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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025149352
(43)【公開日】2025-10-08
(54)【発明の名称】排気システム
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/20 20060101AFI20251001BHJP
   F01N 3/24 20060101ALI20251001BHJP
   F02D 13/02 20060101ALI20251001BHJP
   F02M 26/05 20160101ALI20251001BHJP
   F02M 26/35 20160101ALI20251001BHJP
   F01N 5/04 20060101ALI20251001BHJP
   F02B 37/02 20060101ALI20251001BHJP
   F02B 37/18 20060101ALI20251001BHJP
   F02B 37/22 20060101ALI20251001BHJP
【FI】
F01N3/20 D
F01N3/24 C
F01N3/24 T
F01N3/24 S
F02D13/02 J
F02D13/02 B
F02M26/05
F02M26/35 C
F01N5/04 C
F02B37/02 H
F02B37/18 A
F02B37/22
F02D13/02 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024049946
(22)【出願日】2024-03-26
(71)【出願人】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山形 直之
【テーマコード(参考)】
3G005
3G062
3G091
3G092
【Fターム(参考)】
3G005EA04
3G005EA16
3G005FA22
3G005FA35
3G005FA36
3G005GA02
3G005GB27
3G005GD09
3G005HA08
3G005HA09
3G005HA12
3G005HA18
3G005JA16
3G005JA24
3G005JA35
3G005JA39
3G005JA45
3G005JA51
3G005JB02
3G062AA05
3G062BA02
3G062BA06
3G062BA09
3G062CA02
3G062ED01
3G062ED04
3G062ED09
3G062FA12
3G062GA01
3G062GA04
3G062GA06
3G062GA09
3G062GA14
3G062GA18
3G091AA02
3G091AA10
3G091AA11
3G091AA17
3G091AA28
3G091AB03
3G091BA02
3G091BA14
3G091CB07
3G091EA01
3G091EA05
3G091EA07
3G091EA17
3G091EA18
3G091EA34
3G091FA04
3G091FC05
3G091HA03
3G091HA08
3G091HA36
3G091HA37
3G091HA38
3G091HA42
3G091HB02
3G091HB05
3G091HB06
3G092AA01
3G092AA11
3G092AA17
3G092AA18
3G092BA01
3G092BA03
3G092BA04
3G092DA02
3G092DA03
3G092DB03
3G092DC08
3G092DF02
3G092FA16
3G092FA17
3G092GA02
3G092HA01Z
3G092HA16Z
3G092HD02Z
3G092HD06Z
3G092HD07Z
3G092HE01Z
3G092HE03Z
3G092HF08Z
(57)【要約】
【課題】排気触媒の暖機効率を向上させるとともに、ノッキングを抑制する。
【解決手段】排気通路50は、第1排気バルブ23により開閉される第1排気通路51と、第1排気通路51とは独立して排気ガスを流通させ、第2排気バルブ24により開閉される第2排気通路52と、第1排気通路51と第2排気通路52とが合流した第3排気通路53と、を含み、排気触媒は、第3排気通路53に設けられた主排気触媒60と、第1排気通路51に配置されかつ主排気触媒60よりも容量が小さい副排気触媒61と、を含み、EGR通路55は、第1排気通路51における副排気触媒61よりも下流側の部分に接続されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気ガスが流通する排気通路と、
エンジンの燃焼室と前記排気通路との間を開閉する第1排気バルブ及び第2排気バルブと、
前記排気通路を流通する排気ガスの一部を吸気通路に還流させるEGR通路と、
前記排気通路に設けられ、排気ガスを浄化する複数の排気触媒と、を備え、
前記排気通路は、
前記第1排気バルブにより開閉される第1排気通路と、
前記第1排気通路とは独立して排気ガスを流通させ、前記第2排気バルブにより開閉される第2排気通路と、
前記第1排気通路と前記第2排気通路とが合流した第3排気通路と、
を含み、
前記排気触媒は、
前記第3排気通路に設けられた主排気触媒と、
前記第1排気通路に配置されかつ前記主排気触媒よりも容量が小さい副排気触媒と、
を含み、
前記EGR通路は、前記第1排気通路における前記副排気触媒よりも下流側の部分に接続されている排気システム。
【請求項2】
請求項1に記載の排気システムにおいて、
前記第2排気通路は、エジェクタを有する排気システム。
【請求項3】
請求項1に記載の排気システムにおいて、
前記第1排気通路及び前記第2排気通路と、前記第3排気通路との間には、ツインスクロールターボチャージャのタービンが配置されるタービンハウジングが配置され、
前記第1排気通路と前記第2排気通路とは、前記タービンハウジングで結合される排気システム。
【請求項4】
請求項1に記載の排気システムにおいて、
前記第3排気通路における前記主排気触媒よりも上流側の部分には、ターボチャージャのタービンが配置されるタービンハウジングが配置され、
前記第1排気通路と前記第2排気通路とは、前記タービンハウジングよりも上流側で、互いに平行になるよう前記第3排気通路に結合される排気システム。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1つに記載の排気システムにおいて、
前記第2排気通路から前記第3排気通路への排気ガスの流量を調整する流量調整部と、
前記流量調整部を作動させるコントローラと、を更に備え、
前記コントローラは、前記エンジンの運転状態が所定負荷未満でかつ所定回転数未満である第1運転領域に属するときには、前記第2排気通路から前記第3排気通路への排気ガスの流通を停止させるよう前記流量調整部を作動させる排気システム。
【請求項6】
請求項1~4のいずれか1つに記載の排気システムにおいて、
前記第1排気バルブ及び前記第2排気バルブを作動させるコントローラを更に備え、
前記コントローラは、前記エンジンの運転状態が所定負荷以上でかつ所定回転数以上である第2運転領域に属するときには、前記第1排気バルブの開弁時期を前記第2排気バルブの開弁時期よりも遅角させる排気システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示された技術は、排気システムに関する技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来より、排気通路に排気触媒を複数配置した排気システムが知られている。
