(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025015139
(43)【公開日】2025-01-30
(54)【発明の名称】ボール解析システム、表示方法およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
A63B 69/36 20060101AFI20250123BHJP
A63B 43/00 20060101ALI20250123BHJP
A63B 71/06 20060101ALI20250123BHJP
G01P 15/00 20060101ALI20250123BHJP
【FI】
A63B69/36 504G
A63B43/00 E
A63B71/06 U
G01P15/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023118318
(22)【出願日】2023-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】523275639
【氏名又は名称】WHDCアクロディア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】弁理士法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小野村 崇
(72)【発明者】
【氏名】谷川 輝充
(72)【発明者】
【氏名】窪田 圭一
(57)【要約】
【課題】ゴルフボールの打撃に関するデータを取得する。
【解決手段】ボール解析システムでは、ユーザー端末20のプロセッサが、ゴルフボールの打撃に関するデータである打撃データ(スキッド、スピンおよびインパクトのデータ)を、タッチパネル28に表示する。したがって、ユーザー端末20のユーザーは、パッティングなどのゴルフボールに対する打撃の客観的なデータを、容易に認識することができる。このため、ユーザーは、感覚に頼ることなく、客観的なデータに基づいて、ゴルフの練習を行うことができる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
打撃されたゴルフボールの動きに関するデータであるセンサーデータを生成するためのセンサー部を内蔵するゴルフボールと、
前記センサーデータに基づいて作成された前記ゴルフボールの打撃に関するデータである打撃データを表示画面に表示する端末制御部を有する端末装置と、を備えている、
ボール解析システム。
【請求項2】
前記打撃データは、スキッド、スピンおよびインパクトのいずれかのデータを含む、
請求項1に記載のボール解析システム。
【請求項3】
前記センサー部は、三軸加速度センサー、三軸ジャイロセンサーおよび三軸地磁気センサーを有している、
請求項2に記載のボール解析システム。
【請求項4】
前記端末制御部は、前記センサーデータに基づいて前記打撃データを作成するように構成されている、
請求項1に記載のボール解析システム。
【請求項5】
前記ゴルフボールは、前記センサーデータに基づいて前記打撃データを作成するボール制御部をさらに備えている、
請求項1に記載のボール解析システム。
【請求項6】
前記端末制御部は、前記ゴルフボールに対する複数回の打撃に関する前記打撃データを、前記表示画面に同時に表示するように構成されている、
請求項1に記載のボール解析システム。
【請求項7】
前記端末制御部は、前記打撃データに基づいてアドバイス情報を作成して、前記表示画面に表示するように構成されている、
請求項1に記載のボール解析システム。
【請求項8】
管理ユニットをさらに含み、
前記端末装置は、前記管理ユニットと通信するための端末通信部を備えており、前記端末制御部は、この端末通信部を介して、前記打撃データを前記管理ユニットに送信するとともに、前記管理ユニットから送信された情報を受信するように構成されており、
前記管理ユニットは、
前記端末装置と通信するための管理通信部と、
前記管理通信部を介して前記打撃データを受信し、この前記打撃データに基づいてアドバイス情報を作成して、このアドバイス情報を前記管理通信部を介して前記端末装置に送信する管理制御部と、を備えている、
請求項1に記載のボール解析システム。
【請求項9】
ゴルフボールに内蔵されたセンサー部によって生成される、打撃された前記ゴルフボールの動きに関するデータであるセンサーデータを取得すること、
前記センサーデータに基づいて、前記ゴルフボールの打撃に関するデータである打撃データを作成すること、および、
前記打撃データを表示画面に表示すること、を含む、
表示方法。
【請求項10】
