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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025149658
(43)【公開日】2025-10-08
(54)【発明の名称】電磁弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 51/00 20060101AFI20251001BHJP
   F16K 31/06 20060101ALI20251001BHJP
【FI】
F16K51/00 B
F16K31/06 305Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024050428
(22)【出願日】2024-03-26
(71)【出願人】
【識別番号】000220505
【氏名又は名称】ニデックパワートレインシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】高田 勇司
【テーマコード(参考)】
3H066
3H106
【Fターム(参考)】
3H066AA01
3H066BA18
3H106DA23
3H106DB23
3H106DC02
3H106EE35
3H106EE42
3H106GC20
3H106KK03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】フィルタの装着作業性を良好にでき、装着時の脱落やずれを防止できる電磁弁を提供する。
【解決手段】流路に配置され、ソレノイドの駆動によって流路の流量を変化させる弁体と、流路に繋がるポートと、ノズル30の周面から突出する突起39と、ノズルの周方向に沿って装着され、長手方向一方側に位置する大幅部40Aおよび長手方向他方側に位置する小幅部40Bからなる帯状のフィルタと、を備える。フィルタは、長手方向中央に位置し、突起が挿入される第1孔部41と、大幅部に設けられ、ポートに対向するパンチング孔部42と、長手方向一方側の一端部に設けられ、フィルタの幅方向に沿って延びるスリット43と、スリットに挿入され、スリットに接触した状態で挿入方向と逆向きに折り返される折返し部44と、長手方向他方側の他端部に設けられた第2孔部45と、を備える。スリットから抜け出た第2孔部が突起に挿入され、突起に固定される。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソレノイドの軸方向一方側に筒状のノズルを有する電磁弁であって、
流路と、
前記流路に配置され、前記ソレノイドの駆動によって前記流路の流量を変化させる弁体と、
前記流路に繋がるポートと、
前記ノズルの周面から突出する突起と、
前記ノズルの周方向に沿って装着され、長手方向一方側に位置する大幅部および長手方向他方側に位置する小幅部からなる帯状のフィルタと、を備え、
前記フィルタは、
長手方向中央に位置し、前記突起が挿入される第1孔部と、
前記大幅部に設けられ、前記ポートに対向するパンチング孔部と、
前記長手方向一方側の一端部に設けられ、前記フィルタの幅方向に沿って延びるスリットと、
前記スリットに挿入され、前記スリットに接触した状態で挿入方向と逆向きに折り返される折返し部と、
前記長手方向他方側の他端部に設けられた第2孔部と、を備え、
前記スリットから抜け出た前記第2孔部が前記突起に挿入され、前記突起に固定される、
電磁弁。
【請求項2】
前記第1孔部は、大径部と小径部とを繋いだ形状である、請求項1に記載の電磁弁。
【請求項3】
前記第2孔部は、前記長手方向に延びる長孔形状である、請求項1に記載の電磁弁。
【請求項4】
前記第1孔部と前記第2孔部との間の前記小幅部には、別のパンチング孔部が設けられる、請求項1に記載の電磁弁。
【請求項5】
前記ノズルは、周面に前記突起を嵌めて固定する凹部を有する、請求項1に記載の電磁弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁弁に関する。
【背景技術】
【0002】
電磁弁は、ソレノイドの軸方向一方側に筒状のノズルを有する。このような電磁弁では、流路と、流路に配置され、ソレノイドの駆動によって流路の流量を変化させる弁体と、流路に繋がるポートと、ポートが配置されるノズルの周方向に沿って巻き付けて装着される帯状のフィルタを備える(特許文献1)。ポートにフィルタを設けることで、電磁弁への流入過程で作動油に含まれる異物がポートを介して油圧制御弁に流入しないようにすることができる。
【0003】
特許文献1には、フィルタを巻き付けてノズルの外周面に固定する際、フィルタの長手方向の一端に設けた突起に他端を引っ掛けてフィルタ自身のばね力により装着する構成について記載されている。
特許文献2には、フィルタをノズルの外周面に巻き付けた後、フィルタの長手方向の一端に設けたスリットに他端の突起を引っ掛けることにより固定する構成について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-162765号公報
【特許文献2】特開2007-205465号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような電磁弁においては、フィルタをノズルの外周面に巻き付けた後、フィルタの長手方向の一端と他端を引っ掛けて固定する装着作業が煩雑になる。また、フィルタの装着時において電磁弁の振動等で引っ掛けによる固定部がずれたり外れたりする場合があり、フィルタが脱落するおそれがあった。
【0006】
