(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025015100
(43)【公開日】2025-01-30
(54)【発明の名称】学習支援装置、学習支援方法、および学習支援プログラム
(51)【国際特許分類】
G09B 7/04 20060101AFI20250123BHJP
G06Q 50/20 20120101ALI20250123BHJP
【FI】
G09B7/04
G06Q50/20 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023118246
(22)【出願日】2023-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】太田 紘史
(72)【発明者】
【氏名】荒木 咲也
(72)【発明者】
【氏名】平井 義弘
(72)【発明者】
【氏名】秋野 悠介
【テーマコード(参考)】
2C028
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
2C028AA07
2C028BB04
2C028BC01
2C028BC02
2C028BC04
2C028BD03
5L049CC34
5L050CC34
(57)【要約】
【課題】ユーザの性格等にあった学習指導を行い、ユーザの学習効率の向上を図る。
【解決手段】変遷取得部が、ユーザが試験の受験時に、端末で行った入力操作の履歴を示す操作履歴情報を基に、試験の問題に対するユーザの解答状況の変遷を取得する。理解度推定部が、試験の問題毎に、ユーザの解答を採点した採点結果を用いてユーザの理解度を推定する。案内生成部が、変遷取得部が取得したユーザの解答状況の変遷と、理解度推定部が推定した試験の各問題の理解度を基に、ユーザの学習指導にかかる案内を生成する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザに端末を操作させ、問題数が複数である試験を受験させるシステムに適用される学習支援装置であって、
前記ユーザが前記試験の受験時に、前記端末で行った入力操作の履歴を示す操作履歴情報を基に、前記試験の問題に対する前記ユーザの解答状況の変遷を取得する変遷取得部と、
前記試験の問題毎に、前記ユーザの解答を採点した採点結果を用いてユーザの理解度を推定する理解度推定部と、
前記変遷取得部が取得した前記ユーザの解答状況の変遷と、前記理解度推定部が推定した前記試験の各問題の理解度を基に、前記ユーザの学習指導にかかる案内を生成する案内生成部と、を備えた学習支援装置。
【請求項2】
前記操作履歴情報には、フォーカスが当てられている前記試験の問題を切り替える問題選択操作、およびフォーカスが当てられている前記問題の解答欄に文字列を入力する文字入力操作が含まれている、請求項1に記載の学習支援装置。
【請求項3】
前記変遷取得部は、前記試験の問題に対する前記ユーザの解答状況の変遷として、前記試験の問題毎に、前記ユーザによる解答の見直しの有無、および見直し時における解答の修正の有無を取得する、請求項1、または2に記載の学習支援装置。
【請求項4】
前記案内生成部は、前記ユーザが解答を見直し、且つ見直し時に解答を修正した問題については、修正前の解答を採点した採点結果も用いて前記ユーザの学習指導にかかる案内を生成する、請求項3に記載の学習支援装置。
【請求項5】
前記変遷取得部は、前記試験の問題に対する前記ユーザの解答状況の変遷として、前記ユーザが前記試験の問題の解答を開始する前に、前記試験の全ての問題の内容を把握する確認手順を行ったかどうかを取得する、請求項1、または2に記載の学習支援装置。
【請求項6】
前記理解度推定部は、前記試験の問題に対する前記ユーザの理解度を、当該ユーザの前記試験の問題の解答順、および前記試験の問題の解答時間を用いて推定する、請求項1に記載の学習支援装置。
【請求項7】
ユーザに端末を操作させ、問題数が複数である試験を受験させるシステムに適用される学習支援装置のコンピュータが、
前記ユーザが前記試験の受験時に、前記端末で行った入力操作の履歴を示す操作履歴情報を基に、前記試験の問題に対する前記ユーザの解答状況の変遷を取得する変遷取得ステップと、
