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特開2025-15111再生ゴム含有ゴム組成物および空気入りタイヤ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025015111
(43)【公開日】2025-01-30
(54)【発明の名称】再生ゴム含有ゴム組成物および空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
   C08L 17/00 20060101AFI20250123BHJP
   C08K 3/04 20060101ALI20250123BHJP
   B60C 1/00 20060101ALI20250123BHJP
   B60C 19/00 20060101ALI20250123BHJP
【FI】
C08L17/00
C08K3/04
B60C1/00 Z
B60C19/00 L
B60C1/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023118265
(22)【出願日】2023-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】TOYO TIRE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 修平
【テーマコード(参考)】
3D131
4J002
【Fターム(参考)】
3D131AA02
3D131BA07
3D131BA08
3D131BA12
3D131BC09
3D131BC22
3D131BC31
3D131LA26
4J002AC01W
4J002AC13X
4J002DA036
4J002FD016
4J002GN01
(57)【要約】
【課題】加硫ゴムとしたときに破壊特性や耐疲労性に優れた再生ゴム含有ゴム組成物、および再生ゴム含有ゴム組成物を加硫成形してなるゴム部を備える空気入りタイヤを提供すること。
【解決手段】再生ゴムを含有する再生ゴム含有ゴム組成物であって、再生ゴムが、BET法に基づく比表面積が100~120m/gであるカーボンブラックを含有し、かつゲル分率が75%以下である再生ゴム含有ゴム組成物。再生ゴムが、平均粒径d70が100μm以下であり、かつ平均粒径d90が150μm以下である再生ゴム粉であることが好ましい。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
再生ゴムを含有する再生ゴム含有ゴム組成物であって、
前記再生ゴムが、BET法に基づく比表面積が100~120m/gであるカーボンブラックを含有し、かつゲル分率が75%以下であることを特徴とする再生ゴム含有ゴム組成物。
【請求項2】
前記再生ゴムが、平均粒径d70が100μm以下であり、かつ平均粒径d90が150μm以下である再生ゴム粉である請求項1に記載の再生ゴム含有ゴム組成物。
【請求項3】
ゴム成分の全量を100質量部としたとき、前記再生ゴムを1~10質量部含有する請求項1に記載の再生ゴム含有ゴム組成物。
【請求項4】
前記再生ゴムが、タイヤトレッド由来の再生ゴムである請求項1に記載の再生ゴム含有ゴム組成物。
【請求項5】
前記再生ゴムが、ゴム成分の全量を100質量部としたとき、天然ゴムおよびイソプレンゴムからなる群より選択される少なくとも1種を50質量部以上含有する再生ゴムである請求項1に記載の再生ゴム含有ゴム組成物。
【請求項6】
請求項1に記載の再生ゴム含有ゴム組成物を加硫成形してなるゴム部を備える空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再生ゴム含有ゴム組成物、および再生ゴム含有ゴム組成物を加硫成形してなるゴム部を備える空気入りタイヤに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、環境意識の高まりから、使用済タイヤやその他のゴム製品から生ずる加硫ゴム廃材を再利用することが強く要望されている。
