(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025014778
(43)【公開日】2025-01-30
(54)【発明の名称】直動案内ユニット製造装置
(51)【国際特許分類】
F16C 43/06 20060101AFI20250123BHJP
F16C 29/06 20060101ALI20250123BHJP
B23P 21/00 20060101ALI20250123BHJP
【FI】
F16C43/06
F16C29/06
B23P21/00 301A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023117601
(22)【出願日】2023-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】000229335
【氏名又は名称】日本トムソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136098
【弁理士】
【氏名又は名称】北野 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100137246
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 勝也
(74)【代理人】
【識別番号】100158861
【弁理士】
【氏名又は名称】南部 史
(74)【代理人】
【識別番号】100194674
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 覚史
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 崇
【テーマコード(参考)】
3C030
3J104
3J117
【Fターム(参考)】
3C030CA12
3J104AA02
3J104AA25
3J104AA36
3J104AA67
3J104AA69
3J104AA74
3J104AA76
3J104AA77
3J104BA80
3J104DA17
3J104EA01
3J117HA03
(57)【要約】
【課題】各軌道路に対して円滑かつ効率的に転動体を挿入することができる直動案内ユニット製造装置を提供する。
【解決手段】直動案内ユニット製造装置は、4条列の直動案内ユニットの軌道路内に転動体を挿入する。直動案内ユニットは、レールと、スライダと、複数の第1転動体と、複数の第2転動体と、を含む。直動案内ユニット製造装置は、スライダ保持部と、第1転動体貯留部と、第2転動体貯留部と、第1転動体供給管と、第2転動体供給管と、第1転動体挿入機構と、第2転動体挿入機構と、を備える。第1転動体を挿入する第1転動体挿入方向は、第1転動体の転動軸心方向に沿う方向である。第2転動体挿入機構は、第2転動体供給管の排出口から第2軌道路に至る第2転動体案内路と、棒状であって、第2転動体案内路内を往復運動可能であり、第2転動体の転動面が第2下軌道面に沿うように第2転動体を第2軌道路内に第2転動体を押し込む押し部材を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
4条列の直動案内ユニットの軌道路内に転動体を挿入する直動案内ユニット製造装置であって、
前記直動案内ユニットは、
長手方向に延びる一対の第1上軌道面および一対の第1下軌道面を有するレールと、
前記レールに相対移動可能に取り付けられ、前記一対の第1上軌道面に対向する一対の第2上軌道面および前記一対の第1下軌道面に対向する一対の第2下軌道面を有するスライダと、
前記第1上軌道面と前記第2上軌道面とから構成される第1軌道路を転動する複数の第1転動体と、
前記第1下軌道面と前記第2下軌道面とから構成される第2軌道路を転動する複数の第2転動体と、を含み、
前記直動案内ユニット製造装置は、
前記スライダを保持するスライダ保持部と、
前記スライダ保持部の上側に配置されており、前記第1軌道路内に挿入される前記複数の第1転動体を貯留する第1転動体貯留部と、
前記スライダ保持部の上側に配置されており、前記第2軌道路内に挿入される前記複数の第2転動体を貯留する第2転動体貯留部と、
前記第1転動体が一つずつ通過可能であり、前記第1転動体貯留部から延びる第1転動体供給管と、
前記第2転動体が一つずつ通過可能であり、前記第2転動体貯留部から延びる第2転動体供給管と、
