(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025150145
(43)【公開日】2025-10-09
(54)【発明の名称】ズームレンズおよび撮像装置
(51)【国際特許分類】
G02B 15/20 20060101AFI20251002BHJP
G02B 13/18 20060101ALN20251002BHJP
【FI】
G02B15/20
G02B13/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024050871
(22)【出願日】2024-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110412
【弁理士】
【氏名又は名称】藤元 亮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100104628
【弁理士】
【氏名又は名称】水本 敦也
(74)【代理人】
【識別番号】100121614
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 倫也
(72)【発明者】
【氏名】仲田 丈晴
(72)【発明者】
【氏名】中原 誠
(72)【発明者】
【氏名】松場 祐樹
【テーマコード(参考)】
2H087
【Fターム(参考)】
2H087KA02
2H087KA03
2H087MA15
2H087MA17
2H087MA19
2H087NA07
2H087PA15
2H087PA16
2H087PA20
2H087PB19
2H087PB20
2H087QA02
2H087QA06
2H087QA07
2H087QA14
2H087QA21
2H087QA26
2H087QA37
2H087QA39
2H087QA41
2H087QA45
2H087QA46
2H087RA05
2H087RA13
2H087RA32
2H087RA44
2H087SA57
2H087SA61
2H087SA63
2H087SA65
2H087SA71
2H087SA72
2H087SA74
2H087SA76
2H087SB04
2H087SB15
2H087SB22
2H087SB32
2H087SB33
2H087SB41
2H087SB46
(57)【要約】
【課題】小型軽量で高い光学性能を有するズームレンズを提供する。
【解決手段】ズームレンズは、物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力の第1レンズ群L1と、負の屈折力の第2レンズ群L2と、正の屈折力の第3レンズ群L3と、負の屈折力の第4レンズ群L4と、後群Lrに含まれる複数のレンズ群とにより構成される。第1レンズ群はズーミングのためには移動せず、第2レンズ群と第4レンズ群はズーミングのために移動する。後群は開口絞りSPを含む。第2レンズ群の焦点距離f2、第3レンズ群の焦点距離f3および第4レンズ群の焦点距離f4は、0.10≦|f3/f2|≦1.70および2.40≦f4/f2≦16.00なる条件を満足する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から像側へ順に配置されたレンズ群が、正の屈折力の第1レンズ群と、負の屈折力の第2レンズ群と、正の屈折力の第3レンズ群と、負の屈折力の第4レンズ群と、後群に含まれる複数のレンズ群とにより構成され、ズーミングに際して隣り合うレンズ群の間隔が変化するズームレンズであって、
前記第1レンズ群はズーミングのためには移動せず、前記第2レンズ群と前記第4レンズ群はズーミングのために移動し、
前記後群は、開口絞りを含み、
前記第2レンズ群の焦点距離をf2、前記第3レンズ群の焦点距離をf3、前記第4レンズ群の焦点距離をf4とするとき、
0.10≦|f3/f2|≦1.70
2.40≦f4/f2≦16.00
なる条件を満足することを特徴とするズームレンズ。
【請求項2】
前記第1レンズ群の焦点距離をf1、無限遠物体に合焦した状態かつ広角端での前記後群に含まれる前記複数のレンズ群の合成焦点距離をfrwとするとき、
0.35≦|frw/f1|≦10.00
なる条件を満足することを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項3】
