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特開2025-149963型枠システム及びそれを用いて形成された壁体構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025149963
(43)【公開日】2025-10-08
(54)【発明の名称】型枠システム及びそれを用いて形成された壁体構造
(51)【国際特許分類】
   E04G 15/06 20060101AFI20251001BHJP
   E04G 11/10 20060101ALI20251001BHJP
   E04G 9/10 20060101ALI20251001BHJP
   E04B 2/56 20060101ALI20251001BHJP
【FI】
E04G15/06 D
E04G11/10
E04G9/10 A
E04B2/56 604A
E04B2/56 644F
E04B2/56 643A
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2025052188
(22)【出願日】2025-03-26
(31)【優先権主張番号】113111209
(32)【優先日】2024-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】525112802
【氏名又は名称】建國工程股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】CHIEN KUO CONSTRUCTION CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】20F., No.67, Tun-Hua S. Road, Sec.2, Taipei, Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】呉 昌修
(72)【発明者】
【氏名】顏 聖益
【テーマコード(参考)】
2E002
2E150
【Fターム(参考)】
2E002FB02
2E002MA12
2E002MA26
2E150BA12
2E150BA32
2E150BA42
2E150CA11
2E150CA18
2E150LA33
2E150MA03X
2E150MA03Y
(57)【要約】      (修正有)
【課題】本考案は、型枠システム及びそれを用いて形成された壁体構造を提案する。
【解決手段】型枠システムは、第1型枠構造と第2型枠構造とを含む。第1型枠構造は、第1方向に立設された第1支持型枠、及び、第1支持型枠から突出し、且つ第1方向に垂直な第2方向に沿って延びる第1凸条を有する。第2型枠構造は、第1方向に立設された第2支持型枠、及び、第2支持型枠から突出し、且つ第2方向に沿って延びる第2凸条を有する。型枠システムでは、第1支持型枠と第2支持型枠は、互いに対向して、所定材料を打設して所定の壁体構造を形成するための注入空間を画定する。第1凸条と第2凸条は、それぞれ注入空間へ突出し、且つ第1方向にずれている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に立設された第1支持型枠、及び、前記第1支持型枠から突出し、且つ前記第1方向に垂直な第2方向に沿って延びる第1凸条を有する第1型枠構造と、
前記第1方向に立設された第2支持型枠、及び、前記第2支持型枠から突出し、且つ前記第2方向に沿って延びる第2凸条を有する第2型枠構造と、を含み、
前記第1支持型枠と前記第2支持型枠は、互いに対向して、所定材料を打設して所定の壁体構造を形成するための注入空間を画定し、前記第1凸条と前記第2凸条は、それぞれ前記注入空間へ突出し、且つ前記第1方向にずれている、
ことを特徴とする建築壁体構造用の型枠システム。
【請求項2】
前記第1支持型枠は、第1ベースセグメントと、前記第1ベースセグメント上に位置する第1メインセグメントと分けられ、前記第2支持型枠は、前記第1ベースセグメントに対向する第2ベースセグメントと、前記第1メインセグメントに対向する第2メインセグメントと分けられ、
前記第1凸条は前記第1ベースセグメントの頂部側面に沿って延び、前記第2凸条は前記第2メインセグメントの底部側面に沿って延びている、ことを特徴とする請求項1に記載の型枠システム。
【請求項3】
打設して形成されるべき前記所定の壁体構造は、屋外環境に向いた第1壁面と、屋内環境に向いた第2壁面とを有し、前記第1壁面は、前記第1型枠構造に対応して形成され、前記第2壁面は、前記第2型枠構造に対応して形成される、ことを特徴とする請求項1に記載の型枠システム。
【請求項4】
前記第1凸条は、前記第1方向に沿って前記第2方向に垂直に切断された第1断面が台形であり、前記第2凸条は、前記第1方向に沿って前記第2方向に垂直に切断された第2断面が台形である、ことを特徴とする請求項1に記載の型枠システム。
【請求項5】
前記第1断面及び前記第2断面の台形は、比較的短い平行底辺が前記注入空間に向いている、ことを特徴とする請求項4に記載の型枠システム。
【請求項6】
前記第1断面及び前記第2断面は、直角台形であり、平行底辺に垂直な前記第1断面の第1水平面は上方に向き、平行底辺に垂直な前記第2断面の第2水平面は下方に向いている、ことを特徴とする請求項5に記載の型枠システム。
