(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025001511
(43)【公開日】2025-01-08
(54)【発明の名称】データ処理装置、通信端末、データ処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 16/90 20190101AFI20241225BHJP
G06F 3/01 20060101ALI20241225BHJP
G06F 3/16 20060101ALI20241225BHJP
G16H 80/00 20180101ALI20241225BHJP
【FI】
G06F16/90 100
G06F3/01 510
G06F3/16 650
G16H80/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023101138
(22)【出願日】2023-06-20
(71)【出願人】
【識別番号】591280485
【氏名又は名称】ソフトバンクグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊東 拓歩
(72)【発明者】
【氏名】池田 裕輔
(72)【発明者】
【氏名】藤井 悠輔
(72)【発明者】
【氏名】田口 正雄
(72)【発明者】
【氏名】戸田 響生
【テーマコード(参考)】
5B175
5E555
5L099
【Fターム(参考)】
5B175EA01
5B175FB01
5E555AA46
5E555AA47
5E555AA79
5E555BA04
5E555BA22
5E555BA38
5E555BB04
5E555BB22
5E555BB38
5E555BD01
5E555CB64
5E555DA23
5E555EA23
5E555FA00
5L099AA04
(57)【要約】
【課題】医師及び患者の双方による問診にかかる負荷を軽減することができるデータ処理装置、通信端末、データ処理方法、及びプログラムを提供する。
【解決手段】データ処理装置は、患者に対して問診を対話形式で実行する実行部と、主訴生成モデルを用いることにより、前記患者の主訴に関する主訴データを、前記実行部により前記対話形式で前記問診が実行されることで得られた問診結果に基づいて生成する生成部と、前記生成部によって生成された前記主訴データを出力する出力部と、を備える。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に対して問診を対話形式で実行する実行部と、
主訴生成モデルを用いることにより、前記患者の主訴に関する主訴データを、前記実行部により前記対話形式で前記問診が実行されることで得られた問診結果に基づいて生成する生成部と、
前記生成部によって生成された前記主訴データを出力する出力部と、を備える
データ処理装置。
【請求項2】
前記主訴データは、前記主訴の要約を示す要約データである
請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項3】
前記実行部は、
質問生成モデルを用いることにより前記患者に対する質問を生成し、
前記質問を用いて前記問診を実行する
請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項4】
前記実行部は、前記質問生成モデルを用いることにより、前記患者からの前記問診に対する回答に基づいて前記質問を生成する
請求項3に記載のデータ処理装置。
【請求項5】
前記出力部は、前記主訴データを医療機関に出力する
請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5の何れか一項に記載のデータ処理装置と通信可能な通信端末であって、
ユーザインタフェースを備え、
前記ユーザインタフェースは、
前記問診の内容を提示し、
前記実行部によって実行される前記問診に対しての前記患者からの回答を受け付ける
通信端末。
【請求項7】
患者に対して問診を対話形式で実行すること、
主訴生成モデルを用いることにより、前記患者の主訴に関する主訴データを、前記問診が前記対話形式で実行されることで得られた問診結果に基づいて生成すること、及び、
前記主訴データを出力することを含む
データ処理方法。
【請求項8】
患者に対して問診を対話形式で実行すること、
主訴生成モデルを用いることにより、前記患者の主訴に関する主訴データを、前記問診が前記対話形式で実行されることで得られた問診結果に基づいて生成すること、及び、
前記主訴データを出力することを含む処理をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、データ処理装置、通信端末、データ処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、少なくとも一つのプロセッサにより遂行される、ペルソナチャットボット制御方法であって、ユーザ発話を受信するステップと、前記ユーザ発話を、チャットボットのキャラクターに関する説明と関連した指示文を含むプロンプトに追加するステップと前記プロンプトをエンコードするステップと、前記エンコードしたプロンプトを言語モデルに入力して、前記ユーザ発話に応答するチャットボット発話を生成するステップ、を含む、方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、病院の外来受付で患者を受け入れてから医師が患者に対して医療的処置を施すまでの間、医師は、待合室等で患者に記入させた問診票を電子カルテに手入力したり、問診票を参照しながら患者から主訴を聞き出したりする。話下手な患者であったり、重い症状のために対話が困難な患者であったりすると、医師は、患者から主訴を聞き出すのに多くの時間を費やしてしまう。問診表の電子カルテへの入力及び患者からの主訴の聞き出し等は、医師の長時間労働の一因になる。
【0005】
一方、患者にとって、病院の外来受付に到着してから問診票に症状等を記入することは非常に手間である。特に、症状が酷いときには、問診表への記入は患者にとって辛い作業となる。また、医師の診察を受けるまでの間、待合室での待ち時間が長くなると、他の患者からの感染のリスクが高くなる。更に、患者の中には、医師と直接向かい合って自身の症状を説明したり、症状を要約して上手く伝えたりするのが苦手な人もいる。
【0006】
本開示の技術は、医師及び患者の双方による問診にかかる負荷を軽減することができるデータ処理装置、通信端末、データ処理方法、及びプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の技術に係る第1の態様は、患者に対して問診を対話形式で実行する実行部と、主訴生成モデルを用いることにより、前記患者の主訴に関する主訴データを、前記実行部により前記対話形式で前記問診が実行されることで得られた問診結果に基づいて生成する生成部と、前記生成部によって生成された前記主訴データを出力する出力部と、を備えるデータ処理装置である。
【0008】
本開示の技術に係る第2の態様は、前記主訴データが、前記主訴の要約を示す要約データである、第1の態様に係るデータ処理装置である。
【0009】
本開示の技術に係る第3の態様は、前記実行部が、質問生成モデルを用いることにより前記患者に対する質問を生成し、前記質問を用いて前記問診を実行する、第1の態様に係るデータ処理装置である。