前記第1転動体供給管の排出口から前記第1軌道路へ前記第1転動体を挿入する第1転動体挿入機構と、
前記第2転動体供給管の排出口から前記第2軌道路へ前記第2転動体を挿入する第2転動体挿入機構と、
前記スライダ保持部、前記第1転動体貯留部、前記第2転動体貯留部、前記第1転動体供給管、前記第2転動体供給管、前記第1転動体挿入機構および前記第2転動体挿入機構を保持する枠体と、を備え、
前記第1転動体を挿入する第1転動体挿入方向は、前記第1転動体の転動軸心方向に沿う方向であり、
前記第2転動体挿入機構は、
前記第2転動体供給管の排出口から前記第2軌道路に至る第2転動体案内路と、
棒状であって、前記第2転動体案内路内を往復運動可能であり、前記第2転動体の転動面が前記第2下軌道面に沿うように前記第2転動体を前記第2軌道路内に前記第2転動体を押し込む押し部材を含む、直動案内ユニット製造装置。
【請求項2】
前記複数の第1転動体はそれぞれ、自重により前記第1軌道路に向かって移動する、請求項1に記載の直動案内ユニット製造装置。
【請求項3】
前記第1転動体挿入機構は、前記第1軌道路内において前記第1転動体供給管の排出口の延長上に配置可能であり、前記第1軌道路に沿って往復運動可能なコマ部材を含む、請求項1または請求項2に記載の直動案内ユニット製造装置。
【請求項4】
前記第1転動体の転動軸心方向から見て、前記コマ部材の側壁面は、前記第1転動体の転動面に沿う円弧状である、請求項3に記載の直動案内ユニット製造装置。
【請求項5】
前記複数の第2転動体はそれぞれ、自重により前記第2転動体案内路に向かって移動する、請求項1または請求項2に記載の直動案内ユニット製造装置。
【請求項6】
鉛直方向に見て、前記第2転動体案内路は、前記第2軌道路に対して傾斜している、請求項1または請求項2に記載の直動案内ユニット製造装置。
【請求項7】
前記押し部材の先端部には、前記第2下軌道面に沿って傾斜する端面を有し、前記第2転動体を受け入れる凹部が設けられる、請求項1または請求項2に記載の直動案内ユニット製造装置。
【請求項8】
前記スライダ保持部は、鉛直方向の位置および水平方向の位置のうちの少なくともいずれか1つが可変である、請求項1または請求項2に記載の直動案内ユニット製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、直動案内ユニット製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
転動体としての複数のローラが組み込まれる直動案内ユニットが開示されている(例えば特許文献1参照)。特許文献1に開示の直動案内ユニットは、第1軌道面を有する軌道レールと、第2軌道面を有するケーシングを含むスライダと、第1軌道面および第2軌道面を転動する複数のローラと、を備える。スライダは、軌道レールに対して相対摺動自在に設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
直動案内ユニットの製造に際しては、転動体を軌道路内に挿入する必要がある。この時、4条列、すなわち一対の上軌道路および一対の下軌道路を有する直動案内ユニットにおいては、各軌道路に対して円滑かつ効率的に転動体を挿入することが求められる。
【0005】
そこで、各軌道路に対して円滑かつ効率的に転動体を挿入することができる直動案内ユニット製造装置を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に従った直動案内ユニット製造装置は、4条列の直動案内ユニットの軌道路内に転動体を挿入する。直動案内ユニットは、長手方向に延びる一対の第1上軌道面および一対の第1下軌道面を有するレールと、レールに相対移動可能に取り付けられ、一対の第1上軌道面に対向する一対の第2上軌道面および一対の第1下軌道面に対向する一対の第2下軌道面を有するスライダと、第1上軌道面と第2上軌道面とから構成される第1軌道路を転動する複数の第1転動体と、第1下軌道面と第2下軌道面とから構成される第2軌道路を転動する複数の第2転動体と、を含む。