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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025014757
(43)【公開日】2025-01-30
(54)【発明の名称】蓋材及び蓋付き容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 77/20 20060101AFI20250123BHJP
   B65D 77/38 20060101ALI20250123BHJP
【FI】
B65D77/20 H
B65D77/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023117569
(22)【出願日】2023-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100169063
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100130052
【弁理士】
【氏名又は名称】大阪 弘一
(72)【発明者】
【氏名】安藤 聡真
【テーマコード(参考)】
3E067
【Fターム(参考)】
3E067AB01
3E067BA10A
3E067BB01A
3E067BB14A
3E067BB25A
3E067CA24
3E067EA06
3E067EB05
3E067EB07
3E067EB11
3E067EB27
3E067FA01
(57)【要約】
【課題】開封の確実性を向上する。
【解決手段】蓋材3の蓋本体33は、第一全切れ線40と、裏半切れ線60と、表半切れ線70と、を有する。裏半切れ線60は、蓋本体33の外周に沿って延びる裏半切れ本線61と、第一全切れ線40の近傍から延びて裏半切れ本線61に接続される第一裏半切れ誘導線63と、を有する。表半切れ線70は、第一全切れ線40の摘み部34とは反対側の先端40bの近傍から延びる第一表半切れ線部71を有する。第一全切れ線40の先端40bは、裏半切れ本線61と第一裏半切れ誘導線63とが接続する第一接続点61cを通り摘み部34の突出方向D5に対して摘み部34から離れる方向に45°傾斜する第一基準線L1に対する摘み部34の反対側に位置している。
【選択図】図4

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口と前記開口から延びるフランジとを有する容器の前記フランジに接合されて前記開口を塞ぐためのシート状の蓋材であって、
前記フランジに接合されて前記開口を塞ぐ蓋本体と、
前記蓋本体から突出した摘み部と、を備え、
前記蓋本体は、
前記摘み部から延びる第一全切れ線と、
前記蓋本体の裏面に形成された裏半切れ線と、
前記蓋本体の表面に形成された表半切れ線と、を有し、
前記裏半切れ線は、
前記蓋本体の外周に沿って延びる裏半切れ本線と、
前記第一全切れ線の近傍から延びて前記裏半切れ本線に接続される第一裏半切れ誘導線と、を有し、
前記表半切れ線は、前記第一全切れ線の前記摘み部とは反対側の先端の近傍から延びる第一表半切れ線部を有し、
前記第一全切れ線の前記先端は、前記裏半切れ本線と前記第一裏半切れ誘導線とが接続する第一接続点を通り前記摘み部の突出方向に対して前記摘み部から離れる方向に45°傾斜する第一基準線に対する前記摘み部の反対側に位置している、
蓋材。
【請求項2】
前記蓋本体は、前記摘み部から延びる第二全切れ線を有し、
前記裏半切れ線は、前記第二全切れ線の近傍から延びて前記裏半切れ本線に接続される第二裏半切れ誘導線を有し、
前記表半切れ線は、前記第二全切れ線の前記摘み部とは反対側の先端の近傍から延びる第二表半切れ線部を有し、
前記第二全切れ線の前記先端は、前記裏半切れ本線と前記第二裏半切れ誘導線とが接続する第二接続点を通り前記摘み部の突出方向に対して前記摘み部から離れる方向に45°傾斜する第二基準線に対する前記摘み部の反対側に位置している、
請求項1に記載の蓋材。
【請求項3】
矩形状の開口と前記開口から延びるフランジとを有する容器の前記フランジに接合されて前記開口を塞ぐためのシート状の蓋材であって、
前記フランジに接合されて前記開口を塞ぐ矩形状の蓋本体と、
前記蓋本体の短辺と長辺との間の角部に位置して、前記蓋本体から突出した摘み部と、を備え、
前記蓋本体は、
前記摘み部から延びる第一全切れ線と、
前記蓋本体の裏面に形成された裏半切れ線と、
前記蓋本体の表面に形成された表半切れ線と、を有し、
前記裏半切れ線は、
前記蓋本体の外周に沿って延びる裏半切れ本線と、
前記第一全切れ線の近傍から延びて前記裏半切れ本線に接続される第一裏半切れ誘導線と、を有し、
前記表半切れ線は、前記第一全切れ線の前記摘み部とは反対側の先端の近傍から延びる第一表半切れ線部を有し、
前記第一全切れ線の前記先端は、前記裏半切れ本線と前記第一裏半切れ誘導線とが接続する第一接続点を通り前記蓋本体の長辺方向に延びる第一基準線に対する前記摘み部の反対側に位置している、
蓋材。
【請求項4】
前記蓋本体は、前記摘み部から延びる第二全切れ線を有し、
前記裏半切れ線は、前記第二全切れ線の近傍から延びて前記裏半切れ本線に接続される第二裏半切れ誘導線を有し、
前記表半切れ線は、前記第二全切れ線の前記摘み部とは反対側の先端の近傍から延びる第二表半切れ線部を有し、
前記第二全切れ線の前記先端は、前記裏半切れ本線と前記第二裏半切れ誘導線とが接続する第二接続点を通り前記蓋本体の短辺方向に延びる第二基準線に対する前記摘み部の反対側に位置している、
請求項3に記載の蓋材。
【請求項5】
前記第一全切れ線は、前記第一全切れ線の前記先端まで直線状に延びる第一直線部を有し、
前記第二全切れ線は、前記第二全切れ線の前記先端まで直線状に延びる第二直線部を有し、
前記第一直線部と前記第二直線部とは、前記摘み部の突出方向とは反対の方向に向かって互いに離間する方向に延びている、
請求項2に記載の蓋材。
【請求項6】
前記第一全切れ線の前記先端と前記第二全切れ線の前記先端とを通る直線を全切れ線先端基準線とし、前記第一接続点と前記第二接続点とを通る直線を接続点基準線とした場合、前記接続点基準線に対する前記全切れ線先端基準線の傾斜角度は、10°以下である、
請求項2に記載の蓋材。
【請求項7】
前記第一接続点及び前記第二接続点は、前記全切れ線先端基準線に対する前記摘み部の反対側に位置している、
請求項6に記載の蓋材。
【請求項8】
前記蓋本体は、
前記フランジ上に配置されるフランジ配置部と、
前記フランジ配置部の内側に位置して前記フランジよりも前記開口側に配置される開口配置部と、を有し、
前記表半切れ線は、前記フランジ配置部に形成されており、
前記裏半切れ本線は、前記開口配置部に形成されている、
請求項1に記載の蓋材。
【請求項9】
開口と、前記開口の周辺に形成されたフランジと、を有する容器と、
請求項1~8の何れか一項に記載の蓋材と、を備え、
前記蓋材は、前記フランジに接合されて前記開口を塞ぐ、
蓋付き容器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器の開口の周辺に形成されたフランジに接合される蓋材及び当該蓋材が接合された蓋付き容器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、矩形状を有する容器開口部の周縁のフランジに蓋材がシールされた蓋付き容器が記載されている。特許文献1に記載の蓋材は、矩形状容器開口部の角部に対応する位置に設けられて蓋材を開封する摘み部(開封用タブ)と、表側層を切断する表半切れ線(表半切り線)と、裏側層を切断する裏半切れ線(裏半切り線及び補助半切り線)と、摘まみ部の両側において蓋材を切断する一対の全切れ線(切込み線)と、を備える。表半切れ線は、一対の全切れ線のそれぞれの先端から延びるとともに、摘み部が設けられる角部を除いて矩形状容器開口部を周回している。裏半切れ線は、一対の全切れ線のそれぞれの途中から延びるとともに、矩形状容器開口部を周回している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021―095168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
