(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025014906
(43)【公開日】2025-01-30
(54)【発明の名称】データ処理装置、データ処理方法、及びデータ処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20250123BHJP
【FI】
G08G1/16 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023117852
(22)【出願日】2023-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】591280485
【氏名又は名称】ソフトバンクグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古野 雅人
(72)【発明者】
【氏名】呉 健朗
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB05
5H181BB20
5H181CC04
5H181CC11
5H181FF27
5H181FF32
5H181LL01
5H181LL02
(57)【要約】
【課題】移動体と、他の移動体との衝突回避シミュレーションを行うことができるデータ処理装置、データ処理方法、及びプログラムを提供する。
【解決手段】データ処理装置は、ユーザ入力を受け付ける入力部と、入力文章に応じた文章を生成する文章生成モデルを用いた特定処理を行う処理部と、前記特定処理の結果を出力する出力部と、を含み、前記処理部は、予め定められたトリガ条件を満たすか否かを判定し、前記トリガ条件は、所定の移動体と任意の物体との間の衝突回避のシミュレーションに関する指示が前記ユーザ入力として入力されたことであり、前記トリガ条件を満たした場合に、前記ユーザ入力から得られる情報を、前記入力文章としたときの前記文章生成モデルの出力を用いて、前記特定処理の結果を取得し、前記特定処理は、前記文章生成モデルの出力を用いた衝突回避アルゴリズムによる、前記物体と、前記移動体との間の衝突を回避するシミュレーション処理である。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ入力を受け付ける入力部と、
入力文章に応じた文章を生成する文章生成モデルを用いた特定処理を行う処理部と、
前記特定処理の結果を出力する出力部と、を含み、
前記処理部は、
予め定められたトリガ条件を満たすか否かを判定し、
前記トリガ条件は、所定の移動体と任意の物体との間の衝突回避のシミュレーションに関する指示が前記ユーザ入力として入力されたことであり、
前記トリガ条件を満たした場合に、前記ユーザ入力から得られる情報を、前記入力文章としたときの前記文章生成モデルの出力を用いて、前記特定処理の結果を取得し、
前記特定処理は、前記文章生成モデルの出力を用いた衝突回避アルゴリズムによる、前記物体と、前記移動体との間の衝突を回避するシミュレーション処理である
データ処理装置。
【請求項2】
前記処理部は、前記衝突回避アルゴリズムに、前記シミュレーション処理の結果をフィードバックする請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項3】
前記処理部は、前記シミュレーション処理において、前記所定の移動体と前記任意の物体とが衝突した場合に、前記シミュレーション処理の結果を前記衝突回避アルゴリズムにフィードバックする、請求項2に記載のデータ処理装置。
【請求項4】
前記処理部は、前記シミュレーション処理において、前記所定の移動体と前記任意の物体とが衝突を回避し、且つ、前記所定の移動体が他の物体又は移動体との衝突を誘発するような回避行動を行った場合に、前記シミュレーション処理の結果を前記衝突回避アルゴリズムにフィードバックする、請求項2に記載のデータ処理装置。
【請求項5】
前記移動体が衝突を回避するために必要な情報を記憶する認知データベースをさらに含み、
前記衝突回避アルゴリズムは、前記認知データベースに記憶されている情報を参照して前記シミュレーションを実行する、請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項6】
前記処理部は、前記特定処理を、前記衝突回避アルゴリズムと、前記文章生成モデルの出力を用いない他の衝突回避アルゴリズムのそれぞれを用いて実行する、請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項7】
前記文章生成モデルは、天候、路面状況、環境センシング情報等の少なくともいずれかを示す実環境情報を入力とし、前記衝突回避アルゴリズムを出力する、請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項8】
前記処理部は、前記シミュレーション処理において、他の移動体と衝突する可能性がある場合に衝突回避行動を行うよう前記移動体を制御する、請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項9】
プロセッサが、
ユーザ入力を受け付ける入力工程と、
入力文章に応じた文章を生成する文章生成モデルを用いた特定処理を行う処理工程と、
前記特定処理の結果を出力する出力工程と、を含む処理を実行し、
前記処理工程は、
