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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025149103
(43)【公開日】2025-10-08
(54)【発明の名称】データ編集装置及びデータ編集方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20251001BHJP
   G06T 11/80 20060101ALI20251001BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06T11/80 A
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024049548
(22)【出願日】2024-03-26
(71)【出願人】
【識別番号】391016358
【氏名又は名称】東芝情報システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100074147
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 崇
(72)【発明者】
【氏名】小川 肇
(72)【発明者】
【氏名】佐野 貴章
(72)【発明者】
【氏名】富樫 政寛
【テーマコード(参考)】
5B050
5L050
【Fターム(参考)】
5B050EA19
5B050FA05
5L050CC11
(57)【要約】
【課題】機械学習へ投入するデータを、処理の手助けになるように編集するデータ編集装置及びデータ編集方法を提供する。
【解決手段】対象データに補助的に付加する付加データの種類情報に対応して、付加データのイメージ情報が記憶された付加データDB(データベース)140と、対象データが与えられると共に、この与えられた対象データに付加すべき付加データの種類情報が指定されると、指定された種類情報に応じた付加データを前記付加データDB(データベース)140から取り出し、取り出した付加データ与えられた対象データに付加合成する付加合成手段130と、付加合成したデータをデータ処理装置200へ送出する送出手段とを具備する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象データに補助的に付加する付加データの種類情報に対応して、付加データのイメージ情報が記憶された付加データDB(データベース)と、
対象データが与えられると共に、この与えられた対象データに付加すべき付加データの種類情報が指定されると、指定された種類情報に応じた付加データを前記付加データDB(データベース)から取り出し、取り出した付加データ与えられた対象データに付加合成する付加合成手段と、
付加合成したデータをデータ処理装置へ送出する送出手段と
を具備することを特徴とするデータ編集装置。
【請求項2】
与えられた対象データに対し、削除すべきデータ部分に関する規則情報が記憶された削除規則情報保持部を有し、
前記削除規則情報保持部に記憶された規則情報を用いて与えられた対象データに対し削除を行って前記付加合成手段へ送る削除手段と、
を具備することを特徴とする請求項1に記載のデータ編集装置。
【請求項3】
削除規則情報保持部には、与えられるデータが波形のデータである場合に、削除すべき波形の電圧又は電流の範囲、時間的範囲が削除規則情報として記憶されていることを特徴とする請求項2に記載のデータ編集装置。
【請求項4】
前記付加データの種類情報として、「波形の読み取りを容易化する情報」が1つの種類であり、この「波形の読み取りを容易化する情報」に対応して波形の「目盛り」の機能を有する格子状画像が記憶されていることを特徴とする請求項2に記載のデータ編集装置。
【請求項5】
前記付加データの種類情報として、「比較対象波形の情報」が1つの種類であり、この「比較対象波形の情報」に対応して正常波形の画像または異常波形の画像が記憶されていることを特徴とする請求項2に記載のデータ編集装置。
【請求項6】
前記付加データの種類情報として、「注目位置の情報」が1つの種類であり、この「注目位置の情報」に対応して波形の注目位置に他位置より際立つ態様の画像が記憶されていることを特徴とする請求項2に記載のデータ編集装置。
【請求項7】
削除規則情報保持部には、与えられる対象データが入出力の数値列のデータである場合に、入力の数値列又は出力の数値列を削除すべきことが削除規則情報として記憶されていることを特徴とする請求項2に記載のデータ編集装置。
【請求項8】
前記付加データの種類情報として、「注目位置の情報」が1つの種類であり、この「注目位置の情報」に対応して、与えられる対象データが入出力の数値列のデータである場合に、前記数値列の各数値に併設して注目マーク又は注目を表す数値が記憶されていることを特徴とする請求項2に記載のデータ編集装置。
