(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025015009
(43)【公開日】2025-01-30
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 5/04 20060101AFI20250123BHJP
【FI】
A63F5/04 603A
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023118056
(22)【出願日】2023-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】390031772
【氏名又は名称】株式会社オリンピア
(74)【代理人】
【識別番号】100135666
【弁理士】
【氏名又は名称】原 弘晃
(74)【代理人】
【識別番号】100131680
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 健一
(72)【発明者】
【氏名】真野 賢
【テーマコード(参考)】
2C182
【Fターム(参考)】
2C182CD11
(57)【要約】
【課題】部材の再利用がしやすい遊技機を提供する。
【解決手段】液晶モジュール520と、液晶モジュール520と対面するように配置される液晶前シート540と、液晶モジュール520と液晶前シート540との間に配置されるクッション材543と、を含み、液晶モジュール520と液晶前シート540との間には、クッション材543を介在させたことによる隙間が設けられており、液晶前シート540とクッション材543との間の静止摩擦係数が、液晶モジュール520とクッション材543との間の静止摩擦係数より大きく、液晶モジュール520とクッション材543との間の静止摩擦係数が、液晶モジュール520と液晶前シート540との間の静止摩擦係数より大きい。
【選択図】
図27
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部材と、第1部材と対面するように配置される第2部材と、第1部材と第2部材との間に配置される第3部材と、を含む遊技機であって、
前記第1部材と前記第2部材との間には、前記第3部材を介在させたことによる隙間が設けられており、
前記第2部材と前記第3部材との間の静止摩擦係数が、前記第1部材と前記第3部材との間の静止摩擦係数より大きく、
前記第1部材と前記第3部材との間の静止摩擦係数が、前記第1部材と前記第2部材との間の静止摩擦係数より大きい遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から外周面に複数種類の図柄が配列された複数のリールを遊技者の操作に応答して回転および停止させて遊技を行う遊技機(回胴式遊技機、スロットマシン)が知られている。この種の遊技機は、メダルやパチンコ玉などの遊技媒体に対して一定の遊技価値を付与し、このような遊技価値を獲得するための遊技を行うものである。また、この種の遊技機は、遊技者の回転開始操作を契機として、内部抽選を行うとともに複数のリールの回転を開始させ、遊技者の停止操作を契機として、内部抽選の結果に応じた態様で回転中のリールを停止させる停止制御を行っている。そして、遊技の結果は、複数のリールが停止した状態における有効ラインに表示された図柄組合せによって判定され、遊技の結果に応じてメダル等の遊技価値の払い出しなどが行われるようになっている。
【0003】
ところで従来から遊技を盛り上げる演出を行うための部品として液晶表示装置が採用された遊技機が知られている。特に近年では、液晶表示装置に表示領域と非表示領域とを設けて非表示領域を通じてリールを目視可能とすることが試みられている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、液晶表示装置は遊技機の構成品の中でも比較的高価な部類のものであるため、できるだけ再利用できることが好ましい。しかしながら、液晶表示装置の液晶表示面側においてフィルムなどが接触している構成であると、液晶表示面にフィルムからの転写が起きたり、液晶表示面に擦り傷などが生じてしまうことがあり、再利用が困難になる場合がある。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、部材の再利用がしやすい遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明は、第1部材と、第1部材と対面するように配置される第2部材と、第1部材と第2部材との間に配置される第3部材と、を含む遊技機であって、前記第1部材と前記第2部材との間には、前記第3部材を介在させたことによる隙間が設けられており、前記第2部材と前記第3部材との静止摩擦係数が、前記第1部材と前記第3部材との静止摩擦係数より大きく、前記第1部材と前記第3部材との静止摩擦係数が、前記第1部材と前記第2部材との静止摩擦係数より大きい遊技機に関するものである。
【0008】
以上に述べた(1)に係る遊技機では、第1部材と第2部材との直接的な接触を回避しつつ、第3部材によって第1部材と第2部材との位置関係を固定できるため、部材の再利用性を高めることができる。
【0009】
(2)本発明は、遊技の進行を制御する主制御部と、遊技の進行に沿って演出装置を制御する副制御部とを備えた遊技機であって、前記主制御部が、特定制御状態を含む複数種類の制御状態を設定可能とし、前記副制御部が、前記特定制御状態において複数の制御条件を選択候補として提示して、選択された制御条件に従って前記演出装置を制御し、制御条件の選択情報を次回の制御条件の選択時まで保持可能とし、保持された選択情報に対応する制御条件を次回の制御条件の選択時における初期選択の制御条件として提示可能とし、前記遊技機の電源投入がなされた場合に、制御条件の選択情報を初期化する遊技機に関するものである。
【0010】
(3)本発明は、遊技の進行を制御する主制御部と、遊技の進行に沿って演出装置を制御する副制御部とを備えた遊技機であって、前記主制御部が、特定制御状態を含む複数種類の制御状態を設定可能とし、前記副制御部が、前記特定制御状態において複数の制御条件を選択候補として提示して、選択された制御条件に従って前記演出装置を制御し、制御条件の選択情報を次回の制御条件の選択時まで保持可能とし、保持された選択情報に対応する制御条件を次回の制御条件の選択時における初期選択の制御条件として提示可能とし、非待機状態において所定時間内に遊技の進行に係る操作が行われなかった場合に待機状態に移行させ、当該待機状態に移行した場合に、制御条件の選択情報を初期化する遊技機に関するものである。
【0011】
以上に述べた(2)および(3)に係る遊技機では、制御条件の選択時に前回選択された制御条件を初期選択の制御条件として提示可能としつつ、遊技者の入れ替わりが発生していると推定できる状況において制御条件の選択情報を初期化するようにしたので、前回と同じ制御条件を選択することを望む遊技者の利便性が向上する。
【0012】
(4)本発明は、前面扉が開閉可能に取り付けられた筐体と、当該筐体に内蔵される主制御部と副制御部とを備え、当該主制御部によって遊技を進行させ、当該副制御部によって遊技の進行に沿った演出が実行される遊技機であって、前記主制御部によって制御される第1報知装置と、前記副制御部によって制御される第2報知装置および第3報知装置と、を含み、前記第2報知装置は、前記前面扉の開閉によっては動作態様が変化せず、前記第3報知装置は、前記前面扉の開放を報知する動作態様が存在し、前記副制御部が、前記前面扉が開放された状態で前記遊技機の電源投入がなされた場合、前記第2報知装置を前記第1報知装置より先に動作を開始させ、前記第3報知装置を前記第1報知装置より後に動作を開始させる制御を行う遊技機に関するものである。
【0013】
(5)本発明は、前面扉が開閉可能に取り付けられた筐体と、当該筐体に内蔵される主制御部と副制御部とを備え、当該主制御部によって遊技を進行させ、当該副制御部によって遊技の進行に沿った演出が実行される遊技機であって、前記主制御部によって制御される第1報知装置と、前記副制御部によって制御される第2報知装置および第3報知装置と、を含み、前記第2報知装置は、前記前面扉の開閉によっては動作態様が変化せず、前記第3報知装置は、前記前面扉の開放を報知する動作態様が存在し、前記副制御部が、前記前面扉が開放された状態で前記遊技機の電源投入がなされた場合、前記第2報知装置を前記第1報知装置より先に動作を開始させ、前記第3報知装置を前記第1報知装置と略同時に動作を開始させる制御を行う遊技機に関するものである。
【0014】
(6)本発明は、前面扉が開閉可能に取り付けられた筐体と、当該筐体に内蔵される主制御部と副制御部とを備え、当該主制御部によって遊技を進行させ、当該副制御部によって遊技の進行に沿った演出が実行される遊技機であって、前記主制御部によって制御される第1報知装置と、前記副制御部によって制御される第2報知装置および第3報知装置と、を含み、前記第2報知装置は、前記前面扉の開閉によっては動作態様が変化せず、前記第3報知装置は、前記前面扉の開放を報知する動作態様が存在し、前記副制御部が、前記前面扉が開放された状態で前記遊技機の電源投入がなされた場合、前記第2報知装置を前記第1報知装置より先に動作を開始させ、前記第3報知装置を前記第2報知装置より後に動作を開始させる制御を行う遊技機に関するものである。
【0015】
以上に述べた(4)~(6)に係る遊技機では、第2報知装置の動作開始によって電源投入に対する通電が正常に行われていることを速やかに察知することができ、第3報知装置の動作開始によって主制御部の起動を察知することができるため、作業者の状況確認の利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の第1実施形態の遊技機の外観構成を示す斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施形態の遊技機の筐体内部の構成を示す斜視図である。
【
図3】本発明の第1実施形態の遊技機のリールユニットの構成を示す斜視図である。
【
図4】本発明の第1実施形態の遊技機の機能ブロックを説明する図である。
【
図5】本発明の第1実施形態の遊技機のメダルの通過経路を説明する図である。
【
図6】本発明の第1実施形態の遊技機におけるメインエラーの内容とその検出条件を示す図である。
【
図7】本発明の第1実施形態の遊技機のメインエラーに対応する解除処理でのクリア対象を説明するための図である。
【
図8】本発明の第1実施形態の遊技機におけるサブエラーの内容とその検出条件を示す図である。
【
図9】本発明の第1実施形態の遊技機におけるエラーの報知態様を示す図である。
【
図10】本発明の第1実施形態の遊技機におけるサブ基板側でのエラー復帰時のクリア対象を説明する図である。
【
図11】本発明の第1実施形態の遊技機における遊技の進行を制御するメインループ処理の一例を示すフローチャートである。
【
図12】本発明の第1実施形態の遊技機におけるメインエラー発生時に呼び出されるエラーウェイト処理の一例を示すフローチャートである。
【
図13】本発明の第1実施形態の遊技機におけるメインエラーに関するエラー解除処理を示すフローチャートである。
【
図14】本発明の第1実施形態の遊技機におけるエラー発生コマンドの受信時の処理を示すフローチャートである。
【
図15】本発明の第1実施形態の遊技機におけるドア解放エラーの検出処理を示すフローチャートである。
【
図16】本発明の第1実施形態の遊技機における通信エラーの検出処理を示すフローチャートである。
【
図17】本発明の第1実施形態の遊技機におけるエラー報知対象の設定に係る処理を示すフローチャートである。
【
図18】本発明の第1実施形態の遊技機におけるメインエラーの報知に係る処理を示すフローチャートである。
【
図19】本発明の第1実施形態の遊技機におけるドア開放エラーの報知に係る処理を示すフローチャートである。
【
図20】本発明の第1実施形態の遊技機における通信エラーの報知に係る処理を示すフローチャートである。
【
図21】本発明の第1実施形態の遊技機における電断復帰時の報知装置の動作に関するタイミングチャートである。
【
図22】本発明の第1実施形態の遊技機における電断復帰時の報知装置の動作に関するタイミングチャートである。
【
図23】本発明の第1実施形態の遊技機における電断復帰時の報知装置の動作に関するタイミングチャートである。
【
図24】本発明の第1実施形態の遊技機における報知態様選択演出の実行例を示す図である。
【
図25】本発明の第1実施形態の遊技機における液晶ユニットの分解斜視図である。
【
図26】本発明の第1実施形態の遊技機における液晶前シートの裏面を示す図である。
【
図27】本発明の第1実施形態の遊技機における液晶ユニットの組み立て完成図である。
【
図28】本発明の第2実施形態に係る遊技機の一例を示すもので、正面側から見た斜視図である。
【
図29】本発明の第2実施形態の遊技機における筐体内部の構成を示す斜視図である。
【
図30】本発明の第2実施形態の遊技機における受皿とキャンセルシュートについて説明するための図であり、(a)は受皿とキャンセルシュートを近接させた状態を示し、(b)は受皿とキャンセルシュートを離間させた状態を示す。
【
図31】本発明の第2実施形態の遊技機におけるキャンセルシュートについて説明するための図であり、(a)はキャンセルシュートを前方から見たもので、(b)はキャンセルシュートを後方から見たものである。
【
図32】本発明の第2実施形態の遊技機におけるホッパーユニットを前方から見た図である。
【
図33】本発明の第2実施形態の遊技機における下扉の背面を示す斜視図である。
【
図34】本発明の第2実施形態の遊技機におけるキャンセルシュートについて説明するための図であり、(a)はキャンセルシュートを上方から見た図であり、(b)はキャンセルシュートを左側方から見た図である。
【
図35】本発明の第2実施形態の遊技機におけるキャンセルシュートについて説明するための図であり、(a)はキャンセルシュートの前部材を透視した状態を示し、(b)はキャンセルシュートの後部材のみを示す。
【
図36】本発明の第2実施形態の遊技機におけるキャンセルシュートについて説明するための図であり、第1仮想直線を示す。
【
図37】本発明の第2実施形態の遊技機におけるキャンセルシュートについて説明するための図であり、第2仮想直線を示す。
【
図38】本発明の第2実施形態の遊技機におけるキャンセルシュートについて説明するための図であり、第3仮想直線を示す。
【
図39】本発明の第2実施形態の遊技機におけるキャンセルシュートについて説明するための図であり、第1仮想直線の一端を示す。
【
図40】本発明の第2実施形態の遊技機におけるキャンセルシュートについて説明するための図であり、第1仮想直線の他端を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
1.第1実施形態
以下、本発明の第1実施形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また本実施形態で説明される構成の全てが、本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0018】
また、以下の説明においては、基本的に「前後」とは、スロットマシンの前側に遊技者が居る場合に、遊技者側が「前」で、スロットマシン側が「後」を意味し、「上下」とはスロットマシンの上面側が「上」で、下面側が「下」を意味し、「左右」とはスロットマシンを遊技する遊技者の左手側が「左」を意味し、右手側が「右」を意味する。
【0019】
(構成)
図1は、本発明の実施形態に係る遊技機の外観構成を示す斜視図である。また
図2は、本発明の実施形態に係る遊技機の内部構成(リールユニットを除く)を示す斜視図である。
【0020】
本実施形態の遊技機は、いわゆるスロットマシンあるいは回胴式遊技機と呼ばれるもので、メダルを遊技媒体として用いた遊技を行う種類の遊技機である。
【0021】
本実施形態の遊技機は、筐体BXおよび前面扉FDからなる箱の内部に第1リールR1~第3リールR3(複数のリール)からなるリールユニットが収められている。
【0022】
図3は、本実施形態における遊技機用のリールユニットの外観を示す斜視図である。
【0023】
本実施形態のリールユニットでは、第1リールR1~第3リールR3のそれぞれが、各リールを駆動するためのステッピングモータSMを支持する金属製(または樹脂製)の支持ユニットSUを介して略コの字状に成形された金属製(または樹脂製)のベースユニットBUに固定されている。
【0024】
ベースユニットBUに収容されている第1リールR1~第3リールR3のそれぞれは、円環状に成形された樹脂製のリール本体RD(リールドラム)の外周に帯状の樹脂製フィルムからなるリールテープTPが巻き付けられて構成されている。そしてリールテープTPは、表面が各リールの外周面を構成し、裏面が各リールの内周面を構成するようにリール本体RDに巻き付けられており、端部同士は接着剤などで固着されている。
【0025】
また第1リールR1~第3リールR3のそれぞれは、リール本体RDの回転中心に相当する位置においてステッピングモータSMの駆動軸とボルト締めなどにより固定されている。また各リール用のステッピングモータSMは、支持ユニットSUに対してもボルト締めなどによって固定されている。
【0026】
また各リール用のリールテープTPは、一定間隔で21コマ分の図柄配列領域に区画されており、リールテープTPの表面には、各コマに相当する位置毎に複数種類の図柄のいずれかが1つずつ配列されている。
【0027】
そして本実施形態のリールユニットは、第1リールR1~第3リールR3を各リールのリールテープTPの裏面側(各リールの内周面側)から照明するバックライトユニットLU(照明手段)を備えている。各リールの用バックライトユニットLUには、遊技機の表示窓DWから観察可能な3コマ分(上段、中段、下段)の各表示位置を照らすように、白熱電球やLED電球などの光源が配設されており、本実施形態では、上段の表示位置を照明する上段バックライトBL1、中段の表示位置を照明する中段バックライトBL2、下段の表示位置を照明する下段バックライトBL3の3つ光源が各リールの表示位置に対応して設けられている。
【0028】
また筐体BX内のリールユニット収納スペースPSの下部には、電源装置を内蔵し、電源スイッチES、設定変更キーシリンダKS、設定変更ボタンSB等の各種スイッチが備えられた電源ユニットEUおよびメダルの払出装置としてのホッパーユニットHPが収められている。なお本実施形態では、設定変更ボタンSBがエラー解除のためのスイッチとしても機能し、設定変更ボタンSBによって設定値の変更操作を行うばかりではなく、エラーの解除操作を行うこともできるようになっている。ホッパーユニットHPは、遊技に供するメダルを貯蔵するメダル貯蔵タンクMTと、ステッピングモータからなる払出モータ(図示省略)と払出モータに軸支された回転ディスク(図示省略)とを備えており、回転ディスクが払出モータによって回転駆動されて、1枚単位でメダルを払い出すことができるように構成されている。またホッパーユニットHPは、メダル貯蔵タンクMTにおけるメダルの貯蔵量が一定に達すると、余剰メダルがキャッシュボックスCBに送り出されるようになっている。
【0029】
また本実施形態の遊技機の筐体BX内には、例えば、リールユニット収納スペースPSの上方にメイン基板MAINが取り付けられているとともに、リールユニット収納スペースPSの側方にサブ基板SUBが取り付けられており、これらの制御基板(メイン基板MAIN、サブ基板SUB)には、演算手段としてのCPU、記憶手段としてのROMおよびRAM等を搭載して遊技機の動作を制御することができるようになっている。そして、メイン基板MAINとサブ基板SUBとの間では、メイン基板MAINからサブ基板SUBへの単方向通信のみが可能となっており、サブ基板SUBからはメイン基板MAINへ情報を送信することができないように通信接続されている。なお本実施の形態では、電源ユニットEUに設定変更キーシリンダKSや設定変更ボタンSBが設けられているが、メイン基板MAINの表面に設定変更キーシリンダKSや設定変更ボタンSBを設けるようにしてもよい。
【0030】
また
図1に示す第1リールR1~第3リールR3は、それぞれ外周面が一定の間隔で21の領域(各領域を「コマ」と称する)に区画されており、各コマに複数種類の図柄のいずれかが配列されている。また第1リールR1~第3リールR3は、ステッピングモータSM(リール駆動手段)に軸支されており、それぞれステッピングモータSMの軸周りに回転駆動され、ステッピングモータSMの駆動パルスのパルス数やパルス幅などを制御することによって、コマ単位(所定の回転角度単位、所定の回転量単位)で停止可能に設けられている。すなわち本実施形態の遊技機では、ステッピングモータSMが制御基板から供給された駆動パルスに応じて第1リールR1~第3リールR3を回転駆動し、制御基板から全相励磁の駆動パルスが供給されると、ステッピングモータSMの回転が停止することに伴って第1リールR1~第3リールR3が停止する。
【0031】
前面扉FDは開閉自在に設けられており、前面扉FDには第1リールR1~第3リールR3の回転状態及び停止状態を観察可能にする表示窓DWが設けられている。第1リールR1~第3リールR3の停止状態では、第1リールR1~第3リールR3それぞれの外周面に一定間隔で配列された複数種類の図柄のうち、外周面上に連続して配列されている3つの図柄(上段図柄、中段図柄、下段図柄)を遊技機の正面から表示窓DWを通じて観察できるようになっている。
【0032】
また本実施形態の遊技機では、液晶ユニットLCUに設けられた表示窓DWを通じて図柄を観察するための表示位置として、各リールについて上段、中段、下段が設けられており、各リールの表示位置の組合せによって有効ラインが設定される。なお本実施形態の遊技機では、1回の遊技に関して必要となるメダルの数、いわゆる規定投入数が3枚に設定され、規定投入数に相当するメダルが投入されると、第1リールR1~第3リールR3のそれぞれの中段によって構成される有効ラインL1が有効化される。
【0033】
そして遊技結果は表示窓DW内の有効ラインに停止表示された図柄組合せによって判断され、有効ライン上の図柄組合せが予め定められた役に対応した図柄組合せである場合には、その役が入賞したものとしてホッパーユニットHPからメダルの払い出し等が行われる。
【0034】
また前面扉FDには、メイン表示器DS1(第1報知装置の一例)、およびサブ表示器DS2(第3報知装置の一例)が設けられている。メイン表示器DS1およびサブ表示器DS2は、7セグメント表示器であって、メイン表示器DS1によってメダルのクレジット数、遊技毎のメダルの払出数、メインエラー情報等が表示され、サブ表示器DS2によってボーナス状態等の有利状態でのメダルの獲得数の合計(または払出数の合計)やサブエラー情報が表示される。
【0035】
また前面扉FDには、遊技演出を行うための外周ランプAL(第3報知装置の一例)、上部パネルランプUPL(第2報知装置の一例)、下部パネルランプDPL(第3報知装置の一例)、液晶ユニットLCUが設けられている。外周ランプAL、上部パネルランプUPL、下部パネルランプDPLは、前面扉FDを電飾して、その点灯態様によって遊技を盛り上げる、遊技を補助する情報を報知する、遊技機の状況を報知する等の役割を果たすものであり、外装が半透明の樹脂製またはガラス製であって内蔵されたLEDユニットからの光を透過可能に形成されている。また液晶ユニットLCUには、液晶表示部LCDが設けられており、液晶表示部LCDにおいて遊技を補助したり、遊技を盛り上げたり、遊技機の状況を報知したりするための各種の映像(または画像)が表示される。また本実施形態の遊技機では、前面扉FDに対して、遊技演出を行うためのスピーカSP(第3報知装置の一例)が複数設けられている。このスピーカSPからは、遊技を補助したり、遊技を盛り上げたり、遊技機の状況を報知したりするための各種の音声やBGMが出力される。
【0036】
