(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025015014
(43)【公開日】2025-01-30
(54)【発明の名称】鼻汁吸引器
(51)【国際特許分類】
A61M 1/00 20060101AFI20250123BHJP
【FI】
A61M1/00 105
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023118062
(22)【出願日】2023-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】592134114
【氏名又は名称】丹平製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119725
【弁理士】
【氏名又は名称】辻本 希世士
(74)【代理人】
【識別番号】100168790
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 英之
(72)【発明者】
【氏名】赤嶺 彰俊
【テーマコード(参考)】
4C077
【Fターム(参考)】
4C077AA17
4C077BB10
4C077DD10
4C077DD12
4C077DD19
4C077DD26
4C077EE04
4C077KK09
4C077PP16
(57)【要約】
【課題】
本発明は、使用しないときに、乳児や幼児等の鼻に当接する鼻汁吸引具を衛生的に保管することができ、鼻汁吸引具に接続される連通管も見た目にも綺麗に保管することができ、鼻汁吸引具及び連通管を紛失しないように保管することができる鼻汁吸引器を提供することを目的とする。
【解決手段】
空気が出入りする通気孔1aを有し使用者の鼻に当接して鼻汁を吸引して貯留する鼻汁吸引具1と、操作部21を有するピストン22と前記ピストン22を内設し吸排気孔23aを有するポンプ容器23を有するポンプ2と、前記ポンプ2の一の面に立設された支持部3と、前記ポンプ2の吸排気孔23aと前記鼻汁吸引具1の通気孔1aを連通する連通管4と、前記連通管4を係止する連通管係止部5と、前記鼻汁吸引具1を係止する鼻汁吸引具係止部6を備える鼻汁吸引器によって解決することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気が出入りする通気孔を有し使用者の鼻に当接して鼻汁を吸引して貯留する鼻汁吸引具と、
操作部を有するピストンと前記ピストンを内設し吸排気孔を有するポンプ容器を有するポンプと、
前記ポンプの一の面に立設された支持部と、
前記ポンプの吸排気孔と前記鼻汁吸引具の通気孔を連通する連通管と、
前記操作部、前記ポンプの一の面、又は前記支持部の少なくとも一つに設けられ、前記連通管を係止する連通管係止部と、
前記操作部、前記ポンプの一の面、又は前記支持部の少なくとも一つに設けられ、前記鼻汁吸引具を係止する鼻汁吸引具係止部を備えることを特徴とする鼻汁吸引器。
【請求項2】
前記鼻汁吸引具、前記操作部、前記ポンプの一の面及び前記支持部を覆設する蓋体を備えることを特徴とする請求項1に記載の鼻汁吸引器。
【請求項3】
前記鼻汁吸引具が、鼻汁を吸引する吸引孔を有する吸引頭部と、減圧状態のときに内部の空気を通す第一逆止弁と加圧状態のときに外部へ空気を排出する第二逆止弁を有し吸引した鼻汁を貯留する吸引容器を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の鼻汁吸引器。
【請求項4】
前記連通管係止部が、前記連通管の管孔部と嵌合する突起部、前記連通管の管孔部を嵌入する孔部、又は前記連通管の管体部を係止する切欠部から選ばれる少なくとも一つであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の鼻汁吸引器。
【請求項5】
前記鼻汁吸引具係止部が、前記鼻汁吸引具と嵌合する突起部、前記鼻汁吸引具を嵌入する孔部、又は前記鼻汁吸引具を係止する切欠部から選ばれる少なくとも一つであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の鼻汁吸引器。