【請求項9】
波形により入力された対象データを数値列に変換する変換処理手段を具備することを特徴とする請求項1または2に記載の編集装置。
【請求項10】
対象データに補助的に付加する付加データの種類情報に対応して、付加データのイメージ情報が記憶された付加データDB(データベース)の情報を用い、対象データが与えられると共に、この与えられた対象データに付加すべき付加データの種類情報が指定されると、指定された種類情報に応じた付加データを前記付加データDB(データベース)から取り出し、取り出した付加データに与えられた対象データに付加合成する付加合成ステップと、
付加合成したデータをデータ処理装置へ送出する送出ステップと
を具備することを特徴とするデータ編集方法。
【請求項11】
与えられた対象データに対し、削除すべきデータ部分に関する規則情報が記憶された削除規則情報保持部に記憶された規則情報を用いて与えられた対象データに対し削除を行って前記付加合成手段へ送る削除ステップを具備することを特徴とする請求項10に記載のデータ編集方法。
【請求項12】
削除規則情報保持部には、与えられる対象データが波形の対象データである場合に、削除すべき波形の電圧又は電流の範囲、時間的範囲が削除規則情報として記憶されていることを特徴とする請求項10に記載のデータ編集方法。
【請求項13】
前記付加データの種類情報として、「波形の読み取りを容易化する情報」が1つの種類であり、この「波形の読み取りを容易化する情報」に対応して波形の「目盛り」の機能を有する格子状画像が記憶されていることを特徴とする請求項10に記載のデータ編集方法。
【請求項14】
前記付加データの種類情報として、「比較対象波形の情報」が1つの種類であり、この「比較対象波形の情報」に対応して正常波形の画像または異常波形の画像が記憶されていることを特徴とする請求項10に記載のデータ編集方法。
【請求項15】
前記付加データの種類情報として、「注目位置の情報」が1つの種類であり、この「注目位置の情報」に対応して波形の注目位置に他位置より際立つ態様の画像が記憶されていることを特徴とする請求項10に記載のデータ編集方法。
【請求項16】
削除規則情報保持部には、与えられる対象データが入出力の数値列のデータである場合に、入力の数値列又は出力の数値列を削除すべきことが削除規則情報として記憶されていることを特徴とする請求項10に記載のデータ編集方法。
【請求項17】
前記付加データの種類情報として、「注目位置の情報」が1つの種類であり、この「注目位置の情報」に対応して、与えられる対象データが入出力の数値列のデータである場合に、前記数値列の各数値に併設して注目マーク又は注目を表す数値が記憶されていることを特徴とする請求項10に記載のデータ編集方法。
【請求項18】
波形により入力された対象データを数値列に変換する変換処理ステップを具備することを特徴とする請求項10または11に記載のデータ編集方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、データ編集装置及びデータ編集方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アナログ回路シミュレータやオシロスコープ等の信号波形画像は複雑なデータとまでは言えない。このため、一般的な画像処理を行っても特徴を捉え難く、装置による特徴位置の検出では、着目してほしくない部分を特徴として捉えてしまうことがある。また、数値データも同様にデータシート等に掲載する電気的特性の評価結果は情報量が少ないため、人が目で見て判断するには十分だが、機械学習する際には特徴部分が捉え難いことが多い。
電気回路のデータに限らず、音や撮像した画像のデータやこれらを数値したデータについても、機械にとっては情報量が少ないという課題があり、例えば機械学習にデータをそのまま投入しても、学習効率の低下および出来上がった判定モデルの精度が低下する要因となっている。
【0003】
特許文献1では、同じデ-タから作成される異なる形態の波形を同一画面上に表示させて、波形の特性を分かりやすく表示することができ、波形編集における操作性を向上させて、より簡単に所望とする波形を作成することを可能にしている。具体的には、少なくとも波形を画面に表示させる表示手段、入力操作を可能にする入力手段を備えるもので、入力手段を介して入力されたデ-タ、又は外部から取り込んだデ-タに基づいて作成される波形を画面に表示可能な波形編集装置に、所定デ-タに基づくアナログ的波形と、前記所定デ-タに基づく2値波形とを重ねて表示する第1の波形表示機能を実現させている。
【0004】