本発明の一態様は、フィルタの装着作業性を良好にでき、装着時の脱落やずれを防止できる電磁弁の提供を目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施態様の電磁弁は、ソレノイドの軸方向一方側に筒状のノズルを有する。流路と、前記流路に配置され、前記ソレノイドの駆動によって前記流路の流量を変化させる弁体と、前記流路に繋がるポートと、前記ノズルの周面から突出する突起と、前記ノズルの周方向に沿って装着され、長手方向一方側に位置する大幅部および長手方向他方側に位置する小幅部からなる帯状のフィルタと、を備える。前記フィルタは、長手方向中央に位置し、前記突起が挿入される第1孔部と、前記大幅部に設けられ、前記ポートに対向するパンチング孔部と、前記長手方向一方側の一端部に設けられ、前記フィルタの幅方向に沿って延びるスリットと、前記スリットに挿入され、前記スリットに接触した状態で挿入方向と逆向きに折り返される折返し部と、前記長手方向他方側の他端部に設けられた第2孔部と、を備える。前記スリットから抜け出た前記第2孔部が前記突起に挿入され、前記突起に固定される。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一つの態様によれば、複数のベアリングに安定的に流体を供給できる電磁弁を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本実施形態の電磁弁を示す斜視図であって、ノズル部にフィルタが取り付けられた状態を示す図である。
図2図2は、本実施形態の電磁弁を示す断面図であって、ノズル部にフィルタが取り付けられた状態を示す図である。
図3図3は、本実施形態のノズル部に取り付ける前のフィルタの構成を示す平面図である。
図4図4は、本実施形態のノズル部にフィルタを取り付ける前の展開状態を示す側面図である。
図5図5は、本実施形態のノズル部にフィルタを取り付けた後の状態を示す側面図である。
図6図6は、本実施形態のノズル部にフィルタを取り付けた後の状態を示す側面図である。
図7図7は、図6のVII-VII線に沿う本実施形態のフィルタの固定状態を示す拡大断面図である。
図8図8は、本実施形態のフィルタの取り付け方法を示す軸方向から見た断面図である。
図9図9は、図8のIVから見た図であって、本実施形態のノズル部の凹部およびリベットを示す要部平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る電磁弁について説明する。以下の説明では、本実施形態の電磁弁1が水平な路面上に位置する図示しない車両に搭載された場合の位置関係を基に、上下方向を規定して説明する。
【0011】
以下の説明においては、各図に適宜示すZ軸と平行な方向を上下方向とする。Z軸の正の側を上側とし、Z軸の負の側を下側とする。各図に適宜示す仮想軸である中心軸Jは、Z軸方向、すなわち上下方向と平行な方向に延びている。以下の説明においては、中心軸Jの軸方向と平行な方向を単に「軸方向」と呼ぶ。また、特に断りのない限り、中心軸Jを中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸Jを中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。また、軸方向と直交する方向のうち各図に適宜示すX軸と平行な方向を「幅方向X」と呼び、軸方向と直交する方向のうち各図に適宜示すY軸と平行な方向を「突出方向Y」と呼ぶ。幅方向Xと突出方向Yとは、互いに直交する方向である。
【0012】
本実施形態において、下側は、「軸方向一方側」に相当し、上側は、「軸方向他方側」に相当する。なお、上下方向、突出方向、幅方向、上側、および下側とは、単に各部の相対位置関係を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係等以外の配置関係等であってもよい。
【0013】
図1は、一実施形態の電磁弁1の斜視図である。図2は、電磁弁1の断面図である。
本実施形態の電磁弁1は、ソレノイド部20と、ソレノイド部20の軸方向一方側に設けられる筒状のノズル部30と、ノズル部30の周方向に沿って装着されるフィルタ40と、を有する。
【0014】
<ソレノイド部>
図1および図2に示すように、本実施形態のソレノイド部20は、ボビン21と、コイル22と、端子23と、ガイド部材24と、収容ケース25と、可動子26と、弾性部材27と、を備える。
【0015】
ボビン21は、中心軸Jを囲む筒状である。ボビン21は、例えば、中心軸Jを中心とし、軸方向両側に開口する円筒状である。ボビン21には、コイル22が巻き回されている。本実施形態においてボビン21は、樹脂製である。ボビン21は、ボビン本体部211と、上側フランジ部212と、下側フランジ部213と、端子保持部214と、を有する。
【0016】
ボビン本体部211は、コイル22が巻き回された筒状である。ボビン本体部211は、例えば、中心軸Jを中心とし、軸方向両側に開口する円筒状である。ボビン本体部211の外周面には、周方向に延びる溝が軸方向に並んで複数設けられている。コイル22を構成するコイル線は、当該溝に沿って巻き回されている。
【0017】
上側フランジ部212は、ボビン本体部211のうちコイル22よりも上側に位置する部分から径方向外側に突出している。本実施形態において上側フランジ部212は、ボビン本体部211の上側の端部から径方向外側に突出している。上側フランジ部212は、例えば、中心軸Jを中心とする円環状である。上側フランジ部212は、例えば、板面が軸方向を向く板状である。
【0018】
下側フランジ部213は、ボビン本体部211のうちコイル22よりも下側に位置する部分から径方向外側に突出するフランジ部である。本実施形態において下側フランジ部213は、ボビン本体部211の下側の端部から径方向外側に突出している。下側フランジ部213は、例えば、中心軸Jを中心とする環状である。下側フランジ部213は、例えば、板面が軸方向を向く板状である。
【0019】
端子保持部214は、上側フランジ部212の径方向外縁部のうち突出方向Yの他方側(+Y側)の部分から、突出方向Yの他方側に突出している。図1に示すように、端子保持部214は、基部214aを有する。基部214aは、例えば、直方体状である。基部214aには、端子23の一部が挿し込まれて保持されている。これにより、端子保持部214は、端子23を保持する。
【0020】
コイル22は、軸方向に延びる中心軸J回りに巻き回されている。本実施形態においてコイル22は、ボビン21のボビン本体部211の外周面に巻き回されている。コイル22は、例えば、中心軸Jを中心として軸方向両側に開口する円筒状である。コイル22の外周面は、上側フランジ部212の径方向外縁部および下側フランジ部213の径方向外縁部よりも径方向内側に位置する。図示は省略するが、コイル22からは、コイル22を構成するコイル線の端部が引き出されている。引き出されたコイル線の端部は、端子23のコイル線保持部(図示省略)に接続されている。
