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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025014683
(43)【公開日】2025-01-30
(54)【発明の名称】穀物乾燥機
(51)【国際特許分類】
   F26B 9/06 20060101AFI20250123BHJP
   F26B 25/12 20060101ALI20250123BHJP
【FI】
F26B9/06 E
F26B25/12 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023117447
(22)【出願日】2023-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】000197344
【氏名又は名称】静岡製機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100088616
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 一平
(74)【代理人】
【識別番号】100154829
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 成
(74)【代理人】
【識別番号】100132403
【弁理士】
【氏名又は名称】永岡 儀雄
(72)【発明者】
【氏名】平野 哲也
【テーマコード(参考)】
3L113
【Fターム(参考)】
3L113AA07
3L113AB03
3L113AC04
3L113AC51
3L113AC67
3L113AC73
3L113AC75
3L113BA03
3L113CB03
3L113CB24
3L113DA07
(57)【要約】
【課題】乾燥部内部の掃除性に優れた穀物乾燥機を提供する。
【解決手段】乾燥機本体2の上部から順次に、貯留部3、乾燥部4、及び集穀部5を備え、乾燥部4内には、通風部材により仕切られた貯留部3と集穀部5とを連絡する流穀路が設けられるとともに、流穀路の各側に熱風路と排風路とが設けられ、流穀路と排風路を仕切る排風路通風部材22の少なくとも一部が取り外し自在に配設されるとともに、乾燥部4の両側面に配置された蓋体20のうち少なくとも一つが取り外し自在に配設されることで流穀路24を露出できるよう構成されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥機本体の上部から順次に、穀物を貯める貯留部、前記穀物を乾燥する乾燥部、及び乾燥した前記穀物を集める集穀部を備え、
前記乾燥部内には、通風部材により仕切られた前記貯留部と前記集穀部とを連絡する流穀路が設けられるとともに、前記流穀路の各側に熱風路と排風路とが設けられ、前記流穀路と前記排風路を仕切る排風路通風部材の少なくとも一部が取り外し自在に配設されるとともに、
前記乾燥部の両側面に配置された蓋体のうち少なくとも一つが取り外し自在に配設されることで前記排風路通風部材を露出できるよう構成された、穀物乾燥機。
【請求項2】
前記乾燥部は、乾燥部上部と乾燥部下部からなり、前記排風路通風部材が前記乾燥部上部に配置されている、請求項1に記載の穀物乾燥機。
【請求項3】
前記排風路通風部材を取り外した際にできる開口部の面積が0.15m以上である、請求項2に記載の穀物乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀物乾燥機に関する。更に詳しくは、乾燥部内部の掃除性に優れた穀物乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
穀物乾燥機には、籾や大豆等の穀物を乾燥するために、循環型や平型等の穀物(汎用)乾燥機がある。
【0003】
循環型の穀物乾燥機は、乾燥機本体内に、上部から順次に、穀物を貯める貯留部と、この穀物を乾燥する乾燥部と、この乾燥した穀物を繰出バルブ(ロータリバルブ)の回転により排出し下方の流穀樋に落下させて下部搬送機構により循環する循環機構部(例えば、集穀部)とを設けている。
【0004】
このような穀物乾燥機は、乾燥部内に通風部材により仕切られて貯留部と循環機構部とを連絡する流穀路を設け、この流穀路の各側に熱風路と排風路とを設け、穀物を上部の貯留部から乾燥部を経て循環機構部に導いた後に再び上部の貯留部に戻して循環させる間に、乾燥部の流穀路において穀物を熱風により乾燥するものである(例えば、特許文献1~4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-134115号公報