前記ズームレンズの望遠端での焦点距離をft、前記第1レンズ群の焦点距離をf1とするとき、
0.20≦f1/ft≦0.90
なる条件を満足することを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項4】
前記ズームレンズの望遠端での焦点距離をftとするとき、
0.10≦f3/ft≦0.50
なる条件を満足することを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項5】
前記ズームレンズの望遠端での焦点距離をftとするとき、
0.15≦|f4/ft|≦3.00
なる条件を満足することを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項6】
前記ズームレンズの最も物体側のレンズの物体側のレンズ面から像面までの光軸上の距離をTw、無限遠物体に合焦した状態かつ広角端での前記ズームレンズの最も像側のレンズの像側のレンズ面から像面までの光軸上の距離をskwとするとき、
0.05≦skw/Tw≦0.30
なる条件を満足することを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項7】
前記第1レンズ群の焦点距離をf1、無限遠物体に合焦した状態かつ広角端での前記ズームレンズの最も像側のレンズの像側のレンズ面から像面までの光軸上の距離をskwとするとき、
0.10≦skw/f1≦0.50
なる条件を満足することを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項8】
前記開口絞りから像面までの光軸上の距離をDsi、前記後群内での光軸上の最大の空気間隔をDraとするとき、
0.10≦Dra/Dsi≦0.50
なる条件を満足することを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項9】
前記第1レンズ群の最も物体側のレンズの物体側のレンズ面から該第1レンズ群の最も像側のレンズの像側のレンズ面までの光軸上の距離をD1、前記第1レンズ群内での光軸上の最大の空気間隔をD1aとするとき、
0.20≦D1a/D1≦0.60
なる条件を満足することを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項10】
前記第4レンズ群と前記後群に含まれるレンズ群とがズーミングおよびフォーカシングのために移動することを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項11】
前記後群に含まれる前記複数のレンズ群は、物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力の第5レンズ群と、負の屈折力の第6レンズ群と、負の屈折力の第7レンズ群とにより構成され、
前記第6レンズ群がズーミングのために移動することを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項12】
前記後群に含まれる前記複数のレンズ群は、物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力の第5レンズ群と、正の屈折力の第6レンズ群と、負の屈折力の第7レンズ群とにより構成され、
前記第6レンズ群がズーミングのために移動することを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項13】
前記後群に含まれる前記複数のレンズ群は、物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力の第5レンズ群と、負の屈折力の第6レンズ群と、正の屈折力の第7レンズ群とにより構成され、
前記第6レンズ群がズーミングのために移動することを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項14】
物体側から像側へ順に配置されたレンズ群が、正の屈折力の第1レンズ群と、負の屈折力の第2レンズ群と、正の屈折力の第3レンズ群と、負の屈折力の第4レンズ群と、後群に含まれる複数のレンズ群とにより構成され、ズーミングに際して隣り合うレンズ群の間隔が変化するズームレンズであって、
前記第1レンズ群はズーミングのためには移動せず、前記第2レンズ群と前記第4レンズ群はズーミングのために移動し、