【0021】
図1に示すように、本実施形態において端子23は、幅方向Xに並んで一対設けられている。一対の端子23は、互いに幅方向Xに対称な形状である。一対の端子23は、それぞれボビン21の端子保持部214に保持されている。端子23は、金属製である。端子23は、例えば、板状の金属部材に対してプレス加工が施されて作られている。各端子23は、基部231と、接続端子部232と、コイル線保持部(図示省略)と、を有する。
【0022】
図2に示すように、基部231は、突出方向Yに延びている。接続端子部232は、基部231のうち突出方向Yの他方側の端部から上側に延びている。コイル線保持部は、基部231のうち端子保持部214から突出した部分に繋がっている。コイル線保持部は、基部231に対して、幅方向Xにおいて他方の端子23が位置する側と逆側に配置されている。コイル線保持部は、コイル22から引き出された図示しないコイル線の端部を把持する。コイル線保持部とコイル線の端部とは、例えば、レーザ溶接等により接合されている。コイル線保持部とコイル線の端部とが接続されることで、端子23は、コイル22に電気的に接続されている。
【0023】
接続端子部232は、不図示のコネクタ部の内部に露出している。コネクタ部には、図示しない外部電源が接続される。コネクタ部に接続された外部電源は、接続端子部232と電気的に接続される。これにより、外部電源から端子23を介してコイル22に電流が流れ、電磁弁1に電力が供給される。
【0024】
なお、上述した説明では、樹脂製のボビン21を作製してからボビン21に端子23を取り付ける構成としたが、これに限られない。ボビン21は、例えば、端子23をインサート部材とするインサート成形によって作られてもよい。
【0025】
ガイド部材24は、軸方向に延びる筒状の部材である。図2に示すように、ガイド部材24、ボビン21に下側から挿入されている。本実施形態においてガイド部材24は、単一部材である。ガイド部材24は、例えば、ダイカスト等により成形されている。ガイド部材24は、磁性体製である。ガイド部材24は、ガイド筒部241と、環状部242と、を有する。これにより、電磁弁1のソレノイド部20は、ガイド筒部241と、環状部242と、を備える。本実施形態ではガイド部材24が単一部材であるため、ガイド筒部241と環状部242とは、一体成形されている。また、ガイド部材24が磁性体製の単一部材であるため、ガイド筒部241および環状部242も磁性体製である。
【0026】
ガイド筒部241は、軸方向に延びる筒状である。ガイド筒部241は、例えば、中心軸Jを中心とし、軸方向両側に開口する円筒状である。ガイド筒部241は、ボビン21の径方向内側に挿入されている。本実施形態においてガイド筒部241は、ボビン21の径方向内側に嵌め合わされている。より詳細には、ガイド筒部241は、ボビン本体部211の下側部分の径方向内側に嵌め合わされている。ガイド筒部241は、ボビン21の径方向内側において可動子26を囲んでいる。ガイド筒部241は、コイル22の径方向内側に位置する。ガイド筒部241は、コイル22の径方向内側において可動子26を囲んでいる。
【0027】
環状部242は、コイル22の下側寄りに位置する。環状部242は、中心軸Jを囲んでいる。図1に示すように、環状部242は、例えば、中心軸Jを中心とする略円環状である。環状部242は、可動子26を軸方向に移動可能に支持している。ガイド部材24は、弾性部材27によって可動子26を軸方向に移動可能である。環状部242は、可動子26の後述するピン262の上側の端面に接触している。
【0028】
図1および図2に示すように、収容ケース25は、ボビン21およびコイル22を内部に収容している。収容ケース25は、磁性体製である。収容ケース25は、例えば、単一部材である。収容ケース25は、ケース本体部251と、コア部252と、ノズル保持部253と、を有する。
【0029】
ケース本体部251は、軸方向に延び、中心軸Jを囲む筒状である。ケース本体部251は、例えば、中心軸Jを中心とし、下側に開口する円筒状である。ケース本体部251は、蓋部251aと、筒状部251bと、支持部251cと、を有する。これにより、収容ケース25は、蓋部251aと、筒状部251bと、支持部251cと、を有する。また、電磁弁1のソレノイド部20は、蓋部251aと、筒状部251bと、支持部251cと、を備える。収容ケース25が磁性体製の単一部材であるため、蓋部251a、筒状部251b、およびコア部252も磁性体製である。
【0030】
蓋部251aは、コイル22の上側に位置する。蓋部251aは、例えば、中心軸Jを中心とする円板状である。蓋部251aは、ボビン21の上側の全体を覆っている。蓋部251aは、ボビン21の上側の開口部を塞いでいる。蓋部251aは、例えば、ボビン21の上側の端面の上側に隙間を空けて配置されている。本実施形態において蓋部251aは、コイル22の上側に位置する「第2磁性体部」に相当する。
【0031】
筒状部251bは、蓋部251aの径方向外縁部から下側に延びている。筒状部251bは、例えば、中心軸Jを中心とし、下側に開口する円筒状である。筒状部251bは、コイル22を囲んでいる。筒状部251bは、コイル22の径方向外側においてコイル22を囲んでいる。筒状部251bの内周面とコイル22の外周面との間には、例えば、僅かに隙間が設けられている。つまり、本実施形態において環状部242は、筒状部251bの径方向内側に位置する。
【0032】
図1および図2に示すように、筒状部251bは、筒状部251bの壁部を径方向に貫通する孔部251dを有する。孔部251dは、筒状部251bのうち突出方向Yの他方側(+Y側)に位置する部分に設けられている。孔部251dは、例えば、上側に開口している。孔部251dは、突出方向Yに見て、略矩形状である。孔部251dには、不図示のコネクタ部の基部およびボビン21の端子保持部214が突出方向Yに通されている。
【0033】
支持部251cは、筒状部251bの下端から径方向内側に突出している。支持部251cは、軸方向から見て環状である。支持部251cは、板面が軸方向を向く板状である。支持部251cは、周方向に延びている。支持部251cは、ボビン21の下側フランジ部213に下側から接触している。支持部251cの径方向内側には、ガイド部材24が配置されている。
【0034】
