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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025014920
(43)【公開日】2025-01-30
(54)【発明の名称】水中移動体用採水器
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/10 20060101AFI20250123BHJP
【FI】
G01N1/10 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023117872
(22)【出願日】2023-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】000151449
【氏名又は名称】株式会社東京久栄
(74)【代理人】
【識別番号】100166073
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 秀治
(72)【発明者】
【氏名】小林 努
(72)【発明者】
【氏名】別所 学
(72)【発明者】
【氏名】小林 月都
(72)【発明者】
【氏名】國澤 弘
【テーマコード(参考)】
2G052
【Fターム(参考)】
2G052AA06
2G052AC05
2G052AD06
2G052BA17
2G052DA13
2G052DA23
2G052JA04
(57)【要約】
【課題】 開閉アームを有する水中ドローンに取り付け可能で、大量の海水等を一瞬でサンプリングすることができ、ボトリングも容易である、水中移動体用採水器を提供する。
【解決手段】 筒状の採水容器11の両端に、弾性体13によって引っ張られる閉鎖蓋12が各々位置し、弾性体13を引き伸ばした状態で閉鎖蓋12を保持するロック状態の際は、閉鎖蓋12と採水容器11との間に隙間Sを有しており、ロック解除の際は、採水容器11の両端を閉鎖蓋12が閉鎖することで採水を行う、採水容器1を備えると共に、開閉可能な作業アーム21を有する、水中ドローン2への装着手段3と、水中ドローン2の作業アーム21の開閉に連動する、連動手段4と、連動手段4によりロック解除を行う、ロック手段5とを備え、ロック手段5により、閉鎖蓋12が、採水容器11の両端を閉鎖する閉鎖動作を行う。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の採水容器の両端に、弾性体によって互いに引っ張られる閉鎖蓋が各々位置し、
弾性体を引き伸ばした状態で閉鎖蓋を保持するロック状態の際は、閉鎖蓋と採水容器との間に隙間を有しており、
ロック解除の際は、採水容器の両端を閉鎖蓋が閉鎖することで採水を行う、採水容器を備えると共に、
作業アームを有する、水中ドローンへの装着手段と、
水中ドローンの作業アームの動作に連動する、連動手段と、
連動手段によりロック解除を行う、ロック手段とを備えていることを特徴とする、水中移動体用採水器。
【請求項2】
前記採水容器の両端に、採水容器の外径より大きい外径を有する収納筒が各々取り付けられ、
前記閉鎖蓋が、収納筒内に位置することを特徴とする、請求項1に記載の水中移動体用採水器。
【請求項3】
前記連動手段が、
内側線体と、該内側腺体を移動自在に内部に収めた外側菅とによる線状体とで構成され、
該線状体の一端側を水中ドローンの作業アーム側に取り付け、他端側を採水容器側に取り付けたものであることを特徴とする、請求項2に記載の水中移動体用採水器。
【請求項4】
前記ロック手段が、
先端側に引掛環を有すると共に、他端側が閉鎖蓋の外側に取り付けられ、閉鎖蓋の後方に位置する滑車ローラによって向きが変えられるボールチェーンと、
前記連動手段の内側腺体が中央に取り付けられ、動作プレートと、
該動作プレートの右側に位置し、中央を内側腺体が貫通する、右側プレートと、
該動作プレートの左側に位置する、左側プレートと、
該動作プレートの内側腺体の取り付け位置を基準として左右対称の位置に、動作プレートを貫通し、動作プレートがスライド自在に移動する、固定ガイドピンと、
これらの固定ガイドピンに隣接する各々の位置に、動作プレートに固定され、動作プレートと共に移動可能であり、左端が左側プレートから突出可能で、右端が右側プレートから突出可能な、連動ピンと、
固定ガイドピンと組み合う、弾性体とを備えていることを特徴とする、請求項3に記載の水中移動体用採水器。
【請求項5】
