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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025151409
(43)【公開日】2025-10-09
(54)【発明の名称】車両
(51)【国際特許分類】
   B60W 50/10 20120101AFI20251002BHJP
   B60W 30/12 20200101ALI20251002BHJP
   B62D 6/00 20060101ALI20251002BHJP
   B62D 119/00 20060101ALN20251002BHJP
【FI】
B60W50/10
B60W30/12
B62D6/00
B62D119:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024052813
(22)【出願日】2024-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】大橋 勇斗
【テーマコード(参考)】
3D232
3D241
【Fターム(参考)】
3D232CC20
3D232DA15
3D232DB11
3D232DC24
3D232EC34
3D232GG01
3D241BA11
3D241BA30
3D241BA51
3D241DA58B
(57)【要約】
【課題】車両の走行状態/運転者の保舵状態の変化に対応した、精度のよいオーバーライド判定を行う。
【解決手段】車両1は、車両1の運転者のステアリングの保舵状態を検出する保舵状態検出部10と、車両1の走行状態を検出する走行状態検出部20と、ステアリングのトーションバートルク値を検出するトルク検出部30と、保舵状態と走行状態とに基づいて設定されたトーションバートルク閾値と、トーションバートルク値とに基づいてオーバーライド判定を行う制御部50と、を備えている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の運転者のステアリングの保舵状態を検出する保舵状態検出部と、
前記車両の走行状態を検出する走行状態検出部と、
前記ステアリングのトーションバートルク値を検出するトルク検出部と、
前記保舵状態と前記走行状態とに基づいて設定されたトーションバートルク閾値と、前記トーションバートルク値とに基づいてオーバーライド判定を行う制御部と、
を備えることを特徴とする車両。
【請求項2】
前記保舵状態検出部は、前記運転者の前記保舵状態が片手保舵/両手保舵/無保舵のいずれであるかを検出することを特徴とする請求項1に記載の車両。
【請求項3】
前記走行状態検出部は、前記車両の前記走行状態がカーブ走行中/直線道路走行中のいずれであるかを検出することを特徴とする請求項1または2に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両自体が車両周囲の情報を把握し、運転者に代わって車両を制御するADAS(Advanced DriverAssistance Systems)機能を備えた車両が実用化されている。
【0003】
例えば、車両が運転者に代わってステアリング操舵を行うADAS機能としては、車両が走行中の車両通行帯から逸脱しないようにステアリングを制御して、車両の走行位置を車両通行帯の中央付近に維持するLKS(Lane Keeping System)が挙げられる。
この種の技術として、車両がステアリングを操舵して走行位置を制御しているときには、トーションバートルク値を監視し、トーションバートルク値が所定の閾値を超えた場合には、運転者が強制介入して、右左折や車線変更等のステアリング操作が行われたと判定し(オーバーライド判定)、ステアリング制御をオフして、運転者のステアリング操作を優先させる技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-159781号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
車両が運転者に代わってステアリング操舵を行うADAS機能の実行中、モータによってステアリングシャフトが回転される。
このとき、運転者がステアリングホイールを保持すると、ステアリングシャフトにねじれが発生する。
カーブ走行中は、直線道路走行中に比べてモータの駆動力が大きくなり、ステアリングシャフトに発生するねじれも大きくなる。
したがって、カーブ走行中のトーションバートルク値は、直線道路走行中のトーションバートルク値に比べて大きな値となる。