ゴルフボールに内蔵されたセンサー部によって生成される打撃された前記ゴルフボールの動きに関するデータであるセンサーデータに基づいて作成された、前記ゴルフボールの打撃に関するデータである打撃データを表示画面に表示することを、コンピュータに実施させるためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ボール解析システム、表示方法およびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、センサーを内蔵した野球ボールが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開2017/131133号 公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術は、主として野球ボールのピッチングに関するデータを取得する技術であり、ゴルフボールにも適用できるものではあるものの、ゴルフボールの打撃(パットおよびショット)に特有のデータを取得するまでには至っていない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様にかかるボール解析システム(本システム)は、打撃されたゴルフボールの動きに関するデータであるセンサーデータを生成するためのセンサー部を内蔵するゴルフボールと、前記センサーデータに基づいて作成された前記ゴルフボールの打撃に関するデータである打撃データを表示画面に表示する端末制御部を有する端末装置と、を備えている。
【0006】
本システムでは、端末装置の端末制御部が、ゴルフボールの打撃(パットあるいはショット)に関するデータである打撃データを表示画面に表示する。したがって、端末装置のユーザーは、パッティングなどのゴルフボールに対する打撃の客観的なデータを、容易に認識することができる。このため、ユーザーは、感覚に頼ることなく、客観的なデータに基づいて、ゴルフの練習を行うことができる。
【0007】
なお、本システムでは、打撃データは、スキッド、スピンおよびインパクトのいずれかのデータを含んでいてもよい。
【0008】
また、前記センサー部は、三軸加速度センサー、三軸ジャイロセンサーおよび三軸地磁気センサーを有していてもよい。これにより、スキッド、スピンおよびインパクトを導出するために有用なセンサーデータを、容易に取得することができる。
【0009】
なお、上記の打撃データは、センサーデータに基づいて、端末装置の端末制御部によって作成されてもよい。あるいは、ゴルフボールが、センサーデータに基づいて打撃データを作成するボール制御部を備え、このボール制御部によって打撃データが作成されてもよい。
【0010】
また、本システムでは、端末装置の端末制御部は、ゴルフボールに対する複数回の打撃に関する打撃データを、表示画面に同時に表示するように構成されていてもよい。これにより、ユーザーは、たとえば、フォームを変更しながら複数回の打撃を実施することで、フォーム変更の成果を容易に把握することができる。
【0011】
また、端末装置の端末制御部は、打撃データに基づいてアドバイス情報を作成して、表示画面に表示するように構成されていてもよい。これにより、ユーザーは、アドバイス情報を参考にして、実際の打撃を実施することができる。
【0012】
また、本システムは、このような打撃に関するアドバイス情報を作成する管理ユニットを有していてもよい。この場合、本システムは、管理ユニットをさらに含み、前記端末装置は、前記管理ユニットと通信するための端末通信部を備えており、前記端末制御部は、この端末通信部を介して、前記打撃データを前記管理ユニットに送信するとともに、前記管理ユニットから送信された情報を受信するように構成されている。そして、前記管理ユニットは、前記端末装置と通信するための管理通信部と、前記管理通信部を介して前記打撃データを受信し、この前記打撃データに基づいてアドバイス情報を作成して、このアドバイス情報を前記管理通信部を介して前記端末装置に送信する管理制御部と、を備えている。この場合においても、ユーザーは、アドバイス情報を参考にして、実際の打撃を実施することができる。
【0013】
また、本開示の一態様にかかる表示方法(本表示方法)は、ゴルフボールに内蔵されたセンサー部によって生成される、打撃された前記ゴルフボールの動きに関するデータであるセンサーデータを取得すること、前記センサーデータに基づいて、前記ゴルフボールの打撃に関するデータである打撃データを作成すること、および、前記打撃データを表示画面に表示すること、を含む。本表示方法によれば、端末装置のユーザーは、客観的なデータである打撃データに基づいて、ゴルフの練習を行うことができる。
【0014】
