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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025148992
(43)【公開日】2025-10-08
(54)【発明の名称】多方向入力装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 25/04 20060101AFI20251001BHJP
【FI】
H01H25/04 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024049407
(22)【出願日】2024-03-26
(71)【出願人】
【識別番号】000006220
【氏名又は名称】ミツミ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100173691
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 康久
(74)【代理人】
【識別番号】100137095
【弁理士】
【氏名又は名称】江部 武史
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【弁理士】
【氏名又は名称】朝比 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100091292
【弁理士】
【氏名又は名称】増田 達哉
(72)【発明者】
【氏名】関口 力
(72)【発明者】
【氏名】山田 健介
(72)【発明者】
【氏名】古河 憲一
(72)【発明者】
【氏名】稲本 繁典
【テーマコード(参考)】
5G031
【Fターム(参考)】
5G031AS14H
5G031AS23F
5G031AS23J
5G031FS12F
5G031FS12J
5G031GS12
5G031HU34
5G031KS09
(57)【要約】
【課題】操作軸に対する傾倒操作に応じた方向情報の入力を提供することが可能であり、かつ、製品寿命が長い多方向入力装置を提供すること。
【解決手段】多方向入力装置1は、ハウジング5と、第1の軸方向回りに回動可能な第1の回動部材61と、第2の軸方向回りに回動可能な第2の回動部材62と、第1の回動部材61および第2の回動部材62を回動させる操作軸63と、操作軸63を中立状態で弾性的に保持する保持機構7と、第1の回動部材61および第2の回動部材62のそれぞれの回動角度を検出するための検出機構8と、を含む。保持機構7は、上側板バネ91Uと、下側板バネ91Lと、を備えている。第1の回動部材61の回動軸616および第2の回動部材62の回動軸625は、高さ方向において、上側板バネ91Uと下側板バネ91Lとの間に位置している。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
第1のスリット孔を有し、第1の軸方向回りに回動可能に、前記ハウジングに保持された第1の回動部材と、
第2のスリット孔を有し、前記第1の軸方向と直交する第2の軸方向回りに回動可能に、前記ハウジングに保持された第2の回動部材と、
前記第1のスリット孔および前記第2のスリット孔に挿通され、ユーザーから印加される傾倒操作に応じて、前記第1の回動部材および前記第2の回動部材を回動させる操作軸と、
前記操作軸を中立状態で弾性的に保持する保持機構と、
前記第1の回動部材および前記第2の回動部材のそれぞれの回動角度を検出するための検出機構と、を含み、
前記保持機構は、
上側板バネと、
前記上側板バネに対して高さ方向に離間して対向する下側板バネと、を備え、
前記上側板バネおよび前記下側板バネのそれぞれは、
外枠と、
前記外枠の内側に位置し、前記操作軸が挿通される挿通孔を有する内枠と、
前記外枠に対して前記内枠が変位可能に、前記外枠と前記内枠との間を接続する複数のバネ部と、を備え、
前記第1の回動部材の回動軸および前記第2の回動部材の回動軸は、前記高さ方向において、前記上側板バネと前記下側板バネとの間に位置していることを特徴とする多方向入力装置。
【請求項2】
前記操作軸の傾倒動作の回転中心は、前記高さ方向において、前記上側板バネと前記下側板バネとの間に位置している請求項1に記載の多方向入力装置。
【請求項3】
前記第1の回動部材は、前記第1のスリット孔が形成された板状の本体部と、前記本体部の両端部から下方に向かってそれぞれ延伸する一対の下方延伸部と、前記一対の下方延伸部のそれぞれから外側に向かって延伸する前記回動軸と、を備え、
前記第1の回動部材の前記回動軸は、前記ハウジングによって支持されている請求項1に記載の多方向入力装置。
【請求項4】
前記第1の回動部材の前記本体部は、金属材料によって形成されている請求項3に記載の多方向入力装置。
【請求項5】
前記第1の回動部材は、前記第1のスリット孔に取り付けられるキャップをさらに備え、
前記キャップは、樹脂材料によって形成されており、
前記キャップは、前記第1のスリット孔の内側面の少なくとも一部を覆い、
前記操作軸は、前記キャップを介して、前記第1のスリット孔の前記内側面に接触している請求項4に記載の多方向入力装置。
【請求項6】
前記保持機構は、前記上側板バネの前記内枠と前記下側板バネの前記内枠との間に位置する円筒状のブッシュをさらに含み、
前記上側板バネの前記内枠は、前記ブッシュの上面と接触し、
前記下側板バネの前記内枠は、前記ブッシュの下面と接触している請求項1に記載の多方向入力装置。
【請求項7】
前記保持機構は、前記上側板バネの前記外枠と前記下側板バネの前記外枠との間に位置する筒状部をさらに含み、
前記上側板バネの前記外枠は、前記筒状部の上面上に固定されており、
前記下側板バネの前記外枠は、前記筒状部の下面上に固定されている請求項1に記載の多方向入力装置。
【請求項8】
前記操作軸は、円柱状の細径部と、前記細径部から下方に向かって延伸するフランジ部と、前記フランジ部から下方に向かって直線状に延伸する円柱状のバネ接続部と、を備え、
前記フランジ部の外径は、前記細径部および前記バネ接続部のそれぞれの外径よりも大きく、
前記バネ接続部が、前記上側板バネの前記挿通孔および前記下側板バネの前記挿通孔を挿通している請求項1に記載の多方向入力装置。
【請求項9】
前記操作軸は、前記バネ接続部から下方に向かって直線状に延伸する突起と、前記突起に取り付けられる支持キャップと、をさらに備え、
前記支持キャップは、前記下側板バネの前記内枠を下方から支持している請求項8に記載の多方向入力装置。
【請求項10】
前記上側板バネの前記内枠および前記下側板バネの前記内枠は、前記操作軸の前記フランジ部の下面と前記支持キャップの上面との間に位置する請求項9に記載の多方向入力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、多方向入力装置に関し、より具体的には、操作軸に対する傾倒操作に応じた方向情報の入力を提供する多方向入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ゲーム機器等の電子機器に用いられる多方向入力装置として、操作軸に対する傾倒操作が可能な多方向入力装置が知られている。ジョイスティックまたはスティックコントローラーと呼ばれるこの種の多方向入力装置では、ユーザーは、操作軸を中立状態から任意の方向に向けて傾倒させる傾倒操作を実行することにより、操作軸に対する傾倒操作に応じた方向情報の入力を提供する。
【0003】
例えば、特許文献1は、図1に示されている多方向入力装置500を開示している。多方向入力装置500は、底板510上に固定されるハウジング520と、第1の軸方向(Y方向)回りに回動可能に、ハウジング520に保持された第1の回動部材530と、第1の軸方向と直交する第2の軸方向(X方向)回りに回動可能に、ハウジング520に保持された第2の回動部材540と、第1の回動部材530のスリット孔531および第2の回動部材540のスリット孔540aに挿通され、ユーザーから印加される傾倒操作に応じて、第1の回動部材530および第2の回動部材540を回動させると共に、ユーザーからの押下操作に応じて下方に変位可能な操作軸550と、操作軸550の下端部に、操作軸550の軸方向に沿って移動可能に設けられた作動部材560と、操作軸550と作動部材560との間に設けられたコイルバネ570と、第1の回動部材530および第2の回動部材540の回動角度を検出するためにハウジング520上に設けられたセンサー580と、底板510の一方の側壁から外側に突出する部品取り付け部510a内に設けられたプッシュスイッチ590と、を備えている。
【0004】
ユーザーから操作軸550に対して任意の方向への傾倒操作が印加されると、操作軸550の傾倒動作に伴い、第1の回動部材530および第2の回動部材540が回動する。第1の回動部材530および第2の回動部材540の回動角度のそれぞれは、センサー580によって検出され、操作軸550に対するユーザーの傾倒操作に応じた方向情報の入力が提供される。また、ユーザーから操作軸550に対して押下操作が印加されると、操作軸550と係合している第2の回動部材540が下方に変位し、第2の回動部材540がプッシュスイッチ590を押下する。これにより、操作軸550に対するユーザーの押下操作に応じた押下情報の入力が提供される。
【0005】
作動部材560は、底面が皿状に湾曲された基部561と、基部561の中央部に形成され、操作軸550の下端部が挿入される筒状のボス部562と、基部561の外周部から外側に突出する円弧部563と、を備えている。このような多方向入力装置500では、ユーザーが操作軸550に対して傾倒操作を印加した場合、操作軸550の傾倒角度が小さい初期段階においては、作動部材560が底板510上をスライドする。その後、操作軸550の傾倒角度が一定値を超えると、作動部材560の円弧部563の下面が、底板510上に形成された突部510bに当接しながら作動部材560が傾斜し、コイルバネ570の弾性力に抗して、作動部材560が操作軸550の軸方向に持ち上げられる。その後、操作軸550に対する傾倒操作が解除されると、コイルバネ570の弾性復元力と基部561の底面の形状によって、操作軸550が直立の中立状態に復帰する。このように、作動部材560は、操作軸550を直立の中立状態で弾性的に保持する機能を提供している。
【0006】
しかしながら、多方向入力装置500では、操作軸550が傾倒動作を実行する際に、作動部材560が底板510上をスライドするので、作動部材560と底板510との間に摩擦が生じる。さらに、作動部材560が操作軸550の軸方向に沿って移動するので、作動部材560と操作軸550との間に摩擦が生じる。そのため、操作軸550に対する傾倒操作が繰り返し実行されると、作動部材560が摩耗してしまい、多方向入力装置500の製品寿命が短くなってしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000-305650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記従来の問題点を鑑みたものであり、その目的は、操作軸に対する傾倒操作に応じた方向情報の入力を提供することが可能であり、かつ、製品寿命が長い多方向入力装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような目的は、以下の(1)によって規定される本発明により達成される。
(1)ハウジングと、
第1のスリット孔を有し、第1の軸方向回りに回動可能に、前記ハウジングに保持された第1の回動部材と、
第2のスリット孔を有し、前記第1の軸方向と直交する第2の軸方向回りに回動可能に、前記ハウジングに保持された第2の回動部材と、
前記第1のスリット孔および前記第2のスリット孔に挿通され、ユーザーから印加される傾倒操作に応じて、前記第1の回動部材および前記第2の回動部材を回動させる操作軸と、
前記操作軸を中立状態で弾性的に保持する保持機構と、
前記第1の回動部材および前記第2の回動部材のそれぞれの回動角度を検出するための検出機構と、を含み、
前記保持機構は、
上側板バネと、
前記上側板バネに対して高さ方向に離間して対向する下側板バネと、を備え、
前記上側板バネおよび前記下側板バネのそれぞれは、
外枠と、
前記外枠の内側に位置し、前記操作軸が挿通される挿通孔を有する内枠と、
前記外枠に対して前記内枠が変位可能に、前記外枠と前記内枠との間を接続する複数のバネ部と、を備え、
前記第1の回動部材の回動軸および前記第2の回動部材の回動軸は、前記高さ方向において、前記上側板バネと前記下側板バネとの間に位置していることを特徴とする多方向入力装置。
【発明の効果】
【0010】
本発明の多方向入力装置においては、操作軸が、高さ方向に互いに離間して対向する上側板バネおよび下側板バネによって、中立状態で弾性的に保持される。また、操作軸が傾倒動作を実行する際、上側板バネおよび下側板バネが、ハウジング内の他の部材上をスライドしない。そのため、本発明の多方向入力装置に対して、ユーザーが繰り返し傾倒操作を印加したとしても、上側板バネおよび下側板バネが摩耗せず、多方向入力装置の製品寿命を大幅に伸ばすことができる。
【0011】
また、本発明の多方向入力装置は、ハウジングによって回動可能に保持される第1の回動部材の回動軸および第2の回動部材の回動軸が、高さ方向において、上側板バネと下側板バネと間に位置するよう、構成されている。一方、保持機構によって保持される操作軸の傾倒動作の回転中心は、高さ方向において、上側板バネと下側板バネとの間に位置する。そのため、第1の回動部材の回動軸および第2の回動部材の回動軸を、高さ方向において、上側板バネと下側板バネとの間に位置させ、第1の回動部材の回動軸および第2の回動部材の回動軸の高さ方向の位置を、操作軸の傾倒動作の回転中心の高さ方向の位置と略一致させることにより、操作軸の傾倒角度と、第1の回動部材または第2の回動部材の回動角度とを一致させることができる。このような構成により、第1の回動部材または第2の回動部材の回動角度から操作軸の傾倒角度を正確に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】従来の多方向入力装置の概略断面図である。
図2】本発明の実施形態に係る多方向入力装置の斜視図である。
図3図2に示す多方向入力装置の断面斜視図である。
図4図2に示す多方向入力装置の分解斜視図である。
図5図4に示す上側フレームの別の角度からの斜視図である。
図6】上側フレームの保持部がハウジング上の保持機構を上方から支持していることを説明するための断面斜視図である。
図7図4に示すプッシュスイッチの分解斜視図である。
図8図7に示す押圧部材を別の角度から見た斜視図である。
図9図4に示すハウジングを別の角度から見た斜視図である。
図10図4に示す操作軸アセンブリの分解斜視図である。
