(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025014985
(43)【公開日】2025-01-30
(54)【発明の名称】飲料及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
A23L 11/60 20250101AFI20250123BHJP
A23L 2/38 20210101ALI20250123BHJP
A23L 2/00 20060101ALI20250123BHJP
【FI】
A23L11/60
A23L2/38 J
A23L2/38 C
A23L2/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023118010
(22)【出願日】2023-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】000006127
【氏名又は名称】森永乳業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153763
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 広之
(72)【発明者】
【氏名】藤田 裕
(72)【発明者】
【氏名】出雲路 敬史
【テーマコード(参考)】
4B020
4B117
【Fターム(参考)】
4B020LB18
4B020LG01
4B020LG09
4B020LK01
4B020LK02
4B020LK04
4B020LK05
4B020LK08
4B020LK09
4B020LK20
4B020LP03
4B020LP09
4B020LP12
4B020LP15
4B020LP30
4B117LC03
4B117LG06
4B117LG11
4B117LG13
4B117LK01
4B117LK10
4B117LK12
4B117LK16
4B117LL01
4B117LL04
4B117LL06
4B117LP01
4B117LP14
4B117LP20
(57)【要約】
【課題】植物由来原料が持つクセのある風味が抑制され、コクがある飲料及びその製造方法の提供。
【解決手段】ひよこ豆由来成分と、大豆由来成分と、アーモンド由来成分と、食物繊維と、植物油脂と、を含む飲料。ひよこ豆由来原料と、大豆由来原料と、アーモンド由来原料と、食物繊維と、植物油脂と、溶解水と、を混合する工程と、前記混合する工程で得られた混合液を均質化する工程と、を含む、飲料の製造方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ひよこ豆由来成分と、
(B)大豆由来成分と、
(C)アーモンド由来成分と、
(D)食物繊維と、
(E)植物油脂と、
を含む飲料。
【請求項2】
(F)オーツ麦由来成分をさらに含む、請求項1に記載の飲料。
【請求項3】
前記(D)食物繊維が、難消化性デキストリン、イヌリン、ポリデキストロース及びグアーガム分解物からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の飲料。
【請求項4】
前記(E)植物油脂が、菜種油、ひまわり油、大豆油、こめ油、ヤシ油、パーム油、アーモンド油からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の飲料。
【請求項5】
前記飲料全体に対するタンパク質の含有量が、0.5~5質量%である、請求項1又は2に記載の飲料。
【請求項6】
前記飲料全体に対する前記(E)植物油脂の含有量が、0.5~5質量%である、請求項1又は2に記載の飲料。
【請求項7】
ひよこ豆由来原料と、大豆由来原料と、アーモンド由来原料と、食物繊維と、植物油脂と、溶解水と、を混合する工程と、
前記混合する工程で得られた混合液を均質化する工程と、
を含む、飲料の製造方法。
【請求項8】
前記混合する工程において、オーツ麦由来原料をさらに混合する、請求項7に記載の飲料の製造方法。
【請求項9】
前記ひよこ豆由来原料が、ひよこ豆タンパク質及びひよこ豆粉からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項7又は8に記載の飲料の製造方法。
【請求項10】
前記食物繊維が、難消化性デキストリン、イヌリン、ポリデキストロース及びグアーガム分解物からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項7又は8に記載の飲料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、健康志向の高まりから、大豆等の植物由来原料を用いた飲料が求められている。
