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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025014946
(43)【公開日】2025-01-30
(54)【発明の名称】運行管理システム及び運行管理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/40 20240101AFI20250123BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20250123BHJP
   G06Q 50/06 20240101ALI20250123BHJP
【FI】
G06Q50/30
G06Q50/10
G06Q50/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023117927
(22)【出願日】2023-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】322003857
【氏名又は名称】パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】日向 睦
(72)【発明者】
【氏名】小菅 文夫
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC06
5L049CC11
5L049CC42
5L050CC06
5L050CC11
5L050CC42
(57)【要約】
【課題】複数の電気自動車の運行を一元的に管理することができる運行管理システムを提供する。
【解決手段】運行管理システム2は、サーバ12と、電気自動車4の充電電力量に関する充電電力量情報を取得する計測部42と、計測部42により取得された充電電力量情報を、サーバ12に送信する通信部44と、電気自動車4の走行履歴に関する走行履歴情報を取得する測位部50と、測位部50により取得された走行履歴情報を送信する通信部52とを備える。サーバ12は、充電電力量情報及び走行履歴情報を取得し、取得した充電電力量情報及び走行履歴情報に基づいて、電気自動車4の航続可能距離を推定する推定部56と、推定部56の推定結果を表示部38に表示させる表示制御部58とを有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気自動車の運行を管理するための運行管理システムであって、
サーバと、
前記電気自動車の充電電力量に関する充電電力量情報を取得する第1の取得部と、
前記第1の取得部により取得された前記充電電力量情報を、前記サーバに送信する第1の送信部と、
前記電気自動車の走行履歴に関する走行履歴情報を取得する第2の取得部と、
前記第2の取得部により取得された前記走行履歴情報を送信する第2の送信部と、を備え、
前記サーバは、
前記充電電力量情報及び前記走行履歴情報を取得し、取得した前記充電電力量情報及び前記走行履歴情報に基づいて、前記電気自動車の航続可能距離を推定する推定部と、
前記推定部の推定結果を表示部に表示させる表示制御部と、を有する
運行管理システム。
【請求項2】
前記電気自動車又は前記電気自動車を充電するための充電設備は、前記電気自動車と前記充電設備とを電気的に接続するための充電ケーブルを有しており、
前記第1の取得部及び前記第1の送信部は、前記充電ケーブルの一端部に電気的に接続されるアダプタに配置される
請求項1に記載の運行管理システム。
【請求項3】
前記運行管理システムは、さらに、携帯端末を備え、
前記第1の送信部は、前記充電電力量情報を、前記携帯端末を介して前記サーバに送信する
請求項2に記載の運行管理システム。
【請求項4】
前記第1の送信部は、近距離無線通信により前記充電電力量情報を前記携帯端末に送信し、
前記携帯端末は、前記第1の送信部からの前記充電電力量情報を、ネットワークを介して前記サーバに転送する
請求項3に記載の運行管理システム。
【請求項5】
前記近距離無線通信は、ブルートゥース(登録商標)である
請求項4に記載の運行管理システム。
【請求項6】
前記第2の取得部及び前記第2の送信部は、前記電気自動車に搭載された、ETC2.0に準拠した車載器に配置され、
前記第2の送信部は、前記走行履歴情報をITSスポットに送信し、
前記サーバの前記推定部は、前記ITSスポットを介して、前記走行履歴情報を取得する
請求項1~5のいずれか1項に記載の運行管理システム。
【請求項7】
電気自動車の運行を管理するための運行管理方法であって、
(a)前記電気自動車の充電電力量に関する充電電力量情報を取得するステップと、
