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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025015079
(43)【公開日】2025-01-30
(54)【発明の名称】レリーズシステム
(51)【国際特許分類】
   F16D 25/08 20060101AFI20250123BHJP
【FI】
F16D25/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023118189
(22)【出願日】2023-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】000149033
【氏名又は名称】株式会社エクセディ
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】江口 康彦
(72)【発明者】
【氏名】橋本 一樹
(72)【発明者】
【氏名】石本 貴大
【テーマコード(参考)】
3J057
【Fターム(参考)】
3J057AA08
3J057BB03
3J057CB11
3J057GD22
3J057HH02
3J057JJ01
(57)【要約】
【課題】油圧を用いないレリーズシステムを提供する。
【解決手段】レリーズシステム100は、レリーズ装置2、制御弁3、及び梃子機構4を備える。レリーズ装置2は、レリーズピストン22及びエア室24を有する。制御弁3は、弁体32を有する。制御弁3は、エア室24へのエアの供給及びエア室24からのエアの排気を制御する。梃子機構4は、制御弁3を操作する。梃子機構4は、入力部43、追従部44、及び押圧部45を有する。入力部43は、作用点として機能する。入力部43は、運転者の操作によって操作力が加えられる。追従部44は、支点として機能する。追従部44は、レリーズピストン22と一体的に移動する。押圧部45は、力点として機能する。押圧部45は、弁体32を押圧する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レリーズピストン及びエア室を有するレリーズ装置と、
弁体を有し、前記エア室へのエアの供給及び前記エア室からのエアの排気を制御するように構成される制御弁と、
前記制御弁を操作するように構成される梃子機構と、を備え、
前記梃子機構は、
作用点として機能し、運転者の操作によって操作力が加えられるように構成される入力部と、
支点として機能し、前記レリーズピストンと一体的に移動するように構成される追従部と、
力点として機能し、前記弁体を押圧するように構成される押圧部と、
を有する、
レリーズシステム。
【請求項2】
前記梃子機構は、
前記入力部及び前記追従部を有する第1レバーアームと、
前記押圧部を有し、前記入力部と前記追従部との間において前記第1レバーアームに旋回可能に取り付けられるとともに、前記レリーズ装置に旋回可能に取り付けられる第2レバーアームと、
を有する、
請求項1に記載のレリーズシステム。
【請求項3】
前記梃子機構は、前記入力部、前記追従部、及び前記押圧部、を含むレバーアームを有し、
前記押圧部は、前記入力部と前記追従部との間に配置される、
請求項1に記載のレリーズシステム。
【請求項4】
前記制御弁は、前記弁体を前記押圧部に向かって付勢する付勢部材を有し、
前記追従部は、前記付勢部材により前記レリーズピストンの移動方向に付勢される、
請求項1に記載のレリーズシステム。
【請求項5】
前記レリーズ装置は、前記レリーズピストンと一体的に移動するガイド部材を有し、
前記追従部は、前記ガイド部材と当接する、
請求項1に記載のレリーズシステム。
【請求項6】
前記入力部は、操作力が加わると第1方向に移動するように構成され、
前記レリーズピストンは、前記エア室内にエアが供給されると前記第1方向と反対の第2方向に移動するように構成され、
前記弁体は、前記エア室内のエアを排出する排気位置と、前記エア室内にエアを供給する供給位置、及び前記エア室を閉鎖する閉鎖位置との間で移動可能であり、
