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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025149714
(43)【公開日】2025-10-08
(54)【発明の名称】ソケット
(51)【国際特許分類】
   G01R 1/073 20060101AFI20251001BHJP
   G01R 31/26 20200101ALI20251001BHJP
   G01R 1/067 20060101ALI20251001BHJP
   H01R 33/76 20060101ALI20251001BHJP
   H01R 13/14 20060101ALI20251001BHJP
   H01R 13/24 20060101ALN20251001BHJP
【FI】
G01R1/073 B
G01R31/26 J
G01R1/067 C
G01R1/067 F
H01R33/76 505A
H01R33/76 505B
H01R13/14
H01R13/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024050522
(22)【出願日】2024-03-26
(71)【出願人】
【識別番号】000006758
【氏名又は名称】株式会社ヨコオ
(74)【代理人】
【識別番号】100136375
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 弘実
(74)【代理人】
【識別番号】100079290
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 隆
(72)【発明者】
【氏名】軣木 岳史
【テーマコード(参考)】
2G003
2G011
5E024
【Fターム(参考)】
2G003AG01
2G003AG03
2G011AA09
2G011AA14
2G011AA15
2G011AB01
2G011AB04
2G011AB05
2G011AB07
2G011AB08
2G011AC21
2G011AE22
2G011AF02
5E024CA18
(57)【要約】
【課題】プローブの短尺化が可能なソケットを提供する。
【解決手段】
第1面と、前記第1面の反対側の第2面と、前記第1面と前記第2面との間を貫通する第1貫通孔と、を有するハウジングと、
前記第1面に設けられ、前記第1貫通孔と連通する第2貫通孔を有する第1弾性シートと、
前記第1貫通孔および前記第2貫通孔に支持されたプローブと、を備え、
前記第1弾性シートは、前記第1貫通孔および前記第2貫通孔の延出方向から見て前記第1貫通孔の内縁部よりも内側に延在し、前記プローブに対して前記第1貫通孔からの抜けを抑制する抑制力を作用させる、
ソケット。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面と、前記第1面の反対側の第2面と、前記第1面と前記第2面との間を貫通する第1貫通孔と、を有するハウジングと、
前記第1面に設けられ、前記第1貫通孔と連通する第2貫通孔を有する第1弾性シートと、
前記第1貫通孔および前記第2貫通孔に支持されたプローブと、を備え、
前記第1弾性シートは、前記第1貫通孔および前記第2貫通孔の面垂直方向から見て前記第1貫通孔の内縁部よりも内側に延在し、前記プローブに対して前記第1貫通孔からの抜けを抑制する抑制力を作用させる、
ソケット。
【請求項2】
前記プローブは、前記第1貫通孔内に位置する部分に、前記第2貫通孔の周囲に引っかかり前記第1弾性シートから前記抑制力を受けることが可能な引っ掛かり部を有する、請求項1に記載のソケット。
【請求項3】
前記第1弾性シートは、前記第2貫通孔に連なるスリット部を有し、
前記スリット部は、前記第2貫通孔を広げながら前記プローブを前記第1貫通孔および前記第2貫通孔に対して挿抜することを可能とする、
請求項1または2に記載のソケット。
【請求項4】
前記第2面に設けられ、前記第1貫通孔と連通する第3貫通孔を有する第2弾性シートを備え、
前記第2弾性シートは、前記第1貫通孔および前記第3貫通孔の延出方向から見て前記第1貫通孔の内縁部よりも内側に延在し、前記プローブに対して前記第1貫通孔からの抜けを抑制する抑制力を作用させる、
請求項3に記載のソケット。
【請求項5】
前記第1面は、検査対象物側に臨む面である、請求項3に記載のソケット。
【請求項6】
前記プローブは、前記第2貫通孔から前記第1貫通孔とは反対側に突出した部分に、前記第1貫通孔内に位置する部分のうち外径が最大の部分よりも大きい外径の大径部を有する、請求項3に記載のソケット。