図11図10に示す第1の回動部材を別の角度からみた斜視図である。
図12図10に示す第2の回動部材を別の角度からみた斜視図である。
図13図10に示す操作軸および保持機構の分解斜視図である。
図14図13に示す上側板バネアセンブリの分解斜視図である。
図15図14に示す上側板バネの平面図である。
図16図13に示す下側板バネアセンブリの分解斜視図である。
図17図16に示す下側板バネの平面図である。
図18】保持機構の上側板バネおよび下側板バネの内枠間の離間距離と保持機構の上側板バネおよび下側板バネの外枠間の離間距離との差を説明するための断面図である。
図19】保持機構の別の例を示すための概略図である。
図20】保持機構のさらに別の例を示すための概略図である。
図21】本発明の多方向入力装置の製造方法を示すフローチャートである。
図22】保持機構で操作軸を弾性的に保持する工程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の多方向入力装置および多方向入力装置の製造方法を、添付図面に示す好適な実施形態に基づいて、説明する。なお、以下で参照する各図は、本発明の説明のために用意された模式的な図である。図面に示された各構成要素の寸法(長さ、幅、厚さ等)は、必ずしも実際の寸法を反映したものではない。また、各図において、同一または対応する要素には、同じ参照番号が付されている。以下の説明において、各図のZ軸の正方向を「上方」といい、Z軸の負方向を「下方」ということがある。
【0014】
<多方向入力装置>
最初に、図2図20を参照して、本発明の多方向入力装置を詳述する。図2は、本発明の実施形態に係る多方向入力装置の斜視図である。図3は、図2に示す多方向入力装置の断面斜視図である。図4は、図2に示す多方向入力装置の分解斜視図である。図5は、図4に示す上側フレームの別の角度からの斜視図である。図6は、上側フレームの保持部がハウジング上の保持機構を上方から支持していることを説明するための断面斜視図である。図7は、図4に示すプッシュスイッチの分解斜視図である。図8は、図7に示す押圧部材を別の角度から見た斜視図である。図9は、図4に示すハウジングを別の角度から見た斜視図である。図10は、図4に示す操作軸アセンブリの分解斜視図である。図11は、図10に示す第1の回動部材を別の角度からみた斜視図である。図12は、図10に示す第2の回動部材を別の角度からみた斜視図である。図13は、図10に示す操作軸および保持機構の分解斜視図である。図14は、図13に示す上側板バネアセンブリの分解斜視図である。図15は、図14に示す上側板バネの平面図である。図16は、図13に示す下側板バネアセンブリの分解斜視図である。図17は、図16に示す下側板バネの平面図である。図18は、保持機構の上側板バネおよび下側板バネの内枠間の離間距離と保持機構の上側板バネおよび下側板バネの外枠間の離間距離との差を説明するための断面図である。図19は、保持機構の別の例を示すための概略図である。図20は、保持機構のさらに別の例を示すための概略図である。
【0015】
図2図4に示す本発明の実施形態に係る多方向入力装置1は、任意の電子機器の基板上に搭載される。ユーザーから多方向入力装置1に対して傾倒操作および押下操作が印加されると、多方向入力装置1は、傾倒操作に応じた方向情報、および、押下操作に応じた押下情報を電子機器へ入力する。1つの例では、多方向入力装置1は、縦18mm、横18mm、高さ18mmのサイズを有し、ユーザーからの任意の方向への約25度の傾倒操作および押下操作を受け付ける。典型的には、多方向入力装置1は、ゲーム機器のハンドヘルド型コントローラーのジョイスティックとして用いられる。
【0016】
図4に示されているように、多方向入力装置1は、任意の電子機器の基板上に載置される下側カバー2Lと、下側カバー2Lと連結される上側カバー2Uと、多方向入力装置1の電子部品が搭載される基板3と、基板3上に搭載されたプッシュスイッチ4と、基板3上に固定されるハウジング5と、第1の軸方向(X方向)回りに回動可能にハウジング5に保持された第1の回動部材61、第1の軸方向と直交する第2の軸方向(Y方向)回りに回動可能にハウジング5に保持された第2の回動部材62、および、ユーザーから傾倒操作および押下操作が印加される操作軸63を含む操作軸アセンブリ6と、操作軸63を中立状態で弾性的に保持するための保持機構7と、第1の回動部材61および第2の回動部材62のそれぞれの回動角度を検出するための検出機構8と、を備えている。なお、ここでいう操作軸63の「中立状態」とは、操作軸63が、操作軸63の軸方向が高さ方向と略一致する直立姿勢で、定常位置において静止している状態を指す。
【0017】
下側カバー2Lは、基板3を下方から支持し、上側カバー2Uと共に多方向入力装置1の内部構造を上下から支持する機能を有している。下側カバー2Lは、ステンレス鋼等の硬質材料で形成されている。好適には、下側カバー2Lは、フェライト系ステンレス鋼のような硬質の磁性材料で形成されている。硬質の磁性材料により下側カバー2Lを形成することにより、下側カバー2Lを、多方向入力装置1への外部からの磁場影響を防止するためのシールド部材として機能させることができる。下側カバー2Lは、基板3を下方から支持する底板21と、底板21上に形成された複数の挿通孔22と、底板21から上方に向かって延伸する4つの接合片23と、を備えている。底板21は、板状部分であり、基板3を下方から支持する。多方向入力装置1が電子機器の基板上に搭載された際に、底板21は、基板3と電子機器の基板との間に位置する。複数の挿通孔22は、底板21を高さ方向に挿通するよう形成されている。基板3の複数の端子ピン31のそれぞれが対応する挿通孔22を挿通するよう、下側カバー2Lが下方から基板3に、接着剤等の任意の固定手段により、取り付けられる。
【0018】
4つの接合片23は、底板21の対向する2対の辺からそれぞれ上方に向かって直線状に延伸する板状部分である。4つの接合片23は、上側カバー2Uの4つの接合片26と接合および係合によりそれぞれ連結され、下側カバー2Lと上側カバー2Uが強固に一体化される。4つの接合片23のそれぞれは、上側カバー2Uの接合片26の接合面261と接合される接合面231と、接合片26の係合凹部262と係合するフック232と、を備えている。接合面231は、接合片23の内側面であり、横方向(X方向またはY方向)に直交する平坦面である。フック232は、接合片23の上端部の横方向の一方の端部を、内側に折り曲げることによって形成された、内側に向かって突出する突出片である。フック232の内側への突出量は、接合片26の厚さと略等しくなっている。各接合片23の接合面231が対応する接合片26の接合面261に接着剤や接着テープ等の任意の接着手段またはレーザー溶接等による溶接により接合され、さらに、各接合片23のフック232が対応する接合片26の係合凹部262と係合することにより、下側カバー2Lと上側カバー2Uが強固に一体化される。このように、強固に一体化された下側カバー2Lと上側カバー2Uによって多方向入力装置1の内部構造が上下から支持されるので、多方向入力装置1の内部構造の高さ方向への揺動(ガタつき)を確実に防止することができる。
【0019】
図4および図5に示されているように、上側カバー2Uは、上方からハウジング5に取り付けられ、下側カバー2Lと共に多方向入力装置1の内部構造を上下から支持する機能を有している。上側カバー2Uは、下側カバー2Lと同様のステンレス鋼等の硬質材料で形成されている。好適には、上側カバー2Uも、下側カバー2Lと同様に、フェライト系ステンレス鋼のような硬質の磁性材料で形成されている。硬質の磁性材料により上側カバー2Uを形成することにより、上側カバー2Uを、多方向入力装置1への外部からの磁場影響を防止するためのシールド部材として機能させることができる。上側カバー2Uおよび下側カバー2Lを硬質の磁性材料で形成することにより、多方向入力装置1への外部からの磁場影響をより確実に防止することができる。
【0020】
上側カバー2Uは、ハウジング5を上方から覆う上板24と、上板24上に形成された開口25と、上板24から下方に向かって延伸する4つの接合片26と、上板24から下方に向かって延伸する4つのカバー片27と、を備えている。上板24は、略8角形の平面形状を有する板状部分であり、ハウジング5を上方から覆う。上板24は、平板部241と、平板部241の略中央から上方に向かって突出する円形のドーム部242と、を備えている。開口25は、ドーム部242の中心部に形成された円形開口である。多方向入力装置1が組み立てられた状態において、操作軸63の上端部が開口25を介して、上方に突出する。
【0021】
4つの接合片26は、上板24の外縁から90度の等角度間隔で下方に直線状に延伸する板状部分である。4つの接合片26のそれぞれは、下側カバー2Lの接合片23の接合面231と接着される接合面261と、接合片23のフック232と係合する係合凹部262と、接合片26から内側に向かって延伸する保持部263と、接合片26の上端部に形成された開口264と、を備えている。接合面261は、接合片26の外側面であり、横方向(X方向またはY方向)に直交する平坦面である。係合凹部262は、接合片26の下方に直線状に延伸する一対の側面の一方に、内側に向かって延伸するよう形成された凹部である。前述のように、各接合片26の接合面261が、対応する接合片23の接合面231に接合され、さらに、各接合片26の係合凹部262が、対応する接合片23のフック232と係合する。
【0022】
保持部263は、接合片26の上端部の一部、より具体的には、接合片26の上端部の幅方向の略中央部に高さ方向に延伸する一対の切り込みを入れ、内側に向かって折り曲げることによって形成された梁状部分である。保持部263は、開口264内において、接合片26から上方に直線状に延伸する上方延伸部2631と、上方延伸部2631の上端部から内側に向かって直線状に延伸する爪部2632と、を備えている。上方延伸部2631は、開口264内において接合片26と同一平面上で、上方に一定の幅で延伸する板状部分である。上方延伸部2631の下端部は、接合片26と一体化されている。また、上方延伸部2631の両側面側にはスリットが形成されており、上方延伸部2631の両側面と接合片26とが離間している。爪部2632は、上方延伸部2631の上端部から内側に向かって直線状に延伸する板状部分である。爪部2632は、基端部から先端部に向かって幅が漸減するテーパー形状を有している。また、爪部2632の上面および下面は平坦面となっている。
【0023】
上方延伸部2631の下端部は、接合片26と一体化されているため、固定端として機能する。一方、爪部2632の先端部は、自由端として機能する。このように、保持部263は、片持ち梁構造を有しているため、保持部263はバネ特性を有している。そのため、保持部263は、ハウジング5上に載置された保持機構7を押圧して、ハウジング5上で保持機構7を強固に固定するために用いられる。図6に示されているように、多方向入力装置1が組み立てられた状態において、4つの保持部263の爪部2632の先端部が、ハウジング5上に載置された保持機構7の上側板バネアセンブリ9Uを上方から押圧することにより、保持機構7を上方から支持し、ハウジング5上での保持機構7の高さ方向の揺動を防止している。
【0024】
図4および図5に戻り、接合片26の上端部の一部を内側に向かって折り曲げることによって保持部263が形成されるため、接合片26の上端部には、開口264が形成されている。開口264は、上板24との接続部である接合片26の上端部に高さ方向に沿って延伸するよう形成された略矩形状開口である。4つのカバー片27は、上板24の外縁から90度の等角度間隔で下方に直線状に延伸するよう形成された板状部分である。4つの接合片26および4つのカバー片27は、互いに離間した状態で下方に直線状に延伸しており、接合片26とカバー片27が上板24の周方向に沿って、交互に設けられている。図6に示されているように、多方向入力装置1が組み立てられた状態において、4つのカバー片27の下端部は、ハウジング5の軸受部55の壁部551の上面上に載置される。このような構成により、ハウジング5によって回動可能に保持されている第1の回動部材61および第2の回動部材62が軸受部55の受け部552から離脱することを防止することができる。
【0025】
図4に戻り、基板3は、電子機器分野において既知の材料および既知の構成により形成された平板状の回路基板である。典型的には、リジット回路基板を基板3として用いることができるが、本発明はこれに限られない。例えば、樹脂材料と回路とを一体化するようインサート成形によって形成された回路基板やフレキシブルプリント回路基板(FPC)を基板3として用いてもよい。基板3は、基板3を挿通する複数の端子ピン31と、基板3上に形成された回路パターン32と、ハウジング5の基板3に対する位置決めを行うための4つの位置決め孔33と、を備えている。
【0026】
基板3上には、検出機構8の2つの磁気センサー(例えば、ホールICセンサー)81と、プッシュスイッチ4が搭載されており、回路パターン32を介して、2つの磁気センサー81およびプッシュスイッチ4が、対応する端子ピン31に電気的に接続されている。また、2つの磁気センサー81およびプッシュスイッチ4にそれぞれ対応する端子ピン31は、電子機器の回路基板の対応する端子に接続される。このような構成により、電子機器は、多方向入力装置1からの入力を受信することができる。4つの位置決め孔33は、基板3を高さ方向に挿通する貫通孔である。ハウジング5の4つの位置決め突起58がそれぞれ4つの位置決め孔33内に挿入されるよう、ハウジング5を基板3上に載置することにより、基板3に対するハウジング5の位置決めが実行される。
【0027】
プッシュスイッチ4は、操作軸63の下方への変位に伴い押圧されるスイッチである。ユーザーから操作軸63に対してプッシュスイッチ4の作動力を超える押圧力が印加されると、プッシュスイッチ4は、オン状態となる。その後、ユーザーから印加された押圧力が解除されると、プッシュスイッチ4は、オフ状態となる。図3に示されているように、多方向入力装置1が組み立てられた状態において、プッシュスイッチ4は、操作軸63の真下に位置するよう基板3上に設けられており、ユーザーから印加された押下操作に応じて操作軸63が下方に変位した際に押圧される。
【0028】
図7に示されているように、プッシュスイッチ4は、基板3上において露出するよう形成された中央接点41と、基板3上において中央接点41と離間した状態で、中央接点41を取り囲むように形成された円環状の外側接点42と、ドーム状の可動接点43と、可動接点43を取り囲むように基板3上に設けられる中空の弾性部材44と、弾性部材44上に設けられる押圧部材45と、を備えている。
【0029】
