(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025014873
(43)【公開日】2025-01-30
(54)【発明の名称】発熱装置
(51)【国際特許分類】
F24V 40/00 20180101AFI20250123BHJP
F24H 1/20 20220101ALI20250123BHJP
【FI】
F24V40/00
F24H1/20 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023117800
(22)【出願日】2023-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】000138521
【氏名又は名称】株式会社ユタカ技研
(71)【出願人】
【識別番号】504300088
【氏名又は名称】国立大学法人北海道国立大学機構
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110002192
【氏名又は名称】弁理士法人落合特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木谷 悟
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】村上 雄紀
(72)【発明者】
【氏名】松村 昌典
【テーマコード(参考)】
3L122
【Fターム(参考)】
3L122AA02
3L122AA22
3L122AB30
3L122AB42
(57)【要約】
【課題】回転エネルギーを熱エネルギーに変換する、構造簡単な発熱装置を提供する。
【解決手段】
発熱装置1は、内部に環状の第1ステータ2を回動不能に固定した密閉容器3と、密閉容器内に充填される流体5と、第1ステータに対向して密閉容器の内部に回転自在に配置され、第1ステータとの間に前記流体の螺旋状流路7を形成する環状のポンプ6と、該ポンプを一端部8aに回転不能に支持するとともに、密閉容器から突出する他端部8bを回転動力の動力源9に接続する動力伝達軸8と、該動力伝達軸を密閉容器に回転可能に支持する軸受け部材17a,17dと、ポンプと第1ステータとの間で、密閉容器に回転不能、且つ取り外し可能に固定される第2ステータ10と、密閉容器の外壁に設けられた放熱部4とを備え、動力源の動力により螺旋状流路内の流体を攪拌し、流体摩擦により発生する流体の熱を放熱部より放出して熱媒11との間で熱交換を行わせる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に環状の第1ステータを回動不能に固定した密閉容器と、
前記密閉容器内に充填される流体と、
前記第1ステータに対向して前記密閉容器の内部に回転自在に配置され、前記第1ステータとの間に前記流体の螺旋状流路を形成する環状のポンプと、
前記ポンプを一端部に回転不能に支持するとともに、前記密閉容器から突出する他端部を回転動力の動力源に接続する動力伝達軸と、
前記動力伝達軸を前記密閉容器に回転可能に支持する軸受け部材と、
前記ポンプと前記第1ステータとの間で、前記密閉容器に回転不能、且つ取り外し可能に固定される第2ステータと、
前記密閉容器の外壁に設けられた放熱部と、を備え、
前記動力源の動力により前記螺旋状流路内の前記流体を攪拌し、流体摩擦により発生する前記流体の熱を前記放熱部より放出して外部の熱媒との間で熱交換を行わせることを特徴とする発熱装置。
【請求項2】
請求項1に記載の発熱装置であって、
前記第1,第2ステータは、各々内周部にステータハブを有しており、前記第1ステータの第1ステータハブは、前記第2ステータの第2ステータハブを取り外し可能に固定し得る回り止め部を有していることを特徴とする発熱装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の発熱装置であって、
前記第1,第2ステータは、各々同一枚数の複数のステータブレードを有しており、前記第2ステータは、当該第2ステータの第2ステータブレードを、前記第1ステータの第1ステータブレードに対して任意の位相で装着し得るようにして、前記密閉容器に取り外し可能に固定されることを特徴とする発熱装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の発熱装置であって、
前記第2ステータは、前記第1ステータが有する複数の第1ステータブレードと異なる枚数の複数の第2ステータブレードを有し、前記密閉容器に取り外し可能に固定されることを特徴とする発熱装置
【請求項5】
請求項2に記載の発熱装置であって、
前記第1ステータは前記密閉容器と一体に形成され、前記第1ステータハブに、前記動力伝達軸との間で前記密閉容器内の流体を封止するシール部と、前記動力伝達軸を前記密閉容器内で回転させるための軸受け部材とを有していることを特徴とする発熱装置。
【請求項6】
請求項1に記載の発熱装置であって、