【請求項7】
前記プローブは、板ばねであり、
前記第2面は、検査用基板側に臨む面であり、
前記第1弾性シートは、前記第2貫通孔の周囲の部分により、前記引っ掛かり部を前記検査用基板側に向けて押圧し、前記プローブの先端部が検査対象物に接していない検査前状態において、前記プローブの基端部に対して前記検査用基板に対する接触力を付与する、
請求項2に記載のソケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソケットに関する。
【背景技術】
【0002】
ハウジングの貫通孔にプローブを支持した構造のソケットが、半導体デバイス等の検査に用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-39496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的の一例は、プローブの短尺化が可能なソケットを提供することにある。本発明の他の目的は、本明細書の記載から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、
第1面と、前記第1面の反対側の第2面と、前記第1面と前記第2面との間を貫通する第1貫通孔と、を有するハウジングと、
前記第1面に設けられ、前記第1貫通孔と連通する第2貫通孔を有する第1弾性シートと、
前記第1貫通孔および前記第2貫通孔に支持されたプローブと、を備え、
前記第1弾性シートは、前記第1貫通孔および前記第2貫通孔の延出方向から見て前記第1貫通孔の内縁部よりも内側に延在し、前記プローブに対して前記第1貫通孔からの抜けを抑制する抑制力を作用させる、
ソケットである。
【0006】
本発明の上記態様によれば、プローブの短尺化が可能なソケットを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態1に係るソケット1を検査用基板40および検査対象物50と共に示す断面図である。
図2】比較例に係るソケット801を検査用基板40と共に示す断面図である。
図3】実施形態2における第1弾性シート10Aの平面図である。
図4】実施形態2に係るソケット1Aを検査用基板40と共に示す断面図である。
図5】(A)は、ソケット1Aにおいてプローブ30を挿抜する過程を示す断面図である。(B)は、図2に示す比較例に係るソケットにおいてプローブ830を挿抜する過程を示す断面図である。
図6】実施形態3に係るソケット1Bを検査用基板40と共に示す断面図である。
図7】実施形態4に係るソケット1Cを検査用基板40と共に示す断面図である。
図8】実施形態5に係るソケット1Dの平面図である。
図9】ソケット1Dを検査用基板40および検査対象物50と共に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係るソケット1を検査用基板40および検査対象物50と共に示す断面図である。
【0009】
ソケット1は、半導体デバイス等の被測定デバイス50と図示しない検査装置側の検査用基板40との間の電気的接続に用いられる。ソケット1は、ハウジング2、第1弾性シート10、蓋部材20、およびプローブ30を備える。
【0010】
ハウジング2は、例えば非弾性で剛性を有する絶縁性硬質樹脂からなる。ハウジング2は、第1面3と、第1面3の反対側の第2面4と、第1面3と第2面4との間を貫通する第1貫通孔5と、を有する。第1面3は、検査対象物50側に臨む面である。第2面4は、検査用基板40側に臨む面である。第1面3と第2面4は互いに平行である。以下、第1面3及び第2面4と垂直な方向を「面垂直方向」と表記する。説明の便宜上、面垂直方向と平行な方向を図1に示すように上下方向と定義する。第1貫通孔5は、面垂直方向と平行に延びる。第1貫通孔5は、例えば切削加工で形成された丸穴である。
【0011】
第1弾性シート10は、例えばポリイミドシートであり、可撓性を有する。第1弾性シート10は、ハウジング2の第1面3に例えば接着あるいは溶着により設けられる。第1弾性シート10は、第1貫通孔5と同軸に連通する第2貫通孔11を有する。第2貫通孔11の形状は、好ましくはプローブ30を面垂直方向から見た外形形状を縮小した形状、ここでは円形である。第2貫通孔11は、第1貫通孔5より小径であり、第1貫通孔5と共に段付き孔を構成する。すなわち、第1弾性シート10は、第1貫通孔5および第2貫通孔11の面垂直方向から見て第1貫通孔5の内縁部よりも内側に延在する。第1弾性シート10は、プローブ30に対して第1貫通孔5から上方への抜けを抑制する抑制力(以下「第1抑制力」とも表記)を作用させることができる。