採水容器の上側にエア取込口を設けると共に、下側に取出口を設けることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一つに記載の水中移動体用採水器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中移動体用採水器に関し、詳細には、開閉可能な作業アームを備えた水中ドローンに装着可能で、作業アームの動きを利用して採水容器の閉鎖動作を行う、水中移動体用採水器に関する。
【背景技術】
【0002】
水中移動可能な市販のドローンの開閉アームの動作を利用し、任意の水深でのサンプリングを可能とする水中移動体用作業装置として、特許文献1に記載の装置が知られている。
【0003】
該装置は、図1に示すように、曲線状の開閉動作によるアーム1を備えた水中移動体2に取り付けるための取付手段と、直線状の作業動作によるシリンダ21とピストン22とを備えた作業手段20と、前記水中移動体2のアーム1の曲線状の開閉動作を、前記作業手段20の直線状の作業動作に変換する、リンク機構30とを備え、ピストン22の引き出し動作によって、シリンダ21内に任意の水深でのサンプリングを可能とするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-136346号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の装置は、アームの開閉動作を変換したピストンの動作によってシリンダ内にサンプリングするので、採取量がアームの作業動作距離に限定され、大量の海水等を一瞬でサンプリングすることが難しかった。
【0006】
また、サンプリングした海水等を、外部の容器に取り出す際も、水中移動体のアームを操作してピストンを押し込むことでシリンダ外に排出するので、アームを操作する者に加えて、取り出し作業自体を行う者が必要なので、一人の作業員で採水器から容器に取り分けるボトリングを行うことができず、ボトリングが容易でなかった。
【0007】
したがって、本発明の解決しようとする課題は、開閉アームを有する水中ドローンに取り付け可能で、大量の海水等を一瞬でサンプリングすることができ、ボトリングも容易である、水中移動体用採水器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の課題を解決するための手段は、下記のとおりである。
【0009】
第1に、
筒状の採水容器の両端に、弾性体によって互いに引っ張られる閉鎖蓋が各々位置し、
弾性体を引き伸ばした状態で閉鎖蓋を保持するロック状態の際は、閉鎖蓋と採水容器との間に隙間を有しており、
ロック解除の際は、採水容器の両端を閉鎖蓋が閉鎖することで採水を行う、採水容器を備えると共に、
動作可能な作業アームを有する、水中ドローンへの装着手段と、
水中ドローンの作業アームの動作に連動する、連動手段と、
連動手段によりロック解除を行う、ロック手段とを備え、
ロック手段により、閉鎖蓋が、採水容器の両端を閉鎖する閉鎖動作を行うことを特徴とする、水中移動体用採水器。
【0010】
ここで使用する弾性体は、紐状ゴムの他に、シリコンチューブなどを採用することができる。
【0011】
また、作業アームは、ロック手段のロック解除の動作に影響を与えるものであれば、各種形状やタイプのものを採用することができ、例えば開閉動作を行うクローアームを採用することができる。
【0012】
第2に、
前記採水容器の両端に、採水容器の外径より大きい外径を有する収納筒が各々取り付けられ、
前記閉鎖蓋が、収納筒内に位置することを特徴とする、前記第1に記載の水中移動体用採水器。
【0013】
ここで、採水容器や収納筒は、透過性を有する材質で構成することが好ましいが、限定されるものではない。
【0014】
第3に、
前記連動手段が、
内側線体と、該内側腺体を移動自在に内部に収めた外側菅とによる線状体とで構成され、
該線状体の一端側を水中ドローンの作業アーム側に取り付け、他端側を採水容器側に取り付けたものであることを特徴とする、前記第2に記載の水中移動体用採水器。
【0015】
前記線状体は、自転車等で使用されるブレーキ等を採用することができ、内側腺体としてはワイヤ等を採用することができる。
【0016】
前記水中ドローンの作業アームは、挟み込みや、開閉動作等ができるものであれば限定されることはない。
【0017】
第4に、
前記ロック手段が、
先端側に引掛環を有すると共に、他端側が閉鎖蓋の外側に取り付けられ、閉鎖蓋の後方に位置する滑車ローラによって向きが変えられるボールチェーンと、