全切れ線、表半切れ線、及び裏半切れ線は、トムソン刃等の刃物により同時に形成される。しかしながら、全切れ線を形成するための刃物の刃先と、表半切れ線を形成するための刃物の刃先と、裏半切れ線を形成するための刃物の刃先と、を途切れることなく連続させることができないため、これらの刃先は互いに離間した状態となっている。このため、特許文献1に記載された蓋付き容器では、表半切れ線は、一対の全切れ線のそれぞれの先端に接続されているのではなく、一対の全切れ線のそれぞれの先端の近傍から延びており、裏半切れ線は、一対の全切れ線のそれぞれの途中に接続されているのではなく、一対の全切れ線のそれぞれの途中の近傍から延びている。なお、近傍とは、近くの離間した位置をいう。
【0005】
特許文献1に記載された蓋付き容器では、摘み部を引っ張って開封しようとすると、全切れ線と裏半切れ線との間で蓋材が層間剥離される。そして、全切れ線の先端から表半切れ線まで蓋材の破断が進行し、表半切れ線と裏半切れ線との間で蓋材が層間剥離されることで、蓋材が開封される。しかしながら、表半切れ線の切込先端が裏半切れ線の切込先端がよりも蓋材の表面側に位置していると、全切れ線の先端から表半切れ線に蓋材の破断が進行することで、剥離面が裏半切れ線よりも蓋材の表面側に移動することがある。その結果、剥離面が蓋材の内側まで進行する開封不良が発生することがあった。
【0006】
そこで、本発明は、開封の確実性を向上することができる蓋材及び蓋付き容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1] 本発明に係る蓋材は、開口と開口から延びるフランジとを有する容器のフランジに接合されて開口を塞ぐためのシート状の蓋材であって、フランジに接合されて開口を塞ぐ蓋本体と、蓋本体から突出した摘み部と、を備え、蓋本体は、摘み部から延びる第一全切れ線と、蓋本体の裏面に形成された裏半切れ線と、蓋本体の表面に形成された表半切れ線と、を有し、裏半切れ線は、蓋本体の外周に沿って延びる裏半切れ本線と、第一全切れ線の近傍から延びて裏半切れ本線に接続される第一裏半切れ誘導線と、を有し、表半切れ線は、第一全切れ線の摘み部とは反対側の先端の近傍から延びる第一表半切れ線部を有し、第一全切れ線の先端は、裏半切れ本線と第一裏半切れ誘導線とが接続する第一接続点を通り摘み部の突出方向に対して摘み部から離れる方向に45°傾斜する第一基準線に対する摘み部の反対側に位置している。
【0008】
この蓋材では、蓋本体が、摘み部から延びる第一全切れ線と、蓋本体の裏面に形成された裏半切れ線と、蓋本体の表面に形成された表半切れ線と、を有し、裏半切れ線が、蓋本体の外周に沿って延びる裏半切れ本線と、第一全切れ線の近傍から延びて裏半切れ本線に接続される第一裏半切れ誘導線と、を有し、表半切れ線が、第一全切れ線の摘み部とは反対側の先端の近傍から延びる第一表半切れ線部を有している。このため、摘み部を引っ張って開封しようとすると、第一全切れ線と第一裏半切れ誘導線との間で蓋本体が層間剥離される。層間剥離の剥離面は、第一全切れ線から第一表半切れ線部に進行するとともに、第一裏半切れ誘導線から裏半切れ本線に進行する。これにより、表半切れ線と裏半切れ本線との間で蓋本体が層間剥離されて、蓋材が開封される。
【0009】
しかも、この蓋材では、第一全切れ線の先端が、裏半切れ本線と第一裏半切れ誘導線とが接続する第一接続点を通り摘み部の突出方向に対して摘み部から離れる方向に45°傾斜する第一基準線に対する摘み部の反対側に位置している。このため、層間剥離は、第一全切れ線の先端に進行する前に、裏半切れ本線の第一接続点よりも遠方の位置まで進行しやすくなる。このため、第一全切れ線の先端から第一表半切れ線部に蓋本体の破断が進行することで剥離面が裏半切れ本線よりも蓋材の表面側に移動したとしても、裏半切れ本線で囲まれた部分を蓋材の裏面側から持ち上げようとする力が働いて、剥離面と裏半切れ本線との間の部分が引きちぎられやすくなる。これにより、開封の確実性を向上することができる。
【0010】
[2] [1]に記載の蓋材において、蓋本体は、摘み部から延びる第二全切れ線を有し、裏半切れ線は、第二全切れ線の近傍から延びて裏半切れ本線に接続される第二裏半切れ誘導線を有し、表半切れ線は、第二全切れ線の摘み部とは反対側の先端の近傍から延びる第二表半切れ線部を有し、第二全切れ線の先端は、裏半切れ本線と第二裏半切れ誘導線とが接続する第二接続点を通り摘み部の突出方向に対して摘み部から離れる方向に45°傾斜する第二基準線に対する摘み部の反対側に位置していてもよい。
【0011】
この蓋材では、蓋本体が、摘み部から延びる第二全切れ線を有し、裏半切れ線が、第二全切れ線の近傍から延びて裏半切れ本線に接続される第二裏半切れ誘導線を有し、表半切れ線が、第二全切れ線の摘み部とは反対側の先端の近傍から延びる第二表半切れ線部を有する。このため、摘み部を引っ張って開封しようとすると、第二全切れ線と第二裏半切れ誘導線との間で蓋本体が層間剥離される。層間剥離の剥離面は、第二全切れ線から第二表半切れ線部に進行するとともに、第二裏半切れ誘導線から裏半切れ本線に進行する。これにより、表半切れ線と裏半切れ本線との間で蓋本体が層間剥離されて、蓋材が開封される。
【0012】
しかも、この蓋材では、第二全切れ線の先端が、裏半切れ本線と第二裏半切れ誘導線とが接続する第二接続点を通り摘み部の突出方向に対して摘み部から離れる方向に45°傾斜する第二基準線に対する摘み部の反対側に位置している。このため、層間剥離は、第二全切れ線の先端に進行する前に、裏半切れ本線の第二接続点よりも遠方の位置まで進行しやすくなる。このため、第二全切れ線の先端から第二表半切れ線部に蓋本体の破断が進行することで剥離面が裏半切れ本線よりも蓋材の表面側に移動したとしても、裏半切れ本線で囲まれた部分を蓋材の裏面側から持ち上げようとする力が働いて、剥離面と裏半切れ本線との間の部分が引きちぎられやすくなる。これにより、開封の確実性を向上することができる。
【0013】
[3] 本発明に係る蓋材は、矩形状の開口と開口から延びるフランジとを有する容器のフランジに接合されて開口を塞ぐためのシート状の蓋材であって、フランジに接合されて開口を塞ぐ矩形状の蓋本体と、蓋本体の角部に位置して、蓋本体から突出した摘み部と、を備え、蓋本体は、摘み部から延びる第一全切れ線と、蓋本体の裏面に形成された裏半切れ線と、蓋本体の表面に形成された表半切れ線と、を有し、裏半切れ線は、蓋本体の外周に沿って延びる裏半切れ本線と、第一全切れ線の近傍から延びて裏半切れ本線に接続される第一裏半切れ誘導線と、を有し、表半切れ線は、第一全切れ線の摘み部とは反対側の先端の近傍から延びる第一表半切れ線部を有し、第一全切れ線の先端は、裏半切れ本線と第一裏半切れ誘導線とが接続する第一接続点を通り蓋本体の長辺方向に延びる第一基準線に対する摘み部の反対側に位置している。
【0014】
この蓋材では、蓋本体が、摘み部から延びる第一全切れ線と、蓋本体の裏面に形成された裏半切れ線と、蓋本体の表面に形成された表半切れ線と、を有し、裏半切れ線が、蓋本体の外周に沿って延びる裏半切れ本線と、第一全切れ線の近傍から延びて裏半切れ本線に接続される第一裏半切れ誘導線と、を有し、表半切れ線が、第一全切れ線の摘み部とは反対側の先端の近傍から延びる第一表半切れ線部を有する。このため、摘み部を引っ張って開封しようとすると、第一全切れ線と第一裏半切れ誘導線との間で蓋本体が層間剥離される。層間剥離の剥離面は、第一全切れ線から第一表半切れ線部に進行するとともに、第一裏半切れ誘導線から裏半切れ本線に進行する。これにより、表半切れ線と裏半切れ本線との間で蓋本体が層間剥離されて、蓋材が開封される。