また、トーションバートルク値が閾値を超えたか否かによって、運転者の強制介入(オーバーライド)を判定する場合、運転者がステアリングホイールを操作したときの保舵状態(片手保舵/両手保舵)によって、片手あたりに必要な操舵力が異なる。
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1に記載の技術では、車両の走行状態/運転者の保舵状態によらず、トーションバートルク値が所定の閾値を超えた場合には、ステアリング制御をオフして、運転者のステアリング操作を優先させてしまうために、車両の走行状態/運転者の保舵状態によっては、運転者にオーバーライドする意思がないのにも拘らず、オーバーライド判定されてしまうという課題があった。
【0007】
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであって、車両の走行状態/運転者の保舵状態の変化に対応した、精度のよいオーバーライド判定を行う車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
形態1;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、車両の運転者のステアリングの保舵状態を検出する保舵状態検出部と、前記車両の走行状態を検出する走行状態検出部と、前記ステアリングのトーションバートルク値を検出するトルク検出部と、前記保舵状態と前記走行状態とに基づいて設定されたトーションバートルク閾値と、前記トーションバートルク値とに基づいてオーバーライド判定を行う制御部と、を備える車両を提案している。
【発明の効果】
【0009】
本発明の1またはそれ以上の実施形態によれば、車両の走行状態/運転者の保舵状態の変化に対応した、精度のよいオーバーライド判定を行うことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る車両の構成を示す図である。
図2】本発明の実施形態に係る車両のオーバーライド判定処理のフローを示した図である。
図3】本発明の実施形態に係る車両の制御部が設定するトーションバートルク閾値を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<実施形態>
図1から図3を用いて、本実施形態に係る車両1について説明する。
【0012】
<車両1の構成>
図1に示すように、本実施形態に係る車両1は、保舵状態検出部10と、走行状態検出部20と、トルク検出部30と、ステアリング駆動部40と、制御部50と、を含んで構成されている。
【0013】
保舵状態検出部10は、車両1の運転者のステアリングの保舵状態を検出する。
保舵状態検出部10は、運転者の保舵状態が、片手保舵/両手保舵/無保舵のいずれであるかを検出する。
具体的には、保舵状態検出部10は、例えば、ステアリングの少なくとも左右にそれぞれ配設された、タッチセンサや把持力センサ等のセンサ出力に基づいて、運転者のステアリングの保舵状態を検出し、その検出結果を後述する制御部50に送信する。
より具体的には、保舵状態検出部10は、左右いずれか一方のセンサ出力が所定の閾値より大きい場合には、運転者の保舵状態が「片手保舵」であると判定し、左右のセンサ出力が共に所定の閾値より大きい場合には、運転者の保舵状態が「両手保舵」であると判定する。
また、保舵状態検出部10は、左右のセンサ出力が共に所定の閾値より小さい場合には、運転者の保舵状態が「無保舵」であると判定する。
なお、保舵状態検出部10は、運転者のステアリングの保舵状態が、片手保舵/両手保舵/無保舵のいずれであるかを検出できればよいため、例えば、ドライバモニタリングシステムやドライブレコーダ等が撮像した運転者の画像に基づいて、運転者の保舵状態を検出してもよい。
【0014】
走行状態検出部20は、車両1の走行状態を検出する。
走行状態検出部20は、車両1の走行状態が、カーブ走行中/直線道路走行中のいずれであるかを検出する。
具体的には、走行状態検出部20は、例えば、車両1の周辺を撮像した画像やLiDAR(Light Detection And Ranging)による計測結果等に基づいて、現在走行中の道路の曲率を算出し、その曲率に基づいて車両1の走行状態がカーブ走行中/直線道路走行中のいずれであるかを検出し、その検出結果を後述する制御部50に送信する。
より具体的には、走行状態検出部20は、算出した曲率が所定の曲率より大きい場合には、車両1の走行状態が「カーブ走行中」であると判定し、算出した曲率が所定の曲率より小さい場合には、車両1の走行状態が「直線道路走行中」であると判定する。
