(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025014977
(43)【公開日】2025-01-30
(54)【発明の名称】太陽光発電設備メンテナンスシステム、太陽光発電設備メンテナンスプログラム及び太陽光発電設備メンテナンス方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/20 20230101AFI20250123BHJP
G06Q 40/08 20120101ALI20250123BHJP
G06Q 50/06 20240101ALI20250123BHJP
【FI】
G06Q10/20
G06Q40/08
G06Q50/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023117992
(22)【出願日】2023-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】517116773
【氏名又は名称】株式会社DiO
(74)【代理人】
【識別番号】100195431
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 史樹
(72)【発明者】
【氏名】一筆 芳巳
【テーマコード(参考)】
5L040
5L049
5L050
5L055
【Fターム(参考)】
5L040BB61
5L049CC06
5L049CC15
5L050CC06
5L055BB61
(57)【要約】 (修正有)
【課題】太陽光発電システムの発電効率の低下を防止する。
【解決手段】太陽光発電設備メンテナンスシステム100において、サーバ200は、ソーラパネルブロックSの旧三次元モデルと、新たにフォトグラメトリで作成された同一のソーラパネルブロックの新三次元モデルとを比較し、同一でない部分を判定するためのソーラパネル比較判定部430と、ソーラパネル比較判定部430の判定に基づいて保険料を算出する保険料算出部440と、を含む。ソーラパネル比較判定部430は、旧三次元モデルと新三次元モデルとが一致しないと判定した場合、第2相違部分算出部431が、ソーラパネルブロックの全体に対する一致しない部分の面積の割合を算出する。保険料算出部440は、第2相違部分算出部431が算出した割合に基づいて保険料を算出する。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元モデルの対象物であるソーラパネルブロックの補修又は調整を判断するため、端末と通信可能なサーバとを含む太陽光発電設備メンテナンスシステムであって、
前記サーバが、
フォトグラメトリによって作成された前記三次元モデルを記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶されているソーラパネルブロックの旧三次元モデルと、新たにフォトグラメトリで作成された同一のソーラパネルブロックの新三次元モデルとを比較し、同一でない部分を判定するためのソーラパネル比較判定部と、
前記ソーラパネル比較判定部の判定に基づいて保険料を算出する保険料算出部と、を含み、
前記ソーラパネル比較判定部は、前記旧三次元モデルと、前記新三次元モデルとを比較し、一致しなかった部分又は一致する部分の全体に対する割合を算出する相違部分算出部を有し、
前記ソーラパネル比較判定部は、前記旧三次元モデルと、前記新三次元モデルとを比較し、一致しないと判定した場合、前記相違部分算出部は、前記ソーラパネルブロックの全体に対する一致しない部分又は一致する部分の面積の割合を算出し、
前記保険料算出部は、前記相違部分算出部が算出した割合に基づいて保険料を算出する太陽光発電設備メンテナンスシステム。
【請求項2】
前記保険料算出部は、保険料率を決定する保険料率決定部を有し、
前記保険料率決定部は、前記相違部分算出部が算出した、ソーラパネルブロックの全体の面積に対する、旧三次元モデルと、新三次元モデルとの一致しない部分又は一致する部分の面積の割合に応じて保険料率を決定し、
前記保険料算出部は、前記保険料率決定部が決定した保険料率に基づいて保険料を算出する請求項1記載の太陽光発電設備メンテナンスシステム。
【請求項3】
三次元モデルの対象物であるソーラパネルブロックの補修又は調整を判断するため、端末と通信可能なサーバとを含む太陽光発電設備メンテナンスシステムであって、
前記サーバが、
フォトグラメトリによって作成された前記三次元モデルを記憶する記憶部と、
前記ソーラパネルブロックの平面性を判定するソーラパネル判定部と、
前記ソーラパネルブロックの理論上の発電量を算出する発電量算出部と、
前記ソーラパネル判定部が、前記ソーラパネルブロックが平面でないと判定した場合、前記発電量算出部により算出された理論上の発電量と、前記ソーラパネルブロックの実際の発電量とを比較し、理論上の発電量からの減少量を算出する減少量算出部と、
前記ソーラパネルブロックの調整又は交換が必要か否か判定するソーラパネル調整判定部と、
前記ソーラパネル調整判定部の判定に基づいて保険料を算出する保険料算出部と、を含み、
前記ソーラパネル調整判定部は、前記ソーラパネル判定部が判定した前記ソーラパネルブロックの平面性と、前記減少量算出部が算出した前記ソーラパネルブロックの発電量の減少量と、からソーラパネルブロックの調整又は交換を判定する太陽光発電設備メンテナンスシステム。
【請求項4】
前記ソーラパネル調整判定部の判定に基づいて保険料を算出する保険料算出部を含み、
前記ソーラパネル調整判定部は、前記ソーラパネルブロックが平面でない部分又は平面部分の全体に対する割合を算出する相違部分算出部を有し、
前記保険料算出部は、前記相違部分算出部によって算出された割合に応じて保険料を算出する請求項3記載の太陽光発電設備メンテナンスシステム。
【請求項5】
前記保険料算出部は、保険料率を決定する保険料率決定部を有し、
前記保険料率決定部は、前記相違部分算出部が算出した、前記ソーラパネルブロックの全体の面積に対する、前記ソーラパネルブロックが平面でない部分又は平面部分の面積の割合に応じて保険料率を決定し、