【0015】
しかも、この蓋材では、第一全切れ線の先端が、裏半切れ本線と第一裏半切れ誘導線とが接続する第一接続点を通り蓋本体の長辺方向に延びる第一基準線に対する摘み部の反対側に位置している。このため、層間剥離は、第一全切れ線の先端に進行する前に、裏半切れ本線の第一接続点よりも遠方の位置まで進行しやすくなる。このため、第一全切れ線の先端から第一表半切れ線部に蓋本体の破断が進行することで剥離面が裏半切れ本線よりも蓋材の表面側に移動したとしても、裏半切れ本線で囲まれた部分を蓋材の裏面側から持ち上げようとする力が働いて、剥離面と裏半切れ本線との間の部分が引きちぎられやすくなる。これにより、開封の確実性を向上することができる。
【0016】
[4] [3]に記載の蓋材において、蓋本体は、摘み部から延びる第二全切れ線を有し、裏半切れ線は、第二全切れ線の近傍から延びて裏半切れ本線に接続される第二裏半切れ誘導線を有し、表半切れ線は、第二全切れ線の摘み部とは反対側の先端の近傍から延びる第二表半切れ線部を有し、第二全切れ線の先端は、裏半切れ本線と第二裏半切れ誘導線とが接続する第二接続点を通り蓋本体の短辺方向に延びる第二基準線に対する摘み部の反対側に位置していてもよい。
【0017】
この蓋材では、蓋本体が、摘み部から延びる第二全切れ線を有し、裏半切れ線が、第二全切れ線の近傍から延びて裏半切れ本線に接続される第二裏半切れ誘導線を有し、表半切れ線が、第二全切れ線の摘み部とは反対側の先端の近傍から延びる第二表半切れ線部を有する。このため、摘み部を引っ張って開封しようとすると、第二全切れ線と第二裏半切れ誘導線との間で蓋本体が層間剥離される。層間剥離の剥離面は、第二全切れ線から第二表半切れ線部に進行するとともに、第二裏半切れ誘導線から裏半切れ本線に進行する。これにより、表半切れ線と裏半切れ本線との間で蓋本体が層間剥離されて、蓋材が開封される。
【0018】
しかも、この蓋材では、第二全切れ線の先端が、裏半切れ本線と第二裏半切れ誘導線とが接続する第二接続点を通り蓋本体の短辺方向に延びる第二基準線に対する摘み部とは反対側に位置している。このため、層間剥離は、第二全切れ線の先端に進行する前に、裏半切れ本線の第二接続点よりも遠方の位置まで進行しやすくなる。このため、第二全切れ線の先端から第二表半切れ線部に破断が進行して剥離面が裏半切れ本線よりも蓋材の表面側に移動したとしても、裏半切れ本線で囲まれた部分を蓋材の裏面側から持ち上げようとする力が働いて、剥離面と裏半切れ本線との間の部分が引きちぎられやすくなる。これにより、開封の確実性を向上することができる。
【0019】
[5] [2]又は[4]に記載の蓋材において、第一全切れ線は、第一全切れ線の先端まで直線状に延びる第一直線部を有し、第二全切れ線は、第二全切れ線の先端まで直線状に延びる第二直線部を有し、第一直線部と第二直線部とは、摘み部の突出方向とは反対の方向に向かって互いに離間する方向に延びていてもよい。この蓋材では、第一全切れ線の先端まで直線状に延びる第一直線部と第二全切れ線の先端まで直線状に延びる第二直線部とが、摘み部の突出方向とは反対の方向に向かって互いに離間する方向に延びているため、第一接続点と第二接続点とを通る直線と、第一直線部を通る直線と、第二直線部を通る直線とにより、三角形が形成される。これにより、摘み部を持ち上げた際に、第一接続点と第二接続点とを通る直線上で蓋本体が折れ曲がり易くなるため、摘み部を容易に持ち上げることができる。
【0020】
[6] [2]、[4]及び[5]の何れか一つに記載の蓋材において、第一全切れ線の先端と第二全切れ線の先端とを通る直線を全切れ線先端基準線とし、第一接続点と第二接続点とを通る直線を接続点基準線とした場合、接続点基準線に対する全切れ線先端基準線の傾斜角度は、10°以下であってもよい。この蓋材では、接続点基準線に対する全切れ線先端基準線の傾斜角度が10°以下であるため、摘み部を持ち上げた際に、接続点基準線上で蓋本体が折れ曲がり易くなる。これにより、摘み部を引き上げやすくなるため、蓋材を容易に開封することができる。
【0021】
[7] [6]に記載の蓋材において、第一接続点及び第二接続点は、全切れ線先端基準線に対する摘み部の反対側に位置していてもよい。この蓋材では、摘み部を引っ張って開封しようとすると、第一全切れ線の先端及び第二全切れ線の先端において蓋材の開封抵抗が大きくなって、全切れ線先端基準線において蓋本体が折れ曲がる。そして、第一接続点及び第二接続点が全切れ線先端基準線に対する摘み部の反対側に位置しているため、第一全切れ線の先端及び第二全切れ線の先端から裏半切れ本線に至る蓋本体の破断をスムーズに行うことができる。
【0022】
[8] [1]~[7]の何れか一つに記載の蓋材において、蓋本体は、フランジ上に配置されるフランジ配置部と、フランジ配置部の内側に位置してフランジよりも開口側に配置される開口配置部と、を有し、表半切れ線は、フランジ配置部に形成されており、裏半切れ本線は、開口配置部に形成されていてもよい。この蓋材では、表半切れ線がフランジ上に配置されるフランジ配置部に形成されており、裏半切れ本線がフランジよりも開口側に配置される開口配置部に形成されている。このため、剥離面が裏半切れ本線の第一接続点よりも遠方の位置に進行した際に、裏半切れ本線で囲まれた部分を適切に蓋材の裏面側から持ち上げようとする力が働きやすくなる。これにより、剥離面と裏半切れ本線との間の部分が引きちぎられやすくなる。
【0023】
[9] 本発明に係る蓋付き容器は、開口と、開口の周辺に形成されたフランジと、を有する容器と、[1]~[8]の何れか一つに記載の蓋材と、を備え、蓋材は、フランジに接合されて開口を塞ぐ。この蓋付き容器では、上述した何れかの蓋材がフランジに接合されて開口を塞いでいるため、開封の確実性を向上することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、開封の確実性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、実施形態に係る蓋付き容器を示す平面図である。
図2図2は、図1に示すII-II線における模式断面図である。
図3図3は、蓋材の一部を拡大した模式断面図である。
図4図4は、実施形態に係る蓋材の一部を拡大した平面図である。
図5図5は、実施形態に係る蓋材の一部を拡大した平面図である。
図6図6は、実施形態に係る蓋材の一部を拡大した平面図である。
図7図7は、図4に示すVII-VII線における模式端面図である。
図8図8は、蓋材が層間剥離された状態を示す、図7に対応する模式端面図である。
図9図9は、図4に示すIX-IX線における模式端面図である。
図10図10は、蓋材が層間剥離された状態を示す、図9に対応する模式端面図である。
図11図11は、図4に示すXI-XI線における模式端面図である。
図12図12は、蓋材が層間剥離された状態を示す、図11に対応する模式端面図である。
図13図13は、比較例の蓋材の一部を拡大した平面図である。
図14図14は、図13に示すXIV-XIV線における模式端面図である。
図15図15は、蓋本体が層間剥離された状態を示す、図14に対応する模式端面図である。
図16図16は、図13に示すXVI-XVI線における模式端面図である。
図17図17は、蓋本体が層間剥離された状態を示す、図16に対応する模式端面図である。
図18図18は、図13に示すXVIII-XVIII線における模式端面図である。
図19図19は、蓋本体が層間剥離された状態を示す、図18に対応する模式端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0027】
