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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025147531
(43)【公開日】2025-10-07
(54)【発明の名称】カシメ装置
(51)【国際特許分類】
   H02G 1/06 20060101AFI20250930BHJP
   H02G 9/06 20060101ALI20250930BHJP
【FI】
H02G1/06
H02G9/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024047822
(22)【出願日】2024-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000003687
【氏名又は名称】東京電力ホールディングス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】593027716
【氏名又は名称】株式会社エステック
(71)【出願人】
【識別番号】591036653
【氏名又は名称】株式会社常磐ボーリング
(71)【出願人】
【識別番号】592207256
【氏名又は名称】株式会社興洋
(74)【代理人】
【識別番号】100120400
【弁理士】
【氏名又は名称】飛田 高介
(74)【代理人】
【識別番号】100124110
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 大介
(72)【発明者】
【氏名】吉田 啓二
(72)【発明者】
【氏名】成岡 伸一
(72)【発明者】
【氏名】古泉 寛隆
(72)【発明者】
【氏名】板垣 忠大
(72)【発明者】
【氏名】今村 太一
(72)【発明者】
【氏名】田中 大暉
(72)【発明者】
【氏名】椙島 正樹
(72)【発明者】
【氏名】下平 由巳
(72)【発明者】
【氏名】松尾 竜
(72)【発明者】
【氏名】瀬谷 藤夫
(72)【発明者】
【氏名】高村 正和
【テーマコード(参考)】
5G352
5G369
【Fターム(参考)】
5G352CA09
5G352CJ04
5G369BA04
5G369BA06
5G369EA04
(57)【要約】
【課題】三相ケーブルを構成する地中ケーブルの端部にスリーブをかしめる際に、隣接する他の地中ケーブルの干渉を防ぐことができ、作業効率の向上を図ることが可能なカシメ装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明にかかるカシメ装置の構成は、マンホール30内で切断した三相ケーブル100の端部にスリーブ120をかしめるカシメ装置200であって、固定ダイス210と、可動ダイス220と、可動ダイス220を固定ダイス210に向かって離接させる駆動源230と、を備え、固定ダイス210には、三相ケーブル100を構成する3本のケーブルのうち、1本のケーブルが固定ダイス210のカシメ面(固定側カシメ面214)に配置されたときに、残りの2本のケーブルが挿入される2つ以上の逃げ穴216a-216dが形成されていることを特徴とする。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マンホール内で切断した三相ケーブルの端部にスリーブをかしめるカシメ装置であって、
固定ダイスと、
可動ダイスと、
前記可動ダイスを前記固定ダイスに向かって離接させる駆動源と、
を備え、
前記固定ダイスには、前記三相ケーブルを構成する3本のケーブルのうち、1本の該ケーブルが該固定ダイスのカシメ面に配置されたときに、残りの2本の該ケーブルが挿入される2つ以上の逃げ穴が形成されていることを特徴とするカシメ装置。
【請求項2】
前記固定ダイスおよび前記可動ダイスを前記三相ケーブルの延伸方向を軸として回転させる回転装置と、
前記固定ダイスおよび前記可動ダイスを前記三相ケーブルの延伸方向に直交かつ上下方向に移動させる上下移動装置と、
前記固定ダイスおよび前記可動ダイスを水平方向に移動させる水平移動装置と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載のカシメ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マンホール内で切断した三相ケーブルの端部にスリーブをかしめるカシメ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、都市における景観への配慮や安全性という観点から地中配線の普及が進んでいる。地中配線では、地中にトラフや管路を埋設し、その内部に電力ケーブルや通信ケーブル等(以下、地中ケーブルと称する)を敷設する。地中ケーブルは、経年劣化した際や、不要になった際には撤去される。