予め定められたトリガ条件を満たすか否かを判定する工程を含み、
前記トリガ条件は、所定の移動体と任意の物体との間の衝突回避のシミュレーションに関する指示が前記ユーザ入力として入力されたことであり、
前記処理工程は、さらに、前記トリガ条件を満たした場合に、前記ユーザ入力から得られる情報を、前記入力文章としたときの前記文章生成モデルの出力を用いて、前記特定処理の結果を取得する工程を含み、
前記特定処理は、前記物体と、前記移動体との間の衝突を回避するシミュレーション処理である
データ処理方法。
【請求項10】
コンピュータに、
ユーザ入力を受け付ける入力工程と、
入力文章に応じた文章を生成する文章生成モデルを用いた特定処理を行う処理工程と、
前記特定処理の結果を出力する出力工程と、を含む処理を実行させ、
前記処理工程は、
予め定められたトリガ条件を満たすか否かを判定する工程を含み、
前記トリガ条件は、所定の移動体と任意の物体との間の衝突回避のシミュレーションに関する指示が前記ユーザ入力として入力されたことであり、
前記処理工程は、さらに、前記トリガ条件を満たした場合に、前記ユーザ入力から得られる情報を、前記入力文章としたときの前記文章生成モデルの出力を用いて、前記特定処理の結果を取得する工程を含み、
前記特定処理は、前記物体と、前記移動体との間の衝突を回避するシミュレーション処理である
データ処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、データ処理装置、データ処理方法、及びデータ処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、コンピュータ内に表現された複数の仮想移動体の単位時間経過後の位置の計算を繰り返すことによって、現実の移動体の移動のシミュレーションを行う移動体シミュレーションシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら従来技術では、自動運転を行う自動車などの移動体と、他の移動体、人間、動物などの他の物体との衝突を回避するシミュレーションを実行する上で改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の技術に係る第1の態様は、ユーザ入力を受け付ける入力部と、入力文章に応じた文章を生成する文章生成モデルを用いた特定処理を行う処理部と、前記特定処理の結果を出力する出力部と、を含み、前記処理部は、予め定められたトリガ条件を満たすか否かを判定し、前記トリガ条件は、所定の移動体と任意の物体との間の衝突回避のシミュレーションに関する指示が前記ユーザ入力として入力されたことであり、前記トリガ条件を満たした場合に、前記ユーザ入力から得られる情報を、前記入力文章としたときの前記文章生成モデルの出力を用いて、前記特定処理の結果を取得し、前記特定処理は、前記文章生成モデルの出力を用いた衝突回避アルゴリズムによる、前記物体と、前記移動体との間の衝突を回避するシミュレーション処理であるデータ処理装置である。
【0006】
本開示の技術に係る第2の態様は、前記処理部は、前記衝突回避アルゴリズムに、前記シミュレーション処理の結果をフィードバックする、第1の態様に係るデータ処理装置である。
【0007】
本開示の技術に係る第3の態様は、前記処理部は、前記シミュレーション処理において、前記所定の移動体と前記任意の物体とが衝突した場合に、前記シミュレーション処理の結果を前記衝突回避アルゴリズムにフィードバックする、第2の態様に係るデータ処理装置である。
【0008】
本開示の技術に係る第4の態様は、前記処理部は、前記シミュレーション処理において、前記所定の移動体と前記任意の物体とが衝突を回避し、且つ、前記所定の移動体が他の物体又は移動体との衝突を誘発するような回避行動を行った場合に、前記シミュレーション処理の結果を前記衝突回避アルゴリズムにフィードバックする、第2の態様に係るデータ処理装置である。
【0009】
本開示の技術に係る第5の態様は、前記移動体が衝突を回避するために必要な情報を記憶する認知データベースをさらに含み、前記衝突回避アルゴリズムは、前記認知データベースに記憶されている情報を参照して前記シミュレーションを実行する、第1の態様に係るデータ処理装置である。
【0010】
本開示の技術に係る第6の態様は、前記処理部は、前記特定処理を、前記衝突回避アルゴリズムと、前記文章生成モデルの出力を用いない他の衝突回避アルゴリズムのそれぞれを用いて実行する、第1の態様に係るデータ処理装置である。
【0011】
本開示の技術に係る第7の態様は、前記文章生成モデルは、天候、路面状況、環境センシング情報等の少なくともいずれかを示す実環境情報を入力とし、前記衝突回避アルゴリズムを出力する、第1の態様に係るデータ処理装置である。
【0012】
本開示の技術に係る第8の態様は、前記処理部は、前記シミュレーション処理において、他の移動体と衝突する可能性がある場合に衝突回避行動を行うよう前記移動体を制御する、第1の態様に係るデータ処理装置である。
【0013】