図1は、実施形態に係る蓋付き容器を示す正面図である。図2は、図1に示すII-II線における模式断面図である。図1及び図2に示すように、本実施形態に係る蓋付き容器1は、容器2と、蓋材3と、を備える。
【0028】
容器2は、矩形状の開口21と、開口21の周辺に形成されたフランジ22と、を有する。矩形状とは、実質的に矩形とみなせる形状であり、例えば、矩形の四隅が丸められた形状等も矩形状に含まれる。容器2には、例えば、食品等の内容物23が充填されている。内容物23は、開口21から取り出すことが可能である。フランジ22は、開口21と同様に矩形状に形成されている。
【0029】
図3は、蓋材の一部を拡大した模式断面図である。図1図3に示すように、蓋材3は、容器2のフランジ22に接合されて容器2の開口21を塞ぐシート状の部材である。蓋材3の表面3aは、蓋付き容器1の上方に露出される面となっており、蓋材3の裏面3bは、容器2のフランジ22に接合される面となっている。蓋材3は、シーラント層31と、紙基材層32と、が積層された積層体となっている。
【0030】
シーラント層31は、蓋材3の裏面3bを形成して、容器2のフランジ22に接合される。フランジ22に対するシーラント層31の接合は、例えば、ヒートシールにより行われる。シーラント層31の材料は、特に限定されるものではなく、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等とすることができる。耐熱性の観点から、シーラント層31はポリプロピレンであることが好ましい。
【0031】
紙基材層32は、シーラント層31の表面3a側に配置されている。紙基材層32は、表面3aを形成してもよく、表面3aを形成しなくてもよい。例えば、紙基材層32の表面3a側にコート層等の他の層が配置されており、この他の層が表面3aを形成していてもよい。紙基材層32は、単層構造であってもよく、多層構造であってもよい。紙基材層32を多層構造とすることで、紙基材層32に容易に厚み及び剛性を持たせることができる。
【0032】
なお、容器2は、蓋材3と同様に、シーラント層(不図示)と、紙基材層(不図示)と、が積層された積層体となっていてもよい。この場合、蓋付き容器1は、蓋材3のシーラント層31が容器2のシーラント層にヒートヒールされて構成されていてもよい。
【0033】
図4は、実施形態に係る蓋材の一部を拡大した平面図である。図1図4に示すように、蓋材3は、蓋本体33と、摘み部34と、を備える。蓋本体33及び摘み部34のそれぞれは、シーラント層31と紙基材層32とが積層された積層体となっている。シーラント層31と紙基材層32との積層方向を、蓋材3の厚さ方向D1という。
【0034】
図1及び図4に示すように、蓋本体33は、容器2のフランジ22に接合されて容器2の開口21を塞ぐ部分である。蓋本体33は、フランジ22に接合されて開口21を塞ぐために、矩形状に形成されている。蓋本体33の四隅のうちの一つの角部を、角部35という。蓋本体33は、角部35を挟んで直線状に延びる第一外周辺部36及び第二外周辺部37を有する。第一外周辺部36及び第二外周辺部37は、蓋本体33の四つの直線状に延びる外周辺部のうちの、角部35を挟んで隣接する二つの外周辺部である。第一外周辺部36と第二外周辺部37とは、互いに直交する方向に延びている。第一外周辺部36は、蓋材3の短辺方向D2に延びて蓋材3の長辺を成しており、第二外周辺部37は、蓋材3の長辺方向D3に延びて蓋材3の短辺を成している。蓋材3の長辺方向D3は、蓋材3の紙目方向D4となっている。このため、第一外周辺部36は、蓋材3の紙目方向D4と直交する方向に延びており、第二外周辺部37は、蓋材3の紙目方向D4に延びている。
【0035】
また、蓋本体33は、フランジ22上に配置されるフランジ配置部38と、フランジ配置部38の内側に位置してフランジ22よりも開口21側に配置される開口配置部39と、を有する。フランジ配置部38は、その全部または一部において、フランジ22に接合される。つまり、フランジ配置部38には、フランジ22に接合されない部分があってもよい。開口配置部39は、フランジ22に対向されない。また、開口配置部39は、フランジ22に接合されない。
【0036】
摘み部34は、蓋材3を開封する際に掴む部分である。摘み部34は、開封タブ等とも呼ばれる。摘み部34は、蓋本体33の角部35に位置している。摘み部34は、蓋本体33から突出している。蓋本体33に対して摘み部34が突出す方向を、突出方向D5といい、突出方向D5とは反対の方向を、引張方向D6という。引張方向D6は、蓋材3を開封するために摘み部34を引っ張る方向でもある。突出方向D5及び引張方向D6は、例えば、第一外周辺部36及び第二外周辺部37に対して45°(135°)となる方向とすることができる。摘み部34と蓋本体33との境界となる仮想線を、境界仮想線34aという。
【0037】
蓋本体33は、第一全切れ線40と、第二全切れ線50と、裏半切れ線60と、表半切れ線70と、を有する。
【0038】
第一全切れ線40は、表面3aから裏面3bまで切られた全切れ線である。第一全切れ線40は、摘み部34から延びている。具体的には、第一全切れ線40は、蓋本体33の角部35の端縁に位置する境界仮想線34aの一方側の先端から延びている。境界仮想線34aの一方側の先端は、境界仮想線34aの第一外周辺部36側の先端である。第一全切れ線40は、境界仮想線34aの一方側の先端から引張方向D6に延びる第一全切れ線上流部41と、第一全切れ線上流部41の先端から第一外周辺部36側に屈曲して引張方向D6に対して傾斜する方向に延びる第一全切れ線下流部42と、を有する。なお、第一全切れ線下流部42は、第一全切れ線上流部41の先端から湾曲しながら延びて、第一全切れ線上流部41と滑らかに接続されていてもよい。第一全切れ線40の摘み部34側の先端を、基端40aといい、第一全切れ線40の摘み部34とは反対側の先端を、先端40bといい、第一全切れ線40の第一外周辺部36側に屈曲する箇所又は湾曲し始める箇所を屈曲点40cという。基端40aは、第一全切れ線上流部41の摘み部34側の先端でもある。先端40bは、第一全切れ線下流部42の摘み部34とは反対側の先端でもある。屈曲点40cは、第一全切れ線上流部41と第一全切れ線下流部42とが接続される箇所でもある。
【0039】
第二全切れ線50は、表面3aから裏面3bまで切られた全切れ線である。第二全切れ線50は、摘み部34から延びている。具体的には、第二全切れ線50は、蓋本体33の角部35の端縁に位置する境界仮想線34aの他方側の先端から延びている。境界仮想線34aの他方側の先端は、境界仮想線34aの第二外周辺部37側の先端である。第二全切れ線50は、境界仮想線34aの他方側の先端から引張方向D6に延びる第二全切れ線上流部51と、第二全切れ線上流部51の先端から第二外周辺部37側に屈曲して引張方向D6に対して傾斜する方向に延びる第二全切れ線下流部52と、を有する。なお、第二全切れ線下流部52は、第二全切れ線上流部51の先端から湾曲しながら延びて、第二全切れ線上流部51と滑らかに接続されていてもよい。第二全切れ線50の摘み部34側の先端を、基端50aといい、第二全切れ線50の摘み部34とは反対側の先端を、先端50bといい、第二全切れ線50の第二外周辺部37側に屈曲する箇所又は湾曲し始める箇所を屈曲点50cという。基端50aは、第二全切れ線上流部51の摘み部34側の先端でもある。先端50bは、第二全切れ線下流部52の摘み部34とは反対側の先端でもある。屈曲点50cは、第二全切れ線上流部51と第二全切れ線下流部52とが接続される箇所でもある。
【0040】