また前面扉FDには、各種の操作手段が設けられている。操作手段としては、クレジット(貯留)されたメダルを投入する操作を行うための1ベットボタン(投入操作手段)B0A、MAXベットボタン(投入操作手段)B0B、第1リールR1~第3リールR3を回転させて遊技を開始する契機となる操作を行うためのスタートレバー(遊技開始操作手段)SL、ステッピングモータにより回転駆動されている第1リールR1~第3リールR3のそれぞれを停止させる契機となる操作を行うためのストップボタン(停止操作手段)B1~B3などが設けられている。特に本実施形態では、MAXベットボタンB0BおよびストップボタンB1~B3は、外装が半透明の樹脂製であって内蔵されたMAXベットランプ(第2の光源ユニットの一例)からの光を透過可能に形成されており、MAXベットランプの点灯によって、クレジット記憶されたメダルの投入操作が有効化されていることや、回転中のリールに関する停止操作が有効化されていることを把握できるようになっている。また本実施形態では、遊技の進行に沿って実行される所定の演出において液晶表示部LCDの表示画面を通じて提示される選択候補について遊技者に選択を行わせるために使用される演出ボタンBEが設けられている。
【0037】
また前面扉FDには、ドアキーシリンダDKが設けられており、ドアキーシリンダDKにドアキーを挿入して前面扉FDを解錠することができるようになっている。またドアキーシリンダDKに挿入されたドアキーを初期位置から時計回りに90度回転させることによって前面扉FDの解錠操作を行うことができるようになっている。
【0038】
本実施形態の遊技機では、遊技者がメダルを投入口MIに投入するか、ベットボタンB0を押下する操作を行うことで、第1リールR1~第3リールR3の回転制御を開始することが可能な準備状態にセットされる。なお投入口MIから投入されたメダルは、
図2に示すメダルセレクターSCを通過した後にメダルシュートMSを経由してホッパーユニットHPのメダル貯蔵タンクMTに入るようになっている。ただし、遊技を開始した後など所定条件下ではメダルセレクターSCに内蔵されるメダルブロッカーが作動してメダルシュートMSへ向かう流路を閉塞し、投入されたメダルが払出口MOから返却されるようにメダルの流路が切り替えられる。そして、遊技者がスタートレバーSLを押下すると、制御基板において第1リールR1~第3リールR3をステッピングモータSMの駆動により回転開始させるとともに、乱数値を用いた内部抽選が行われ、第1リールR1~第3リールR3の回転速度が所定の速度まで上昇したことを条件に、ストップボタンB1~B3の押下操作が許可(有効化)される。
【0039】
その後、遊技者が任意のタイミングでストップボタンB1~B3を押下していくと、ストップボタンB1~B3のそれぞれに内蔵されているストップスイッチ(停止信号出力手段:例えば、フォトセンサ、導通センサ、圧力センサなど)がオン動作を行い、メイン基板MAINに入力されるリール停止信号をオフ状態からオン状態へ変化させる。
【0040】
また遊技者が任意のタイミングで押下状態にあるストップボタンB1~B3を解放すると、ストップボタンB1~B3それぞれに対応するストップスイッチがオフ動作を行い、メイン基板MAINに入力されるリール停止信号をオン状態からオフ状態に変化させる。
【0041】
そしてメイン基板MAINは、ストップボタンB1~B3の押下タイミング及び解放タイミングに応じて信号状態が変化するリール停止信号のオフ状態からオン状態への変化に基づいて、内部抽選の結果に応じた停止位置で第1リールR1~第3リールR3を停止させる。
【0042】
また前面扉FDの下部には、払出口MOとメダル受け皿MPとが設けられており、遊技の結果に応じた枚数のメダルがホッパーユニットHPから払出口MOを通じてメダル受け皿MPへ払い出されるようになっている。なお遊技の結果に応じてメダルが払い出される場合に、メダルのクレジット(内部貯留)が許可されている場合には、払出数の一部あるいは全部に相当するメダルを、クレジット上限枚数(本実施形態では50枚)を限度としてクレジットし、メダルのクレジット数の変化に伴って第2メイン表示器DS2の表示値を変化させる動作を行う。
【0043】
図4は、本実施形態の遊技機の機能ブロック図である。
【0044】
本実施形態の遊技機は、主制御部10(メイン基板MAIN)および副制御部20(サブ基板SUB)によって制御される。主制御部10および副制御部20は、電源スイッチESの作動により電源ユニットEUから電力が供給されて起動する。そして主制御部10は、設定変更スイッチ301、ドア開閉スイッチ302、投入検知センサ401、第1メダル通過センサ402、第2メダル通過センサ403、シュートセンサ305、1ベットスイッチ307、MAXベットスイッチ308、スタートスイッチ309、ストップスイッチ311、オーバーフローセンサ313等からの入力信号を受けて、遊技機の設定やメインエラーの管理、または遊技を進行するための各種の演算を行い、演算結果に基づいてリールユニット310、ホッパーユニット(払出装置)HP等の動作制御を行う。また副制御部20は、演出選択スイッチ504からの入力信号や主制御部10からのコマンドに応答して、表示ユニット501、スピーカSP、ランプユニット503等の動作制御やサブエラーの管理を行う。本実施形態の遊技機において、主制御部10や副制御部20の機能は各種のプロセッサ(CPU、DSPなど)、ASIC(ゲートアレイなど)、ROM、あるいはRAMなどのハードウェアや、ROMなどに予め記憶されている所与のプログラムからなるソフトウェアにより実現される。
【0045】
そして主制御部10は、設定変更手段101、遊技制御手段102、乱数発生手段103、メインエラー検出手段104、メインエラー管理手段105、主記憶手段106、メイン電断復帰手段107を含む。
【0046】
設定変更手段101は、主記憶手段106に記憶されている設定値を変更する制御を行う。本実施形態では、電源投入時の設定変更キーシリンダKSの状態に応じて遊技モードで起動される場合と設定変更モードで起動される場合とが切り替えられるようになっており、設定変更キーシリンダKSに設定キーが挿入されて初期位置から時計回りに90度だけ設定キーが回された状態で電源スイッチESが作動することにより電源ユニットEUから電力が供給されると、設定変更手段101が、遊技機を設定変更モードで起動する。そして本実施形態では、設定1~設定6までの6段階の設定値の中から設定値を選択することができるようになっており、設定1から順に設定6に向かって出玉率の期待値が高くなるように内部抽選の当選確率が変動するようになっている。なお本実施形態では、設定1<設定2<設定3<設定4<設定5<設定6の順で設定値の高低を表現する。
【0047】
また設定変更手段101は、設定変更モードにおいて設定変更ボタンSBが押下されて設定変更スイッチ301が作動すると、設定変更スイッチ301からの入力信号を受け付ける毎に、設定値を設定1→設定2→・・・設定6→設定1→・・・の順序で設定値を変更し、スタートレバーSLの押下によりスタートスイッチ230が作動すると、設定値を確定させて、確定された設定値を主記憶手段106に記憶させる制御を行う。そして本実施形態では、設定変更キーシリンダKSに挿入された設定キーを初期位置に戻すことによって設定変更モードから遊技モードへ移行させることができるようになっている。なお本実施形態では、設定変更モードにおいて第1メイン表示器DS1に選択中の設定値が表示されるようになっている。
【0048】
また本実施形態では、設定変更キーシリンダKSが初期位置にある状態で電源が投入されると、遊技モードで遊技機を起動する。そして本実施形態では、遊技モードでは遊技を行うことができるが、設定値の変更を行うことはできず、設定変更モードでは設定値の変更を行うことはできるが、遊技を行うことはできないようになっている。
【0049】
また設定変更手段101は、設定変更モードにおいて、主記憶手段106における読み出しおよび書き込みが可能な記憶領域であるリードライトメモリ(RWM)に記憶されている情報を初期化する初期化処理を行う。なお初期化処理においては、リードライトメモリに記憶されている全ての情報を初期化するのではなく、メダルのクレジット情報など一部の情報については初期化されずに保持されるようになっている。
【0050】
遊技制御手段102は、遊技の進行を制御する手段であって、メダルの投入を受け付けて遊技が開始されると、内部抽選により役の当否を決定するとともに、第1リールR1~第3リールR3を回転させ、ストップボタンB1~B3に対する停止操作が行われると、内部抽選の結果に応じて回転中のリールを停止させて、有効ライン上に表示された図柄組合せに基づいて役が入賞したか否かを判定し、判定結果に応じた処理を行うことによって遊技を進行させるメインループ処理を行う。以下において、その詳細を説明する。
【0051】
まず遊技制御手段102は、遊技毎にメダルの投入を受け付けて、規定投入数(3枚)に相当するメダルが投入されたことに基づいて、スタートレバーSL(遊技開始操作手段)に対する遊技開始操作を有効化する処理を行う。なお本実施形態の遊技機では、規定投入数に相当するメダルの投入に基づいて有効化されたスタートレバーSLの最初の押下操作が、遊技開始操作として受け付けられ、第1リールR1~第3リールR3の回転を開始させる契機となっているとともに、内部抽選を実行する契機となっている。
【0052】
また本実施形態の遊技機では、メダル投入口MIにメダルが投入されると、メダルセレクターSC内の投入検知センサ401が作動することに伴って、遊技制御手段102が、規定投入数を限度として、投入されたメダルを投入状態に設定する。また本実施形態の遊技機では、主記憶手段106に最大で50枚分のメダルをクレジット記憶(貯留記憶)することが可能となっており、遊技機にメダルがクレジット記憶された状態で、ベットボタンB0が押下されると、ベットスイッチ308が作動することに伴って、遊技制御手段102が、規定投入数を限度して、主記憶手段106にクレジット記憶されたメダルを投入状態に設定する。なお本実施形態の遊技機では、メイン表示器DS1にクレジット数を表示させるようになっており、遊技制御手段102は、主記憶手段106に記憶されているメダルのクレジット数の増減に従ってメイン表示器DS1の表示内容を変化させる。
【0053】
また遊技制御手段102は、スタートレバーSLに対する遊技開始操作(有効化されたスタートレバーSLへの最初の押下操作)により作動するスタートスイッチ309からの信号に基づいて、役の当否を決定する内部抽選を行い、抽選テーブル選択処理、乱数判定処理、抽選フラグ設定処理などを行う。
【0054】
抽選テーブル選択処理では、主記憶手段106に記憶されている複数種類の内部抽選テーブルのうち、いずれの内部抽選テーブルを用いて内部抽選を行うかを決定する。本実施形態の遊技機では、各内部抽選テーブルにおいて、複数の乱数値(例えば、0~65535の65536個の乱数値)のそれぞれに対して、リプレイ、小役、およびボーナスなどの各種の役やハズレ(不当選)が対応づけられている。なお本実施形態では、6段階の設定値に対して、設定値毎に遊技状態に応じた内部抽選テーブルが用意されており、設定値に応じて内部抽選で一部の当選態様が得られる確率が異なっており、設定値が高くなるほど出玉率の期待値が高くなるように役と乱数値との対応関係が設定されている。
【0055】
そして本実施形態の遊技機では、遊技状態として、通常状態、ボーナス成立状態、およびボーナス状態が設定可能とされ、抽選テーブル選択処理では、遊技状態に応じて複数種類の内部抽選テーブルのいずれか1つを内部抽選で使用する内部抽選テーブルとして選択する。
【0056】
乱数判定処理では、スタートスイッチ309からの信号に基づいて、遊技毎に乱数発生手段103から乱数値(抽選用乱数)を取得し、取得した乱数値について主記憶手段106に記憶されている内部抽選テーブルを参照して役に当選したか否かを判定する。
【0057】
先に述べた乱数発生手段103は、抽選用の乱数値を発生させる手段である。乱数値は、例えば、0~65535までの65536個の乱数値を1周期中で重複することなく発生させる16ビット乱数回路によって発生させることができる。なお本実施形態において「乱数値」には、数学的な意味でランダムに発生する値のみならず、その発生自体は規則的であっても、その取得タイミング等が不規則であるために実質的に乱数として機能しうる値も含まれる。
【0058】
抽選フラグ設定処理では、乱数判定処理の結果に基づいて、当選したと判定された役に対応する抽選フラグを非当選状態(第1のフラグ状態、オフ状態)から当選状態(第2のフラグ状態、オン状態)に設定する。本実施形態の遊技機では、2種類以上の役が重複して当選した場合には、重複して当選した2種類以上の役のそれぞれに対応する抽選フラグが当選状態に設定される。なお抽選フラグの設定情報は、主記憶手段106に記憶されるようになっている。
【0059】
また本実施形態の遊技機では、入賞するまで次回以降の遊技に当選状態を持ち越し可能な抽選フラグ(持越可能フラグ)と、入賞の如何に関わらず次回以降の遊技に当選状態を持ち越さずに非当選状態にリセットされる抽選フラグ(持越不可フラグ)とが用意されている。前者の持越可能フラグが対応づけられる役としては、ボーナスがあり、小役およびリプレイは後者の持越不可フラグに対応づけられている。すなわち抽選フラグ設定処理では、例えば、内部抽選でボーナスに当選すると、ボーナスの抽選フラグの当選状態を、ボーナスが入賞するまで持ち越す処理を行う。このとき遊技制御手段102は、ボーナスの抽選フラグの当選状態が持ち越されている遊技でも、小役およびリプレイについての当否を決定する内部抽選を行っている。このように抽選フラグ設定処理では、ボーナスの抽選フラグの当選状態が持ち越されている遊技において、小役やリプレイが当選した場合には、既に当選しているボーナスの抽選フラグと内部抽選で当選した小役やリプレイの抽選フラグとからなる2種類以上の役に対応する抽選フラグを当選状態に設定する。
【0060】
また遊技制御手段102は、遊技者がスタートレバーSLへの遊技開始操作により作動するスタートスイッチ309からの信号に基づいて、ステッピングモータにより第1リールR1~第3リールR3の回転駆動を開始し、第1リールR1~第3リールR3が所定速度(約80rpm:1分間あたり約80回転となる回転速度)で定常回転しているリールに対応するストップボタンB1~B3(停止操作手段)を押下することによる停止操作を有効化する制御を行うとともに、ステッピングモータにより回転駆動されている第1リールR1~第3リールR3を抽選フラグの設定状態(内部抽選の結果)に応じた態様で停止させる制御を行う。
【0061】
そして遊技制御手段102は、ストップボタンB1~B3に対する停止操作が有効化された状態において、遊技者がストップボタンB1~B3を押下することによりストップスイッチ311が作動すると、ストップスイッチ311からの信号に基づいて、リールユニット310のステッピングモータへの駆動パルス(モータ駆動信号)の供給を停止することにより、第1リールR1~第3リールR3の各リールを停止させる制御を行う。
【0062】
すなわち遊技制御手段102は、ストップボタンB1~B3の各ボタンが押下される毎に、第1リールR1~第3リールR3のうち押下されたボタンに対応するリールの停止位置を決定して、決定された停止位置でリールを停止させる制御を行っている。なお本実施形態の遊技機では、ストップボタンB1を押下することが第1リールR1を停止させるための操作に対応し、ストップボタンB2を押下することが第2リールR2を停止させるための操作に対応し、ストップボタンB3を押下することが第3リールR3を停止させるための操作に対応する。すなわち本実施形態の遊技機では、ストップボタンB1~B3の押下順序が変化すると、第1リールR1~第3リールR3の停止順序が変化する。
【0063】
また本実施形態の遊技機では、第1リールR1~第3リールR3について、ストップボタンB1~B3が押下された時点から190ms以内に、押下されたストップボタンに対応する回転中のリールが停止するようになっている。そしてストップボタンの押下時点から190ms以内に回転中のリールを停止させる場合には、回転している各リールの停止位置は、ストップボタンの押下時点からリールが停止するまでに要するコマ数が0コマ~4コマの範囲(所定の引き込み範囲)で決定される。そして、遊技制御手段102は、ストップボタンB1~B3のうち押下操作が行われたストップボタンに対応する回転中のリールの外周面上において、内部抽選で当選した役に対応する図柄が、ストップボタンに対する押下操作が行われた時点で有効ライン上の表示位置に対して0コマ~4コマの範囲内に位置する場合に、抽選フラグが当選状態に設定されている役に対応する図柄が有効ライン上の表示位置に表示されるように、押下操作が行われたストップボタンに対応する回転中のリールを停止させる制御を行っている。
【0064】
また本実施形態の遊技機では、リールユニット310がフォトセンサからなるリールインデックス405を備えており、遊技制御手段102は、リールが1回転する毎にリールインデックス405で検出される信号に基づいて、リールの基準位置(リールインデックス405によって検出されるコマ)からの回転角度(ステッピングモータの回転軸の回転ステップ数)を求めることによって、現在のリールの回転状態を監視することができるようになっている。すなわち遊技制御手段102は、ストップスイッチ311の作動時におけるリールの位置を、リールの基準位置からの回転角度を求めることにより得ることができる。
【0065】
そして本実施形態では、リールユニット310を構成する第1リールR1~第3リールR3の外周面に対して、複数種類の図柄が配列されており、押下検出位置から4コマ以内に存在する図柄を有効ライン上に引き込む場合には、各リールの外周面において4コマ以内の間隔で配列されている図柄について、ストップスイッチ311の作動時点(ストップボタンの押下が検出された時点)におけるリールの位置である押下検出位置に関わらずに、有効ライン上に表示させることができるようになっている。
【0066】
また遊技制御手段102は、優先度により回転中のリールの停止位置を求める処理(ロジック演算)と、主記憶手段106に記憶されている停止制御テーブルを参照して回転中のリールの停止位置を決定する処理(テーブル参照処理)とを行っている。
【0067】
まずロジック演算では、役毎に定められた優先順位データに従って押下検出位置から0コマ~4コマの範囲内(または0コマ~1コマの範囲内)に存在する5コマ分(または2コマ分)の停止位置の候補に対して優先度を求める。そして各停止位置の候補の優先度のうち最も優先度の高い停止位置の候補を実際の停止位置として決定する。ただしロジック演算では、内部抽選の結果や押下検出位置などに応じて複数の停止位置の候補に対して同一の優先度が求まる場合があり、最も優先度の高い停止位置の候補が複数となった場合には、後述するテーブル参照処理によって実際の停止位置を決定する。
【0068】
特に本実施形態の遊技機では、「リプレイ>ボーナス」かつ「小役>ボーナス」の順序で優先順位が定められており、ロジック演算では、2種類以上の役に関する抽選フラグが当選状態に設定されている場合には、各役に対応付けられた優先順位に従って、優先順位の高い役の入賞形態を構成する図柄を含む停止位置の候補について優先順位が低い役の入賞形態を構成する図柄を含む停止位置の候補よりも優先度が高くなるように優先度を求める。
【0069】
なお本実施形態の遊技機では、内部抽選で複数種類の小役が当選した場合における停止位置の候補についての優先度は、有効ライン上に表示可能な入賞形態を示す図柄組合せの個数に応じて優先度を求める場合と、小役について予め定められている配当に基づくメダルの払出数に応じて優先度を求める場合とが存在し、有効ライン上に表示可能な入賞形態を示す図柄組合せの個数に応じて停止位置の候補についての優先度を求める場合には、有効ライン上に表示可能な入賞形態を示す図柄組合せの個数が多くなる停止位置ほど優先度が高くなるように各停止位置の候補についての優先度を求め、メダルの払出数に応じて停止位置の候補についての優先度を求める場合には、有効ライン上の表示位置に表示されている図柄に対応する小役の配当に基づくメダルの払出数が多くなる停止位置(配当が多い小役を入賞させることができる停止位置)ほど優先順位が高くなるように各停止位置の候補についての優先度を求める。ただし、メダルの払出数に応じて停止位置の候補についての優先度を求める場合に、配当が同一の小役が重複して当選した場合には、それぞれの小役を入賞させることができる停止位置の候補についての優先度はそれぞれ同一のものとして扱われ、有効ライン上に表示可能な入賞形態を示す図柄組合せの個数に応じて停止位置の候補についての優先度を求める場合に、有効ライン上に表示可能な入賞形態を示す図柄組合せの個数が同数となる停止位置の候補についての優先度はそれぞれ同一のものとして扱われる。
【0070】
またロジック演算では、いわゆる引き込み処理と蹴飛ばし処理とをリールの停止位置の候補を求める処理として行っている。引き込み処理とは、抽選フラグが当選状態に設定された役を可能な限り入賞させることができるようにリールの停止位置の候補についての優先度を求める処理である。一方蹴飛ばし処理とは、抽選フラグが非当選状態に設定された役を入賞させることができないようにリールの停止位置の候補についての優先度を求める処理である。このように遊技制御手段102は、抽選フラグが当選状態に設定された役の図柄を入賞の形態で停止可能にし、一方で抽選フラグが非当選状態に設定された役の図柄が入賞の形態で停止しないようにリールの停止位置の候補を求めるロジック演算を行っている。
【0071】
テーブル参照処理では、ロジック演算を行った結果、最も優先度の高い停止位置の候補が複数得られた場合に、いずれの位置を停止位置とするかを、主記憶手段106に記憶されている停止制御テーブルを参照して決定する。
【0072】
ここで停止制御テーブルでは、抽選フラグの設定状態に応じて、押下検出位置と、押下検出位置から実際の停止位置までの回転量を示す滑りコマ数との対応関係が設定されている。なお停止制御テーブルでは、抽選フラグの設定状態に応じて、押下検出位置と実際の停止位置との対応関係が設定されていてもよい。
【0073】
本実施形態では、通常状態およびボーナス成立状態に関する小役の当選態様として、入賞に伴うメダルの払出数がメダルの投入数よりも多くなる特定小役と、入賞に伴うメダルの払出数がメダルの投入数よりも少ない非特定小役とが重複して当選する複数種類の特定当選態様が存在し、特定当選態様のそれぞれに対して、特定小役を入賞可能とする正解操作態様が設定されている。ボーナス成立状態において特定当選態様を得た遊技では、正解操作態様に沿って停止操作が行われた場合に特定小役の入賞を優先し、正解操作態様ではない操作態様である失敗操作態様に沿って停止操作が行われた場合に特定小役の入賞を回避しつつ非特定小役の入賞を優先するように回転中のリールの停止位置が決定される。一方、通常状態において特定当選態様を得た遊技では、全ての操作態様が失敗操作態様となり、如何なる態様で停止操作が行われても特定小役の入賞を回避しつつ非特定小役の入賞を優先するように回転中のリールの停止位置が決定される。
【0074】
また遊技制御手段102は、第1リールR1~第3リールR3の停止態様に基づいて、役が入賞したか否かを判定する入賞判定処理を行う。具体的には、主記憶手段106に記憶されている入賞判定テーブルを参照しながら、第1リールR1~第3リールR3の全てが停止した時点で有効ライン上に表示されている図柄組合せが、予め定められた役の入賞の形態であるか否かなどを判定する。
【0075】
そして本実施形態の遊技機では、遊技制御手段102が、入賞判定処理の結果に基づいて、役が入賞した場合に入賞時処理を実行する。入賞時処理としては、例えば、小役が入賞した場合にはメダルの払出制御処理が行われ、リプレイが入賞した場合にはリプレイ処理が行われ、ボーナスが入賞した場合には遊技状態を移行させる遊技状態移行制御処理が行われる。
【0076】
まず遊技制御手段102は、遊技結果に応じたメダルの払い出しに関する払出制御処理を行う。具体的には、小役が入賞した場合に、役毎に予め定められている配当に基づいて遊技におけるメダルの払出数を決定し、決定された払出数に相当するメダルを、ホッパーユニットHPに払い出させる制御を行う。