前記密閉容器は、重力方向と平行に延びる前記動力伝達軸を上面から突出させていることを特徴とする発熱装置。
【請求項7】
請求項1または請求項6に記載の発熱装置であって、
前記放熱部は、少なくとも一部が径方向で前記螺旋状流路と重なっていることを特徴とする発熱装置。
【請求項8】
請求項1または請求項6に記載の発熱装置であって、
前記密閉容器は、熱媒が充填されて密閉された貯湯タンク内に収納されて、前記動力伝達軸の他端部が前記貯湯タンクから突出し、前記貯湯タンクと前記貯湯タンクの外部に配置された熱交換装置との間に、前記熱媒を前記貯湯タンクと前記熱交換装置との間で循環させる循環配管が接続され、前記貯湯タンク内の前記密閉容器の外側で前記動力伝達軸には、該動力伝達軸の外周から放射状に延びる複数枚の攪拌翼が、前記密閉容器の少なくとも前記放熱部の一部を覆うように取り付けられることを特徴とする発熱装置。
【請求項9】
請求項8に記載の発熱装置であって、
前記循環配管の前記貯湯タンクへの入り口から前記貯湯タンク内に延びる前記循環配管の延長部分が、前記攪拌翼の内周側で開口することを特徴とする発熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部にステータを回動不能に固定した密閉容器と、その密閉容器内に充填される流体と、ステータに対向して密閉容器内に回転自在に配置され、ステータとの間に前記流体の螺旋状流路を形成するポンプと、該ポンプを一端部側に回転不能に支持するとともに、密閉容器から突出する他端部を回転動力の動力源に接続する動力伝達軸と、その動力伝達軸を密閉容器に回転可能に支持する軸受け部材とを備え、動力源の回転動力でポンプを回転させ、密閉容器内の流体を撹拌することで回転エネルギを熱エネルギに変換する発熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような発熱装置を風車や軸流水車等の動力源に接続して、密閉容器内に充填された流体を撹拌し、撹拌により加熱された流体を熱エネルギとして外部に取り出すことが、特許文献1に開示されているように公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示されたものは、ポンプ5を一端部側に支持した動力伝達軸3を、動力源の回転動力で回転させつつ、流体としての水を密閉容器の流入口1cから注入することで、ポンプ5のブレードによって加速された水を螺旋状流路内でステータ2のブレード2aに衝突させ、この衝突によってポンプ5の回転エネルギを熱エネルギに変換して水を加熱するように構成している。加熱された水は、遠心力によりステータ2及びポンプ5の間隙を経て密閉容器内のポンプ5の背面側に流出し、流出口8から排出されることで、回転エネルギを熱エネルギとして外部に取り出すことができる。
【0005】
しかしながらこのものは、密閉容器内の加圧された水が動力伝達軸3から軸受部に流出しないようにするためのシール構造が複雑で、これにより部品点数が増加してコスト増を招くとともに、加熱された水をそのまま外部に流出させているので熱効率的にも問題があった。しかもこのものは、多種多様な風車等に合わせてその特性を変更したい場合に、ステータ2もしくはポンプ5の形状を大きく変えなければならないのでその変更が容易でなく、またコストの増大が避けられないものであった。
【0006】
本発明は、上記に鑑み提案されたもので、シール構造が簡略で部品点数が削減され熱効率も優れたるとともに、その特性を多種多様な風車等に簡単に適合させることができる発熱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、内部に環状の第1ステータを回動不能に固定した密閉容器と、前記密閉容器内に充填される流体と、前記第1ステータに対向して前記密閉容器の内部に回転自在に配置され、前記第1ステータとの間に前記流体の螺旋状流路を形成する環状のポンプと、前記ポンプを一端部に回転不能に支持するとともに、前記密閉容器から突出する他端部を回転動力の動力源に接続する動力伝達軸と、前記動力伝達軸を前記密閉容器に回転可能に支持する軸受け部材と、前記ポンプと前記第1ステータとの間で、前記密閉容器に回転不能、且つ取り外し可能に固定される第2ステータと、前記密閉容器の外壁に設けられた放熱部と、を備え、前記動力源の動力により前記螺旋状流路内の前記流体を攪拌し、流体摩擦により発生する前記流体の熱を前記放熱部より放出して外部の熱媒との間で熱交換を行わせることを第1の特徴とする。
【0008】
また本発明は、第1の特徴に加えて、前記第1,第2ステータは、各々内周部にステータハブを有しており、前記第1ステータの第1ステータハブは、前記第2ステータの第2ステータハブを取り外し可能に固定し得る回り止め部を有していることを第2の特徴とする。
【0009】