第一全切れ線上流部41と第二全切れ線上流部51とは、互いに平行となっている。第一全切れ線下流部42は、先端40bまで直線状に延びる第一直線部を有している。第一全切れ線下流部42が、第一全切れ線上流部41の先端から第一外周辺部36側に屈曲して引張方向D6に対して傾斜する方向に延びている場合は、第一全切れ線下流部42の全体が第一直線部となる。一方、第一全切れ線下流部42が、第一全切れ線上流部41の先端から湾曲しながら延びている場合は、第一全切れ線下流部42の先端40bを含む一部が第一直線部となる。第二全切れ線下流部52は、先端50bまで直線状に延びる第二直線部を有している。第二全切れ線下流部52が、第二全切れ線上流部51の先端から第二外周辺部37側に屈曲して引張方向D6に対して傾斜する方向に延びている場合は、第二全切れ線下流部52の全体が第二直線部となる。一方、第二全切れ線下流部52が、第二全切れ線上流部51の先端から湾曲しながら延びている場合は、第二全切れ線下流部52の先端50bを含む一部が第二直線部となる。
【0041】
そして、第一全切れ線下流部42の全体又は一部である第一直線部と第二全切れ線下流部52の全体または一部である第二直線部とは、引張方向D6に向って互いに離間する方向に延びている。つまり、第一全切れ線下流部42の全体又は一部である第一直線部は、引張方向D6に対して第一外周辺部36側に傾斜した方向に延びており、第二全切れ線下流部52の全体または一部である第二直線部は、引張方向D6に対して第二外周辺部37側に傾斜した方向に延びている。図5は、実施形態に係る蓋材の一部を拡大した平面図である。図5に示すように、第一接続点61cと第二接続点61dとを通る直線L3と、第一直線部を通る直線L4と、第二直線部を通る直線L5とにより、三角形が形成される。
【0042】
図1及び図4に示すように、裏半切れ線60は、蓋本体33の裏面3b側に形成された半切れ線である。つまり、裏半切れ線60は、表面3aに至らないように裏面3bから表面3aに向けて蓋本体33に切り込まれた半切れ線である。表半切れ線70は、蓋本体33の表面3a側に形成された半切れ線である。つまり、表半切れ線70は、裏面3bに至らないように表面3aから裏面3bに向けて蓋本体33に切り込まれた半切れ線である。半切れ線は、ハーフカット線等とも呼ばれる。厚さ方向D1において、裏半切れ線60の切込先端は、表半切れ線70の切込先端よりも表面3a側に位置していることが好ましい。同様に、蓋材3の厚さ方向D1において、表半切れ線70の切込先端は、裏半切れ線60の切込先端よりも裏面3b側に位置していることが好ましい。しかしながら、裏半切れ線60及び表半切れ線70の形成不良等により、裏半切れ線60の切込先端が、表半切れ線70の切込先端よりも表面3a側に位置している場合もある。図1等の平面図では、表半切れ線70を実線で示し、裏半切れ線60を破線で示している。
【0043】
裏半切れ線60は、裏半切れ本線61と、第一裏半切れ誘導線63と、第二裏半切れ誘導線64と、を有する。
【0044】
裏半切れ本線61は、蓋本体33の開口配置部39に形成されている。裏半切れ本線61は、蓋本体33の外周に沿って延びている。つまり、裏半切れ本線61は、蓋本体33の外周に沿って周回するように無端状に延びている。裏半切れ本線61は、第一裏半切れ本線部61aと、第二裏半切れ本線部61bと、を有する。第一裏半切れ本線部61aは、蓋本体33の角部35を除く蓋本体33の外周に沿って延びている。第二裏半切れ本線部61bは、第一裏半切れ本線部61aの一方側の先端と第一裏半切れ本線部61aの他方側の先端とに接続されている。第一裏半切れ本線部61aと第二裏半切れ本線部61bとが接続される二つの接続点のうち、第一外周辺部36側に位置する接続点を、第一接続点61cといい、第二外周辺部37側に位置する接続点を、第二接続点61dという。第一裏半切れ本線部61aは、角部35とは反対側を通るように第一接続点61cから第二接続点61dまで延びている。第二裏半切れ本線部61bは、角部35側を通るように第一接続点61cから第二接続点61dまで延びている。第二裏半切れ本線部61bは、直線状に延びている。但し、第二裏半切れ本線部61bは、曲線状に延びていてもよく、屈曲線状に延びていてもよい。
【0045】
第一裏半切れ誘導線63は、第一全切れ線40の近傍、より具体的には第一全切れ線40の屈曲点40cの近傍から延びて裏半切れ本線61に接続されている。第一裏半切れ誘導線63は、第一接続点61cにおいて、裏半切れ本線61に接続されている。このため、第一接続点61cは、裏半切れ本線61と第一裏半切れ誘導線63とが接続される接続点でもある。第一裏半切れ誘導線63の第一全切れ線40側の先端を、先端63aという。第一全切れ線40の近傍とは、第一全切れ線40から離間し、且つ、第一全切れ線40に近い位置をいう。このため、第一裏半切れ誘導線63の先端63aは、第一全切れ線40から離間している。第一裏半切れ誘導線63の先端63aは、蓋本体33のフランジ配置部38に形成されている。
【0046】
第二裏半切れ誘導線64は、第二全切れ線50の近傍、より具体的には第二全切れ線50の屈曲点50cの近傍から延びて裏半切れ本線61に接続されている。第一裏半切れ誘導線63は、第二接続点61dにおいて、裏半切れ本線61に接続されている。このため、第二接続点61dは、裏半切れ本線61と第二裏半切れ誘導線64とが接続される接続点でもある。第二裏半切れ誘導線64の第二全切れ線50側の先端を、先端64aという。第二全切れ線50の近傍とは、第二全切れ線50から離間し、且つ、第二全切れ線50に近い位置をいう。このため、第二裏半切れ誘導線64の先端64aは、第二全切れ線50から離間している。第二裏半切れ誘導線64の先端64aは、蓋本体33のフランジ配置部38に形成されている。
【0047】
表半切れ線70は、蓋本体33のフランジ配置部38に形成されている。表半切れ線70は、裏半切れ線60と蓋材3の外周との間に位置している。表半切れ線70は、蓋本体33の角部35を除く蓋本体33の外周に沿って延びている。表半切れ線70は、第一全切れ線40の近傍から第二全切れ線50の近傍まで、角部35とは反対側を通るように蓋本体33の外周に沿って延びている。
【0048】
表半切れ線70は、第一表半切れ線部71と、第二表半切れ線部72と、を有する。
【0049】
第一表半切れ線部71は、表半切れ線70の第一全切れ線40側の先端部分である。第一表半切れ線部71は、第一外周辺部36と裏半切れ線60との間に位置している。第一表半切れ線部71は、第一全切れ線40の先端40bの近傍から、第一外周辺部36に沿って短辺方向D2(紙目方向D4と直交する方向)に延びている。第一表半切れ線部71の第一全切れ線40側の先端を、先端71aという。第一表半切れ線部71の先端71aは、第一全切れ線40から離間している。
【0050】
第二表半切れ線部72は、表半切れ線70の第二全切れ線50側の先端部分である。第二表半切れ線部72は、第二外周辺部37と裏半切れ線60との間に位置している。第二表半切れ線部72は、第二全切れ線50の先端50bの近傍から第二外周辺部37に沿って長辺方向D3(紙目方向D4)に延びている。第二表半切れ線部72の第二全切れ線50側の先端を、先端72aという。第二表半切れ線部72の先端72aは、第二全切れ線50から離間している。
【0051】
第一表半切れ線部71の先端71aは、第一全切れ線40の第一外周辺部36とは反対側に位置している。つまり、長辺方向D3から見て、第一表半切れ線部71の一部が、第一全切れ線40の第一外周辺部36とは反対側に位置して、第一全切れ線40の一部とオーバーラップするように位置している。第二表半切れ線部72の先端72aは、長辺方向D3において、第二全切れ線50の先端50bよりも摘み部34とは反対側に位置している。
【0052】