【0077】
ホッパーユニットHPは、遊技制御手段102によって指示された払出数のメダルを払い出す動作を行う装置である。ホッパーユニットHPには、メダルを1枚払い出す毎に作動する払出センサ406が備えられており、遊技制御手段102は、払出センサ406からの入力信号に基づいてホッパーユニットHPから実際に払い出されたメダルの数を管理することができるように構成されている。なお本実施形態の遊技機では、各遊技においてメダルの払い出しが行われる場合には、メダルの払出数がメイン表示器DS1に表示されるようになっており、遊技制御手段102は、小役の入賞によってメダルが払い出される場合には、当該小役の入賞に伴うメダルの払出数をメイン表示器DS1に表示させる制御を行う。
【0078】
なおメダルのクレジット記憶(貯留記憶)が許可されている場合には、ホッパーユニットHPによって実際にメダルの払い出しを行う代わりに、主記憶手段106に記憶されているクレジット数(クレジット記憶されたメダルの数)に対して払出数を加算するクレジット加算処理を行って仮想的にメダルを払い出す処理を行う。なおメダルの払出数の一部または全部をクレジット数に加算する場合には、遊技制御手段102は、クレジット数の増加分に対応してメイン表示器DS1の表示内容を変化させる制御を行う。
【0079】
また遊技制御手段102は、リプレイが入賞した場合に、次回の遊技に関して遊技者の所有するメダルの投入を要さずに前回の遊技と同じ準備状態に設定するリプレイ処理(再遊技処理)を行う。すなわち本実施形態の遊技機では、リプレイが入賞した場合には、前回の遊技と同じ枚数分のメダルを遊技者の手持ちのメダル(クレジットメダルを含む)を使わずに自動的に投入する自動投入処理が行われ、前回の遊技と同じ有効ラインを設定した状態で次回のスタートレバーSLに対する遊技開始操作を待機する。
【0080】
また遊技制御手段102は、通常状態、ボーナス成立状態、およびボーナス状態の間で遊技状態を移行させる遊技状態移行制御処理を行う。本実施形態では、滞在している遊技状態を示す情報は、主記憶手段106に格納される。遊技状態の移行条件は、1の条件が定められていてもよいし、複数の条件が定められていてもよい。複数の条件が定められている場合には、複数の予め定められた条件のうち1の条件が成立したこと、あるいは複数の予め定められた条件の全てが成立したことに基づいて、遊技状態を別の遊技状態へ移行させることができる。
【0081】
通常状態は、複数種類の遊技状態の中で初期状態に相当する遊技状態で、通常状態からはボーナス成立状態への移行が可能となっている。具体的には、通常状態においてボーナスが当選した場合にボーナス成立状態へ移行する。また通常状態では、主記憶手段106に記憶されている複数種類の内部抽選テーブルのうち、小役、リプレイ、およびボーナスが抽選対象として設定されている内部抽選テーブルを参照して内部抽選が行われる。
【0082】
ボーナス成立状態は、内部抽選でボーナスに当選したことを契機として移行する遊技状態である。ボーナス成立状態では、主記憶手段106に記憶されている複数種類の内部抽選テーブルのうち、通常状態と同じ確率で小役の当否が決定され、ボーナスが抽選対象から除外された内部抽選テーブルを参照した内部抽選が行われる。なおボーナス成立状態においてもリプレイは抽選対象として設定されているが、通常状態とはリプレイの当選確率や当選態様が異なっていてもよいし、同じであってもよい。
【0083】
またボーナス成立状態では、ボーナスが入賞するまでボーナスに対応する抽選フラグが当選状態に維持されたまま小役およびリプレイの当否が決定され、ボーナスの入賞形態を示す図柄組合せが有効ライン上に表示されると、遊技制御手段102は、ボーナスの入賞に基づいて遊技状態をボーナス成立状態からボーナス状態へ移行させる。
【0084】
ボーナス状態は、ボーナスの入賞形態を示す図柄組合せが有効ライン上に表示されたことを契機として移行する遊技状態である。ボーナス状態では、主記憶手段106に記憶されている複数種類の内部抽選テーブルのうち、小役の当選確率が通常状態およびボーナス成立状態よりも高く設定され、リプレイが抽選対象から除外された内部抽選テーブルを参照した内部抽選が行われる。すなわちボーナス状態では、通常状態やボーナス成立状態よりも小役が頻繁に当選するようになっている点で、通常状態やボーナス成立状態よりも遊技者に有利な遊技状態となっている。
【0085】
またボーナス状態では、ボーナス状態でのボーナス遊技によって払い出されたメダルの合計数により終了条件が成立したか否かを判断し、予め定められた終了予定払出数(例えば、250枚)を超えるメダルが払い出されると、遊技制御手段102は、ボーナス状態を終了させて、遊技状態を通常状態へ復帰させる。なお本実施形態では、ボーナス状態における払出数についてのカウント情報は主記憶手段106に累計して記憶される。
【0086】
また遊技制御手段102は、初期演出状態、通常演出状態、CZ状態、およびAT状態を含む複数種類の演出状態の間で演出状態を変化させており、所定条件下で演出状態をAT状態に設定し、AT状態の終了条件の成立に伴いAT状態を終了させる制御を行う。本実施形態では、滞在している演出状態を示す情報は、主記憶手段106に格納される。本実施形態では、AT状態に滞在している場合に、遊技制御手段102によって、特定当選態様の当選時において7セグメント表示器からなるメイン表示器DS1に正解操作態様に対応する情報(指示情報の一例)を表示することにより特定小役の入賞を補助する正解操作報知が行われ、初期演出状態や通常演出状態に滞在している遊技よりもメダルが獲得しやすいアシストタイム遊技を行うことができるようになっている。本実施形態では、有利区間においてアシストタイム遊技を実行する機能を指示機能とし、アシストタイム遊技の実行に影響する処理が指示機能に係る処理となる。
【0087】
また遊技制御手段102は、通常区間(非有利区間)および有利区間を設定可能とし、通常区間では演出状態を初期状態である初期演出状態に固定して有利区間移行抽選を行い、有利区間移行抽選に当選したことによって有利区間を開始して有利区間であることを条件に演出状態をAT状態に設定可能とする。
【0088】
遊技制御手段102は、通常区間での毎遊技において、内部抽選の結果に応じて有利区間に当選したか否かを判断する有利区間移行抽選を行う。本実施形態では、通常状態またはボーナス成立状態において得られる当選態様に紐付けて有利区間の当選を判断し、ごく僅かの一部の当選態様を得た場合を除いて有利区間に当選する。
【0089】
遊技制御手段102は、通常区間において有利区間に当選すると、有利区間に当選したことに基づいて有利区間移行処理を行い、有利区間に当選した遊技の次回の遊技から有利区間を開始させ、演出状態を通常演出状態またはAT状態に設定する。本実施形態では、通常状態およびボーナス成立状態における小役の当選態様として確定役が設けられており、確定役以外の当選態様を契機とする有利区間当選では、有利区間移行処理において演出状態が通常演出状態に設定され、確定役を契機とする有利区間当選では、有利区間移行処理において演出状態がAT状態に設定される。
【0090】
遊技制御手段102は、有利区間において通常演出状態である場合に、内部抽選の結果に応じたCZポイントを累積的に加算していく処理を行う。CZポイントのカウント情報は、主記憶手段106に格納され、通常演出状態から他の演出状態に移行する場合にはCZポイントのカウント情報は初期化される。通常演出状態においてCZポイントが上限に達するとCZ状態への移行の可否を決定するCZ抽選が実行される。そして遊技制御手段102は、CZ抽選の結果がCZ当選であったことに基づいて、演出状態を通常演出状態からCZ状態に移行させる制御を行う。CZ状態では通常演出状態よりも有利な条件でAT状態への移行権利を得ることができ、所定回数の遊技を行うことでCZ状態の終了条件が成立し、遊技制御手段102は、遊技回数によるCZ状態の終了条件が成立したことに基づいて、演出状態を通常演出状態に復帰させる制御を行う。
【0091】
遊技制御手段102は、有利区間において、遊技状態がボーナス成立状態であって、かつ演出状態が通常演出状態またはCZ状態である場合に、AT抽選(指示機能に係る処理の一例)を行う。本実施形態では、内部抽選でいずれの当選態様が得られた場合でもAT抽選を行い、当選態様に応じて予め定められた確率でAT当選の結果が得られるようにAT抽選が行われる。本実施形態では、CZ状態ではAT状態よりも高確率でAT当選の結果が得られるようになっている。そして遊技制御手段102は、AT抽選の結果がAT当選であったことに基づいて、演出状態を通常演出状態またはCZ状態からAT状態に移行させる制御を行う。
【0092】
遊技制御手段102は、演出状態がAT状態であることに基づいてアシストタイム遊技を行わせ、アシストタイム遊技が行われる毎に遊技1回分に相当する更新量でATゲーム数のカウント情報を更新する。本実施形態では、ATゲーム数のカウント情報は、主記憶手段106に格納される。そして本実施形態では、AT状態において、複数種類の特定当選態様のいずれかが当選すると、遊技制御手段102が、当選している特定当選態様に対応する正解操作態様を報知する正解操作報知を実行する。本実施形態では、遊技制御手段102が特定当選態様に関する正解操作報知を行う場合、当選した特定当選態様に対応する正解打順に対応する操作指示番号がメイン表示器DS1に表示されるようになっている。
【0093】
遊技制御手段102は、主記憶手段106に格納されているATゲーム数のカウント情報に基づいて、AT状態の終了条件が成立している判断した場合、演出状態を通常演出状態に復帰させる制御を行う。
【0094】
また本実施形態では、遊技制御手段102が、有利区間における差枚数のカウント情報を、メダルの投入数およびメダルの払出数に基づいて更新し、差枚数のカウント情報に基づいて有利区間の終了条件が成立していると判断した場合、有利区間を終了させる制御を行う。差枚数のカウント情報は、主記憶手段106に格納され、有利区間において、有利区間の終了条件に該当しない限り、遊技状態または演出状態の遷移が発生しても差枚数のカウント情報の更新が行われる。
【0095】
また遊技制御手段102は、有利区間の終了に基づいて主記憶手段106に記憶されている所定の情報を初期化する初期化処理を行う。特に本実施形態では、主記憶手段106に記憶されている各種情報のうち、演出状態に関する情報、CZポイントのカウント情報、ATゲーム数のカウント情報、有利区間における差枚数の情報を有利区間の終了に伴う初期化処理によって初期化する。このため有利区間の終了に伴う初期化処理が行われる場合においては、設定変更時における初期化処理が行われる場合とは異なり、内部抽選の抽選フラグに関する情報および遊技状態に関する情報は、有利区間の終了に伴う初期化処理によっては初期化されずに保持されるようになっている。そして有利区間の終了に伴う初期化処理が行われると、演出状態が初期演出状態に初期化されるとともに、CZポイントのカウント情報と、ATゲーム数のカウント情報と、有利区間における差枚数の情報とが初期値(例えば、0)に初期化されて通常区間に復帰するようになっている。
【0096】
そして本実施形態では、有利区間の終了に伴って初期化処理が実行されて通常区間に復帰するため、AT状態に滞在している状況において差枚数のカウント情報に基づく終了条件が成立した場合には、有利区間の終了に伴う初期化処理によってAT状態が強制終了することになる。
【0097】
メインエラー検出手段104は、投入検知センサ401、第1メダル通過センサ402、第2メダル通過センサ403、シュートセンサ305、払出センサ406、およびオーバーフローセンサ313の信号状態を監視して、エラー検出条件を満たしているかを判断して、エラー検出条件を満たしていることに基づいて発生しているメインエラーを特定することによってメインエラーを検出する。なお本実施形態では、いずれかのメインエラーを検出した後(後述するエラーウェイト処理によって解除操作を待機している状況)も、メインエラー検出手段104はタイマ割り込み処理によって定期的に各メインエラーの検出を継続して行っている。
【0098】
以下では、
図5および
図6を参照してメインエラーの種別と各メインエラーについてのエラー検出条件とについて説明する。
【0099】
図5は、投入口から投入されたメダルの流路を説明する図である。
【0100】
まずメダルの投入が受け付けられている状況では、投入口MIからメダルが投入されると、メダルセレクターSCを通過してメダルの識別および枚数のカウントがなされて、メダルシュートMSを経由してホッパーユニットHPへメダルが送られるようになっている。
【0101】
一方、遊技を行っている状況や、メダルのクレジット数が最大数に達している状況では、メダルブロッカー404が作動してメダルセレクターSCからメダルシュートMSへの流路が閉塞され、メダルセレクターSCから払出口MOへメダルが返却されるようになっている。
【0102】
またホッパーユニットHPに貯蔵されているメダルが所定量を超えると、所定量を超えてホッパーユニットHPに送られたメダルはキャッシュボックスCBへと送られるようになっている。
【0103】
そして本実施形態では、メインエラー検出手段104が、各種センサの信号状態に基づいて、
図6に示すように、逆流エラー、エンプティエラー、払出詰まりエラー、払出異常エラー、オーバーエラー、滞留エラー、および投入異常エラーを検出する。
【0104】
(1)逆流エラー
逆流エラーは、メダルが流路において逆流していることに起因するメインエラーであって、メダルの投入を受け付けている状況において、第1メダル通過センサ402または第2メダル通過センサ403の信号状態(オン/オフ状態)が正しい順序どおりに変化しなかった場合に検出される。メインエラー検出手段104は、第1メダル通過センサ402または第2メダル通過センサ403の信号状態の変化がある毎に、2つのセンサの状態をチェックし、正しい順序どおりに変化しない場合に、逆流エラーが発生したとみなして、主記憶手段106に逆流エラー検出フラグを設定する。
【0105】
(2)エンプティエラー
エンプティエラーは、ホッパーユニットHPに貯蔵されているメダルがなくなったことに起因するメインエラーであって、メダルの払い出しが行われている状況において、払出センサ406の信号状態がオフ状態(払い出されるメダルが検知されていない状態)で一定期間(約2100ms)以上継続した場合に検出される。メインエラー検出手段104は、ホッパーユニットHPに対してメダルの払い出しを指示する信号がオン状態にされると、主記憶手段106に設けられたエンプティエラー検出タイマで計時を行い、エンプティエラー検出タイマの計時情報によって払出センサ406の信号状態がオフ状態のまま一定期間以上となった場合に、エンプティエラーが発生したとみなして主記憶手段106にエンプティエラー検出フラグを設定する。
【0106】
(3)払出詰まりエラー
払出詰まりエラーは、ホッパーユニットHPにおいて払い出されるべきメダルが詰まって排出されていないことに起因するメインエラーであって、メダルの払い出しが行われている状況において、払出センサ406の信号状態がオン状態(払い出されるメダルが検知されている状態)で一定期間(約172ms)以上継続した場合に検出される。メインエラー検出手段104は、ホッパーユニットHPに対してメダルの払い出しを指示する信号がオン状態にされると、主記憶手段106に設けられた払出詰まりエラー検出タイマで計時を行い、払出詰まりエラー検出タイマの計時情報によって払出センサ406の信号状態がオン状態のまま一定期間以上となった場合に、払出詰まりエラーが発生したとみなして主記憶手段106に払出詰まりエラー検出フラグを設定する。
【0107】
(4)払出異常エラー
払出異常エラーは、メダルの払い出しを行うべきではない状況でメダルの払い出しがあったことに起因するメインエラーであって、メダルの払い出しが行われていない状況において、払出センサ406の信号状態がオン状態で一定期間(約6ms)以上継続した場合に検出される。メインエラー検出手段104は、ホッパーユニットHPに対するメダルの払い出しを指示する信号がオフ状態である状況において、主記憶手段106に設けられた払出異常エラー検出タイマで計時を行い、払出異常エラー検出タイマの計時情報によって払出センサ406の信号状態がオン状態のまま一定期間以上となった場合に、払出異常エラーが発生したとみなして主記憶手段106に払出異常エラー検出フラグを設定する。
【0108】
(5)オーバーエラー
オーバーエラーは、キャッシュボックスCBに貯蔵されている余剰メダルが所定量を超えたことに起因するメインエラーであって、オーバーフローセンサ313の信号状態がオン状態(余剰メダルが所定量を超えたこと示す信号状態)で一定期間(約0.1ms)以上継続した場合に検出される。メインエラー検出手段104は、オーバーフローセンサ313の信号状態がオン状態である状況において、主記憶手段106に設けられたオーバーエラー検出タイマで計時を行い、オーバーエラー検出タイマの計時情報によってオーバーフローセンサ313の信号状態がオン状態のまま一定期間以上となった場合に、オーバーエラーが発生したとみなして主記憶手段106にオーバーエラー検出フラグを設定する。
【0109】
(6)滞留エラー
滞留エラーは、メダルセレクターSC内でメダルが詰まっていることに起因するメインエラーであって、第1メダル通過センサ402または第2メダル通過センサ403の信号状態がオン状態(メダルの存在を検知していることを示す信号状態)で一定期間(約131ms)以上継続した場合に検出される。メインエラー検出手段104は、第1メダル通過センサ402および第2メダル通過センサ403の少なくとも一方のセンサの信号状態がオン状態である状況において、主記憶手段106に設けられた滞留エラー検出タイマで計時を行い、滞留エラー検出タイマの計時情報によって第1メダル通過センサ402または第2メダル通過センサ403の信号状態がオン状態のまま一定期間以上となった場合に、滞留エラーが発生したとみなして主記憶手段106に滞留エラー検出フラグを設定する。
【0110】
(7)投入異常エラー
投入異常エラーは、投入口MI付近でメダルが詰まっていること(第1類型)、メダルブロッカー404を作動させてメダルシュートMSへの流路を閉塞したことによってメダルの流路が切り替えられたにも関わらずにメダルが正規の流路(ここでは払出口MOに返却される流路)とは異なる流路を通過していること(第2類型)、またはメダルセレクターSCを通過したメダルの数とメダルシュートMSを通過したメダルの数とに一定以上の差が生じたこと(第3類型)に起因するメインエラーである。
【0111】
第1類型の投入異常エラーは、メダルセレクターSC内の投入検知センサ401がオン状態(メダルの存在を検知している信号状態)で一定期間(約532ms)以上継続した場合に検出される。メインエラー検出手段104は、投入検知センサ401の信号状態がオン状態である状況において、主記憶手段106に設けられた第1投入異常エラー検出タイマで計時を行い、第1投入異常エラー検出タイマの計時情報によって投入検知センサ401の信号状態がオン状態のまま一定期間以上となった場合に、投入異常エラーが発生したとみなして主記憶手段106に投入異常エラー検出フラグを設定する。
【0112】
第2類型の投入異常エラーは、メダルブロッカー404の作動後に第2メダル通過センサ403によってメダルセレクターSCを通過してメダルシュートMSへ向かって流れるメダルを検知した場合に検出される。メインエラー検出手段104は、メダルブロッカー404が作動している状況において、第2メダル通過センサ403の信号状態がオン状態である場合に、投入異常エラーが発生したとみなして主記憶手段106に投入異常エラー検出フラグを設定する。ただし本実施形態の遊技機では、第2類型の投入異常エラーの発生判断には非監視期間(約270ms)が設けられており、メインエラー検出手段104は、メダルブロッカー404の作動したことに基づいて主記憶手段106に設けられた投入異常非監視タイマで計時を行い、非監視期間が経過した時点で第2メダル通過センサ403の信号状態を確認して投入異常エラーの発生判断を行う。
【0113】
第3類型の投入異常エラーは、投入されたメダルが第1メダル通過センサ402および第2メダル通過センサ403を正しい順序で通過してから一定期間(約1490ms)を経過するまでの間に、第1メダル通過センサ402および第2メダル通過センサ403を正しい順序で通過したと検知されたメダルの数と、シュートセンサ305の信号状態がオン状態(メダルの存在を検知している信号状態)となった回数との差が、所定範囲(例えば、-8~7)に収まっていない場合、または投入されたメダルが第1メダル通過センサ402および第2メダル通過センサ403を正しい順序で通過してから一定期間(約1490ms)を経過した時点において、第1メダル通過センサ402および第2メダル通過センサ403を正しい順序で通過したと検知されたメダルの数と、シュートセンサ305の信号状態がオン状態(メダルの存在を検知している信号状態)となった回数との差が、所定数(例えば、5)以上となった場合に検出される。メインエラー検出手段104は、第1メダル通過センサ402および第2メダル通過センサ403の信号状態がオフ状態であって、かつシュートセンサ305の信号状態がオン状態である状況において、主記憶手段106に設けられた第2投入異常エラー検出タイマで計時を行いながら、主記憶手段106に設けられたシュートカウンタによって第1メダル通センサ402および第2メダル通過センサ403を正しい順序で通過したと検知されたメダルの数とシュートセンサ305の信号状態がオン状態となった回数との差を監視して、この差が上記条件を満たした場合に投入異常エラーが発生したとみなして主記憶手段106に投入異常エラー検出フラグを設定する。
【0114】
メインエラー管理手段105は、主記憶手段106にいずれかのエラー検出フラグが設定されると、エラーウェイト処理を行って所定の解除操作が行われるのを待機し、このエラーウェイト処理において、メインエラー検出手段104によって検出されたメインエラーをメイン表示器DS1によって報知するとともに、所定の解除操作が行われたことに基づいてエラー検出フラグ等をクリアする解除処理を行う。なお本実施形態では、メインエラー管理手段105によるエラーウェイト処理の実行中においては遊技制御手段102でのメインループ処理が中断され、発生しているメインエラーについて解除処理が完了した後にメインループ処理が再開される。
【0115】
具体的に説明すると、メインエラー管理手段105は、メインエラー検出手段104によってメインエラーが検出されて、検出されたメインエラーに対応するエラー検出フラグが主記憶手段106に設定されると、エラーウェイト処理において、エラー検出フラグの種類に対応したエラーコードを設定して、設定されたエラーコードをメイン表示器DS1に表示させる。
【0116】
本実施形態の遊技機では、
図6に示すように、各種メインエラーに対応してE1~E6およびE9のエラーコードが割り当てられており、逆流エラー検出フラグが設定されている場合には、メイン表示器DS1に「E1」を表示し、エンプティエラー検出フラグが設定されている場合には、メイン表示器DS1に「E2」を表示し、払出詰まりエラー検出フラグが設定されている場合には、メイン表示器DS1に「E3」を表示し、払出異常エラー検出フラグが設定されている場合には、メイン表示器DS1に「E4」を表示し、オーバーエラー検出フラグが設定されている場合には、メイン表示器DS1に「E5」を表示し、滞留エラー検出フラグが設定されている場合には、メイン表示器DS1に「E6」を表示し、投入異常エラー検出フラグが設定されている場合には、メイン表示器DS1に「E9」を表示する。なお主記憶手段106に複数種類のエラー検出フラグが設定されている場合には、そのなかで最も早く検出されたエラー検出フラグに対応するエラーコードをメイン表示器DS1に表示する。ただし、エラーコードに優先順位を予め設けて、最も優先順位の高いエラーコードをメイン表示器DS1に表示するようにしてもよい。
【0117】
またメインエラー管理手段105は、エラーウェイト処理において、設定変更ボタンSBが押下されたことを解除操作として受け付けて、この解除操作によって設定変更スイッチ301から信号が入力されると、解除操作が行われたと判断して、