また本発明は、第1または第2の特徴に加えて、前記第1,第2ステータは、各々同一枚数の複数のステータブレードを有しており、前記第2ステータは、当該第2ステータの第2ステータブレードを、前記第1ステータの第1ステータブレードに対して任意の位相で装着し得るようにして、前記密閉容器に取り外し可能に固定されることを第3の特徴とする。
【0010】
また本発明は、第1または第2の特徴に加えて、前記第2ステータは、前記第1ステータが有する複数の第1ステータブレードと異なる枚数の複数の第2ステータブレードを有し、前記密閉容器に取り外し可能に固定されることを第4の特徴とする。
【0011】
また本発明は、第2の特徴に加えて、前記第1ステータは前記密閉容器と一体に形成され、前記第1ステータハブに、前記動力伝達軸との間で前記密閉容器内の流体を封止するシール部と、前記動力伝達軸を前記密閉容器内で回転させるための軸受け部材とを有していることを第5の特徴とする。
【0012】
また本発明は、第1の特徴に加えて、前記密閉容器は、重力方向と平行に延びる前記動力伝達軸を上面から突出させていることを第6の特徴とする。
【0013】
また本発明は、第1または第6の特徴に加えて、前記放熱部は、少なくとも一部が径方向で前記螺旋状流路と重なっていることを第7の特徴とする。
【0014】
また本発明は、第1または第6の特徴に加えて、前記密閉容器は、熱媒が充填されて密閉された貯湯タンク内に収納されて、前記動力伝達軸の他端部が前記貯湯タンクから突出し、前記貯湯タンクと前記貯湯タンクの外部に配置された熱交換装置との間に、前記熱媒を前記貯湯タンクと前記熱交換装置との間で循環させる循環配管が接続され、前記動力伝達軸には該動力伝達軸の外周から放射状に延びる複数枚の攪拌翼が、前記密閉容器の少なくとも前記放熱部の一部を覆うように取り付けられることを第8の特徴とする。
【0015】
また本発明は、第8の特徴に加えて、前記循環配管の前記貯湯タンクへの入り口から前記貯湯タンク内に延びる前記循環配管の延長部分が、前記攪拌翼の内周側で開口することを第9の特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の第1の特徴によれば、密閉容器の内部に回動不能に固定された環状の第1ステータに、動力源に接続した環状のポンプを対向させ、該環状のポンプを動力源の回転動力で回転させることで、第1ステータおよびポンプ間の螺旋状流路内の流体を攪拌し、流体摩擦により発生する流体の熱を放熱部より放出して外部の熱媒との間で熱交換を行わせる発熱装置が、第1ステータに加えて第2ステータを備えるので、流体の抵抗が大きくなり、動力源から伝達される回転エネルギーを効率よく熱エネルギーに変換することができる。しかも攪拌される流体が密閉容器内に封入されているので、シール構造が複雑化することもない。
【0017】
また、発熱装置を風車に接続する場合、発熱装置のポンプ容量を、風車のパワー係数が最大となる周速比(風車翼の先端速度と風速との比)を得られるように調整することで、風車効率を最大化できるのであるが、本発明の第1の特徴によれば、第2ステータが密閉容器に回転不能且つ取り外し可能に固定されるので、様々な風車の特性に合わせたポンプ容量の変更が、第2ステータのブレードを変更するだけで可能となり、ポンプおよび第1ステータの翼形状を変更することなく、多種多様な風車に適合するポンプ容量を得ることが可能となる。
【0018】
しかも本発明の発熱装置は、入力トルクが回転数の二乗に比例する流体継手構造を有するので、発熱装置の動力伝達軸に接続される風車の出力トルクを、常に風車の回転数の二乗に比例させることができる。そのため、一旦、発熱装置のポンプ容量を風車のパワー係が最大となる周速比を得るように調整してしまえば、風速が変化してもパワー係数が常時最大となるような周速比を得ることができるから、風車に対して特別な制御を行うことなく、風車を常に最大の効率で運転することができる。
【0019】
また本発明の第2の特徴によれば、第1,第2ステータは、各々内周部にステータハブを有しており、第1ステータの第1ステータハブは、第2ステータの第2ステータハブを取り外し可能に固定し得る回り止め部を有しているので、重量やコストを増加させることのない簡素な構成で、様々な形状の第2ステータを追加することができる。
【0020】
また本発明の第3の特徴によれば、第1,第2ステータは、各々同一枚数の複数のステータブレードを有しており、第2ステータは、当該第2ステータの第2ステータブレードを、第1ステータの第1ステータブレードに対して任意の相対取付角度(位相)で装着し得るので、第2ステータの第1ステータに対する位相を変更するだけで、簡単にポンプ容量の変更が可能となって、様々な風車に最適な発熱装置を容易に提供できる。
【0021】
また本発明の第4の特徴によれば、第2ステータは、第1ステータが有する複数の第1ステータブレードと異なる枚数の複数の第2ステータブレードを有するので、第2ステータの第1ステータに対する取付角度が変わっても、ポンプ容量のバラツキを抑えることができる。
【0022】