図2に示すように、コア部252は、軸方向の一端側に雄ねじ部252aを有する。コア部252は、雄ねじ部252aが蓋部251aに下側から螺合することにより固定されている。コア部252は、蓋部251aから下側に突出している。コア部252は、例えば、中心軸Jを中心とする円柱状である。コア部252は、筒状部251bの径方向内側に位置する。コア部52は、ボビン21の径方向内側に上側から挿入されている。コア部252は、ボビン21の内部のうち上側部分に位置する。コア部252の外周面とボビン21の内周面との間には、例えば、僅かな隙間が設けられている。コア部252の下側の端部は、ガイド筒部241の上側の端部から上側に離れて配置されている。
【0035】
図2に示すように、本実施形態において可動子26は、軸方向に延びている。可動子26は、例えば、中心軸Jを中心とするピン形状である。可動子26は、ノズル部30の内部の上側部分に配置されている。可動子26は、ガイド部材24の環状部242によって軸方向に移動可能に配置されている。本実施形態において可動子26は、可動子本体261と、ピン262と、を有する。可動子26は、少なくとも一部が磁性体製である。本実施形態では、可動子26の一部のみが磁性体製である。本実施形態では、可動子本体261が磁性体製であり、ピン262は非磁性体製である。
【0036】
可動子本体261は、軸方向に延びる柱状であり、ピン262より大径である。可動子本体261の外径は、ノズル部30の内部の上側部分の流路の内径と一致している。可動子本体261は、ノズル部30の内部の上側部分の流路の径方向内側に液密に嵌められている。可動子本体261は、ガイド部材24の環状部242によって軸方向に移動可能に支持されている。可動子本体261の上側の端部は、環状部242の下側の面に接触している。
【0037】
ピン262は、軸方向に延びる柱状である。ピン262は、例えば、中心軸Jを中心とする円柱状である。ピン262は、可動子本体261の下側で一体に固定されている。なお、可動子本体261とピン262と別体であってもよく、その固定方法は特に限定されない。
【0038】
ピン262は、可動子本体261よりも下側に延びている。ピン262の下側部分は、ノズル部30の内部の上側部分に挿入されている。本実施形態においてピン262の下側部分は、第2流路34内に位置する。ピン262の下側の下端面は、弁部32の後述する弁体38に上側から接触可能である。
【0039】
弾性部材27は、ガイド部材24とコア部252との軸方向の間に位置する。弾性部材27は、例えば、軸方向に延びるコイルスプリングである。本実施形態において弾性部材27は、ガイド部材24の内部に位置する。弾性部材27の下側の端部は、ガイド部材24の環状部242の上側の端面に接触している。弾性部材27の上側の端部は、コア部252の下側の端面に接触している。弾性部材27は、可動子26に対して下側向きの弾性力を加えている。
【0040】
<ノズル部>
図1および図2に示すように、ノズル部30は、弁部32を保持する部分である。ノズル部30は、ソレノイド部20の下側に位置する。ノズル部30は、軸方向に延びている。ノズル部30は、ノズル本体31と、弁部32と、固定部36と、を有する。ノズル本体31は、中心軸Jを囲む筒状である。ノズル本体31は、例えば、中心軸Jを中心とする円筒状である。ノズル本体31は、弁部32と固定部36との軸方向の間に周方向に沿った凹溝状の窪み部30fを形成している。
【0041】
ノズル部30は、下側に開口している。ノズル部30は、インポート30aと、アウトポート30bと、ドレインポート30cと、を有する。インポート30aは、ノズル部30の下側の開口部である。
【0042】
アウトポート30bは、例えば、ノズル部30の壁部を内周面から外周面まで幅方向Xに貫通している。アウトポート30bは、例えば、中心軸Jを幅方向Xに挟んで一対設けられている。
【0043】
ドレインポート30cは、アウトポート30bよりも上側に位置する。ドレインポート30cは、例えば、ノズル部30の壁部を内周面から外周面まで幅方向Xに貫通している。アウトポート30bとドレインポート30cとは、連結ポート30gによって連通されている。ドレインポート30cは、例えば、幅方向Xに見て、突出方向Yに延びている。ドレインポート30cは、例えば、中心軸Jを幅方向Xに挟んで一対設けられている。一対のドレインポート30c,30cは、径方向に直線上に配置されている。
【0044】
ノズル部30は、弁部32によって開閉される流路として、第1流路33と、第2流路34と、を有する。第1流路33の内部および第2流路34の内部は、ノズル部30の内部によって構成されている。第1流路33は、インポート30aからアウトポート30bまで延びている。第1流路33は、インポート30aに接続される図示しない流入流路と、アウトポート30bに接続される図示しない流出流路と、を接続する流路である。第2流路34は、アウトポート30bからドレインポート30cまで延びている。第2流路34は、アウトポート30bに接続される図示しない流出流路と、ドレインポート30cに接続される図示しない排出流路と、を接続する流路である。
【0045】
固定部36は、ノズル本体31の上端部分に設けられる。固定部36は、ノズル本体31に一体で設けられ、径方向外側に突出している。固定部36は、収容ケース25の筒状部251bの下端部に固定されている。固定部36は、軸方向から見た外径が円形である。固定部36は、例えば、中心軸Jを中心とし、軸方向に沿って延びる貫通孔36aを有する。貫通孔36aは、第2流路34に連通し、上端に開口している。貫通孔36aには、可動子26の可動子本体261が軸方向に移動可能に設けられている。貫通孔36aの内径は、可動子本体261の外径と同径である。可動子本体261の上端は、貫通孔36aの上側の開口から上側に突出可能である。固定部36の上端には、弾性部材27の弾性力で下向きに移動するガイド部材24の下面が接触する。
【0046】
ノズル本体31の窪み部30fに位置する外周面31aには、径方向内側に凹む凹部3300(図7および図8参照)を有する。凹部300は、径方向から見て円形状である。凹部300は、ドレインポート30cと同じ軸方向の位置に設けられる。凹部300は、本実施形態では周方向に1箇所である。凹部300は、ドレインポート30cの周方向にずれた位置、すなわちドレインポート30cの軸方向の直交する方向より周方向にずれた位置に配置される。凹部300には、リベット39(突起)が嵌められて固定されている。リベット39は、ノズル本体31の外周面31aから径方向外側に突出している。リベット39は、突出先端39aが熱カシメによりフィルタ40に固定される。