【0003】
下記特許文献1では、微粒径化処理を施し、145メッシュのふるいを通過したものを25%以上含有するように調製された粉ゴムを、更にオイルパン法処理して得られた再生ゴムを含有してなる再生ゴム含有ゴム組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-35663号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らが鋭意検討したところ、上記従来技術で得られた再生ゴム含有ゴム組成物では、加硫ゴムとしたときに破壊特性や耐疲労性の点でさらなる改良の余地があることが判明した。
【0006】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、加硫ゴムとしたときに破壊特性や耐疲労性に優れた再生ゴム含有ゴム組成物、および再生ゴム含有ゴム組成物を加硫成形してなるゴム部を備える空気入りタイヤを提供することにある。
【0007】
上記課題は下記の如き構成により解決し得る。すなわち本発明は、再生ゴムを含有する再生ゴム含有ゴム組成物であって、前記再生ゴムが、BET法に基づく比表面積が100~120m/gであるカーボンブラックを含有し、かつゲル分率が75%以下であることを特徴とする再生ゴム含有ゴム組成物(1)に関する。
【0008】
上記再生ゴム含有ゴム組成物(1)において、前記再生ゴムが、平均粒径d70が100μm以下であり、かつ平均粒径d90が150μm以下である再生ゴム粉である再生ゴム含有ゴム組成物(2)が好ましい。
【0009】
上記再生ゴム含有ゴム組成物(1)または(2)において、ゴム成分の全量を100質量部としたとき、前記再生ゴムを1~10質量部含有する再生ゴム含有ゴム組成物(3)が好ましい。
【0010】
上記再生ゴム含有ゴム組成物(1)~(3)いずれかにおいて、前記再生ゴムが、タイヤトレッド由来の再生ゴムである再生ゴム含有ゴム組成物(4)が好ましい。
【0011】
上記再生ゴム含有ゴム組成物(1)~(4)いずれかにおいて、前記再生ゴムが、ゴム成分の全量を100質量部としたとき、天然ゴムおよびイソプレンゴムからなる群より選択される少なくとも1種を50質量部以上含有する再生ゴムである再生ゴム含有ゴム組成物(5)が好ましい。
【0012】
また本発明は、上記再生ゴム含有ゴム組成物(1)~(5)いずれかを加硫成形してなるゴム部を備える空気入りタイヤ(6)に関する。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る再生ゴム含有ゴム組成物は、特定の再生ゴム、具体的には、BET法に基づく比表面積が100~120m/gであるカーボンブラックを含有し、かつゲル分率が75%以下である再生ゴムを含有する。(i)再生ゴムがBET法に基づく比表面積が100~120m/gであるカーボンブラックを含有する場合、かかるカーボンブラックは比表面積が大きいため、再生ゴムが未だ加硫されていない新ゴム中に配合された際、補強性を高める効果がある。また、(ii)再生ゴムのゲル分率が75%以下である場合、再生ゴムが未だ加硫されていない新ゴム中に配合された際、相溶効果が高まり、再生ゴムの分散性が向上する。また、(iii)再生ゴムが、平均粒径d70が100μm以下であり、かつ平均粒径d90が150μm以下である再生ゴム粉である場合、脱硫処理を実施される際に高分子量体の溶出量が多いことに起因して、再生ゴムのゲル分率がより低くなるため好ましい。さらに、(iv)再生ゴムが、タイヤトレッド由来の再生ゴムである場合、特に再生ゴムが、ゴム成分の全量を100質量部としたとき、天然ゴムおよびイソプレンゴムからなる群より選択される少なくとも1種を50質量部以上含有する再生ゴムである場合、再生ゴム含有ゴム組成物の加硫ゴムの破断強度向上に繋がるため好ましい。
【0014】
本発明に係る再生ゴム含有ゴム組成物は、加硫ゴムとしたときに破壊特性や耐疲労性に優れる。このため、空気入りタイヤ用ゴム組成物として、特には空気入りタイヤのトレッド用ゴム組成物として有用である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係る再生ゴム含有ゴム組成物は、再生ゴムを含有する。以下に、再生ゴムについて説明する。