前記連動手段の内側腺体が中央に取り付けられ、動作プレートと、
該動作プレートの右側に位置し、中央を内側腺体が貫通する、右側プレートと、
該動作プレートの左側に位置する、左側プレートと、
該動作プレートの内側腺体の取り付け位置を基準として左右対称の位置に、動作プレートを貫通し、動作プレートがスライド自在に移動する、固定ガイドピンと、
これらの固定ガイドピンに隣接する各々の位置に、動作プレートに固定され、動作プレートと共に移動可能であり、左端が左側プレートから突出可能で、右端が右側プレートから突出可能な、連動ピンと、
固定ガイドピンと組み合う、弾性体とを備えていることを特徴とする、前記第3に記載の水中移動体用採水器。
【0018】
ここで使用する弾性体は、金属バネの他に、ゴム系素材のものを採用することができる。
【0019】
前記固定ガイドピンや連動ピンとしては、長めの金属ボルトの他に、各種素材によるボルトや棒状物等を採用することができる。
【0020】
前記固定ガイドピンと連動ピンの位置関係は、連動ピンがガイドピンに隣接するものであればよく、例えば、固定ガイドピンの外側の各々の位置に連動ピンを設ける他に、固定ガイドピンの内側の各々の位置に連動ピンを設けることもできる。
【0021】
第5に、
採水容器の上側にエア取込口を設けると共に、下側に取出口を設けることを特徴とする、前記第1~第4のいずれか一つに記載の水中移動体用採水器。
【0022】
前記エア取込口は、ボトリングの際にコックとして機能するものである。
【0023】
前記取出口は、ボトリングの際に採水容器内の水を取り出す箇所であり、例えば、L型菅を接続することで構成することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、以下の効果を奏することができる。
【0025】
水中ドローンに取り付け可能で、水中ドローンの作業アームの動作で、瞬間的にロックを解除して採水容器に採水するので、大量の海水等を一瞬でサンプリングすることができる。
【0026】
ここで、各水中ドローンの搭載可能重量までは、採水容器の容量を限界まで大きくすることができ、任意の箇所の海水等を一度に大量にサンプリングすることができる。
【0027】
また、サンプリングした海水等を、外部の容器に取り出す際に、水中ドローンを操作する必要もないので、一人の作業員でボトリングを行うことができ、採水器から容器に取り分けるボトリングが容易である。
【0028】
特に、閉鎖蓋が、収納筒内に位置することで、水中ドローンの運行の際に、閉鎖蓋が水中で抵抗を受けることがなくなるので、水中をスムーズに移動し、所望の箇所で採水することが可能となる。
【0029】
また、採水容器に、エア取込口を設けると共に下側に取出口を設けることで、よりスムーズにボトリングすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の水中移動体用採水器の斜視図であり、上の図は右側を下の図は左側を示している。
図2】本発明の水中移動体用採水器のロック状態の側面図であり、(A)は右側を(B)は左側を示している。
図3】本発明の水中移動体用採水器のロック解除状態の側面図であり、(A)は右側を(B)は左側を示している。
図4】本発明の水中移動体用採水器のロック手段と連動手段の要部の説明図であり、(A)はロック状態を(B)はロック解除状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照しつつ具体的に説明する。
ここで、添付図面において同一の部材には同一符号を付しており、また重複した説明は省略されている。
なお、ここでの説明は本発明が実施される一形態であることから、本発明は当該形態に限定されるものではない。
【実施例0032】
本実施例1の水中移動体用採水器は、図1に示すように、透過性を有する素材で形成された採水容器1と、水中ドローン(図2参照)2への装着手段3と、連動手段4と、ロック手段5とを備えている。
【0033】
[採水容器]
【0034】
採水容器1は、全体が筒状の採水容器11を有している。
【0035】
該採水容器11は、筒状の中央容器111の両端に、該中央容器111の外径より小さな外径のサイド容器112を接続したものである。
【0036】
該採水容器11の両端には、採水容器111のサイド容器112の外径より大きい外径を有する収納筒14が、各々取り付けられている。
【0037】
これら収納筒14の内部には、シリコンチューブによる弾性体13によって互いに引っ張られるゴム製の閉鎖蓋12が各々位置している。
