(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025149754
(43)【公開日】2025-10-08
(54)【発明の名称】光学系及びそれを有する撮像装置
(51)【国際特許分類】
G02B 13/00 20060101AFI20251001BHJP
G02B 13/18 20060101ALI20251001BHJP
【FI】
G02B13/00
G02B13/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024050580
(22)【出願日】2024-03-26
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【弁理士】
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】原野 康憲
【テーマコード(参考)】
2H087
【Fターム(参考)】
2H087KA02
2H087KA03
2H087LA01
2H087MA08
2H087PA07
2H087PA19
2H087PB09
2H087QA02
2H087QA07
2H087QA12
2H087QA21
2H087QA26
2H087QA34
2H087QA42
2H087QA45
2H087RA05
2H087RA12
2H087RA13
2H087RA32
2H087RA44
(57)【要約】
【課題】 小型でかつ高い光学性能を有する光学系を提供すること。
【解決手段】 光学系は、物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力を有する第1レンズ群と、開口絞りと、負の屈折力を有する第2レンズ群とからなる光学系であって、
前記第1レンズ群は、最も物体側に配置された第1の正レンズと、該第1の正レンズの像側に隣り合って配置された第2の正レンズと、該第2の正レンズの像側に隣り合って配置された第1の負レンズとを有し、所定の条件式を満足する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力を有する第1レンズ群と、開口絞りと、正の屈折力を有する第2レンズ群とからなる光学系であって、
無限遠から至近へのフォーカシングに際して、前記第2レンズ群は物体側に移動し、前記第1レンズ群と前記開口絞りとは不動であり、
前記第1レンズ群は、最も物体側に配置された第1の正レンズと、該第1の正レンズの像側に隣り合って配置された第2の正レンズと、該第2の正レンズの像側に隣り合って配置された第1の負レンズとを有し、
前記光学系のバックフォーカスをsk、前記光学系の最も物体側のレンズ面から像面までの光軸上の距離をTL、前記光学系において配置された全ての正レンズの材料のd線における平均屈折率をNpaveとするとき、
0.20<sk/TL<0.90
1.85<Npave<2.30
なる条件式を満足することを特徴とする光学系。
【請求項2】
全系の焦点距離をf、前記第2レンズ群の焦点距離をfbとするとき、
0.50<fb/f<1.30
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項3】
全系の焦点距離をf、前記第1レンズ群の焦点距離をfaとするとき、
1.20<fa/f<4.50
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項4】
全系の焦点距離をf、前記第1の負レンズの像側のレンズ面の曲率半径をLnR2とするとき、
0.10<|LnR2/f|<20.00
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項5】
前記第1レンズ群の焦点距離をfa、前記第2レンズ群の焦点距離をfbとするとき、
1.50<fa/fb<5.50
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項6】
前記第1の負レンズの材料のアッベ数をνdGn、前記第1の負レンズの材料のd線に対する屈折率をNdGnとするとき、
15.0<νdGn<35.0
1.75<NdGn<2.30
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項7】
前記第2レンズ群において配置された負レンズのうち、最も物体側に配置された負レンズは非球面形状を有することを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項8】
前記第2レンズ群において配置された負レンズのうち、最も物体側に配置された負レンズの焦点距離をfn2とするとき、
1.80<|fn2/f|<25.00
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項9】
前記第1の正レンズの焦点距離をfp1とするとき、
1.50<fp1/f<5.00
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項10】
前記第2の正レンズの焦点距離をfp2とするとき、
0.50<fp2/f<2.50
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項11】
前記第1の負レンズの焦点距離をfn1とするとき、
-2.00<fn1/f<-0.20
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項12】
