(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025148479
(43)【公開日】2025-10-07
(54)【発明の名称】ガンマ-ポリグルタミン酸および亜鉛組成物
(51)【国際特許分類】
A23L 33/16 20160101AFI20250930BHJP
A23L 33/18 20160101ALI20250930BHJP
【FI】
A23L33/16
A23L33/18
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2025117126
(22)【出願日】2025-07-11
(62)【分割の表示】P 2022144662の分割
【原出願日】2017-10-31
(31)【優先権主張番号】10201609137P
(32)【優先日】2016-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SG
(71)【出願人】
【識別番号】523356134
【氏名又は名称】ジロニックス・ピーティーイー.リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100187540
【弁理士】
【氏名又は名称】國枝 由紀子
(72)【発明者】
【氏名】チュン,ジニョク・フレッド
(57)【要約】 (修正有)
【課題】それを所望する、または必要とする人に亜鉛を提供するための食事性補給剤としての使用のための、γ-ポリグルタミン酸、亜鉛塩および胃耐性材料を含む、栄養補給剤組成物を含む亜鉛を投与するための組成物を提供する。
【解決手段】亜鉛の経口投与のための固体剤形として配合された、亜鉛欠乏または亜鉛不足を処置するための医薬としての使用のための組成物であって、10重量%~40重量%の5kDa~300kDaの範囲の数平均分子量を有するγ-ポリグルタミン酸と、亜鉛塩であって、固体剤形あたりに存在する亜鉛の量が1mg~100mgである亜鉛塩と、胃耐性材料とを含む、前記組成物とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
亜鉛の経口投与のための固体剤形として配合された、亜鉛欠乏または亜鉛不足を処置するための医薬としての使用のための組成物であって、10重量%~40重量%の5kDa~300kDaの範囲の数平均分子量を有するγ-ポリグルタミン酸と、亜鉛塩であって、固体剤形あたりに存在する亜鉛の量が1mg~100mgである亜鉛塩と、胃耐性材料とを含む、前記組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の組成物であって、前記固体剤形が、前記γ-ポリグルタミン酸および前記亜鉛塩を含む混合物を顆粒化することを含むプロセスによって調製されたものである、前記組成物。
【請求項3】
請求項1または2に記載の組成物であって、前記γ-ポリグルタミン酸が、50kDa~100kDaの範囲の数平均分子量を有する、前記組成物。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物であって、前記亜鉛が、固体剤形あたり1mg~50mgの量で存在する、前記組成物。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物であって、前記固体剤形が、錠剤またはカプセルである、前記組成物。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物であって、前記胃耐性材料が、前記組成物中に、胃耐性結合剤および/または胃耐性外部コーティングとして含まれる、前記組成物。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物であって、増量剤および/または結合剤および/または崩壊剤から選択される1種類以上の賦形剤をさらに含む、前記組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、栄養補給剤の分野に関し、より詳細には、亜鉛欠乏または亜鉛不足を有する
ヒトを含む、それを望んでいる、または必要とするヒトに亜鉛を提供するための固体また
は液体経口剤形補給剤としての使用のためのガンマ-ポリグルタミン酸および亜鉛塩を含
む組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
亜鉛は、微生物、植物およびヒトを含む動物に関する必須鉱質である。亜鉛は、体にお
ける数多くの触媒、構造および制御機能に必要である。100近い金属酵素が、触媒活性
のために亜鉛を必要とし、これらの金属酵素は、6つの酵素クラスの全ての間に分布して
いる。亜鉛はまた、タンパク質に結合してタンパク質構造に影響を及ぼす。ある場合には
、タンパク質は、亜鉛が特定のアミノ酸に配位する結果として特定の構造へと折り畳まれ
、そして折り畳まれたタンパク質は、生物学的に活性である。他の場合において、亜鉛の
配位は、酵素の構造を変化させることにより金属酵素中の別の金属の触媒活性に影響を及
ぼす。亜鉛は、遺伝子発現の制御因子としても同定されており、例えば金属応答要素転写
因子への結合により作用する。
【0003】
亜鉛を貯蔵するための機序が存在しないため、亜鉛の定期的な摂取が、体内の鉱質の十
分なレベルを維持するために必要とされる。亜鉛は、一般に食事を通して得られる。亜鉛
に関する食物源は、赤肉、家禽、海産食品、例えばカニおよびロブスター、豆、ナッツお
よび乳製品を含む。しかし、食物、例えば全粒粉パン、シリアルおよびマメ科植物中に存
在するフィテート類(例えばmyo-イノシトール六リン酸)は、亜鉛に結合し、そうし
て胃腸管における亜鉛の吸収を低減する。食事の不均衡は、不十分な亜鉛レベルをもたら
す可能性があり、特にフィテート類に富む食事は、一部の集団において亜鉛欠乏に結び付
けられてきた。欠乏は、例えばスプルー、クローン病、短腸症候群または亜鉛キャリヤー
タンパク質における遺伝的欠陥による亜鉛吸収障害を有する個体においても起こり得る。