中央接点41および外側接点42は、互いに絶縁するよう基板3上に形成されている。中央接点41は、基板3の略中央部分に円形形状を有するよう形成されており、外側接点42と同心となるよう配置されている。中央接点41と外側接点42とが、電気的に接続されていない状態が、プッシュスイッチ4のオフ状態である。一方、中央接点41と外側接点42とが、可動接点43を介して電気的に接続された状態が、プッシュスイッチ4のオン状態である。可動接点43は、導電性材料により形成された上側に凸のドーム状部材である。例えば、可動接点43は、薄型の金属板に対して打ち抜き加工および曲げ加工を施すことにより得られる。可動接点43は、中央可動部431と、中央可動部431の外縁を取り囲む外縁部432と、を備えている。
【0030】
中央可動部431は、自然状態において上側に凸の円形ドーム形状を有しており、上方から押圧力が印加された際に、下方に向かって凸となるよう弾性変形する部分である。外縁部432は、中央可動部431の縁部から外側下方に向かって直線状に延伸する円環状部分である。外縁部432は、高さ方向からの平面視において、外側接点42の内径以上かつ外径以下の外径を有している。可動接点43は、中央接点41および外側接点42と同心となり、かつ、外縁部432が外側接点42と接触するよう、基板3上に設けられる。なお、可動接点43は、基板3上においてシフト移動しないよう、接着剤、リテーナー、カーバーテープ等の任意の固定手段によって基板3上に固定されていてもよい。
【0031】
図3に示されているように、操作軸63が中立状態にある場合において、外縁部432は、外側接点42と接触している。中央可動部431は、中央接点41と間隙を介して対向し、中央接点41と接触していない。そのため、操作軸63が中立状態にある場合、中央接点41と外側接点42は導通しておらず、プッシュスイッチ4は、オフ状態となっている。一方、ユーザーが操作軸63に対して押下操作を印加すると、操作軸63および押圧部材45を介して下方への押圧力が中央可動部431に印加される。中央可動部431に印加される押圧力が所定の大きさ以上となると、中央可動部431が下方に凸となるよう、急激に弾性変形し、中央接点41と接触する。この状態において、可動接点43は、中央接点41と外側接点42との間に電気的経路として機能し、中央接点41と外側接点42とが導通する。このような動作により、プッシュスイッチ4が、オン状態となる。
【0032】
図7に戻り、弾性部材44は、下方から押圧部材45を弾性支持する機能を有している。弾性部材44は、高さ方向からの平面視において、外側接点42の外径よりも大きい内径と、可動接点43の高さよりも高い高さを有する円筒形状を有している。典型的には、非磁性のバネ材(例えば、ステンレス鋼)により形成されたコイルバネまたはウェーブワッシャーを弾性部材44として用いることができる。
【0033】
図3に示されているように、弾性部材44は、中央接点41および外側接点42と同心となるように、基板3上に設けられる。そのため、弾性部材44の内部空間内に、中央接点41、外側接点42、および可動接点43が位置する。なお、弾性部材44は、基板3上においてシフト移動しないよう、接着剤やリテーナー等の任意の固定手段によって基板3上に固定されていてもよい。
【0034】
図7に戻り、押圧部材45は、可動接点43の中央可動部431に対して均一な押圧力を印加する機能を有している。押圧部材45は、ポリアセタール樹脂等の硬質の非磁性材料で形成されている。ユーザーから操作軸63に対して押下操作が印加された際、押圧部材45は、操作軸63によって下方に押圧され、中央可動部431と点接触し、中央可動部431に対して均一な押圧力を印加する。
【0035】
図7および図8に示されているように、押圧部材45は、円板状の本体部451と、本体部451の上面上に形成されたテーパー部452と、テーパー部452の頭頂部に形成された平坦な押圧面453と、本体部451の外縁の下端部から外側に向かって延伸する円環状のフランジ部454と、フランジ部454に形成された一対の係合凹部455と、本体部451の下面上に形成された円環状の受け溝456と、本体部451の下面上に形成された円形凹部457と、円形凹部457の中心から下方に向かって突出する押圧突起458と、を備えている。
【0036】
本体部451は、上面および下面が高さ方向に直交する平坦面であり、高さ方向からの平面視において円形形状を有する板状部分である。テーパー部452は、本体部451の上面の中央部に、本体部451と同心で形成され、下方から上方に向かって径が漸減する円錐台部分である。押圧面453は、テーパー部452の頭頂部に形成され、高さ方向に直交する平坦面である。ユーザーから操作軸63に対して押下操作が印加された際、操作軸63が押圧面453を下方に押圧し、テーパー部452が下方に変位する。フランジ部454は、本体部451の外縁の下端部から外側に向かって突出し、本体部451を外側から取り囲む円環状部分である。フランジ部454は、ハウジング5の下面上に形成された係合凹部59(図9参照)と係合し、押圧部材45の上方への変位を規制する。一対の係合凹部455は、フランジ部454に180度間隔で形成された一対の切り欠き部である。一対の係合凹部455は、ハウジング5の下面上に形成された一対の突出部591(図9参照)と係合し、押圧部材45の回転を規制する。
【0037】
受け溝456は、本体部451の下面上あって、フランジ部454と隣接する領域に形成された円環状の凹部である。受け溝456は、弾性部材44の上端部を嵌合可能に形成されている。受け溝456内に弾性部材44の上端部を嵌め込むように、押圧部材45を弾性部材44上に載置することにより、押圧部材45が下方から弾性部材44によって弾性的に支持される。円形凹部457は、本体部451の下面の中心部に、本体部451と同心となるよう形成されており、テーパー部452の下方への変位を容易にしている。押圧突起458は、円形凹部457の中心から、円形凹部457と同心に、下方に向かって突出するよう形成された円柱状部分である。また、押圧突起458の中心と、押圧面453の中心とが同一直線上に並んでいる。押圧突起458の下面は、高さ方向に直交する平坦面となっている。図3に示されているように、自然状態において、押圧突起458は、可動接点43の中央可動部431と点接触している。押圧部材45が操作軸63によって下方に押圧され、テーパー部452が下方に変位すると、押圧突起458が中央可動部431に対して均一な押圧力を印加する。このような構成により、可動接点43の変形特性を安定させることができる。
【0038】
基板3上で、プッシュスイッチ4の構成要素である中央接点41、外側接点42、可動接点43、弾性部材44、および押圧部材45の全ては回転対称に構成されており、全て同心となるよう配置されている。また、操作軸63が中立状態にある場合、操作軸63の軸中心と、プッシュスイッチ4の全ての構成要素の中心とが同一直線状に位置している。したがって、プッシュスイッチ4は、操作軸63の真下に設けられている。
【0039】
図4に戻り、ハウジング5は、基板3上においてプッシュスイッチ4を内部に収納すると共に、操作軸アセンブリ6および保持機構7を下方から支持し、基板3に対して固定する機能を有している。ハウジング5は、ポリブチレンテレフタレート等の硬質の非磁性材料で形成されている。図4および図9に示されているように、ハウジング5は、円筒状の本体部51と、本体部51の上面上に形成された円形凹部52と、円形凹部52を高さ方向に貫通するよう形成された挿通孔53と、本体部51の上面から上方に延伸する4つのガイド片54と、本体部51の上面から上方に向かって突出する4つの軸受部55と、基板3を内部に収納するよう本体部51の下面上に形成された受け凹部56と、基板3の複数の端子ピン31をそれぞれ受けるために受け凹部56上に形成された複数の受け孔57と、本体部51の受け凹部56から下方に向かって突出するよう形成された円柱状の4つの位置決め突起58と、本体部51の下面上であって、受け凹部56の挿通孔53と隣接する領域に形成された円環状の係合凹部59と、係合凹部59から下方に突出するよう形成された一対の突出部591と、を備えている。
【0040】
本体部51は、基板3上に載置される円筒状部分である。本体部51の上面および下面は、高さ方向に対して直交する平坦面となっている。本体部51は、本体部51の上端部から斜め下方に向かって延伸するテーパー面511と、テーパー面511から一定の径で下方に延伸する円弧面512と、本体部51の外周面上に形成された4つの受け部513と、本体部51の+Y方向側の部分および-X方向側の部分にそれぞれ形成された2つの収納部514a、514bと、本体部51の上面上に円形凹部52を取り囲むように形成された円環状の受け凹部515と、本体部51の上面と受け凹部515を跨ぐように形成された3つの逃げ部516と、を備えている。
【0041】
4つの受け部513は、本体部51の外周面上に90度の等角度間隔で形成された外側に向かって開口する凹部である。受け部513の上端部および下端部は閉塞されておらず、外部に向かって開放されている。受け部513の底面(外側に対向する面)は、横方向(X方向またはY方向)に対して直交する平坦面となっている。図2に示されているように、多方向入力装置1が組み立てられた状態において、上側カバー2Uの接合片26および下側カバー2Lの接合片23が、受け部513内に位置する。受け部513の底面は、接合片26の内側面と面接触しており、これにより、上側カバー2Uは、ハウジング5を外側から挟持している。このような構成により、基板3上でのハウジング5の横方向への揺動(ガタつき)を防止することができる。また、受け部513内において、接合片26の接合面261と接合片23の接合面231とが面接触し、さらに、互いに接合されており、これにより、上側カバー2Uと下側カバー2Lとが強固に一体化されている。
【0042】
図4および図9に戻り、収納部514aは、本体部51の+Y方向側の部分を高さ方向に貫通するよう形成された開口である。同様に、収納部514bは、本体部51の-X方向側の部分を高さ方向に貫通するよう形成された開口である。第1の回動部材61のマグネット保持部617(図11参照)が、収納部514b内にX軸回りに回動可能に収納される。同様に、第2の回動部材62のマグネット保持部626が、収納部514a内にY軸回りに回動可能に収納される。受け凹部515は、本体部51の上面上に、円形凹部52を完全に取り囲むように形成された円環状の凹部である。3つ逃げ部516は、本体部51の上面と受け凹部515を跨ぐように、受け凹部515の周方向に沿って等角度間隔(120度間隔)で形成された円形凹部である。保持機構7をハウジング5の本体部51上に載置した際、受け凹部515内に保持機構7の下側板バネアセンブリ9Lが収納され、さらに、3つの逃げ部516内に保持機構7の3つのリベット74の下端部がそれぞれ収納される。
【0043】
円形凹部52は、本体部51の上面の中心部に、本体部51と同心に形成されている。挿通孔53は、円形凹部52の略中央部を高さ方向に貫通するよう形成された円形開口である。4つのガイド片54は、本体部51の上面であって円形凹部52と隣接する領域から、90度の等角度間隔で上方に向かって突出するよう設けられた円弧状部分である。4つのガイド片54の内側面によって規定される円柱状の内部空間の直径は、保持機構7の後述する筒状部71の外径と略等しい。筒状部71が4つのガイド片54の内側面によって規定される内部空間内に載置されるので、筒状部71が4つのガイド片54によって外側から支持され、本体部51上での保持機構7の傾斜を防止する。また、図4中の-X方向側に位置するガイド片54は、自身の内側面上に形成された位置決め溝541を有している。位置決め溝541は、ガイド片54の内側面の上端から下端に向かって直線状に延伸する矩形状の凹部である。保持機構7の後述するバーティカルスペーサー94の位置決め突起943が位置決め溝541内に位置するよう、保持機構7がハウジング5上に載置され、位置決め突起943と位置決め溝541との係合により、ハウジング5上での保持機構7の回転が防止される。
【0044】
4つの軸受部55は、本体部51の上面のテーパー面511と隣接する領域から、90度の等角度間隔で上方に向かって突出する部分である。また、各軸受部55は、2つのガイド片54の間に位置している。したがって、本体部51の上面上において、本体部51の周方向に沿って、4つのガイド片54と4つの軸受部55が交互に配置されている。+Y方向側に位置する軸受部55と-Y方向側に位置する軸受部55は、間隙を介して互いに対向している。同様に、+X方向側に位置する軸受部55と-X方向側に位置する軸受部55は、間隙を介して互いに対向している。
【0045】
軸受部55は、本体部51の上面から上方に向かって突出する壁部551と、壁部551上に形成された受け部552と、を備えている。壁部551は、本体部51の上面から上方に向かって直線状に延伸するブロック状部分である。壁部551の上面は、高さ方向に直交する平坦面となっている。受け部552は、壁部551上に本体部51の径方向に直線状に延伸する円弧溝である。受け部552の外側端部および内側端部は、外部に向かって開放されている。図2に示されているように、操作軸アセンブリ6の第1の回動部材61の回動軸616および第2の回動部材62の回動軸625が4つの軸受部55の受け部552内にそれぞれ収納され、第1の回動部材61および第2の回動部材62が回動可能にハウジング5に保持される。また、前述のように、上側カバー2Uの4つのカバー片27の下端部は、4つの軸受部55の壁部551の上面上にそれぞれ載置される。そのため、4つの受け部552が4つのカバー片27によって上方から閉塞され、第1の回動部材61の回動軸616および第2の回動部材62の回動軸625の軸受部55からの離脱が防止される。また、4つの軸受部55のそれぞれは、図3に示されているように、多方向入力装置1が組み立てられた際、軸受部55によって支持される第1の回動部材61の回動軸616および第2の回動部材62の回動軸625が、保持機構7の筒状部71の上面と下面との間に位置するよう構成されている。
【0046】
図9に戻り、受け凹部56は、本体部51の下面上に形成された凹部である。図3に示されているように、多方向入力装置1が組み立てられた状態において、受け凹部56内に基板3が位置する。図9に戻り、複数の受け孔57のそれぞれは、受け凹部56上から上方に向かって直線状に延伸するよう形成された凹部であり、ハウジング5を基板3上に載置した際、基板3の複数の端子ピン31の基板3から上側に突出する部分が、複数の受け孔57内にそれぞれ収納される。4つの位置決め突起58のそれぞれは、受け凹部56上から下方に向かって突出するよう形成された円柱状部分である。4つの位置決め突起58が基板3の4つの位置決め孔33内にそれぞれ挿入されるような姿勢で、ハウジング5を基板3上に載置することにより、基板3に対するハウジング5の位置決めおよび基板3上でのハウジング5の揺動防止が実行される。