また、本開示の一態様にかかるコンピュータプログラムは、ゴルフボールに内蔵されたセンサー部によって生成される打撃された前記ゴルフボールの動きに関するデータであるセンサーデータに基づいて作成された、前記ゴルフボールの打撃に関するデータである打撃データを表示画面に表示することを、コンピュータに実施させる。
【0015】
このコンピュータプログラムは、汎用のユーザー端末を、本システムの端末装置として機能させるためのプログラムである。これにより、ユーザーは、専用の端末装置に代えて、自分の所有するスマートホンなどのユーザー端末を、本システムの端末装置として利用することが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本開示の一態様によれば、端末装置のユーザーは、パッティングなどのゴルフボールに対する打撃の客観的なデータを、容易に認識することができる。このため、ユーザーは、感覚に頼ることなく、客観的なデータに基づいて、ゴルフの練習を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】ボール解析システムの構成例を示す説明図である。
【
図2】ゴルフボールの構成例を示すブロック図である。
【
図3】ユーザー端末の構成例を示すブロック図である。
【
図4】ボール解析システムにおける表示方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1に示すボール解析システム1は、ゴルフボールの打撃(パットあるいはショット)に関するシステムであり、たとえば、ユーザーによる打撃の練習のために好適に用いられる。具体的には、ボール解析システム1は、ユーザーによってゴルフボールが打撃された際に、ゴルフボールの打撃に関するデータ(打撃データ)を作成および表示するために用いられる。
【0019】
図1に示すように、ボール解析システム1は、ゴルフボール10、ユーザー端末(端末装置)20および管理ユニット60を含んでいる。ボール解析システム1では、ゴルフボール10に内蔵されたセンサー部(後述)によって、ユーザーによって打撃されたゴルフボールの動きに関するデータであるセンサーデータが生成される。このセンサーデータが、ゴルフボール10あるいはユーザー端末20によって解析されて、打撃データが作成される。
【0020】
なお、ゴルフボール10の動きに関するセンサーデータとは、本実施形態では、打撃データを作成するために有用なデータ(たとえば、ゴルフボール10の加速度、角速度および地磁気に関するデータ)である。そして、打撃データは、たとえば、打撃されたゴルフボール10に関するスキッド、スピンおよびインパクトのデータである。
【0021】
ここで、スキッドは、ゴルフボール10が回転せずに滑っている時間である。また、スピンは、たとえば、ゴルフボール10の回転方向(順・逆回転、スライス、フック、右寄り、左寄り)のデータである。さらに、インパクトは、打撃の強さのデータである。
【0022】
ユーザー端末20は、たとえばスマートホンあるいはタブレット型コンピュータであり、通常、ユーザーに携帯される。ユーザー端末20の構成については後述する。また、ユーザー端末20は、インターネットあるいはイントラネットなどのコンピュータネットワークNを介して、管理ユニット60と接続されている。
【0023】
図2は、ゴルフボール10の構成例を示す説明図である。ゴルフボール10の内部には、センサーを含むハードウェア50が搭載されている。ハードウェア50は、通常のゴルフボールとほぼ同様の全体重量およびバランスをゴルフボール10が有するように、ゴルフボール10の内部に配置されている。このため、ゴルフボール10では、ハードウェア50を含んでいることによる芯ずれを抑制することができる。したがって、ユーザーは、ゴルフボール10を、通常のゴルフボールと同様の感覚で取り扱う(打つ)ことが可能である。
【0024】
なお、ハードウェア50は、たとえば、樹脂製のカプセルに内蔵された状態で、ゴルフボール10の内部のコアに配置されていてもよい。あるいは、ハードウェア50は、モールド樹脂により、ゴルフボール10の内部のコアと一体化されていてもよい。
【0025】
ハードウェア50は、センサーデータを生成するためのセンサー部51、バッテリー52、電源スイッチ(SW)53、ユーザー端末20との通信に用いられる短距離無線通信ユニット(BLE)54、制御部としてのボール制御部55、およびメモリ56を含む。センサー部51は、ゴルフボール10の動きに関するデータであるセンサーデータを生成(取得)するために用いられる。センサー部51は、起動用加速度センサー51a、三軸加速度センサー51b、三軸ジャイロセンサー51c、および三軸地磁気センサー51dを含む。このように、ゴルフボール10は、センサーデータを生成するためのセンサー部51を内蔵している。
【0026】