【0004】
世界人口の25%が亜鉛欠乏のリスクがあることが、推定されている。Maret W, Sands
tead HH, “Zinc requirements and the risks and benefits of zinc supplementation,
” J. Trace Elem. Med. Biol. 20 (1): 3-18 (2006)。亜鉛不足または欠乏は、免疫機能
障害、食欲の喪失、遅延した創傷回復、発育不全、性交不能、思春期遅発症、味覚異常お
よび行動異常ならびに他の病気に結び付けられている。
【0005】
不十分な、または欠乏した亜鉛レベルの機会を最小限にするため、一部の食物、例えば
シリアルは、亜鉛を強化されており、亜鉛は、増大した亜鉛含有量を有する作物を生産す
るために土壌に添加されることができる。栄養(食事)補給剤も、利用可能である。その
ような補給剤は、例えば硫酸亜鉛、酢酸亜鉛またはキレート化された亜鉛の形態の亜鉛を
提供し、酸化亜鉛を含有する外用剤が、存在する。しかし、現在市場に出ている亜鉛補給
剤には、それらが亜鉛塩を直接胃に導入するため、欠点が存在する。胃中に導入された亜
鉛塩類は、胃の刺激またはさらには胃の出血を引き起こすことが知られている。Zn2+
イオンは、他の二価金属イオン、例えばカルシウム、マグネシウム、銅および鉄と胃腸管
中での吸収に関して競合する。補給剤により起こり得るような高い亜鉛摂取量は、銅の吸
収を阻害し、銅欠乏または貧血をもたらし得ることが、報告されている。Willis MS, Mon
aghan SA, Miller ML, McKenna RW, Perkins WD, Levinson BS, et al. “Zinc-induced
copper deficiency: a report of three cases initially recognized on bone marrow e
xamination,” Am. J. Clin. Pathol. 123:125-31 (2005)。補給剤から亜鉛を適切に取り
込むため、それは、亜鉛に結合する食品を含む食事から、または天然の吸収機序において
競合するかもしくは亜鉛に結合する他の栄養素、例えば銅、鉄もしくはリンに関する補給
剤から2時間より長く離して摂取される必要がある。
【0006】
従って、現在入手可能な組成物と関係する問題を回避する亜鉛補給剤組成物、特に胃の
不調および胃刺激を回避し、胃腸管中での生体吸収に関して二価金属イオン間での競合も
回避する組成物に関する必要性が、残っている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Maret W, Sandstead HH, “Zinc requirements and the risks and benefits of zinc supplementation,” J. Trace Elem. Med. Biol. 20 (1): 3-18 (2006)
【非特許文献2】Willis MS, Monaghan SA, Miller ML, McKenna RW, Perkins WD, Levinson BS, et al. “Zinc-induced copper deficiency: a report of three cases initially recognized on bone marrow examination,” Am. J. Clin. Pathol. 123:125-31 (2005)
【発明の概要】
【0008】
当該技術で認識されている問題および副作用を克服する、亜鉛をそれを必要とする人に
提供するための栄養補給剤組成物が、提供される。本発明は、ガンマ-ポリグルタミン酸
(γ-PGA)、亜鉛塩および胃耐性(gastro-resistant)材料を含み
固体または液体剤形として配合された亜鉛を投与するための組成物に向けられている。
【0009】
理論により限定されることなく、本発明は、剤形が胃を通過して腸に入るまで剤形の内
容物が放出されないように胃耐性材料を有する固体または液体剤形を提供することを意図
している。腸において、本発明は、亜鉛が大腸中でγ-PGAと会合してそれと共に輸送
されることにより吸収されることができ、必ずしも小腸中で作動する二価金属イオンに関
する輸送機序によらないように、γ-PGAの存在下で亜鉛塩を与えることを意図してい
る。
【0010】
一態様において、組成物は、約1kDa~約1000kDaの範囲の平均分子量を有す
るγ-PGA、亜鉛塩および胃耐性材料を含む配合物を含む。
一態様において、組成物は、固体または液体剤形中に含有されるγ-PGAおよび亜鉛
塩ならびに前記のγ-PGAおよび前記の亜鉛塩を腸に送達するための手段を含む。前記
の構成要素を腸に送達する機能を実施するための対応する構造または材料は、胃耐性材料
により、固体剤形の一部として、または液体剤形中の懸濁された固体、例えば顆粒、粒子
等の一部としてそれぞれ提供される。
【0011】
固体剤形に関する上記の態様のいずれかとの組み合わせで、組成物は、固体剤形、例え
ばカプセルまたは錠剤として調製され、増量剤および/または結合剤および/または顆粒
化剤および/または圧縮補助剤および/または崩壊剤から選択される1種類以上の賦形剤
も含むことができ、そしてさらに潤滑剤および/または滑剤も含むことができる。
【0012】
本発明は、本明細書で開示される栄養補給剤組成物の固体剤形を調製するための方法に
も向けられている。一態様において、固体剤形は、錠剤である。別の態様において、固体
剤形は、カプセルである。
【0013】
一態様において、方法は、γ-PGAおよび亜鉛塩ならびに1種類以上の賦形剤を混合
し、混合物を顆粒化し、潤滑剤および場合により追加の賦形剤(単数または複数)を顆粒
化された混合物と混合し、得られた組成物を錠剤化して錠剤にし、錠剤を胃耐性物質でコ
ートすることを含む。一態様において、方法は、γ-PGAおよび亜鉛塩ならびに1種類
以上の賦形剤を混合し、混合物を顆粒化し、場合により追加の賦形剤(単数または複数)