直動案内ユニット製造装置は、スライダを保持するスライダ保持部と、スライダ保持部の上側に配置されており、第1軌道路内に挿入される複数の第1転動体を貯留する第1転動体貯留部と、スライダ保持部の上側に配置されており、第2軌道路内に挿入される複数の第2転動体を貯留する第2転動体貯留部と、第1転動体が一つずつ通過可能であり、第1転動体貯留部から延びる第1転動体供給管と、第2転動体が一つずつ通過可能であり、第2転動体貯留部から延びる第2転動体供給管と、第1転動体供給管の排出口から第1軌道路へ第1転動体を挿入する第1転動体挿入機構と、第2転動体供給管の排出口から第2軌道路へ第2転動体を挿入する第2転動体挿入機構と、スライダ保持部、第1転動体貯留部、第2転動体貯留部、第1転動体供給管、第2転動体供給管、第1転動体挿入機構および第2転動体挿入機構を保持する枠体と、を備える。第1転動体を挿入する第1転動体挿入方向は、第1転動体の転動軸心方向に沿う方向である。第2転動体挿入機構は、第2転動体供給管の排出口から第2軌道路に至る第2転動体案内路と、棒状であって、第2転動体案内路内を往復運動可能であり、第2転動体の転動面が第2下軌道面に沿うように第2転動体を第2軌道路内に第2転動体を押し込む押し部材を含む。
【発明の効果】
【0007】
上記直動案内ユニット製造装置によれば、各軌道路に対して円滑かつ効率的に転動体を挿入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本開示の実施の形態1における直動案内ユニット製造装置を示す概略斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す直動案内ユニット製造装置の概略側面図である。
【
図3】
図3は、直動案内ユニット製造装置によって製造される直動案内ユニットを示す概略斜視図である。
【
図4】
図4は、
図3に示す直動案内ユニットの一部を示す概略断面図である。
【
図5】
図5は、第1軌道路内にローラを挿入する状態を示す概略斜視図である。
【
図6】
図6は、第1軌道路内にローラを挿入する状態を示す概略斜視図である。
【
図7】
図7は、第2軌道路内にローラを挿入する状態を示す概略斜視図である。
【
図8】
図8は、第2軌道路へローラ挿入する際の挿入経路を示す概略図である。
【
図9】
図9は、第2軌道路内へローラを挿入する際のローラの姿勢を傾斜させる状態を示す概略図である。
【
図10】
図10は、第2軌道路へのローラの押し込み状態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[実施形態の概要]
本開示の直動案内ユニット製造装置は、4条列の直動案内ユニットの軌道路内に転動体を挿入する。直動案内ユニットは、長手方向に延びる一対の第1上軌道面および一対の第1下軌道面を有するレールと、レールに相対移動可能に取り付けられ、一対の第1上軌道面に対向する一対の第2上軌道面および一対の第1下軌道面に対向する一対の第2下軌道面を有するスライダと、第1上軌道面と第2上軌道面とから構成される第1軌道路を転動する複数の第1転動体と、第1下軌道面と第2下軌道面とから構成される第2軌道路を転動する複数の第2転動体と、を含む。直動案内ユニット製造装置は、スライダを保持するスライダ保持部と、スライダ保持部の上側に配置されており、第1軌道路内に挿入される複数の第1転動体を貯留する第1転動体貯留部と、スライダ保持部の上側に配置されており、第2軌道路内に挿入される複数の第2転動体を貯留する第2転動体貯留部と、第1転動体が一つずつ通過可能であり、第1転動体貯留部から延びる第1転動体供給管と、第2転動体が一つずつ通過可能であり、第2転動体貯留部から延びる第2転動体供給管と、第1転動体供給管の排出口から第1軌道路へ第1転動体を挿入する第1転動体挿入機構と、第2転動体供給管の排出口から第2軌道路へ第2転動体を挿入する第2転動体挿入機構と、スライダ保持部、第1転動体貯留部、第2転動体貯留部、第1転動体供給管、第2転動体供給管、第1転動体挿入機構および第2転動体挿入機構を保持する枠体と、を備える。第1転動体を挿入する第1転動体挿入方向は、第1転動体の転動軸心方向に沿う方向である。第2転動体挿入機構は、第2転動体供給管の排出口から第2軌道路に至る第2転動体案内路と、棒状であって、第2転動体案内路内を往復運動可能であり、第2転動体の転動面が第2下軌道面に沿うように第2転動体を第2軌道路内に第2転動体を押し込む押し部材を含む。
【0010】