【0038】
該閉鎖蓋12は、弾性体13との接続側に、半球状部121が形成され、該半球状部121に連続して、サイド容器112の外径より大きな直径の短円柱状部122が形成されている。
【0039】
ここで、採水容器11や収納筒14は、透明な材質のもので構成されている。
【0040】
採水容器11の中央容器111の上側には、ボトリングの際にコックとして機能するエア取込口15が取り付けられている。
【0041】
採水容器11の中央容器111のエア取込口15の取付位置と反対側の下側には、ボトリングの際に採水容器11内の水を取り出すために、L型菅による取出口16が取り付けられている。
【0042】
該取出口16には、図2図3中に2点鎖線で示すように、透過性を有するボトリングチューブ17が取り付けられており、ボトリング時以外は、図示は省略するクリップによって閉鎖されている。
【0043】
[水中ドローン]
【0044】
本実施例1の水中移動体用採水器を装着する水中ドローン2は、図2中に2点鎖線で概念的に示すように、特に限定されるものではなく、後述のロック手段の引掛環を外す動作を行うことを可能とする作業アームを備えたものであれば各種形状やタイプのものを採用することができ、一例として開閉自在な作業アーム21を有するものである。
【0045】
作業アーム21は、第1アーム211と第2アーム212の2本のアームを備えており、図3に示すように、先端が左右に開いてハサミ状の開閉動作が可能なものである。
【0046】
[装着手段]
【0047】
図2に示すように、開閉可能な作業アーム21を有する、水中ドローン2への装着手段3は、水中ドローン2の上面側に採水容器1を取り付けるものであるが、下面側やフレーム枠内に取り付けることもできる。
【0048】
図1に示すように、装着手段3は、基台31と、中央容器11をバランスよく2箇所で保持するための取付プレート32及び中央容器11の外径と同じ内径の取付リング33とにより構成されている。
【0049】
[連動手段]
【0050】
水中ドローン2の作業アーム21の開閉に連動する、連動手段4は、図3中の(A)に示すように、ワイヤによる内側線体411と、該内側腺体411を移動自在に内部に収めた外側菅412とによる線状体41とで構成されている。
【0051】
該線状体41の作業アーム21側である一端側では、第1アーム211に容器側取付菅42が固定され、第2アーム212に内側腺体411の先端部分が取り付けられている。
【0052】
線状体41の採水容器1側では、右側プレート53に容器側取付菅42が取り付けられ、図4中の(A)に示すように、内側腺体411が右側プレート53を貫通して動作プレート52に取り付けられている。
【0053】
[ロック手段]
【0054】
図1または図4に示すように、連動手段4によりロック解除を行う、ロック手段5は、ボールチェーン51と、滑車ローラ52と、動作プレート52と、右側プレート53と、左側プレート54と、固定ガイドピン55と、連動ピン56と、金属バネによる弾性体57とを備えている。
【0055】
ボールチェーン51は、図2中の(B)に示すように、先端側にリング状の引掛環511が取り付けられ、他端側が閉鎖蓋12の外側に取り付けられている。
【0056】
ボールチェーン51は、閉鎖蓋12の後方に位置する滑車ローラ52によって、ほぼ水平方向から下向きに向きが変えられている。
【0057】
動作プレート52には、図4に模式的に示すように、中央に内側腺体411が固定して取り付けられている。
【0058】
右側プレート53は、動作プレート52の右側に間隔を有して位置されており、中央には内側腺体411がスライド自在に貫通している。
【0059】
左側プレート54は、動作プレート52の左側に間隔を有して位置されている。
【0060】
該左側プレート54の両端は、L型状に加工され、その先端部分は逆L型状に加工され、右側プレート53に接触している。
【0061】
固定ガイドピン55は、動作プレート52の内側腺体411の取り付け位置を基準として左右対称の位置に、動作プレート52を貫通し、動作プレート52がスライド自在に移動するように取り付けられている。
【0062】
該固定ガイドピン55は、右側プレート53の外側から貫通し、左側プレート54を内側から貫通するボルト551の先端を、左側プレート54の外側からナット552で固定したものである。
【0063】
