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2025-14700分割ガスケット、分割ガスケットの取付構造、及び、分割ガスケットの組付方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025014700
(43)【公開日】2025-01-30
(54)【発明の名称】分割ガスケット、分割ガスケットの取付構造、及び、分割ガスケットの組付方法
(51)【国際特許分類】
   F16J 15/12 20060101AFI20250123BHJP
【FI】
F16J15/12 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023117469
(22)【出願日】2023-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】000004385
【氏名又は名称】NOK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137589
【弁理士】
【氏名又は名称】右田 俊介
(74)【代理人】
【識別番号】100160864
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 政治
(74)【代理人】
【識別番号】100158698
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 基樹
(74)【代理人】
【識別番号】100217892
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 雄飛
(72)【発明者】
【氏名】小山 智幸
(72)【発明者】
【氏名】落合 健太
(72)【発明者】
【氏名】岩坂 宇善
(72)【発明者】
【氏名】小野 泰輝
(72)【発明者】
【氏名】丹治 功
【テーマコード(参考)】
3J040
【Fターム(参考)】
3J040AA12
3J040BA07
3J040EA07
3J040EA17
3J040EA43
3J040EA46
3J040FA01
3J040FA05
3J040HA01
3J040HA02
(57)【要約】
【課題】分割部同士の組み付けが容易な分割ガスケットを提供する。
【解決手段】分割ガスケット100は、第1分割部10と第2分割部20とを含む複数の分割部30を組み合わせて形成される分割ガスケット100であって、第1分割部10は本体部11と突出部12とを有し、第2分割部20は凹部21を有し、突出部12は突出部側括れ部13と先端部14とを有し、凹部21は、突出部側括れ部13が入り込む凹部側括れ部22と、凹部側括れ部22よりも奥側に配置されていて先端部14が入り込む奥部23と、を有し、先端部14は、凹部側括れ部22よりも幅広であり、突出部12が凹部21に嵌め込まれた状態で、第1分割部10と第2分割部20とが突出部12の突出方向において相対移動可能である。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1分割部と第2分割部とを含む複数の分割部を互いに同層の配置で組み合わせて形成されるシート状の分割ガスケットであって、
前記第1分割部は、本体部と、前記本体部から突出している突出部と、を有し、
前記第2分割部は、前記突出部が嵌め込まれる凹部を有し、
前記突出部は、突出部側括れ部と、前記突出部側括れ部の先端側に形成されている先端部と、を有し、
前記凹部は、前記突出部側括れ部が入り込む凹部側括れ部と、前記凹部側括れ部よりも当該凹部における奥側に配置されていて前記先端部が入り込む奥部と、を有し、
前記先端部は、前記凹部側括れ部よりも幅広であり、
前記突出部が前記凹部に嵌め込まれた状態で、前記第1分割部と前記第2分割部とが前記突出部の突出方向において相対移動可能である分割ガスケット。
【請求項2】
前記突出部は、前記突出部側括れ部よりも基端側に、前記凹部側括れ部よりも幅広の基端側幅広部を有する請求項1に記載の分割ガスケット。
【請求項3】
前記第2分割部における前記本体部側の縁と前記本体部との隙間が、前記突出部側括れ部と前記凹部側括れ部との隙間よりも大きい請求項2に記載の分割ガスケット。
【請求項4】
前記先端部と前記奥部の内周縁との隙間が、前記先端部の先端側に向けて拡大している請求項1から3のいずれか一項に記載の分割ガスケット。
【請求項5】
前記先端部と前記奥部の内周縁との隙間の最大寸法が、前記第2分割部における前記本体部側の縁と前記本体部との隙間よりも大きい請求項4に記載の分割ガスケット。
【請求項6】
前記先端部は、基端側に向けて幅広に形成されており、
前記第2分割部の前記奥部における前記凹部側括れ部側の端部に対して、前記先端部の基端側における両方の角がそれぞれ点接触可能である請求項1から3のいずれか一項に記載の分割ガスケット。
【請求項7】
前記第1分割部及び前記第2分割部の各々は、金属製の基材と、前記基材を覆っている弾性材料により形成されている被覆部と、を有する請求項6に記載の分割ガスケット。
【請求項8】
前記第2分割部は、
第2本体部と、
前記第2本体部からそれぞれ突出している一対の第2突出部と、
を有し、
前記一対の第2突出部の先端部同士の隙間が前記凹部側括れ部を形成しており、
前記一対の第2突出部の先端部よりも基端側の部分同士の隙間が前記奥部を形成しており、
前記一対の第2突出部の少なくとも一方の外縁において、前記奥部の形成箇所と対応する部位には、前記奥部に向けて窪んだ外縁凹部が形成されている請求項1から3のいずれか一項に記載の分割ガスケット。
【請求項9】
前記本体部は、前記突出部の突出方向に対して交差する方向に延在するビードを有し、
前記ビードが前記本体部の端から端まで横断している請求項1から3のいずれか一項に記載の分割ガスケット。
【請求項10】
前記ビードは、前記突出部の突出方向に対して直交する方向に直線状に延在している請求項9に記載の分割ガスケット。
【請求項11】
請求項1から3のいずれか一項に記載の分割ガスケットが第1部材と第2部材との間に介装されているとともに、前記第1部材と第2部材とが相互に固定されている分割ガスケットの取付構造であって、
前記第1分割部の前記突出部が前記第2分割部の前記凹部に嵌め込まれており、
前記先端部と前記奥部の内周縁との隙間、及び、前記突出部側括れ部と前記凹部側括れ部との隙間に、液状ガスケットが充填されている分割ガスケットの取付構造。
【請求項12】
請求項7に記載の分割ガスケットが第1部材と第2部材との間に介装されているとともに、前記第1部材と第2部材とが相互に固定されている分割ガスケットの取付構造であって、
前記第2分割部の前記奥部における前記凹部側括れ部側の端部の前記被覆部に対して、前記先端部の基端側における両方の前記角がそれぞれ食い込んでいる分割ガスケットの取付構造。
【請求項13】
請求項6に記載の分割ガスケットの前記第1分割部と前記第2分割部とを相互に組み付ける分割ガスケットの組付方法であって、