【0003】
特許文献1には、排気マニホルド集合部から排気ターボチャージャの排気タービンに至る排気通路内に酸化機能を有する第1の触媒(副排気触媒)を配置し、排気タービン下流の排気通路内に該第1の触媒よりも容量の大きい第2の触媒(主排気触媒)を配置した内燃機関の排気浄化装置が開示されている。特許文献1の排気浄化装置では、第1の触媒は、排気通路におけるEGR通路よりも下流側の部分に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-113803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のように、排気通路における排気触媒よりも上流側の部分とEGR通路とを接続すると、高温の排気ガスがEGR通路に流れてしまい、排気触媒の暖気効率が低下してしまう。また、エンジンの温間時において、排気触媒を通過せずに排気ガスを還流させるため、NOが燃焼室に侵入してしまいノッキングが生じるおそれがある。
【0006】
ここに開示された技術は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、排気触媒の暖機効率を向上させるとともに、ノッキングを抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、ここに開示された技術の第1の態様は、排気システムを対象とする。排気システムは、排気ガスが排出される排気通路と、前記エンジンの燃焼室と前記排気通路との間を開閉する第1排気バルブ及び第2排気バルブと、前記排気通路を流通する排気ガスの一部を吸気通路に還流させるEGR通路と、前記排気通路に設けられ、排気ガスを浄化する複数の排気触媒と、を備え、前記排気通路は、前記第1排気バルブにより開閉される第1排気通路と、前記第1排気通路とは独立して排気ガスを流通させ、前記第2排気バルブにより開閉される第2排気通路と、前記第1排気通路と前記第2排気通路とが合流した第3排気通路と、を含み、前記排気触媒は、前記第3排気通路に設けられた主排気触媒と、前記第1排気通路に配置されかつ前記主排気触媒よりも容量が小さい副排気触媒と、を含み、前記EGR通路は、前記第1排気通路における前記副排気触媒よりも下流側の部分に接続されている。
【0008】
第1の態様では、EGR通路が第1排気通路における副排気触媒よりも下流側の部分と接続されているため、第1排気通路を通る排気ガスは、副排気触媒を通過してからEGR通路に導入される。これにより、排気システムは、副排気触媒を効率的に暖機できる。また、NOが還流させることを抑制できるため、排気システムは、ノッキングを抑制できる。
【0009】
また、第2排気通路には、副排気触媒が設けられておらずかつEGR通路も接続されていない。このため、第2排気通路を通る排気ガスは、そのまま第3排気通路に導入されて、主排気触媒を通過する。排気ガス量が多いときには、第2排気通路に排気ガスを流通させることで、排気システムは、主排気触媒を効率良く暖機できる。
【0010】
したがって、排気システムは、ノッキングを抑制しつつ排気触媒の暖機効率を向上できる。
【0011】
第2の態様は、第1の態様において、前記第2排気通路は、エジェクタを有する。
【0012】
第2の態様では、第2排気通路の排気ガスをできる限り早期に流通させることができるため、第2排気通路での排気干渉を抑制できる。
【0013】
第3の態様は、第1の態様において、前記第1排気通路及び前記第2排気通路と、前記第3排気通路との間には、ツインスクロールターボチャージャのタービンが配置されるタービンハウジングが配置され、前記第1排気通路と前記第2排気通路とは、前記タービンハウジングで結合される。
【0014】
第3の態様では、ツインスクロールターボチャージャのタービンハウジングで第1排気通路と第2排気通路とが結合されるため、第2排気通路から第1排気通路への排気ガスの逆流を抑制できる。これにより、第2排気通路を通る排気ガスがEGR通路に流入するのを抑制できるため、排気システムは、ノッキングを効果的に抑制できる。
【0015】
第4の態様は、第1の態様において、前記第3排気通路における前記主排気触媒よりも上流側の部分には、ターボチャージャのタービンが配置されるタービンハウジングが配置され、前記第1排気通路と前記第2排気通路とは、前記タービンハウジングよりも上流側で、互いに平行になるよう前記第3排気通路に結合される。
【0016】
第4の態様では、第1排気通路と第2排気通路とが結合部で平行になっていることで、第2排気通路から第1排気通路への排気ガスの逆流を抑制できる。これにより、第2排気通路を通る排気ガスがEGR通路に流入するのを抑制できるため、排気システムは、ノッキングを効果的に抑制できる。
【0017】
第5の態様は、第1~第4の態様のいずれか1つにおいて、前記第2排気通路から前記第3排気通路への排気ガスの流量を調整する流量調整部と、前記流量調整部を作動させるコントローラと、を更に備え、前記コントローラは、前記エンジンの運転状態が所定負荷未満でかつ所定回転数未満である第1運転領域に属するときには、前記第2排気通路から前記第3排気通路への排気ガスの流通を停止させるよう前記流量調整部を作動させる。
【0018】
第5の態様では、副排気触媒を効率的に暖機できる。すなわち、エンジンの運転状態が第1運転領域にあるときには、排気ガス量が比較的少ないため、第1排気通路にのみ排気ガスを流通させる。これにより、排気システムは、排気ガス量が少なくても副排気触媒を効率的に暖機できる。
【0019】
また、エンジンの運転状態が第1運転領域にあるときには、エンジンが冷間状態にあることが多い。第5の態様の排気システムは、できる限り多くの排気ガスをEGR通路で還流できるため、エンジンを早期に暖機できる。
【0020】
第6の態様は、第1~第4の態様のいずれか1つにおいて、前記第1排気バルブ及び前記第2排気バルブを作動させるコントローラを更に備え、前記コントローラは、前記エンジンの運転状態が所定負荷以上でかつ所定回転数以上である第2運転領域に属するときには、前記第1排気バルブの開弁時期を前記第2排気バルブの開弁時期よりも遅角させる。
【0021】
第6の態様では、第1排気バルブよりも早く第2排気バルブを開くことで、第2排気通路には比較的高温の排気ガスが流入し、第1排気通路には比較的低温の排気ガスが流入する。これにより、排気システムは、主排気触媒を効率的に暖機できる。また、副排気触媒の熱劣化を抑制できる。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように、ここに開示された技術によると、排気システムは、排気触媒の暖機効率を向上できるとともに、ノッキングを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、例示的な実施形態1に係る排気システムを有するエンジンシステムを示す概略図である。
図2図2は、エンジンの燃焼室を示す断面図である。
図3図3は、エンジンの制御系を示すブロック図である。
図4図4は、エンジンの運転状態と排気バルブの開閉制御との関係を示すマップである。
図5図5は、エンジンの運転状態とEGR制御との関係を示すマップである。
図6図6は、第1排気バルブ制御のときの排気バルブの開閉動作を示す図である。
図7図7は、第2排気バルブ制御のときの排気バルブの開閉動作を示す図である。
図8図8は、第3排気バルブ制御のときの排気バルブの開閉動作を示す図である。
図9図9は、ECUが実行する、排気バルブの開閉制御を例示するフローチャートである。