【0047】
リベット39は、図9に示すように、熱カシメ前の凹部300内の断面形状において、軸部391と、膨出部392と、を有する。軸部391の外径は、凹部300の内径よりも小さい。膨出部392は、軸部391の外周から外側に突出する。膨出部392は、略半円形状である。膨出部392は、複数(実施形態では3つ)が軸部391の周方向に所定ピッチで配置されている。膨出部392の突出端は、凹部300の内面に接触する。リベット39は、凹部300に対して圧入されている。
【0048】
凹部300は、リベット39が熱カシメされた状態で、溶けたリベット39が埋まっている。そのため、上述した熱カシメ前の軸部391および膨出部392の形状は維持されていない。
【0049】
図2に示すように、弁部32は、ノズル本体31のインポート30aとドレインポート30cとの軸方向の間の部分に設けられる。弁部32は、ノズル本体31の外周部から径方向外側に突出している。
【0050】
ノズル部30は、外周面に環状溝30d,30eを有する。環状溝30d,30eは、例えば、中心軸Jを中心とする円環状である。環状溝30dは、ノズル部30のうちアウトポート30bとドレインポート30cとの軸方向の間に位置する部分の外周面に設けられている。環状溝30eは、ノズル部30のうちアウトポート30bよりも下側に位置する部分の外周面に設けられている。環状溝30dおよび環状溝30eのそれぞれには、環状のOリング35が嵌め込まれている。
【0051】
弁部32は、可動子26の下側に位置する。本実施形態において弁部32は、ノズル部30の内部のうち軸方向の中央部分に保持されている。弁部32は、例えば、幅方向Xに見てアウトポート30bと重なる。弁部32は、一部がノズル部30に埋め込まれて保持されている。弁部32は、弁室37と、弁体38と、を有する。
【0052】
弁室37は、内部に弁体38を収容している。弁室37は、第1流路33の一部および第2流路34の一部を構成している。弁室37は、インポート接続孔37aと、アウトポート接続孔37bと、ドレインポート接続孔37cと、を有する。インポート接続孔37aは、弁室37のうち下側の壁部に設けられている。インポート接続孔37aは、弁室37内とインポート30aとを接続可能である。インポート接続孔37aの上側の端部には、弁体38が着座可能な下側弁座部371が設けられている。
【0053】
アウトポート接続孔37bは、例えば、弁室37のうち突出方向Yの両側の壁部にそれぞれ設けられている。アウトポート接続孔37bは、弁室37内とアウトポート30bとを接続可能である。
【0054】
ドレインポート接続孔37cは、弁室37のうち上側の壁部に設けられている。ドレインポート接続孔37cは、弁室37内とドレインポート30cとを接続可能である。ドレインポート接続孔37cの下側の端部には、弁体38が着座可能な上側弁座部372が設けられている。ドレインポート接続孔37cには、可動子26のピン262が上側から挿入されている。
【0055】
弁体38は、弁室37内において軸方向に移動可能に配置されている。弁体38は、ソレノイド部20の駆動によってノズル部30内の流路の流量を変化させる。弁体38は、例えば、球体、あるいは幅方向Xに延びる円柱である。弁体38は、下側弁座部371に上側から着座した状態と、上側弁座部372に下側から着座した状態と、の間で切り換えられる。図2に示すように、弁体38が上側弁座部372に着座した状態においては、インポート接続孔37aが開放された状態となり、弁室37内を介してインポート30aとアウトポート30bとが接続される。これにより、弁部32が開いた状態、かつ、第1流路33が開放された状態となり、インポート30aからアウトポート30bまでの流体の流れが許容される。弁体38が上側弁座部372に着座した状態においては、弁体38によってドレインポート接続孔37cが塞がれる。これにより、第2流路34が遮断された状態となり、アウトポート30bからドレインポート30cへの流体の流れが阻止される。
【0056】
一方、図2に示すように、弁体38が下側弁座部371に着座した状態においては、インポート接続孔37aが塞がれた状態となり、インポート30aとアウトポート30bとの間が遮断される。これにより、弁部32が閉じた状態、かつ、第1流路33が遮断された状態となり、インポート30aからアウトポート30bまでの流体の流れが阻止される。弁体38が下側弁座部371に着座した状態においては、ドレインポート接続孔37cが開放された状態となり、弁室37内を介してアウトポート30bとドレインポート30cとが接続される。これにより、第2流路34が開放された状態となり、アウトポート30bからドレインポート30cへの流体の流れが許容される。
【0057】
以上のようにして、第1流路33および第2流路34は、弁部32によって遮断と開放とが切り換えられる。弁部32の開閉状態は、可動子26によって切り換えられる。電磁弁1に電力が供給されていない状態においては、図2に示すように、可動子26が弾性部材27の弾性力によって下側に押されて、可動子26のピン262の先端部が弁体38を下側弁座部371に上側から押し付けた状態となる。これにより、電磁弁1に電力が供給されていない状態においては、弁部32が閉じて、第1流路33が遮断された状態となる。なお、電磁弁1に電力が供給されず、弁部32が閉じた状態においては、可動子26の上端面は、コア部252の下端面の下側に離れて位置する。本実施形態において可動子26の上端面は、可動子本体261の上端面である。
【0058】
一方、電磁弁1に電力が供給されると、コイル22に電流が流れ、コイル22の径方向内側において軸方向に磁束が流れる磁界が生じる。これにより、電磁弁1の磁性体製の各部を通る磁気回路が構成される。具体的には、例えば、コイル22の磁界による磁束がコイル22の径方向内側を下側から上側に流れる場合、磁束が、可動子本体261から、コア部252、蓋部251aおよび筒状部251bをこの順に通って可動子本体261に戻る磁気回路が構成される。これにより、磁性体製の各部が励磁され、可動子本体261とコア部252との間に、互いに引き合う磁力が生じる。したがって、電磁弁1に十分な電力を供給して、可動子本体261とコア部252との間に生じる磁力を弾性部材27の弾性力よりも大きくすることで、可動子26を弾性部材27の弾性力に抗して上側に移動させることができる。
