(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025014767
(43)【公開日】2025-01-30
(54)【発明の名称】排気熱回収装置
(51)【国際特許分類】
F01N 5/02 20060101AFI20250123BHJP
F01N 13/08 20100101ALI20250123BHJP
【FI】
F01N5/02 B
F01N13/08 B
F01N13/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023117582
(22)【出願日】2023-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】000004765
【氏名又は名称】マレリ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】千葉 尚治
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 史朗
(72)【発明者】
【氏名】久永 徹
【テーマコード(参考)】
3G004
【Fターム(参考)】
3G004DA14
3G004DA24
3G004EA01
3G004EA04
3G004GA04
(57)【要約】
【課題】熱交換部に流れる排ガスの温度低下を防止し、熱回収効率の低下を防止すること。
【解決手段】排気熱回収装置1は、排ガスが流れる第1流路を有する第1流路部材10と、第1流路部材10に隣接し、熱交換部30を有し、第2流路を有する第2流路部材20と、第1流路を開閉する及び第2流路からの排ガスの流れを遮蔽又は阻害するバルブ機構40とを備え、第1流路部材10は、バルブ機構40よりも排ガスの流れ方向における上流側の少なくとも一部に、第1流路に面する内側壁部17と、第1流路とは反対側に位置する外側壁部18と、を有する二重壁部19を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンから排出された排ガスの熱を流体との熱交換によって回収する排気熱回収装置であって、
排ガスが流れる第1流路が内部に形成される第1流路部材と、
前記第1流路部材に隣接して設けられ、前記第1流路の一部を迂回する第2流路が内部に形成され、前記第2流路内を流れる排ガスと流体との間で熱交換を行う熱交換部を有する第2流路部材と、
前記第1流路に設けられたバルブ機構と、
を備え、
前記バルブ機構は、前記第1流路を開放し、又は、前記第1流路を閉塞して前記第2流路に排ガスを誘導し、
前記第1流路部材は、前記バルブ機構よりも排ガスの流れ方向における上流側の少なくとも一部に、前記第1流路に面する内側壁部と、前記内側壁部の前記第1流路とは反対側に位置する外側壁部と、を有する二重壁部を備えた、
排気熱回収装置。
【請求項2】
請求項1に記載の排気熱回収装置であって、
前記二重壁部は、前記内側壁部と前記外側壁部との間に形成され、前記第1流路と隔離された空隙部を有する、
排気熱回収装置。
【請求項3】
請求項1に記載の排気熱回収装置であって、
前記第1流路部材の内側に、前記第1流路部材の内側表面の少なくとも一部を覆う内側部材を備え、
前記内側部材が前記内側壁部を構成し、前記第1流路部材が前記外側壁部を構成する、
排気熱回収装置。
【請求項4】
請求項3に記載の排気熱回収装置であって、
前記第1流路部材は、前記第2流路部材と2箇所で連結され、
前記二重壁部は、前記第1流路部材において、前記第2流路部材との2箇所の連結点の間に設けられ、
前記内側部材は、排ガスの流れ方向における上流側又は下流側の一方に、前記第1流路部材との接合部を備え、前記接合部を有しない上流側又は下流側の他方は、自由端である、
排気熱回収装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気熱回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、排ガスが流れる第1流路を有する第1流路部材と、第1流路に隣接して設けられ、第1流路を迂回する第2流路を有する第2流路部材と、排ガスと冷媒との間で熱交換を行う熱交換部と、を有する排気熱回収装置が開示されている。
【0003】
