(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025015042
(43)【公開日】2025-01-30
(54)【発明の名称】無機化合物粉末の製造方法及び粉砕処理システム
(51)【国際特許分類】
B02C 19/06 20060101AFI20250123BHJP
【FI】
B02C19/06 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023118107
(22)【出願日】2023-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】504105737
【氏名又は名称】林化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135758
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 高志
(74)【代理人】
【氏名又は名称】玉城 信一
(72)【発明者】
【氏名】池田 隆男
(72)【発明者】
【氏名】永田 員也
【テーマコード(参考)】
4D067
【Fターム(参考)】
4D067CA02
4D067GA20
4D067GB05
(57)【要約】 (修正有)
【課題】サスティナブル社会の実現及びカーボンニュートラル化の要請に十分対応可能であり、無機化合物粉末等のフィラーについてその機能をより効果的に発現させることができる無機化合物粉末の製造方法及び粉砕処理システムを提供する。
【解決手段】600℃以上の高過熱水蒸気を200~500℃に下げて低過熱水蒸気とし、該低過熱水蒸気の流体エネルギーを用いて、無機化合物粉末の原料粉体を粉砕する無機化合物粉末の製造方法、及び、600℃以上の高過熱水蒸気を発生する過熱水蒸気源12から供給される前記高過熱水蒸気の温度を200~500℃に下げて低過熱水蒸気とする冷却手段14と、無機化合物粉末の原料粉体16を粉砕する粉砕領域を有し、該粉砕領域内で前記冷却手段から供給される低過熱水蒸気の流体エネルギーを用いて粉砕処理を行って前記原料粉体を無機化合物粉末とする粉砕手段18と、を含む粉砕処理システム10である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
600℃以上の高過熱水蒸気を200~500℃に下げて低過熱水蒸気とし、該低過熱水蒸気の流体エネルギーを用いて、無機化合物粉末の原料粉体を粉砕する無機化合物粉末の製造方法。
【請求項2】
前記無機化合物粉末が、層状無機化合物粉末である請求項1に記載の無機化合物粉末の製造方法。
【請求項3】
前記粉砕後の無機化合物粉末に圧縮処理を施す請求項1又は2に記載の無機化合物粉末の製造方法。
【請求項4】
600℃以上の高過熱水蒸気を発生する過熱水蒸気源から供給される前記高過熱水蒸気の温度を200~500℃に下げて低過熱水蒸気とする冷却手段と、
無機化合物粉末の原料粉体を粉砕する粉砕領域を有し、該粉砕領域内で前記冷却手段から供給される低過熱水蒸気の流体エネルギーを用いて粉砕処理を行って前記原料粉体を無機化合物粉末とする粉砕手段と、を含む粉砕処理システム。
【請求項5】
前記過熱水蒸気源が、廃熱ボイラーを含む請求項4に記載の粉砕処理システム。
【請求項6】
前記冷却手段が、前記高過熱水蒸気を冷やす冷却器及び/又は前記高過熱水蒸気の圧力を下げる圧力調整器である請求項4又は5に記載の粉砕処理システム。
【請求項7】
無機化合物粉末が、層状無機化合物粉末である請求項4又は5に記載の粉砕処理システム。
【請求項8】
さらに、前記粉砕処理後の前記無機化合物粉末に圧縮処理を施す圧縮手段を含む請求項4又は5に記載の粉砕処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無機化合物粉末の製造方法及び粉砕処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂成形体を作製する際には、機械的強度等の物性向上を目的として、樹脂原料に種々の充填材が配合される。このような充填材としては、例えばタルク等の層状無機化合物粉末が汎用されている。