図7に示すように、主記憶手段107に記憶されている検出フラグやタイマの計時情報等のエラー関連情報をクリア(消去)する解除処理を行う。なおエラーウェイト処理では、メイン表示器DS1にエラーコードを表示した後に、主記憶手段106に設けられたエラーウェイトタイマを用いてタイマウェイト処理を行い、タイマウェイト処理が行われている期間(約108ms)を経過した後から解除操作を受け付けるようになっている。
【0118】
そして本実施の形態では、メインエラー管理手段105が、メインエラー検出手段104によって所定のエラーが検出された場合には、解除操作が行われたことに基づいて検出されたメインエラーに対応する解除処理を行うとともに、検出されたメインエラーに関連するエラーとして予め定められた他のメインエラーについてもそのエラーが発生していたか否かに関わらずに、発生したメインエラーに関連づけられた他のメインエラーに対応する解除処理も行うようになっている。
【0119】
まずメインエラー管理手段105は、逆流エラーがメインエラー検出手段104によって検出された場合には、解除操作が行われたことに基づいて、逆流エラーに対応する解除処理を行うとともに、投入異常エラーおよび滞留エラーに対応する解除処理も行う。
【0120】
またメインエラー管理手段105は、滞留エラーがメインエラー検出手段104によって検出された場合には、解除操作が行われたことに基づいて、滞留エラーに対応する解除処理を行うとともに、投入異常エラーに対応する解除処理も行う。
【0121】
このように本実施形態では、メインエラーが検出されると、検出されたメインエラーがメイン表示器DS1を通じて報知されて発生したメインエラーの解除を促すことができるようになっており、メインエラーの発生によって呼び出されるエラーウェイト処理において解除操作が行われると、メインエラーに対応する解除処理が行われるようになっている。特に本実施形態では、検出されたエラーに対応する解除処理の実行をエラーウェイト処理で待機している状況においても継続してメインエラーの検出を行っているため、発生中のメインエラーの原因を取り除く作業に付随して他のメインエラーを検出してしまう可能性があるが、遊技場の店員等により解除操作が行われると、当初において検出されたメインエラーに対応する解除処理を行うとともに、検出されたメインエラーに関連するエラーとして予め定められた他のメインエラーについての解除処理についても他のメインエラーが発生していたか否かに関わらずに実行するようにしているため、エラー解除の際の手間がかからないようにすることができるようになっている。
【0122】
また本実施形態では、主制御部10から副制御部20への情報の送信はシリアル通信によってコマンドを送信することによって実現されているが、主制御部10から副制御部20へ送信されるコマンドに含まれる情報としては、設定値、遊技状態、メダルの投入数や払出数、内部抽選の結果、各種スイッチの信号状態、リールの停止制御の内容、入賞判定の結果、発生したメインエラーに関するもの等がある。
【0123】
特に本実施形態では、メインエラーが発生した場合に、主制御部10が、エラー検出フラグが設定されているエラー種別に対応するエラー発生コマンドや設定変更ボタンSBに対する解除操作が行われたことを示すエラー解除コマンドを副制御部20に送信し、ドア開閉スイッチ302の信号状態が変化した場合には、信号状態がオフ状態(前面扉FDが閉まっていることを示す信号状態)からオン状態(前面扉FDが開いていることを示す信号状態)へ変化したことに基づいてドア開コマンドを副制御部20に送信し、信号状態がオン状態からオフ状態へ変化したことに基づいてドア閉コマンドを送信する。そして本実施形態では、前面扉FDが開放されていても、それ自体はメインエラーとしては取り扱わずに他のメインエラーが発生していなければメインループ処理は続行可能となっている。また本実施形態では、所定期間毎(例えば、15ms毎)において主制御部10から副制御部20に対して断線監視コマンドを定期的に送信する制御も行っている。
【0124】
メイン電断復帰手段107は、電源投入に応答して主制御部10を復帰させるための処理(メイン電断復帰処理)を行う。本実施形態では、電源がオンからオフになる時(以下、電断時という)に主制御部10の状態を主記憶手段106にバックアップする機能を有しており、メイン電断復帰手段107は、電源投入時((電源がオフからオンになった時)に主記憶手段106にバックアップされたデータをチェックして、正常/異常の判断を行い、バックアップされたデータが正常であると判断される場合、主制御部10によって制御される各種装置を電源断の直前の状態に復帰させるメイン電断復帰処理を行う。本実施形態では、メイン電断復帰処理として、例えば、メイン表示器DS1の表示内容を電源断の直前の状態に復帰させる等の処理を行う。
【0125】
続いて副制御部20について説明する。副制御部20は、演出制御手段201と、サブエラー検出手段202と、サブエラー管理手段203と、副記憶手段204と、サブ電断復帰手段205とを含む。
【0126】
演出制御手段201は、副記憶手段202に記憶されている演出データに基づいて、表示ユニット501(例えば、液晶ユニットLCU)を用いて行う演出や、スピーカSPを用いて行う演出や、ランプユニット503(例えば、外周ランプAL等)を用いて行う演出に関する制御を行う。例えば、メダルの投入や1ベットボタンB0A、MAXベットボタンB0B、スタートレバーSL、ストップボタンB1~B3に対する操作、遊技状態の変動などの遊技イベントの発生に応じてランプやLEDを点灯あるいは点滅させたり、液晶ユニットLCUにおける液晶表示部LCDの表示内容を変化させたり、スピーカSPから音を出力させたりすることにより、遊技の進行状況に応じて、遊技を盛り上げたり、遊技を補助するための演出の実行制御を行う。
【0127】
演出制御手段201は、演出状態がAT状態である場合において、特定当選態様の当選時に正解操作態様を報知して特定小役の入賞を補助する入賞補助演出を液晶ユニットLCUやスピーカSPに実行させる制御を行う。
【0128】
また演出制御手段201は、CZ状態やAT状態で遊技を行っている場合には、CZ状態やAT状態が終了するまでの遊技回数の残数を、液晶ユニットLCUの液晶表示部LCDに表示させる残数表示演出を実行させる制御を行う。残数表示演出では遊技を行うことによってCZ状態で行われた遊技回数のカウント情報やATゲーム数のカウント情報が更新されると、カウント情報の更新を反映するように遊技回数の残数も減っていくように表示内容が変更される。
【0129】
また演出制御手段201は、通常演出状態で遊技を行っている場合には、CZポイントの蓄積状況を、液晶ユニットLCUの液晶表示部LCDに表示させるCZポイント表示演出を実行させる制御を行う。CZポイント表示演出では遊技を行うことによってCZポイントが変動すると、CZポイントの変動分を反映するようにCZポイントの表示値が増加していくように表示内容が変更される。
【0130】
また演出制御手段201は、CZ状態に移行する場合に、CZ状態におけるAT当選の報知態様を選択可能とする報知態様選択演出を液晶ユニットLCUによって実行する制御を行う。本実施形態では、CZ状態の初回遊技の開始時に、第1報知態様(図柄報知)、第2報知態様(完全報知)、第3報知態様(連続演出報知)、および第4報知態様(後報知)の4種類からAT当選の報知態様を選択することができる。
【0131】
第1報知態様は、内部抽選で所定の当選態様を得た場合に第1リールR1~第3リールR3が停止した際に特定の図柄組合せ(例えば、7揃いの図柄組合せ)が表示される可能性があることを示唆し、特定の図柄組合せが表示された場合にAT当選を把握することができる報知態様である。第2報知態様は、CZ状態においてAT当選した遊技においてAT当選を得たことを確定的に報知する報知態様である。第3報知態様は、CZ状態での複数の遊技にわたって実行される連続演出の結果によってAT当選を報知する報知態様である。第4報知態様は、CZ状態の最終遊技においてCZ状態でAT当選を得ていたか否かを報知する報知態様である。
【0132】
本実施形態では、報知態様選択演出の表示画面において、第1報知態様に対応するキャラクタA、第2報知態様に対応するキャラクタB、第3報知態様に対応するキャラクタC、および第4報知態様に対応するキャラクタDの各キャラクタの画像が液晶ユニットLCUの液晶表示部LCDに表示され、選択中のキャラクタが非選択中のキャラクタに比して強調して表示される。報知態様選択演出では、演出ボタンBEを押下する毎に作動する演出選択スイッチ504からの入力信号に応答して選択中のキャラクタが変更され、キャラクタA→キャラクタB→キャラクタC→キャラクタD→キャラクタA→・・・というようにキャラクタA~キャラクタDが所定の順序で循環するように選択中のキャラクタが変更される。
【0133】
より詳細には、第1報知態様~第4報知態様のそれぞれに対して報知制御変数が割り当てられており、第1報知態様に対して「0」、第2報知態様に対して「1」、第3報知態様に対して「2」、第4報知態様に対して「3」が割り当てられている。演出制御手段201は、報知態様選択演出の実行中において演出ボタンBEが押下されると、演出選択スイッチ504の入力信号を検出する毎に、副記憶手段206に格納される報知制御変数を「0」→「1」→「2」→「3」→「0」→「1」→・・・という順序で循環するように変化させる。本実施形態では、副記憶手段206に格納される報知制御変数の変化に応答するように、液晶ユニットLCUにおける液晶表示部LCDの表示画面において、現在の報知制御変数に対応するキャラクタが強調して表示される。例えば、副記憶手段206に格納されている報知制御番号が「1」である場合には、第2報知態様であると判断され、第2報知態様に対応するキャラクタBがキャラクタA,C,Dよりも強調して表示される。
【0134】
本実施形態では、CZ状態の初回遊技においてスタートレバーSLに対する遊技開始操作を契機として報知態様が決定され、演出制御手段201は、遊技開始操作が行われた時点において選択中のキャラクタに対応する報知態様でCZ状態でのAT当選の報知に関する制御を実行する。具体的には、CZ状態の初回遊技においてスタートレバーSLに対する遊技開始操作が行われると、主制御部10から遊技開始操作が行われたことを通知するコマンドが副制御部20に対して送信され、演出制御手段201は、遊技開始操作が行われたことを通知するコマンドを受け付けた時点において副記憶手段206に格納されている報知制御変数に従ってCZ状態における演出の実行制御を行う。例えば、遊技開始操作が行われたことを通知するコマンドを受け付けた時点における報知制御変数が「2」であった場合、第3報知態様でCZ状態におけるAT当選の報知が行われる。
【0135】
また演出制御手段201は、副記憶手段206に格納されている報知制御変数を、所定条件下で維持し、初期化条件を満たした場合に報知制御変数を初期化する制御を行う。具体的には、電源投入等により電断状況から復帰した場合、設定変更モードで遊技機が起動した場合、待機状態へ移行した場合において副記憶手段206に格納されている報知制御変数の初期化が行われる。本実施形態では、「0」~「3」までの報知制御変数のうち、初期値を「0」としており、報知制御変数の初期化が行われると報知制御変数が「0」に設定される。このように本実施形態では、既述の初期化条件を満たさない限り、副記憶手段206において報知制御変数が保持されるため、CZ状態の初回遊技において報知態様選択演出が実行される場合、副記憶手段206において保持されている報知制御変数に基づいて、前回の報知態様の選択結果が液晶ユニットLCUにおける液晶表示部LCDの表示画面に反映される。例えば、前回の報知態様選択演出の実行時においてキャラクタBを選択して第2報知態様に沿ってCZ状態の演出の実行制御が行われた場合、新たにCZ状態に移行するまで報知制御変数が保持されていれば、その新たに開始するCZ状態の初回遊技における報知態様選択演出ではキャラクタBが初期選択された状況の表示画面が生成され液晶ユニットLCUの液晶表示部LCDに出力される。
【0136】
なお本実施形態では、電断状況から復帰する場合であっても演出状態がCZ状態である場合には報知制御変数は初期化されず、電断直前の報知制御変数が保持されるように制御される。また本実施形態では、演出制御手段201が、非待機状態と待機状態とを設定可能とし、非待機状態において所定時間内(例えば、60秒以内)に遊技の進行に係る操作(投入操作、遊技開始操作、停止操作など)が行われなかった場合に待機状態に移行させ、待機状態において遊技の進行に係る操作が行われた場合に非待機状態に復帰する制御を行っている。そして演出制御手段201は、CZ状態では非待機状態において待機状態への移行管理を行うタイマの計時を中止し待機状態への移行を許容しない。なおCZ状態であっても待機状態への移行管理を行うタイマの計時を行って待機状態への移行条件が成立しても無効なものとして扱って非待機状態を維持する制御が行われるようにしてもよい。
【0137】
また本実施形態では、MAXベットボタンB0Bに内蔵されているMAXベットランプ604によって投入操作が受付可能であるかどうかが報知されるようになっており、主制御部10のメインループ処理においてメダルの投入が受け付けられている状況においてMAXベットランプ604を点灯し、メダルの投入を受け付けていない状況ではMAXベットランプ604が消灯するように制御される。また本実施形態では、主制御部10のメインループ処理において少なくともリールが回転している状況ではバックライトユニットLUで各リールの図柄表示位置を照明することによって各リールに配列された図柄の視認性を確保するようになっており、リールの停止時や役の入賞時等の予め定められた契機において消灯や点滅等するようにバックライトユニットLUの制御が行われる。
【0138】
また遊技において実行される演出の内容は、副記憶手段204に記憶されている演出抽選テーブルを、遊技状態、演出状態、内部抽選の結果等に対応して主制御部10から送信されるコマンドに応じて決定される。なお本実施形態では、副記憶手段204のROM領域に記憶されている画像データを副記憶手段204に設けられたイメージバッファに読み込んで、イメージバッファに読み込まれた画像データに基づく画像が液晶ユニットLCUの液晶表示部LCDに出力され、副記憶手段204のROM領域に記憶されているサウンドデータを副記憶手段204に設けられたサウンドバッファに読み込んで、サウンドバッファに読み込まれたサウンドデータに基づく音がスピーカSPから出力されるようになっている。
【0139】
サブエラー検出手段202は、主制御部10から送信されたドア開コマンドおよび断線監視コマンドに基づいて、エラー検出条件を満たしているかを判断して、エラー検出条件を満たしていることに基づいて発生しているサブエラーを特定することによってサブエラーを検出する。なお本実施形態では、いずれかのサブエラーを検出した後(後述する主制御部10からのエラー解除コマンドの受信を待機している状況)も、サブエラー検出手段202はタイマ割り込み処理によって定期的に各サブエラーの検出を継続して行っている。
【0140】
そして本実施形態では、サブエラー検出手段202が、
図8に示すように、ドア開閉エラーおよび通信エラーを検出する。
【0141】
(1)ドア開放エラー
ドア開放エラーは、前面扉FDが開いていることに起因するサブエラーであって、前面扉FDが開くことによって作動するドア開閉スイッチ302の信号状態がオン状態(前面扉FDが開いていることを示す信号状態)に変化したことを示すドア開コマンドを受信してから一定期間(約48ms)以上経過した場合に検出される。サブエラー検出手段202は、ドア開コマンドを受信した状況において、副記憶手段204に設けられたドア開放エラー検出タイマで計時を行い、ドア開放エラー検出タイマの計時情報によって一定期間以上となった場合に、ドア開放エラーが発生したとみなして副記憶手段204にドア開放エラー検出フラグを設定する。
【0142】
(2)通信エラー
通信エラーは、メイン基板MAINとサブ基板SUBとの間の通信ケーブルの断線等による通信不良に起因するサブエラーであって、主制御部10から定期的に送信される断線監視コマンドの受信から一定期間(例えば、20ms)以上経過した場合に検出される。サブエラー検出手段202は、断線監視コマンドを受信したことを契機として、副記憶手段204に設けられた通信エラー検出タイマをリセットするとともに計時を開始し、通信エラー検出タイマの計時情報によって一定期間以上となった場合に、通信エラーが発生したとみなして副記憶手段204に通信エラー検出フラグを設定する。
【0143】
またサブエラー検出手段202は、主制御部10から送信されたエラー発生コマンドを受信すると、エラー発生コマンドによって特定されるメインエラーに対応するエラー検出フラグを副記憶手段204に設定する。
【0144】
サブエラー管理手段203は、副記憶手段204にエラー検出フラグが設定されると、報知対象のエラーを決定してエラーに対応した演出態様で演出装置の制御を行うエラー報知処理を行って主制御部10からエラー解除コマンドやドア閉コマンドが送信されるのを待機し、このエラー報知処理において、報知対象のエラーを報知するとともに、復帰条件が成立したことに基づいて副記憶手段204に設定されているエラー検出フラグ等をクリアして演出装置の状態を元に戻す復帰処理を行う。なお本実施形態では、副制御部20から主制御部10へは何らの情報も送信されない関係で、サブエラーの発生が遊技制御手段102でのメインループ処理の進行に影響を与えることはなく、メインエラーが発生していなければサブエラーが発生している状況でも遊技制御手段102がメインループ処理を続行可能となっている。
【0145】
そして本実施形態では、副記憶手段204にサブエラーに対応するエラー検出フラグが設定されている場合には、サブエラー管理手段203が、エラー検出フラグの種類に対応したエラーコードを設定して、設定されたエラーコードをサブ表示器DS2に表示させる。
【0146】
具体的には、
図8に示すように、各種サブエラーに対応してE8およびEFのエラーコードが割り当てられており、ドア開放エラー検出フラグが設定されている場合には、サブ表示器DS2に「E8」を表示し、通信エラー検出フラグが設定されている場合には、サブ表示器DS2に「EF」を表示する。なお副記憶手段204にドア開放エラー検出フラグおよび通信エラー検出フラグの双方が設定されている場合には、優先順位の高い通信エラー検出フラグに対応するエラーコードがサブ表示器DS2に表示される。
【0147】
またサブエラー管理手段203は、エラーウェイト処理の実行中において、副記憶手段204に設定されているエラー検出フラグに対応する各種エラーについてドア開放エラー<メインエラー<通信エラーの優先順位で報知対象のエラーを決定して、最も優先順位の高いエラーを外周ランプALやスピーカSP等によって報知する。
【0148】
具体的に説明すると、ドア開放エラーが発生しているが、メインエラーや通信エラーが発生していない状況ではドア開放エラーを報知対象として決定し、メインエラーに対応するエラー発生コマンドを受信した場合には最先に受信したエラー発生コマンドによって特定されるメインエラーを報知対象として決定し、ドア開放エラー検出フラグが副記憶手段204に設定されている状況でメインエラーに対応するエラー発生コマンドを受信した場合には、受信したエラー発生コマンドによって特定されるメインエラーをドア開放エラーに優先して報知対象として決定し、通信エラー検出フラグが副記憶手段204に設定された場合には、他のエラーに優先して通信エラーを報知対象として決定する。
【0149】
そして本実施形態では、
図9に示すように、エラー種別に応じて4系統の報知パターンが設定されている。
【0150】
例えば、報知対象のエラーが逆流エラー、払出異常エラー、または投入異常エラーのいずれかである場合には、外周ランプALおよび下部パネルランプDPLを点灯し、MAXベットランプ604およびバックライトユニットLUを消灯し、かつ警告音Aを鳴らしつつ「係員をお呼びください」とのメッセージAをスピーカSPによって出力するメインエラー報知処理が実行される。
【0151】
また例えば、報知対象のエラーがエンプティエラー、払出詰まりエラー、オーバーエラー、または滞留エラーのいずれかである場合には、外周ランプALおよび下部パネルランプDPLを点滅させ、MAXベットランプ604およびバックライトユニットLUを消灯し、かつ警告音Bを鳴らしつつ「係員をお呼びください」とのメッセージAをスピーカSPによって出力し、液晶ユニットLCUの液晶表示部LCDにエラー内容を表示するメインエラー報知処理が実行される。
【0152】
また例えば、報知対象のエラーがドア開放エラーである場合には、外周ランプALおよび下部パネルランプDPLを点滅させ、バックライトユニットLUを消灯し、かつ警告音Bを鳴らしつつ「ドアが開いています」とのメッセージBをスピーカSPによって出力し、液晶ユニットLCUの液晶表示部LCDにエラー内容を表示するドア開放エラー報知処理が実行される。なおドア開放エラーが発生していてもメインエラーが発生していない場合には、主制御部10においてメインループ処理が進行可能であるため、MAXベットランプ604についてはメインループ処理の進行状況に依存して点灯制御される。また本実施形態では、ドア開放エラーを報知対象とした場合には、ドア閉コマンドを受信してから所定期間(約2秒)を経過するまでは復帰処理が行われないため前面扉FDが閉まった後もエラー報知処理を継続して行うようになっている。
【0153】
また例えば、報知対象のエラーが通信エラーである場合には、外周ランプALおよび下部パネルランプDPLを点滅させ、バックライトユニットLUを消灯し、かつ警告音Bを鳴らしつつ「係員をお呼びください」とのメッセージAをスピーカSPによって出力し、液晶ユニットLCUの液晶表示部LCDにエラー内容を表示する通信エラー報知処理が実行される。なお通信エラーが発生していてもメインエラーが発生していない場合には、主制御部10においてメインループ処理が進行可能であるため、MAXベットランプ604についてはメインループ処理の進行状況に依存して点灯制御される。
【0154】
またサブエラー管理手段203は、主制御部10からエラー発生コマンドを受信したことによりメインエラー報知処理が実行されている状況において、主制御部10からエラー解除コマンドを受信すると、
図10に示すように、副記憶手段204に記憶されている検出フラグ等のメインエラー関連情報をクリア(消去)するとともに、演出装置の状態を元の状態に復帰させる復帰処理を行う。
【0155】
またサブエラー管理手段203は、ドア開放エラーの発生によって実行されているエラーウェイト処理においては、主制御部10からドア閉コマンドを受信してから所定期間(例えば、2秒)を経過したことを復帰条件としてドア開放エラーに関する検出フラグやタイマの計時情報等をクリア(消去)するとともに、演出装置の状態を元の状態に復帰させる復帰処理を行う。
【0156】
また本実施形態では、通信エラーに関して、電断復帰による副記憶手段204の初期化のみによって復帰可能となっており、エラー管理手段203は、遊技機の電源供給が絶たれるまで、通信エラー報知処理を続行して通信エラーを報知している状態を維持する。ただし、電断復帰によって通信エラーが一時的に解除されても断線の状況が解消されていない場合には、主制御部10からの断線監視コマンドの受信不良によりサブエラー検出手段202によって再度通信エラーが検出されることになる。
【0157】
サブ電断復帰手段205は、電源投入に応答して副制御部20を復帰させるための処理(サブ電断復帰処理)を行う。本実施形態では、電源がオンからオフになる時(以下、電断時という)に副制御部20の状態を副記憶手段204にバックアップする機能を有しており、サブ電断復帰手段205は、電源投入時((電源がオフからオンになった時)に副記憶手段204にバックアップされたデータをチェックして、正常/異常の判断を行い、バックアップされたデータが正常であると判断される場合、副制御部20によって制御される各種装置を電源断の直前の状態に復帰させるサブ電断復帰処理を行う。