【請求項6】
前記連通管係止部が前記蓋体の内側面に設けられている、又は前記鼻汁吸引具係止部が前記蓋体の内側面に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の鼻汁吸引器。
【請求項7】
前記蓋体にて、前記ポンプの一の面及び前記支持部を覆設したときに、外観が、略円柱状、略楕円柱状、略角柱状又は略球状のいずれか一つの形状となることを特徴とする請求項2に記載の鼻汁吸引器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乳児や幼児などの鼻腔内に溜まった鼻汁を外部に吸い出すために使用される鼻汁吸引器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、乳児や幼児などは、風邪などで鼻水が鼻腔内に溢れると、自ら上手に鼻をかむことができないことから呼吸が苦しくなることがあり、そのようなとき父母などの大人が鼻水を強制的に吸い出すことで呼吸が楽になることから、種々の鼻汁吸引器が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、吸引機構と、その吸引機構に接続された抽気機構とを備え、その抽気機構は、ポンプと、ピストンと、連通管と、第1逆止弁と、第2逆止弁とを備え、そのピストンは、そのポンプに配置され、その連通管の第1側は、そのポンプに接続され、その連通管の第2側は、その吸引機構に接続され、その第1逆止弁は、そのポンプに配置され、その連通管の第1側に配置され、その第2逆止弁は、そのポンプに配置されている吸引装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の鼻汁等の吸引装置では、鼻汁等を吸引する吸引機構の吸着ヘッドが乳児や幼児等の鼻に当接する部分であるにも関わらず、使用しないときにむき出しとなるために、外部から菌やウイルスなどが付着しやすいなど衛生的に好ましくないという課題があった。さらに、特許文献1に記載の鼻汁等吸引装置では、使用しないときには、吸引機構と連通管が抽気機構から取り外されずに連通管を抽気機構の外周に巻き付けられて保管されたり、吸引機構と連通管が抽気機構から取り外されて抽気機構とは別に保管されたりするところ、連通管を抽気機構の外周に巻き付けられていると見た目に綺麗ではなく、吸引機構と連通管が抽気機構から取り外されて保管されていると紛失するおそれがあった。
【0006】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、使用しないときに、乳児や幼児等の鼻に当接する鼻汁吸引具を衛生的に保管することができ、鼻汁吸引具に接続される連通管も見た目にも綺麗に保管することができ、鼻汁吸引具及び連通管を紛失しないように保管することができる鼻汁吸引器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
〔1〕本発明は、空気が出入りする通気孔(1a)を有し使用者の鼻に当接して鼻汁を吸引して貯留する鼻汁吸引具(1)と、操作部(21)を有するピストン(22)と前記ピストン(22)を内設し吸排気孔(23a)を有するポンプ容器(23)を有するポンプ(2)と、前記ポンプ(2)の一の面に立設された支持部(3)と、前記ポンプ(2)の吸排気孔(23a)と前記鼻汁吸引具(1)の通気孔(1a)を連通する連通管(4)と、前記操作部(21)、前記ポンプ(2)の一の面、又は前記支持部(3)の少なくとも一つに設けられ、前記連通管(4)を係止する連通管係止部(5)と、前記操作部(21)、前記ポンプ(2)の一の面、又は前記支持部(3)の少なくとも一つに設けられ、前記鼻汁吸引具(1)を係止する鼻汁吸引具係止部(6)を備えることを特徴とする鼻汁吸引器である。
【0008】
〔2〕そして、前記鼻汁吸引具(1)、前記操作部(21)、前記ポンプ(2)の一の面及び前記支持部(3)を覆設する蓋体(7)を備えることを特徴とする前記〔1〕に記載の鼻汁吸引器である。
【0009】
