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特開2025-15089線路扛上装置、軌陸バックホウ、及び線路扛上方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025015089
(43)【公開日】2025-01-30
(54)【発明の名称】線路扛上装置、軌陸バックホウ、及び線路扛上方法
(51)【国際特許分類】
   E01B 29/04 20060101AFI20250123BHJP
   E01B 27/20 20060101ALI20250123BHJP
【FI】
E01B29/04
E01B27/20
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023118216
(22)【出願日】2023-07-20
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】591075641
【氏名又は名称】東鉄工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【弁理士】
【氏名又は名称】安彦 元
(74)【代理人】
【識別番号】100198214
【弁理士】
【氏名又は名称】眞榮城 繁樹
(72)【発明者】
【氏名】加藤 章
【テーマコード(参考)】
2D057
【Fターム(参考)】
2D057AB06
2D057AB17
2D057AB24
2D057BA12
2D057BA18
(57)【要約】
【課題】線路扛上に関するメンテナンス作業の作業人員を極力低減して労務コストを削減することができる線路扛上装置、軌陸バックホウ、及び線路扛上方法を提供する。
【解決手段】正規の高さから移動した線路のレール(右レールR1又は左レールR2)を正規に戻して修正する線路扛上装置1において、左右一対の各レールを掛け止める左右一対のクランプ爪2と、各レールに掛け止めたクランプ爪2を押し上げるための左右一対の押上ジャッキ3と、押上ジャッキ3ごとクランプ爪2を揺動して前記レールの下方に差し込むための左右一対の揺動ジャッキ4と、左右一対のレールの高低差を計測するカント計測機構5を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正規の高さから移動した線路のレールを正規に戻して修正する線路扛上装置であって、
左右一対の各レールを掛け止める左右一対のクランプ爪と、各レールに掛け止めたクランプ爪を押し上げるための左右一対の押上ジャッキと、前記押上ジャッキごと前記クランプ爪を揺動して前記レールの下方に差し込むための左右一対の揺動ジャッキと、左右一対のレールの高低差を計測するカント計測機構を備えること
を特徴とする線路扛上装置。
【請求項2】
前記カント計測機構は、カント昇降ジャッキを有して昇降し、計測時に前記レールに当接し、非計測時に前記レールから離間して退避可能に構成されていること
を特徴とする請求項1に記載の線路扛上装置。
【請求項3】
前記カント計測機構は、左右一対のレールの上端同士に架け渡さられるカント計測杆と、前記カント計測杆の上端に当接して左右のレールの高低差を計測するカント計測装置と、前記カント計測杆を上下動して昇降させるカント昇降ジャッキを有し、
前記カント計測杆は、前記カント昇降ジャッキで昇降して前記レールに当接又は非接触自在となっていること
を特徴とする請求項2に記載の線路扛上装置。
【請求項4】
陸上を走行するためのクローラー機構と、線路上を走行するための車輪機構と、前記車輪機構を揺動して起伏する車輪揺動機構と、を備えた軌陸バックホウであり、
前記車輪揺動機構の前輪を揺動する前輪揺動機構に、請求項1~3のいずれかに記載の線路扛上装置が装着されていること
を特徴とする軌陸バックホウ。
【請求項5】
バックホウのバケット部分に道床及びバラストを突き固めるタイタンパーアタッチメントが装着されていること
を特徴とする請求項4に記載の軌陸バックホウ。
【請求項6】
正規の高さから移動した線路のレールを正規に戻して修正する線路扛上方法であって、
請求項4に記載の軌陸バックホウで線路上を走行することで線路扛上作業の現場に前記線路扛上装置を搬送する搬送工程と、
前記揺動ジャッキを作動して、前記クランプ爪を前記レールの下方に差し込むクランプ爪揺動工程と、
前記カント計測機構で基準となるレールとのカントを計測しつつ、前記押上ジャッキを作動して、前記クランプ爪に掛け止められた前記レールを扛上する線路扛上工程と、を備えること
を特徴とする線路扛上方法。
【請求項7】
請求項5に記載の軌陸バックホウの前記タイタンパーアタッチメントで振動させてバラストを突き固める突固め工程を備えること
を特徴とする請求項6に記載の線路扛上方法。
【請求項8】
請求項2又は3に記載の線路扛上装置のカント昇降ジャッキを作動させて、前記突固め工程の前に、前記カント計測機構を前記レールから退避させること