前記第2レンズ群において最も像側に配置されたレンズは、正の屈折力を有することを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項13】
前記光学系において配置されたレンズの総数は9枚以下であり、前記第1レンズ群と、前記第2レンズ群とはそれぞれ、正レンズと負レンズと接合した接合レンズを1つ以上有することを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項14】
物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力を有する第1レンズ群と、開口絞りと、正の屈折力を有する第2レンズ群とからなる光学系であって、
前記第1レンズ群は、少なくとも1枚の負レンズを有し、
前記第2レンズ群は、少なくとも1枚の負レンズを有し、
前記光学系のバックフォーカスをsk、前記光学系の最も物体側のレンズ面から像面までの光軸上の距離をTLとするとき、
0.20<sk/TL<0.90
なる条件式を満足することを特徴とする光学系。
【請求項15】
請求項1乃至14のいずれか一項に記載の光学系と該光学系によって形成された像を受光する撮像素子とを有する事を特徴とする撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学系に関し、デジタルビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、放送用カメラ、銀塩フィルム用カメラ等の撮像装置に好適なものである。
【背景技術】
【0002】
近年、撮像装置に用いられる光学系としては、小型で且つ高い光学性能の光学系有することが求められている。
【0003】
特に半画角が20度から30度程度の撮影光学系として、特許文献1には、ダブルガウスタイプの光学系が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の光学系は、物体側から像側へ順に配置された、正レンズ、正レンズ、負レンズ、開口絞り、負レンズ、正レンズ、正レンズ、負レンズ、正レンズで構成されている。しかしながら、全系の主点が像側に配置された構成のため、バックフォーカスが長く大型な構成である。
【0006】
そこで本発明は、小型でかつ高い光学性能を有する光学系を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面としての光学系は、物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力を有する第1レンズ群と、開口絞りと、正の屈折力を有する第2レンズ群とからなる光学系であって、
無限遠から至近へのフォーカシングに際して、前記第2レンズ群は物体側に移動し、前記第1レンズ群と前記開口絞りとは不動であり、
前記第1レンズ群は、最も物体側に配置された第1の正レンズと、該第1の正レンズの像側に隣り合って配置された第2の正レンズと、該第2の正レンズの像側に隣り合って配置された第1の負レンズとを有し、
前記光学系のバックフォーカスをsk、前記光学系の最も物体側のレンズ面から像面までの光軸上の距離をTL、前記光学系において配置された全ての正レンズの材料のd線における平均屈折率をNpaveとするとき、
0.20<sk/TL<0.90
1.85<Npave<2.30
なる条件式を満足することを特徴とする。
【0008】
本発明の他の一側面としての光学系は、物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力を有する第1レンズ群と、開口絞りと、正の屈折力を有する第2レンズ群とからなる光学系であって、
前記第1レンズ群は、少なくとも1枚の負レンズを有し、
前記第2レンズ群は、少なくとも1枚の負レンズを有し、
前記光学系のバックフォーカスをsk、前記光学系の最も物体側のレンズ面から像面までの光軸上の距離をTLとするとき、
0.20<sk/TL<0.90
なる条件式を満足することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、小型でかつ高い光学性能を有する光学系を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施例1の光学系において、無限遠にフォーカシングしたときのレンズ断面図
【
図2】実施例1の光学系において、無限遠にフォーカシングしたときの収差図
【
図3】実施例2の光学系において、無限遠にフォーカシングしたときのレンズ断面図
【
図4】実施例2の光学系において、無限遠にフォーカシングしたときの収差図
【
図5】実施例3の光学系において、無限遠にフォーカシングしたときのレンズ断面図
【
図6】実施例3の光学系において、無限遠にフォーカシングしたときの収差図
【
図7】実施例4の光学系において、無限遠にフォーカシングしたときのレンズ断面図
【
図8】実施例4の光学系において、無限遠にフォーカシングしたときの収差図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の光学系及びそれを有する撮像装置の実施例について、添付の図面に基づいて説明する。
【0012】
図1、3、5、7は、それぞれ実施例1から4の光学系L0において、無限遠にフォーカシングしたときのレンズ断面図である。各実施例の光学系L0はデジタルビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、放送用カメラ、銀塩フィルム用カメラ、監視用カメラ、車載用カメラ等の撮像装置に用いられる光学系である。
【0013】
