(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025015074
(43)【公開日】2025-01-30
(54)【発明の名称】組付装置
(51)【国際特許分類】
B23P 19/04 20060101AFI20250123BHJP
B29C 45/42 20060101ALI20250123BHJP
B29C 45/17 20060101ALI20250123BHJP
【FI】
B23P19/04 E
B29C45/42
B29C45/17
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023118179
(22)【出願日】2023-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(71)【出願人】
【識別番号】596105644
【氏名又は名称】株式会社東北イノアック
(74)【代理人】
【識別番号】110002424
【氏名又は名称】ケー・ティー・アンド・エス弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】神谷 健二
(72)【発明者】
【氏名】坪井 克憲
(72)【発明者】
【氏名】我妻 豊
【テーマコード(参考)】
3C030
4F202
4F206
【Fターム(参考)】
3C030BB04
3C030BC04
3C030BC16
3C030BC25
4F202AH17
4F202CA11
4F202CB01
4F202CM11
4F202CM17
4F202CM21
4F202CS10
4F206AH17
4F206JA07
4F206JL02
4F206JN41
4F206JQ90
4F206JW50
(57)【要約】
【課題】搬送中の樹脂部材に部品を組み付ける、新規な組付装置を提供する。
【解決手段】組付装置は、搬送装置に対して変位可能な状態に保持されている樹脂部材に部品を組み付ける組付装置であって、前記樹脂部材に接して、前記樹脂部材の位置を固定する位置決め部と、前記位置決め部が前記樹脂部材の位置を固定している状態で、前記部品を前記樹脂部材に組み付ける組付部と、を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送装置に対して変位可能な状態に保持されている樹脂部材に部品を組み付ける組付装置であって、
前記樹脂部材に接して、前記樹脂部材の位置を固定する位置決め部と、
前記位置決め部が前記樹脂部材の位置を固定している状態で、前記部品を前記樹脂部材に組み付ける組付部と、
を備える組付装置。
【請求項2】
前記組付部は、第1方向に前記部品を押圧して前記樹脂部材に組み付け、
前記位置決め部は、前記組付部が前記部品を前記樹脂部材に組み付ける際に、前記第1方向から前記樹脂部材に接することによって前記樹脂部材の前記第1方向への移動を規制する第1機構を有する、
請求項1に記載の組付装置。
【請求項3】
前記位置決め部は、前記第1方向と交差する第2方向から前記樹脂部材に接することによって前記樹脂部材の前記第2方向への移動を規制する第2機構を有する、
請求項2に記載の組付装置。
【請求項4】
前記樹脂部材は、前記部品が組付けられる取付面を有し、
前記搬送装置は、前記取付面を下方に向けた状態で前記樹脂部材を搬送し、
前記組付部は、下向きの状態で前記部品を保持し、上向きの状態で前記部品を前記樹脂部材に組み付ける、
請求項1から3のいずれか一項に記載の組付装置。
【請求項5】
前記組付装置は、
前記部品が前記樹脂部材に組付けられた状態か否かを検知する検知部を備える、
請求項1に記載の組付装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、組付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、樹脂部材に別体の部品を組み付ける組付装置が知られている。組付装置は、搬送装置によって後工程へ搬送中の樹脂部材に、部品を組み付ける場合がある(例えば、特許文献1)。特許文献1は、搬送中の樹脂部材を把持して所定の位置に樹脂部材を保つ取出しロボットと、部品を保持して組付箇所を計測しながら組付箇所に移動し、樹脂部材に部品を組み付ける組立ロボットを開示している。
