(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025014685
(43)【公開日】2025-01-30
(54)【発明の名称】画像照射装置
(51)【国際特許分類】
B60K 35/23 20240101AFI20250123BHJP
【FI】
B60K35/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023117450
(22)【出願日】2023-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100099999
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 隆
(72)【発明者】
【氏名】原 秀樹
【テーマコード(参考)】
3D344
【Fターム(参考)】
3D344AA12
3D344AA19
3D344AA27
3D344AB01
3D344AC25
3D344AC30
(57)【要約】
【課題】画像生成ユニットからの出射光を反射鏡を介して画像表示部へ照射するように構成された画像照射装置において、反射鏡の位置精度を、その位置決め部材の組付作業に手間が掛からないようにした上で高めることができる構成とする。
【解決手段】
第1ハウジング52に、その載置部52h、52jに載置された第2反射鏡40の第1および第2軸部44A、44Bを、上下方向に関して位置決めするための位置決め部材80が取り付けられた構成とする。その際、位置決め部材80を基体部82とレバー部84とを備えた板バネで構成した上で、その基体部82において第1ハウジング52に係止された状態で、そのレバー部84において第1および第2軸部44A、44Bを上方側から弾性的に押圧する構成とする。これによりネジ締め等を必要とせずに第1ハウジング52に対する組付作業を可能とする。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像表示部に表示用画像を映し出すように構成された画像照射装置において、
上記表示用画像を生成する画像生成ユニットと、上記画像生成ユニットからの出射光を上記画像表示部へ向けて反射させる反射鏡と、上記反射鏡を収容するハウジングとを備えており、
上記反射鏡は、上記ハウジングに対して、左右方向に延びる軸線回りに回動可能に支持されており、
上記反射鏡の側端部に、上記軸線方向に延びる軸部が形成されており、
上記ハウジングに、上記軸部を載置するための載置部が形成されており、
上記ハウジングに、上記軸部を上下方向に関して位置決めするための位置決め部材が取り付けられており、
上記位置決め部材は、基体部とレバー部とを備えた板バネで構成されており、
上記位置決め部材は、上記基体部において上記ハウジングに係止された状態で、上記レバー部において上記軸部を上方側から弾性的に押圧するように構成されている、ことを特徴とする画像照射装置。
【請求項2】
上記基体部は、水平方向に延びる水平面部と、上記水平面部の前端位置および後端位置から鉛直下方へ向けて延びる前後1対の鉛直面部とを備えており、
上記水平面部に、前後方向に延びる開口部が形成されており、
上記レバー部は、上記開口部の前端位置または後端位置から上記開口部内へ向けて下向き凸状に湾曲した状態で延びるように形成されている、ことを特徴とする請求項1記載の画像照射装置。
【請求項3】
上記水平面部における前後方向の中間位置に、下方へ向けて延びる第2レバー部が形成されており、
上記第2レバー部は、上記軸部の先端面に当接して上記軸部を上記軸線方向に弾性的に押圧するように構成されている、ことを特徴とする請求項2記載の画像照射装置。
【請求項4】
上記前後1対の鉛直面部の各々に、第2開口部が形成されており、
上記前後1対の鉛直面部の各々に、上記第2開口部の下端位置から上記第2開口部内へ向けて延びる係止片部が形成されており、
上記前後1対の係止片部は、鉛直方向上方に対して互いに離れる方向に傾斜して延びるように形成されており、
上記位置決め部材は、上記前後1対の係止片部において上記ハウジングに係止されている、ことを特徴とする請求項2または3記載の画像照射装置。
【請求項5】
上記ハウジングにおける上記載置部の前後両側部位に、上記前後1対の鉛直面部を挿通させるための挿通孔がそれぞれ形成されており、
上記ハウジングにおける上記前後1対の挿通孔の近傍部位に、上記前後1対の係止片部の上端縁を当接させることによって上記位置決め部材を係止する係止部がそれぞれ形成されている、ことを特徴とする請求項4記載の画像照射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、画像表示部に表示用画像を映し出すように構成された画像照射装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、車載用の画像照射装置として、車室内に配置された状態で、フロントウインドウ(すなわちウインドシールド)やその車室内側に配置された透光板等の画像表示部に表示用画像を映し出すように構成されたものが知られている。