【0003】
層状無機化合物粉末はその優れた汎用性から、樹脂成形体以外にも、製紙、化粧品、医薬品、肥料、塗料、セラミックス等の幅広い分野で適用されている。例えば、タルクを配合した樹脂組成物は、自動車部品、家電製品部品又は事務機器部品等の各種の分野に広く使用されている。
【0004】
層状無機化合物粉末をはじめとした充填材は、原料の鉱物材料をジェットミル等で粉砕処理する工程を経て製造される。ジェットミルは、種々の材料を粉砕するのに適しており、高効率化、低コスト化等の観点から、ジェットミルを用いた粉砕処理システムでは、様々の改良がなされている。
【0005】
例えば、特許文献1では、材料を粉砕するためのシステムとして、ジェットミルと、特定のサイクロン分離器と、第1収集器と、第2収集器と、特定のコンプレッサとを含むシステムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
粉体の粉砕手段としては、特許文献1のようにジェットミルを用いることが一般的である。しかし、近年では、サスティナブル社会の実現及びカーボンニュートラルの実現に向けて、省エネルギー化が益々要請されている。特許文献1のような従来のジェットミルで使用される循環流体には、外部電源から供給される電力により加圧された空気が使用される。そのため、粉砕のための処理量が大きい場合は、加圧するための電力量が大きくなり、省エネルギー化やCO2削減といったカーボンニュートラル化の要請に十分対応することができない。
また、粉砕して得られる無機化合物粉末等のフィラーについて、その機能をより効果的に発現させるためには、従来の粉砕処理方法とは異なる方法を開発すべきであるが、そのような方法は未だ知られてはいない。
【0008】
以上から、本発明は、サスティナブル社会の実現及びカーボンニュートラル化の要請に十分対応可能であり、無機化合物粉末等のフィラーについてその機能をより効果的に発現させることができる無機化合物粉末の製造方法及び粉砕処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明者らは、下記本発明により当該課題を解決できることを見出した。すなわち、本発明は下記のとおりである。
【0010】
[1] 600℃以上の高過熱水蒸気を200~500℃に下げて低過熱水蒸気とし、該低過熱水蒸気の流体エネルギーを用いて、無機化合物粉末の原料粉体を粉砕する無機化合物粉末の製造方法。
[2] 前記無機化合物粉末が、層状無機化合物粉末である[1]に記載の無機化合物粉末の製造方法。
[3] 前記粉砕後の無機化合物粉末に圧縮処理を施す[1]又は[2]に記載の無機化合物粉末の製造方法。
[4] 600℃以上の高過熱水蒸気を発生する過熱水蒸気源から供給される前記高過熱水蒸気の温度を200~500℃に下げて低過熱水蒸気とする冷却手段と、
無機化合物粉末の原料粉体を粉砕する粉砕領域を有し、該粉砕領域内で前記冷却手段から供給される低過熱水蒸気の流体エネルギーを用いて粉砕処理を行って前記原料粉体を無機化合物粉末とする粉砕手段と、を含む粉砕処理システム。
[5] 前記過熱水蒸気源が、廃熱ボイラーを含む[4]に記載の粉砕処理システム。
[6] 前記冷却手段が、前記高過熱水蒸気を冷やす冷却器及び/又は前記高過熱水蒸気の圧力を下げる圧力調整器である[4]又は[5]に記載の粉砕処理システム。
[7] 無機化合物粉末が、層状無機化合物粉末である[4]~[6]のいずれか1つに記載の粉砕処理システム。
[8] さらに、前記粉砕処理後の前記無機化合物粉末に圧縮処理を施す圧縮手段を含む[4]~[7]のいずれか1つに記載の粉砕処理システム。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、サスティナブル社会の実現及びカーボンニュートラル化の要請に十分対応可能であり、無機化合物粉末等のフィラーについてその機能をより効果的に発現させることができる無機化合物粉末の製造方法及び粉砕処理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本実施形態に係る粉砕処理システムの一例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[無機化合物粉末の製造方法]