前記第1レンズ群は、2つの正レンズを有し、
前記後群は、開口絞りを含み、
前記第2レンズ群の焦点距離をf2、前記第4レンズ群の焦点距離をf4とするとき、
2.40≦f4/f2≦16.00
なる条件を満足することを特徴とするズームレンズ。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載のズームレンズと、
該ズームレンズを通して被写体を撮像する撮像素子とを有することを特徴とする撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像に好適なズームレンズに関する。
【背景技術】
【0002】
ズームレンズには、小型軽量で、全ズーム範囲にわたって高い光学性能を有することが望まれている。特許文献1には、物体側から像側へ順に配置された、正の屈折の第1レンズ群と、負の屈折力の第2レンズ群と、正の屈折力の第3レンズ群と、負の屈折力の第4レンズ群と、正の屈折力の第5レンズ群とにより構成されたズームレンズが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のズームレンズでは、第2レンズ群に対する第3レンズ群の屈折力が弱く、第3レンズ群よりも像側のレンズの有効径が大きくなり易い。このため、ズームレンズの軽量化が困難である。
【0005】
本発明は、小型軽量で、全ズーム範囲にわたって高い光学性能を有するズームレンズおよびこれを備えた撮像装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面としてのズームレンズは、物体側から像側へ順に配置されたレンズ群が、正の屈折力の第1レンズ群と、負の屈折力の第2レンズ群と、正の屈折力の第3レンズ群と、負の屈折力の第4レンズ群と、後群に含まれる複数のレンズ群とにより構成され、ズーミングに際して隣り合うレンズ群の間隔が変化する。第1レンズ群はズーミングのためには移動せず、第2レンズ群と第4レンズ群はズーミングのために移動する。後群は、開口絞りを含む。第2レンズ群の焦点距離をf2、第3レンズ群の焦点距離をf3、第4レンズ群の焦点距離をf4とするとき、
0.10≦|f3/f2|≦1.70
2.40≦f4/f2≦16.00
なる条件を満足することを特徴とする。また本発明の他の一側面としてのズームレンズは、 物体側から像側へ順に配置されたレンズ群が、正の屈折力の第1レンズ群と、負の屈折力の第2レンズ群と、正の屈折力の第3レンズ群と、負の屈折力の第4レンズ群と、後群に含まれる複数のレンズ群とにより構成され、ズーミングに際して隣り合うレンズ群の間隔が変化する。第1レンズ群はズーミングのためには移動せず、第2レンズ群と第4レンズ群はズーミングのために移動する。第1レンズ群は、2つの正レンズを有する。後群は、開口絞りを含む。第2レンズ群の焦点距離をf2、第4レンズ群の焦点距離をf4とするとき、
2.40≦f4/f2≦16.00
なる条件を満足することを特徴とする。なお、上記ズームレンズを備えた撮像装置も、本発明の他の一側面を構成する。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、小型軽量で、全ズーム範囲にわたって高い光学性能を有するズームレンズを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施例1のズームレンズの無限遠合焦状態かつ広角端および望遠端での断面図。
【
図2】実施例1のズームレンズの無限遠合焦状態かつ(a)広角端および(b)望遠端での縦収差図。
【
図3】実施例2のズームレンズの無限遠合焦状態かつ広角端および望遠端での断面図。
【
図4】実施例2のズームレンズの無限遠合焦状態かつ(a)広角端および(b)望遠端での縦収差図。
【
図5】実施例3のズームレンズの無限遠合焦状態かつ広角端および望遠端での断面図。
【
図6】実施例3のズームレンズの無限遠合焦状態かつ(a)広角端および(b)望遠端での縦収差図。
【
図7】実施例4のズームレンズの無限遠合焦状態かつ広角端および望遠端での断面図。
【
図8】実施例4のズームレンズの無限遠合焦状態かつ(a)広角端および(b)望遠端での縦収差図。
【
図9】実施例5のズームレンズの無限遠合焦状態かつ広角端および望遠端での断面図。
【
図10】実施例5のズームレンズの無限遠合焦状態かつ(a)広角端および(b)望遠端での縦収差図。