〔3〕そして、前記鼻汁吸引具(1)が、鼻汁を吸引する吸引孔(1b)を有する吸引頭部(11)と、減圧状態のときに内部の空気を通す第一逆止弁(V1)と加圧状態のときに外部へ空気を排出する第二逆止弁(V2)を有し吸引した鼻汁を貯留する吸引容器(12)を備えることを特徴とする前記〔1〕又は前記〔2〕に記載の鼻汁吸引器である。
【0010】
〔4〕そして、前記連通管係止部(5)が、前記連通管(4)と嵌合する突起部、前記連通管(4)の管孔部(42)を嵌入する孔部、又は前記連通管の管体部を係止する切欠部から選ばれる少なくとも一つであることを特徴とする前記〔1〕又は前記〔2〕に記載の鼻汁吸引器である。
【0011】
〔5〕そして、前記鼻汁吸引具係止部(6)が、前記鼻汁吸引具(1)の前記通気孔(1a)と嵌合する突起部、前記鼻汁吸引具(1)を嵌入する孔部、又は前記鼻汁吸引具(1)を係止する切欠部から選ばれる少なくとも一つであることを特徴とする前記〔1〕又は前記〔2〕に記載の鼻汁吸引器である。
【0012】
〔6〕そして、前記連通管係止部(5)が前記蓋体(7)の内側面に設けられている、又は前記鼻汁吸引具係止部(6)が前記蓋体(7)の内側面に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の鼻汁吸引器。
【0013】
〔7〕そして、前記蓋体(7)にて、前記ポンプ(2)の一の面及び前記支持部(3)を覆設したときに、外観が、略円柱状、略楕円柱状、略角柱状又は略球状のいずれか一つの形状となることを特徴とする前記〔2〕に記載の鼻汁吸引器である。
【発明の効果】
【0014】
本発明の鼻汁吸引器によれば、乳児や幼児等の使用者の鼻に当接する鼻汁吸引具を衛生的に保管することができ、鼻汁吸引具に接続される連通管も見た目にも綺麗に保管することができ、鼻汁吸引具及び連通管を紛失しないように保管することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態に係る鼻汁吸引器を示す斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る鼻汁吸引器の蓋体を取り外した状態示す一の斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る鼻汁吸引器の蓋体を取り外した状態示す他の斜視図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る鼻汁吸引具を示す平面図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る鼻汁吸引具の
図4におけるA-A線断面図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る鼻汁吸引器の蓋体、鼻汁吸引具、連通管を取り外した状態示す一の斜視図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る鼻汁吸引器の蓋体、鼻汁吸引具、連通管を取り外した状態示す他の斜視図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る鼻汁吸引器の使用時における減圧状態示す断面図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る鼻汁吸引器の使用時における加圧状態示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態に係る鼻汁吸引具及びそれを備えた鼻汁吸引器を図面に基づいて詳しく説明する。以下に説明する実施形態は、本発明を実施するに好ましい具体例であるから、技術的に種々の限定がなされているが、本発明は、以下の説明において特に発明を限定する旨が明記されていない限り、この実施形態に限定されるものではない。なお、説明中における範囲を示す表記「~」のある場合は、上限と下限を含有するものである。また、説明中の上下方向及び左右方向は、
図8及び
図9における上下方向及び左右方向に対応している。
【0017】
図1から
図9に示すように、鼻汁吸引器は、鼻汁吸引具1、ポンプ2、操作部21、支持部3、連通管4、連通管係止部5、鼻汁吸引具係止部6、蓋体7、第一逆止弁V1、第二逆止弁V2などを備えている。