本開示の技術に係る第9の態様は、プロセッサが、ユーザ入力を受け付ける入力工程と、入力文章に応じた文章を生成する文章生成モデルを用いた特定処理を行う処理工程と、前記特定処理の結果を出力する出力工程と、を含む処理を実行し、前記処理工程は、予め定められたトリガ条件を満たすか否かを判定する工程を含み、前記トリガ条件は、所定の移動体と任意の物体との間の衝突回避のシミュレーションに関する指示が前記ユーザ入力として入力されたことであり、前記処理工程は、さらに、前記トリガ条件を満たした場合に、前記ユーザ入力から得られる情報を、前記入力文章としたときの前記文章生成モデルの出力を用いて、前記特定処理の結果を取得する工程を含み、前記特定処理は、前記物体と、前記移動体との間の衝突を回避するシミュレーション処理であるデータ処理方法である。
【0014】
本開示の技術に係る第10の態様は、コンピュータに、ユーザ入力を受け付ける入力工程と、入力文章に応じた文章を生成する文章生成モデルを用いた特定処理を行う処理工程と、前記特定処理の結果を出力する出力工程と、を含む処理を実行させ、前記処理工程は、予め定められたトリガ条件を満たすか否かを判定する工程を含み、前記トリガ条件は、所定の移動体と任意の物体との間の衝突回避のシミュレーションに関する指示が前記ユーザ入力として入力されたことであり、前記処理工程は、さらに、前記トリガ条件を満たした場合に、前記ユーザ入力から得られる情報を、前記入力文章としたときの前記文章生成モデルの出力を用いて、前記特定処理の結果を取得する工程を含み、前記特定処理は、前記物体と、前記移動体との間の衝突を回避するシミュレーション処理であるデータ処理プログラムである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】データ処理システムの構成の一例を示す概念図である。
【
図2】データ処理装置及びスマートデバイスの要部機能の一例を示す概念図である。
【
図4】データ処理装置の特定処理部の機能構成を概略的に示す。
【
図5】データ処理装置による特定処理の動作フローの一例を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面に従って本開示の技術に係るデータ処理装置、データ処理方法、及びプログラムの実施形態の一例について説明する。
【0017】
先ず、以下の説明で使用される文言について説明する。
【0018】
以下の実施形態において、符号付きのプロセッサ(以下、単に「プロセッサ」と称する)は、1つの演算装置であってもよいし、複数の演算装置の組み合わせであってもよい。また、プロセッサは、1種類の演算装置であってもよいし、複数種類の演算装置の組み合わせであってもよい。演算装置の一例としては、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、GPGPU(General-Purpose computing on Graphics Processing Units)、APU(Accelerated Processing Unit)、又はTPU(Tensor Processing Unit)等が挙げられる。
【0019】
以下の実施形態において、符号付きのRAM(Random Access Memory)は、一時的に情報が格納されるメモリであり、プロセッサによってワークメモリとして用いられる。
【0020】
以下の実施形態において、符号付きのストレージは、各種プログラム及び各種パラメータ等を記憶する1つ又は複数の不揮発性の記憶装置である。不揮発性の記憶装置の一例としては、フラッシュメモリ(SSD(Solid State Drive))、磁気ディスク(例えば、ハードディスク)、又は磁気テープ等が挙げられる。
【0021】
以下の実施形態において、符号付きの通信I/F(Interface)は、通信プロセッサ及びアンテナ等を含むインタフェースである。通信I/Fは、複数のコンピュータ間での通信を司る。通信I/Fに対して適用される通信規格の一例としては、5G(5th Generation Mobile Communication System)、Wi-Fi(登録商標)、又はBluetooth(登録商標)等を含む無線通信規格が挙げられる。
【0022】
以下の実施形態において、「A及び/又はB」は、「A及びBのうちの少なくとも1つ」と同義である。つまり、「A及び/又はB」は、Aだけであってもよいし、Bだけであってもよいし、A及びBの組み合わせであってもよい、という意味である。また、本明細書において、3つ以上の事柄を「及び/又は」で結び付けて表現する場合も、「A及び/又はB」と同様の考え方が適用される。
【0023】
図1には、実施形態に係るデータ処理システム10の構成の一例が示されている。
【0024】
図1に示すように、データ処理システム10は、データ処理装置12及びスマートデバイス14を備えている。データ処理装置12の一例としては、サーバが挙げられる。スマートデバイス14の一例としては、スマートフォンが挙げられる。本実施形態において、データ処理装置12は、本開示の技術に係る「データ処理装置」の一例である。
【0025】
データ処理装置12は、コンピュータ22、データベース24、及び通信I/F26を備えている。コンピュータ22は、本開示の技術に係る「コンピュータ」の一例である。コンピュータ22は、プロセッサ28、RAM30、及びストレージ32を備えている。プロセッサ28、RAM30、及びストレージ32は、バス34に接続されている。また、データベース24及び通信I/F26も、バス34に接続されている。通信I/F26は、ネットワーク54に接続されている。ネットワーク54の一例としては、WAN(Wide Area Network)及び/又はLAN(Local Area Network)等が挙げられる。