本開示の直動案内ユニット製造装置によると、第1転動体挿入方向は、第1転動体の転動軸心方向に沿う方向である。そうすると、第1転動体を第1転動体貯留部から第1転動体供給管を通過させて、第1軌道路内に円滑に挿入することができる。この場合、一つずつ通過可能なので、第1軌道路内に転動体の姿勢を適切にしながら複数の第1転動体を挿入することができる。また、第2転動体は、第2転動体貯留部から第2転動体供給管を通過して、第2転動体案内路内に供給される。そして、押し部材により一つずつ第2下軌道面に沿うように第2転動体を第2軌道路内に挿入することができる。そうすると、適切に第2転動体を第2軌道路内に挿入することができる。したがって、第2転動体を第2軌道路内に円滑に挿入することができる。この場合、第1転動体と第2転動体とを同時に挿入することができるため、時間の節約もでき、効率的な転動体の挿入が可能になる。以上より、上記直動案内ユニット製造装置によれば、各軌道路に対して円滑かつ効率的に転動体を挿入することができる。
【0011】
上記直動案内ユニット製造装置において、複数の第1転動体はそれぞれ、自重により第1軌道路に向かって移動してもよい。このようにすることにより、第1転動体を挿入する際の第1転動体を押し進める特別な動力は不要となるため、より安価に構成することができる。
【0012】
上記直動案内ユニット製造装置において、第1転動体挿入機構は、第1軌道路内において第1転動体供給管の排出口の延長上に配置可能であり、第1軌道路に沿って往復運動可能なコマ部材を含んでもよい。このようにすることにより、コマ部材を往復運動させて、第1軌道路内の前方と後方に交互に振り分けて第1転動体を挿入することができる。したがって、より円滑に第1転動体を第1軌道路内に挿入することができる。
【0013】
上記直動案内ユニット製造装置において、第1転動体の転動軸心方向から見て、コマ部材の側壁面は、第1転動体の転動面に沿う円弧状であってもよい。このようにすることにより、コマ部材による第1軌道路内における第1転動体の振り分けをより円滑に行うことができる。したがって、さらに円滑に第1転動体を第1軌道路内に挿入することができる。
【0014】
上記直動案内ユニット製造装置において、複数の第2転動体はそれぞれ、自重により第2転動体案内路に向かって移動してもよい。このようにすることにより、第2転動体を挿入する際の第2転動体を押し進める特別な動力は不要となるため、より安価に構成することができる。
【0015】
上記直動案内ユニット製造装置において、鉛直方向に見て、第2転動体案内路は、第2軌道路に対して傾斜していてもよい。このようにすることにより、第2軌道路内において一方向に第2転動体を円滑に挿入することができる。そうすると、既に挿入された第2転動体による、次に挿入する第2転動体の阻害を回避しやすくなる。したがって、より円滑に第2転動体を挿入することができる。
【0016】
上記直動案内ユニット製造装置において、押し部材の先端部には、第2下軌道面に沿って傾斜する端面を有し、第2転動体を受け入れる凹部が設けられてもよい。このようにすることにより、第2転動体をより確実に所望の角度に傾斜させながら、第2軌道路内に挿入することができる。そうすると、第2転動体案内路内において、第2転動体が所望しない角度に傾斜するおそれを低減することができる。したがって、より効率的に第2転動体を挿入することができる。
【0017】
上記直動案内ユニット製造装置において、スライダ保持部は、鉛直方向の位置および水平方向の位置のうちの少なくともいずれか1つが可変であってもよい。このようにすることにより、異なるサイズやタイプの直動案内ユニットにおいても、鉛直方向や水平方向の位置を変えてスライダを保持することができる。したがって、より汎用性の高いものとすることができる。
【0018】
[実施形態の具体例]
次に、本開示の直動案内ユニット製造装置の具体的な実施の形態の一例を、図面を参照しつつ説明する。以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰返さない。
【0019】
(実施の形態1)
まず、本開示の実施の形態である実施の形態1について説明する。
図1は、本開示の実施の形態1における直動案内ユニット製造装置を示す概略斜視図である。
図2は、
図1に示す直動案内ユニット製造装置の概略側面図である。
図1および
図2において、鉛直方向を矢印Zと逆の方向で鉛直方向を示し、X方向で直動案内ユニット製造装置の奥行方向を示し、Y方向で直動案内ユニット製造装置の幅方向を示す。
【0020】
図1および