前記試験の問題毎に、前記ユーザの解答を採点した採点結果を用いてユーザの理解度を推定する理解度推定ステップと、
前記変遷取得ステップで取得した前記ユーザの解答状況の変遷と、前記理解度推定ステップで推定した前記試験の各問題の理解度を基に、前記ユーザの学習指導にかかる案内を生成する案内生成ステップと、を実行する学習支援方法。
【請求項8】
ユーザに端末を操作させ、問題数が複数である試験を受験させるシステムに適用される学習支援装置のコンピュータに、
前記ユーザが前記試験の受験時に、前記端末で行った入力操作の履歴を示す操作履歴情報を基に、前記試験の問題に対する前記ユーザの解答状況の変遷を取得する変遷取得ステップと、
前記試験の問題毎に、前記ユーザの解答を採点した採点結果を用いてユーザの理解度を推定する理解度推定ステップと、
前記変遷取得ステップで取得した前記ユーザの解答状況の変遷と、前記理解度推定ステップで推定した前記試験の各問題の理解度を基に、前記ユーザの学習指導にかかる案内を生成する案内生成ステップと、を実行させる学習支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ユーザの理解度等に応じて、当該ユーザの学習指導にかかる案内を生成する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザに情報処理端末(以下、単に端末と言う。)を操作させて、学習させたり、試験を受験させたりすることが行われている。例えば、ユーザに端末を操作させて、受験させた試験の採点結果を基に、ユーザの知識や学力(理解度)を評価する試験の1つにCBT(Computer Based Testing)と呼ばれるものがある。CBTでは、受験者であるユーザが操作する端末の表示器の画面に試験の問題を表示させる。ユーザは、端末において、表示器の画面に表示された試験の問題に解答する(問題の解答欄に解答を入力する。)。ユーザの理解度は、このユーザの解答の採点結果を基に推定される。CBTで使用される端末は、一般に普及しているパーソナルコンピュータや、タブレット端末等である。
【0003】
また、ユーザの理解度を、解答の採点結果だけでなく、問題の解答時間、解答順等を用いて推定することも提案されている(特許文献1参照)。また、この特許文献1の装置は、解答の入力速度(単位時間当たりのストローク数)の変化によって解答時のつまずき数を計数し、計数したつまずき数をユーザの理解度の推定に用いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の技術では、ユーザに対して、試験時のユーザの振る舞いを加味した学習指導を行うことはできなかった。ここで言う、試験時のユーザの振る舞いとは、例えば、
(1)試験開始時に、まず出題されている全ての問題の内容を把握する行動の有無、
(2)解答を見直す行動の有無、
(3)解答の見直し時に、解答を修正する行動の有無、
である。
【0006】
ユーザの性格等が、試験時のユーザの振る舞いに反映されている。したがって、試験時のユーザの振る舞いを加味した学習指導は、ユーザの性格等にあったものになる。
【0007】
この発明の目的は、ユーザの性格等にあった学習指導を行い、ユーザの学習効率の向上を図ることができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の学習支援装置は、上記目的を達成するため以下に示すように構成している。
【0009】
この学習支援装置は、ユーザに端末を操作させ、問題数が複数である試験を受験させるシステムに適用される。
【0010】
変遷取得部が、ユーザが試験の受験時に、端末で行った入力操作の履歴を示す操作履歴情報を基に、試験の問題に対するユーザの解答状況の変遷を取得する。例えば、操作履歴情報には、フォーカスが当てられている試験の問題を切り替える問題選択操作、およびフォーカスが当てられている問題の解答欄に文字列を入力する文字入力操作等が含まれている。変遷取得部は、試験の問題に対するユーザの解答状況の変遷として、例えば、試験の問題毎に、ユーザによる解答の見直しの有無、見直し時における解答の修正の有無、試験の問題の解答を開始する前に、試験の全ての問題の内容を把握する確認手順を行ったかどうか等を取得する。すなわち、変遷取得部によって取得される試験の問題に対するユーザの解答状況の変遷は、試験時のユーザの振る舞いである。