ここで、第一接続点61cを通り、突出方向D5に対して摘み部34から離れる方向に45°傾斜する線、又は第一接続点61cを通り、蓋本体33の長辺方向D3に延びる線を、第一基準線L1とする。第一基準線L1は、第一接続点61cを通り、突出方向D5に対して摘み部34から離れる方向に45°傾斜する線であるとともに、第一接続点61cを通り、蓋本体33の長辺方向D3に延びる線であってもよい。第一基準線L1は、蓋本体33上の仮想線である。そして、第一全切れ線40の先端40bは、第一基準線L1に対する摘み部34の反対側に位置している。つまり、第一基準線L1と直交する方向において、第一全切れ線40の先端40bは、第一接続点61cよりも摘み部34から遠くに位置している。また、蓋本体33の短辺方向D2において、第一全切れ線40の先端40bは、第一接続点61cよりも摘み部34から遠くに位置している。
【0053】
また、第二接続点61dを通り、突出方向D5に対して摘み部34から離れる方向に45°傾斜する線、又は第二接続点61dを通り、蓋本体33の短辺方向D2に延びる線を、第二基準線L2とする。第二基準線L2は、第二接続点61dを通り、突出方向D5に対して摘み部34から離れる方向に45°傾斜する線であるとともに、第二接続点61dを通り、蓋本体33の短辺方向D2に延びる線であってもよい。第二基準線L2は、蓋本体33上の仮想線である。そして、第二全切れ線50の先端50bは、第二基準線L2に対する摘み部34の反対側に位置している。つまり、第二基準線L2と直交する方向において、第二全切れ線50の先端50bは、第二接続点61dよりも摘み部34から遠くに位置している。また、蓋本体33の長辺方向D3において、第二全切れ線50の先端50bは、第二接続点61dよりも摘み部34から遠くに位置している。
【0054】
図6は、実施形態に係る蓋材の一部を拡大した平面図である。図6に示すように、第一全切れ線40の先端40bと第二全切れ線50の先端50bとを通る直線を全切れ線先端基準線L6とし、第一接続点61cと第二接続点61dとを通る直線を接続点基準線L7とする。この場合、接続点基準線L7に対する全切れ線先端基準線L6の傾斜角度は、10°以下であることが好ましく、8°以下であることがより好ましく、5°以下であることが更に好ましい。なお、接続点基準線L7に対する全切れ線先端基準線L6の傾斜角度が10°以下であるとは、接続点基準線L7と全切れ線先端基準線L6とが平行である場合を含む。
【0055】
突出方向D5における第一接続点61c及び第二接続点61dと全切れ線先端基準線L6との位置関係は、特に限定されるものではないが、第一接続点61c及び第二接続点61dは、全切れ線先端基準線L6に対する摘み部34の反対側に位置していることが好ましい。
【0056】
図1及び図2に示すように、蓋付き容器1では、フランジ配置部38がフランジ22上に配置され、開口配置部39がフランジ22よりも開口21側に配置されるように、蓋材3が容器2のフランジ22に接合されている。つまり、表半切れ線70がフランジ22上に配置され、裏半切れ本線61がフランジ22よりも開口21側に配置されるように、蓋材3が容器2のフランジ22に接合されている。
【0057】
このように構成される蓋付き容器1では、蓋材3を開封するために摘み部34を引張方向D6に引っ張ると、第一全切れ線40と第一裏半切れ誘導線63との間で蓋本体33が層間剥離される。この層間剥離の剥離面は、第一全切れ線40から第一表半切れ線部71に進行するとともに、第一裏半切れ誘導線63から第二裏半切れ本線部61bに進行する。また、第二全切れ線50と第二裏半切れ誘導線64との間で蓋本体33が層間剥離される。この層間剥離の剥離面は、第二全切れ線50から第二表半切れ線部72に進行するとともに、第二裏半切れ誘導線64から第二裏半切れ本線部61bに進行する。これにより、表半切れ線70と第二裏半切れ本線部61bとの間で蓋本体33が層間剥離されて、蓋材3が開封される。
【0058】
ここで、図13を参照して、比較例の蓋材について説明する。図13は、比較例の蓋材の一部を拡大した平面図である。図13に示すように、比較例の蓋材103は、基本的に本実施形態の蓋材3と同様であるが、第一全切れ線の摘み部とは反対側の先端と第一基準線との関係、及び第二全切れ線の摘み部とは反対側の先端と第二基準線との関係が、本実施形態の蓋材3と相違する。
【0059】
比較例の蓋材103の蓋本体133は、上記実施形態の第一全切れ線40対応する第一全切れ線140と、上記実施形態の第二全切れ線50に対応する第二全切れ線150と、裏半切れ線60と、上記実施形態の表半切れ線70に対応する表半切れ線170と、を有する。
【0060】
第一全切れ線140は、第一全切れ線上流部41と、上記実施形態の第一全切れ線下流部42に対応する第一全切れ線下流部142と、を有する。第一全切れ線下流部142は、上記実施形態の第一全切れ線下流部42よりも摘み部34から遠い位置まで延びている。第二全切れ線150は、第二全切れ線上流部51と、上記実施形態の第二全切れ線下流部52に対応する第二全切れ線下流部152と、を有する。第二全切れ線下流部152は、上記実施形態の第二全切れ線下流部52よりも摘み部34から遠い位置まで延びている。
【0061】
表半切れ線170は、上記実施形態の第一表半切れ線部71対応する第一表半切れ線部171と、上記実施形態の第二表半切れ線部72に対応する第二表半切れ線部172と、を有している。第一表半切れ線部171の第一全切れ線140側の先端171aは、上記実施形態の第一表半切れ線部71の先端71aよりも摘み部34から遠くに位置して、第一全切れ線140の摘み部34とは反対側の先端140bの近傍に位置している。第二表半切れ線部172の第二全切れ線150側の先端172aは、上記実施形態の第二表半切れ線部72の先端72aよりも摘み部34から遠くに位置して、第二全切れ線150の摘み部34とは反対側の先端150bの近傍に位置している。
【0062】
そして、第一全切れ線140の先端140bは、第一基準線L1に対する摘み部34側に位置しており、第二全切れ線150の先端150bは、第二基準線L2に対する摘み部34側に位置している。
【0063】
図13に示すように、比較例の蓋材103が容器2のフランジ22に接合された蓋付き容器において、摘み部34を引張方向D6に引っ張ると、第一全切れ線140と第二全切れ線150とに挟まれた部分において蓋本体33が層間剥離する。そして、第一全切れ線140の屈曲点40c又はその近傍から第一裏半切れ誘導線63まで蓋本体133の破断が進行するとともに、第二全切れ線150の屈曲点50c又はその近傍から第二裏半切れ誘導線64まで蓋本体133の破断が進行する。その後、第一全切れ線140の先端140bから第一表半切れ線部171まで蓋本体133の破断が進行するとともに、第二全切れ線150の先端150bから第二表半切れ線部172まで蓋本体133の破断が進行する。
【0064】
図14は、図13に示すXIV-XIV線における模式端面図である。図15は、蓋本体が層間剥離された状態を示す、図14に対応する模式端面図である。図13図15に示すように、第一全切れ線140から第一裏半切れ誘導線63まで蓋本体133の破断が進行するとともに、第二全切れ線150から第二裏半切れ誘導線64まで蓋本体133の破断が進行すると、第一全切れ線140と第一裏半切れ誘導線63との間、第一裏半切れ誘導線63と第二裏半切れ誘導線64との間、及び第二裏半切れ誘導線64と第二全切れ線150との間において、蓋本体133が層間剥離する。つまり、この層間剥離の剥離面は、第一全切れ線140から第一裏半切れ誘導線63に至る剥離面133a、第一裏半切れ誘導線63から第二裏半切れ誘導線64に至る剥離面133b、及び第二裏半切れ誘導線64から第二全切れ線150に至る剥離面(不図示)となる。蓋本体133の剥離された表面103a側の部分を、剥離部分133cという。
【0065】
