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特開2025-148385電気化学セルおよび電気化学セルモジュール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025148385
(43)【公開日】2025-10-07
(54)【発明の名称】電気化学セルおよび電気化学セルモジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/682 20210101AFI20250930BHJP
   H01M 50/105 20210101ALI20250930BHJP
   H01M 50/211 20210101ALI20250930BHJP
【FI】
H01M50/682
H01M50/105
H01M50/211
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2025111768
(22)【出願日】2025-07-01
(62)【分割の表示】P 2023197761の分割
【原出願日】2020-07-28
(31)【優先権主張番号】P 2019138989
(32)【優先日】2019-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】福島 孝明
(57)【要約】      (修正有)
【課題】電気化学セルを均一に安定して動作させ、容量低下やガス発生等の不具合を抑制することができる電気化学セルモジュール、及び前記モジュールが備える電気化学セルを提供する。
【解決手段】電気化学セルは、第1発電要素と第1発電要素を内側に有する第1包装体とを有する第1単セルと、第2発電要素と第2発電要素を内側に有する第2包装体とを有する第2単セルと、第1単セルと第2単セルとを内側に有する外容器と、を備える。電気化学セルは、第1包装体の内部と、第2包装体の内部と、第1包装体と第2包装体との間と、に電解液が位置しており、少なくとも第1包装体と第2包装体とのどちらか一方が開口部を有しており、開口部の寸法は、縦10mm~200mm、横10mm~50mmである。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1発電要素と前記第1発電要素を内側に有する第1包装体とを有する第1単セルと、
第2発電要素と前記第2発電要素を内側に有する第2包装体とを有する第2単セルと、
前記第1単セルと前記第2単セルとを内側に有する外容器と、を備え、
前記第1包装体の内部と、前記第2包装体の内部と、前記第1包装体と前記第2包装体との間と、に電解液が位置しており、
前記第1包装体及び前記第2包装体はラミネートフィルムからなる平たい袋形状であり、
前記外容器は袋形状であることを特徴とする電気化学セル。
【請求項2】
前記第1包装体および/または前記第2包装体の一端の一部に開口部を有する請求項1に記載の電気化学セル。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電気化学セルと、
前記電気化学セルを内部に有する筐体と、
前記第1単セルおよび前記第2単セルを加圧する機構と、を備える電気化学セルモジュール。
【請求項4】
請求項1または2に記載の電気化学セルと、
前記電気化学セルを内部に有する筐体と、を備え、
前記筐体は、前記第1単セルおよび前記第2単セルを加圧する電気化学セルモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気化学セルおよび電気化学セルモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気化学セルモジュールとして、例えば、特許文献1に記載の電気化学セルモジュールが提案されている。特許文献1に記載の電気化学セルモジュールは、電気化学セルを均一に安定して動作させることができ、容量低下やガス発生等の不具合を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-21382号公報
【発明の概要】
【0004】
本開示の電気化学セルは、第1発電要素と第1発電要素を内側に有する第1包装体とを有する第1単セルと、第2発電要素と第2発電要素を内側に有する第2包装体とを有する第2単セルと、第1単セルと第2単セルとを内側に有する外容器と、を備える。第1包装体の内部と、第2包装体の内部と、第1包装体と第2包装体との間と、に電解液が位置している。第1包装体及び第2包装体はラミネートフィルムからなる平たい袋形状である。外容器は袋形状である。
【0005】
本開示の電気化学セルは、第1包装体および/または第2包装体の一端の一部に開口部を有する。
【0006】
本開示の電気化学セルモジュールは、上記の電気化学セルと、電気化学セルを内部に有する筐体と、第1単セルおよび第2単セルを加圧する機構と、を備える。
【0007】
本開示の電気化学セルモジュールは、上記の電気化学セルと、電気化学セルを内部に有する筐体と、を備える。筐体は、第1単セルおよび第2単セルを加圧する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本開示の目的、特色、および利点は、下記の詳細な説明と図面とからより明確になるであろう。
図1】電気化学セルモジュールの斜視図を示す。
図2図1の切断面線II-IIで切断した断面図を示す。
図3図2の領域IIIの拡大図を示す。