【0158】
本実施形態では、主制御部10と副制御部20とにおける起動電圧の関係で副制御部20が主制御部10よりも早い段階で起動する。すなわち遊技機の電源投入がなされると、主制御部10よりも先に副制御部20が起動し、主制御部10からのコマンド受信を待機する状況を形成する。
【0159】
そしてサブ電断復帰手段205は、前面扉FDが開放された状態で遊技機の電源投入がなされた場合、上部パネルランプUPLをメイン表示器DS1より先に動作を開始させ、外周ランプALおよび下部パネルランプDPLをメイン表示器DS1より後に動作を開始させる制御を行う。すなわち本実施形態では、前面扉FDが開放された状態で遊技機の電源投入がなされた場合、外周ランプALおよび下部パネルランプDPLが上部パネルランプUPLより後に動作を開始し、外周ランプALおよび下部ランプパネルDPLについては前面扉FDが開放されていることを報知する動作態様で動作する。上部パネルランプUPLについては、前面扉FDの開閉によっては動作態様が変化せず、遊技機の電源投入により副制御部20が起動して上部パネルランプUPLが内蔵するLEDユニットに通電されると、前面扉FDの開閉に関わらずに点灯した状態が維持される。
【0160】
なお本実施形態の機能ブロック構成は、コンピュータシステム(ゲームシステムを含む)に関しても適用することができる。これらのシステムでは、本実施形態の遊技制御手段100としてコンピュータを機能させるプログラムを、CD、DVD等の情報記憶媒体あるいはインターネット上のWebサーバからネットワークを介してダウンロードすることによって、その機能を実現することができる。また上記コンピュータシステムでは、1ベットスイッチ307、MAXベットスイッチ308、スタートスイッチ309、ストップスイッチ311等は、キーボードやポインティングデバイス(マウス等)、タッチパネル、あるいはコントローラなどの操作手段に対してそれらの機能を仮想的に割り当てることにより実現することができる。また上記コンピュータシステムでは、リールユニット310、ホッパーユニットHPなどは必須の構成要件ではなく、これらのユニットは、ディスプレイに表示出力される画像の制御によってそれらの機能を仮想的に実現することができる。
【0161】
(本実施形態の手法)
以下では、
図11~
図20に示すフローチャートを参照しながら、本実施形態の遊技機において採用されている各種の手法を具体的に説明する。
【0162】
図11は、本実施形態の遊技機における遊技の進行を制御するメインループ処理を示すフローチャートである。
【0163】
まず遊技を行うために必要なメダルの投入を受け付ける投入受付処理が行われる(ステップS100)。投入受付処理では、遊技者がメダル投入口MIにメダルを投入することにより投入されたメダルを投入状態に設定し、遊技者が1ベットボタンB0AやMAXベットボタンB0Bを押下してベットスイッチ308が作動することにより予め遊技機内にクレジットされたメダルを投入状態に設定する。また、前回の遊技でリプレイが入賞した場合には、遊技者の手持ちのメダルを要さずに、遊技機側で自動的に前回の遊技と同じ投入数のメダルを投入状態に設定する。そして遊技開始条件として設定されている規定投入数(例えば、3枚)のメダルの投入が完了すると(ステップS101でY)、スタートレバーSLの押下操作を待機する(ステップS102)。なお副制御部20では、投入受付処理が行われており、メダルの投入を受け付けている状況においてMAXベットランプ604を点灯し、規定投入数のメダルの投入が完了すると、MAXベットランプ604を消灯する。また前回の遊技での遊技演出によってリールのバックライトユニットLUが消灯している場合には副制御部20がメダルの投入や1ベットボタンB0AやMAXベットボタンB0Bに対する投入操作を契機として消灯しているリールのバックライトユニットLUを再点灯する。
【0164】
そして遊技者がスタートレバーSLを押下してスタートスイッチ230が作動すると(ステップS102でY)、内部抽選が行われるとともに(ステップS103)、第1リールR1~第3リールR3を駆動するステッピングモータへ駆動パルスの供給が開始されて各リールの回転駆動が開始される(ステップS104)。内部抽選では、スタートスイッチ309の作動に伴って取得した乱数値を、遊技状態に応じて選択される内部抽選テーブルと比較することによって役の当否を決定し、当選した役(当選役)のフラグを当選状態に設定する。
【0165】
そして各リールの回転速度が所定速度に達すると(ステップS105でY)、ストップボタンB1~B3に対する操作が有効化され(ステップS106)、ストップボタンの押下操作に応答して回転中のリールを停止させるリール停止制御を行う(ステップS107~ステップS109)。
【0166】
具体的には、遊技者がストップボタンを押下すると(ステップS107でY)、押下されたストップボタンに対する操作を無効化してから、押下されたストップボタンに対応する回転中のリールの停止位置が決定され、押下されたストップボタンに対応した回転中のリールを回転駆動しているステッピングモータへ全相励磁の駆動パルスを供給することによりリールを停止させる(ステップ108)。
【0167】
そして、全てのリールが停止すると(ステップS109でY)、各リールの停止状態に基づいて入賞判定処理が行われる(ステップS110)。本実施形態では、有効ラインL1に役の入賞形態を示す図柄組合せが表示されたか否かに基づいて、役の入賞の有無を判定する。そして入賞判定処理の結果、役が入賞したと判定された場合には(ステップS10でY)、入賞した役に応じた入賞時処理を行って一連の処理を終了する(ステップS111)。
【0168】
図12は、メインエラーの発生が検出された場合に呼び出される主制御部10でのエラーウェイト処理を示すフローチャートである。
【0169】
まず主記憶手段106にエラー検出フラグが設定されていると(ステップS200でY)、メイン表示器DS1の状態を主記憶手段106に設けられた退避バッファに退避させてから(ステップS201)、エラー検出フラグの種類に対応したエラーコードを設定し(ステップS202)、設定したエラーコードをメイン表示器DS1に表示してエラーの発生と発生したエラーの内容を報知する(ステップS203)。
【0170】
そしてエラーに関する報知が行われると、主記憶手段106にエラーウェイトタイマを設定して(ステップS204)、エラーウェイトタイマが所定期間(約107ms)を計時してタイムアップするまでタイマウェイト処理を行ってから(ステップS205)、解除操作の受け付けを開始する(ステップS206)。
【0171】
そして本実施の形態では、設定変更ボタンSBが押下されて設定変更スイッチ301の信号状態がオン状態となった場合に解除操作が行われたと判断され(ステップS206でY)、エラー解除処理が行われる(ステップS207)。そしてエラー解除処理が完了すると、メイン表示器DS1の状態を元の状態に復帰させて一連の処理を終了する(ステップS208)。
【0172】
図13は、逆流エラー、払出異常エラー、滞留エラー、または投入異常エラーのいずれかのメインエラー発生時における主制御部10でのエラーウェイト処理で呼び出される解除処理を示すフローチャートである。
【0173】
まずエラーウェイト処理のステップS202で設定されたエラーコードが「E1」(逆流エラー)または「E6」(滞留エラー)であった場合には(ステップS300でY、またはステップS301でY)、第1投入異常エラー検出タイマ、第2投入異常エラー検出タイマ、シュートカウンタ、投入異常非監視タイマ、および投入異常エラー検出フラグをクリアする投入異常エラーの解除処理(ステップS304)と、滞留エラー検出タイマおよび滞留エラー検出フラグをクリアする滞留エラーの解除処理(ステップS306)と、逆流エラー検出フラグをクリアする逆流エラーの解除処理(ステップS307)と、を行ってからエラーコードを含むエラー検出結果をクリアする(ステップS308)。
【0174】
このように本実施の形態では、逆流エラーが検出された場合に、エラーウェイト処理中において解除操作が行われたことに基づいて、逆流エラーに対応する解除処理を行うとともに、投入異常エラーおよび滞留エラーに対応する解除処理についても行うようにしている。このため本実施の形態によれば、メダルの流路において発生している逆流エラーの原因を取り除く作業に付随して投入異常エラーや滞留エラーを検出してしまっても、逆流エラーの解除処理に伴って投入異常エラーや滞留エラーについても解除処理が行われるので、エラー解除の際の手間がかからないようにすることができる。
【0175】
また本実施の形態では、滞留エラーが検出された場合に、エラーウェイト処理中において解除操作が行われたことに基づいて、滞留エラーに対応する解除処理を行うとともに、投入異常エラーに対応する解除処理を行うようにしている。このため本実施の形態によれば、投入口MIの付近において発生している滞留エラーの原因を取り除く作業に付随して投入異常エラーを検出してしまっても、滞留エラーの解除処理に伴って投入異常エラーについても解除処理が行われるので、エラー解除の際の手間がかからないようにすることができる。
【0176】
またエラーコードが「E4」(払出異常エラー)であった場合には(ステップS302でY)、払出異常エラー検出タイマおよび払出異常エラー検出フラグをクリアする払出異常エラーの解除処理(ステップS305)と、滞留エラー検出タイマおよび滞留エラー検出フラグをクリアする滞留エラーの解除処理(ステップS306)と、逆流エラー検出フラグをクリアする逆流エラーの解除処理(ステップS307)と、を行ってからエラーコードを含むエラー検出結果をクリアする(ステップS308)。
【0177】
またエラーコードが「E9」(投入異常エラー)であった場合には(ステップS303でN)、第1投入異常エラー検出タイマ、第2投入異常エラー検出タイマ、およびシュートカウンタ、投入異常非監視タイマ、および投入異常エラー検出フラグをクリアする投入異常エラーの解除処理(ステップS304)と、滞留エラー検出タイマおよび滞留エラー検出フラグをクリアする滞留エラーの解除処理(ステップS306)と、逆流エラー検出フラグをクリアする逆流エラーの解除処理(ステップS307)と、を行ってからエラーコードを含むエラー検出結果をクリアする(ステップS308)。
【0178】
このように本実施の形態では、第1類型、第2類型、または第3類型のいずれかの投入異常エラーが検出された場合に、エラーウェイト処理中において解除操作が行われたことに基づいて、いずれにも対応できるように共通の解除処理を行うようにしている。このようにすれば、投入口MI付近で発生している第1類型の投入異常エラーと、メダルの流路において発生している第2類型および第3類型の投入異常エラーとを互いに関連するエラーと考えて1つのエラー群として取り扱い、いずれかのエラーの発生が検出されている状況において、その原因を取り除く行に付随して発生し得るエラーを含めて解除処理が行われるようになるので、エラー解除の際の手間がかからないようにすることができる。
【0179】
またエラーコードが「E1」、「E4」、「E6」、および「E9」のいずれでもなかった場合には(ステップS303でY)、滞留エラー検出タイマおよび滞留エラー検出フラグをクリアする滞留エラーの解除処理(ステップS306)と、逆流エラー検出フラグをクリアする逆流エラーの解除処理(ステップS307)と、を行ってからエラーコードを含むエラー検出結果をクリアする(ステップS308)。
【0180】
なお本実施の形態では、エンプティエラー(エラーコードE2)、払出詰まりエラー(エラーコードE3)、オーバーエラー(エラーコードE5)、については個別に解除処理が行われるようになっている。ただし、払出異常エラーに対応する解除処理を行う場合には、払出詰まりエラーについても解除処理を行うようにしたり、また払出詰まりエラーに対応する解除処理を行うようにした場合には、払出異常エラーに対応する解除処理を行う等、エラーの検出に際して同じセンサの監視をしているようなエラーについては関連性のあるエラーとして一方の解除処理が行われる場合には、他方の解除処理が行われるようにしてもよい。
【0181】
図14は、メインエラーの発生に係る副制御部20でのエラー検出に係る処理を示すフローチャートである。
【0182】
主制御部10から送信されたエラー発生コマンドを受信すると(ステップS400でY)、エラー発生コマンドに含まれるメインエラーのエラー種別に対応したエラー検出フラグを設定する(ステップS401)。
【0183】
図15は、ドア開放エラーに係る副制御部20でのエラー検出に係る処理を示すフローチャートである。
【0184】
主制御部10から送信されたドア開コマンドを受信すると(ステップS500でY)、ドア開放エラー検出タイマの計時を開始し(ステップS501)、ドア開放エラー検出タイマの計時情報がタイムアップすると(ステップS502でY)、ドア開放エラーが発生したと判断してドア開放エラー検出フラグを設定する(ステップS503)。
【0185】
図16は、通信エラーに係る副制御部20でのエラー検出に係る処理を示すフローチャートである。
【0186】
副制御部20では、通信エラー検出タイマによって主制御部10から定期的に送信されてくる断線監視コマンドの受信間隔を計っており、通信エラー検出タイマがカウントアップしていない状況では(ステップS600でN)、主制御部10からの断線監視コマンドを受信すると(ステップS601でY)、通信エラー検出タイマの計時情報がリセットされて計時を再開する(ステップS602)。そして通信エラー検出タイマがタイムアップしてしまうと(ステップS600でY)、通信エラーが発生したと判断して通信エラー検出フラグを設定する(ステップS603)。
【0187】
図17は、副制御部20での報知対象となるエラーを決定する処理を示すフローチャートである。本実施形態では、通信エラー、メインエラー、ドア開放エラーの順にエラーの発生を定期的にチェックし、通信エラー>メインエラー>ドア開放エラーの優先順位で報知対象を決定する。
【0188】
具体的に説明すると、まず副記憶手段204に通信エラー検出フラグが設定されているか否かに基づいて通信エラーが発生しているか否かをチェックし(ステップS700)、通信エラーが発生していると判断される場合には(ステップS700でN)、通信エラーを報知対象として設定する(ステップS703)。
【0189】
次に通信エラーが発生していない場合には(ステップS700でY)、副記憶手段204にいずれかのメインエラーに対応するエラー検出フラグが設定されているか否かに基づいてメインエラーが発生しているか否かをチェックし(ステップS701)、いずれかのメインエラーが発生していると判断される場合には(ステップS701でN)、副記憶手段204に設定されているエラー検出フラグに対応するメインエラーを報知対象として設定する(ステップS704)。
【0190】
最後にメインエラーが発生していない場合には(ステップS701でY)、副記憶手段204にドア開放エラー検出フラグが設定されているか否かに基づいてドア開放エラーが発生しているか否かをチェックし(ステップS702)、ドア開放エラーが発生していると判断される場合には(ステップS702でN)、ドア開放エラーを報知対象として設定する(ステップS704)。
【0191】
図18は、メインエラーを報知対象とした副制御部20でのエラー報知処理を示すフローチャートである。
【0192】
まず全ての演出装置の状態を副記憶手段204に設けられた退避バッファに退避させてから(ステップS800)、報知対象となっているメインエラーのエラー種別に応じてメインエラー報知処理を実行する(ステップS801~ステップS803)。
【0193】
例えば、報知対象となっているメインエラーのエラー種別が、逆流エラー(E1)、払い出し異常エラー(E4)、または投入異常エラー(E9)のいずれかである場合には(ステップS801でE1,E4,E9)、外周ランプALおよび下部パネルランプDPLを点灯し、MAXベットランプおよびバックライトユニットLUを消灯し、スピーカSPから警告音AとメッセージAとを出力する演出態様のメインエラー報知処理を実行する(ステップS802)。
【0194】
また例えば、報知対象となっているメインエラーのエラー種別が、エンプティエラー(E2)、払い出し詰まりエラー(E3)、オーバーエラー(E5)、または滞留エラー(E6)のいずれかである場合には(ステップS801でE2,E3,E5,E6)、外周ランプALおよび下部パネルランプDPLを点滅させ、MAXベットランプおよびバックライトユニットLUを消灯し、スピーカSPから警告音BとメッセージAとを出力し、液晶ユニットLCUの液晶表示部LCDにエラー内容を表示する演出態様のメインエラー報知処理を実行する(ステップS803)。
【0195】
そしてメインエラー報知処理が実行されている状況では、主制御部10からのエラー解除コマンドを待機し(ステップS804)、エラー解除コマンドを受信した場合に(ステップS804でY)、復帰処理が行われる(ステップS805)。復帰処理では副記憶手段204に設定されたメインエラーに関するエラー検出フラグ等の情報をクリアするとともに、退避バッファに退避させた情報に基づいて各演出装置の状態を元の状態に復帰させて一連の処理を終了する。
【0196】
図19は、ドア開放エラーを報知対象とした副制御部20でのエラー報知処理を示すフローチャートである。
【0197】
まずMAXベットランプを除く演出装置の状態を副記憶手段204に設けられた退避バッファに退避させてから(ステップS900)、報知対象となっているドア開放エラーに対応するエラーコード(E8)を設定してサブ表示器DS2にエラーコード(E8)を表示してから(ステップS901)、外周ランプALおよび下部パネルランプDPLを点滅させ、バックライトユニットLUを消灯し、スピーカSPから警告音BとメッセージBとを出力し、液晶ユニットLCUの液晶表示部LCDにエラー内容を表示する演出態様のドア開放エラー報知処理を実行する(ステップS902)。なおMAXベットランプについてはドア開放エラー報知処理の対象外デバイスとなっているため、メインループ処理の進行に応じて主制御部10から送信されてくる制御コマンドに応じてMAXベットランプの点灯制御が行われる。
【0198】
そしてドア開放エラー報知処理が実行されている状況では、主制御部10からのドア閉コマンドを待機し(ステップS903)、ドア閉コマンドを受信すると(ステップS903でY)、副記憶手段204に復帰ウェイトタイマを設定して(ステップS904)、復帰ウェイトタイマが所定期間(約2秒)を計時してタイムアップするまでタイマウェイト処理を行ってから(ステップS905)、復帰処理が行われる(ステップS906)。復帰処理では副記憶手段204に設定されたドア解放エラー検出フラグやドア開放エラー検出タイマ等のドア開放エラーに関連する情報をクリアするとともに、退避バッファに退避させた情報に基づいて各演出装置の状態を元の状態に復帰させて一連の処理を終了する。
【0199】
図20は、通信エラーを報知対象とした副制御部20でのエラー報知処理を示すフローチャートである。
【0200】
まずMAXベットランプを除く演出装置の状態を副記憶手段204に設けられた退避バッファに退避させてから(ステップS1000)、報知対象となっている通信エラーに対応するエラーコード(EF)を設定してサブ表示器DS2にエラーコード(EF)を表示してから(ステップS1001)、外周ランプALおよび下部パネルランプDPLを点滅させ、バックライトユニットLEを消灯し、スピーカSPから警告音BとメッセージAとを出力し、液晶ユニットLCUの液晶表示部LCDにエラー内容を表示する演出態様の通信エラー報知処理を実行する(ステップS1002)。なおMAXベットランプについては通信エラー報知処理の対象外デバイスとなっているため、メインループ処理の進行に応じて主制御部10から送信されてくる制御コマンドに応じてMAXベットランプの点灯制御が行われる。
【0201】
そして本実施形態では、通信エラーについては電断復帰によってのみ解除可能となっているため、ひとたび通信エラーが発生すると遊技機の電源が落とされるまで演出装置の状態が復帰することはなく通信エラーを報知する状態が継続することになる。
【0202】
ところで本実施形態のような遊技機においては各種のセンサが設けられており、センサからの信号の状況によってエラー条件を満たしているかが判断され、エラー条件を満たしていることに基づいてエラーの発生が検出され、エラーの発生が報知される機能が備えられている。こうしてエラーの発生が報知されると、遊技機はエラーが解除されるまで継続的にエラーの発生を報知する状態となり、遊技場を運営する店員などの作業者によって発生したエラーの原因が取り除かれて所定の解除操作が行われると、発生したエラーに対応する解除処理が行われて正常な状況に復帰するようになっている。従来では遊技機の筐体に対して開閉自在に設けられた前面扉が開放していることによって発生するエラーであるドア開放エラーについては、前面扉が開放された状況が筐体に内蔵された各種制御部へのアクセスを可能とすることから、重要なエラー項目として扱われている。
【0203】
そして前面扉FDは、遊技者が容易に各種制御部などへアクセスすることができないようにする保護手段としての役割を担っていることに加えて、遊技者に対して遊技に関する各種情報を報知する報知装置が取り付けられている。そして前面扉FDに取り付けられた報知装置は、既述のエラーの発生を報知することにも利用され、作業者が状況確認をするための手段となっていることから、作業者の状況確認の利便性の向上が求められている。
【0204】
そこで本実施の形態では、副制御部20によって制御される上部パネルランプUPL、下部パネルランプDPL、外周ランプAL、サブ表示器DS2、およびスピーカSPが存在し、上部パネルランプUPLは、前面扉FDの開閉によっては動作態様が変化せず、下部パネルランプDPL、外周ランプAL、サブ表示器DS2、およびスピーカSPは、前面扉FDの開放を報知する動作態様が存在し、副制御部20が、前面扉FDが開放された状態で遊技機の電源投入がなされた場合、上部パネルランプUPLを、主制御部10によって制御されるメイン表示器DS1より先に動作を開始させ、下部パネルランプDPL、外周ランプAL、サブ表示器DS2、およびスピーカSPを上部パネルランプUPLより後に動作を開始させる制御を行う手法を採用している。
【0205】
図21は、本実施形態の手法を適用した第1実施態様に関するタイミングチャートを示す図である。第1実施態様では、下部パネルランプDPL、外周ランプAL、サブ表示器DS2、およびスピーカSPがメイン表示器DS1よりも後に動作を開始する。
【0206】
本実施形態の遊技機では、電源投入を行う場合、前面扉FDを開放する必要がある。この前面扉FDが開放されている状態を前面扉開放状態とする。前面扉開放状態で遊技機の電源投入がなされると、副制御部20が主制御部10に先立って起動し、主制御部10からのコマンドを受信可能な状態で主制御部10の起動完了を待機する。
【0207】
副制御部20によって制御されるサブ表示器DS2、上部パネルランプUPL、下部パネルランプDPL、外周ランプAL、およびスピーカSPのうち、エラー報知に関連しない上部パネルランプUPLについては副制御部20の起動直後のタイミングT1(例えば、電源投入から約0.5秒後)において点灯して通常動作を開始する。
【0208】
続いて主制御部10が正常に起動してメインエラーが発生していない場合には、主制御部10の起動直後のタイミングT2(例えば、電源投入から約1.5秒後)においてメイン表示器DS1が電断直前の状態に復帰して通常動作を開始する。主制御部10の起動が完了すると主制御部10から副制御部20にドア開コマンドが送信され、ドア開コマンドを受信した副制御部20ではドア開放エラーを検出し、タイミングT3(例えば、電源投入から約1.8秒後)においてサブ表示器DS2、下部パネルランプDPL、外周ランプAL、およびスピーカSPが前面扉FDの開放を報知するエラー報知動作を開始する。
【0209】