特許文献2の機械学習システムは、画像合成部を備える。画像合成部は、背景画像と、第一の画像及び第一の画像に紐づいた正解情報と、第二の画像と、環境情報に紐づいた合成条件を入力として、合成条件を用いて第一の画像、第二の画像及び背景画像から合成画像を生成し、合成画像と正解情報から、学習用データを生成する。斯くして、環境を考慮した学習効果の改善された学習用データを、容易に生成する。
【0005】
特許文献3には楽曲波形データの時間軸上の再生領域を示すリージョンによって構成される遊技機のROMデータを編集し、ROMデータのデータ量を小さくすることが開示されている。このものでは、シーケンスデータからリージョンの長さを取得し、リージョンの長さと元波形データの長さと比較する。リージョンが短い場合、元波形データに波形編集処理を行う。この結果、元波形データはリージョンと同じ長さに編集される。元波形データに含まれる不要部分が削除される。これにより、ROMデータのサイズが小さくなるというものである。
【0006】
特許文献4では、ユーザに対して注意を促す注意音声を生成する観点からの発明が開示されている。入力制御装置は、入力装置およびセンサの出力に基づいて、ユーザの動作・操作を認識し、システムの応答動作を決定する。注意音声生成装置4は、この注意音声は、例えば、間投詞や指示語、了解を表す言葉を用いた短い音声である。応答音声生成装置は、ユーザに対する通常の応答音声を生成する。出力制御装置は、注意音声生成装置と応答音声生成装置と応答画像・応答音生成装置との出力を出力装置から出力するのである。斯くして、間投詞や指示語を用いることにより、ユーザとシステムとの間でより自然なやりとりができることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004-164459号公報
【特許文献2】特開2023-47195号公報
【特許文献3】特開2006-201666号公報
【特許文献4】特開平11-237970号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上のように各種のデータに情報を付加し或いは編集した技術があるが、機械に対し処理の精度を向上させたり、人間と同じような判定結果に導いたりするための処理を行うものは無かった。本発明の実施形態は、機械へ投入するデータを、処理の手助けになるように編集するデータ編集装置及びデータ編集方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施形態に係るデータ編集装置は、対象データに補助的に付加する付加データの種類情報に対応して、付加データのイメージ情報が記憶された付加データDB(データベース)と、対象データが与えられると共に、この与えられた対象データに付加すべき付加データの種類情報が指定されると、指定された種類情報に応じた付加データを前記付加データDB(データベース)から取り出し、取り出した付加データ与えられた対象データに付加合成する付加合成手段と、付加合成したデータをデータ処理装置へ送出する送出手段とを具備することを特徴とする。
【0010】
本発明の実施形態に係るデータ編集方法は、対象データに補助的に付加する付加データの種類情報に対応して、付加データのイメージ情報が記憶された付加データDB(データベース)の情報を用い、対象データが与えられると共に、この与えられた対象データに付加すべき付加データの種類情報が指定されると、指定された種類情報に応じた付加データを前記付加データDB(データベース)から取り出し、取り出した付加データ与えられた対象データに付加合成する付加合成ステップと、付加合成したデータをデータ処理装置へ送出する送出ステップとを具備することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係るデータ編集装置の機能ブロック図。
図2】本発明の実施形態に係るデータ編集装置の削除規則情報保持部に記憶された情報の一例を示す図。
図3】本発明の実施形態に係るデータ編集装置の削除規則情報保持部に記憶された情報の一例を示す図。
図4】本発明の実施形態に係るデータ編集装置の付加データDB(データベース)に記憶された情報の一例を示す図。
図5】本発明の実施形態に係るデータ編集装置の削除規則情報保持部付加データDB(データベース)に記憶された情報の一例を示す図。
図6】本発明の実施形態に係るデータ編集装置の削除規則情報保持部に記憶された情報の一例を示す図。
図7】本発明の実施形態に係るデータ編集装置の削除規則情報保持部に記憶された情報の一例を示す図。
図8】本発明の実施形態に係るデータ編集装置を実現する、パーソナルコンピュータ等の構成を示すブロック図。
図9】本発明の第1の実施形態に係るデータ編集装置の動作を示すフローチャート。
図10】本発明の第1の実施形態に係るデータ編集装置による削除情報を用いた削除処理を示す図。