各レンズ断面図において左方が物体側で、右方が像側である。尚、各実施例の光学系L0をプロジェクターなどの投射レンズとして用いても良い。このときは左方がスクリーン側、右方が被投射画像側となる。
【0014】
各レンズ断面図において、SPは開口絞りである。IPは像面であり、各実施例の光学系L0をデジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラに使用する際にはCCDセンサやCMOSセンサ等の固体撮像素子(光電変換素子)の撮像面が配置される。各実施例の光学系L0を銀塩フィルム用カメラの撮影光学系として使用する際には像面IPにはフィルム面に相当する感光面が置かれる。
【0015】
各実施例の光学系L0は、物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力を有する第1レンズ群La、開口絞りSP、正の屈折力を有する第2レンズ群Lbからなる。各レンズ群は1枚のレンズから構成されていてもよいし、複数のレンズから構成されていてもよい。
【0016】
各レンズ断面図の下方に向けて示した実線の矢印は、無限遠から至近へのフォーカシングに際してのレンズ群の移動軌跡を表している。
【0017】
図2、4、6、8は、それぞれ実施例1から4の光学系において、無限遠にフォーカシングしたときの収差図である。
【0018】
球面収差図においてFnoはFナンバーであり、実線はd線(波長587.6nm)、破線はg線(波長435.8nm)に対する球面収差量を示している。非点収差図において実線はサジタル像面における収差量、破線はメリディオナル像面における収差量を示している。歪曲収差図ではd線に対する歪曲収差量を示している。色収差図ではg線に対する倍率色収差量を示している。ωは撮像半画角(°)である。
【0019】
次に、第1実施形態に係る光学系L0について述べる。
【0020】
第1実施形態に係る光学系L0は、物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力を有する第1レンズ群Laと、開口絞りSPと、正の屈折力を有する第2レンズ群Lbとからなる。第1レンズ群Laおよび第2レンズ群Lbが正の屈折力を有することで、開口絞りに対して対称性の良い光学系を構成することが容易となる。その結果、歪曲収差や像面湾曲等を低減することが容易となる。
【0021】
無限遠から至近へのフォーカシングに際して、第2レンズ群Lbは物体側に移動し、第1レンズ群Laと開口絞りSPとは不動である。第2レンズ群Lbを通過する軸上のマージナル光線の光軸からの高さは比較的低いため、無限遠から至近へのフォーカシングに際して、第2レンズ群Lbが移動することで、フォーカシングに際して発生する球面収差等の変動を抑制することが容易となる。
【0022】
第1レンズ群Laは、最も物体側に配置された第1の正レンズLp1と、第1の正レンズの像側に隣り合って配置された第2の正レンズLp2と、第2の正レンズの像側に隣り合って配置された第1の負レンズLn1とを有する。最も物体側から像側へ順に配置されたレンズを第1の正レンズLp1、第2の正レンズLp2、第1の負レンズLn1とすることにより、全系の主点を物体側に配置することが容易となる。その結果、光学系L0のバックフォーカスが短くなり、光学系L0が小型化することが容易となる。
【0023】
第1実施形態に係る光学系L0は、以下の条件式を満足するように構成している。
0.20<sk/TL<0.90・・・(1)
1.85<Npave<2.30・・・(2)
【0024】
ここで、skは、光学系L0のバックフォーカスである。なお、バックフォーカスとは、光学系L0の最も像側のレンズ面と像面との光軸上の距離を空気換算した値である。TLは、光学系L0の最も物体側のレンズ面から像面までの光軸上の距離である。Npaveは、光学系L0において配置された全ての正レンズの材料のd線における平均屈折率である。
【0025】
条件式(1)は、光学系L0のバックフォーカスと光学系L0の最も物体側のレンズ面から像面までの光軸上の距離との比を規定している。条件式(1)の上限を上回ると、バックフォーカスが長くなりすぎる構成となる。バックフォーカスが長くなりすぎる構成は、光学系L0の主点を像側に配置する構成、すなわちレトロフォーカスタイプの構成となり、開口絞りSPに対して対称性を良好にすることが困難である。よって、光学系L0を小型化しつつ歪曲収差や像面湾曲等を低減することが困難となる。
【0026】
条件式(1)の下限を下回ると、バックフォーカスが短くなりすぎる。その結果、光学系L0において最も像側に配置されたレンズの径が大型化するため、好ましくない。
【0027】
条件式(2)は、光学系L0において配置された全ての正レンズのd線における平均屈折率を規定している。
【0028】
条件式(2)の上限を上回って、光学系L0において配置された全ての正レンズの材料のd線における平均屈折率が高くなりすぎると、アッベ数が小さくなりすぎる。その結果、軸上色収差等の補正が困難となる。
【0029】
第1実施形態に係る光学系L0は、以上の構成を満足することにより、小型でかつ高い光学性能を有する光学系を提供することができる。
【0030】
なお、条件式(1)、(2)の数値範囲の上限または下限の少なくとも一方を以下の条件式(1a)、(2a)の数値とすることが好ましい。
0.25<sk/TL<0.70・・・(1a)
1.87<Npave<2.20・・・(2a)
【0031】
さらに好ましくは、条件式(1)、(2)の数値範囲の上限または下限の少なくとも一方を、以下の条件式(1b)、(2b)の範囲とすることが好ましい。
0.27<sk/TL<0.40・・・(1b)
1.89<Npave<2.10・・・(2b)