【0012】
蓋部材20は、例えば非弾性で剛性を有する絶縁性硬質樹脂からなる。蓋部材20は、ハウジング2の第2面4にネジ止めや、爪で係合させるネジレス構造等により固定される。蓋部材20は、ハウジング2と一体であってハウジング2と単一の部材を構成してもよい。蓋部材20は、第1貫通孔5と連通する第3貫通孔21を有する。第3貫通孔21は、第1貫通孔5より小径であり、第1貫通孔5と共に段付き孔を構成する。蓋部材20は、プローブ30に対して第1貫通孔5から下方への抜けを抑制する抑制力(以下「第2抑制力」とも表記)を作用させることができる。
【0013】
プローブ30は、いわゆるポゴピンであって、検査用基板40と検査対象物50との間の電気信号の経路を成す。1つのソケット1に多数のプローブ30が図1中の左右方向および奥行き方向に配列される。プローブ30は、ハウジング2の第1貫通孔5、第1弾性シート10の第2貫通孔11、および蓋部材20の第3貫通孔21に支持される。プローブ30は、第1プランジャ31、第2プランジャ32、およびチューブ33を有する。
【0014】
第1プランジャ31および第2プランジャ32の基端部はそれぞれチューブ33内に位置する。チューブ内に設けられた図示しないスプリングが、第1プランジャ31および第2プランジャ32を互いに離間する方向に付勢する。第1プランジャ31は、先端が開放された状態において、第1弾性シート10の第2貫通孔11を貫通して上方に突出する。第1プランジャ31は、検査時に検査対象物50のバンプ51と接触する。第2プランジャ32は、先端が開放された状態において、蓋部材20の第2貫通孔21を貫通して下方に突出する。第2プランジャ32は、検査時に先端が検査用基板40の電極部と接触する。
【0015】
チューブ33は、ハウジング2の第1貫通孔5内に位置する。チューブ33は、第1プランジャ31および第2プランジャ32よりも大径であり、第1弾性シート10の第2貫通孔11および蓋部材20の第3貫通孔21よりも大径である。チューブ33の上端部は、第1弾性シート10の第2貫通孔11の周囲に引っかかり第1弾性シート10から第1抑制力を受けることが可能な引っ掛かり部として機能する。図1の例では、チューブ33の上端部は、第1弾性シート10によって下方に向けて押さえつけられ、第1抑制力を受けている。第1抑制力は、プローブ30の先端部が検査対象物50に接していない検査前状態において、チューブ33の内部のスプリングを圧縮し、プローブ30の基端部から検査用基板40の電極部に加わる荷重(プリロード)を発生させる。チューブ33の下端部は、蓋部材20の第3貫通孔21の周囲に引っかかり蓋部材20から第2抑制力を受けることが可能な引っ掛かり部として機能する。
【0016】
本実施形態は、下記の作用効果を奏する。
【0017】
(1) ソケット1は、ハウジング2の第1面に設けられ、ハウジング2の第1貫通孔5と連通する第2貫通孔11を有する第1弾性シート10を備える。第1弾性シート10は、プローブ30に対して第1貫通孔5から上方への抜けを抑制する抑制力(抜け止め力)を作用させることができる。このため、第2貫通孔11に相当する構成を第1弾性シート10ではなくハウジング2の一部や硬質樹脂性の蓋体に設けて同様の抑制力を作用させる構成と比較して、抑制力発揮のための構成部分を薄型化できる。すなわち、第2貫通孔11に相当する構成を硬質樹脂部分に設ける場合、強度確保や製法上の制約のため、第1弾性シート10のように薄くすることができない。ソケット1は、第1弾性シート10によりプローブ30の抜けを抑制することで、抜け抑制のための構成を薄型化し、プローブ30の短尺化(例えば0.5mm程度の短尺化)、ひいてはソケット1の低背化を可能とするものである。
【0018】
(2) 第1弾性シート10は、上方に撓むことができる。このため、プローブ30の先端部が検査対象物50に接していない検査前状態において、第1弾性シート10が撓んだ分だけプローブ30の圧縮量(チューブ33内のスプリングの圧縮量)が減り、プリロードが抑制される。過大なプリロードは検査用基板40の電極部の摩耗を早めるため、プリロードを抑制することで検査用基板40の電極部の摩耗が抑制される。また、第1弾性シート10は硬質樹脂と比較して薄くても破損しにくいため、プリロードを第1弾性シート10で受けることで、プリロードを硬質樹脂部分で受ける場合と比較して、強度不足となるリスクが抑制される。よって、低背かつ多ピンのソケットにおいてもプリロードをかけることができる。
【0019】
(比較例)
