(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025015148
(43)【公開日】2025-01-30
(54)【発明の名称】駐車支援装置、駐車支援方法、および駐車支援プログラム
(51)【国際特許分類】
B60W 30/06 20060101AFI20250123BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20250123BHJP
【FI】
B60W30/06
G08G1/16 C
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023118336
(22)【出願日】2023-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】322003857
【氏名又は名称】パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡部 吉正
(72)【発明者】
【氏名】西村 洋文
(72)【発明者】
【氏名】中北 学
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
3D241BA21
3D241BA22
3D241BA59
3D241BA60
3D241BB02
3D241CC08
3D241CC17
3D241CD07
3D241CD28
3D241CE04
3D241CE05
3D241DA39Z
3D241DA52Z
3D241DA53Z
3D241DB01Z
3D241DB02Z
3D241DB12Z
3D241DB20Z
3D241DC34Z
3D241DC35Z
3D241DD13Z
5H181AA01
5H181CC04
5H181CC24
5H181FF03
5H181FF25
5H181FF27
5H181FF32
5H181KK01
5H181KK07
5H181LL17
(57)【要約】
【課題】停車を必要とせず、スムーズに自動駐車を行うことが可能な駐車支援装置および駐車支援方法を提供する。
【解決手段】駐車支援装置は、駐車枠を検知する駐車枠検知部と、車両の乗員の駐車指示操作を受け付ける操作受付部と、駐車指示操作に符合する駐車枠に車両を自動駐車させる走行制御部と、を備え、駐車枠が車両の進行方向の左右いずれか一方向だけにあるか、または、駐車指示操作が方向の指示を含む駐車指示操作であり、駐車指示操作が指示する方向に駐車枠があるか、のいずれかの場合であって、かつ、駐車枠が車両の進行方向の所定の範囲にある場合に、駐車枠が駐車指示操作に符合すると判定する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車枠を検知する駐車枠検知部と、
車両の乗員の駐車指示操作を受け付ける操作受付部と、
前記駐車指示操作に符合する駐車枠に前記車両を自動駐車させる走行制御部と、
を備え、
前記駐車枠が前記車両の進行方向の左右いずれか一方向だけにあるか、または、前記駐車指示操作が方向の指示を含む駐車指示操作であり、前記駐車指示操作が指示する方向に前記駐車枠があるか、のいずれかの場合であって、かつ、前記駐車枠が前記車両の進行方向の所定の範囲にある場合に、前記駐車枠が前記駐車指示操作に符合すると判定する駐車支援装置。
【請求項2】
前記駐車指示操作は、ハンドルを回転する操作、ウインカレバーを倒す操作、ハザードランプの点灯、ブレーキペダルの操作、所定のボタン操作のうち、少なくとも一つを含む操作であり、
前記方向の指示を含む駐車指示操作は、ハンドルを回転する操作、ウインカレバーを倒す操作、所定のボタンの操作のうち、少なくとも一つを含む操作である請求項1に記載の駐車支援装置。
【請求項3】
前記駐車指示操作を受け付けた時に、前記駐車指示操作に符合する駐車枠を検出していない場合は、前記駐車枠が前記駐車指示操作に符合するか否かの判定を保留する、請求項1に記載の駐車支援装置。
【請求項4】
前記判定の保留中に所定の時間が経過した場合、または、前記判定の保留中に所定の距離を走行した場合は、前記駐車指示操作の受け付けを取り消し、前記自動駐車を行わない、請求項3に記載の駐車支援装置。
【請求項5】
ハンドルまたはウインカレバーを中立方向に戻す操作、または、所定角を越えてハンドルを回転する操作、または、ハザードランプの消灯、または、アクセルペダルの操作、または、前記駐車指示を取り消すボタン操作、のうち少なくとも一つを検出した場合は、否認動作があったと判定し、前記否認動作があった場合は、前記自動駐車を行わない、請求項1または請求項3に記載の駐車支援装置。
【請求項6】
前記駐車指示操作に符合する駐車枠を検出していない場合は、前記駐車指示操作に符合する駐車枠を検出している場合よりも、前記否認動作があったと判定し易くする、請求項5に記載の駐車支援装置。
【請求項7】
前記駐車枠検知部により検出された駐車枠に対応する所定の転舵点を設定し、前記所定の転舵点は、前記車両が前記駐車枠に収まる経路の旋回開始位置であって、前記所定の範囲の終端を前記所定の転舵点に基づいて設定する、請求項1に記載の駐車支援装置。