前記保険料算出部は、前記保険料率決定部が決定した保険料率に基づいて保険料を算出する請求項4記載の太陽光発電設備メンテナンスシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電設備メンテナンスシステム、太陽光発電設備メンテナンスプログラム及び太陽光発電設備メンテナンス方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ドローン(Drone)や無人航空機(UAV:Unmanned Aerial Vehicle)などの飛行体(以下、「飛行装置」と総称する。)が産業に利用されている。
【0003】
そして、特許文献1では、ドローンに搭載したカメラで撮影した画像から3次元画像を作成して表示することが開示されている。
【0004】
一方、2012年に固定価格買取(FIT)制度がスタートして以降、太陽光発電施設の普及が進み、10年が経過している。
【0005】
そして、特許文献2では、ソーラパネルごとの発電状況をユーザに通知することができる太陽光発電システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2018-10630号公報
【特許文献2】特開2023-74370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般的に、太陽光発電システム(太陽光発電設備)のソーラパネルは、山の斜面等に大規模に設置されていることが多い。
【0008】
そして、同一平面上に複数のソーラパネルが設置されており、その同一平面上のブロックが複数設置されている。
【0009】
太陽光発電施設については、通常、遠隔監視により発電量を日単位で管理しており、太陽光パネルの汚損・破損や関連機器の不具合解消のメンテナンスを実施している。
【0010】
しかしながら、山の斜面等のソーラパネルが設置されている地面は軟らかいことが多く、時間の経過と共に一部沈んでしまう場合がある。
【0011】
また、本来であれば、地盤改良後にスクリューを打つべきところを、コスト面や「おそらく大丈夫」という安易な考えから施工を進めてしまったケースも考えられる。
【0012】
そして、発電施設の普及から10年が経過し、今後は日常的なメンテナンスでは防ぐことが困難な地盤の変化・架台の劣化による傾斜角の変化に伴う発電効率低下が顕在化する可能性が高いという問題がある。
【0013】
具体的には、例えば、全体的に均等に沈むのではなく、一部の杭のみ沈下し、杭の上に乗っている架台に歪みが生じる。
【0014】
そして、架台の上のそーらパネルが凸凹になり、ソーラパネルにねじれ等の無理な力が加わり、時間の経過と共に、中のセル(パネル内部のシリコン)が破損する。
【0015】
そして、徐々に発電量が下落するという問題が生じる。
【0016】
一般的に、日本では発電に効率的な角度は30度であり、角度が10度変わると発電効率が2~3%減少する。
【0017】
また、太陽光発電システムの発電効率が低下した場合、修理費用の負担が問題となる。
【0018】
この場合、保険を利用する方法が考えられるが、保険料を決定するのが難しいという問題がある。
【0019】
本発明の主な目的は、太陽光発電設備システムのメンテナンスである。
【0020】
本発明の他な目的は、太陽光発電設備システムの発電効率の低下を防止することである。
【0021】
本発明の他の目的は、太陽光発電設備システムの保険料を算出することである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明の第1の局面に係る太陽光発電設備メンテナンスシステムは、三次元モデルの対象物であるソーラパネルブロックの補修又は調整を判断するため、端末と通信可能なサーバとを含む太陽光発電設備メンテナンスシステムであって、
前記サーバが、
フォトグラメトリによって作成された前記三次元モデルを記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶されているソーラパネルブロックの旧三次元モデルと、新たにフォトグラメトリで作成された同一のソーラパネルブロックの新三次元モデルとを比較し、同一でない部分を判定するためのソーラパネル比較判定部と、
前記ソーラパネル比較判定部の判定に基づいて保険料を算出する保険料算出部と、を含み、
前記ソーラパネル比較判定部は、前記旧三次元モデルと、前記新三次元モデルとを比較し、一致しなかった部分又は一致する部分の全体に対する割合を算出する相違部分算出部を有し、
前記ソーラパネル比較判定部は、前記旧三次元モデルと、前記新三次元モデルとを比較し、一致しないと判定した場合、前記相違部分算出部は、前記ソーラパネルブロックの全体に対する一致しない部分又は一致する部分の面積の割合を算出し、
前記保険料算出部は、前記相違部分算出部が算出した割合に基づいて保険料を算出する太陽光発電設備メンテナンスシステムである。
【0023】
このようなシステムであれば、太陽光発電設備システムのメンテナンスを行うことができ、かつ、太陽光発電設備システムの発電効率が低下した原因の箇所が容易にわかり、かつ、その原因に基づいて保険料を算出することができる。
【0024】
また、このようなシステムであれば、保険により太陽光発電システムを修理することができるため、太陽光発電システムの発電効率の低下を防止することができる。
【0025】
本発明の第2の局面に係る太陽光発電設備メンテナンスシステムは、第1の局面に係る太陽光発電設備メンテナンスシステムであって、
前記保険料算出部は、保険料率を決定する保険料率決定部を有し、
前記保険料率決定部は、前記相違部分算出部が算出した、ソーラパネルブロックの全体の面積に対する、旧三次元モデルと、新三次元モデルとの一致しない部分又は一致する部分の面積の割合に応じて保険料率を決定し、
前記保険料算出部は、前記保険料率決定部が決定した保険料率に基づいて保険料を算出する太陽光発電設備メンテナンスシステムである。
【0026】