図10図10は、実施形態2に係る排気システムを有するエンジンシステムを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、例示的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0025】
(実施形態1)
(1)エンジンシステムの全体構成
図1に、エンジンシステムを概略的に示す。エンジンシステムは、エンジン10と、吸気システム2と、排気システム1と、ターボチャージャ70と、を有している。
【0026】
(1-1)エンジン
エンジン10は、シリンダ11を有している。シリンダ11の中で、吸気行程、圧縮行程、膨張行程及び排気行程が繰り返されている。エンジン10は、4ストロークエンジンである。エンジン10は、四輪の自動車に搭載されている。エンジン10が運転することによって、自動車が走行する。
【0027】
エンジン10は、複数(ここでは4つ)の気筒を有する多気筒エンジンである。図2に示すように、シリンダブロック12と、シリンダヘッド13とを備えている。シリンダヘッド13は、シリンダブロック12の上に載置される。シリンダブロック12に、シリンダ11が形成されている。4つのシリンダ11は、直列に並んでいる。
【0028】
各シリンダ11には、ピストン14が内挿(収容)されている。ピストン14は、コネクティングロッドを介してクランクシャフトに連結されている。ピストン14は、シリンダ11の内部を往復動する。ピストン14、シリンダ11及びシリンダヘッド13は、燃焼室17を形成する。
【0029】
エンジン10には、シリンダ11内へ燃料を噴射するインジェクタ15が取り付けられている。インジェクタ15は、シリンダ11の中に燃料を直接噴射する。また。エンジン10には、インジェクタ15から噴射された燃料を含んだ混合気に点火する点火プラグ16が取り付けられている。
【0030】
4つのシリンダ11は、所定の順番で膨張行程が実行される。図1において、4つのシリンダ11を紙面左側から順に第1シリンダ11a、第2シリンダ11b、第3シリンダ11c、及び第4シリンダ11dとしたとき、本実施形態1では、第1シリンダ11a→第3シリンダ11c→第4シリンダ11d→第2シリンダ11bの順で膨張行程が実行される。
【0031】
(1-2)吸気システム
吸気システム2は、エンジン10に吸気を導入する。図1に示すように、吸気システムは、エンジン10に設けられた吸気ポート18と、吸気ポート18と連通する吸気通路40とを有する。
【0032】
吸気ポート18は、シリンダ11毎に形成されている。吸気ポート18は、燃焼室17内に連通している。
【0033】
吸気ポート18には、吸気バルブ19が配設されている。吸気バルブ19は、吸気ポート18を開閉する。動弁装置は、吸気バルブ19に接続されている。動弁装置は、吸気バルブ19を所定のタイミングで開閉する。動弁装置は、バルブタイミング及びバルブリフトの少なくとも1つを可変にする可変動弁装置である。図3に示すように、動弁装置は、吸気S-VT(Sequential-Valve Timing)231を有している。吸気S-VT231は、油圧式又は電気式である。吸気S-VT231は、吸気カムシャフトの回転位相を所定の角度範囲内で連続的に変更する。
【0034】
吸気通路40は、各シリンダ11の吸気ポート18に連通している。シリンダ11に導入される空気は、吸気通路40を流れる。吸気通路40の上流端部には、エアクリーナ41が配設されている。エアクリーナ41は、空気を濾過する。吸気通路40の下流端近傍には、サージタンク42が配設されている。サージタンク42よりも下流の吸気通路40は、シリンダ11毎に分岐する独立通路を構成している。独立通路の下流端が、各シリンダ11の吸気ポート18に接続されている。
【0035】
吸気通路40におけるエアクリーナ41とサージタンク42との間には、スロットルバルブ43が配置されている。吸気通路40におけるエアクリーナ41とスロットルバルブ43との間には、ターボチャージャ70のコンプレッサ71が配置されるコンプレッサハウジング44が設けられている。吸気通路40におけるコンプレッサ71とスロットルバルブ43との間には、過給された空気を冷却するインタークーラ45が配置されている。
【0036】
(1-3)排気システム
排気システム1は、燃焼室17から排気ガスを排出する。排気システム1は、エンジン10に設けられた第1排気ポート21及び第2排気ポート22と、第1排気ポート21及び第2排気ポート22から排出された排気ガスが流通する排気通路50と、排気通路50に設けたられた主排気触媒60と、を有する。
【0037】
第1排気ポート21には、第1排気バルブ23が配設されている。第1排気バルブ23は、第1排気ポート21を開閉することで、燃焼室17と排気通路50との間を開閉する。第2排気ポート22には、第2排気バルブ24が配設されている。第2排気バルブ24は、第2排気ポート22を開閉することで、燃焼室17と排気通路50との間を開閉する。第1排気ポート21の燃焼室17への開口面積と第2排気ポート22の燃焼室17への開口面積とは、同じ大きさである。このため、第1排気バルブ23と第2排気バルブ24とは、同じ大きさである。
【0038】
4つのシリンダ11が並ぶ方向を直列方向としたとき、第1シリンダ11aの第1排気ポート21と第2シリンダ11bの第1排気ポート21とは、直列方向に相隣接する。第3シリンダ11cの第1排気ポート21と第4シリンダ11dの第1排気ポート21とは、直列方向に隣接する。第2シリンダ11bの第2排気ポート22と第3シリンダ11cの第2排気ポート22とは、直列方向に相隣接する。
【0039】
動弁装置は、第1排気バルブ23及び第2排気バルブ24に接続されている。動弁装置は、第1排気バルブ23及び第2排気バルブ24を所定のタイミングで開閉する。動弁装置は、バルブタイミング及び/又はバルブリフトを可変にする可変動弁装置である。図3に示すように、動弁装置は、排気S-VT241を有している。排気S-VT241は、油圧式又は電気式である。排気S-VT241は、排気カムシャフトの回転位相を所定の角度範囲内で連続的に変更する。
【0040】
排気システム1は、第1排気バルブ23の動作を停止させる弁停止機構を有する油圧ラッシュアジャスタ(Hydraulic Lash Adjuster:HLA)242を有する。HLA242は、各第1排気バルブ23に対して設けられている。HLA242の弁停止機構は、所定の作動油圧まで加圧されたオイルが供給されたときに作動して、停止させるシリンダ11の第1排気バルブ23を閉じ状態で停止させる。弁停止機構は、公知の構成(例えば、特開2023-30763号公報)を採用できるため、詳細な説明を省略する。HLA242は、流量調整部の一例である。
【0041】
排気通路50は、第1排気ポート21と連通する第1排気通路51と、第2排気ポート22と連通する第2排気通路52と、第1排気通路51と第2排気通路52とが合流した第3排気通路53と、を含む。
【0042】
第1排気通路51は、第1結合通路51aと、第2結合通路51bと、第1集合通路51cと、を有する。
【0043】
第1結合通路51aは、第1シリンダ11aの第1排気ポート21と第2シリンダ11bの第1排気ポート21とが結合した通路である。第2結合通路51bは、第3シリンダ11cの第1排気ポート21と第4シリンダ11dの第1排気ポート21とが結合した通路である。第1集合通路51cは、第1結合通路51aと第2結合通路51bとが結合した通路である。
【0044】
第1シリンダ11aと第2シリンダ11b、及び第3シリンダ11cと第4シリンダ11dとは、排気行程が連続する。第1排気バルブ23の開弁期間を工夫することにより、第1結合通路51a及び第2結合通路51bにおいて排気干渉が発生しないようにしている。第1排気バルブ23の開弁期間については後述する。