【請求項8】
前記走行制御部は、前記駐車指示操作が行われるまで、前記車両が前記所定の転舵点を越えないように車速を制御する、請求項7に記載の駐車支援装置。
【請求項9】
前記駐車枠検知部により検出された駐車枠に対応する所定の確認点を設定し、前記所定の確認点は、前記車両の乗員が前記駐車枠内を確認できるようになる地点であって、前記所定の範囲の始端は、前記所定の確認点に基づいて設定する、請求項1に記載の駐車支援装置。
【請求項10】
前記乗員が前記駐車枠内を確認できるようになる地点は、前記乗員の頭部、または、前記車両に設けられたカメラと、前記駐車枠の長辺の延長線との位置関係に基づいて設定する、請求項8に記載の駐車支援装置。
【請求項11】
前記車両の車速が第1の所定値を超える場合、前記自動駐車を行わない、請求項1に記載の駐車支援装置。
【請求項12】
前記駐車枠を検出した場合、または、前記駐車指示操作を検出した場合で、かつ、前記車両の車速が第2の所定値を超える場合、前記走行制御部は前記車両を減速させる、請求項1に記載の駐車支援装置。
【請求項13】
前記駐車枠が前記駐車指示操作に符合すると判定し、かつ、承認動作があった場合に前記自動駐車を開始し、前記操作受付部がハンドルの解放、または前記ハンドルの操舵トルクの低下、ブレーキペダルの解放、または前記ブレーキペダルの減圧、のうち少なくとも一つを検出している時に、承認動作があったと判定する、請求項1に記載の駐車支援装置。
【請求項14】
前記駐車枠が前記駐車指示操作に符合すると判定した場合に、前記承認動作を照会する照会信号を出力し、前記照会信号は、操縦系の振動、音声、およびメッセージのいずれかを含む、請求項13に記載の駐車支援装置。
【請求項15】
前記車両が所定の転舵点を越える前に前記承認動作があった場合に前記自動駐車を開始する、請求項13に記載の駐車支援装置。
【請求項16】
前記承認動作があるまで、前記車両が所定の転舵点を越えないように前記車両の車速を制御する、請求項13に記載の駐車支援装置。
【請求項17】
駐車枠を検知するステップと、
車両の乗員の駐車指示操作を受け付けるステップと、
前記駐車枠が前記車両の進行方向の左右いずれか一方向にだけあるか、または、前記駐車指示操作が方向の指示を含む駐車指示操作であり、前記駐車指示操作が指示する方向に前記駐車枠があるか、のいずれかの場合であって、かつ、前記駐車枠が前記車両の進行方向の所定の範囲にある場合に、前記駐車枠が前記駐車指示操作に符合すると判定するステップと、
前記駐車指示操作に符合する駐車枠に前記車両の自動駐車を行うステップと、
を含む駐車支援方法。
【請求項18】
駐車枠を検知するステップと、
車両の乗員の駐車指示操作を受け付けるステップと、
前記駐車枠が前記車両の進行方向の左右いずれか一方向にだけあるか、または、前記駐車指示操作が方向の指示を含む駐車指示操作であり、前記駐車指示操作が指示する方向に前記駐車枠があるか、のいずれかの場合であって、かつ、前記駐車枠が前記車両の進行方向の所定の範囲にある場合に、前記駐車枠が前記駐車指示操作に符合すると判定するステップと、
前記駐車指示操作に符合する駐車枠に前記車両の自動駐車を行うステップと、
をコンピュータに実行させる駐車支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、駐車支援装置、駐車支援方法、および駐車支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両周辺に書かれた駐車枠を検知して画像上に表示し、ドライバが駐車枠や駐車方向を選択すると、車両を駐車枠に自動駐車させる駐車支援装置が知られている。例えば、特許文献1には、複数の駐車可能位置が検出されたとき、駐車可能位置を表示装置に表示し、表示した駐車可能位置から目標駐車位置を選択する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、走行中、ドライバは前方を注視することが求められるので、従来技術の構成では、画像を見て操作する前に車両を停車させる必要がある。その一方、スムーズな自動駐車が求められる事がある。例えば、駐車待ちの車列が前進駐車で次々と駐車している場面では、通路上に停車させて駐車支援装置を操作するのは迷惑であり、後続車からクラクションを鳴らされることもある。
【0005】
本開示の目的は、停車を必要とせず、スムーズに自動駐車を行うことが可能な駐車支援装置、駐車支援方法、および駐車支援プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示に係る駐車支援装置の一態様は、駐車枠を検知する駐車枠検知部と、車両の乗員の駐車指示操作を受け付ける操作受付部と、前記駐車指示操作に符合する駐車枠に前記車両の自動駐車を行う走行制御部と、を備え、前記駐車枠が前記車両の進行方向の左右いずれか一方向にだけあるか、または、前記駐車指示操作が方向の指示を含む駐車指示操作であり、前記駐車指示操作が指示する方向に前記駐車枠があるか、のいずれかの場合であって、かつ、前記駐車枠が前記車両の進行方向の所定の範囲にある場合に、前記駐車枠が前記駐車指示操作に符合すると判定する。