【特許文献2】特開2020-118445号公報
【特許文献3】特開2019-078410号公報
【特許文献4】特開2018-084370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1~3には、乾燥部に取外し可能な掃除口を設けた穀物乾燥機などが開示されている。また、特許文献4には、貯留部に点検口を設けた穀物乾燥機などが開示されている。このような従来の穀物乾燥機は、乾燥部の上部を掃除する場合には、乾燥部からの掃除が困難であり、乾燥部の上方に位置する貯留部内部からしか掃除ができず、掃除性が悪いという問題があった。特に、乾燥部の上部を掃除するためには、一度、穀物乾燥機の最上部(即ち、貯留部の上部)まで上がり、貯留部の内部を降り掃除するため、高所からの転落などの危険が伴うという問題もあった。
【0007】
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものである。本発明は、乾燥部内部の掃除性に優れた穀物乾燥機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、以下に示す穀物乾燥機が提供される。
【0009】
[1] 乾燥機本体の上部から順次に、穀物を貯める貯留部、前記穀物を乾燥する乾燥部、及び乾燥した前記穀物を集める集穀部を備え、
前記乾燥部内には、通風部材により仕切られた前記貯留部と前記集穀部とを連絡する流穀路が設けられるとともに、前記流穀路の各側に熱風路と排風路とが設けられ、前記流穀路と前記排風路を仕切る排風路通風部材の少なくとも一部が取り外し自在に配設されるとともに、
前記乾燥部の両側面に配置された蓋体のうち少なくとも一つが取り外し自在に配設されることで前記排風路通風部材を露出できるよう構成された、穀物乾燥機。
【0010】
[2] 前記乾燥部は、乾燥部上部と乾燥部下部からなり、前記排風路通風部材が前記乾燥部上部に配置されている、前記[1]に記載の穀物乾燥機。
【0011】
[3] 前記排風路通風部材を取り外した際にできる開口部の面積が0.15m以上である、前記[2]に記載の穀物乾燥機。
【発明の効果】
【0012】
本発明の穀物乾燥機は、乾燥部内部の掃除性に優れるという効果を奏する。すなわち、本発明の穀物乾燥機は、排風路通風部材の少なくとも一部が取り外し自在に配設されるとともに、乾燥部の両側面に配置された蓋体のうち少なくとも一つが取り外し自在に配設されている。このため、蓋体を取り外すことにより、排風路通風部材を露出させ、露出させた排風路通風部材を更に取り外すことで、乾燥部内部を掃除するための掃除口(開口部)を極めて簡便に確保することができる。
【0013】
また、本発明の穀物乾燥機は、上述したように、乾燥部の側面に配置された蓋体を、外側から取り外し可能な掃除口とすることができ、乾燥部の上部を掃除する際に、従来のように穀物乾燥機の最上部まで上がる必要がなく、危険が伴う高所への移動が不要となる。更に、乾燥部の側面に配置された蓋体を掃除口とすることで、大型の掃除口(開口部)を実現し易くなり、乾燥部内部の掃除性がより向上し、更に乾燥部内部の点検確認なども極めて容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の穀物乾燥機の一の実施形態を模式的に示す側面図である。
図2図1に示す穀物乾燥機を模式的に示す正面図である。
図3図1に示す穀物乾燥機の乾燥部の一部を拡大した拡大側面図であり、乾燥部の側面の一部を構成する蓋体を外した状態を示す図である。
図4図3の乾燥部の側面の蓋体を取り外した開口部から、排風路通風部材を更に取り外した状態を示す図である。
図5図1のA-A断面を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。即ち、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に属することが理解されるべきである。
【0016】
本発明の穀物乾燥機の一の実施形態は、図1及び図2に示すような穀物乾燥機100である。ここで、図1は、本発明の穀物乾燥機の一の実施形態を模式的に示す側面図である。図2は、図1に示す穀物乾燥機を模式的に示す正面図である。図3は、図1に示す穀物乾燥機の乾燥部の一部を拡大した拡大側面図であり、乾燥部の側面の一部を構成する蓋体を外した状態を示す図である。図4は、図3の乾燥部の側面の蓋体を取り外した開口部から、排風路通風部材を更に取り外した状態を示す図である。図5は、図1のA-A断面を模式的に示す図である。