を特徴とする請求項7に記載の線路扛上方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、落ち込んだ線路の左右の各レールを正規の位置に引き上げる線路扛上装置に関し、詳しくは、軌道及び道路上を走行可能な軌陸バックホウ(rail backhoe)と一体化してバラストの突き固めが可能な線路扛上装置及び線路扛上方法に関する。
【背景技術】
【0002】
線路メンテナンス工事では、落ち込んで沈んだ線路のレールと枕木からなる軌きょう(軌框)を線路扛上装置で持ち上げて、バラストをタイタンパー装置等で締め固めて線路(軌框)の補修・保全を行っている。
【0003】
しかし、従来、このような線路扛上に関する線路メンテナンス工事は、線路を持ち上げるのも、線路の左右のレールが正規の高さに引き上げられたか否かを計測するのも人力であり、多数の作業員が多くの時間を費やして行うものであった。このため、メンテナンス費用が嵩むという問題があった。
【0004】
このような問題を解決するべく、例えば、特許文献1には、レール上を走行可能な台車20と、軌きょう1を台車20ごと持ち上げるための扛上機構30とを備え、扛上機構30は、台車20上の両側位置に台車20の進行方向と直交する方向Xに開閉自由に支持され先端部には閉成時に各レールと係合する爪片36A、36Bを備えた一対の爪機構31A、31Bと、各爪機構を連動させて開閉動作させる駆動機構32と、台車20上の両側位置に設けられる一対の昇降ジャッキ33A、33Bとを備えており、各昇降ジャッキ33A、33Bは、地面に押し付けられる台部33cと、台部に対する地面からの反力によって押し上げられる昇降部33aとを有し、昇降部に爪機構31A、31Bが連結されている軌きょう扛上装置が開示されている(特許文献1の特許請求の範囲の請求項1、明細書の段落[0016]~[0033]、図面の図1図4等参照)。
【0005】
しかし、特許文献1に記載の軌きょう扛上装置は、扛上機構30で所定の高さにレールを持ち上げられたか否かの判定をレーザーレベルでの計測で行う必要があるため、扛上機構30を操作する作業員と、レーザーレベルの計測を行う作業員の最低二人が必要であり、レーザーレベルでの計測に時間や人員がかかり、メンテナンス費用が嵩むという問題が大幅に解消されるものではなかった。また、特許文献1に記載の軌きょう扛上装置は、別途、バラストを締め固めるタイタンパー等の装置が必要であり、その点でも作業員の増加や装置輸送のコストが嵩むという問題もあった。
【0006】
また、特許文献2には、アーム11a先端にバラストを突き固めるタイタンパー部12cが設けられた軌陸バックホウ1と、軌陸バックホウ1に第1連結部材4を介し連結され、軌陸バックホウ1の走行に応じてレール上を走行すると共に、レールをクランプしてレールおよびマクラギからなる軌きょうを扛上する軌きょう扛上用台車2と、軌きょう扛上用台車2に第2連結部材5を介し連結され、軌陸バックホウ1の走行に応じて軌きょう扛上用台車2に引っ張られながらレール上を走行すると共に、レベル検測用レーザーを送信するレベル検測用レーザー送信機が設けられたレーザー用台車3と、を備え、軌きょう扛上用台車2には、レーザー用台車3のレベル検測用レーザー送信機からのレベル検測用レーザーを受信してレベルを表示するレーザーレシーバが設けられた軌きょう扛上装置が開示されている(特許文献2の特許請求の範囲の請求項1、明細書の段落[0012]~[0037]、図面の図1図3等参照)。
【0007】
しかし、特許文献2に記載の軌きょう扛上装置は、扛上用台車2やレーザー用台車3が軌陸バックホウ1で牽引されるため装置輸送のコストは低減できるものの、軌陸バックホウ1と扛上用台車2は、別操作である上、特許文献1に記載の軌きょう扛上装置と同様に、扛上用台車2の扛上機構を操作する作業員と、レーザーレベルの計測を行う作業員の最低二人が必要であり、レーザーレベルでの計測に時間や人員がかかり、メンテナンス費用が嵩むという問題を解消できてはいない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第6556553号公報
【特許文献2】特許第7220839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明は、前述した問題に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、線路扛上に関するメンテナンス作業の作業人員を極力低減して労務コストを削減することができる線路扛上装置、軌陸バックホウ、及び線路扛上方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に係る線路扛上装置は、正規の高さから移動した線路のレールを正規に戻して修正する線路扛上装置であって、左右一対の各レールを掛け止める左右一対のクランプ爪と、各レールに掛け止めたクランプ爪を押し上げるための左右一対の押上ジャッキと、前記押上ジャッキごと前記クランプ爪を揺動して前記レールの下