前記弁体は、前記入力部に操作力が加わり前記入力部が第1方向に移動すると前記供給位置に移動し、前記追従部が第2方向に移動すると前記閉鎖位置に移動し、前記入力部への操作力が解除されて前記入力部が第2方向に移動すると前記排気位置に移動する、
請求項1に記載のレリーズシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レリーズシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
クラッチ装置における動力伝達を解除するために、クラッチ装置にレリーズ装置が取り付けられている。特許文献1には、レリーズ装置及び制御弁を有するレリーズシステムが開示されている。制御弁は、油圧室内の油圧と目標圧力との関係に基づき、レリーズ装置にエアを供給したり、レリーズ装置へのエアの供給を停止したりするように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-047381号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したレリーズシステムは、レリーズ装置において油漏れが発生し、その油によってクラッチが滑るという問題が発生するおそれがある。
【0005】
本発明の課題は、油圧を用いないレリーズシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1態様に係るレリーズシステムは、レリーズ装置、制御弁、及び梃子機構を備える。レリーズ装置は、レリーズピストン及びエア室を有する。制御弁は、弁体を有する。制御弁は、エア室へのエアの供給及びエア室からのエアの排気を制御するように構成される。梃子機構は、制御弁を操作するように構成される。梃子機構は、入力部、追従部、及び押圧部を有する。入力部は、作用点として機能する。入力部は、運転者の操作によって操作力が加えられるように構成される。追従部は、支点として機能する。追従部は、レリーズピストンと一体的に移動するように構成される。押圧部は、力点として機能する。押圧部は、弁体を押圧するように構成される。
【0007】
この構成によれば、クラッチ操作が行われると、梃子機構は、追従部を中心に入力部及び押圧部が移動する。この結果、押圧部が制御弁の弁体を押圧し、制御弁を操作することができる。また、レリーズピストンの移動に伴い追従部及び押圧部も移動するため、レリーズピストンの移動に合わせて制御弁を制御することができる。このように、油圧を用いることなく制御弁を制御することができる。
【0008】
第2態様に係るレリーズシステムは、第1態様に係るレリーズシステムにおいて、次のように構成される。梃子機構は、第1レバーアームと第2レバーアームとを有する。第1レバーアームは、入力部及び追従部を有する。第2レバーアームは、押圧部を有する。第2レバーアームは、入力部と追従部との間において第1レバーアームに旋回可能に取り付けられる。また、第2レバーアームは、レリーズ装置に旋回可能に取り付けられる。
【0009】
第3態様に係るレリーズシステムは、第1態様に係るレリーズシステムにおいて、次のように構成される。梃子機構は、レバーアームを有する。レバーアームは、入力部、追従部、及び押圧部を含む。押圧部は、入力部と追従部との間に配置される。
【0010】
第4態様に係るレリーズシステムは、第1から第3態様のいずれかに係るレリーズシステムにおいて、次のように構成される。制御弁は、弁体を押圧部に向かって付勢する付勢部材を有する。追従部は、付勢部材によりレリーズピストンの移動方向に付勢される。
【0011】
第5態様に係るレリーズシステムは、第1から第4態様のいずれかに係るレリーズシステムにおいて、次のように構成される。レリーズ装置は、レリーズピストンと一体的に移動するガイド部材を有する。追従部は、ガイド部材と当接する。
【0012】