【0011】
また、理解度推定部が、試験の問題毎に、ユーザの解答を採点した採点結果を用いてユーザの理解度を推定する。
【0012】
さらに、案内生成部が、変遷取得部が取得したユーザの解答状況の変遷と、理解度推定部が推定した試験の各問題の理解度を基に、ユーザの学習指導にかかる案内を生成する。
【0013】
この構成によれば、試験時のユーザの振る舞いが、試験の問題に対するユーザの解答状況の変遷から取得される。また、ユーザの性格等が、試験時のユーザの振る舞いに反映されている。すなわち、試験時のユーザの振る舞いを加味した学習指導は、ユーザの性格等にあったものになる。したがって、ユーザの性格等にあった学習指導が行え、ユーザの学習効率の向上を図ることができる。
【0014】
また、例えば、案内生成部は、ユーザが解答を見直し、且つ見直し時に解答を修正した問題については、修正前の解答を採点した採点結果も用いてユーザの学習指導にかかる案内を生成してもよい。このように構成した場合、ユーザが問題の解答時に犯しやすいミスの種類(計算間違い、問題文の読み間違い、解答の書き間違い等)を判断できる。これにより、ユーザに対して、問題の解答時に犯しやすいミスについての学習指導も行える。
【0015】
さらに、理解度推定部は、試験の問題に対するユーザの理解度を、当該ユーザの試験の問題の解答順、および試験の問題の解答時間を用いて推定してもよい。このように構成すれば、ユーザが苦手意識を持っている分野の問題について、理解度がどの程度であるかを判断できる。また、ユーザに対して、苦手意識を持っている分野の問題についての学習指導も行える。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、ユーザの性格等にあった学習指導を行い、ユーザの学習効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】CBT(Computer Based Testing)方式で試験を実施するネットワークシステムの例を示す概略図である。
【
図2】試験の問題が表示されたユーザ端末の表示器の画面例を示す図である。
【
図3】試験の問題が表示されたユーザ端末の表示器の画面例を示す図である。
【
図4】この例のサーバ装置の主要部の構成を示すブロック図である。
【
図5】この例のユーザ端末の主要部の構成を示すブロック図である。
【
図6】この例のユーザ端末の動作を示すフローチャートである。
【
図7】この例のサーバ装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明の実施形態について説明する。
【0019】
<1.適用例>
図1は、CBT(Computer Based Testing)方式で試験を実施するネットワークシステムを示す概略図である。この例のネットワークシステムは、
図1に示すように、ネットワーク5を介して複数のユーザ端末2をサーバ装置1にデータ通信可能に接続した構成である。この例は、この発明にかかる学習支援装置をサーバ装置1に適用した例である。
【0020】
なお、後述の変形例で記載するように、この発明にかかる学習支援装置は、サーバ装置1ではなく、ユーザ端末2に適用することも可能である。
【0021】
この例では、サーバ装置1が、問題数が複数である試験をユーザ端末2に配信する。例えば、試験の問題数は5問であり、問題1が多項式に関する問題であり、問題2が連立方程式に関する問題であり、問題3が幾何に関する問題であり、問題4が三角関数に関する問題であり、問題5が確率に関する問題である。
【0022】
ユーザ端末2は、サーバ装置1から配信されてきた試験の問題を表示器の画面に表示する。
図2、および
図3は、試験の問題が表示されたユーザ端末の表示器の画面例を示す図である。ユーザ端末2の表示器の画面には、現時点で選択されている問題が表示される。ユーザ端末2において問題1が選択されているとき、ユーザ端末2の表示器の画面には、