【0003】
「特許文献1」には、このような画像照射装置として、表示用画像を生成する画像生成ユニットと、この画像生成ユニットからの出射光を画像表示部へ向けて反射させる反射鏡と、この反射鏡を収容するハウジングとを備えたものが記載されている。
【0004】
この「特許文献1」に記載された画像照射装置は、反射鏡がハウジングに対して、左右方向に延びる軸線回りに回動可能に支持された構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような画像照射装置において、画像表示部に表示用画像を正確に映し出すためには反射鏡の位置精度を高めることが必要となる。
【0007】
そのためには、反射鏡の側端部に上記軸線方向に延びる軸部が形成されるとともに、ハウジングに上記軸部を載置するための載置部が形成された構成とした上で、反射鏡の軸部を上下方向に関して位置決めするための位置決め部材がハウジングに取り付けられた構成とすることが必要となる。その際、この位置決め部材の構成としてネジ締め等によりハウジングに固定されたものとした場合には、その組付作業に手間が掛かってしまう。
【0008】
このような課題は、車載用以外の画像照射装置においても同様に生じ得る課題である。
【0009】
本願発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、画像生成ユニットからの出射光を反射鏡を介して画像表示部へ照射するように構成された画像照射装置において、反射鏡の位置精度を、その位置決め部材の組付作業に手間が掛からないようにした上で高めることができる画像照射装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明は、位置決め部材の構成に工夫を施すことにより、上記目的達成を図るようにしたものである。
【0011】
すなわち、本願発明に係る画像照射装置は、
画像表示部に表示用画像を映し出すように構成された画像照射装置において、
上記表示用画像を生成する画像生成ユニットと、上記画像生成ユニットからの出射光を上記画像表示部へ向けて反射させる反射鏡と、上記反射鏡を収容するハウジングとを備えており、
上記反射鏡は、上記ハウジングに対して、左右方向に延びる軸線回りに回動可能に支持されており、
上記反射鏡の側端部に、上記軸線方向に延びる軸部が形成されており、
上記ハウジングに、上記軸部を載置するための載置部が形成されており、
上記ハウジングに、上記軸部を上下方向に関して位置決めするための位置決め部材が取り付けられており、
上記位置決め部材は、基体部とレバー部とを備えた板バネで構成されており、
上記位置決め部材は、上記基体部において上記ハウジングに係止された状態で、上記レバー部において上記軸部を上方側から弾性的に押圧するように構成されている、ことを特徴とするものである。
【0012】
上記「画像照射装置」は、画像表示部に表示用画像を映し出すように構成されたものであれば、その具体的な用途は特に限定されるものではなく、例えば車載用のヘッドアップディスプレイ等の用途が採用可能である。
【0013】
上記「左右方向」や上記「上下方向」等の方向性を示す用語は、上記軸線が延びる方向を「左右方向」として設定した状態で画像照射装置を配置した場合における装置単体としての方向性を便宜的に示すためのものであって、画像照射装置が実際に用いられる際の方向性(例えば車両に搭載された状態での方向性)とは無関係である。
【0014】
上記「画像表示部」は、表示用画像を映し出すように構成されていれば、その具体的な構成は特に限定されるものではなく、例えば車両のフロントウインドウやその車室内側に配置された透光板等が採用可能である。
【0015】
上記「反射鏡」は、画像生成ユニットからの出射光を画像表示部へ向けて反射させるように構成されていれば、その具体的な反射面形状等は特に限定されるものではない。
【0016】
上記「位置決め部材」は、基体部とレバー部とを備えた板バネで構成されており、その基体部においてハウジングに係止された状態で、そのレバー部において反射鏡の軸部を上方側から弾性的に押圧するように構成されていれば、その具体的な構成については特に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0017】
本願発明に係る画像照射装置は、画像生成ユニットからの出射光を画像表示部へ向けて反射させるための反射鏡が、これを収容するハウジングに対して、左右方向に延びる軸線回りに回動可能に支持された構成となっているが、この反射鏡の側端部には上記軸線方向に延びる軸部が形成されており、また、ハウジングには上記軸部を載置するための載置部が形成されており、さらに、ハウジングには上記軸部を上下方向に関して位置決めするための位置決め部材が取り付けられているので、反射鏡の位置精度を高めることができ、これにより画像表示部に表示用画像を正確に映し出すことができる。