図2を参照して、本開示の直動案内ユニット製造装置10aは、4条列の直動案内ユニットを製造する際において、転動体を軌道路内に挿入する際に利用される。直動案内ユニット製造装置10aは、枠体11aと、スライダ保持部12aと、第1転動体貯留部13aと、第2転動体貯留部14aと、第1転動体供給管15aと、第2転動体供給管16aと、第1転動体挿入機構17aと、第2転動体挿入機構18aと、を含む。枠体11aは、直動案内ユニット製造装置10aを構成する各部材、すなわち、スライダ保持部12a、第1転動体貯留部13a、第2転動体貯留部14a、第1転動体供給管15a、第2転動体供給管16a、第1転動体挿入機構17aおよび第2転動体挿入機構18aを保持する。本実施形態においては、転動体としてローラを用いている。
【0021】
ここで、直動案内ユニットによって製造される直動案内ユニットの一例について簡単に説明する。
図3は、直動案内ユニット製造装置10aによって製造される直動案内ユニットを示す概略斜視図である。
図4は、
図3に示す直動案内ユニットの一部を示す概略断面図である。
図4は、後述するケーシング25aを含み、長手方向に垂直な平面で切断した場合の断面図である。
図3および
図4において、L方向で長手方向を示し、W方向で短手方向を示し、T方向で厚さ方向を示す。
【0022】
図3および
図4を参照して、直動案内ユニット20aは、軌道レールであるレール21aと、スライダ22aと、第1転動体としての複数のローラ23a,23bと、第2転動体としての複数のローラ24a,24bと、を含む。ローラ23a,23b,24a,24bは、全て同じ形状である。レール21aは、長手方向に真っ直ぐに延びる構成である。直動案内ユニット20aは、いわゆる4条列の直動案内ユニットである。
【0023】
レール21aは、長手方向に延びる一対の第1上軌道面31a,31bおよび一対の第1下軌道面32a,32bを含む。スライダ22aは、レール21aに対して相対移動可能に取り付けられる。スライダ22aは、一対の第1上軌道面31a,31bにそれぞれ対向する一対の第2上軌道面33a,33bおよび一対の第1下軌道面32a,32bにそれぞれ対向する一対の第2下軌道面34a,34bを含む。
【0024】
第1転動体としてのローラ23aは、第1上軌道面31aと第2上軌道面33aとから構成される第1軌道路35aを転動する。第1転動体としてのローラ23bは、第1上軌道面31bと第2上軌道面33bとから構成される第1軌道路35bを転動する。第2転動体としてのローラ24aは、第1下軌道面32aと第2下軌道面34aとから構成される第2軌道路36aを転動する。第2転動体としてのローラ24bは、第1下軌道面32bと第2下軌道面34bとから構成される第2軌道路36bを転動する。
【0025】
スライダ22aは、ケーシング25aと、一対のエンドキャップ26a,26bと、一対のエンドシール27a,27bと、ローラ23a,23b,24a,24bをケーシング25aに保持させる保持部材28a,28bと、を含む。
【0026】
保持部材28aは、保持板29aと、保持バンド30aと、を含む。保持板29aは、ローラ23a,23bの他方側に位置する第2端面と接触してローラ23a,23bを案内する第2案内面を含む。また、保持板29aは、保持バンド30aを収容するように凹む溝部を含む。保持部材28bも保持部材28aと同様に、保持板29bと、保持バンド30bと、を含む。保持板29bの構成についても、保持板29aの構成と同様である。
【0027】
ケーシング25aには、第1軌道路35a,35b、第2軌道路36a,36bとそれぞれ並行する第1循環路37a,37b、第2循環路38a,38bが設けられている。第1循環路37a,37b、第2循環路38a,38bは、リターン路とも呼ばれる。第1循環路37a内には、第1分割部材および第2分割部材を組み合わせて形成される中空円筒状のスリーブ39aが配置されている。スリーブ39a内を複数のローラ23aが移動する。同様に、第1循環路37b内には、第1分割部材および第2分割部材を組み合わせて形成される中空円筒状のスリーブ39bが配置されている。第2循環路38a内には、第1分割部材および第2分割部材を組み合わせて形成される中空円筒状のスリーブ40aが配置されている。第2循環路38b内には、第1分割部材および第2分割部材を組み合わせて形成される中空円筒状のスリーブ40bが配置されている。
【0028】