(b)前記(a)で取得した前記充電電力量情報をサーバに送信するステップと、
(c)前記電気自動車の走行履歴に関する走行履歴情報を取得するステップと、
(d)前記(c)で取得した前記走行履歴情報を送信するステップと、
(e)前記サーバが、前記充電電力量情報及び前記走行履歴情報を取得し、取得した前記充電電力量情報及び前記走行履歴情報に基づいて、前記電気自動車の航続可能距離を推定するステップと、
(f)前記サーバが、前記(e)の推定結果を表示部に表示させるステップと、を含む
運行管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気自動車の運行を管理するための運行管理システム及び運行管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車の走行を支援するためのシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。このシステムでは、走行可能距離と走行予定距離とを比較することにより充電が必要と判断した場合に、現在地から走行可能距離の範囲内にある充電スタンドを抽出し、抽出した充電スタンドを運転者に報知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-94695号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来のシステムは、電気自動車の内部で閉じたシステムであるため、例えば配送会社が複数の電気自動車を所有している場合に、上述した従来のシステムを用いて複数の電気自動車の運行を一元的に管理することができない。
【0005】
そこで、本開示は、複数の電気自動車の運行を一元的に管理することができる運行管理システム及び運行管理方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る運行管理システムは、電気自動車の運行を管理するための運行管理システムであって、サーバと、前記電気自動車の充電電力量に関する充電電力量情報を取得する第1の取得部と、前記第1の取得部により取得された前記充電電力量情報を、前記サーバに送信する第1の送信部と、前記電気自動車の走行履歴に関する走行履歴情報を取得する第2の取得部と、前記第2の取得部により取得された前記走行履歴情報を送信する第2の送信部と、を備え、前記サーバは、前記充電電力量情報及び前記走行履歴情報を取得し、取得した前記充電電力量情報及び前記走行履歴情報に基づいて、前記電気自動車の航続可能距離を推定する推定部と、前記推定部の推定結果を表示部に表示させる表示制御部と、を有する。
【0007】
なお、これらの包括的又は具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム又はコンピュータで読み取り可能なCD-ROM(Compact Disc-Read Only Memory)等の記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一態様に係る運行管理システム等によれば、複数の電気自動車の運行を一元的に管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態に係る運行管理システムの概要を示す概念図である。
図2】実施の形態に係る運行管理システムの機能構成を示すブロック図である。
図3】実施の形態に係る運行管理システムの動作の流れを示すシーケンス図である。
図4】実施の形態に係る端末装置の表示部の表示内容の一例を示す図である。
図5】実施の形態に係る端末装置の表示部の表示内容の他の例を示す図である。
図6】実施の形態に係る端末装置の表示部の表示内容の他の例を示す図である。
図7】実施の形態に係る端末装置の表示部の表示内容の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の第1の態様に係る運行管理システムは、電気自動車の運行を管理するための運行管理システムであって、サーバと、前記電気自動車の充電電力量に関する充電電力量情報を取得する第1の取得部と、前記第1の取得部により取得された前記充電電力量情報を、前記サーバに送信する第1の送信部と、前記電気自動車の走行履歴に関する走行履歴情報を取得する第2の取得部と、前記第2の取得部により取得された前記走行履歴情報を送信する第2の送信部と、を備え、前記サーバは、前記充電電力量情報及び前記走行履歴情報を取得し、取得した前記充電電力量情報及び前記走行履歴情報に基づいて、前記電気自動車の航続可能距離を推定する推定部と、前記推定部の推定結果を表示部に表示させる表示制御部と、を有する。
【0011】