第6態様に係るレリーズシステムは、第1から第5態様のいずれかに係るレリーズシステムにおいて、次のように構成される。入力部は、操作力が加わると第1方向に移動するように構成される。レリーズピストンは、エア室内にエアが供給されると第1方向と反対の第2方向に移動するように構成される。弁体は、エア室内のエアを排出する排気位置と、エア室内にエアを供給する供給位置、及びエア室を閉鎖する閉鎖位置との間で移動可能である。弁体は、入力部に操作力が加わり入力部が第1方向に移動すると供給位置に移動する。弁体は、追従部が第2方向に移動すると閉鎖位置に移動する。弁体は、入力部への操作力が解除されて入力部が第2方向に移動すると排気位置に移動する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、油圧を用いないレリーズシステムを提供するができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】レリーズシステムの断面図。
図2】制御弁の断面図。
図3】レリーズシステムの動作を示す説明図。
図4】レリーズシステムの動作を示す説明図。
図5】レリーズシステムの動作を示す説明図。
図6】変形例に係るレリーズシステムの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本実施形態に係るレリーズシステムについて図面を参照しつつ説明する。
【0016】
<レリーズシステム>
図1に示すように、レリーズシステム100は、レリーズ装置2、制御弁3、及び梃子機構4を有している。レリーズシステム100は、エアを用いてクラッチ装置101に対してレリーズ操作を行うように構成されている。なお、以下の説明において、第1方向とは、梃子機構4の入力部43に操作力が加わったときに入力部43が移動する方向であり、第2方向とは、第1方向と反対の方向である。具体的には、図1の右方向が第1方向であり、図1の左方向が第2方向である。
【0017】
<レリーズ装置>
レリーズ装置2は、エアを駆動源としている。レリーズ装置2は、クラッチ装置101のダイヤフラムスプリング102の内周端部を押圧することによって、クラッチ装置101による動力伝達状態が解除される。
【0018】
レリーズ装置2は、シリンダ21、レリーズピストン22、スプリング23、エア室24、プッシュリング25、レリーズベアリング26、及びガイド部材27を有している。
【0019】
レリーズピストン22は、シリンダ21内を軸方向に移動可能に配置されている。なお、レリーズ装置2において、軸方向とは、クラッチ装置101の回転軸Oに沿った方向を意味する。また、レリーズ装置2において、周方向とは、回転軸Oを中心とした円の周方向であり、径方向とは、回転軸Oを中心とした円の径方向である。
【0020】
スプリング23は、レリーズピストン22とシリンダ21との間に配置されている。スプリング23は、レリーズピストン22をダイヤフラムスプリング102に向かって付勢している。すなわち、スプリング23は、レリーズピストン22を第2方向に付勢している。エア室24は、シリンダ21とレリーズピストン22とによって画定されている。このエア室24内にスプリング23が配置されている。
【0021】
プッシュリング25は、ダイヤフラムスプリング102を押圧するように構成されている。詳細には、プッシュリング25は、円筒状であり、ダイヤフラムスプリング102の内周部を押圧している。レリーズベアリング26は、レリーズピストン22とプッシュリング25との間に配置されている。レリーズベアリング26の内輪は、プッシュリング25と当接し、レリーズピストン22とは当接していない。また、レリーズベアリング26の外輪は、レリーズピストン22と当接し、プッシュリング25と当接していない。
【0022】
ガイド部材27は、シリンダ21の外側に配置されている。ガイド部材27は、レリーズピストン22と一体的に移動するように構成されている。すなわち、ガイド部材27は、軸方向に移動可能である。ガイド部材27は、突出部271を有している。突出部271は、径方向外側に突出している。突出部271は、周方向において、連続的に延びていてもよいし、断続的に延びていてもよい。
【0023】
エア室24にエアが供給されると、レリーズピストン22及びプッシュリング25がダイヤフラムスプリング102を押圧するように第2方向(図1の左方向)に移動し、クラッチ装置101は動力伝達を遮断する状態(クラッチオフ状態)となる。また、レリーズ装置2のエア室24からエアを排出すると、ダイヤフラムスプリング102の付勢力によってレリーズピストン22及びプッシュリング25は第1方向(図1の右方向)に移動し、プッシュリング25によるダイヤフラムスプリング102の押圧が解除され、クラッチ装置101は動力を伝達する状態(クラッチオン状態)となる。