【0007】
また、本開示に係る駐車支援方法の一態様は、駐車枠を検知するステップと、車両の乗員の駐車指示操作を受け付けるステップと、前記駐車枠が前記車両の進行方向の左右いずれか一方向にだけあるか、または、前記駐車指示操作が方向の指示を含む駐車指示操作であり、前記駐車指示操作が指示する方向に前記駐車枠があるか、のいずれかの場合であって、かつ、前記駐車枠が前記車両の進行方向の所定の範囲にある場合に、前記駐車枠が前記駐車指示操作に符合すると判定するステップと、前記駐車指示操作に符合する駐車枠に前記車両の自動駐車を行うステップと、を含む。
【0008】
また、本開示に係る駐車支援プログラムの一態様は、駐車枠を検知するステップと、前記車両の乗員の駐車指示操作を受け付けるステップと、前記駐車枠が前記車両の進行方向の左右いずれか一方向にだけあるか、または、前記駐車指示操作が方向の指示を含む駐車指示操作であり、前記駐車指示操作が指示する方向に前記駐車枠があるか、のいずれかの場合であって、かつ、前記駐車枠が前記車両の進行方向の所定の範囲にある場合に、前記駐車枠が前記駐車指示操作に符合すると判定するステップと、前記駐車指示操作に符合する駐車枠に前記車両の自動駐車を行うステップと、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、停車を必要とせず、スムーズに自動駐車を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1A】
図1Aは、本実施の形態におけるフロントクイック駐車を示す図である。
【
図1B】
図1Bは、本実施の形態におけるフロントクイック駐車を示す図である。
【
図2A】
図2Aは、本実施の形態における転舵限界点を示す図である。
【
図2B】
図2Bは、本実施の形態における転舵限界点を示す図である。
【
図2C】
図2Cは、本実施の形態における転舵限界点を示す図である。
【
図3A】
図3Aは、本実施の形態における転舵限界点の数学的な説明を示す図である。
【
図3B】
図3Bは、本実施の形態における転舵限界点の数学的な説明を示す図である。
【
図4A】
図4Aは、本実施の形態における転舵限界点の数学的な他の説明を示す図である。
【
図4B】
図4Bは、本実施の形態における転舵限界点の数学的な他の説明を示す図である。
【
図5A】
図5Aは、車両制御上のポイントとなる地点を示す図である。
【
図5B】
図5Bは、車両制御上のポイントとなる地点を示す図である。
【
図5C】
図5Cは、車両制御上のポイントとなる地点を示す図である。
【
図6】
図6は、駐車支援装置を適用可能な車両を示す図である。
【
図7】
図7は、駐車支援装置が適用されるシステムのネットワーク上の構成を示す図である。
【
図8】
図8は、駐車支援装置の機能を実装したハードウェアを示すブロック図である。
【
図9】
図9は、駐車支援装置を示すブロック図である。
【
図12】
図12は、本実施の形態における自動駐車の制御フローを示す図である。
【
図13】
図13は、本実施の形態における自動駐車の制御フローを示す図である。
【
図14】
図14は、本実施の形態における自動駐車の制御フローを示す図である。
【
図15】
図15は、本実施の形態における自動駐車の制御フローを示す図である。
【
図18】
図18は、次の駐車枠を検知しておく工夫を示す図である。
【
図19】
図19は、空き駐車枠が連続する時のメッセージ出力について説明する図である。
【
図20】
図20は、駐車枠を検出した時に減速を開始することを説明する図である。
【
図21】
図21は、転舵限界点を越えないよう減速する工夫を示す図である。
【
図22】
図22は、転舵限界点を越えないよう減速する工夫を示す別の図である。
【
図23】
図23は、ハンドル操作で駐車指示する場合の対応を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される各構成要素、各構成要素の配置位置及び接続形態、並びに、各ステップ及び各ステップの順序等は、一例であって本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0012】
また、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。なお、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0013】
図1Aおよび
図1Bは、本実施の形態におけるフロントクイック駐車を示す図である。駐車枠S1は、駐車枠線L1,L2に挟まれた駐車枠である。
【0014】
フロントクイック駐車は、以下の6ステップを基本とする(
図1Aおよび
図1Bの記号a~fを参照)。
a.車両1は、走行中に駐車枠検知機能が起動されると、前進駐車の操作手順を説明する。