【0016】
再生ゴムは、一般的に廃タイヤなどの廃ゴムを粉砕し、脱硫処理を施すことにより製造される。廃タイヤは、タイヤを構成するトレッドやサイドウォールなどの多種多様な部材を含有するが、本発明では、再生ゴム含有ゴム組成物の加硫ゴムの破断強度向上の見地から、再生ゴムがタイヤトレッド由来の再生ゴムであることが好ましい。タイヤトレッド由来の再生ゴムとしては、例えば更生タイヤを製造する際に、トレッド部分を削って得た廃ゴムを原料として製造された再生ゴムが挙げられる。
【0017】
本発明においては、再生ゴム含有ゴム組成物の加硫ゴムの破断強度向上の見地から、再生ゴムが、ゴム成分の全量を100質量部としたとき、天然ゴムおよびイソプレンゴムからなる群より選択される少なくとも1種を、50質量部以上含有する再生ゴムであることが好ましく、70質量部以上含有する再生ゴムであることがより好ましい。
【0018】
本発明に係る再生ゴム含有ゴム組成物が含有する再生ゴムは、例えば天然ゴムの割合が豊富であるトラックバス用タイヤのタイヤトレッド部材を原料として製造することができる。具体的には、該タイヤトレッド部材をクラッカーロールにて、最大径500μmまで微細化し、さらに気流分流機を使用して、最大径150μmまでのゴム粉を回収し、これを原料として製造することができる。
【0019】
上記で得られたゴム粉を、さらにオイルパン法処理することが好ましい。処理方法としては、例えば上記で微粒径化処理したゴム粉をオートクレーブに投入し、再生剤を加えてスチーム雰囲気下、温度約200℃、3~6時間脱硫反応を行う方法が挙げられる。使用する再生剤は当業者に公知の再生剤、例えば、チオフェノール、nブチルアミンなどが挙げられる。
【0020】
本発明に係る再生ゴム含有ゴム組成物が含有する再生ゴムは、例えば上記の方法で製造され、以下の特性を備える。
【0021】
本発明で使用する再生ゴムは、BET法に基づく比表面積が100~120m/gであるカーボンブラックを含有する。かかるカーボンブラックは比表面積が大きいため、再生ゴムが未だ加硫されていない新ゴム中に配合された際、補強性を高める効果がある。なお、再生ゴム中に含まれるカーボンブラックの、BET法に基づく比表面積の測定方法については後述する。
【0022】
本発明で使用する再生ゴムは、ゲル分率が75%以下となるように設計されている。これにより、再生ゴムが未だ加硫されていない新ゴム中に配合された際、相溶効果が高まることで、再生ゴムの分散性が向上する。なお、再生ゴムのゲル分率の測定方法については後述する。
【0023】
本発明で使用する再生ゴムは、平均粒径d70が100μm以下であり、かつ平均粒径d90が150μm以下であることが好ましい。これにより、脱硫処理を実施される際に高分子量体の溶出量が多いことに起因して、再生ゴムのゲル分率がより低くなる。なお、再生ゴムの粒度分布の測定方法については後述する。
【0024】
本発明に係る再生ゴム含有ゴム組成物は、リサイクルの観点からは再生ゴムをできるだけ多く含有することが好ましいが、再生ゴム含有ゴム組成物の加硫ゴムの破断強度向上の見地から、ゴム成分の全量を100質量部としたとき、前記再生ゴムを1~10質量部含有することが好ましい。
【0025】
本発明に係る再生ゴム含有ゴム組成物は、再生ゴム以外に未加硫のゴム(新ゴム)、充填剤、硫黄、加硫促進剤、シランカップリング剤、酸化亜鉛、ステアリン酸、加硫遅延剤、有機過酸化物、老化防止剤、ワックスやオイルなどの軟化剤、加工助剤などの通常ゴム工業で使用される配合剤を適宜配合することができる。
【0026】
ゴム成分(未加硫のゴム(新ゴム))としては、ジエン系ゴムが好ましく、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル-ブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、スチレン-イソプレン共重合体ゴム、ブタジエン-イソプレン共重合体、スチレン-イソプレン-ブタジエン共重合体ゴムなどが挙げられる。これらはそれぞれ単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。ジエン系ゴムとして、好ましくは、天然ゴム、ブタジエンゴムおよびスチレンブタジエンゴム、またはこれらの2種以上のブレンドである。