【0024】
<制御弁>
制御弁3は、レリーズ装置2のエア室24にエアを供給したり、エア室24からエアを排気したりするように構成されている。図2に示すように、制御弁3は、弁本体31、弁体32、及び付勢部材33を有している。また、制御弁3は、第1チャンバC1,第2チャンバC2,及び第3チャンバC3を有している。
【0025】
弁本体31は、供給ポートP1、及び連通ポートP2を有している。供給ポートP1は、エア供給源103に接続されている。また、供給ポートP1は、第1チャンバC1と連通している。この供給ポートP1を介して、エア供給源から第1チャンバC1へとエアが供給される。
【0026】
連通ポートP2は、レリーズ装置2のエア室24と接続されている。また、連通ポートP2は、第2チャンバC2と連通している。この連通ポートP2を介して、レリーズ装置2のエア室24と第2チャンバC2とが連通している。
【0027】
弁体32は、弁本体31内に配置されている。弁体32は、弁本体31内を進入方向及び退出方向に移動可能に配置されている。なお、進入方向とは、弁体32が弁本体31内に進入する方向であり、具体的には、図2の下方向である。また、退出方向とは、弁体32が弁本体31内から退出する方向であり、具体的には、図2の上方向である。退出方向は、進入方向とは反対の方向である。弁体32は、第1弁体32a及び第2弁体32bを有している。
【0028】
第1弁体32aは、弁本体31内に配置されている。第1弁体32aは、第2弁体32bに対して進入方向に配置されている。第1弁体32aは、軸方向に移動可能に配置されている。なお、制御弁3において軸方向とは、弁体32が移動する方向を言う。第1弁体32aの外周面は、弁本体31の内周面と間隔をあけて配置されている。径方向において、第1弁体32aと弁本体31との間に、第1チャンバC1が形成されている。
【0029】
第1弁体32aは、軸方向に貫通する貫通孔321を有している。貫通孔321は、弁本体31の内部空間及び弁本体31の外部と連通している。詳細には、貫通孔321は、サイレンサ36を介して弁本体31の外部と連通している。この第1弁体32aの貫通孔321の内周面によって、第3チャンバC3が画定されている。第3チャンバC3は、弁本体31の外部と連通している。第1弁体32aは、スリーブ37によって支持されている。
【0030】
第2弁体32bは、弁本体31内に配置されている。第2弁体32bは、第1弁体32aに対して、退出方向に配置されている。第2弁体32bの軸方向の一方の端部(図2の上端部)は、弁本体31から突出している。すなわち、第2弁体32bの退出方向の端部は、弁本体31から突出している。この第2弁体32bの端部が、梃子機構4と当接している。第2弁体32bは、弁本体31内で軸方向に移動可能である。第2弁体32bは、梃子機構4から力が作用していない状態(中立状態)では、第1弁体32aと軸方向において間隔をあけて配置されている。
【0031】
第2弁体32bは、梃子機構4によって押圧されることで、進入方向に移動する。第2弁体32bが進入方向に移動すると、第2弁体32bが第1弁体32aと当接する。また、梃子機構4による押圧が解除されると、第2弁体32bは退出方向に移動し、第2弁体32bは、第1弁体32aから離れる。
【0032】
付勢部材33は、弁体32を、退出方向に付勢している。付勢部材33は、第1付勢部材33a及び第2付勢部材33bを有している。
【0033】
第1付勢部材33aは、第1弁体32aを退出方向に付勢するように構成されている。第1付勢部材33aが第1弁体32aを付勢することによって、第1弁体32aは弁本体31の当接部311と当接している。第1弁体32aが当接部311と当接することによって、第1チャンバC1は第2チャンバC2と隔離される。第1付勢部材33aは、例えば、コイルスプリングである。第1付勢部材33aは、第1チャンバC1内に配置されている。第1付勢部材33aは、第1弁体32aを囲むように配置されている。第1付勢部材33aは、ダイヤフラムスプリング102よりもばね定数が小さい。