【0010】
本開示の技術に係る第4の態様は、前記実行部が、前記質問生成モデルを用いることにより、前記患者からの前記問診に対する回答に基づいて前記質問を生成する、第3の態様に係るデータ処理装置である。
【0011】
本開示の技術に係る第5の態様は、前記出力部が、前記主訴データを医療機関に出力する、第1の態様に係るデータ処理装置である。
【0012】
本開示の技術に係る第6の態様は、第1の態様から第6の態様の何れか1つの態様に係るデータ処理装置と通信可能な通信端末であって、ユーザインタフェースを備え、前記ユーザインタフェースが、前記問診の内容を提示し、前記実行部によって実行される前記問診に対しての前記患者からの回答を受け付ける通信端末である。
【0013】
本開示の技術に係る第7の態様は、患者に対して問診を対話形式で実行すること、主訴生成モデルを用いることにより、前記患者の主訴に関する主訴データを、前記問診が前記対話形式で実行されることで得られた問診結果に基づいて生成すること、及び、前記主訴データを出力することを含むデータ処理方法である。
【0014】
本開示の技術に係る第8の態様は、患者に対して問診を対話形式で実行すること、主訴生成モデルを用いることにより、前記患者の主訴に関する主訴データを、前記問診が前記対話形式で実行されることで得られた問診結果に基づいて生成すること、及び、前記主訴データを出力することを含む処理をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】データ処理システムの構成の一例を示す概念図である。
【
図2】データ処理装置及びスマートデバイスの要部機能の一例を示す概念図である。
【
図3】データ処理装置のプロセッサによって問診実施処理が行われ、かつ、スマートデバイスのプロセッサによって受付出力処理が行われる場合のデータ処理システム内での処理内容の一例を示す概念図である。
【
図4】データ生成モデルによって生成される問診データのデータ形式(表現形)の一例を示す概念図である。
【
図5】スマートデバイスの処理内容の一例を示す概念図である。
【
図6】データ処理装置の生成部及び出力部の処理内容の一例を示す概念図である。
【
図7】問診実施処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図8A】受付出力処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図9】外来患者を応対する医師の行動の流れの一例を示すタイムチャートである。
【
図10】外来患者の行動の流れの一例を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面に従って本開示の技術に係るデータ処理装置、通信端末、データ処理方法、及びプログラムの実施形態の一例について説明する。
【0017】
先ず、以下の説明で使用される文言について説明する。
【0018】
以下の実施形態において、符号付きのプロセッサ(以下、単に「プロセッサ」と称する)は、1つの演算装置であってもよいし、複数の演算装置の組み合わせであってもよい。また、プロセッサは、1種類の演算装置であってもよいし、複数種類の演算装置の組み合わせであってもよい。演算装置の一例としては、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、GPGPU(General-Purpose computing on Graphics Processing Units)、APU(Accelerated Processing Unit)、又はTPU(Tensor Processing Unit)等が挙げられる。
【0019】
以下の実施形態において、符号付きのRAM(Random Access Memory)は、一時的に情報が格納されるメモリであり、プロセッサによってワークメモリとして用いられる。
【0020】
以下の実施形態において、符号付きのストレージは、各種プログラム及び各種パラメータ等を記憶する1つ又は複数の不揮発性の記憶装置である。不揮発性の記憶装置の一例としては、フラッシュメモリ(SSD(Solid State Drive))、磁気ディスク(例えば、ハードディスク)、又は磁気テープ等が挙げられる。
【0021】
以下の実施形態において、符号付きの通信I/F(Interface)は、通信プロセッサ及びアンテナ等を含むインタフェースである。通信I/Fは、複数のコンピュータ間での通信を司る。通信I/Fに対して適用される通信規格の一例としては、5G(5th Generation Mobile Communication System)、Wi-Fi(登録商標)、又はBluetooth(登録商標)等を含む無線通信規格が挙げられる。
【0022】
以下の実施形態において、「A及び/又はB」は、「A及びBのうちの少なくとも1つ」と同義である。つまり、「A及び/又はB」は、Aだけであってもよいし、Bだけであってもよいし、A及びBの組み合わせであってもよい、という意味である。また、本明細書において、3つ以上の事柄を「及び/又は」で結び付けて表現する場合も、「A及び/又はB」と同様の考え方が適用される。
【0023】
図1には、実施形態に係るデータ処理システム10の構成の一例が示されている。
図1に示すように、データ処理システム10は、データ処理装置12及びスマートデバイス14を備えている。データ処理装置12は、問診代行企業16によって用いられ、スマートデバイス14は、患者20によって用いられる。データ処理装置12の一例としては、サーバが挙げられる。スマートデバイス14の一例としては、スマートフォンが挙げられる。ここでは、スマートデバイス14を例示しているが、スマートデバイス14に代えて、又は、スマートデバイス14と共に、スマートデバイス14以外の通信端末(例えば、パーソナル・コンピュータ及び/又はウェアラブル端末等)が用いられてもよい。本実施形態において、データ処理装置12は、本開示の技術に係る「データ処理装置」の一例であり、スマートデバイス14は、本開示の技術に係る「通信端末」の一例である。
【0024】
データ処理システム10は、問診代行企業16が病院18から依頼された問診の実施に用いるシステムである。問診代行企業16は、データ処理装置12を用いることにより、病院18の医師19に代わって患者20に対して問診を実施する。問診は、データ処理装置12及びスマートデバイス14を用いてオンラインで実施される。
【0025】
データ処理装置12は、コンピュータ22及び通信I/F26を備えている。コンピュータ22は、本開示の技術に係る「コンピュータ」の一例である。コンピュータ22は、プロセッサ28、RAM30、及びストレージ32を備えている。プロセッサ28、RAM30、及びストレージ32は、バス34に接続されている。また、データベース24及び通信I/F26も、バス34に接続されている。通信I/F26は、ネットワーク54に接続されている。ネットワーク54の一例としては、WAN(Wide Area Network)及び/又はLAN(Local Area Network)等が挙げられる。
【0026】