【0026】
スマートデバイス14は、コンピュータ36、受付装置38、出力装置40、カメラ42、及び通信I/F44を備えている。コンピュータ36は、プロセッサ46、RAM48、及びストレージ50を備えている。プロセッサ46、RAM48、及びストレージ50は、バス52に接続されている。また、受付装置38、出力装置40、及びカメラ42も、バス52に接続されている。
【0027】
受付装置38は、タッチパネル38A及びマイクロフォン38B等を備えており、ユーザ入力を受け付ける。タッチパネル38Aは、指示体(例えば、ペン又は指等)の接触を検出することにより、指示体の接触によるユーザ入力を受け付ける。マイクロフォン38Bは、ユーザの音声を検出することにより、音声によるユーザ入力を受け付ける。制御部46Aは、タッチパネル38A及びマイクロフォン38Bによって受け付けたユーザ入力を示すデータをデータ処理装置12に送信する。データ処理装置12では、特定処理部290が、ユーザ入力を示すデータを取得する。
【0028】
出力装置40は、ディスプレイ40A及びスピーカ40B等を備えており、データを人物20が知覚可能な表現形(例えば、音声及び/又はテキスト)で出力することでデータを人物20に対して提示する。ディスプレイ40Aは、プロセッサ46からの指示に従ってテキスト及び画像等の可視情報を表示する。スピーカ40Bは、プロセッサ46からの指示に従って音声を出力する。カメラ42は、レンズ、絞り、及びシャッタ等の光学系と、CMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)イメージセンサ又はCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ等の撮像素子とが搭載された小型デジタルカメラである。
【0029】
通信I/F44は、ネットワーク54に接続されている。通信I/F44及び26は、ネットワーク54を介してプロセッサ46とプロセッサ28との間の各種情報の授受を司る。
【0030】
図2には、データ処理装置12及びスマートデバイス14の要部機能の一例が示されている。
【0031】
図2に示すように、データ処理装置12では、プロセッサ28によって特定処理が行われる。ストレージ32には、特定処理プログラム56が格納されている。特定処理プログラム56は、本開示の技術に係る「プログラム」の一例である。プロセッサ28は、ストレージ32から特定処理プログラム56を読み出し、読み出した特定処理プログラム56をRAM30上で実行する。特定処理は、プロセッサ28がRAM30上で実行する特定処理プログラム56に従って特定処理部290として動作することによって実現される。
【0032】
ストレージ32には、データ生成モデル58が格納されている。データ生成モデル58は、特定処理部290によって用いられる。
【0033】
スマートデバイス14では、プロセッサ46によって受付出力処理が行われる。ストレージ50には、受付出力プログラム62が格納されている。受付出力プログラム62は、データ処理システム10によって特定処理プログラム56と併用される。プロセッサ46は、ストレージ50から受付出力プログラム62を読み出し、読み出した受付出力プログラム62をRAM48上で実行する。受付出力処理は、プロセッサ46がRAM48上で実行する受付出力プログラム62に従って、制御部46Aとして動作することによって実現される。
【0034】
次に、データ処理装置12が、文章生成モデルの一例であるデータ生成モデル58の出力を用いた衝突回避アルゴリズムによる、任意の物体と、所定の移動体との間の衝突を回避するシミュレーション処理を実行する特定処理を行う際の、特定処理部290の処理について説明する。
【0035】
自動車に搭載された車載センサの発達により、自動車による交通事故は減少しつつあるが、死角からの出会い頭の事故は依然として存在している。交通事故を再現するための実環境での実証にはリスクが伴い、対象物の認知行動に基づいた衝突回避のためのシミュレーション環境は、未だに発展途上の段階にある。今後は自動運転車に加え、ドローン、電動キックボード等のパーソナルモビリティ等の対象物は増加するため、事故が発生した場合の損害賠償金額の増加が見込まれる。
【0036】
そこで、本実施形態における特定処理では、
図3A~
図3Cに示すように、データ生成モデル58の出力を用いた衝突回避アルゴリズムによるシミュレーションが行われる。
図3Aは、移動体の一例である自動車310と、任意の物体の一例である猫320との衝突を回避するシミュレーションを行っている様子を示す図である。例えば、「猫のような動きをしてください」というプロンプトがスマートデバイス14から送られると、データ生成モデル58は、猫の動きをシミュレートして、衝突回避アルゴリズムに与える。
【0037】
衝突回避アルゴリズムは、データ生成モデル58を用いて予め生成されたアルゴリズムであり、移動体と、他の物体との間の衝突を回避するためのアルゴリズムである。衝突回避アルゴリズムは、例えば、ハンドル動作、アクセル動作、ブレーキ動作等の自動車の自動運転動作のための種々のパラメータが規定されている。また衝突回避アルゴリズムは、物体の速度、加速度に応じて、他の物体との衝突を回避するための行動が、データ生成モデル58からの出力に基づいて規定されている。衝突回避アルゴリズムを生成するためのプロンプトとしては、例えば「小動物が飛び出してきた場合に小動物との衝突を回避するための、自動運転車の走行アルゴリズムを作成して下さい」というものであってよい。