本態様によれば、サーバの推定部は、充電電力量情報及び走行履歴情報に基づいて、電気自動車の航続可能距離を推定し、サーバの表示制御部は、推定部の推定結果を表示部に表示させる。これにより、例えば配送会社等が複数の電気自動車を所有している場合に、配送会社等は、複数の電気自動車の各々の航続可能距離を把握することができ、複数の電気自動車の運行を一元的に管理することができる。
【0012】
また、本開示の第2の態様に係る運行管理システムでは、第1の態様において、前記電気自動車又は前記電気自動車を充電するための充電設備は、前記電気自動車と前記充電設備とを電気的に接続するための充電ケーブルを有しており、前記第1の取得部及び前記第1の送信部は、前記充電ケーブルの一端部に電気的に接続されるアダプタに配置されるように構成してもよい。
【0013】
本態様によれば、充電ケーブルの一端部に電気的に接続されるアダプタを利用して、充電電力量情報を取得することができ、且つ、充電電力量情報をサーバに送信することができる。
【0014】
また、本開示の第3の態様に係る運行管理システムでは、第1の態様又は第2の態様において、前記運行管理システムは、さらに、携帯端末を備え、前記第1の送信部は、前記充電電力量情報を、前記携帯端末を介して前記サーバに送信するように構成してもよい。
【0015】
本態様によれば、第1の送信部に要する通信コストを低減することができる。
【0016】
また、本開示の第4の態様に係る運行管理システムでは、第3の態様において、前記第1の送信部は、近距離無線通信により前記充電電力量情報を前記携帯端末に送信し、前記携帯端末は、前記第1の送信部からの前記充電電力量情報を、ネットワークを介して前記サーバに転送するように構成してもよい。
【0017】
本態様によれば、第1の送信部に要する通信コストを低減することができる。
【0018】
また、本開示の第5の態様に係る運行管理システムでは、第4の態様において、前記近距離無線通信は、ブルートゥース(登録商標)であるように構成してもよい。
【0019】
また、本開示の第6の態様に係る運行管理システムでは、第1の態様~第5の態様のいずれか一態様において、前記第2の取得部及び前記第2の送信部は、前記電気自動車に搭載された、ETC2.0に準拠した車載器に配置され、前記第2の送信部は、前記走行履歴情報をITSスポットに送信し、前記サーバの前記推定部は、前記ITSスポットを介して、前記走行履歴情報を取得するように構成してもよい。
【0020】
本態様によれば、既存のETC2.0に準拠した車載器を利用して、走行履歴情報を送信することができる。
【0021】
また、本開示の第7の態様に係る運行管理方法は、電気自動車の運行を管理するための運行管理方法であって、(a)前記電気自動車の充電電力量に関する充電電力量情報を取得するステップと、(b)前記(a)で取得した前記充電電力量情報をサーバに送信するステップと、(c)前記電気自動車の走行履歴に関する走行履歴情報を取得するステップと、(d)前記(c)で取得した前記走行履歴情報を送信するステップと、(e)前記サーバが、前記充電電力量情報及び前記走行履歴情報を取得し、取得した前記充電電力量情報及び前記走行履歴情報に基づいて、前記電気自動車の航続可能距離を推定するステップと、(f)前記サーバが、前記(e)の推定結果を表示部に表示させるステップと、を含む。
【0022】
本態様によれば、上述と同様に、複数の電気自動車の運行を一元的に管理することができる。
【0023】
なお、これらの包括的又は具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム又はコンピュータで読み取り可能なCD-ROM等の記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム又は記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0024】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0025】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序等は、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0026】
(実施の形態)
[1.運行管理システムの概要]
まず、図1を参照しながら、実施の形態に係る運行管理システム2の概要について説明する。図1は、実施の形態に係る運行管理システム2の概要を示す概念図である。
【0027】