図11】本発明の第1の実施形態に係るデータ編集装置による削除情報を用いた削除処理を示す図。
図12】本発明の第1の実施形態に係るデータ編集装置による付加データを用いた付加合成処理を示す図。
図13】本発明の第1の実施形態に係るデータ編集装置による付加データを用いた付加合成処理を示す図。
図14】本発明の第1の実施形態に係るデータ編集装置による付加データを用いた付加合成処理を示す図。
図15】本発明の第1の実施形態に係るデータ編集装置による付加データを用いた付加合成処理を示す図。
図16】本発明の第1の実施形態に係るデータ編集装置による付加データを用いた付加合成処理を示す図。
図17】本発明の第1の実施形態に係るデータ編集装置による付加データを用いた付加合成処理を示す図。
図18】本発明の第1の実施形態に係るデータ編集装置による付加データを用いた付加合成処理を示す図。
図19】本発明の第1の実施形態に係るデータ編集装置による付加データを用いた付加合成処理を示す図。
図20】本発明の第1の実施形態に係るデータ編集装置による付加データを用いた付加合成処理を示す図。
図21】本発明の第1の実施形態に係るデータ編集装置による付加データを用いた付加合成処理を示す図。
図22】本発明の第1の実施形態に係るデータ編集装置による付加データを用いた付加合成処理を示す図。
図23】本発明の第1の実施形態に係るデータ編集装置による付加データを用いた付加合成処理を示す図。
図24】本発明の第1の実施形態に係るデータ編集装置による削除情報を用いた削除処理から付加データを用いた付加合成処理へと続く処理を示す図。
図25】本発明の第1の実施形態に係るデータ編集装置による削除情報を用いた削除処理から付加データを用いた付加合成処理へと続く処理を示す図。
図26】本発明の第2の実施形態に係るデータ編集装置の動作を示すフローチャート。
図27】本発明の第2の実施形態に係るデータ編集装置による削除情報を用いた削除処理から付加データを用いた付加合成処理へと続く処理を示す図。
図28】本発明の第2の実施形態に係るデータ編集装置による削除情報を用いた削除処理を示す図。
図29】本発明の第2の実施形態に係るデータ編集装置による削除情報を用いた削除処理から付加データを用いた付加合成処理へと続く処理を示す図。
図30】本発明の第2の実施形態に係るデータ編集装置による削除情報を用いた削除処理から付加データを用いた付加合成処理へと続く処理を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下添付図面を参照して、本発明の実施形態に係るデータ編集装置及びデータ編集方法を説明する。各図において、同一の構成要素には同一の符号を付して重複する説明を省略する。図1には、本発明の実施形態に係るデータ編集装置100の機能ブロック図が示されている。データ編集装置100は、編集すべき対象データを編集して機械学習装置などのデータ処理装置200へ送出するものである。
【0013】
データ編集装置100には、削除手段110、削除規則情報保持部120、付加合成手段130、付加データDB(データベース)140、送出手段150が備えられている。
【0014】
削除規則情報保持部120は、与えられた対象データに対し、削除すべきデータ部分に関する規則情報が記憶されたものである。例えば、図2に示すように、削除規則情報保持部120には、与えられるデータが波形のデータである場合に、削除すべき波形の電圧又は電流の範囲、時間的範囲が削除規則情報として記憶されている。つまり、〇〇波形が対象データであるときには、aa mV~bb mVの範囲の電圧波形を削除することを示し、cc mA~dd mAの範囲の電流波形を削除すべきことを示し、ee msec~ff msecの時間範囲にある波形を削除すべきことを示している。また、××波形が対象データであるときには、ya mV~yb mVの範囲の電圧波形を削除することを示し、yc mA~yd mAの範囲の電流波形を削除すべきことを示し、ye msec~yf msecの時間範囲にある波形を削除すべきことを示している。更に、△△波形が対象データであるときには、ja mV~jb mVの範囲の電圧波形を削除することを示し、jc mA~jd mAの範囲の電流波形を削除すべきことを示し、je msec~jf msecの時間範囲にある波形を削除すべきことを示している。
【0015】
更に、図3に示されるように、与えられる対象データが入出力の数値列のデータである場合に、入力の数値列又は出力の数値列を削除すべきことが削除規則情報として記憶されている。例えば、Aという対象データ名の数値列については、入力数値列を削除すべきことを示している。
【0016】
削除手段110は、前記削除規則情報保持部に記憶された規則情報を用いて与えられた対象データに対し削除を行って前記付加合成手段130へ送るものである。