【0018】
鼻汁吸引具1は、鼻汁吸引具1の空気が出入りする通気孔1aを有し、被吸引者の鼻に当接して鼻汁を吸引して貯留する部材であり、さらに、被吸引者の鼻汁を吸引する吸引孔1bを有する吸引頭部11と、鼻汁吸引具1の内部が減圧状態のときに内部の空気を通す第一逆止弁V1と鼻汁吸引具1の内部が加圧状態のときに外部へ空気を排出する第二逆止弁V2を有し吸引した鼻汁を貯留する吸引容器12を有している部材である。鼻汁吸引具1により、被吸引者の鼻汁等を吸引し貯留することができ、吸引した鼻汁等が第一逆止弁V1側に流れても第一逆止弁V1と当接するため鼻汁吸引具1から連結管4へ流れにくくなる。
【0019】
吸引頭部11において、吸引孔1bと連通し、吸引容器12の下部側まで延設された吸引管111が設けられている。そして、
図2、
図4、
図5、
図8、
図9などに示すように、吸引孔1bが設けられている吸引頭部11の先端側は、直接被吸引者の鼻の穴に差し込みやすいように、先細りに形成されている。また、
図5、
図8、
図9に示すように、吸引管111は、吸引した鼻汁が吸引管111の内部に当たって吸引時の勢いを抑制するために、略「く」の字に屈折している。さらに、吸引頭部11は、直接被吸引者の鼻に当接する部材であるため、吸引するときに被吸引者に傷みが生じないように、また、使用後に洗浄しやすいように、シリコーン樹脂、イソプレンゴム、ブタジエンゴムなど弾性を有する樹脂により形成されていることが好ましい。なお、本実施形態おいて、吸引管111は途中で折れ曲がった直線状の管であるが、他の実施形態において、湾曲していてもよい。本実施形態おいて、吸引頭部11は一の部材で形成されているが、他の実施形態において、吸引孔1bを含む箇所において着脱可能な複数の部材で形成されていてもよい。
【0020】
吸引容器12において、通気孔1aと連通し、吸引容器12の上部側まで延設され、第一逆止弁V1弁及び第二逆止弁V2を有する通気管121が設けられている。通気管121は、
図2、
図5、
図8、
図9に示すように、略「ト」の字状に下部側で分岐している形状を有している。通気管121の上端において第一逆止弁V1が嵌合されており、通気管121の下部側の分岐の端部において第二逆止弁V2が嵌合されており、通気管121の下端において何も弁が嵌合されていない通気孔1aが形成されている。そして、第一逆止弁V1が、通気管121の上端に、鼻汁吸引具1の内部が減圧状態になったときに開く割れ目を有するドーム状の先端側から挿入され嵌合している。そして、第二逆止弁V2が、通気管121の下部側の分岐の端部において、鼻汁吸引具1の内部が加圧状態になったときに開く割れ目を有するドーム状の先端側が通気管121の外に位置するように挿入され嵌合している。第一逆止弁V1弁及び第二逆止弁V2が通気管121にこのように設けられることにより、被吸引者の鼻汁を吸引するときにはポンプ2を操作することで通気孔1aから空気が排気されて鼻汁吸引具1の内部が減圧状態になるところ、第一逆止弁V1の先端側の割れ目が開いて通気孔1aと吸引孔1bが連通し、第二逆止弁V2の先端側の割れ目が開かないために被吸引者の鼻汁を吸引することができる。一方、再度被吸引者の鼻汁を吸引する前の合間において、ポンプ2が作動して通気孔1aから空気が供給されて鼻汁吸引具1の内部が加圧状態になるところ、第一逆止弁V1の先端側の割れ目が開かず、第二逆止弁V2の先端側の割れ目が開くことで、鼻汁吸引具1の内部に貯留された鼻汁等が吸引孔1bへ逆流しないように、鼻汁吸引具1の外部に空気を排出することができる。さらに、第一逆止弁V1弁及び第二逆止弁V2は、ポンプ2を操作したときに、鼻汁吸引具1の内部の空気が円滑に流れるように、また、使用後に洗浄しやすいように、シリコーン樹脂、イソプレンゴム、ブタジエンゴムなど弾性を有する樹脂により形成されていることが好ましい。なお、本実施形態おいて、通気管121は分岐している部分を除いては途中で折れ曲がっていない真っすぐな直線状の管であるが、他の実施形態において、直線状に屈折していたり湾曲していたりしてもよい。
【0021】
図5、
図8、