特許文献1には、ひよこ豆タンパク質の精製品及び米タンパク質の精製品のうち少なくとも1つを含む飲料が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、植物由来原料は素材自体に独特の風味があり、植物由来原料を含む飲料にも同様の風味がある。また、植物由来原料を含む飲料はコクが不足しているものが多い。
本発明は、植物由来原料が持つクセのある風味が抑制され、コクがある飲料及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の態様を有する。
[1](A)ひよこ豆由来成分と、
(B)大豆由来成分と、
(C)アーモンド由来成分と、
(D)食物繊維と、
(E)植物油脂と、
を含む飲料。
[2](F)オーツ麦由来成分をさらに含む、[1]に記載の飲料。
[3]前記(D)食物繊維が、難消化性デキストリン、イヌリン、ポリデキストロース及びグアーガム分解物からなる群から選択される少なくとも1種である、[1]又は[2]に記載の飲料。
[4]前記(E)植物油脂が、菜種油、ひまわり油、大豆油、こめ油、ヤシ油、パーム油及びアーモンド油からなる群から選択される少なくとも1種である、[1]~[3]のいずれかに記載の飲料。
[5]前記飲料全体に対するタンパク質の含有量が、0.5~5質量%である、[1]~[4]のいずれかに記載の飲料。
[6]前記飲料全体に対する前記(E)植物油脂の含有量が、0.5~5質量%である、[1]~[5]のいずれかに記載の飲料。
[7]ひよこ豆由来原料と、大豆由来原料と、アーモンド由来原料と、食物繊維と、植物油脂と、溶解水と、を混合する工程と、
前記混合する工程で得られた混合液を均質化する工程と、
を含む、飲料の製造方法。
[8]前記混合する工程において、オーツ麦由来原料をさらに混合する、[7]に記載の飲料の製造方法。
[9]前記ひよこ豆由来原料が、ひよこ豆タンパク質及びひよこ豆粉からなる群から選択される少なくとも1種である、[7]又は[8]に記載の飲料の製造方法。
[10]前記食物繊維が、難消化性デキストリン、イヌリン、ポリデキストロース及びグアーガム分解物からなる群から選択される少なくとも1種である、[7]~[9]のいずれかに記載の飲料の製造方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、植物由来原料が持つクセのある風味が抑制され、コクがある飲料及びその製造方法を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書において、数値範囲に用いられる記号「~」は、その前後に記載された数値を下限値および上限値として含むことを意味する。
本発明の飲料全体に含まれる各成分の含有量は以下のとおり測定する。
タンパク質の含有量(質量%)は、燃焼法により測定する。
脂質の含有量(質量%)は、レーゼ・ゴットリーブ法により測定する。
灰分の含有量(質量%)は、直接灰化法により測定する。
水分の含有量(質量%)は、直接加熱乾燥法により測定する。
炭水化物の含有量(質量%)は、全ての成分の合計から前記4成分(タンパク質、脂質、灰分及び水分)の合計を減じて決定する(算出式:100-(タンパク質、脂質、灰分及び水分の4成分の合計値))。炭水化物の含有量には、脂質及びタンパク質以外の有機物(イソフラボン等)の含有量が包含される。
固形分は、水分以外の成分である。固形分の含有量(質量%)は、水分以外の含有量として、直接加熱乾燥法により測定された水分の含有量から算出する(算出式:100-水分の含有量=固形分の含有量)。
【0008】
〔飲料〕
本発明の一実施形態に係る飲料(以下、「本飲料」とも記す。)は、下記成分(A)~(E)を含む。
(A)ひよこ豆由来成分
(B)大豆由来成分
(C)アーモンド由来成分
(D)食物繊維
(E)植物油脂
【0009】
<(A)ひよこ豆由来成分>
「ひよこ豆由来成分」とは、ひよこ豆由来の固形分である。
ひよこ豆由来成分は、ひよこ豆タンパク質を含むことが好ましい。ひよこ豆由来成分は、ひよこ豆タンパク質以外の他の成分をさらに含んでいてもよい。
【0010】
本飲料は、典型的には、ひよこ豆由来成分の供給源として、ひよこ豆由来原料を含む。ひよこ豆由来原料はひよこ豆タンパク質以外の他の固形分を含んでいてもよい。
ひよこ豆由来原料としては、例えば、ひよこ豆タンパク質、ひよこ豆粉が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0011】