スマートデバイス14は、コンピュータ36、受付装置38、出力装置40、カメラ42、及び通信I/F44を備えている。コンピュータ36は、プロセッサ46、RAM48、及びストレージ50を備えている。プロセッサ46、RAM48、及びストレージ50は、バス52に接続されている。また、受付装置38、出力装置40、及びカメラ42も、バス52に接続されている。受付装置38及び出力装置40は、本開示の技術に係る「ユーザインタフェース」の一例である。
【0027】
受付装置38は、タッチパネル38A及びマイクロフォン38B等を備えており、患者20からの指示を受け付ける。タッチパネル38Aは、指示体(例えば、ペン又は指等)の接触を検出することにより、指示体の接触による指示を受け付ける。マイクロフォン38Bは、患者20の音声を検出することにより、音声による指示を受け付ける。
【0028】
出力装置40は、ディスプレイ40A及びスピーカ40B等を備えており、データを患者20が知覚可能な表現形(例えば、音声及び/又はテキスト)で出力することでデータを患者20に対して提示する。ディスプレイ40Aは、プロセッサ46からの指示に従ってテキスト及び画像等の可視情報を表示する。スピーカ40Bは、プロセッサ46からの指示に従って音声を出力する。カメラ42は、レンズ、絞り、及びシャッタ等の光学系と、CMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)イメージセンサ又はCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ等の撮像素子とが搭載された小型デジタルカメラである。
【0029】
通信I/F44は、ネットワーク54に接続されている。通信I/F44及び26は、ネットワーク54を介してプロセッサ46とプロセッサ28との間の各種情報の授受を司る。
【0030】
患者20は、問診代行企業16からデータ処理装置12及びスマートデバイス14を介して投げかけられた質問に対して、スマートデバイス14を用いて回答する。質問と回答とのやり取りは、対話形式で行われる。対話形式でのやり取りは、チャットによって実現される。チャットには、テキスト及び音声が用いられる。チャットは、チャットアプリケーションがスマートデバイス14によって実行されることで実現される。
【0031】
詳しくは後述するが、患者20への質問は、病院18等によって事前に定められた問診の内容に即した質問であり、データ処理装置によって生成される。また、質問は、複数の小問に分けられており、データ処理装置によって回答の内容に応じた小問が生成される。問診代行企業16は、データ処理装置12を用いることにより、患者20から得た回答から主訴の要約を生成して病院18に納品する。
【0032】
図2には、データ処理装置12及びスマートデバイス14の要部機能の一例が示されている。
図2に示すように、データ処理装置12では、プロセッサ28によって問診実施処理が行われる。ストレージ32には、問診実施プログラム56が格納されている。問診実施プログラム56は、本開示の技術に係る「プログラム」の一例である。プロセッサ28は、ストレージ32から問診実施プログラム56を読み出し、読み出した問診実施プログラム56をRAM30上で実行する。問診実施処理は、プロセッサ28がRAM30上で実行する問診実施プログラム56に従って、実行部28A、生成部28B、及び出力部28Cとして動作することによって実現される。
【0033】
ストレージ32には、データ生成モデル58が格納されている。データ生成モデル58は、本開示の技術に係る「主訴生成モデル」及び「質問生成モデル」の一例である。詳しくは後述するが、データ生成モデル58は、生成部28Bによって用いられる。
【0034】
スマートデバイス14では、プロセッサ46によって受付出力処理が行われる。ストレージ50には、受付出力プログラム62が格納されている。受付出力プログラム62は、上述したチャットアプリケーションの一例であり、データ処理システム10によって問診実施プログラム56と併用される。受付出力プログラム62は、既存のチャットアプリケーション(例えば、従来既知のLINE(登録商標))を基礎にして作成されたプログラムである。プロセッサ46は、ストレージ50から受付出力プログラム62を読み出し、読み出した受付出力プログラム62をRAM48上で実行する。受付出力処理は、プロセッサ46がRAM48上で実行する受付出力プログラム62に従って、制御部46Aとして動作することによって実現される。
【0035】
図3には、データ処理装置12のプロセッサ28によって問診実施処理が行われ、かつ、スマートデバイス14のプロセッサ46によって受付出力処理が行われる場合のデータ処理システム10内での処理内容の一例が示されている。
【0036】
図3に示すように、実行部28Aは、ネットワーク54(
図1参照)を介してスマートデバイス14と通信を行うことにより、患者20に対して問診を対話形式で実行する。先ず、実行部28Aは、患者20に対しての問診を開始するために、問診を開始する条件(以下、「問診開始条件」と称する)を満足したか否かを判定する。問診開始条件の一例としては、患者20からの指示(例えば、患者20が病院18で受診するために必要な問診をデータ処理装置12に対して行わせる指示)が受付装置38によって受け付けられた、という条件が挙げられる。
【0037】
実行部28Aは、調査開始条件を満足した場合に、データ生成モデル58に対して与える指示を示す指示データ68を取得する。例えば、指示データ68は、ストレージ32に格納されており、調査開始条件を満足した場合に、実行部28Aによってストレージ32から取得される。なお、指示データ68は、ネットワーク54上のサーバ等に格納されていてもよく、この場合、実行部28Aは、ネットワーク54上のサーバ等から指示データ68を取得する。
【0038】
データ生成モデル58は、いわゆる生成AI(Artificial Intelligence)である。データ生成モデル58の一例としては、ChatGPT-4(インターネット検索<https://openai.com/gpt-4>)又はChatGPT-4-32k等の生成AIが挙げられる。データ生成モデル58は、ニューラルネットワークに対して深層学習を行わせることによって得られる。データ生成モデル58には、指示データ68が入力され、かつ、音声を示す音声データ、テキストを示すテキストデータ、及び画像を示す画像データ等の推論用データが入力される。データ生成モデル58は、入力された推論用データを指示データ68により示される指示に従って推論し、推論結果を音声データ及びテキストデータ等のデータ形式で出力する。ここで、推論とは、例えば、分析、分類、予測、及び/又は要約等を指す。
【0039】
指示データ68の一例としては、次のテキストを示すテキストデータが挙げられる。
【0040】
「あなたは病院の内科の医師です。 主訴を持つ患者がいます。病院で別の医師が診察をする際に参考になるように、患者から主訴を聞き出し、主訴を要約して報告する必要があります。 報告される医師が素早く主訴を把握できるように、医師の観点から有用なまとめ方が求められています。患者に対してあなたから質問をして主訴を聞き出して下さい。 医師の観点から確認すべき点は確認して下さい。 別の医師に対して報告する内容には『主訴』、『疑われる病気』、『必要な処置又は検査の内容』、『患者の精神状態』、及び『注意点』を含めて下さい。 必要に応じて図表を用いて下さい。 患者に対してはチャット形式で回答しやすく質問して下さい。 質問は、音声及びテキストで行って下さい。 全ての質問に対しての回答が得られた場合又は『レポート開始』の合図を受けた場合に病院への報告を開始して下さい。私は患者で、あなたは医師です。」