【
図11】実施例1~5のズームレンズを備えた撮像装置の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。まず具体的な実施例1~5の説明の前に、各実施例に共通する事項について説明する。
【0010】
図1、
図3、
図5、
図7および
図9はそれぞれ、実施例1~5のズームレンズの無限遠物体に合焦した状態(以下、無限遠合焦状態という)かつ広角端および望遠端での断面を示している。各実施例のズームレンズは、デジタルスチルカメラ、ビデオカメラ、放送用カメラ、監視用カメラ、車載カメラおよび銀塩フィルムカメラ等の各種撮像装置の撮像光学系として用いられる。各図において、左側が物体側(前側)で、右側が像側(後側)である。
【0011】
各実施例のズームレンズは、物体側から像側へ順に配置されたレンズ群が、正の屈折力の第1レンズ群L1と、負の屈折力の第2レンズ群L2と、正の屈折力の第3レンズ群L3と、負の屈折力の第4レンズ群L4と、後群Lrに含まれる複数のレンズ群(L5~L7)とにより構成されている。
【0012】
ズームレンズにおいて、レンズ群は、広角端と望遠端との間でのズーミング(変倍)に際して一体で移動するまたは移動しない1または複数のレンズのまとまりである。すなわち、ズーミングに際して隣り合うレンズ群間の間隔が変化する。レンズ群は、開口絞りを含んでもよい。また、広角端と望遠端はそれぞれ、ズーミングに際して移動するレンズ群が光軸上を機構上または制御上、移動可能な範囲の両端に位置したときの最大画角(最短焦点距離)と最小画角(最大焦点距離)のズーム状態を示す。SPは開口絞り、IPは像面である。像面IPには、CCDセンサやCMOSセンサ等の撮像素子の撮像面(受光面)または銀塩フィルムのフィルム面(感光面)が配置される。
【0013】
各実施例のズームレンズでは、第1レンズ群L1はズーミングのためには移動せず、第2レンズ群L2と第4レンズ群L3はズーミングのために移動する。ズーミングに際して大径で重量が大きくなりやすい第1レンズ群L1をズーミングに際して固定(不動)とすることで、第1レンズ群L1のための移動機構を省くことができ、ズームレンズの小型軽量化に有利である。
【0014】
また各実施例のズームレンズにおいて、後群Lrは開口絞りSPを含む。例えば、開口絞りSPは後群Lrにおける最も物体側に配置されることが好ましい。径が小さい後群Lr内に開口絞りSPを配置することで、開口絞りSPを小型化することができる。
【0015】
さらに各実施例のズームレンズは、第2レンズ群L2の焦点距離をf2、第3レンズ群L3の焦点距離をf3、第4レンズ群L4の焦点距離をf4とするとき、以下の式(1)、(2)の条件を満足する。
【0016】
0.10≦|f3/f2|≦1.70 (1)
2.40≦f4/f2≦16.00 (2)
式(1)の条件は、第2レンズ群L2と第3レンズ群L3の焦点距離f2、f3の適切な関係を示している。|f3/f2|が式(1)の上限を上回るように第2レンズ群L2に対する第3レンズ群L3の屈折力が弱くなると、第3レンズ群L3よりも像側のレンズの有効径が大きくなり過ぎてズームレンズの大型化を招くため、好ましくない。|f3/f2|が式(1)の下限を下回るように第2レンズ群L2に対する第3レンズ群L3の屈折力が強くなると、良好な収差補正が困難となるため、好ましくない。
【0017】
式(2)の条件は、第2レンズ群L2と第4レンズ群L4の焦点距離f2、f4の適切な関係を示している。f4/f2が式(2)の上限を上回るように第2レンズ群L2に対する第4レンズ群L4の屈折力が弱くなると、良好な収差補正が困難となるため、好ましくない。f4/f2が式(2)の下限を下回るように第2レンズ群L2に対する第4レンズ群L4の屈折力が強くなると、第4レンズ群L4よりも像側のレンズの有効径が大きくなり過ぎて、ズームレンズの大型化を招くため、好ましくない。
【0018】
なお、式(1)、(2)の数値範囲を以下のようにすると、より好ましい。
【0019】
0.70≦|f3/f2|≦1.60 (1a)
3.00≦f4/f2≦13.40 (2a)
また、式(1)、(2)の数値範囲を以下のようにすると、さらに好ましい。
【0020】
1.22≦|f3/f2|≦1.59 (1b)
3.55≦f4/f2≦10.79 (2b)