方に差し込むための左右一対の揺動ジャッキと、左右一対のレールの高低差を計測するカント計測機構を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項2に係る線路扛上装置は、請求項1に係る線路扛上装置において、前記カント計測機構は、カント昇降ジャッキを有して昇降し、計測時に前記レールに当接し、非計測時に前記レールから離間して退避可能に構成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項3に係る線路扛上装置は、請求項2に係る線路扛上装置において、前記カント計測機構は、左右一対のレールの上端同士に架け渡さられるカント計測杆と、前記カント計測杆の上端に当接して左右のレールの高低差を計測するカント計測装置と、前記カント計測杆を上下動して昇降させるカント昇降ジャッキを有し、前記カント計測杆は、前記カント昇降ジャッキで昇降して前記レールに当接又は非接触自在となっていることを特徴とする。
【0013】
請求項4に係る軌陸バックホウは、陸上を走行するためのクローラー機構と、線路上を走行するための車輪機構と、前記車輪機構を揺動して起伏する車輪揺動機構と、を備えた軌陸バックホウであり、前記車輪揺動機構の前輪を揺動する前輪揺動機構に、請求項1~3のいずれかに記載の線路扛上装置が装着されていることを特徴とする。
【0014】
請求項5に係る軌陸バックホウは、請求項4に係る軌陸バックホウにおいて、バックホウのバケット部分に道床及びバラストを突き固めるタイタンパーアタッチメントが装着されていることを特徴とする。
【0015】
請求項6に係る線路扛上方法は、正規の高さから移動した線路のレールを正規に戻して修正する線路扛上方法であって、請求項4に記載の軌陸バックホウで線路上を走行することで線路扛上作業の現場に前記線路扛上装置を搬送する搬送工程と、前記揺動ジャッキを作動して、前記クランプ爪を前記レールの下方に差し込むクランプ爪揺動工程と、前記カント計測機構で基準となるレールとのカントを計測しつつ、前記押上ジャッキを作動して、前記クランプ爪に掛け止められた前記レールを扛上する線路扛上工程と、を備えることを特徴とする。
【0016】
請求項7に係る線路扛上方法は、請求項6に記載の線路扛上方法において、請求項5に記載の軌陸バックホウの前記タイタンパーアタッチメントで振動させてバラストを突き固める突固め工程を備えることを特徴とする。
【0017】
請求項8に係る線路扛上方法は、請求項7に記載の線路扛上方法において、請求項2又は3に記載の線路扛上装置のカント昇降ジャッキを作動させて、前記突固め工程の前に、前記カント計測機構を前記レールから退避させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1~8に係る発明によれば、揺動ジャッキでクランプ爪を揺動してレールの下方に差し込み、カント計測機構で一方のレールを基準に他方のレールの高さの違いを計測しつつ前記押上ジャッキで落ち込んだレールをクランプ爪で掛け止めて正規の位置に引き上げるので、線路扛上に関するメンテナンス作業を短時間で行えるとともに作業人員を極力低減することができる。このため、線路扛上作業に従事する作業員の延べ人数を削減して労務コストを低減することができる。
【0019】
特に、請求項2,3,8に係る発明によれば、カント計測機構をレールから退避するので、精密機械であるカント計測装置にレールを介してタイタンパー装置の振動が直接伝達されないようにすることができ、カント計測装置を保護することができる。
【0020】
特に、請求項5,7に係る発明によれば、タイタンパーアタッチメントを操作して、バラストを突き固めるので、従来のように手持ちのタイタンパー装置を人力で操作して突き固める必要がなく、振動で人体に悪影響を及ぼすこともなく、少ない作業員で容易に短時間で突固め作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本発明の実施形態に係る線路扛上装置を示す斜視図である。
図2図2は、同上の線路扛上装置を示す正面図である。
図3図3は、同上の線路扛上装置を示す右側面図である。
図4図4は、同上の線路扛上装置を示す平面図である。
図5図5は、本発明の実施形態に係る軌陸バックホウを示す側面図である。
図6図6は、同上の軌陸バックホウのタイタンパーアタッチメントを示す図5の部分拡大図である。
図7図7は、同上の軌陸バックホウに設置された操作パネルの操作画面の画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る線路扛上装置の一実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0023】
[線路扛上装置]