【0045】
第1集合通路51cには、副排気触媒61が設けられている。副排気触媒61は、主排気触媒60よりも容量が小さい触媒である。副排気触媒61は、三元触媒である。
【0046】
第1集合通路51cには、EGR通路55が接続されている。EGR通路55は、第1排気通路51を通る排気ガスの一部を吸気通路40に還流させるための通路である。EGR通路55の上流端は、第1集合通路51cにおける副排気触媒61よりも下流側の部分に接続されている。EGR通路55の下流端は、吸気通路40におけるスロットルバルブ43とサージタンク42との間に接続されている。
【0047】
EGR通路55には、EGRバルブ56が配設されている。EGRバルブ56は、EGR通路55を流れる排気ガスの流量を調節する。EGRバルブ56の開度を調節することによって、排気ガスの還流量を調節できる。
【0048】
第2排気通路52は、第1排気通路51とは独立した排気通路である。第2排気通路52には、排気触媒は設けられておらず、EGR通路も接続されていない。
【0049】
第2排気通路52は、第1独立通路52aと、第2独立通路52bと、第3結合通路52cと、第2集合通路52dと、を有する。
【0050】
第1独立通路52aは、第1シリンダ11aの第2排気ポート22から延びる通路である。第2独立通路52bは、第4シリンダ11dの第2排気ポート22から延びる通路である。第3結合通路52cは、第2シリンダ11bの第2排気ポート22と第3シリンダ11cの第2排気ポート22とが結合した通路である。第2シリンダ11bと第3シリンダ11cとは排気行程が連続しないため、第3結合通路52cでは排気干渉は発生しない。
【0051】
第2集合通路52dは、第1独立通路52a、第2独立通路52b、及び第3結合通路52cが集合した通路である。第2集合通路52dは、第2集合通路52dを流れる排気ガスの流れが、第1集合通路51cを流れる排気ガスの流れと平行でかつ同じ方向になるように延びている。具体的には、第2集合通路52dは、第1集合通路51cと平行に延びている。
【0052】
第1独立通路52a、第2独立通路52b、及び第3結合通路52cと、第2集合通路52dとの間には、エジェクタ57が配置されている。エジェクタ57は、相対的に流路断面積が狭いノズル部分と、相対的に流路断面積が広いディフューザ部分とを有する。ノズル部分は、第2集合通路52dよりも流路断面積が小さい。ディフューザ部分は、第2集合通路52dと同程度の流路断面積である。第1独立通路52a、第2独立通路52b、及び第3結合通路52cの各下流側端部は、高さ位置が揃うように並んでエジェクタ57に接続されている。第1独立通路52a、第2独立通路52b、及び第3結合通路52cからエジェクタ57に流入した排気ガスは、ノズル部分を通った後、ディフューザ部分を通過して、第2集合通路52dに流入する。エジェクタ57は、排気ガスを第2集合通路52dにスムーズに流れるようにして、第1独立通路52aと、第2独立通路52bと、第3結合通路52cとの間の排気干渉を抑制する。
【0053】
第3排気通路53は、第1集合通路51cと第2集合通路52dとが合流した通路である。
【0054】
第1集合通路51c及び第2集合通路52dと、第3排気通路53との間には、ターボチャージャ70のタービン72が配置されるタービンハウジング58が配置される。第1集合通路51cと第2集合通路52dとは、タービンハウジング58で結合される。つまり、第1排気通路51と第2排気通路52とは、タービンハウジング58で結合される。
【0055】
第1排気通路51の第1集合通路51cと第3排気通路53との間、及び第2排気通路52の第2集合通路52dと第3排気通路53との間には、ウエイストゲートバルブ74が接続されている。ウエイストゲートバルブ74は、第1集合通路51c及び第2集合通路52dを通る排気ガスを、タービンハウジング58に流入させるか、タービンハウジング58を迂回して、第3排気通路53に流すかを調整するバルブである。ウエイストゲートバルブ74が閉じ状態のときには、排気ガスは、タービンハウジング58に流入する。ウエイストゲートバルブ74が閉じ状態のときには、排気ガスによりタービン72が回転する。一方で、ウエイストゲートバルブ74が開き状態のときには、排気ガスは、タービンハウジング58を迂回して、第3排気通路53に流入する。ウエイストゲートバルブ74が開き状態のときには、排気ガスによるタービン72の回転が抑制される。
【0056】
主排気触媒60は、第3排気通路53に配置される。主排気触媒60は、三元触媒である。主排気触媒60を通過した排気ガスは、第3排気通路53を通って、車外に排出される。
【0057】
(1-4)ターボチャージャ
図1に示すように、ターボチャージャ70は、コンプレッサ71と、タービン72と、コンプレッサ71とタービン72とを接続するタービン軸73と、を有する。排気ガスによりタービン72が回転すると、タービン軸73によりコンプレッサ71に回転が伝達されて、コンプレッサ71が回転する。
【0058】
図1に示すように、ターボチャージャ70は、ツインスクロールターボチャージャである。タービンハウジング58は、互いに独立した第1スクロール部58aと、第2スクロール部58bとを有する。第1スクロール部58aは第1排気通路51に接続され、第2スクロール部は第2排気通路52に接続されている。第1排気通路51を流れる排気ガスと、第2排気通路52を流れる排気ガスとは、互いに独立してタービン72に供給される。
【0059】
(2)制御装置の構成
エンジンシステムの制御装置は、図3に示すように、エンジン10を運転するためのECU(Engine Control Unit)100を備えている。ECU100は、周知のマイクロコンピュータをベースとするコントローラであって、中央演算処理装置(Central Processing Unit:CPU)100aと、メモリ100bと、I/F回路100cと、を備えている。CPU100aは、プログラムを実行する。メモリ100bは、例えばRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)により構成されてプログラム及びデータを格納する。I/F回路100cは、電気信号の入出力をする。ECU100は、コントローラの一例である。ECU100は、排気システム1のコントローラとしても構成されている。
【0060】
ECU100は、例えばインジェクタ15及び点火プラグ16と電気的に接続されている。ECU100は、インジェクタ15、点火プラグ16の各々を制御する。
【0061】
ECU100には、図1及び図3に示すように、各種のセンサSW1~SW8が接続されている。センサSW1~SW8は、信号をECU100に出力する。センサには、以下のセンサが含まれる。
エアフローセンサSW1:吸気通路40におけるエアクリーナ41の下流に配置されかつ、吸気通路40を流れる空気の流量を計測する。
アクセル開度センサSW2:アクセルペダル機構に取り付けられかつ、アクセルペダルの操作量に対応したアクセル開度を計測する。
過給圧センサSW3:サージタンク42に取り付けられかつ、ターボチャージャ70により過給された空気の圧力を計測する。
クランク角センサSW4:エンジン10に取り付けられかつ、クランクシャフトの回転角を計測する。
第1A/FセンサSW5:第3排気通路53における主排気触媒60よりも上流に配置されかつ、排気ガス中の酸素濃度を検知する。
第2A/FセンサSW6:第3排気通路53における主排気触媒60の下流に配置されかつ、排気ガス中の酸素濃度を検知する。