【0041】
なお、ここで具体的に例示した指示は、あくまでも一例に過ぎず、本開示の技術の趣旨を逸脱しない範囲内の指示であれば如何なる指示であってもよい。
【0042】
生成部28Bは、データ生成モデル58を用いることにより、指示データ68に基づいて問診データ70を生成する。問診データ70は、事前に定められた問診内容が反映された質問を示すデータである。問診データ70は、問診開始データ70Aと、質問データ70Bと、問診終了データ70Cとに大別される。
【0043】
問診開始データ70Aは、患者20との対話で患者20に対して最初に投げかける質問を示すデータである。質問データ70Bは、患者20からの回答に応じた質問を示すデータである。質問データ70Bは、問診内容質問データ70B1と要約入り質問データ70B2とに大別される。問診内容質問データ70B1は、問診内容に沿った質問の一部(すなわち、問診内容を小分けにした複数の小問の少なくとも1つ)を示すデータである。要約入り質問データ70B2は、患者20の主訴の要約が入っている質問を示すデータである。患者20の主訴は、問診内容質問データ70B1による全ての質問が行われることによって患者20から得られた回答に含まれている。要約入り質問データ70B2には、患者20の主訴に関する主訴データとして、要約データ70B2aが含まれている。要約データ70B2aは、患者20の主訴の要約を示すデータである。問診終了データ70Cは、問診を終了する場合に患者20に対して投げかける言葉を示すデータである。本実施形態において、要約データ70B2aは、本開示の技術に係る「主訴データ」及び「要約データ」の一例である。なお、ここでは、要約データ70B2がデータ生成モデル58によって生成される形態例を挙げているが、これは、あくまでも一例に過ぎず、主訴そのもの(すなわち、要約前の主訴)を示すデータがデータ生成モデル58によって生成されるようにしてもよい。
【0044】
データ生成モデル58に指示データ68が入力されると、データ生成モデル58によって問診開始データ70Aが生成される。実行部28Aは、データ生成モデル58によって生成された問診開始データ70Aを取得する。そして、実行部28Aは、スマートデバイス14に問診開始データ70Aを送信する。スマートデバイス14では、制御部46Aが、出力装置40に対して問診開始データ70Aを出力させる。マイクロフォン38Bは、問診開始データ70Aに対する患者20による回答を示す音声を取得する。制御部46Aは、問診開始データ70Aに対してマイクロフォン38Bによって取得された音声を示す回答音声データ72(以下、「第1回答音声データ」とも称する)をデータ処理装置12に送信する。データ処理装置12では、実行部28Aが第1回答音声データを取得する。
【0045】
生成部28Bは、実行部28Aによって取得された第1回答音声データをデータ生成モデル58に入力する。第1回答音声データがデータ生成モデル58に入力されると、データ生成モデル58によって、第1回答音声データに適合する問診内容質問データ70B1が生成される。第1回答音声データに適合する問診内容質問データ70B1とは、第1回答音声データから特定される回答の内容に応じて定まる質問を示すデータを指す。実行部28Aは、データ生成モデル58によって生成された問診内容質問データ70B1を取得する。そして、実行部28Aはスマートデバイス14に問診内容質問データ70B1を送信する。スマートデバイス14では、制御部46Aが、出力装置40に対して問診内容質問データ70B1を出力させる。マイクロフォン38Bは、問診内容質問データ70B1に対する患者20による回答を示す音声を取得する。制御部46Aは、問診内容質問データ70B1に対してマイクロフォン38Bによって取得された音声を示す回答音声データ72(以下、「第2回答音声データ」とも称する)をデータ処理装置12に送信する。データ処理装置12では、実行部28Aが第2回答音声データを取得する。
【0046】
生成部28Bは、実行部28Aによって取得された第2回答音声データをデータ生成モデル58に入力する。第2回答音声データがデータ生成モデル58に入力されると、データ生成モデル58によって、第2回答音声データに適合する問診内容質問データ70B1が生成される。そして、問診内容に沿った全ての質問が終了するまで、問診内容質問データ70B1と第2回答音声データとのやり取りが続けられる。なお、第2回答音声データに適合する問診内容質問データ70B1とは、第2回答音声データから特定される回答の内容に応じて定まる質問を示すデータを指す。
【0047】
問診内容質問データ70B1と第2回答音声データとのやり取りで得られた最後の第2回答音声データがデータ生成モデル58に入力されると、データ生成モデル58によって要約入り質問データ70B2が生成される。要約入り質問データ70B2に含まれる要約データ70B2aは、患者20の主訴の要約を示すデータである。患者20の主訴は、問診内容に沿った全ての質問が終了するまでの間の問診内容質問データ70B1と第2回答音声データとのやり取りで得られた全ての第2回答音声データにより示される回答に含まれている。また、要約入り質問データ70B2には、患者20に対して主訴の要約の適否を問うメッセージを示すデータが含まれている。
【0048】
実行部28Aは、データ生成モデル58によって生成された要約入り質問データ70B2を取得する。そして、実行部28Aは、スマートデバイス14に要約入り質問データ70B2を送信する。スマートデバイス14では、制御部46Aが、出力装置40に対して要約入り質問データ70B2を出力させる。マイクロフォン38Bは、要約入り質問データ70B2に対する患者20による回答を示す音声を取得する。制御部46Aは、要約入り質問データ70B2に対してマイクロフォン38Bによって取得された音声を示す回答音声データ72(以下、「第3回答音声データ」とも称する)をデータ処理装置12に送信する。データ処理装置12では、実行部28Aが第3回答音声データを取得する。
【0049】
ここで、第3回答音声データから特定される回答が、要約データ70B2aにより示される要約に対して否定的な回答であった場合、要約入り質問データ70B2が再生成され、要約入り質問データ70B2と第3回答音声データとのやり取りが継続される。
【0050】
第3回答音声データから特定される回答が、要約データ70B2aにより示される要約に対して肯定的な回答であった場合(すなわち、要約の内容に対して患者20から承諾を得た場合)、第3回答音声データがデータ生成モデル58に入力されると、データ生成モデル58によって、問診終了データ70Cが生成される。問診終了データ70Cには、主訴の要約を病院18へ送信する旨のメッセージを示すデータが含まれる。
【0051】
実行部28Aは、データ生成モデル58によって生成された問診終了データ70Cを取得する。そして、実行部28Aは、スマートデバイス14に問診終了データ70Cを送信する。スマートデバイス14では、制御部46Aが、出力装置40に対して問診終了データ70Cを出力させる。
【0052】