連動ピン56は、動作プレート52の中央を基準として、2本の固定ガイドピン55より外側の各々の位置に、動作プレート52を貫通してプレート固定ボルト562で挟み込むことで、動作プレート52に一体となって固定されたものであり、動作プレート52と共にスライド移動可能である。
【0064】
該連動ピン56は、右側プレート53と左側プレート54との間隔より長軸の袋ボルトによって構成され、先端側である左端が左側プレート54から貫通して突出し、袋ボルトヘッド561側である右端が右側プレート53から貫通して突出している。
【0065】
金属バネによる弾性体57は、固定ガイドピン55の外周で、動作プレート52と右側プレート53との間に位置し、固定ガイドピン55と組み合わされたものである。
【0066】
[作用]
【0067】
次に、本実施例1の水中移動体用採水器の作用について説明する。
【0068】
[ロック状態]
【0069】
図3に示すロック解除状態にある採水容器1について、閉鎖蓋12によって隙間S(図2中の(A)参照)が閉じられた状態から、図2に示すように、ボールチェーン51を引っ張ることで、シリコンチューブによる弾性体13によって引張状態にある閉鎖蓋12が外側に引っ張られ、閉鎖蓋12と採水容器11のサイド容器112との間に隙間Sが形成される。
【0070】
ボールチェーン51を引っ張った状態を保ちつつ、ボールチェーン51の先端の引掛環511を、図2中の(B)に示すように、連動ピン56の先端に引っ掛けることで、シリコンチューブによる弾性体13が伸ばされた状態でロック状態が保持される。
【0071】
この状態では、図2中の(A)に示すように、作業アーム21の第1アーム211と第2アーム212とは閉じており、内側腺体411の端部とアーム側取付菅43との距離は近い。
【0072】
他方、図4中の(A)に示すように、金属バネによる弾性体57が伸びることで、動作プレート52が左側プレート54に近づく。
【0073】
その結果、動作プレート52に固定されている連動ピン56の先端が、左側プレート54からかなり突出し、該突出部分に引掛環511が掛けられる。
【0074】
[水中ドローン操作]
【0075】
ロック状態のまま水中ドローン2を操作し、所定の箇所で、図3に示すように、作業アーム21を開くことでロックを解除する。
【0076】
ここで、水中ドローン2が水中を進む際には、閉鎖蓋12が収納筒14内に位置しているので、閉鎖蓋12が水中で抵抗を受けることがなくスムーズに移動可能となる。
【0077】
[ロック解除]
【0078】
図3に示すように、作業アーム21の第1アーム211と第2アーム212とを開くことで、第1アーム211の先端付近と第2アーム212の先端付近との距離が離れ、内側腺体411の端部が、アーム側取付菅43から作業アーム21が開いた距離だけ離れて移動する。
【0079】
その結果、図4中の(B)に示すように、内側腺体411の端部が、容器側取付菅42側に引き込まれ、動作プレート52が右側プレート53に近づくことで、金属バネによる弾性体57が縮んで、動作プレート52に固定された連動ピン56の先端の左側プレート54からの突出部分が引き込まれ、引掛環511が外れ、ロックが解除される。
【0080】
ロックが解除されると、図3に示すように、各閉鎖蓋12が、各サイド容器112の端部を瞬時に閉鎖することで、採水容器1の両端が閉じられ、内部空間に必要量の採水が瞬時に完了する。
【0081】
[ボトリング]
【0082】
採水完了後、水中ドローン2を地上に引き上げ、エア取込口15を開放して、内部に空気が取り込み可能とした後に、取出口16に接続されたボトリングチューブ17を閉じていたクリップを外し、採水した海水等を別の容器に移すことで、一人の作業員だけで、スムーズにボトリングが完了する。
【符号の説明】
【0083】
1 採水容器
11 採水容器
111 中央容器
112 サイド容器
12 閉鎖蓋
121 半球状部
122 短円柱状部
13 弾性体
14 収納筒
15 エア取込口
16 取出口
17 ボトリングチューブ
2 水中ドローン
21 作業アーム
211 第1アーム
212 第2アーム
3 装着手段
31 基台
32 取付プレート
33 取付リング
4 連動手段
41 線状体
411 内側腺体
412 外側菅
42 容器側取付菅
43 アーム側取付菅
5 ロック手段
51 ボールチェーン
511 引掛環
52 滑車ローラ
52 動作プレート
53 右側プレート
54 左側プレート
55 固定ガイドピン
551 ボルト
552 ナット
56 連動ピン
561 袋ボルトヘッド
562 プレート固定ボルト
57 弾性体
S 隙間
図1
図2
図3
図4