主排気触媒温度センサSW7:主排気触媒60に配置され、主排気触媒60の温度を計測する。
副排気触媒温度センサSW8:副排気触媒61に配置され、主排気触媒60の温度を計測する。
【0062】
ECU100は、これらのセンサSW1~SW8の信号に基づいて、エンジン10の運転状態を判断すると共に、予め定められている制御ロジックに従って、各デバイスの制御量を演算する。制御ロジックは、メモリ100bに記憶されている。制御ロジックは、メモリ100bに記憶しているマップを用いて、目標量及び/又は制御量を演算することを含む。
【0063】
ECU100は、演算をした制御量に係る電気信号を、インジェクタ15、点火プラグ16、スロットルバルブ43、EGRバルブ56、ウエイストゲートバルブ74、吸気S-VT231、排気S-VT241、及びHLA242に出力する。
【0064】
(3)エンジンの運転制御マップ
図4及び図5は、エンジン10の制御に係るベースマップを例示している。図4は、第1排気バルブ23及び第2排気バルブ24の制御に関する第1ベースマップ401であり、図5は、EGRバルブ56の制御に関する第2ベースマップ501である。第1ベースマップ401及び第2ベースマップ501は、ECU10のメモリ100bに記憶されている。
【0065】
第1ベースマップ401は、エンジン負荷及びエンジン回転数によって規定されている。第1ベースマップ401は、全負荷ラインMLよりも低負荷の領域において、エンジン負荷の高低及びエンジン回転数の高低に対して大別して、第1運転領域411及び第2運転領域412の2つの領域に分かれている。境界線BLのエンジン負荷は所定負荷に相当し、境界線BLの回転数は所定回転数に相当する。境界線BLは、エンジン回転数が高いほど低負荷側に位置する。
【0066】
第1運転領域411は、エンジン負荷が境界線BLのエンジン負荷未満でかつエンジン回転数が境界線BLのエンジン回転数未満の領域である。つまり、第1運転領域411は、所定負荷未満でかつ所定回転数未満の運転領域である。
【0067】
第2運転領域412は、エンジン負荷が境界線BLのエンジン負荷以上でかつエンジン回転数が境界線BLのエンジン回転数以上の領域である。つまり、第2運転領域412は、所定負荷以上でかつ所定回転数以上の運転領域である。境界線BLは、第2運転領域412に属する。
【0068】
エンジン10の運転状態が第1運転領域411に属するときには、ECU100は、第2排気通路52から第3排気通路53への排気ガスの流通を停止させる。具体的には、ECU100は、HLA242により第2排気バルブ24の開閉動作を閉じ状態で停止させる。一方で、ECU100は、第1排気バルブ23については、ピストン14の往復動作に伴い開閉させる。これにより、シリンダ11で発生した排気ガスは、第2排気通路52に流入することなく、第1排気通路51にのみ流入する。
【0069】
ECU100は、エンジン10の運転状態が第1運転領域411に属するときには、エンジン10が冷間状態であるか温間状態であるかによって、第1排気バルブ23の開弁時期を異ならせる。第1排気バルブ23の開弁時期については後述する。なお、第1運転領域411自体は、エンジン10が冷間状態であっても温間状態であっても、同じエンジン負荷かつ同じエンジン回転数の領域である。
【0070】
エンジン10の運転状態が第2運転領域412に属するときには、ECU100は、第1排気通路51と第2排気通路52との両方から第3排気通路53へ排気ガスを流通させる。ECU100は、第1排気バルブ23の開弁時期と第2排気バルブ24の開弁時期とを異ならせる。第1排気バルブ23の開弁時期及び第2排気バルブ24の開弁時期については後述する。なお、第2運転領域412は、エンジン10が冷間状態であっても温間状態であっても、同じエンジン負荷かつ同じエンジン回転数の領域である。
【0071】
第2ベースマップ501は、第1運転領域411においてEGRバルブ56を開弁する第1EGR領域511と、第2運転領域412においてEGRバルブ56を開弁する第2EGR領域512と、を示す。第1EGR領域511及び第2EGR領域512以外の運転領域では、EGRバルブ56は全閉状態である。
【0072】
第1EGR領域511は、第1運転領域411における低負荷かつ低回転の領域に位置する。第1EGR領域511のエンジン負荷の範囲は、第1運転領域411のエンジン負荷の範囲よりも狭く、第1EGR領域511のエンジン回転数の範囲は、第1運転領域411のエンジン回転数の範囲よりも狭い。第1EGR領域511のエンジン負荷の上限は、同一のエンジン回転数に対する第1運転領域411のエンジン負荷の上限よりも低い。第1EGR領域511のエンジン負荷の下限は、同一のエンジン回転数に対する第1運転領域411のエンジン負荷の下限よりも高い。第1EGR領域511のエンジン回転数の上限は、同一のエンジン負荷に対する第1運転領域411のエンジン回転数の上限よりも低い。第1EGR領域511のエンジン回転数の下限は、同一のエンジン負荷に対する第1運転領域411のエンジン回転数の下限よりも高い。
【0073】
エンジン10の運転状態が第1EGR領域511にあるときに排気ガスを還流させることで、燃焼室17に高温の排気ガスを還流させることができる。これにより、エンジン10を早期に暖機させることができる。また、エンジン10が冷間状態であるときには、排気ガスに含まれるHCの量が比較的多いため、排気ガスを還流させることで、HCの放出を抑えることができる。
【0074】
第2EGR領域512は、第2運転領域412における高負荷かつ高回転の領域に位置する。第2EGR領域512は、境界線BLよりも高負荷かつ高回転の領域に位置する。第2EGR領域512のエンジン負荷の下限は、同一のエンジン回転数に対する第2運転領域412のエンジン負荷の下限よりも高い。第2EGR領域512のエンジン回転数の下限は、同一のエンジン負荷に対する第2運転領域412のエンジン回転数の下限よりも高い。
【0075】
第2EGR領域512は、主に低温の排気ガスを還流させることで、ノッキングを抑制するための領域である。また、第2EGR領域512のような、高負荷かつ高回転の運転領域では、排気ガスの流量が多くなる。第2EGR領域512において排気ガスを還流させることで、排気通路50を通る排気ガスの流量が減るため、排気ガス音を低減させることができる。
【0076】
ECU100は、第1EGR領域511及び第2EGR領域512のいずれにおいても、エンジン負荷とエンジン回転数とに応じてEGRバルブ56の開度を変更する。具体的には、ECU100は、同一のエンジン回転数においてはエンジン負荷が高いほどEGRバルブ56の開度を狭くする一方、同一のエンジン負荷においてはエンジン回転数が高いほどEGRバルブ56の開度を広くする。
【0077】
(4)排気バルブの開閉制御
図6図7、及び図8は、第1排気バルブ23及び第2排気バルブ24の開弁期間の一例を示す。図6は、エンジン10が冷間状態でかつエンジン10の運転状態が第1運転領域411に属するときの制御(以下、第1モードという)である。図7は、エンジン10が温間状態でかつエンジン10の運転状態が第1運転領域411に属するときの制御(以下、第2モードという)である。図8は、エンジン10の運転状態が第2運転領域412に属するときの制御(以下、第3モードという)である。本実施形態1において、エンジン10が冷間状態であるか温間状態であるかは、主排気触媒60の温度(主排気触媒温度センサSW7の検出結果)によって判定する。例えば、主排気触媒60の温度が300℃未満の状態を冷間とし、300℃以上の状態を温間としてもよい。
【0078】