図4】電気化学セルモジュールの別の例における、図2に対応する断面図を示す。
図5】電気化学セルモジュールのさらに別の例における、図2に対応する断面図を示す。
図6】電気化学セルモジュールのさらに別の例における、図2に対応する断面図を示す。
図7】電気化学セルモジュールの他の例における、図2に対応する断面図を示す。
図8】電気化学セルモジュールのさらに他の例における、図2に対応する断面図を示す。
図9】電気化学セルモジュールのさらに他の例における、図2に対応する断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
電気化学セルモジュール100について図1および図2を用いて詳細に説明する。電気化学セルモジュール100は、図1および図2に示すように、筐体5と、筐体5内に位置する電気化学セル50と、を備えている。電気化学セル50は、電気化学セルモジュール100内で電池として機能するための部材である。電気化学セル50は、例えば、リチウムイオン電池を含む。電気化学セル50は、外容器4と、外容器4内に第1単セル1と、第2単セル11と、第1単セル1と第2単セル11との間に位置する液体層14と、を備えている。第1単セル1と第2単セル11とは、例えば、主面同士が押圧されて保持されていてもよい。電気化学セル50内では、第1単セル1と第2単セル11とは、例えば、積層されていてもよい。また、電気化学セル50は、例えば、板状である。電気化学セル50は、外部装置に電気的に接続されることによって、外部装置に電気を流すことができる。
【0010】
第1単セル1は、第1発電要素2と、第1発電要素2を内側に有する第1包装体3と、第1端子と、を有している。第1単セル1は、電気化学セル50内で電池として機能する最小の単位の部材である。第1単セル1は、例えば、主面を有する板状である。また、第1単セル1は、例えば、円形状であってもよい。第1単セル1は、例えば、第1単セル1の主面に垂直な方向から見たときに、矩形状であってもよい。第1単セル1の寸法は、例えば、縦50mm~500mm、横50mm~300mm、厚さ0.1mm~2mmであってもよい。
【0011】
第1発電要素2は、電気化学反応を利用して電気を蓄え、放出するための部材である。第1発電要素2は、例えば、正極と、負極と、正極および負極の間にあるセパレータと、を備えている。第1発電要素2は、セパレータを介して、正極と負極との間で陽イオンおよび陰イオンを交換することができる。第1発電要素2は、正極および負極と外部装置とを電気的に接続することによって、外部装置に電気を流すことができる。
【0012】
第1発電要素2は、例えば、正極とセパレータと負極とを積層したものである。第1発電要素2は、例えば、板状である。第1発電要素2は、例えば、板状の厚み方向に正極とセパレータと負極とが積層されている。
【0013】
正極と負極とは、例えば、電気化学的に活性な物質である。正極と負極とは、例えば、活性物質および電解液を有していてもよい。電解液としては、例えば、溶剤または溶剤混合液に塩を加えたものを用いることができる。
【0014】
具体的には、正極および負極としては、例えば、「Semi-Solid Electrodes Having High Rate Capability」と題された米国仮特許出願第61/787,382および「Asymmetric Battery Having a Semi-Solid Cathode and High Energy Density Anode」と題された米国仮特許出願第61/787,372において記載されている活性物質および電解液を用いることができる。正極と負極とは、例えば、添加剤を有していてもよい。
【0015】
セパレータは正極と負極とが短絡しないようにするために設けられている部材である。セパレータは、例えば、陽イオンと陰イオンとが通過するための微細な穴が開いていてもよい。セパレータは、例えば、多孔質の絶縁材料を用いることができる。具体的には、セパレータの材料として、例えば、ポリオレフィンまたは塩化ポリビニルを用いることができる。
【0016】
第1発電要素2は、板状の場合は、例えば、縦50mm~500mm、横50mm~300mmおよび厚み0.1mm~2.0mmに設定できる。
【0017】
第1包装体3は、第1発電要素2を内側に包むための空間を有する部材である。第1包装体3は、外部環境から第1発電要素2を保護するために設けられている。より具体的には、第1包装体3は、外部環境から第1発電要素2を電気的に絶縁するために設けられている。第1包装体3は、第1発電要素2全体を覆うように設けられている。
【0018】
また、第1包装体3は、例えば、平たい袋形状である。第1包装体3は、例えば、ラミネートフィルムを平たい袋形状にすることで形成されている。また、第1包装体3は、例えば、2つのラミネートフィルムを溶着して形成されていてもよい。第1包装体3は、例えば、正極とセパレータと負極との積層方向から見たときに、長方形状であってもよい。
【0019】
第1包装体3は、例えば、絶縁材料を有している。これにより、第1包装体3を介して、外部環境と第1発電要素2とが短絡することなく、第1包装体3が外部環境から第1発電要素2を保護することができる。第1包装体3は、例えば、樹脂材料を有している。より具体的には、樹脂材料には、例えば、ポリエチレンテレフタラートまたはポリエチレン等を用いることができる。
【0020】