次に、直動案内ユニット製造装置10aの構成についてさらに説明する。スライダ保持部12aは、上記したスライダ22aを取り付けることができる。ここで、取り付けられるスライダ22aは、ケーシング25aに一対のエンドキャップ26a,26bが取り付けられた状態のものである。すなわち、一対のエンドシール27a,27bおよび保持部材28a,28bが取り付けられていない状態のスライダ22aが取り付けられる。この場合、一方の第2上軌道面33aおよび一方の第2下軌道面34aが鉛直下方側となり、他方の第2上軌道面33bおよび他方の第2下軌道面34bが鉛直上方側となるように取り付けられる。具体的には、Z方向とW方向が一致し、X方向とT方向が一致するように取り付けられる。本実施形態においては、第1軌道路35aおよび第2軌道路36aに転動体を挿入する場合について説明する。
【0029】
スライダ保持部12aは、鉛直方向の位置および水平方向の位置が可変である。スライダ保持部12aは、鉛直方向の位置を調整する第1位置調整機構19aと、水平方向の位置を調整する第2位置調整機構19bと、を含む。これにより、スライダ22aの鉛直方向の位置および水平方向の位置を変化させてスライダ22aを保持することができる。
【0030】
第1転動体貯留部13aおよび第2転動体貯留部14aはそれぞれ、枠体11aの上部に並べて取り付けられている。第1転動体貯留部13aおよび第2転動体貯留部14aはそれぞれ、スライダ保持部12aの上側に配置される。第1転動体貯留部13aには、直動案内ユニット20aに用いられる複数の第1転動体としてのローラ23a,23bが複数貯留されている。第2転動体貯留部14aには、直動案内ユニット20aに用いられる複数の第2転動体としてのローラ24a,24bが複数貯留されている。各ローラ23a,23b,24a,24bはそれぞれ同じ形状なので、同じ形状のローラが第1転動体貯留部13aおよび第2転動体貯留部14aにそれぞれ貯留されている。
【0031】
第1転動体供給管15aは、ローラ23a,23bが一つずつ通過可能な管状の部材から構成されている。第1転動体供給管15aは、第1転動体貯留部13aから第1軌道路35aに至る。第1転動体供給管15aは、第1転動体貯留部13aから鉛直方向に真っ直ぐに延びた後、45度傾斜して第1軌道路35aに至る。ローラ23aを挿入する第1転動体挿入方向は、ローラ23aの転動軸心方向に沿う方向である。複数のローラ23aは、自重により第1軌道路35aに向かって移動する。
【0032】
なお、第1転動体供給管15aと同様に、第2転動体供給管16aは、ローラ24aが一つずつ通過可能な管状の部材から構成されている。第2転動体供給管16aは、第2転動体貯留部14aから後述する第2転動体案内路61aに至る。第2転動体供給管16aは、第2転動体貯留部14aから鉛直方向に真っ直ぐに延びた後、第2転動体案内路61aに到達する。複数のローラ24aは、自重により第2転動体案内路61aに向かって移動する。
【0033】
第1転動体挿入機構17aは、第1転動体供給管15aの排出口から第1軌道路へローラ23aを挿入する。
図5および
図6は、第1軌道路35a内にローラ23aを挿入する状態を示す概略斜視図である。
図6は、ローラ23aの転動軸心方向から見た図に相当する。
【0034】
図5および
図6を併せて参照して、第1転動体挿入機構17aは、自重により移動してきたローラ23aを第1軌道路35a内に挿入する。第1転動体挿入機構17aは、コマ部材41aを含む。コマ部材41aは、第1軌道路35a内において第1転動体供給管15aの排出口の延長上に配置可能である。コマ部材41aは、第1軌道路35aに沿って往復運動が可能である。コマ部材41aの往復運動は、第1転動体挿入機構17aに含まれる第1軌道路用ローラ押し込み装置42aを駆動させることにより達成される。コマ部材41aは、側壁面43a,44aは、ローラ23aの転動軸心方向から見て、ローラ23aの転動面に沿う円弧状である。側壁面43a,44aの間に凸部45aが表れる。
【0035】
ここで、ローラ23aの挿入方法について説明する。自重により第1転動体供給管15a内を移動してきたローラ23aは、第1軌道路35aに到達する。ここで、コマ部材41aの凸部45aにローラ23aの端面が接触してローラ23aが止められる。そして、コマ部材41aが矢印D1の向きまたは矢印D2で示す逆の向きに移動すると、凸部45aとの接触状態が解除され、第1軌道路35a内にローラ23aが挿入される。その後、コマ部材41aの動きにより側壁面43aまたは側壁面44aに押されて、第1軌道路35a内を移動する。これをコマ部材41aの往復運動に合わせて、それぞれ交互にローラ23aを第1軌道路35a内に挿入していく。このようにして、第1軌道路35a内にローラ23aを挿入し、充填していく。