【0032】
次に、第2実施形態に係る光学系L0について述べる。
【0033】
第2実施形態に係る光学系L0は、物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力を有する第1レンズ群Laと、開口絞りSPと、正の屈折力を有する第2レンズ群Lbとからなる。第1レンズ群Laおよび第2レンズ群Lbが正の屈折力を有することで、開口絞りに対して対称性の良い光学系を構成することが容易となる。その結果、歪曲収差や像面湾曲等を低減することが容易となる。
【0034】
第1レンズ群Laと第2レンズ群Lbとは、それぞれ少なくとも1枚の負レンズを有する。これにより、ペッツバール和を低減し、像面湾曲を補正することが容易となる。
【0035】
第2実施形態に係る光学系L0は、以下の条件式を満足するように構成している。
0.20<sk/TL<0.90・・・(1)
【0036】
ここで、skは、光学系L0のバックフォーカスである。なお、バックフォーカスとは、光学系L0の最も像側のレンズ面と像面との光軸上の距離を空気換算した値である。TLは、光学系L0の最も物体側のレンズ面から像面までの光軸上の距離である。
【0037】
条件式(1)は、光学系L0のバックフォーカスと光学系L0の最も物体側のレンズ面から像面までの光軸上の距離との比を規定している。条件式(1)の上限を上回ると、バックフォーカスが長くなりすぎる構成となる。バックフォーカスが長くなりすぎる構成は、光学系L0の主点を像側に配置する構成、すなわちレトロフォーカスタイプの構成となり、開口絞りSPに対して対称性を良好にすることが困難である。よって、光学系L0を小型化しつつ歪曲収差や像面湾曲等を低減することが困難となる。
【0038】
条件式(1)の下限を下回ると、バックフォーカスが短くなりすぎる。その結果、光学系L0において最も像側に配置されたレンズの径が大型化するため、好ましくない。
【0039】
第2実施形態に係る光学系L0は、以上の構成を満足することにより、小型でかつ高い光学性能を有する光学系を提供することができる。
【0040】
なお、条件式(1)の数値範囲の上限または下限の少なくとも一方を以下の条件式(1a)の数値とすることが好ましい。
0.25<sk/TL<0.70・・・(1a)
【0041】
さらに好ましくは、条件式(1)、(2)の数値範囲の上限または下限の少なくとも一方を、以下の条件式(1b)の範囲とすることが好ましい。
0.27<sk/TL<0.40・・・(1b)
【0042】
次に、各実施形態に係る光学系L0の好ましい構成について述べる。
【0043】
第2レンズ群Lbにおいて配置された負レンズのうち、最も物体側に配置された負レンズLn2は非球面形状を有することが好ましい。これにより、球面収差等を低減することが容易となる。
【0044】
光学系L0において配置されたレンズの総数は9枚以下であることが好ましい。これにより、光学系L0の最も物体側のレンズ面から最も像側のレンズ面までの光軸上の距離が短くなり、小型化が容易となる。
【0045】
第1レンズ群Laと、第2レンズ群Lbとはそれぞれ、正レンズと負レンズと接合した接合レンズを1つ以上有することが好ましい。接合レンズを構成する正レンズと負レンズとの相対的な偏心を抑制することができ、高い光学性能を得ることが容易となる。
【0046】
各実施形態に係る光学系L0は、以下の条件式のうちの1つ以上を満足することが好ましい。
0.50<fb/f<1.30・・・(3)
1.20<fa/f<4.50・・・(4)
0.10<|LnR2/f|<20.00・・・(5)
1.50<fa/fb<5.50・・・(6)
15.0<νdGn<35.0・・・(7)
1.75<NdGn<2.30・・・(8)
1.80<|fn2/f|<25.0・・・(9)
1.50<fp1/f<5.00・・・(10)
0.50<fp2/f<2.50・・・(11)
-2.00<fn1/f<-0.20・・・(12)
【0047】
ここで、fは全系の焦点距離、fbは第2レンズ群Lbの焦点距離である。faは第1レンズ群Laの焦点距離である。LnR2は第1の負レンズLn1の像側のレンズ面の曲率半径である。νdGnは第1の負レンズLn1の材料のアッベ数である。NdGnは第1の負レンズLn1の材料のd線に対する屈折率である。
【0048】
fn2は第2レンズ群Lbにおいて配置された負レンズのうち、最も物体側に配置された負レンズLn2の焦点距離である。fp1は第1の正レンズLp1の焦点距離である。fp2は第2の正レンズLp2の焦点距離である。fn1は第1の負レンズLn1の焦点距離である。
【0049】
次に前述の条件式(3)~(12)の技術的意味について説明する。
【0050】
条件式(3)の上限を上回って第2レンズ群Lbの屈折力が弱くなりすぎると、第1レンズ群Laで発生する歪曲や像面湾曲等を良好に相殺することが困難となる。条件式(3)の下限を下回って第2レンズ群Lbの屈折力が強くなりすぎると、光学系L0の主点が像側に配置されるため、バックフォーカスが長くなり小型化することが困難となる。
【0051】
条件式(4)の上限を上回って第1レンズ群Laの屈折力が弱くなりすぎると、第2レンズ群Lbで発生する歪曲や像面湾曲等を良好に相殺することが困難となる。条件式(4)の下限を下回って第1レンズ群Laの屈折力が強くなりすぎると、第1レンズ群Laで発生する球面収差が大きくなりすぎるため好ましくない。
【0052】
条件式(5)の上限を上回って第1の負レンズLn1の像側のレンズ面の曲率半径の絶対値が大きくなりすぎると、ペッツバール和が大きくなり、像面湾曲を良好に補正することが困難となる。条件式(5)の下限を上回って第1の負レンズLn1の像側のレンズ面の曲率半径の絶対値が小さくなりすぎると、光学系L0の主点が像側に配置されるため、バックフォーカスが長くなり小型化することが困難となる。