このようなシステムであれば、発電効率が低下した原因に基づいて保険料率を決定することができ、保険料を算出することができる。
【0027】
本発明の第3の局面に係る太陽光発電設備メンテナンスシステムは、三次元モデルの対象物であるソーラパネルブロックの補修又は調整を判断するため、端末と通信可能なサーバとを含む太陽光発電設備メンテナンスシステムであって、
前記サーバが、
フォトグラメトリによって作成された前記三次元モデルを記憶する記憶部と、
前記ソーラパネルブロックの平面性を判定するソーラパネル判定部と、
前記ソーラパネルブロックの理論上の発電量を算出する発電量算出部と、
前記ソーラパネル判定部が、前記ソーラパネルブロックが平面でないと判定した場合、前記発電量算出部により算出された理論上の発電量と、前記ソーラパネルブロックの実際の発電量とを比較し、理論上の発電量からの減少量を算出する減少量算出部と、
前記ソーラパネルブロックの調整又は交換が必要か否か判定するソーラパネル調整判定部と、
前記ソーラパネル調整判定部の判定に基づいて保険料を算出する保険料算出部と、を含み、
前記ソーラパネル調整判定部は、前記ソーラパネル判定部が判定した前記ソーラパネルブロックの平面性と、前記減少量算出部が算出した前記ソーラパネルブロックの発電量の減少量と、からソーラパネルブロックの調整又は交換を判定する太陽光発電設備メンテナンスシステムである。
【0028】
ソーラパネルブロックの平面性及び発電量の減少量とから、発電効率の低下原因がわかるため、それに基づいてソーラパネルブロックの調整や交換を行うことができる。
【0029】
また、このようなシステムであれば、太陽光発電設備システムのメンテナンスを行うことができ、かつ、保険により太陽光発電システムを修理することができるため、太陽光発電システムの発電効率の低下を防止することができる。
【0030】
本発明の第4の局面に係る太陽光発電設備メンテナンスシステムは、第3の局面に係る太陽光発電設備メンテナンスシステムであって、
前記ソーラパネル調整判定部の判定に基づいて保険料を算出する保険料算出部を含み、
前記ソーラパネル調整判定部は、前記ソーラパネルブロックが平面でない部分又は平面部分の全体に対する割合を算出する相違部分算出部を有し、
前記保険料算出部は、前記相違部分算出部によって算出された割合に応じて保険料を算出する太陽光発電設備メンテナンスシステムである。
【0031】
このようなシステムであれば、太陽光発電システムの発電効率が低下した原因の箇所が容易にわかり、かつ、その原因に基づいて保険料を算出することができる。
【0032】
本発明の第5の局面に係る太陽光発電設備メンテナンスシステムは、第4の局面に係る太陽光発電設備メンテナンスシステムであって、
前記保険料算出部は、保険料率を決定する保険料率決定部を有し、
前記保険料率決定部は、前記相違部分算出部が算出した、前記ソーラパネルブロックの全体の面積に対する、前記ソーラパネルブロックが平面でない部分又は平面部分の面積の割合に応じて保険料率を決定し、
前記保険料算出部は、前記保険料率決定部が決定した保険料率に基づいて保険料を算出する太陽光発電設備メンテナンスシステムである。
【0033】
このようなシステムであれば、発電効率が低下した原因に基づいて保険料率を決定することができ、保険料を算出することができる。
【0034】
本発明の第6の局面に係る太陽光発電設備メンテナンスプログラムは、三次元モデルの対象物であるソーラパネルブロックの補修又は調整を判断するため、端末と通信可能なサーバとを含む太陽光発電設備メンテナンスプログラムであって、
フォトグラメトリによって作成された前記三次元モデルを記憶する記憶処理と、
前記記憶処理によって記憶されているソーラパネルブロックの旧三次元モデルと、新たにフォトグラメトリで作成された同一のソーラパネルブロックの新三次元モデルとを比較し、同一でない部分を判定するためのソーラパネル比較判定処理と、
前記ソーラパネル比較判定処理による判定に基づいて保険料を算出する保険料算出処理と、を実行し、
前記ソーラパネル比較判定処理では、前記旧三次元モデルと、前記新三次元モデルとを比較し、一致しなかった部分又は一致する部分の全体に対する割合を算出する相違部分算出処理を実行し、
前記ソーラパネル比較判定処理では、前記旧三次元モデルと、前記新三次元モデルとを比較し、一致しないと判定した場合、前記相違部分算出処理において、前記ソーラパネルブロックの全体に対する一致しない部分又は一致する部分の面積の割合を算出し、
前記保険料算出処理は、前記相違部分算出処理で算出した割合に基づいて保険料を算出する太陽光発電設備メンテナンスプログラムである。
【0035】
このようなプログラムであれば、第1の局面と同様の効果を奏する。
【0036】
本発明の第7の局面に係る太陽光発電設備メンテナンスプログラムは、三次元モデルの対象物であるソーラパネルブロックの補修又は調整を判断するため、端末と通信可能なサーバとを含む太陽光発電設備メンテナンスプログラムであって、
フォトグラメトリによって作成された前記三次元モデルを記憶する記憶処理と、
前記ソーラパネルブロックの平面性を判定するソーラパネル判定処理と、
前記ソーラパネルブロックの理論上の発電量を算出する発電量算出処理と、
前記ソーラパネル判定処理において、前記ソーラパネルブロックが平面でないと判定した場合、前記発電量算出処理により算出された理論上の発電量と、前記ソーラパネルブロックの実際の発電量とを比較し、理論上の発電量からの減少量を算出する減少量算出処理と、
前記ソーラパネルブロックの調整又は交換が必要か否か判定するソーラパネル調整判定処理と、
前記ソーラパネル調整判定処理での判定に基づいて保険料を算出する保険料算出処理と、を実行し、
前記ソーラパネル調整判定処理では、前記ソーラパネル判定処理において判定した前記ソーラパネルブロックの平面性と、前記減少量算出処理において算出した前記ソーラパネルブロックの発電量の減少量と、からソーラパネルブロックの調整又は交換を判定する太陽光発電設備メンテナンスプログラムである。
【0037】
このようなプログラムであれば、第3の局面と同様の効果を奏する。
【0038】