図1に示すように、実施の形態に係る運行管理システム2は、電気自動車4の運行を管理するためのシステムである。運行管理システム2は、アダプタ6と、携帯端末8と、車載器10と、サーバ12とを備えている。なお、説明の都合上、図1では、1つの電気自動車4のみを図示しているが、実際には、運行管理システム2は、複数の電気自動車4の運行を一元的に管理する。
【0028】
電気自動車4は、例えば、配送会社が所有する営業用の乗用車又はトラック等である。電気自動車4は、バッテリ14と、モータ16と、モータ駆動部18と、充電回路20とを有している。バッテリ14は、繰り返し充電可能な二次電池である。モータ16は、電気自動車4を走行させるための原動機である。モータ駆動部18は、運転者の運転操作に応じて、バッテリ14に蓄えられた電力でモータ16を駆動する。充電回路20は、充電ケーブル22を介して充電設備24に電気的に接続され、充電設備24から供給される電力でバッテリ14を充電する。
【0029】
なお、電気自動車4は、モータ16のみで走行するEV(Electric Vehicle)でもよいし、モータ16及びエンジン(図示せず)を併用して走行するプラグインハイブリッド車(PHEV:Plug In Hybrid Electric Vehicle)でもよい。また、電気自動車4は、4輪の電気自動車に限定されず、2輪又は3輪の電気自動車でもよい。
【0030】
充電ケーブル22の両端部にはそれぞれ、コネクタ26及びプラグ28が配置されている。コネクタ26は、電気自動車4の充電口30を介して、充電回路20に着脱可能に且つ電気的に接続される。プラグ28は、充電設備24に着脱可能に且つ電気的に接続される。充電設備24は、例えば屋外コンセントである。
【0031】
なお、本実施の形態では、充電設備24を屋外コンセントとしたが、これに限定されず、充電設備24は、例えば充電スポットに設置された充電器であってもよい。この場合、充電ケーブルは、充電器から引き出し可能であり、充電ケーブルの先端部にはコネクタが配置される。
【0032】
アダプタ6は、充電ケーブル22のプラグ28に着脱可能に且つ電気的に接続される。すなわち、充電ケーブル22のプラグ28は、アダプタ6を介して充電設備24に着脱可能に且つ電気的に接続される。
【0033】
なお、図示しないが、充電設備24が充電スポットに設置された充電器である場合には、アダプタ6は、充電器から引き出された充電ケーブルのコネクタに着脱可能に且つ電気的に接続される。この場合、充電ケーブルのコネクタは、例えばチャデモ(登録商標)規格のコネクタであり、アダプタ6を介して電気自動車4の充電口30に電気的に接続される。
【0034】
アダプタ6は、充電電力量を計測する計測機能と、充電電力量に関する充電電力量情報を無線で外部に送信する通信機能とを有している。すなわち、アダプタ6は、充電設備24からの電力で電気自動車4のバッテリ14が充電されている間、バッテリ14の充電電力量を計測(取得)する。また、アダプタ6は、バッテリ14の充電の完了後に、例えばブルートゥース(登録商標)等の近距離無線通信により、充電電力量情報を携帯端末8に送信する。なお、充電電力量情報は、アダプタ6により計測された充電電力量を示す情報と、電気自動車4のバッテリ14が充電された日時を示す情報とを含んでいる。
【0035】
携帯端末8は、ユーザ(例えば、電気自動車4の運転者等)が所有する、例えばスマートフォン又はタブレット端末等である。携帯端末8は、近距離無線通信によりアダプタ6と通信可能である。また、携帯端末8は、例えばインターネット等のネットワーク32を介して、サーバ12と通信可能である。携帯端末8は、近距離無線通信によりアダプタ6からの充電電力量情報を受信し、受信した充電電力量情報を、ネットワーク32を介してサーバ12に転送する。すなわち、アダプタ6は、充電電力量情報を、携帯端末8を介してサーバ12に送信する。
【0036】
車載器10は、電気自動車4に搭載された、例えばETC(Electric Toll Collection System)2.0に準拠した車載器である。車載器10は、電気自動車4が所定距離(例えば200m)走行する毎に、GPS(Global Positioning System)により電気自動車4の現在位置を示す位置情報を取得する。すなわち、車載器10は、所定の距離間隔(例えば200m間隔)の位置情報を、電気自動車4の走行履歴に関する走行履歴情報(プローブデータ)として取得する。また、車載器10は、電気自動車4が道路に設置されたITS(Intelligent Transport Systems)スポット34の近傍を走行している際に、走行履歴情報をITSスポット34に送信する。
【0037】