b.車両1は、空き駐車枠を検出したらドライバに報知し、ドライバに減速を促すか、自動で減速する。
c.ドライバは、駐車枠S1内を目視確認し、ハンドル等で駐車位置を指定する駐車指示操作を行う。
d.車両1は、駐車指示操作を受け付けたら、ハンドルを振動させる(受付応答)。
e.ドライバがハンドルから手を離したら(承認動作)、車両1は自動走行を開始する。
f.車両1は、目標駐車位置まで自動走行したら停車する。
【0015】
フロントクイック駐車の特徴は、以下の通りである。まず、ドライバが、画面上で検出した駐車枠S1を見る必要が無い。また、ドライバが、画面上で目標駐車位置を指定する必要が無い。よって、ドライバは、画面の確認や操作のために停車する必要が無いので、ノンストップで自動駐車機能を起動して、自動駐車をすることができる。なお、ここでは、ドライバまたは助手席に乗車している乗員を単に乗員と呼ぶことがある。
【0016】
図2A乃至
図2Cは、本実施の形態における転舵限界点を示す図である。
図2Aに示すように、車両1が通路を走行している時に、その点から最小回転半径で旋回すると、車両1が駐車枠S1内に収まる点を転舵限界点P1と呼ぶことにする。転舵限界点P1は、転舵する位置(転舵点P2)を設定する際の基準となる。空き駐車枠S1を検出した時に、
図2Cに示すように、車両1の進路上に、駐車枠S1に向けて転舵する位置(転舵点P2)を設定し、転舵点P2で転舵できるように車両1を制御する。
【0017】
図2Bに示すように、転舵限界点P1を越えると、車両1が最小回転半径で旋回しても、駐車枠S1に正しく収まらなかったり、駐車車両と接触する恐れが生じたりするので、転舵限界点P1を越えた位置では駐車指示操作を受付けられない。そこで、転舵点P2は転舵限界点P1を越えない範囲で設定し、転舵点P2を超える前に駐車指示操作の受付を終了する。つまり、駐車指示操作の受付範囲の終点は、転舵限界点P1を越えない範囲で設定する。
【0018】
駐車指示操作の受付範囲は車両の進路上の所定の範囲であり、受付範囲から進行方向に進むと駐車枠の入り口がある。そこで、車両が駐車指示操作の受付範囲にある時に、駐車枠が車両の進行方向の所定の範囲にある、と言う。これは、駐車枠の位置が車両の位置を基準として検知され、駐車枠の位置を基準として転舵限界点P1が決まることに対応した言い換えである。転舵点P2や転舵限界点P1は所定の転舵点の一例であるので、所定の範囲の終端を所定の転舵点に基づいて設定すると言っても良い。
【0019】
図2Cに示すように、転舵点P2を転舵限界点P1より手前に設定すると、車両1は最小回転半径より大きい回転半径で旋回して、駐車枠S1に正しく収まるような駐車経路を設定できる。駐車経路が最小回転半径で旋回する弧を含むと、弧の外側に車両が逸れた時に舵角を増すことができないので、車両を駐車経路に引き戻す事ができない。そこで、回転半径が最小回転半径より大きくなるように、転舵点P2を転舵限界点P1より手前にすると良い。
【0020】
図3Aおよび
図3Bは、本実施の形態における転舵限界点P1の数学的な説明を示す図である。車両1が最大舵角で旋回する場合の、二つの後輪の中点が描く円の半径を最小回転半径とし、当該駐車枠の中心線(駐車枠S1の駐車枠線L1,L2と平行で、駐車枠線L1,L2と等距離である線)と、自車両の進路を示す直線(例えば、通路の中央を通る線でも良い)の両方に接する最小回転半径の円を描いた時、円と自車両の進路を示す直線の接点が転舵限界点P1である。
【0021】
EPS(電動パワーステアリング;Electric Power Steering)のトルクが小さい時は、手動で旋回する場合より回転半径が大きくなることがある。また、車速や路面状態によって回転半径が大きくなることがあるので、理論上の転舵限界点P1よりも手前に距離マージンを取った、実効的な転舵限界点P1′を設定しても良い。
【0022】
図4Aおよび
図4Bは、本実施の形態における転舵限界点P1の数学的な他の説明を示す図である。車両1が最大舵角で旋回する場合の旋回中心から遠い側の角が描く円の半径を、外側最小回転半径と呼ぶ。空き駐車枠S1の隣りの駐車枠S2に駐車車両がある場合は、外側最小回転半径に基づいて転舵限界点P1を決めても良い。
【0023】
駐車する際は、駐車車両への接近を避ける必要があり、これは、駐車枠S1の中央に駐車することよりも優先されるからである。この場合、駐車車両から外側最小回転半径だけ離れた位置が旋回中心となるように、転舵限界点P1を設定すると、接触する恐れなく駐車することができる。つまり、駐車車両の有無に応じて、転舵限界点P1の設定を変えると良い。
【0024】
なお、車体の角が駐車車両に接近すると乗員を驚かせることがあるので、理論上の転舵限界点P1よりも手前に距離マージンを取った実効的な転舵限界点P1′を設定しても良い。
【0025】
図5A乃至
図5Cは、車両制御上のポイントとなる地点を示す図である。ここでは、車両1の位置を代表する代表点を、左右の後輪の接地点の中点とし、代表点の位置を車両1の位置として説明する。
【0026】