図16は、図13に示すXVI-XVI線における模式端面図である。図17は、蓋本体が層間剥離された状態を示す、図16に対応する模式端面図である。図18は、図13に示すXVIII-XVIII線における模式端面図である。図19は、蓋本体が層間剥離された状態を示す、図18に対応する模式端面図である。図13図16、及び図17に示すように、蓋本体133の層間剥離が、第一全切れ線140の先端140bまで進行すると、蓋本体133の剥離部分133cが破断し、この破断が第一全切れ線140の先端140bから第一表半切れ線部171まで進行していく。ここで、表半切れ線170の切込先端170aが、裏半切れ線60の切込先端60aよりも表面103a側に位置している場合を考える(図16参照)。この場合、蓋本体133の剥離部分133cの破断が第一全切れ線140の先端140bから第一表半切れ線部171に進行することで、剥離面133aが、蓋材103の表面103a側に引き上げられて、裏半切れ線60よりも表面103a側に移動することがある。その結果、剥離面133aが第一裏半切れ誘導線63及び第二裏半切れ本線部61bの表面103a側を通過して蓋本体133の内側まで進行する開封不良が発生する。剥離面133aが第一裏半切れ誘導線63よりも表面103a側に移動していると、図13図18、及び図19に示すように、蓋本体133の層間剥離が第一接続点61cを越えて進行しても、剥離面133aは第一裏半切れ本線部61aの表面103a側を通過していきやすい。その結果、剥離面133aが第二裏半切れ本線部61bの表面103a側を通過して蓋本体133の内側まで進行する開封不良が発生する。
【0066】
同様に、蓋本体133の層間剥離が、第二全切れ線150の先端150bまで進行すると、蓋本体133の剥離部分133cが破断して、この破断が第二全切れ線150の先端150bから第二表半切れ線部172まで進行していく。ここで、表半切れ線170の切込先端170aが、裏半切れ線60の切込先端60aよりも表面103a側に位置している場合を考える(図16参照)。この場合、蓋本体133の剥離部分133cの破断が第二全切れ線150の先端150bから第二表半切れ線部172まで進行することで、剥離面が、蓋材103の表面103a側に引き上げられて、第二裏半切れ誘導線64よりも表面103a側に移動することがある。その結果、剥離面が第二裏半切れ誘導線64及び第二裏半切れ本線部61bの表面103a側を通過して蓋本体133の内側まで進行する開封不良が発生する。剥離面が第二裏半切れ誘導線64よりも表面103a側に移動していると、蓋本体133の層間剥離が第二接続点61dを越えて進行しても、剥離面は第一裏半切れ本線部61aの表面103a側を通過していきやすい。その結果、剥離面が第二裏半切れ本線部61bの表面103a側を通過して蓋本体133の内側まで進行する開封不良が発生する。
【0067】
図7は、図4に示すVII-VII線における模式端面図である。図8は、蓋本体が層間剥離された状態を示す、図7に対応する模式端面図である。図1図4図7、及び図8に示すように、本実施形態の蓋付き容器1において、摘み部34を引張方向D6に引っ張ると、第一全切れ線40と第二全切れ線50とに挟まれた部分において蓋本体33が層間剥離する。そして、第一全切れ線40から第一裏半切れ誘導線63まで蓋本体33の破断が進行するとともに、第二全切れ線50から第二裏半切れ誘導線64まで蓋本体33の破断が進行すると、第一全切れ線40と第一裏半切れ誘導線63との間、第一裏半切れ誘導線63と第二裏半切れ誘導線64との間、及び第二裏半切れ誘導線64と第二全切れ線50との間において、蓋本体33が層間剥離する。つまり、この層間剥離の剥離面は、第一全切れ線40から第一裏半切れ誘導線63に至る剥離面33a、第一裏半切れ誘導線63から第二裏半切れ誘導線64に至る剥離面33b、及び第二裏半切れ誘導線64から第二全切れ線50に至る剥離面(不図示)となる。蓋本体33の剥離された表面3a側の部分を、剥離部分33cという。
【0068】
図9は、図4に示すIX-IX線における模式端面図である。図10は、蓋本体が層間剥離された状態を示す、図9に対応する模式端面図である。図11は、図4に示すXI-XI線における模式端面図である。図12は、蓋本体が層間剥離された状態を示す、図11に対応する模式端面図である。図4、及び図9図12に示すように、蓋本体33の層間剥離が、第一全切れ線40の先端40bまで進行すると、蓋本体33の剥離部分33cが破断し、この破断が第一全切れ線40の先端40bから第一表半切れ線部71まで進行していく。ここで、表半切れ線70の切込先端70aが、裏半切れ線60の切込先端60aよりも表面3a側に位置している場合を考える(図11参照)。この場合、蓋本体33の剥離部分33cの破断が第一全切れ線40の先端40bから第一表半切れ線部71に進行することで、剥離面33aが、蓋材3の表面3a側に引き上げられて、裏半切れ線60よりも表面3a側に移動することがある。しかしながら、第一全切れ線40の先端40bが第一基準線L1に対する摘み部34の反対側に位置しているため、蓋本体33の層間剥離が第一全切れ線40の先端40bに進行する前に、蓋本体33の層間剥離が第一裏半切れ本線部61aにも進行して、剥離面33aが第一裏半切れ本線部61aに到達しやすくなる。このため、裏半切れ本線61で囲まれた部分を蓋材3の裏面3b側から持ち上げようとする力が働いて、剥離面33aと第一裏半切れ本線部61aとの間の部分が引きちぎられやすくなる。その結果、剥離面33aが第二裏半切れ本線部61bの表面3a側を通過して蓋本体33の内側まで進行する開封不良が発生しにくくなる。
【0069】
同様に、蓋本体33の層間剥離が、第二全切れ線50の先端50bまで進行すると、蓋本体33の剥離部分33cが破断し、この破断が第二全切れ線50の先端50bから第二表半切れ線部72まで進行していく。ここで、表半切れ線70の切込先端70aが、裏半切れ線60の切込先端60aよりも表面3a側に位置している場合を考える(図11参照)。この場合、蓋本体33の剥離部分33cの破断が第二全切れ線50の先端50bから第二表半切れ線部72に進行することで、剥離面が、蓋材3の表面3a側に引き上げられて、裏半切れ線60よりも表面3a側に移動することがある。しかしながら、第二全切れ線50の先端50bが第二基準線L2に対する摘み部34の反対側に位置しているため、蓋本体33の層間剥離が第二全切れ線50の先端50bに進行する前に、蓋本体33の層間剥離が第一裏半切れ本線部61aにも進行して、剥離面が第一裏半切れ本線部61aに到達しやすくなる。このため、裏半切れ本線61で囲まれた部分を蓋材3の裏面3b側から持ち上げようとする力が働いて、剥離面と第一裏半切れ本線部61aとの間の部分が引きちぎられやすくなる。その結果、剥離面が第二裏半切れ本線部61bの表面3a側を通過して蓋本体33の内側まで進行する開封不良が発生しにくくなる。
【0070】
以上説明したように、本実施形態に係る蓋材3では、蓋本体33が、摘み部34から延びる第一全切れ線40と、蓋本体33の裏面に形成された裏半切れ線60と、蓋本体33の表面に形成された表半切れ線70と、を有し、裏半切れ線60が、蓋本体33の外周に沿って延びる裏半切れ本線61と、第一全切れ線40の近傍から延びて裏半切れ本線61に接続される第一裏半切れ誘導線63と、を有し、表半切れ線70が、第一全切れ線40の摘み部34とは反対側の先端40bの近傍から延びる第一表半切れ線部71を有している。このため、摘み部34を引っ張って開封しようとすると、第一全切れ線40と第一裏半切れ誘導線63との間で蓋本体33が層間剥離される。層間剥離の剥離面33aは、第一全切れ線40から第一表半切れ線部71に進行するとともに、第一裏半切れ誘導線63から裏半切れ本線61に進行する。これにより、表半切れ線70と裏半切れ本線61との間で蓋本体33が層間剥離されて、蓋材3が開封される。
【0071】