本発明の第8の局面に係る太陽光発電設備メンテナンス方法は、三次元モデルの対象物であるソーラパネルブロックの補修又は調整を判断するため、端末と通信可能なサーバとを含む太陽光発電設備メンテナンス方法であって、
フォトグラメトリによって作成された前記三次元モデルを記憶する記憶工程と、
前記記憶工程で記憶されているソーラパネルブロックの旧三次元モデルと、新たにフォトグラメトリで作成された同一のソーラパネルブロックの新三次元モデルとを比較し、同一でない部分を判定するためのソーラパネル比較判定工程と、
前記ソーラパネル比較判定工程での判定に基づいて保険料を算出する保険料算出工程と、を含み、
前記ソーラパネル比較判定工程では、前記旧三次元モデルと、前記新三次元モデルとを比較し、一致しなかった部分又は一致する部分の全体に対する割合を算出する相違部分算出工程を有し、
前記ソーラパネル比較判定工程では、前記旧三次元モデルと、前記新三次元モデルとを比較し、一致しないと判定した場合、前記相違部分算出工程において、前記ソーラパネルブロックの全体に対する一致しない部分又は一致する部分の面積の割合を算出し、
前記保険料算出工程では、前記相違部分算出工程で算出した割合に基づいて保険料を算出する太陽光発電設備メンテナンス方法である。
【0039】
このような方法であれば、第1の局面及び第6の局面と同様の効果を奏する。
【0040】
本発明の第9の局面に係る太陽光発電設備メンテナンス方法は、三次元モデルの対象物であるソーラパネルブロックの補修又は調整を判断するため、端末と通信可能なサーバとを含む太陽光発電設備メンテナンス方法であって、
フォトグラメトリによって作成された前記三次元モデルを記憶する記憶工程と、
前記ソーラパネルブロックの平面性を判定するソーラパネル判定工程と、
前記ソーラパネルブロックの理論上の発電量を算出する発電量算出工程と、
前記ソーラパネル判定工程において、前記ソーラパネルブロックが平面でないと判定した場合、前記発電量算出工程により算出された理論上の発電量と、前記ソーラパネルブロックの実際の発電量とを比較し、理論上の発電量からの減少量を算出する減少量算出工程と、
前記ソーラパネルブロックの調整又は交換が必要か否か判定するソーラパネル調整判定工程と、
前記ソーラパネル調整判定工程での判定に基づいて保険料を算出する保険料算出工程と、を含み、
前記ソーラパネル調整判定工程では、前記ソーラパネル判定工程で判定した前記ソーラパネルブロックの平面性と、前記減少量算出工程で算出した前記ソーラパネルブロックの発電量の減少量と、からソーラパネルブロックの調整又は交換を判定する太陽光発電設備メンテナンス方法である。
【0041】
このような方法であれば、第3の局面及び第7の局面と同様の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】本発明に係る一実施形態におけるフォトグラメトリでの3Dモデルの作成を表す概念図。
【
図2】同実施形態におけるフォトグラメトリでの3Dモデルの作成を表す概念図。
【
図3】同実施形態におけるフォトグラメトリでの3Dモデルの作成を表す概念図。
【
図4】本発明に係る一実施形態における太陽光発電設備メンテナンスシステムの概念図。
【
図5】同実施形態における太陽光発電設備メンテナンスシステムの概念図。
【
図6】同実施形態における太陽光発電設備メンテナンスシステムの概念図。
【
図7】同実施形態における太陽光発電設備メンテナンスシステムの概念図。
【
図8】本発明に係る一実施形態における太陽光発電設備メンテナンスシステムのフローチャート。
【
図9】同実施形態における太陽光発電設備メンテナンスシステムのフローチャート。
【
図10】本発明に係る一実施形態における太陽光発電設備メンテナンスシステムの概念図。
【
図11】本発明に係る一実施形態における太陽光発電設備メンテナンスシステムのフローチャート。
【
図12】同実施形態における太陽光発電設備メンテナンスシステムのフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、本発明の実施形態に関して図面を参照しながら説明する。
【0044】
(フォトグラメトリ)
本実施形態では、3DCGを製作するにあたり、フォトグラメトリを使用している。
【0045】
「フォトグラメトリ」とは、写真からリアルな3DCGを生成する技術である。
【0046】
具体的には、フォトグラメトリとは、対象物(本実施形態ではソーラパネル)を様々な角度から撮影した複数の写真を合成する技術である。
【0047】
生成したい3DCGをどの程度リアルで精緻なモデルにしたいかによって、必要な写真点数は異なってくる。必要な写真点数は、数十枚から数百枚に及ぶ。
【0048】
フォトグラメトリの製作工程は、1撮影、2アライメント、3メッシュ生成(点群データ作成)、4簡素化、5Unwrap、6テクスチャ生成、という流れになる。
【0049】
撮影は、撮っていない箇所は再現ができないため、対象物である建築物を様々な角度から撮影する。
【0050】
撮影は、撮り漏らしがあるとアライメントの失敗やメッシュ生成の破綻に繋がるため、注意が必要である。
【0051】
図1及び
図2は、撮影機器Pによる撮影箇所を表した例である。
図1及び
図2からわかるように、撮影は、原則として水平移動及び垂直移動で撮影される。
【0052】
本実施形態では、撮影機器Pは、ドローンを使用しているが、3Dレーザースキャナ、ハンディスキャナであってもよい。
【0053】
レーザースキャンを使用すればより正確なメッシュが得られる。
【0054】
また、ドローンを使用することにより、太陽光発電システムのソーラパネルを上空から撮影可能である。なお、長いポールなどを使用して高所から撮影することも可能である。
【0055】
本実施形態では、ドローンによって、RTK(Real Time Kinematic 動的干渉測位)測量が用いられている。
【0056】
RTK測量は、固定局と移動局の2つの受信機で4つ以上の衛星から信号を受信する技術であり、2つの受信機の間で情報をやりとりしてズレを補正することで、単独測位よりも精度の高い位置情報を取得可能である。