その後、前面扉FDが閉扉されると、主制御部10からドア閉コマンドが送信され、ドア閉コマンドを受信した副制御部20では直ちに復帰処理を行わずにサブ表示器DS2、下部パネルランプDPL、外周ランプAL、およびスピーカSPのエラー報知動作を僅かの間だけ維持し、副制御部20による復帰処理が完了したタイミングT4(例えば、閉扉から約2秒後)においてサブ表示器DS2、下部パネルランプDPL、外周ランプAL、およびスピーカSPが電断直前の状態に復帰して通常動作を開始する。
【0210】
第1実施態様において、タイミングT2とタイミングT3との差は、タイミングT1とタイミングT2との差よりも十分に短いことが好ましい。このようにすればサブ表示器DS2、下部パネルランプDPL、外周ランプAL、およびスピーカSPの動作開始により主制御部10の正常な起動をいち早く察知することができる。
【0211】
図22は、本実施形態の手法を適用した第2実施態様に関するタイミングチャートを示す図である。第2実施態様では、下部パネルランプDPL、外周ランプAL、サブ表示器DS2、およびスピーカSPがメイン表示器DS1と略同時に動作を開始する。
【0212】
第2実施態様でも第1実施態様の場合と同様に、前面扉開放状態で遊技機の電源投入がなされると、副制御部20が主制御部10に先立って起動し、主制御部10からのコマンドを受信可能な状態で主制御部10の起動完了を待機する。
【0213】
副制御部20によって制御されるサブ表示器DS2、上部パネルランプUPL、下部パネルランプDPL、外周ランプAL、およびスピーカSPのうち、エラー報知に関連しない上部パネルランプUPLについては副制御部20の起動直後のタイミングT1(例えば、電源投入から約0.5秒後)において点灯して通常動作を開始する。
【0214】
続いて主制御部10が正常に起動してメインエラーが発生していない場合には、主制御部10の起動後のタイミングT2(例えば、電源投入から約1.5秒後)においてメイン表示器DS1が電断直前の状態に復帰して通常動作を開始する。主制御部10の起動が完了すると主制御部10から副制御部20にドア開コマンドが送信され、ドア開コマンドを受信した副制御部20ではドア開放エラーを検出し、メイン表示器DS1と略同時のタイミングT2(例えば、電源投入から約1.5秒後)においてサブ表示器DS2、下部パネルランプDPL、外周ランプAL、およびスピーカSPが前面扉FDの開放を報知するエラー報知動作を開始する。
【0215】
その後、前面扉FDが閉扉されると、主制御部10からドア閉コマンドが送信され、ドア閉コマンドを受信した副制御部20では直ちに復帰処理を行わずにサブ表示器DS2、下部パネルランプDPL、外周ランプAL、およびスピーカSPのエラー報知動作を僅かの間だけ維持し、副制御部20による復帰処理が完了したタイミングT3(例えば、閉扉から約2秒後)においてサブ表示器DS2、下部パネルランプDPL、外周ランプAL、およびスピーカSPが電断直前の状態に復帰して通常動作を開始する。
【0216】
第2実施態様では、メイン表示器DS1の動作開始とサブ表示器DS2、下部ランプパネルDPL、外周ランプAL、およびスピーカSPの動作開始とについて極めて短い時間であればズレが生じていてもよい。またサブ表示器DS2、下部パネルランプDPL、外周ランプAL、およびスピーカSPの全てがメイン表示器DS1と略同時に動作を開始する必要はなく、サブ表示器DS2、下部パネルランプDPL、外周ランプAL、およびスピーカSPのうち最も早く動作を開始するデバイスがメイン表示器DS1と略同時に動作を開始すればよい。
【0217】
図23は、本実施形態の手法を適用した第3実施態様に関するタイミングチャートを示す図である。第3実施態様では、下部パネルランプDPL、外周ランプAL、サブ表示器DS2、およびスピーカSPがメイン表示器DS1よりも前に動作を開始する。
【0218】
なお第3実施態様については、例えば、主制御部10側でメイン表示器DS1の復帰処理に先んじて副制御部20にドア開コマンドを送信する構成とすることで実現することができる。また例えば、ドア開閉スイッチ302の入力信号が副制御部20にも直接入力される構成として、副制御部20側で主制御部10からのドア開コマンドを待たずにドア開放エラーを検出することが可能であるようにしても第3実施態様を実現することができる。
【0219】
第3実施態様でも第1実施態様や第2実施態様の場合と同様に、前面扉開放状態で遊技機の電源投入がなされると、副制御部20が主制御部10に先立って起動し、主制御部10からのコマンドを受信可能な状態で主制御部10の起動完了を待機する。
【0220】
副制御部20によって制御されるサブ表示器DS2、上部パネルランプUPL、下部パネルランプDPL、外周ランプAL、およびスピーカSPのうち、エラー報知に関連しない上部パネルランプUPLについては副制御部20の起動直後のタイミングT1(例えば、電源投入から約0.5秒後)において点灯して通常動作を開始する。
【0221】
続いて主制御部10が正常に起動してメインエラーが発生していない場合には、主制御部10の起動が完了すると主制御部10から副制御部20にドア開コマンドが送信され、ドア開コマンドを受信した副制御部20ではドア開放エラーを検出し、タイミングT3(例えば、電源投入から約1.2秒後)においてサブ表示器DS2、下部パネルランプDPL、外周ランプAL、およびスピーカSPが前面扉FDの開放を報知するエラー報知動作を開始する。一方、主制御部10の起動後のタイミングT3(例えば、電源投入から約1.5秒後)においてメイン表示器DS1が電断直前の状態に復帰して通常動作を開始する。
【0222】
その後、前面扉FDが閉扉されると、主制御部10からドア閉コマンドが送信され、ドア閉コマンドを受信した副制御部20では直ちに復帰処理を行わずにサブ表示器DS2、下部パネルランプDPL、外周ランプAL、およびスピーカSPのエラー報知動作を僅かの間だけ維持し、副制御部20による復帰処理が完了したタイミングT4(例えば、閉扉から約2秒後)においてサブ表示器DS2、下部パネルランプDPL、外周ランプAL、およびスピーカSPが電断直前の状態に復帰して通常動作を開始する。
【0223】
第3実施態様では、サブ表示器DS2、下部パネルランプDPL、外周ランプAL、およびスピーカSPの全てがメイン表示器DS1よりも先に動作を開始する必要はなく、サブ表示器DS2、下部パネルランプDPL、外周ランプAL、およびスピーカSPのうち一部のデバイスがメイン表示器DS1よりも先に動作を開始し、残りのデバイスはメイン表示器DS1と略同時またはメイン表示器DS1よりも後に動作を開始するようにしてもよい。
【0224】
このように本実施の形態では、副制御部20の起動によって前面扉FDの開閉に関わらずに通常動作の態様で動作が可能な上部パネルランプUPLは他のデバイスよりもいち早く動作を開始し、エラー報知動作の態様で動作するサブ表示器DS2、外周ランプAL、下部パネルランプDPL、およびスピーカSPは主制御部10からのコマンド受信を待って、副制御部20がドア開コマンドを受信したことによってドア開放エラーを報知する態様でエラー報知動作を開始する。
【0225】
このため本実施形態の手法によれば、前面扉FDが開放された状態で遊技機の電源投入がなされた場合、上部パネルランプUPLの動作開始によって電源投入に対する通電が正常に行われていることを速やかに察知することができ、サブ表示器DS2、外周ランプAL、下部パネルランプDPL、およびスピーカSPの動作開始によって主制御部10の起動を察知することができるため、作業者の状況確認の利便性を向上させることができる。特に本実施の形態では、サブ表示器DS2、外周ランプAL、下部パネルランプDPLの動作開始の察知は、遊技機の設置環境や作業環境によっては視認が困難である場合もあるが、スピーカSPからの音出力によるエラー報知動作によって前面扉FDの裏面側で作業をしている作業者がエラー報知動作を察知しやすい状況を提供できる。
【0226】
また本実施の形態では、CZ状態(特定制御状態の一例)において遊技者にAT当選の報知態様(制御条件の一例)を選択させる報知態様選択演出が存在し、報知態様の選択結果を次回のCZ状態の移行時まで保持可能として次回のCZ状態において過去の報知態様の選択結果を反映して報知態様選択演出を実行可能とし、所定の初期化条件が成立した場合に報知態様の選択に関連する情報を初期化する手法を採用している。
【0227】
具体的に説明すると、報知態様選択演出では、液晶ユニットLCU(演出装置の一例)の液晶表示部LCDに報知態様の選択候補に対応するキャラクタを表示させ、演出ボタンBEを利用して報知態様の選択を行わせる。本実施形態では、副記憶手段206に格納される報知制御変数によって報知態様が管理されており、
図24(A)は、報知制御変数と、報知態様と、キャラクタとの対応関係を示すものである。本実施形態では、第1報知態様~第4報知態様の4種類の報知態様が存在し、それぞれに対して固有の報知制御変数とキャラクタとが割り当てられており、副記憶手段206に格納されている報知制御変数を報知態様選択演出の実行中において演出ボタンBEに対する操作に基づいて変動可能としている。
【0228】
図24(B)は、報知態様選択演出の実行例を示すものであり、CZ状態の初回遊技において液晶ユニットLCUの液晶表示部LCDに4体のキャラクタと各キャラクタに対応する報知態様に関する情報が示された表示画面が出力される。初期選択の報知態様についてはCZ状態の移行時点において副記憶手段206に格納されている報知制御変数が参照され、例えば、副記憶手段206に格納されている報知制御変数が「0」であった場合、キャラクタAがキャラクタB,C,Dに比して強調表示された表示画面が出力される。報知態様選択演出の実行中において演出ボタンBEに対する操作(演出選択スイッチ504からの入力信号)が検出されると、その都度、副記憶手段206に格納されている報知制御変数が所定の順序(「0」→「1」→「2」→「3」→「0」→・・・)で循環するように変動する。また報知態様選択演出では、4体のキャラクタが上下左右に配置され、選択中のキャラクタ(副記憶手段206に格納されている報知制御変数に対応するキャラクタ)が上下左右のうち下の表示位置に配置されるように制御される。そして演出ボタンBEに対する操作に応答して副記憶手段206に格納されている報知制御変数が変化すると、報知制御変数の変化に連動するように4体のキャラクタが反時計回りに配置が変更されて、上下左右のうち下の表示位置に配置されたキャラクタが強調表示されるように表示内容が変化する。
【0229】
本実施形態では、CZ状態の初回遊技ではスタートレバーSLに対する遊技開始操作を契機としてCZ状態でのAT当選に関する報知態様が確定する。具体的には、遊技開始操作が行われた時点における副記憶手段206に格納されている報知制御変数に対応する報知態様に基づいてAT当選の報知が行われる。本実施形態では、副記憶手段206に格納される報知制御変数を所定の初期化条件が成立しない限り保持し、報知態様選択演出の実行中以外では副記憶手段206に格納されている報知制御変数の変動を許容しない。このため、次回のCZ状態に移行するまでの間において報知制御変数の初期化条件が成立しなければ、次回のCZ状態の移行時点において副記憶手段206に格納されている報知制御変数に従って初期選択のキャラクタを判断して報知態様選択演出が実行される。
【0230】
そして本実施形態では、電源投入等により電断状況から復帰する場合、設定変更モードで遊技機が起動された場合、待機状態に移行した場合において初期化条件が成立して副記憶手段206に格納されている報知制御変数が初期値「0」に初期化される。
【0231】
電源投入等により電断状況から復帰する場合には、副制御部20の起動時における電断復帰処理において副記憶手段206に格納されている報知制御変数が初期化され、設定変更モードで遊技機が起動された場合には、設定変更モードにおける初期化処理において副記憶手段206に格納されている報知制御変数が初期化され、待機状態に移行した場合には、待機状態が終了して非待機状態に復帰する際の復帰処理において副記憶手段206に格納されている報知制御変数が初期化される。ただし、CZ状態においては電断状況から復帰する場合であっても報知制御変数の初期化は行われず、電断直前における報知制御変数が保持されるようにしている。このようにすることでCZ状態の初回遊技において遊技者が選択した報知態様とは異なる報知態様に変更されてしまう不都合を回避することができる。またCZ状態では待機状態への移行を許容しないため、遊技者が意図しない報知態様の変更が発生することを防ぐことができる。なお本実施形態では、AT状態においても待機状態への移行を許容していない。このため、CZ状態からAT状態に移行した場合、AT状態において遊技者が遊技機から離れている期間があっても、その遊技者が選択した報知態様の情報を保持することができる。また本実施形態では、AT状態に滞在している場合において電断状況から復帰する場合には報知制御変数が初期化されるようになっているが、AT状態でも電断状況から復帰する場合には報知制御変数が初期化されないようにしてもよい。
【0232】
以上に述べた本実施形態では、報知態様の選択時に前回選択された報知態様を初期選択の報知態様として提示可能としつつ、遊技者の入れ替わりが発生していると推定できる状況において報知態様の選択情報となる報知制御変数を初期化するようにしたので、前回と同じ報知態様を選択することを望む遊技者の利便性が向上する。
【0233】
なお本実施形態では、報知態様を遊技者に選択させる仕様であったが、CZ状態でのAT当選の獲得方式(制御条件の一例)を遊技者に選択させる仕様であってもよい。例えば、CZ状態での毎遊技においてAT抽選を行ってAT当選を獲得する第1方式と、CZ状態での初回遊技でのみAT抽選を行ってAT当選を獲得する第2方式と、CZ状態で内部抽選の結果に応じてポイントを蓄積して所定ポイントに到達するとAT当選を獲得する第3方式とから遊技者が希望するAT当選の獲得方式を選択させるようにしてもよい。
【0234】
また本実施形態では、報知態様選択演出においてキャラクタの選択はボタン入力方式であったが、液晶ユニットLCUの液晶表示部LCDがタッチパネルであって画面に表示されているキャラクタに対してタッチ入力することでキャラクタを選択するタッチ入力方式であってもよい。また報知態様選択演出においてスタートレバーSLに対する遊技開始操作が選択内容の確定条件であったが、選択時間をタイマ管理としてタイムアップにより選択内容が確定するようにしてもよいし、選択内容を確定するための入力を行う操作手段がキャラクタの選択のための入力を行う操作手段とは別に用意されていてもよい。
【0235】
CZ状態において待機状態への移行を許容しない仕様に関して、CZ状態では待機状態への移行を管理するタイマの更新をストップするようにしてもよいし、タイマのカウント情報に基づき待機状態への移行条件が成立しても副制御部20において待機状態への移行を許容しないようにしてもよい。
【0236】
また本実施の形態では、前面扉FDの開放によって発生するドア開放エラーの発生をサブ基板SUB(副制御部20)で監視し、ドア開放エラーの発生中もメイン基板MAIN(主制御部10)では遊技を進行させるメインループ処理を続行可能として、前面扉を開放したまま遊技機の動作チェックが可能となっているため、遊技機のメンテナンス作業の効率を向上させることができる。
【0237】
特に本実施の形態では、サブ基板SUB(副制御部20)で点灯制御を行うランプユニットとして前面扉FDを電飾する外周ランプALとメダルの投入操作が可能であるか否かを示すMAXベットボタンB0Bに内蔵されたMAXベットランプとについて、ドア開放エラーの発生している状況において外周ランプALでドア開放エラー発生の報知を行う一方で、メインループ処理の進行に応じてMAXベットランプの点灯制御を行うようにしたので、MAXベットボタンB0Bに対する投入操作が正常に受け付けられるかどうかの動作チェックを通常の遊技と同様の動作環境で違和感なく進めることができ、遊技機のメンテナンス作業におけるインターフェース環境を向上させることができる。
【0238】
また本実施の形態のような遊技機では、主記憶手段106のメモリ容量が大きいものを搭載することが禁じられているため、遊技機を設計する上ではメモリ使用量の厳密な管理が要求される。そして本実施の形態のようにドア開放エラーをメイン基板MAIN側で管理するのではなく、メイン基板MAINよりも搭載するメモリ容量の自由度が高いサブ基板SUB側で管理に移すことで、メンテナンス作業の効率が向上するばかりではなく、メイン基板MAINのメモリ使用量も削減することができる。
【0239】
なお本実施の形態では、サブエラー(ドア開放エラー、通信エラー)の発生した状況において、バックライトユニットLUを消灯する演出態様のエラー報知処理を行うようにした場合について説明をしたが、ドア開放エラー報知処理および通信エラー報知処理においてバックライトユニットLUをMAXベットランプと同様に報知処理の対象外デバイスとしてメインループ処理の進行に応じて点灯制御を行うようにしてもよい。
【0240】
このようにすれば、前面扉FDを開放した状態でも通常の遊技と同様の動作環境で第1リールR1~第3リールR3の挙動を確認しやすくなり、前面扉FDを開放したまま行うようなメンテナンス作業におけるインターフェース環境を向上させることができる。
【0241】
なお各リールに配列された図柄の視認性確保という観点からはバックライトユニットLUについてサブエラーが発生した状況では、エラー報知処理の対象デバイスとするが、上記実施形態のようにエラー報知処理においてバックライトユニットLUを消灯するのではなく点灯させたままとするようにしてもよい。
【0242】
特にドア開放エラー報知処理において、バックライトユニットLUを点灯させたままとする場合には、メインループ処理の進行状況に応じてリールの停止時にバックライトユニットLUを消灯させたり、役の入賞時にバックライトユニットLUを点滅させたりする演出態様での点灯制御を行うように構成されていても、前面扉FDが閉まっている状況では、メインループ処理の進行状況に応じた演出態様で点灯制御を行うが、前面扉FDが開放されてドア開放エラーが発生し、ドア開放エラー報知処理を行っている状況では、バックライトユニットLUを点灯させたままとするがメインループ処理においてリールの停止や役の入賞等の演出発生条件が成立してもメインループ処理の進行に応じた演出態様での点灯制御は行わないようにすることができる。
【0243】
また本実施の形態では、副制御部20でのドア開放エラーの検出について、主制御部10からのドア開コマンドを受信してから所定期間を経過したことによってドア開放エラーが発生したと判断するようにしたが、ドア開コマンドを受信した場合に即座にドア開放エラーが発生したと判断するようにしてもよい。また主制御部10においてドア開放スイッチ302の信号状態がオン状態に変化したことに基づいて計時を行い、所定期間を経過したことによって副制御部20に対してドア開コマンドを送信し、ドア開コマンドを受信した副制御部20ではドア開コマンドを受信したことを契機としてドア開放エラーが発生したと判断するようにしてもよい。
【0244】
また本実施の形態では、メインエラーおよびサブエラーのいずれが発生している状況でもエラー報知処理では、液晶ユニットLCUによってエラー内容を表示するようにしたが、サブエラーのうちドア開放エラーが発生している状況では、液晶ユニットLCUをエラー報知処理の対象外デバイスとして、メインループ処理の進行に応じて表示内容の制御が行われるようにしてもよい。
【0245】
また本実施の形態では、遊技を行う際にメダル等の遊技媒体を投入し、役の入賞によって遊技媒体を払い出すようにした遊技機であったが、遊技媒体を用いずに電子的情報としての遊技価値を消費または付与することによって遊技を行わせるようにしてもよい。例えば、遊技機または遊技機に接続される外部ユニットにおいて遊技者の所有する遊技価値の情報を記憶することができるようにして、遊技価値の数を減算することによって遊技価値を消費することを遊技媒体の投入に置き換え、遊技価値の数を加算することによって遊技価値を付与することを遊技媒体の払い出しに置き換えた構成としてもよい。すなわち上記実施形態の発明は、有体物としてのメダル(遊技価値)を用いて遊技を行うスロットマシンに限られるものではなく、有体物としてのメダルを用いずに電子的情報である電子メダル(遊技価値)を遊技媒体として用いて遊技を行う遊技機であるスマートパチスロ(「スマスロ」あるいは「メダルレス遊技機」とも称される。)にも適用することができる。
【0246】
また本実施形態では、液晶ユニットLCUが、部材の再利用性を高める工夫を施した構成となっている。
【0247】
図25は、液晶ユニットLCUの分解斜視図である。本実施形態の液晶ユニットLCUは、液晶ケース510、液晶モジュール520(第1部材の一例)、ガラス受け530、液晶前シート540(第2部材の一例)、前面ガラス550、および固定具560によって構成される。
【0248】
液晶ケース510は、液晶モジュール520の背面および側面を保護する樹脂製のケースであり、液晶ケース510には第1リールR1~第3リールR3を視認可能とする表示窓DWとして機能する開口部511が設けられている。
【0249】
液晶モジュール520は、非透過部521と、透過部522と、ベゼル部523とが設けられており、透過部522が第1リールR1~第3リールR3を視認可能とする表示窓DWとして機能する。非透過部521は、後述する液晶前シート540の第1開口部541によって露出する領域において液晶表示部LCDとして機能して、当該領域において演出画像を表示する。
【0250】
ガラス受け530は、液晶ユニットLCUの最前面となる前面ガラス550を支持する部材であり、液晶モジュール520のベゼル部523に当たって液晶モジュール520の非透過部521と前面ガラス550とが接触しないように前面ガラス550を支持する。
【0251】
液晶前シート540は、装飾用の部材であり、樹脂製の透明フィルムに対して表面側からキャラクタや模様などが見えるように裏面側に印刷加工が施されており、
図26に示すように、裏面にはクッション材543(第3部材の一例)が貼り付けられている。液晶前シート540には、液晶モジュール520の非透過部521の一部を露出させるための第1開口部541と、表示窓DWとして機能する第2開口部542とが設けられている。なお液晶前シート540は、第1開口部541や第2開口部542を設ける代わりに非印刷領域として透明フィルムがくり抜かれずに存在していてもよい。液晶前シート540の裏面において、クッション材543は、第1開口部541の縁と第2開口部542の縁とに沿って貼り付けられている。このようにクッション材543は、第1開口部541の縁に沿って設けられていることによって、リールを視認させる表示窓DWとして機能する第2開口部542側へ液晶表示部LCDの光が漏れにくくなり、リールの視認性が損なわれることを防ぐことができる。また本実施形態では、液晶前シート540の外周縁が前面ガラス550とガラス受け530との間に挟まり、液晶前シート540の裏面に貼り付けられたクッション材543が液晶前シート540と液晶モジュール520との間に介在することで隙間が生じるようになっている。このため、液晶前シート540と液晶モジュール520との間に空隙を設けることで、液晶モジュール520の発熱を緩和することができる。液晶前シート540の裏面側には、印刷加工による塗布膜が存在しているため、表面側に比べて裏面側は塗布膜による微細な凹凸が存在する。また液晶モジュール520の非透過部521、透過部522、およびベゼル部523は表面側がガラスで覆われている。このため液晶前シート540の裏面側(塗布膜)とクッション材543との間の静止摩擦係数は、液晶モジュール520の前面側(ガラス)とクッション材543との間の静止摩擦係数よりも大きい。また本実施形態においてクッション材543は、クッション材543と液晶モジュール520の前面側との間の静止摩擦係数がクッション材543と液晶前シート540の裏面側との静止摩擦係数よりも大きい材質のスポンジにより形成されている。そして本実施形態の液晶ユニットLCUでは、クッション材543を設けていない場合に比べて液晶モジュール540の非透過部521と液晶前シート540との接触面積が減っていることによって、液晶モジュール520と液晶前シート540との位置関係をずれにくくした上で、液晶モジュール520の前面側を覆うガラス面に擦れ傷などが生じにくくなり、液晶モジュール520の再利用性を高めることができる。