特許文献1に記載の排気熱回収装置は、第1流路における排ガスの流れ方向に直交する回転軸によって第1流路を開閉するバタフライバルブと、バタフライバルブが第1流路を開放すると迂回路である第2流路からの流出口を閉塞し、バタフライバルブが第1流路を閉塞すると流出口を開放するシャッタ部と、を有し、排ガスの流路を第1流路または第2流路に切り換えるバルブ機構を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された排気熱回収装置では、例えば、排ガスを第1流路から第2流路に迂回させて、熱交換部において熱交換を行う際に、バタフライバルブによって第1流路が閉塞されると、バタフライバルブと第1流路部材とによってできる閉塞空間に排ガスが滞留し、第2流路に流れ込む。
【0006】
しかしながら、排ガスが滞留すると、排ガスの熱が第1流路部材に伝導され、第1流路部材から外部に放出されることにより、熱損失が生じる。そのため、熱交換部に流れる排ガスの温度が低下し、熱回収効率が低下するおそれがあった。
【0007】
本発明は、熱交換部に流れる排ガスの温度低下を防止し、熱回収効率の低下を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある態様によれば、エンジンから排出された排ガスの熱を流体との熱交換によって回収する排気熱回収装置であって、排ガスが流れる第1流路が内部に形成される第1流路部材と、前記第1流路部材に隣接して設けられ、前記第1流路の一部を迂回する第2流路が内部に形成され、前記第2流路内を流れる排ガスと流体との間で熱交換を行う熱交換部を有する第2流路部材と、前記第1流路に設けられたバルブ機構と 、を備え、前記バルブ機構は、前記第1流路を開放し、又は、前記第1流路を閉塞して前記第2流路に排ガスを誘導し、前記第1流路部材は、前記バルブ機構よりも排ガスの流れ方向における上流側の少なくとも一部に、前記第1流路に面する内側壁部と、前記内側壁部の前記第1流路とは反対側に位置する外側壁部と、を有する二重壁部を備えた、排気熱回収装置が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、熱交換部に流れる排ガスの温度低下を防止し、熱回収効率の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る排気熱回収装置を説明する斜視図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係る排気熱回収装置の一部を切り欠いて示す正面図である。
【
図3】
図3は、本実施形態に係る排気熱回収装置の熱回収状態を説明する、第1流路の上流側からみた側面図である。
【
図4】
図4は、本実施形態に係る排気熱回収装置のバルブ機構を説明する斜視図である。
【
図5】
図5は、本実施形態に係る排気熱回収装置の一部を切り欠いて示す正面図である。
【
図6】
図6は、本実施形態に係る排気熱回収装置の熱非回収状態を説明する、第1流路の上流側からみた側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態に係る排気熱回収装置1について、図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係る排気熱回収装置1を説明する斜視図である。
図2は、排気熱回収装置1の一部を切り欠いて示す正面図である。また、
図3は、
図2に示す排気熱回収装置1の熱回収状態を、第1流路14の上流側からみた側面図である。
【0013】
図1に示すように、排気熱回収装置1は、第1流路部材10と、第2流路部材20と、熱交換部30と、を備える。
【0014】
第1流路部材10は、本体部11と、第1流入部12と、第1流出部13とを有する。本体部11は、中空構造であり、本体部11の内部に、排ガスが流れる第1流路14が形成される。
【0015】
第1流入部12は、本体部11における一方側の開口であって、エンジンからの排ガスの流路に接続される。第1流出部13は、本体部11における他方側の開口であって、排ガスの流路に接続される。排ガス流れにおいて、第1流入部12が第1流出部13に対して上流側に位置する。
【0016】
本体部11には、排ガスが第1流路14から第2流路24(