【0018】
その際、上記位置決め部材は、基体部とレバー部とを備えた板バネで構成されており、かつ、その基体部においてハウジングに係止された状態で、そのレバー部において上記軸部を上方側から弾性的に押圧するように構成されているので、ネジ締め等の作業を必要とすることなくハウジングに対する組付作業を行うことができ、これにより組付作業に手間が掛からないようにすることができる。
【0019】
このように本願発明によれば、画像生成ユニットからの出射光を反射鏡を介して画像表示部へ照射するように構成された画像照射装置において、反射鏡の位置精度を、その位置決め部材の組付作業に手間が掛からないようにした上で高めることができる。
【0020】
上記構成において、さらに、位置決め部材の基体部として、水平方向に延びる水平面部と、その前端位置および後端位置から鉛直下方へ向けて延びる前後1対の鉛直面部とを備えた構成とした上で、その水平面部に前後方向に延びる開口部が形成された構成とし、かつ、位置決め部材のレバー部として、開口部の前端位置または後端位置から開口部内へ向けて下向き凸状に湾曲した状態で延びるように形成された構成とすれば、上記軸部を上方側から弾性的に押圧することが容易に可能となる。そしてこれにより、反射鏡の軸部をハウジングに対して精度良く位置決めすることが容易に可能となる。
【0021】
なお、上記「水平方向」や上記「鉛直下方」等の方向性を示す用語は、上述したように上記軸線が延びる方向を「左右方向」として設定した状態で画像照射装置を配置した場合における方向性を便宜的に示すためのものであって、画像照射装置が実際に用いられる際の方向性とは無関係であり、例えば画像照射装置が車両等に搭載された状態において上記「水平面部」は上記「水平方向」に延びるように配置されていてもよいし水平方向に対して傾斜した方向に延びるように配置されていてもよい。
【0022】
このような構成を採用した場合において、さらに、水平面部における前後方向の中間位置に、下方へ向けて延びる第2レバー部が形成された構成とした上で、この第2レバー部が反射鏡の軸部の先端面に当接してこれを上記軸線方向に弾性的に押圧するように構成されたものとすれば、反射鏡の軸部をハウジングに対して上下方向のみならず上記軸線方向に関しても位置決めすることが容易に可能となる。
【0023】
また、位置決め部材の基体部として、前後1対の鉛直面部の各々に第2開口部が形成されるとともに、その下端位置から第2開口部内へ向けて延びる係止片部が形成された構成とし、かつ、前後1対の係止片部が鉛直方向上方に対して互いに離れる方向に傾斜して延びるように形成された構成とし、さらに、これら係止片部においてハウジングに係止された構成とすれば、反射鏡の位置精度をより一層高めることができる。
【0024】
その際、ハウジングにおける載置部の前後両側部位に、前後1対の鉛直面部を挿通させるための挿通孔がそれぞれ形成された構成とした上で、ハウジングにおける前後1対の挿通孔の近傍部位に、前後1対の係止片部の上端縁を当接させることによって位置決め部材を係止する係止部がそれぞれ形成された構成とすれば、ハウジングに対する位置決め部材の係止が確実に行われるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本願発明の一実施形態に係る画像照射装置を車両に搭載された状態で示す側断面図
【
図4】上記画像照射装置を、第2ハウジングを外した状態で示す平面図
【
図9】上記画像照射装置の位置決め部材を単品で示す斜視図
【
図10】上記実施形態の変形例を示す、
図5と同様の図
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を用いて、本願発明の実施の形態について説明する。
【0027】
図1は、本願発明の一実施形態に係る画像照射装置10を車両100に搭載された状態で示す側断面図である。また、
図2は、
図1のII方向矢視図である。
【0028】
図1、2において、Xで示す方向が画像照射装置10としての「前方」(車両としても「前方」)であり、Yで示す方向が「前方」と直交する「左方向」であり、Zで示す方向が「上方向」である。
図1、2以外の図においても同様である。
【0029】
図1、2に示すように、本実施形態に係る画像照射装置10は、車載用のヘッドアップディスプレイであって、車両100の車室内に配置された状態で、フロントウインドウ102の内表面に設定された画像表示部102Aに表示用画像PICを虚像として映し出すように構成されている。
【0030】
図1に示す光路Rは、画像照射装置10によって画像表示部102Aに映し出された表示用画像PICをドライバー2が視覚的に認知する際の光路である。