図5Aは、駐車枠に面した通路を車両1が走行しながら空き駐車枠S1を検知する場面を示す図であり、A地点(検出点P3)は、空き駐車枠S1を検出した時の車両1の位置である。空き駐車枠S1の手前側の駐車枠線L1の延長線上に車両1に設けられたカメラが達すると、駐車車両があっても、カメラ画像上で遮蔽されない駐車枠を検出できる。駐車車両が無い場合、検出点P3は、駐車枠検知の検知範囲に基づいて設定しても良い。つまり、検出点P3は、駐車車両の有無の影響を受ける。
【0027】
図5BのB地点(確認点P4)は、乗員が空き駐車枠S1内を確認できるようになる確認点であり、空き駐車枠S1の手前側の駐車枠線L1の延長線上にドライバが達すると、ドライバが空き駐車枠S1内を確認できる。確認点P4は、空き駐車枠S1内をカメラ画像上で確認できるようになる点でも良い。つまり、確認点P4と検出点P3とが同じでも良い。
【0028】
すなわち、確認点は、ドライバなどの乗員の頭部、または、車両1に設けられたカメラと、駐車枠の長辺である駐車枠線L1の延長線との位置関係に基づいて設定されてもよい。また、確認点P4も駐車車両の有無の影響を受けるので、確認点P4を検出点P3に基づいて設定しても良い。例えば、駐車枠線L1の延長線より手前で駐車枠S1を検出した時には、手前の枠に駐車車両が無く、目視でも駐車枠S1を確認できると推定し、検出した時点で確認点P4を超えていると判定しても良い。または、手前の枠に駐車車両が無い場合に、確認点P4を設定する基準位置を所定の距離(例えば4m)だけ手前にしても良い。
【0029】
図5Cに示すように、C地点(転舵点P2)は、車両が転舵を開始する位置である。転舵点P2は転舵限界点P1より手前に設定される。
【0030】
乗員が空き駐車枠S1内を確認できるようになる前に駐車指示操作を受付けると、自動駐車を開始した時に不都合が生じることがある。そこで、駐車指示操作の受付範囲は、B地点(確認点P4)を始点とし、転舵点P2を終点とする範囲に限定すると良い。B地点(確認点P4)は所定の確認点の一例であるので、所定の範囲の始端は、所定の確認点に基づいて設定すると言っても良い。
【0031】
また、所定の範囲は駐車枠の位置情報を基準として決まるが、駐車枠の位置情報は検出した時の車両の位置を基準として検知されることに対応して、所定の範囲で駐車指示操作を受付けた場合に自動駐車を開始することを、駐車枠が車両の進行方向の所定の範囲にある場合に駐車枠が駐車指示操作に符合すると判定し、符合すると判定した場合に自動駐車を開始すると言うように言い換えても良い。
【0032】
駐車指示操作は、これ以後に示す車両が備える装置に対して行われ、駐車指示操作を感知した情報が駐車支援装置に与えられて、駐車支援装置が符合するか否か判定する。駐車指示操作は、ハンドルを回転する操作、ウインカレバーを倒す操作、ハザードランプの点灯、ブレーキペダルの操作、所定のボタンの操作のいずれか一つ、または複数の操作の組合せであっても良い。例えば、ブレーキペダルの操作とウインカレバーを倒す操作が同時、または所定の時間内に行われた場合に、駐車指示操作があった、と判定しても良い。
【0033】
これらのうち、ハンドルを回転する操作、ウインカレバーを倒す操作、方向を示すボタンの操作は、方向の指示を含む駐車指示操作と言って良い。タッチパネルに表示された方向を示すボタンは所定のボタンの一例である。例えば、タッチパネルに表示された画像に、検出した駐車枠を示す半透過の長方形が重畳表示されている時に、長方形をタッチする操作があれば、方向の指示を含む所定のボタン操作があった、と判定しても良い。
【0034】
駐車枠が車両の進行方向の左右いずれか一方向だけにあるか、または、駐車指示操作が方向の指示を含む駐車指示操作であり、駐車指示操作が指示する方向に駐車枠があるか、のいずれかの場合であって、かつ、前記駐車枠が前記車両の進行方向の所定の範囲にある場合に、前記駐車枠が前記駐車指示操作に符合すると判定する。つまり、駐車枠が車両の進行方向の左右いずれか一方向だけにある場合は、方向の指示を含まない駐車指示操作でも良いが、駐車枠が車両の進行方向の左右両方にある場合は、方向の指示を含む駐車指示操作が必要である。
【0035】
また、駐車枠が車両の進行方向の左右いずれか一方向だけにあって、駐車指示操作が方向の指示を含まない場合は、方向を評価せず、駐車枠が車両の進行方向の所定の範囲にあれば、符合すると判定してよい。例えば、通路の左側だけに駐車枠を検出している時に、転舵点の手前で徐行速度まで減速するようなブレーキ操作があった場合は、ブレーキ操作を駐車指示操作と見なして自動駐車を開始させても良い。
【0036】
図6は、駐車支援装置を適用可能な車両を示す図である。
図6に示すように、車両1の車体の前後左右の4箇所には、カメラ2が設けられている。各カメラ2は、魚眼レンズを備えており、水平方向に180度以上の視野範囲(破線参照)をもつ。
【0037】
各カメラ2は、路面をとらえるために俯角を付けて装着されているので、路面が映る範囲を水平方向の視野に換算すると、240度程度の範囲の路面が1つのカメラ2に映る。例えば、車体の左右に設けられるサイドカメラ2Aの撮影画像には、前輪と後輪と、車体の側面とが映りこむ。