本飲料全体に対するひよこ豆由来成分の含有量は、本飲料全体に対するひよこ豆タンパク質の含有量を勘案して適宜選定できる。
本飲料全体(100質量%)に対するひよこ豆タンパク質の含有量は、0.1質量%以上が好ましく、0.2質量%以上がより好ましく、また、3質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましい。前記下限値及び前記上限値は適宜組み合わせることができる。ひよこ豆タンパク質の含有量が前記下限値以上であると、ひよこ豆以外の植物由来原料由来の風味がより抑制され、前記上限値以下であると、ひよこ豆由来の風味(豆臭)がより抑制される。
【0012】
<(B)大豆由来成分>
「大豆由来成分」とは、大豆由来の固形分である。
大豆由来成分は、大豆タンパク質を含むことが好ましい。大豆由来成分は、大豆タンパク質以外の他の固形分をさらに含んでいてもよい。
【0013】
本飲料は、典型的には、大豆由来成分の供給源として、大豆由来原料を含む。大豆由来原料は大豆タンパク質以外の成分を含んでいてもよい。
大豆由来原料としては、例えば、大豆タンパク質、大豆粉、豆乳(無調整豆乳、調製豆乳)が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0014】
本飲料全体に対する大豆由来成分の含有量は、本飲料全体に対する大豆タンパク質の含有量を勘案して適宜選定できる。
本飲料全体(100質量%)に対する大豆タンパク質の含有量は、0.1質量%以上が好ましく、0.2質量%以上がより好ましく、また、3質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましい。前記下限値及び前記上限値は適宜組み合わせることができる。大豆タンパク質の含有量が前記下限値以上であると、大豆以外の植物由来原料由来の風味がより抑制され、前記上限値以下であると、大豆由来の風味(青臭さ)がより抑制される。
【0015】
本飲料中、ひよこ豆タンパク質と大豆たんぱく質との質量比(ひよこ豆タンパク質/大豆たんぱく質)は、1/5~5/1が好ましく、1/3~3/1がより好ましい。ひよこ豆タンパク質/大豆たんぱく質の質量比が前記範囲内であると、ひよこ豆、大豆それぞれに由来する風味がより抑制される。また、ひよこ豆タンパク質は、アレルゲンではない、豆類のなかでは比較的クセが弱い、水に溶解したときの粘度が低いといった特長がある。そのため、ひよこ豆タンパク質の比率が上記範囲内で高いほど、アレルゲンが少なくなる、クセがより弱くなる、飲料の粘度がより低くなる、といった利点がある。
【0016】
<(C)アーモンド由来成分>
「アーモンド由来成分」とは、アーモンド由来の固形分である。アーモンドは種子の部分を指す。
アーモンド由来成分は、アーモンドに含まれる任意の成分(例えばタンパク質、脂質、炭水化物、灰分、それらの2種以上の混合物)であってよい。
【0017】
本飲料は、典型的には、アーモンド由来成分の供給源として、アーモンド由来原料を含む。
アーモンド由来原料としては、例えば、アーモンドペースト、アーモンドミルク、アーモンドパウダーが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0018】
本飲料全体(100質量%)に対するアーモンド由来成分の含有量は、0.1質量%以上が好ましく、0.2質量%以上がより好ましく、また、3質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましい。前記下限値及び前記上限値は適宜組み合わせることができる。アーモンド由来成分の含有量が前記下限値以上であると、アーモンド以外の植物由来原料由来の風味がより抑制され、前記上限値以下であると、アーモンド由来の風味がより抑制される。
【0019】
<(D)食物繊維>
(D)食物繊維としては、例えば、難消化性デキストリン、イヌリン、ポリデキストロース、グアーガム分解物が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。また、食物繊維は、前述のひよこ豆由来原料、大豆由来原料又はアーモンド由来原料由来の食物繊維や、他の原料由来の食物繊維も含んでもよい。
食物繊維は、風味に影響を与えずに栄養強化する目的から、ひよこ豆、大豆、アーモンド、オーツ麦及びココナッツのいずれにも由来しない食物繊維を含むことが好ましく、難消化性デキストリンを用いることがより好ましい。
【0020】