また本発明の第5の特徴によれば、第1ステータは密閉容器と一体に形成され、動力伝達軸との間で密閉容器内の流体を封止するシール部と、動力伝達軸を密閉容器内で回転させるための軸受け部材とを第1ステータハブに有しているので、第1ステータハブに、第2ステータの保持機能に加えてシール機能と軸受け機能とを持たせることができて、発熱装置のコンパクト化に寄与することができる。
【0023】
また本発明の第6の特徴によれば、密閉容器は、重力方向と平行に延びる前記動力伝達軸を上面から突出させているので、動力伝達軸を地面に対し垂直に配置できる。そのため、密閉容器を地面や建屋近くに設置できるので、それを支える支柱等を簡素化でき、コストおよび重量を削減できる。
【0024】
また更に、本発明の第7の特徴によれば、放熱部は、少なくとも一部が径方向で螺旋状流路と重なっているので、放熱部を発熱源である螺旋状流路に近づけることができるため、密閉容器を水槽や貯湯タンク内で駆動する際に、密閉容器から水槽や貯湯タンク内の熱媒への熱伝導性が向上して、熱媒を素早く暖めることができる。
【0025】
また、本発明の第8の特徴によれば、熱媒が充填されて密閉された貯湯タンク内に、動力伝達軸の他端部を貯湯タンクから突出させるようにして密閉容器が収納され、貯湯タンクと該貯湯タンクの外部に配置された熱交換装置との間に、熱媒を貯湯タンクと熱交換装置との間で循環させる循環配管が接続されるので、動力伝達軸の回転を受けて発熱する密閉容器の熱を、貯湯タンクと循環配管とに充填された熱媒により貯湯タンク外の熱交換装置に送り出して熱交換を行わせることができる。しかも、貯湯タンク内の密閉容器の外側で動力伝達軸には、該動力伝達軸の外周から放射状に延びる複数枚の攪拌翼が、密閉容器の少なくとも放熱部の一部を覆うように取り付けられるので、動力伝達軸に取り付けた攪拌翼が回転することで貯湯タンク内の熱媒が攪拌され、密閉容器からの放熱を促進することができる。
【0026】
また更に、本発明の第9の特徴によれば、動力伝達軸に取り付けた攪拌翼が回転することで貯湯タンク内の熱媒が回転運動をし、その熱媒の回転運動によって攪拌翼の外周側が高圧となるとともに内周側が低圧となって遠心ポンプと同様の作用が行われるため、循環配管の貯湯タンクへの入り口から貯湯タンク内に延びる循環配管の延長部分を、攪拌翼の内周側で開口させることで、攪拌翼にポンプ作用を行わせることが可能となる。そのため循環配管の途中に循環ポンプを設ける必要がなくなり部品点数の削減、構造の簡素化に寄与し得る。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は、第1実施形態の発熱装置を水槽内に設置して、垂直軸型風車と熱交換装置とに接続したときの構成を模式的に示す縦断面図である。
【
図3】
図3(A)は、第1実施形態の発熱装置における第1、第2ステータの位相を一致させて両者を重ね合わせたときの第1、第2ステータブレードの重なり具合を示す概略平面図であり、
図3(B)は両者の位相を異ならせて重ね合わせたときの概略平面図である。また
図3(C)は両ステータの位相の変化に対するポンプ容量τの変化を表すグラフである。
【
図4】
図4(A)は、第2実施形態の発熱装置における第1、第2ステータを重ねた合わせときの第1、第2ステータブレードの重なり具合を示す概略平面図であり、
図4(B)は両ステータの位相の変化に対するポンプ容量τの変化を表すグラフである。
【
図5】
図5は、第3実施形態の発熱装置を水槽内に設置したときの構成を模式的に示す縦断面図である。
【
図6】
図6は、第3実施形態の攪拌翼を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の第1~第3実施形態を、添付図面に基づいて以下に説明する。
【0029】
第1実施形態の発熱装置1は、
図1と、
図1のA部拡大図である
図2に示すように、周方向に等間隔に並ぶ複数の第1ステータブレード2aを有する環状の第1ステータ2と、その第1ステータ2を内部に回動不能に固定した密閉容器3と、その密閉容器3の外壁に設けられたフィン状の放熱部4と、その密閉容器3内に充填される液体としてのオイル5と、第1ステータ2の第1ステータブレード2aに対向する複数のブレード6aを有して密閉容器3内に回転自在に配置されるとともに、第1ステータ2との間にオイル5の螺旋状流路7を形成する環状のポンプ6と、該ポンプ6のハブ6bを一端部8a側に回転不能に支持するとともに、密閉容器3から突出する他端部8bを回転動力の動力源としての風車9に接続する動力伝達軸8と、ポンプ6と第1ステータ2との間で密閉容器3に回転不能且つ取り外し可能に固定される第2ステータ10とを備える。
【0030】
密閉容器3は、水等の熱媒11が充填されて密閉された貯湯タンク12内に収納されて、動力伝達軸8を重力方向に向けて建屋等の床13に固定的に配置されており、上半部3aと下半部3bとの接合により密封されている。貯湯タンク12と外部の熱交換装置14との間には、熱媒11を貯湯タンク12と熱交換装置14との間で循環させる循環配管15が接続されており、循環配管15の途中には図示せぬ循環ポンプが介在する。