また、第1包装体3は、例えば、多層構造を有していてもよい。具体的には、第1包装体3は、例えば、熱接着性樹脂材料と耐熱性樹脂材料とを有している。熱接着性樹脂材料は、具体的には、融解する温度が150℃より低い樹脂材料である。また、耐熱性樹脂材料は、具体的には、融解する温度が150℃以上300℃以下の樹脂材料である。耐熱性樹脂材料には、例えば、ポリエチレンテレフタラートまたはポリエチレンナフタレート等を用いることができる。熱接着性樹脂材料には、例えば、ポリエチレンまたはポリプロピレン等を用いることができる。
【0021】
第1端子は、第1発電要素2と外部装置とを電気的に接続するために設けられている。第1端子は、例えば、板状である。具体的には、第1端子は、例えば、第1単セル1と第2単セル11との積層方向から見たときに、四角形状である。第1端子は、例えば、長方形状であってもよい。長方形状は、例えば、長辺と短辺とを有していてもよい。
【0022】
第1単セル1と第2単セル11との積層方向から見たときに、第1端子は、第1発電要素2に接触している。第1単セル1と第2単セル11との積層方向から見たときに、第1端子は、第1発電要素2の外周のいずれかの辺に位置している。また、第1端子は、外部装置に電気的に接続されるために、第1単セル1よりも外に伸びている。また、第1端子は、第1単セル1よりも外で外部接続端子に電気的に接続されている。
【0023】
第1端子は、例えば、導電性部材を有する。第1端子は、例えば、金属材料を有していてもよい。より具体的には、金属材料としては、例えば、アルミニウムまたは銅等を用いることができる。第1端子は、板形状である場合は、例えば、縦30mm~100mm、横10mm~100mmおよび厚み0.1mm~0.5mmに設定できる。
【0024】
第2単セル11は、第1単セル1と同様に、電気を蓄えるために設けられている。電気化学セル50では、第1単セル1と第2単セル11とが並列に接続されている。これにより、電気化学セル50の容量を多くすることができる。また、第1単セル1と第2単セル11とが直列に接続されていてもよい。これにより、電気化学セル50の電圧を高めることができる。
【0025】
第2単セル11と第1単セル1とは、例えば、外容器4内で積層されている。第2単セル11は、第2発電要素12と、第2包装体13と、第2端子と、を備えている。第2単セル11は、電気化学セル50においては、第1単セル1と同じ形状である。ただし、第2単セル11は、例えば、第1単セル1と異なる形状であってもよい。電気化学セル50においては、第2単セル11は、第1単セル1に外周を揃えて積層されている。なお、第2単セル11は、第1単セル1と外周を揃えずに積層されていてもよい。
【0026】
第1発電要素2と第2発電要素12とは、第1単セル1と第2単セル11との積層方向から見たときに、それぞれの長辺およびそれぞれの短辺を揃えて積層されている。また、第1包装体3と第2包装体13とは、第1単セル1と第2単セル11との積層方向から見たときに、それぞれの長辺およびそれぞれの短辺を揃えて積層されている。また、第1端子と第2端子とは、第1単セル1と第2単セル11との積層方向から見たときに、それぞれの長辺およびそれぞれの短辺を揃えて積層されている。
【0027】
第2発電要素12としては、例えば、第1発電要素2に用いられる材料を用いることができる。より具体的には、第2発電要素12は、第1発電要素2と同じ材料で形成されていてもよい。また、第2発電要素12としては、例えば、第1発電要素2と異なる材料を用いてもよい。
【0028】
第2包装体13は、第1包装体3と同じ形状である。ただし、第2包装体13は、例えば、第1包装体3と異なる形状であってもよい。第2包装体13としては、例えば、第1包装体3に用いられる材料を用いることができる。より具体的には、第2包装体13は、第1包装体3と同じ材料を用いてもよい。また、第2包装体13としては、例えば、第1包装体3と異なる材料を用いてもよい。
【0029】
第2端子は、第1端子と同じ形状である。ただし、第2端子は、例えば、第1端子と異なる形状であってもよい。第2端子としては、例えば、第1端子に用いられる材料を用いることができる。より具体的には、第2端子は、第1端子と同じ材料を用いてもよい。また、第2端子としては、例えば、第1端子と異なる材料を用いてもよい。
【0030】
第2単セル11は、例えば、第1単セル1と同じ寸法に設定できる。また、第2単セル11は、例えば、第1単セル1と異なる寸法であってもよい。
【0031】
外容器4は、第1単セル1と第2単セル11とを内側に包むための空間を有する部材である。外容器4は、外部環境から第1単セル1と第2単セル11とを保護するための部材である。より具体的には、外容器4は、空気中の酸素および水分から第1単セル1と第2単セル11とを保護するための部材である。
【0032】
外容器4は、例えば、円筒形状であってもよい。また、外容器4は、例えば、直方体形状であってもよい。さらに、外容器4は、例えば、袋形状であってもよい。外容器4は、例えば、1つの部材を袋形状にすることで形成されている。また、外容器4は、例えば、2つの部材を溶着して形成されていてもよい。外容器4は、第1単セル1と第2単セル11との積層方向から見たときに、長方形状であってもよい。外容器4は、後述のように加圧機構によって外部から加えられる圧力が、その内部に伝わるように構成されていればよい。
【0033】