【0038】
衝突回避アルゴリズムは、データ生成モデル58により生成された猫320の動きと、予め生成してある自動車310の動きとから、自動車310が猫320との衝突を回避するためのシミュレーションを行う。
図3Aは、自動車310と猫320との距離が十分にある場合を示す。
図3Bは、自動車310と猫320との距離が
図3Aの場合より近付いた場合を示す。
図3Cは、猫320が、自身と自動車310との距離が近付いたことにより、自動車310との衝突を回避しようとした場合を示す。この場合、衝突回避アルゴリズムは、猫320が、
図3Cに示す様に、方向を急に変えて自動車310を避けようとするので、自動車310に対して、猫320が方向を変えることを考慮して、ハンドルを動作させたり、ブレーキを動作させたりする等の、猫320との衝突を回避するようなシミュレーションを実行する。衝突回避アルゴリズムは、物体が衝突を回避するために必要な情報が格納された認知データベースを参照してもよい。認知データベースは、例えばストレージ32に格納されてよい。認知データベースも、データ生成モデル58によって生成された情報が格納されたデータベースであり、例えば自動車であれば、どの速度、どの加速度で走行していれば何メートル先に物体を検知した場合に衝突せずに安全に停止できる、という情報が格納されている。なお、ここで、移動体の例として、自動車310と猫320を挙げたが、移動体はこれらの例に限定されない。具体的には、例えば、移動体は、歩行者、自転車、飛行機などの有人飛行体、ドローンなどの無人飛行体、鳥、船舶、魚やイルカ、クジラ等の海洋生物等であってよい。
【0039】
なお、データ生成モデル58には、ユーザからの入力として、例えば動物と衝突しそうになった場合に回避行動を取れと、いうような命令は入力されない。もし、シミュレーションを行った結果、自動車310が猫320と衝突してしまった場合は、データ生成モデル58に衝突回避アルゴリズムにおける、自動車310の動作に関するパラメータのチューニングが指示される。自動車310の動作に関するパラメータは、自動車のメーカー、車種に応じて定められてよい。なお、上記は移動体が自動車である場合を例に説明したが、移動体自動車以外の場合、移動体の種類(例えば、人であれば性別や年齢、障害の有無等、動物であれば動物種や年齢、障害の有無等、船舶であれば船舶の種類、大きさ、故障の有無等)に基づいて定められてよい。
【0040】
データ処理装置12は、データ生成モデル58の出力を用いて、移動体と他の物体との衝突回避のためのシミュレーションを行って、衝突回避アルゴリズムを生成することで、当該衝突回避アルゴリズムを組み込んだ移動体や、当該衝突回避アルゴリズムを組み込んだスマートフォン又はウェアラブル端末を保持する歩行者等に対し、衝突直前での警告による回避行動の誘発、衝突する可能性の高い地点を回避させる等の回避行動を取らせることができるため、事故の発生確率を大きく低減させることができる。
【0041】
特定処理部290は、
図4に示すように、入力部292、処理部294、及び出力部296を備えている。
【0042】
入力部292は、スマートデバイス14で受け付けたユーザ入力を取得する。具体的には、スマートデバイス14で受け付けたユーザの文字入力又は音声入力を取得する。スマートデバイス14からは、例えば「猫のような動きをさせてください。自動車の動きをさせてください。自動車と猫との衝突を回避するシミュレーションを行ってください。」等のユーザ入力がデータ処理装置12に送られる。
【0043】
処理部294は、データ生成モデル58を用いた特定処理を行う。
【0044】
具体的には、処理部294は、予め定められたトリガ条件を満たすか否かを判定する。より具体的には、入力部292が、スマートデバイス14からのユーザからの、シミュレーションに関する文字入力又は音声入力(例えば、「猫のような動きをさせてください。自動車の動きをさせてください。自動車と猫との衝突を回避するシミュレーションを行ってください。」)を受け付けたことをトリガ条件とする。
【0045】
そして、処理部294は、予め定められたトリガ条件を満たした場合に、特定処理のためのデータを得るための指示を表すテキストを、データ生成モデル58に入力し、データ生成モデル58の出力に基づいて、処理結果を取得する。より具体的には、処理部294は、スマートデバイス14からのユーザからのシミュレーションに関する文字入力を取得すると、ユーザからの文字入力をデータ生成モデル58に入力し、データ生成モデル58の出力に基づいて、衝突回避アルゴリズムに基づいたシミュレーションを実行する。例えば、処理部294は、「猫のような動きをさせてください。衝突回避アルゴリズムを用いて、自動車と猫との衝突を回避するシミュレーションを行ってください。」というプロンプトを生成して、データ生成モデル58に入力する。
【0046】
処理部294は、衝突回避アルゴリズムに基づいたシミュレーション結果により、移動体と他の物体とが衝突してしまった場合、シミュレーション結果をデータ生成モデル58にフィードバックしてよい。処理部294は、シミュレーション結果をデータ生成モデル58にフィードバックすることで、ユーザが衝突回避アルゴリズムのパラメータのチューニングをしなくても、移動体が勝手に他の物体を避けてくれるような、衝突回避アルゴリズムに基づいたシミュレーションを行うことができる。