図1図4を用いて、本発明の実施形態に係る線路扛上装置1(以下、単に線路扛上装置1ともいう。)について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る線路扛上装置1を示す斜視図であり、図2は、本実施形態に係る線路扛上装置1を示す正面図である。また、図3は、本実施形態に係る線路扛上装置1を示す右側面図であり、図4は、本実施形態に係る線路扛上装置1を示す平面図である。
【0024】
本実施形態に係る線路扛上装置1は、落ち込んで正規の位置からズレて移動した線路R(軌框)のコンクリート製又は木製の枕木S1に固定された左右の各レールR1,R2を正規の位置に引き上げて扛上し、正規の高さから移動した各レールR1,R2を正規に戻して修正する装置である。
【0025】
線路扛上装置1は、図1図4に示すように、後述の軌陸バックホウ100に取り付けられたフレーム10を基体とし、左右一対の各レールR1,R2を掛け止める左右一対のクランプ爪2,2と、各レールに掛け止めたクランプ爪2を押し上げるための左右一対の押上ジャッキ3,3と、この押上ジャッキ3ごとクランプ爪2を揺動してレールR1,R2の下方に差し込むための左右一対の揺動ジャッキ4,4と、左右一対のレールR1,R2の高低差を計測するカント計測機構5を備えている。
【0026】
(クランプ爪)
クランプ爪2は、後述の押上ジャッキ3の周囲を囲う一側面が開放された角筒状の鋼製又は金属製の囲繞ボックスプレート20と、この囲繞ボックスプレート20から突出する断面L字状の突出部21など、から構成され、突出部21の先端が鉤爪状の爪部21aとなっている。
【0027】
また、囲繞ボックスプレート20は、フレーム10に対して揺動自在に軸支され、上部に後述の揺動ジャッキ4の連結部に回転自在に連結されている。このため、囲繞ボックスプレート20は、図2に示すように、後述の押上ジャッキ3ごと揺動ジャッキ4で90°程度の範囲で揺動自在に構成されている。
【0028】
(押上ジャッキ)
押上ジャッキ3は、前述の囲繞ボックスプレート20内に挿置された油圧シリンダーであるシリンダー本体30と、このシリンダー本体30から油圧により突没動作するシリンダーロッド31と、このシリンダーロッド31の先端に取り付けられたジャッキベース32など、から構成されている。ジャッキベース32は、バラストなどの地盤に広範囲に圧力伝達する支圧板としての機能を有している。
【0029】
この押上ジャッキ3は、油圧によりシリンダー本体30からシリンダーロッド31が突没動作し、ジャッキベース32でバラストなどの不安定な地盤に油圧を伝達して囲繞ボックスプレート20ごとクランプ爪2を押し上げてクランプ爪2の爪部21aに掛け止められたレール(レールR1又はレールR2)を扛上する機能を有している。
【0030】
(揺動ジャッキ)
揺動ジャッキ4は、押上ジャッキ3と同様に、油圧シリンダーであるシリンダー本体40と、このシリンダー本体40から油圧により突没動作するシリンダーロッド41と、このシリンダーロッド41の先端に取り付けられて囲繞ボックスプレート20と連結する連結部42など、から構成されている。
【0031】
また、シリンダー本体40は、長手方向の一端がフレーム10の上端に取り付けられた揺動ブラケット11に回転自在に軸支されており、揺動ジャッキ4自体がフレーム10に対して揺動自在に構成されている。
【0032】
この揺動ジャッキ4は、油圧によりシリンダー本体40からシリンダーロッド41を突没動作することにより、シリンダーロッド41の先端に取り付けられた連結部42を移動させる。このため、揺動ジャッキ4は、この連結部42に回転自在軸支された囲繞ボックスプレート20を押し引きして、図2に示すように、フレーム10に対して囲繞ボックスプレート20及び押圧ジャッキ3ごとクランプ爪2を90°程度の範囲で揺動し、クランプ爪2の鉤爪状の爪部21aを各レール(レールR1又はレールR2)の下方に差し込む機能を有している。
【0033】
(カント計測機構)
カント計測機構5は、レールR1及びレールR2の上端同士に架け渡さられるカント計測杆50と、カント計測杆50の上端に当接して左右のレールの高低差を計測するカント計測装置51と、カント計測杆50を油圧で上下動して昇降させるカント昇降ジャッキ52を有している。
【0034】
カント計測杆50は、アングル状の鋼材からなり、長手方向の両端部の下側に前述のレールR1,R2に当接する左右一対の測定車輪53,53が取り付けられており、カント昇降ジャッキ52で昇降して、レールR1又はレールR2の上端に測定車輪53を当接又は非接触自在となっている。
【0035】
カント計測装置51は、先端がカント計測杆50の上端に当接して突没自在のロッドの突没長さで測定車輪53までの距離を考慮して基準とするレール(レールR1又はレールR2)の上端から他方のレールの上端までの高さの違い(高低差:カント)を計測する装置である。
【0036】
カント昇降ジャッキ52は、押上ジャッキ3と同様に、油圧シリンダーから油圧によりシリンダーロッドを突没動作させてカント計測杆50を上下動して昇降させ、左右一対の測定車輪53,53のいずれかをレール(レールR1又はレールR2)に当接又は退避自在とする機能を有している。