本飲料全体(100質量%)に対する食物繊維の含有量は、1質量%以上が好ましく、2質量%以上がより好ましく、また、7質量%以下が好ましく、6質量%以下がより好ましい。前記下限値及び前記上限値は適宜組み合わせることができる。食物繊維の含有量が前記下限値以上であると、本飲料のコクが向上し、前記上限値以下であると、食物繊維の過剰摂取による消化不良を抑制できる。
【0021】
<(E)植物油脂>
(E)植物油脂としては、例えば、菜種油、ひまわり油、大豆油、こめ油、ヤシ油、パーム油、アーモンド油が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。また、植物油脂は、前述のひよこ豆由来原料、大豆由来原料又はアーモンド由来原料由来の植物油脂や、他の原料由来の植物油脂を含んでもよい。
植物油脂は、特定の風味を付与せずにコクを上げる点から、ひよこ豆、大豆、アーモンド、オーツ麦及びココナッツのいずれにも由来しない植物油脂を含むことが好ましく、菜種油を含むことがより好ましい。
【0022】
本飲料全体(100質量%)に対する植物油脂の含有量は、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、また、5質量%以下が好ましく、4質量%以下がより好ましい。前記下限値及び前記上限値は適宜組み合わせることができる。(E)成分の含有量が前記下限値以上であると、本飲料のコクが向上し、前記上限値以下であると、油っぽさを抑制できる。
【0023】
<(F)オーツ麦由来成分>
本飲料は、(F)オーツ麦由来成分をさらに含むことが好ましい。オーツ麦由来成分を含むことで、植物由来原料が持つクセのある風味がより抑制される。
「オーツ麦由来成分」とは、オーツ麦由来の固形分である。オーツ麦由来成分は、オーツ麦に含まれる任意の成分(例えばタンパク質、脂質、炭水化物、灰分、それらの2種以上の混合物)を含んでよい。
【0024】
本飲料は、典型的には、オーツ麦由来成分の供給源として、オーツ麦由来原料を含む。
オーツ麦由来原料としては、例えば、オーツ粉(オーツ麦を微粒子化したパウダー)、オーツ粉を水等に溶解した液体原料、前記液体原料を酵素で糖化処理した糖化液、前記糖化液を噴霧乾燥したパウダーが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0025】
本飲料全体(100質量%)に対するオーツ麦由来成分の含有量は、0.2質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、また、10質量%以下が好ましく、8質量%以下がより好ましい。前記下限値及び前記上限値は適宜組み合わせることができる。オーツ麦由来成分の含有量が前記下限値以上であると、オーツ麦以外の植物由来原料由来の風味がより抑制され、コクも向上し、前記上限値以下であると、オーツ麦由来の風味(穀物臭)がより抑制される。
【0026】
<(G)成分>
本飲料は、(G)ココナッツ由来成分をさらに含むことが好ましい。ココナッツ由来成分を含むことで、植物由来原料が持つクセのある風味がより抑制される。
ココナッツ由来成分は、ココナッツに含まれる任意の成分(例えばタンパク質、脂質、炭水化物、灰分、それらの2種以上の混合物)であってよい。
【0027】
本飲料は、典型的には、ココナッツ由来成分の供給源として、ココナッツ由来原料を含む。
ココナッツ由来原料としては、例えば、ココナッツクリーム、ココナッツミルク、ココナッツパウダーが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0028】
本飲料全体(100質量%)に対するココナッツ由来成分の含有量は、0.2質量%以上が好ましく、0.4質量%以上がより好ましく、また、3質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましい。前記下限値及び前記上限値は適宜組み合わせることができる。ココナッツ由来成分の含有量が前記下限値以上であると、ココナッツ以外の植物由来原料由来の風味がより抑制され、前記上限値以下であると、ココナッツ由来の風味がより抑制される。
【0029】
<その他の成分>
本飲料は、必要に応じて、発明の効果を損なわない範囲で、上記以外の他の成分をさらに含んでいてもよい。
他の成分としては、例えば、乳化剤、安定剤、甘味料、無機塩類、香味成分、ビタミン、pH調整剤、増粘剤等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
本飲料は、乳成分等の動物由来成分を含まない飲料、いわゆるプラントベース飲料であってもよい。
【0030】
本飲料は乳化剤を含まなくてもよいが、乳化剤を含むと保存時の脂肪浮上や沈殿を抑制できる。