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
搬送中の樹脂部材は、搬送装置に対して移動する場合がある。組付装置は、比較的簡易な構造であることが好ましい。本開示は、搬送中の樹脂部材に部品を組み付ける、新規な組付装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示に係る組付装置は、搬送装置に対して変位可能な状態に保持されている樹脂部材に部品を組み付ける組付装置であって、前記樹脂部材に接して、前記樹脂部材の位置を固定する位置決め部と、前記位置決め部が前記樹脂部材の位置を固定している状態で、前記部品を前記樹脂部材に組み付ける組付部と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、搬送中の樹脂部材に部品を組み付ける、新規の組付装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】樹脂部材と樹脂部材に取り付けられる部品を示す斜視図。
【
図2】樹脂部材と樹脂部材に取り付けられる部品を示す正面図。
【
図3】樹脂部材と樹脂部材に取り付けられる部品を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら説明する。まず、樹脂部材Mと、この樹脂部材Mに取り付けられる部品Eについて説明する。
【0009】
図1に示すように、本実施形態の樹脂部材Mは、車両の内装部材であり、部品Eは、樹脂部材Mを車両の構造体に取り付けて固定するためのクリップである。これに限らず、樹脂部材Mは、車両の外装部材や、住宅などの建築物やその他の日用品に用いる樹脂製の部材であってもよい。また、部品Eは、クリップに限らず、弾性体で形成されたキャップ等であってもよい。
【0010】
樹脂部材Mは、板部21を有する。板部21は、表面21aと、表面21aと反対側の裏面21bと、を含む。表面21aは、樹脂部材Mの意匠面として形成されてもよい。
【0011】
樹脂部材Mは、さらに、板部21の裏面21bから突出した台座22を有する。台座22は、部品Eが組み付けられる取付面23と、樹脂部材Mの位置決めに利用される基準面24と、を有する。
【0012】
図2および
図3は、部品Eが組み付けられた状態の樹脂部材Mの一部を拡大して示した図である。
図2は、樹脂部材Mの台座22の付近の正面図を、
図3は、同じく側面図を示す。
【0013】
図2に示すように、正面からみた本実施形態の台座22は、円錐台の一部を除去した形状である。台座22の内部は、基準面24を除いて中空に形成される。
【0014】
台座22は、外表面22aと、開口22bと、を含む。本実施形態の外表面22aは、台座22の高さ方向(
図2の矢印Z方向)に対して傾斜した曲面である。本実施形態の開口22bは、矢印X方向に開口する。
【0015】
取付面23は、台座22の先端に設けられた板片である。取付面23は、部品Eを受け入れる切欠き23aを含む。
【0016】
基準面24は、台座22の内部に設けられた板片である。本実施形態の基準面24は、板部21の裏面21bと取付面23の間に配置され、取付面23に平行である。
【0017】
部品Eは、取付部31と、取付部31の一方側から突出した突出部32と、取付部31の他方側から突出した基部33と、を有する。本実施形態では、取付部31は、取付面23の切欠き23aに適合するくびれ部を形成する。該くびれ部が取付面23の切欠き23aに挿入されるとともに、突出部32および基部33により取付面23の厚み方向(
図2の矢印Z方向)の移動が規制されることにより、取付部31が取付面23に固定される。突出部32は、樹脂部材Mを車両の構造体に固定するためのグロメットである。突出部32が車両側に設けられた穴に差し込まれることで、樹脂部材Mは、車両の構造体に固定される。突出部32は、部品Eが樹脂部材Mに組付けられた状態で、台座22の先端から板部21と反対方向に突出する。基部33は、部品Eが樹脂部材Mに組付けられた状態で、台座22の先端から板部21方向に突出する。
