人体検知センサを用いてもよい。判定部62bは、人体検知センサによりトイレ個室TB内の使用者が検知された場合は、トイレ個室TBが使用中であると判定する。判定部62bは、人体検知センサによりトイレ個室TB内の使用者が検知されない場合は、トイレ個室TBが使用中でないと判定する。
【0071】
図8は、実施形態に係る別の扉ロック管理システムを例示する模式的ブロック図である。
図8においては、使用状況検知部62の検知部62aは、施解錠装置20及び便器装置11とは別の装置(検知装置60)として設けられている。検知部62aは、検知装置60に含まれる人体検知センサである。検知部62aは、判定部62bと通信可能に構成されている。検知装置60は、検知部62aがトイレ個室TB内の使用者を検知可能な任意の位置でよい。検知部62aは、その機能を満足し得る任意の位置に配置可能である。例えば、検知部62a(人体検知センサ)は、
図8に破線で示したように施解錠装置20に組み込まれてもよい。
【0072】
このように、使用状況検知部62は、トイレ個室TB内の人を検知した場合に、トイレ個室TBが使用中であると判断してもよい。実施形態によれば、トイレ個室TB内の人の存在の有無に基づいてトイレ個室TBが使用中であることを判断できる。これにより、簡易な構成により、使用中のトイレ個室TBの扉14を誤って解錠することをより抑制することができる。
【0073】
上記の例では、トイレ個室TB内の異常は、便器装置11の詰まりであり、異常を検知する検知部61aは、便器装置11に設けられた水位センサであった。ただし、異常は、便器装置11の詰まりに限らない。異常検知部61及び異常が発生しているか否かを判定する方法は、上記に限らない。
【0074】
例えば、検知部61aとして、便器装置11のタンク内に水位センサを設けてもよい。水位センサが取得する水位が所定値以上だった場合、詰まりや動作の不具合等の異常が発生したと判定してもよい。
例えば、検知部61aとして、便座装置や温水器に温度センサを設けてもよい。例えば、温度センサにより取得された温度が所定値以上であったり、予め想定される変化と異なったりした場合、設備機器に異常が発生したと判定する。
例えば、リモコン12などの入力装置や、便器装置11の人体検知センサや着座センサが、検知部61aとして機能してもよい。例えば、リモコン12への入力が所定の条件を満たした場合(例えば所定のボタンが所定回数以上連続で操作された場合)、リモコン12または便器装置11に異常が発生したと判定する。例えば、人体検知センサや着座センサが使用者を検知していない状態において、局部洗浄機能の実行を指示する入力などの所定の入力がリモコンにあった場合、人体検知センサ、着座センサ、リモコン12または便器装置11に不具合が発生したと判定する。
例えば、検知部61aとして、紙巻き器のトイレットペーパーの位置や重さ等を検知するセンサを設けてもよい。センサの検知結果からトイレットペーパーの残量を検知し、トイレットペーパーの残量が所定値以下となった場合に、異常が発生したと判定してもよい。
【0075】
異常の検知の対象は、トイレ個室TBに設けられる設備であればよい。例えば、異常の検知の対象は、便器装置11に接続された給水管や排水管、トイレ個室TB内の照明、換気扇、床、トイレ個室TB内に設けられた水栓装置、温水器、ハンドドライヤ、その他、トイレ個室TB内の各設備やセンサ類であってもよい。
【0076】
実施形態は上記に限らず、異常は、トイレ個室TB内の状態に関するもの(例えば故障)でよい。検知部61aは、例えば、撮像装置、光学センサ、測距センサ、マイクロフォン、重量計、電流センサ、電圧センサなど、各種の情報取得手段を適宜用いてもよい。検知部61aは、その機能を満足し得る任意の位置に配置可能である。例えば、検知部61aが検知部62aを兼ねてもよい。検知部61aと検知部62aとが設けられた構成とは、検知部61aが検知部62aを兼ねる構成を含んでもよい。
【0077】
表示装置40は、トイレ個室TBが使用中であると使用状況検知部62が判断した場合に、そのトイレ個室TBが使用中であることを表示する。表示装置40によってトイレ個室TBが使用中であることが表示されるため、管理者(例えば清掃者)が解錠しようとする行為自体を抑制することができる。これにより、トイレ個室TBを使用中の使用者が、扉14が解錠されてしまうのではないかと不安になることを抑制することができる。
【0078】