【0047】
係合凹部59は、本体部51の下面上であって受け凹部56の挿通孔53と隣接する領域に、挿通孔53を取り囲むよう形成された円環状凹部である。一対の突出部591は、180度間隔で係合凹部59から下方に向かって突出するよう形成された部分である。係合凹部59内にプッシュスイッチ4の押圧部材45のフランジ部454が収納され、さらに、一対の突出部591が押圧部材45の一対の係合凹部455とそれぞれ係合することにより、基板3上での押圧部材45の揺動および回転が防止される。
【0048】
図4に戻り、操作軸アセンブリ6は、ユーザーから操作軸63に対して印加される傾倒操作および押下操作に応じて動作する機能を有する。図10に示されているように、操作軸アセンブリ6は、第1の軸方向(X方向)回りに回動可能にハウジング5に保持された第1の回動部材61と、第1の軸方向と直交する第2の軸方向(Y方向)回りに回動可能にハウジング5に保持された第2の回動部材62と、ユーザーから印加される傾倒操作に応じて傾倒動作を実行し、さらに、ユーザーから印加される押下操作に応じて下方に変位する操作軸63と、を備えている。操作軸63は、ハウジング5の本体部51の上面上に載置された保持機構7によって弾性的に保持される。さらに、第1の回動部材61および第2の回動部材62は、ハウジング5によって回動可能に保持される。
【0049】
第1の回動部材61は、第1の軸方向(X方向)回りに回動可能にハウジング5に保持される部材である。図10および図11に示されているように、第1の回動部材61は、X方向に延伸する板状の本体部611と、本体部611上に形成されたスリット孔612と、スリット孔612をX方向から挟み込むよう本体部611上に形成された一対の貫通孔613と、スリット孔612に取り付けられるキャップ614と、本体部611のX方向の両端部から下方に向かってそれぞれ延伸する一対の下方延伸部615と、一対の下方延伸部615から外側に向かってそれぞれ延伸するよう一対の下方延伸部615に取り付けられた一対の回動軸616と、-X方向側の下方延伸部615の下端部から下方に向かって延伸するマグネット保持部617と、を備えている。
【0050】
本体部611は、X方向に長尺な板状部分であり、金属材料によって形成されている。本体部611は、上方に凸のアーチ部6111と、アーチ部6111の両端部からそれぞれ延伸する一対の水平延伸部6112と、を備えている。アーチ部6111は、上方に凸となる湾曲形状を有するX方向に長尺な部分である。一対の水平延伸部6112のそれぞれは、アーチ部6111の端部から外側に向かって直線状に延伸する板状部分である。本体部611は、スリット孔612に挿通された操作軸63とキャップ614を介して接触するので、ユーザーが操作軸63に対して軸回りに回転させるようなねじり操作を印加した際に、操作軸63から本体部611に対して負荷が印加される。操作軸63から印加された負荷による本体部611の変形や摩耗を防止するため、本体部611は、樹脂材料よりも強度の高い金属材料で形成されている。
【0051】
スリット孔612は、本体部611の長尺方向に沿って延伸し、かつ、アーチ部6111および一対の水平延伸部6112を高さ方向に貫通するよう形成された貫通孔である。操作軸63がスリット孔612内に挿通され、本体部611の長尺方向に沿った操作軸63の傾倒動作が許容される。一対の貫通孔613は、本体部611の上面上においてX方向からスリット孔612を挟み込むように形成された円形の貫通孔である。
【0052】
キャップ614は、樹脂材料等の摩擦が少ない材料により形成された部材である。キャップ614は、スリット孔612に上方から取り付けられる。キャップ614は、本体部611の上面に対応した形状を有する本体部6141と、本体部611の長尺方向に沿って延伸し、かつ、高さ方向に貫通するよう形成されたスリット孔6142と、スリット孔6142のY方向側の内側面から下方に直線状にそれぞれ延伸する一対のカバー片6143と、本体部6141の下面から下方に突出する一対の突部6144と、を備えている。一対の突部6144が貫通孔613内に挿入されるような姿勢でキャップ614がスリット孔612に上方から取り付けられ、接着剤等の任意の固定手段により本体部611上で固定される。この際、一対のカバー片6143がスリット孔612の内側面の少なくとも一部、より具体的には、Y方向の内側面を覆う。このように、一対のカバー片6143でスリット孔612のY方向側の内側面を覆うことにより、スリット孔612と操作軸63との間の摩擦抵抗を低減することができる。
【0053】
一対の下方延伸部615は、本体部611のX方向の両端部から下方に直線状にそれぞれ延伸する板状部分であり、金属材料によって形成されている。また、一対の下方延伸部615は、本体部611と一体的に形成されている。一対の回動軸616は、一対の下方延伸部615の外側面から外側に向かってそれぞれ延伸するよう、一対の下方延伸部615に取り付けられた円柱状部材であり、硬質の樹脂材料によって形成されている。一対の回動軸616は、互いの軸中心が同一直線上に位置するよう一対の下方延伸部615にそれぞれ取り付けられている。一対の回動軸616がハウジング5の+X方向側および-X方向側に位置する軸受部55の受け部552内に載置されることにより軸受部55に支持され、第1の回動部材61の回動軸として機能する。また、一対の回動軸616がハウジング5の受け部552内に載置されることにより、第1の回動部材61がハウジング5によって第1の軸方向(X方向)周りに回動可能に保持される。また、前述のようにハウジング5の軸受部55は、図3に示されているように、多方向入力装置1が組み立てられた状態において、一対の回動軸616が、高さ方向において、保持機構7の筒状部71の上面と下面との間に位置するよう構成されている。そのため、多方向入力装置1が組み立てられた状態において、一対の回動軸616は、同一直線上に位置し、筒状部71を介して対向している。
【0054】
図11に戻り、マグネット保持部617は、樹脂材料により形成され、-X方向側に位置する下方延伸部615の下端部に取り付けられた部材である。マグネット保持部617は、その内部において、検出機構8のマグネット82を保持している。マグネット保持部617は、多方向入力装置1が組み立てられた状態において、ハウジング5の収納部514b内にX軸回りに回動可能に収納される。
【0055】
図10および図12に示されているように、第2の回動部材62は、上方に凸のアーチ部621と、アーチ部621に形成されたスリット孔622と、アーチ部621の両端部からそれぞれ延伸する一対の水平延伸部623と、一対の水平延伸部623から下方に向かってそれぞれ延伸する一対の下方延伸部624と、一対の下方延伸部624の外側面から外側に向かってそれぞれ延伸する一対の回動軸625と、+Y方向側の下方延伸部624の下端部に設けられたマグネット保持部626と、を備えている。第2の回動部材62は、樹脂材料により形成されており、アーチ部621、一対の水平延伸部623、一対の下方延伸部624、一対の回動軸625、およびマグネット保持部626は、一体的に形成されている。
【0056】
アーチ部621は、上方に凸となる湾曲形状を有するY方向に長尺な部分である。スリット孔622は、アーチ部621の長尺方向に沿って延伸し、かつ、高さ方向に貫通するよう形成された長尺の貫通孔である。操作軸63がスリット孔622内に挿通され、アーチ部621の長尺方向に沿った操作軸63の傾倒動作が許容される。一対の水平延伸部623のそれぞれは、アーチ部621の端部から外側に向かって直線状に延伸する板状部分である。一対の下方延伸部624のそれぞれは、水平延伸部623の端部から下方に向かって直線状に延伸する板状部分である。また、アーチ部621は、スリット孔622に挿通された操作軸63と接触するので、ユーザーが操作軸63に対して軸回りに回転させるようなねじり操作を印加した際に、操作軸63からアーチ部621に対して負荷が印加される。また、前述のように、ユーザーが操作軸63に対して軸回りに回転させるようなねじり操作を印加した際に、操作軸63から第1の回動部材61の本体部611に対しても負荷が印加される。
【0057】
このように、第1の回動部材61の本体部611および第2の回動部材62のアーチ部621には、ユーザーが操作軸63に対してねじり操作を印加した際に、操作軸63から負荷が印加される。前述のように、本体部611は、強度の高い金属材料で形成されている。一方、本体部611が金属材料で形成されている場合には、ユーザーが操作軸63に対してねじり操作を印加した際であっても、操作軸63から第2の回動部材62に強い負荷は印加されないので、第2の回動部材62は、金属材料と比較して強度は低いが、軽量かつ安価な樹脂材料により形成されている。このような構成により、ユーザーが操作軸63に対してねじり操作を印加した際の第1の回動部材61および第2の回動部材62の変形や摩耗を防止し、かつ、多方向入力装置1の重量およびコストを低減させることができる。
【0058】
なお、図示の態様では、第1の回動部材61の本体部611が金属材料で形成され、第2の回動部材62のアーチ部621が樹脂材料で形成されているが、本発明はこれに限られない。本体部611が樹脂材料で形成され、アーチ部621が金属材料で形成されている態様もまた、本発明の範囲内である。アーチ部621が金属材料で形成されている場合には、ユーザーが操作軸63に対してねじり操作を印加した際であっても、操作軸63から本体部611に強い負荷は印加されないので、第1の回動部材61の各部位を、樹脂材料により一体形成してもよい。このような構成によっても、ユーザーが操作軸63に対してねじり操作を印加した際の第1の回動部材61および第2の回動部材62の変形や摩耗を防止し、かつ、多方向入力装置1の重量およびコストを低減させることができる。
【0059】
この場合、第1の回動部材61の本体部611および一対の下方延伸部615が樹脂材料により形成され、この結果、第1の回動部材61の全ての要素が樹脂材料により一体的に形成される。一方、第2の回動部材62のアーチ部621、一対の水平延伸部623、および一対の下方延伸部624は、金属材料により一体的に形成され、一対の回動軸625およびマグネット保持部626は、樹脂材料により形成される。また、一対の回動軸625は、一対の下方延伸部624にそれぞれ取り付けられ、さらに、マグネット保持部626は、+Y方向側の下方延伸部624の下端部に取り付けられる。さらに、本体部611およびアーチ部621の双方が金属材料により形成されているような態様も、本発明の範囲内である。この場合、ユーザーが操作軸63に対してねじり操作を印加した際の第1の回動部材61および第2の回動部材62の変形や摩耗を防止より確実に防止することができる。
【0060】
一対の回動軸625は、一対の下方延伸部624の外側面から外側に向かって直線状にそれぞれ延伸する円柱状部分である。一対の回動軸625は、互いの軸中心が同一直線上に位置するよう形成されている。一対の回動軸625は、ハウジング5の+Y方向側および-Y方向側に位置する軸受部55の受け部552内に載置されることにより軸受部55に支持され、第2の回動部材62の回動軸として機能する。また、一対の回動軸625がハウジング5の受け部552内に載置されることにより、第2の回動部材62がハウジング5によって第2の軸方向(Y方向)周りに回動可能に保持される。また、前述のようにハウジング5の軸受部55は、多方向入力装置1が組み立てられた状態において、一対の回動軸625が、高さ方向において、保持機構7の筒状部71の上面と下面との間に位置するよう構成されている。そのため、多方向入力装置1が組み立てられた状態において、一対の回動軸625は、同一直線上に位置し、筒状部71を介して対向している。
【0061】
マグネット保持部626は、+Y方向側に位置する下方延伸部624の下端部に設けられ、マグネット82を内部に保持するための部分である。多方向入力装置1が組み立てられた状態において、マグネット保持部626は、ハウジング5の収納部514a内にY軸回りに回動可能に収納される。
【0062】
図10に戻り、操作軸63は、ユーザーから印加される傾倒操作に応じて、第1の回動部材61および第2の回動部材62を回動させ、さらに、ユーザーから印加される押下操作に応じて、下方に変位する機能を有している。図13に示されているように、操作軸63は、細径部631と、細径部631の下端部から外側に延伸する大径部632と、細径部631および大径部632の外周面に形成された一対のDカット面633と、細径部631の下端部から下方に直線状に延伸するよう形成されたフランジ部634と、フランジ部634の下端部から下方に延伸するバネ接続部635と、バネ接続部635の下面から下方に向かって突出する突起636と、突起636に取り付けられる支持キャップ637と、細径部631の上側部分に取り付けられるキャップ638と、キャップ638を細径部631の上側部分に固定するためのシャフト639と、を備えている。
【0063】
細径部631は、高さ方向に直線状に延伸する円柱状部分である。また、細径部631の上側部分には、細径部631をY方向に貫通する貫通孔6311が形成されている。図2に示されているように、多方向入力装置1が組み立てられた状態において、細径部631は、上側カバー2Uの開口25から上方に突出し、ユーザーによって操作される。図13に戻り、大径部632は、細径部631の下端部の側面から、細径部631と同心で、外側に向かって延伸する円柱状部分である。また、大径部632は、細径部631の直径よりも大きい直径を有している。
【0064】
一対のDカット面633は、細径部631および大径部632の+Y方向側および-Y方向側の外周面を、高さ方向に直線的に切り欠くことによって形成された、互いに対向し、Y方向に対して直交する平坦面である。一対のDカット面633は、細径部631および大径部632のY方向の幅が、第1の回動部材61のスリット孔612のY方向の幅と略等しくなるよう、細径部631および大径部632の+Y方向側および-Y方向側の外周面に形成されている。このような構成により、細径部631および大径部632をスリット孔612に挿通させることができる。多方向入力装置1が組み立てられた状態において、大径部632の形成された一対のDカット面633が、キャップ614のカバー片6143を介して、スリット孔612の内側面と面接触する。このような構成により、ユーザーが操作軸63に対して軸回りに回転させるようなねじり操作を印加したとしても、大径部632の形成された一対のDカット面633とスリット孔612との係合により、操作軸63が軸回りに回転しない。
【0065】