【0003】
地中ケーブルを撤去する方法としては、例えば特許文献1に「マンホールとマンホールとをつなぐ地中の管路に布設されたまま長時間経過した地中超高圧送電ケーブルを撤去する地中超高圧送電ケーブル撤去方法」が開示されている。特許文献1の地中超高圧送電ケーブル撤去方法は、「予め両端が切断された、撤去を要する前記送電ケーブルの両端部のうち終端を有するマンホールの土間に仮フックを設ける工程と、前記仮フックに油圧ジャッキを接続する工程と、前記油圧ジャッキに前記送電ケーブルの終端を接続する工程と、前記油圧ジャッキを駆動し、その引き力により、前記送電ケーブルを側圧および自重圧に抗して前記管路から前記マンホールに引き出す、縁切り工程と」を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第7177537号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
地中ケーブルをマンホールから撤去する際には、まずケーブル同士を接続している接続部をマンホール内において解体して除去する。そして特許文献1では、接続部から切り離された三相ケーブルの端にプーリングアイを取り付け、プーリングアイを油圧ジャッキ等の引抜機によって引っ張ることにより、地中ケーブルを管路から引き抜いている。
【0006】
地中ケーブルが1本である場合には、その端部にプーリングアイを取り付ける作業、具体的には地中ケーブルの端部にプーリングアイ(以下、スリーブと称する)をかしめる作業を容易に行うことができる。しかしながら、送電方式が三相3線式であった場合、3本(3相)の地中ケーブルを1回線として地中に埋設されている。このため、1本(1相)の地中ケーブルにスリーブをかしめる作業をするときに、他の2本(2相)のケーブルがカシメ装置に干渉してしまい、作業に時間がかかり、作業効率が低下してしまう。
【0007】
特にPOFケーブル(Pipe-type Oil Filled cable)は、敷設時にオフセットが不要であるため、他のケーブルと比してマンホールサイズに対する接続部のサイズが大きい。したがって、接続部を切り離した後、マンホール内の三相ケーブルの端のケーブル余長(作業代)が短くなる。このため、三相ケーブルでは、他のケーブルの場合よりも、1本の地中ケーブルにスリーブをかしめる作業をする際に他の2本のケーブルが干渉しやすいため、作業効率が著しく低下することが問題となっていた。
【0008】
本発明は、このような課題に鑑み、三相ケーブルを構成する地中ケーブルの端部にスリーブをかしめる際に、隣接する他の地中ケーブルの干渉を防ぐことができ、作業効率の向上を図ることが可能なカシメ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明にかかるカシメ装置の代表的な構成は、マンホール内で切断した三相ケーブルの端部にスリーブをかしめるカシメ装置であって、固定ダイスと、可動ダイスと、可動ダイスを固定ダイスに向かって離接させる駆動源と、を備え、固定ダイスには、三相ケーブルを構成する3本のケーブルのうち、1本のケーブルが固定ダイスのカシメ面に配置されたときに、残りの2本のケーブルが挿入される2つ以上の逃げ穴が形成されていることを特徴とする。
【0010】
上記固定ダイスおよび可動ダイスを三相ケーブルの延伸方向を軸として回転させる回転装置と、固定ダイスおよび可動ダイスを三相ケーブルの延伸方向に直交かつ上下方向に移動させる上下移動装置と、固定ダイスおよび可動ダイスを水平方向に移動させる水平移動装置と、を備えるとよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、三相ケーブルを構成する地中ケーブルの端部にスリーブをかしめる際に、隣接する他の地中ケーブルの干渉を防ぐことができ、作業効率の向上を図ることが可能なカシメ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】三相ケーブルを撤去する作業現場を説明する図である。
図2】三相ケーブルを説明する図である。
図3】地中ケーブルの端部に取り付けられるスリーブを説明する図である。
図4】本実施形態にかかるカシメ装置を説明する図である。
図5】地中ケーブルにスリーブをかしめる際のカシメ装置の動作について説明する図である。
図6】地中ケーブルにスリーブをかしめた後の作業を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0014】