【0031】
貯湯タンク12の床面12a上には、密閉容器3を固定する台座12bが固定されており、台座12bの上面と密閉容器3の下半部3bの下面との間にも熱媒11が流通して、密閉容器3内のオイル5との間で熱交換を行う。循環配管15は、貯湯タンク12への入り口15aを下側、貯湯タンク12からの出口15bを上側として貯湯タンク12の側壁に取り付けられる。また、動力伝達軸8が貯湯タンク12から突出する部分には、シール部材12cが配置される
【0032】
図2に示すように、本実施形態では、第1ステータ2が密閉容器3の一部を構成するようにして密閉容器3の上半部3aに形成されており、該上半部3aの中央には、密閉容器3のハブを兼ねる第1ステータ2の第1ステータハブ2bが、動力伝達軸8を回転可能に貫通させるように形成されている。動力伝達軸8と対向する第1ステータハブ2bの内周面には、動力伝達軸8との間で密閉容器3内のオイル5を封止するシール部16と、動力伝達軸8を密閉容器3内で回転させるための軸受け部材17aとが配置される。
【0033】
第2ステータ10は、動力伝達軸8を相対回転可能に囲む第2ステータハブ10bを内周部に有しており、その第2ステータハブ10bを第1ステータ2の第1ステータハブ2bおよびポンプ6のハブ6bの両方に対向させるようにして、ポンプ6と第1ステータ2との間に配置される。第2ステータ10は、第1ステータブレード2aと同数で第2ステータハブ10bの外周から径方向外方に延びる第2ステータブレード10aを有しており、該第2ステータブレード10aは第1ステータブレード2aとポンプ6のブレード6aとの間に配置される。
【0034】
第1ステータハブ2bの密閉容器3内面側の軸方向最内方部分には、動力伝達軸8を相対回動可能に囲むようにして第2ステータハブ10bの内周面側に突出する円筒部2cが形成されており、その円筒部2cの下端部を径方向内方に縮径して形成した段部2dに、第2ステータ10のハブ10bの内周下部に形成された内向きの筒部10cが取り外し可能に嵌合する。第1ステータ2の段部2dに連続する円筒部2cの外周面には径方向外方に突出する複数の外向き歯2eが形成されており、この外向き歯2eに、ハブ10bの筒部10cの上面から径方向内方に突出する複数の内向き歯10dが取り外し可能に固定される。なお、これら外向き歯2eおよび内向き歯10dは、第2ステータハブ10bを第1ステータハブ2bに取り外し可能に固定するための回り止め部を構成する。
【0035】
第1ステータハブ2bの外向き歯2dと、第2ステータハブ10bの内向き歯10cとは全て同じピッチで形成されており、そのため第2ステータハブ10bの内向き歯10cを第1ステータハブ2bの外向き歯2dから取り外した後、この内向き歯10cを第1ステータハブ2bの別の外向き歯2dと噛合わせて嵌め込むことで、第1ステータ2の第1ステータブレード2aと第2ステータ10の第2ステータブレード10aとの相対取付角度、即ち位相を変更することができる。
【0036】
図3(A),(B)は、第1実施形態の発熱装置1における第1,第2ステータ2,10を重ね合わせたときの第1,第2ステータブレード2a,10aの重なり具合を示す概略平面図である。
図3(A)は、第1ステータ2の第1ステータブレード2aと第2ステータ10の第2ステータブレード10aとの位相が同位相である状態を示しており、
図3(B)は、第1,第2ステータブレード2a,10aの位相がズレている状態を示している。また、
図3(C)のグラフは第1ステータブレード2aに対する第2ステータブレード10aの位相角度のズレ量と、発熱装置1のポンプ容量τとの関係を示すものであり、
図3(C)のグラフから明らかなように、第1,第2ステータブレード2a,10aの位相のズレが小さいほど発熱装置1のポンプ容量τが大きくなることから、第2ステータハブ10bを第1ステータハブ2bから一旦取り外した後、第1ステータブレード2aに対する第2ステータブレード10aの位相を変更した上で再度取り付けることにより、発熱装置1のポンプ容量τを変更することが可能となる。
【0037】
動力伝達軸8にはポンプ6のハブ6bが回動不能にスプライン嵌合6cしており、動力伝達軸8の一端部8aの下端は密閉容器3の下半部3b中央の係合穴3c内で軸受け部材17dにより回転自在に保持されている。また、ポンプ6のハブ6bの下面は前記係合穴3cの周囲に配置された軸受け部材17cにより回転自在に支えられるとともに、ポンプ6のハブ6bの上面と第2ステータ10の第2ステータハブ10bの下面との間にも軸受け部材17bが配置されて、ポンプ6を、密閉容器3の下半部3b上面と第2ステータハブ10bの下面との間に回転自在に支持している。
【0038】