外容器4は、例えば、絶縁材料を有している。これにより、外容器4を介して、外部環境と第1単セル1または第2単セル11とが短絡する可能性を低減することができ、外容器4が外部環境から第1単セル1と第2単セル11とを保護することができる。絶縁材料としては、例えば、樹脂材料であってもよい。より具体的には、樹脂材料として、例えば、ポリエチレンテレフタラートまたはポリエチレン等を用いることができる。
【0034】
外容器4は、例えば、多層構造を有している。外容器4は、例えば、三層構造を有していてもよい。具体的には、外容器4は、例えば、第1絶縁層と防湿層と第2絶縁層とを有していてもよい。このとき、防湿層は、例えば、第1絶縁層と第2絶縁層との間に位置している。具体的には、防湿層は、例えば、第1絶縁層と第2絶縁層とに覆われていてもよい。また、防湿層は、例えば、第1絶縁層と第2絶縁層とに直接接触していてもよい。
【0035】
第1絶縁層は、例えば、樹脂材料を有している。具体的には、樹脂材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタラートまたはポリエチレンナフタレート等を用いることができる。防湿層は、第1樹脂層を浸透してきた酸素および水を第2樹脂層に到達させないために設けられた部材である。防湿層は、例えば、金属材料を有している。具体的には、金属材料としては、例えば、アルミニウムまたは銅等を用いることができる。第2樹脂層は、例えば、樹脂材料を有している。具体的には、樹脂材料としては、例えば、ポリエチレンまたはポリプロピレン等を用いることができる。
【0036】
外容器4が防湿層を有することにより、第1樹脂層を浸透してきた酸素および水から第1単セル1と第2単セル11とを保護することができる。これにより、第1単セル1と第2単セル11とが劣化する可能性を低減することができる。その結果、電気化学セル50が破損する可能性を低減することができる。
【0037】
外容器4の寸法は、第1単セル1と第2単セル11との積層方向から見たときに長方形状である場合、例えば、縦50mm~600mm、横50mm~400mmおよび厚み1mm~50mmであってもよい。
【0038】
従来、このような単セルは製造誤差により、各単セルの厚みが不均一となる場合がある。さらに、電気化学セルモジュールの充放電反応を繰り返すことによる正極および負極の膨張収縮およびガスの発生により、各単セルの厚みが不均一となる場合もある。その結果、均一な圧力を各単セルに加えることができず、発電要素間で界面抵抗が増大してしまうおそれがあった。界面抵抗が増大すれば、各単セル内で均一な充放電反応を進めることができず、各単セルの劣化が促進されてしまうことになる。
【0039】
液体層14は、第1単セル1および第2単セル11に外部からの圧力を伝えるために設けられている。液体層14は、少なくとも第1単セル1と第2単セル11との間に位置している。また、液体層14は、第1単セル1と第2単セル11とに直接接触している。より具体的には、液体層14は、第1単セル1の第1包装体3と向かい合う第2単セル11の第2包装体13との間の表面に位置している。液体層14は、例えば、第1単セル1の第1包装体3と向かいあう第2単セル11の第2包装体13との間に充填されていてもよい。これにより、厚みが不均一となった第1単セル1および第2単セル11の表面に凹部が存在する場合であっても、凹部内部に液体層14が位置することができる。そのため、凹部が存在する場合であっても、液体層14を介して第1単セル1の主面および第2単セル11の主面に圧力を均等に加えることができる。ここで、第1単セル1の主面および第2単セル11の主面とは、電気化学セル50内で第1単セル1と第2単セル11とが積層している場合に、積層方向に交差して広がる表面である。第1単セル1の主面および第2単セル11の主面は、それぞれ液体層14を介して対向する第1単セル1の第1包装体3の表面と第2単セル11の第2包装体13の表面を含んでいてもよい。これにより、第1単セル1および第2単セル11内で界面抵抗が不均一になることなく充放電反応を行うことができ、第1単セル1および第2単セル11が劣化する可能性を低減することができる。その結果、電気化学セル50の寿命を向上させることができる。
【0040】
ここで、液体層14とは、第1包装体3および第2包装体13の間に位置しており、第1包装体3および第2包装体13に直接接している層状の液体状物質を指す。
【0041】
また、液体層14は、例えば、有機溶媒を含んでいてもよい。より具体的には、有機溶媒は、エチレンカーボネイトまたはγ―ブチロラクトン等を用いることができる。また、液体層14は、流動性を有する低分子量のポリマー材料を含んでいてもよい。より具体的には、流動性を有するポリマー材料としては、例えば、ポリエチレンオキシドを用いることができる。また、液体層14としては、ケイ素系の高分子材料を用いることができる。ケイ素系の高分子材料としては、例えば、シリコーンを用いることができる。
【0042】
また、液体層14として、吸水性を有する材料を用いることができる。これにより、吸水性の材料が外容器4内に外部から浸入してきた水分を吸収することで、第1単セル1および第2単セル11の内部に水分が浸入しにくくすることができる。そのため、電気化学セル50の寿命を向上させることができる。吸水性を有する材料としては、例えば、吸水性ポリマーを用いることができる。吸水性ポリマーとしては、例えば、ポリアクリロニトリル等を用いることができる。
【0043】