【0034】
第2付勢部材33bは、第2弁体32bを退出方向に付勢するように構成されている。すなわち、第2付勢部材33bは、第2弁体32bを、後述する押圧部45に向かって付勢している。第2付勢部材33bは、例えば、コイルスプリングである。第2付勢部材33bは、第2チャンバC2内に配置されている。第2付勢部材33bは、第2弁体32bを囲むように配置されている。第2付勢部材33bは、ダイヤフラムスプリング102よりもばね定数が小さい。
【0035】
<梃子機構>
図1に示すように、梃子機構4は、制御弁3を操作するように構成されている。梃子機構4は、第1レバーアーム41及び第2レバーアーム42を有している。
【0036】
第1レバーアーム41は、入力部43及び追従部44を有している。詳細には、第1レバーアーム41の一方の端部が入力部43を構成しており、他方の端部が追従部44を構成している。
【0037】
入力部43は、梃子機構4の作用点として機能する。入力部43は、運転者によってペダル操作された場合に、操作力が加えられる。具体的には、図1の右側に向かう操作力が入力部43に加えられる。この操作力が加わると、入力部43が第1方向(図1の右方向)に移動する。すなわち、操作力が加わると、第1レバーアーム41は、追従部44を中心として入力部43が第1方向に動くように、旋回する。
【0038】
追従部44は、梃子機構4の支点として機能する。追従部44は、レリーズピストン22と一体的に移動するように構成されている。詳細には、追従部44は、レリーズピストン22の移動に追従するように構成されている。すなわち、追従部44は、レリーズピストン22が停止しているときは停止し、レリーズピストン22が移動するときは同様に移動する。
【0039】
追従部44は、レリーズピストン22と一体的に移動するガイド部材27と一体的に移動する。追従部44は、ガイド部材27と当接している。詳細には、追従部44は、ガイド部材27の突出部271と接している。
【0040】
追従部44は、制御弁3の付勢部材33(詳細には第2付勢部材33b)によって、レリーズピストン22の移動方向(詳細には第2方向)に付勢されている。すなわち、追従部44は、付勢部材33の付勢力によって、ガイド部材27の突出部271に常時接触するように構成されている。
【0041】
第2レバーアーム42は、押圧部45を有している。押圧部45は、入力部43と追従部44との間に配置されている。第2レバーアーム42の一方の端部が押圧部45を構成している。押圧部45は、梃子機構4の力点として機能する。押圧部45は、制御弁3の第2弁体32bを押圧するように構成されている。
【0042】
第2レバーアーム42は、レリーズ装置2に対して旋回可能に取り付けられている。詳細には、第2レバーアーム42の他方の端部が旋回軸S1を中心に旋回可能に取り付けられている。また、第2レバーアーム42は、入力部43と追従部44との間において、第1レバーアーム41に旋回可能に取り付けられている。すなわち、第2レバーアーム42は、旋回軸S2を介して第1レバーアーム41に取り付けられている。なお、第2レバーアーム42は、第1レバーアーム41に対して移動可能に取り付けられている。
【0043】
<動作>
次に、上述したように構成されたレリーズシステム100の動作について図3図5を参照しつつ説明する。なお、図3図5において、基準線L1~L4は、制御弁3や梃子機構4の各部材の位置関係を示すための線である。まず、図3に示すように、運転者がクラッチ操作していない状態(例えば、運転者がクラッチペダルを踏み込んでいない状態)では、第1レバーアーム41の入力部43に操作力が加わっておらず、第2レバーアーム42の押圧部45は第2弁体32bを進入方向に押圧しない。このため、制御弁3は何も操作されておらず中立状態にある。
【0044】
第2弁体32bは、第2付勢部材33bによって退出方向に付勢されている。このため、第2チャンバC2は、第3チャンバC3と連通している。また、第1弁体32aは、第1付勢部材33aによって第2弁体32bに向かう方向に付勢されており、当接部311と当接している。このため、第1チャンバC1は、第2チャンバC2と隔離されている。