センサー部51の起動用加速度センサー51aと電源スイッチ53とは、起動回路57を構成している。また、三軸加速度センサー51b、三軸ジャイロセンサー51c、三軸地磁気センサー51d、短距離無線通信ユニット54、ボール制御部55およびメモリ56は、メインシステム58を構成している。
【0027】
バッテリー52は、ハードウェア50の電源である。バッテリー52は、使い捨てタイプの一次電池(たとえばコイン電池)であってもよいし、無線充電されることの可能な二次電池であってもよい。
【0028】
起動用加速度センサー51aは、たとえば、常時、バッテリー52から電力供給を受けて、稼動した状態に維持されていてもよい。起動用加速度センサー51aは、ゴルフボール10の起動用の動きを検出するように構成されている。ゴルフボール10の起動用の動きは、たとえば自由落下である。この場合、ユーザーは、ゴルフボール10を起動するために、たとえば、ゴルフボール10を、2メートル程度投げ上げて自由落下させる。起動用加速度センサー51aは、この動きを検出すると、電源スイッチ53をオンとする。これにより、メインシステム58に、バッテリー52から電力が供給される。
【0029】
センサー部51の三軸加速度センサー51b、三軸ジャイロセンサー51cおよび三軸地磁気センサー51dは、それぞれ、ゴルフボール10に関する加速度、角速度および地磁気を計測する。
【0030】
短距離無線通信ユニット54は、たとえば、本実施形態では、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)を用いた通信ユニットである。短距離無線通信ユニット54は、ユーザー端末20の短距離無線通信ユニット(後述)とペアリングし、ゴルフボール10とユーザー端末20との通信を確立するために用いられる。
【0031】
ボール制御部55は、ユーザー端末20から送信されるコマンドにしたがって、種々の制御を実施する。たとえば、ボール制御部55は、センサー部51の三軸加速度センサー51b、三軸ジャイロセンサー51cおよび三軸地磁気センサー51dを制御して、ゴルフボール10に関する加速度、角速度および地磁気を計測する。
さらに、ボール制御部55は、これらのセンサー51b~51dによる計測によって得られる加速度値、角速度値および地磁気値を、たとえば、数十~数百Hzの高周波数でサンプリングする。これにより、ボール制御部55は、ゴルフボール10の動きに関するデータであるセンサーデータとしての加速度データ、角速度データ(ジャイロデータ)および地磁気データを取得する。
【0032】
ボール制御部55は、取得されたセンサーデータを、メモリ56に格納する。また、ボール制御部55は、センサーデータを解析する。これにより、ボール制御部55は、センサーデータに基づいて、ゴルフボールの打撃に関するデータである打撃データを作成することができる。
【0033】
上述したように、打撃データは、たとえば、スキッド、スピンおよびインパクトのデータを含む。データ解析部522は、加速度データ、角速度データおよび地磁気データに基づいて、これらスキッド、スピンおよびインパクトのデータを作成する。
【0034】
たとえば、ボール制御部55は、インパクトのデータを、加速度データに基づいて作成する。また、ボール制御部55は、スピンのデータを、加速度データ、角速度データおよび地磁気データ(たとえば地磁気データの振幅数)を複合的に考慮して算出する。
【0035】
そして、ボール制御部55は、打撃データを、短距離無線通信ユニット54を介してユーザー端末20に送信することが可能である。
【0036】
図3は、ユーザー端末20の構成例を示す説明図である。ユーザー端末20は、ゴルフボール10と通信するための短距離無線通信ユニット21、管理ユニット60と通信するための端末通信部22、ユーザー端末20の各部材を制御するプロセッサ23、記憶部であるメモリ25、および、タッチパネル28などを含む入出力装置26を含む。
【0037】
入出力装置26は、静止画あるいは動画を撮影するためのカメラ27、画像を表示可能なタッチパネル28、および、ユーザーへの音声表示を実施するためのスピーカ29を含んでいる。タッチパネル28は、画像を表示するための表示画面として機能するとともに、ユーザーの指示を受け付ける入力部としても機能する。
【0038】
短距離無線通信ユニット21は、たとえば、本実施形態では、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)を用いた通信ユニットである。短距離無線通信ユニット21は、ゴルフボール10の短距離無線通信ユニット54とペアリングし、ゴルフボール10とユーザー端末20との通信を確立するために用いられる。短距離無線通信ユニット21は、たとえば、ゴルフボール10から送信される打撃データを受信することが可能である。