図2は、比較例に係るソケット801を検査用基板40と共に示す断面図である。ソケット801は、実施形態1のソケット1と比較して、第1弾性シート10が無くなった点、ハウジング2がハウジング802に替わった点、およびプローブ30がプローブ830に替わった点で相違し、その他の点で一致する。ハウジング802は、チューブ33を収容する第1貫通孔805と、第1プランジャ831が貫通する第2貫通孔811と、を有する。第2貫通孔811は、実施形態1において第1弾性シート10に形成された第2貫通孔11と異なり、硬質樹脂部分に形成されるため、第2貫通孔11と比較して上下方向の長さが長くなっている。これに伴い、プローブ830の第1プランジャ831は、実施形態1のプローブ30の第1プランジャ31と比較して長くなっている。このように比較例の構成では、抜け抑制のための構成(硬質樹脂部分に設けた第2貫通孔811)にハウジング802の強度確保の長さが必要なため、プローブ830の短尺化が難しい。上記実施形態1は、第1弾性シート10によりプローブ30の抜けを抑制することで、比較例のこうした課題を好適に解決するものである。
【0020】
(実施形態2)
図3は、実施形態2における第1弾性シート10Aの平面図である。図4は、実施形態2に係るソケット1Aを検査用基板40と共に示す断面図である。図5(A)は、ソケット1Aにおいてプローブ30を挿抜する過程を示す断面図である。以下、実施形態1との相違部分を中心に説明する。
【0021】
ソケット1Aは、実施形態1のソケット1の第1弾性シート10を第1弾性シート10Aに置換したものである。第1弾性シート10Aは、第1弾性シート10と比較して、第2貫通孔11に連なるスリット部12を有する点で相違し、その他の点で一致する。
【0022】
スリット部12は、面垂直方向から見て、第2貫通孔11から放射方向に延び、チューブ33の外縁部まで、あるいは外縁部の外側まで延在する。スリット部12は、図3の例では第2貫通孔11の中心周りに90度間隔で4個設けられる。スリット部12の配置間隔や個数は任意に変更できる。ソケット1Aでは、第1弾性シート10Aがスリット部12を有することで、第2貫通孔11の周囲を変形させながら図5(A)に示すようにプローブ30をハウジング2の第1貫通孔5に対して第1面3側(検査対象物側)から挿抜することが可能となっている。このため、プローブ30の交換の際にソケット1Aを検査用基板40から取り外す必要がなく、また蓋部材20をハウジング2から取り外す必要もなく、作業性が良い。さらに、スリット部12により第1弾性シート10Aは第2貫通孔11の周囲が上方に撓みやすくなり、実施形態1と比較してプリロードが一層抑制される。
【0023】
(比較例)
図5(B)は、図2に示す比較例に係るソケット801においてプローブ830を挿抜する過程を示す断面図である。図2に示すソケット801の場合、プローブ830の交換の際には、ソケット801を検査用基板40から取り外し、蓋部材20をハウジング802から取り外す必要がある。蓋部材20を取り外した状態では、ソケット801の扱い方によっては、交換不要なプローブ830が抜けてしまう恐れがある。また、プローブ830の交換後に蓋部材20を取り付ける際には、ハウジング802に支持した全てのプローブ830を蓋部材20の第3貫通孔21に入れるようにする必要があり、作業の困難性が高い。上記実施形態2は、第1弾性シート10Aの第2貫通孔11を通してプローブ30を交換可能とすることで、プローブ30の交換の際の蓋部材20の取り外しを不要とし、比較例のこうした課題を好適に解決するものである。
【0024】
(実施形態3)
図6は、実施形態3に係るソケット1Bを検査用基板40と共に示す断面図である。ソケット1Bは、実施形態2のソケット1Aと比較して、蓋部材20が第2弾性シート60に替わった点、およびプローブ30がプローブ30Aに替わった点で相違し、その他の点で一致する。
【0025】
第2弾性シート60は、好ましくは第1弾性シート10と同様の材質からなり、蓋部材20よりも薄い。第2弾性シート60は、ハウジング2の第2面4に例えば接着あるいは溶着により設けられる。第2弾性シート60は、第1貫通孔5と同軸に連通する第3貫通孔61を有する。第3貫通孔61の形状は、好ましくはプローブ30を面垂直方向から見た外形形状を縮小した形状、ここでは円形である。第3貫通孔61は、第1貫通孔5より小径であり、第1貫通孔5と共に段付き孔を構成する。すなわち、第2弾性シート60は、第1貫通孔5および第3貫通孔61の面垂直方向から見て第1貫通孔5の内縁部よりも内側に延在する。第2弾性シート60は、プローブ30に対して第1貫通孔5からの抜け(図6中の下方への抜け)を抑制する抑制力を作用させることができる。