本発明の一実施形態(本実施形態)に係る無機化合物粉末の製造方法は、600℃以上の高過熱水蒸気を200~500℃に下げて低過熱水蒸気とし、その低過熱水蒸気の流体エネルギーを用いて、無機化合物粉末の原料粉体を粉砕する無機化合物粉末の製造方法である。
【0014】
無機化合物粉末としては、層状無機化合物粉末であることが好ましい。粉砕後の無機化合物粉末には圧縮処理を施すことが好ましい。
【0015】
本実施形態に係る無機化合物粉末の製造方法は、特に限定されるものではないが、下記の本実施形態に係る粉砕処理システムにより実施されることが好ましい。したがって、本実施形態の製造方法における好ましい態様は、本実施形態に係る粉砕処理システムに相当する条件等と共通する。
【0016】
[粉砕処理システム]
図1に示すように、本発明の一実施形態(本実施形態)に係る粉砕処理システム10は、600℃以上の高過熱水蒸気を発生する過熱水蒸気源12から供給される高過熱水蒸気の温度を200~500℃に下げて低過熱水蒸気とする冷却手段14と、原料粉体16を粉砕する粉砕領域を有し、その粉砕領域内で冷却手段から供給される低過熱水蒸気の流体エネルギーを用いて粉砕処理を行って原料粉体16を微粉末とする粉砕手段18と、を含む。
なお、図中の実線矢印は過熱水蒸気の流れを示し、点線矢印は粉体の流れを示す。
【0017】
ここで、原料粉体16としては、水酸化アルミニウム、アルミナ、炭酸カルシウム、窒化ホウ素、グラファイト、タルク、カオリン、マイカといった無機化合物粉末の原料となる粉体が挙げられる。なかでも、窒化ホウ素、グラファイト、タルク、カオリン、マイカといった層状無機化合物の粉体が好ましく、タルク、カオリン、マイカといった層状ケイ酸塩鉱物の粉体がより好ましい。
粉砕手段18がスチームジェットミル等である場合、その粉砕により層状ケイ酸塩鉱物の機能を十分に発揮させる形状とすることを考慮すると、層状ケイ酸塩鉱物は、カオリン及びタルクのいずれかであることが好ましく、タルクであることがより好ましい。
【0018】
原料粉体16のメジアン径DXは、11~20μmであることが好ましく、また、嵩密度(固め)は、0.3~1.5cm3/gであることが好ましい。これらの範囲にあることで、良好な粉砕効率が得られやすくなる。
メジアン径DXは、例えば、レーザー回折・散乱法粒子径分布測定装置を使用して粒度分布(体積基準)を測定することにより求めることができる。
また、嵩密度は、粉体特性評価装置(ホソカワミクロン(株)製パウダテスタPT-X)を使用して測定した固め嵩密度にて求めることができる。測定条件は、目開き710μmの篩に試料を供給し、振幅1.5mmの振動により100cm3嵩密度測定用カップに被せたキャップの紛面位置が一定となるように試料を追加し、180回タッピングを行う。
【0019】
過熱水蒸気源12としては、例えば、コンビナート、ごみ焼却施設、サーマルリサイクル設備、発電所(例えば、火力発電、LNG発電、石炭発電、水素・アンモニア発電、原子力発電、地熱発電、バイオマス発電)等が挙げられる。これらは、その稼働時に600℃以上の高温の蒸気(高過熱水蒸気)を発生する。これまで、このような高過熱水蒸気の一部は、有効利用されず系外へと放出されていた。本実施形態では、このような高過熱水蒸気を利用するものであり、サスティナブル社会の実現やカーボンニュートラル化の要請に大きく貢献することができる。
【0020】
また、過熱水蒸気源12として、高過熱水蒸気を効率よく発生させる観点から、廃熱ボイラー(例えば、高圧ボイラー)により過熱水蒸気を生成し、この過熱水蒸気をさらに加熱する加熱装置(例えば、スーパーヒータ)を用いることが好ましい。
コンビナート、ごみ焼却施設、サーマルリサイクル設備、溶湯、溶鋼施設等から発生する高温の廃熱を廃熱ボイラーで回収し、この回収された熱で給水された水を高過熱水蒸気とすることができる。廃熱ボイラーにおいては、例えば、多数の水管内にボイラー給水が流通しており、水管内の水が高温の廃熱よって加熱されて蒸気を発生する。