【0252】
前面ガラス550は、液晶モジュール520の前面を保護するガラス板であり、液晶ユニットLCUの組み立て時には、前面ガラス550がガラス受け530に当接して液晶モジュール520の前面側に直接的に接触しないようになっている。
【0253】
固定具560は、前面ガラス550と液晶ケース510とを固定する部品であり、固定具560によって液晶ケース510と前面ガラス550とが固定されると、固定具560が当接する前面ガラス550が液晶ケース510の方に押圧され、液晶前シート540の裏面に貼り付けられたクッション材543が弾性変形する。
【0254】
このように前面ガラス550と液晶ケース510とを固定することによってクッション材543が液晶モジュール520に押しつけられて弾性変形することで液晶ユニットLCUが起立した状態でも液晶前シート540と液晶モジュール520との位置関係を固定しやすくなっているため、液晶ユニットLCUの取り付け時における作業利便性が高い。
【0255】
図25にて示した液晶ユニットLCUを構成する各部品について、液晶ケース510、液晶モジュール520、ガラス受け530、液晶前シート540、前面ガラス550を順に重ねて液晶ケース510と前面ガラス550とを固定具560によって固定すると、
図27(A)に示すように、液晶ユニットLCUが完成する。
【0256】
図27(B)は、液晶ユニットLCUにおける液晶モジュール520の前面側の断面を簡略的に示す図であり、
図27(B)に示すように、液晶前シート540は裏面に貼り付けられたクッション材543が液晶モジュール520の非透過部521に接触して液晶前シート540を支持することで液晶前シート540が撓むことを防ぐことができる。また液晶前シート540をクッション材543で支持する構成とすることによって、両面テープなどを使用して液晶前シート540を固定する場合に比べて接着剤の残滓が他の部材に残留することを防ぐことができる。また液晶前シート540の裏面に設けたクッション材543によって液晶モジュール520の非透過部521と他の部材との接触面積を減らすことができるため、液晶部521の表面へ擦り傷が生じにくい。また液晶前シート540は印刷加工を施した樹脂製フィルムであるため、長期間において他の部材と接触していると樹脂の劣化によって液晶前シート540が他の部材へ貼りついてしまうことや、液晶前シート540と接触する他の部材へ印刷内容の転写が発生してしまうおそれがある。そこで本実施形態の液晶ユニットLCUでは、耐熱性や耐湿性を考慮したクッション材543を使用することで液晶前シート540と液晶モジュール520との直接的な接触を防ぐことで、既述の部材間の貼りつきや印刷内容の転写などが発生しにくくなり、液晶ユニットLCUから取り外した液晶モジュール520の再利用性を高めることができる。
【0257】
なお第1部材と第3部材とは平面的に対面するものではなく、第1部材と第3部材とは曲面的に対面するものであってもよい。例えば、第1部材は、液晶モジュール520の他、シリンダー錠であってもよく、第2部材は、液晶前シート540の他、シリンダー錠用の開孔部であってもよく、シリンダー錠の外周面がシリンダー錠用の開孔部の内周面に対面するようなものであってもよい。また第3部材は、クッション材543となるスポンジの他、ゴム、両面テープ、導電スポンジ等であってもよい。
【0258】
また液晶前シート540は、表示窓DWとして機能する第2開口部542の外縁が液晶モジュール520の透過部522の外縁より僅かに進出するように配置されるようにしてもよい。このようにすれば、液晶モジュール520の演出画像などを表示する領域と演出画像などを表示しない領域との境界を鮮明にして、視覚的な演出効果を高めることができる。
【0259】
また液晶モジュール540の前面側または後面側において表示窓DWとして機能する開口を設けた導光板を設けて開口の内側に第1リールR1~第3リールR3に向けて光を偏光する偏光部材を設けるようにしてもよい。このようにすれば、リールの外周面に配列された図柄の視認性を高めつつ、視覚的な演出効果を高めることができる。
【0260】
2.第2実施形態
以下、本発明の第2実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下では遊技機の1つであるスロットマシンについて説明するが、本発明に係る遊技機は、スロットマシンに限ることなく、パチンコ遊技機やメダルレス遊技機等の遊技機であってもよい。
【0261】
また、以下の説明においては、基本的に「前後」とは、スロットマシンの前側に遊技者が居る場合に、遊技者側が「前」で、スロットマシン側が「後」を意味し、「上下」とはスロットマシンの上面側が「上」で、下面側が「下」を意味し、「左右」とはスロットマシンを遊技する遊技者の左手側が「左」を意味し、右手側が「右」を意味する。
【0262】
なお、本発明は、その発明の範囲内において、各構成の自由な組み合わせ、あるいは各構成の任意の変形、もしくは各構成の省略が可能である。
【0263】
図28は、スロットマシン100を示す斜視図である。また、
図29は、スロットマシン100の筐体1の内部を示す斜視図である。このスロットマシン100は、筐体(遊技機筐体)1を備えている。また、筐体1は、天板2、背板3、底板4および左右の側板5,6を備え、当該筐体1の前面側に開口する前面開口部を有する箱形に形成されている。なお、背板3は、天板2、底板4および左右の側板5,6よりも板厚が薄くなっていてもよい。
【0264】
以下では、天板2の下面、背板3の前面、底板4の上面、左側の側板5の右面および右側の側板6の左面、すなわち天板2、背板3、底板4、側板5または側板6における筐体1の内側を向く板面を「内面」と呼ぶことがある。また、天板2の上面、背板3の背面、底板4の下面、左側の側板5の左面および右側の側板6の右面、すなわち天板2、背板3、底板4、側板5または側板6における筐体1の外側を向く板面を「外面」と呼ぶことがある。筐体1は、木製、合成樹脂製、または金属製等となっている。また、筐体1の材料は1種類に限らず、例えば一部(天板2)が木製であり、その他(背板3、底板4および左右の側板5,6)が樹脂製となっていてもよい。また、例えば天板2が2種類の材料(樹脂と金属)で構成されていてもよい。
【0265】
筐体1の正面側には、筐体1の前面開口部を開閉可能に閉塞する前面扉20が設けられている。前面扉20は、筐体1にヒンジ29を介して回動可能に連結されており、筐体1の開口部を開閉するようになっている。なお、前面扉20は、上側部分(上扉)と下側部分(下扉)とで分かれている等、複数の扉に分かれているものであってもよい。また、スロットマシン100は、遊技場における機種の交換時に筐体1、前面扉20の下側部分および筐体1内の電源ユニット10やホッパーユニット11等が遊技場の島設備に取り付けられたままで、前面扉20の上側部分およびリールユニット14等が交換可能な、いわゆる分離型筐体タイプのものであってもよい。前面扉20が、上扉と下扉とに分割されている場合、上扉および下扉はそれぞれ筐体1に対して開閉自在となっている。すなわち、上扉は、ヒンジ29を介して回動可能に連結され、筐体1の開口上部を開閉するようになっている。また、下扉は、ヒンジ29を介して回動可能に連結され、筐体1の開口下部を開閉するようになっている。
【0266】
前面扉20の上部側には、平板状のパネル21が設けられている。パネル21の背面(奥側)には演出装置としての表示装置(表示手段、液晶ディスプレイ)が設けられている。液晶ディスプレイには、遊技を補助したり、遊技を盛り上げたりするための各種の映像(演出画像)が表示される。
【0267】
また、前面扉20の中央部には、透明な表示窓(窓部)22が設けられている。表示窓22の奥には、3個のリール15a~15c(
図2参照)が横一列に設けられている。そして、表示窓22を介してリール15a~15cの一部が視認可能となっている。各リール15a~15cの外周面には、複数種類の図柄が周方向に沿って一列に配列されており、リール15a~15cが停止すると、表示窓22を介して1リール当たり3個の連続する図柄(上段図柄、中段図柄および下段図柄)が表示される。また、表示窓22には、リール15a~15cの図柄を視認するための表示位置として、上段、中段、下段が設けられており、リール15a~15cの表示位置の組合せによって有効ラインが設定されている。本実施形態の遊技機では、第1リール15aの中段と、第2リール15bの中段と、第3リール15cの中段と、によって有効ラインが構成されている。
【0268】
本実施形態の遊技機では、1回の遊技に関して必要なメダルの数(規定枚数)が「3」に設定されており、規定枚数のメダルが投入されると、有効ラインが有効化されるようになっている。3個のリール15a~15cが停止したときに、表示窓22を介して表示される図柄の組合せによって当選役が入賞したか否かが表示される。スロットマシン100では、遊技開始に伴ってリール15a~15cが回転を開始するとともに、内部抽選が実行され、当選役のいずれかの当選またはハズレ(不当選)が決定される。そして、リール15a~15cが停止したときに、内部抽選で当選した当選役に対応する図柄組合せが有効ラインに表示されると、この当選役が入賞となり、入賞した当選役に対応する処理(入賞処理)が実行される。
【0269】
前面扉20には、演出(報知)等を行う演出装置としての照明装置(照明手段)24,25、スピーカ(音出力手段)等が設けられている。照明装置24は、前面扉20のパネル21の上部側に設けられている。また、照明装置25,25は、前面扉20の左右両端部に設けられている。これらの照明装置24,25を含む、発光性または非発光性の立体的形状を有する装飾部材26が前面扉20の所定部分に設けられ、遊技機の前面側の外形は凹凸を有するものとなっている。すなわち装飾部材26によって、遊技機が装飾されている。
【0270】
スピーカ(図示せず)は、前面扉20に複数設けられ、例えば上部および下部に設けられている。スピーカは、遊技を補助したり、遊技を盛り上げたりするための各種演出用の音(音楽、BGM、効果音、音声等)を出力する。なお、演出装置として、液晶ディスプレイ、照明装置24,25およびスピーカの他に、アクチュエータ等で動作可能な可動役物等が設けられていてもよい。
【0271】
前面扉20の上下方向中央部には、スロットマシン100を操作するための操作部30が設けられている。この操作部30には、メダル(遊技メダル、遊技媒体、遊技価値)を精算する際に操作される精算ボタン60、遊技を開始させる際に操作されるスタートレバー32、3個のリール15a~15cのそれぞれの回転を停止させる際に操作されるストップボタン33(3個のストップボタン33a,33b,33c)、メダルを投入するためのメダル投入口34、メダル投入口34の下方で発生したメダル詰まりを解消する際に操作されるリジェクトボタン70、クレジットされたメダルをベット(投資)する際に操作される(最大の賭数を設定する際に操作される)MAXベットボタン35(ベットボタン)、等が設けられている。なお、ベットボタンとして、3枚(規定枚数)のメダルをベットする際に操作されるMAXベットボタン35(第1ベットボタン)の他に、1枚のメダルをベットする際に操作される1ベットボタン(第2ベットボタン)が設けられていてもよい。また、前面扉20には、演出を進行させる(演出の態様を変化させる)際等に操作される演出ボタン36(演出操作部)が設けられている。
【0272】
また、操作部30には、遊技の演出等を選択する際に操作される操作盤57や、遊技情報が表示される表示ユニット58等が設けられている。操作盤57は操作部30の幅方向(左右方向)の略中央部に設けられており、表示ユニット58は、メダル投入口34の右側に設けられている。なお、操作盤57は、例えば、十字キー、決定ボタンおよびキャンセルボタン等を備えている。
【0273】
また、前面扉20の下部には、スロットマシン100の内部よりメダルを排出する(送り出す)ための払出口50と、払出口50から排出された(払い出された)メダルを溜めておくことが可能な受皿38と、が設けられている。また、操作部30と受皿38との間には遊技機の外観を装飾するための下パネル39が設けられている。この下パネル39の背面側には、照明用の光源(LED)が設けられており、この光源からの光によって下パネル39が背後から照らされるようになっている。なお、下パネル39は、押し込み可能に形成され、演出ボタンと同等の機能を有する演出操作部となっていてもよい。
【0274】
図29に示すように、筐体1の内部には、リールユニット14が設けられている。リールユニット14は、周囲に複数の図柄を表示した3個のリール15a,15b,15cや、リール15a~15cを回転させるための駆動モータ(ステッピングモータ)等を備えている。なお、各リールは、各ステッピングモータの出力軸に固定されている。
【0275】
また、筐体1の内部における、底板4の上面には、各部品に電力を供給する電源ユニット(電源手段)10、メダルを貯蔵するとともにメダルを払い出す払い出し装置としてのホッパーユニット(メダル払出装置11)11(払出装置)、メダル払出装置11に貯蔵されたメダルが一定量に達した際に余剰メダルが送り出されるキャッシュボックス12等が設けられている。なお、筐体1の内部(内側)に電源ユニット10等の部品が配置されたものを、裏箱ユニットと称してもよい。電源ユニット10は、電源スイッチを備えており、電源スイッチがON状態になると、電源ユニット10から各部品に電力が供給される。なお、一部の部品には、電源ユニット10がOFF状態でも電力が供給されるようになっていてもよい。
【0276】
前面扉20には、ドアキーシリンダ66が設けられており、ドアキーをドアキーシリンダ66に挿入して前面扉20を解錠することができるようになっている。具体的には、ドアキーシリンダ66に挿入されたドアキーを初期位置から時計回りに回転させる(捻る)ことにより、前面扉20の解錠が行えるようになっている。また、ドアキーシリンダ66に挿入されたドアキーを初期位置から反時計回りに回転させる(捻る)ことにより、エラーの解除操作が行えるようになっている。
【0277】
スロットマシン100は、メダル投入口34にメダルが投入されると、規定枚数(規定投入数)を限度として、投入されたメダルが投入状態に設定される。また、スロットマシン100は、最大で50枚分のメダルをクレジット記憶(貯留記憶)することが可能となっており、メダルがクレジット記憶された状態でMAXベットボタン35が操作されると、規定枚数を限度として、クレジット記憶されたメダルが投入状態に設定される。
【0278】
スロットマシン100では、メダル投入口34を介してメダルが投入され、またはMAXベットボタン35が操作されて規定枚数のメダルがベットされると、スタートレバー32の操作が有効化され、遊技を開始することが可能な状態となる。また、有効化されたスタートレバー32が操作されると遊技が開始される。遊技が開始されると、各リールが回転を開始し、各リールの回転速度が一定速度に到達して定常回転となるとストップボタン33の操作が有効化される。また、有効化されたストップボタン33が操作されると、操作されたストップボタン33に対応するリールの回転が停止する。すべてのリールが停止すると、遊技の結果に応じてメダルを払い出す処理やメダルを新たに消費することなく再度遊技を開始可能な状態とする処理等が行なわれ、1回の遊技が終了する。
【0279】
スロットマシン100の内部には、主制御基板(主制御手段)と、副制御基板(副制御手段)と、が設けられている。副制御基板は、前面扉20の背面側に設けられていてもよい。主制御基板は、MAXベットボタン35、スタートレバー32、ストップボタン33等の入力手段からの入力信号を受けて、遊技を実行するための各種演算を行い、演算結果に基づいてリールユニット14や、ホッパーユニット11等の出力手段の制御を行う。また、副制御基板は、主制御基板から送られてくる信号(情報)を受けて、演出を実行するための各種演算を行い、演算結果に基づいて液晶ディスプレイおよびスピーカ等の各種演出装置の制御を行う。
【0280】
また、主制御基板と副制御基板とは電気的に接続されており、主制御基板から副制御基板へは遊技状態を示す情報など各種情報(信号)の送信が可能となっているが、副制御基板から主制御基板へは情報を送信できないようになっている。また、主制御基板や副制御基板等の各基板の機能は、各種のプロセッサ(CPU、DSP等)、IC、あるいはROMやRAM等の情報記憶媒体等のハードウェアや、ROM等に予め記憶されている所定のプログラムからなるソフトウェアにより実現される。
【0281】
主制御基板には、設定変更キーシリンダ(図示せず)や設定変更ボタン(図示せず)等が設けられている。なお、設定変更キーシリンダや設定変更ボタンは、例えば、電源ユニット10に設けられていてもよい。
【0282】
図28で示したように、前面扉20の下部には、受皿38と、払出口50と、が設けられている。また、
図30(a)に示すように、受皿38の後方側にはキャンセルシュート40が設けられている。図示を省略するが、キャンセルシュート40の後方側(背面側)に、ホッパーユニット11(
図29)が配置されている。
【0283】
図30(b)は、受皿38とキャンセルシュート40を離間させた状態を示す図である。受皿38は、左右方向に長尺な略四角形状(略長方形状)の皿状に形成されている。受皿38は、底部381と、底部381を囲むように起立して形成された(立設された)縁部(壁部)382と、後方側の縁部382に形成された払出口50と、を主に備えている。なお、本実施形態では、受皿38は、メダル等を収容可能な凹状の収容部383を備えているが、収容部383は設けられていなくてもよい。換言すると、収容部383が設けられておらず、底部381がより大きく確保されていてもよい。
【0284】
縁部382は、払出口50から払い出されたメダルが受皿38からこぼれ落ちるのを防ぐ機能を有している。縁部382は、底部381の前側に設けられている前側縁部(前壁部382a)と、底部381の右側に設けられている右側縁部と、底部381の左側に設けられている左側縁部と、底部381の後ろ側に設けられている後側縁部と、からなっている。本実施形態では、前側縁部の高さ(底部381からの高さ)が最も低くなっているが、その高さは、メダルの直径以上の寸法となっている。
【0285】
キャンセルシュート40は、内側(内部)に空間を有するように形成されており、内側をメダルが通過可能となっている。キャンセルシュート40は、内部に侵入したメダルを受皿38に導くメダル通路(案内通路)として機能する。本実施形態では、キャンセルシュート40を「メダル通路」と言う場合がある。キャンセルシュート40は、複数の開口部(後述する)を備えている。換言すると、キャンセルシュート40は、メダルの入口部と出口部とを備えている。本実施形態では、キャンセルシュート40は、第1部材(前部材)と第2部材(後部材)とを前後から合わせて2部材で構成されているが、これに限らず1部材で構成されていてもよく、2部材以上の部材で構成されていてもよい。
【0286】
メダル通路(すなわちキャンセルシュート40)は、通路内でのメダル詰まりを防止する観点から、メダルをスムーズに流下(通過)可能に形成することが求められている。しかし、メダル詰まりを防止するため、メダル通路を、メダルのスムーズな流下を優先し過ぎた形状としてしまうと、後方に位置するホッパーユニット11等に対する不正行為を行いやすくなるという問題が生じる(不正対策性能が低下する)。また、不正対策性能を向上させるため、メダル通路の形状を複雑な形状とした場合には、メダルのスムーズな流下が実現されにくいものとなり、さらに、複雑な形状となる分、前面扉20への他の部材の設置(配置)の妨げとなる(他の部材の設置スペースを圧迫する)という問題が生じる。
【0287】
本実施形態では、メダルのスムーズな流下の実現と、不正対策性能の向上と、他部材の設置の妨げの抑制と、をバランスよく達成(実現)することが可能なメダル通路の形状について説明する。
(第2開口部402)
図30(b)に示すように、キャンセルシュート40の前方側下部には、前後方向に開口する第2開口部402(受皿側開口部)が設けられている。
図31(a)は、キャンセルシュート40を前方側から見た図である。第2開口部402は、前方から見て略四角形状となっている。
図30(a)に示すように、第2開口部402は、受皿38の払出口50と接している。なお、接しているとは、近接している場合と当接している場合とを含む。第2開口部402は、払出口50に対応(対向)する位置に設けられている。前後方向において、第2開口部402と払出口50とが重なるように形成されていると言うこともできる。第2開口部402は、キャンセルシュート40からのメダルの出口部となっている。
【0288】
キャンセルシュート40は、前後方向において、受皿38とメダル払出装置11(
図29)との間に設けられており、メダル払出装置11から送り出されたメダルを受皿38へ導くことが可能となっている(詳細は後述する)。
【0289】
図32は、メダル払出装置11(ホッパー)を前方側から見た図である。メダル払出装置11の前方側(前面側)には、メダル払い出し部111(払出部、発射口部)が設けられている。メダル払い出し部111は、メダルを通過させることが可能に形成されており、例えば、小役が入賞した場合や、クレジットされたメダルが存在する状態で精算ボタン60が押下された場合等に、メダル払い出し部111からメダルが送り出される(発射される)。メダル払い出し部111の開口は、略長方形状となっており、前方から見た場合に、斜め右下がりとなっている。
【0290】
メダル払い出し部111の周辺には周辺壁部112が設けられている。周辺壁部112は、メダル払出装置11の前面のうち、メダル払い出し部111の周辺の所定範囲の部分(壁部分)となっている。所定範囲とは、少なくとも、次に説明する第1開口部401(第1開口部401の開口面積)と対向する範囲を含む範囲(例えば、
図32における破線Qの内側の範囲)となっている。周辺壁部112は、前後方向に対して垂直または略垂直な面となっている。
(第1開口部401)
図31(b)は、キャンセルシュート40を後方側(背面側)から見た図である。キャンセルシュート40の後方側には、前後方向に開口する第1開口部401(ホッパー側開口部)が設けられている。第1開口部401は、略長方形状となっており、後方から見た場合には左下がり(前方から見た場合には右下がり)となっている。第1開口部401は、前面扉20を閉じた状態で、メダル払出装置11のメダル払い出し部111と接している。なお、接しているとは、近接している場合と当接している場合とを含む。
【0291】
前面扉20を閉じた状態で、第1開口部401とメダル払い出し部111とは互いに向かい合った状態となる。開口の大きさは、第1開口部401の方が、メダル払い出し部111(の開口)よりも大きくなっている。第1開口部401は、メダル払い出し部111に対応(対向)する位置に設けられている。前後方向において、第1開口部401とメダル払い出し部111とが重なるように形成されていると言うこともできる。第1開口部401は、キャンセルシュート40へのメダルの入口部(第1の入口部)となっている。
【0292】
図33は、前面扉20(下扉)を背面側から見た図である。前面扉20におけるメダル投入口34(
図1)の下方には、メダルセレクタ(セレクタ)90が設けられている。メダルセレクタ90は、キャンセルシュート40よりも上方に設けられている。メダルセレクタ90は、メダル投入口34から投入されたメダルを選別する機能を有している。例えば、投入されたメダルが正規のメダルではない場合や、メダルの投入タイミングが適切なタイミングでない場合等に、メダルセレクタ90は、投入されたメダルを下方のキャンセルシュート40へ導く(下方のキャンセルシュート40に向けてメダルを落下させる)。
(第3開口部403)
図34(a)は、キャンセルシュート40を上方から見た図である。キャンセルシュート40の上方側(上方の右側)には、第3開口部403(セレクタ側開口部)が設けられている。第3開口部403は、上下方向に開口している。第3開口部403は、メダルセレクタ90の下端部と接している。なお、接しているとは、近接している場合と当接している場合とを含む。第3開口部403は、略四角形状となっている。第3開口部403は、キャンセルシュート40へのメダルの入口部(第2の入口部)となっている。