図2参照)へと流出する流出口としての第1上流側開口部15と、排ガスが第2流路24から第1流路14へと流入する流入口としての第1下流側開口部16とが形成されている。
【0017】
第1流路部材10は、第1流路14を開閉するバタフライバルブ41(
図2)よりも排ガスの流れ方向における上流側に二重壁部19を備える。二重壁部19は、第1流路14に面する内側壁部17と、内側壁部17の第1流路14とは反対側に位置する外側壁部18と、を有する。
【0018】
本実施形態において、排気熱回収装置1は、第1流路部材10の内側に、第1流路部材10の内側表面の少なくとも一部を覆う内側部材50を備える。
【0019】
本実施形態においては、内側部材50は内側壁部17を構成し、第1流路部材10は外側壁部18を構成する。すなわち、第1流路部材10と内側部材50は、二重壁部19を構成する。
【0020】
二重壁部19は、内側壁部17と外側壁部18との間に、第1流路14と隔離された空隙部S1を有する。
【0021】
内側部材50は、排ガスの流れ方向における上流側又は下流側の一部に、第1流路部材10との接合部53を備える。本実施形態においては、排ガスの流れ方向における下流側にある接合部53において、第1流路部材10と内側部材50とがスポット溶接にて接続されている。
【0022】
本実施形態においては、内側部材50は、第1流路14の内側に向けて起立した第1起立部51を有する。第1起立部51は、第1流路14における第1下流側開口部16の上流側に位置しており、第1下流側開口部16の、排ガスの流れ方向に直交する方向に亘って形成されている。
【0023】
また、内側部材50は、第1起立部51と対向する内側表面に、第1流路14の内側に向けて起立した第2起立部52を有する。第2起立部52は、バルブ機構40が熱回収状態にあるときのバタフライバルブ41(弁体43)の上流側に形成されており、排ガスの流れ方向に直交する方向に亘って形成されている。
【0024】
第1起立部51は、バルブ機構40の熱非回収状態(
図5)において、第1流路部材10の内側表面からの高さH1が第1下流側開口部16とバルブ機構40(シャッタ部42)との離間方向にできる隙間D1よりも大きく形成されている。また、第2起立部52は、熱回収状態(
図2)において、第1流路部材10の内側表面からの高さH2が第1流路部材10の内側表面とバルブ機構40(弁体43)との離間方向における隙間D2よりも大きく形成されている。
【0025】
第2流路部材20は、第1流路部材10に隣接して設けられる。第2流路部材20は、本体部21と、第2上流側開口部22と、第2下流側開口部23とを有する。
【0026】
本体部21は、中空構造であり、本体部21の内部に、第1流路14の一部を迂回した排ガスが流れる第2流路24が形成される。
【0027】
第2上流側開口部22は、第2流路24における上流側に位置しており、第1流路14の一部から迂回した排ガスを本体部21の内部に取り込む。第2下流側開口部23は、本体部21の内部を流れた排ガスを第1流路14に流す。
【0028】
第2上流側開口部22は、第1流路部材10に形成された第1上流側開口部15と第1連通部25によって連結されている。また、第2下流側開口部23は、第1流路部材10に形成された第1下流側開口部16と第2連通部26によって連結されている。
【0029】
第1連通部25の内側、第2流路部材20の内部、及び第2連通部26の内側は、第2流路24を構成する。
【0030】
上述した第1流路部材10及び第2流路部材20により、第1流路14から第1連通部25を通じて、排ガスを第2流路部材20に迂回させることができる。また、第2流路部材20を流れた排ガスを、第2連通部26を通じて、第1流路14に流すことができる。
【0031】
第2流路部材20は、熱交換部30を有する。熱交換部30は、冷媒流入部31と、熱交換部本体部32と、冷媒流出部33と、を有し、冷媒として冷却水が流通する。熱交換部30は、第2流路24を流れる排ガスと冷媒との間で熱交換を行う。
【0032】
冷媒流入部31は、エンジンを冷却する前の冷却水が流れる流路(図示省略)と熱交換部本体部32の内部とを繋ぐ中空管形状の部位である。冷媒流入部31は、上記流路から供給される冷媒としての冷却水を熱交換部本体部32の内部へ流入させる。
【0033】