【0059】
可動子26が上側に移動すると、ピン262による弁体38の押し付けが解除される。そのため、弁体38が上側に移動可能となる。この状態においてインポート30aから第1流路33内に流体が流入すると、流体の圧力によって弁体38が上側に押し上げられる。これにより、弁体38が上側弁座部372に着座した状態となり、弁部32が開いた状態となる。したがって、電磁弁1に電力が供給された状態においては、弁部32が開き、第1流路33が開放された状態となる。
【0060】
なお、電磁弁1に電力が供給されて、弁部32が開いた状態においては、可動子26の上端面は、コア部252の下端面と接触する。この状態において、可動子本体261の上端面とコア部252の下端面とは、磁力によって貼りついた状態となっている。また、電磁弁10に電力が供給されて、弁部32が開いた状態においては、可動子26の下端部、すなわちピン262の下端部は、例えば、弁体38から上側に離れた状態となる。なお、電磁弁1に電力が供給されて、弁部32が開いた状態において、可動子26下端部は、弁体38と接触していてもよい。
【0061】
電磁弁1への電力の供給を停止すると、磁気回路が消失し、可動子本体261とコア部252との間の磁力が消失する。そのため、弾性部材27の弾性力によって可動子26が下側に移動する。これにより、可動子26によって弁体38が下側に押されて、弁部32が閉じられる。
【0062】
以上のようにして、本実施形態では、電磁弁1に供給される電力のON/OFFを切り換えることで、可動子26を軸方向に移動させることができ、可動子26の移動に伴って弁部32を開閉することができる。
【0063】
<フィルタ>
図3は、本実施形態のノズル部30に取り付ける前のフィルタ40を示す平面図である。図4は、本実施形態のノズル部30にフィルタ40を取り付ける前の展開状態を示す側面図である。図5は、本実施形態のノズル部30にフィルタ40を取り付けた後の状態を示す側面図である。図6は、図5のVI-VI線に沿うノズル部30にフィルタ40を取り付けた後の状態を示す側面図である。図7は、本実施形態のフィルタ40の固定状態を示す拡大断面図である。
図3および図4に示すように、フィルタ40は、樹脂製の薄い帯状に形成される。フィルタ40は、長手方向一方側に位置する大幅部40Aおよび長手方向他方側に位置する小幅部40Bを有する。フィルタ40の大幅部40Aの幅は、外周面31aの軸方向の長さと同じかやや小さい。フィルタ40の厚みは、全体にわたって一定である。大幅部40Aの長手方向の長さは、後述するパンチング孔部42を設ける長手方向の範囲によって決められる。
【0064】
図5および図6に示すように、フィルタ40は、長手方向をノズル部30の円周方向に向けて、ノズル部30の窪み部30fにおける外周面31aを覆うように巻き付けて固定される。フィルタ40は、長手方向の両端であるフィルタ端部40a,40b同士が重なるように筒状になってノズル本体31の外周面31aに巻き付けられる。フィルタ40は、外周面31aに巻き付けられた状態で、フィルタ端部40a,40b同士がノズル本体31から突出するリベット39によって固定される(図7参照)。なお、本実施形態では、第2フィルタ端部40bは、後述する持ち手46を含まないフィルタ40における端部である。
【0065】
フィルタ40は、第1孔部41と、パンチング孔部42と、スリット43と、折返し部44と、第2孔部45と、持ち手46と、を備える。
【0066】
図3に示すように、第1孔部41は、長手方向中央の大幅部40Aに位置し、リベット39が挿入される。大幅部40Aに第1孔部41を設けることで、第1孔部41の周囲部分のフィルタ領域を確保できることから、フィルタ40の剛性を維持でき、加工もし易くなる。
【0067】
第1孔部41は、大径部41aと小径部41bと長手方向にを繋いだ形状である。大径部41aは、長手方向でスリット43が配置される側の第1フィルタ端部40a側に位置する。大径部41aは、カシメる前のリベット39の突出先端39aの外径よりも大径である。小径部41bは、長手方向で第2孔部45が配置される側の第2フィルタ端部40b側に位置する。小径部41bの内径は、カシメる前のリベット39の突出先端39aの外径と同じである。そのため、小径部41bにリベット39が挿入されると、フィルタ40は軸方向の移動が規制される。具体的には、大径部41aはリベット39の突出先端39aに挿入しやすいため、先に大径部41aをリベット39に挿入した後にフィルタ40を長手方向の第1フィルタ端部40a側に移動させることで、小径部41bにリベット39を挿入させることができる。
【0068】
パンチング孔部42は、大幅部40Aに設けられ、一対のドレインポート30cのそれぞれに対向する。パンチング孔部42の多数の孔は、大幅部40Aの第1孔部41とスリット43の周囲を除くフィルタ 7 の全体にわたり概ね均一に形成されている。パンチング孔部42の各孔の内径は、略同一である。大幅部40Aにおけるパンチング孔部42の長手方向の設置範囲は、フィルタ40をノズル本体31の外周面31aに巻き付けたときに、図2に示す一対のドレインポート30c,30cをパンチング孔部42で覆った状態となる範囲である。パンチング孔部42を通過した流体(作動油)は、作動油に含まれる異物が通過することない。
【0069】
スリット43は、大幅部40Aにおいて、長手方向一方側の第1フィルタ端部40aに設けられる。スリット43は、フィルタ40の幅方向Xに沿って延びる開口部である。スリット43は、フィルタ40の基材を厚さ方向に貫通している。スリット43の長手方向の長さは、小幅部40Bの幅よりも大きい。スリット43の短手方向の長さは、フィルタ40の厚みより大きい。
【0070】
図8は、本実施形態のフィルタ40の取り付け方法を示す軸方向から見た断面図である。