【0045】
レリーズ装置2のエア室24は、第2チャンバC2及び第3チャンバC3を介して外部へと解放されている。すなわち、レリーズ装置2のエア室24内のエアはエア室24から排出されている。なお、このように、第2チャンバC2と第3チャンバC3とが連通されており、エア室24内のエアを排出するときの弁体32の位置を排気位置という。
【0046】
次に、図4に示すように、運転者がクラッチオフ操作をすると(例えば、運転者がクラッチペダルを踏み込むと)、入力部43に操作力が加わり、第1レバーアーム41が追従部44を中心に旋回する。すなわち、入力部43が第1方向に移動する。そして、押圧部45が第2弁体32bを押し込むように、第2レバーアーム42が旋回する。この結果、第2弁体32bは、進入方向に移動して第1弁体32aと当接し、第1弁体32aを進入方向に移動させる。この結果、第1弁体32aは、当接部311から離れる。
【0047】
すなわち、第2チャンバC2は、第3チャンバC3と隔離され、第1チャンバC1と連通する。この結果、第1チャンバC1から第2チャンバC2を介してレリーズ装置2のエア室24へエアが供給され、レリーズ装置2のレリーズピストン22が第2方向へと移動する。そして、プッシュリング25がダイヤフラムスプリング102の内周部を押圧し、クラッチ装置がクラッチオフ状態となる。なお、このように、第1チャンバC1と第2チャンバC2が連通されてエア室24にエアを供給するときの弁体32の位置を供給位置という。
【0048】
図5に示すように、運転者がクラッチ操作を停止すると(例えば、運転者がクラッチペダルの踏み込んだ状態で踏み込み動作を停止すると)、エア室24にエアが供給されてレリーズ装置2のレリーズピストン22が第2方向に移動する。第1レバーアーム41の追従部44は、レリーズピストン22と同様に第2方向に移動し、これに伴い第2レバーアーム42の押圧部45がわずかに戻る。これにより、第2弁体32b及び第1弁体32aが退出方向に移動し、第1弁体32aと第2弁体32bとが当接した状態のまま、第1弁体32aが当接部311と当接する。
【0049】
このため、第2チャンバC2は、第1チャンバC1及び第3チャンバC3のいずれとも隔離されている。すなわち、第1チャンバC1、第2チャンバC2、及び第3チャンバC3は、それぞれが互いに連通していない。この結果、エア室24内の空気圧が維持され、レリーズピストン22がダイヤフラムスプリング102を押圧し続ける。なお、このように、第1チャンバC1、第2チャンバC2、及び第3チャンバC3のそれぞれが互いに連結されておらず、エア室24が閉鎖されているときの弁体32の位置を閉鎖位置という。
【0050】
運転者がクラッチオン操作をすると(例えば、運転者がクラッチペダルの踏込みを解除すると)、入力部43への操作力が解除されて入力部43は第2方向に移動する。これにより、制御弁3及び梃子機構4は、図3の状態に戻り、第2チャンバC2は、第3チャンバC3と連通し、第1チャンバC1と隔離される。すなわち、弁体32は、排気位置に移動する。この結果、レリーズ装置2のエア室24内のエアがエア室24から排出され、レリーズピストン22は第1方向に移動し、クラッチ装置101はクラッチオン状態となる。以上のように、弁体32は、供給位置、排気位置、及び閉鎖位置の3つの位置の間で移動可能である。
【0051】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0052】
例えば、図6に示すように、梃子機構4は、第2レバーアーム42を有していなくてもよい。すなわち、梃子機構4は、一つのレバーアーム41のみを有している。この場合、レバーアーム41は、入力部43、追従部44、及び押圧部45を有している。押圧部45は、入力部43と追従部44との間に配置される。
【符号の説明】
【0053】
2 :レリーズ装置
22 :レリーズピストン
24 :エア室
27 :ガイド部材
3 :制御弁
32 :弁体
33 :付勢部材
4 :梃子機構
41 :レバーアーム
41 :第1レバーアーム
42 :第2レバーアーム
43 :入力部
44 :追従部
45 :押圧部
100 :レリーズシステム
図1
図2
図3
図4
図5
図6