図2に示すように、問題1が表示される。また、ユーザ端末2において問題2が選択されているとき、ユーザ端末2の表示器の画面には、
図3に示すように、問題2が表示される。特に図示しないが、ユーザ端末2において問題3が選択されているとき、ユーザ端末2の表示器の画面には問題3が表示され、ユーザ端末2において問題4が選択されているとき、ユーザ端末2の表示器の画面には問題4が表示され、ユーザ端末2において問題5が選択されているとき、ユーザ端末2の表示器の画面には問題5が表示される。
【0023】
ユーザ端末2は、表示器の画面に表示させている選択ボタン(
図2、
図3に示す問題1~問題5の5つのボタン)に対する操作に応じて、表示器の画面に表示させる問題(選択されている問題)を切り替える。言い換えれば、ユーザは、選択ボタンを操作することで、所望の問題(問題1~問題5)をユーザ端末2の表示器の画面に表示させることができる。この例では、ユーザ端末2が表示器の画面に表示させている問題が、この発明で言うフォーカスが当てられている問題に相当する。
【0024】
ユーザ端末2は、現時点において選択されている問題の選択ボタンの表示形態と、他の問題(現時点で選択されていない問題)の選択ボタンの表示形態とを異ならせる(
図2、
図3は、選択ボタンを反転表示する例である。)。
【0025】
なお、上記したユーザ端末2における試験の問題の選択操作、および表示形態は、あくまでも一例である。
【0026】
ユーザ端末2は、試験時間(試験の開始から終了までの期間)における、ユーザの入力操作の履歴を操作履歴情報として生成する。操作履歴情報は、試験時間における入力操作情報を蓄積したものである。入力操作情報は、ユーザが行った入力操作の内容を示す操作コードと、この入力操作が行われた時刻を示す時刻情報(タイムスタンプ)を含むものである。ユーザの入力操作は、例えば、問題を選択する選択ボタンの操作、解答欄に対する文字入力操作(文字キーの操作)、解答欄に入力されている文字を削除する操作(削除キーの操作)である。
【0027】
ユーザ端末2は、試験が終了すると、各問題の解答(試験の終了時に、各問題の解答欄に入力されている文字列)と、試験時間に生成した操作履歴情報をサーバ装置1に送信する。
【0028】
サーバ装置1は、試験の問題毎に、ユーザの解答を採点する。また、サーバ装置1は、操作履歴情報を基に、試験の問題に対するユーザの解答状況の変遷を取得する。
【0029】
サーバ装置1は、ユーザの解答状況の変遷として、例えば、
(1)試験の問題の解答順
(2)各問題の解答時間
(3)試験開始時に、まず出題されている全ての問題の内容を把握する行動の有無
(4)問題毎に、解答の見直しを行ったかどうか(見直しの有無)
(5)問題毎に、見直し時に解答を修正したかどうか(修正の有無)
等を取得する。
【0030】
上記(1)は、ユーザが苦手と感じている問題の分野の推定に用いることができる。サーバ装置1は、例えば、対応する解答欄にn文字目(nは正の整数であり、予め定めた値である。(nは、例えば1~5である。))が入力された時刻が早い順番を、問題の解答順として取得する。
【0031】
上記(2)は、問題に対するユーザの理解度の推定に用いることができる。サーバ装置1は、例えば、問題毎に、その問題が選択されていた時間(その問題にフォーカスが当てられていた時間)の合計時間を当該問題の解答時間として取得する。
【0032】
上記(3)~(5)は、試験時のユーザの振る舞いを判断するのに用いることができる。上記(3)については、サーバ装置1は、例えば、全ての問題の解答欄に対して文字列の入力が行われる前に、全ての問題が選択ボタンによって選択された場合、ユーザが問題の解答を開始する前に、試験の全問題の内容を把握する行動を行ったと判断する。上記(4)については、サーバ装置1は、例えば、問題が選択されたときに、その問題の解答欄に入力されている文字列の文字数が所定数を超えていれば、今回選択された問題は解答の見直しが行われた問題であると判断する。また、上記(5)については、サーバ装置1は、例えば、問題が選択されたときに、その問題の解答欄に入力されている文字列の文字数が所定数を超えており、且つ入力済みの文字列の一部の文字を削除する入力操作が行われた場合、解答の見直し時に解答の修正が行われた問題であると判断する。