を顆粒化された混合物と混合し、次いで得られた組成物をカプセル中に封入することを含
み、カプセルは、胃耐性コーティングを含むか、またはそれと共に提供される。
【0014】
一態様において、方法は、γ-PGAおよび亜鉛塩、胃耐性結合剤ならびに1種類以上
の賦形剤を混合し、混合物を顆粒化し、潤滑剤および場合により追加の賦形剤(単数また
は複数)を顆粒化された混合物と混合し、得られた組成物を錠剤化して錠剤にし、場合に
より錠剤を外観、機械的安定性等のためにコートすることを含む。一態様において、方法
は、γ-PGAおよび亜鉛塩、胃耐性結合剤ならびに1種類以上の賦形剤を混合し、混合
物を顆粒化し、場合により追加の賦形剤(単数または複数)を顆粒化された混合物と混合
し、次いで得られた組成物をカプセル中に封入することを含む。
【0015】
一態様において、方法は、γ-PGAおよび亜鉛塩ならびに1種類以上の賦形剤を混合
して固体混合物、例えば粉末を形成することを含む。ある態様において、固体混合物組成
物は、適切な剤形、例えば錠剤またはカプセル等として配合される。
【0016】
本発明は、本明細書で開示される栄養補給剤組成物の液体剤形を液体懸濁液として調製
するための方法にも向けられている。
一態様において、方法は、γ-PGAおよび亜鉛塩、胃耐性結合剤ならびに1種類以上
の賦形剤を混合し、混合物を顆粒化し、次いで顆粒化された固体を適切な液体中で懸濁す
ることを含む。亜鉛をそれを所望するかまたは必要とする人に提供するための方法も、提
供される。一態様において、方法は、亜鉛の栄養補給を所望するかまたは必要とするヒト
に本明細書で開示される栄養補給剤組成物の固体または液体剤形を投与することを含む。
ある態様において、方法は、100mgまで、75mgまで、50mgまで、25mgま
で、または10mgまでの亜鉛を投与される固体剤形(単数または複数)中で提供する。
【0017】
本発明のこれらのおよび他の目的および特徴は、以下の詳細な本発明および特許請求の
範囲の記載から当業者に明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本明細書で記載される組成物および配合物中で用いられる構成要素は、栄養補給剤製品
における使用に関して規制当局により認められているグレードのものであり、ある場合に
は、医薬グレードまたは医学グレードの化合物または物質を意味する。
【0019】
本明細書で用いられる略語の意味は、以下の通りである:“kDa”は、キロダルトン
を意味し;“重量%”は、重量によるパーセントを意味する。
有効成分
亜鉛は、亜鉛(II)塩(同等にZn2+塩)として提供され、ここで、対イオン(陰
イオン)は、あらゆる適切な無機または有機陰イオンであることができる。適切な陰イオ
ンは、毒性ではない陰イオンを含む人体に許容される陰イオンである。一般に、亜鉛塩は
、式Zn2+X2-もしくはZn2+(X-)2またはさらにはZn2+(X-)(Y-
)により表されることができ、式中、XおよびYは、適切な陰イオンである。陰イオンは
、認可された食品添加剤または栄養補給剤の構成要素である陰イオンの群から選択される
ことができる。ある態様において、亜鉛(II)塩は、栄養的に許容可能な亜鉛塩であり
、前記の亜鉛(II)塩は、食品または栄養補給剤における使用に関して認可されている
亜鉛(II)塩類の群から選択される。陰イオンは、FDAに認可された医薬製品の構成
要素である陰イオンの群から選択されることができる。ある態様において、亜鉛(II)
塩は、薬学的に許容可能な亜鉛塩である。亜鉛塩類の例は、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、クエン
酸亜鉛、酢酸亜鉛、ピコリン酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、アミノ酸-亜鉛キレート類、例え
ばグリシン亜鉛または当該技術で既知である、および使用されている他のアミノ酸を含む
。2種類以上の異なる亜鉛塩類が、組成物または配合物のいずれかにおいてZn(II)
を提供するためにあらゆる割合で一緒に用いられることができる。
【0020】
単一の剤形中に含まれる亜鉛の量は、一般に約1~約100mgの亜鉛(亜鉛(II)
イオン)の範囲である。従って、配合された組成物中で用いられる亜鉛塩(類)の特定の
量は、塩の量が対イオンの重量を説明しなければならないため、より高いであろう。亜鉛
(II)のみを考慮すると、剤形中で提供される量は、約100mgまで、約75mgま
で、約50mgまで、約25mgまで、約10mgまでの亜鉛、または約5mgまでであ
ることができる。提供される亜鉛(II)の量は、一般に少なくとも約1mgである。一
般に入手可能な補給剤は、例えば20、25、30、50、75およびさらには100m
gの亜鉛を提供する。この範囲における亜鉛のあらゆる量またはさらに高い量が、提供さ
れる量が過剰なレベルの亜鉛の吸収を引き起こさない限り、許容可能である。ほとんどの
成人における亜鉛の許容可能な上限摂取レベルは、約40mg/日である(子供に関して
はそれはより低い)が、剤形中の亜鉛の全てが吸収されることはなさそうであり;その一
部は吸収されずに体を通過するであろうことは、認識されるべきである。吸収される亜鉛
の量は配合によっても異なると考えられるため、個々の配合物中の亜鉛含有量の上限は、
配合物により提供される取り込みのレベルを確かめてそれに従って剤形に関する上限を調
節するための当該技術で既知の方法により試験されることができる。
【0021】
ガンマ-ポリグルタミン酸(あるいはγ-ポリグルタミン酸またはγ-PGA)は、グ
ルタミン酸(アミノ酸)のポリマーであり、ここで、ポリマーの主鎖は、アミノ基および
アミノ酸側鎖中の(γ-炭素における)カルボキシル基を連結するペプチド結合により形
成される。γ-PGAは、グルタミン酸のL異性体、D異性体またはDLラセミ体から形
成されることができる。これらの形態のいずれも、用いられることができ、2種類以上の