前記第1分割部を前記第2分割部に対して相対的に、前記突出部の突出方向に移動させることにより、前記先端部で前記凹部の開口を押し広げながら、前記先端部を前記奥部に嵌め込む工程と、
前記先端部を前記奥部に嵌め込んだ後、前記第1分割部を前記第2分割部に対して相対的に、前記突出部の突出方向に対する反対方向に移動させることにより、前記第2分割部の前記奥部における前記凹部側括れ部側の端部に対して、前記先端部の基端側における両方の角をそれぞれ点接触させる工程と、
を備える分割ガスケットの組付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分割ガスケット、分割ガスケットの取付構造、及び、分割ガスケットの組付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
部材間に介装されて流体の漏洩をシールするシート状のガスケットが知られている。そのようなガスケットは、一般的には、プレス打ち抜きによって、シート状の金属板から打ち抜くことによって得られる。
しかし、金属板を打ち抜いて環状のガスケットの全体を形成する場合、ガスケットの内周側に位置していた金属板が廃却材(抜きカス)となるなど、多くの廃却材が生じてしまい、材料の無駄が多い。
【0003】
このような事情に対し、特許文献1では、ガスケットを、複数の分割部を組み合わせることにより構成された分割構造にすることによって、廃却材の発生量を低減する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2011/083595号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、本願発明者等の検討によれば、特許文献1の技術では、分割部同士の組み付け作業の容易性に関し、なお改善の余地がある。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、分割部同士の組み付けが容易な分割ガスケット、分割ガスケットの取付構造、及び、分割ガスケットの組付方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、第1分割部と第2分割部とを含む複数の分割部を互いに同層の配置で組み合わせて形成されるシート状の分割ガスケットであって、
前記第1分割部は、本体部と、前記本体部から突出している突出部と、を有し、
前記第2分割部は、前記突出部が嵌め込まれる凹部を有し、
前記突出部は、突出部側括れ部と、前記突出部側括れ部の先端側に形成されている先端部と、を有し、
前記凹部は、前記突出部側括れ部が入り込む凹部側括れ部と、前記凹部側括れ部よりも当該凹部における奥側に配置されていて前記先端部が入り込む奥部と、を有し、
前記先端部は、前記凹部側括れ部よりも幅広であり、
前記突出部が前記凹部に嵌め込まれた状態で、前記第1分割部と前記第2分割部とが前記突出部の突出方向において相対移動可能である分割ガスケットが提供される。
【0008】
また、本発明によれば、本発明の分割ガスケットが第1部材と第2部材との間に介装されているとともに、前記第1部材と第2部材とが相互に固定されている分割ガスケットの取付構造であって、
前記第1分割部の前記突出部が前記第2分割部の前記凹部に嵌め込まれており、
前記先端部と前記奥部の内周縁との隙間、及び、前記突出部側括れ部と前記凹部側括れ部との隙間に、液状ガスケットが充填されている分割ガスケットの取付構造が提供される。
【0009】
また、本発明によれば、本発明の分割ガスケットであって、前記先端部は、基端側に向けて幅広に形成されており、前記第2分割部の前記奥部における前記凹部側括れ部側の端部に対して、前記先端部の基端側における両方の角がそれぞれ点接触可能であり、前記第1分割部及び前記第2分割部の各々は、金属製の基材と、前記基材を覆っている弾性材料により形成されている被覆部と、を有する分割ガスケットが第1部材と第2部材との間に介装されているとともに、前記第1部材と第2部材とが相互に固定されている分割ガスケットの取付構造であって、
前記第2分割部の前記奥部における前記凹部側括れ部側の端部の前記被覆部に対して、前記先端部の基端側における両方の前記角がそれぞれ食い込んでいる分割ガスケットの取付構造が提供される。
【0010】
また、本発明によれば、本発明の分割ガスケットであって、前記先端部は、基端側に向けて幅広に形成されており、前記第2分割部の前記奥部における前記凹部側括れ部側の端部に対して、前記先端部の基端側における両方の角がそれぞれ点接触可能である分割ガスケットの前記第1分割部と前記第2分割部とを相互に組み付ける分割ガスケットの組付方法であって、
前記第1分割部を前記第2分割部に対して相対的に、前記突出部の突出方向に移動させることにより、前記先端部で前記凹部の開口を押し広げながら、前記先端部を前記奥部に嵌め込む工程と、
前記先端部を前記奥部に嵌め込んだ後、前記第1分割部を前記第2分割部に対して相対的に、前記突出部の突出方向に対する反対方向に移動させることにより、前記第2分割部の前記奥部における前記凹部側括れ部側の端部に対して、前記先端部の基端側における両方の角をそれぞれ点接触させる工程と、
を備える分割ガスケットの組付方法が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、分割部同士の組み付けをより容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1実施形態に係る分割ガスケットの組み付け前の状態を示す平面図である。
図2図2(a)は図1のA部の拡大図であり、図2(b)は図1のB部の拡大図である。
図3】第1実施形態に係る分割ガスケットの組み付け後の状態を示す平面図である。
図4図3のA部の拡大図である。
図5】第1実施形態に係る分割ガスケットの組み付け後の隙間に液状ガスケットを塗布した状態を示す平面図である。
図6図5のA部の拡大図である。
図7】第1実施形態に係る分割ガスケットの平面図であり、内周側弾性体が形成された後の状態を示す。
図8図8(a)は第1実施形態に係る分割ガスケットの分割部の断面構造の一例を示す図であり、図8(b)は第1実施形態に係る分割ガスケットの分割部の断面構造の他の一例を示す図であり、それぞれ図7のA-A線に沿った断面を示す。
図9】第1実施形態に係る分割ガスケットの取付構造を示す模式的な断面図であり、図7のB-B線と対応する位置での構造を示す。
図10】第2実施形態に係る分割ガスケットの組み付け前の状態を示す模式的な平面図である。
図11図10のA部の拡大図である。
図12図12(a)から図12(d)は第2実施形態に係る分割ガスケットの組付方法の一連の工程を説明するための平面図である。
図13】第2実施形態において、第1分割部の突出部の先端部の角が第2分割部の奥部における凹部側括れ部側の端部の被覆部に対して食い込んだ状態を示す拡大平面図である。