【0033】
なお、サーバ装置1は、上記した(1)~(5)の項目に限らず、他の項目もユーザの解答状況の変遷として取得してもよい。サーバ装置1は、上記した(1)~(5)の項目のいくつかをユーザの解答状況の変遷として取得しない構成であってもよい。
【0034】
サーバ装置1は、問題毎に、解答を採点し、その問題の採点結果を用いてユーザの理解度を推定する。解答の採点は、例えば、減点法や加点法によって行われてもよいし、他の手法で行われてもよいし、さらには、AI(Artificial Intelligence)を活用した採点手法であってもよい。
【0035】
また、サーバ装置1は、ユーザの解答状況の変遷と、各問題の理解度を基に、ユーザに対する学習指導にかかる案内を生成する。サーバ装置1は、ユーザの解答状況の変遷から、試験時のユーザの振る舞いを取得する。ユーザの性格等が、試験時のユーザの振る舞いに反映されている。すなわち、試験時のユーザの振る舞いを加味した学習指導は、ユーザの性格等にあったものになる。したがって、ユーザの性格等にあった学習指導が行え、ユーザの学習効率の向上を図ることができる。
【0036】
反映されている。したがって、ユーザの性格等にあった学習指導が行え、ユーザの学習効率の向上を図ることができる。
【0037】
なお、サーバ装置1は、生成したユーザに対する学習指導の案内を、ユーザ端末2に送信してもよいし、印刷出力する構成であってもよい。サーバ装置1は、生成したユーザに対する学習指導の案内を、当該ユーザの学習指導に利用可能できる形態で出力する構成であれば、どのような構成であってもよい。例えば、ユーザ本人ではなく、生成したユーザに対する学習指導の案内を、ユーザに対して学習指導を行う指導者(先生等)に出力してもよい。
【0038】
<2.構成例>
図4は、この例のサーバ装置の主要部の構成を示すブロック図である。サーバ装置1は、制御ユニット11と、問題データベース12(問題DB12)と、通信部13とを備えている。
【0039】
制御ユニット11は、サーバ装置1本体各部を制御する。また、制御ユニット11は、採点部11a、理解度推定部11b、変遷取得部11c、および案内生成部11dを有している。制御ユニット11が有する採点部11a、理解度推定部11b、変遷取得部11c、および案内生成部11dについては後述する。
【0040】
問題DB12は、ユーザが操作するユーザ端末2に配信する試験の問題を登録したデータベースである。また、この例では、問題DB12には、試験の問題毎に、その問題の正答(模範解答)、および標準解答時間が対応づけて登録されている。
【0041】
通信部13は、ネットワーク5を介して、ユーザが操作するユーザ端末2との間でデータ通信を行う。サーバ装置1は、問題数が複数である試験をユーザ端末2に配信する。また、サーバ装置1は、試験の問題毎に、その問題の解答をユーザ端末2から受信する。また、サーバ装置1は、ユーザが試験の受験時にユーザ端末2で行った入力操作の履歴を示す操作履歴情報をユーザ端末2から受信する。操作履歴情報は、試験時間における入力操作情報を蓄積したものである。入力操作情報は、ユーザが行った入力操作の内容を示す操作コードと、この入力操作が行われた時刻を示す時刻情報(タイムスタンプ)を含むものである。
【0042】
次に、制御ユニット11が有する採点部11a、理解度推定部11b、変遷取得部11c、および案内生成部11dについて説明する。
【0043】
採点部11aは、試験の問題毎にユーザの解答を採点する。採点部11aは、減点法や加点法によって採点してもよいし、他の手法で採点してもよい。
【0044】
理解度推定部11bは、問題毎に、その問題の採点結果を基に、ユーザの理解度を推定する。また、理解度推定部11bは、問題毎に、その問題の採点結果と、ユーザの解答時間と、標準解答時間とを用いて、ユーザの理解度を推定する構成であってもよい。
【0045】