異なる形態が、あらゆる割合で一緒に用いられることができる。γ-PGAの様々な異性
体形態は、合成によることができ、または天然源に由来することができる。γ-PGAは
、例えば日本の納豆中および昆布中に存在する。生物は通常はL異性体からのみポリ(ア
ミノ酸)を生成するが、γ-PGAを生成する特定の細菌性酵素は、どちらかの異性体ま
たは両方の異性体からポリマーを生成することができる。
【0022】
様々な大きさおよび様々なポリマー分散度のγ-PGAが、用いられることができる。
γ-PGAのポリマー分子量は、一般に少なくとも約1kDaかつ最大で約1000kD
aである。ある態様において、γ-PGAのポリマー分子量は、少なくとも約1kDa、
または少なくとも約5kDa、または少なくとも約10kDa、または少なくとも約20
kDa、または少なくとも約30kDa、または少なくとも約35kDa、または少なく
とも約40kDa、または少なくとも約50kDaである。ある態様において、γ-PG
Aのポリマー分子量は、最大で約700kDa、または最大で約500kDa、または最
大で約300kDa、または最大で約200kDa、または最大で約100kDaである
。許容可能なポリマー分子量範囲は、上記で示されたポリマー分子量の値のいずれから選
択されることもできる。一態様において、ポリマー分子量は、約5kDa~約500kD
aの範囲である。別の態様において、ポリマー分子量は、約5kDa~約300kDaの
範囲である。一態様において、ポリマー分子量は、約50kDa~約100kDaの範囲
である。一態様において、ポリマー分子量は、約100kDa(kDA)である。一態様
において、ポリマー分子量は、約50kDa(kDA)である。
【0023】
ポリマー分子量は、典型的には例えばゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)による測
定に基づく数平均分子量(Mn)として与えられる。上記のポリマー質量は、Mnとして
言及され;他の測定技法が、例えば質量(重量)平均分子量(Mw)を決定するために用
いられることができ、あらゆる所与のポリマーに関する明細は、様々なポリマー質量表現
の間で変換されることができる。
【0024】
固体剤形中に含まれるγ-PGAの量は、一般に約10重量%~約40重量%の範囲で
ある。ある態様において、量は、約20重量%または約30重量%である。用いられる量
は、一般に亜鉛およびポリグルタミン酸単量体単位の間の所望のモル比、亜鉛塩の質量(
対イオンの重量を説明する)ならびに許容可能な配合された剤形を提供するために必要と
される賦形剤の量に基づく。例えば、用いられるγ-PGAおよび亜鉛塩の量が大きいほ
ど、所与の剤形全体の大きさに関して添加されることができる賦形剤の量は少ない。当業
者は、有効成分の量対安定な剤形を得るために必要とされる賦形剤の量およびタイプの釣
り合いを容易にとることができる。亜鉛およびγ-PGAの間の所望の比率は、剤形あた
りの亜鉛のミリグラム対γ-PGAの重量%の比率として表されることもできる。典型的
な比率は、5mg:10重量%;5mg:20重量%;5mg:40重量%;30mg:
10重量%;30mg:20重量%;30mg:40重量%;もしくはさらには100m
g:10重量%;100mg:20重量%;100mg:40重量%;またはこれらの典
型的な比率により示される範囲内のあらゆる他の値のセットもしくは本明細書においてそ
れぞれの成分に関して引用される値から明らかである値のセットを含む。
【0025】
液体剤形中に含まれるγ-PGAの量は、一般に約0.01重量%~約10重量%の範
囲である。ある態様において、量は、約0.1重量%または約1重量%である。用いられ
る量は、一般に亜鉛およびポリグルタミン酸単量体単位の間の所望のモル比に基づく。
【0026】
胃耐性材料は、胃耐性外部コーティングとして、あるいは胃耐性結合剤として含まれ、
本開示の目的に関する組成物および配合された剤形中の有効成分と考えられる。胃耐性外
部コーティングまたは結合剤を構成する材料は、剤形からの亜鉛塩およびγ-PGAの放
出を、それが胃を通過して腸に入るまで遅延させる機能を果たす。一般に、胃耐性材料は
、胃の酸性環境(pH約3)中では認識できるほどに溶解または膨潤しないが、腸の中性
~わずかにアルカリ性の環境(pH7~9)中では内容物が放出されるように十分に溶解
または膨潤するであろうマトリックスまたはポリマーまたは他の障壁である。腸溶コーテ
ィングおよび腸溶結合剤は、胃耐性材料の例である。
【0027】
胃耐性材料の例は、酢酸フタル酸セルロース、酢酸コハク酸セルロース、酢酸トリメリ
ット酸セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース-フタレート、以下から選択さ
れる2以上の単量体のコポリマー:(i)アクリル酸エステル、(ii)アクリル酸メチ
ルエステル、ならびに(iii)メタクリル酸、ポリビニルアセテートフタレート、酢酸
コハク酸ヒプロメロース、フタル酸ヒプロメロース、アルギン酸ナトリウム、シェラック
およびゼインを含む。
【0028】
数多くのグレードおよび薬局方収載の標準が、胃耐性材料に関して存在し、それらは、
亜鉛およびγ-PGAを腸に送達する機能を提供するための適切な材料を選択するための
有用な手引きを提供する。外部コーティングにおけるコーティングの厚さおよびポリマー
組成または結合剤およびポリマー組成物の量を制御することにより、放出点は、より早く
もしくはより遅く、または腸の特定のおおよその領域内で起こるように調節されることが
できる。達成されることができる制御の程度の例は、様々な薬局方収載の標準を満たすC
orel Pharma Chem(インド)から商品名Acrycoat(登録商標)
の下で入手可能なメタクリル酸コポリマーの系列(line)、例えば:USP/NFメ
タクリル酸コポリマー、タイプA-NF(4~5%で用いられ、典型的には剤形の内容物
を空腸に送達する);USP/NFメタクリル酸コポリマー、タイプC-NF(4~5%