ITSスポット34は、ITSスポットネットワーク36を介して、国土交通省が管理する管理サーバ35と通信可能である。ITSスポット34は、車載器10からの走行履歴情報を受信し、受信した走行履歴情報を、ITSスポットネットワーク36を介して管理サーバ35に送信する。なお、管理サーバ35は、走行履歴情報を管理するためのサーバであり、予め国土交通省から許可を受けた事業者のみ、ネットワーク32を介してサーバ12と通信可能である。
【0038】
サーバ12は、例えばクラウドサーバである。サーバ12は、ネットワーク32を介して、携帯端末8からの充電電力量情報、及び、管理サーバ35からの走行履歴情報を受信する。サーバ12は、受信した充電電力量情報及び走行履歴情報に基づいて、電気自動車4の航続可能距離を推定する。また、サーバ12は、ネットワーク32を介して、推定した航続可能距離(推定結果)を示す情報を表示部38に表示させる。
【0039】
表示部38は、例えば、配送会社に設置された端末装置40のディスプレイである。なお、端末装置40は、例えば、パーソナルコンピュータでもよいし、スマートフォン又はタブレット端末等でもよい。
【0040】
[2.運行管理システムの機能構成]
次に、図2を参照しながら、実施の形態に係る運行管理システム2の機能構成について説明する。図2は、実施の形態に係る運行管理システム2の機能構成を示すブロック図である。
【0041】
図2に示すように、アダプタ6は、機能構成として、計測部42(第1の取得部の一例)と、通信部44(第1の送信部の一例)とを有している。計測部42は、充電設備24からの電力で電気自動車4のバッテリ14が充電されている間、バッテリ14の充電電力量を計測(取得)する。また、通信部44は、バッテリ14の充電の完了後に、近距離無線通信により、計測部42により計測された充電電力量情報を携帯端末8に送信する。
【0042】
携帯端末8は、機能構成として、操作部46と、通信部48とを有している。操作部46は、ユーザの操作を受け付ける。具体的には、操作部46は、ユーザによる、例えばバッテリ14の最大充電容量及び初期充電残量等の初期設定情報の入力を受け付ける。ここで、最大充電容量とは、バッテリ14に対して充電することが可能な最大の電力量であり、初期充電残量とは、バッテリ14に充電する前の初期状態でのバッテリ14の充電残量(SOC:State Of Charge)である。通信部48は、近距離無線通信によりアダプタ6からの充電電力量情報を受信し、受信した充電電力量情報を、ネットワーク32(図1参照)を介してサーバ12に転送する。すなわち、アダプタ6の通信部44は、充電電力量情報を、携帯端末8を介してサーバ12に送信する。また、通信部48は、操作部46が受け付けた初期設定情報を、ネットワーク32を介してサーバ12に送信する。
【0043】
車載器10は、機能構成として、測位部50(第2の取得部の一例)と、通信部52(第2の送信部の一例)とを有している。測位部50は、電気自動車4が所定距離(例えば200m)走行する毎に、GPSにより電気自動車4の現在位置を示す位置情報を取得する。すなわち、測位部50は、所定の距離間隔(例えば200m間隔)の位置情報を、電気自動車4の走行履歴に関する走行履歴情報として取得する。通信部52は、電気自動車4が道路に設置されたITSスポット34の近傍を走行している際に、測位部50により取得された走行履歴情報をITSスポット34に送信する。
【0044】
ITSスポット34は、車載器10からの走行履歴情報を受信し、受信した走行履歴情報を、ITSスポットネットワーク36(図1参照)を介して管理サーバ35に送信する。
【0045】
管理サーバ35は、ITSスポット34からの走行履歴情報を受信し、受信した走行履歴情報をメモリに保持する。また、管理サーバ35は、メモリに保持している走行履歴情報を、ネットワーク32を介してサーバ12に送信する。
【0046】
サーバ12は、機能構成として、通信部54と、推定部56と、表示制御部58とを有している。通信部54は、ネットワーク32を介して、携帯端末8からの充電電力量情報及び初期設定情報、並びに、管理サーバ35からの走行履歴情報を受信する。
【0047】
推定部56は、通信部54から充電電力量情報及び走行履歴情報を取得し、取得した充電電力量情報及び走行履歴情報に基づいて、電気自動車4の航続可能距離を推定する。具体的には、推定部56は、初期設定情報に含まれる最大充電容量及び初期充電残量と、充電電力量情報及び走行履歴情報から算出される累積充電容量及び累積走行距離とに基づいて、電気自動車4の電費(電力量消費率)を算出する。そして、推定部56は、算出した電費と、初期充電残量及び充電電力量情報から算出される現在の充電残量とに基づいて、電気自動車4の航続可能距離を推定する。ここでの航続可能距離とは、電気自動車4が現在地から現在の充電残量を使い切るまで走行可能な距離である。