【0027】
本発明に係る再生ゴム含有ゴム組成物は、充填剤としてカーボンブラックを含有することが好ましい。カーボンブラックとしては、例えばSAF、ISAF、HAF、FEF、GPFなど、通常のゴム工業で使用されるカーボンブラックの他、アセチレンブラックやケッチェンブラックなどの導電性カーボンブラックを使用することができる。本発明に係る再生ゴム含有ゴム組成物は、再生ゴム以外のゴム成分の全量を100質量部としたとき、カーボンブラックを0~70質量部配合することが好ましく、30~70質量部含有することがより好ましい。
【0028】
本発明に係る再生ゴム含有ゴム組成物は、充填剤としてシリカを含有してもよい。シリカとしては、通常のゴム補強に用いられる湿式シリカ、乾式シリカ、ゾル-ゲルシリカ、表面処理シリカなどが用いられる。なかでも、湿式シリカが好ましい。
【0029】
充填剤としてシリカを含有する場合、併せてシランカップリング剤を含有することも好ましい。シランカップリング剤としては、分子中に硫黄を含むものであれば特に限定されず、ゴム組成物においてシリカとともに配合される各種のシランカップリング剤を用いることができる。例えば、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(例えば、デグサ社製「Si69」)、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド(例えば、デグサ社製「Si75」)、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4-トリエキトシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)ジスルフィドなどのスルフィドシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、メルカプトプロピルジメチルメトキシシラン、メルカプトエチルトリエトキシシランなどのメルカプトシラン、3-オクタノイルチオ-1-プロピルトリエトキシシラン、3-プロピオニルチオプロピルトリメトキシシランなどの保護化メルカプトシランが挙げられる。
【0030】
硫黄としては通常のゴム用硫黄であればよく、例えば粉末硫黄、沈降硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄などを用いることができる。本発明に係る再生ゴム含有ゴム組成物は、再生ゴム以外のゴム成分の全量を100質量部としたとき、硫黄を0.5~5質量部配合することが好ましい。
【0031】
加硫促進剤としては、ゴム加硫用として通常用いられる、スルフェンアミド系加硫促進剤、チウラム系加硫促進剤、チアゾール系加硫促進剤、チオウレア系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤、ジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤などの加硫促進剤を単独、または適宜混合して使用しても良い。
【0032】
老化防止剤としては、ゴム用として通常用いられる、芳香族アミン系老化防止剤、アミン-ケトン系老化防止剤、モノフェノール系老化防止剤、ビスフェノール系老化防止剤、ポリフェノール系老化防止剤、ジチオカルバミン酸塩系老化防止剤、チオウレア系老化防止剤などの老化防止剤を単独、または適宜混合して使用しても良い。
【0033】
本発明に係る再生ゴム含有ゴム組成物に関し、再生ゴムおよび上記各成分の配合方法は特に限定されず、硫黄および加硫促進剤などの加硫系成分以外の配合成分を予め混練してマスターバッチとし、残りの成分を添加してさらに混練する方法、各成分を任意の順序で添加し混練する方法、全成分を同時に添加して混練する方法などのいずれでもよい。