図14】第1実施形態に係る分割ガスケットの取付構造を示す模式的な断面図であり、図11のA-A線と対応する位置での構造を示す。
図15】第3実施形態に係る分割ガスケットの組み付け後の状態を示す拡大平面図である。
図16】第3実施形態に係る分割ガスケットを組み付け後に部材間に配置した状態を示す模式的な断面図であり、図15のA-A線と対応する位置での構造を示す。
図17】第3実施形態に係る分割ガスケットの取付構造を説明するための平面図であり、分割ガスケットを抜粋して示す。
図18】第3実施形態に係る分割ガスケットの取付構造を示す模式的な断面図であり、図17のA-A線に沿った断面構造を示す。
図19図19(a)及び図19(b)は第3実施形態の変形例におけるビードの形状を説明するための模式的な断面図であり、このうち図19(a)はビードが圧縮される前の形状を示し、図19(b)はビードが圧縮された後の形状を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、適宜に説明を省略する。
【0014】
〔第1実施形態〕
先ず、図1から図9を用いて第1実施形態を説明する。
図1は、分割ガスケット100の第1分割部10及び第2分割部20をそれらの法線方向に視た形状を示しており、便宜的に、平面図と称している。図2から図7についても同様に、便宜的に平面図としている。ただし、分割ガスケット100の使用時や製造時において、重力方向(上下方向)と、分割ガスケット100の法線方向と、の関係は任意であり、一致しても一致しなくてもよい。
また、図6では、液状ガスケット40が存在する領域を分かりやすくするため、便宜的に、同領域にクロスハッチングを付している。
本明細書において、分割ガスケット100の各部同士の位置関係や、各部の形状の説明は、特に断りが無ければ、分割ガスケット100の面内方向での説明であるものとする。また、特に断りが無ければ、複数の分割部30(特に第1分割部10及び第2分割部20)を互いに同層に配置して相互に組み合わせた状態での説明であるものとする。
【0015】
本実施形態に係る分割ガスケット100は、第1分割部10と第2分割部20とを含む複数の分割部30を互いに同層の配置で組み合わせて形成されるシート状の分割ガスケット100であって、第1分割部10は、本体部11と、本体部11から突出している突出部12と、を有し、第2分割部20は、突出部12が嵌め込まれる凹部21を有し、突出部12は、突出部側括れ部13と、突出部側括れ部13の先端側に形成されている先端部14と、を有し、凹部21は、突出部側括れ部13が入り込む凹部側括れ部22と、凹部側括れ部22よりも凹部21における奥側に配置されていて先端部14が入り込む奥部23と、を有し、先端部14は、凹部側括れ部22よりも幅広であり、突出部12が凹部21に嵌め込まれた状態で、第1分割部10と第2分割部20とが突出部12の突出方向において相対移動可能である。
なお、凹部21は、第2分割部20における本体部11側の縁(本実施形態の場合、後述する縁辺20a)から、本体部11より遠ざかる向きに窪んでいる。
【0016】
ここで、分割ガスケット100を構成する複数の分割部30の各々は、平坦なシート状(薄板形状)であり、これら複数の分割部30を組み合わせて形成される分割ガスケット100も、同様に、平坦なシート状(薄板形状)である。
複数の分割部30を互いに同層の配置で組み合わせるとは、複数の分割部30が厚み方向において互いに重複するように配置して組み合わせることであり、好ましくは、複数の分割部30を互いに同一平面上に配置して組み合わせる。したがって、突出部12が凹部21に嵌め込まれた状態では、突出部12と、第2分割部20における凹部21の周囲の部分とが、厚み方向において互いに重複し、好ましくは、互いに同一平面上に配置される。
突出部12の突出方向とは、図4等に示す突出方向P1(本体部11から突出部12が突出している方向)、又は、その反対方向P2である。突出部12の突出方向は、分割ガスケット100の面方向(法線方向に対して直交する面内方向)に含まれる。
突出部12に関し、先端側とは、本体部11から遠ざかる側(突出方向P1側)であり、基端側とは、本体部11に近づく側(反対方向P2側)である。
凹部21に関し、奥側とは、凹部21の開口21aから遠ざかる側であり、本実施形態の場合、第1分割部10と第2分割部20との組み付けの際には、突出方向P1と一致する。
分割ガスケット100の面方向に含まれる方向であって、突出部12の突出方向に対して直交する方向を幅方向W(図4等参照)と称することとする。先端部14が凹部側括れ部22よりも幅広であるとは、幅方向における先端部14の寸法が、幅方向における凹部側括れ部22の寸法よりも大きいことを意味する。
【0017】
本実施形態によれば、分割ガスケット100は、複数の分割部30を組み合わせることにより構成された分割構造であるため、板材からの打抜き加工により分割部30を作製する際に、廃却材の発生量を低減する(材料の無駄を低減する)ことができる。
そして、突出部12の先端部14は凹部側括れ部22よりも幅広であるため、突出部12が凹部21に嵌め込まれた状態では、凹部21からの突出部12の離脱が規制された状態となる。よって、第1分割部10と第2分割部20とが良好に連結された構造の分割ガスケット100を実現することができる。
しかも、突出部12が凹部21に嵌め込まれた状態で、第1分割部10と第2分割部20とが突出部12の突出方向において相対移動可能であるため、突出方向において、突出部12と凹部21との嵌め合いに余裕(隙間)が存在することとなる。よって、第1分割部10と第2分割部20との組み付けを容易に行うことができる。
【0018】
なお、特許文献1では様々な形状の例が図面に列挙されているが、いずれの例においても、突出部が凹部に嵌め込まれた状態では、第1分割部と第2分割部とが突出部の突出方向において相対移動できない構造となっている。
【0019】
以下、本実施形態について、より詳細に説明する。
【0020】
分割ガスケット100は、部材間に介装されて、部材間からの流体の漏洩をシールするものである。分割ガスケット100の用途としては、自動車の他、建機や一般産業機械などが挙げられる。
【0021】
分割ガスケット100の平面形状は特に限定されないが、環状(円環状、四角環状などの矩形環状、その他の多角環状などが挙げられる。本実施形態の場合、図5等に示すように、分割ガスケット100の平面形状は矩形環状、特に角丸の正方形状の環状の形状となっている。
分割ガスケット100の複数の分割部30の厚み寸法は、互いに同一であることが好ましいが、複数の分割部30の中には、厚み寸法が他とは異なる分割部30が含まれていてもよい。
分割ガスケット100が備える分割部30の数は2以上であれば特に限定されないが、本実施形態の場合、2である。すなわち、本実施形態の場合、分割ガスケット100が備える分割部30は、第1分割部10と第2分割部20との2つのみである。
【0022】