【0031】
画像表示部102Aは、フロントウインドウ102の下部領域でかつステアリングホイール104の前方領域に位置設定されており、横長矩形状の領域として設定されている。そしてこれにより、画像表示部102Aに映し出された表示用画像PICを車両100のドライバー2が視覚的に容易に認知し得るようになっている。
【0032】
なお、
図2においては、表示用画像PICの具体例として、左向きの矢印と共に車両速度(50Km/h)が表示された状態を示している。
【0033】
画像照射装置10は、ステアリングホイール104の前方でかつフロントウインドウ102の下方近傍に位置するように配置されている。
【0034】
図1に示すように、画像照射装置10は、表示用画像PICの元となる表示用画像を生成する画像生成ユニット20と、この画像生成ユニット20からの出射光をフロントウインドウ102の画像表示部102Aへ向けて順次反射させる第1および第2反射鏡30、40と、これらを収容するハウジング50と、このハウジング50に装着された透光カバー60とを備えた構成となっている。
【0035】
画像生成ユニット20ならびに第1および第2反射鏡30、40は、ハウジング50に支持されている(これについては後述する)。
【0036】
ハウジング50は、上方へ向けて開口するように形成された第1ハウジング52に対して第2ハウジング54が組み付けられた構成となっている。
【0037】
図3は、
図1のIII 部詳細図である。また、
図4は、画像照射装置10を、第2ハウジング54を外した状態で示す平面図であり、
図5は、
図4のV-V線断面図である。
【0038】
図3~5に示すように、第2ハウジング54は、外周フランジ部54bを有しており、この外周フランジ部54bを第1ハウジング52の上端開口部52aに当接させた状態で第1ハウジング52に組み付けられている。
【0039】
第1および第2ハウジング52、54は、いずれも不透明の樹脂成形品で構成されている。第2ハウジング54には、第2反射鏡40からの反射光を画像表示部102Aへ向けて透過させるための開口部54aが形成されている。
【0040】
透光カバー60は、無色透明の樹脂製パネルで構成されている。この透光カバー60は、下方側に湾曲した状態でかつ後方へ向けてやや上方側に傾斜した状態で、第2ハウジング54の開口部54aを覆うように配置されている。そして、この透光カバー60は、第2反射鏡40からの反射光が画像表示部102Aに入射するのを許容した上で、ハウジング50の内部空間12の防塵性を確保するようになっている。
【0041】
図4、5に示すように、第1および第2反射鏡30、40は、その反射面30a、40aが左右対称形状を有しており、その左右方向の中心位置に画像生成ユニット20が配置されている。
【0042】
画像生成ユニット20は、長方形の外形形状を有する液晶パネル22を備えており、この液晶パネル22がハウジング50の内部空間12に臨むように配置されている。具体的には、この画像生成ユニット20は、液晶パネル22の長手方向が左右方向(すなわち車幅方向)に延びるように配置された状態で、かつ、液晶パネル22を斜め上後方へ向けた状態で、第1ハウジング52の下壁部52bに支持されている。
【0043】
画像生成ユニット20は、液晶パネル22に対してその背面側からバックライト照射が行われることにより、液晶パネル22上に表示用画像(すなわち表示用画像PICの元となる画像)を生成するように構成されている。
【0044】
第1ハウジング52の下壁部52bには、画像生成ユニット20を装着するためのユニット装着部52dが形成されている。このユニット装着部52dには、液晶パネル22の外形形状よりもひと回り大きい長方形の開口部52eが形成されている。
【0045】
画像生成ユニット20は、液晶パネル22がユニット装着部52dの開口部52eに嵌め込まれるように配置された状態で、第1ハウジング52の下壁部52bにネジ締め等によって固定されている。
【0046】
第1反射鏡30は、画像生成ユニット20の斜め上後方に配置されており、画像生成ユニット20からの照射光を前方へ向けて反射させるように構成されている。
【0047】
第1反射鏡30は、その反射面30aの表面形状が鞍型曲面で構成された鞍型反射鏡として構成されている。この第1反射鏡30の反射面30aは、車両正面視において左右方向に延びる略長方形の外形形状を有している。具体的には、この反射面30aは、その水平断面形状が凸曲線で構成されるとともに、その鉛直断面形状が凹曲線で構成されている。
【0048】
第1反射鏡30は、その反射面30aの左右両側端部にフランジ部32が形成された構成となっており、これら左右1対のフランジ部32において第1ハウジング52に固定されている。
【0049】