生成部28Bは、データ生成モデル58を用いることにより、医師19による診察等を支援する支援データ71を、実行部28Aにより対話形式で問診が実行されることによって得られた問診結果に基づいて生成する。支援データ71には、患者20の主訴の内容から疑われる病気を示すデータ、必要な処置又は検査の内容を示すデータ、患者20の精神状態を示すデータ、及び注意点を示すデータ等が含まれる。また、データ生成モデル58による支援データ71の生成に用いられる問診結果の一例としては、全ての第2回答音声データが挙げられる。なお、全ての第2回答音声データは、あくまでも一例に過ぎず、支援データ71の生成に用いられる問診結果として、要約データ70B2aが用いられるようにしてもよい。
【0053】
図4には、データ生成モデル58によって生成される問診データ70のデータ形式(表現形)の一例が示されている。
図4に示すように、データ生成モデル58は、問診開始データ70Aとして、問診開始音声データ70Aaと問診開始テキストデータ70Abとを生成する。
【0054】
問診開始音声データ70Aaは、患者20との対話で患者20に対して最初に投げかける質問を示す音声データである。問診開始音声データ70Abは、患者20との対話で患者20に対して最初に投げかける質問を示す音声データである。また、データ生成モデル58は、質問データ70Bとして、質問音声データ70Baと質問テキストデータ70Bbとを生成する。質問音声データ70Baは、患者20からの回答に応じた質問を示す音声データである。質問テキストデータ70Bbは、患者20からの回答に応じた質問を示す音声データである。更に、データ生成モデル58は、問診終了データ70Cとして、問診終了音声データ70Caと問診終了テキストデータ70Cbとを生成する。問診終了音声データ70Caは、問診を終了する場合に患者20に対して投げかける言葉を示す音声データである。問診終了テキストデータ70Cbは、問診を終了する場合に患者20に対して投げかける言葉を示すテキストデータである。
【0055】
図5には、スマートデバイス14の処理内容の一例が示されている。
図5に示すように、スピーカ40Bは、制御部46Aの制御下で、実行部28Aからスマートデバイス14に送信された問診データ70により示される音声データ(すなわち、問診開始音声データ70Aa、質問音声データ70Ba、及び問診終了音声データ70Ca)により示される音声を出力する。
【0056】
また、ディスプレイ40Aは、制御部46Aの制御下で、実行部28Aからスマートデバイス14に送信された問診データ70により示されるテキストデータ(すなわち、問診開始テキストデータ70Ab、質問テキストデータ70Bb、及び問診終了テキストデータ70Cb)により示されるテキストを表示する。
【0057】
このように、スピーカ40Bから出力された音声及びディスプレイ40Aに表示されたテキストの内容に対して患者20が音声で回答することにより問診が成立する。
【0058】
マイクロフォン38Bは、患者20の音声による回答を取得する。そして、制御部46Aは、マイクロフォン38Bによって取得された回答に対して、従来既知の音声テキスト変換処理を行うことにより、音声による回答をテキストによる回答に変換し、テキストによる回答をディスプレイ40Aに表示する。ディスプレイ40Aには、問診データ70に示される質問等と患者20の話とが区別可能な状態で交互に表示される。
【0059】
図6には、問診対象とされた患者20から回答が得られた場合にデータ処理装置12によって行われる処理内容の一例が示されている。
図6に示すように、生成部28Bは、データセット74を生成する。データセット74は、要約データ70B2aと支援データ71とが対応付けられたデータである。出力部28Cは、生成部28Bによって生成されたデータセット74を取得し、取得したデータセット74を既定の出力先に出力する。既定の出力先の第1例としては、病院18の管理サーバ76が挙げられる。既定の出力先の第2例としては、ストレージ32が挙げられる。病院18の管理サーバ76への出力は、通信I/F26(
図1参照)を用いたネットワーク54(
図1参照)経由での送信により実現される。
【0060】
管理サーバ76は、出力部28Cから出力されたデータセット74を取得し、取得したデータセット74に対して特定処理を行う。例えば、特定処理には、データセット74を電子カルテ78に登録する処理が含まれる。電子カルテ78は、医師19が患者20を診察する場合に医師19によって参照される。
【0061】
次に、データ処理システム10の作用について
図7~
図8Bを参照しながら説明する。
【0062】
先ず、問診実施処理の流れの一例について
図7を参照しながら説明する。なお、
図7に示す問診実施処理の流れは、本開示の技術に係る「データ処理方法」の一例である。
【0063】
図8Aに示す問診実施処理では、先ず、ステップST10で、実行部28Aは、問診開始条件を満足したか否かを判定する。ステップST10において、問診開始条件を満足していない場合は、判定が否定されて、ステップST10の判定が再び行われる。ステップST10において、問診開始条件を満足した場合は、判定が肯定されて、問診実施処理はステップST12へ移行する。
【0064】
ステップST12で、実行部28Aは、指示データ68を取得する。ステップST12の処理が実行された後、問診実施処理はステップST14へ移行する。
【0065】
ステップST14で、生成部28Bは、データ生成モデル58を用いることにより、ステップST12で取得された指示データ68に基づいて問診開始データ70Aを生成する。そして、実行部28Aは、生成部28Bによって生成された問診開始データ70Aをスマートデバイス14に送信する。ステップST14の処理が実行された後、問診実施処理はステップST16へ移行する。
【0066】
本ステップST14の処理が実行されることによって問診開始データ70Aがスマートデバイス14に送信されたことに応じて、スマートデバイス14からは回答音声データ72が送信される(
図8Aに示すステップST58参照)。
【0067】
ステップST16で、実行部28Aは、スマートデバイス14から送信された回答音声データ72が通信I/F26によって受信されたか否かを判定する。ステップST16において、スマートデバイス14から送信された回答音声データ72が通信I/F26によって受信されていない場合は、判定が否定されて、ステップST16の判定が再び行われる。ステップST16において、スマートデバイス14から送信された回答音声データ72が通信I/F26によって受信された場合は、判定が肯定されて、問診実施処理はステップST18へ移行する。また、実行部28Aは、通信I/F26によって受信された回答音声データ72を取得する。
【0068】
ステップST18で、実行部28Aは、予定されている全ての質問が終了していないか否かを判定する。ステップST18において、予定されている全ての質問が終了している場合は、判定が否定されて、問診実施処理はステップST22へ移行する。ステップST18において、予定されている全ての質問が終了していない場合は、判定が否定されて、問診実施処理はステップST20へ移行する。
【0069】
ステップST20で、生成部28Bは、データ生成モデル58を用いることにより、ステップST12で取得された回答音声データ72に応じた問診内容質問データ70B1を生成する。実行部28Aは、生成部28Bによって生成された問診内容質問データ70B1をスマートデバイス14に送信する。ステップST20の処理が実行された後、問診実施処理はステップST16へ移行する。
【0070】