図4に示すように、本実施形態の場合、第1分割部10の突出部12は、第2分割部20の凹部21の凹部側括れ部22よりも基端側に位置するとともに、凹部側括れ部22よりも幅広の基端側幅広部15を有する。
このため、基端側幅広部15が凹部側括れ部22に入り込まないようにできるため、第2分割部20における本体部11側の縁と本体部11(本体部11における第2分割部20側の縁)との間に隙間G1を確保できるようになっている。
この隙間G1に液体ガスケット等を充填することによって、第1分割部10と第2分割部20との境界部におけるシール性をより良好にすることができる。
隙間G1は1mm以上であることが好ましい。
【0023】
基端側幅広部15の形状は特に限定されないが、基端側幅広部15は、例えば、突出方向P1に向けて(徐々に又は段階的に)幅狭になっている。本実施形態の場合、基端側幅広部15は、突出方向P1に向けて徐々に幅狭になっている。より詳細には、基端側幅広部15は、例えば、等脚台形状に形成されている。
【0024】
第1分割部10が突出部側括れ部13及び基端側幅広部15を有し、第2分割部20が凹部側括れ部22を有することによって、突出部12を凹部21に嵌め込んで第1分割部10と第2分割部20とを相互に組み付けたときに、突出部12と凹部21とを互いに安定的に位置決めすることができる。
【0025】
なお、第1分割部10の本体部11において、第2分割部20と対向する縁(本体部11における第2分割部20側の縁)は、例えば、幅方向に直線状に延在する縁辺11cである。すなわち、縁辺11cは、突出部12の突出方向(突出方向P1又は反対方向P2)に対して直交する方向に直線状に延在している。
第1分割部10の突出部側括れ部13は、基端側幅広部15の先端側に連接されている。
第1分割部10の突出部側括れ部13の形状は、特に限定されないが、本実施形態の場合、突出部側括れ部13は一定幅寸法に形成されており、突出部12の突出方向に直線状に延在している。突出部側括れ部13の幅寸法は、例えば、基端側幅広部15の最小幅寸法と一致している。
【0026】
先端部14は、突出部側括れ部13の先端側に連接されている。
先端部14の基端部18は、例えば、反対方向P2に向けて(徐々に又は段階的に)幅狭になっている。本実施形態の場合、基端部18は、反対方向P2に向けて徐々に幅狭になっている。より詳細には、基端部18は、突出部側括れ部13を基準として、基端側幅広部15を鏡面対称にしたような形状となっており、等脚台形状に形成されている。基端部18の最小幅寸法は、突出部側括れ部13の幅寸法と一致している。
先端部14における最先端部の形状は、特に限定されないが、例えば、突出方向P1に向けて凸の円弧状に形成されている。
先端部14における最先端部と基端部18との間の部分の形状は、特に限定されないが、例えば、当該部分と基端部18との境界から、当該部分と先端部14の最先端部との境界までの範囲に亘って、略一定の幅寸法に形成されており、その幅寸法は、基端部18の幅寸法と同等となっている。
【0027】
凹部21において、突出部側括れ部13が嵌まり込む部分である凹部側括れ部22の形状は、特に限定されないが、例えば、突出部側括れ部13と対応する形状、すなわち突出部側括れ部13よりも少し幅広の形状となっており、突出部12の突出方向に直線状に延在している。
凹部21の奥部23は、凹部側括れ部22の奥側に連接されている。奥部23の形状は、特に限定されないが、例えば、略円形状となっている。なお、凹部21の幅寸法は、凹部側括れ部22の幅寸法よりも大きい。
【0028】
ここで、第2分割部20は、第2本体部25と、第2本体部25からそれぞれ突出している一対の第2突出部26と、を有し、一対の第2突出部26の先端部26a同士の隙間が凹部側括れ部22を形成しており、一対の第2突出部26の先端部26aよりも基端側の部分26b同士の隙間が奥部23を形成している。
より詳細には、奥部23は、例えば、第2本体部25と、一対の第2突出部26の先端部26aよりも基端側の部分26bと、により囲まれた領域である。
【0029】
本実施形態の場合、図4等に示すように、第1分割部10と第2分割部20とが相互に組み付けられた状態で、第2分割部20における本体部11側の縁と本体部11(本体部11における第2分割部20側の縁)との隙間G1が、突出部側括れ部13と凹部側括れ部22との隙間G2よりも大きい。
これにより、隙間G1への液体ガスケット等の充填量を十分に確保することができることから、第1分割部10と第2分割部20との境界部におけるシール性をより良好にすることができる。しかも、凹部側括れ部22に対する突出部側括れ部13のがたつきを抑制できる。
ここで、突出部側括れ部13の幅方向における両側の隙間G2の各々よりも、隙間G1が大きい。
好ましくは、突出部側括れ部13の幅方向における両側の隙間G2の合計値よりも、隙間G1が大きい。
本実施形態の場合、第2分割部20における本体部11側の縁は、突出部12の突出方向(突出方向P1又は反対方向P2)に対して直交する方向に直線状に延在する縁辺20aである。また、上記のように、本体部11における第2分割部20側の縁は、突出部12の突出方向(突出方向P1又は反対方向P2)に対して直交する方向に直線状に延在する縁辺11cである。本実施形態の場合、隙間G1は、縁辺20aと縁辺11cとの隙間である。
ただし、本発明は、この例に限らず、第2分割部20における本体部11側の縁は、突出部12の突出方向に対して直交とは異なる角度で交差していたり、直線状以外の形状で延在していたりしてもよい。同様に、本体部11における第2分割部20側の縁は、突出部12の突出方向に対して直交とは異なる角度で交差していたり、直線状以外の形状で延在していたりしてもよい。これらの場合、第2分割部20における本体部11側の縁と本体部11(本体部11における第2分割部20側の縁)との隙間G1の最小値が、突出部側括れ部13と凹部側括れ部22との隙間G2よりも大きいことが好ましい。
【0030】
本実施形態の場合、先端部14と奥部23の内周縁との隙間G3が、先端部14の先端側に向けて拡大している。
これにより、先端部14における先端側の部分と奥部23の内周縁との間に、十分な量の液体ガスケット等を充填することができることから、第1分割部10と第2分割部20との境界部におけるシール性をより良好にすることができる。
【0031】
本実施形態の場合、先端部14と奥部23の内周縁との隙間G3の最大寸法G3MAX(図4)が、第2分割部20における本体部11側の縁と本体部11との隙間G1よりも大きい。
このことによっても、先端部14における先端側の部分と奥部23の内周縁との間に、十分な量の液体ガスケット等を充填することができることから、第1分割部10と第2分割部20との境界部におけるシール性をより良好にすることができる。
最大寸法G3MAXは3mm以上であることが好ましい。
【0032】
ここで、本実施形態の場合、例えば、図1及び図3等に示すように、第1分割部10と第2分割部20とは、互いに同一の形状に形成されている。
例えば、第1分割部10及び第2分割部20の各々は、L字状の全体形状をなしている。