なお、走行状態検出部20は、車両1の走行状態がカーブ走行中/直線道路走行中のいずれであるかを検出できればよいため、例えば、ヨーレートセンサ、ジャイロセンサ、ステアリング舵角センサ等のセンサ出力に基づいて、車両1の走行状態を検出してもよい。
【0015】
トルク検出部30は、トーションバートルク値を検出する。
具体的には、トルク検出部30は、例えば、車両1のステアリングのトーションバーに配設されたトルクセンサにより、トーションバーのねじれ量(トーションバートルク値)を検出し、その検出結果を制御部50に送信する。
【0016】
ステアリング駆動部40は、後述する制御部50の制御信号に従って、ステアリングを回転させる。
具体的には、ステアリング駆動部40は、ステアリングを回転させるモータを含んで構成され、後述する制御部50から受信した制御信号(ハンドルの舵角情報等)に従ってモータを駆動し、ステアリングシャフトの駆動力を付与することでステアリングを回転させる。
【0017】
制御部50は、図示しないROM等に格納された制御プログラムに従って、車両1全体の動作を制御する。
本発明においては、制御部50は、保舵状態と走行状態とに基づいて設定されたトーションバートルク閾値と、トーションバートルク値とに基づいてオーバーライド判定を行う。
具体的には、制御部50は、保舵状態検出部10から受信した運転者のステアリングの保舵状態(片手保舵/両手保舵/無保舵)と、走行状態検出部20から受信した車両1の走行状態(カーブ走行中/直線道路走行中)とに基づいて、オーバーライド判定を行うためのトーションバートルク閾値を設定し、そのトーションバートルク閾値と、トルク検出部30から受信した現在のトーションバートルク値とを比較して、運転者によるステアリング操作が行われた否かを判定する。
また、本実施形態においては、制御部50は、車両1の走行位置を車両通行帯の中央付近に維持するLKS(Lane Keeping System)のステアリング制御を実行する。
具体的には、制御部50は、例えば、車両1の前方を撮像した画像から車両通行帯を示す車線を検出し、車両1の走行位置が車両通行帯の中央付近になるように、ステアリング駆動部40に制御信号を送信し、車両1の走行位置を制御する。
また、制御部50は、LKS作動中に、運転者が強制介入してステアリング操作を行ったと判定(オーバーライド判定)したときには、LKSのステアリング制御を停止し、運転者のステアリング操作を優先するステアリング制御に切り替える。
なお、オーバーライド判定処理の詳細については、以下に説明する。
【0018】
<オーバーライド判定処理>
図2を用いて、車両1のオーバーライド判定処理について説明する。
【0019】
図2に示すように、制御部50は、LKSが作動中であるか否かを判定する(ステップS110)。
具体的には、制御部50は、例えば、車両1に配設されたLKSをオン/オフするためのスイッチの状態を検出して、LKSが作動中であるか否かを判定する。
制御部50は、LKSが作動中ではないと判定する場合(ステップS110の「NO」)には、処理を元に戻し、待機状態に移行する。
【0020】
一方で、制御部50において、LKSが作動中であると判定された場合(ステップS110の「YES」)には、保舵状態検出部10は、運転者のステアリングの保舵状態が、片手保舵/両手保舵/無保舵のいずれであるかを検出する(ステップS120)。
【0021】
走行状態検出部20は、車両1の走行状態が、カーブ走行中/直線道路走行中のいずれであるかを検出する(ステップS130)。
【0022】
制御部50は、トーションバートルク閾値設定処理を実行する(ステップS140)。
具体的には、制御部50は、保舵状態検出部10から受信した運転者の保舵状態(ステップS120)と、走行状態検出部20から受信した車両1の走行状態(ステップS130)とに基づいて、th1~th6のいずれかの値をトーションバートルク閾値に設定する。
図3に示すように、運転者の保舵状態が「両手保舵」/車両1の走行状態が「カーブ走行中」であった場合には、トーションバートルク閾値をth1に設定する。
運転者の保舵状態が「片手保舵」/車両1の走行状態が「カーブ走行中」であった場合には、トーションバートルク閾値をth2に設定する。
また、運転者の保舵状態が「無保舵」/車両1の走行状態が「カーブ走行中」であった場合には、トーションバートルク閾値をth3に設定する。
運転者の保舵状態が「両手保舵」/車両1の走行状態が「直線道路走行中」であった場合には、トーションバートルク閾値をth4に設定する。
また、運転者の保舵状態が「片手保舵」/車両1の走行状態が「直線道路走行中」であった場合には、トーションバートルク閾値をth5に設定する。