【0017】
付加データDB(データベース)140は、対象データに補助的に付加する付加データの種類情報に対応して、付加データのイメージ情報が記憶されたものである。この付加データのイメージ情報は、例えば、図4に示されるように、〇〇波形という種類情報の波形に対しては縦横方向に延びる線分により作られたメッシュのイメージ情報L1が対応付けられて記憶されており、××波形という種類情報の波形に対しては右上がり及び右下がり方向に延びる線分により作られた斜めのメッシュのイメージ情報L2が対応付けられて記憶されており、△△波形という種類情報の波形に対してイメージ情報L1と同じ方向に延びる線分により作られたメッシュであるが、線分色が異なるイメージ情報L3が対応付けられて記憶されている。
【0018】
また、図5は、付加データの種類情報として、「比較対象波形の情報」に対して付加すべき正常波形の画像または異常波形の画像が記憶されていることを示している。図5の1番上の波形は、対象データが波形Aの場合の正常(異常)波形の画像を示し、図5の上から2番の波形は、対象データが波形Bの場合の正常(異常)波形の画像を示し、図5の上から3番の波形は、対象データが波形Cの場合の正常(異常)波形の画像を示している。
【0019】
図6は、付加データの種類情報として、「注目位置の情報」に対応して波形の注目位置に他位置より際立つ態様の画像が記憶されているものを示す。図6の(1)は四角枠により注目位置を示すものであり、図6の(2)は太線強調により注目位置を示すものであり、図6の(3)は帯領域により注目位置を示すものであり、図6の(4)は中抜き線により注目位置を示すものであり、図6の(5)はハッチング線により注目位置を示すものである。
【0020】
図7は、付加データの種類情報として、「注目位置の情報」が1つの種類であり、この「注目位置の情報」に対応して、与えられる対象データが入出力の数値列のデータである場合に、前記数値列の各数値に併設して注目マーク又は注目を表す数値が記憶されているものを示す。つまり、図7の1行目は、数値列の対象データが到来したときには、注目の数値には「1」を付加し、非注目の数値には「0」を付加することを示している。図7の2行目は、数値列の対象データが到来したときには、注目の数値には「□」を付加し、非注目の数値には「●」を付加することを示している。
【0021】
付加合成手段130は、対象データが与えられると共に、この与えられた対象データに付加すべき付加データの種類情報が指定されると、指定された種類情報に応じた付加データを前記付加データDB(データベース)140から取り出し、取り出した付加データ与えられた対象データに付加合成するものである。送出手段150は、付加合成したデータをデータ処理装置200へ送出するものである。
【0022】
前記の機能ブロックにより示されるデータ編集装置は、図8に示されるようなパーソナルコンピュータ等により実現することができる。このコンピュータは、CPU10が主メモリ11内のプログラムやデータを用いてデータ編集装置を構成するものである。CPU10には、バス12を介して外部記憶インタフェース13、入力インタフェース14、表示インタフェース15、データ入出力インタフェース16が接続されている。
【0023】
外部記憶インタフェース13には、外部記憶装置23が接続されている。外部記憶装置23には、このデータ編集装置が動作を行うためのプログラムやデータが記憶されており、これらはCPU10が主メモリ11に適宜読み出して使用することができる。このため、外部記憶装置23には、削除規則情報保持部120と付加データDB(データベース)140が備えられているものである。入力インタフェース14には、キーボードやタッチパネル等の入力装置24とマウス等のポインティングデバイス22が接続されている。表示インタフェース15には、LCD等の画面を有する表示装置25が接続されている。データ入出力インタフェース16には、機械学習装置などのデータ処理装置200が接続されている。このデータ入出力インタフェース16には、機械学習装置などのデータ処理装置200以外の必要な装置、例えば対象データを送ってくる装置等が接続されていてもよい。
【0024】
以上の構成を有する第1の本実施形態に係るデータ編集装置は、図9に示されるフローチャートに対応するプログラムによって処理を実行する。CPU10は、入力装置24又はデータ入出力インタフェース16から到来する対象データを取り込む(S11)。次に、対象データに付加された対象データ名等から対応の削除情報を削除情報保持部より求める(S12)。次に、対象データについて、削除情報を用いた削除処理を実行する(S13)。
【0025】