【0057】
RTK測量は、多少の誤差は生じるものの、その範囲をわずか数センチメートル以内に抑えられることが最大の特徴である。
【0058】
ドローンで撮影された場合、ドローンの空中での撮影位置の位置情報が登録される。
【0059】
なお、GPSによる測位方式は、単独測位と相対測位に大きく分けられる。
【0060】
単独測位は主にナビゲーションに用いられ、精密測位には相対測位における干渉測位法が用いられる。
【0061】
前者は、衛星からの電波の到達時間を測定して受信点の絶対座標を求める方法で精度はm単位であり、後者は、衛星からの搬送波の位相を測定して基準点からの相対座標を求める方法で、精度はmm~cm単位である。
【0062】
GPSによる動的変位計測には、一般的に干渉測位法のひとつであるRTK方式が用いられている。
【0063】
「アライメント」とは、オブジェクト(要素)の各ポイントを基準にして、要素を配置することである。
【0064】
本実施形態では、アライメントは、太陽光発電システムのソーラパネルブロックSの各ポイントを基準にして、ソーラパネルブロックSを配置することである。
【0065】
アライメントが成功するように、撮影機器Pによる撮影で撮り漏らしがないようにする必要がある。
【0066】
「メッシュ生成」は、通常の精細でメッシュ化する。画像の縮小を行うことにより品質に影響なく処理時間の短縮を図ることができる。
【0067】
簡素化では、対象物に応じてポリゴン数を調整する。「ポリゴン」とは、3Dグラフィックにおいて、立体的な物体の曲面を表現する際に用いられる多角形(平面)のことである。
【0068】
設定でテクスチャ解像度と枚数等を設定し、その後Unwrapを選択する。
【0069】
「テクスチャ」とは元来、物の表面の質感・手触りなどを指す概念である。3Dコンピュータグラフィックス(CG)においては、物体の表面の質感を表現するために、3Dオブジェクトの表面に貼り付ける模様や画像を「テクスチャ」、このようにテクスチャを貼り付ける手法のことを「テクスチャマッピング」と呼ぶ。
【0070】
「テクスチャマッピング」により、3Dオブジェクトの質感はリアルなものになる。例えば、同じオブジェクトでも、金属のテクスチャを貼り付ければ金属片に見え、木目のテクスチャを貼り付ければ木片に見える。テクスチャマッピングにより、光沢のあるテーブルやガラスへの映り込みを表現することもできる。
【0071】
メッシュデータは、ポリゴンとテクスチャで構成される。
【0072】
なお、このフォトグラメトリで作成した3DCG(3Dモデル、三次元モデル)をメタバース等に使用することも可能である。
【0073】
図3に示すように、このフォトグラメトリで作成した3Dモデルは、空間座標(X,Y,Z)が設けられており、座標の位置によって実際の距離が判断可能である。
【0074】
なお、本実施形態では、フォトグラメトリは、点群データによって構成されている。点群データは、メッシュデータと比べ、それぞれが独立した点の情報だけで構成されており、センサーから取得できる生データに近いので、多くの場合精度に優れているという特徴がある。
【0075】
点群データのデータ形式としては、頂点ごとの空間座標(X,Y,Z)と色(R(赤),G(緑),B(青))の6パラメータが基本の構成要素で、それに加え、スカラー情報と呼ばれる反射率や法線ベクトルなどの情報を含むことがある。
【0076】
<第1実施形態>
図4に示すように、本実施形態に係る太陽光発電設備メンテナンスシステム100は、サーバであるクラウドサーバ200と、
クラウドサーバ200にアクセスすることが可能な端末である第1端末300と、を含む。
【0077】
クラウドサーバ200は、クラウド上に構築されたサーバであり、インターネットを通じてサーバ機能を利用することができるものである。なお、本実施形態では、サーバとしてクラウドサーバ200を用いているが、通常のサーバであってもよい。
【0078】
図4に示すように、クラウドサーバ200は、第1端末300と通信可能な通信部210と、
フォトグラメトリで作成した対象物であるソーラパネルブロックSの3Dモデル(三次元モデル)を記憶する記憶部220と、
ソーラパネルブロックSが平面かどうか判定するソーラパネル判定部230と、
ソーラパネルブロックSの理論上の発電量を算出する発電量算出部240と、
ソーラパネル判定部230が、ソーラパネルブロックSが平面でないと判定した場合、発電量算出部240により算出された理論上の発電量と、前記ソーラパネルブロックSの実際の発電量とを比較し、どの程度発電量が理論値より減少しているか判定する減少量算出部250と、
ソーラパネルブロックSの調整又は交換が必要か否か判定するソーラパネル調整判定部260と、
ソーラパネル調整判定部260の判定に基づいて保険料を算出する保険料算出部である第1保険料算出部270と、を含む。
【0079】
通信部210は、第1端末300と通信する。通信方法は、有線、無線いずれであってもよい。第1端末300は、複数あってもよい。
【0080】
記憶部220は、フォトグラメトリで作成されたソーラパネルブロックS等の3Dモデルが記憶されている。
【0081】
図3に示すように、フォトグラメトリで作成された3Dモデルには空間座標が設けられており、空間座標の距離が実際の距離に対応している。
【0082】
そして、3Dモデルの空間座標の距離から実際の距離が算出される。算出された距離は、算出する際に補正が行われる場合がある。
【0083】
また、撮影機器P(本実施形態ではドローン)のレンズの歪曲収差(ディストーション)が発生する場合は、補正される場合がある。
【0084】
ソーラパネル判定部230は、ソーラパネルブロックSのソーラパネルが平面になってるか否か判定するところである。
【0085】
つまり、ソーラパネル判定部230は、ソーラパネルブロックSの平面性を判定する。
【0086】
例えば、ソーラパネルブロックSを支えている一部の杭が沈み込み、ソーラパネルブロックSの一部が沈み込んでソーラパネルブロックSが平面となっていない場合、ソーラパネル判定部230は、ソーラパネルが平面になっていないと判定する。