【0053】
条件式(6)の上限を上回って第2レンズ群Lbの屈折力が強くなりすぎると、光学系L0の主点が像側に配置されるため、バックフォーカスが長くなり小型化することが困難となる。条件式(6)の下限を下回って第1レンズ群Laの屈折力が強くなりすぎると、第1レンズ群Laで発生する球面収差が大きくなりすぎるため好ましくない。
【0054】
条件式(7)の上限を上回って第1の負レンズLn1のアッベ数が大きくなりすぎると、第1レンズ群Laにおいて配置された正レンズで発生する軸上色収差を良好に補正することが困難となる。条件式(7)の下限を下回って第1の負レンズLn1のアッベ数が小さくなりすぎると、第1の負レンズLn1で発生する軸上色収差が大きくなりすぎるため、第1レンズ群Laにおいて配置された正レンズで良好に補正することが困難となる。
【0055】
条件式(8)の上限を上回って第1の負レンズLn1のd線に対する屈折率が大きくなりすぎると、第1の負レンズLn1の像側のレンズ面あるいは物体側のレンズ面の曲率半径の絶対値が大きくなりすぎるため、像面湾曲等を良好に補正することが困難となる。
【0056】
条件式(8)の下限を下回って第1の負レンズLn1のd線に対する屈折率が小さくなりすぎると、第1の負レンズLn1の像側のレンズ面あるいは物体側のレンズ面の曲率半径の絶対値が小さくなりすぎる。
【0057】
その結果、第1の負レンズLn1に対して隣り合って配置されたレンズとの光軸上の間隔を大きくなる。これにより、光学系L0の最も物体側のレンズ面から最も像側のレンズ面までの光軸上の距離が長くなり好ましくない。
【0058】
条件式(9)の上限を上回って第2レンズ群Lbにおいて配置された負レンズのうち、最も物体側に配置された負レンズLn2の屈折力が弱くなりすぎると、光学系L0の主点が像側に配置されるため、バックフォーカスが長くなり小型化することが困難となる。
【0059】
条件式(9)の下限を下回って第2レンズ群Lbにおいて配置された負レンズのうち、最も物体側に配置された負レンズLn2の屈折力が強くなりすぎると、コマ収差等の補正が困難となる。
【0060】
条件式(10)の上限を上回って第1の正レンズLp1の屈折力が弱くなりすぎると、光学系L0の主点が像側に配置されるため、バックフォーカスが長くなり小型化することが困難となる。
【0061】
条件式(10)の下限を下回って第1の正レンズLp1の屈折力が強くなりすぎると、球面収差等の補正が困難となる。
【0062】
条件式(11)の上限を上回って第2の正レンズLp2の屈折力が弱くなりすぎると、光学系L0の主点が像側に配置されるため、バックフォーカスが長くなり小型化することが困難となる。
【0063】
条件式(11)の下限を下回って第2の正レンズLp2の屈折力が強くなりすぎると、球面収差等の補正が困難となる。
【0064】
条件式(12)の上限を上回って第1の負レンズLn1の屈折力が強くなりすぎると、光学系L0の主点が像側に配置されるため、バックフォーカスが長くなり小型化することが困難となる。
【0065】
条件式(12)の下限を下回って第1の負レンズLn1の屈折力が弱くなりすぎると、第1の正レンズLp1や第2の正レンズLp2で発生する球面収差等を補正することが困難となる。
【0066】
なお、条件式(3)~(12)の上限と下限の少なくとも一方を以下の数値範囲のように設定することがより好ましい。
0.55<fb/f<1.20・・・(3a)
1.60<fa/f<3.80・・・(4a)
0.20<|LnR2/f|<0.43・・・(5a)
1.80<fa/fb<5.20・・・(6a)
20.0<νdGn<30.0・・・(7a)
1.78<NdGn<2.00・・・(8a)
1.90<|fn2/f|<23.00・・・(9a)
1.70<fp1/f<4.00・・・(10a)
0.55<fp2/f<2.00・・・(11a)
-1.50<fn1/f<-0.30・・・(12a)
【0067】
また、条件式(3)~(12)の上限と下限の少なくとも一方を以下の数値範囲のように設定することがさらに好ましい。
0.60<fb/f<1.10・・・(3b)
1.90<fa/f<3.20・・・(4b)
0.25<|LnR2/f|<0.38・・・(5b)
2.00<fa/fb<5.10・・・(6b)
21.0<νdGn<28.0・・・(7b)
1.80<NdGn<1.95・・・(8b)
2.00<|fn2/f|<22.0・・・(9b)
1.80<fp1/f<3.80・・・(10b)
0.60<fp2/f<1.70・・・(11b)
-1.20<fn1/f<-0.40・・・(12b)
【0068】
次に、各実施例の光学系L0の構成の詳細について述べる。実施例2以降は、主に実施例1との差について述べる。
【0069】
[実施例1]
実施例1の光学系L0は、物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力を有する第1レンズ群Laと、開口絞りSPと、正の屈折力を有する第2レンズ群Lbとからなる。さらに、第1レンズ群Laは物体側から像側へ順に配置された、第1の正レンズLp1、第2の正レンズLp2、第1の負レンズLn1を有する。
【0070】
開口絞りSPと、開口絞りSPの像側に隣り合って配置された第2の負レンズLn2を有する。開口絞りSPの像側に隣り合って配置された第2の負レンズLn2を有することで、ペッツバール和を低減し、像面湾曲等を良好に補正することができる。
【0071】