図6図7、及び図8において、上から第1シリンダ11a、第2シリンダ11b、第3シリンダ11c、第4シリンダ11dの第1排気バルブ23及び第2排気バルブ24の開弁期間を示す。図中の「B1」は吸気行程における下死点のタイミングであり、「T1」は圧縮行程における上死点のタイミングであり、「B2」は膨張行程における下死点のタイミングであり、「T2」は排気行程における上死点のタイミングである。以下の説明では、「B1」を吸気下死点といい、「T1」を圧縮上死点といい、「B2」を膨張下死点といい、「T2」を排気上死点という。
【0079】
図6に示すように、第1モードでは、第1排気バルブ23のみが開閉する。第1排気バルブ23は、膨張下死点B2よりも後かつ排気上死点T2よりも前のタイミングで開弁し、排気上死点T2よりも後かつ吸気下死点B1よりも前のタイミングで閉弁する。第1排気バルブ23の開弁期間は、一の第1排気バルブ23の開弁期間と他の第1排気バルブ23の開弁期間とが重複しない期間に設定されている。開弁期間は、例えば、クランク角で180°である。
【0080】
第1モードにおいて、第1排気バルブ23を膨張下死点B2よりも後のタイミングで開弁させることで、高温の排気ガスが第1排気通路51に流入する。膨張下死点B2よりも後には、ピストン14が上昇するため、シリンダ11内で排気ガスが圧縮される。排気ガスが圧縮されることで、シリンダ11内で排気ガスの温度が上昇する。その後、第1排気バルブ23を開くことで、高温の排気ガスが第1排気通路51に流入する。
【0081】
高温の排気ガスが第1排気通路51に流入することで、副排気触媒61を効率良く暖機できる。また、エンジン10の運転状態が第1EGR領域511に属するときには、高温の排気ガスを還流できるため、エンジン10を効率良く暖機できる。
【0082】
第1モードにおいて、前述のように第1排気バルブ23を設定することで、第1結合通路51a及び第2結合通路51bでの排気干渉が抑制される。例えば、第1結合通路51aでは、第1シリンダ11aの第1排気ポート21と第2シリンダ11bの第1排気ポート21とが結合されている。図6に示すように、第2シリンダ11bの第1排気バルブ23が閉弁すると同時に、第1シリンダ11aの第1排気バルブ23が開弁するため、排気ガスは、第1シリンダ11a及び第2シリンダ11bから同時に流出することはない。第2結合通路51bにおいても同様である。
【0083】
図7に示すように、第2モードでは、第1排気バルブ23のみが開閉する。第2モードでは、第1排気バルブ23の開弁時期が第1モードと比較して進角されている。言い換えると、第1モードでは、第1排気バルブ23の開弁時期が第2モードと比較して遅角されている。具体的には、第2モードでは、第1排気バルブ23は、膨張下死点B2のタイミングで開弁し、排気上死点T2のタイミングで閉弁する。第1排気バルブ23の開弁期間は、一の第1排気バルブ23の開弁期間と他の第1排気バルブ23の開弁期間とが重複しない期間に設定されている。開弁期間は、例えば、クランク角で180°である。なお、第1排気バルブ23の開弁時期は、ピストン14が下死点に位置するタイミングと厳密に一致している必要はなく、ピストン14が下死点に位置するタイミングから僅かにずれていてもよい。
【0084】
第2モードにおいて、膨張下死点B2のタイミングで第1排気バルブ23を開弁することで、第1モード時よりも温度の低い排気ガスが第1排気通路51に流入する。第2モードのときには、エンジン10は暖機を完了しているため、高温の排気ガスは特に必要ない。また、高温の排気ガスが第1排気通路51に流入するのを抑制することで、副排気触媒61の熱劣化を抑制できる。
【0085】
第2モードにおいても、前述のように第1排気バルブ23を設定することで、第1モードのときと同様に、第1結合通路51a及び第2結合通路51bでの排気干渉が抑制される。
【0086】
図8に示すように、第3モードでは、第1排気バルブ23及び第2排気バルブ24の両方が開閉する。具体的には、第1排気バルブ23は、膨張下死点B2のタイミングで開弁し、排気上死点T2のタイミングで閉弁する。第1排気バルブ23の開弁期間は、一の第1排気バルブ23の開弁期間と他の第1排気バルブ23の開弁期間とが重複しない期間に設定されている。第1排気バルブ23の開弁期間は、例えば、クランク角で180°である。なお、第1排気バルブ23の開弁時期は、ピストン14が下死点に位置するタイミングと厳密に一致している必要はなく、ピストン14が下死点に位置するタイミングから僅かにずれていてもよい。
【0087】
一方で、第2排気バルブ24の開弁時期は、第1排気バルブ23の開弁時期よりも進角されている。言い換えると、第1排気バルブ23の開弁時期は、第2排気バルブ24の開弁時期よりも遅角されている。第2排気バルブ24は、圧縮上死点T1よりも後かつ膨張下死点B2よりも前のタイミングで開弁し、排気上死点T2のタイミングで閉弁する。第2排気バルブ24の開弁期間は、第1排気バルブ23の開弁期間よりも長い。このため、一の第2排気バルブ24の開弁期間と他の第2排気バルブ24の開弁期間とは重複する。第3結合通路52cは、排気行程が連続しないシリンダ11の第1排気ポート21を結合しているため、第2排気バルブ24の開弁期間を前述のように設定したとしても、第3結合通路52cで排気干渉が発生することはない。
【0088】
第3モードにおいて、第2排気バルブ24を膨張下死点B2よりも前のタイミングで開弁させることで、高温の排気ガスが第2排気通路52に流入する。膨張下死点B2よりも前のタイミングであれば、排気ガスは、膨張下死点B2よりも圧縮された状態であるとともに、エンジン10への放熱量が少ない状態である。このため、第2排気バルブ24を開くことで、高温の排気ガスが第2排気通路52に流入する。
【0089】
高温の排気ガスが第2排気通路52に流入することで、主排気触媒60を効率良く暖機できる。
【0090】
第3モードにおいて、第1排気バルブ23の開弁時期を第2排気バルブ24の開弁時期よりも遅角することで、第1排気通路51には、比較的低温の排気ガスが流入する。第2排気バルブ24が開弁した後であれば、シリンダ11内の圧力は低下している。また、排気ガスは、エンジン10に対して放熱した状態である。このため、第1排気通路51に流入する排気ガスの温度が低くなる。
【0091】
第1排気通路51に比較的低温の排気ガスが流入することで、副排気触媒61の熱劣化を抑制できる。また、エンジン10の運転状態が第2EGR領域512に属するときには、低温の排気ガスを吸気通路40に還流できるため、ノッキングを抑制できる。特に、副排気触媒61を通過した後の排気ガスが還流されるため、燃焼室17へのNOの導入が抑制されて、ノッキングを効果的に抑制できる。
【0092】
次に図9を参照しながら、排気システム1を制御する際のECU100の処理を説明する。
【0093】
まず、ステップS1において、ECU100は、各センサSW1~SW8の情報を取得する。
【0094】
次に、ステップS2において、ECU100は、エンジン10の運転状態が第1運転領域411に属しているか否かを判定する。ECU100は、エンジン10の運転状態が第1運転領域411に属するYESのときには、ステップS3に進む。一方、ECU100は、エンジン10の運転状態が第2運転領域412に属するNOのときには、ステップS9に進む。
【0095】
前記ステップS3では、ECU100は、HLA242の弁停止機構を作動させて、第2排気バルブ24の開閉動作を停止させる。
【0096】
次のステップS4において、ECU100は、エンジン10の運転状態が第1EGR領域511に属しているか否かを判定する。ECU100は、エンジン10の運転状態が第1EGR領域511に属するYESのときには、ステップS3に進む。一方、ECU100は、エンジン10の運転状態が第1EGR領域511に属していないNOのときには、前記ステップS5を省略して、ステップS6に進む。