図1は、三相ケーブル100を撤去する作業現場10を説明する図である。図1に示すように作業現場では、路面12の下に管路20が埋設されていて、管路20の間には、所定間隔ごとに保全作業用のマンホール30が設けられている。
【0015】
図2は三相ケーブル100を説明する図であり、図2(a)は断面図、図2(b)は三相ケーブル100(3本の地中ケーブル102)の斜視図である。図1および図2に示すように管路20の内部には三相ケーブル100(例として、POFケーブル)が敷設されている。POFケーブルの場合、管路20内に絶縁油(不図示)が充填され加圧されている。
【0016】
図2(a)に示すように三相ケーブル100は、3本の地中ケーブル102a、102b、102cからなる。図2(b)に示すように、3本の地中ケーブル102a、102b、102cは、導体106(分割導体)の外周が被覆108によって覆われていて、被覆108の外周にはそれぞれスキッドワイヤ104が巻き回されている。なお以下の説明では、3本の地中ケーブル102a、102b、102cを特に区別しない場合には、地中ケーブル102と称する。
【0017】
三相ケーブル100を撤去する際には、まずマンホール30に繋がっている複数の管路20の三相ケーブル100を接続している接続部(不図示)を切り離して解体する。そして接続部から切り離された三相ケーブル100の端を引抜機400(図6参照)によって引っ張ることにより、三相ケーブル100が管路20から引き抜かれる。
【0018】
図3は、地中ケーブル102の端部に取り付けられるスリーブ120を説明する図である。図3(a)は、スリーブ120の断面図である。図3(b)および図3(c)は、地中ケーブル102の端部へのスリーブ120の取付について説明する図である。
【0019】
上述したようにマンホール30内で接続部が切り離された三相ケーブル100の端、すなわち3本の地中ケーブル102の端部には、図3(a)に例示するスリーブ120が取り付けられる。スリーブ120は、地中ケーブル102の端部の導体を挿入可能な挿入孔122を有し、先端にはIボルト124が連結されている。
【0020】
地中ケーブル102の端部にスリーブ120を取り付ける際には、まず地中ケーブル102の端部の被覆108(樹脂)を剥いで導体106(金属)を露出させる。次に図3(b)に示すように、露出した導体106をスリーブ120の挿入孔122に挿入する。そして図3(c)に示すようにスリーブ120に複数のカシメ部126(例えば6箇所)を形成することにより、地中ケーブル102の端部にスリーブ120が圧着されて取り付けられる。
【0021】
図4は、本実施形態にかかるカシメ装置200を説明する図である。図4(a)はカシメ装置200の正面図であり、図4(b)はカシメ装置200の側面図である。図4(a)および(b)に示す本実施形態のカシメ装置200は、マンホール30内で切断した三相ケーブル100(地中ケーブル102)の端部にスリーブ120をかしめる装置である。以下の説明において、三相ケーブル100の延伸方向をD1、延伸方向D1を軸とする回転方向をD2、延伸方向に直交かつ上下する方向をD3、延伸方向に直交かつ水平方向をD4とする。
【0022】
本実施形態のカシメ装置200は、固定ダイス210、固定ダイス210に対して移動可能に連結された可動ダイス220、および可動ダイス220を駆動する駆動源230を含んで構成される。固定ダイス210は、回転装置250に保持されていて、可動ダイス220がスライド移動可能なスライド溝212を有する略U字状の部材である。また固定ダイス210は、スライド溝212の端に、地中ケーブル102が配置されるカシメ面(以下、固定側カシメ面214と称する)を有している。
【0023】
可動ダイス220は、固定ダイス210のスライド溝212内をスライド移動可能な部材であり、固定ダイス210の固定側カシメ面214と対向する面がカシメ面(以下、可動側カシメ面224と称する)となっている。可動ダイス220は、駆動源230が接続されていて、駆動源230によって駆動して固定ダイス210に向かって離接する方向に移動可能である。
【0024】
本実施形態のカシメ装置200の特徴として、固定ダイス210には、三相ケーブル100を構成する3本の地中ケーブル102のうち、1本の地中ケーブル102が固定側カシメ面214と可動側カシメ面224の間に配置されたときに、残りの2本の地中ケーブル102が挿入される4つの逃げ穴216a、216b、216c、216dが形成されている。
【0025】