第1の正レンズLp1を物体側に凸面を向けたメニスカスレンズとすることで、第1の正レンズLp1で発生する球面収差を低減している。
【0072】
第2の正レンズLp2を物体側に凸面を向けたメニスカスレンズとすることで、第2の正レンズLp2で発生する球面収差を低減している。
【0073】
第2の負レンズLn2の像側に隣り合って配置されたレンズは、像側に凸面を向けたメニスカス形状を有する。これにより、軸外光線を緩やかに曲げて、像面湾曲等を良好に補正することができる。
【0074】
無限遠から至近へのフォーカシングに際して、第2レンズ群Lbは物体側に移動し、第1レンズ群Laと開口絞りSPとは不動である。第2レンズ群Lbを通過する軸上のマージナル光線の光軸からの高さは比較的低いため、無限遠から至近へのフォーカシングに際して、第2レンズ群Lbが移動することで、フォーカシングに際して発生する球面収差等の変動を抑制することが容易となる。
【0075】
[実施例2]
実施例2の光学系L0は、開口絞りSPの物体側に隣り合って配置されたレンズが両凸形状を有している。これにより、コマ収差等を補正しやすくしている。
【0076】
[実施例3]
実施例3の光学系L0は、開口絞りSPの物体側に隣り合って配置されたレンズが接合レンズであり、物体側の空気界面に面したレンズ面が物体側に凸面を向け、像側の空気界面に面したレンズ面が像側に凹面を向けている。これにより、球面収差等を補正しやすくしている。
【0077】
[実施例4]
実施例4の光学系L0は、開口絞りSPの物体側に隣り合って配置されたレンズが負レンズであり、前記負レンズの物体側に隣り合って配置されたレンズが正レンズである。これにより、光学系L0の主点が物体側に配置し、バックフォーカスを短くしやすくしている。
【0078】
[変形例]
また、変形例の1つとしての光学系L0は、物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力を有する第1レンズ群Laと、開口絞りSPと、正の屈折力を有する第2レンズ群Lbとからなる。第1レンズ群Laおよび第2レンズ群Lbのそれぞれに配置された負レンズの数は1つである。
【0079】
第1レンズ群Laおよび第2レンズ群Lbに負レンズを配置することで像面湾曲等を良好に補正している。また、第1レンズ群Laおよび第2レンズ群Lbのそれぞれに配置された負レンズの数を1つとすることによって、複数枚の負レンズを配置した構成に対して、光学系L0の最も物体側のレンズ面から最も像側のレンズ面までの光軸上の距離を短くしやすくしている。
【0080】
以下に、実施例1から4にそれぞれ対応する数値実施例1~4を示す。
【0081】
各数値実施例の面データにおいて、rは各光学面の曲率半径、d(mm)は第m面と第(m+1)面との間の軸上間隔(光軸上の距離)を表わしている。ただし、mは光入射側から数えた面の番号である。また、ndは各光学部材のd線に対する屈折率、νdは光学部材のアッベ数を表わしている。なお、ある材料のアッベ数νdは、フラウンホーファ線のd線(波長587.6nm)、F線(波長486.1nm)、C線(波長656.3nm)、g線(波長435.8nm)における屈折率をNd、NF、NCとするとき、
νd=(Nd-1)/(NF-NC)
で表される。
【0082】
BFはバックフォーカスである。バックフォーカスとは、光学系L0において最も物体側に配置されたレンズ面から像面までの距離を空気換算した値である。
【0083】
また、光学面が非球面の場合は、面番号の右側に、*の符号を付している。非球面形状は、Xを光軸方向の面頂点からの変位量、hを光軸と垂直な方向の光軸からの高さ、Rを近軸曲率半径、kを円錐定数、A4、A6、A8、A10、A12を各次数の非球面係数とするとき、
x=(h2/R)/[1+{1-(1+k)(h/R)2}1/2]+A4×h4+A6×h6+A8×h8+A10×h10+A12×h12
で表している。なお、各非球面係数における「e±XX」は「×10±XX」を意味している。
【0084】
[数値実施例1]
単位 mm
面データ
面番号 r d nd νd 有効径
1 65.945 3.32 2.05090 26.9 48.32
2 108.879 0.30 47.20
3 26.887 6.83 1.95375 32.3 38.94
4 54.035 0.50 36.23
5 56.654 3.64 1.80835 22.6 35.40
6 17.982 8.50 27.22
7 -364.633 0.75 1.80809 22.8 26.94
8 21.257 6.91 2.05090 26.9 26.69
9 930.942 1.10 26.18
10(絞り) ∞ (可変) 25.75
11* -1464.391 1.42 1.67070 19.3 22.20
12* 70.317 1.50 22.53
13 -109.015 6.12 1.92250 36.0 24.39
14 -22.108 0.50 26.67
15 -21.183 0.80 1.80835 22.6 26.78
16 89.773 9.80 2.05090 26.9 33.93
17 -31.934 (可変) 35.99
像面 ∞
非球面データ
第11面
K = 0.000 A4=-1.49330e-04 A6= 5.42040e-07 A8=-1.04078e-09
第12面
K = 0.000 A4=-1.24629e-04 A6=6.05587e-07 A8=-1.35127e-09 A10=1.12130e-12
焦点距離 48.60
Fナンバー 1.24
半画角 24.00
像高 21.64
レンズ全長 85.76
BF 24.00
無限遠合焦時 近距離合焦時
d10 9.77 3.10