【0037】
[軌陸バックホウ]
次に、図5図6を用いて、本発明の実施形態に係る軌陸バックホウ100(以下、単に軌陸バックホウ100ともいう。)について説明する。図5は、本実施形態に係る軌陸バックホウ100を示す側面図であり、図6は、軌陸バックホウ100のタイタンパーアタッチメント140を示す図5の部分拡大図である。
【0038】
図5に示すように、軌陸バックホウ100は、バケット容量が0.25m3程度の小型のバックホウを基体とし、陸上を走行するためのクローラー機構110と、線路R上を走行するため車輪機構120と、この車輪機構120を揺動して起伏する車輪揺動機構130と、を備えた軌道(線路R)上及び陸上を走行可能な軌陸バックホウである。
【0039】
(クローラー機構)
クローラー機構110は、前後一対の駆動前輪111,駆動後輪112と、これらの駆動前輪111,駆動後輪112に装着されたゴム製の無端ベルト113など、から構成され、モーターで駆動前輪111及び駆動後輪112を駆動して無端ベルト113を回転させ、線路以外の陸上を走行するための機構である。
【0040】
(車輪機構)
車輪機構120は、内側に脱輪防止用のフランジを有するレール走行用の鋼製の前輪121及び後輪122を備え、油圧モーターで前輪121を回転駆動することで、従動輪である後輪122と協働して線路R上を走行するための機構である。
【0041】
(車輪揺動機構)
車輪揺動機構130は、前輪121を一方向に回転して揺動する前輪揺動機構131と後輪122を前輪121と反対方向に揺動する後輪揺動機構132を備え、これらの前輪揺動機構131及び後輪揺動機構132で前輪121及び後輪122の下端がクローラー機構110の下端よりも下方に位置するように揺動し、前輪121及び後輪122を起伏させてクローラー機構110での走行と車輪機構120での走行を切り替えるための機構である。
【0042】
(線路扛上装置)
また、図5に示すように、軌陸バックホウ100の前輪121の前方には、前述の線路扛上装置1がボルト接合等で機械的に脱着可能に装着されている。その上、図2に示すように、線路扛上装置1は、揺動ジャッキ4でクランプ爪2を持ち上げた状態で軌道上の二点鎖線で示す車両限界内に収まり、軌陸バックホウ100は、線路扛上装置1を装着したまま車輪機構120で線路R上を走行可能となっており、線路扛上装置1を別途搬送する手段が必要ない。
【0043】
(タイタンパー装置)
さらに、図5図6に示すように、軌陸バックホウ100には、基体となるバックホウのバケット部分に、道床及びバラストを突き固めるタイタンパーアタッチメント140が装着されている。
【0044】
図示するタイタンパーアタッチメント140は、4本の爪部141を有した、いわゆる4頭タイタンパー装置であり、4本の爪部141を道床のバラストに突き刺した状態で振動発生用の油圧モーター142で振動を発生させてバラストを突き固める機能を有している。
【0045】
<線路扛上方法>
次に、図1図7を用いて、本発明の実施形態に係る線路扛上方法について説明する。前述の線路扛上装置1が装着された軌陸バックホウ100で線路Rの扛上を行う場合を例示して説明する。図7は、軌陸バックホウ100に設置された操作パネルの操作画面の画像を示す図である。
【0046】
(搬送工程)
図5に示すように、本実施形態に係る線路扛上方法では、線路扛上装置1が装着された軌陸バックホウ100は、前輪揺動機構131及び後輪揺動機構132で前輪121及び後輪122の下端がクローラー機構110の下端よりも下方に位置するように揺動し、車輪機構120で線路R上を走行して扛上作業現場へ搬送する搬送工程を行う。
【0047】
このように、本実施形態に係る線路扛上方法では、線路扛上装置1がボルト接合等で機械的に強固に接合された軌陸バックホウ100で線路R上に乗り込んで扛上作業現場まで搬送するので、特許文献1や特許文献2に記載の線路扛上装置のように、台車を人力で線路上に運んで載置する必要がない。このため、本実施形態に係る線路扛上方法では、軌陸バックホウ100の運転手だけで線路扛上装置1を容易に搬送することができ、作業員を削減して労務コストを低減することができる。
【0048】
(カント計測装置当接工程)
扛上作業現場へ到着すると、本実施形態に係る線路扛上方法では、図7の矢印(1)に示す油圧切替ボタンを押して、油圧を切り替え、線路扛上装置1が操作できるようにする。具体的には、突固装置ボタンを押すと線路扛上装置1が操作できるようになり、解除ボタンを押すとタイタンパー装置(タイタンパーアタッチメント140)が操作できるようになる。
【0049】
そして、線路扛上装置1が操作できるようにした上、図7の矢印(2)に示す計測昇降ボタンを押し、カント昇降ジャッキ52を作動して、カント計測機構5を下降させてレールに当接するカント計測装置当接工程を行う。なお、図7の矢印(2)に示すボタンを押すことで線路扛上装置1の操作する部位を選択することできる。図7の矢印(2)に示すボタンを押すと操作する部位が選択されボタンが点灯し、再度同一ボタンを押すと選択が解除され消灯する。