【0038】
また、
図7は、駐車支援装置が適用されるシステムのネットワーク上の構成を示す図である。
図7に示すように、車両1は、4つのカメラ2の他、操作装置10と、HMI(ヒューマンマシンインターフェース)装置20と、車両制御装置30と、駐車支援装置100とを備える。
【0039】
操作装置10は、ドライバ(乗員)が手動で操作するためのものであり、運転席のパネル上の物理的なスイッチ、タッチパネル上に表示されたソフト的なスイッチの他、ハンドル、ペダル、ギヤのような運転操作のためのものを含む。
【0040】
HMI装置20は、例えば、車両1に設けられるナビゲーション装置40に付属するタッチパネル等、乗員が駐車支援装置100へ操作入力するためのHMIとして利用される。タッチパネルは、操作装置10に含まれても良いし、運転席に接地された各種のスイッチ類も操作装置10に含まれても良いので、操作装置10およびHMI装置20は、重複したものであっても良い。
【0041】
駐車支援装置100や車両制御装置30は、
図8に示すように、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)および入出力回路(I/O)を備えている。例えば、乗員が操作装置10を操作すると、車両制御装置30の入出力回路(I/O)は、操作を受け付け、CPUが操作に対応する動作を決定する。駐車支援装置100の場合も同様である。
【0042】
通常の運転モードでは、操作の情報に応じて、車両制御装置30がモーター(不図示)を駆動することにより、舵角や車速を制御すると同時に、操作の情報と舵角や車速等の車両情報をLAN(Local Area Network:車内LAN等)に出力する。自動走行モードになると、車両制御装置30は、LAN経由で速度や舵角の指令を駐車支援装置100から受け、指令に応じて速度や舵角を制御する。
【0043】
車両制御装置30が運転用の操作装置10の操作を監視しているので、駐車支援装置100は、操作装置10の操作情報をLAN経由で取得することができる。駐車支援装置100は、HMI装置20を介して乗員が行う操作の情報を取得可能である。駐車支援装置100は、ナビゲーション装置40が出力する車両1の位置情報をLAN経由で受信しても良いし、ナビゲーション装置40から直接、取得しても良い。
【0044】
カメラ2は、撮影画像を駐車支援装置100に常時出力しており、駐車支援をしない時も、駐車支援装置100は、撮影画像から車両周辺を示す表示画像を生成して出力する
【0045】
また、上記のタッチパネルは、駐車支援装置100が生成した表示画像を出力するディスプレイとしても機能するので、駐車支援装置100とHMI装置20とは直結していても良い。
【0046】
駐車支援装置100は、タッチパネルに行われた操作の情報を直接感知しても良いし、LAN経由で情報を受信するようにしても良い。また、駐車支援装置100は、ナビゲーション装置40が出力する車両1の位置情報をLAN経由で受信することができる。
【0047】
また、駐車支援装置100の機能は、
図8に示すハードウェアに実装されても良い。駐車支援装置100は、CPU101、ROM102、RAM103、I/O(入出力インターフェース)104およびIMP(Image Processor)105を備える。駐車支援装置100は、各要素をバスで接続するコンピュータでも良い。
【0048】
また、複数の要素が一つのチップに収容されていても良いし、一つの要素が複数のチップで構成されていても良い。バスは、単独ではなく、複数の種類のバスが組み合わされたものでも良い。
【0049】
例えば、一つのチップに収容されたCPU101、ROM102、RAM103およびIMP105がパラレルバスで接続され、複数のチップで構成されたI/O104が、CPU101等を収容したチップとシリアルバスで接続されるようにしても良い。
【0050】
CPU101は、駐車支援装置100全体を制御する。ROM102は、電気的に書き換え可能なメモリであり、CPU101が実行するプログラムを記憶するとともに、不揮発なデータ保存領域としても機能し、駐車支援装置100の電源が切られてもデータ等を保持する。
【0051】
RAM103は、CPU101の作業領域として一時記憶に用いられる。例えば、最新の周辺画像のように、一時的に記憶できれば良いデータは、RAM103に記憶される。RAM103は、周辺画像を複数枚、記憶可能な容量を持つ。
【0052】
IMP105は、画像処理に特化して処理性能を上げたプロセッサであり、
図9に示す画像取得部130、駐車枠検知部140、表示画像出力部180における画像処理を実行する。
【0053】
上述のカメラ2は、撮影したカメラ画像を駐車支援装置100に常時、出力している。駐車支援装置100は、駐車支援をしない時もカメラ画像から車両1周辺を示す表示画像を生成して出力する。
【0054】
図9は、駐車支援装置を示すブロック図である。