d17 24.00 30.67
【0085】
[数値実施例2]
単位 mm
面データ
面番号 r d nd νd 有効径
1 47.001 2.00 2.05090 26.9 30.18
2 69.356 0.20 29.17
3 16.121 3.00 1.95375 32.3 23.16
4 20.815 0.48 21.26
5 18.860 1.50 1.80835 22.6 20.00
6 11.347 5.98 16.10
7 -69.973 0.50 1.80809 22.8 14.76
8 17.910 3.00 2.05090 26.9 14.94
9 -113.853 0.70 14.89
10(絞り) ∞ (可変) 14.67
11* -11.693 1.50 1.67070 19.3 13.51
12* -15.411 1.64 16.04
13 -102.510 5.83 1.92250 36.0 22.50
14 -17.061 0.40 24.08
15 -31.701 0.70 1.80835 22.6 25.19
16 53.679 4.20 2.05090 26.9 28.33
17 -100.002 (可変) 28.89
像面 ∞
非球面データ
第11面
K = 0.000 A4= 1.50870e-04 A6= 6.52514e-07 A8=-5.38602e-09
第12面
K = 0.000 A4= 1.6595e-04 A6= 4.7613e-07 A8=-3.1348e-09 A10=-4.9613e-12
焦点距離 35.00
Fナンバー 1.84
半画角 31.72
像高 21.64
レンズ全長 60.67
BF 22.20
無限遠合焦時 近距離合焦時
d10 6.83 3.40
d17 22.20 25.6
【0086】
[数値実施例3]
単位 mm
面データ
面番号 r d nd νd 有効径
1 69.280 5.00 2.05090 26.9 51.23
2 112.636 10.16 49.17
3 31.233 7.00 1.95375 32.3 35.32
4 135.791 0.70 32.30
5 156.430 1.20 1.80835 22.6 30.57
6 22.007 8.41 25.07
7 52.550 2.33 1.80809 22.8 24.10
8 19.963 6.00 2.05090 26.9 22.75
9 35.958 4.00 21.07
10(絞り) ∞ (可変) 20.53
11* -127.108 2.13 1.67070 19.3 20.41
12* -147.937 2.32 22.66
13 -54.704 4.91 1.92250 36.0 25.56
14 -20.348 0.79 26.77
15 -19.025 0.80 1.80835 22.6 26.82
16 167.027 9.89 2.05090 26.9 33.27
17 -32.654 (可変) 35.99
像面 ∞
非球面データ
第11面
K = 0.00 A4=-7.42534e-05 A6=-7.55091e-08 A8=-1.72921e-10
第12面
K = 0.00 A4=-5.68501e-05 A6=-4.10367e-08 A8= 8.20224e-11 A10=-1.76287e-14
焦点距離 65.00
Fナンバー 1.85
半画角 18.41
像高 21.64
レンズ全長 110.00
BF 30.00
無限遠合焦時 近距離合焦時
d10 14.35 3.35
d17 30.00 41.0
【0087】
[数値実施例4]
単位 mm
面データ
面番号 r d nd νd 有効径
1 43.204 5.00 1.85150 40.8 51.85
2 68.563 11.00 50.64
3 36.248 10.00 1.85150 40.8 37.17
4 70.082 3.01 29.48
5 73.159 1.20 1.80835 22.6 24.79
6 19.040 8.42 22.50
7 26.955 1.42 1.80809 22.8 22.78
8 31.586 3.00 1.95375 32.3 22.42
9 32.513 3.35 21.29
10(絞り) ∞ (可変) 21.05
11* 107.915 1.98 1.67070 19.3 20.89
12* 61.960 4.00 23.00
13 -66.681 5.50 1.92250 36.0 26.55
14 -20.899 0.49 27.88
15 -20.062 0.80 1.80835 22.6 27.92
16 178.437 8.46 2.05090 26.9 34.36
17 -32.616 (可変) 35.99
像面 ∞
非球面データ
第11面
K = 0.000 A4=-6.87772e-05 A6=-1.48262e-09 A8= 5.11646e-11
第12面
K = 0.000 A4=-5.48747e-05 A6= 3.07053e-09 A8= 3.91769e-10 A10=-9.53059e-13
焦点距離 68.78
Fナンバー 1.85
半画角 17.46
像高 21.64
レンズ全長 115.82
BF 34.05
無限遠合焦時 近距離合焦時
d10 14.15 2.60
d17 34.05 45.6
【0088】
各数値実施例における種々の値を、以下の表1にまとめて示す。
【0089】
【0090】
[撮像装置]
次に、本発明の光学系を撮像光学系として用いたデジタルスチルカメラ(撮像装置)の実施例について、
図9を用いて説明する。