具体的には、各フランジ部32は、反射面30aの側端部から鉛直面に沿って後方へ向けて延びるように形成された側壁部32Aと、この側壁部32Aの外側面から側方へ向けて延びるように形成された階段状部32Bとを備えている。そして、第1反射鏡30は、第1ハウジング52の下壁部52bに形成された左右1対の柱状突起部52fに対して、左右1対の階段状部32Bにおいてピン52gによって位置締めされた状態でネジ34によって締付固定されている。
【0050】
図3、4に示すように、第2反射鏡40は、第1反射鏡30の前方に配置されている。この第2反射鏡40は、第1反射鏡30で反射した画像生成ユニット20からの照射光を上方へ向けて反射させるように構成されている。
【0051】
第2反射鏡40は、凹面鏡であって、その反射面40aの表面形状が略球面状の凹曲面で構成されている。この第2反射鏡40の反射面40aは、車両正面視において左右方向に延びる長方形の外形形状を有している。この第2反射鏡40の反射面40aは、第1反射鏡30の反射面30aよりも大きいサイズで形成されており、かつ、第1反射鏡30の反射面30aよりも大きい縦横比(すなわちさらなる横長形状)で形成されている。
【0052】
このように第2反射鏡40の反射面40aは、ドライバー2に視認させたい画像の方向に大きく湾曲した状態で、第1反射鏡30の反射面30aよりも大きい縦横比で形成されているが、第1反射鏡30は鞍型反射鏡として構成されているので、その反射面30aからの反射光は上下方向の拡がりが小さく左右方向の拡がりが大きいものとなり、これにより第2反射鏡40の反射面40aに効率良く入射することとなる。
【0053】
第1ハウジング52の下壁部52bは、ユニット装着部52dが形成されている部分ならびに第1および第2反射鏡30、40の反射面30a、40aの下方に位置する部分に対して、その周辺に位置する部分が一段高い位置に形成されている。
【0054】
図3に示すように、第2ハウジング54には、第1反射鏡30における反射面30aの周辺領域を覆う遮光片部54cが形成されている。この遮光片部54cは、第2ハウジング54における開口部54aの後端縁から斜め下前方へ向けて板状に延びるように形成されている。
【0055】
画像照射装置10においては、フロントウインドウ102を介して車室内に入射した太陽光Sが透光カバー60を介してハウジング50の内部空間12に入射してしまうことがあるが、この太陽光Sが第1反射鏡30の反射面30aの周辺領域に到達してしまうのを遮光片部54cの遮光作用によって未然に防止するようになっている。
【0056】
そしてこれにより、第1反射鏡30の反射面30aを形成するための表面処理を行う際に、反射面30aの周辺領域に蒸着膜等が付着してしまうようなことがあっても、この周辺領域に到達した太陽光Sが蒸着膜等において反射して迷光となってしまうのを未然に防止するようになっている。
【0057】
図4、5に示すように、第2反射鏡40は、第1ハウジング52に対して、第2反射鏡40の前方近傍において左右方向に延びる軸線Ax回りに回動可能に支持されている。そしてこれにより、第2反射鏡40は、第1反射鏡30からの反射光をフロントウインドウ102の画像表示部102Aに正確に入射させるための角度調整を行い得る構成となっている。
【0058】
これを実現するため、第2反射鏡40における反射面40aの背面側の左右両側端部には鉛直面に沿って前方へ向けて延びる左右1対の鉛直フランジ部42が形成されている。そして、これら左右1対の鉛直フランジ部42には、軸線Ax上において左右両方向(すなわち反射面40aから離れる方向)へ向けて延びる第1および第2軸部44A、44Bが形成されている。
【0059】
第1および第2軸部44A、44Bは、いずれも円柱状に形成されている。その際、右側(装置正面視では左側)に位置する第2軸部44Bは、左側に位置する第1軸部44Aよりも小さい外径で形成されているが、その先端部は第1軸部44Aと同一の外径で形成されている。
【0060】
第2軸部44Bの先端面には、装置後方へ向けて延びるアーム部材46の基端部46aが固定されている。このアーム部材46の基端部46aは、第2軸部44Bと同軸で円柱状に延びるように形成されており、その外径は第2軸部44Bの先端部と同一の値に設定されている。
【0061】
アーム部材46の先端部46bは、第2反射鏡40を軸線Ax回りに回動させるためのアクチュエータ70の直動出力軸72に連結されている。
【0062】
アクチュエータ70は、第1ハウジング52の下方側においてその下壁部52bに固定されており、その直動出力軸72は上方へ向けてハウジング50の内部空間12まで延びるように形成されている。
【0063】
第1ハウジング52の下壁部52bには、軸線Axの真下に位置する部位に左右1対の載置部52h、52jが形成されている。第2反射鏡40は、その第1軸部44Aにおいて載置部52hに載置されるとともに、その第2軸部44Bに固定されたアーム部材46の基端部46aにおいて載置部52jに載置されている。