【請求項7】
前記第1水平面の延在面と前記第2水平面の延在面は、面一である、ことを特徴とする請求項6に記載の型枠システム。
【請求項8】
前記第1凸条及び前記第2凸条は、非中実であり、前記第2方向に延びる第1中空室及び第2中空室をそれぞれ有する、ことを特徴とする請求項1に記載の型枠システム。
【請求項9】
前記第1型枠構造は、前記第1方向に沿って延びる第1垂直凸条をさらに含み、前記第2型枠構造は、前記第1方向に沿って延びる第2垂直凸条をさらに含み、
前記第1垂直凸条と前記第2垂直凸条は、互いに対応して設けられ、前記注入空間へ突出する、ことを特徴とする請求項1に記載の型枠システム。
【請求項10】
前記所定の壁体構造は、プリセット柱体を含み、前記第1垂直凸条及び前記第2垂直凸条は、前記プリセット柱体を配置すべき側辺に沿って延びている、ことを特徴とする請求項9に記載の型枠システム。
【請求項11】
前記第1垂直凸条は、前記第1凸条の上面に当接し、前記第2垂直凸条は、前記第2凸条の側面に当接する、ことを特徴とする請求項9に記載の型枠システム。
【請求項12】
前記第1凸条の前記第2方向に沿って延びる長さは、前記第2凸条の前記第2方向に沿って延びる長さよりも長い、ことを特徴とする請求項11に記載の型枠システム。
【請求項13】
前記注入空間に対応して形成されており、対向する第1壁面及び第2壁面を有する主構造体と、
取り外された前記第1凸条に対応して前記第1壁面に凹入形成される第1予備溝と、
取り外された前記第2凸条に対応して前記第2壁面に凹入形成される第2予備溝を含み、
前記第1予備溝と前記第2予備溝は、互いに連通せず、前記第1予備溝の前記第1方向における位置と前記第2予備溝の前記第1方向における位置とはずれている、
ことを特徴とする請求項1に記載の型枠システムを用いて打設して形成された壁体構造。
【請求項14】
前記第1予備溝の前記第1方向における位置は、前記第2予備溝の前記第1方向における位置よりも低い、ことを特徴とする請求項13に記載の壁体構造。
【請求項15】
前記第1壁面は、第1環境に向き、前記第2壁面は、第2環境に向き、前記第2環境は、前記第1環境よりも乾燥する、ことを特徴とする請求項14に記載の壁体構造。
【請求項16】
前記第1予備溝は、前記第1方向に沿って前記第2方向に垂直に切断された第1中空断面が台形であり、前記第2予備溝は、前記第1方向に沿って前記第2方向に垂直に切断された第2中空断面が台形である、ことを特徴とする請求項13に記載の壁体構造。
【請求項17】
前記第1方向における前記第1予備溝の長さは、前記第2予備溝に近いほど短くなり、前記第1方向における前記第2予備溝の長さは、前記第1予備溝に近いほど短くなる、ことを特徴とする請求項13に記載の壁体構造。
【請求項18】
前記第1予備溝は、第1水平頂面を有し、前記第2予備溝は、第2水平底面を有する、ことを特徴とする請求項13に記載の壁体構造。
【請求項19】
前記第1水平頂面の延在面と前記第2水平底面の延在面とは、面一である、ことを特徴とする請求項18に記載の壁体構造。
【請求項20】
前記第1予備溝は、前記第1水平頂面に対向する第1傾斜底面を有し、前記第2予備溝は、前記第2水平底面に対向する第2傾斜頂面を有し、前記第1傾斜底面は、実質的に前記第2傾斜頂面と平行である、ことを特徴とする請求項18に記載の壁体構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本考案は、型枠システム及びそれを用いて形成された壁体構造に関する。具体的には、本考案は、第1凸条と第2凸条を含む型枠システム及びそれを用いて形成された壁体構造に関する。
【背景技術】
【0002】
建設工事の分野では、衝撃や破壊を軽減又は回避するために、建築構造体は様々な方法や材料により補強されることがある。しかしながら、材料、コスト、空間、及び建築構造体のその他の機能を考慮すると、上記補強の程度には上限がある。したがって、衝撃や破壊が大きすぎる場合に依然として起こりうる損害を軽減又は回避するために、構造体の補強に加えて、損害発生時に破壊の程度又は破壊の範囲を抑える技術をさらに開発又は設置する必要がある。例えば、衝撃や破壊を受けたときに、建築構造体の重要な部位の損傷を軽減又は回避する構造をさらに開発又は設置する必要がある。特に、台湾は地震帯に位置しており、地震によるリスクに頻繁にさらされる可能性があるため、強力な衝撃や破壊が発生した場合でも重要な部位の破壊を軽減でき、構造体の支持性を維持するか、又は少なくとも構造体の支持性の喪失を遅らせることができる構造を開発する必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
上記課題を解決するために、本考案の一実施例によれば、第1方向に立設された第1支持型枠、及び、第1支持型枠から突出し、且つ第1方向に垂直な第2方向に沿って延びる第1凸条を有する第1型枠構造と、第1方向に立設された第2支持型枠、及び、第2支持型枠から突出し、且つ第2方向に沿って延びる第2凸条を有する第2型枠構造とを含み、建築の壁体構造用の型枠システムを提供する。ここで、第1支持型枠と第2支持型枠は、互いに対向して、所定材料を打設して所定の壁体構造を形成するための注入空間を画定する。また、第1凸条と第2凸条は、それぞれ注入空間へ突出し、且つ第1方向にずれている。