(各開口部の位置関係)
図34(b)は、キャンセルシュート40を左側から見た図(左側面図)である。第1開口部401と第2開口部402とは、上下方向において、異なる高さ(ずれた高さ)に設けられている。第1開口部401は、第2開口部402よりも上方に設けられている。
【0293】
第3開口部403と第2開口部402とは、上下方向において、異なる高さに設けられている。第3開口部403は、第2開口部402よりも上方に設けられている。
【0294】
第1開口部401と第3開口部403とは、上下方向において、異なる高さに設けられている。第3開口部403は、第1開口部401よりも上方に設けられている。
【0295】
メダル払出装置11のメダル払い出し部111から発射されたメダルは、第1開口部401を介してキャンセルシュート40(メダル通路)の内部に入る。そして、キャンセルシュート40は、第1開口部401から内部へ侵入したメダルを、前方へ導く(案内する)。第1開口部401からキャンセルシュート40の内部に入ったメダルは、キャンセルシュート40の内部を通過(流下、スライド)して進み、第2開口部402からキャンセルシュート40の外に出るようになっている。
【0296】
また、メダルセレクタ90から送り出された(メダルセレクタ90を通過した)メダルは、第3開口部403を介してキャンセルシュート40の内部に入る。そして、キャンセルシュート40は、第3開口部403から内部へ侵入したメダルを、下方へ導く(案内する)。第3開口部403からキャンセルシュート40の内部に入ったメダルは、キャンセルシュート40の内部を通過して進み、第2開口部402からキャンセルシュート40の外に出るようになっている。
【0297】
図35(a)は、キャンセルシュート40を前方から見た図であって、キャンセルシュート40の前方側を構成する部材を透視(透明化)したものである。第1開口部401と第2開口部402とは、左右方向において、異なる位置(ずれた位置)に設けられている。第1開口部401は、第2開口部402よりも左側に設けられている。また、第3開口部403と第2開口部402とは、左右方向において、異なる位置(ずれた位置)に設けられている。第3開口部403は、第2開口部402よりも右側に設けられている。また、第1開口部401と第3開口部403とは、左右方向において、異なる位置(ずれた位置)に設けられている。
【0298】
本実施形態では、第1開口部401の左端は、第2開口部402の左端よりも左側に位置しているが、第1開口部401の右端は、第2開口部402の左端と第2開口部402の右端との間に位置している。第1開口部401と第2開口部402とは、前方から見た場合における、左右方向のずれ量が比較的小さいが、上下方向(高さ方向)のずれ量が比較的大きいため、前方から見た場合に、重複する範囲(重なる部分)が存在していない。本実施形態では、第1開口部401と第2開口部402は、前方から見て重ならない位置に設けられている。
【0299】
第3開口部403の左端は、第2開口部402の右端よりも右側に設けられている。第3開口部403と第2開口部402とは、左右方向および上下方向(高さ方向)のずれ量が比較的大きく、前方から見た場合に重複する範囲(重なる部分)が存在しない。なお、第3開口部403と第2開口部402とは、開口方向(開口の向き)が異なっている。本実施形態では、第3開口部403と第2開口部402は、前方から見て重ならない位置に設けられている。
【0300】
第1開口部401と第3開口部403とは、左右方向および上下方向(高さ方向)のずれ量が比較的大きく、前方から見た場合に重複する範囲(重なる部分)が存在しない。なお、第1開口部401と第3開口部403とは、開口方向(開口の向き)が異なっている。本実施形態では、第1開口部401と第3開口部403は、前方から見て重ならない位置に設けられている。
【0301】
図35(b)は、キャンセルシュート40の後方側を構成する部材(のみ)を示す図である。キャンセルシュート40の内側の面(メダル通路を構成している面)には、第1傾斜面411と、第2傾斜面412と、第3傾斜面413と、が含まれる。
【0302】
第1傾斜面411は、左右方向において、右側ほど下方となるように傾斜する面(右下がりの傾斜面)となっている。第1傾斜面411は、第1開口部401から入ったメダルと接触し得るように形成されており、メダルが接触した場合には、そのメダルを右下(第2傾斜面412)に導く。
【0303】
第3傾斜面413は、左右方向において、左側に向かうほど下方となるように傾斜する面(左下がりの傾斜面)となっている。第3傾斜面413は、第3開口部403から入ったメダルと接触し得るように形成されており、メダルが接触した場合には、そのメダルを左下(第2傾斜面412)に導く。
【0304】
第2傾斜面412は、第1傾斜面411および第3傾斜面413よりも下方に設けられている。第2傾斜面412は、前後方向において、前側ほど下方となるように傾斜する面となっている。なお、本実施形態では、第2傾斜面412は、勾配(傾き)が異なる2つの斜面からなり、手前側の斜面の方が後方側の斜面よりも傾斜(水平面に対する傾斜)が大きくなっている。
【0305】
第2傾斜面412は、上方から落下してきたメダルと接触し得るように形成されており、接触したメダルを前方側(すなわち第2開口部402)へ導く。第2傾斜面412は、第2開口部402へ続くように形成されており、斜面を下って第2開口部402に到達したメダルは、第2開口部402から外(すなわち受皿38)へ排出される。
【0306】
ここで、第1開口部401から第2開口部402に至る(第1開口部401と第2開口部402を結ぶ)メダル通路を第1通路F1とし、第3開口部403から第2開口部402に至る(第3開口部403と第2開口部402とを結ぶ)メダル通路を第2通路F2とする。
【0307】
第1通路F1は、メダルが進む方向(進行方向)を変更させることが可能な形状を有している。第1通路F1は、少なくとも1つの曲がり部(屈曲部)を有していると言うこともできる。換言すると、第1通路F1は、クランク状となっている。
【0308】
第2通路F2は、メダルが進む方向(進行方向)を変更させることが可能な形状を有している。第2通路F2は、少なくとも1つの曲がり部(屈曲部)を有していると言うこともできる。換言すると、第2通路F2は、クランク状となっている。
【0309】
第1開口部401から第2開口部402に至る第1通路F1は、矢印F1に示すように、後方から前方に進み、曲がり部(第1曲がり部)で曲がって右側(右下側)に進み、次の曲がり部(第2曲がり部)で曲がって前方側(前方下側)に進む通路となっている。
【0310】
第1開口部401を介して後方から前方に発射されたメダルは、通路内の平面状の前面(
図12で符号Pを付した面)に衝突し得る。そして、メダルが衝突する前面には、メダル衝突による衝撃を緩和するための、金属板(緩衝部材)が配置されていてもよい。換言すると、メダル通路の(内面の)一部が金属板で形成されていてもよい。金属板を配置することで、メダルの衝突によって通路の内面が変形、破損等するのを防止できる。金属板は、例えば厚さ約0.4mmのステンレス鋼板であってもよい。なお、緩衝部材として金属板の代わりゴム(弾性体)を用いてもよい。
【0311】
上記では、後方から前方に発射されたメダルが、通路内の平面状の前面に衝突するとしたが、これに限らず、当該メダルが通路内の曲面状の前面に衝突するようになっていてもよい。換言すると、当該前面が湾曲していてもよい。曲面状とは、例えば、前方に向かって凹となっている(窪んでいる)形状であってもよい。メダルが衝突する前面が曲面状となっている場合、平面状である場合に比べてメダル衝突による衝撃が緩和される。これにより、メダルを受皿38へ、よりスムーズに案内できる。
【0312】
第3開口部403から第2開口部402に至る第2通路F2は、矢印F2に示すように、上方から下方に進み、曲がり部(第3曲がり部)で曲がって左側(左下側)に進み、次の曲がり部(第2曲がり部)で曲がって前方側(前方下側)に進む通路となっている。
【0313】
また、第3開口部403から第1開口部401に至る通路を第3通路F3とする。図示を省略するが、第3通路F3は、第1通路F1および第2通路F2と同様に、少なくとも1つの曲がり部を有している。
【0314】
仮に、第1通路F1および第2通路F2が、メダルが進む方向を変更させることが可能な形状となっておらず、直線状である場合(曲がり部が設けられていない場合)、遊技者側から器具(棒状の部材)等を差し込み、不正(いたずら)を行うことが容易となる。本実施形態では、上述のとおり、第1通路F1および第2通路F2が、メダルが進む方向を変更させることが可能な形状となっているため(曲がり部を有しているため)、遊技者側からの器具(部材)等の差し込みが困難となっている。これにより、不正対策性能を向上させることができる。なお、不正対策性能を向上できるとは、器具等の差し込みにより部品が壊されるリスクが低減されていることを含む。
【0315】
ここで、
図36に示すように、第1開口部401と第2開口部402とを通過する(通る)仮想直線を第1仮想直線Xとする。本実施形態では、第1仮想直線Xを、メダル通路(第1通路F1)の内面と接触することなく引く(描出する)ことが可能となっている。換言すると、第1仮想直線Xは、メダル通路の内面に接触することなく描出することが可能な線である。さらに換言すると、第1開口部401と第2開口部402とを、メダル通路の内面と接触しない直線(第1仮想直線X)で結ぶことができる。
【0316】
このような構成によれば、メダル通路(第1通路F1)は、メダル通路の内面と接触することなく第1仮想直線Xを引くことが可能な形状(直線状に連通する空間を有する形状)となっているため、メダルのスムーズな通過(払い出し)を実現できる。また、メダル通路(第1通路)を、第1仮想直線Xを引くことができないほどの複雑な形状とした場合に比べるとシンプルな形状である分、他部材の設置の妨げとなるのを防止できる。
【0317】
図37に示すように、第1開口部401と第3開口部403とを通過する(通る)仮想直線を第3仮想直線Zとする。本実施形態では、第3仮想直線Zを、メダル通路(第3通路F3)の内面と接触することなく引く(描出する)ことは不可能となっている。換言すると、第3仮想直線Zは、メダル通路の内面に接触することなく描出することが不可能な線である。さらに換言すると、第1開口部401と第3開口部403とを、メダル通路の内面と接触しない直線(第3仮想直線Z)で結ぶことができない。第3仮想直線Zは、メダル通路の内面と接触する(当該直線上にメダル通路の内面が存在する)と言うこともできる。
【0318】
このような構成によれば、メダル通路(第3通路F3)は、第3仮想直線Zを引くことができない形状となっているため、例えば、第3開口部403から器具(棒状の部材)等を差し込み、第1開口部401(メダル払い出し部111)にアクセスすることが困難となっている。これにより、不正対策性能を向上させることができる。
【0319】
また、第3仮想直線Zを引くことができない形状となっているので(直線状ではないため)、第3開口部403からキャンセルシュート40内に入ったメダルが、第1開口部401に向かって流下するという変則的な移動を防止できる。
【0320】
図38に示すように、第2開口部402と第3開口部403とを通過する(通る)仮想直線を第2仮想直線Yとする。本実施形態では、第2仮想直線Yを、メダル通路(第2通路F2)の内面と接触することなく引く(描出する)ことは不可能となっている。換言すると、第2仮想直線Yは、メダル通路の内面に接触することなく描出することが不可能な線である。さらに換言すると、第2開口部402と第3開口部403とを、メダル通路の内面と接触しない直線(第2仮想直線Y)で結ぶことができない。第2仮想直線Yは、メダル通路の内面と接触する(当該直線上にメダル通路の内面が存在する)と言うこともできる。
【0321】
このような構成によれば、メダル通路(第2通路F2)は、第2仮想直線Yを引くことができない形状となっているため、第2開口部402から器具(棒状の部材)等を差し込み、第3開口部403(メダルセレクタ90)にアクセスすることが困難となっている。これにより、不正対策性能を向上させることができる。
【0322】
本実施形態では、第1通路F1の方が、第2通路F2よりもメダルが通過する頻度が高いものとなっている。第1通路F1は、不正対策を強化しつつ、メダルが高頻度で通過することを踏まえ、第1仮想直線Xを引くことができる形状とし、メダルのスムーズな通過を実現している。一方、第2通路F2は、メダルが通過する頻度が低い分、不正対策をより強化させ、第2仮想直線Yを引くことができない形状としている、と言える。
【0323】
図39に示すように、第1仮想直線Xにおける前方側(手前側)の端部を一端X1(一端部)とする。第1仮想直線Xは、一端X1が、受皿38の前側縁部(前壁部382a)に接触せず、受皿38の底部381に接触するように引くことが可能となっている。換言すると、第1仮想直線Xは、一端X1が、受皿38の前壁部382aに接触することなく、底部381に接触することが可能な線となっている。
【0324】
このような構成によれば、一端X1が前壁部382aではなく底部381に接触するため、メダル通路を通過したメダルは、前壁部382aではなく底部381に接触する。これにより、メダルが前壁部382aを乗り越えて受皿38の外にこぼれ落ちるのをより確実に防止できる。
【0325】
また、一端X1が前壁部382aに接触する場合よりも底部381に接触する場合の方(一旦X1がより奥側に位置している方)が、底部381が妨げとなるため、手前側から第1通路に器具(棒状の部材)等を差し込むことがより困難となる。これにより不正対策性能を向上させることができる。
【0326】
図40に示すように、第1仮想直線Xにおける後方側(奥側)の端部を他端X2(他端部)とする。第1仮想直線Xは、他端X2が、メダル払出装置11のメダル払い出し部111に接触せず、周辺壁部112(
図32)に接触するように引くことが可能となっている。換言すると、第1仮想直線Xは、他端X2が、メダル払出装置11のメダル払い出し部111に接触することなく、周辺壁部112に接触することが可能な線となっている。
【0327】
このような構成によれば、他端X2がメダル払い出し部111ではなく周辺壁部112に接触するため、仮に第1通路F1に器具(棒状の部材)等が差し込まれた場合であっても、その先端がメダル払い出し部111に接触するのを(メダル払い出し部111にアクセスすることを)(その先端がメダル払い出し部111内に挿入されるのを)困難にすることができる。これにより、不正対策性能をさらに向上させることができる。
(部材G)
ここで、所定の直径(例えば約5mm)を有し、かつ、所定の長さを有する棒状の部材を部材Gとする。所定の長さは、例えば、第3開口部403から第2開口部402までの直線距離よりも長い長さとする。
【0328】
前面扉20が開いた状態で、背面側から第1開口部401に部材Gを差し込んだ場合、部材Gを第1通路F1に、第1通路F1の内面に接触することなく挿し通すことができ、第2開口部402から出た部材Gの先端は、受皿38の底部381に接触する。
【0329】
また、前面扉20が閉じた状態で、かつ受皿38が存在していない状態において、第2開口部402に部材Gを差し込んだ場合、部材Gを第1通路F1に、第1通路F1の内面に接触することなく挿し通すことができ、第1開口部401から出た部材Gの先端は、メダル払出装置11の周辺壁部112に接触する。なお、実際には受皿38の存在が妨げとなるため、手前側から第1通路F1に部材Gを差し込むことは困難である。
【0330】
また、前面扉20が開いた状態で、背面側の第3開口部403に部材Gを差し込んだ場合、部材Gの先端を、第2開口部402から出すことはできない。換言すると、部材Gを第2通路F2に挿し通すことはできない。
【0331】
また、前面扉20が閉じた状態で、かつ受皿38が存在していない状態において、第2開口部402に部材Gを差し込んだ場合、部材Gの先端を、第3開口部403から出すことはできない。換言すると、部材Gを第2通路F2に挿し通すことはできない。
【0332】
また、前面扉20が開いた状態で、背面側の第3開口部403に部材Gを差し込んだ場合、部材Gの先端を、第1開口部401から出すことはできない。換言すると、部材Gを第3通路F3に挿し通すことはできない。
【0333】
第2実施形態の遊技機は、
筐体(例えば筐体1)と、前面扉(例えば前面扉20)と、を備える遊技機であって、
前記筐体は、ホッパー(例えばホッパーユニット11)を備え、
前記前面扉は、受皿(例えば受皿38)と、案内通路(例えばキャンセルシュート40)と、を備え、
前記ホッパーは、遊技価値が発射される発射口部(例えばメダル払い出し部111)と、前記発射口部の周辺壁部(例えば周辺壁部112)と、を備え、
前記受皿は、底部(例えば底部381)と、前記底部の前側に設けられた前壁部(例えば前壁部382a)と、を備え、
前記案内通路は、ホッパー側開口部(例えば第1開口部401)と、受皿側開口部(例えば第2開口部402)と、を備え、
前記ホッパー側開口部から前記受皿側開口部に至る通路を第1通路(例えば第1通路F1)とすると、
前記第1通路は、前記発射口部から発射された遊技価値を前記受皿に案内可能であり、
前記第1通路は、遊技価値が進む方向を変更させることが可能な形状を有しており、
前記ホッパー側開口部と前記受皿側開口部とを通る仮想直線を第1仮想直線(例えば第1仮想直線X)とすると、
前記第1仮想直線は、前記第1通路の内面に接触することなく描出することが可能な線である。
【0334】
このような構成によれば、第1通路が、遊技価値が進む方向を変更させることが可能な形状となっているため、遊技者側からの器具等の差し込みが困難となっている。これにより、不正対策性能を向上させることができる。換言すると、器具等の差し込みにより部品が破損するリスクを低減できる。
【0335】
また、第1通路は、第1仮想直線を第1通路の内面に接触することなく描出可能となっている。これにより、遊技価値のスムーズな通過を実現できる。また、第1通路は、第1仮想直線を描出できないほど複雑な形状とした場合に比べるとシンプルな形状となっている。これにより、他部材の設置の妨げとなるのを防止できる。
【0336】
また、第2実施形態の遊技機において、
前記第1仮想直線は、一端(例えば一端X1)が前記底部に接触し、他端(例えば他端X2)が前記周辺壁部に接触するように描出することが可能な線である。
【0337】
このような構成によれば、案内通路を通過した遊技価値は、前壁部ではなく底部に接触する。これにより、遊技価値が前壁部を乗り越えて受皿の外にこぼれ落ちるのをより確実に防止できる。また、底部が妨げとなるため、手前側から第1通路に器具等を差し込むことがより困難となる。これにより、不正対策性能をより向上させることができる。
【0338】
また、仮に第1通路に器具等が差し込まれた場合であっても、その先端は発射口部ではなく周辺壁部に接触する。このため、当該先端が発射口部に接触するのを(発射口部にアクセスすることを)(当該先端が発射口部内に挿入されるのを)困難にすることができる。これにより、不正対策性能をさらに向上させることができる。
【0339】
また、第2実施形態の遊技機は、
前記前面扉は、セレクタ(例えばメダルセレクタ90)をさらに備え、
前記案内通路は、セレクタ側開口部(例えば第3開口部403)をさらに備え、
前記セレクタ側開口部から前記受皿側開口部に至る通路を第2通路(例えば第2通路F2)とすると、
前記第2通路は、前記セレクタから送られた遊技価値を前記受皿に案内可能であり、
前記第2通路は、遊技価値が進む方向を変更させることが可能な形状を有しており、
前記受皿側開口部と前記セレクタ側開口部とを通る仮想直線を第2仮想直線(例えば第2仮想直線Y)とすると、
前記第2仮想直線は、前記第2通路の内面に接触することなく描出することが不可能な線である。
【0340】
このような構成によれば、第2通路は、第2仮想直線を第2通路の内面に接触することなく描出不可能となっている。このため、受皿側開口部から器具等を差し込み、セレクタ側開口部(セレクタ)にアクセスすることが困難となっている。これにより、不正対策性能を向上させることができる。
【0341】
また、第2実施形態の遊技機において、
前記セレクタ側開口部から前記ホッパー側開口部に至る通路を第3通路(例えば第3通路F3)とし、
前記セレクタ側開口部と前記ホッパー側開口部とを通る仮想直線を第3仮想直線(例えば第3仮想直線Z)とすると、
前記第3仮想直線は、前記第3通路の内面に接触することなく描出することが不可能な線である。
【0342】
このような構成によれば、第3通路は、第3仮想直線を第3通路の内面に接触することなく描出不可能となっている。このため、例えば、セレクタ側開口部から器具等を差し込み、ホッパー側開口部(発射口部)にアクセスすることが困難となっている。これにより、不正対策性能を向上させることができる。
【0343】
また、第3通路は、第3仮想直線を描出できない形状となっているので(直線状ではないため)、セレクタ側開口部から案内通路内に入った遊技価値が、ホッパー側開口部に向かって流下するという変則的な移動を防止できる。
【0344】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で、各構成要素の自由な組み合わせ、任意の構成要素の変形、任意の構成要素の省略等が可能である。換言すると、遊技機の構成等は上述した実施の形態のそれに限定されない。また、本発明は、スロットマシンに限ることなく、遊技者が遊技メダルを用いることなく遊技を行う構造となった管理スロットマシン(メダルレス遊技機)等の他の遊技機にも適用できる。
【符号の説明】
【0345】
BX 筐体、FD 前面扉、DW 表示窓、
L1 有効ライン、DS1 第1メイン表示器、DS2 第2メイン表示器、
DS3 サブ表示器、LCU 液晶ユニット、LCD 液晶表示部、AL 外周ランプ、
UPL 上部パネルランプ、DPL 下部パネルランプ、
R1 第1リール、R2 第2リール、R3 第3リール、
SM ステッピングモータ、SU 支持ユニット、BU ベースユニット、
RD リール本体、TP リールテープ、LU バックライトユニット、
B0A 1ベットボタン、B0B MAXベットボタン、BE 演出ボタン、
SL スタートレバー、B1~B3 ストップボタン、
MI 投入口、MO 払出口、MP メダル受け皿、
DK ドアキーシリンダ、SC メダルセレクター、MS メダルシュート、
MAIN メイン基板、SUB サブ基板、
HP ホッパーユニット、MT メダル貯蔵タンク、CB キャッシュボックス、
EU 電源ユニット、ES 電源スイッチ、KS 設定変更キーシリンダ、
SB 設定変更ボタン、PS リールユニット収納スペース、SP スピーカ、
10 主制御部、
101 設定変更手段、102 遊技制御手段、103 乱数発生手段、
104 メインエラー検出手段、105 メインエラー管理手段、106 主記憶手段、
20 副制御部、
201 演出制御手段、202 サブエラー検出手段、203 サブエラー管理手段、
204 副記憶手段、
301 設定変更スイッチ、302 ドア開閉スイッチ、303 ドアセンサ、
401 投入検知センサ、402、第1メダル通過センサ、
403 第2メダル通過センサ、404 メダルブロッカー、
305 シュートセンサ、307 1ベットスイッチ、308 MAXベットスイッチ、
309 スタートスイッチ、310 リールユニット、405 リールインデックス、
311 ストップスイッチ、406 払出センサ、
313 オーバーフローセンサ、501 表示ユニット、503 ランプユニット、
504 演出選択スイッチ、604 MAXベットランプ
510 液晶ケース、511 開口部、
520 液晶モジュール、521 非透過部、522 透過部、523 ベゼル部、
530 ガラス受け、
540 液晶前シート、541 第1開口部、542 第2開口部、
543 クッション材、
550 前面ガラス、560 固定具、