【0047】
また、移動体の種別によっては、自身が衝突を回避した場合であっても、衝突回避の方法によって、他の物体又は移動体と衝突する他の衝突を誘発しうる場合がある。このような場合、ある衝突を回避することができても、他の衝突が生じることにより、実質的に同質の結果を招くこととなる。例えば、移動体が自動車である場合、急制動や急転回等を用いて衝突を回避すると、他の物体又は移動体との他の衝突を誘発する場合がある。そのため、急制動や急転回等の他の衝突を誘発しうる回避行動によって衝突を回避した場合は、衝突回避アルゴリズムのパラメータをチューニングすることが望ましい。
【0048】
処理部294は、衝突回避アルゴリズムに基づいたシミュレーション結果により、移動体と他の物体とが衝突を回避したものの、他の物体又は移動体との他の衝突を誘発しうる回避行動を伴った場合、シミュレーション結果をデータ生成モデル58にフィードバックしてよい。処理部294は、シミュレーション結果をデータ生成モデル58にフィードバックすることで、ユーザが衝突回避アルゴリズムのパラメータのチューニングをしなくても、移動体が安全な回避方法により他の物体を避けてくれるような、衝突回避アルゴリズムに基づいたシミュレーションを行うことができる。
【0049】
衝突回避アルゴリズムは、認知データベースに登録されている情報を参照してシミュレーションを実行してもよい。衝突回避アルゴリズムは、単体でシミュレーションを行った結果と、認知データベースに登録されている情報を参照してシミュレーションを行った結果とに相違があれば、認知データベースに登録されている情報を参照してシミュレーションを行った結果を採用してよい。例えば、衝突回避アルゴリズムは、単体でシミュレーションを行った結果と、認知データベースに登録されている情報を参照してシミュレーションを行った結果とに所定の閾値以上の差分があれば、認知データベースに登録されている情報を参照してシミュレーションを行った結果を採用してよい。
【0050】
処理部294は、データ生成モデル58による衝突回避アルゴリズムと、他の衝突回避アルゴリズムとを組み合わせてよい。他の衝突回避アルゴリズムの結果の方が良ければ、処理部294は、他の衝突回避アルゴリズムの結果をデータ生成モデル58による衝突回避アルゴリズムに反映してよく、または、データ生成モデル58による衝突回避アルゴリズムと、他の衝突回避アルゴリズムとの中間の結果をデータ生成モデル58による衝突回避アルゴリズムの結果としてよい。
【0051】
移動体と物体とがどれだけ近付いても回避できるかは、位置情報や加速度の情報が移動体と物体とで共有されていなければならない。どれぐらい離れていれば猫にとっての警戒対象になるかは、データ生成モデル58による衝突回避アルゴリズムが解釈する。例えば、どの車が警戒対象かを判断するために、車の位置情報だけでなく、猫の視線から判断してよい。
【0052】
データ生成モデル58が生成する衝突回避アルゴリズムに、天候、路面状況等の実環境の情報が与えられていてもよい。その場合、データ生成モデル58に、天候、路面状況等の実環境が分かる画像を入力する、ユーザが具体的に天候、路面状況等の実環境情報を入れる、LiDAR等の実環境センシングの結果を入れる、等により、衝突回避アルゴリズムに、天候、路面状況等の実環境の情報が与えられていてもよい。
【0053】
出力部296は、特定処理の結果をスマートデバイス14に送信する。スマートデバイス14では、制御部46Aが、出力装置40に対して特定処理の結果を出力させる。マイクロフォン38Bは、特定処理の結果に対するユーザ入力を示す音声を取得する。制御部46Aは、マイクロフォン38Bによって取得されたユーザ入力を示す音声データをデータ処理装置12に送信する。データ処理装置12では、特定処理部290が音声データを取得する。
【0054】
例えば、出力部296は、データ生成モデル58によって出力された衝突回避アルゴリズムに基づいて実行された、自動車と猫との衝突を回避するシミュレーションの結果を出力する。出力部296は、シミュレーションの結果をアニメーションで出力してよい。例えば、出力部296は、シミュレーションの結果として、猫が動いている状態で自動車が接近した場合の衝突回避の様子をアニメーションで出力してよい。ユーザは、出力部296が出力したシミュレーションの結果を見て、自動車と猫とが衝突してしまっていれば、データ処理装置12に対して、衝突回避アルゴリズムにおけるパラメータのチューニングを指示してよい。
【0055】
データ生成モデル58は、いわゆる生成AI(Artificial Intelligence)である。データ生成モデル58の一例としては、ChatGPT(インターネット検索<URL: https://openai.com/blog/chatgpt>)等の生成AIが挙げられる。データ生成モデル58は、ニューラルネットワークに対して深層学習を行わせることによって得られる。データ生成モデル58には、指示を含むプロンプトが入力され、かつ、音声を示す音声データ、テキストを示すテキストデータ、及び画像を示す画像データ等の推論用データが入力される。データ生成モデル58は、入力された推論用データをプロンプトにより示される指示に従って推論し、推論結果を音声データ及びテキストデータ等のデータ形式で出力する。ここで、推論とは、例えば、分析、分類、予測、及び/又は要約等を指す。