フランジ部634は、細径部631の下端部から下方に直線状に延伸するよう形成された円柱状部分である。フランジ部634は、大径部632と同心、かつ、大径部632と同じ直径を有する。ただし、フランジ部634の外周面には一対のDカット面633が形成されていないので、Y方向において、フランジ部634は、大径部632より外側に張り出している。また、フランジ部634の直径は、細径部631の直径よりも大きい。フランジ部634の上面は、第1の回動部材61の本体部611のアーチ部6111の下面と対応する上方に凸の湾曲形状を有している。そのため、操作軸63がY軸周りに傾倒しても、フランジ部634が本体部611に接触しない。また、フランジ部634の下面は、高さ方向に直交する平坦面となっている。
【0066】
バネ接続部635は、フランジ部634の下面から下方に向かって直線状に延伸する円柱状部分である。バネ接続部635は、フランジ部634と同心に形成されており、かつ、フランジ部634の直径よりも小さい直径を有している。突起636は、バネ接続部635の下面から下方に向かって突出する円柱状部分である。突起636は、バネ接続部635と同心に形成されており、かつ、バネ接続部635の直径よりも小さい直径を有している。また、突起636の外周面には、図示しないネジ溝が形成されている。細径部631、大径部632、フランジ部634、バネ接続部635、および突起636は、ステンレス鋼等の硬質の非磁性材料によって一体的に形成されている。
【0067】
支持キャップ637は、保持機構7の下側板バネアセンブリ9Lを下方から支持するとともに、プッシュスイッチ4の押圧部材45の押圧面453を押圧する機能を有している。支持キャップ637は、ステンレス鋼等の硬質の非磁性材料によって形成された円柱状部材である。支持キャップ637は、円柱状の本体部6371と、本体部6371の上面に形成された受け凹部6372と、受け凹部6372上に形成されたネジ孔6373と、本体部6371の下面から下方に向かって突出する湾曲面6374と、を備えている。
【0068】
本体部6371は、フランジ部634と同心、かつ、フランジ部634の直径と略等しい直径を有する円柱状部分である。本体部6371の上面は、高さ方向に直交する平坦面となっている。受け凹部6372は、本体部6371の上面上に形成された円形凹部である。受け凹部6372は、本体部6371と同心で形成され、かつ、バネ接続部635の直径と略等しい直径を有している。ネジ孔6373は、受け凹部6372上に形成され、ネジ溝を有する円形凹部である。ネジ孔6373は、受け凹部6372と同心で形成され、かつ、突起636の直径と略等しい直径を有している。また、図3に示されているように、ネジ孔6373の底面は、上方から下方に向かって直径が漸減する円錐形状を有している。突起636をネジ孔6373に螺合し、さらに、バネ接続部635の下端部を受け凹部6372内に収納することにより、支持キャップ637が突起636に取り付けられる。また、支持キャップ637を突起636に取り付けることにより、操作軸63に取り付けられた保持機構7の下側板バネアセンブリ9Lが、支持キャップ637により下方から支持される。
【0069】
図13に戻り、湾曲面6374は、本体部6371の下面から下方に向かって突出する湾曲面である。より具体的には、湾曲面6374の下面は、中心から外側に向かって下方への突出量が漸減する球面形状を有している。そのため、湾曲面6374は、押圧部材45の押圧面453と点接触する。また、湾曲面6374が球面形状を有しているため、操作軸63が傾倒動作を実行した際に、湾曲面6374が押圧面453上をスライドせず、湾曲面6374と押圧面453との間の点接触が維持される。そのため、操作軸63が傾倒した状態であっても、ユーザーの操作軸63に対する押下操作に応じて、操作軸63が下方に変位し、プッシュスイッチ4を押圧することができる。
【0070】
キャップ638は、細径部631に対するユーザーの傾倒操作および押圧操作を容易にするために細径部631の上端部に取り付けられる筒状部材である。キャップ638は、自身をY方向に貫通する貫通孔6381を有している。キャップ638を細径部631の上端部に取り付けた状態で、シャフト639を、細径部631の貫通孔6311およびキャップ638の貫通孔6381に挿通させることにより、キャップ638を細径部631の上端部に固定することができる。キャップ638のY方向の幅は、第1の回動部材61のスリット孔612のY方向の幅よりも大きく、さらに、キャップ638のX方向の幅は、第2の回動部材62のスリット孔622のX方向の幅よりも大きい。そのため、キャップ638を細径部631の上端部に取り付けることにより、多方向入力装置1を組み立てる際に、第1の回動部材61および第2の回動部材62が操作軸63から上方に離脱してしまうことを防止することができる。
【0071】
図10に戻り、保持機構7は、ハウジング5上において操作軸63を直立の中立状態で弾性的に保持する機能を有している。図13に示されているように、保持機構7は、上側板バネアセンブリ9Uと、下側板バネアセンブリ9Lと、上側板バネアセンブリ9Uと下側板バネアセンブリ9Lとの間に位置し、上側板バネアセンブリ9Uと下側板バネアセンブリ9Lとを高さ方向に離間した状態で保持する筒状部71と、上側板バネアセンブリ9Uと下側板バネアセンブリ9Lとの間であって、筒状部71の内側に位置する円筒状のブッシュ72と、下側板バネアセンブリ9Lと操作軸63の支持キャップ637との間に位置する円環状のスペーサー73と、上側板バネアセンブリ9Uおよび下側板バネアセンブリ9Lを筒状部71に固定するための3つのリベット74、を備えている。
【0072】
図14に示されているように、上側板バネアセンブリ9Uは、高さ方向に互いに離間して保持される複数(図示の形態では、2つ)の上側板バネ91Uと、複数の上側板バネ91Uの間を接続する内側スペーサー92および外側スペーサー93と、最も上方に位置する上側板バネ91Uの上面上に設けられるバーティカルスペーサー94と、を備えている。複数の上側板バネ91Uは、ステンレス鋼等の非磁性のバネ材により形成されている。複数の上側板バネ91Uは、内側スペーサー92および外側スペーサー93によって、高さ方向に互いに離間し、かつ、互いに平行に対向するように保持されている。
【0073】
図15に示されているように、上側板バネ91Uは、筒状部71の上面上で固定的に保持される円環状の外枠911と、外枠911の内側に位置し、操作軸63のバネ接続部635が挿通される挿通孔913を有する内枠912と、外枠911と内枠912との間を接続する複数(図示の形態では3つ)のバネ部914と、外枠911上に形成された複数(図示の形態では3つ)の係止孔915と、を備えている。
【0074】
外枠911は、高さ方向に対して直交する上面および下面を有する円環板状部分である。外枠911は、筒状部71に対して固定される。内枠912は、外枠911の内側に、外枠911と同心に配置された円板部分である。内枠912は、自身と同心に形成された円形の挿通孔913を有している。図18に示されているように、操作軸63のバネ接続部635が、挿通孔913を挿通する。図15に戻り、複数のバネ部914は、外枠911に対して内枠912が変位可能に外枠911と内枠912との間を接続する部分である。なお、ここで言う「変位」は、内枠912が外枠911に対する高さ方向の変位および横方向(X方向またはY方向)の変位に加え、内枠912がX方向またはY方向回りに傾斜し、内枠912が外枠911に対して傾くねじり方向の変位を含む。
【0075】
バネ部914は、外枠911の内周面に接続される第1の接続部9141と、内枠912の外周面に接続される第2の接続部9142と、第1の接続部9141と第2の接続部9142との間を接続するアーム部9143と、を備えている。第1の接続部9141は、外枠911および内枠912の径方向に延伸する板状部分である。第1の接続部9141の一方の端部が外枠911の内周面に接続され、第1の接続部9141の他方の端部がアーム部9143の一方の端部の外側面に接続されている。第2の接続部9142は、外枠911および内枠912の径方向に延伸する板状部分である。第2の接続部9142の一方の端部が内枠912の外周面に接続され、第2の接続部9142の他方の端部がアーム部9143の他方の端部の内側面に接続されている。
【0076】
アーム部9143は、第1の接続部9141と第2の接続部9142との間を接続するよう、円弧状に延伸する部分である。アーム部9143は、第1の接続部9141から第2の接続部9142に向かって時計回り方向および反時計回り方向の一方に延伸する。図示の形態では、上側板バネ91Uの複数のアーム部9143のそれぞれは、第1の接続部9141から第2の接続部9142に向かって時計回り方向に円弧状に延伸している。複数のアーム部9143は、外枠911と内枠912との間の空間において、互いに接触しないよう円弧状に延伸している。内枠912が外枠911に対して変位すると、複数のバネ部914が弾性変形し、内枠912を定常位置に復帰させるバネ力が作用する。なお、図示の形態において、上側板バネ91Uのバネ部914の数は3つであるが、本発明はこれに限られない。上側板バネ91Uが、4つ以上のバネ部914を有するような態様もまた、本発明の範囲内である。
【0077】
係止孔915は、外枠911上であって、3つのバネ部914の第1の接続部9141の一方の端部と隣接する領域にそれぞれ形成された貫通孔である。係止孔915は、高さ方向に外枠911を高さ方向に貫通している。また、係止孔915を規定するために外枠911の外周面から外側に向かって円弧状部分9151が突出している。そのため、係止孔915の内側部分は外枠911上に形成されており、係止孔915の外側部分は外枠911よりも外側に形成されている。
【0078】
なお、高さ方向に互いに離間し、かつ、互いに平行に対向するように保持されている複数の上側板バネ91Uは、それぞれのバネ部914の第1の接続部9141、第2の接続部9142、および複数のアーム部9143、並びに、係止孔915が上下で重なるように配置される。これにより、操作軸63を傾倒させる際に、複数の上側板バネ91Uのアーム部9143が同じ位置で同じ応力を受け、同じねじれ動作が発生するため、アーム部9143同士で互いに干渉するのを防ぐことができる。
【0079】
図14に戻り、内側スペーサー92および外側スペーサー93は、複数の上側板バネ91Uを一体化するために、複数の上側板バネ91Uの間を接続する部材である。内側スペーサー92は、上側板バネ91Uの内枠912の内径および外径と等しい内径および外径を有する円環状部材である。内側スペーサー92は、高さ方向に直交する平坦な上面および下面を有している。接着剤等の任意の固定手段により、内側スペーサー92の上面が、上側の上側板バネ91Uの内枠912の下面上に固定され、内側スペーサー92の下面が、下側の上側板バネ91Uの内枠912の上面上に固定される。
【0080】
外側スペーサー93は、円環状のフレーム931と、フレーム931上に形成された複数の係止孔932と、を備えている。フレーム931は、上側板バネ91Uの外枠911の内径および外径と等しい内径および外径を有する円環状部分である。また、フレーム931は、高さ方向に直交する平坦な上面および下面を有している。接着剤等の任意の固定手段により、フレーム931の上面が、上側の上側板バネ91Uの外枠911の下面上に固定され、フレーム931の下面が、下側の上側板バネ91Uの外枠911の上面上に固定される。係止孔932は、上側板バネ91Uの複数の係止孔915と対応するようフレーム931に形成された貫通孔である。係止孔932は、高さ方向にフレーム931を高さ方向に貫通している。さらに、係止孔932を規定するためにフレーム931の外周面から外側に向かって円弧状部分9321が突出している。そのため、係止孔932の内側部分はフレーム931上に形成されており、係止孔932の外側部分はフレーム931よりも外側に形成されている。複数の係止孔932が上側板バネ91Uの複数の係止孔915と重なるような姿勢で、外側スペーサー93が上側の上側板バネ91Uと下側の上側板バネ91Uとの間で挟持される。内側スペーサー92および外側スペーサー93により、複数の上側板バネ91Uが一体化され、複数の上側板バネ91Uが1つの板バネとして機能する。
【0081】
バーティカルスペーサー94は、高さ方向に互いに離間して保持される複数の上側板バネ91Uを上方から支持するための円環状部材である。バーティカルスペーサー94を最も上方に位置する上側板バネ91U上に設けることにより、リベット74による上側板バネアセンブリ9Uの筒状部71上での固定を安定させることができる。バーティカルスペーサー94は、円環状のフレーム941と、フレーム941上に形成された複数の係止孔942と、フレーム941から外側に向かって突出する位置決め突起943と、を備えている。フレーム941は、上側板バネ91Uの外枠911の内径および外径と等しい内径および外径を有する円環状部分である。また、フレーム941は、高さ方向に直交する平坦な上面および下面を有している。フレーム941は、接着剤等の任意の固定手段により、最も上方に位置する上側板バネ91Uの外枠911の上面上に取り付けられる。
【0082】
係止孔942は、上側板バネ91Uの複数の係止孔915と対応するようフレーム941に形成された貫通孔である。係止孔942は、高さ方向にフレーム941を高さ方向に貫通している。また、係止孔942を規定するためにフレーム941の外周面から外側に向かって円弧状部分9421が突出している。そのため、係止孔942の内側部分はフレーム941上に形成されており、係止孔942の外側部分はフレーム941よりも外側に形成されている。複数の係止孔942が上側板バネ91Uの複数の係止孔915と重なるような姿勢で、バーティカルスペーサー94が最も上方に位置する上側板バネ91Uの上面上に設けられる。
【0083】
位置決め突起943は、フレーム941の外周面から外側に向かって直線状に延伸する矩形状部分である。図6に示されているように、多方向入力装置1が組み立てられた状態において、位置決め突起943がハウジング5の位置決め溝541内に位置するよう、保持機構7がハウジング5の本体部51上に載置され、位置決め突起943と位置決め溝541との係合により、ハウジング5上での保持機構7の回転が防止される。また、多方向入力装置1が組み立てられた状態において、上側カバー2Uの4つの接合片26から内側に向かってそれぞれ延伸する4つの保持部263の爪部2632が、バーティカルスペーサー94の上面を押圧することにより、ハウジング5上において保持機構7を上方から支持し、ハウジング5上での保持機構7の高さ方向への揺動を防止する。
【0084】
複数の上側板バネ91U、内側スペーサー92、外側スペーサー93、およびバーティカルスペーサー94は、複数の上側板バネ91Uの複数の係止孔942、外側スペーサー93の複数の係止孔932、およびバーティカルスペーサー94の複数の係止孔942がそれぞれ重なるように、高さ方向に重ねて、接着剤等の任意の固定手段により一体化され、上側板バネアセンブリ9Uが組み立てられる。