水等の熱媒11を貯湯タンク12との間で循環させる熱交換装置14は、熱エネルギーを直接使用する融雪用温水パネルであってもよく、放熱器や熱媒体の熱エネルギを回転エネルギ等の機械的エネルギに変換する熱機関であってもよい。また更に、熱媒体の熱エネルギを蓄熱する蓄熱器とすることも可能である。なお、例えば風車9の回転エネルギを電気エネルギに変換し、発生した電気エネルギを蓄電するものにおいては、高価な蓄電池を使用することが必須となるが、蓄熱器は蓄電池と比べると安価であり、しかも放電の心配も無いので、回転エネルギを熱エネルギとして蓄熱器に蓄えるのは有効なエネルギ貯留手段といえる。
【0039】
また本実施形態では、密閉容器3から重力方向上方に延びる動力伝達軸8を、垂直軸型の風車9の垂直軸9aに直接接続しているが、動力伝達軸8の延びる方向は水平方向であってもよく、風車9の形状も特に垂直軸型に限定されるものではない。また更に、動力源としては回転動力を生み出すものであれば風車以外の例えば水車等を用いてもよい。
【0040】
このように構成された本実施形態の発熱装置1では、風車9に接続された動力伝達軸8が風車9の動力で回転することで、ポンプ6のブレード6aと第1,第2ステータ2,10のブレード2a,10aとの間で、通常の流体継手と同様のオイル5の螺旋状の流動が発生する。しかしながら通常の流体継手と異なり、第1,第2ステータ2,10のブレード2a,10aが、建屋の床13等に固定的に配置された密閉容器3に回動不能に固定されているので、ポンプ6のブレード6aと第1,第2ステータ2,10のブレード2a,10aとの間でオイル5が攪拌され、流体摩擦による発熱が生じてオイル5の温度が上昇する。温度が上昇したオイル5は、密閉容器3の外壁に設けられたフィン状の放熱部4を介して貯湯タンク12内に充填された熱媒11と熱交換して冷却される一方、貯湯タンク12内の熱媒11は、図示せぬ循環ポンプにより熱交換装置14に送られて熱交換装置14との間で熱交換が行われる。
【0041】
なお、風のエネルギを風車9によって機械的動力に変換する際は、その変換効率であるパワー係数Cpを最大にすることが望ましい。風車9のパワー係数Cpは、風車翼9bの先端速度Vrと風速Vとの比(Vr/V)である周速比λに対応して放物線状に変化するので、その変化の途中にパワー係数Cpを最大とする周速比λが存在する。そこで発熱装置1を風車9に接続する場合には、風車9のパワー係数Cpが最大となる周速比λを得るように発熱装置1のポンプ容量τを調整することで、風車効率を最大化することができる。
【0042】
ところで、風車9の回転エネルギの変換に流体継手を使用しない従来の風車では、風速Vが変わると風車回転数Nが変化し、それにより周速比λが変化してしまうため、特定の風速Vでパワー係数Cpを最大とする周速比λが得られても、風速Vが変化するとパワー係数Cpを最大とする周速比λが得られなかった。そのため、風速Vの変化に対してはピッチ制御や変速機の追加、発電機の負荷制御等で対応せざるを得なかったが、本発明では風車9の回転エネルギを流体継手を用いた発熱装置1で熱エネルギに変換しているので、風速Vが変化してもパワー係数Cpを常に最大とする周速比λを得ることができる。その理由を以下に説明する。
【0043】
風車の出力Eは、パワー係数をCp、空気密度をρ、翼の受圧面積をA、Vを風速としたときに、
E=Cp×(1/2)×ρ×A×V3 ・・・・・(1)
で表すことができる。
ここで、dを回転翼の直径、λを周速比、Vrを風車翼の先端速度、Nを風車の回転数とすると、
V=Vr/λ
Vr=πdN/60
であることから、
V=πdN/60λ
と表すことができるから、(1)式は、
E=Cp×(1/2)×ρ×A×(πdN/60λ)3・・・・・・(2)
と変形できる。ここで更に、風車の出力トルクをTとすると、出力トルクTは、
T=60E/2πN・・・・・(3)
と表せるから、(2)式と(3)式とから、TとNの関係を、
T=60×(Cp×(1/2)×ρ×A×(πdN/60λ)3/2πN
={(Cp×ρ×A×π2d3)/(4×602×λ3)}×N2 ・・・・・(4)
と表すことができる。
【0044】
(4)式は、(Cp×ρ×A×π2d3)/(4×602×λ3)が一定ならば風車9の出力トルクTが風車9の回転数Nの二乗に比例することを示しているが、逆に、風車9の出力トルクTを風車9の回転数Nの二乗に比例させてやれば、(Cp×ρ×A×π2d3)/(4×602×λ3)が比例定数となって一定の値に固定されること、即ち、T∝N2であるならば、対応して変化するパワー係数Cpと周速比λとを、風速Vの如何に拘わらず常に一定の値に固定できることも示している。しかるに、周知のように流体継手の入力トルクは回転数Nの二乗に比例するので、流体継手を発熱装置1として用いることで、発熱装置1の動力伝達軸8に接続される風車9の出力トルクTを、風車9の回転数Nの二乗に比例させることができるため、流体継手を発熱装置1として用い、且つその発熱装置1のポンプ容量τを、風車9のパワー係数Cpが最大となる周速比λを得るように調整することで、風速Vが変化してもパワー係数Cpが常に最大となるような周速比λを得ることが可能となるのである。
【0045】