冷媒流出部33は、熱交換部本体部32の内部とエンジンへ冷却水を供給する流路(図示省略)とを繋ぐ中空菅形状の部位である。冷媒流入部31は、熱交換部本体部32の内部を流れた冷却水を、上記流路へ流出させる。
【0034】
熱交換部30は、第2流路部材20の本体部21のうち熱交換部本体部32に取り囲まれた部位内(第2流路24のうち熱交換部本体部32に取り囲まれた部位)を排ガスが流れる際には、当該排ガスと熱交換部本体部32の内部を流れる冷却水との間で熱交換を行って、排ガスの熱を冷却水へ移動させて回収することができる。なお、後述するバルブ機構40が第1流路14を閉塞し、排ガスが第2流路24を流れて、当該熱交換を行う状態を熱回収状態という。一方、バルブ機構40が第1流路14を開放し、排ガスが第2流路24を流れない状態を熱非回収状態という。
【0035】
図2に示すように、排気熱回収装置1は、第1流路部材10の内部にバルブ機構40を備える。
【0036】
図4は、
図1に示す排気熱回収装置1のバルブ機構40を説明する斜視図である。
【0037】
バルブ機構40は、第1流路14を開閉するバタフライバルブ41と、第2流路24から第1流路14に流入する排ガスを遮蔽又は阻害するためのシャッタ部42と、第1流路14を開閉するための弁体43とを有する。
【0038】
バルブ機構40は、排ガスの流れ方向において、内側部材50の下流側の一部に設けられている。すなわち、バルブ機構40は、二重壁部19よりも下流側に設けられている。
【0039】
弁体43には、回転軸部44が連結されており、第1流路14内において、回転可能に支持される。回転軸部44は、図示しない駆動部としてアクチュエータの駆動軸と連結されている。
【0040】
バタフライバルブ41における弁体43は、第1流路14を閉塞可能な長さ及び幅に形成された板状の部材である。弁体43は、回転軸部44の回転によって、第1流路14の開放または閉塞を切り換えることができる。
【0041】
シャッタ部42は、弁体43に設けられている。シャッタ部42は、シャッタ本体部42aと、一対の連結部42bとを有する。シャッタ本体部42aは、第1下流側開口部16を開放又は閉塞する。
【0042】
連結部42bは、弁体43からシャッタ本体部42aが第1流路部材10の内側壁部(第1下流側開口部16)に接触しない且つ第1下流側開口部16を閉塞可能な距離を保持してシャッタ本体部42aを支持する。
【0043】
シャッタ部42は、回転するバルブ機構40の回転半径方向における外側に向けて突出した凸部45を有する。凸部45は、バルブ機構40の熱非回収状態(
図5及び
図6)であるときに、排ガスの流れ方向における第1下流側開口部16の下流側において第1流路部材10の内側表面に当接する。
【0044】
弁体43の熱非回収状態において、排ガスの流れ方向における上流側の、弁体43の端部43aは、バルブ機構40の熱回収状態、すなわち、弁体43が第1流路14を閉塞する状態において、第1起立部51と当接又は近接するように構成されている。
【0045】
また、弁体43の熱非回収状態において、排ガスの流れ方向における下流側の、弁体43の端部43bは、バルブ機構40の熱回収状態、すなわち、弁体43が第1流路14を閉塞する状態において、第2起立部52と当接又は近接するように構成されている。
【0046】
本実施形態において、第1起立部51は、バルブ機構40の熱非回収状態(
図5)において、第1下流側開口部16とシャッタ部42との離間方向にできる隙間D1よりも大きく形成されている。また、第2起立部52は、バルブ機構40の熱回収状態(
図2)において、第1流路部材10の内側表面と前記バルブとの離間方向における隙間D2よりも大きく形成されている。
【0047】
<バルブ機構の動作と排ガスの流れ>
次に、本実施形態に係る排気熱回収装置1におけるバルブ機構40の動作と排ガスの流れについて説明する。
【0048】
図5は、排気熱回収装置1の一部を切り欠いて示す正面図である。また、
図6は、
図5に示す排気熱回収装置1の熱非回収状態を、第1流路14の上流側からみた側面図である。
【0049】
排気熱回収装置1におけるバルブ機構40は、シャッタ部42により第1下流側開口部16を開放するとともにバタフライバルブ41により第1流路14を閉塞する熱回収状態(
図2及び