【0064】
左右1対の載置部52h、52jは、第1ハウジング52の周壁部52cの内面から軸線Ax方向に、第1軸部44Aおよびアーム部材46の基端部46aの外径と略同一の内径で半円筒面状に延びるように形成されており、その上端部は側面視において略V字形の斜面状に形成されている(
図6参照)。
【0065】
第1軸部44Aおよびアーム部材46の基端部46aは、左右1対の載置部52h、52jに載置された状態で、第1ハウジング52に取り付けられた左右1対の位置決め部材80によって、上下方向に関する位置決めがなされている。
【0066】
左右1対の位置決め部材80は、いずれも同一形状を有する板バネで構成されている。そこで、以下においては、右側の載置部52jに配置された位置決め部材80の具体的な構成について説明する。
【0067】
図6は、
図5のVI-VI線断面図である。また、
図7は、
図6のVII-VII線断面図であり、
図8は、
図6のVIII-VIII線断面図である。さらに、
図9は、位置決め部材80を単品で示す斜視図である。
【0068】
図6~9にも示すように、位置決め部材80は、基体部82とレバー部84とを備えた板バネで構成されている。そして、この位置決め部材80は、その基体部82において第1ハウジング52に係止された状態で、そのレバー部84においてアーム部材46の基端部46aを上方側から弾性的に押圧するように構成されている。
【0069】
基体部82は、水平方向に延びる水平面部82Aと、この水平面部82Aの前端位置および後端位置から鉛直下方へ向けて延びる前後1対の鉛直面部82Bとを備えている。
【0070】
水平面部82Aには、前後方向に延びる開口部82Aaが形成されている。この開口部82Aaは、平面視において前後方向に延びる略矩形状の開口形状を有している。
【0071】
レバー部84は、開口部82Aaの後端位置から開口部82Aa内へ向けて延びるように形成されている。このレバー部84は、平面視において前後方向に延びる矩形状の外形形状を有しており、かつ、開口部82Aa内へ向けて下向き凸状に湾曲した状態で延びるように形成されている。
【0072】
水平面部82Aには、その前後方向の中間位置における右側面部に、下方へ向けて延びる第2レバー部86が形成されている。この第2レバー部86は、水平面部82Aの右側縁部から右方向に突出した後、左方向に凹状に湾曲しており、これにより装置正面視において横向きの略M字状に形成されている。そして、この第2レバー部86は、
図7に示すように、アーム部材46の基端部46aの先端面46a1に当接し、これにより基端部46aを左方向に弾性的に押圧する(すなわち第2反射鏡40を軸線Ax方向に弾性的に押圧する)ように構成されている。
【0073】
前後1対の鉛直面部82Bには、その各々に縦長略矩形状の第2開口部82Baが形成されており、かつ、この第2開口部82Baの下端位置から第2開口部82Ba内へ向けて延びる縦長矩形状の係止片部88が形成されている。
【0074】
前後1対の係止片部88は、鉛直方向上方に対して互いに離れる方向に傾斜して延びるように形成されている。そして、位置決め部材80は、前後1対の係止片部88において第1ハウジング52に係止されている。その具体的な係止構造は以下のとおりである。
【0075】
すなわち、第1ハウジング52は、その下壁部52bにおける載置部52jの前後両側に位置する部位が、軸線Axよりも上方側において水平面に沿って延びる上段平面部52kとして構成されている。この上段平面部52kは、その上面が、載置部52jに載置されたアーム部材46の基端部46aの外周面上端位置と略同じ高さになるように形成されている。そして、この上段平面部52kにおける載置部52jの前後両側の部位には、前後1対の鉛直面部82Bを挿通させるための前後1対の挿通孔52mが形成されている。さらに、この上段平面部52kにおける前後1対の挿通孔52mの近傍部位の下面は、前後1対の係止片部88の上端縁を当接させることによって位置決め部材80を係止するための前後1対の係止部52nとして構成されている。
【0076】
第1ハウジング52には、前後1対の係止部52nの前後両側において上段平面部52kから下方へ向けて延びる前後1対の鉛直リブ52pが形成されている。これら前後1対の鉛直リブ52pは、載置部52jの右側において第1ハウジング52の周壁部52cと一体的に形成されている。第1ハウジング52は、このような前後1対の鉛直リブ52pが形成されることにより、その載置部52j周辺の剛性が十分に確保されるようになっている。
【0077】
図4、5に示すように、左側の載置部52hに載置された第1軸部44Aに対する位置決め構造も、右側の載置部52jに載置されたアーム部材46の基端部46aに対する位置決め構造と略同様の構成を有している。
【0078】