【0087】
具体的には、ソーラパネル判定部230は、記憶部220に記憶されているフォトグラメトリで作成されたソーラパネルブロックSが平面になっているか否かを判定する。
【0088】
フォトグラメトリで作成されたソーラパネルブロックSは空間座標が設けられているため、ソーラパネル判定部230は、その空間座標からソーラパネルブロックSが平面か否か判定する。
【0089】
なお、ソーラパネル判定部230は、ソーラパネルブロックSの全体の傾斜が予め設定されている傾斜になっているか否か判定してもよい。
【0090】
ソーラパネル判定部230は、ソーラパネルブロックSのどの部分が平面となっていないかを第1端末300に通知する。
【0091】
発電量算出部240は、ソーラパネルブロックSの年間の発電量の理論値を算出する。
【0092】
具体的には、標準状態における太陽電池アレイ出力(kW)と、設置場所での日射量(kWh/㎥・日)と、総合設計係数(通常は0.7)と、365(日)と、の積から算出される。
【0093】
減少量算出部250は、発電量算出部240によって算出された発電量の理論値と実際の発電量とを比較し判定する。
【0094】
具体的には、減少量算出部250は、ソーラパネルブロックSの発電効率が理論値からどの程度低下しているか(例えば、何%低下しているか)算出し、許容範囲か否か判定する。
【0095】
減少量算出部250は、ソーラパネルブロックSの発電効率が理論値からどの程度低下しているかを第1端末300に通知する。
【0096】
図5及び
図6に示すように、ソーラパネル調整判定部260は、減少量算出部250が発電量の低下が許容範囲か否かの判定結果、及び、ソーラパネル判定部230が判定したソーラパネルブロックSの平面性の判定結果によって、ソーラパネルブロックSの調整が必要か否かを判定する。
【0097】
なお、ソーラパネル調整判定部260は、減少量算出部250が発電量の低下が許容範囲か否かの判定結果、及び、ソーラパネル判定部230が判定したソーラパネルブロックSの全体の傾斜が予め設定されている傾斜になっているか否かの判定結果によって、ソーラパネルブロックSの調整が必要か否かを判定してもよい。
【0098】
ソーラパネル調整判定部260は、ソーラパネルブロックSの調整が必要と判定した場合、その旨を通知し、ソーラパネルブロックSが平面となっていない部分に関しては、ソーラパネル判定部230が通知する。
【0099】
具体的には、ソーラパネル調整判定部260は、ソーラパネルブロックSの調整が必要と判定した場合、警告表示(警告通知)を行う。
【0100】
本実施形態では、ソーラパネル調整判定部260及びソーラパネル判定部230は、第1端末300に警告通知を通知する。
【0101】
ソーラパネル調整判定部260は、ソーラパネルブロックSが平面となっていない部分の割合を算出する第1相違部分算出部261を有する。
【0102】
第1相違部分算出部261は、ソーラパネル判定部230が、ソーラパネルブロックSが平面でないと判定した場合、ソーラパネルブロックS全体に対するその部分の面積の割合を算出する。
【0103】
具体的には、フォトグラメトリで作成されたソーラパネルブロックSの3Dモデルには空間座標が設けられているため、その空間座標を利用して、ソーラパネルブロックS全体に対する、平面となっていないソーラパネルブロックSの部分の面積の割合を算出する。
【0104】
なお、第1相違部分算出部261は、ソーラパネルブロックSが平面となっている部分の全体に対する割合を算出するものであってもよい。
【0105】
第1保険料算出部270は、ソーラパネル調整判定部260の判定に基づいて保険料を算出するところである。
【0106】
第1保険料算出部270は、保険料率を決定する保険料率決定部である第1保険料率決定部271を有する。
【0107】
第1保険料率決定部271は、第1相違部分算出部261が判定した、ソーラパネルブロックSの全体の面積に対する、ソーラパネルブロックSが平面となっていない部分の面積の割合に応じて保険料率を決定する。
【0108】
なお、第1保険料率決定部271は、ソーラパネルブロックSが平面となっている部分の面積の全体に対する割合に応じて保険料率を決定するものであってもよい。
【0109】
第1保険料算出部270は、第1保険料率決定部271が決定した保険料率に基づいて保険料を算出する。
【0110】
第1端末300の利用者は、警告通知を受けた場合、ソーラパネルブロックSの実際の状態を確認し、警告内容が正しいかどうか確認することができる。
【0111】
確認内容は、実際の発電量や発電効率の低下の確認だけでなく、ソーラパネルブロックSが平面になっているかどうか、実際にドローンや現場の視察等による。
【0112】
この場合、ソーラパネルブロックSの実際の傾斜を確認してもよい。
【0113】
例えば、ソーラパネルの発電効率が最も良い角度は、地域や天候によって変化するが、南向き約30度が好ましく、ソーラパネルブロックSの傾斜が、地面の傾斜も含めて30度になっているか否か確認してもよい。
【0114】
図7は、ソーラパネルブロックSの一部の点群データである3Dモデルである。
図7からわかるように、3Dモデルによってソーラパネルの傾斜角度がわかり、ソーラパネル調整判定部260は、ソーラパネルブロックSの調整が必要か否か判定することができる。
【0115】
なお、ソーラパネル調整判定部260は、ソーラパネルブロックSの調整が不要と判定した場合、その旨を第1端末300に通知してもよい。
【0116】
(第1端末300)
端末である第1端末300は、クラウドサーバ200にアクセスするため、インターネットにアクセスするための通信機能である第1通信部310と、
クラウドサーバ200の記憶部220に保存されているデータを保存することが可能な第1記憶部320と、
クラウドサーバ200にアクセスして作業内容又は記憶されているデータを表示する第1表示部330と、を含む。
【0117】
第1端末300の例としては、パソコン、タブレットが挙げられる。
【0118】