【0097】
前記ステップS5では、ECU100は、EGRバルブ56を開弁する。ECU100は、エンジン負荷及びエンジン回転数に応じてEGRバルブ56の開度を調整する。
【0098】
前記ステップS6では、ECU100は、エンジン10が冷間状態であるか否かを判定する。ECU100は、主排気触媒60の温度に基づいてエンジン10が冷間状態であるか否かを判定する。ECU100は、エンジン10が冷間状態であるYESのときには、ステップS7に進む。一方、ECU100は、エンジン10が温間状態であるNOのときには、ステップS8に進む。
【0099】
前記ステップS7では、ECU100は、第1モードで第1排気バルブ23を制御する。ECU100は、第1排気バルブ23を、膨張下死点よりも後かつ排気上死点よりも前に開弁し、排気上死点よりも後かつ吸気下死点よりも前に閉弁する。ステップS7の後は、リターンする。
【0100】
前記ステップS8では、ECU100は、第2モードで第1排気バルブ23を制御する。ECU100は、第1排気バルブ23を、膨張下死点で開弁し、排気上死点で閉弁する。ステップS8の後は、リターンする。
【0101】
前記ステップS9では、ECU100は、エンジン10の運転状態が第2EGR領域512に属しているか否かを判定する。ECU100は、エンジン10の運転状態が第2EGR領域512に属するYESのときには、ステップS10に進む。一方、ECU100は、エンジン10の運転状態が第2EGR領域512に属していないNOのときには、前記ステップS10を省略して、ステップS11に進む。
【0102】
前記ステップS10では、ECU100は、EGRバルブ56を開弁する。ECU100は、エンジン負荷及びエンジン回転数に応じてEGRバルブ56の開度を調整する。
【0103】
前記ステップS11では、ECU100は、第3モードで第1排気バルブ23及び第2排気バルブ24を制御する。ECU100は、第1排気バルブ23を、膨張下死点で開弁し、排気上死点で閉弁する。また、ECU100は、第2排気バルブ24を、圧縮上死点よりも後かつ膨張下死点よりも前に開弁し、排気上死点で閉弁する。ステップS11の後は、リターンする。
【0104】
(5)実施形態1の効果
本実施形態1に係る排気システム1では、排気通路50は、第1排気バルブ23により開閉される第1排気通路51と、第1排気通路51とは独立して排気ガスを流通させ、第2排気バルブ24により開閉される第2排気通路52と、第1排気通路51と第2排気通路52とが合流した第3排気通路53と、を含み、排気触媒は、第3排気通路53に設けられた主排気触媒60と、第1排気通路51に配置されかつ主排気触媒60よりも容量が小さい副排気触媒61と、を含み、EGR通路55は、第1排気通路51における副排気触媒61よりも下流側の部分に接続されている。排気システム1では、第1排気通路51を通る排気ガスは、副排気触媒61を通過してからEGR通路55に導入されるため、副排気触媒61を効率的に暖機できる。また、排気システム1では、NOが還流させることを抑制できるため、ノッキングを抑制できる。
【0105】
また、第2排気通路52は、副排気触媒61を有しておらずかつEGR通路55も接続されていない。このため、第2排気通路52を通る排気ガスは、そのまま第3排気通路53に導入されて、主排気触媒60を通過する。排気システム1では、排気ガス量が多いときに、第2排気通路52に排気ガスを流通させることで、主排気触媒60を効率良く暖機できる。したがって、排気システム1は、ノッキングを抑制しつつ、主排気触媒60及び副排気触媒61の暖機効率を向上できる。
【0106】
本実施形態1では、第2排気通路52は、エジェクタ57を有する。排気システム1は、エジェクタ57により、第2排気通路52の排気ガスをできる限り早期に流通させることができるため、第2排気通路52での排気干渉を抑制できる。
【0107】
本実施形態1では、第1排気通路51及び第2排気通路52と、第3排気通路53との間には、ツインスクロールターボチャージャのタービン72が配置されるタービンハウジング58が配置され、第1排気通路51と第2排気通路52とは、タービンハウジング58で結合される。これにより、排気システム1は、第2排気通路52から第1排気通路51への排気ガスの逆流を抑制できる。この結果、排気システム1は、第2排気通路52を通る排気ガスがEGR通路55に流入するのを抑制できるため、ノッキングを効果的に抑制できる。
【0108】
本実施形態1では、ECU100は、エンジン10の運転状態が所定負荷未満でかつ所定回転数未満である第1運転領域411に属するときには、第2排気通路52から第3排気通路53への排気ガスの流通を停止させるようHLA242を作動させる。エンジン10の運転状態が第1運転領域411にあるときには、排気ガス量が比較的少ないため、第1排気通路51にのみ排気ガスを流通させる。これにより、排気システム1は、排気ガス量が少なくても副排気触媒61を効率的に暖機できる。
【0109】
また、排気システム1では、第1排気通路51にのみ排気ガスが流通するため、タービンハウジング58の第1スクロール部58aにのみ排気ガスが供給される。これにより、第1スクロール部58a内での排気圧が高くなって、タービン72を効率的に回転させることができる。排気システム1は、エンジン10の運転効率を向上できる。
【0110】
特に、本実施形態1では、ECU100は、エンジン10の運転状態が第1運転領域411に属しかつエンジン10が冷間状態であるときには、第1排気バルブ23を、膨張下死点よりも後かつ排気下死点よりも前で開弁させる。これにより、燃焼室17で圧縮された高温の排気ガスが第1排気通路51に流入する。排気システム1は、高温の排気ガスを、副排気触媒61を通過させるとともに、EGR通路55を介して吸気通路に還流できる。排気システム1は、副排気触媒61を効率的に暖機できるとともに、エンジン10自体も効率的に暖機できる。
【0111】
本実施形態1では、ECU100は、エンジン10の運転状態が所定負荷以下でかつ所定回転数以下である第2運転領域412に属するときには、第1排気バルブ23の開弁時期を第2排気バルブ24の開弁時期よりも遅角させる。第1排気バルブ23よりも早く第2排気バルブ24を開くことで、第2排気通路52には比較的高温の排気ガスが流入し、第1排気通路51には比較的低温の排気ガスが流入する。これにより、排気システム1は、主排気触媒60を効率的に暖機できるとともに、副排気触媒61の熱劣化を抑制できる。
【0112】
また、エンジン10の運転状態が第2EGR領域512に属するときには、比較的低温の排気ガスを吸気通路40に還流できる。また、副排気触媒61を通過した後の排気ガスが還流されるため、燃焼室17へのNOの導入が抑制される。したがって、排気システム1は、ノッキングを効果的に抑制できる。
【0113】
特に、本実施形態1では、ECU100は、エンジン10の運転状態が第2運転領域412に属するときには、第2排気バルブ24を、圧縮上死点よりも後かつ膨張下死点よりも前に開弁する一方、第1排気バルブ23を、膨張下死点で開弁する。膨張下死点よりも前であれば、排気ガスは、膨張下死点より圧縮された状態であるとともに、エンジン10への放熱量が少ない状態であるため、温度が高い。一方で、膨張下死点では、排気ガスは、膨張しきった状態でありかつエンジン10への放熱量が多くなった状態である。排気システム1は、第2排気通路52に高温の排気ガスを効率的に流入できるとともに、第1排気通路に低温の排気ガスを効率的に流入できる。
【0114】