3本の地中ケーブル102は、端面方向から観察すれば概ね正三角形の頂点に位置している。そこで逃げ穴216a、216b、216c、216dは、カシメ位置(固定側カシメ面214と可動側カシメ面224の間)を正三角形の1つの頂点としたときの他の2つの頂点の位置に設けられている。なお本実施形態では、固定ダイス210に4つの逃げ穴216a-216dが形成されている構成を例示するが、固定ダイス210の位置と角度を下記より多く動かすことにより、逃げ穴の最小数を2つとすることができる。
【0026】
また図4に示すように本実施形態のカシメ装置200は、固定ダイス210および可動ダイス220を回転または移動させる回転装置250(D2方向の移動)、上下移動装置260(D3方向の移動)および水平移動装置270(D1、D4方向の移動)を更に備える。
【0027】
回転装置250は、固定ダイス210および可動ダイス220を三相ケーブル100の延伸方向D1を軸とする回転方向D2に(三相ケーブル100の延伸方向D1に直交する面内で)回転させる。本実施形態の回転装置250は、外枠252および内枠254、ローラ256を含んで構成される。
【0028】
外枠252は、固定ダイス210および可動ダイス220の正面側および背面側に配置された円形状の部材であり、フレーム240に固定されている。内枠254は、外枠252の内側に配置された円形状の部材であり、固定ダイス210に固定されている。ローラ256は外枠252に固定されて内枠254の縁を走行可能に支持している。
【0029】
上記構成によれば、駆動源230のハンドル232をD2方向に回転させると、固定ダイス210、可動ダイス220および駆動源230が一体となって回転する。これにより、3本の地中ケーブル102に対する固定ダイス210の角度(すなわち逃げ穴216a-dの位置)を回転させることができる。
【0030】
上下移動装置260は、固定ダイス210および可動ダイス220を三相ケーブル100の延伸方向D1に直交する上下方向D3に移動させる。本実施形態の上下移動装置260は、フレーム240の底板242と台座244との間に配置されているジャッキである。これにより、上下移動装置260であるジャッキを伸縮させることにより、フレーム240が台座244に対して上下移動し、固定ダイス210および可動ダイス220を上下移動させることができる。
【0031】
水平移動装置270は、固定ダイス210および可動ダイス220を水平方向(三相ケーブルの延伸方向D1および直交方向D4)に移動させる。本実施形態の水平移動装置270は、具体例として台座244の下面に取り付けられたキャスターである。これにより、台座244に支持されているフレーム240ごと固定ダイス210および可動ダイス220を水平移動させることができる。
【0032】
図5は、地中ケーブル102にスリーブ120をかしめる際のカシメ装置200の動作について説明する図である。3本の地中ケーブル102にスリーブ120をかしめる際には、まず図5(a)に示すようにカシメ装置200の固定ダイス210と可動ダイス220とを離間させた状態とする。
【0033】
カシメ装置200を三相ケーブルの延伸方向D1に移動させて、スリーブ120(図3(b)参照)を先端に被せた地中ケーブル102aをカシメ位置(固定側カシメ面214と可動側カシメ面224の間)に挿入する。このとき、残りの2本の地中ケーブル102b、102cはそれぞれ逃げ穴216b、216cに挿入して退避させる。これにより、残りの2本の地中ケーブル102b、102cが固定ダイス210に突き当たることなく、かしめる地中ケーブル102aをカシメ位置に挿入することができる。
【0034】
そして駆動源230によって可動ダイス220を固定ダイス210に近接させ、固定側カシメ面214および可動側カシメ面224によってスリーブ120をかしめることにより、地中ケーブル102aにスリーブ120が圧着される(図3(c)参照)。
【0035】
地中ケーブル102aにスリーブ120をかしめたら、カシメ装置200をD1方向に移動させて、3本の地中ケーブル102からカシメ装置200を抜き取る。次に図5(b)に示すように回転装置250によって固定ダイス210および可動ダイス220をフレーム240に対して180度回転させる(上下反転)。
【0036】
そして水平移動装置270によって固定ダイス210および可動ダイス220を図中右方向に水平移動させ、上下移動装置260によって固定ダイス210および可動ダイス220を図中下方向に移動する。これにより、地中ケーブル102cと固定ダイス210の固定側カシメ面214との位置合わせが完了する。
【0037】