【0050】
また、カント計測機構5が下降し、測定車輪53がいずれのレール(レールR1又はレールR2)に当接した時に、カント測定が開始され、プラス(+)又はマイナス(-)のmm単位で表示される。なお、このとき、図7の矢印(3)に示す左右にある基準ボタンを押すことで、表示を右レールR1基準か左レールR2基準かを切り替えることができ、基準となるレールから高いか低いかでプラス(+)又はマイナス(-)の表示がなされる。
【0051】
(クランプ爪揺動工程)
次に、本実施形態に係る線路扛上方法では、扛上するレールに応じて、図7の矢印(2)に示す左クランプボタン又は右クランプボタンのいずれかを押して、動かす揺動ジャッキ4を選択する。そして、揺動ジャッキ4を作動して、フレーム10に対して囲繞ボックスプレート20及びクランプ爪2を90°程度揺動し、クランプ爪2の爪部21aをレールR1又はレールR2の下方に差し込むクランプ爪揺動工程を行う。
【0052】
(線路扛上工程)
次に、本実施形態に係る線路扛上方法では、図7の矢印(2)に示す左ジャッキ又は右ジャッキボタンのいずれかを押して、動かす押上ジャッキ3を選択する。そして、押上ジャッキ3を作動して、囲繞ボックスプレート20ごとクランプ爪2を押し上げてクランプ爪2の爪部21aに掛け止められたレール(レールR1又はレールR2)を扛上する線路扛上工程を行う。
【0053】
このとき、本実施形態に係る線路扛上方法では、図7の矢印(3)に示す部分に傾斜測定値(基準レールに対するカント)が表示されるので、軌陸バックホウ100の運転手が操作パネルの操作画面を見ながら押上ジャッキ3をどこまで作動させればよいかリアルタイムで確認しながら操作することができる。
【0054】
このため、本実施形態に係る線路扛上方法によれば、正規の位置(高さ)にあることが確認できている線路Rの一部のレールを基準に他の部分のレールを順次扛上していくことができる。つまり、本実施形態に係る線路扛上方法によれば、特許文献1又は2に記載の従来の線路扛上装置と相違して、レーザーレベルを計測して確認する作業員と線路扛上装置を操作する作業員とが連絡をとりながら協力して作業をする必要がない。
【0055】
要するに、本実施形態に係る線路扛上方法によれば、軌陸バックホウ100の運転手の一人の作業員だけで、容易に短時間で扛上作業を行うことができる。しかも、リアルタイムでmm単位の計測ができるので、レーザーレベルを見誤る等のヒューマンエラーのおそれが少なく極めて正確に扛上作業を行うことができる。
【0056】
(カント計測装置退避工程)
次に、本実施形態に係る線路扛上方法では、図7の矢印(2)に示す計測昇降ボタンを押し、非計測時である線路扛上工程後で突固め工程に、カント昇降ジャッキ52を作動して、カント計測機構5を上昇させてレールR1又はレールR2の上端から測定車輪53を離間して退避するカント計測装置退避工程を行う。精密機械であるカント計測装置51にレールを介して後述の突固め工程でのタイタンパー装置の振動が直接伝達されないようにするためである。
【0057】
(突固め工程)
次に、本実施形態に係る線路扛上方法では、図7の矢印(1)に示す油圧切替ボタンの解除ボタンを押して、タイタンパー装置(タイタンパーアタッチメント140)が操作できるようにする。
【0058】
そして、タイタンパーアタッチメント140の4本の爪部141を線路R脇の道床のバラストに突き刺した状態で振動発生用の油圧モーター142で振動を発生させてバラストを突き固める突固め工程を行う(図5図6参照)。本工程により、線路扛上工程で正規の高さに矯正したレールが沈下しないようになり、線路扛上に関するメンテナンス作業が完了し、本実施形態に係る線路扛上方法が完了する。
【0059】
このように、本実施形態に係る線路扛上方法では、軌陸バックホウ100の油圧でタイタンパーアタッチメント140を操作して、バラストを突き固めるので、従来のように手持ちのタイタンパー装置を人力で操作して突き固める必要がなく、振動で人体に悪影響を及ぼすこともなく、容易に短時間で突固め作業を行うことができる。
【0060】
また、本実施形態に係る線路扛上方法では、特許文献2に記載の線路扛上方法と比べても、レーザーレベルを見る作業員とこの作業員と離れたタイタンパー装置を操作する作業員とが連絡を取り合って作業を行う必要がなく、軌陸バックホウ100の運転手の一人の作業員だけで突固め作業を行うことができる。このため、この点でも作業員を削減して労務コストを低減することができる。
【0061】
以上説明した本実施形態に係る線路扛上装置1、軌陸バックホウ100、及びこれらを用いた線路扛上方法によれば、揺動ジャッキ4でクランプ爪2を揺動してレール(右レールR1又は左レールR2)の下方に差し込み、カント計測機構5で一方のレールを基準に他方のレールの高さの違いを計測しつつ押上ジャッキ3で落ち込んだレールをクランプ爪2で掛け止めて正規の位置に引き上げるので、線路扛上に関するメンテナンス作業を短時間で行えるとともに作業人員を極力低減することができる。このため、線路扛上作業に従事する作業員の延べ人数を削減して労務コストを低減することができる。