【0056】
例えば、処理部294が、ユーザ入力に基づいて「猫のような動きをさせてください。自動車と猫との衝突を回避するシミュレーションを行ってください。」というプロンプトを生成すると、処理部294は、生成したプロンプトをデータ生成モデル58に入力する。
【0057】
次に、データ処理システム10の作用について説明する。
【0058】
特定処理の流れの一例について
図5を参照しながら説明する。なお、
図5に示す特定処理の流れは、本開示の技術に係る「データ処理方法」の一例である。
【0059】
ステップS300で、処理部294は、予め定められたトリガ条件を満たすか否かを判定する。例えば、スマートデバイス14からのユーザからのシミュレーションに関する文字入力又は音声入力(例えば、「猫のような動きをさせてください。自動車と猫との衝突を回避するシミュレーションを行ってください。」)を受け付けたことをトリガ条件とする。
【0060】
ステップS300で、トリガ条件を満たす場合には(ステップS300;Yes)、データ処理システム10はステップS301へ進む。一方、ステップS300で、トリガ条件を満たさない場合には(ステップS300;No)、データ処理システム10は特定処理を終了する。
【0061】
ステップS301で、処理部294は、入力を表すテキストに、特定処理の結果を得るための指示文を追加して、プロンプトを生成する。例えば、処理部294は、「猫のような動きをさせてください。衝突回避アルゴリズムを用いて、自動車と猫との衝突を回避するシミュレーションを行ってください。」というプロンプトを生成する。
【0062】
ステップS303で、処理部294は、生成したプロンプトを、データ生成モデル58に入力し、データ生成モデル58の出力に基づいて、特定処理の結果を取得する。本実施形態では、処理部294は、特定処理として、データ生成モデル58によって出力された衝突回避アルゴリズムに基づいて、動車と猫との衝突を回避するシミュレーションを行う。
【0063】
ステップS304で、出力部296は、ユーザ端末に対して特定処理の結果を出力し、特定処理を終了する。例えば、出力部296は、データ生成モデル58によって出力された衝突回避アルゴリズムに基づいて実行された、自動車と猫との衝突を回避するシミュレーションの結果を出力する。出力部296は、シミュレーションの結果をアニメーションで出力してよい。例えば、出力部296は、シミュレーションの結果として、猫が動いている状態で自動車が接近した場合の衝突回避の様子をアニメーションで出力してよい。ユーザは、出力部296が出力したシミュレーションの結果を見て、自動車と猫とが衝突してしまっていれば、データ処理装置12に対して、衝突回避アルゴリズムにおけるパラメータのチューニングを指示してよい。
【0064】
以上、本開示に係るシステムをデータ処理装置290の機能を主として説明したが、本開示に係るシステムはサーバに実装されているとは限らない。本開示に係るシステムは、一般的な情報処理システムとして実装されていてもよい。本開示は、例えば、パーソナルコンピュータで動作するソフトウェアプログラム、スマートフォン等で動作するアプリケーションとして実装されてもよい。本開示に係る方法はSaaS(Software as a Service)形式でユーザに対して提供されてもよい。
【0065】
また、本実施形態では、データ処理装置12が生成する衝突回避アルゴリズムを組み込んだスマートフォン、ウェアラブル端末その他の携帯端末も提供される。衝突回避アルゴリズムが組み込まれる携帯端末は、例えばスマートデバイス14であってよい。当該携帯端末は、自動車などの移動体と通信し、移動体の情報を取得することで、衝突回避アルゴリズムに基づいた衝突回避行動を行うよう移動体を制御してよく、または、移動体に対して衝突回避行動を促してよい。具体的には、例えば、携帯端末は、当該携帯端末を保持するユーザが、他の移動体と衝突しそうな場合に、ユーザに衝突回避アルゴリズムに基づいた衝突回避行動を行わせるための出力をユーザに対して通知できる。衝突回避行動を行わせるための出力としては、文字、音声、又は文字と音声との組み合わせであってよい。また、携帯端末は、当該携帯端末が通信する移動体が、他の移動体と衝突しそうな場合に、移動体が衝突回避アルゴリズムに基づいた衝突回避行動を取るように移動体を制御できる。データ処理装置12が生成した衝突回避アルゴリズムがスマートフォン、ウェアラブル端末その他の携帯端末に組み込まれることで、当該がスマートフォン、ウェアラブル端末その他の携帯端末を保持するユーザは、街中において移動体と衝突しそうな場合に、スマートフォン、ウェアラブル端末その他の携帯端末からの通知を受けて、自動車との衝突を回避することができる。
【0066】
処理部294は、シミュレーション処理において、他の移動体と衝突する可能性がある場合に、衝突回避行動を行うよう移動体を制御してよい。そして、本実施形態では、データ処理装置12が生成する衝突回避アルゴリズムを組み込んだスマートフォン、ウェアラブル端末その他の携帯端末も提供される。衝突回避アルゴリズムが組み込まれる携帯端末は、例えばスマートデバイス14であってよい。当該携帯端末は、自動車などの移動体と通信し、移動体の情報を取得することで、衝突回避アルゴリズムに基づいた衝突回避行動をユーザに通知できる。データ処理装置12が生成した衝突回避アルゴリズムがスマートフォン、ウェアラブル端末その他の携帯端末に組み込まれることで、当該がスマートフォン、ウェアラブル端末その他の携帯端末を保持するユーザは、街中において移動体と衝突しそうな場合に、スマートフォン、ウェアラブル端末その他の携帯端末からの通知を受けて、自動車との衝突を回避することができる。