位置合わせが完了したらカシメ装置200をD1方向に移動させて、地中ケーブル102cをカシメ位置に挿入し、残りの2本の地中ケーブル102a、102bをそれぞれ逃げ穴216c、216dに挿入して退避させる。そして上述したように可動ダイス220を固定ダイス210に近接させてスリーブ120をかしめ、地中ケーブル102cにスリーブ120を圧着する。
【0038】
地中ケーブル102cにスリーブ120をかしめたら、3本の地中ケーブル102からカシメ装置200を抜き取り、図5(c)に示すように水平移動装置270によって固定ダイス210および可動ダイス220を図中左方向に水平移動させる。これにより、地中ケーブル102bと固定ダイス210の固定側カシメ面214との位置合わせが完了する。
【0039】
位置合わせが完了したらカシメ装置200をD1方向に移動させて、地中ケーブル102bをカシメ位置に挿入し、残りの2本の102a、102cをそれぞれ逃げ穴216b、216aに挿入して退避させる。そして上述したように可動ダイス220を固定ダイス210に近接させてスリーブ120をかしめ、地中ケーブル102bにスリーブ120を圧着する。これにより、3本の地中ケーブル102にスリーブ120が圧着される。
【0040】
上記説明したように本実施形態のカシメ装置200によれば、三相ケーブル100を構成する3本の地中ケーブル102のうち、1本の地中ケーブルにスリーブ120をかしめる作業をするときに他のケーブルを固定ダイス210の逃げ穴216a-dに退避することができる。これにより、1本の地中ケーブルをかしめる際の他のケーブルの干渉を好適に防ぎ、作業効率の向上を図ることが可能となる。
【0041】
図6は、地中ケーブル102にスリーブ120をかしめた後の作業を説明する図である。上述したように本実施形態のカシメ装置200を用いて3本の地中ケーブル102にスリーブ120を圧着したら、3本の地中ケーブル102を引抜機400によってまとめて引き抜き、地上からマンホール30に挿通されたガイドパイプ50に繰り出す。そして引抜機400を往復させて引き抜きおよび繰り出しを繰り返すことにより、3本の地中ケーブル102は、ガイドパイプ50からマンホール30から押し出され、地上に送り出される。
【0042】
地上には運搬用車両40が配置されていて、運搬用車両40の荷台にはケーブル切断装置500が積載されている。地上に送り出された地中ケーブル102は、ガイドパイプ50の末端によってケーブル切断装置500へと案内され、ケーブル切断装置500によって運搬用車両40の荷台に積載可能な長さに切断される。このように運搬用車両40の荷台上において地中ケーブル102を切断することにより、切断後の三相ケーブル102をそのまま運搬用車両40で運搬することができる。これにより、運搬作業の効率化および設備の簡略化を図ることも可能である。
【0043】
なお、ここまで、三相ケーブル100がPOFケーブルの場合を例にして説明してきたが、本実施形態のカシメ装置200は、POFケーブル以外にもOFケーブル(Oil Filled cable)やCV(Cross-linked polyethylene insulated Vinyl sheath)ケーブル等の他のケーブルにも適用することが可能である。すなわち、POFケーブルに限らず他のケーブルにおいても、三相ケーブルを構成する地中ケーブルの端部にスリーブをかしめる際に、隣接する他の地中ケーブルの干渉を防ぐことができ、作業効率の向上を図ることができる。
【0044】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、マンホール内で切断した三相ケーブルの端部にスリーブをかしめるカシメ装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0046】
D1…延伸方向、10…作業現場、12…路面、20…管路、30…マンホール、40…運搬用車両、50…ガイドパイプ、100…三相ケーブル、102…地中ケーブル、102a…地中ケーブル、102b…地中ケーブル、102c…地中ケーブル、104…スキッドワイヤ、106…導体、108…被覆、120…スリーブ、122…挿入孔、124…Iボルト、200…カシメ装置、210…固定ダイス、212…スライド溝、214…固定側カシメ面、216a…逃げ穴、216b…逃げ穴、216c…逃げ穴、216d…逃げ穴、220…可動ダイス、224…可動側カシメ面、230…駆動源、232…ハンドル、240…フレーム、242…底板、244…台座、250…回転装置、252…外枠、254…内枠、256…ローラ、260…上下移動装置、270…水平移動装置、400…引抜機、500…ケーブル切断装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6