で用いられ、典型的には剤形の内容物を十二指腸に送達する);およびUSP/NFメタ
クリル酸コポリマー、タイプB-NF(10~20%で用いられ、典型的には剤形の内容
物を結腸に送達する)において見付けられることができる。後者(タイプB-NF)は、
送達をpH依存性ポリマーにより達成しているが、pH非依存性ポリマーも、結腸または
腸への送達のために用いられることができる。
【0029】
配合物
亜鉛塩およびγ-PGA有効成分は、経口固体剤形、例えば錠剤、カプセルまたは経口
投与のための関連する形態、例えばミニ錠剤(minitablet)、カプレット等の
中に配合されることができる。剤形は、胃耐性結合剤を含むことができ、またはさらに胃
耐性外部コーティングを有するように配合されることができる。
【0030】
亜鉛塩およびγ-PGA有効成分は、経口液体剤形、例えば液体懸濁液中に配合される
ことができる。配合構成要素および液体剤形の態様を調製する方法は、下記でさらに記載
される。
【0031】
亜鉛塩およびγ-PGA有効成分は、補給剤製品における使用に適しており特定の固体
剤形、例えば錠剤またはカプセル等を作製するのに適している賦形剤と組み合わせられる
。典型的な賦形剤は、増量剤、結合剤、崩壊剤、滑剤、潤滑剤ならびに緩衝剤、保存剤、
抗酸化剤、香味料、甘味料、着色剤等を含む。添加されるべき賦形剤の量およびタイプは
、様々な目的、例えば剤形の向上した完全性、向上した生物学的利用能、安定性、製造、
コーティング、外観および/またはコンプライアンスに関して選択されることができる。
一部の賦形剤は、1より多くの目的に役立つ可能性があり、かつ/または1より多くの向
上した特徴を提供することができる。
【0032】
増量剤は、水溶性または水に不溶性であることができ、それぞれのタイプの1以上が、
組み合わせられることができる。水溶性増量剤の例は、限定ではなく、当該技術で既知で
あるように、糖類、例えばグルコース、フルクトース、スクロース、マンノース、デキス
トロース、ガラクトース等、および糖アルコール類、例えばマンニトール、ソルビトール
、キシリトール等を含む。水に不溶性の増量剤の例は、限定ではなく、当該技術で既知で
あるように、蝋、長鎖脂肪酸、タルク、カオリン、二酸化ケイ素、二酸化チタン、アルミ
ナ、デンプン、粉末状セルロース、微結晶性セルロース等を含む。
【0033】
結合剤は、限定ではなく、当該技術で既知であるように、セルロース誘導体、例えばカ
ルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、酢酸フ
タル酸セルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチル
メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロー
ス、メチルセルロース、微結晶性セルロース、ポリビニルピロリドンならびにデンプン類
、加工デンプン類、例えば部分的に加水分解されたデンプン、例えばマルトデキストリン
、糖質、ゼラチン、天然または合成ガム等を含む。
【0034】
上記のように、ある態様において、胃耐性結合剤は、亜鉛(II)塩およびγ-PGA
の放出を腸まで遅らせるように機能する結合剤として配合物中に含まれることができる。
胃耐性結合剤が用いられる場合、それは、他の(非胃耐性)結合剤との組み合わせで用い
られることができる。
【0035】
崩壊剤は、限定ではなく、当該技術で既知であるように、カルメロース、カルメロース
ナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、アルギネート類、低置換
度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルデンプン、部分アルファ化デンプ
ン等を含む。
【0036】
滑剤は、限定ではなく、当該技術で既知であるように、シリカ類、シリケート類、タル
ク、リン酸カルシウム等を含む。
潤滑剤は、限定ではなく、当該技術で既知であるように、アルカリ金属またはアルカリ
土類金属ステアリン酸塩類、オレエート類、ベンゾエート類、アセテート類、塩化物等を
含む。
【0037】
他のタイプの賦形剤、例えば緩衝剤、保存剤、抗酸化剤、香味料、甘味料、着色剤が、
周知であり、当業者は、そのような構成要素を容易に選択して配合物に適用することがで
きる。
【0038】
腸中での吸収を受け入れられる他のタイプの有効成分、例えばビタミン類、鉱質、栄養
素および他の栄養または食事補給剤も、別途記載されない限り、本発明の範囲から逸脱す
ることなく本明細書で記載される固体または液体組成物および配合物に添加されることが
できる。
【0039】
本明細書で記載される固体または液体組成物および配合物は、あるいは、亜鉛塩(類)
およびγ-PGAならびに胃耐性外部コーティングまたは胃耐性結合剤を、それが本明細
書と矛盾しない限り、含む、それで構成される、または本質的にそれで構成されることが
できる。固体または液体組成物および配合物は、先行技術の組成物中に存在する、または
他の点では(otherwise)開示される発明に必要ではないあらゆる構成要素(単
数または複数)、例えば有効成分および/または賦形剤を欠いている、または実質的に含
まないこともできる。
【0040】
固体剤形を調製する方法
亜鉛塩類およびγ-PGAならびに選択された賦形剤は、個々に、または組み合わせで
大きさを決められる、塊を除去される(declumped)、または粉末化されること
ができる。様々な構成要素は、乾燥混合により組み合わせられる、または湿式もしくは乾
式顆粒化、噴霧、押し出し、圧延もしくは流動床顆粒化もしくは当該技術で既知の他のそ
のような技法により顆粒化されることができ、その後、場合により製粉されることができ
る。
【0041】
固体剤形を調製するための方法は、所望の量の亜鉛塩(類)およびγ-PGAならびに
賦形剤を一緒に混合することを含み、それは、1種類以上の増量剤および/または1種類
以上の結合剤および/または1種類以上の崩壊剤および/または1種類以上の潤滑剤およ