【0039】
端末通信部22は、管理ユニット60と通信するためのものである。すなわち、端末通信部22は、コンピュータネットワークNを介して、管理ユニット60との間で、種々のデータ(たとえば、ゴルフボール10から送信された打撃データ)を送受信することが可能なように構成されている。
【0040】
メモリ25は、RAMやSDカードなどからなる非一過性の記録媒体である。メモリ25は、たとえば、コンピュータネットワークNを介してダウンロードされたアプリケーションプログラムAPなどの、プロセッサ23の処理に使用されるプログラムを格納している。
【0041】
プロセッサ23は、主に、アプリケーションプログラムAP(アプリケーションプログラムAPに含まれる命令)にしたがって、種々の機能を獲得する。たとえば、プロセッサ23は、アプリケーションプログラムAPを読み出すことにより、以下に示すユーザー端末20の動作を制御する端末制御部としての機能を獲得する。
【0042】
より詳細には、プロセッサ23は、ゴルフボール10(短距離無線通信ユニット54)とユーザー端末20(短距離無線通信ユニット21)とをペアリングする。
【0043】
また、プロセッサ23は、センサーデータに基づいて作成されたゴルフボール10の打撃に関するデータである打撃データを、表示画面であるタッチパネル28に表示する。すなわち、プロセッサ23は、ゴルフボール10から送信された打撃データであるゴルフボール10のスキッド、スピンおよびインパクトのデータを、タッチパネル28を介してユーザーに表示する。
【0044】
ここで、ボール解析システム1における打撃データの表示動作の例としての、本実施形態にかかる表示方法を示す。以下では、ボール解析システム1を用いて、ゴルフボール10のパッティングに関する打撃データを作成および表示する例について説明する。
【0045】
図4に示すように、まず、ユーザー端末20のユーザーの指示に基づいて、ユーザー端末20のプロセッサ23が、メモリ25からアプリケーションプログラムAPを読み出す(S1)。そして、プロセッサ23が、ゴルフボール10(短距離無線通信ユニット54)とユーザー端末20(短距離無線通信ユニット21)とをペアリングする(S2)。
【0046】
また、プロセッサ23は、
図5に示すようなデータ表示画面をタッチパネル28に表示する。この
図5に示すように、データ表示画面は、打撃データ表示欄101、目標距離設定欄111、残り回数表示欄112、計測開始ボタン113および計測再開ボタン114を含んでいる。
【0047】
打撃データ表示欄101は、スキッド、スピンおよびインパクトのデータを表示するためのものである。本実施形態では、ユーザーは、打撃データ表示欄101に表示する打撃データの回数(目標回数)を、任意に設定することが可能である。
図5に示す例では、打撃データ表示欄101は、5回の打撃に関する打撃データを表示するように設定されている。このように、本実施形態では、プロセッサ23は、ゴルフボール10に対する複数回の打撃に関する打撃データを、タッチパネル28に同時に表示するように構成されている。
【0048】
目標距離設定欄111は、パッティングの距離(ボールからカップまでの距離)を設定するためのものである。たとえば、ユーザーが目標距離設定欄111をタッチすることにより、図示しないテンキーが表示されて、目標距離を設定することが可能となる。残り回数表示欄112には、目標回数までの残りの打撃回数が表示される。
【0049】
計測開始ボタン113は、計測の開始をプロセッサ23に対して指示するためのボタンであり、計測再開ボタン114は、計測の再開をプロセッサ23に対して指示するためのボタンである。
【0050】
ユーザーは、任意の位置にゴルフボール10をセットした後、計測開始ボタン113にタッチする。この操作により、ユーザー端末20からペアリングされているゴルフボール10に対し、センサーデータの取得を開始するコマンドが送信される。そして、ユーザーがゴルフボール10を打撃する(パッティングする)ことにより(S3)、ゴルフボール10のボール制御部55が、センサー部51によって、打撃されたゴルフボールの動きに関するデータであるセンサーデータを生成する(S4)。すなわち、ボール制御部55が、ゴルフボール10に内蔵されたセンサー部51によって生成される、打撃されたゴルフボール10の動きに関するデータであるセンサーデータを取得する。
【0051】
そして、ボール制御部55が、センサーデータに基づいて、この打撃に関する打撃データとしてスキッド、スピンおよびインパクトのデータを作成して(S5)、ユーザー端末20に送信する(S6)。
【0052】