【0004】
本考案の別の実施例は、注入空間に対応して形成されており、対向する第1壁面及び第2壁面を有する主構造体と、取り外された第1凸条に対応して第1壁面に凹入形成される第1予備溝と、取り外された第2凸条に対応して第2壁面に凹入形成される第2予備溝を含み、上記のような型枠システムを用いて打設して形成された壁体構造を提供する。ここで、第1予備溝と第2予備溝は、互いに連通せず、第1予備溝の第1方向における位置と第2予備溝の第1方向における位置とはずれている。
【発明の効果】
【0005】
先行技術に対する効果は次のとおりである。
本考案の各実施例で提供される型枠システム及びそれを用いて形成された壁体構造によれば、第1予備溝及び第2予備溝を壁体に残すことができる。以上により、衝撃や破壊が発生した時に、第1予備溝及び第2予備溝に対応して誘導ひび割れを誘導的に発生させることができ、それによって可能な応力を所望の箇所に集中させ、損害された構造を可能な限り所望の位置及び範囲に限定することができる。したがって、建築の構造体の重要な部位の損傷を軽減又は回避でき、衝撃や破壊を受けたとしても構造体の支持性を維持するか、又は少なくとも構造体の支持性の喪失を遅らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本考案の一実施例による建築の壁体構造用の型枠システムの立体模式図
図2】本考案の一実施例による図1の型枠システムにおけるブロックBの拡大模式図
図3】本考案の一実施例による図1の型枠システムにおけるブロックBの拡大側面模式図
図4】本考案の他の実施例による型枠システムの上面模式図
図5】本考案の他の実施例による型枠システムの立体模式図
図6】本考案のまた他の実施例による型枠システムの第1型枠構造の立体模式図
図7】本考案のまた他の実施例による型枠システムの第1型枠構造の凸条配置の例示的な態様の模式図
図8】本考案の別の実施例による型枠システムの別の視角における立体模式図
図9】本考案の別の実施例による型枠システムの第2型枠構造の立体模式図
図10】本考案の他の実施例による型枠システムの第2型枠構造の凸条配置の例示的な態様の模式図
図11】本考案の一実施例による、型枠システムを用いて打設して形成された壁体構造の立体模式図
図12】本考案の一実施例による、型枠システムを用いて打設して形成された壁体構造の別の視角における立体模式図
図13】本考案のまた他の実施例による壁体構造の局部断面拡大模式図
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、様々な実施例について説明するが、当業者は、説明及び図面を参照しながら、本考案の精神と原則を容易に理解できるはずである。しかしながら、いくつかの特定の実施例が本明細書で具体的に説明されるが、これらの実施例は例示的なものに過ぎず、どの側面からも限定的又は包括的な意味と見なされるものではない。したがって、本考案の精神及び原則から逸脱することなく本考案に対してなされた様々な変更及び修正は、当業者にとって明らかであり、且つ容易に達成できる。
【0008】
図1を参照し、本考案の一実施例によれば、建築壁体構造用の型枠システム10を提案する。前記型枠システム10は、所定の床板FL上に構築された第1型枠構造100と、第2型枠構造200とを含んでもよい。具体的には、第1型枠構造100は、少なくとも所定の床板FLに垂直な第1方向D1に立設された第1支持型枠110と、第1支持型枠110から突出し、且つ第1方向D1に垂直な第2方向D2に沿って延びる第1凸条P1とを有してもよい。同様に、第2型枠構造200は、少なくとも第1方向D1に立設された第2支持型枠210と、第2支持型枠210から突出し、且つ第2方向D2に沿って延びる第2凸条P2とを有してもよい。以上より、いくつかの支持リブ構造を除いて、前記第1支持型枠110と第2支持型枠210は、実質的に板状構造として形成され、且つ互いに対向して注入空間300を画定することができる。上述したように、前記注入空間300において、コンクリート又はセメントなどの所定材料310を打設することによって所定の壁体構造を形成することができる。よって、図1では、説明の便宜上、注入空間300に打設された所定材料310の一部が示されている。
【0009】
次に、図1のブロックBの拡大模式図である図2図1とともに参照し、第1型枠構造100の第1凸条P1と、第2型枠構造200の第2凸条P2は、それぞれ注入空間300へ突出してもよい。例えば、第1凸条P1と第2凸条P2は、対向するように第1支持型枠110及び第2支持型枠210の表面全体の延在方向に垂直な第3方向D3において突出し、且つ当該第1方向D1にずれていてもよい。
【0010】