び/または1種類以上の滑剤を含む。上記のように、ある態様において、前記の1種類以
上の結合剤は、胃耐性結合剤であることができ、それは、他の(非胃耐性)結合剤との組
み合わせで用いられることができる。顆粒化工程が含まれる場合、賦形剤のいずれも、顆
粒化工程の前、間または後に、全て、または部分的に添加されることができる。ある態様
において、潤滑剤の一部または全部が、顆粒化工程の後に混合される。これらの態様の一
部において、滑剤も、顆粒化工程の後に混合される。
【0042】
顆粒化工程が、構成要素のブレンドをそれらが顆粒化される際に湿らせるために溶媒、
例えば水または有機溶媒または水性有機溶液の使用を含む場合、結果として得られる製品
は、通常は残留する溶媒を除去するために乾燥させられる。有機溶媒の例は、当該技術で
既知であるように、エタノールおよびイソプロパノール等を含む。好ましくは、有機溶媒
の実質的に全部が、乾燥工程において除去される。水が顆粒化工程において用いられる溶
媒の一部である場合、好ましくは、10重量%より多くない、または5重量%より多くな
い、または2重量%より多くない水が、乾燥後に残されて次の工程へと進む。
【0043】
混合または顆粒化された固体は、固体を圧縮、締固めまたは成型を用いて錠剤化するこ
とにより錠剤へと形成されることができる。その後、ある態様において、錠剤は、上記の
ように胃耐性コーティングでコートされる。一般に、胃耐性物質および場合により他の賦
形剤(例えば可塑剤、乳化剤)が、水性または有機溶媒中に溶解または分散させられ、次
いで噴霧コーティング、流動床コーティング、パンコーティング等を含む当該技術で既知
の数多くの方法のいずれかを用いて適用される。ある態様において、錠剤は、外観、機械
的安定性、化学的安定性等の目的のためにコートされるが、そのコーティング中には胃耐
性材料は含まれない。
【0044】
あるいは、混合または顆粒化された固体は、カプセルまたはカプレット中に充填されて
内部に封入されることができる。カプセルという用語は、軟カプセル、硬カプセル、ゼラ
チンカプセル(gelcaps)、植物性カプセルを含み、ワンピースまたはツーピース
カプセルであることができる。腸溶コーティングカプセルが、利用可能であり(例えば腸
溶カプセル薬物送達技術)、またはカプセルは、充填、封入され、次いで上記で言及され
た方法により物質の溶液または分散物を場合により他の賦形剤と共に用いて胃耐性コーテ
ィングでコートされることができる。他の態様において、混合または顆粒化された固体は
、胃耐性結合剤材料を含み、そのような固体は、腸溶コーティングを欠くカプセル中に装
填されることができる。
【0045】
錠剤またはカプセル両方の大きさおよび形状は、特に制限されない。亜鉛塩類およびγ
-PGAの所望の投与量は、過度に大きくない錠剤またはカプセル中に配合されることが
できることが、予想される。
【0046】
本発明の態様に従う錠剤剤形を調製するための典型的な方法が、下記で実施例2および
4において提供される。
液体剤形を調製する方法
液体剤形を調製するための1つの方法は、所望の量の亜鉛塩(類)およびγ-PGAお
よび胃耐性結合剤を適切な賦形剤と一緒に混合して顆粒化された固体または溶液中の懸濁
に適した他の固体形態を調製することを含む。
【0047】
適切な賦形剤は、(上記で固体剤形に関して記載されたような)増量剤、結合剤、崩壊
剤ならびに緩衝剤、保存剤、抗酸化剤等を含む。添加されるべき賦形剤の量およびタイプ
は、様々な目的、例えば剤形の向上した完全性、向上した生物学的利用能、安定性、製造
、外観および/またはコンプライアンスに関して選択されることができる。一部の賦形剤
は、1より多くの目的に役立つことができ、かつ/または1より多くの向上した特徴を提
供することができる。
【0048】
亜鉛塩類およびγ-PGAおよび胃耐性結合剤ならびに選択された賦形剤は、個々に、
または組み合わせで、大きさを決められる、塊を除去される、または粉末化されることが
できる。様々な構成要素は、湿式もしくは乾式顆粒化、噴霧、押し出し、圧延もしくは流
動床顆粒化または当該技術で既知の他のそのような技法により顆粒化されることができ、
その後場合により製粉されることができる。特に、顆粒化工程は、上記で固体剤形に関し
て記載されたように実施されることができる。従って、Zn(II)塩およびγ-PGA
有効成分の混合物を含む顆粒化された組成物は、顆粒化された固体中に含まれる胃耐性結
合剤を用いて調製される。γ-PGAは、約5kDa~約500kDaの範囲の平均分子
量を有する。ある態様において、平均ポリマー分子量は、約5kDa~約100kDaで
あり、他の態様において、約1kDa~約100kDaである。
【0049】
次いで、顆粒化された固体は、摂取に適した酸性液体中で懸濁される。そのような液体
は、酸性液体食物または液体栄養補給剤であることができる。溶液のpHは、顆粒化され
た固体が胃耐性結合剤の結果として安定なままであるように、約pH6未満であることが
できる。一態様において、液体懸濁液配合物は、顆粒化された固体が十分に懸濁されたま
まであり容器から効率的に摂取されることができるように、増粘剤または粘度増進剤も含
有する。例えば、一態様において、固体を必要に応じて振盪または撹拌により懸濁した後
、固体は、約5秒間より長い、または約15秒間より長い沈降時間(settling
time)を有するべきである。他の賦形剤、例えば香味料、緩衝剤、保存剤、抗酸化剤
、甘味料等が、液体懸濁液中に含まれることができる。
【0050】
液体剤形が使用のために構成される際、γ-PGAは、一般に約0.01重量%~約1
0重量%の濃度で存在し、Zn(II)塩は、一般に約0.001重量%~約10重量%
の濃度で存在する。
【0051】
液体剤形を調製するための別の方法は、亜鉛塩およびγ-PGAの複合体の粒子、例え
ばマイクロスフェア、微粒子、顆粒または他の適切な固体形態を形成し、その粒子を蝋の
薄層でコートすることを含む。好ましい態様において、粒子は、さらに胃耐性結合剤を含
む。コートされた粒子は、液体懸濁液配合物として配合される。粒子上の蝋コーティング