【0017】
穀物乾燥機100は、乾燥機本体2の上部から順次に、貯留部3、乾燥部4、及び集穀部5を備えている。貯留部3は、穀物を貯める部位である。乾燥部4は、穀物を乾燥する部位である。集穀部5は、乾燥した穀物を繰出バルブの回転により排出し下方に落下させて集める部位である。集穀部5に集められた穀物は、乾燥機本体2の正面側となる長手方向一端側に上下方向に延びるように設けられた揚穀機11にて揚上されて、揚穀機11の上部に設けられた上部搬送機構12により貯留部3内に落下される。なお、揚穀機11は、乾燥機本体2の長手方向一端側に上下方向に延びるように設けられており、その上部に上部搬送機構12が設けられ、その下部に穀粒を揚穀機に搬送する下部搬送機構13が設けられている。下部搬送機構13は、集穀部5に集められた穀物を揚穀機に搬送するためのものである。図1の符号14は、貯留部3の上部に設けられた固定梯子である。
【0018】
乾燥部4は、この乾燥部4に送り込む熱風の熱源となるバーナや熱風発生炉などを有している。本実施形態の穀物乾燥機100においては、乾燥機本体2の正面側となる長手方向一端側に、乾燥部4内に熱風を送り込むバーナを含む熱風器9が取り付けられている。そして、本実施形態の穀物乾燥機100においては、乾燥機本体2の背面側となる長手方向他端側に、乾燥部4の穀粒乾燥後の空気を外部に排出する排風機室10が取り付けられている。
【0019】
穀物乾燥機100は、穀粒を揚穀機11で乾燥機本体2の上部に揚上し、揚穀機11の上部に設けられた上部搬送機構12により搬送して貯留部3内に落下させる。貯留部3内の穀粒は、乾燥部4において熱風器9が送り込む熱風により乾燥された後、集穀部5の下部に集められて下部搬送機構13で揚穀機11に搬送され、揚穀機11で再び貯留部3まで揚上されるという循環を繰り返す。
【0020】
乾燥部4内には、通風部材により仕切られた貯留部3と集穀部5とを連絡する流穀路24が設けられている。即ち、乾燥部4内の空間は、例えば、図5に示すように、通風部材により仕切られ、流穀路24、熱風路25及び排風路26が設けられている。以下、流穀路24と排風路26を仕切る通風部材を、排風路通風部材22という。また、流穀路24と熱風路25を仕切る通風部材を、熱風路通風部材27という。流穀路24は、排風路通風部材22及び熱風路通風部材27により仕切られており、貯留部3と集穀部5とを連絡するための流路となる。流穀路24の各側(即ち、流穀路24の幅方向外側のそれぞれ)には、熱風路通風部材27により仕切られた熱風路25、及び排風路通風部材22により仕切られた排風路26が設けられている。
【0021】
熱風路25は、乾燥機本体2の長手方向一端側にて熱風器9に接続されており、熱風器9により発生した熱風が熱風路25内に供給される。排風路26は、乾燥機本体2の長手方向他端側にて排風機室10に接続されており、熱風路25を流れる熱風を吸引して外部に排出する。
【0022】
穀物乾燥機100は、排風路通風部材22の少なくとも一部が取り外し自在に配設されている。即ち、排風路通風部材22は、乾燥機本体2の乾燥部4内において、排風路通風部材22を固定するための枠体に対して着脱可能に固定されている。排風路通風部材22の着脱機構については特に制限はないが、排風路通風部材22を固定するための枠体に対して、ボルト等の締結部材によって着脱可能に固定する方法を挙げることができる。
【0023】
更に、穀物乾燥機100は、乾燥部4の両側面に配置された蓋体20のうち少なくとも一つが取り外し自在に配設されている。そして、乾燥部4の蓋体20を取り外すことにより、乾燥部4内の排風路通風部材22を露出できるように構成されている。このため、乾燥部4の蓋体20を取り外すことにより、排風路通風部材22を露出させ、露出させた排風路通風部材22を更に取り外すことで、乾燥部4内部を掃除するための掃除口(開口部21)を極めて簡便に確保することができる。なお、図3において、点線で囲われた符号Pで示す範囲が、蓋体20が取り付けられていた範囲を示し、図3においては、排風路通風部材22の一部を取り外すことにより乾燥部4の側面に開口部21が現出した状態を示している。
【0024】