例えば、〇〇波形が対象データであるときには、図2に示されるように、aa mV~bb mVの範囲の電圧波形を削除することを示し、cc mA~dd mAの範囲の電流波形を削除すべきことを示し、ee msec~ff msecの時間範囲にある波形を削除すべきことを示している。図10(A)に示すように〇〇波形が到来し、波形a1、a2、a3が前記図2の場合と同じ削除規則情報の範囲にあり、波形a0のみが削除規則情報の範囲にないときには、削除規則情報に基づく削除がCPU10により行われて図10(B)に示すように波形a0のみが残されたデータが得られる。ここには図示しないが、波形によるデータはが入力された場合の削除規則情報を「所定の色の波形」或いは「所定の色を除く波形」とすることができる。従って、図10(A)において波形a0のみが「黄色」である場合においては、削除規則情報が「黄色を除く波形」となっていると、図10(B)に示すように波形a0のみが残されたデータとなる。
【0026】
また、図11(A)に示すように入力と出力の数値列の対象データAが到来したものとする。この場合には、図3に示すように削除規則情報では、Aという対象データ名の数値列については、入力数値列を削除すべきことを示している。この結果、図11(A)に示すように入力数値列と出力数値列が到来したデータが、削除規則情報に基づく削除がCPU10により行われて図11(B)に示すように出力数値列のみが残ることになる。
【0027】
以上のように削除規則情報に基づく削除が終わると、図9のフローチャートのステップS14へ進み、対象データに補助的に付加する付加データの種類情報を受け取り(S14)、指定された種類情報に基づき、付加データDB(データベース)140を検索して、付加データを得る(S15)。次に、CPU10は、得られた付加データを対象データに対して、付加して付加合成したデータを得る(S16)。更に、付加して付加合成したデータを機械学習装置などのデータ処理装置200へ送出する(S17)。
【0028】
前記ステップS14において、付加データの種類情報として、「比較対象波形の情報」を受け取った場合には、「比較対象波形の情報」に対して記憶されている正常波形の画像または異常波形の画像が付加データとなる。なお、付加データの種類情報である「比較対象波形の情報」等は、対象データに付加されていても良く、また、処理を行うオペレータが入力装置24等から与えるようにしてもよい。
【0029】
「比較対象波形の情報」に対して記憶されている正常波形の画像または異常波形の画像である付加データが図5の上から2番の波形であった場合には、図12に示すように、削除規則情報に基づく削除結果の波形に対し図5の上から2番の波形(波形Bの場合の正常(異常)波形)を付加合成した1枚の画像データが得られることになる。
【0030】
また、付加合成の手法としては1枚の画像データとすることに限定されず、図13に示すように、削除規則情報に基づく削除結果の波形をレイヤ1の画像とし、波形Bの場合の正常(異常)波形をレイヤ2の画像とし、複数次元の画像として付加合成するものであってもよい。
【0031】
また、付加データの種類情報として、「波形の読み取りを容易にする情報」を受け取った場合には、「波形の読み取りを容易にする情報」に対して記憶されている正常波形の画像または異常波形の画像が付加データとなる。「波形の読み取りを容易にする情報」に対して記憶されている付加データが図4の最上位の波形のイメージ情報L1であった場合には、図14に示すように、削除規則情報に基づく削除結果の波形に対しイメージ情報L1を付加合成した1枚の画像データが得られることになる。また、削除規則情報に基づく削除結果の波形をレイヤ1の画像とし、イメージ情報L1をレイヤ2の画像とし、複数次元の画像として付加合成すると図15に示すようになる。
【0032】
また、図16に示すように、削除規則情報に基づく削除結果の波形に対しイメージ情報L2(図4)を付加合成した1枚の画像データを得る場合もある。また、削除規則情報に基づく削除結果の波形をレイヤ1の画像とし、イメージ情報L2をレイヤ2の画像とし、複数次元の画像として付加合成すると図17に示すようになる。
【0033】
また、図18に示すように、イメージ情報L3(図4)を用いる場合もある。本実施形態では、削除規則情報に基づく削除結果の波形をレイヤ1の画像とし、イメージ情報L3をレイヤ2の画像とし、複数次元の画像として付加合成すると図18に示すようになる。
【0034】
付加データの種類情報として、図6に示す「注目位置の情報」を用いることもできる。図19は四角枠を示すものであり、図20は太線強調を用いたものであり、図21は帯領域を用いたものであり、図22は中抜き線を用いたものであり、図23はハッチング線を用いたものである。
【0035】
図24は、対象データが数値列である場合のデータ編集を示している。この例は図3に示すAという対象データ名の数値列であり、削除規則情報には「入力」を削除することが決められているために、ステップS13の処理では「入力」の数値列が削除されている。