また、運転者の保舵状態が「無保舵」/車両1の走行状態が「直線道路走行中」であった場合には、トーションバートルク閾値をth6に設定する。
なお、上述したトーションバートルク閾値(th1~th6)の設定値の詳細については、後述する。
【0023】
トルク検出部30は、現在の車両1のトーションバートルク値を検出する(ステップS150)。
【0024】
制御部50は、トルク検出部30から受信したトーションバートルク値が、ステップS140において設定したトーションバートルク閾値より大きいか否かを判定する(ステップS160)。
制御部50は、トルク検出部30から受信したトーションバートルク値が、ステップS140において設定したトーションバートルク閾値より小さいと判定する場合(ステップS160の「NO」)には、オーバーライド判定処理を終了させる。
一方で、制御部50は、トルク検出部30から受信したトーションバートルク値が、ステップS140において設定したトーションバートルク閾値より大きいと判定する場合(ステップS160の「YES」)には、LKSのステアリング制御を停止し、運転者のステアリング操作を優先する制御に切り替え(ステップS170)、オーバーライド判定処理を終了させる。
【0025】
<トーションバートルク閾値の設定値>
上述したトーションバートルク閾値(th1~th6)の設定値について説明する。
カーブ走行中は、直線道路走行中に比べてステアリングを回転させるモータの駆動力が大きくなるため、ステアリングシャフトに発生するねじれが大きくなる。
そのため、運転者が意図的なステアリング操作を行ったか否かを精度よく判定(オーバーライド判定)するためには、車両の走行状態(カーブ走行中/直線道路走行中)に合わせて、トーションバートルク閾値の値を変更する必要がある。
具体的には、カーブ走行中のオーバーライド判定を行うために設定されるトーションバートルク閾値(th1、th2)は、直線道路走行中のオーバーライド判定を行うために設定されるトーションバートルク閾値(th4、th5)より大きな値に設定されている。
つまり、トーションバートルク閾値は、th1>th4、th2>th5となるように設定されている。
【0026】
トーションバートルク値がトーションバートルク閾値を超えたか否かによって、運転者の強制介入(オーバーライド)を判定する場合、運転者がステアリングホイールを操作したときの保舵状態(片手保舵/両手保舵)によって、片手あたりに必要な操舵力が異なる。
また、強制介入してステアリング操作を行うときには、一般に、運転者は、片手保舵ではなく両手保舵によりステアリング操作を行うため、保舵状態が「片手保舵」のときは、「両手保舵」のときよりオーバーライド判定されにくい設定とするために、片手保舵時に設定されるトーションバートルク閾値(th2、th5)は、両手保舵時に設定されるトーションバートルク閾値(th1、th4)より大きい値に設定されている。
つまり、トーションバートルク閾値は、th2>th1、th5>th4となるように設定されている。
【0027】
また、運転者の保舵状態が「無保舵」の場合には、路面からの反動等によるトーションバーのねじれにより、オーバーライド操作が実行されたと誤判定されないように、無保舵時に設定されるトーションバートルク閾値(th3、th6)は、片手保舵時に設定されるトーションバートルク閾値(th2、th5)より大きな値に設定される。
つまり、トーションバートルク閾値は、th3>th2、th6>th5となるように設定されている。
以上、説明したように、トーションバートルク閾値は、例えば、th3>th2>th1>th6>th5>th4となるように各閾値の値が設定されている。
【0028】
以上、車両1のLKS作動中のオーバーライド判定処理を例示して説明したが、例えば、ステアリング操舵を自動制御する自動運転の作動中に、上述したオーバーライド判定処理を実行し、運転者が強制介入してステアリング操作が行われたと判定(オーバーライド判定)したときには、運転者のステアリング操作を優先する制御に切り替えるようにしてもよい。
【0029】
<作用・効果>
以上、説明したように、本実施形態に係る車両1の制御部50は、保舵状態検出部10から受信した運転者の保舵状態と、走行状態検出部20から受信した車両1の走行状態とに基づいて設定したトーションバートルク閾値と、トルク検出部30から受信した現在のトーションバートルク値とに基づいて、オーバーライド判定を実行する。
制御部50は、トーションバートルク値がトーションバートルク閾値より大きいと判定したとき、運転者が強制介入して、右左折や車線先行等のステアリング操作がおこなわれたと判定する。