本実施形態の穀物乾燥機100は、乾燥部4の側面の蓋体20を、外側から取り外し可能な掃除口とすることができ、乾燥部4の上部を掃除する際に、従来のように穀物乾燥機の最上部まで作業者(即ち、清掃者)が上がる必要がなく、危険が伴う高所への移動が不要となる。例えば、本実施形態の穀物乾燥機100は、従来のように、作業者が乾燥機の最上部まで一度上がった後、乾燥機本体の内部を降りる必要がないため、高所からの転落などの危険が低減される。更に、乾燥部4の蓋体20を掃除口とすることで、大型の掃除口(開口部21)を実現し易くなり、乾燥部4内部の掃除性がより向上し、更に乾燥部4内部の点検確認なども極めて容易となる。
【0025】
乾燥部4の側面の蓋体20は、乾燥部4を構成する乾燥機本体2に対して着脱可能に固定されている。蓋体20の着脱機構については特に制限はないが、蓋体20を固定するための乾燥機本体2の乾燥部4の側面に対して、ボルト又は楔等の締結部材によって着脱可能に固定する方法を挙げることができる。
【0026】
蓋体20及び排風路通風部材22を取り外した際にできる開口部21の大きさについては特に制限はなく、乾燥部4内部の掃除性を考慮して適宜設定することができる。例えば、開口部21の最小サイズは人が通れる程度の大きさであることが好ましい。例えば、排風路通風部材22を取り外した際にできる開口部21の面積が0.15m以上(例えば、縦横)であることが好ましい。開口部21の縦横の長さは、一例として、0.3m×0.5m以上である。このように構成することによって、人が通れる大きさの開口部21を適切に確保でき、乾燥部4内部の隅まで十分な清掃が可能となる。
【0027】
また、乾燥部4は、乾燥部上部4aと乾燥部下部4bからなる上下2段構造のものであってもよい。例えば、大型の穀物乾燥機100については、「工場での製品(穀物乾燥機100)の作りやすさ」や「使用される現場での組立作業のしやすさ」といった理由から、乾燥部4を上部(例えば、乾燥部上部4a)と下部(例えば、乾燥部下部4b)に分けて生産することがある。上下2段構造の乾燥部4においては、これまでに説明したような少なくとも一部が取り外し自在に配設された排風路通風部材22が、乾燥部4の乾燥部上部4aに配置されていることが好ましい。そして、乾燥部上部4aの側面に配置された蓋体20のうち少なくとも一つを取り外し自在に配設して、乾燥部上部4aの側面に掃除口(開口部21)が形成されることがより好ましい。また、乾燥部上部4aに排風路通風部材22を設けることで、乾燥部上部4aにも通風が行われるため、より効率の良い穀物の乾燥を実現することができる。更に、乾燥部上部4aに排風路通風部材22を設けることで、乾燥終了後において、排風路通風部材22を取り外し易くなり、乾燥部4内部の掃除をより簡便に行うことができる。
【0028】
ここで、乾燥部4を乾燥部上部4aと乾燥部下部4bからなる上下2段構造とすることで、乾燥部上部4aでは、穀物案内部により流穀路の厚さ(穀物の層)を薄くする機能を付与することができる。一方で、乾燥部下部4bでは、穀物の層に風を当て乾燥を促進させる機能を付与することができる。
【0029】
なお、上下2段構造の乾燥部4において、少なくとも一部が取り外し自在に配設された排風路通風部材22が、乾燥部4の乾燥部下部4bに配置されていてもよい。そして、乾燥部下部4bの側面に配置された蓋体20のうち少なくとも一つを取り外し自在に配設して、乾燥部下部4bの側面に掃除口(開口部21)が形成されるものであってもよい。更に、乾燥部上部4aと乾燥部下部4bの双方において、上述した構成を採用することで、乾燥部上部4aと乾燥部下部4bの双方に掃除口(開口部21)が形成されるものであってもよい。このように構成することによって、乾燥部4内部の更に広範囲の掃除が可能となる。
【0030】
本発明の穀物乾燥機は、乾燥部の蓋体を取り外すことにより、排風路通風部材を露出させ、露出させた排風路通風部材を更に取り外すことで、乾燥部内部を掃除するための掃除口(開口部)とすることできるものである限りにおいて、これまでに説明した実施形態に限定されることはない。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明の穀物乾燥機は、穀物の乾燥に利用することができる。
【符号の説明】
【0032】
2:乾燥機本体
3:貯留部
4:乾燥部
5:集穀部
9:熱風器
10:排風機室
11:揚穀機
12:上部搬送機構
13:下部搬送機構
14:固定梯子
20:蓋体
21:開口部
22:排風路通風部材
24:流穀路
25:熱風路
26:排風路
27:熱風路通風部材
100:穀物乾燥機
P:蓋体が取り付けられていた範囲
図1
図2
図3
図4
図5