図9に示すように、駐車支援装置100は、操作受付部110と、状態管理部120と、画像取得部130と、駐車枠検知部140と、経路計算部150と、走行制御部160と、記憶部170と、表示画像出力部180とを有する。
【0055】
操作受付部110は、運転操作を含むドライバの操作を示す操作情報を受け付ける。状態管理部120は、操作情報や車両の状態に応じ、駐車支援の状態(ステート)を管理して、状態毎にドライバの操作を受付け、全体として自動駐車を機能させる。駐車支援の各状態(ステート)の詳細については後述する。
【0056】
画像取得部130は、カメラ画像を取得して、車両1周辺を示す周辺画像を生成する。周辺画像は、カメラ画像を路面に投影した俯瞰画であっても良いし、別の形式の画像であっても良いし、カメラ画像のままでも良い。本実施の形態では、周辺画像は俯瞰画であるものとする。
【0057】
図10は、駐車枠検知領域の設定例を示す図である。駐車枠検知部140は、周辺画像の中に、駐車枠を検知する駐車枠検知領域を設定し、駐車枠検知領域内の周辺画像から、白線を抽出する。駐車枠検知領域は、周辺画像全体の領域であっても良いが、周辺画像内における、駐車枠を期待する限られた領域であっても良い。
【0058】
駐車枠検知領域が駐車枠を期待する領域に限定されることで、検知に要する処理時間を短くすることができる。また、駐車枠検知領域の大きさを、一つの駐車枠が収まるが、二つの駐車枠は収まらない大きさに制限することにより、二つの駐車枠を同時に検出した場合の処理を省くことができる。
【0059】
図10には、前進駐車する時の、駐車枠検知領域の設定例が示されている。前提として、フロントカメラ2は車両1の先端中央に取り付けられていて、車両1は通路の中央を走行し、左右の駐車枠に駐車可能である、と仮定している。
【0060】
想定する駐車枠の幅は2.5m、駐車枠の長辺の長さは5m、通路の幅は5m、進行方向に対する駐車枠(枠線)の角度は45度から90度である。駐車枠の角度が進行方向に対して鈍角(例えば105度以上)であると、後退駐車が必要なので、進行方向に対して鈍角の空き駐車枠があっても、前進駐車の場合は検出したと判定しない。
【0061】
駐車枠検知領域は、検知結果や状況に応じて設定の変更がなされても良い。例えば、車両1の進行方向と概ね平行な白線を車両の左右に検出している場合、白線は通路を示していると認識できるので、駐車枠検知領域の基準とする方向を、白線の方向に代えても良い。また、車両1は通路の片側に寄って走行することがあるので、左右の白線が左右の駐車枠検知領域に含まれるように、駐車枠検知領域を左右にオフセットすると良い。
【0062】
駐車枠検知部140は、さらに、抽出した白線の対を生成し、白線の対のうち、駐車枠の条件に合うものを探索する。例えば、駐車枠検知部140は、周辺画像から白線の対を検出した時に、2本の白線が路面上で平行であること、2本の白線が車長より長いこと、2本の白線の間隔が車幅より大きいこと、の三つの条件が成立する場合、2本の白線で挟まれた領域が、車両1を駐車可能な領域(すなわち駐車枠)を検出した、と判定する。
【0063】
一般に、検知は特定の物について情報を得ることを目的として行い、検知の結果、特定の物が存在すれば「検出した」と判定し、検出した物についての情報を出力する。検知の結果は、検出した場合と、検出しなかった場合に分かれ、検出しなかった場合は検知の目的が達成されない。検出した場合は、検知の目的が達成されているので、検出したことを、検知に成功した、と言い換えても良い。例えば、駐車枠の検知に成功すると、検知結果として駐車枠の位置情報が得られる。
【0064】
駐車枠を検出した場合、駐車枠を構成する白線は、駐車枠線であると言えるので、駐車枠検知部140は検知結果として、2本の駐車枠線の端点の座標、つまり、駐車枠の4隅の座標を出力する。この座標は、自車両を基準とする相対座標である。なお、駐車枠に他車両が駐車していると、駐車枠線の少なくとも一方が隠されるので、駐車枠は検出されない。つまり、検出された駐車枠は空き駐車枠であるが、単に駐車枠と呼ぶことがある。
【0065】
図11は、駐車経路を示す図である。経路計算部150は、駐車枠検知部140が出力した駐車可能な領域S1の四隅の座標の中央に、車体1の中央が収まるよう目標駐車位置を設定し、かつ、駐車可能な領域の長辺L1、およびL2と平行になるように、目標駐車角(目標駐車位置に駐車した時の車体の向き)を設定して、目標駐車位置までの駐車経路を計算する。
【0066】
駐車経路は自動駐車を承認した位置P6を転舵点として経路計算すると、自動駐車の承認時点によって経路が変わるので、時間的制約の中で経路計算を完了することが困難になる。そこで、経路計算部150は、車両1(P6)の進行方向に延びる半直線の先に転舵点P7を設定し、半直線(P6-P7)と駐車枠S1の中心線の両方に接する、半径が最小回転半径より少し大きい円を設定する。
【0067】
経路計算部150は、例えば、円と半直線の接点を転舵点P7、円と中心線の接点を旋回終了点P8として、車両1の現在位置から転舵点P7までは直進する経路、転舵点P7から旋回終了点P8までは円周上を舵角一定で走行する経路、旋回終了点P8から駐車目標位置までは直進する経路を設定する。つまり、自動駐車の承認時点に依らず、転舵点P7までは直進するものとして駐車経路を計算する。