【0026】
第2弾性シート60が蓋部材20よりも薄い分、プローブ30Aの第2プランジャ32Aは、実施形態2のプローブ30の第2プランジャ32と比較して短くなっている。すなわち本実施形態のソケット1Bは、実施形態2のプローブ30よりも短尺化したプローブ30Aを用いることが可能となり、一層の低背化が可能となる。
【0027】
(実施形態4)
図7は、実施形態4に係るソケット1Cを検査用基板40と共に示す断面図である。ソケット1Cは、実施形態2のソケット1Aのプローブ30がプローブ30Bに替わったものである。プローブ30Bは、プローブ30の第1プランジャ31が第1プランジャ31Bに替わったものである。第1プランジャ31Bは、検査対象物と接触する先端接触部が大径部34となっている。大径部34の外径は、チューブ33の外径と同じかそれよりも大きい。大径部34の外径は、ハウジング2の第1貫通孔5の内径よりも大きくてもよい。大径部34は、図1に示すバンプ51よりも大きいバンプとの接触用に好適である。プローブ30Bは、実施形態2におけるプローブ30と同様に、ハウジング2の第1貫通孔5に対して第1面3側(検査対象物側)から挿抜することが可能である。このため、チューブ33あるいはハウジング2の第1貫通孔5よりも大径の大径部34を有するプローブ30Bであってもハウジング2に挿入することができる。
【0028】
(実施形態5)
図8は、実施形態5に係るソケット1Dの平面図である。図9は、ソケット1Dを検査用基板40および検査対象物50と共に示す断面図である。前述の各実施形態ではプローブがいわゆるポゴピンであったのに対し、本実施形態におけるプローブ30Cは板ばねである。ソケット1Dは、実施形態2のソケット1Aのハウジング2、第1弾性シート10A、蓋部材20、およびプローブ30を、それぞれハウジング2C、第1弾性シート10B、蓋部材20C、およびプローブ30Cに置換したものである。
【0029】
ハウジング2Cは、ハウジング2の丸穴である第1貫通孔5が、プローブ30Cの形状に対応して角穴である第1貫通孔5Cに替わったものである。第1弾性シート10Bは、第1弾性シート10Aの丸穴である第2貫通孔11が、プローブ30Cの形状に対応して角穴である第2貫通孔13に替わり、かつ、スリット部12がスリット部14に替わったものである。スリット部14は、第2貫通孔13の4つの角部から、プローブ30Cの凸部36と同方向にそれぞれ延び、同方向において凸部36の先端と同じ位置又はそれより遠方まで延びる。蓋部材20Cは、蓋部材20の丸穴である第3貫通孔21が、プローブ30Cの形状に対応して角穴である第3貫通孔21Cに替わったものである。
【0030】
プローブ30Cは、相互に対向する一対の弾性片部35を有する導電性板ばねである。図9に示す左右のプローブ30Cは、互いに同一形状であるが、面垂直方向から見て互いに90度回転させた姿勢となっている。プローブ30Cは、燐青銅やベリリウム銅などの導電性と弾性を有する1枚の板材をプレス加工により曲げて、一対の弾性片部35が並行、またはハの字もしくは逆ハの字になるように形成される。一対の弾性片部35の先端部は、先端に向かって対向間隔が広がる向きに曲がった形状である。一対の弾性片部35の先端部間にバンプ51が入り込み、バンプ51により一対の弾性片部35の先端部間が押し広げられるようにプローブ30Cが弾性変形することで、一対の弾性片部35の先端部にバンプ51との接触力が付与される。
【0031】
各弾性片部35の長さ方向の中間部には、凸部36が設けられる。凸部36は、長方形の弾性片部35を部分的に幅広にして形成される。
【0032】
凸部36の上端部は、第1弾性シート10Bの第2貫通孔13の周囲に引っかかり、第1弾性シート10Bから、プローブ30Cが上方に抜けるのを抑制する第1抑制力を受けることが可能な引っ掛かり部として機能する。図9の例では、第1弾性シート10Bは、凸部36から上方への力を受け、上方に撓むように弾性変形している。この弾性変形の復元力が凸部36の上端部に第1抑制力として加えられる。第1抑制力は、プローブ30Cの先端部が検査対象物50(バンプ51)に接していない検査前状態において、プローブ30Cの基端部から検査用基板40の電極部に加わる荷重(プリロード)となる。凸部36の下端部は、蓋部材20Cの第3貫通孔21Cの周囲に引っかかり、蓋部材20から、プローブ30Cが下方に抜けるのを抑制する抑制力を受けることが可能な引っ掛かり部として機能する。プローブ30Cは、実施形態2におけるプローブ30と同様に、ハウジング2Cの第1貫通孔5Cに対して検査対象物50側から挿抜することが可能である。
【0033】