そして、第1分割部10は、その一端部に突出部12を、他端部に凹部21を、それぞれ有する。同様に、第2分割部20も、その一端部に突出部12を、他端部に凹部21を、それぞれ有する。
つまり、第1分割部10の一端部は、本体部11と、本体部11から突出している突出部12と、を有する。また、第1分割部10の他端部は、第2本体部25と、第2本体部25から突出している一対の第2突出部26と、を有する。同様に、第2分割部20の一端部は、本体部11と、本体部11から突出している突出部12と、を有し、第2分割部20の他端部は、第2本体部25と、第2本体部25から突出している一対の第2突出部26と、を有する。
そして、図3に示すように、第1分割部10の突出部12が第2分割部20の凹部21に嵌まるとともに、第2分割部20の突出部12が第1分割部10の凹部21に嵌まる状態となるように、第1分割部10と第2分割部20とが組み付けられる。
なお、本実施形態の場合、第1分割部10と第2分割部20とが組み付けられた状態において、第1分割部10の突出部12の突出方向と、第2分割部20の突出部12の突出方向とが、互いに一致している。このため、第1分割部10と第2分割部20とが組み付けられた状態での第1分割部10と第2分割部20との相対移動が一層容易となっている。
【0033】
図5及び図6に示すように、例えば、隙間G1、隙間G2及び隙間G3の全域に亘って、液状ガスケット40が充填されている。これにより、第1分割部10と第2分割部20との境界部におけるシール性を良好にすることができる。
なお、液状ガスケット40は、分割部30(第1分割部10、第2分割部20)の一方の面又は両方の面にも塗布されていてもよい。
液状ガスケット40としては、例えば、シリコーンゴムを主成分としたものを用いることができる。液状ガスケット40は、硬化後はゴム状弾性体となるため、良好な耐振動性、耐衝撃性を発揮する。
【0034】
図7に示すように、分割ガスケット100は、その環状の形状の内周に沿って、環状に内周側弾性体50が形成されていてもよい。
内周側弾性体50は、複数の分割部30を互いに同層の配置で組み合わせて(第1分割部10と第2分割部20とを互いに同層の配置で組み合わせて)、分割部30同士の境界部に(隙間G1、隙間G2及び隙間G3に)液状ガスケット40を充填した後で、形成することができる。
内周側弾性体50は、主としてシール性を高めるためのものであり、例えばニトリルゴム等により構成される。
内周側弾性体50の断面形状は、特に限定されない。図8(a)及び図8(b)に示されるような円形状であってもよいし、楕円形状、矩形状等であってもよいし、その他の形状であってもよい。
ただし、分割ガスケット100は、内周側弾性体50を有していなくてもよい。
【0035】
図8(a)に示すように、各分割部30は、例えば、金属製の基材31と、基材31を覆っている弾性材料により形成されている被覆部32と、を有する。すなわち、第1分割部10及び第2分割部20の各々は、基材31と、被覆部32と、を有し、基材31は、被覆部32によりコーティングされている。
被覆部32は、基材31のみに形成されていてもよいし、基材31の両面にそれぞれ形成されていてもよいし、基材31の外面の全域(全周囲)に形成されていてもよい。
ただし、本発明は、この例に限らず、各分割部30は、例えば図8(a)に示すように、被覆部32を有していない構造であってもよい。
図8(a)及び図8(b)は、いずれも第2分割部20の断面構造を例として示しているが、第1分割部10の断面構造も同様である。
【0036】
基材31は、ステンレス鋼板、冷延鋼板、亜鉛めっき鋼板、アルミニウム合板等により形成することができる。
被覆部32を構成する弾性材料は、ゴム(合成ゴムや天然ゴム)又はサーモプラスチックエラストマー(熱可塑性樹脂ゴム弾性体)のような弾力性に富む材質のもの(ゴム状弾性体)であり、可撓性を有する。被覆部32の材料としては、例えば、ニトリルゴム、スチレンブタジエンゴム、フッ素ゴム、アクリルゴム、シリコーンゴムのうちの少なくとも一種を含む合成ゴムシート(発泡ゴム含む)が挙げられる。
例えば、基材31の表面に下地処理剤層を設けた後に、下地処理剤層を介して基材31の表面に接着剤層を形成しておき、その後、下地処理剤層及び接着剤層を介して基材31に被覆部32を形成することができる。
【0037】
次に、図9を用いて、本実施形態に係る分割ガスケットの取付構造について説明する。
本実施形態に係る分割ガスケットの取付構造は、本実施形態に係る分割ガスケット100が第1部材210と第2部材220との間に介装されているとともに、第1部材210と第2部材220とが相互に固定(例えば締結)されている分割ガスケットの取付構造であって、第1分割部10の突出部12が第2分割部20の凹部21に嵌め込まれており、先端部14と奥部23の内周縁との隙間G3、及び、突出部側括れ部13と凹部側括れ部22との隙間G2に、液状ガスケット40が充填されている。
【0038】
なお、本実施形態の場合、突出部12を凹部21に嵌め込む際には、第1分割部10と第2分割部20とを厚み方向において互いに異なる位置に配置して、厚み方向において重複しないようにした状態で、平面視において突出部12と凹部21とが重なるように第1分割部10と第2分割部20とを位置合わせした上で、第1分割部10と第2分割部20とを厚み方向において一致させることで、突出部12を凹部21に嵌め込むことが挙げられる。
ただし、本実施形態の場合も、後述する第2実施形態と同様に、第1分割部10と第2分割部20とを互いに同層に配置した状態で、突出部12を凹部21に押し込むことによって、突出部12が凹部21に嵌め込まれてもよい。
また、分割ガスケット100は、第1部材210と第2部材220との間で圧縮状態で(厚み方向に圧縮されて)挟持される。すなわち、分割ガスケット100は、第1部材210と第2部材220とにより当該分割ガスケット100の面直方向に圧縮されて挟持される。
【0039】
次に、分割ガスケット100を製造する方法の一例を説明する。
金属板材料からプレス加工等によって作製された複数の分割部30の各々を、表面に下地処理剤層を設けた後で、加硫接着剤が貯留された図示しない接着槽に浸漬させて、分割部30の表面に加硫接着剤を塗布形成し、所定温度で加硫接着剤を焼き付けした後、被覆部32を形成する。
その後、それぞれの端部に形成された突出部12と凹部21とを互いに嵌め合わせることによって、複数の分割部30により構成された環状体を形成する。
次に、分割部30同士の境界部の隙間G1、G2、G3に液状ガスケット40を充填し、硬化させる。
次に、成形型を用いて、環状体の内周に沿って内周側弾性体50を加硫接着する。
こうして、内周側弾性体50を有する分割ガスケット100が得られる。
【0040】
分割ガスケット100は、上述した状態のうち、いずれの状態で流通してもよい。
例えば、図1に示すように、複数の分割部30(第1分割部10及び第2分割部20)が組み合わされる前の状態で流通してもよい。