【0085】
図13に戻り、下側板バネアセンブリ9Lは、上側板バネアセンブリ9Uの下方に位置し、筒状部71を介して、上側板バネアセンブリ9Uと高さ方向に離間するよう設けられている。図16に示されているように、下側板バネアセンブリ9Lは、高さ方向に互いに離間して保持される複数(図示の形態では、2つ)の下側板バネ91Lと、複数の下側板バネ91Lの間を接続する内側スペーサー92および外側スペーサー93と、最も下方に位置する下側板バネ91Lの下面上に設けられ、複数の下側板バネ91Lを下方から支持するバーティカルスペーサー94と、を備えている。なお、下側板バネアセンブリ9Lの内側スペーサー92、外側スペーサー93、およびバーティカルスペーサー94は、前述した上側板バネアセンブリ9Uの内側スペーサー92、外側スペーサー93、およびバーティカルスペーサー94と同じ構成を有しているので、下側板バネアセンブリ9Lの内側スペーサー92、外側スペーサー93、およびバーティカルスペーサー94に対する説明は省略する。
【0086】
図17に示されているように、下側板バネ91Lは、バネ部914のアーム部9143の延伸方向が異なる点を除き、上側板バネ91Uと同一の構成を有している。そのため、下側板バネ91Lの上側板バネ91Uとの相違点を詳述し、下側板バネ91Lの上側板バネ91Uとの共通点については、説明を省略する。
【0087】
下側板バネ91Lの複数のバネ部914のアーム部9143のそれぞれは、第1の接続部9141から第2の接続部9142に向かって時計回り方向および反時計回り方向の他方に延伸する。図示の形態では、下側板バネ91Lの複数のバネ部914のアーム部9143のそれぞれは、第1の接続部9141から第2の接続部9142に向かって反時計回り方向に円弧状に延伸している。すなわち、上側板バネ91Uのアーム部9143の延伸方向と、下側板バネ91Lのアーム部9143の延伸方向は、逆方向となっている。したがって、上側板バネ91Uと下側板バネ91Lは、互いに上下(表裏)対称に構成されている。換言すれば、上側板バネ91Uを上下反転させた状態で、筒状部71の下方に設けたものが下側板バネ91Lである。
【0088】
図13に戻り、筒状部71は、上側板バネアセンブリ9Uと下側板バネアセンブリ9Lとを高さ方向に互いに離間した状態で保持するための部材である。筒状部71は、最も下方に位置する上側板バネ91Uの外枠911と、最も上方に位置する下側板バネ91Lの外枠911との間に位置する。筒状部71は、円筒状の本体部711と、本体部711の外周面上に形成された複数のボス712と、を備えている。本体部711の上面および下面は、上側板バネ91Uおよび下側板バネ91Lの外枠911に対応した円環形状を有し、高さ方向に直交する平坦面となっている。組み立てられた上側板バネアセンブリ9Uが筒状部71の上面上に設けられ、さらに、組み立てられた下側板バネアセンブリ9Lが筒状部71の下面上に設けられた状態において、上側板バネアセンブリ9Uおよび下側板バネアセンブリ9Lの係止孔915、932、942および筒状部71のボス712にリベット74を挿通させ、リベット74の端部をカシメることにより、上側板バネアセンブリ9Uおよび下側板バネアセンブリ9Lが、高さ方向に互いに離間した状態で、筒状部71によって固定的に保持される。したがって、最も下方に位置する上側板バネ91Uの外枠911と、最も上方に位置する下側板バネ91Lの外枠911とが、筒状部71の高さの分だけ、高さ方向に離間した状態で、上側板バネアセンブリ9Uおよび下側板バネアセンブリ9Lが保持される。なお、上述の説明では、リベット74によって、上側板バネアセンブリ9Uおよび下側板バネアセンブリ9Lを筒状部71に固定しているが、本発明はこれに限られない。ネジや接着剤等の任意の固定具を用いて、上側板バネアセンブリ9Uおよび下側板バネアセンブリ9Lを筒状部71に固定してもよい。
【0089】
また、上側板バネアセンブリ9Uと下側板バネアセンブリ9Lは、高さ方向からの平面視において、複数の上側板バネ91Uの第1の接続部9141が複数の下側板バネ91Lの第1の接続部9141と重なり、複数の上側板バネ91Uの第2の接続部9142が複数の下側板バネ91Lの第2の接続部9142と重なり、上側板バネアセンブリ9Uおよび下側板バネアセンブリ9Lのバーティカルスペーサー94の位置決め突起943同士が重なるよう、設けられている。したがって、上側板バネアセンブリ9Uと下側板バネアセンブリ9Lは、互いに完全に上下(表裏)対称となるような姿勢で筒状部71によって固定的に保持されている。
【0090】
また、前述のようにハウジング5の軸受部55は、多方向入力装置1を組み立てた状態において、軸受部55によって支持される第1の回動部材61の回動軸616および第2の回動部材62の回動軸625が、筒状部71の上面と下面との間に位置するよう構成されている。筒状部71の上面上には上側板バネアセンブリ9Uが設けられ、さらに、筒状部71の下面上には下側板バネアセンブリ9Lが設けられるため、第1の回動部材61の回動軸616および第2の回動部材62の回動軸625は、高さ方向において、上側板バネ91Uと下側板バネ91Lとの間に位置する。一方、保持機構7によって保持される操作軸63の傾倒動作の回転中心は、高さ方向において、上側板バネ91Uと下側板バネ91Lとの間に位置する。そのため、第1の回動部材61の回動軸616および第2の回動部材62の回動軸625を、高さ方向において、上側板バネ91Uと下側板バネ91Lとの間に位置させ、第1の回動部材61の回動軸616および第2の回動部材62の回動軸625の高さ方向の位置を、操作軸63の傾倒動作の回転中心の高さ方向の位置と略一致させることにより、操作軸63の傾倒角度と、第1の回動部材61または第2の回動部材62の回動角度とを一致させることができる。このような構成により、操作軸63の傾倒角度と、第1の回動部材61または第2の回動部材62の回動角度とを一致させることができ、操作軸63の傾倒角度を正確に検出することができる。
【0091】
なお、図示の形態では、上側板バネ91Uおよび下側板バネ91Lのそれぞれの外枠911は、円環形状を有しているが、本発明はこれに限られず、筒状部71の形状に応じて適宜変更可能である。例えば、上側板バネ91Uおよび下側板バネ91Lのそれぞれの外枠911が、楕円環状形状または多角形環状形状を有しているような態様もまた、本発明の範囲内である。また、上側板バネ91Uおよび下側板バネ91Lのそれぞれのバネ部914の数は、3つ以上であれば特に限定されず、外枠911に対して内枠912が変位可能に、内枠912を外枠911に接続することができればよく、上側板バネ91Uおよび下側板バネ91Lのそれぞれが4つ、5つ、またはこれ以上のバネ部914を備えているような態様もまた、本発明の範囲内である。
【0092】
また、図15および図17から明らかなように、上側板バネ91Uおよび下側板バネ91Lのそれぞれは、高さ方向からの平面視において、回転非対称な形状を有している。したがって、上側板バネ91Uおよび下側板バネ91Lのそれぞれの剛性は、異方性を有している。例えば、上側板バネ91Uの内枠912が+X方向に変位する際の上側板バネ91Uの横剛性は、内枠912が-X方向に変位する際の上側板バネ91Uの横剛性と異なる。本発明の多方向入力装置1においては、上側板バネ91Uと下側板バネ91Lは、互いに完全に上下(表裏)対称となるような姿勢で筒状部71に保持されている。そのため、上側板バネ91Uの剛性の異方性と下側板バネ91Lの剛性の異方性とが相殺される。この結果、複数の上側板バネ91Uの剛性と複数の下側板バネ91Lの剛性とを組み合わせて得られる保持機構7の剛性は、異方性を有さない。したがって、保持機構7によって弾性的に保持される操作軸63への傾倒操作に対する反力は、異方性を有さないものとなり、多方向入力装置1を、ゲーム機器のコントローラーに用いられるジョイスティックとして好ましいものとすることができる。
【0093】
図13に戻り、ブッシュ72は、硬質の非磁性材料により形成された円筒状部材であり、最も下方に位置する上側板バネ91Uの内枠912と最も上方に位置する下側板バネ91Lの内枠912との間に位置している。ブッシュ72は、上側板バネ91Uおよび下側板バネ91Lの内枠912の内径および外径とそれぞれ略等しい内径および外径を有している。また、ブッシュ72の外径は、操作軸63のフランジ部634の外径および支持キャップ637の外径と略等しく、さらに、ブッシュ72の内径は、操作軸63のバネ接続部635の外径と略等しい。ブッシュ72の上面および下面は、高さ方向に直交する平坦面となっている。
【0094】
ブッシュ72の上面が最も下方に位置する上側板バネ91Uの内枠912の下面と接触し、最も上方に位置する下側板バネ91Lの内枠912の上面と接触する。そのため、最も下方に位置する上側板バネ91Uの内枠912と最も上方に位置する下側板バネ91Lの内枠912とが、ブッシュ72の高さの分だけ、高さ方向に離間した状態で、上側板バネアセンブリ9Uおよび下側板バネアセンブリ9Lが筒状部71によって保持される。
【0095】
また、ブッシュ72の高さは、筒状部71の高さよりも低い。そのため、図18に示されているように、多方向入力装置1が組み立てられた状態において、最も下方に位置する上側板バネ91Uの外枠911と最も上方に位置する下側板バネ91Lの外枠911との間の離間距離D1は、最も下方に位置する上側板バネ91Uの内枠912と最も上方に位置する下側板バネ91Lの内枠912との間の離間距離D2と異なる。より具体的には、離間距離D1は、離間距離D2よりも長い。このような構成により、操作軸63の傾倒動作に対する保持機構7の初期反力を大きくすることができ、多方向入力装置1に対して振動や衝撃が印加された際に、操作軸63が意図せず傾倒動作を実行することを防止することができる。
【0096】
保持機構7の大きい初期反力は、振動や衝撃等のユーザーから操作軸63に印加される傾倒操作とは異なる外力によって、操作軸63が中立状態で保持されている際に操作軸63が傾倒することを抑制することができる。そのため、操作軸63が中立状態で保持されている際に、振動や衝撃等の外力によって第1の回動部材61および第2の回動部材62が意図せず回動してしまうことを抑制することができ、操作軸63が中立状態で保持されている際の検出機構8の磁気センサー81の出力が安定する。この結果、操作軸63が中立状態で保持されている際の磁気センサー81のドリフトを低減することができ、検出機構8による第1の回動部材61および第2の回動部材62のそれぞれの回動角度の検出精度を向上させることができる。
【0097】
なお、図示の態様では、多方向入力装置1が組み立てられた状態において、最も下方に位置する上側板バネ91Uの内枠912が外枠911よりも下方に位置し、かつ、最も上方に位置する下側板バネ91Lの内枠912が外枠911よりも上方に位置し、これにより、離間距離D1が離間距離D2よりも長くなるよう保持機構7が構成されているが、本発明は、これに限られない。図19の概略図に示されているように、ブッシュ72の高さがより高くなるようブッシュ72の構成が変更され、この結果、最も上方に位置する下側板バネ91Lの内枠912が外枠911と同一平面上に位置、または、最も下方に上側板バネ91Uの内枠912が外枠911と同一平面上に位置するような態様も本発明の範囲内である。
【0098】
また、図示の態様では、離間距離D1が離間距離D2よりも長くなるよう保持機構7が構成されているが、本発明は、これに限られない。離間距離D1が離間距離D2よりも短くなるよう、ブッシュ72および筒状部71の高さが変更されているような態様も本発明の範囲内である。この場合、ユーザーから操作軸63に対して傾倒操作が印加された際の上側板バネ91Uおよび下側板バネ91Lの複数のバネ部914の上方または下方への変位が生じ易くなり、操作軸63が傾倒操作された際に上側板バネ91Uおよび下側板バネ91Lの複数のバネ部914に生じる負荷を小さくすることができる。これにより、多方向入力装置1の製品寿命を延ばすことができる。
【0099】
また、図20に示されているように、離間距離D1と離間距離D2が等しく、上側板バネ91Uの内枠912が外枠911よりも上方に位置し、さらに、下側板バネ91Lの内枠912が外枠911よりも上方に位置するよう、ブッシュ72および筒状部71の高さが変更されているような態様もまた本発明の範囲内である。この場合、保持機構7によって中立状態で保持される操作軸63に対して、下方へのプリテンションが生じるので、操作軸63の支持キャップ637がプッシュスイッチ4の押圧部材45の押圧面453に押し付けられ、支持キャップ637と押圧面453との間に間隙が生じることを防止することができる。この結果、プッシュスイッチ4のストローク長および動作を安定させることができる。
【0100】
図13に戻り、スペーサー73は、最も下方に位置する下側板バネ91Lの内枠912の下面と、操作軸63の支持キャップ637の上面との間に位置する円環状部品である。図18に示されているように、操作軸63のバネ接続部635が、上側板バネアセンブリ9Uおよび下側板バネアセンブリ9Lの挿通孔913、内側スペーサー92、スペーサー73に挿通させた状態で、操作軸63の突起636に支持キャップ637を取り付けることにより、操作軸63が保持機構7に取り付けられる。この結果、操作軸63が保持機構7によって直立の中立状態で保持される。また、この状態で、上側板バネアセンブリ9Uおよび下側板バネアセンブリ9Lの係止孔915、932、942および筒状部71のボス712にリベット74を挿通させ、リベット74の端部をカシメることにより、上側板バネアセンブリ9Uおよび下側板バネアセンブリ9Lが、高さ方向に互いに離間した状態で、筒状部71によって固定的に保持される。
【0101】
図18に示されているように、複数の上側板バネ91Uの外枠911がバーティカルスペーサー94と筒状部71の上面との間で挟持されている。同様に、複数の下側板バネ91Lの外枠911がバーティカルスペーサー94と筒状部71の下面との間で固定的に挟持されている。さらに、複数の上側板バネ91Uの内枠912が、操作軸63のフランジ部634の下面とブッシュ72の上面との間で挟持されている。同様に、複数の下側板バネ91Lの内枠912が、ブッシュ72の下面と、操作軸63の支持キャップ637の上面との間で挟持されている。
【0102】
このように、操作軸63のバネ接続部635は、複数の上側板バネ91Uおよび複数の下側板バネ91Lの挿通孔913を挿通した状態で、複数の上側板バネ91Uおよび複数の下側板バネ91Lの内枠912に、ブッシュ72を介して、接続される。このような構成により、操作軸63を、複数の上側板バネ91Uおよび複数の下側板バネ91Lによって弾性的に保持することができる。
【0103】