乳化剤としては、食品添加物として認可されている乳化剤のうちの1種以上を用いることができる。乳化剤の具体例としては、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、プロピレングリコール脂肪酸エステル等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
本飲料全体(100質量%)に対する乳化剤の含有量は、例えば0~0.3質量%である。
【0031】
甘味料としては、例えば、蔗糖(砂糖)、ブドウ糖、果糖、乳糖、マルトース、パラチノース、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、ラフィノーズ等の糖類;ソルビトール、マンニトール、マルチトール、キシリトール、エリスリトール、ラクチュロース等の糖アルコール;グルチルリチン、ステビオサイド、レバウディオサイド、甜茶抽出物、甘茶抽出物等の天然甘味料、サッカリン、アステルパーム等の人工甘味料が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。簡便には、市販の蔗糖、蔗糖型液糖、蔗糖混合果糖ブドウ糖液糖、果糖ブドウ糖液糖、ブドウ糖化等液糖等を使用することができる。
本飲料全体(100質量%)に対する甘味料の含有量は、例えば0~6質量%である。
【0032】
香味成分は、飲料成分として許容される材料であって、飲料の味付け及び香り付けのために添加される材料である。
香味成分としては、香りを呈する材料、味と香りの両方を呈する材料、香りを調整するために補助的に用いられる香料等が挙げられる。香りを呈する材料及び味と香りの両方を呈する材料の具体例としては、コーヒー、紅茶、緑茶、ほうじ茶、番茶、煎茶、ウーロン茶等の茶類及びこれらのエキス;柑橘類、リンゴ、ブドウ、イチゴ、パイナップル、バナナ、ナシ、モモ、ウメ、ブルーベリー等のベリー類、メロン、グアバ、マンゴー、アセロラ、パパイヤ等の果汁類;トマト、ニンジン等の野菜汁類;果汁類又は野菜汁類の粉末;果汁類又は野菜汁類のフレーバー;アーモンドフレーバー、ヘーゼルナッツフレーバー等のナッツ系フレーバー;クリームフレーバー、コンデンスミルクフレーバー等のミルク系フレーバー等が挙げられる。
本飲料全体(100質量%)に対する香味成分の含有量は、例えば0~0.1質量%である。
【0033】
安定剤としては、例えば、ジェランガム、キサンタンガム、グアーガム、タラガム、ローカストビーンガム、ペクチン等の増粘多糖類が挙げられる。
本飲料全体(100質量%)に対する安定剤の含有量は、例えば0.01~0.1質量%である。
【0034】
本飲料全体(100質量%)に対する固形分の含有量は、5~20質量%が好ましく、7~15質量%がより好ましい。固形分の含有量が前記下限値以上であると、
コクのある風味特性に優れ、前記上限値以下であると、飲料としての飲みやすさに優れる。
【0035】
本飲料は、典型的には、食物繊維及び植物油脂以外の成分のいずれか1以上、典型的には少なくともひよこ豆由来成分及び大豆由来成分に由来して、タンパク質を含む。
本飲料全体(100質量%)に対するタンパク質の含有量は、0.5質量%以上が好ましく、0.7質量%以上がより好ましく、また、5質量%以下が好ましく、4質量%以下がより好ましい。前記下限値及び前記上限値は適宜組み合わせることができる。タンパク質の含有量が前記下限値以上であると、本飲料のコクが向上し、前記上限値以下であると、植物由来原料が持つクセのある風味が抑制される。
【0036】
(飲料の製造方法)
本飲料の製造方法としては、例えば、ひよこ豆由来原料と、大豆由来原料と、アーモンド由来原料と、食物繊維と、植物油脂と、溶解水と、を混合する工程(混合工程)と、混合工程で得られた混合液を均質化する工程(均質化工程)と、を含む方法が挙げられる。
【0037】
混合工程では、オーツ麦由来原料をさらに混合してもよい。
混合工程では、ココナッツ由来原料をさらに混合してもよい。
混合工程では、上記以外の他の原料をさらに混合してもよい。他の原料としては、例えば前記した他の成分と同様のものが挙げられる。
【0038】
溶解水の配合量は、混合液全体に対する固形分の含有量を考慮して選定される。混合液全体に対する固形分の好ましい含有量は、本飲料全体に対する固形分の好ましい含有量と同様である。溶解水以外の原料も同様である。
【0039】
混合工程における混合方法は、各原料を均一に混合できればよく、特に限定されない。例えば、タンクに50℃以上の溶解水を入れ、各成分を添加して溶解させる。各原料の添加順に特に制限はない。植物油脂を添加した後は、乳化を促進するため、剪断力をかけて高速撹拌する撹拌機(例えば高剪断ミキサー)で撹拌するか、又は均質機で予備乳化することが好ましい。