例えば、図2を参照し、一実施例によれば、第1支持型枠110は、第1ベースセグメント115(例えば、壁の根元に対応して配置される)と、第1ベースセグメント115上に位置する第1メインセグメント117(例えば、主壁に対応して配置される)と分けることができ、第2支持型枠210は、第1ベースセグメント115に対向する第2ベースセグメント215(例えば、壁の根元に対応して配置される)と、第1メインセグメント117に対向する第2メインセグメント217(例えば、主壁に対応して配置される)と分けることができる。ここで、いくつかの実施例によれば、第1ベースセグメント115及び第2ベースセグメント215は、第2方向D2に沿って延びるL字状の長尺構造であってもよい。しかしながら、上記は一例に過ぎず、十分な支持性及びロバスト性を有する限り、他の実施例による第1ベースセグメント115及び第2ベースセグメント215はこれに限定されなくてもよい。以上のように、第1凸条P1は、例えば、第1ベースセグメント115の頂部側面に沿って延びていてもよく、第2凸条P2は、例えば、第2メインセグメント217の底部側面に沿って延びていてもよく、それによって両者は高さ方向、即ち第1方向D1にずれている。しかしながら、これは一例に過ぎず、第1凸条P1と第2凸条P2は、それぞれ第1ベースセグメント115の頂部側面及び第2メインセグメント217の底部側面に対応して設けられることに限定されず、他のずれる形態を有してもよい。
【0011】
以上のように、本考案の各実施例によれば、ずれている第1凸条P1及び第2凸条P2は、第1支持型枠110及び第2支持型枠210にそれぞれ連結されてもよく、又は、ひいては一体成型されてもよい。よって、コンクリートなどの所定材料310が打設される時に、第1凸条P1及び第2凸条P2は、それぞれ第1支持型枠110及び第2支持型枠210とともに構築し、且つ打設されたコンクリートなどの所定材料310が固化成型された後に一併取り外すことができる。したがって、本考案の各実施例で提供される型枠システム10によれば、第1支持型枠110及び第2支持型枠210の外に第1凸条P1及び第2凸条P2をそれぞれ設けることなく、構造の配置、及びコンクリートなどの所定材料310に溝を残し得る第1凸条P1及び第2凸条P2の取り外しをより手軽に行うことができる。これにより、施工の手順を省略し、且つ施工の操作利便性を向上させることができる。
【0012】
いくつかの実施例によれば、上記第1型枠構造100及び第2型枠構造200は、アルミニウムで製造されてもよい。例えば、第1支持型枠110、第2支持型枠210、第1凸条P1、第2凸条P2、及び堅固性の補強を見込むために第1支持型枠110、第2支持型枠210に形成されたリブは、いずれもアルミニウム製であってもよく、それによって第1型枠構造100及び第2型枠構造200は、それぞれ一体成型で形成される。しかしながら、上記は一例に過ぎず、本考案の他の実施例による使用可能な材料又は形態はこれに限定されない。例えば、第1支持型枠110と第1凸条P1は、異なる金属材料又は木材で形成され、且つ第1型枠構造100として互いに連結されるが、第2支持型枠210と第2凸条P2は、異なる金属材料又は木材で形成され、且つ第2型枠構造200として互いに連結されるようにしてもよい。よって、一体成型であろうと相互連結であろうと、第1支持型枠110と第1凸条P1は共に構築され且つ一併取り外すことができ、且つ第2支持型枠210と第2凸条P2は共に構築され且つ一併取り外すことができ、それによって施工の手順を簡略化し、施工の操作利便性を向上させる。
【0013】
さらに、いくつかの実施例によれば、第1型枠構造100及び第2型枠構造200を作製する材料を節約し、及び/又は第1型枠構造100及び第2型枠構造200を軽量化するために、第1凸条P1及び第2凸条P2は、非中実であり、第2方向D2に沿って延びる第1中空室V1及び第2中空室V2をそれぞれ有してもよい。しかしながら、これは一例に過ぎず、コンクリートなどの所定材料310を打設する時に対応して溝を形成するように第1凸条P1及び第2凸条P2を設けることができる場合、第1凸条P1及び第2凸条P2は中実でも、部分的に中実でも可能であり、且つ本考案の他の実施例によれば様々な変更が可能である。
【0014】
また、いくつかの実施例によれば、第1型枠構造100と第2型枠構造200との間には、コンクリートなどの所定材料310に加えて、構築する所定の壁体構造の剛性を補強する鉄筋などの材料又は部材を設ける場合もある。よって、これらの可能な変化及び調整は、当業者にとって明らかであるはずであり、本明細書では重複する説明が省略される。
【0015】
さらに、側面ブロックBの第2方向D2における拡大側面模式図である図3を参照すると、いくつかの実施例によれば、第1凸条P1は、第1方向D1に沿って第2方向D2に垂直に切断された第1断面T1が台形であり、第2凸条P2は、第1方向D1に沿って第2方向D2に垂直に切断された第2断面T2が台形である。以上のように、本実施例によれば、第1断面T1及び第2断面T2の台形の比較的短い平行底辺b1、b1’は、注入空間300に向き、比較的長い平行底辺b2、b2’は、注入空間300に背いて第1支持型枠110及び第2支持型枠210にそれぞれ直接又は間接的に連結される。また、いくつかの実施例によれば、第1断面T1及び第2断面T2は、例えば直角台形であってもよく、且つ第1断面T1における、平行底辺b1、b2に垂直な第1水平面r1は上方に向き、第2断面T2の平行底辺b1’、b2’に垂直な第2水平面r2は下方に向いている。よって、第1水平面r1の延在面rと第2水平面r2の延在面r’は平行してもよい。さらに、いくつかの実施例によれば、第1水平面r1の延在面rと第2水平面r2の延在面r’は面一であるが、これに限定されない。例えば、いくつかの実施例によれば、第1水平面r1の延在面rと第2水平面r2の延在面r’は、第1凸条P1と第2凸条P2が第1方向D1に部分的に重なるか又は一定の間隔をあけるように、第1方向D1に少しずれていてもよい。しかしながら、本実施例によれば、第1凸条P1と第2凸条P2とが第1方向D1に重なるか又は一定の間隔をあける場合、前記重なった範囲又はあけた間隔は、長い平行底辺b2又はb2’の長さの半分以下である。これによって、打設して形成された所定の壁体構造は、衝撃又は応力を受けた時に、第1凸条P1及び第2凸条P2の取り外しによって残された対向する溝に対応して、割けて傾斜した誘導ひび割れを形成することができる。これについては、後文で他の図面を参照しながらさらに詳細に説明する。