また、液体層14は、無機材料を有していてもよい。図3に示すように、無機材料は、液体状物質中にフィラー17として分散して液体層14に含まれていてもよい。無機材料としては、例えば、多孔質のフィラー17を有していてもよい。多孔質のフィラー17としては、例えば、ゼオライト等を用いることができる。これにより、外容器4内に浸入した水分をゼオライトが吸収することができるため、電気化学セル50の寿命を向上させることができる。液体層14中の無機材料の割合は、例えば、0.1質量%~10質量%であってもよい。
【0044】
また、無機材料としては、例えば、金属フィラー17を有していてもよい。金属フィラー17としては、例えば、水や酸素と反応するものであってもよい。金属フィラー17としては、より具体的には、鉄、銅またはアルミニウム等を用いることができる。これにより、外容器4内に浸入した水と酸素とが、金属フィラー17と反応することで、第1単セル1および第2単セル11内に入りにくくなる。そのため、電気化学セル50の寿命を向上させることができる。液体層14の厚みは、例えば、1μm~100μmであってもよい。
【0045】
液体層14は、例えば、第1単セル1と第2単セル11とを積層する際に、第1単セル1の第1包装体3および第2単セル11の第2包装体13の一方の包装体上に設け、その上に他方の包装体を積層してもよい。また、液体層14は、例えば、電気化学セル50の外容器4内に第1単セル1および第2単セル11を入れ、外容器4を封止する際に、第1単セル1と第2単セル11との間に設けられてもよい。
【0046】
図4は、電気化学セルモジュールの別の例における、図2に対応する断面図を示す。第1単セル1および第2単セル11の積層方向から見たときに、液体層14は、例えば、第1発電要素2と第2発電要素12とが重なる領域内に位置していてもよい。これにより、第1発電要素2と第2発電要素12とに均一に圧力を加えやすくなる。そのため、電気化学セル50が劣化する可能性を低減することができる。
【0047】
また、液体層14は、例えば、第1発電要素2および第2発電要素12に用いられる電解液と比較して、熱伝導度が大きい材料を用いてもよい。これにより、第1単セル1および第2単セル11で発生した熱が液体層14に伝わりやすくなる。そのため、第1単セル1および第2単セル11に熱がこもりにくくなる。その結果、電気化学セル50の寿命を向上させることができる。
【0048】
図5は、電気化学セルモジュールのさらに別の例における、図2に対応する断面図を示す。液体層14は、例えば、図5に示すように、少なくとも第1包装体3と第2包装体13とのどちらか一方と外容器4との間に位置していてもよい。図5に示した例では、第1包装体3と第2包装体13との間に位置する液体層14と、第1発電要素2を挟んで反対側にあって、第1包装体3と外容器4との間に、さらに液体層14が位置している。また、第1包装体3と第2包装体13との間に位置する液体層14と、第2発電要素12を挟んで反対側にあって、第2包装体13と外容器4との間に、さらに液体層14が位置している。これにより、外容器4内で第1単セル1および第2単セル11が位置ずれしにくくすることができる。そのため、第1端子および第2端子と外部端子との接合部分を破損しにくくすることができる。その結果、電気化学セル50が破損する可能性を低減することができる。
【0049】
また、液体層14は、例えば、第1発電要素2および第2発電要素12に用いられる電解液と比較して、粘度が大きい材料を用いてもよい。これにより、外容器4内で第1単セル1および第2単セル11が位置ずれする可能性をより低減することができる。そのため、電気化学セル50が破損する可能性をより低減することができる。
【0050】
図6は、電気化学セルモジュールのさらに別の例における、図2に対応する断面図を示す。図6に示すように、第1単セル1と第2単セル11との積層方向から見たときに、液体層14は、例えば、第1発電要素2と第2発電要素12とが重なる領域に位置している第1液体層14aと、第1発電要素2と第2発電要素12とが重ならない領域に位置している第2液体層14bと、を有していてもよい。このとき、第2液体層14bの厚みは、第1液体層14aの厚みより厚くてもよい。第1液体層14aおよび第2液体層14bの厚みは、第1単セル1と第2単セル11との積層方向の寸法である。これにより、第1単セル1と第2単セル11との積層方向に垂直な方向から受ける外力を、第1単セル1および第2単セル11に伝えにくくすることができる。そのため、電気化学セル50が破損する可能性を低減することができる。
【0051】
ここで、第1液体層14aおよび第2液体層14bの厚みは、例えば、次のように測定してもよい。電気化学セル50を第1液体層14aおよび第2液体層14bの凝固点以下の低温にすることで、第1液体層14aおよび第2液体層14bを凝固させ、電気化学セル50の主面に垂直な方向に切断し、断面を観察することで測定する。また、第1液体層14aおよび第2液体層14bの厚みは、例えば、超音波測定を行うことで測定してもよい。
【0052】
次に、本開示の他の実施形態について説明する。図7は、電気化学セルモジュールの他の例における、図2に対応する断面図を示す。本実施形態は、図7に示すように、前述の液体層14に代えて、電解液18が第1包装体3と第2包装体13との間に位置している。これにより、液体層14と同様に、第1単セル1と第2単セル11とに均一な圧力を加えることができるため、電気化学セル50が劣化する可能性を低減することができる。電解液18は、第1包装体3の内部と第2包装体13の内部にも位置している。第1包装体3と第2包装体13との間に位置している電解液18は、第1発電要素2および第2発電要素12に含まれる電解液と同じものであってもよい。