つまり、運転者の保舵状態および車両1の走行状態によって、トーションバートルク値が大きく変化するために、制御部50は、運転者の保舵状態および車両の走行状態に応じて、オーバーライド判定を行うためのトーションバートルク閾値の値を変更し、オーバーライド判定を実行する。
これにより、車両1は、車両の走行状態/運転者の保舵状態の変化に対応した、精度のよいオーバーライド判定を行うことができる。
【0030】
保舵状態検出部10は、運転者の保舵状態が片手保舵/両手保舵/無保舵のいずれであるかを検出する。
走行状態検出部20は、車両1の走行状態がカーブ走行中/直線道路走行中のいずれであるかを検出する。
運転者に代わってステアリング操舵の制御を行うADAS機能の実行中においては、モータによってステアリングシャフトが回転される。
上述したADAS機能の実行中に、運転者がステアリングを保持すると、ステアリングシャフトにねじれが発生する。
カーブ走行中は、直線道路走行中に比べてモータの駆動力が大きくなるため、ステアリングシャフトに発生するねじれも大きくなるため、カーブ走行中のトーションバートルク値は、直線道路走行中のトーションバートルク値に比べて大きな値となる。
運転者がADAS機能の実行中(LKS実行中)に強制介入(オーバーライド)してステアリングを操作する場合、運転者の保舵状態(片手保舵/両手保舵)によって、片手あたりに必要な操舵力が異なる。
つまり、制御部50は、車両1の走行状態および運転者のステアリングの保舵状態によってトーションバートルク値が大きく変化するため、車両の走行状態(カーブ走行中/直線道路走行中)および運転者の保舵状態(片手保舵/両手保舵/無保舵)に基づいて、オーバーライド判定するためのトーションバートルク閾値を変更して、オーバーライド判定を行う。
これにより、車両の走行状態/運転者の保舵状態の変化に対応した精度の良いオーバーライド判定を行うことができることから、運転者の意図しないオーバーライド判定の発生を防止することができる。
【0031】
<変形例1>
上述した制御部50は、走行状態(カーブ走行中/直線道路走行中)に基づいてトーションバートルク閾値を設定したが、走行中の道路の曲率毎にトーションバートルク閾値を設定するようにしてもよい。
つまり、トーションバートルク値は、走行中の道路の曲率によって大きく値が変化するため、制御部50は、道路の曲率と運転者の保舵状態とによりトーションバートルク閾値を設定するようにしてもよい。
これにより、トーションバートルク閾値をより細分化して設定することができることから、さらに精度の良いオーバーライド判定を行うことができる。
【0032】
なお、保舵状態検出部10、走行状態検出部20、制御部50等の処理をコンピュータシステムが読み取り可能な記録媒体に記録し、この記録媒体に記録されたプログラムを保舵状態検出部10、走行状態検出部20、制御部50に読み込ませ、実行することによって本発明の車両1を実現することができる。ここでいうコンピュータシステムとは、OSや周辺装置等のハードウェアを含む。
【0033】
また、「コンピュータシステム」は、WWW(World Wide Web)システムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
【0034】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0035】
以上、この発明の実施形態につき、図面を参照して詳述してきたが、本発明の実施の形態として上述した車両を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての車両も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例および修正例に想到し得るものであり、それら変更例および修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
例えば、上述の各実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0036】
また、本実施形態において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について本明細書記載から明らかなもの、または、当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。
例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0037】
1;車両
10;保舵状態検出部
20;走行状態検出部
30;トルク検出部
40;ステアリング駆動部
50;制御部
図1
図2
図3