【0036】
図7は、第2軌道路36a内にローラ24aを挿入する状態を示す概略斜視図である。
図8は、第2軌道路36aへローラ24aを挿入する際の挿入経路を示す概略図である。
図9は、第2軌道路36a内へローラ24aを挿入する際のローラ24aの姿勢を傾斜させる状態を示す概略図である。
図10は、第2軌道路36aへのローラ24aの押し込み状態を示す概略図である。
【0037】
図7、
図8、
図9および
図10を併せて参照して、第2転動体挿入機構18aは、第2転動体案内路61aと、押し部材62aと、を含む。第2転動体案内路61aは、第2転動体供給管16aの排出口から第2軌道路36aに至る。鉛直方向に見て、第2転動体案内路61aは、第2軌道路36aに対して傾斜している(特に
図8参照)。傾斜の角度は、本実施形態においては、45度である。
【0038】
押し部材62aは、棒状であって、第2転動体案内路61a内を往復運動可能である。押し部材62aは、ローラ24aの転動面が第2下軌道面34aに沿うようにローラ24aを第2軌道路36a内に矢印D3で示す向きに押し込む。本実施形態においては、ローラ24aを傾斜させながら第2軌道路36a内に押し込む。押し部材62aの先端部には、第2下軌道面34aに沿って傾斜する端面を有し、ローラ24aを受け入れる凹部63aが設けられる。
【0039】
ここで、ローラ24aの挿入方法について説明する。自重により第2転動体供給管16a内を移動してきたローラ24aは、第2転動体案内路61aに到達する。そして、押し部材62aによってローラ24aは、第2軌道路36aに向かって押し進められる。第2軌道路36aに到達した後、ローラ24aの転動面が第2軌道面に沿うようにローラ24aを傾斜させる。このようにしてローラ24aを押し部材62aにより押し込む。その後、押し部材62aを第2転動体供給管16aの排出口まで引き戻す。そうすると、自重により次のローラ24aが落下してくる。その後、同様に押し部材62aを押し進め、次のローラ24aを傾斜させて第2軌道路36a内に挿入する。これを直動案内ユニット20aに規定されたローラ24aの数に至るまで継続する。このようにして、ローラ24aを挿入する。
【0040】
なお、規定の数のローラ23a,24aを挿入した後、スライダ22aの取り付け角度を変更して、規定の数のローラ23b,24bを挿入する。その後、保持部材28a,28b、エンドシール27a,27b、レール21aを取り付けて、直動案内ユニット20aを製造する。
【0041】
上記直動案内ユニット製造装置10aによると、第1転動体挿入方向は、ローラ23aの転動軸心方向に沿う方向である。そうすると、ローラ23aを第1転動体貯留部13aから第1転動体供給管15aを通過させて、第1軌道路35a内に円滑に挿入することができる。この場合、一つずつ通過可能なので、第1軌道路35a内にローラ23aの姿勢を適切にしながら複数のローラ23aを挿入することができる。また、ローラ24aは、第2転動体貯留部14aから第2転動体供給管16aを通過して、第2転動体案内路61a内に供給される。そして、押し部材62aにより一つずつ第2下軌道面34aに沿うようにローラ24aを第2軌道路36a内に挿入することができる。そうすると、適切にローラ24aを第2軌道路36a内に挿入することができる。したがって、ローラ24aを第2軌道路36a内に円滑に挿入することができる。この場合、ローラ23aとローラ24aとを同時に挿入することができるため、時間の節約もでき、効率的なローラ23a,24aの挿入が可能になる。以上より、上記直動案内ユニット製造装置10aによれば、各軌道路35a,36aに対して円滑かつ効率的にローラ23a,24aを挿入することができる。
【0042】
本実施形態においては、複数のローラ23aはそれぞれ、自重により第1軌道路35aに向かって移動する。よって、ローラ23aを挿入する際のローラ23aを押し進める特別な動力は不要となるため、より安価に構成することができる。
【0043】