本実施形態によれば、プローブ30Cにより上方に撓むように弾性変形された第1弾性シート10Bの復元力によってプローブ30Cを下方に向けて押さえつけることで、板ばねであるプローブ30Cに対して好適にプリロードをかけることができる。これにより、検査用基板40に対してプローブ30Cが浮いて、隙間に異物が挟まったり、検査時にプローブ30Cから検査用基板40に衝撃荷重が加わったりするリスクが抑制される。
【0034】
以上、図面を参照して本発明の実施形態及び変形例について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0035】
本明細書によれば、以下の態様のソケットが提供される。
【0036】
(態様1)
第1面と、前記第1面の反対側の第2面と、前記第1面と前記第2面との間を貫通する第1貫通孔と、を有するハウジングと、
前記第1面に設けられ、前記第1貫通孔と連通する第2貫通孔を有する第1弾性シートと、
前記第1貫通孔および前記第2貫通孔に支持されたプローブと、を備え、
前記第1弾性シートは、前記第1貫通孔および前記第2貫通孔の面垂直方向から見て前記第1貫通孔の内縁部よりも内側に延在し、前記プローブに対して前記第1貫通孔からの抜けを抑制する抑制力を作用させる、
ソケット。
【0037】
態様1によれば、第1弾性シートによりプローブの抜けを抑制する構成のため、第1弾性シートではなく硬質樹脂部分でプローブの抜けを抑制する構成と比較して、抜け抑制に係る構成部分の薄型化が可能となる。よって、プローブの短尺化が可能となり、ひいてはソケットの低背化が可能となる。
【0038】
(態様2)
前記プローブは、前記第1貫通孔内に位置する部分に、前記第2貫通孔の周囲に引っかかり前記第1弾性シートから前記抑制力を受けることが可能な引っ掛かり部を有する、ソケット。
【0039】
態様2によれば、プローブの抜けが効果的に抑制される。
【0040】
(態様3)
前記第1弾性シートは、前記第2貫通孔に連なるスリット部を有し、
前記スリット部は、前記第2貫通孔を広げながら前記プローブを前記第1貫通孔および前記第2貫通孔に対して挿抜することを可能とする、
ソケット。
【0041】
態様3によれば、プローブ交換の手間が削減される。
【0042】
(態様4)
前記第2面に設けられ、前記第1貫通孔と連通する第3貫通孔を有する第2弾性シートを備え、
前記第2弾性シートは、前記第1貫通孔および前記第3貫通孔の延出方向から見て前記第1貫通孔の内縁部よりも内側に延在し、前記プローブに対して前記第1貫通孔からの抜けを抑制する抑制力を作用させる、
ソケット。
【0043】
態様4によれば、第2弾性シートによりプローブの抜けを抑制する構成のため、第2弾性シートではなく硬質樹脂部分でプローブの抜けを抑制する構成と比較して、抜け抑制に係る構成部分の薄型化が可能となる。よって、プローブの短尺化が可能となり、ひいてはソケットの低背化が可能となる。
【0044】
(態様5)
前記第1面は、検査対象物側に臨む面である、ソケット。
【0045】
態様5によれば、検査対象物側に臨む方向からプローブの交換が可能となり、プローブ交換の手間が削減される。
【0046】
(態様6)
前記プローブは、前記第2貫通孔から前記第1貫通孔とは反対側に突出した部分に、前記第1貫通孔内に位置する部分のうち外径が最大の部分よりも大きい外径の大径部を有する、ソケット。
【0047】
態様6によれば、大径部を大きいサイズのバンプとの接触部とすることで、大きいサイズのバンプとの電気的な接続が好適に行える。
【0048】
(態様7)
前記プローブは、板ばねであり、
前記第2面は、検査用基板側に臨む面であり、
前記第1弾性シートは、前記第2貫通孔の周囲の部分により、前記引っ掛かり部を前記検査用基板側に向けて押圧し、前記プローブの先端部が検査対象物に接していない検査前状態において、前記プローブの基端部に対して前記検査用基板に対する接触力を付与する、
ソケット。
【0049】
態様7によれば、板ばねであるプローブに対して、硬質樹脂部分で抜けを抑制する構成では難しかったいわゆるプリロードを付与することができる。これにより、検査用基板に対してプローブが浮いて、隙間に異物が挟まったり、検査時にプローブから検査用基板に衝撃荷重が加わったりするリスクが抑制される。
【符号の説明】
【0050】
1 ソケット
2 ハウジング
3 第1面
4 第2面
5 第1貫通孔
10 第1弾性シート
11 第2貫通孔
12 スリット部
30 プローブ
34 大径部
35 弾性片部
36 凸部
60 第2弾性シート
61 第3貫通孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9