【0021】
過熱水蒸気源12から供給される高過熱水蒸気は、冷却手段により200~500℃の低過熱水蒸気とし、粉砕手段18に供給される。冷却手段としては、高過熱水蒸気を冷やす冷却器及び/又は高過熱水蒸気の圧力を下げる圧力調整器であることが好ましい。
【0022】
冷却器としては、高過熱水蒸気の温度を200~500℃に下げることができれば、特に限定されず、公知の熱交換機やチラー等を使用することができる。また、圧力調整器は、高圧となっている高過熱水蒸気を低圧にすることでその温度を200~500℃(好ましくは、300~400℃)に下げることができれば特に限定されず、圧力調整弁等を使用することができる。
【0023】
粉砕手段18による粉砕を考慮すると、低過熱水蒸気の圧力(粉砕圧力)は、ゲージ圧で0.8~15.0MPa程度であることが好ましく、2~8MPa程度であることがより好ましく、2~4MPaであることがさらに好ましい。このような圧力に調整するためには、冷却器とともに圧力調整器を用いてもよい。
【0024】
粉砕手段18としては、原料粉体を粉砕する粉砕領域を有し、その粉砕領域内で冷却手段から供給される低過熱水蒸気の流体エネルギーを用いて粉砕処理を行うことが可能で、粉砕用の流体エネルギーとして低過熱水蒸気を利用できる装置、例えば、スチームジェットミルを用いることが好ましい。
【0025】
スチームジェットミルを用いた粉砕処理は、粉砕用の流体エネルギーとして既述の低過熱水蒸気を用いているため、高エネルギーを有効に利用し、効率よく微粉化が可能である。また、メカノケミカル反応(水酸基の脱離、非晶質化)が起こり、表面改質や疎水化といった機能付与がしやすくなるため、水酸化アルミニウム、アルミナ、炭酸カルシウム、窒化ホウ素、グラファイト、タルク、カオリン、マイカといった無機化合物粉末のフィラーについてその機能をより効果的に発現させることができる。
【0026】
特に、層状無機化合物粉末を得る場合は、流体エネルギーとして圧縮空気を用いた通常のジェットミルよりも、瞬間的に大きなせん断力が原料粉体16に作用することで、面剥離が主として生じる。その結果、板面がある程度大きい状態を維持でき、厚みを薄くできると推測される。すなわち、樹脂と混合して樹脂組成物とした際に、層状無機化合物の本来有する板面に起因する物性向上効果が発現されやすくなると考えられる。
【0027】
また、低過熱水蒸気の流体エネルギーを用いて粉砕処理を行うことが可能なため、外部電源から供給される電力により加圧された空気を使用ジェットミルと比べて、省エネルギー化やCO2削減といったカーボンニュートラル化の要請に十分対応することができる。
【0028】
[実験例]
以下に、スチームジェットミル及びジェットミルのそれぞれを用いて層状ケイ酸塩鉱物であるタルク粉体を粉砕した際の実験例を示す。
【0029】
メジアン径(D50)が12.7μm、嵩密度が0.72g/cm3の原料タルク(パキスタン産のタルクをローラーミルにより粗粉砕し、上記のD50とした)を、スチームジェットミル(以下、「s-JET」ということがある)及びジェットミルのそれぞれにより、表1に示す各メジアン径に粉砕した。
【0030】
(1)スチームジェットミルによる粉砕条件(実験例1~3)
・装置は、Netzsch Trockenmahltechnik製スチーム・ジェットミルs-JET150を用いた。
・過熱水蒸気の温度(粉砕エリアに入る前の温度):360℃
・粉砕圧力(ゲージ圧):3.8MPa
なお、粒度調整は、スチームジェットミルに付随した分級機の回転数調整により行った。
【0031】
(2)ジェットミルによる粉砕条件(比較実験例1~4)
・装置は、ホソカワミクロン株式会社製カウンタジェットミルAFG710/4を用いた。粒度調整は、ジェットミルに付随した分級機の回転数調整により行った。
なお、D50=2.2μmの場合(比較実験例1)は、粉砕後に分級を行って調整した。
【0032】