【0053】
図8は、電気化学セルモジュールのさらに他の例における、図2に対応する断面図を示す。図8に示すように、少なくとも第1包装体3または第2包装体13のどちらか一方が、開口部15を有していてもよい。開口部15は、例えば、少なくとも第1包装体3または第2包装体13のどちらか一方に、切り込みを入れることで設けられてもよい。開口部15は、例えば、少なくとも第1包装体3または第2包装体13のどちらか一方の一部を矩形状に切り取ることで設けてもよい。開口部15の寸法は、例えば、縦10mm~200mm、横10mm~50mmであってもよい。第1単セル1または第2単セル11において、充放電の反応が繰り返されるうちに、第1単セル1または第2単セル11中の電解液が減少するおそれがある。そのような場合に、第1包装体3と第2包装体13との間に位置する電解液18が、開口部15を通って第1包装体3または第2包装体13の内部に入ることができる。そのため、第1単セル1または第2単セル11中の電解液が枯渇しにくくなり、電気化学セル50の寿命を向上させることができる。
【0054】
また、開口部15は、例えば、第1単セル1と第2単セル11との積層方向に垂直な方向から見たときに、第1包装体3と第1発電要素2とが重ならない領域もしくは第2包装体13と第2発電要素12とが重ならない領域に位置していてもよい。これにより、第1包装体3と第2包装体13との間に位置する電解液18が、第1単セル1または第2単セル11の内部に入りやすくなり、電気化学セル50の寿命を向上させることができる。
【0055】
筐体5は、電気化学セル50を内側に収容するための空間を有する部材である。筐体5は、外部環境から電気化学セル50を保護するための部材である。より具体的には、筐体5は、外部環境から受ける外力から電気化学セル50を保護するための部材である。筐体5は、例えば、箱形状である。筐体5は、例えば、1つの部材を直方体形状にすることで形成されていてもよい。また、筐体5は、例えば、2つ以上の部材を組み合わせて形成されていてもよい。
【0056】
筐体5は、例えば、金属材料を有している。これにより、筐体5の剛性が大きくなり、外部環境からの外力を電気化学セル50に伝わりにくくすることができる。筐体5は外部環境から電気化学セル50を保護することができる。金属材料としては、例えば、アルミニウムまたはステンレス鋼等を用いることができる。これにより、電気化学セル50で発生した熱が筐体5に伝わりやすくなり、放熱効率を向上させることができる。その結果、電気化学セル50の寿命を向上させることができる。
【0057】
筐体5は、例えば、複数の部材を有していてもよい。筐体5は、例えば、2つの主面板7と2つの側面板8と底面板9と端子カバー6とを有していてもよい。具体的には、筐体5は金属材料と樹脂材料との組み合わせであってもよい。
【0058】
端子カバー6は、電気化学セル50の外部接続端子を保護するために設けられている。そのため、端子カバー6は、電気化学セル50の外部接続端子側に面している。端子カバー6は、例えば、電気化学セル50の外部接続端子側から見たときに、長方形状であってもよい。端子カバー6は、例えば、樹脂材料であってもよい。具体的には、樹脂材料は、ポリエチレンテレフタラートまたはポリエチレンナフタレート等を用いることができる。端子カバー6の底面の寸法は、例えば、電気化学セル50の端子側の面に垂直な方向から見たときに長方形状である場合、例えば、縦200mm~600mm、横50mm~300mm、および厚み0.1mm~5mmであってもよい。また、端子カバー6の側面の寸法は、長方形状である場合、例えば、縦200mm~600mm、横50mm~300mm、および厚み0.1mm~5mmであってもよい。
【0059】
主面板7は、電気化学セル50の主面を保護するために設けられている。そのため、主面板7は、電気化学セル50の主面に面している。ここで、電気化学セル50の主面とは、電気化学セル50内で第1単セル1と第2単セル11とが積層している場合に、外容器4の表面のうち、積層方向に交差して広がる表面である。主面板7は、電気化学セル50の主面に垂直な方向から見て、長方形状であってもよい。主面板7は、例えば、金属材料を用いることができる。金属材料としては、具体的には、例えば、アルミニウムまたはステンレス鋼等を用いることができる。これにより、電気化学セル50で発生した熱が外部へ伝わりやすくすることができる。その結果、電気化学セル50の寿命を向上させることができる。
【0060】
また、主面板7は、例えば、樹脂材料を用いてもよい。樹脂材料としては、例えば、融点が高い耐熱性樹脂材料を用いることができる。耐熱性樹脂材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタラート(PET)等を用いることができる。これにより、電気化学セル50と外部環境とを電気的に絶縁することができるため、電気化学セル50と外部環境とが短絡してしまう可能性を低減することができる。主面板7の寸法は、電気化学セル50の側面に垂直な方向から見たときに長方形状である場合は、例えば、縦200mm~600mm、横50mm~300mm、および厚み0.5mm~5mmであってもよい。
【0061】