【0016】
例示的な一実施例によれば、図3に示すように、第3方向D3に平行で第2方向D2に垂直な注入空間300の幅Wは、180mm又は150mmであってもよく、第3方向D3に平行で第2方向D2に垂直な、第1凸条P1と第2凸条P2との間に挟まれる注入空間300の幅W0は、70mmであってもよい。第3方向D3に平行で第2方向D2に垂直な第1水平面r1の長さW1、及び/又は第3方向D3に平行で第2方向D2に垂直な第2水平面r2の長さW2は、55mm(幅Wが180mmである場合)又は40mm(幅Wが150mmである場合)であってもよい。第1凸条P1の平行底辺b1の第1方向D1に平行する高さH1、及び第2凸条P2の平行底辺b1’の第1方向D1に平行する高さH2は、15mmであってもよい。第1凸条P1の平行底辺b2から第1方向D1に平行する平行底辺b1を差し引いた高さH1’、及び第2凸条P2の平行底辺b2’から第1方向D1に平行するする平行底辺b1’を差し引いた高さH2’は、20mmであってもよい。また、いくつかの実施例によれば、床板FLに対する、前記第1ベースセグメント115及び第2ベースセグメント215の高さKは、50mmであってもよい。しかしながら、上記寸法はいずれも実施可能な態様の一例に過ぎず、上記のように第1凸条P1を有する第1型枠構造100及び第2凸条P2を有する第2型枠構造200が設けられる場合に、本考案の他の実施例による型枠システム10の寸法は様々な変形態様が可能であることについて、当業者にとって明らかであるはずである。
【0017】
続いて、本実施例による型枠システム10を用いて壁体構造を建築する方法について説明する。以上のように、本実施例によれば、複数回分け、第1水平面r1と第2水平面r2とを面一にしてそれらの下のコンクリートなどの所定材料310を打設してから、別の工程で注入空間300の残りの空間にコンクリートなどの所定材料310を打設してもよい。例えば、まず、第1ベースセグメント115及びその上の第1凸条P1、及び第2ベースセグメント215を設け、次に、第1ベースセグメント115及びその上の第1凸条P1と第2ベースセグメント215との間の空間にコンクリートを注入して充満させてから、第1メインセグメント117、第2メインセグメント217及びその上の第2凸条P2を架設し、そして、第1メインセグメント117と、第2メインセグメント217及びその上の第2凸条P2との間の空間にコンクリートを注入して充満させることで、所定材料310の打設を完了し、固化した後に壁体構造の建築を完了する。これによって、各セグメントの所定材料310をより念入りに敷設し、所定材料310が第1凸条P1及び第2凸条P2の両方に拘束され、所定材料310の充填に空隙や充填ムラが生じる欠陥を減少又は回避することができる。
【0018】
しかしながら、本考案の他の実施例によれば、第1水平面r1及び/又は第2水平面r2の上下の注入空間300は、セグメント分けではなく、全体に直接コンクリートなどの所定材料310を打設して充満させてもよい。例えば、完全な第1ベースセグメント115及びその上の第1凸条P1、第1メインセグメント117、第2ベースセグメント215、第2メインセグメント217及びその上の第2凸条P2を直接架設した後、コンクリートを注入することによって打設を完了してもよく、これによって施工の手順をさらに簡略化し、操作利便性を改良する。よって、所定材料310の打設と充填プロセス及び方法は様々な変更が可能であり、ここでは重複する説明を省略する。
【0019】
上述したように、本実施例による型枠システム10では、所定材料310を打設して形成された所定の壁体構造には、高さ方向、即ち第1方向D1にずれた溝が形成され得、これによって応力や衝撃が発生した時に、前記溝に沿って非水平に延びる誘導ひび割れが形成され、さらに耐震能力を達成するとともに、漏水や浸水を低減することができる。これについては、後文で他の図面を参照しながらさらに詳細に説明する。
【0020】
続いて、さらに図4から図10を参照しながら本考案のまた他の実施例による型枠システム20について説明する。ここで、前記型枠システム20の上記型枠システム10と同一の又は類似する詳細については、後文で省略する場合がある。
【0021】