ユーザー端末20では、プロセッサ23が、ゴルフボール10から送信された打撃データを、1回目の打撃データとしてタッチパネル28に表示する(S7)。
図5に示す例では、ゴルフボール10が回転せずに滑っている時間であるスキッドのデータが、ミリ秒(ms)を単位として示されている。また、スピンのデータとして、ゴルフボール10の回転方向(順回転(Forwd)あるいは逆回転(Back))が示されている。さらに、インパクトのデータが、小数点以下1桁までの数値で示されている。
【0053】
次に、ユーザーは、打撃(パッティング)を再開するか否かを選択する(S8)。ユーザーは、打撃を再開する場合、計測再開ボタン114にタッチする。これにより、処理がS3に戻り、ユーザーの打撃に応じて、打撃データが作成されて、2回目の打撃データとしてタッチパネル28に表示される(S3~S7)。
このようにして、ユーザーは、5回にわたって打撃を繰り返し、5回分の打撃データをタッチパネル28に表示することができる。
【0054】
一方、ユーザーは、打撃を終了する場合、終了ボタンを兼ねている計測開始ボタン113にタッチする。これにより、打撃データの表示動作が終了する。
【0055】
以上のように、本実施形態にかかるボール解析システム1では、ユーザー端末20のプロセッサ23が、ゴルフボール10の打撃に関するデータである打撃データをタッチパネル28に表示する。したがって、ユーザー端末20のユーザーは、パッティングなどのゴルフボール10に対する打撃の客観的なデータ(数値等)を、容易に認識することができる。このため、ユーザーは、感覚に頼ることなく、客観的なデータに基づいて、ゴルフの練習を行うことができる。
【0056】
また、ユーザーは、スキッド、スピンおよびインパクトのデータに基づいて、打撃時の癖(クセ;たとえば、パッティングの際のスライス癖やフック癖)なども見つけることができるので、容易に打撃フォームを矯正することが容易となる。
【0057】
また、本実施形態では、ユーザー端末20のプロセッサ23は、ゴルフボール10に対する複数回の打撃に関する打撃データを、タッチパネル28に同時に表示することができる。このため、ユーザーは、たとえば、フォームを変更しながら複数回の打撃を実施することで、フォーム変更の成果を容易に把握することができる。
また、複数回の打撃を実施してインパクトを測定することは、打撃の強さと距離感との関係を把握する練習、および、打撃の強さを安定させる練習のために、非常に有用である。
【0058】
また、本実施形態では、ゴルフボール10のセンサー部51は、三軸加速度センサー51b、三軸ジャイロセンサー51c、および三軸地磁気センサー51dを有している。これにより、スキッド、スピンおよびインパクトを導出するために有用なセンサーデータを、容易に取得することができる。
【0059】
なお、上記した打撃データの表示動作の例では、ゴルフボール10のパッティングに関する打撃データが作成および表示されている。これに関し、本実施形態にかかるボール解析システム1では、パッティングに限らず、ゴルフボール10に対する全ての打撃に関してセンサーデータおよび打撃データを生成して、タッチパネル28に表示することが可能である。
【0060】
また、ユーザー端末20のプロセッサ23は、ゴルフボール10から送信された打撃データに基づいてアドバイス情報を作成して、タッチパネル33に表示するように構成されていてもよい。このアドバイス情報は、たとえば、目標距離等に基づいて作成される、ユーザーの打撃データにおける改善点、および、理想的な打撃データの値を含む。これにより、ユーザーは、アドバイス情報を参考にして、実際の打撃を実施することができる。
【0061】
また、このような打撃に関するアドバイスは、管理ユニット60によって作成されてもよい。
図1に示すように、管理ユニット60は、ユーザー端末20と通信するための管理通信部61、および、管理制御部63を有している。
【0062】
この構成では、ユーザー端末20のプロセッサ23は、端末通信部22を介して、打撃データを管理ユニット60に送信する。管理ユニット60では、管理制御部63が、管理通信部61を介して打撃データを受信する。そして、管理制御部63が、打撃データに基づいて上述したアドバイス情報を生成して、このアドバイス情報を管理通信部61を介してユーザー端末20に送信する
【0063】
そして、ユーザー端末20では、プロセッサ23が、管理ユニット60から送信されたアドバイス情報を、タッチパネル33に表示する。この場合においても、ユーザー端末20のユーザーは、アドバイス情報を参考にして、実際の打撃を実施することができる。なお、この場合、アドバイス情報は、管理ユニット60の管理者(アドバイザー)によって作成されてもよい。
【0064】