【0067】
上記実施形態では、1台のコンピュータ22によって特定処理が行われる形態例を挙げたが、本開示の技術はこれに限定されず、コンピュータ22を含めた複数のコンピュータによる特定処理に対する分散処理が行われるようにしてもよい。
【0068】
上記実施形態では、ストレージ32に特定処理プログラム56が格納されている形態例を挙げて説明したが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、特定処理プログラム56がUSB(Universal Serial Bus)メモリなどの可搬型のコンピュータ読み取り可能な非一時的格納媒体に格納されていてもよい。非一時的格納媒体に格納されている特定処理プログラム56は、データ処理装置12のコンピュータ22にインストールされる。プロセッサ28は、特定処理プログラム56に従って特定処理を実行する。
【0069】
また、ネットワーク54を介してデータ処理装置12に接続されるサーバ等の格納装置に特定処理プログラム56を格納させておき、データ処理装置12の要求に応じて特定処理プログラム56がダウンロードされ、コンピュータ22にインストールされるようにしてもよい。
【0070】
なお、ネットワーク54を介してデータ処理装置12に接続されるサーバ等の格納装置に特定処理プログラム56の全てを格納させておいたり、ストレージ32に特定処理プログラム56の全てを記憶させたりしておく必要はなく、特定処理プログラム56の一部を格納させておいてもよい。
【0071】
特定処理を実行するハードウェア資源としては、次に示す各種のプロセッサを用いることができる。プロセッサとしては、例えば、ソフトウェア、すなわち、プログラムを実行することで、特定処理を実行するハードウェア資源として機能する汎用的なプロセッサであるCPUが挙げられる。また、プロセッサとしては、例えば、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、PLD(Programmable Logic Device)、又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路が挙げられる。何れのプロセッサにもメモリが内蔵又は接続されており、何れのプロセッサもメモリを使用することで特定処理を実行する。
【0072】
特定処理を実行するハードウェア資源は、これらの各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせ、又はCPUとFPGAとの組み合わせ)で構成されてもよい。また、特定処理を実行するハードウェア資源は1つのプロセッサであってもよい。
【0073】
1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、1つ以上のCPUとソフトウェアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが、特定処理を実行するハードウェア資源として機能する形態がある。第2に、SoC(System-on-a-chip)などに代表されるように、特定処理を実行する複数のハードウェア資源を含むシステム全体の機能を1つのICチップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、特定処理は、ハードウェア資源として、上記各種のプロセッサの1つ以上を用いて実現される。
【0074】
更に、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造としては、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路を用いることができる。また、上記の特定処理はあくまでも一例である。従って、主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよいことは言うまでもない。
【0075】
以上に示した記載内容及び図示内容は、本開示の技術に係る部分についての詳細な説明であり、本開示の技術の一例に過ぎない。例えば、上記の構成、機能、作用、及び効果に関する説明は、本開示の技術に係る部分の構成、機能、作用、及び効果の一例に関する説明である。よって、本開示の技術の主旨を逸脱しない範囲内において、以上に示した記載内容及び図示内容に対して、不要な部分を削除したり、新たな要素を追加したり、置き換えたりしてもよいことは言うまでもない。また、錯綜を回避し、本開示の技術に係る部分の理解を容易にするために、以上に示した記載内容及び図示内容では、本開示の技術の実施を可能にする上で特に説明を要しない技術常識等に関する説明は省略されている。
【0076】
本明細書に記載された全ての文献、特許出願及び技術規格は、個々の文献、特許出願及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
【符号の説明】
【0077】
10 データ処理システム
12 データ処理装置
14 スマートデバイス
290 特定処理部
292 入力部
294 処理部
296 出力部