上述したように、上面図である図4、及び立体斜視図である図5を参照し、一実施例によれば、型枠システム20は、第1型枠構造100及び第2型枠構造200を有し得る。同様に、第1型枠構造100及び第2型枠構造200は、コンクリートなどの所定材料を打設して所定の壁体構造WLを形成するための注入空間300を共同で画定することができる。具体的には、本実施例によれば、前記所定の壁体構造WLは、プリセット柱体CL1とCL2などの所定の柱体を含んでもよい。また、プリセット窓DW1及びDW2を取り付けるためのスペースを残す場合もある。以上より、所定の柱体及びプリセット窓のような可能な変形態様は、当業者にとって明らかであるはずであり、その数及び配置はいずれも具体的に示された態様に限定されない。また、ここでは、所定の壁体構造WL、所定の柱体CL1とCL2、及びプリセット窓DW1とDW2を示しているが、実質的には、型枠システム20を設けた当初、これらの構造はまだ形成されておらず、ここでは形成されることが予想される構造の位置及び配置を示すだけである。
【0022】
以上より、図5に示す視角に基づいて、図6を参照し、注入空間300の内側に寄り添って独立して第1型枠構造100を見ると、第1型枠構造100は、第1方向D1に立設された第1支持型枠110と、第1支持型枠110から突出し第1方向D1に垂直な第2方向D2に沿って延びる第1凸条P1とを有することが分かる。また、第1型枠構造100は、第1方向D1に沿って延びる第1垂直凸条Y1及び第3垂直凸条Y3をさらに含んでもよい。以上より、第1垂直凸条Y1及び第3垂直凸条Y3は、実質的にはそれぞれプリセット柱体CL1及びプリセット柱体CL2を配置すべき側辺に沿って延びている。
【0023】
いくつかの実施例によれば、さらに模式図6のブロックIを拡大した図7を参照し、第1垂直凸条Y1(及び類似する第3垂直凸条Y3)は、第1凸条P1に対向的に搭載されてもよい。例えば、第1垂直凸条Y1(及び類似する第3垂直凸条Y3)は、第1凸条P1の上面stに当接してもよい。一実施例によれば、第1凸条P1が図3に示すものと同様な形状・形態を有する場合、第1凸条P1は、上面stとして上方に向いた第1水平面r1を有してもよく、且つ第1垂直凸条Y1(及び類似する第3垂直凸条Y3)は、前記第1水平面r1に搭載されてもよい。しかしながら、いくつかの実施例によれば、上面stは水平面でなくてもよく、且つ第1凸条P1に対する前記第1垂直凸条Y1(及び類似する第3垂直凸条Y3)の配置には、他の変化も可能である。以上より、ここに示す態様は一例に過ぎず、本実用新案による他の実施例はこれに限定されない。
【0024】
続いて、別の視角から型枠システム20を観測した立体斜視図である図8を参照する。以上より、図8に示す視角に基づいて、図9を参照し、注入空間300の内側に寄り添って独立して第2型枠構造200を見ると、第2型枠構造200は、第1方向D1に立設された第2支持型枠210と、第2支持型枠210から突出し第1方向D1に垂直な第2方向D2に沿って延びる第2凸条P2とを有することが分かる。また、第2型枠構造200は、第1方向D1に沿って延びる第2垂直凸条Y2及び第4垂直凸条Y4をさらに含んでもよい。以上より、第2垂直凸条Y2及び第4垂直凸条Y4は、実質的にはそれぞれプリセット柱体CL1及びプリセット柱体CL2を配置すべき側辺に沿って延びている。
【0025】
いくつかの実施例によれば、模式図9のブロックJを拡大した図10をさらに参照し、第4垂直凸条Y4(及び類似する第2垂直凸条Y2)は、第2凸条P2に対向的に搭載されてもよい。例えば、第4垂直凸条Y4(及び類似する第2垂直凸条Y2)は、第2凸条P2の側面ssに当接してもよい。以上のように、この構成に基づいて、図6及び図7に示す第1凸条P1の第2方向D2に沿って延びる長さは、図9及び図10に示す第2凸条P2の第2方向D2に沿って延びる長さよりも大きい場合があり、それによって第1垂直凸条Y1(及び類似する第3垂直凸条Y3)は第1凸条P1に搭載され、第4垂直凸条Y4(及び類似する第2垂直凸条Y2)は第2凸条P2に搭載され得る。しかしながら、ここに示す態様は一例に過ぎず、第2凸条P2に対する前記第4垂直凸条Y4(及び類似する第2垂直凸条Y2)の配置には、他の変化も可能であり、本実用新案による他の実施例はこれに限定されない。
【0026】
続いて、図5から図10を併せて参照し、本実施例によれば、第1垂直凸条Y1と第2垂直凸条Y2は、互いに対応して設けられ、当該注入空間300へ突出してもよく、且つ第3垂直凸条Y3と第4垂直凸条Y4は、互いに対応して設けられ、当該注入空間300へ突出してもよい。以上より、いくつかの実施例によれば、第1垂直凸条Y1と第2垂直凸条Y2は、第2方向D2において、ずれることなく位置合わせされてもよく、第3垂直凸条Y3と第4垂直凸条Y4は、第2方向D2において、ずれることなく位置合わせされてもよい。しかしながら、またいくつかの実施例によれば、第1垂直凸条Y1と第2垂直凸条Y2は、第2方向D2に少しずれて少なくとも一部が重なり合い、第3垂直凸条Y3と第4垂直凸条Y4は、第2方向D2に少しずれて少なくとも一部が重なり合う場合もある。以上のように、第1垂直凸条Y1と第2垂直凸条Y2とが第2方向D2において対応するとともに、第3垂直凸条Y3と第4垂直凸条Y4とが第2方向D2において対応する場合に、この型枠システム20により打設して構築された所定の壁体構造WLは、さらにプリセット柱体CL1とCL2の側辺に沿って予備溝を形成してもよく、それによって誘導ひび割れを形成して応力や衝撃破壊の方向を誘導し得る。それによって、応力や衝撃が直接プリセット柱体CL1とCL2を破壊し又はそれらに影響を与えることを低減又は回避することができ、これについては、後文でさらに詳細に説明する。
【0027】