また、図5及び図6のように、複数の分割部30(第1分割部10及び第2分割部20)が組み合わされ、且つ、分割部30同士の境界部(隙間G1、G2、G3等)に液状ガスケット40が充填された状態で流通してもよい。
また、図7に示すように、図5及び図6の状態の後で更に内周側弾性体50が取り付けられた状態で流通してもよい。
更には、図9に示すように、分割ガスケット100が第1部材210と第2部材220との間に介装された状態で流通してもよい。
【0041】
〔第2実施形態〕
次に、図10から図14を用いて第2実施形態を説明する。
本実施形態に係る分割ガスケット100及び分割ガスケットの取付構造は、以下に説明する点で、上記の第1実施形態に係る分割ガスケット100及び分割ガスケットの取付構造と相違しており、その他の点では、上記の第1実施形態に係る分割ガスケット100及び分割ガスケットの取付構造と同様に構成されている。
【0042】
図10に示すように、本実施形態の場合も、分割ガスケット100は、複数の分割部30を互いに同層の配置で組み合わせて形成される。
なお、第1実施形態では分割部30の数が2つである例を説明したが、本実施形態の場合は、分割部30の数は3つ以上であり、図10の例では分割部30の数が8つとなっている。
図10に示される各分割部30の両端部の形状は、突出部12や凹部21の図示を省略した簡略化した形状となっている。
図10では、1つの分割部30に第1分割部10の符号を付し、他の1つの分割部30に第2分割部20の符号を付し、残りの分割部30には第1分割部10と第2分割部20とのいずれの符号も付していない。これは、分割ガスケット100が第1分割部10と第2分割部20とを1つずつのみ有していることを必ずしも意味している訳ではなく、例えば、すべての分割部30が一端部には突出部12を、他端部には凹部21を有していて、各分割部30が第1分割部10としての機能と第2分割部20としての機能とを兼ね備えていてもよい。
【0043】
本実施形態の場合、以下に説明するように、突出部12や凹部21の形状が第1実施形態とは相違している。
【0044】
図11に示すように、本実施形態の場合、突出部12の先端部14は、基端側に向けて幅広に形成されている。そして、先端部14の基端部18は、その幅方向における両側にそれぞれ角16を有する。
そして、第2分割部20の奥部23における凹部側括れ部22側の端部24に対して、先端部14の基端側(基端部18)における両方の角16がそれぞれ点接触可能である。
換言すれば、平面視において、端部24が延在する方向と、先端部14における角16及びその周囲の部分が延在する方向と、が異なっていることによって、角16が端部24に対して点接触可能となっている。
なお、ここでいう点接触とは、平面視における角16と端部24との接触関係を意味している。角16は、例えば、分割ガスケット100の厚み方向の全域に亘って端部24に対して接触するため、3次元的には、角16は、端部24に対して線接触している、と言える。
このような構成によって、両方の角16と第2分割部20との間でシールラインを確保でき、分割ガスケット100による良好なシール性を実現することができる。
このため、例えば、第1実施形態で説明したような液状ガスケット40を用いなくても、良好なシール性が得られる。
なお、本実施形態においても、第1実施形態と同様に隙間G1、G2、G3に液状ガスケット40を充填したり、あるいは、隙間G1、G2、G3に接着剤を充填したりしてもよい。
【0045】
本実施形態の場合も、第2分割部20は、第2本体部25と、第2本体部25からそれぞれ突出している一対の第2突出部26と、を有し、一対の第2突出部26の先端部26a同士の隙間が凹部側括れ部22を形成しており、一対の第2突出部26の先端部26aよりも基端側の部分26b同士の隙間が奥部23を形成している。
そして、本実施形態の場合、一対の第2突出部26の少なくとも一方の外縁26cにおいて、奥部23の形成箇所と対応する部位には、奥部23に向けて窪んだ外縁凹部27が形成されている。換言すれば、外縁凹部27は幅方向における内側に向けて窪んでいる。
これにより、後述するように、突出部12が凹部21に差し込まれる際に、第2突出部26が弾性変形することにより凹部21の開口21aが広がりやすくなり、突出部12の差し込みが容易になる。
好ましくは、一対の第2突出部26の各々に外縁凹部27が形成されている。
また、図11に示すように、外縁凹部27は、第2突出部26における付け根側(第2本体部25に近い側)の部分の外縁26cに配置されていることが好ましく、このような構成によって、一対の第2突出部26がより広がりやすくなる。
【0046】
次に、図12(a)から図12(d)を用いて、本実施形態に係る分割ガスケットの組付方法を説明する。
本実施形態に係る分割ガスケットの組付方法は、本実施形態に係る分割ガスケット100の第1分割部10と第2分割部20とを相互に組み付ける分割ガスケット100の組付方法であって、以下の<1>及び<2>の工程を備える。
<1>第1分割部10を第2分割部20に対して相対的に、突出部12の突出方向P1に移動させることにより、先端部14で凹部21の開口21aを押し広げながら、先端部14を奥部23に嵌め込む工程(図12(a)~図12(c))。
<2>先端部14を奥部23に嵌め込んだ後、第1分割部10を第2分割部20に対して相対的に、突出部12の突出方向P1に対する反対方向P2に移動させることにより、第2分割部20の奥部23における凹部側括れ部22側の端部24に対して、先端部14の基端側(基端部18)における両方の角16をそれぞれ点接触させる工程(図12(d))。
以上の工程を備えることにより、両方の角16が端部24に対して点接触(詳細には、例えば、上述のように、線接触)し、シールラインを確保することができる。
【0047】
上記の工程について、より詳細に説明すると、図12(a)に示すように、突出部12を凹部21に押し込むことにより、矢尻状の形状の先端部14が一対の第2突出部26を互いに離間させるので、図12(b)に示すように、一対の第2突出部26が弾性変形し、開口21aが広がる。
ここで、第2突出部26の外縁26cには外縁凹部27が形成されているので、第2突出部26の弾性変形が容易となっている。
図12(c)に示すように、先端部14が完全に奥部23に押し込まれると、一対の第2突出部26が互いに近づく方向に弾性復元し、先端部14が凹部21に対して係止される。すなわち、一対の第2突出部26の先端部26a同士の隙間で形成される凹部側括れ部22の幅寸法が、先端部14の幅寸法よりも狭くなり、奥部23からの先端部14の離脱が抑制された状態となる。
その後、第1分割部10を第2分割部20に対して相対的に、突出部12の突出方向P1に対する反対方向P2に移動させることにより、第2分割部20の奥部23における凹部側括れ部22側の端部24に対して、先端部14の基端側(基端部18)における両方の角16がそれぞれ圧接されて、シールラインが確保される。
【0048】