また、本実施形態では、ゴルフボール10に搭載されたボール制御部55が、センサーデータを解析することにより、打撃データを作成している。しかしながら、打撃データは、ユーザー端末20のプロセッサ23によって作成されてもよい。この場合、ゴルフボール10からユーザー端末20に向けて、打撃データに代えてセンサーデータが送信される。すなわち、ゴルフボール10のボール制御部55が、メモリ56に格納されたセンサーデータを、短距離無線通信ユニット54を介してユーザー端末20に転送する。そして、ユーザー端末20のプロセッサ23が、センサーデータに基づいて打撃データを作成する。
【0065】
この構成では、ゴルフボール10のボール制御部55が打撃データを作成しないため、ボール制御部55の構成を簡略化することができる。このため、ボール制御部55を含むハードウェア50を小型化することが可能となるため、ゴルフボール10の感触を、通常のゴルフボールに近づけることが容易となる。また、ハードウェア50の破損を抑制することも容易となる。
【0066】
また、ボール制御部55がセンサーデータをユーザー端末20に転送する場合、ボール制御部55は、メモリ56にセンサーデータがあるときには、短距離無線通信ユニット54の動作周波数を上げてセンサーデータを高速で転送し、メモリ56にセンサーデータがない場合には短距離無線通信ユニット54の動作周波数を下げて、電力消費を抑えてもよい。
【0067】
また、ゴルフボール10のボール制御部55は、センサーデータを、一時的にメモリ56に格納することなく、ユーザー端末20に転送してもよい。ただし、メモリ56に一時的にセンサーデータを記録することにより、通信途絶などの自体になっても、センサーデータが消失することを抑制することができる。
【0068】
なお、
図2に示したセンサー部51の構成は一例である。センサー部51として、センサー機能をまとめて1チップ化した9軸センサーが採用されてもよい。
【0069】
また、本実施形態では、打撃データとして、スキッド、スピンおよびインパクトのデータが作成されてタッチパネル28に表示されている。これに関し、タッチパネル28に表示される打撃データは、スキッド、スピンおよびインパクトのいずれかのデータでよい。
【0070】
また、ボール解析システム1は、管理ユニット60を備えていなくてもよい。すなわち、ボール解析システム1は、ゴルフボール10およびユーザー端末20を備えていればよい。
【0071】
また、本実施形態のユーザー端末20では、メモリ25がアプリケーションプログラムAPを備えている。そして、プロセッサ23が、このアプリケーションプログラムAPを読み出して、上述したプロセッサ23の機能(すなわち、端末制御部としての機能)を得ている。すなわち、このアプリケーションプログラムAPは、たとえば、ゴルフボール10に内蔵されたセンサー部51によって生成される、打撃されたゴルフボール10の動きに関するデータであるセンサーデータを取得すること、および、センサーデータに基づいて作成された、ゴルフボール10の打撃に関するデータである打撃データを表示画面であるタッチパネル28に表示することを、コンピュータとしてのプロセッサ23に実施させるためのコンピュータプログラムである。
【0072】
このアプリケーションプログラムAPは、スマートホンなどの汎用のユーザー端末を、ボール解析システム1の端末装置として機能させるためのプログラムである。これにより、ユーザーは、専用の端末装置に代えて、自分の所有するスマートホンなどのユーザー端末20を、ボール解析システム1の端末装置として利用することが可能となる。
【0073】
また、ユーザー端末20は、ボール解析システム1の専用の端末装置等であってもよい。この場合、ユーザー端末20は、アプリケーションプログラムAPを読み込んで機能するプロセッサ23に代えて、ハードウェアにより構成される端末制御部を備えてもよい。
【符号の説明】
【0074】
1:ボール解析システム、10:ゴルフボール、
20:ユーザー端末、21:短距離無線通信ユニット、22:端末通信部、
23:プロセッサ、25:メモリ、26:入出力装置、27:カメラ、
28:タッチパネル、29:スピーカ、33:タッチパネル、
50:ハードウェア、51:センサー部、51a:起動用加速度センサー、
51b:三軸加速度センサー、51c:三軸ジャイロセンサー、
51d:三軸地磁気センサー、52:バッテリー、
53:電源スイッチ、54:短距離無線通信ユニット、
55:ボール制御部、56:メモリ、57:起動回路、58:メインシステム、
60:管理ユニット、61:管理通信部、63:管理制御部、
101:打撃データ表示欄、111:目標距離設定欄、112:回数表示欄、
113:計測開始ボタン、114:計測再開ボタン、522:データ解析部、
AP:アプリケーションプログラム、N:コンピュータネットワーク