いくつかの実施例によれば、本明細書で説明する第1垂直凸条Y1、第2垂直凸条Y2、第3垂直凸条Y3、及び第4垂直凸条Y4は、台形の垂直に延びる棒状構造、又は長方形の垂直に延びる棒状構造であってもよい。また、いくつかの実施例によれば、これらの第1垂直凸条Y1から第4垂直凸条Y4は、その連結された第1支持型枠110又は第2支持型枠210の壁面に対してそれぞれ約10mm突出してもよいが、これに限定されない。しかしながら、上記はいずれも一例に過ぎず、本考案の他の実施例によれば、第1垂直凸条Y1から第4垂直凸条Y4の形状及び形態はこれに限定されない。
【0028】
続いて、上記図4から図10に係る型枠システム20により打設して構築された所定の壁体構造WLの例示的な態様を示す図11及び図12を参照する。以上より、図11は第2型枠構造200を相対的に取り外した後に露出した側を示し、図12は第1型枠構造100を相対的に取り外した後に露出した側を示し、且つ図12図11の所定の壁体構造WLを時計回りに回転させた結果であってもよい。上述したように、打設して形成されるべき所定の壁体構造WLは、第1環境E1に向いた第1壁面S1と、第2環境E2に向いた第2壁面S2を有してもよく、第1壁面S1は、当該第1型枠構造100に対応して形成され、当該第2壁面S2は、当該第2型枠構造200に対応して形成される。以上より、いくつかの実施例によれば、第2環境E2は、第1環境E1よりも乾燥している可能性があり、又は第1環境E1よりも乾燥していることが期待される。例えば、第1環境E1は屋外環境であってもよく、第2環境E2は乾燥が必要な屋内環境であってもよいが、これに限定されない。
【0029】
本考案の各実施例によれば、型枠システム20が取り外される時に、前記様々な凸条(例えば、第1凸条P1及び第2凸条P2、第1垂直凸条Y1から第4垂直凸条Y4)は、第1型枠構造100及び第2型枠構造200とともに取り外すことができる。以上より、図11及び図12を参照し、上記のような型枠システム20を用いて打設して形成された所定の壁体構造WLは、注入空間に対応して形成され、対向する第1壁面S1及び第2壁面S2を有する主構造体500と、取り外された第1凸条P1に対応して第1壁面S1に凹入形成される第1予備溝G1と、取り外された当該第2凸条P2に対応して当該第2壁面S2に凹入形成される第2予備溝G2を含んでもよい。また、所定の壁体構造WLは、取り外された第1垂直凸条Y1に対応して第1壁面S1に凹入形成される第1予備垂直溝M1と、取り外された第2垂直凸条Y2に対応して第2壁面S2に凹入形成される第2予備垂直溝M2と、取り外された第3垂直凸条Y3に対応して第1壁面S1に凹入形成される第3予備垂直溝M3と、取り外された第4垂直凸条Y4に対応して第2壁面S2に凹入形成される第4予備垂直溝M4をさらに含んでもよい。
【0030】
具体的には、第1予備溝G1と当該第2予備溝G2は、それぞれ第1壁面S1及び第2壁面S2において互いに対向して対応するが、第1予備溝G1の第1方向D1における位置と第2予備溝G2の第1方向D1における位置は、少しずれている。例えば、第1予備溝G1の第1方向D1における位置は、第2予備溝G2の第1方向D1における位置よりも低くてもよい。同様に、第1予備垂直溝M1及び第2予備垂直溝M2は、それぞれ第1壁面S1及び第2壁面S2において互いに対向して対応してもよく、且つ完全に位置合わせされるか又は位置を少しずらす場合がある。第3予備垂直溝M3及び第4予備垂直溝M4は、それぞれ第1壁面S1及び第2壁面S2において互いに対向して対応してもよく、且つ完全に位置合わせされるか又は位置を少しずらす場合がある。以上のように、第1予備溝G1と第2予備溝G2との対応関係と同様に、第1予備垂直溝M1及び第2予備垂直溝M2は、応力や衝撃のプリセット柱体CL1への直接影響又は持続的な進展を低減又は回避することができ、且つ第3予備垂直溝M3及び第4予備垂直溝M4は、応力や衝撃のプリセット柱体CL2への直接影響又は持続的な進展を低減又は回避することができる。したがって、第1予備溝G1及び当該第2予備溝G2によって主構造体500を相対的に保護できるとともに、主構造体500の上にある可能性のある梁も相対的に保護することができ、第1予備垂直溝M1及び第2予備垂直溝M2によってプリセット柱体CL1を相対的に保護することができ、第3予備垂直溝M3及び第4予備垂直溝M4によってプリセット柱体CL2を相対的に保護することができる。以上のように、このような配置によって、応力や衝撃を受けた時の所定の壁体構造WLのロバスト性、バランス、支持性の損傷を軽減又は回避することができる。
【0031】
さらに、図11の断面線X-X’に沿って切断された図13を参照し、図中は所定の壁体構造WLの第1予備溝G1及び第2予備溝G2が設けられた部分(壁の根元に近い部位に対応)の部分断面図を示す。以上より、図13に示すように、いくつかの実施例によれば、第1予備溝G1の第1方向D1に沿って第2方向D2に垂直に切断された第1空心断面T1’は、台形であってもよく、且つ第2予備溝G2の第1方向D1に沿って第2方向D2に垂直に切断された第2空心断面T2’は、台形であってもよい。このような形態によれば、第1方向D1における第1予備溝G1の長さh1は、当該第2予備溝G2に近いほど短くなり、第1方向D1における当該第2予備溝G2の長さh2は、第1予備溝G1に近いほど短くなる。