図7および図8に示すように、折返し部44は、小幅部40Bのうち第1孔部41と第2孔部45の長手方向の間の適宜な位置となる。折返し部44は、スリット43に挿入される。図8に示すように、折返し部44は、スリット43に接触した状態で挿入方向E1と逆向きE2に折り返される。すなわち、フィルタ40の第1フィルタ端部40a側のスリット43に挿入された第2フィルタ端部40b側の部分(小幅部40B)をノズル本体31に巻き付ける方向と反対方向E3に折り返すことにより折返し部44が形成される。図8において、符号P1は、スリット43に挿入された小幅部40Bを折り返す前の状態を示している。符号P2の二点鎖線は、スリット43に挿入された小幅部40Bを折返し部44で折り返した状態を示している。
【0071】
第2孔部45は、長手方向他方側の第2フィルタ端部40bに設けられる。第2孔部45は、長手方向に延びる長孔形状である。第2孔部45は、折返し部44を挟んで長手方向で第1孔部41と反対側に配置される。第2孔部45は、スリット43から抜け出た小幅部40Bに形成される第2孔部45がリベット39の突出先端39aに挿入される。第2孔部45は、短軸方向の長さ寸法がカシメる前のリベット39の突出先端39aの外径と同じである。そのため、第2孔部45にリベット39が挿入されると、フィルタ40は軸方向の移動が規制される。
【0072】
第2孔部45の第2フィルタ端部40b側の位置は、フィルタ40がノズル本体31に隙間なく巻き付けた状態で、折返し部44で折り返された小幅部40Bの第2孔部45にリベット39が挿入される位置である。第2孔部45は、第1孔部41の径方向外側に重なって配置される。つまり、フィルタ40は、第2フィルタ端部40bが第1フィルタ端部40aの径方向外側に重なった状態で固定される。
【0073】
図3に示すように、第1孔部41と第2孔部45との間の小幅部40Bには、別のパンチング孔部47が設けられる。このパンチング孔部47は、図8に示すように、本実施形態において一対のドレインポート30cには対向しない位置である。パンチング孔部47の構成は、パンチング孔部42と同様である。パンチング孔部47を通過した流体(作動油)は、作動油に含まれる異物が通過することなく、フィルタ40で回収される。なお、別のパンチング孔部47の位置にドレインポート30cが位置するケースでもフィルタ40の機能をもたせることができる。また、パンチング孔部47は、パンチング孔部47が無い部分に比べて剛性を小さくなる。そのため、パンチング孔部47に折返し部44が位置するので、折返し部44で折り返しやすくなる。
【0074】
図3に示すように、持ち手46は、小幅部40Bの一部であり、弱化部461を介して第2フィルタ端部40bに部分的に接続されている。持ち手46は、第2フィルタ端部40bから切り離し可能に設けられている。持ち手46の切り離しは、捩じる等の手動操作や切断治具を使用して切断してもよい。
【0075】
次に、フィルタ40をノズル本体31に取り付ける方法について、図面に基づいて説明する。
先ず、図4に示すように、両フィルタ端部40a、40bを離間させた状態で、第1孔部41にリベット39の突出先端39aを挿入する。このとき、先に第1孔部41の大径部41aをリベット39に挿入した後にフィルタ40を長手方向の第1フィルタ端部40a側に移動させ、小径部41bにリベット39を挿入させる。なお、リベット39は、予めノズル本体31の凹部300(図8および図9参照)に嵌めて固定しておく。
【0076】
次に、図8に示すように、大幅部40Aをノズル本体31の外周面31aに沿って円周方向に巻き付けるように移動する。このとき、大幅部40Aの移動途中で、第1フィルタ端部40a側のスリット43に第2フィルタ端部40b側の小幅部40Bを通過させる。そして、スリット43を通過させた持ち手46を持って、その持ち手46をノズル本体31に巻き付ける方向と反対方向E3に引っ張ることで、スリット43の位置(折返し部44)が第1孔部41に挿入しているリベット39に徐々に近接する方向に移動する。このとき、第2孔部45は、小幅部40Bの折り返した側に位置する。
【0077】
そして、小幅部40Bの折り返した側を符号P2の位置に近づけつつ、第2孔部45を小幅部40Bに形成される第2孔部45をリベット39の突出先端39aに挿入する。なお、第2孔部45は長孔形状であるので、ノズル本体31およびフィルタ40の径寸法や周長の公差を吸収して第2孔部45にリベット39を確実に挿入させることができる。図5および図7に示すように、第2孔部45は、第1孔部41の径方向外側に位置する。すなわち、第1孔部41に重なって第2孔部45が配置され、第1孔部41と第2孔部45に共通してリベット39が挿入された状態となる。
【0078】
第2孔部45にリベット39を挿入させることで、外周面31aに巻き付けられる大幅部40Aの径寸法が、外周面31aに位置するノズル本体31の外径とほぼ一致する寸法になる。これにより、フィルタ40は、ノズル本体31の外周面31aに対して位置決めされる。このとき、パンチング孔部42で一対のドレインポート30c,30cのそれぞれを覆った状態となる。
【0079】
この状態において、フィルタ40には、径を拡大させようとする方向に力が加わるが、その場合でも、第1孔部41および第2孔部45にリベット39が挿入されているため、両フィルタ端部40a、40bがリベット39から外れたり、径を拡大したりすることはない。
【0080】
次に、図6および図7に示すように、第1孔部41および第2孔部45にリベット39が挿入された状態で、リベット39を熱カシメする。熱カシメをすることにより、第1孔部41および第2孔部45の全体にリベット39が溶けて埋まる。これにより、第1孔部41および第2孔部45が溶けたリベット39を介してノズル本体31に固定される。なお、熱カシメを行うときには、持ち手46を巻き付ける方向と反対方向E3(図5参照)に押えながら行うことが好ましい。これにより、リベット39が溶けて固定するまで第2フィルタ端部40bを保持することができる。熱カシメの作業が完了したら、持ち手46を第2フィルタ端部40bから切り離す。以上で、ノズル部30へのフィルタ40の装着作業が完了する。
【0081】