図9に示すように、吸引頭部11及び吸引容器12がこのように構成されることにより、鼻汁吸引具1において、吸引管111の下端と通気管121の上端の位置が相対的に離れることから、より吸引した鼻汁等が鼻汁吸引具1から連結管4へ流れにくくなる。また、吸引頭部11と吸引容器12が係脱可能であることが好ましい。具体的には、吸引頭部11と吸引容器12が取り外し可能に嵌合していることが好ましく、このように構成されていると、鼻汁吸引具1の使用後に洗浄しやすい。
【0022】
ポンプ2は、操作部21を有するピストン22と、ピストン22を内設し吸排気孔23aを有するポンプ容器23を有する部材である。ポンプ2により、連通管4を介して手動で鼻汁吸引具1の内部を減圧状態又は加圧状態として、被吸引者の鼻汁を吸引することできる。
【0023】
操作部21は、使用者が指を当ててピストン22を上下動する部材であるところ、本実施形態において、ピストン22の上部に棒状部材を介して長円の環状に形成されている。使用者はその環状の操作部21に指を挿入してピストン22を上下動させる。なお、本実施形態において、操作部21は環状であるが、他の実施形態において、使用者の指を掛けることができる限りにおいて棒状、略円弧状の湾曲した形状とすることもできる。
【0024】
ピストン22は、操作部21によってポンプ容器23の内部を上下動することにより、連通管4を介して、鼻汁吸引具1の内部を減圧状態又は加圧状態とすることができる。具体的には、ピストン22がポンプ容器23の上部に移動することで鼻汁吸引具1の内部を減圧状態とすることができ、ピストン22がポンプ容器23の下部に移動することで鼻汁吸引具1の内部を加圧状態とすることができる。また、
図8、
図9に示すように、ピストン22の外周には、ポンプ容器23の内壁に摺接して密閉性を向上するために、弾性部材からなるピストンリング221が設けられていることが好ましい。なお、ピストン22は、本実施形態において、略円盤状であるが、ポンプ容器23の内壁の周方向の形状に合わせて略楕円板状、略角板状とすることもできる。
【0025】
また、ピストン22の上面とポンプ容器23の上部の間には、弾性バネSがピストン22の上部に棒状部材を挿通するように設けられている。弾性バネSがピストン22の上面とポンプ容器23の上部が離れる方向へ付勢力を有することにより、使用者が指で操作部21を弾性バネSの付勢力に抗って操作してピストン22をポンプ2の上部に引き上げたあとに、操作部21から指を離すと、弾性バネSの付勢力により操作部21を有するピストン22がポンプ2の下部に押し下げられる。弾性バネSは、本実施形態において、コイル状のスプリングバネであるが、他の実施形態において、ピストン22の上面とポンプ容器23の上部が離れる方向へ付勢力を有する限りにおいて、板状の板バネなどを使用することもできる。
【0026】
ピストン容器23は、ピストン22を内設しており、その下部には吸排気孔23aが穿設されている。ピストン22がポンプ容器23の上下に移動することにより、吸排気孔23aから空気が吸い込まれたり排出されたりする。
図8、
図9に示すように、連通管4を吸排気孔23aの外周に嵌合することができる。また、ピストン容器23の最下部には、使用しないときに吸排気孔23aに異物が入らないように、吸排気孔23aを塞いでおくことができる底蓋231が設けられている。なお、
図1、
図2、
図3、
図5、
図6、
図7などに示すように、ポンプ容器23の外観は、本実施形態において、略円柱状であるが、他の実施形態において、蓋体7の形状と一体性を保ちながら略楕円柱状、略角柱状又は略半球状などの形状とすることもでき、本実施形態と同様にこのときもすっきりと洗練された外観で収納することができる。
【0027】
支持部3は、ポンプ2の一の面である上面に立設され、使用者が手で支持することができる部材である。使用者は、操作部21に指を掛けて支持部3に手のひらの母指球や小指球などの手首側の部分を当てて支持した状態で操作部21を操作することにより、片手でピストン22を上下動させることできる。そして、支持部3は、片手でピストン22を上下動させやすいように、ポンプ2の一の面である上面から露出している操作部21におけるポンプ2の上面からの高さよりも高く立設していることが好ましい。支持部3は、本実施形態において、略逆「U」字状の形状を有しているが、他の実施形態において、蓋体7に覆設されることができ操作部21の操作に干渉しない限りにおいて、略「T」字状などの他の形状とすることができる。また、支持部3は、本実施形態において、ポンプ2と一体的に成型されているが、他の実施形態において、ポンプ2とは別体として成型されて組み立ててポンプ2の一の面である上面に立設されてもよい。