本ステップST20の処理が実行されることによって問診内容質問データ70B1がスマートデバイス14に送信されたことに応じて、スマートデバイス14からは回答音声データ72が送信される(
図8Aに示すステップST58参照)。
【0071】
ステップST22で、生成部28Bは、データ生成モデル58を用いることにより、予定されている全ての質問に対する回答に含まれる主訴の要約を示す要約データ70B2aを含む要約入り質問データ70B2を生成する。実行部28Aは、生成部28Bによって生成された要約入り質問データ70B2をスマートデバイス14に送信する。ステップST22の処理が実行された後、問診実施処理はステップST24へ移行する。
【0072】
ステップST24で、生成部28Bは、データ生成モデル58を用いることにより、予定されている全ての質問に対する回答に基づいて支援データ71を生成する。ステップST24の処理が実行された後、問診実施処理はステップST26へ移行する。
【0073】
上記ステップST22の処理が実行されることによって要約入り質問データ70B2がスマートデバイス14に送信されたことに応じて、スマートデバイス14からは回答音声データ72が送信される(
図8Aに示すステップST58参照)。
【0074】
ステップST26で、実行部28Aは、スマートデバイス14から送信された回答音声データ72が通信I/F26によって受信されたか否かを判定する。ステップST26において、スマートデバイス14から送信された回答音声データ72が通信I/F26によって受信されていない場合は、判定が否定されて、ステップST26の判定が再び行われる。ステップST26において、スマートデバイス14から送信された回答音声データ72が通信I/F26によって受信された場合は、判定が肯定されて、問診実施処理はステップST28へ移行する。また、実行部28Aは、通信I/F26によって受信された回答音声データ72を取得する。
【0075】
ステップST28で、生成部28Bは、ステップST34で取得された回答音声データ72をデータ生成モデル58に入力する。データ生成モデル58は、実行部28Aから入力された回答音声データ72に基づいて、主訴の要約に対して患者20から承諾が得られたか否かを判定する。ステップST28において、主訴の要約に対して患者20から承諾が得られなかった場合は、判定が否定されて、問診実施処理はステップST30へ移行する。ステップST28において、主訴の要約に対して患者20から承諾が得られた場合は、判定が肯定されて、問診実施処理はステップST32へ移行する。
【0076】
ステップST30で、生成部28Bは、上記ステップST22の処理と同様の処理を行うことで、要約入り質問データ70B2を再生成し、実行部28Aは、再生成された要約入り質問データ70B2をスマートデバイス14に送信する。ステップST22の処理が実行された後、問診実施処理はステップST26へ移行する。
【0077】
ステップST32で、生成部28Bは、ステップST22又はステップST30で生成した要約入り質問データ70B2に含まれる要約データ70B2aと、ステップST24で生成した支援データ71とに基づくデータセット74を生成する。ステップST32の処理が実行された後、問診実施処理はステップST34へ移行する。
【0078】
ステップST34で、出力部28Cは、ステップST32で生成されたデータセット74を病院18の管理サーバ76に送信する。管理サーバ76は、データセット74を受信し、受信したデータセット74を電子カルテ78に登録する。ステップST34の処理が実行された後、問診実施処理が終了する。
【0079】
次に、受付出力処理の流れの一例について
図8A及び
図8Bを参照しながら説明する。
【0080】
図8Aに示す受付出力処理では、先ず、ステップST50で、制御部46Aは、通信I/F44によって問診データ70が受信されたか否かを判定する。ステップST50において、通信I/F44によって問診データ70が受信されていない場合は、判定が否定されて、ステップST50の判定が再び行われる。ステップST50において、通信I/F44によって問診データ70が受信された場合は、判定が肯定されて、受付出力処理はステップST52へ移行する。
【0081】
ステップST52で、制御部46Aは、ステップST50で通信I/F44によって受信された問診データ70が問診開始データ70Aであるか否かを判定する。ステップST52において、ステップST50で通信I/F44によって受信された問診データ70が問診開始データ70Aでない場合は、判定が否定されて、受付出力処理はステップST62へ移行する。ステップST52において、ステップST50で通信I/F44によって受信された問診データ70が問診開始データ70Aである場合は、判定が肯定されて、受付出力処理はステップST54へ移行する。
【0082】
ステップST54で、制御部46Aは、出力装置40に対して問診開始データ70Aを出力させる。ステップST54の処理が実行された後、受付出力処理はステップST56へ移行する。
【0083】
ステップST56で、制御部46Aは、出力装置40から出力された問診開始データ70A、問診内容質問データ70B1、又は要約入り質問データ70B2に対する患者20による回答を示す音声がマイクロフォン38Bによって取得されたか否かを判定する。ステップST56において、出力装置40から出力された問診開始データ70A、問診内容質問データ70B1、又は要約入り質問データ70B2に対する患者20による回答を示す音声がマイクロフォン38Bによって取得されていない場合は、判定が否定されて、ステップST56の判定が再び行われる。ステップST56において、出力装置40から出力された問診開始データ70A、問診内容質問データ70B1、又は要約入り質問データ70B2に対する患者20による回答を示す音声がマイクロフォン38Bによって取得された場合は、判定が肯定されて、受付出力処理はステップST58へ移行する。
【0084】
ステップST58で、制御部46Aは、マイクロフォン38Bによって取得された音声を示す回答音声データ72をデータ処理装置12に送信する。ステップST58の処理が実行された後、受付出力処理はステップST60へ移行する。
【0085】
ステップST60で、制御部46Aは、受付出力処理が終了する条件(以下、「終了条件」と称する)を満足したか否かを判定する。終了条件の第1例としては、受付出力処理を終了させる指示が受付装置38によって受け付けられた、という条件が挙げられる。終了条件の第2例としては、データ処理装置12等の外部装置から受付出力処理を終了させる指示がスマートデバイス14に対して与えられた、という条件が挙げられる。
【0086】
ステップST60において、終了条件を満足していない場合は、判定が否定されて、受付出力処理はステップST50へ移行する。ステップST60において、終了条件を満足した場合、判定が肯定されて、受付出力処理が終了する。
【0087】
ステップST62で、制御部46Aは、ステップST50で通信I/F44によって受信された問診データ70が問診内容質問データ70B1であるか否かを判定する。ステップST62において、ステップST50で通信I/F44によって受信された問診データ70が問診内容質問データ70B1でない場合は、判定が否定されて、受付出力処理は、
図8Bに示すステップST66へ移行する。ステップST62において、ステップST50で通信I/F44によって受信された問診データ70が問診内容質問データ70B1である場合は、判定が肯定されて、受付出力処理はステップST64へ移行する。