側面板8は、電気化学セル50の側面側を保護するために設けられている。そのため、側面板8は、電気化学セル50の側面に面している。また、側面板8は、例えば、電気化学セル50に接していてもよい。側面板8は、例えば、電気化学セル50の側面に垂直な方向から見て、長方形状であってもよい。また、側面板8は、例えば、金属材料を用いることができる。側面板8は、具体的には、例えば、アルミニウムまたはステンレス鋼等を用いることができる。これにより、電気化学セル50で発生した熱を外部へ伝わりやすくすることができる。その結果、電気化学セル50の寿命を向上させることができる。
【0062】
また、側面板8は、例えば、樹脂材料を用いることができる。樹脂材料としては、例えば、耐熱性樹脂材料を用いることができる。耐熱性樹脂材料としては、例えば、PET等を用いることができる。これにより、電気化学セル50と外部環境とを電気的に絶縁することができるため、電気化学セル50と外部環境とが短絡してしまう可能性を低減することができる。側面板8の寸法は、電気化学セル50の側面に垂直な方向から見たときに長方形状である場合、例えば、縦200mm~600mm、横50mm~300mm、および厚み0.5mm~5mmであってもよい。
【0063】
底面板9は、電気化学セル50の外部接続端子が出ている面と反対側の面を保護するために設けられている。そのため、底面板9は、電気化学セル50の外部接続端子が出ている面と反対側の面と接していてもよい。底面板9は、外部接続端子が出ている面と反対側の面に垂直な方向から見たときに、長方形状であってもよい。また、底面板9は、例えば、金属材料が用いられてもよい。金属材料としては、例えば、アルミニウムまたはステンレス鋼等が用いられてもよい。これにより、電気化学セル50とから発生した熱を外部へ伝わりやすくすることができる。その結果、電池の寿命を向上させることができる。
【0064】
また、底面板9としては、例えば、樹脂材料が用いられてもよい。樹脂材料としては、例えば、耐熱性樹脂材料を用いることができる。耐熱性樹脂材料としては、例えば、PET等を用いることができる。これにより、電気化学セル50と外部環境とを電気的に絶縁することができるため、電気化学セル50と外部環境とが短絡してしまう可能性を低減することができる。また、底面板9は、側面板8もしくは主面板7の一部を折り曲げることで底面板9としてもよい。底面板9の寸法は、電気化学セル50の外部接続端子が出ている面と反対側の面に垂直な方向から見たときに長方形状である場合は、例えば、縦200mm~600mm、横50mm~300mm、および厚み0.5mm~5mmであってもよい。
【0065】
上記の各例において、電気化学セルモジュール100は、例えば、筐体5内で、外容器4を介して第1単セル1の主面および第2単セル11の主面を加圧する機構を備えていてもよい。このような加圧機構は、例えば、押圧板10と弾性部材とを含む。第1単セル1と第2単セル11とは、例えば、筐体5内で押圧板10と弾性部材とによって加圧されて保持されていてもよい。押圧板10は、電気化学セル50を加圧するために、筐体5内において、主面板7と電気化学セル50との間で変位可能に構成されていればよい。
【0066】
押圧板10は、例えば、金属材料を用いることができる。金属材料としては、例えば、アルミニウムまたはステンレス鋼等を用いることができる。これにより、電気化学セル50から発生した熱を外部へ伝わりやすくすることができる。その結果、電気化学セル50の寿命を向上させることができる。
【0067】
また、押圧板10としては、例えば、樹脂材料が用いられてもよい。樹脂材料としては、例えば、熱硬化性樹脂を用いることができる。熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂等を用いることができる。これにより、電気化学セル50と外部環境とを電気的に絶縁することができるため、電気化学セル50と外部環境とが短絡する可能性を低減することができる。
【0068】
押圧板10は、例えば、樹脂材料と金属材料とを用いることができる。押圧板10は、例えば、押圧板10の電気化学セル50に接する部分に樹脂材料を用いることができる。これにより、電気化学セル50と押圧板10とを電気的に絶縁することができる。その結果、電気化学セル50と外部環境とが短絡する可能性を低減することができる。また、金属材料を用いることで、押圧板10を破損しにくくすることができる。
【0069】
弾性体は、押圧板10と筐体5の主面板7との間に位置している。また、弾性体は、押圧板10に圧力を加え、電気化学セル50に圧力を加えるために設けられている。弾性体は、例えば、バネ16を用いることができる。バネ16は、例えば、らせん形状のコイルばねであってもよい。また、バネ16は、例えば、曲がった板形状の板ばねであってもよい。バネ16は、例えば、金属材料を用いることができる。金属材料としては、例えば、鋼またはステンレス鋼を用いることができる。バネ16の寸法は、例えば、らせん形状の場合は、直径5mm~50mmで、長さは、10mm~50mmで、ピッチは1mm~10mmであってもよい。
【0070】
また、弾性体は、ゴム材料を用いることができる。ゴム材料は、例えば、板形状であってもよい。ゴム材料は、例えば、押圧板10と同じ形状であってもよい。ゴム材料は、例えば、天然ゴムを有していてもよい。また、ゴム材料は、例えば、合成ゴムを有していてもよい。
【0071】
また、上記のような加圧機構を備えず、第1単セル1と第2単セル11とが、筐体5によって、外容器4を介して第1単セル1と第2単セル11との主面が加圧されていてもよい。図9は、電気化学セルモジュールのさらに他の例における、図2に対応する断面図を示す。図9に示すように、例えば、筐体5の主面板7が、外容器4を押圧し、外容器4を介して第1単セル1と第2単セル11との主面を加圧してよい。筐体5は、例えば、主面板7と側面板8とをねじ止めすることで、主面板7が第1単セル1と第2単セル11との主面を加圧してもよい。