【0062】
また、本実施形態に係る線路扛上装置1、軌陸バックホウ100、及び線路扛上方法によれば、軌陸バックホウ100の運転手が操作パネルの操作画面を見ながら押上ジャッキ3をどこまで作動させればよいかリアルタイムで確認しながら操作することができる。このため、軌陸バックホウ100の運転手一人だけで、容易に短時間で扛上作業を行うことができる。しかも、リアルタイムでmm単位の計測ができるので、レーザーレベルを見誤る等のヒューマンエラーのおそれが少なく極めて正確に扛上作業を行うことができる。
【0063】
その上、本実施形態に係る線路扛上装置1、軌陸バックホウ100、及び線路扛上方法によれば、タイタンパー装置(タイタンパーアタッチメント140)で突き固め作業をする際にカント計測機構5をレールから退避させるので、レールを介してタイタンパー装置の振動が直接、精密機械であるカント計測装置51に伝達されないようにすることができ、カント計測装置51を保護することができる。
【0064】
さらに、本実施形態に係る軌陸バックホウ100及び線路扛上方法によれば、油圧で行動する軌陸バックホウ100のアームに装着されたタイタンパーアタッチメント140の4本の爪部141を線路R脇の道床のバラストに突き刺した状態で振動発生用の油圧モーター142で振動を発生させてバラストを突き固めるので、従来のように手持ちのタイタンパー装置を人力で操作して突き固める必要がなく、容易に短時間で突固め作業を行うことができる。
【0065】
以上、本発明の実施形態に係る線路扛上装置1、軌陸バックホウ100、及び線路扛上方法について詳細に説明したが、前述した又は図示した実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたって具体化した一実施形態を示したものに過ぎない。よって、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。
【符号の説明】
【0066】
1:線路扛上装置
2:クランプ爪
20:囲繞ボックスプレート
21:突出部
21a:爪部
3:押上ジャッキ
30:シリンダー本体
31:シリンダーロッド
32:ジャッキベース
4:揺動ジャッキ
40:シリンダー本体
41:シリンダーロッド
42:連結部
5:カント計測機構
50:カント計測杆
51:カント計測装置
52:昇降ジャッキ
53:測定車輪
10:フレーム
11:揺動ブラケット
100:軌陸バックホウ
110:クローラー
111:駆動前輪
112:駆動後輪
113:無端ベルト
120:車輪機構
121:前輪
122:後輪
130:車輪揺動機構
131:前輪揺動機構
132:後輪揺動機構
140:タイタンパーアタッチメント(タイタンパー装置)
141:爪部
142:油圧モーター
R:線路(軌框)
R1:右レール(レール)
R2:左レール(レール)
S1:枕木
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2023-09-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正規の高さから移動した線路のレールを正規に戻して修正する線路扛上装置であって、
左右一対の各レールを掛け止める左右一対のクランプ爪と、各レールに掛け止めたクランプ爪を押し上げるための左右一対の押上ジャッキと、前記押上ジャッキごと前記クランプ爪を揺動して前記レールの下方に差し込むための左右一対の揺動ジャッキと、左右一対のレールの高低差を計測するカント計測機構を備えるとともに、
前記カント計測機構は、カント昇降ジャッキを有して昇降し、計測時に前記レールに当接し、非計測時に前記レールから離間して退避可能に構成されていること
を特徴とする線路扛上装置。
【請求項2】
前記カント計測機構は、左右一対のレールの上端同士に架け渡さられるカント計測杆と、前記カント計測杆の上端に当接して左右のレールの高低差を計測するカント計測装置と、前記カント計測杆を上下動して昇降させるカント昇降ジャッキを有し、
前記カント計測杆は、前記カント昇降ジャッキで昇降して前記レールに当接又は非接触自在となっていること
を特徴とする請求項に記載の線路扛上装置。
【請求項3】
陸上を走行するためのクローラー機構と、線路上を走行するための車輪機構と、前記車輪機構を揺動して起伏する車輪揺動機構と、を備えた軌陸バックホウであり、
前記車輪揺動機構の前輪を揺動する前輪揺動機構に、請求項1又は2に記載の線路扛上装置が装着されていること
を特徴とする軌陸バックホウ。
【請求項4】
バックホウのバケット部分に道床及びバラストを突き固めるタイタンパーアタッチメントが装着されていること
を特徴とする請求項に記載の軌陸バックホウ。
【請求項5】
正規の高さから移動した線路のレールを正規に戻して修正する線路扛上方法であって、