変遷取得部11cは、ユーザ端末2から受信した操作履歴情報を基に、試験におけるユーザの解答状況の変遷を取得する。変遷取得部11cは、ユーザの解答状況の変遷として、例えば、
(1)試験の問題の解答順
(2)各問題の解答時間
(3)試験開始時に、まず出題されている全ての問題の内容を把握する行動の有無
(4)問題毎に、解答の見直しを行ったかどうか(見直しの有無)
(5)問題毎に、見直し時に解答を修正したかどうか(修正の有無)
等を取得する。
【0046】
案内生成部11dは、ユーザの解答状況の変遷、および各問題の理解度を基にユーザに対する学習指導にかかる案内を生成する。
【0047】
サーバ装置1の制御ユニット11は、ハードウェアCPU、メモリ、その他の電子回路によって構成されている。ハードウェアCPUが、この発明にかかる評価プログラムを実行したときに、採点部11a、理解度推定部11b、変遷取得部11c、および案内生成部11dとして動作する。また、メモリは、この発明にかかる評価プログラムを展開する領域や、この評価プログラムの実行時に生じたデータ等を一時記憶する領域を有している。制御ユニット11は、ハードウェアCPU、メモリ等を一体化したLSIであってもよい。また、ハードウェアCPUが、この発明にかかる評価方法を実行するコンピュータである。
【0048】
図5は、この例のユーザ端末の主要部の構成を示すブロック図である。ユーザ端末2は、制御ユニット21と、表示器22と、操作部23と、通信部24とを備えている。
【0049】
制御ユニット21は、ユーザ端末2本体各部の動作を制御する。また、制御ユニット21は、解答取得部21a、および操作履歴情報生成部21bを有している。制御ユニット21が有する解答取得部21a、および操作履歴情報生成部21bについては後述する。
【0050】
表示器22は、サーバ装置1から配信されてきた試験の問題の表示、ユーザによって入力された問題の解答の表示等を行う。
【0051】
操作部23は、ユーザの入力操作を検出する。操作部23は、文字入力をハードウェアキーボードで受け付ける構成であってもよいし、ソフトウェアキーボードで受け付ける構成であってもよい。また、操作部23は、マウス等のポインティングデバイスを有し、表示器22に表示させる問題を選択する操作(選択ボタンを押下する操作)を受け付ける。
【0052】
通信部24は、ネットワーク5を介して、サーバ装置1との間でデータ通信を行う。
【0053】
次に、制御ユニット21が有する解答取得部21a、および操作履歴情報生成部21bについて説明する。
【0054】
解答取得部21aは、試験の終了時に、問題の解答欄に入力されている文字列を、当該問題に対するユーザの解答として取得する。
【0055】
操作履歴情報生成部21bは、操作部23においてユーザが行った入力操作の操作情報を蓄積した操作履歴情報を生成する。操作情報は、ユーザの入力操作を特定する操作コードとユーザが入力操作を行った操作時刻とを含む。ユーザが行う入力操作には、問題の解答欄に対して文字を入力する操作、解答欄に入力されている文字を削除する操作、表示器22に表示させる問題を選択する操作等がある。
【0056】
ユーザ端末2の制御ユニット21は、ハードウェアCPU、メモリ、その他の電子回路によって構成されている。ハードウェアCPUが、解答取得部21a、および操作履歴情報生成部21bとして動作する。制御ユニット21は、ハードウェアCPU、メモリ等を一体化したLSIであってもよい。
【0057】
<3.動作例>
図6は、この例のユーザ端末の動作を示すフローチャートである。
図7は、この例のサーバ装置の動作を示すフローチャートである。
【0058】
この例では、サーバ装置1は、試験の開始前に、試験の問題をユーザ端末2に配信している。
【0059】
ユーザ端末2は、試験開始時刻になると、表示器22の画面に初期画面を表示する(s21、s22)。初期画面は、例えば、問題1を表示する画面であってもよいし、問題を選択する選択ボタンのみを表示する画面であってもよい。
【0060】
ユーザ端末2は、操作部23におけるユーザの操作が文字キー、または削除キーであれば、操作された文字キーに応じて解答欄の文字列を編集する(s23、s24)。また、ユーザ端末2は、操作部23におけるユーザの操作が問題を選択する操作(選択ボタンを押下する操作)であれば、今回選択された問題を表示器22の画面に表示させる(s25、s26)。