第1通信部310は、インターネットをするための通信を行うところである。第1通信部310により、第1端末300は、クラウドサーバ200にアクセスすることができる。
【0119】
なお、第1通信部310では、Wi-Fi(無線LAN)又は有線LAN等でインターネットにアクセスすることも含む。
【0120】
(第1実施形態における警告通知のフローチャート)
本実施形態における第1実施形態の警告通知のフローチャートを
図8及び
図9に示す。
まず、フォトグラメトリによりソーラパネルブロックSの3Dモデル(三次元モデル)を作成する(ステップS11、三次元モデル作成工程)。
【0121】
フォトグラメトリで作成された3Dモデルは、メタバース等で利用可能である。
【0122】
次に、ソーラパネル判定部230が、記憶部220に記憶されているフォトグラメトリで作成されたソーラパネルブロックSが平面になっているか否かを判定する(ステップS12、ソーラパネル判定工程)。
【0123】
次に、発電量算出部240が、ソーラパネルブロックSの年間の発電量の理論値を算出する(ステップS13、発電量算出工程)。
【0124】
次に、減少量算出部250が、発電量算出部240によって算出された発電量の理論値と実際の発電量とを比較し、理論上の発電量からの減少量を算出する(ステップS14、減少量算出工程)。
【0125】
減少量算出部250は、減少量算出部250によって求められた発電量の低下(減少量)が許容範囲か否かを判定する。
【0126】
ソーラパネル調整判定部260は、発電量の減少量、及び、ソーラパネルブロックSが平面か否かの結果によって、ソーラパネルブロックSの調整が必要か否かを判定する(ステップS15、ソーラパネル調整判定工程)。
【0127】
ソーラパネル調整判定部260は、ソーラパネルブロックSの調整が不要と判定した場合、その旨の通知を第1端末300に行う(ステップS16、通知工程)。
【0128】
次に、ソーラパネル調整判定部260は、ソーラパネルブロックSの調整が必要と判定した場合、第1端末300に警告表示(警告通知)を行う(ステップS17、通知工程)。
【0129】
第1相違部分算出部261は、ソーラパネル判定部230が、ソーラパネルブロックSが平面でないと判定した場合、ソーラパネルブロックS全体に対するその部分の面積の割合を算出する(ステップS18、割合算出工程)。
【0130】
第1保険料率決定部271は、ソーラパネル調整判定部260が判定した、ソーラパネルブロックSの全体の面積に対する、ソーラパネルブロックSが平面となっていない部分の面積の割合に応じて保険料率を決定する(ステップS19、保険料率決定行程)。
【0131】
第1保険料算出部270は、第1保険料率決定部271が決定した保険料率に基づいて保険料を算出する(ステップS20、保険料算出行程)。
【0132】
<第2実施形態>
第2実施形態では、第1実施形態と同様の構成については、省略又は簡略して説明する。
【0133】
図10に示すように、クラウドサーバ200は、第1端末300と通信可能な通信部210と、
フォトグラメトリで作成した対象物であるソーラパネルブロックSの3Dモデル(三次元モデル)を記憶する記憶部220と、
記憶部220に記憶されているソーラパネルブロックSの3Dモデルと、新たにフォトグラメトリで作成された同一のソーラパネルブロックSの3Dモデルとを比較し、同一でない部分を判定するためのソーラパネル比較判定部430と、
ソーラパネル比較判定部430の判定に基づいて保険料を算出する保険料算出部である第2保険料算出部440と、を含む。
【0134】
通信部210は、第1端末300と通信する。通信方法は、有線、無線いずれであってもよい。第1端末300は、複数あってもよい。
【0135】
記憶部220は、フォトグラメトリで作成されたソーラパネルブロックS等の3Dモデルが記憶されている。
【0136】
また、記憶部220は、以前のソーラパネルブロックS等の3Dモデルが記憶されており、新たにフォトグラメトリで作成された同一のソーラパネルブロックS等の3Dモデルが記憶される。
【0137】
フォトグラメトリで作成された3Dモデルには空間座標が設けられており、空間座標の距離が実際の距離に対応している。
【0138】
そして、3Dモデルの空間座標の距離から実際の距離が算出される。算出された距離は、算出する際に補正が行われる場合がある。
【0139】
また、撮影機器Pのレンズの歪曲収差(ディストーション)が発生する場合は、補正される場合がある。
【0140】
ソーラパネル比較判定部430は、記憶部220に記憶されているソーラパネルブロックSの3Dモデル(旧3Dモデル)と、新たにフォトグラメトリで作成された同一のソーラパネルブロックSの3Dモデル(新3Dモデル)とを比較し、同一でない部分を判定する。
【0141】
具体的には、ソーラパネル比較判定部430は、旧3Dモデルと、新3Dモデルとを比較し、一致するか否かを判定する。この際、誤差はあらかじめ設定されている。
【0142】
例えば、ソーラパネルブロックSが地震等によって部分的に傾斜している場合、ソーラパネルブロックSの3Dモデルが一致しない。
【0143】
3Dモデルが一致するか否かは、その数値の違いが予め設定された所定範囲内(誤算の範囲内)に該当するか否かで判断される。
【0144】
ソーラパネル比較判定部430は、寸法が一致している場合はその旨を通知し、一致していない場合はその旨を通知する。
【0145】
具体的には、ソーラパネル比較判定部430は、寸法が一致しないと判定した場合、エラー表示(エラー通知)を行う。
【0146】
ソーラパネル比較判定部430は、旧3Dモデルと、新3Dモデルとを比較し、一致しなかった部分の全体に対する割合を算出する相違部分算出部である第2相違部分算出部431を有する。
【0147】
ソーラパネル比較判定部430が、旧3Dモデルと、新3Dモデルとを比較し、一致しないと判定した場合、第2相違部分算出部431は、ソーラパネルブロックS全体に対する一致しない部分の面積の割合を算出する。
【0148】