また、複数の上側板バネ91Uおよび複数の下側板バネ91Lの外枠911が筒状部71に対して固定され、複数の上側板バネ91Uおよび複数の下側板バネ91Lの内枠912および複数のバネ部914が筒状部71によって宙吊りされる。このような構成により、複数の上側板バネ91Uおよび複数の下側板バネ91Lのそれぞれの内枠912は、外枠911に対して、高さ方向への変位、横方向(X方向またはY方向)への変位、およびX方向またはY方向回りに傾斜し、内枠912が外枠911に対して傾くねじり方向の変位を実行することが可能となっている。したがって、保持機構7は、操作軸63の高さ方向への変位に対する縦剛性と、操作軸63の横方向への変位に対する横剛性と、操作軸63のねじり方向への変位に対するねじり剛性と、を有する。本発明の多方向入力装置1において、保持機構7は、操作軸63の傾倒動作に関連する横剛性とねじり剛性が互いに大きく異なるよう構成されている。より具体的には、保持機構7は、横剛性がねじり剛性よりも大きくなるよう構成されている。
【0104】
保持機構7の横剛性は、上側板バネ91Uおよび下側板バネ91Lのバネ部914のアーム部9143の幅と、上側板バネアセンブリ9Uと下側板バネアセンブリ9Lの高さ方向の離間距離(すなわち、ブッシュ72の高さ)とのいずれかの増加に伴い、増加する。一方、保持機構7のねじり剛性は、上側板バネ91Uおよび下側板バネ91Lの厚さの増加に伴い、増加する。したがって、上側板バネ91Uおよび下側板バネ91Lのアーム部9143の幅、上側板バネアセンブリ9Uと下側板バネアセンブリ9Lの高さ方向の離間距離、および上側板バネ91Uおよび下側板バネ91Lの厚さを調整することにより、保持機構7の横剛性とねじり剛性のバランスを調整することができる。
【0105】
また、上側板バネ91Uおよび下側板バネ91Lの数を調整することにより、保持機構7の横剛性とねじり剛性のバランスを調整することができる。上側板バネ91Uおよび下側板バネ91Lの数が増加すると、保持機構7の横剛性が、ねじり剛性に対して、より大きくなる。したがって、上側板バネアセンブリ9Uの上側板バネ91Uの数、および、下側板バネアセンブリ9Lの下側板バネ91Lの数は、必要に応じて適宜変更可能である。例えば、上側板バネアセンブリ9Uの上側板バネ91Uの数が1であり、下側板バネアセンブリ9Lの下側板バネ91Lの数が1であるような態様も、本発明の範囲内である。この場合、上側板バネアセンブリ9Uおよび下側板バネアセンブリ9Lのそれぞれの内側スペーサー92および外側スペーサー93が省略される。
【0106】
また、別の例として、上側板バネアセンブリ9Uの上側板バネ91Uの数が3であり、下側板バネアセンブリ9Lの下側板バネ91Lの数が3であるような態様も、本発明の範囲内である。この場合、最も上方に位置する上側板バネ91Uと、最も下方に位置する上側板バネ91Uとの間に位置する上側板バネ91Uは、最も上方に位置する上側板バネ91Uの剛性(縦剛性、横剛性、ねじり剛性)と、最も下方に位置する上側板バネ91Uの剛性との間の不均一性を補正し、最も上方に位置する上側板バネ91Uと最も下方に位置する上側板バネ91Uとの間のバランスを取るバランサーとして機能する。同様に、最も上方に位置する下側板バネ91Lと、最も下方に位置する下側板バネ91Lとの間に位置する下側板バネ91Lは、最も上方に位置する下側板バネ91Lの剛性と、最も下方に位置する下側板バネ91Lの剛性との間の不均一性を補正し、最も上方に位置する下側板バネ91Lと最も下方に位置する下側板バネ91Lとの間のバランスを取るバランサーとして機能する。
【0107】
このような構成の保持機構7によって操作軸63を弾性的に保持すると、ユーザーが操作軸63に対して傾倒操作を印加した際、上側板バネ91Uおよび下側板バネ91Lのそれぞれの複数のバネ部914のうち、操作軸63の傾倒方向側に位置する少なくとも1つが、下方に変位し、複数のバネ部914のうちそれ以外が上方に変位する。この結果、操作軸63を直立の中立状態に復帰させる力が生じる。そのため、ユーザーが操作軸63に対する傾倒操作を解除すると、上側板バネ91Uおよび下側板バネ91Lの複数のバネ部914の復元力によって、操作軸63が直立の中立状態に復帰される。
【0108】
また、上側板バネ91Uおよび下側板バネ91Lのそれぞれの複数のバネ部914の弾性変形のヒステリシスは、非常に小さい。そのため、ユーザーが操作軸63に対する傾倒操作を解除すると、操作軸63が中立状態(定常位置)に正確に復帰する。このようなヒステリシスの小さな上側板バネ91Uおよび下側板バネ91Lを用いて操作軸63を弾性的に保持することにより、操作軸63の原点復帰の精度を高めることができる。この結果、ユーザーが操作軸63に対して繰り返し傾倒操作および押下操作を印加したとしても、操作軸63が中立状態に正確に復帰することができるので、多方向入力装置1の操作感および反力特性を一定にすることができる。
【0109】
操作軸63を弾性的に保持した状態で保持機構7は、ハウジング5の本体部51上に載置される。この状態において、保持機構7の下側板バネアセンブリ9Lが本体部51の受け凹部515内に収納され、さらに、保持機構7の3つのリベット74が本体部51の3つの逃げ部516内に収納される。さらに、保持機構7の筒状部71がハウジング5の4つのガイド片54によって外側から支持される。このような構成により、操作軸アセンブリ6がハウジング5および保持機構7によって保持される。
【0110】
図4に戻り、検出機構8は、第1の回動部材61および第2の回動部材62のそれぞれの回動角度を検出する機能を有している。検出機構8は、基板3上に設けられた2つの磁気センサー81と、操作軸63が中立状態で保持されている際に、2つの磁気センサー81と対向するよう第1の回動部材61のマグネット保持部617および第2の回動部材62のマグネット保持部626にそれぞれ保持された2つのマグネット82と、を備えている。
【0111】
第1の回動部材61が回動すると、第1の回動部材61のマグネット保持部617に保持されたマグネット82と対応する磁気センサー81との位置関係が変化する。これにより、対応する磁気センサー81は、第1の回動部材61の回動角度を検出することができる。同様に、第2の回動部材62が回動すると、第2の回動部材62のマグネット保持部626に保持されたマグネット82と対応する磁気センサー81との位置関係が変化する。これにより、対応する磁気センサー81は、第2の回動部材62の回動角度を検出することができる。
【0112】
このように、本発明の多方向入力装置1は、高さ方向に互いに離間した状態で保持された上側板バネ91Uおよび下側板バネ91Lによって、操作軸63を中立状態で弾性的に保持するよう、構成されている。また、前述のように、上側板バネ91Uおよび下側板バネ91Lの内枠912および複数のバネ部914が筒状部71によって宙吊りされている。そのため、操作軸63が傾倒動作を実行した際、内枠912および複数のバネ部914は、ハウジング5内の他の部材上をスライドしない。そのため、操作軸63に対する傾倒操作が繰り返し印加されたとしても、上側板バネ91Uおよび下側板バネ91Lが摩耗せず、多方向入力装置1の製品寿命を大幅に伸ばすことができる。また、操作軸63の復帰動作の際、内枠912および複数のバネ部914が他の部材上をスライドしないため、操作軸63が中立状態に復帰することを妨げる摩擦力が生じない。そのため、多方向入力装置1のヒステリシスを小さくすることができる。
【0113】
また、本発明の多方向入力装置1の上側板バネ91Uおよび下側板バネ91Lのそれぞれの複数のバネ部914の弾性変形のヒステリシスは、非常に小さい。そのため、ユーザーが操作軸63に対する傾倒操作を解除すると、操作軸63が中立状態(定常位置)に正確に復帰する。このようなヒステリシスの小さな上側板バネ91Uおよび下側板バネ91Lを用いて操作軸63を弾性的に保持することにより、操作軸63の原点復帰の精度を高めることができる。この結果、ユーザーが操作軸63に対して繰り返し傾倒操作および押下操作を印加したとしても、操作軸63が中立状態に正確に復帰することができるので、多方向入力装置1の操作感および反力特性を一定にすることができる。操作軸63を中立状態に正確に復帰させることができるので、検出機構8は、操作軸63が中立状態に復帰したことを正確に検出し、操作軸63が中立状態に復帰したことを示す信号を、電子機器に対して送信することができる。また、操作軸63の原点復帰の精度が高まるので、検出機構8は、中立状態からの操作軸63の傾倒角度の変化、すなわち、第1の回動部材61および第2の回動部材62のそれぞれの回動角度の変化を正確に算出することが可能となる。そのため、検出機構8の第1の回動部材61および第2の回動部材62のそれぞれの回動角度の検出の精度を向上させることができる。
【0114】
また、本発明の多方向入力装置1は、上側板バネ91Uの外枠911と下側板バネ91Lの外枠911との間の離間距離D1が、上側板バネ91Uの内枠912と下側板バネ91Lの内枠912との間の離間距離D2と異なるよう、構成されている。1つの例では、本発明の多方向入力装置1は、離間距離D1が離間距離D2よりも長くなるよう、構成されている。このような構成により、操作軸63の傾倒動作に対する保持機構7の初期反力を大きくすることができ、多方向入力装置1に対して振動や衝撃が印加された際に、操作軸63が意図せず傾倒動作を実行することを防止することができる。また、別の例では、本発明の多方向入力装置1は、離間距離D1が離間距離D2よりも短くなるよう、構成されている。この場合、ユーザーから操作軸63に対して傾倒操作が印加された際の上側板バネ91Uおよび下側板バネ91Lの複数のバネ部914の上方または下方への変位が生じ易くなり、操作軸63が傾倒操作された際に上側板バネ91Uおよび下側板バネ91Lの複数のバネ部914に生じる負荷を小さくすることができる。これにより、多方向入力装置1の製品寿命を延ばすことができる。
【0115】
また、保持機構7の大きい初期反力は、振動や衝撃等のユーザーから操作軸63に印加される傾倒操作とは異なる外力によって、操作軸63が中立状態で保持されている際に操作軸63が傾倒することを抑制することができる。そのため、操作軸63が中立状態で保持されている際に、振動や衝撃等の外力によって第1の回動部材61および第2の回動部材62が意図せず回動してしまうことを抑制することができ、操作軸63が中立状態で保持されている際の検出機構8の磁気センサー81の出力が安定する。この結果、操作軸63が中立状態で保持されている際の磁気センサー81のドリフトを低減することができ、検出機構8による第1の回動部材61および第2の回動部材62のそれぞれの回動角度の検出精度を向上させることができる。
【0116】
また、本発明の多方向入力装置1は、ハウジング5の軸受部55によって回動可能に保持される第1の回動部材61の回動軸616および第2の回動部材62の回動軸625が、高さ方向において、上側板バネ91Uと下側板バネ91Lと間に位置するよう、構成されている。一方、保持機構7によって保持される操作軸63の傾倒動作の回転中心は、高さ方向において、上側板バネ91Uと下側板バネ91Lとの間に位置する。そのため、第1の回動部材61の回動軸616および第2の回動部材62の回動軸625を、高さ方向において、上側板バネ91Uと下側板バネ91Lとの間に位置させ、第1の回動部材61の回動軸616および第2の回動部材62の回動軸625の高さ方向の位置を、操作軸63の傾倒動作の回転中心の高さ方向の位置と略一致させることにより、操作軸63の傾倒角度と、第1の回動部材61または第2の回動部材62の回動角度とを一致させることができる。このような構成により、第1の回動部材61または第2の回動部材62の回動角度から操作軸63の傾倒角度を正確に検出することができる。
【0117】
また、本発明の多方向入力装置1では、下側カバー2Lの接合片23と上側カバー2Uの接合片26とが接合され、これにより、下側カバー2Lと上側カバー2Uとが強固に一体化されている。このような構成により、強固に一体化された下側カバー2Lと上側カバー2Uによって多方向入力装置1の内部構造が上下から支持されるので、多方向入力装置1の内部構造の高さ方向への揺動(ガタつき)を確実に防止することができる。
【0118】
また、本発明の多方向入力装置1では、多方向入力装置1が組み立てられた状態において、上側カバー2Uの接合片26から内側に向かって延伸する保持部263の爪部2632が、保持機構7の上側板バネアセンブリ9Uのバーティカルスペーサー94の上面を押圧し、保持機構7を上方から支持している。このような構成により、ハウジング5上で保持機構7を強固に固定することができ、ハウジング5上での保持機構7の高さ方向の揺動を防止することができる。
【0119】
また、本発明の多方向入力装置1では、第1の回動部材61の本体部611および第2の回動部材62のアーチ部621の少なくとも一方が金属材料で形成されている。本体部611またはアーチ部621は、スリット孔612、622に挿通された操作軸63と介して接触するので、ユーザーが操作軸63に対して軸回りに回転させるようなねじり操作を印加した際に、操作軸63から本体部611およびアーチ部621に対して負荷が印加される。本体部611またはアーチ部621を樹脂材料よりも強度の高い金属材料で形成することにより、操作軸63から印加された負荷による第1の回動部材61および第2の回動部材62の変形や摩耗を防止することができる。なお、本体部611およびアーチ部621の一方が金属材料で形成されている場合には、ユーザーが操作軸63に対してねじり操作を印加した際であっても、操作軸63から本体部611およびアーチ部621の他方に強い負荷は印加されないので、本体部611およびアーチ部621の他方は、金属材料と比較して強度は低いが、軽量かつ安価な樹脂材料により形成されていてもよい。このような構成により、多方向入力装置1の重量およびコストを低減させることができる。
【0120】
<多方向入力装置の製造方法>
次に、図21および図22を参照して、本発明の多方向入力装置1の製造方法S100について詳述する。図21は、本発明の多方向入力装置の製造方法を示すフローチャートである。図22は、保持機構で操作軸を弾性的に保持する工程を示すフローチャートである。
【0121】
本発明の多方向入力装置1の製造方法S100は、多方向入力装置1を自動で製造する製造機械または人手により製造するオペレーターによって実行される。最初に、工程S110において、基板3上にプッシュスイッチ4が搭載される。具体的には、基板3上に露出している円環状の外側接点42の上面に、可動接点43が中央接点41および外側接点42と同心となるよう、可動接点43を載置する。この際、可動接点43は、接着テープ等の任意の固定手段によって、外側接点42の上面上に固定される。次に、弾性部材44を基板3上に接着剤等の任意の固定手段により固定する。この際、弾性部材44は、可動接点43、中央接点41、および外側接点42と同心となるよう、基板3上に固定される。次に、押圧部材45の受け溝456内に弾性部材44の上端部をはめ込むような姿勢で、押圧部材45を弾性部材44上に載置する。