以上の構成と条件を満足することで、小型軽量でありながら、全ズーム範囲にわたって高い光学性能を有する望遠ズームレンズを実現することができる。
【0021】
以下、各実施例のズームレンズが満足することが好ましい構成および条件について説明する。
【0022】
各実施例のズームレンズは、第4レンズ群L4と後群Lrに含まれる少なくとも1つのレンズ群または該レンズ群の一部をフォーカシングに際して移動するフォーカス群とすることが好ましい。開口絞りSPに近くに配置された小型軽量のフォーカス群を移動させることで、近距離物体に合焦する状態(以下、至近合焦状態という)から無限遠合焦状態にわたって高速かつ良好なフォーカシングを行うことができる。
【0023】
各実施例のズームレンズは、後群Lrのうち1つのレンズ群または該レンズ群の一部を、手振れ等のカメラ振れによる像振れを低減するためにズームレンズの光軸に対して移動(シフト)する防振群とすることが好ましい。これにより、防振時にも高い光学性能を達成することができる。
【0024】
各実施例のズームレンズは、後群Lr内の所定のスペース(例えば後群Lrのうち最も広い空気間隔)に、ズームレンズの倍率を変換するためのエクステンダ(倍率変換群)等の光学ユニットを挿抜可能としてもよい。
【0025】
各実施例のズームレンズにおいて、第1レンズ群L1の焦点距離をf1、無限遠合焦状態かつ広角端での後群Lrに含まれる複数のレンズ群の合成焦点距離をfrw、ズームレンズの望遠端での焦点距離をft、第1レンズ群の焦点距離をf1とする。またズームレンズの最も物体側のレンズの物体側のレンズ面から像面までの光軸上の距離をTw、無限遠合焦状態かつ広角端でのズームレンズのうち最も像側のレンズの像側のレンズ面から像面までの光軸上の距離をskwとする。また開口絞りSPから像面IPまでの光軸上の距離をDsi、後群Lr内での光軸上の最大の空気間隔をDraとする。さらに第1レンズ群L1のうち最も物体側のレンズの物体側のレンズ面から該第1レンズ群の最も像側のレンズの像側のレンズ面までの光軸上の距離をD1、第1レンズ群L1内での光軸上の最大の空気間隔をD1aとする。
【0026】
このとき、以下の式(3)~(10)の条件のうち少なくとも1つを満足することが好ましい。
【0027】
0.35≦|frw/f1|≦10.00 (3)
0.20≦f1/ft≦0.90 (4)
0.10≦f3/ft≦0.50 (5)
0.15≦|f4/ft|≦3.00 (6)
0.05≦skw/Tw≦0.30 (7)
0.10≦skw/f1≦0.50 (8)
0.10≦Dra/Dsi≦0.50 (9)
0.20≦D1a/D1≦0.60 (10)
式(3)の条件は、第1レンズ群L1の焦点距離f1と無限遠合焦状態かつ広角端での後群Lrの合成焦点距離frwとの適切な関係を示している。|frw/f1|が式(3)の上限を上回るように無限遠合焦状態かつ広角端での後群Lrの屈折力が弱くなると、ズームレンズの大型化を招くため、好ましくない。|frw/f1|が式(3)の下限を下回るように無限遠合焦状態かつ広角端での後群Lrの屈折力が強くなると、良好な収差補正が困難となるため、好ましくない。
【0028】
式(4)の条件は、ズームレンズ全系の望遠端での焦点距離ftと第1レンズ群L1の焦点距離f1との適切な関係を示している。f1/ftが式(4)の上限を上回るように第1レンズ群L1の屈折力が強くなると、良好な収差補正が困難となるため、好ましくない。f1/ftが式(4)の下限を下回るように第1レンズ群L1の屈折力が弱くなると、ズームレンズの大型化を招くため、好ましくない。
【0029】
式(5)の条件は、ズームレンズ全系の望遠端での焦点距離ftと第3レンズ群L3の焦点距離f3との適切な関係を示している。f3/ftが式(5)の上限を上回るように第3レンズ群L3の屈折力が弱くなると、ズームレンズの大型化を招くため、好ましくない。f3/ftが式(5)の下限を下回るように第3レンズ群L3の屈折力が強くなると、良好な収差補正が困難となるため、好ましくない。
【0030】
式(6)は、ズームレンズ全系の望遠端での焦点距離ftと第4レンズ群L4の焦点距離f4との適切な関係を示している。|f4/ft|が式(6)の上限を上回るように第4レンズ群L4の屈折力が弱くなると、ズームレンズの大型化を招くため、好ましくない。|f4/ft|が式(6)の下限を下回るように第4レンズ群L4の屈折力が強くなると、良好な収差補正が困難となるため、好ましくない。