図9において、11は実施例1~4で説明したいずれかの光学系によって構成された撮像光学系である。12はカメラ本体10に内蔵され、撮像光学系11によって形成された光学像を受光して光電変換するCCDセンサやCMOSセンサ等の撮像素子(光電変換素子)である。カメラ本体10はクイックリターンミラーを有する所謂一眼レフカメラでもよいし、クイックリターンミラーを有さない所謂ミラーレスカメラでもよい。
【0091】
このように、本発明の光学系L0をデジタルスチルカメラなどの撮像装置に適用することにより、高解像度で広画角な画像を得ることができる。
【0092】
以上、本発明に好ましい実施形態及び実施例について説明したが、本発明はこれらの実施形態及び実施例に限定されず、その要旨の範囲内で種々の組合せ、変形及び変更が可能である。
【0093】
各実施例の開示は、以下の構成を含む。
【0094】
(構成1)
物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力を有する第1レンズ群と、開口絞りと、正の屈折力を有する第2レンズ群とからなる光学系であって、
無限遠から至近へのフォーカシングに際して、前記第2レンズ群は物体側に移動し、前記第1レンズ群と前記開口絞りとは不動であり、
前記第1レンズ群は、最も物体側に配置された第1の正レンズと、該第1の正レンズの像側に隣り合って配置された第2の正レンズと、該第2の正レンズの像側に隣り合って配置された第1の負レンズとを有し、
前記光学系のバックフォーカスをsk、前記光学系の最も物体側のレンズ面から像面までの光軸上の距離をTL、前記光学系において配置された全ての正レンズの材料のd線における平均屈折率をNpaveとするとき、
0.20<sk/TL<0.90
1.85<Npave<2.30
なる条件式を満足することを特徴とする光学系。
【0095】
(構成2)
全系の焦点距離をf、前記第2レンズ群の焦点距離をfbとするとき、
0.50<fb/f<1.30
なる条件式を満足することを特徴とする構成1に記載の光学系。
【0096】
(構成3)
全系の焦点距離をf、前記第1レンズ群の焦点距離をfaとするとき、
1.20<fa/f<4.50
なる条件式を満足することを特徴とする構成1または2に記載の光学系。
【0097】
(構成4)
全系の焦点距離をf、前記第1の負レンズの像側のレンズ面の曲率半径をLnR2とするとき、
0.10<|LnR2/f|<20.00
なる条件式を満足することを特徴とする構成1乃至3のいずれか一構成に記載の光学系。
【0098】
(構成5)
前記第1レンズ群の焦点距離をfa、前記第2レンズ群の焦点距離をfbとするとき、
1.50<fa/fb<5.50
なる条件式を満足することを特徴とする構成1乃至4のいずれか一構成に記載の光学系。
【0099】
(構成6)
前記第1の負レンズの材料のアッベ数をνdGn、前記第1の負レンズの材料のd線に対する屈折率をNdGnとするとき、
15.0<νdGn<35.0
1.75<NdGn<2.30
なる条件式を満足することを特徴とする構成1乃至5のいずれか一構成に記載の光学系。
【0100】
(構成7)
前記第2レンズ群において配置された負レンズのうち、最も物体側に配置された負レンズは非球面形状を有することを特徴とする構成1乃至6のいずれか一構成に記載の光学系。
【0101】
(構成8)
前記第2レンズ群において配置された負レンズのうち、最も物体側に配置された負レンズの焦点距離をfn2とするとき、
1.80<|fn2/f|<25.00
なる条件式を満足することを特徴とする構成1乃至7のいずれか一構成に記載の光学系。
【0102】
(構成9)
前記第1の正レンズの焦点距離をfp1とするとき、
1.50<fp1/f<5.00
なる条件式を満足することを特徴とする構成1乃至8のいずれか一構成に記載の光学系。
【0103】
(構成10)
前記第2の正レンズの焦点距離をfp2とするとき、
0.50<fp2/f<2.50
なる条件式を満足することを特徴とする構成1乃至9のいずれか一構成に記載の光学系。
【0104】
(構成11)
前記第1の負レンズの焦点距離をfn1とするとき、
-2.00<fn1/f<-0.20
なる条件式を満足することを特徴とする構成1乃至10のいずれか一構成に記載の光学系。
【0105】
(構成12)
前記第2レンズ群において最も像側に配置されたレンズは、正の屈折力を有することを特徴とする構成1乃至11の何れか一項に記載の光学系。
【0106】
(構成13)
前記光学系において配置されたレンズの総数は9枚以下であり、前記第1レンズ群と、前記第2レンズ群とはそれぞれ、正レンズと負レンズと接合した接合レンズを1つ以上有することを特徴とする構成1乃至12のいずれか一構成に記載の光学系。
【0107】
(構成14)
物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力を有する第1レンズ群と、開口絞りと、正の屈折力を有する第2レンズ群とからなる光学系であって、
前記第1レンズ群は、少なくとも1枚の負レンズを有し、
前記第2レンズ群は、少なくとも1枚の負レンズを有し、
前記光学系のバックフォーカスをsk、前記光学系の最も物体側のレンズ面から像面までの光軸上の距離をTLとするとき、
0.20<sk/TL<0.90
なる条件式を満足することを特徴とする光学系。
【0108】
(構成15)
構成1乃至14のいずれか一項に記載の光学系と該光学系によって形成された像を受光する撮像素子とを有する事を特徴とする撮像装置。
【符号の説明】
【0109】
L0 光学系
La 第1レンズ群
Lb 第2レンズ群
Lp1 第1の正レンズ
Lp2 第2の正レンズ
Ln1 第1の負レンズ
SP 開口絞り