【0088】
ステップST64で、制御部46Aは、出力装置40に対して問診内容質問データ70B1を出力させる。ステップST64の処理が実行された後、受付出力処理はステップST56へ移行する。
【0089】
図8Bに示すステップST66で、制御部46Aは、ステップST50で通信I/F44によって受信された問診データ70が要約入り質問データ70B2であるか否かを判定する。ステップST66において、ステップST50で通信I/F44によって受信された問診データ70が要約入り質問データ70B2でない場合(すなわち、ステップST50で通信I/F44によって受信された問診データ70が問診終了データ70Cである場合)は、判定が否定されて、受付出力処理はステップST70へ移行する。ステップST66において、ステップST50で通信I/F44によって受信された問診データ70が要約入り質問データ70B2である場合は、判定が肯定されて、受付出力処理はステップST68へ移行する。
【0090】
ステップST68で、制御部46Aは、出力装置40に対して要約入り質問データ70B2を出力させる。ステップST68の処理が実行された後、受付出力処理は、
図8Aに示すステップST56へ移行する。
【0091】
ステップST70で、制御部46Aは、出力装置40に対して問診終了データ70Cを出力させる。ステップST70の処理が実行された後、受付出力処理が終了する。
【0092】
図9には、病院18の外来受付で患者20を受け入れてから医師19が患者20に対して医療的処置を施すまでの間に医師19が行う業務の流れの一例が示されている。
【0093】
従来の業務の流れでは、外来受付で問診票が受領されると、医師19は、問診票の内容を確認した上で、電子カルテ78(
図6参照)に、問診票に記入された内容を登録する。その後、医師19は、問診票を参照しながら、患者20に対して主訴のヒアリングを行う。ここで、患者20が話下手であったり、重い症状のために対話が困難であったりすると、医師19は、患者20の主訴を聞き出すのに多くの時間を費やしてしまう。医師19は、患者20の主訴を基に、患者20に対して医療的処置を行う。
【0094】
これに対し、本実施形態に係るデータ処理システム10を利用すると、病院18の管理サーバ76等によってデータ処理装置12からのデータセット74が受け付けられる。データセット74は、電子カルテ78に登録される。データセット74には、要約データ70B2aが含まれているので、医師19は、電子カルテ78に登録された要約データ70B2aを参照することで、患者20の主訴を確認することができる。これにより、患者20の主訴を把握するために医師19にかかる負荷が軽減される。また、データセット74には、支援データ71も含まれているので、医師19は、患者20に対して医療的処置を行う上で、支援データ71を参照することができる。これにより、医師19は、どのような医療的処理を行うべきかの判断を短時間で精度良く行うことができる。
【0095】
図10には、患者20が病院18の外来受付で受け入れられてから医師19による医療的処置を受けるまでの患者20の行動の流れの一例が示されている。
【0096】
従来、患者20が病院18の外来受付に到着すると、病院18側から待合室で問診票への記入が求められる。問診票への記入は手書きであるため、患者20にとって、病院18の外来受付に到着してから問診票に症状等を記入することは非常に手間であり、症状が酷いときには、問診表への記入は辛い作業となる。また、医師19の診察を受けるまでの間、待合室での待ち時間が長くなると、他の患者からの感染のリスクが高くなる。また、患者20は、医師19から、問診票に記入した内容についてのヒアリングを受ける。このとき、場合によっては、患者20が、問診票に記入した内容を一から口頭で医師19に説明することもあり得る。
【0097】
これに対し、本実施形態に係るデータ処理システム10を利用すると、患者20は、空き時間にチャットによる対話形式で問診を受けることができる。これにより、問診票に記入する手間が省かれる。また、患者20が待合室で待機する時間も短くなるので、他の患者からの感染のリスクも低くなる。更に、が診察室で患者20医師19と対面する場面では、医師19が、要約データ70B2aに示される主訴の要約に沿って患者20の症状等を確認するだけなので、患者20が症状等を一から口頭で説明するようなことも少なくなり、医師19から受けるヒアリングの時間を短くすることができる。
【0098】
上記実施形態では、患者20が音声で回答する形態例を挙げたが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、患者20は、タッチパネル38A等を用いた文字入力で回答するようにしてもよい。
【0099】
上記実施形態では、データ生成モデル58に対して推論用データとして回答音声データ72が入力される形態例を挙げたが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、カメラ42(
図1参照)によって患者20が撮像されることで得られた画像、及び/又は、各種センサによる測定結果(例えば、心拍、血圧、及び/又は体温)が推論用データとしてデータ生成モデル58に入力されるようにしてもよい。
【0100】
上記実施形態では、病院18を例示したが、これは、あくまでも一例に過ぎず、クリニック又は調剤薬局等の医療機関であってもよい。また、患者20が、医師19以外の医療従事者(例えば、薬剤師)に相談したい場合にもデータ処理システム10が用いられるようにしてもよい。
【0101】
上記実施形態では、データ処理システム10に対して、サーバを想定したデータ処理装置12が実装されている形態例を挙げたが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、本開示の技術は、一般的な情報処理システムに実装されていてもよい。また、例えば、本開示の技術は、サーバ及び/又はパーソナル・コンピュータ等で動作するソフトウェアプログラム、又は、スマートデバイス等で動作するアプリケーションに実装されていてもよい。また、本開示の技術は、SaaS(Software as a Service)形式でユーザに対して提供されてもよい。また、上記実施形態では、データ処理装置12の一例として、サーバを例示したが、これは、あくまでも一例に過ぎず、本開示の技術は、サーバ以外の装置(例えば、パーソナル・コンピュータ等)によって実現されるようにしてもよい。
【0102】
上記実施形態では、1台のコンピュータ22によって問診実施処理が行われる形態例を挙げたが、本開示の技術はこれに限定されず、コンピュータ22を含めた複数のコンピュータによる問診実施処理に対する分散処理が行われるようにしてもよい。
【0103】
上記実施形態では、ストレージ32に問診実施プログラム56が格納されている形態例を挙げて説明したが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、問診実施プログラム56がUSB(Universal Serial Bus)メモリなどの可搬型のコンピュータ読み取り可能な非一時的格納媒体に格納されていてもよい。非一時的格納媒体に格納されている問診実施プログラム56は、データ処理装置12のコンピュータ22にインストールされる。プロセッサ28は、問診実施プログラム56に従って問診実施処理を実行する。