【0032】
また、いくつかの実施例によれば、第1予備溝G1は、第1水平頂面N1を有してもよいし、第2予備溝G2は、第2水平底面N2を有してもよい。ここで、第1水平頂面N1の延在面Uと第2水平底面N2の延在面U’は、面一であるか又は位置を少しずらす場合がある。また、第1予備溝G1は、第1水平頂面N1に対向する第1傾斜底面Q1を有してもよく、第2予備溝G2は、第2水平底面N2に対向する第2傾斜頂面Q2を有してもよく、且つ当該第1傾斜底面Q1は、誘導ひび割れの発生に寄与するために、実質的に当該第2傾斜頂面Q2と平行であってもよい。いくつかの実施例によれば、第1傾斜底面Q1の延在線は、誘導ひび割れの発生に寄与するために、ひいては第2傾斜頂面Q2の延在線に面一であってもよいが、これに限定されない。
【0033】
以上より、このような配置によれば、所定の壁体構造WLでは、第1予備溝G1及び第2予備溝G2は、互いに対向しているが互いに連通しておらず、壁体の完全性を保持する。しかしながら、衝撃や応力が発生した時に、第1予備溝G1及び第2予備溝G2、並びにこれらの間が連結された弱い面に衝撃や応力をより容易に集中させることで、それに対応して第1予備溝G1と第2予備溝G2の対向する連結の分解に適応し、可能な誘導ひび割れを発生させ得る。したがって、所定の壁体構造WL全体のロバスト性、支持性及びバランスに影響を与えにくい位置及び範囲内で衝撃及び応力を誘導することができ、衝撃と応力により破壊を引き起こしても、所定の壁体構造WL全体のロバスト性、支持性及びバランスを直接損なうことがない。
【0034】
また、本実施例によれば、所定の壁体構造WLによって隔離された第1環境E1に湿気や水分がある(例えば、雨降り)場合に、第1予備溝G1の位置が第2予備溝G2よりも低いため、湿気や水分は、第1予備溝G1、第2予備溝G2又はその間に分解して形成された誘導ひび割れに沿って第2環境E2に入ることも困難である。したがって、本実施例によれば、所定の壁体構造WLの衝撃や応力に耐える能力及び信頼性を向上させるとともに、誘導ひび割れが発生したとしても屋内環境などの第2環境E2の漏水程度、浸水程度、湿気浸透度を可能な限り低減することもできる。上述したように、本実施例によれば、施工の手順を簡略化し、型枠システム20及びそれに含まれる各種の凸条を一体的に設け、取り外した上で、耐衝撃性や耐応力性を向上させ、且つ所定の程度の浸水防止性や湿気浸透防止性を有する所定の壁体構造WLを作製することができる。
【0035】
要約すると、本考案の各実施例による型枠システム、及びそれによって構築された所定の壁体構造は、所定の壁体構造全体のロバスト性、支持性及びバランスに影響を与えにくいと判定される位置及び範囲に予備溝を設け、衝撃や応力が発生した時にそれをこれらの予備溝に集中させて、対応する誘導ひび割れを発生させることができる。それによって、所定の壁体構造全体の強度が所定の範囲にある状態で、衝撃及び応力に対する所定の壁体構造の耐性をさらに向上させることができる。したがって、衝撃や応力の発生時(例えば地震発生時)に所定の壁体構造全体のロバスト性、支持性及びバランスに及ぼされた破壊を軽減又は回避し、所定の壁体構造の耐用年数及び信頼性を向上させることができる。
【0036】
上記の説明は、本考案のいくつかの好ましい実施例に過ぎない。本考案は、本考案の精神及び原則から逸脱することなく、様々な変更及び修正が可能であることに注意すべきである。本考案は添付された実用新案登録請求の範囲によって限定され、且つ本考案の意図に合致する限り、種々の可能な置換、組み合わせ、修飾及び転用などの変化は、いずれも添付された実用新案登録請求の範囲によって限定された本考案の範疇を超えていないことについて、当業者であれば明らかであるはずである。
【符号の説明】
【0037】
10、20 型枠システム
100 第1型枠構造
110 第1支持型枠
115 第1ベースセグメント
117 第1メインセグメント
200 第2型枠構造
210 第2支持型枠
215 第2ベースセグメント
217 第2メインセグメント
300 注入空間
310 所定材料
500 主構造体
B ブロック
b1、b1’、b2、b2’ 平行底辺
CL1、CL2 プリセット柱体
D1 第1方向
D2 第2方向
D3 第3方向
DW1、DW2 プリセット窓
E1 第1環境
E2 第2環境
FL 床板
G1 第1予備溝
G2 第2予備溝
H1、H2、H1’、H2’ 高さ
h1、h2 長さ
I ブロック
J ブロック
K 高さ
M1 第1予備垂直溝
M2 第2予備垂直溝
M3 第3予備垂直溝
M4 第4予備垂直溝
N1 第1水平頂面
N2 第2水平底面
P1 第1凸条
P2 第2凸条
Q1 第1傾斜底面
Q2 第2傾斜頂面
r、r’ 延在面
r1 第1水平面
r2 第2水平面
S1 第1壁面
S2 第2壁面
ss 側面
st 上面
T1 第1断面
T1’ 第1空心断面
T2 第2断面
T2’ 第2空心断面
U、U’ 延在面
V1 第1中空室
V2 第2中空室
W、W0 幅
W1、W2 長さ
WL 所定の壁体構造
Y1 第1垂直凸条
Y2 第2垂直凸条
Y3 第3垂直凸条
Y4 第4垂直凸条
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【外国語明細書】