【0048】
表示制御部58は、ネットワーク32を介して、推定部56により推定された航続可能距離(推定結果)を示す情報を端末装置40に送信する。すなわち、表示制御部58は、ネットワーク32を介して、推定部56により推定された航続可能距離を示す情報を、端末装置40の表示部38に表示させる。
【0049】
[3.運行管理システムの動作]
次に、図3を参照しながら、実施の形態に係る運行管理システム2の動作について説明する。図3は、実施の形態に係る運行管理システム2の動作の流れを示すシーケンス図である。
【0050】
図3に示すように、まず、アダプタ6の計測部42は、充電設備24からの電力で電気自動車4のバッテリ14が充電されている間、バッテリ14の充電電力量を計測する(S101)。
【0051】
次いで、アダプタ6の通信部44は、バッテリ14の充電の完了後に、計測部42により計測された充電電力量情報を携帯端末8に送信する(S102)。次いで、携帯端末8は、受信した充電電力量情報をサーバ12に送信(転送)する(S103)。
【0052】
次いで、サーバ12の通信部54は、携帯端末8からの充電電力量情報を受信する(S104)。
【0053】
次いで、車載器10の測位部50は、電気自動車4が所定距離(例えば200m)走行する毎に、GPSにより電気自動車4の現在位置を示す位置情報を取得する。すなわち、測位部50は、所定の距離間隔(例えば200m間隔)の位置情報を、電気自動車4の走行履歴に関する走行履歴情報として取得する(S105)。
【0054】
次いで、車載器10の通信部52は、測位部50により取得された走行履歴情報を、ITSスポット34を介して管理サーバ35に送信する(S106)。次いで、管理サーバ35は、車載器10からの走行履歴情報を受信し(S107)、受信した走行履歴情報をサーバ12に送信する(S108)。
【0055】
次いで、サーバ12の通信部54は、管理サーバ35からの走行履歴情報を受信する(S109)。次いで、サーバ12の推定部56は、通信部54から充電電力量情報及び走行履歴情報を取得し、取得した充電電力量情報及び走行履歴情報に基づいて、電気自動車4の航続可能距離を推定する(S110)。
【0056】
次いで、サーバ12の表示制御部58は、ネットワーク32を介して、推定部56により推定された航続可能距離を示す情報を端末装置40に送信する(S111)。これにより、端末装置40の表示部38には、サーバ12の推定部56により推定された航続可能距離を示す情報が表示される(S112)。
【0057】
ここで、図4を参照しながら、端末装置40の表示部38の表示内容の一例について説明する。図4は、実施の形態に係る端末装置40の表示部38の表示内容の一例を示す図である。
【0058】
図4に示すように、端末装置40の表示部38には、電気自動車4が現在走行している地域の地図60と、電気自動車4の走行軌跡を示す点線62と、電気自動車4の現在位置を示す三角形状のマーク64と、電気自動車4の現在位置を中心とし且つ推定部56により推定された航続可能距離を半径とする円66と、電気自動車4の充電を行うことが可能な充電スポットの位置を示す星形状のマーク68とが表示されている。すなわち、円66は、電気自動車4の現在位置からの航続可能距離の範囲を示している。なお、マーク64は、必ずしも電気自動車4の厳密な現在位置を示している必要は無く、電気自動車4の現在位置の直近のITSスポット34の位置を示していてもよい。
【0059】
配送会社のオペレータ等は、表示部38に表示された円66を見ることにより、電気自動車4の航続可能距離を把握することができる。これにより、例えば、配送会社のオペレータ等は、電気自動車4の運転者に対して、現在の充電残量を使い切る前に現在位置から到達可能な近隣の充電スポット(すなわち、円66の内側にあるマーク68に対応する充電スポット)について無線で通知することができる。
【0060】
以下、図5図7を参照しながら、端末装置40の表示部38の表示内容の他の例について説明する。図5図7は、実施の形態に係る端末装置40の表示部38の表示内容の他の例を示す図である。
【0061】
図5に示す例では、端末装置40の表示部38には、電気自動車4が現在走行している地域の地図60と、電気自動車4の走行軌跡を示す点線62と、電気自動車4の走行予定ルートを示す点線63と、電気自動車4の現在位置を示す三角形状のマーク64と、電気自動車4の目的地を中心とし且つ推定部56により推定された航続可能距離を半径とする円70と、電気自動車4の充電を行うことが可能な充電スポットの位置を示す星形状のマーク68とが表示されている。すなわち、円66は、電気自動車4の目的地からの航続可能距離の範囲を示している。