具体的には、フォトグラメトリで作成されたソーラパネルブロックSの3Dモデルには空間座標が設けられているため、その空間座標を利用して、第2相違部分算出部431は、ソーラパネルブロックS全体に対する一致しない部分の面積の割合を算出する。
【0149】
なお、第2相違部分算出部431は、ソーラパネルブロックS全体に対する一致する部分の面積の割合を算出するものであってもよい。
【0150】
第2保険料算出部440は、ソーラパネル比較判定部430の判定に基づいて保険料を算出するところである。
【0151】
具体的には、第2保険料算出部440は、第2相違部分算出部431が算出したソーラパネルブロックS全体に対する一致しない部分の面積の割合に基づいて保険料を算出する。
【0152】
第2保険料算出部440は、保険料率を決定する保険料率決定部である第2保険料率決定部441を有する。
【0153】
第2保険料率決定部441は、第2相違部分算出部431が算出した、ソーラパネルブロックSの全体の面積に対する、旧3Dモデルと、新3Dモデルとの一致しない部分の面積の割合に応じて保険料率を決定する。
【0154】
第2保険料算出部440は、第2保険料率決定部441が決定した保険料率に基づいて保険料を算出する。
【0155】
なお、第2保険料算出部440は、第2相違部分算出部431が算出したソーラパネルブロックS全体に対する一致する部分の面積の割合に基づいて保険料を算出してもよい。
【0156】
つまり、第2保険料率決定部441は、第2相違部分算出部431が算出した、ソーラパネルブロックSの全体の面積に対する、旧3Dモデルと、新3Dモデルとの一致する部分の面積の割合に応じて保険料率を決定するものであってもよい。
【0157】
(第2実施形態における警告通知のフローチャート)
本実施形態における第2実施形態の警告通知のフローチャートを
図11及び
図12に示す。
まず、フォトグラメトリによりソーラパネルブロックSの3Dモデル(三次元モデル)を作成する(ステップS21、旧三次元モデル作成工程)。
【0158】
そして、記憶部220では、フォトグラメトリで作成されたソーラパネルブロックS(旧3Dモデル)が記憶される(ステップS22)。
【0159】
次に、例えば数年後に、新たにフォトグラメトリによりソーラパネルブロックSの3Dモデル(三次元モデル)を作成する(ステップS23、新三次元モデル作成工程)。
【0160】
次に、ソーラパネル比較判定部430が、旧3Dモデルと新3Dモデルとが一致するか否か判定する(ステップS24、ソーラパネル比較判定工程)。
【0161】
ソーラパネル比較判定部430は、寸法が一致している場合はその旨を第1端末300に通知し、一致していない場合はその旨を第1端末300に通知する(ステップS25、ステップS26、通知工程)。
【0162】
次に、ソーラパネル比較判定部430は、ソーラパネル比較判定部430が、旧3Dモデルと、新3Dモデルとを比較し、一致しないと判定した場合、ソーラパネルブロックS全体に対する一致しない部分の面積の割合を算出する。(ステップS27、ソーラパネル調整判定工程)。
【0163】
次に、ソーラパネル比較判定部430は、ソーラパネルブロックSの調整が必要と判定した場合、警告表示(警告通知)を行う(ステップS28、警告工程)。
【0164】
第2保険料率決定部441は、ソーラパネル比較判定部430が判定した、ソーラパネルブロックSの全体の面積に対する、旧3Dモデルと、新3Dモデルとが一致していない部分の面積の割合に応じて保険料率を決定する(ステップS28、保険料率決定行程)。
【0165】
第2保険料算出部440は、第2保険料率決定部441が決定した保険料率に基づいて保険料を算出する(ステップS29、保険料算出工程)。
【0166】
本実施形態では、ソーラパネル比較判定部430は、第1端末300にエラー通知を通知する。
【0167】
第1端末300の利用者は、寸法が一致していない旨の通知(エラー通知)を受けた場合、ソーラパネルブロックSに損傷があるか確認することができる。
【0168】
ソーラパネル比較判定部430は、記憶部220に記憶されている損傷前のソーラパネルブロックSの3Dモデルと、地震等の災害により損傷したソーラパネルブロックSの3Dモデルとを比較する。
【0169】
具体的には、ソーラパネル比較判定部430は、記憶部220に記憶されている損傷前のソーラパネルブロックSの3Dモデルと、地震等の災害により損傷した後のソーラパネルブロックSの3Dモデルとを比較し、損傷前のソーラパネルブロックSの3Dモデルから何%異なるか判定する。
【0170】
より具体的には、記憶部220に記憶されているソーラパネルブロックSの3Dモデルと、地震等の災害により損傷した後のソーラパネルブロックSの3Dモデルとを重ね合わせ、ソーラパネル比較判定部430は、損傷前のソーラパネルブロックSの3Dモデルから何%異なるか判定する。
【0171】
この場合、例えばソーラパネルブロックSが傾いている(傾斜)などの違いも違いに該当する。
【0172】
つまり、ソーラパネル比較判定部430は、ソーラパネルブロックSの損傷度合を算出する。
【0173】
第1端末300の使用者は、損傷度合判定部260からの通知に基づいて、ソーラパネルブロックSの補修が必要か否か判断することができる。
【0174】
本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の改良、修正、又は変形を加えた態様でも実施できる。
【符号の説明】
【0175】
100…太陽光発電設備メンテナンスシステム
200…クラウドサーバ(サーバ)
210…通信部
220…記憶部
230…ソーラパネル判定部
240…発電量算出部
250…減少量算出部
260…ソーラパネル調整判定部
261…第1相違部分算出部(相違部分算出部)
270…第1保険料算出部(保険料算出部)
271…第1保険料率決定部(保険料率決定部)
300…第1端末(端末)
310…第1通信部
320…第1記憶部
330…第1表示部(表示部)
430…ソーラパネル比較判定部
431…第2相違部分算出部(相違部分算出部)
440…第2保険料算出部(保険料算出部)
441…第2保険料率決定部(保険料率決定部)