【0104】
また、ネットワーク54を介してデータ処理装置12に接続されるサーバ等の格納装置に問診実施プログラム56を格納させておき、データ処理装置12の要求に応じて問診実施プログラム56がダウンロードされ、コンピュータ22にインストールされるようにしてもよい。なお、ネットワーク54を介してデータ処理装置12に接続されるサーバ等の格納装置に問診実施プログラム56の全てを格納させておいたり、ストレージ32に問診実施プログラム56の全てを記憶させたりしておく必要はなく、問診実施プログラム56の一部を格納させておいてもよい。
【0105】
問診実施処理を実行するハードウェア資源としては、次に示す各種のプロセッサを用いることができる。プロセッサとしては、例えば、ソフトウェア、すなわち、プログラムを実行することで、問診実施処理を実行するハードウェア資源として機能する汎用的なプロセッサであるCPUが挙げられる。また、プロセッサとしては、例えば、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、PLD(Programmable Logic Device)、又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路が挙げられる。何れのプロセッサにもメモリが内蔵又は接続されており、何れのプロセッサもメモリを使用することで問診実施処理を実行する。
【0106】
問診実施処理を実行するハードウェア資源は、これらの各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせ、又はCPUとFPGAとの組み合わせ)で構成されてもよい。また、問診実施処理を実行するハードウェア資源は1つのプロセッサであってもよい。
【0107】
1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、1つ以上のCPUとソフトウェアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが、問診実施処理を実行するハードウェア資源として機能する形態がある。第2に、SoC(System-on-a-chip)などに代表されるように、問診実施処理を実行する複数のハードウェア資源を含むシステム全体の機能を1つのICチップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、問診実施処理は、ハードウェア資源として、上記各種のプロセッサの1つ以上を用いて実現される。
【0108】
更に、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造としては、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路を用いることができる。また、上記の問診実施処理はあくまでも一例である。従って、主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよいことは言うまでもない。
【0109】
以上に示した記載内容及び図示内容は、本開示の技術に係る部分についての詳細な説明であり、本開示の技術の一例に過ぎない。例えば、上記の構成、機能、作用、及び効果に関する説明は、本開示の技術に係る部分の構成、機能、作用、及び効果の一例に関する説明である。よって、本開示の技術の主旨を逸脱しない範囲内において、以上に示した記載内容及び図示内容に対して、不要な部分を削除したり、新たな要素を追加したり、置き換えたりしてもよいことは言うまでもない。また、錯綜を回避し、本開示の技術に係る部分の理解を容易にするために、以上に示した記載内容及び図示内容では、本開示の技術の実施を可能にする上で特に説明を要しない技術常識等に関する説明は省略されている。
【0110】
本明細書に記載された全ての文献、特許出願及び技術規格は、個々の文献、特許出願及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
【0111】
<付記>
(1)
患者に対して問診を対話形式で実行する実行部と、
主訴生成モデルを用いることにより、前記患者の主訴に関する主訴データを、前記実行部により前記対話形式で前記問診が実行されることで得られた問診結果に基づいて生成する生成部と、
前記生成部によって生成された前記主訴データを出力する出力部と、を備える
データ処理装置。
【0112】
(2)
前記主訴データは、前記主訴の要約を示す要約データである
(1)に記載のデータ処理装置。
【0113】
(3)
前記実行部は、
質問生成モデルを用いることにより前記患者に対する質問を生成し、
前記質問を用いて前記問診を実行する
(1)又は(2)に記載のデータ処理装置。
【0114】
(4)
前記実行部は、前記質問生成モデルを用いることにより、前記患者からの前記問診に対する回答に基づいて前記質問を生成する
(3)に記載のデータ処理装置。
【0115】
(5)
前記出力部は、前記主訴データを医療機関に出力する
(1)から(4)の何れか1つに記載のデータ処理装置。
【0116】
(6)
(1)から(5)の何れか1つに記載のデータ処理装置と通信可能な通信端末であって、
ユーザインタフェースを備え、
前記ユーザインタフェースは、
前記問診の内容を提示し、
前記実行部によって実行される前記問診に対しての前記患者からの回答を受け付ける
通信端末。
【0117】
(7)
患者に対して問診を対話形式で実行すること、
主訴生成モデルを用いることにより、前記患者の主訴に関する主訴データを、前記問診が前記対話形式で実行されることで得られた問診結果に基づいて生成すること、及び、
前記主訴データを出力することを含む
データ処理方法。
【0118】
(8)
患者に対して問診を対話形式で実行すること、
主訴生成モデルを用いることにより、前記患者の主訴に関する主訴データを、前記問診が前記対話形式で実行されることで得られた問診結果に基づいて生成すること、及び、
前記主訴データを出力することを含む処理をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0119】
10 データ処理システム
12 データ処理装置
14 スマートデバイス
16 問診代行企業
18 病院
19 医師
20 患者
22,36 コンピュータ
26,44 通信I/F
28,46 プロセッサ
28A 実行部
28B 生成部
28C 出力部
30,48 RAM
32,50 ストレージ
34,52 バス
38 受付装置
38A タッチパネル
38B マイクロフォン
40 出力装置
40A ディスプレイ
40B スピーカ
54 ネットワーク
56 問診実施プログラム
58 データ生成モデル
60 受付出力プログラム
68 指示データ
70 問診データ
70A 問診開始データ
70Aa 問診開始音声データ
70Ab 問診開始テキストデータ
70B 質問データ
70B1 問診内容質問データ
70B2 要約入り質問データ
70B2a 要約データ
70Ba 質問音声データ
70Bb 質問テキストデータ
70C 問診終了データ
70Ca 問診終了音声データ
70Cb 問診終了テキストデータ
71 支援データ
72 回答音声データ
74 データセット
76 管理サーバ
78 電子カルテ