【0018】
次に、組付装置1について説明する。
図4および
図5に、搬送装置Cにより搬送中の樹脂部材Mに部品Eを組み付ける組付装置1を示す。樹脂部材Mは、搬送装置Cに対して変位可能な状態に保持されている。ここで、変位可能な状態とは、例えば、樹脂部材Mが搬送装置Cに対して水平方向や垂直方向への移動可能な状態、または、搬送装置Cに対して揺動可能な状態である。本実施形態では、樹脂部材Mは、表面21aが上方(矢印Z方向)、裏面21bが下方(矢印Zと反対方向)に向いた状態で、スプリングなどの弾性部材を介して保持されており、搬送装置Cに対して揺動可能な状態に吊り下げられている。
【0019】
図4に示すように、本実施形態の組付装置1は、ロボットアームRの先端に取り付けられて使用される作業用アタッチメントである。組付装置1は、位置決め部11と、組付部12と、検知部13と、を備える。
【0020】
位置決め部11は、揺動可能に吊り下げられた樹脂部材Mに接して樹脂部材Mの位置を組付位置に固定する。組付位置は、X方向成分、Y方向成分、およびZ方向成分を含む。位置決め部11は、X方向、Y方向およびZ方向において、樹脂部材Mを組付位置に固定する。
【0021】
図5に示すように、位置決め部11は、第1機構11aと、第1機構11aを駆動する第1アクチュエータ11bと、第2機構11cと、第2機構11cを駆動する第2アクチュエータ11dと、を有する。本実施形態の第1機構11aと第2機構11cは、X方向において対向して配置される。
【0022】
第1機構11aは、樹脂部材MのX方向およびY方向(第1方向の一例)への移動を規制する。第1機構11aは、第1規制部11eを含む。本実施形態の第1規制部11eは、台座22の外表面22aの形状に対応した弧状の切欠きを有する板状部材である。
【0023】
第1アクチュエータ11bは、第1機構11aを移動させ、第2機構11cに対する第1機構11aの位置を変更する。本実施形態の第1アクチュエータ11bは、第1機構11aと第2機構11cのX方向における相対的な移動を制御する。
【0024】
第2機構11cは、樹脂部材MのZ方向(第2方向の一例)への移動を規制する。第2機構11cは、台座22の開口22b内に挿入されて樹脂部材Mの基準面24に接触することで樹脂部材MのZ方向の位置決めをする第2規制部11fを含む。本実施形態の第2規制部11fは、第1機構11aに向かって延出する板状部材である。第2規制部11fは、樹脂部材Mの基準面24の形状および大きさに対応して形成される。本実施形態の第2規制部11fの幅方向(
図4の矢印Y方向)の大きさは、台座22の開口22bより小さく形成される。
【0025】
第2アクチュエータ11dは、第2機構11cを移動させ、第1機構11aに対する第2機構11cの位置を変更する。本実施形態の第2アクチュエータ11dは、第1機構11aと第2機構11cのZ方向における相対的な移動を制御する。
【0026】
組付部12は、位置決め部11が樹脂部材Mを組付位置に固定している状態で、部品Eを樹脂部材Mに組み付ける。本実施形態の組付部12は、部品Eを樹脂部材Mに向けて押圧して組み付ける。
【0027】
組付部12は、部品Eを保持する保持部12aと、保持部12aを駆動する第3アクチュエータ12bと、を有する。
【0028】
保持部12aは、予め用意された部品Eを保持し、部品Eを樹脂部材Mの近傍に移動させ、組み付ける。本実施形態の保持部12aは、部品Eの突出部32の形状に対応した筒状部材である。保持部12aは、その内部に部品Eの突出部32を保持して、取付部31および基部33を露出した状態で部品Eを移動させる。
【0029】
第3アクチュエータ12bは、保持部12aをX方向、Y方向、または/およびZ方向に移動させる。本実施形態の第3アクチュエータ12bは、少なくとも保持部12aをX方向に沿って移動させる。第3アクチュエータ12bは、保持部12aをX方向に沿って移動させ、開口22b側から部品Eに近づける。これにより、組付部12は、部品Eの取付部31を取付面23に組み付けることができる。