なお、本実施形態の発熱装置1を特性の異なる風車9に適用する場合には、発熱装置1のポンプ容量τがその風車の特性に合っていないことで、風車9のパワー係数Cpを最大とする周速比λを得られなくなってしまうことが考えられるが、本実施形態では、第1,第2ステータ2,10は、各々同一枚数の複数のステータブレード2a,10aを有しており、第2ステータ10は、当該第2ステータ10の第2ステータブレード10aを、第1ステータ2の第1ステータブレード2aに対して任意の位相で装着し得るので、第2ステータ10の第1ステータ2に対する相対取付角度(位相)を変更するだけで、簡単にポンプ容量τの変更が可能となって、様々な風車に最適な発熱装置を容易に提供できる。
【0046】
次に、上記構成を備えた本発明の第1実施形態の作用を説明する。
【0047】
本実施形態では、密閉容器3の内部に回動不能に固定された環状の第1ステータ2に、風車9に接続した環状のポンプ6を対向させ、該環状のポンプ6を風車9の回転動力で回転させることで、第1ステータ2およびポンプ6間の螺旋状流路7内のオイル5を攪拌し、流体摩擦により発生するオイル5の熱を放熱部4より放出して外部の熱媒11との間で熱交換を行わせる発熱装置1が、第1ステータ2に加えて第2ステータ10を備えるので、オイル5の抵抗が大きくなり、風車9から伝達される回転エネルギーを効率よく熱エネルギーに変換することができる。しかも攪拌されるオイル5が密閉容器3内に封入されているので、シール構造が複雑化することもない。
【0048】
また、発熱装置1を風車9に接続する場合には、風車9のパワー係数Cpが最大となる周速比λ(風車翼9bの先端速度Vrと風速Vとの比)を得るように発熱装置1のポンプ容量τを調整することで、風車効率を最大化できるのであるが、本発明の第1実施形態では、第2ステータ10が密閉容器3に回転不能且つ取り外し可能に固定されるので、様々な風車9の特性に合わせたポンプ容量τの変更が、第2ステータ10の第2ステータブレード10aを変更するだけで可能となり、ポンプ6および第1ステータ2の翼形状を変更することなく多種多様な風車9に適合するポンプ容量τを得ることが可能となる。
【0049】
しかも第1実施形態の発熱装置1は、入力トルクTが回転数Nの二乗に比例する流体継手構造を有するので、発熱装置1の動力伝達軸8に接続される風車9の出力トルクを、常時風車9の回転数の二乗に比例させることができる。そのため、一旦、発熱装置1のポンプ容量τを風車9のパワー係数Cpが最大となる周速比λを得るように調整してしまえば、風速Vが変化してもパワー係数Cpが常に最大となるような周速比λを得ることができるから、風車9に対して特別な制御を行うことなく、風車9を常に最大の効率で運転することができる。
【0050】
また、第1,第2ステータ2,10は、各々内周部にステータハブ2b,10bを有しており、第1ステータ2の第1ステータハブ2bは、第2ステータ10の第2ステータハブ10bを取り外し可能に固定し得る回り止め部としての外向き歯2d,内向き歯10cを有しているので、重量やコストを増加させることのない簡素な構成で、様々な形状の第2ステータ10を付け替えることができる。
【0051】
しかも、これら第1,第2ステータ2,10は、各々同一枚数の複数のステータブレード2a,10aを有しており、第2ステータ10は、当該第2ステータ10の第2ステータブレード10aを、第1ステータ2の第1ステータブレード2aに対して任意の位相で装着し得るので、第2ステータ10の第1ステータ2に対する相対取付角度(位相)を変更するだけで、簡単にポンプ容量τの変更が可能となって、様々な風車9に最適な発熱装置1を容易に提供できる。
【0052】
また、第1ステータ2は密閉容器3と一体に形成されており、動力伝達軸8との間で密閉容器3内のオイル5を封止するシール部16と、動力伝達軸8を密閉容器3内で回転させるための軸受け部材17aとを第1ステータハブ2bに有しているので、第1ステータハブ2bに、第2ステータ10の保持機能に加えてシール機能と軸受け機能とを持たせることができて、発熱装置1のコンパクト化に寄与することができる。
【0053】
また、密閉容器3は、重力方向と平行に延びる動力伝達軸8を上面から突出させているので、動力伝達軸8を地面に対し垂直に配置できる。そのため、密閉容器3を地面や建屋の床13近くに設置できて、それを支える支柱等を簡素化でき、コストおよび重量を削減できる。
【0054】
また、放熱部4は、少なくとも一部が径方向で螺旋状流路7と重なっているので、放熱部4を発熱源である螺旋状流路7に近づけることができるため、密閉容器3を貯湯タンク12内で駆動する際に、密閉容器3から貯湯タンク12内の熱媒11への熱伝導性が向上して、熱媒11を素早く暖めることができる。
【0055】
次に、本発明の第2実施形態の発熱装置を
図4に基づいて説明する。
【0056】
本発明の第2実施形態の第1,第2ステータ2,10を重ね合わせときの第1,第2ステータブレード2a,10aの重なり具合を示す概略平面図を