入力装置50は、管理者が携帯可能な端末装置70が接近したときに、端末装置70と通信可能となる通信装置でもよい。例えば、端末装置70と入力装置50とは、13.56MHzなどの周波数で近距離無線通信規格(NFC:Near Field Communication)に沿った通信を行う。端末装置70は、NFCに対応したICチップを含んでもよい。具体的には、端末装置70には、ICカード(管理者識別機構)などのカードキーやスマートフォンなどの携帯情報端末を用いることができる。通信には、RFID(radio frequency identifier)を利用してもよい。端末装置70(ICチップ)には、管理者の識別情報など所定の情報が書き込まれている。管理者が端末装置70を入力装置50に近づけることにより、入力装置50は、端末装置70に書き込まれている情報を読み出す。例えば、端末装置70が入力装置50から10cm以内程度の距離に近づいたときに、通信が可能となる。入力装置50と端末装置70との通信が行われると、
図6に関して説明したように、入力装置50から施解錠装置20へ解錠命令が送信される。
【0079】
施解錠装置20の制御部22は、扉14の施錠中に、トイレ個室が使用中であると使用状況検知部62が判断していないときに、端末装置70と入力装置50(通信装置)とが通信すると、扉14を解錠するように施解錠部21を制御する。このようにして管理者はタッチレスで扉を解錠することができる。
【0080】
一方、鍵穴に挿入されるキーなど、施解錠装置に直接接触して施解錠部を動かす物理的な鍵を用いる方法も考えられる。ただし、この場合、清掃者などの管理者が鍵を忘れてしまい、忘れた鍵を取りに戻るという時間的なロスが生じる恐れがある。また、例えば、管理者が鍵を紛失してしまい、鍵を再発行する必要が生じる恐れがある。このように清掃・管理業務全体の効率が低下する可能性がある。これに対して、この例では、施解錠装置20に直接接触する鍵を用いずに、扉14を解錠することができる。これにより、例えば鍵の管理コストを削減することができる。また、鍵忘れの際に鍵を取りに戻るなどの時間的なコストを削減することができる。
【0081】
なお、端末装置70との通信は、NFCの規格に沿った通信に限らない。例えば、入力装置をビーコン装置などの通信装置としてもよい。通信装置と端末装置70とは、Bluetooth(登録商標)の信号を用いて、BLE(Bluetooth Low Energy)の規格に沿った通信を行ってもよい。
【0082】
制御部22や管理装置(判定部)など、制御回路やコンピュータ装置で構成される機能ブロックは、機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示したように構成されていなくてもよい。適宜、複数の機能ブロックの一部又は全部を集約してもよい。各機能ブロックを、ネットワークを介して通信可能に接続される複数の要素に分散してもよい。各機能ブロックの一部を他のブロックに移してもよい。制御回路やコンピュータ装置の配置・構成は、例示したものに限らず、これらの機能を満足し得る任意の配置・構成でよい。実施形態の各構成要素は、機能的又は物理的に適宜、分散または統合されてもよい。例えば、1つのコンピュータ装置が判定部61bと判定部62bとを兼ねてもよい。
【0083】
上述の実施形態の中に示された処理は、ソフトウェアであるプログラムに基づいて実行されることが可能である。汎用の計算機システムが、このプログラムを予め記憶しておき、このプログラムを読み込むことにより、上述した実施形態による効果と同様な効果を得ることも可能である。すなわち、実施形態は、コンピュータに、扉ロック管理システム100の各動作を実行させる扉ロック管理プログラムであってもよい。扉ロック管理プログラムは、例えば、制御部22(施解錠装置20)にインストールされ、上述の制御部22の各動作を制御部22に実行させるプログラム部を含む。扉ロック管理プログラムは、例えば、管理装置30(判定部)にインストールされ、上述の管理装置30の各動作を管理装置30に実行させるプログラム部を含む。但し、実施形態に係る扉ロック管理システム100の動作の一部又は全部は、プログラムを必要としないハードウェアの動作に基づいて実行してもよい。
【0084】
実施形態に係るプログラムは、上述の方法をコンピュータに実行させるためのプログラムの形態(コンピュータに設けられた形態)に限ることなく、コンピュータに読み取り可能な記録媒体の形態であってもよい。記録媒体としては、例えば、CD-ROM(-R/-RW)、光磁気ディスク、HD(ハードディスク)、DVD-ROM(-R/-RW/-RAM)、FD(フレキシブルディスク)、フラッシュメモリ、これらに類する記録媒体、及び、その他各種ROM、RAM等を用いることができる。コンピュータまたは組み込みシステムが読み取り可能な記録媒体であれば、その記憶形式は何れの形態であってもよい。コンピュータは、この記録媒体からプログラムを読み込み、このプログラムに基づいてプログラムに記述されている指示をCPUで実行させれば、上述した実施形態と同様な動作を実現することができる。もちろん、コンピュータがプログラムを取得する場合または読み込む場合はネットワークを通じて取得または読み込んでもよい。