図3)と、シャッタ部42により第1下流側開口部16を閉塞するとともにバタフライバルブ41により第1流路14を開放する熱非回収状態(
図5及び
図6)と、を切り換えることができる。
【0050】
本実施形態において、
図5及び
図6に示すように、熱非回収状態になると、バルブ機構40の弁体43の主面が排ガスの流れ方向と平行になるように、バルブ機構40が回転し、シャッタ部42における端部42eの先端が第1起立部51の排ガスの流れ方向における下流側の表面に当接するとともに、シャッタ部42に形成された凸部45が、排ガスの流れ方向における第1下流側開口部16の下流側において、第1流路部材10の内側表面に当接する。
【0051】
この状態では、排ガスは、第1流入部12から第1流路部材10に流入し、第1流路部材10の内部に形成された第1流路14を流れて第1流出部13から流出する。
【0052】
一方、熱非回収状態のときに流れ方向の上流側に位置していた弁体43の端部43aが第1起立部51に接近するとともに、流れ方向の下流側に位置していた弁体43の端部43bが第2起立部52に接近する方向に回転することによって、バルブ機構40の弁体43の主面が排ガスの流れ方向と直行するように、バルブ機構40が回転し、熱回収状態に遷移する。
【0053】
図2及び
図3に示すように、バルブ機構40が熱回収状態になると、第1起立部51における流れ方向の上流側の表面と、弁体43の端部43aにおける流れ方向の下流側の表面とが当接する。また、第2起立部52における流れ方向の下流側の表面と、弁体43の端部43bにおける流れ方向の上流側の表面とが当接する。
【0054】
この状態では、排ガスは、第1流入部12から第1流路部材10に流入すると、弁体43と第1流路部材10とによってできる空間S2に滞留し、第1上流側開口部15から第2流路24に流入する。
【0055】
排ガスは、第2流路部材20の内部の第2流路24を流れ、熱交換部30に流通する冷媒との間で熱交換が行われる。排ガスは、第2流路24を流れた後、第1下流側開口部16から第1流路14に戻り、第1流路を流れて第1流出部13から流出する。
【0056】
<作用効果>
本実施形態に係る排気熱回収装置1は、排ガスが流れる第1流路14が内部に形成される第1流路部材10と、第1流路部材10に隣接して設けられ、第1流路14の一部を迂回する第2流路24が内部に形成され、第2流路24を流れる排ガスと冷媒との間で熱交換を行う熱交換部30を有する第2流路部材20と、第1流路部材10内に配置されて第1流路14を開閉するバタフライバルブ41及び第2流路24からの排ガスの流れを遮蔽又は阻害するシャッタ部42を有するバルブ機構40と、を備える。
【0057】
第1流路部材10には、第1流路14から第2流路24への排ガスの流出口としての第1上流側開口部15と、第2流路24から第1流路14への排ガスの流入口としての第1下流側開口部16と、が形成されている。
【0058】
バルブ機構40は、第1流路14における排ガスの流れ方向に直交する回転軸部44が回転することにより、熱回収状態と熱非回収状態に切り替えられるように構成されている。前述のとおり、熱非回収状態では、シャッタ部42により第1下流側開口部16を閉塞するとともに、バタフライバルブ41により第1流路14を開放する。熱回収状態では、シャッタ部42により第1下流側開口部16を開放するとともに、バタフライバルブ41により第1流路14を閉塞する。
【0059】
本実施形態において、第1流路部材10は、第1流路14を開閉するバタフライバルブ41よりも排ガスの流れ方向における上流側に、第1流路14に面する内側壁部17と、内側壁部17の第1流路14とは反対側に位置する外側壁部18と、を有する二重壁部19を備える。
【0060】
二重壁部19は、内側壁部17と外側壁部18との間に形成され、第1流路14と隔離された空隙部S1を有する。
【0061】
排ガス熱交換部30において熱交換を行う際には、排ガスは、閉じられたバタフライバルブ41によってできた第1流路部材10の空間S2に滞留し、第1上流側開口部15から第2流路24に流入する(
図2における矢印参照)。
【0062】
このような場合に、二重壁部19では、第1流路14を流れる排ガスの熱が内側壁部17から外側壁部18を経由して外部に伝導されるため、二重壁部19において、外側壁部18から第1流路部材10の外部への放熱による熱損失を抑制することができる。