図4(A)に示す。この図に示すように、本発明の第2実施形態の発熱装置1は、密閉容器3に取り外し可能に固定される第2ステータ10の第2ステータブレード10aが、第1ステータ2の第1ステータブレード2aと異なる枚数であり、そのため、第1,第2ステータ2,10を重ね合わせときに、第1,第2ステータブレード2a,10aが、いかなる相対取付角度(位相)でもバラバラな位置関係で重なるように構成されている点でのみ、第1実施形態の発熱装置1と異なっている。
【0057】
図4(B)のグラフは、第2実施形態の第1ステータブレード2aに対する第2ステータブレード10aの位相角度のズレ量と、発熱装置1のポンプ容量τとの関係を示すものであり、このグラフから明らかなように、第2実施形態のものは、第1,第2ステータ2,10をどのような位相で重ね合わせてもポンプ容量τが略一定となって、ポンプ容量τが位相の違いで変わってしまうことが避けられる。したがって、第2ステータ10の第2ステータブレード10aが、特定のポンプ容量τが得られるような形状に予め定めて作成されている場合には、第1,第2ステータハブ2b,10bの間に取付角度の多少のズレがあっても、第2ステータハブ10bを第1ステータハブ2bに取り付けるときに密閉容器3のポンプ容量τが変わってしまうことがなく、予め定めたポンプ容量τを確実に得ることができる。
【0058】
次に、本発明の第3実施形態の発熱装置を
図5,
図6に基づいて説明する。
【0059】
図5に示すように、本発明の第3実施形態の発熱装置1は、貯湯タンク12内の密閉容器3の外側で、動力伝達軸8に、該動力伝達軸8の外周から放射状に延びる複数枚の攪拌翼18が取り付けられている。その攪拌翼は、
図6に示すように遠心ポンプのインペラに類似する形状に形成されて、密閉容器3の少なくとも放熱部4の一部(本実施形態では放熱部4全体)を覆っている。また、貯湯タンク12への入り口15a側の循環配管15は、
図5に示すように、貯湯タンク12への入り口15aから貯湯タンク12内部まで延長されて、台座12bの上面と密閉容器3の下半部3bの下面との間から台座12b内に入り、密閉容器3の下半部3b中央から動力伝達軸8の内部を通って、その先端15cが攪拌翼18の内周側の部分で開口している(その際、台座12bおよび密閉容器3の下半部3b中央と動力伝達軸8との間に図示せぬシール部材が介装される。)。
【0060】
このようにすることで、動力伝達軸8に取り付けた攪拌翼18が回転して貯湯タンク12内の熱媒11が攪拌されるから、密閉容器3からの放熱が促進できるのみならず、貯湯タンク12内の熱媒11が回転運動をすることで、遠心ポンプと同様に攪拌翼18の外周側が高圧となり内周側が低圧となるから、攪拌翼18をポンプとして機能させることができる。したがって、循環配管15の途中に循環ポンプを設けなくても、攪拌翼18の内周側の部分に開口する循環配管15の先端15cから流出させた循環配管15内の熱媒11を、貯湯タンク12内で攪拌させつつ、貯湯タンク12の周壁に形成した貯湯タンク12からの出口15bから循環配管15に送り出して循環させることが可能となって、循環配管15の途中に循環ポンプを特別に設ける必要がなくなり、部品点数の削減、構造の簡素化に寄与し得る。
【0061】
なお、本実施形態では、攪拌翼18を動力伝達軸8にボルト18aで固定しているが、その固定方法に特に限定はない。また本実施形態では、循環配管15を密閉容器3の下半部3bの下面から動力伝達軸8の内部を経て攪拌翼18の内周側に開口させているが、循環配管15の貯湯タンク12への入り口15aから貯湯タンク内に延びる配管を、そのまま貯湯タンク12で攪拌翼18の内周側まで導いて攪拌翼18の内周側で開口させてもよい。またその場合には、台座12bおよび密閉容器3の下半部3b中央と動力伝達軸との間のシール部材は必要ない。
【0062】
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。例えば実施形態では密閉容器3内に充填される液体としてオイル5を用いたが、この液体は水等の別の液体であっても良い。また前述したように、動力伝達軸8の延びる方向は水平方向であっても良く、動力源も風車9に限定されるものではない。また更に、熱交換装置14も種々の形式のものが選択できる。
【符号の説明】
【0063】
1・・・・発熱装置
2・・・・第1ステータ
2a・・・第1ステータブレード
2b・・・第1ステータハブ
3・・・・密閉容器
4・・・・放熱部
5・・・・密閉容器内に充填される流体としてのオイル
6・・・・ポンプ
7・・・・螺旋状流路
8・・・・動力伝達軸
8a・・・一端部
8b・・・他端部
9・・・・動力源としての風車
10・・・第2ステータ
10a・・第2ステータブレード
10b・・第2ステータハブ
11・・・熱媒
12・・・貯湯タンク
14・・・熱交換装置
15・・・循環配管
15a・・循環配管の貯湯タンクへの入り口
16・・・シール部
17a~17d・・軸受け部材
18・・・攪拌翼