本実施形態においては、第1転動体挿入機構17aは、第1軌道路35a内において第1転動体供給管15aの排出口の延長上に配置可能であり、第1軌道路35aに沿って往復運動可能なコマ部材41aを含む。よって、コマ部材41aを往復運動させて、第1軌道路35a内の前方と後方に交互に振り分けてローラ23aを挿入することができる。したがって、より円滑にローラ23aを第1軌道路35a内に挿入することができる。
【0044】
本実施形態においては、ローラ23aの転動軸心方向から見て、第1軌道路35aの延びる方向におけるコマ部材41aの側壁面43a,44aは、ローラ23aの転動面に沿う円弧状である。よって、コマ部材41aによる第1軌道路35a内におけるローラ23aの振り分けをより円滑に行うことができる。したがって、さらに円滑にローラ23aを第1軌道路35a内に挿入することができる。
【0045】
本実施形態においては、複数のローラ24aはそれぞれ、自重により第2転動体案内路61aに向かって移動する。よって、ローラ24aを挿入する際のローラ24aを押し進める特別な動力は不要となるため、より安価に構成することができる。
【0046】
本実施形態においては、鉛直方向に見て、第2転動体案内路61aは、第2軌道路36aに対して傾斜する。よって、第2軌道路36a内において一方向にローラ24aを円滑に挿入することができる。そうすると、既に挿入されたローラ24aによる、次に挿入するローラ24aの阻害を回避しやすくなる。したがって、より円滑にローラ24aを挿入することができる。
【0047】
本実施形態においては、押し部材62aの先端部には、第2下軌道面34aに沿って傾斜する端面を有し、第2転動体を受け入れる凹部63aが設けられる。よって、ローラ24aをより確実に所望の角度に傾斜させながら、第2軌道路36a内に挿入することができる。そうすると、第2転動体案内路61a内において、ローラ24aが所望しない角度に傾斜するおそれを低減することができる。したがって、より効率的にローラ24aを挿入することができる。
【0048】
本実施形態においては、スライダ保持部12aは、鉛直方向の位置および水平方向の位置が可変である。よって、異なるサイズやタイプの直動案内ユニット20aにおいても、鉛直方向の位置および水平方向の位置を変えてスライダ22aを保持することができる。したがって、より汎用性の高いものとすることができる。
【0049】
(他の実施の形態)
なお、上記実施の形態において、スライダ保持部は、鉛直方向の位置および水平方向の位置のうちの少なくともいずれか1つが可変であってもよい。このようにすることにより、異なるサイズやタイプの直動案内ユニットにおいても、鉛直方向や水平方向の位置を変えてスライダを保持することができる。したがって、より汎用性の高いものとすることができる。
【0050】
また、上記実施の形態においては、転動体としてローラを用いることとしたが、これに限らず、転動体としてボールを用いることにしてもよい。
【0051】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、どのような面からも制限的なものではないと理解されるべきである。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって規定され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0052】
10a 直動案内ユニット製造装置、11a 枠体、12a スライダ保持部、13a 第1転動体貯留部、14a 第2転動体貯留部、15a 第1転動体供給管、16a 第2転動体供給管、17a 第1転動体挿入機構、18a 第2転動体挿入機構、19a 第1位置調整機構、19b 第2位置調整機構、20a 直動案内ユニット、21a レール、22a スライダ、23a,23b ローラ(第1転動体)、24a,24b ローラ(第2転動体)、25a ケーシング、26a,26b エンドキャップ、27a,27b エンドシール、28a,28b 保持部材、29a,29b 保持板、30a,30b 保持バンド、31a,31b 第1上軌道面、32a,32b 第1下軌道面、33a,33b 第2上軌道面、34a,34b 第2下軌道面、35a,35b 第1軌道路、36a,36b 第2軌道路、37a,37b 第1循環路、38a,38b 第2循環路、39a,39b,40a,40b スリーブ、41a コマ部材、42a 第1軌道路用ローラ押し込み装置、43a,44a 側壁面、45a 凸部、61a 第2転動体案内路、62a 押し部材、63a 凹部。