【0031】
式(7)の条件は、無限遠合焦状態かつ広角端におけるズームレンズの最も物体側のレンズの物体側のレンズ面から像面IPまでの光軸上の距離Twと最も像側のレンズの像側のレンズ面から像面IPまでの光軸上の距離skwとの適切な関係を示している。なお、ここにいう距離Tw、skwは、光学フィルタ等の平行平板のように有効な屈折力を持たない部材を除いたときの距離である。skw/Twが式(7)の数値範囲に含まれることで、ズームレンズのテレセントリック性を確保しつつ、ズームレンズの小型化が可能となる。
【0032】
式(8)の条件は、第1レンズ群L1の焦点距離f1と上記距離skwとの適切な関係を示している。skw/f1が式(8)の数値範囲に含まれることで、ズームレンズのテレセントリック性を確保しつつ、ズームレンズの小型化が可能となる。
【0033】
式(9)の条件は、開口絞りSPから像面IPまでの光軸上の距離Dsiと後群Lr内の最大空気間隔Draとの適切な関係を示している。Dra/Dsiが式(9)の数値範囲に含まれることで、後群Lr内にエクステンダ等の光学ユニットを挿入可能なスペースを確保することができる。
【0034】
式(10)の条件は、第1レンズ群L1の最も物体側のレンズの物体側のレンズ面から最も像側のレンズの像側のレンズ面までの光軸上の距離(第1レンズ群L1の厚み)D1と第1レンズ群L1内の最大空気間隔D1aとの適切な関係を示している。D1a/D1が式(10)の上限を上回るように第1レンズ群L1内の最大空気間隔D1aが大きくなると、良好な収差補正が困難となるため、好ましくない。D1a/D1が式(10)の上限を上回るように第1レンズ群L1内の最大空気間隔D1aを小さくすると、ズームレンズの大型化を招くため、好ましくない。
【0035】
なお、式(3)~(10)の数値範囲を以下のようにすると、より好ましい。
【0036】
0.80≦|frw/f1|≦7.20 (3a)
0.30≦f1/ft≦0.70 (4a)
0.10≦f3/ft≦0.40 (5a)
0.30≦|f4/ft|≦2.30 (6a)
0.10≦skw/Tw≦0.20 (7a)
0.15≦skw/f1≦0.40 (8a)
0.20≦Dra/Dsi≦0.40 (9a)
0.30≦D1a/D1≦0.50 (10a)
また、式(3)~(10)の数値範囲を以下のようにすると、さらに好ましい。
【0037】
1.31≦|frw/f1|≦4.42 (3b)
0.42≦f1/ft≦0.47 (4b)
0.16≦f3/ft≦0.24 (5b)
0.53≦|f4/ft|≦1.63 (6b)
0.12≦skw/Tw≦0.15 (7b)
0.20≦skw/f1≦0.24 (8b)
0.23≦Dra/Dsi≦0.33 (9b)
0.39≦D1a/D1≦0.43 (10b)
以下、実施例1~5のズームレンズについて具体的に説明する。
【実施例0038】
図1に示す実施例1のズームレンズは、物体側から像側へ順に配置されたレンズ群としての正の屈折力の第1レンズ群L1、負の屈折力の第2レンズ群L2、正の屈折力の第3レンズ群L3、負の屈折力の第4レンズ群L4および後群Lrにより構成されている。後群Lrは、物体側から順に配置された、正の屈折力の第5レンズ群L5、負の屈折力の第6レンズ群L6および最終レンズ群としての負の屈折力の第7レンズ群L7により構成されている。
【0039】
広角端から望遠端へのズーミングに際して、第1レンズ群L1、第3レンズ群L3、第5レンズ群L5および第7レンズ群L7は移動せず、図中に矢印で示すように第2レンズ群L2は像側へ、第4レンズ群L4が像側へ、第6レンズ群L6が物体側へそれぞれ移動する。
【0040】
無限遠から至近へのフォーカシングに際して、図中に矢印focusで示すように、第4レンズ群L4が物体側へ移動し、第6レンズ群L6が像側へ移動する。
【0041】
後群Lr(第7レンズ群L7)内における最大空気間隔には、エクステンダ等の光学ユニットを挿抜可能に挿入してもよい。また第5レンズ群L5の一部である部分群は、防振群Lisとして光軸に対してシフト可能である。光学ユニットの挿抜および防振群Lisについては、後述する他の実施例でも同じである。
広角端から望遠端へのズーミングに際して、第1レンズ群L1、第3レンズ群L3、第5レンズ群L5および第7レンズ群L7は移動せず、第2レンズ群L2、第4レンズ群L4および第6レンズ群L6がいずれも物体側へ移動する。