すなわち、第1ハウジング52は、その下壁部52bにおける載置部52hの前後両側に位置する部位が、軸線Axよりも上方側において水平面に沿って延びる上段平面部52kとして構成されており、その載置部52jの前後両側部位には前後1対の挿通孔52mが形成されている。
【0079】
そして、この左側の載置部52hにおいても、これに載置された第1軸部44Aが位置決め部材80によって第1ハウジング52に対して位置決めされているが、この位置決め部材80は、右側の載置部52jに配置された位置決め部材80を前後逆向きにした状態で配置されている。
【0080】
このように位置決め部材80が配置された構成とすることにより、その第2レバー部86を、載置部52hに載置された第1軸部44Aの先端面に当接させ、これにより第1軸部44Aを右方向に弾性的に押圧するようになっている。
【0081】
次に本実施形態の作用について説明する。
【0082】
本実施形態に係る画像照射装置10は、画像生成ユニット20からの出射光を画像表示部102Aへ向けて反射させるための第2反射鏡40が、これを収容するハウジング50の第1ハウジング52に対して、左右方向に延びる軸線Ax回りに回動可能に支持された構成となっているが、この第2反射鏡40の側端部には軸線Ax方向に延びる第1および第2軸部44A、44Bが形成されており、また、第1ハウジング52には第1および第2軸部44A、44B(正確には第1軸部44Aおよびアーム部材46の基端部46a)を載置するための載置部52h、52jが形成されており、さらに、第1ハウジング52には第1および第2軸部44A、44Bを上下方向に関して位置決めするための位置決め部材80が取り付けられているので、第2反射鏡40の位置精度を高めることができ、これにより画像表示部102Aに表示用画像PICを正確に映し出すことができる。
【0083】
その際、位置決め部材80は、基体部82とレバー部84とを備えた板バネで構成されており、かつ、その基体部82において第1ハウジング52に係止された状態で、そのレバー部84において第1および第2軸部44A、44Bを上方側から弾性的に押圧するように構成されているので、ネジ締め等の作業を必要とすることなく第1ハウジング52に対する組付作業を行うことができ、これにより組付作業に手間が掛からないようにすることができる。
【0084】
このように本実施形態によれば、画像生成ユニット20からの出射光を第1および第2反射鏡30、40を介して画像表示部102Aへ照射するように構成された画像照射装置10において、第2反射鏡40の位置精度を、その位置決め部材80の組付作業に手間が掛からないようにした上で高めることができる。
【0085】
その際、本実施形態の位置決め部材80は、その基体部82が水平方向に延びる水平面部82Aと前後1対の鉛直面部82Bとを備えており、その水平面部82Aには前後方向に延びる開口部82Aaが形成されており、またレバー部84は、この開口部82Aaの前端位置または後端位置から開口部82Aa内へ向けて下向き凸状に湾曲した状態で延びるように形成されているので、第1および第2軸部44A、44Bを上方側から弾性的に押圧することが容易に可能となる。そしてこれにより、第2反射鏡40の第1および第2軸部44A、44Bを第1ハウジング52に対して精度良く位置決めすることが容易に可能となる。
【0086】
さらに、本実施形態の位置決め部材80は、その水平面部82Aにおける前後方向の中間位置に、下方へ向けて延びる第2レバー部86が形成された構成となっており、この第2レバー部86が第2反射鏡40の第1および第2軸部44A、44Bの先端面に当接してこれらを軸線Ax方向に弾性的に押圧するように構成されているので、第2反射鏡40の第1および第2軸部44A、44Bを第1ハウジング52に対して上下方向のみならず軸線Ax方向に関しても位置決めすることが容易に可能となる。
【0087】
しかも、位置決め部材80の基体部82は、その前後1対の鉛直面部82Bの各々に第2開口部82Baが形成されるとともに、この第2開口部82Baの下端位置から第2開口部82Ba内へ向けて延びる係止片部88が形成された構成となっており、そして、これら前後1対の係止片部88は、鉛直方向上方に対して互いに離れる方向に傾斜して延びるように形成された状態で第1ハウジング52に係止されているので、第2反射鏡40の位置精度をより一層高めることができる。
【0088】
その際、第1ハウジング52における載置部52h、52jの前後両側部位には、前後1対の鉛直面部82Bを挿通させるための挿通孔52mがそれぞれ形成されており、かつ、第1ハウジング52における前後1対の挿通孔52mの近傍部位には、前後1対の係止片部88の上端縁を当接させることによって位置決め部材80を係止する係止部52nがそれぞれ形成されているので、第1ハウジング52に対する位置決め部材80の係止が確実に行われるようにすることができる。
【0089】