【0028】
連通管4は、ポンプ2の吸排気孔23aと鼻汁吸引具1の通気孔1aを連通する部材である。そして、連通管4は、所定の長さの管状の形状を有しており、ポンプ2の動作による空気の流れを鼻汁吸引具1の内部へ伝えるように作用する。そして、連通管4は、その両端に空気の出入り口となる管孔部41と、連通管4の全体的な形状を特徴づける管体部42を有している。使用しないとき、すなわち鼻汁吸引具1を用いて被吸引者の鼻汁を吸引しないときには、
図4に示すように、連通管4は、後述する連通管係止部5に係止される。また、連通管4は、使用時に鼻汁吸引具1とポンプ2を操作しやすいように、10cm~100cmであることが好ましく、20cm~70cmであることがさらに好ましい。さらに、連通管4は、鼻汁吸引具1とポンプ2を接続する部材であるため、鼻汁吸引具1を自在に動かすことなどができるように、シリコーン樹脂、イソプレンゴム、ブタジエンゴムなど弾性を有する樹脂により形成されていることが好ましい。なお、連通管4は、本実施形態において、細長い円筒形状を有しているが、他の実施形態において、管状である限りにおいて、断面が四角形、六角形などの外形又は内形を有する角筒形状、断面がハート型や星型形などの外形又は内形を有する筒形状などとすることもできる。
【0029】
連通管係止部5は、操作部21、ポンプ2の一の面である上面、又は支持部3の少なくとも一つに設けられ、連通管4を係止する部材である。そして、連通管係止部5は、例えば、連通管4の管孔部41と嵌合する突起部、連通管4の管孔部41を嵌入する孔部、又は連通管4の管体部42を係止する切欠部などから選ばれる少なくとも一つである。連通管係止部5により、連通管4を使用しないときに、連通管4を係止して収納することができ、連通管4を紛失することを防止することができる。具体的には、連通管係止部5である上記突起部が、連通管4の管孔部41と嵌合することができるように、操作部21、ポンプ2の一の面である上面、又は支持部3の少なくとも一つに設けられていたり、連通管係止部5である上記孔部が、連通管4の管孔部41を嵌入することができるように、操作部21、ポンプ2の一の面である上面、又は支持部3の少なくとも一つに設けられていたり、連通管4を係止することができるように、連通管係止部5である上記切欠部が、操作部21、ポンプ2の一の面である上面、又は支持部3の少なくとも一つに設けられていたりする。連通管係止部5は、
図3、
図7に示すように、本実施形態において、支持部3の二か所に設けられた切欠であり、連通管4の両端部側を係止して収納することができ、連通管4を紛失することを防止することができる。また、本実施形態のように、蓋体7を備えるときには、連通管係止部5である上記突起部、上記孔部、上記切欠部を蓋体7の内側面に設けることができる。
【0030】
鼻汁吸引具係止部6は、操作部21、ポンプ2の一の面である上面、又は支持部3の少なくとも一つに設けられ、鼻汁吸引具1を係止する部材である。そして、鼻汁吸引具係止部6は、例えば、鼻汁吸引具1と嵌合する突起部、鼻汁吸引具1を嵌入する孔部、又は鼻汁吸引具1を係止する切欠部などから選ばれる少なくとも一つである。鼻汁吸引具係止部6により、鼻汁吸引具1を使用しないときに、鼻汁吸引具1を係止して収納することができ、鼻汁吸引具1を紛失することを防止することができる。具体的には、鼻汁吸引具係止部6である上記突起部が、鼻汁吸引具1の通気孔1a又は吸引孔1bと嵌合することができるように、操作部21、ポンプ2の一の面である上面、又は支持部3の少なくとも一つに設けられていたり、鼻汁吸引具係止部6である上記孔部が、鼻汁吸引具1を嵌入することができるように、操作部21、ポンプ2の一の面である上面、又は支持部3の少なくとも一つに設けられていたり、鼻汁吸引具1を係止することができるように、鼻汁吸引具係止部6である上記切欠部が、操作部21、ポンプ2の一の面である上面、又は支持部3の少なくとも一つに設けられていたりする。鼻汁吸引具係止部6は、