【0063】
したがって、排気熱回収装置1によれば、熱交換部30に流れる排ガスの温度低下を防止し、熱回収効率の低下を防止することができる。
【0064】
本実施形態においては、二重壁部19が空隙部S1を有することにより、内側壁部17の内側に構成される第1流路14を流れる排ガスの熱の伝導を空隙部S1によって阻むことができる。
【0065】
したがって、外側壁部18を構成する第1流路部材10から第1流路部材10の外部への放熱による熱損失を抑制する効果を高めることができる。
【0066】
本実施形態においては、内側部材50は、第1流路部材10の内側に設けられ、第1流路部材10の内側表面を覆っており、内側部材50が内側壁部17を構成し、第1流路部材10が外側壁部18を構成する。
【0067】
このように、内側部材50によって内側壁部17を構成することにより、二重壁部19製造を容易にすることができる。
【0068】
本実施形態においては、内側部材50は、排ガスの流れ方向における下流側にある接合部53において、第1流路部材10と内側部材50とがスポット溶接にて接続されている。
【0069】
このように、本実施形態において、内側部材50は、排ガスの流れ方向における上流側又は下流側の一方で第1流路部材10と接合し、上流側又は下流側のうち接合されていない他方を内側壁部17の熱伸縮に対して自由端とすることができる。
【0070】
特に、第1流路部材10の外側壁部18は、第2流路部材20と2箇所で連結されている。より、詳細には、第2流路部材20の第1連通部25が第1流路部材10の第1上流側開口部15と連結し、第2流路部材20の第2連通部26が第1流路部材10の第1下流側開口部16と連結している。熱非回収状態では、第1流路14内を高温の排ガスが流れるため、第1流路部材10が排ガスの熱によって膨張しようとする。しかし、第1流路部材10において、上記のように第2流路部材20と2箇所の連結点の間の部分では、第2流路部材20によって位置が規制されるから、熱応力が発生する。
これに対し、排気熱回収装置1において、二重壁部19を第1上流側開口部15と第1下流側開口部16との間に配置させ(すなわち、二重壁部19を2箇所の連結点の間に配置させ)、排ガスの熱をうける内側壁部17(内側部材50)を局所的に溶接し、少なくとも一方の端部を自由端とすることで、内側壁部17の熱膨張を許容した。これにより、排気熱回収装置1の耐熱性を向上させることができる。
【0071】
[その他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は、本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0072】
第一実施形態において、排ガスを冷却する流体は、冷却水以外であってよく、熱交換に適した液体または気体等の媒体を適用可能である。
【0073】
本実施形態において、バルブ機構40は、一対の連結部42bがシャッタ本体部42aの両端を支持する構造である。これに対して、例えば、連結部42bは、シャッタ本体部42aの中央部に1つあってもよい。また、複数の連結部42bが平行に配置された、いわゆるルーバーであってもよい。
【0074】
第1流路部材10の内側に設けられる内側部材50は、バルブ機構40の回転軸部44の軸を含む水平面に沿って分割される構造であってもよい。また、内側部材50は、バルブ機構40の回転軸部44の軸に垂直な面に沿って分割される構造であってもよい。
【符号の説明】
【0075】
1 排気熱回収装置
10 第1流路部材
11 本体部
12 第1流入部
13 第1流出部
14 第1流路
15 第1上流側開口部
16 第1下流側開口部
17 内側壁部
18 外側壁部
19 二重壁部
20 第2流路部材
21 本体部
22 第2上流側開口部
23 第2下流側開口部
24 第2流路
25 第1連通部
26 第2連結部
30 熱交換部
31 冷媒流入部
32 熱交換部本体部
33 冷媒流出部
40 バルブ機構
41 バタフライバルブ
42 シャッタ部
42e シャッタ部の端部
43 弁体
43a,43b 弁体の端部
44 回転軸部
45 凸部
50 内側部材50
51 第1起立部
52 第2起立部