ここで、図13に示すように、本実施形態の場合、各分割部30は(したがって、第1分割部及び第2分割部の各々は)、金属製の基材31と、基材31を覆っている弾性材料により形成されている被覆部32と、を有する。
本実施形態の場合、被覆部32は、基材31の外面の全域を覆っていることが好ましい。
このような構成によって、図13に示すように、角16が端部24に食い込むようにできるため、角16と端部24との点接触箇所におけるシール性を更に良好にすることができる。
ただし、本発明は、この例に限らず、分割部30は被覆部32を有していなくてもよい。つまり、角16と端部24との点接触箇所は、金属同士の接触箇所であってもよい。
【0049】
なお、本実施形態の場合も、分割ガスケット100は、第1実施形態と同様に内周側弾性体50を有していてもよいし、内周側弾性体50を有していなくてもよい。
【0050】
次に、本実施形態に係る分割ガスケットの取付構造について説明する。
図14に示すように、本実施形態に係る分割ガスケットの取付構造は、本実施形態に係る分割ガスケット100が第1部材210と第2部材220との間に介装されているとともに、第1部材210と第2部材220とが相互に固定されている分割ガスケットの取付構造であって、第2分割部20の奥部23における凹部側括れ部22側の端部24の被覆部32に対して、先端部14の基端側(基端部18)における両方の角16がそれぞれ食い込んでいる(図13参照)。
これにより、角16と端部24との接触箇所におけるシール性を更に良好にすることができる。
なお、本実施形態の場合、角16と端部24との接触箇所でシールラインを確保することができるため、例えば、図14に示すように、第1分割部10と第2分割部20との境界部における隙間(隙間G3等)には、液体ガスケットや接着剤等を充填しなくてもよい。
【0051】
〔第3実施形態〕
次に、図15から図18を用いて第3実施形態を説明する。
本実施形態に係る分割ガスケット100及び分割ガスケットの取付構造は、以下に説明する点で、上記の第1実施形態に係る分割ガスケット100及び分割ガスケットの取付構造と相違しており、その他の点では、上記の第1実施形態に係る分割ガスケット100及び分割ガスケットの取付構造と同様に構成されている。
図15に示すように、本実施形態の場合も、分割ガスケット100は、複数の分割部30を互いに同層の配置で組み合わせて形成される。
なお、本実施形態における分割ガスケット100が備える分割部30の数は特に限定されない。
【0052】
図15は第1分割部10と第2分割部20とを含む複数の分割部30を相互に組み付けた分割ガスケット100の平面図である。
図16図15の分割ガスケット100を第1部材210と第2部材220との間に配置した状態(ただし、第1部材210と第2部材220とにより分割ガスケット100をその厚み方向(面直方向)に圧縮する前の状態)を示す模式的な断面図である。
図17及び図18は、図16の状態の後で、第1部材210と第2部材220とにより分割ガスケット100をその厚み方向(面直方向)に圧縮することにより得られた分割ガスケットの取付構造を示す図である。なお、図17の状態では、分割ガスケット100は表裏から第1部材210と第2部材220とにより圧縮されているのであるが、図17では便宜的に第1部材210及び第2部材220の図示を省略するとともに、分割ガスケット100を抜粋して示している。
【0053】
図15に示すように、本実施形態の場合、第1分割部10の本体部11は、突出部12の突出方向P1に対して交差する方向に延在するビード17を有し、ビード17が本体部11の端11aから端11bまで横断している。すなわち、幅方向Wにおける本体部11の両端間に亘ってビード17が延在している。
これにより、第1分割部10が部材間で圧縮されたときに、ビード17がその延在方向に対して直交する方向に伸長するため、突出部12が突出方向P1に変位するようにできる。
このため、図17及び図18に示すように、突出部12の先端12aと凹部21の内周面との隙間や、第2分割部20における本体部11側の縁と本体部11(本体部11における第2分割部20側の縁)との隙間G1を小さくし、第1分割部10と第2分割部20との境界部におけるシール性を良好に確保することができる。
よって、第1分割部10と第2分割部20との境界部に対する接着剤や液状ガスケットの塗布を不要とすることもできるため、分割ガスケット100の組み立て性が良好になる。
ただし、第1分割部10と第2分割部20との境界部に対して接着剤や液状ガスケットを用いてもよい。その場合、分割ガスケット100の内周側や外周側に接着剤や液状ガスケットがはみ出し、更なるシール性の向上を期待することもできる。
【0054】
ここで、本発明において、ビード17とは、本体部11の一部分が当該本体部11の面直方向に向けてエンボス状に湾曲することにより形成された突条であり、部材間でビード17が本体部11の面直方向に圧縮されることによって、ビード17の延在方向に対して交差する方向に本体部11を伸長させるものである。
【0055】
ビード17が延在する方向は、突出部12の突出方向P1に対して交差する方向であれば特に限定されない。ただし、ビード17は、突出部12の突出方向P1に対して直交する方向に直線状に延在していることが好ましく、このようにすることによって、ビード17の高さ寸法(第1分割部10の厚み方向におけるビード17の寸法(高低差))に対して、突出部12の変位量を最大限確保することができる。
【0056】
本実施形態の場合、図15に示すように、ビード17は、本体部11の一部分が一方向に傾斜(図9において、左方向に下り傾斜)した傾斜部である。このため、本体部11において、ビード17を間に挟んで一方側(例えば図16において左側)に位置する部位と、他方側(例えば図16において右側)に位置する部位と、の間には高低差(第1分割部10の厚み方向における位置のずれ)が存在している。
【0057】
図16は、第1分割部10と第2分割部20とが組み合わせられた分割ガスケット100を第1部材210と第2部材220との間に配置した状態を示している。
その後、第1部材210と第2部材220とを相互に締結することなどによって、第1部材210と第2部材220とを相互に近接させることにより、第1部材210と第2部材220とにより第1分割部10がその厚み方向(面直方向)に圧縮されると、ビード17が潰れてビード17の傾斜が解消し、図18に示すように、本体部11においてビード17を含む部分の全体が実質的に平坦になる。
それに伴い、ビード17の延在方向に対して交差する方向に本体部11が伸長するので、図17に示すように、突出部12の先端12aと凹部21の奥部23における内周面との隙間や、第2分割部20における本体部11側の縁と本体部11(本体部11における第2分割部20側の縁)との隙間G1が狭まり、第1分割部10と第2分割部20との境界部におけるシール性を良好に確保することができる。