【0034】
本発明に係る再生ゴム含有ゴム組成物は、加硫ゴムとしたときに破壊特性や耐疲労性に優れる。このため、空気入りタイヤ用ゴム組成物として、特には空気入りタイヤのトレッド用ゴム組成物として有用である。
【実施例0035】
以下に、この発明の実施例を記載してより具体的に説明する。
【0036】
(再生ゴムの製造例)
トラックバス用タイヤからタイヤトレッド部材を削り取り、クラッカーロールを使用して最大径500μmまで微細化した。さらに気流分流機を使用して、最大径150μmまで微細化したゴム粉を製造した。得られたゴム粉を微細化する事で、ゴム粉の比表面積が大きくなり、脱硫効果が大きくなる。微粒径化処理した粉ゴムを、それぞれオートクレーブに投入し、再生剤を加えてスチーム雰囲気下、温度約200℃、3~6時間脱硫反応を行うことにより(オイルパン法処理)、再生ゴムA~Cを製造した。さらに、市販品である再生ゴムD(アサヒ再生ゴム社製、商品名「高強力再生ゴム」)、再生ゴムE(村岡ゴム社製、商品名「タイヤリク白線印」)、再生ゴムF~H(TBトレッド部材をクラッカーロールにて粉砕し、破砕したゴム粉を気流分級により分級処理したゴム粉)を用意した。各再生ゴムを構成するポリマー比率を表1に示す。表1中、「NR」は天然ゴム、「BR」はブタジエンゴムを意味する。また、各再生ゴムが含有するカーボンブラックのBET法に基づく比表面積(m/g)、各再生ゴムのゲル分率(%)、各再生ゴムの平均粒径(d50、d70およびd90)を表1に示す。それぞれの測定方法を以下に示す。
【0037】
<各再生ゴムが含有するカーボンブラックのBET法に基づく比表面積(m/g)の測定方法>
サンプル(約1.5g)の入ったるつぼをカーボンブラック回収炉に入れた。空気流量を4.5 L/min、窒素流量を5L/minに設定した。最初の20分は20L/minで置換した。カーボンブラック回収炉の温度を700℃まで昇温させた。700℃で30分保持した。カーボンブラック回収炉の温度が下がってから、サンプルを取り出した。回収したカーボンブラックを窒素置換したセルに試料を約0.15g量り取った。300℃、1時間真空加熱乾燥し、不純物を除去した。室温まで放冷し、窒素を導入して復圧した。下記の測定条件で窒素吸着量を測定した。
(測定条件)
測定圧力範囲0.01~0.75
析圧力範囲BET5 0.06~0.2
【0038】
<各再生ゴムのゲル分率(%)>
サンプル(1×1×5mm以下程度)0.2gを用意した。サンプルをトルエン40mlに、24時間浸漬させた。その後、トルエンを入れ替え、さらに24時間浸漬させた。その後、トルエンを除去するために、40℃で乾燥後、重量を測定した。ゲル分率(%)は、以下の式に基づき算出した。
(カーボンゲル(乾燥後重量))(%)=(カーボンゲル重量/測定前のサンプル重量)×100
【0039】
<各再生ゴムの平均粒径(d50、d70およびd90)>
島津製作所製SALD2300を使用して、ゴム粉の粒度分布測定を行った。レーザー回折・散乱法は、粒子群にレーザー光を照射し、そこから発せられる回折・散乱光の強度分布パターンから計算によって粒度分布を求める方法である。粒子にレーザビームを照射すると、その粒子からは前後・上下・左右と様々な方向に光が発せられる。これが「回折・散乱光」と呼ばれる光である。回折散乱光の強さは、光が発せられる方向に一定の空間パターンを描く。これが「光強度分布パターン」である。「光強度分布パターン」は、粒子の大きさによって様々な形に変化することが知られている。光強度分布パターンを検出することにより、各再生ゴムの平均粒径(d50、d70およびd90)を測定した。
【0040】
【表1】
【0041】
(再生ゴム含有ゴム組成物の調製)
再生ゴムを除くゴム成分(天然ゴム)100質量部に対して、表2~4の配合処方に従って各成分を配合し、ダイハン社製ラボミキサーを用いて混練し、実施例1~4および比較例1~4に係る再生ゴム含有ゴム組成物を製造した。なお、例えば実施例1-(1)は、再生ゴムAを含有する再生ゴム含有ゴム組成物であって、再生ゴムAをゴム成分(天然ゴム)100質量部に対して1質量部含有することを意味し、また例えば実施例4-(5)は、再生ゴムDを含有する再生ゴム含有ゴム組成物であって、再生ゴムDをゴム成分(天然ゴム)100質量部に対して5質量部含有することを意味する。