s-JETでは、嵩高い粉砕タルク粉末が得られた。一方で、ジェットミルでは、s-JETと同じD50でみたときに、嵩の小さい粉砕タルク粉末が得られた。これは、通常条件のジェットミルだと粉砕の滞留時間が長いため、せん断的な力だけでなく、等方的な力もタルクに作用するため、面剥離だけにとどまらず、さらなる粉砕が進行してしまったためと考えられる。
【0033】
(樹脂組成物)
上記のようにして作製したタルク粉末を用いて作製した樹脂組成物の評価を下記のようにして行った。
【0034】
評価:曲げ弾性率
JIS K7171に準じて曲げ弾性率を測定した。結果を表1に示す。
射出成型用金型(JIS K7171 タイプB1)を用いて樹脂組成物の射出成形を行い、それによって得られた成形品(10mm(幅)×4mm(厚さ)×80mm(長さ))をJIS K7171に準じて株式会社オートグラフAG-Xplusで曲げ弾性率を評価した(温度:23℃、曲げ速度:2mm/分)。
なお、成形品を構成する樹脂組成物の樹脂はポリプロピレン樹脂(サンアロマー株式会社PX-600N)を用い、タルク粉末はポリプロピレン樹脂100質量部に対して20質量部とした。
【0035】
【0036】
表1より、ジェットミルで得られたDXが4.8μmの微粉末を用いた比較実験例2と、スチームジェットミルで得られたDXが7.5μmの微粉末を用いた実験例3が同等の曲げ弾性率を示していた。つまり、スチームジェットミルを用いると、従来のジェットミルよりも大きな粒径であっても、その効果が良好であり、タルクの本来有する特性を十分に発揮させることができることがわかる。また、粉砕に要する消費エネルギーも少なくすむことがわかる。
【0037】
各々の手段により得られる微粉末が同粒径であっても、スチームジェットミルでは、嵩高くなっている。これは、スチームジェットミルでは、面剥離が主として生じるため、嵩密度に対してメジアン径が小さくなりづらく、タルク粉末の板面がある程度大きい状態を維持できるためと推察される。
【0038】
ここで、粉砕手段18により得られる無機化合物粉末は、メジアン径DXが1~10μmであることが好ましく、1.5~9.5μmであることがより好ましい。また、タルク粉末の嵩密度(固め)は、0.10~0.35g/cm3であることが好ましく、0.12~0.30g/cm3であることがより好ましく、0.15~0.28g/cm3であることがさらに好ましい。これらの範囲とすることで、例えば、フィラーとして本来有する特性を十分に発揮させることができる。
【0039】
なお、本実施形態では、粉砕処理後の微粉末に圧縮処理を施す圧縮手段20を含むことが好ましい。圧縮手段20により、嵩密度を高めることができる。手段20としては、ローラーコンパクター等を使用することができる。
また、粉砕手段18の下流側に集塵装置を設けてもよい。圧縮手段20を設ける場合は、粉砕手段18と圧縮手段20との間に集塵装置を設けてもよい。この集塵機から排出される粉砕後の高温エアーを回収して何らかのエネルギー、例えば電気に変換することも可能である。
【0040】
また、本実施形態においては、粉砕手段から排出される高温ガスの少なくとも一部が、過熱水蒸気源12、過熱水蒸気源12と冷却手段14との間、冷却手段14と粉砕手段18との間、及び、粉砕手段18や集塵装置の少なくともいずれか1以上に供給される循環機構を有していてもよい。これにより更なる省エネルギー化やカーボンニュートラル化の要請に対応することができる。
【0041】
以上のようなシステムを経て得られた微粉末(無機化合物粉末)は、必要に応じて分級処理等を行って、種々の用途に適用することができる。例えば、当該微粉末と樹脂等を配合して樹脂組成物として利用することができる。樹脂としては、熱可塑性樹脂(便宜的に、熱可塑性エラストマーを含む)、熱硬化性樹脂、ゴム、セルロース系樹脂等が挙げられる。
【0042】
樹脂への微粉末の配合、混練は、公知の方法を適用することができる。例えば、ポリプロピレンへの配合、混練には、一般に使用されている単軸混練押出機や二軸混練押出機等が利用できる。このような樹脂組成物は、自動車内外装品、家電製品部品、事務機器部品等の種々の用途に使用することができる。
【符号の説明】
【0043】
10 粉砕処理システム
12 過熱水蒸気源
14 冷却手段
16 原料粉体
18 粉砕手段
20 圧縮手段