は、粒子の物理的完全性を促進し、浸透性を低減するが、コーティングは、それでもなお
亜鉛およびγ-PGAの複合体の腸への送達を可能にする。
【0052】
コーティングに適した顆粒は、前記の方法のいずれかに従って調製されることができる
。亜鉛塩、γ-PGAおよび胃耐性結合剤のマイクロスフェアまたは微粒子は、数多くの
当該技術で既知の方法のいずれかにより調製されることができ、それは、分散した相の単
一エマルジョン(single emulsion)法、二重エマルジョン(doubl
e emulsion)法、重合、界面重合、相分離およびコアセルベーション、噴霧乾
燥、噴霧凝結、溶媒抽出、凍結乾燥を含む。そのようなマイクロスフェアまたは微粒子の
寸法は、数10ミクロン~数1000ミクロンの範囲であることができる。例として、マ
イクロスフェア粒子を調製するための1つの方法は、亜鉛塩およびγ-PGAを含む微細
に分割された(例えば粉末化された)固体混合物を懸濁媒体、例えばパラフィン油中で撹
拌し、ポリマー性胃耐性結合剤の溶液をその撹拌された懸濁液に添加することを含む。マ
イクロスフェアが形成されたら、非溶媒、例えばクロロホルムが、マイクロスフェアを沈
殿させるために添加され、それが収集され、乾燥させられ、続いて蝋でコートされる。
【0053】
蝋コーティングは、生体適合性かつ非免疫原性であり、薬物の捕捉および腸管への送達
に適していることが、認識されている。粒子(マイクロスフェア、微粒子、顆粒等)は、
当該技術で既知の方法に従って蝋、例えばカルナウバ蝋、蜜蝋、セトステアリルアルコー
ル、鯨蝋および他の蝋でコートされることができる。例えば、粒子は、蝋を白色パラフィ
ン油中で溶解させ、その溶液を45℃未満まで冷却し、次いで粒子を機械的に撹拌された
蝋/パラフィン油溶液に、その粒子がコートされるまで添加することにより、カルナウバ
蝋でコートされることができる。撹拌速度および時間ならびに蝋溶液の温度は、蝋コーテ
ィングの厚さを修正するために調節されることができる。
【0054】
蝋でコートされた亜鉛塩およびγ-PGA粒子は、投与のために液体懸濁液として配合
される。コートされた亜鉛/γ-PGA粒子は、最終的な配合された懸濁液中に約5重量
%~30重量%で存在する。典型的には、液体懸濁液配合物は、懸濁ポリマー、粘性剤お
よび緩衝剤を含む。配合物は、さらに甘味料、香味料および/または保存剤の1以上も含
んでよい。
【0055】
懸濁ポリマーは、キサンタンガム、カルボマー、微結晶性セルロース、カルボキシメチ
ルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウムから選択されることができ、
それは、単独でまたはあらゆる組み合わせで用いられることができる。当該技術で既知の
他の類似の薬剤も、用いられることができる。合計で、懸濁ポリマー構成要素は、最終配
合物中に約0.02重量%~約5重量%で存在する。
【0056】
粘性剤は、グリセリン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセ
ルロース、ポビドン、グアーガムおよびローカストビーンガムから選択されることができ
、それは、単独で、またはあらゆる組み合わせで用いられることができる。当該技術で既
知の他の類似の薬剤も、用いられることができる。合計で、粘性剤構成要素は、最終配合
物中に約0.05重量%~約50重量%で存在する。
【0057】
緩衝剤は、リン酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、乳酸緩衝剤およびクエン酸緩衝剤または所定の
範囲の緩衝能力を有する他の栄養的に許容可能な緩衝剤から選択されることができる。緩
衝剤は、約6以下のpHを有するように調節される。ある態様において、pHは、約3~
約6である。ある態様において、pHは、4.5~5であり、他の態様において、pHは
、4~5であり、さらに他の態様において、pHは、3~5である。
【0058】
甘味料は、スクロース、転化スクロース、キシリトール、ソルビトール、マルチトール
、アスパルテーム、サッカリンおよびスクラロースから選択されることができ、それは、
単独で、またはあらゆる組み合わせで用いられることができる。当該技術で既知の他の類
似の薬剤も、用いられることができる。合計で、甘味料構成要素は、最終配合物中に約5
重量%~約40重量%で存在することができる。
【0059】
香味料は、あらゆる薬学的に許容可能な香味料または当該技術で既知の食品もしくは補
給剤中で用いられているあらゆる薬剤から選択されることができ、業界の慣習と一致する
量で最終配合物中に添加されることができる。
【0060】
保存剤は、安息香酸ナトリウム、メチルパラベン、プロピルパラベン、ベンジルアルコ
ール、ソルビン酸カリウムおよびクエン酸から選択されることができ、それは、単独で、
またはあらゆる組み合わせで用いられることができ、業界の慣習と一致する量で最終配合
物中に添加されることができる。当該技術で既知の他の類似の薬剤も、用いられることが
できる。
【0061】
本発明の一部の態様に従う液体剤形を調製するための典型的な配合物および方法が、下
記で実施例5および6においてそれぞれ提供される。
投薬および投与
本明細書で記載される経口剤形は、彼らの食事により摂取される亜鉛を補う必要または
望みを有するヒトに有効量の亜鉛を提供するために投与されることができる。有効量は、
ヒトにより吸収される亜鉛の量が亜鉛の不足または欠乏を緩和するために十分であること
を意味する。有効量の達成は、配合物の特徴に依存すると考えられ、それぞれの個体の性
別、年齢、状態および遺伝的構成により異なるであろう。例えば遺伝的原因または吸収障
害もしくは重度の食事制限の他の原因により不十分な亜鉛を有する個体は、一般により高
い有効性成分含量(dosage strength)の配合物またはより低い含量の複
数の剤形を用いることにより、有効量(一般に1日あたり約100mgまでの亜鉛)を投
与される。亜鉛を欠乏している個体は、1日あたり1つまたは複数の剤形を用いることに