【0062】
図5に示す例では、サーバ12の推定部56は、電費と、電気自動車4の現在位置から目的地までの走行距離とに基づいて、電気自動車4が目的地に到着するまでの電力消費量を算出する。そして、推定部56は、現在の充電残量から、算出した電力消費量を差し引くことにより、電気自動車4が目的地に到着した時点での充電残量である予測充電残量を算出する。そして、推定部56は、電費と、算出した予測充電残量とに基づいて、電気自動車4の航続可能距離を推定する。ここでの航続可能距離とは、電気自動車4が目的地から予測充電残量を使い切るまで走行可能な距離である。
【0063】
配送会社のオペレータ等は、表示部38に表示された円70を見ることにより、電気自動車4の航続可能距離を把握することができる。これにより、例えば、配送会社のオペレータ等は、電気自動車4の運転者に対して、予測充電残量を使い切る前に目的地から到達可能な充電スポット(すなわち、円70の内側にあるマーク68に対応する充電スポット)について無線で通知することができる。
【0064】
図6に示す例では、端末装置40の表示部38には、電気自動車4が現在走行している地域の地図60と、電気自動車4の走行軌跡を示す点線62と、電気自動車4の走行予定ルートを示す点線63と、電気自動車4の現在位置を示す三角形状のマーク64と、電気自動車4の充電を行うことが可能な充電スポットの位置を示す星形状のマーク68a,68bとが表示されている。マーク68aは、電気自動車4の走行予定ルートから比較的近い充電スポットの位置を示しており、例えば濃い色等で強調表示されている。一方、マーク68bは、電気自動車4の走行予定ルートから比較的遠い充電スポットの位置を示しており、例えば薄い色等で表示されている。
【0065】
これにより、例えば、配送会社のオペレータ等は、表示部38に表示された、強調表示されたマーク68aを見ることにより、電気自動車4の運転者に対して、電気自動車4の走行予定ルートから最も近い充電スポットについて無線で通知することができる。
【0066】
図7に示す例では、端末装置40の表示部38には、電気自動車4が現在走行している地域の地図60と、電気自動車4の走行軌跡を示す点線62と、電気自動車4の走行予定ルートを示す点線63と、電気自動車4の現在位置を示す三角形状のマーク64と、電気自動車4の充電を行うことが可能な充電スポットの位置を示す星形状のマーク68a,68bと、メッセージボックス72とが表示されている。なお、マーク68aは、電気自動車4の目的地に位置しているものとする。すなわち、電気自動車4は、目的地に到着後、目的地にある充電スポットで充電を行うことができる。メッセージボックス72には、電気自動車4が目的地にある充電スポットでの充電に要する時間を通知するための、例えば「目的地到着後、2時間充電してください。」又は「目的地到着後、20kWh充電してください。」等のメッセージが表示される。
【0067】
図7に示す例では、サーバ12の推定部56は、電気自動車4が目的地から出発地まで戻るのに必要な充電電力量(例えば、12kWh)と、目的地にある充電スポットの充電器の出力(例えば、6kW)とに基づいて、電気自動車4が目的地にある充電スポットでの充電に要する時間(例えば、12kWh÷6kW=2h)を算出する。そして、サーバ12の表示制御部58は、推定部56により推定された時間に基づいて、メッセージボックス72を生成する。
【0068】
これにより、例えば、配送会社のオペレータ等は、表示部38に表示されたメッセージボックス72を見ることにより、電気自動車4が出発地に戻るまでの時間を予測することができる。
【0069】
[4.効果]
本実施の形態では、サーバ12の推定部56は、充電電力量情報及び走行履歴情報に基づいて、電気自動車4の航続可能距離を推定し、サーバ12の表示制御部58は、推定部56の推定結果を表示部38に表示させる。これにより、例えば配送会社等が複数の電気自動車4を所有している場合に、配送会社等は、複数の電気自動車4の各々の航続可能距離を把握することができ、複数の電気自動車4の運行を一元的に管理することができる。
【0070】
(他の変形例)
以上、一つ又は複数の態様に係る運行管理システムについて、上記実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、上記実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思い付く各種変形を上記実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、一つ又は複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