【0122】
次に、工程S120において、基板3へハウジング5を取り付ける。具体的には、ハウジング5の収納部514a、514bが、検出機構8の対応する磁気センサー81と対向するような姿勢で、ハウジング5の4つの位置決め突起58が基板3の4つの位置決め孔33内に挿入される。これにより、ハウジング5が基板3上で固定される。この際、複数の端子ピン31の基板3から上方に突出する部分が、ハウジング5の複数の対応する受け孔57内にそれぞれ挿入される。
【0123】
次に、工程S130において、保持機構7で操作軸63を弾性的に保持する。図22は、工程S130における保持機構7を操作軸63に取り付ける工程を詳細に示している。工程S131において、上側板バネアセンブリ9Uを操作軸63に取り付ける。具体的には、上方から、操作軸63のバネ接続部635を、上側板バネアセンブリ9Uの上側板バネ91Uの挿通孔913および内側スペーサー92に挿通させる。次に、工程S132において、筒状部71およびブッシュ72を操作軸63に取り付ける。具体的には、筒状部71の本体部711の内側にブッシュ72を位置させた状態で、上方から、操作軸63のバネ接続部635をブッシュ72に挿通させる。この際、筒状部71は、筒状部71の3つのボス712が、最も下方に位置する上側板バネ91Uの3つの係止孔915とそれぞれ重なるような姿勢で、上側板バネアセンブリ9Uに下方から接触する。
【0124】
次に、工程S133において、下側板バネアセンブリ9Lを操作軸63に取り付ける。具体的には、上方から、操作軸63のバネ接続部635を下側板バネアセンブリ9Lの下側板バネ91Lの挿通孔913および内側スペーサー92に挿通させる。この際、下側板バネアセンブリ9Lは、最も上方に位置する下側板バネ91Lの3つの係止孔915が筒状部71の3つのボス712とそれぞれ重なるような姿勢で、筒状部71に下方から接触する。この際、ブッシュ72は、最も下方に位置する上側板バネ91Uの内枠912と最も上方に位置する下側板バネ91Lの内枠912との間に位置する。
【0125】
次に、工程S134において、支持キャップ637を突起636に取り付ける。具体的には、上方から、操作軸63のバネ接続部635をスペーサー73に挿通し、操作軸63の下端部である突起636に対して支持キャップ637を螺合することにより、支持キャップ637を突起636に取り付ける。支持キャップ637を突起636に螺合すると、支持キャップ637が、スペーサー73を介して、下側板バネアセンブリ9Lの下側板バネ91Lの内枠912および内側スペーサー92を上方に押し上げ、下側板バネ91Lを下方から支持する。この結果、ブッシュ72が、最も下方に位置する上側板バネ91Uの内枠912の下面と、最も上方に位置する下側板バネ91Lの内枠912の上面との間で強固に挟持される。そのため、最も下方に位置する上側板バネ91Uの内枠912の下面と、最も上方に位置する下側板バネ91Lの内枠912の上面との間の離間距離D2が、ブッシュ72の高さと等しくなる。この状態において、上側板バネ91Uおよび下側板バネ91Lの内枠912、内側スペーサー92、およびブッシュ72は、操作軸63のフランジ部634の下面と支持キャップ637の上面との間で保持される。
【0126】
次に、工程S135において、上側板バネアセンブリ9Uおよび下側板バネアセンブリ9Lを筒状部71に固定する。具体的には、3つのリベット74の軸部を、上側板バネアセンブリ9Uの上側板バネ91Uの係止孔915、外側スペーサー93の係止孔932、およびバーティカルスペーサー94の係止孔942、筒状部71のボス712、並びに、下側板バネアセンブリ9Lの下側板バネ91Lの係止孔915、外側スペーサー93の係止孔932、およびバーティカルスペーサー94の係止孔942にそれぞれ挿通し、さらに、3つのリベット74の端部をカシメる。これにより、筒状部71の上面上に上側板バネアセンブリ9Uが固定され、さらに、筒状部71の下面上に下側板バネアセンブリ9Lが固定される。この結果、最も下方に位置する上側板バネ91Uの外枠911の下面と、最も上方に位置する下側板バネ91Lの外枠911の上面との間の離間距離D1が、筒状部71の高さと等しくなる。上側板バネアセンブリ9Uおよび下側板バネアセンブリ9Lが筒状部71に固定されると、工程S130が終了し、操作軸63が、保持機構7によって弾性的に保持される。
【0127】
なお、上述の説明では、3つのリベット74により、筒状部71の上面上に上側板バネアセンブリ9Uが固定され、さらに、筒状部71の下面上に下側板バネアセンブリ9Lが固定されるが、本発明はこれに限られない。リベット74以外のネジ等の任意の固定具を用いて、筒状部71の上面上に上側板バネアセンブリ9Uが固定され、さらに、筒状部71の下面上に下側板バネアセンブリ9Lが固定されてもよい。
【0128】
このように、保持機構7で操作軸63を弾性的に保持する工程において、操作軸63のバネ接続部635が、上側板バネ91Uの挿通孔913、ブッシュ72、および下側板バネ91Lの挿通孔913に挿通される。これにより、操作軸63、上側板バネ91U、ブッシュ72、および下側板バネ91L間の同軸性を確保することができ、多方向入力装置1の組み立て精度を向上させることができる。この結果、多方向入力装置1の動作を安定させることができる。
【0129】
図21に戻り、工程S140において、操作軸63を保持している保持機構7をハウジング5上に載置する。具体的には、上側板バネアセンブリ9Uおよび下側板バネアセンブリ9Lのバーティカルスペーサー94の位置決め突起943がハウジング5の位置決め溝541内に挿入されるような姿勢で、保持機構7がハウジング5の受け凹部515上に載置される。この際、3つのリベット74の下端部が、ハウジング5の3つの逃げ部516内にそれぞれ収納され、さらに、下側板バネアセンブリ9Lが受け凹部515内に収納される。さらに、筒状部71がハウジング5の3つのガイド片54によって外側から支持され、ハウジング5に対して筒状部71が固定される。
【0130】
次に、工程S150において、第1の回動部材61を第1の軸方向(X方向)周りに回動可能にハウジング5によって保持する。具体的には、操作軸63の細径部631が第1の回動部材61のキャップ614のスリット孔6142を挿通するよう、上方から第1の回動部材61を操作軸63に取り付け、さらに、第1の回動部材61の一対の回動軸616がハウジング5の+X方向側と-X方向側に位置する軸受部55の受け部552内にそれぞれ収納され、支持される。この際、第1の回動部材61のマグネット保持部617が、ハウジング5の収納部514b内に収納される。この結果、マグネット保持部617に保持されているマグネット82が基板3上の対応する磁気センサー81と対向する。
【0131】
次に、工程S160において、第2の回動部材62を第2の軸方向(Y方向)周りに回動可能にハウジング5によって保持する。具体的には、操作軸63の細径部631が第2の回動部材62のスリット孔622を挿通するよう、上方から第2の回動部材62を操作軸63に取り付け、さらに、第2の回動部材62の一対の回動軸625がハウジング5の+Y方向側と-Y方向側に位置する軸受部55の受け部552内にそれぞれ収納され、支持される。この際、第2の回動部材62のマグネット保持部626が、ハウジング5の収納部514a内に収納される。この結果、マグネット保持部626に保持されているマグネット82が基板3上の対応する磁気センサー81と対向する。第1の回動部材61および第2の回動部材62が操作軸63に取り付けられた後、操作軸63の細径部631の上端部にキャップ638が取り付けられ、操作軸63の貫通孔6311およびキャップ638の貫通孔6381にシャフト639が挿通させる。また、キャップ638により、第1の回動部材61および第2の回動部材62が操作軸63から上方に離脱することが防止される。
【0132】
次に、工程S170において、上側カバー2Uをハウジング5に取り付ける。具体的には、上側カバー2Uの開口25に操作軸63の細径部631およびキャップ638を挿通させる。さらに、上側カバー2Uの4つの接合片26がハウジング5の4つの受け部513内にそれぞれ収納され、かつ、上側カバー2Uの4つのカバー片27がハウジング5の4つの軸受部55の壁部551の上面上にそれぞれ載置されるような姿勢で、上側カバー2Uがハウジング5に取り付けられる。この際、図6に示されているように、上側カバー2Uの4つの保持部263の爪部2632が、上側板バネアセンブリ9Uのバーティカルスペーサー94の上面を押圧し、ハウジング5上の保持機構7を上方から支持し、ハウジング5上での保持機構7の高さ方向への揺動を防止する。
【0133】
図21に戻り、工程S180において、下側カバー2Lを基板3に取り付ける。具体的には、複数の端子ピン31の基板3から下方に突出する部分が、下側カバー2Lの複数の対応する挿通孔22内にそれぞれ挿入され、さらに、下側カバー2Lの底板21がハウジング5の受け凹部56内に収納され、この結果、底板21が基板3を下方から支持する。この際、下側カバー2Lの4つの接合片23がハウジング5の4つの受け部513内にそれぞれ収納される。各受け部513内において、下側カバー2Lの接合片23は、外側から、上側カバー2Uの接合片26に接触する。この結果、各受け部513内において、接合片23の接合面231と接合片26の接合面261とが接触する。さらに、各受け部513内において、接合片23のフック232と接合片26の係合凹部262とが係合し、上側カバー2Uと下側カバー2Lとが一体化される。その後、接合片23の接合面231と接合片26の接合面261とが、接着剤や接着テープ等の任意の接着手段またはレーザー溶接等による溶接により接合される。これにより、下側カバー2Lと上側カバー2Uが強固に一体化される。接合片23の接合面231と接合片26の接合面261の接合が完了すると、多方向入力装置1の製造方法S100が終了する。
【0134】
以上、本発明の多方向入力装置および多方向入力装置の製造方法を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明の各構成は、同様の機能を発揮し得る任意のものと置換することができ、あるいは、本発明の各構成に任意の構成のものを付加することができる。
【0135】
本発明の属する分野および技術における当業者であれば、本発明の原理、考え方、および範囲から有意に逸脱することなく、記述された本発明の多方向入力装置の構成の変更を実行可能であろうし、変更された構成を有する多方向入力装置もまた、本発明の範囲内である。
【0136】
また、図2図20に示された多方向入力装置の構成要素の数や種類は、説明のための例示にすぎず、本発明は必ずしもこれに限られない。本発明の原理および意図から逸脱しない範囲において、任意の構成要素が追加若しくは組み合わされ、または任意の構成要素が削除された態様も、本発明の範囲内である。また、図21および図22に示された多方向入力装置の製造方法の工程の数や種類は、説明のための例示にすぎず、本発明は必ずしもこれに限られない。本発明の原理および意図から逸脱しない範囲において、任意の工程が、任意の目的で追加若しくは組み合わされ、または、任意の工程が削除される態様も、本発明の範囲内である。
【符号の説明】
【0137】
1…多方向入力装置 2L…下側カバー 21…底板 22…挿通孔 23…接合片 231…接合面 232…フック 2U…上側カバー 24…上板 241…平板部 242…ドーム部 25…開口 26…接合片 261…接合面 262…係合凹部 263…保持部 2631…上方延伸部 2632…爪部 264…開口 27…カバー片 3…基板 31…端子ピン 32…回路パターン 33…位置決め孔 4…プッシュスイッチ 41…中央接点 42…外側接点 43…可動接点 431…中央可動部 432…外縁部 44…弾性部材 45…押圧部材 451…本体部 452…テーパー部 453…押圧面 454…フランジ部 455…係合凹部 456…受け溝 457…円形凹部 458…押圧突起 5…ハウジング 51…本体部 511…テーパー面 512…円弧面 513…受け部 514a、514b…収納部 515…受け凹部 516…逃げ部 52…円形凹部 53…挿通孔 54…ガイド片 541…位置決め溝 55…軸受部 551…壁部 552…受け部 56…受け凹部 57…受け孔 58…位置決め突起 59…係合凹部 591…突出部 6…操作軸アセンブリ 61…第1の回動部材 611…本体部 6111…アーチ部 6112…水平延伸部 612…スリット孔 613…貫通孔 614…キャップ 6141…本体部 6142…スリット孔 6143…カバー片 6144…突部 615…下方延伸部 616…回動軸 617…マグネット保持部 62…第2の回動部材 621…アーチ部 622…スリット孔 623…水平延伸部 624…下方延伸部 625…回動軸 626…マグネット保持部 63…操作軸 631…細径部 6311…貫通孔 632…大径部 633…Dカット面 634…フランジ部 635…バネ接続部 636…突起 637…支持キャップ 6371…本体部 6372…受け凹部 6373…ネジ孔 6374…湾曲面 638…キャップ 6381…貫通孔 639…シャフト 7…保持機構 71…筒状部 711…本体部 712…ボス 72…ブッシュ 73…スペーサー 74…リベット 8…検出機構 81…磁気センサー 82…マグネット 9L…下側板バネアセンブリ 91L…下側板バネ 9U…上側板バネアセンブリ 91U…上側板バネ 911…外枠 912…内枠 913…挿通孔 914…バネ部 9141…第1の接続部 9142…第2の接続部 9143…アーム部 915…係止孔 9151…円弧状部分 92…内側スペーサー 93…外側スペーサー 931…フレーム 932…係止孔 9321…円弧状部分 94…バーティカルスペーサー 941…フレーム 942…係止孔 9421…円弧状部分 943…位置決め突起 500…多方向入力装置 510…底板 510a…部品取り付け部 510b…突部 520…ハウジング 530…第1の回動部材 531…スリット孔 540…第2の回動部材 540a…スリット孔 550…操作軸 560…作動部材 561…基部 562…ボス部 563…円弧部 570…コイルバネ 580…センサー 590…プッシュスイッチ D1…離間距離 D2…離間距離 S100…製造方法 S110、S120、S130、S131、S132、S133、S134、S135、S140、S150、S160、S170、S180…工程
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図21
図22