請求項に記載の軌陸バックホウで線路上を走行することで線路扛上作業の現場に前記線路扛上装置を搬送する搬送工程と、
前記揺動ジャッキを作動して、前記クランプ爪を前記レールの下方に差し込むクランプ爪揺動工程と、
前記カント計測機構で基準となるレールとのカントを計測しつつ、前記押上ジャッキを作動して、前記クランプ爪に掛け止められた前記レールを扛上する線路扛上工程と、
前記軌陸バックホウの前記タイタンパーアタッチメントで振動させてバラストを突き固める突固め工程を備え
前記線路扛上装置のカント昇降ジャッキを作動させて、前記突固め工程の前に、前記カント計測機構を前記レールから退避させること
を特徴とする線路扛上方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
請求項1に係る線路扛上装置は、正規の高さから移動した線路のレールを正規に戻して修正する線路扛上装置であって、左右一対の各レールを掛け止める左右一対のクランプ爪と、各レールに掛け止めたクランプ爪を押し上げるための左右一対の押上ジャッキと、前記押上ジャッキごと前記クランプ爪を揺動して前記レールの下方に差し込むための左右一対の揺動ジャッキと、左右一対のレールの高低差を計測するカント計測機構を備えるとともに、前記カント計測機構は、カント昇降ジャッキを有して昇降し、計測時に前記レールに当接し、非計測時に前記レールから離間して退避可能に構成されていることを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
請求項に係る線路扛上装置は、請求項に係る線路扛上装置において、前記カント計測機構は、左右一対のレールの上端同士に架け渡さられるカント計測杆と、前記カント計測杆の上端に当接して左右のレールの高低差を計測するカント計測装置と、前記カント計測杆を上下動して昇降させるカント昇降ジャッキを有し、前記カント計測杆は、前記カント昇降ジャッキで昇降して前記レールに当接又は非接触自在となっていることを特徴とする。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
請求項に係る軌陸バックホウは、陸上を走行するためのクローラー機構と、線路上を走行するための車輪機構と、前記車輪機構を揺動して起伏する車輪揺動機構と、を備えた軌陸バックホウであり、前記車輪揺動機構の前輪を揺動する前輪揺動機構に、請求項1又は2に記載の線路扛上装置が装着されていることを特徴とする。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
請求項に係る軌陸バックホウは、請求項4に係る軌陸バックホウにおいて、バックホウのバケット部分に道床及びバラストを突き固めるタイタンパーアタッチメントが装着されていることを特徴とする。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
請求項に係る線路扛上方法は、正規の高さから移動した線路のレールを正規に戻して修正する線路扛上方法であって、請求項4に記載の軌陸バックホウで線路上を走行することで線路扛上作業の現場に前記線路扛上装置を搬送する搬送工程と、前記揺動ジャッキを作動して、前記クランプ爪を前記レールの下方に差し込むクランプ爪揺動工程と、前記カント計測機構で基準となるレールとのカントを計測しつつ、前記押上ジャッキを作動して、前記クランプ爪に掛け止められた前記レールを扛上する線路扛上工程と、前記軌陸バックホウの前記タイタンパーアタッチメントで振動させてバラストを突き固める突固め工程を備え、前記線路扛上装置のカント昇降ジャッキを作動させて、前記突固め工程の前に、前記カント計測機構を前記レールから退避させることを特徴とする。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
請求項1~に係る発明によれば、揺動ジャッキでクランプ爪を揺動してレールの下方に差し込み、カント計測機構で一方のレールを基準に他方のレールの高さの違いを計測しつつ前記押上ジャッキで落ち込んだレールをクランプ爪で掛け止めて正規の位置に引き上げるので、線路扛上に関するメンテナンス作業を短時間で行えるとともに作業人員を極力低減することができる。このため、線路扛上作業に従事する作業員の延べ人数を削減して労務コストを低減することができる。
また、請求項1~5に係る発明によれば、カント計測機構をレールから退避するので、精密機械であるカント計測装置にレールを介してタイタンパー装置の振動が直接伝達されないようにすることができ、カント計測装置を保護することができる。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
特に、請求項4,5に係る発明によれば、タイタンパーアタッチメントを操作して、バラストを突き固めるので、従来のように手持ちのタイタンパー装置を人力で操作して突き固める必要がなく、振動で人体に悪影響を及ぼすこともなく、少ない作業員で容易に短時間で突固め作業を行うことができる。