【0030】
検知部13は、部品Eが取付面23の所定位置に配置され、部品Eが樹脂部材Mに組み付けられた状態か否かを検知する。本実施形態の検知部13は、組付部12の保持部12a付近に設けられる赤外線センサまたはレーザーセンサである。
【0031】
次に、組付装置1による部品Eの組み付け工程について説明する。
【0032】
図6から
図9は、樹脂部材Mの製造工程を示す概略図である。本実施形態の樹脂部材Mは、射出成形機から取り出され、搬送装置Cによって後工程へ搬送される途中で、部品Eを組み付けられる。
【0033】
図6(a)に示すように、まず、樹脂部材Mが形成される。本実施形態の樹脂部材Mは、射出成形機により形成される。射出成形機は、一対の金型Sの間に形成されたキャビティ41内に樹脂材料を射出する。樹脂材料は、キャビティ41内で凝固し、樹脂部材Mとなる。
【0034】
次に、
図6(b)に示すように、樹脂部材Mは、金型Sから脱型され、搬送装置Cによって搬送される。搬送装置Cは、樹脂部材Mの板部21を保持し、樹脂部材Mを移動させる。本実施形態の搬送装置Cは、板部21の表面21aに吸着することで、樹脂部材Mを保持する。
【0035】
図6(c)に示すように、搬送装置Cによる搬送中、樹脂部材Mは、搬送装置Cから吊り下げられる。樹脂部材Mは、弾性部材を介して保持されることで、搬送中の空気抵抗によらず保持されるが、搬送中の樹脂部材Mは、搬送装置Cに対して揺動可能な状態で保持されることとなる。
【0036】
本実施形態の樹脂部材Mは、板部21の表面21aを上方(
図6(c)の矢印Z方向)、裏面21bを下方(
図6(c)の矢印Zと反対方向)に向けた状態で、搬送される。すなわち、樹脂部材Mは、台座22および取付面23を下方に向けた状態で搬送される。
【0037】
樹脂部材MがロボットアームRおよび組付装置1の近傍に到達すると、搬送装置Cは樹脂部材Mの搬送を一時中断し、組付装置1は、部品Eを保持して、樹脂部材Mの付近に移動する。部品Eは、樹脂部材Mに組み付けられる姿勢に対して反転させた状態で用意されることが好ましい。本実施形態の部品Eは、基部33を上方に、突出部32を下方に向けて樹脂部材Mに取り付けられる。従って、組み付け前の部品Eは、突出部32を上方、基部33を下方に向けた状態で用意される。
【0038】
組付装置1は、組付部12の保持部12aを下方に向けた下向きの状態で、突出部32を組付部12の保持部12aにより保持すると、部品Eの姿勢を反転させる。これにより、組付装置1は、組付部12の保持部12aを上方に向けた上向きの状態となり、部品Eは、突出部32を下方に向けた状態となる。組付装置1は、この上向きの状態で部品Eを樹脂部材Mに組み付ける。
【0039】
図7(a)に示すように、組付装置1は、部品Eの基部33を上方(
図7(a)の矢印Z方向)に向けた状態で、部品Eを樹脂部材Mの台座22の近傍に移動させる。これに伴い、組付装置1は、部品Eを組み付けるための初期位置に配置される。
【0040】
初期位置において、第1機構11aは台座22の外表面22aに対向して配置される。第2機構11cは台座22の開口22bに対向して配置される。すなわち、第1機構11aと第2機構11cは、台座22を、X方向において挟んで配置される。
【0041】
次に、
図7(b)に示すように、組付装置1の第1機構11aは、第1アクチュエータ11b(
図5を参照)によって駆動され、破線で示した初期位置から第2機構11cに向けてX方向に沿って移動する。
【0042】
図10は、第1機構11aの移動に伴う、第1機構11aと台座22の位置関係を示した概略図である。本実施形態の第1機構11aは、
図11に破線で示した初期位置から、実線で示した位置までX方向に沿って移動する。この際、第1機構11aは、台座22の外表面22aを取り囲む。また、第1機構11aの移動に伴い、第1規制部11eの一部または全部は、台座22の外表面22aに当接する。樹脂部材Mは、搬送装置Cに対して揺動可能に吊り下げられているので、第1規制部11eにより押されることにより規定の組付位置まで移動可能である。本実施形態の第1規制部11eは、X方向およびY方向において、台座22の開口22bの反対側から外表面22aに当接する。これにより、第1機構11aは、台座22を組付位置まで移動させることができる。