図6に示すように、本実施形態において、ポンプ2の一の面である上面に設けられた孔部であり、鼻汁吸引具1の下部を挿嵌して収納することができ、鼻汁吸引具1を紛失することを防止することができる。また、本実施形態のように、蓋体7を備えるときには、鼻汁吸引具係止部6である上記突起部、上記孔部、上記切欠部を蓋体7の内側面に設けることができる。
【0031】
蓋体7は、鼻汁吸引具1、操作部21、ポンプ2の一の面である上面及び支持部3を覆設する部材である。蓋体7により、鼻汁吸引具1を使用しないときに鼻汁吸引具1、ポンプ2の一の面である上面及び支持部3などを覆設して収納することができ、鼻汁吸引具1などの部材を紛失することを防止することができる。蓋体7は、
図1に示すように、本実施形態において、角が丸まった有底円筒形状であることから、鼻汁吸引具1、操作部21、ポンプ2の一の面である上面及び支持部3を覆設することができる。蓋体7が脱落しないように、蓋体7の縁部に、ポンプ2の一の面である上面と係合する係合部を設けることができる。また、蓋体7は、本実施形態において、有底円筒形状であり、鼻汁吸引具1、操作部21、ポンプ2の一の面である上面及び支持部3を覆設してポンプ容器23と一体化したときに外観が略円柱状となるが、他の実施形態において、ポンプ容器23の形状と一体性を保ちながらポンプ容器23と一体化したときに外観が略楕円柱状、略角柱状又は略球状などの形状となるように、中空で一端が開口している略楕円柱状、略角柱状又は略半球状などの形状とすることもでき、本実施形態と同様にこのときもすっきりと洗練された外観で収納することができる。なお、蓋体7は、本実施形態において、鼻汁吸引具1を使用しないときに鼻汁吸引具1、ポンプ2の一の面である上面及び支持部3などをすべて覆い隠すように、孔など穿設されていないが、他の実施形態において、内部の鼻汁吸引具1や連通管4などを確認できるように、貫通した孔を有することもできるし、メッシュ状とすることもできる。
【0032】
本発明の鼻汁吸引具1及びそれを備えた鼻汁吸引器を用いたときの動作について以下に説明する。
【0033】
図8、
図9に示すように、まず、被吸引者の鼻汁を吸引するときには、使用者は、鼻汁吸引具1、ポンプ2及び連通管4を接続した状態にして、操作部21に指を掛けて支持部3に手のひらの母指球や小指球などの手首側の部分を当てて支持した状態で操作部21を引き上げる。そうすると、ポンプ容器23内でピストン22が上方に引き上げられて、ポンプ容器23内に空気が流入するようになり、連通管4を介して、鼻汁吸引具1の内部が減圧状態になり、通気管121の上端に嵌合されている第一逆止弁V1の先端側の割れ目が開いて通気孔1aと吸引孔1bが連通することで、被吸引者の鼻汁を吸引することができる。
【0034】
図8、
図9に示すように、次に、被吸引者の鼻汁を吸引するときと再度被吸引者の鼻汁を吸引する合間に、使用者は、操作部21から指を離すなどする。そうすると、弾性バネSの付勢力により操作部21を有するピストン22がポンプ容器23の下部に押し下げられて、ポンプ容器23外に空気が押し出されるようになり、連通管4を介して、鼻汁吸引具1の内部が加圧状態になり、第一逆止弁V1の先端側の割れ目が開かず、第二逆止弁V2の先端側の割れ目が開くことで、鼻汁吸引具1の内部に貯留された鼻汁等が吸引孔1bへ逆流しないように、鼻汁吸引具1の外部に空気を排出することができる。
【符号の説明】
【0035】
1・・・鼻汁吸引具
1a・・・通気孔
1b・・・吸引孔
11・・・吸引頭部
111・・・吸引管
12・・・吸引容器
121・・・通気管
2・・・ポンプ
21・・・操作部
22・・・ピストン
221・・・ピストンリング
23・・・ポンプ容器
23a・・・吸排気孔
231・・・底蓋
3・・・支持部
4・・・連通管
41・・・管孔部
42・・・管体部
5・・・連通管係止部
6・・・鼻汁吸引具係止部
7・・・蓋体
V1・・・第一逆止弁
V2・・・第二逆止弁
S・・・・弾性バネ