【0036】
付加データとしては、図7の1行目に示す注目の数値には「1」を付加し、非注目の数値には「0」を付加することが決定され、ステップS14からステップS16の処理では、まずデータの右側に「1」または「0」の数値列が付加されている。なお、どの位置(何行目)の数値が注目であり、どの位置(何行目)の数値が非注目であるという情報は対象データに含まれていてもよいし、オペレータが指示入力するようにしてもよい。この図24の実施形態では、更にデータの左側に「1」または「0」の数値列が付加される。このように付加合成したデータは機械学習装置などのデータ処理装置200へ送出される。
【0037】
図25に付加データを別のタイプのものとした例を示す。データの右側及び左側に「1」または「0」が付加されるまでは、図24の例と同様である。出力データと、その右側及び左側に「1」または「0」の数値列が付加されたものをレイヤ1とし、レイヤ2に注目非注目の別を示す数値列を3パターン(3列)備えた付加データを付加したものである。つまり、レイヤ2の付加データは、3列共に注目非注目の別を示す数値列であり、例えば、対象データに対して時系列に評価を与えてゆく処理の場合などに用いることができる。例えば、第1回目の評価には最左の一列の数値列を用い、第2回目の評価には中央の一列の数値列を用い、第3回目の評価には最右の一列の数値列を用いることができる。
【0038】
第2の本実施形態に係るデータ編集装置は、図26に示されるフローチャートに対応するプログラムによって処理を実行する。この実施形態では、削除情報を用いた削除処理を実行せずに、ステップS14~S16を実行して付加データの合成を行う。そして、ステップS18において所要数の付加データの合成ができたかを検出し(S18)、NOとなるとステップS14へ戻って処理を実行する。一方、ステップS18においてYESへ分岐すると、付加して付加合成したデータを機械学習装置などのデータ処理装置200へ送出する(S17)。
【0039】
図27に、第2の実施形態による処理の具体例が示されている。ここでは、第2回目の付加データの種類情報として「スペック」が指定された場合を例とする。つまり、対象データを出力する装置の能力情報である「スペック」が種類情報として指定された場合である。本実施形態では、対象データである入力の数値列と出力の数値列をレイヤ1にセットし、レイヤ2の付加データとして、入力の数値列と出力の数値列に対し注目非注目の別を示す数値列を付加データとしてセットしたものである。第2回目のステップS14~S16を実行する処理によって「スペック」が付加データとしてセットされている。ここでは、入力データに対し、最小側(MIN)のスペックをレイヤ3にセットし、また、入力データに対し、最大側(MAX)のスペックをレイヤ4にセットしたものである。
【0040】
図28には、波形により入力された対象データを数値列に変換する処理を行う変換処理手段を、本実施形態の編集装置が有していることを示すものである。また、本実施形態では、付加データをセットすることなく、削除規則情報に基づく削除結果を得た段階で、この削除結果を機械学習装置などのデータ処理装置200へ送出するものも、本実施形態の構成であることを示している。
【0041】
図29には、図24において示した処理を、波形により入力された対象データについて、数値化することなく1次元のグラフにおいて表現したデータにより編集することを示したものである。入力側のデータがなくなるため、1次元の大きさで出力が表される。注目・非注目については、数値をマークで表した図形の塗りつぶし色やパターンで表現する。図30には、図29では注目・非注目については、数値をマークで表した図形の塗りつぶし色やパターンで表現するようにしたものを、図形の形状を異ならせて表現するようにしたものである。
【0042】
斯くして本実施形態によれば、機械へ投入するデータを、処理の手助けになるように編集することができ、機械学習装置などのデータ処理装置へ編集後のデータを与えた場合には、処理の高精度化や高速化が見込めるものであり、機械学習モデルの作成にあっては高精度なモデルの生成を行うことが期待される。
【符号の説明】
【0043】
10 CPU
11 主メモリ
12 バス
13 外部記憶インタフェース
14 入力インタフェース
15 表示インタフェース
16 データ入出力インタフェース
22 ポインティングデバイス
23 外部記憶装置
24 入力装置
25 表示装置
100 データ編集装置
110 削除手段
120 削除規則情報保持部
130 付加合成手段
140 付加データDB(データベース)
150 送出手段
200 データ処理装置
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