【0043】
次に、
図7(c)に示すように、組付装置1の第2機構11cは、第2アクチュエータ11d(
図5を参照)によって駆動され、破線で示した初期位置から下方(矢印Z方向の逆方向)に沿って移動する。
【0044】
図11は、第2機構11cの移動に伴う、第2機構11cと台座22の位置関係を示した概略図である。第2機構11cは、
図11に破線で示した初期位置から実線で示した位置までZ方向に沿って移動する。これに伴い、第2機構11cの第2規制部11fは、台座22の基準面24に当接し、台座22のZ方向の移動を規制する。
【0045】
以上の通り、組付装置1は、第1機構11aによって、台座22ひいては取付面23を組付位置まで移動させて、組付位置に保持することができる。組付装置1は、第2機構11cによって、台座22ひいては取付面23のZ方向の移動を規制する。
【0046】
さらに、
図8(a)に示すように、組付装置1は、樹脂部材Mを組付位置に保持したまま、部品Eを組み付ける。本実施形態の組付装置1の組付部12は、部品Eを、台座22の開口22bから、X方向に沿って移動させ、部品Eの取付部31を取付面23の切欠き23aに挿入する。台座22は、部品Eの組み付けに伴い、部品Eが組み付けられる方向(X方向)に押圧される。これに対して、第1規制部11eは、部品Eが組み付けられる方向と反対方向から、台座22の外表面22aを押圧して、台座22の組付位置からの移動を規制する。
【0047】
また、第2規制部11fは、台座22の基準面24を押圧して、部品Eの組み付けに伴う台座22のZ方向の移動を規制する。
【0048】
さらに、組付装置1は、樹脂部材Mに部品Eを組み付けた状態で、部品Eが所定の組付位置にあるか否かを検知する。本実施形態の検知部13(
図5を参照)は、組付部12によって台座22の取付面23に組付けられた部品Eの位置を検知する。部品Eが所定の位置に達していないと検知された場合、組付部12は、部品EをX方向に沿ってさらに押圧する。
【0049】
次に、
図8(b)に示すように、組付装置1は、樹脂部材Mから離れる。本実施形態の組付装置1は、組付部12の保持部12aを部品Eの突出部32から離脱させる。さらに、組付装置1は、第1機構11aおよび第2機構11cを初期位置まで移動させ、台座22付近から退避させる。
【0050】
図9(a)に示すように、組付装置1が樹脂部材Mから離れると、樹脂部材Mは、搬送装置Cのみに保持された状態となる。搬送装置Cは、樹脂部材Mの搬送を再開する。
【0051】
図9(b)に示すように、部品Eを組み付けられた樹脂部材Mは、搬送装置Cによって、所定の位置まで搬送される。本実施形態では、搬送装置Cは、樹脂部材Mを次工程に移動させるためのベルトコンベアB上に、樹脂部材Mを載置する。
【0052】
図9(c)に示すように、搬送装置Cは、樹脂部材MをベルトコンベアB上に載置すると、樹脂部材Mを開放する。これにより、樹脂部材Mは、板部21の表面21aを上方(
図9(b)の矢印Z方向)に向けた状態で、ベルトコンベアBによって後工程に移動される。
【0053】
上述の通り、樹脂部材Mは、搬送装置Cに対して変位可能(本実施形態では揺動可能)に保持されている。本開示の組付装置1の位置決め部11は、樹脂部材Mに接触して樹脂部材Mの位置を固定する。そのため、搬送装置Cに対して変位可能に保持された樹脂部材Mに対して、組付部12を用いて部品Eを確実に組み付けることができる。
【0054】
本開示の組付装置1では、樹脂部材Mは規定の組付位置に保持されるので、組付部12は、組付位置に部品Eを移動させるだけで、部品Eを樹脂部材Mに組み付けることができる。組付部12の移動距離(第3アクチュエータ12bのストローク)などのセッティングは固定で済むため、比較的簡易な構造の組付装置1を提供できる。
【0055】