本実施形態1では、第1排気通路51は、シリンダ11が並ぶ直列方向に隣接する一対の第1排気ポート21同士を接続する第1結合通路51a及び第2結合通路51bと、第1結合通路51aと第2結合通路51bとが結合した第1集合通路51cと、を有する。これにより、排気システム1は、第1排気通路51をシリンダ11毎に独立した通路とする場合と比較して、第1排気通路51の構成をコンパクトにできる。また、本実施形態では、ECU100は、第1排気バルブ23の開弁期間を、一の第1排気バルブ23の開弁期間と他の第1排気バルブ23の開弁期間とが重複しない期間に設定している。このため、第1結合通路51a及び第2結合通路51bが、排気行程が連続するシリンダ11同士を接続していたとしても、排気システム1は、第1結合通路51a及び第2結合通路51bでの排気干渉を抑制できる。
【0115】
本実施形態1では、第2排気通路52は、シリンダ11が並ぶ直列方向に隣接しかつ排気行程が連続しない第2排気ポート22同士を接続する第3結合通路52cを有する。これにより、排気システム1は、第2排気通路52をシリンダ11毎に独立した通路とする場合と比較して、第2排気通路52の構成をコンパクトにできる。
【0116】
(実施形態2)
以下、実施形態2について、図面を参照しながら詳細に説明する。尚、以下の説明において前記実施形態1と共通の部分については、同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0117】
本実施形態2は、排気通路50及びターボチャージャ270の構成が実施形態1とは異なる。具体的には、本実施形態2では、ターボチャージャ270は、ツインスクロールターボチャージャではなく、スクロール部が1つのみのターボチャージャである。排気通路50は、ターボチャージャ270のタービン272が配置されるタービンハウジング258周辺の構成が実施形態1とは異なる。
【0118】
(6)排気システム
図10に示すように、排気システム201の排気通路250は、第1排気通路251と、第2排気通路252と、第3排気通路253とを備える。
【0119】
第1排気通路251は、第1結合通路251aと、第2結合通路251bと、第1集合通路251cと、を有する。第1結合通路251a及び第2結合通路251bの構成は、実施形態1と同じであるため説明を省略する。
【0120】
第2排気通路252は、第1独立通路252aと、第2独立通路252bと、第3結合通路252cと、第2集合通路252dと、を有する。第1独立通路252a、第2独立通路252b、及び第3結合通路252cの構成は、実施形態1と同じであるため説明を省略する。
【0121】
第3排気通路253は、タービンハウジング258よりも上流側まで延びている。つまり、第3排気通路253の途中にタービンハウジング258が配置された状態となっている。ウエイストゲートバルブ74は、第3排気通路253におけるタービンハウジング258よりも上流側の部分と、第3排気通路253におけるタービンハウジング258よりも下流側の部分とを接続する通路に設けられている。
【0122】
第1集合通路251c及び第2集合通路252dは、タービンハウジング258よりも上流側で第3排気通路253に接続される。第1集合通路251cと第2集合通路252dとは、第3排気通路253への接続部分において、互いに平行に延びる。具体的には、第1集合通路251cと第2集合通路252dとは、第3排気通路253への接続部分において、第1集合通路251cを流れる排気ガスの流れと第2集合通路252dを流れる排気ガスの流れとが同じ方向になるように延びている。
【0123】
(7)実施形態2の効果
本実施形態2の排気システム201では、第1排気通路251と第2排気通路252とは、タービン272が配置されるタービンハウジング258よりも上流側で、互いに平行になるよう結合される。排気システム201は、第2排気通路252から第1排気通路251への排気ガスの逆流を抑制できる。これにより、第2排気通路252を通る排気ガスがEGR通路55に流入するのを抑制できるため、排気システム201は、ノッキングを効果的に抑制できる。
【0124】
(8)その他の実施形態
ここに開示された技術は、前述の実施形態に限られるものではなく、請求の範囲の主旨を逸脱しない範囲で代用が可能である。
【0125】
例えば、実施形態1及び2では、エンジン10の暖機は、主排気触媒60の温度により判定していた。これに限らず、エンジン冷却水の水温を更に考慮してもよい。具体的には、ECU100は、主排気触媒60の温度が所定温度以上であったとしても、エンジン冷却水の水温が閾値温度未満では冷間状態と判定する。これにより、エンジン冷却水の水温が高くなるまでは、第1排気バルブ23は第1モードで制御される。この結果、高温の排気ガスを還流でき、エンジン10自体の暖機効率を向上できる。また、エンジン10自体が低温の状態では、HCの量が比較的多い。エンジン冷却水の水温を更に考慮することで、HCを含む高温の排気ガスを還流させることができる。したがって、エンジン10の暖機効率の向上と相俟って、HCの排出を抑制することができる。
【0126】
実施形態1及び2では、ターボチャージャ70,270を備えていたが、ターボチャージャ70,270は、必須の構成ではなく、省略してもよい。
【0127】
実施形態1及び2では、エンジン10の運転状態が第1運転領域411に属するときには、HLA242により第2排気バルブ24の開閉動作を停止させることで、第2排気通路52から第3排気通路53への排気ガスの流通を停止させていた。これに限らず、第2集合通路52d,252dに排気シャッター弁を設けることで、第2排気通路52から第3排気通路53への排気ガスの流通を停止するようにしてもよい。すなわち、エンジン10の運転状態が第1運転領域411に属するときには、排気シャッター弁を閉じるようにしてもよい。
【0128】
実施形態1及び2では、第1排気バルブ23と第2排気バルブ24とは同じ大きさであった。これに限らず、第1排気バルブ23と第2排気バルブ24とは異なる大きさであってもよい。例えば、第2運転領域412において、エンジン10の出力を高くしたい場合には第2排気バルブ24よりも第1排気バルブ23を大きくしてもよい。また、第2運転領域412において、第1排気通路51を流れる排気ガスの温度を積極的に低くしたい場合には、第1排気バルブ23よりも第2排気バルブ24を大きくしてもよい。
【0129】
前述の実施形態は単なる例示に過ぎず、本開示の範囲を限定的に解釈してはならない。本開示の範囲は請求の範囲によって定義され、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本開示の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0130】
ここに開示された技術は、排気システムとして有用である。
【符号の説明】
【0131】
1 排気システム
10 エンジン
17 燃焼室
23 第1排気バルブ
24 第2排気バルブ
40 吸気通路
50 排気通路
51 第1排気通路
52 第2排気通路
53 第3排気通路
55 EGR通路
57 エジェクタ
58 タービンハウジング
60 主排気触媒
61 副排気触媒
70 ターボチャージャ
72 タービン
100 ECU(コントローラ)
242 油圧ラッシュアジャスタ(流量調整部)
250 排気通路
251 第1排気通路
252 第2排気通路
253 第3排気通路
258 タービンハウジング
270 ターボチャージャ
272 タービン
411 第1運転領域
412 第2運転領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10