【0061】
ユーザ端末2は、s24、またはs26にかかる処理を行うと、今回のユーザの入力操作の内容を示す操作コードと、この入力操作が行われた時刻とを含む操作情報を操作履歴情報に追加する(s27)。ユーザ端末2は、操作履歴情報を制御ユニット21が有するメモリに記憶する。また、ユーザ端末2は、試験の問題毎に、その問題の解答欄に入力された文字列を制御ユニット21が有するメモリに記憶する。
【0062】
ユーザ端末2は、試験の終了時刻になるまで、上記したs23~s27にかかる処理を繰り返す。ユーザ端末2は、試験の終了時刻になると(s28)、メモリに記憶している各問題の解答、および操作履歴情報をサーバ装置1に送信し(s29)、本処理を終了する。
【0063】
次に、
図7を参照して、サーバ装置1の動作を説明する。サーバ装置1は、ユーザ端末2から試験の問題の解答、および試験時間における操作履歴情報を受信するのを待つ(s1)。変遷取得部11cが、ユーザ端末2から受信した試験時間の操作履歴情報を基に、試験におけるユーザの解答状況の変遷を取得する(s2)。
【0064】
s2では、例えば、
(1)試験の問題の解答順
(2)各問題の解答時間
(3)試験開始時に、まず出題されている全ての問題の内容を把握する行動の有無
(4)問題毎に、解答の見直しを行ったかどうか(見直しの有無)
(5)問題毎に、見直し時に解答を修正したかどうか(修正の有無)
等を、試験におけるユーザの解答状況の変遷として取得する。
【0065】
採点部11aが、試験の問題毎に、ユーザの解答を採点する(s3)。理解度推定部11bが、試験の問題毎に、採点部11aにおける採点結果と、その問題のユーザの解答時間と標準解答時間とを用いて、ユーザの理解度を推定する(s4)。
【0066】
なお、理解度推定部11bは、試験の問題毎に、その問題のユーザの解答時間を用いないで(採点部11aの採点結果のみで)ユーザの理解度を推定してもよい。
【0067】
案内生成部11dが、s2で取得したユーザの解答状況の変遷、およびs4で推定した各問題の理解度を基に、当該ユーザに対する学習指導の案内を生成する(s5)。
【0068】
s5では、例えば、s2で取得したユーザの解答状況の変遷を基に、そのユーザが苦手と感じている問題の分野を推定する。ユーザが苦手と感じている問題の分野は、試験の問題の解答順と、ユーザの解答時間と標準解答時間との差分時間と、から判断できる。試験の問題の解答順が遅く、ユーザの解答時間から標準解答時間を差し引いた時間(差分時間)がある程度長ければ(例えば、予め定めた苦手判定時間よりも長ければ)、ユーザが苦手と感じている分野の問題であると推定できる。
【0069】
また、s5では、上記した(3)~(5)を、試験時におけるユーザの振る舞いとして取得する。
【0070】
案内生成部11dは、試験時におけるユーザの振る舞い、各問題のユーザの理解度、ユーザが苦手と感じている問題の分野等を基に、当該ユーザに対する学習指導の案内を生成する。ユーザの性格等が、試験時のユーザの振る舞いに反映されている。すなわち、試験時のユーザの振る舞いを加味した学習指導は、ユーザの性格等にあったものになる。したがって、この例では、ユーザの性格等にあった学習指導が行え、ユーザの学習効率の向上を図ることができる。
【0071】
なお、s2~s5にかかる処理は、バッチ処理で行ってもよい。
【0072】
<4.変形例>
・変形例1
サーバ装置1は、ユーザが解答の見直し時に、解答を修正した問題については、修正前の解答と、修正後の解答とを比較し、ユーザがどのような修正を行ったか判断する構成にしてもよい。修正前の解答は、操作履歴情報から取得できる。
【0073】
例えば、サーバ装置1は、ユーザが行った解答の修正が、計算間違い、誤記等によるものであると判断した場合、問題の解答時に落ち着くことを促す内容の案内を生成してもよい。また、サーバ装置1は、修正前の解答よりも、修正後の解答の方が理解度が高いと推定した場合も、問題の解答時に落ち着くことを促す内容の案内を生成してもよい。また、サーバ装置1は、修正前の解答よりも、修正後の解答の方が理解度が低いと推定した場合、自分の解答に自信をもつことを促す内容の案内を生成してもよい。