上記実施形態においては、第2反射鏡40の第2軸部44Bが、これに固定されたアーム部材46の基端部46aにおいて第1ハウジング52の載置部52jに載置されているものとして説明したが、第2軸部44B自体において第1ハウジング52の載置部52jに載置された構成とすることも可能である。
【0090】
上記実施形態においては、画像照射装置10が第1および第2反射鏡30、40を備えているものとして説明したが、単一の反射鏡(具体的には第2反射鏡40のみ)を備えた構成とすることも可能であり、このような構成を採用した場合においても、上記実施形態の場合と略同様の作用効果を得ることが可能である。
【0091】
上記実施形態においては、画像表示部102Aがフロントウインドウ102の内表面に設定されているものとして説明したが、フロントウインドウ102の車室内側に配置された透光板等で画像表示部を構成することも可能である。
【0092】
上記実施形態においては、画像照射装置10が車載用のヘッドアップディスプレイであるものとして説明したが、これ以外の用途で用いられるものとすることも可能である。
【0093】
次に、上記実施形態の変形例について説明する。
【0094】
図10は、本変形例に係る画像照射装置110を示す、
図5と同様の図である。
【0095】
図10に示すように、本変形例の基本的な構成は上記実施形態の場合と同様であるが、第1ハウジング52に対する第2反射鏡40の支持構造が上記実施形態の場合と一部異なっている。
【0096】
すなわち本変形例においては、第2反射鏡40の第1軸部44Aを上下方向に関して位置決めするための機能を、ハウジング150の第2ハウジング154が備えている点で上記実施形態の場合と異なっている。
【0097】
具体的には、第1ハウジング52の載置部52hに載置された第1軸部44Aに対して、第2ハウジング154の外周フランジ部154bに形成された下向きの位置決めリブ154dが当接することにより、第1軸部44Aを上下方向に関して位置決めするように構成されている。
【0098】
なお本変形例においても、第1ハウジング52の載置部52jに載置された第2軸部44B(正確にはアーム部材46の基端部46a)は、上記実施形態の場合と同様、第1ハウジング52に取り付けられた位置決め部材80によって上下方向に関する位置決めがなされている。
【0099】
本変形例の構成を採用した場合においても、上記実施形態の場合と略同様の作用効果を得ることができる。
【0100】
また、本変形例の構成を採用することにより、第2ハウジング154が第1ハウジング52に組み付けられる際、その位置決めリブ154dが第1軸部44Aに当接し、これにより第1軸部44Aの位置決めが行われるようにすることができる。
【0101】
一方、本変形例の構成を採用した場合には、上記実施形態のように位置決め部材80による弾性的な押圧力を利用して第1軸部44Aの位置決めを行う構成とした場合に比して、その位置決め精度が低下してしまうこととなる。しかしながら本変形例においても、第2反射鏡40を回動させるアーム部材46の基端部46aに対する位置決めに関しては、位置決め部材80によって精度良く行われる構成となっているので、第2反射鏡40の位置決め精度を実用上許容し得る範囲内に維持することが可能である。
【0102】
なお、上記実施形態およびその変形例において諸元として示した数値は一例にすぎず、これらを適宜異なる値に設定してもよいことはもちろんである。
【0103】
また、本願発明は、上記実施形態およびその変形例に記載された構成に限定されるものではなく、これ以外の種々の変更を加えた構成が採用可能である。
【符号の説明】
【0104】
2 ドライバー
10、110 画像照射装置
12 内部空間
20 画像生成ユニット
22 液晶パネル
30 第1反射鏡
30a、40a 反射面
32 フランジ部
32A 側壁部
32B 階段状部
34 ネジ
40 第2反射鏡
42 鉛直フランジ部
44A 第1軸部
44B 第2軸部
46 アーム部材
46a 基端部
46b 先端部
50、150 ハウジング
52 第1ハウジング
52a 上端開口部
52b 下壁部
52c 周壁部
52d ユニット装着部
52e 開口部
52f 柱状突起部
52g ピン
52h、52j 載置部
52k 上段平面部
52m 挿通孔
52n 係止部
52p 鉛直リブ
54、154 第2ハウジング
54a 開口部
54b、154b 外周フランジ部
54c 遮光片部
60 透光カバー
70 アクチュエータ
72 直動出力軸
80 位置決め部材
82 基体部
82A 水平面部
82Aa 開口部
82B 鉛直面部
82Ba 第2開口部
84 レバー部
86 第2レバー部
88 係止片部
100 車両
102 フロントウインドウ
102A 画像表示部
104 ステアリングホイール
154d 位置決めリブ
Ax 軸線
PIC 表示用画像
R 光路
S 太陽光