以上のように、本実施形態によれば、ソレノイド部20の軸方向一方側に筒状のノズル部30を有する電磁弁1は、流路と、流路に配置され、ソレノイド部20の駆動によって流路の流量を変化させる弁体38と、流路に繋がるドレインポート30cと、ノズル部30の周面から突出するリベット39と、ノズル部30の周方向に沿って装着され、長手方向一方側に位置する大幅部40Aおよび長手方向他方側に位置する小幅部40Bからなる帯状のフィルタ40と、を備える。フィルタ40は、長手方向中央に位置し、リベット39が挿入される第1孔部41と、大幅部40Aに設けられ、ドレインポート30cに対向するパンチング孔部42と、長手方向一方側の一端部に設けられ、フィルタ40の幅方向Xに沿って延びるスリット43と、スリット43に挿入され、スリット43に接触した状態で挿入方向と逆向きに折り返される折返し部44と、長手方向他方側の他端部に設けられた第2孔部45と、を備える。そのため、スリット43から抜け出た小幅部40Bが折り返されているので、フィルタ40に締付力をもたせることができる。これにより、フィルタ40の装着時において、挿入によりリベット39に固定される第2孔部45がリベット39に対してずれたり外れることが抑制され、フィルタ40の脱落を防止することができる。また、本実施形態によれば、第1孔部41と第2孔部45をリベット39に径方向に挿入するといった簡単な装着作業となることから、フィルタ40の装着作業性を良好にできる。
【0082】
また、本実施形態によれば、スリット43に接触した状態で挿入方向と逆向きに折返し部44で折り返されるため、ノズル本体31の外周面31aにフィルタ40を装着した状態で大幅部40Aに小幅部40Bがオーバーラップしない。そのため、大幅部40Aに設けられるパンチング孔部42を小幅部40Bで塞ぐことがなく、フィルタ40のオイル通過を阻害することを防止できる。
【0083】
また、本実施形態によれば、第1孔部41は、大径部41aと小径部41bとを繋いだ形状である。そのため、大径部41aはリベット39の突出先端39aに挿入しやすくなる。具体的には、先に大径部41aをリベット39に挿入した後にフィルタ40を長手方向の第1フィルタ端部40a側に移動させることで、小径部41bにリベット39を挿入させることができる。
【0084】
また、本実施形態によれば、第2孔部45が長手方向に延びる長孔形状である。そのため、ノズル本体31およびフィルタ40の径寸法や周長の公差を吸収して第2孔部45にリベット39を確実に挿入させることができる。
【0085】
また、本実施形態によれば、第1孔部41と第2孔部45との間の小幅部40Bには、別のパンチング孔部47が設けられる。別のパンチング孔部47は、別のパンチング孔部47が無い部分に比べて剛性を小さくなる。そのため、別のパンチング孔部47に折返し部44が位置するので、折返し部44で折り返しやすくなる。
【0086】
また、本実施形態によれば、ノズル部30は、外周面31aにリベット39を嵌めて固定する凹部300を有する。そのため、リベット39を凹部300に嵌めることにより固定することができ、リベット39に挿入する第1孔部41と第2孔部45もリベット39を介してノズル部30に固定することができる。
【0087】
以上に、本発明の実施形態を説明したが、実施形態における各構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはない。
【0088】
例えば、上述の実施形態では、第1孔部41は、大径部41aと小径部41bとを繋いだ形状であるがこれに限定されることはない。例えば、小径部41bのみが形成された第1孔部41であってもよい。
【0089】
また、上述の実施形態では、第2孔部45が長手方向に延びる長孔形状であるが、長孔に限定されることはない。要は、突起に挿入可能な形状の第2孔部であればよいのである。
【0090】
また、上述の実施形態では、第1孔部41と第2孔部45との間の小幅部40Bには、別のパンチング孔部47が設けられるが、この別のパンチング孔部47を省略することも可能である。
【0091】
また、上述の実施形態では、ノズル部30がノズル本体31の外周面31aに突起を嵌めて固定する凹部300を有する構成としているが、このような構成に限定されることはない。
【0092】
なお、本技術は以下のような構成をとることが可能である。
(1) ソレノイドの軸方向一方側に筒状のノズルを有する電磁弁であって、流路と、前記流路に配置され、前記ソレノイドの駆動によって前記流路の流量を変化させる弁体と、前記流路に繋がるポートと、前記ノズルの周面から突出する突起と、前記ノズルの周方向に沿って装着され、長手方向一方側に位置する大幅部および長手方向他方側に位置する小幅部からなる帯状のフィルタと、を備え、前記フィルタは、長手方向中央に位置し、前記突起が挿入される第1孔部と、前記大幅部に設けられ、前記ポートに対向するパンチング孔部と、前記長手方向一方側の一端部に設けられ、前記フィルタの幅方向に沿って延びるスリットと、前記スリットに挿入され、前記スリットに接触した状態で挿入方向と逆向きに折り返される折返し部と、前記長手方向他方側の他端部に設けられた第2孔部と、を備え、前記スリットから抜け出た前記第2孔部が前記突起に挿入され、前記突起に固定される、電磁弁。
(2) 前記第1孔部は、大径部と小径部とを繋いだ形状である、(1)に記載の電磁弁。
(3) 前記第2孔部は、前記長手方向に延びる長孔形状である、(1)又は(2)に記載の電磁弁。
(4) 前記第1孔部と前記第2孔部との間の前記小幅部には、別のパンチング孔部が設けられる、(1)~(3)の何れか一項に記載の電磁弁。
(5) 前記ノズルは、周面に前記突起を嵌めて固定する凹部を有する、(1)~(4)の何れか一項に記載の電磁弁。
【符号の説明】
【0093】
1…電磁弁、20…ソレノイド部、22…コイル、24…ガイド部材、26…可動子、261…可動子本体、262…ピン、27…弾性部材、30…ノズル部、30a…インポート、30b…アウトポート、30c…ドレインポート、30f…窪み部、31…ノズル本体、31a…外周面、32…弁部、33…第1流路、34…第2流路、36…固定部、37…弁室、38…弁体、39…リベット(突起)、39a…突出先端、300…凹部、391…軸部、392…膨出部、40…フィルタ、40A…大幅部、40B…小幅部、40a…第1フィルタ端部、40b…第2フィルタ端部、41…第1孔部、41a…大径部、41b…小径部、42…パンチング孔部、43…スリット、44…折返し部、45…第2孔部、46…持ち手、47…別のパンチング孔部、J…中心軸
図1
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図9