ビード17が潰れることによって、突出部12の先端12aが凹部21の奥部23における内周面に対して圧接されることが好ましい一例である。また、ビード17が潰れることによって、第2分割部20における本体部11側の縁(例えば縁辺20a)と本体部11における第2分割部20側の縁(例えば縁辺11c)とが、相互に当接したり、相互に圧接されたりすることも好ましい。
ビード17の高さ寸法(本体部11の厚み方向におけるビード17の寸法)は、特に限定されないが、例えば、0.1mm以上5mm以下であることが好ましい。
【0058】
なお、本実施形態の場合も、分割ガスケット100は、第1実施形態と同様に内周側弾性体50を有していてもよいし、内周側弾性体50を有していなくてもよい。
【0059】
<第3実施形態の変形例>
次に、図19(a)及び図19(b)を用いて第3実施形態の変形例を説明する。
上記の第3実施形態では、ビード17が一方向に傾斜した傾斜部である例を説明したが、ビード17は本体部11の厚み方向(面直方向)に凸に湾曲した部位であってもよい。
図19(a)には、ビード17がアーチ状(ドーム状)の湾曲部である例を示している。
この場合も、本体部11が部材間でその厚み方向(面直方向)に圧縮されると、ビード17が平坦化するため、上記の第3実施形態と同様に、突出部12が突出方向に変位するようにできる。
【0060】
以上、図面を参照して各実施形態を説明したが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0061】
例えば、上記においては、第1部材210や第2部材220に対して締結等により分割部30を取り付けるための取付孔を分割部30が有していない例を説明したが、分割部30は、当該分割部30を締結等により第1部材210や第2部材220に対して取り付けるための取付孔を有していてもよい。取付孔は、分割部30の表裏を貫通するものとすることができる。
【0062】
本実施形態は以下の技術思想を包含する。
(1)第1分割部と第2分割部とを含む複数の分割部を互いに同層の配置で組み合わせて形成されるシート状の分割ガスケットであって、
前記第1分割部は、本体部と、前記本体部から突出している突出部と、を有し、
前記第2分割部は、前記突出部が嵌め込まれる凹部を有し、
前記突出部は、突出部側括れ部と、前記突出部側括れ部の先端側に形成されている先端部と、を有し、
前記凹部は、前記突出部側括れ部が入り込む凹部側括れ部と、前記凹部側括れ部よりも当該凹部における奥側に配置されていて前記先端部が入り込む奥部と、を有し、
前記先端部は、前記凹部側括れ部よりも幅広であり、
前記突出部が前記凹部に嵌め込まれた状態で、前記第1分割部と前記第2分割部とが前記突出部の突出方向において相対移動可能である分割ガスケット。
(2)前記突出部は、前記突出部側括れ部よりも基端側に、前記凹部側括れ部よりも幅広の基端側幅広部を有する(1)に記載の分割ガスケット。
(3)前記第2分割部における前記本体部側の縁と前記本体部との隙間が、前記突出部側括れ部と前記凹部側括れ部との隙間よりも大きい(2)に記載の分割ガスケット。
(4)前記先端部と前記奥部の内周縁との隙間が、前記先端部の先端側に向けて拡大している(1)から(3)のいずれか一項に記載の分割ガスケット。
(5)前記先端部と前記奥部の内周縁との隙間の最大寸法が、前記第2分割部における前記本体部側の縁と前記本体部との隙間よりも大きい(4)に記載の分割ガスケット。
(6)前記先端部は、基端側に向けて幅広に形成されており、
前記第2分割部の前記奥部における前記凹部側括れ部側の端部に対して、前記先端部の基端側における両方の角がそれぞれ点接触可能である(1)から(3)のいずれか一項に記載の分割ガスケット。
(7)前記第1分割部及び前記第2分割部の各々は、金属製の基材と、前記基材を覆っている弾性材料により形成されている被覆部と、を有する(6)に記載の分割ガスケット。
(8)前記第2分割部は、
第2本体部と、
前記第2本体部からそれぞれ突出している一対の第2突出部と、
を有し、
前記一対の第2突出部の先端部同士の隙間が前記凹部側括れ部を形成しており、
前記一対の第2突出部の先端部よりも基端側の部分同士の隙間が前記奥部を形成しており、
前記一対の第2突出部の少なくとも一方の外縁において、前記奥部の形成箇所と対応する部位には、前記奥部に向けて窪んだ外縁凹部が形成されている(1)から(3)のいずれか一項に記載の分割ガスケット。
(9)前記本体部は、前記突出部の突出方向に対して交差する方向に延在するビードを有し、
前記ビードが前記本体部の端から端まで横断している(1)から(3)のいずれか一項に記載の分割ガスケット。
(10)前記ビードは、前記突出部の突出方向に対して直交する方向に直線状に延在している(9)に記載の分割ガスケット。
(11)(1)から(3)のいずれか一項に記載の分割ガスケットが第1部材と第2部材との間に介装されているとともに、前記第1部材と第2部材とが相互に固定されている分割ガスケットの取付構造であって、
前記第1分割部の前記突出部が前記第2分割部の前記凹部に嵌め込まれており、
前記先端部と前記奥部の内周縁との隙間、及び、前記突出部側括れ部と前記凹部側括れ部との隙間に、液状ガスケットが充填されている分割ガスケットの取付構造。
(12)(7)に記載の分割ガスケットが第1部材と第2部材との間に介装されているとともに、前記第1部材と第2部材とが相互に固定されている分割ガスケットの取付構造であって、
前記第2分割部の前記奥部における前記凹部側括れ部側の端部の前記被覆部に対して、前記先端部の基端側における両方の前記角がそれぞれ食い込んでいる分割ガスケットの取付構造。
(13)(6)に記載の分割ガスケットの前記第1分割部と前記第2分割部とを相互に組み付ける分割ガスケットの組付方法であって、
前記第1分割部を前記第2分割部に対して相対的に、前記突出部の突出方向に移動させることにより、前記先端部で前記凹部の開口を押し広げながら、前記先端部を前記奥部に嵌め込む工程と、
前記先端部を前記奥部に嵌め込んだ後、前記第1分割部を前記第2分割部に対して相対的に、前記突出部の突出方向に対する反対方向に移動させることにより、前記第2分割部の前記奥部における前記凹部側括れ部側の端部に対して、前記先端部の基端側における両方の角をそれぞれ点接触させる工程と、
を備える分割ガスケットの組付方法。
【符号の説明】
【0063】
100 分割ガスケット
10 第1分割部
11 本体部
11a、11b 端
11c 縁辺
12 突出部
12a 先端
13 突出部側括れ部
14 先端部
15 基端側幅広部
16 角
17 ビード
18 基端部
20 第2分割部
20a 縁辺(縁)
21 凹部
21a 開口
22 凹部側括れ部
23 奥部
24 端部
25 第2本体部
26 第2突出部
26a 先端部
26b 部分
26c 外縁
27 外縁凹部
30 分割部
31 基材
32 被覆部
40 液状ガスケット
50 内周側弾性体
210 第1部材
220 第2部材
G1、G2、G3 隙間
図1
図2
図3
図4
図5
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