【0042】
表2~4中の各成分の詳細は、以下のとおりである。
・天然ゴム:STR20
・カーボンブラック(HAF):東海カーボン社製「シースト3」
・ステアリン酸:花王社製「ルナックS-20」
・亜鉛華:三井金属鉱業社製「亜鉛華1種」
・硫黄:細井化学工業社製「ゴム用粉末硫黄150メッシュ」
・加硫促進剤:大内新興化学工業社製「ノクセラーNS」
【0043】
次いで、得られた再生ゴム含有ゴム組成物について、150℃、25分間の条件で加硫して所定形状の試験片を作製し、得られた試験片を用いて以下の試験を行った。
【0044】
<破断強度>
JIS3号ダンベルを使用して作製したサンプルについて、JIS K6251に準拠して、破断強度(MPa)を測定した。表2~表4において、ゴム成分(天然ゴム)100質量部に対して再生ゴムEを1、3、および5質量部含有する比較例1-(1)、比較例1-(3)、および比較例1-(5)の破断強度を100として指数評価を示す。数値が大きいほど、破断強度が高く、加硫ゴムとしたときに破壊特性に優れることを示す。
【0045】
<破断伸び>
JIS3号ダンベルを使用して作製したサンプルについて、JIS K6251に準拠して、破断伸び(%)を測定した。表2~表4において、ゴム成分(天然ゴム)100質量部に対して再生ゴムEを1、3、および5質量部含有する比較例1-(1)、比較例1-(3)、および比較例1-(5)の破断伸びを100として指数評価を示す。数値が大きいほど、破断伸びが高く、加硫ゴムとしたときに破壊特性に優れることを示す。
【0046】
<耐疲労性>
JIS K6260に準拠して、De Mattia試験機による、加硫ゴムに繰り返し伸長(定ひずみ)を与えて、切断(亀裂発生)までの伸長回数を測定し、耐疲労性(屈曲亀裂発生性)を評価した。表2~表4において、ゴム成分(天然ゴム)100質量部に対して再生ゴムEを1、3、および5質量部含有する比較例1-(1)、比較例1-(3)、および比較例1-(5)の引裂強さを100として指数評価を示す。数値が大きいほど、破断伸びが高く、加硫ゴムとしたときに耐疲労性に優れることを示す。
【0047】
【表2】
【0048】
表2の結果から、実施例1-(1)~実施例4-(1)に係る再生ゴム含有ゴム組成物の加硫ゴムは、破断強度および破断伸びが高く、破壊特性に優れるとともに、耐疲労性にも優れることがわかる。特に、平均粒径d70およびd90が小さい再生ゴムを含有する実施例1-(1)~実施例3-(1)に係る再生ゴム含有ゴム組成物の加硫ゴムは、破断強度および破断伸びがより高く、破壊特性に優れるとともに、さらに耐疲労性にもより優れることがわかる。
【0049】
【表3】
【0050】
表3の結果から、実施例1-(3)~実施例4-(3)に係る再生ゴム含有ゴム組成物の加硫ゴムは、ゴム成分の全量を100質量部としたとき、再生ゴムの含有量が3質量部と多くなっても、破断強度および破断伸びが高く、破壊特性に優れるとともに、耐疲労性にも優れることがわかる。特に、平均粒径d70およびd90が小さい再生ゴムを含有する実施例1-(3)~実施例3-(3)に係る再生ゴム含有ゴム組成物の加硫ゴムは、破断強度および破断伸びがより高く、破壊特性に優れるとともに、さらに耐疲労性にもより優れることがわかる。
【0051】
【表4】
【0052】
表4の結果から、実施例1-(5)~実施例4-(5)に係る再生ゴム含有ゴム組成物の加硫ゴムは、ゴム成分の全量を100質量部としたとき、再生ゴムの含有量が5質量部とより多くなっても、破断強度および破断伸びが高く、破壊特性に優れるとともに、耐疲労性にも優れることがわかる。特に、平均粒径d70およびd90が小さい再生ゴムを含有する実施例1-(5)~実施例3-(5)に係る再生ゴム含有ゴム組成物の加硫ゴムは、破断強度および破断伸びがより高く、破壊特性に優れるとともに、さらに耐疲労性にもより優れることがわかる。