さらに、実施形態における記録媒体は、コンピュータあるいは組み込みシステムと独立した記録媒体に限らず、LANやインターネット等により伝達されたプログラムをダウンロードして記憶または一時記憶した記録媒体も含まれる。コンピュータは、プログラムを記憶する記憶装置(記憶媒体)を含んでもよい。また、記録媒体は1つに限らず、複数の記録媒体から実施形態における処理が実行される場合も、実施形態における記録媒体に含まれる。記録媒体の構成は何れの構成であってもよい。
【0085】
なお、実施形態におけるコンピュータまたは組み込みシステムは、記録媒体に記憶されたプログラムに基づき、実施形態における各処理を実行するためのものであって、パーソナルコンピュータ、マイクロコンピュータ等の1つからなる装置、あるいは、複数の装置がネットワーク接続されたシステム等の何れの構成であってもよい。
また、実施形態におけるコンピュータとは、パーソナルコンピュータに限らず、情報処理機器に含まれる演算処理装置、マイクロコンピュータ等も含み、プログラムによって実施形態における機能を実現することが可能な機器、装置を総称している。
【0086】
実施形態は、以下の構成を含んでもよい。
(構成1)
内部に便器装置が設置されたトイレ個室の扉を施錠及び解錠する施解錠部と、
前記施解錠部を制御する制御部と、
を含む施解錠装置を備え、
前記制御部は、
前記トイレ個室内の異常が異常検知部によって検知されると、前記扉を施錠するように前記施解錠部を制御し、
前記トイレ個室の使用状況を検知する使用状況検知部が、前記トイレ個室が使用中であることを検知しているときに、前記トイレ個室の外部からの解錠操作によって前記扉を解錠しないように前記施解錠部を制御することを特徴とする扉ロック管理システム。
(構成2)
前記使用状況検知部は、使用者が前記トイレ個室の内側から前記扉を施錠したことを検知した場合に、前記トイレ個室が使用中であると判断することを特徴とする構成1に記載の扉ロック管理システム。
(構成3)
前記使用状況検知部は、前記便器装置が使用されていることを検知した場合に、前記トイレ個室が使用中であると判断することを特徴とする構成1または2に記載の扉ロック管理システム。
(構成4)
前記使用状況検知部は、前記トイレ個室内の人を検知した場合に、前記トイレ個室が使用中であると判断することを特徴とする構成1~3のいずれか1つに記載の扉ロック管理システム。
(構成5)
前記トイレ個室外に設けられる表示装置をさらに備え、
前記表示装置は、前記トイレ個室が使用中であると前記使用状況検知部が判断した場合に、前記トイレ個室が使用中であることを表示することを特徴とする構成2~4のいずれか1つに記載の扉ロック管理システム。
(構成6)
管理者が携帯可能な端末装置が接近したときに前記端末装置と通信可能となる通信装置をさらに備え、
前記制御部は、前記トイレ個室が使用中であることを前記使用状況検知部が検知しないときに、前記端末装置と前記通信装置とが通信すると、前記扉を解錠するように前記施解錠部を制御することを特徴とする構成1~5のいずれか1つに記載の扉ロック管理システム。
(構成7)
前記便器装置と、
前記扉と、
前記異常検知部と、
前記使用状況検知部と、
をさらに備えたことを特徴とする構成1~6のいずれか1つに記載の扉ロック管理システム。
(構成8)
内部に便器装置が設置されたトイレ個室の扉を施錠及び解錠する施解錠部と、前記施解錠部を制御する制御部と、を含む施解錠装置の前記制御部に、
前記トイレ個室内の異常が異常検知部によって検知されると、前記扉を施錠するように前記施解錠部を制御し、
前記トイレ個室の使用状況を検知する使用状況検知部が前記トイレ個室が使用中であることを検知しているときに、前記トイレ個室の外部からの解錠操作によって前記扉を解錠しないように前記施解錠部を制御する動作を実行させることを特徴とする扉ロック管理プログラム。
【0087】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、各要素の形状、寸法、材質、配置、設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0088】
11:便器装置
12:リモコン
14:扉
15:洗面台
15a:水栓装置
15b:ボウル部
16:小便器装置
17:通信部
20:施解錠装置
21:施解錠部
22:制御部
23:通信部
30:管理装置
31:判定部
32:通信部
40:表示装置
41:表示部
42:通信部
50:入力装置
51:入力部
52:通信部
60:検知装置
61:異常検知部
61a:検知部
61b:判定部
62:使用状況検知部
62a:検知部
62b:判定部
70:端末装置
100:扉ロック管理システム
S101~S113:ステップ
TB:トイレ個室
TR:トイレ室