しかも、この蓋材3では、第一全切れ線40の先端40bが、第一基準線L1に対する摘み部34の反対側に位置している。このため、層間剥離は、第一全切れ線40の先端40bに進行する前に、第一裏半切れ本線部61aに進行しやすくなる。このため、第一全切れ線40の先端40bから第一表半切れ線部71に蓋本体33の破断が進行することで剥離面33aが裏半切れ本線61よりも蓋材3の表面3a側に移動したとしても、裏半切れ本線61で囲まれた部分を蓋材3の裏面3b側から持ち上げようとする力が働いて、剥離面33aと第一裏半切れ本線部61aとの間の部分が引きちぎられやすくなる。これにより、開封の確実性を向上することができる。
【0072】
また、この蓋材3では、蓋本体33が、摘み部34から延びる第二全切れ線50を有し、裏半切れ線60が、第二全切れ線50の近傍から延びて裏半切れ本線61に接続される第二裏半切れ誘導線64を有し、表半切れ線70が、第二全切れ線50の摘み部34とは反対側の先端50bの近傍から延びる第二表半切れ線部72を有する。このため、摘み部34を引っ張って開封しようとすると、第二全切れ線50と第二裏半切れ誘導線64との間で蓋本体33が層間剥離される。層間剥離の剥離面は、第二全切れ線50から第二表半切れ線部72に進行するとともに、第二裏半切れ誘導線64から裏半切れ本線61に進行する。これにより、表半切れ線70と裏半切れ本線61との間で蓋本体33が層間剥離されて、蓋材3が開封される。
【0073】
しかも、この蓋材3では、第二全切れ線50の先端50bが、第二基準線L2に対する摘み部34の反対側に位置している。このため、層間剥離は、第二全切れ線50の先端50bに進行する前に、第二裏半切れ本線部61bまで進行しやすくなる。このため、第二全切れ線50の先端50bから第二表半切れ線部72に蓋本体33の破断が進行することで剥離面が裏半切れ本線61よりも蓋材3の表面3a側に移動したとしても、裏半切れ本線61で囲まれた部分を蓋材3の裏面3b側から持ち上げようとする力が働いて、剥離面と第一裏半切れ本線部61aとの間の部分が引きちぎられやすくなる。これにより、開封の確実性を向上することができる。
【0074】
また、この蓋材3では、第一全切れ線40の先端まで直線状に延びる第一直線部と第二全切れ線50の先端まで直線状に延びる第二直線部とが、引張方向D6に向かって互いに離間する方向に延びているため、第一接続点61cと第二接続点61dとを通る直線と、第一直線部を通る直線と、第二直線部を通る直線とにより、三角形が形成される。これにより、摘み部34を持ち上げた際に、第一接続点61cと第二接続点61dとを通る直線上で蓋本体が折れ曲がり易くなるため、摘み部34を容易に持ち上げることができる。
【0075】
また、この蓋材3では、接続点基準線L7に対する全切れ線先端基準線L6の傾斜角度が10°以下、8°以下、又は5°以下であるため、摘み部34を持ち上げた際に、接続点基準線L7上で蓋本体33が折れ曲がり易くなる。これにより、摘み部34を引き上げやすくなるため、蓋材3を容易に開封することができる。
【0076】
また、この蓋材3では、摘み部34を引っ張って開封しようとすると、第一全切れ線40の先端40b及び第二全切れ線50の先端50bにおいて蓋材3の開封抵抗が大きくなって、全切れ線先端基準線L6において蓋本体が折れ曲がる。そして、第一接続点61c及び第二接続点61dが全切れ線先端基準線L6に対する摘み部34の反対側に位置しているため、第一全切れ線40の先端40b及び第二全切れ線50の先端50bから裏半切れ本線61に至る蓋本体33の破断をスムーズに行うことができる。
【0077】
また、この蓋材3では、表半切れ線70がフランジ22上に配置されるフランジ配置部38に形成されており、裏半切れ本線61がフランジ22よりも開口21側に配置される開口配置部39に形成されている。このため、剥離面33aが第一裏半切れ本線部61aに進行した際に、裏半切れ本線61で囲まれた部分を適切に蓋材3の裏面側から持ち上げようとする力が働きやすくなる。これにより、剥離面33aと第一裏半切れ本線部61aとの間の部分が引きちぎられやすくなる。
【0078】
本実施形態に係る蓋付き容器1では、上述した蓋材3がフランジ22に接合されて開口21を塞いでいるため、開封の確実性を向上することができる。
【0079】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で変形し、又は他のものに適用してもよい。
【0080】
例えば、上記実施形態では、蓋材は、長辺方向に長く短辺方向に短い矩形状に形成されるものとして説明したが、蓋材の形状は特に限定されるものではなく、例えば、正方形状、五角形状、六角形状、八角形状、円形状、楕円形状等に形成されていてもよい。
【0081】
また、上記実施形態では、第一外周辺部が紙目方向と直交する方向に延びており、第二外周辺部が紙目方向に延びているものとして説明したが、紙目方向は、上記以外の方向であってもよい。
【0082】
また、上記実施形態では、第一全切れ線の摘み部とは反対側の先端が第一基準線よりも摘み部から離れた位置にあるととも、第二全切れ線の摘み部とは反対側の先端が第一基準線よりも摘み部から離れた位置にあるものとして説明したが、第一全切れ線の摘み部とは反対側の先端及び第二全切れ線の摘み部とは反対側の先端の少なくとも一方が、第一基準線よりも摘み部から離れた位置にあればよい。つまり、第一全切れ線の摘み部とは反対側の先端及び第二全切れ線の摘み部とは反対側の先端の何れか一方は、第一基準線よりも摘み部から離れた位置になくてもよい。
【0083】
また、上記実施形態では、第一全切れ線、第二全切れ線、裏半切れ線、及び表半切れ線の具体的な形状について説明したが、これらの切れ線の形状は、特に限定されるものではなく、適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0084】
1…蓋付き容器、2…容器、3…蓋材、3a…表面、3b…裏面、21…開口、22…フランジ、23…内容物、31…シーラント層、32…紙基材層、33…蓋本体、33a…剥離面、33b…剥離面、33c…剥離部分、34…摘み部、34a…境界仮想線、35…角部、36…第一外周辺部、37…第二外周辺部、38…フランジ配置部、39…開口配置部、40…第一全切れ線、40a…基端、40b…先端、40c…屈曲点、41…第一全切れ線上流部、42…第一全切れ線下流部、50…第二全切れ線、50a…基端、50b…先端、50c…屈曲点、51…第二全切れ線上流部、52…第二全切れ線下流部、60…裏半切れ線、60a…切込先端、61…裏半切れ本線、61a…第一裏半切れ本線部、61b…第二裏半切れ本線部、61c…第一接続点、61d…第二接続点、63…第一裏半切れ誘導線、63a…先端、64…第二裏半切れ誘導線、64a…先端、70…表半切れ線、70a…切込先端、71…第一表半切れ線部、71a…先端、72…第二表半切れ線部、72a…先端、103…蓋材、103a…表面、133…蓋本体、133a…剥離面、133b…剥離面、133c…剥離部分、140…第一全切れ線、140b…先端、142…第一全切れ線下流部、150…第二全切れ線、150b…先端、152…第二全切れ線下流部、170…表半切れ線、170a…切込先端、171…第一表半切れ線部、171a…先端、172…第二表半切れ線部、172a…先端、D1…厚さ方向、D2…短辺方向、D3…長辺方向、D4…紙目方向、D5…突出方向、D6…引張方向、L1…第一基準線、L2…第二基準線、L3…直線、L4…直線、L5…直線、L6…全切れ線先端基準線、L7…接続点基準線。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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