より、有効量(例えば1日あたり約25mgまで、または50mgまで、または75mg
までの亜鉛)を投与されることができる。複数の剤形が、その日に一緒にまたは別々に摂
取されることができる。経口剤形は、食事時間に関係なく投与されることができる。
【実施例0062】
実施例1:γ-ポリグルタミン酸-亜鉛組成物
本発明の典型的な態様の組成物が、表1において示されている。配合物は、錠剤あたり
25mgのZn(Zn2+イオン)を提供する。この組成物は、単に特許請求の範囲内の
多くの組成物の1つを説明するものである。
【0063】
【0064】
実施例2:γ-ポリグルタミン酸-亜鉛組成物を調製する方法
実施例1において示された組成物を有するコートされた錠剤は、湿式顆粒化技法を用い
て調製される。まず、硫酸亜鉛およびγ-ポリグルタミン酸が、乾燥状態で一緒に混合さ
れる。微結晶性セルロース、デンプンおよび二酸化ケイ素が、さらに添加され、乾燥構成
要素が、全てさらに一緒に混合される。混合された構成要素は、造粒機に移され、適切な
量の水性エタノールが、添加され、顆粒化が、実施される。得られた顆粒化された混合物
が、50~70℃で乾燥させられ、約5%未満の含水率を有する顆粒化された組成物が、
生成される。ステアリン酸マグネシウムが、顆粒化された組成物に添加され、それと共に
混合される。得られた混合物が、圧縮されて錠剤になる。最後に、錠剤は、当業者に既知
であるような標準的な技法を用いて酢酸フタル酸セルロースでコートされる。
【0065】
実施例3:γ-ポリグルタミン酸-亜鉛固体組成物
本発明の典型的な態様の組成物が、表2において示されている。配合物は、錠剤あたり
30mgのZn(Zn2+イオン)を提供する。この組成物は、単に特許請求の範囲内の
多くの組成物の1つを説明するものである。
【0066】
【0067】
実施例4:γ-ポリグルタミン酸-亜鉛固体組成物を調製する方法
実施例3において示されている組成物を有するコートされた錠剤が、以下のように調製
された。まず、硫酸亜鉛、γ-ポリグルタミン酸、微結晶性セルロース、HPMC-P(
ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート)、マルトデキストリンおよびカルボキ
シメチルセルロース-カルシウムが、乾燥状態で一緒に混合される。混合された構成要素
は、造粒機に移され、適切な量の70%水性エタノールが、添加され、湿式造粒が、実施
された。得られた顆粒化された混合物は、約60℃までにおいて乾燥させられ、約3%未
満のLOD(乾燥減量)を有する顆粒化された組成物が、得られた。シリカ(例えばアエ
ロジル(登録商標))およびステアリン酸マグネシウムが、顆粒化された組成物に添加さ
れ、それと共に混合された。得られた混合物が、圧縮されて錠剤になった。その錠剤は、
当業者に既知であるような標準的な技法を用いて、まずHPMC-Pのイソプロピルアル
コール溶液を用いてコートされ、次いで第2工程においてHPMCの水溶液を用いてコー
トされた。
【0068】
実施例5:γ-ポリグルタミン酸-亜鉛液体組成物
本発明の典型的な態様の組成物が、表3において示されている。配合物は、100gの
液体配合物あたり0.68mgのZn(Zn2+イオン)を提供する。この組成物は、単
に特許請求の範囲内の多くの組成物の1つを説明するものである。
【0069】
【0070】
実施例6:γ-ポリグルタミン酸-亜鉛液体組成物を調製する方法
1.コートされたZnPGAマイクロスフェア(cZPM)の調製。10gのスクロー
ス(5%w/v)、45mgのγ-PGAおよび19.79mgの硫酸亜鉛七水和物(元
素のZnとして4.5mg)を含有する200mLの水が、調製され、凍結乾燥された。
次いで、結果として得られた粉末が、5%までのコーンスターチを含有する微細に分割さ
れたスクロースと1:4の比率で摩砕処理され、No.50米国標準ステンレス鋼篩(4
8メッシュ)を押し通された。次いで、この粉末が、400mLビーカー中で200mL
の白色パラフィン油中で懸濁された。その混合物が、高トルク撹拌機(Type RXR
1,Caframo,オンタリオ州ワイアトン)に取り付けられた44mmポリエチレン
三枚刃パドルによる260rpmでの撹拌により分散させられた。その懸濁液に、20m
Lのアセトン-95%エタノール(9:1)中10%(w/v)ヒドロキシプロピルメチ
ルセルロース-フタレート(HPMC-P)が、添加された。撹拌が、5分間継続され、
それによりマイクロスフェアが形成され、次いで75mLのクロロホルムが、添加された
。懸濁媒体が、デカントされ、マイクロスフェアが、75mLのクロロホルム中で短時間
再懸濁され、周囲温度で風乾された。乾燥したら、マイクロスフェアは、カルナウバ蝋で
コートされた。具体的には、1gのカルナウバ蝋が、200mLの白色パラフィン油中で
70℃において溶解され、45℃未満まで冷却された。この冷却された蝋-パラフィン溶
液に、調製されたマイクロスフェアが、添加され、一定の撹拌により15分間懸濁された
。次いで、蝋溶液がデカントされ、マイクロスフェアが、過剰な蝋溶液を吸収するために
濾紙上で収集され、コートされたZnPGAマイクロスフェア(cZPM)が得られた。
【0071】
2.コートされたZnPGAマイクロスフェア(cZPM)の液体懸濁液溶液の調製。
以下の構成要素:0.3gのキサンタンガム(例えば懸濁ポリマーとして);0.3gの
グアーガム(例えば粘性剤として);10gのキシリトール(例えば甘味料として);0
.5gのクエン酸緩衝剤(例えば緩衝剤として);0.1gのリモネン(例えば香味料と
して);0.025gのソルビン酸カリウム(例えば保存剤として)が、78.7mLの
水中で溶解された。水溶液のpHが、pH4.5に調節され、次いで10gのcZPMが
、水溶液中で懸濁され、cZPMの液体懸濁液が得られた。
【0072】
前記の発明は、詳細に、かつ例および説明として記載されてきたが、当業者は、本明細
書に開示され、特許請求の範囲により包含される組成物および方法の範囲を理解するであ
ろう。