【0040】
均質化工程は、均質機等を使用して均質化する公知の方法により実施できる。
均質化の条件は特に限定されないが、例えば温度50~85℃、圧力15~50MPaの条件が挙げられる。
【0041】
必要に応じて、混合工程の後又は均質化工程の後に、混合液を加熱殺菌する(殺菌工程)。なお、混合液の組成は、熱による変性を除いて、加熱殺菌の前後で変化しない。
殺菌条件は、原料の特性、殺菌方式等に応じて適宜設定することができ、例えば120~153℃、2~60秒間の条件が挙げられる。
殺菌方法は、プレート式、チューブラー式、インジェクション式、インフュージョン式等の各種の殺菌方法が使用可能である。
殺菌工程の後、混合液を冷却する(冷却工程)。冷却温度は、例えば15℃以上25℃未満である。
混合工程の後、飲料を得るまでに、希釈、濃縮等の追加工程を設けてもよい。
【0042】
上記のようにして得られた飲料は、典型的には、容器に充填され、容器入り飲料とされる。容器としては、例えば、紙パック、紙カップ等の紙容器;ポリエチレンテレフタレート(PET)ボトル等のプラスチックボトル、プラスチックカップ等のプラスチック容器、缶等の金属容器、ガラス瓶等のガラス容器等が挙げられる。容器の形態としては、例えばパック形状、ボトル形状、カップ形状等が挙げられる。
殺菌工程を経ていない混合液を容器に充填し、レトルト殺菌法で加熱殺菌することにより容器入り飲料を製造してもよい。
【0043】
従来、植物由来原料を含む飲料は、飲用したときに、植物由来原料に由来するクセを感じ、飲みにくいことがある。また、乳飲料に比べ、コクが不足していることも多い。
本飲料にあっては、(A)ひよこ豆由来成分、(B)大豆由来成分、(C)アーモンド由来成分の少なくとも3種の植物由来成分を含んでいるので、個々の植物由来原料の風味が調和し、クセが少なく飲みやすい飲料となっている。また、(C)アーモンド由来成分、(D)食物繊維、(E)植物油脂を含んでいるので、コクも充分に感じられるものとなっている。さらに、本飲料を飲用すると、複数の異なる植物由来成分を同時に摂取できるので、栄養面でのメリットも大きい。
【実施例0044】
以下に、実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明する。ただし本発明はこれら実施例に限定されるものではない。本実施例において「%」は「質量%」である。
【0045】
<実施例1>
表1の配合に従って以下の手順で容器詰め飲料を製造した。
表1の原料のうち、食物繊維、大豆タンパク質、植物油脂、ココナッツクリームを50℃の溶解水に溶解した。溶解液を20メッシュのストレーナーにて濾過した後、15MPaの圧力で均質化処理を行い、25℃に冷却した。その他の表1の原料を別途溶解水に溶解し、上記均質化処理後の溶解液に混合した。次いで40メッシュのストレーナーにて濾過し、チューブラー式熱交換機にて134℃、30秒間以上保持することで殺菌処理を行った。殺菌処理後の溶解液を80℃まで冷却し、25MPaにて均質化処理を行って飲料(タンパク質含有量1.0質量%、植物油脂含有量2.1質量%)を得た。得られた飲料を紙容器に無菌的に充填し、容器詰め飲料を製造した。
得られた飲料について官能評価を行ったところ、大豆タンパク質、ひよこ豆タンパク質及びアーモンドペーストをこれらのいずれか1つに置き換えた飲料に比べ、植物由来原料が持つクセのある風味が抑制されていた。また、コクがあった。
【0046】
【0047】
使用原料の詳細を以下に示す。
食物繊維:Fiberest難消化性デキストリンHF、三養社製。
蔗糖型液糖:蔗糖型液糖CILS68、伊藤忠製糖社製。
植物油脂:日清菜種サラダ油(S)、日清オイリオ社製。
オーツ粉:BevOat Flour、Glanbia社製。
ココナッツクリーム:正栄食品工業社製。
大豆タンパク質:プロリーナRD-1、不二製油社製(タンパク質含有量85質量%)。
ひよこ豆タンパク質:ChickP S930、ChickP社製(タンパク質含有量83質量%)。
アーモンドペースト:アーモンドブランチローストペースト、タバタ社製。
塩化ナトリウム:精製塩、ソーダニッカ社製。
炭酸カルシウム:コロカルソーWBS、白石カルシウム社製。
乳化剤:ホモゲンNO.7489、三栄源エフ・エフ・アイ社製。
フレーバー:アーモンドフレーバー、長谷川香料社製。
安定剤:ジェランガム、三栄源エフ・エフ・アイ社製。
ビタミンE:理研E乳剤-20(S)、理研ビタミン社製。
葉酸:葉酸1%製剤、三栄源エフ・エフ・アイ社製。