【0071】
上記実施の形態では、アダプタ6は、携帯端末8を介して、充電電力量情報をサーバ12に送信したが、これに限定されず、アダプタ6は、ネットワーク32を介して、充電電力量情報をサーバ12に直接送信してもよい。この場合、アダプタ6にSIM(Subscriber Identity Module)カードを搭載すればよい。
【0072】
また、上記実施の形態では、ETC2.0に準拠した車載器10が走行履歴情報を管理サーバ35に送信するようにしたが、これに限定されず、車載器10以外の各種の車載器等が走行履歴情報を管理サーバ35に送信するようにしてもよい。
【0073】
なお、上記実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したコンピュータプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU又はプロセッサ等のプログラム実行部が、ハードディスク又は半導体メモリなどの記録媒体に記録されたコンピュータプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0074】
また、上記実施の形態に係る運行管理システムの機能の一部又は全てを、CPU等のプロセッサがコンピュータプログラムを実行することにより実現してもよい。
【0075】
上記の各装置を構成する構成要素の一部又は全部は、各装置に脱着可能なICカード又は単体のモジュールから構成されているとしても良い。前記ICカード又は前記モジュールは、マイクロプロセッサ、ROM、RAM等から構成されるコンピュータシステムである。前記ICカード又は前記モジュールは、上記の超多機能LSIを含むとしても良い。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、前記ICカード又は前記モジュールは、その機能を達成する。このICカード又はこのモジュールは、耐タンパ性を有するとしても良い。
【0076】
本開示は、上記に示す方法であるとしても良い。また、これらの方法をコンピュータにより実現するコンピュータプログラムであるとしても良いし、前記コンピュータプログラムを含むデジタル信号であるとしても良い。また、本開示は、前記コンピュータプログラム又は前記デジタル信号をコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体、例えばフレキシブルディスク、ハードディスク、CD-ROM、MO、DVD、DVD-ROM、DVD-RAM、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)、半導体メモリ等に記録したものとしても良い。また、これらの記録媒体に記録されている前記デジタル信号であるとしても良い。また、本開示は、前記コンピュータプログラム又は前記デジタル信号を、電気通信回線、無線又は有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク、データ放送等を経由して伝送するものとしても良い。また、本開示は、マイクロプロセッサとメモリを備えたコンピュータシステムであって、前記メモリは、上記コンピュータプログラムを記憶しており、前記マイクロプロセッサは、前記コンピュータプログラムにしたがって動作するとしても良い。また、前記コンピュータプログラム又は前記デジタル信号を前記記録媒体に記録して移送することにより、又は前記コンピュータプログラム又は前記デジタル信号を前記ネットワーク等を経由して移送することにより、独立した他のコンピュータシステムにより実施するとしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本開示は、例えば電気自動車の運行を管理するための運行管理システム等に適用可能である。
【符号の説明】
【0078】
2 運行管理システム
4 電気自動車
6 アダプタ
8 携帯端末
10 車載器
12 サーバ
14 バッテリ
16 モータ
18 モータ駆動部
20 充電回路
22 充電ケーブル
24 充電設備
26 コネクタ
28 プラグ
30 充電口
32 ネットワーク
34 ITSスポット
35 管理サーバ
36 ITSスポットネットワーク
38 表示部
40 端末装置
42 計測部
44,48,52,54 通信部
46 操作部
50 測位部
56 推定部
58 表示制御部
60 地図
62,63 点線
64,68,68a,68b マーク
66,70 円
72 メッセージボックス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7