【0072】
なお、説明を簡単にするため、図1から図9において、各単セルと各発電要素と各包装体と各端子とがそれぞれ同じ形状で外周を揃えた状態で図示したが、厳密な意味で同じ形状で外周が揃っていなくてもよい。例えば、製造上の誤差程度のずれが外周にあってもよい。また、筐体5内の電気化学セル50は、ただ1つの電気化学セル50だけではなく、例えば、2つ以上の電気化学セル50が筐体5内で積層されていてもよい。
【0073】
本開示は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形態で実施できる。したがって、前述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、本開示の範囲は特許請求の範囲に示すものであって、明細書本文には何ら拘束されない。さらに、特許請求の範囲に属する変形や変更は全て本発明の範囲内のものである。
【0074】
本開示に係る電気化学セルは、以下の構成(1)~(5)の態様で実施可能である。
【0075】
(1)第1発電要素と前記第1発電要素を内側に有する第1包装体とを有する第1単セルと、
第2発電要素と前記第2発電要素を内側に有する第2包装体とを有する第2単セルと、
前記第1単セルと前記第2単セルとを内側に有する外容器と、
前記第1包装体と前記第2包装体との間に位置し、前記第1包装体と前記第2包装体とに直接接している液体層と、を備える電気化学セル。
【0076】
(2)前記液体層が少なくとも前記第1包装体と前記第2包装体とのどちらか一方と前記外容器との間に位置している上記構成(1)に記載の電気化学セル。
【0077】
(3)前記第1単セルおよび前記第2単セルは一方向に積層しており、前記第1単セルおよび前記第2単セルを前記一方向から見たときに、前記液体層は、前記第1発電要素と前記第2発電要素とが重なる領域に位置している第1液体層と、前記第1発電要素と前記第2発電要素とが重ならない領域に位置している第2液体層と、を有しており、
前記第2液体層は前記第1液体層より厚い上記構成(1)または(2)に記載の電気化学セル。
【0078】
(4)第1発電要素と前記第1発電要素を内側に有する第1包装体とを有する第1単セルと、
第2発電要素と前記第2発電要素を内側に有する第2包装体とを有する第2単セルと、
前記第1単セルと前記第2単セルとを内側に有する外容器と、を備え、
前記第1包装体の内部と、前記第2包装体の内部と、前記第1包装体と前記第2包装体との間と、に電解液が位置していることを特徴とする電気化学セル。
【0079】
(5)少なくとも前記第1包装体と前記第2包装体とのどちらか一方が開口部を有している上記構成(4)に記載の電気化学セル。
【0080】
本開示に係る電気化学セルモジュールは、以下の構成(6)および(7)の態様で実施可能である。
【0081】
(6)上記構成(1)~(5)のいずれかに記載の電気化学セルと、
前記電気化学セルを内部に有する筐体と、
前記第1単セルおよび前記第2単セルを加圧する機構と、を備える電気化学セルモジュール。
【0082】
(7)上記構成(1)~(5)のいずれかに記載の電気化学セルと、
前記電気化学セルを内部に有する筐体と、を備え、
前記筐体は、前記第1単セルおよび前記第2単セルを加圧する電気化学セルモジュール。
【0083】
〔まとめ〕
本開示は、以下のようにも表現できる。
【0084】
本開示の一態様に係る電気化学セルは、第1単セルと、第2単セルと、外容器と、液体層と、を備える。第1単セルは、第1発電要素と、第1発電要素を内側に有する第1包装体と、を有する。第2単セルは、第2発電要素と、第2発電要素を内側に有する第2包装体と、を有する。外容器は、第1単セルと第2単セルとを内側に有する。液体層は、第1包装体と第2包装体との間に位置し、第1包装体と第2包装体とに直接接している。
【0085】
また、本開示の一態様に係る電気化学セルは、第1単セルと、第2単セルと、外容器と、を備える。第1単セルは、第1発電要素と、第1発電要素を内側に有する第1包装体と、を有する。第2単セルは、第2発電要素と、第2発電要素を内側に有する第2包装体と、を有する。外容器は、第1単セルと第2単セルとを内側に有する。第1包装体の内部と、第2包装体の内部と、第1包装体と第2包装体との間と、に電解液が位置している。
【0086】
また、本開示の一態様に係る電気化学セルモジュールは、上記の電気化学セルと、電気化学セルを内部に有する筐体と、第1単セルおよび第2単セルを加圧する機構と、を備える。
【0087】
また、本開示の一態様に係る電気化学セルモジュールは、上記の電気化学セルと、電気化学セルを内部に有する筐体と、を備える。筐体は、第1単セルおよび第2単セルを加圧する。
【符号の説明】
【0088】
1 第1単セル
2 第1発電要素
3 第1包装体
4 外容器
5 筐体
6 端子カバー
7 主面板
8 側面板
9 底面板
10 押圧板
11 第2単セル
12 第2発電要素
13 第2包装体
14 液体層
14a 第1液体層
14b 第2液体層
15 開口部
16 バネ
17 フィラー
18 電解液
50 電気化学セル
100 電気化学セルモジュール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9