【0074】
また、サーバ装置1は、試験開始時に、まず出題されている全ての問題の内容を把握する行動をしていないユーザであって、試験期間に選択していない問題があったユーザについては、得意な分野の問題から解答することを促す案内(例えば、試験開始時に、まず出題されている全ての問題の内容を把握することを促す案内)を生成してもよい。
【0075】
また、サーバ装置1は、各問題の解答の見直しをしていないユーザであって、解答に計算間違いや、誤記等があるユーザについては、試験時に解答を見直すことを促す内容の案内を生成してもよい。
【0076】
このように、サーバ装置1は、試験時のユーザの振る舞いを用いて、当該ユーザに対する学習指導の案内を生成する。
【0077】
・変形例2
上記した例で説明した、採点部11a、理解度推定部11b、変遷取得部11c、および案内生成部11dをユーザ端末2の制御ユニット21に設け、ユーザ端末2において、s2~s5にかかる処理が実行される構成であってもよい。
【0078】
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。また、上記した全ての例の説明で示したフローチャートにおける各ステップの順番は、あくまでも一例であり、可能な範囲で適宜入れ替えてもよい。
【0079】
さらに、この発明に係る構成と上述した実施形態に係る構成との対応関係は、以下の付記のように記載できる。
【0080】
<付記>
[請求項1]
ユーザに端末(2)を操作させ、問題数が複数である試験を受験させるシステムに適用される学習支援装置(1)であって、
前記ユーザが前記試験の受験時に、前記端末(2)で行った入力操作の履歴を示す操作履歴情報を基に、前記試験の問題に対する前記ユーザの解答状況の変遷を取得する変遷取得部(11c)と、
前記試験の問題毎に、前記ユーザの解答を採点した採点結果を用いてユーザの理解度を推定する理解度推定部(11b)と、
前記変遷取得部(11c)が取得した前記ユーザの解答状況の変遷と、前記理解度推定部(11b)が推定した前記試験の各問題の理解度を基に、前記ユーザの学習指導にかかる案内を生成する案内生成部(11d)と、を備えた学習支援装置(1)。
【0081】
[請求項2]
前記操作履歴情報には、フォーカスが当てられている前記試験の問題を切り替える問題選択操作、およびフォーカスが当てられている前記問題の解答欄に文字列を入力する文字入力操作が含まれている、請求項1に記載の学習支援装置(1)。
【0082】
[請求項3]
前記変遷取得部(11c)は、前記試験の問題に対する前記ユーザの解答状況の変遷として、前記試験の問題毎に、前記ユーザによる解答の見直しの有無、および見直し時における解答の修正の有無を取得する、請求項1、または2に記載の学習支援装置(1)。
【0083】
[請求項4]
前記案内生成部(11d)は、前記ユーザが解答を見直し、且つ見直し時に解答を修正した問題については、修正前の解答を採点した採点結果も用いて前記ユーザの学習指導にかかる案内を生成する、請求項3に記載の学習支援装置(1)。
【0084】
[請求項5]
前記変遷取得部(11c)は、前記試験の問題に対する前記ユーザの解答状況の変遷として、前記ユーザが前記試験の問題の解答を開始する前に、前記試験の全ての問題の内容を把握する確認手順を行ったかどうかを取得する、請求項1~4のいずれかに記載の学習支援装置(1)。
【0085】
[請求項6]
前記理解度推定部(11b)は、前記試験の問題に対する前記ユーザの理解度を、当該ユーザの前記試験の問題の解答順、および前記試験の問題の解答時間を用いて推定する、請求項1~5のいずれかに記載の学習支援装置(1)。
【符号の説明】
【0086】
1…サーバ装置
2…ユーザ端末
5…ネットワーク
11…制御ユニット
11a…採点部
11b…理解度推定部
11c…変遷取得部
11d…案内生成部
12…問題データベース(問題DB)
13…通信部
21…制御ユニット
21a…解答取得部
21b…操作履歴情報生成部
22…表示器
23…操作部
24…通信部