また、組付装置1は、第1機構11aによって、樹脂部材MのX方向または/およびY方向の移動を規制する。第1機構11aは、樹脂部材Mに部品Eを組み付ける方向、すなわち、部品Eの組付け時に樹脂部材Mが押圧される方向と反対側から、樹脂部材Mを押圧する。これにより、組付装置1は、部品Eを樹脂部材Mに組み付ける際に、樹脂部材Mが部品Eから離脱することを防止できる。
【0056】
また、組付装置1の第2機構11cは、樹脂部材MのZ方向の移動を規制する。これにより、組付装置1は、樹脂部材Mの位置を精度よく組付位置に固定することができる。
【0057】
また、樹脂部材Mは、板部21の裏面21bに部品Eが組付けられる取付面23を有する。搬送装置Cは、板部21において、裏面21bと反対側の表面21aを保持して、取付面23を下側に向けた状態で樹脂部材Mを搬送する。これにより、樹脂部材Mは、取付面23の周囲に部品Eを組付けるための空間を有した状態で搬送されることができる。
【0058】
さらに、組付装置1の組付部12は、部品Eの突出部32を保持して、部品Eを樹脂部材Mの台座22付近に移動する。この場合に、組付装置1は、樹脂部材Mへの取付姿勢から反転した状態の部品Eを保持し、部品Eの姿勢を反転させて、取付部31を樹脂部材Mの取付面23へと移動させる。これにより、組付装置1は、取付面23を下側に向けた状態で搬送される樹脂部材Mに対して、部品Eを持ちかえることなく樹脂部材Mに組み付けることができる。
【0059】
以上説明した通り、本開示によれば、搬送中の樹脂部材に部品を組み付ける、新規な組付装置を提供できる。
【0060】
<他の実施形態>
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の変形例は必要に応じて任意に組合せ可能である。
【0061】
本実施形態の組付装置1は、樹脂部材Mに設けられた台座22に部品Eを組み付けたが、本開示はこれに限定されない。すなわち、台座22は、部品Eを受け入れるための種々様々な形状を選択可能であり、例えば、樹脂部材Mに設けられた開口やスリットを設けた縦壁であってもよい。また、本実施形態の部品Eは、台座22の側方に設けられた開口22bに挿入されたが、部品Eの組み付け方向は、台座22の形状に合わせて変更可能である。
【0062】
また、本実施形態の組付装置1は、第1機構11aによって、樹脂部材MのX方向または/およびY方向の移動を規制するとともに、第2機構11cによって、樹脂部材MのZ方向の移動を規制したが、本開示はこれに限定されない。すなわち、第1機構11aと第2機構11cは、互いに異なる方向から樹脂部材Mの移動を規制すればよい。例えば、一方でX方向の移動を規制するとともに、他方でY方向または/およびZ方向の移動を規制する等の変更が可能である。
【0063】
さらに、本開示の第1機構11aの第1規制部11eおよびは第2機構11cの第2規制部11fの形状も種々様々に変更可能である。例えば、第1規制部11eは、樹脂部材MのX方向または/およびY方向の移動を規制するL字の板状部材であってもよい。また、第2規制部11fは、樹脂部材MのZ方向の移動を規制するため、上方および下方の両側から基準面24を挟み込む、Uの字の断面形状を有してもよい。
【0064】
また、本実施形態の第1機構11aは、第1アクチュエータ11bによってX方向に移動したが、本開示はこれに限定されない。第1機構11aは、さらにアクチュエータを設けて、Y方向またはZ方向にも移動してもよい。また、第2機構11cも、第2アクチュエータ11dによってZ方向に移動したが、さらにアクチュエータを設けて、X方向またはY方向に移動してもよい。
【0065】
さらに、本実施形態の台座22の取付面23と基準面24は、Z方向に離間して配置されたが、本開示はこれに限定されない。すなわち、取付面23と基準面24は同一平面上の異なる箇所として設けられてもよい。例えば、組付装置1は、いずれかの平面を基準面24として、第2機構11cで移動を規制する一方で、同一平面上の異なる箇所を取付面23として、部品Eを組み付けてもよい。
【符号の説明】
【0066】
1 :組付装置
11 :位置決め部
11a :第1機構
11c :第2機構
12 :組付部
13 :検知部
M :樹脂部材
23 :取付面
24 :基準面
E :部品
C :搬送装置