【0068】
円の半径を最小回転半径より大きくすると、車両1の走行する経路が円軌道(P7-P8)を外側に外れることがあっても、舵角の制御で計算した経路に引き戻すことが可能なので、良好な経路であると言える。
【0069】
この経路は、自動駐車が承認されるまでに車両1が転舵点P7を越えると適用できなくなるので、転舵点P7までに自動駐車が承認されるよう、駐車指示を受付けるタイミングを逆算して設定すれば良い。例えば、駐車指示を受付けてから、自動駐車の承認を判定するまで1秒間かかる場合は、車両1が転舵点P7に達する1秒前に、受付終了時点を設定し、受付終了時点を過ぎたら「スキップしました」のように自動駐車を開始しないことを報知しても良い。
【0070】
走行制御部160は、算出された駐車経路に沿って車両1が走行するように、舵角および車速を制御する。より具体的には、走行制御部160は、舵角および車速の目標値に基づいて、舵角および車速の指示値を車両制御装置30に出力する。
【0071】
走行制御部160は、車両制御装置30が出力する指示値に基づいて舵角および車速を制御すると同時に、舵角および車速の実測値を刻々、出力する。例えば、車速の実測値は、車輪の回転数のデータと、車輪の外周長のデータと、から算出される。舵角の実測値は、操舵装置から得られたデータであっても良いし、車輪の回転数の差から算出された内輪差から算出されても良い。
【0072】
走行制御部160は、目標値と実測値との差がある時に、舵角および車速の実測値が、舵角および車速の目標値と同じになるように、舵角および車速の指示値を補正する。例えば、車速の実測値が車速の目標値よりも高ければ、車速の指示値を車速の目標値よりも低くし、内輪差の実測値が舵角の目標値に相当する内輪差よりも小さければ、舵角の指示値を舵角の目標値よりも大きくする。
【0073】
走行制御部160は、舵角および車速の実測値に基づいて、走行中の車両1の位置および向きを追跡する。つまり、走行制御部160は、自動走行中または手動走行中に、車両1の走行軌跡を算出する。走行軌跡は、単位時間毎に、移動距離と移動方向と車体の角度とを、時刻に加えた移動情報の形式で算出されても良い。移動情報の形式は、これに限定されず、例えば、座標情報を用いた形式でも良い。
【0074】
走行制御部160は、自動走行中、経路計算部150が算出した駐車経路と、移動情報で表される走行軌跡とを比較して、走行軌跡が駐車経路を辿るように舵角を補正する。例えば、車両1が、舵角を付けて旋回しながら後退する際に、旋回の中心点から見て、走行軌跡が駐車経路よりも外側を通っている時に、走行制御部160は、舵角を増やして回転半径を小さくする。これにより、車両1の走行軌跡が駐車経路の方に引き戻される。
【0075】
なお、自動駐車では、計算した経路を車両1が走行するように舵角を制御できれば良いので、車速はドライバに制御させても良い。例えば、車速が時速5kmを越える時だけ加速を抑制し、時速5km以下ならドライバが好む車速で駐車できるようにしてもよい。本実施の形態では、自動駐車は自動走行(舵角と車速が自動制御)で行うことを基本として説明するが、自動駐車を自動操舵で行う例についても触れる。
【0076】
記憶部170は、駐車支援装置100の各部が行う処理の、入力データや出力データを一時的に記憶し、各部の処理を助ける。例えば、記憶部170は画像取得部130が取得したフロントカメラ画像のデータを記憶し、駐車枠検知部140が参照できるようにする。
【0077】
また、記憶部170は、駐車枠検知部140が検出した駐車枠の位置情報を記憶し、経路計算部150が参照できるようにする。さらに、記憶部140は、経路計算部150が計算した駐車経路を記憶し、走行制御部160が参照できるようにする。
【0078】
また、記憶部170は、フロントカメラ画像の撮影時点や、転舵した時点や、駐車枠の中心線に乗って直進走行を始めた時点を記憶し、その時点から、どれだけ移動したかを記憶することにより、車両1が刻々、位置を変えていても、駐車枠に対して自車が何処に位置するか、常に特定できるようにする。つまり、駐車支援装置100の各部が行う処理は、記憶部170において有機的に結合する。
【0079】
表示画像出力部180は、カメラ画像または周辺画像に基づいて表示画像を生成する。表示画像は、車両1周辺を上方から俯瞰する俯瞰画像であっても良い。つまり、表示画像出力部180は、俯瞰画像を表示画像として出力しても良い。
【0080】
表示画像出力部180は、状態管理部120の要求に応じて、表示画像にメッセージや図形を重畳して表示する。例えば、表示画像出力部180は、自動駐車を開始する際には、駐車枠検知部140が検出した駐車枠の位置を示す半透過の長方形を俯瞰画像上に重畳して表示し、経路計算部150が算出した、自車両から目標駐車位置に向かう経路を点線で表示させても良い。
【0081】
メッセージは、画像上に表示されるだけでなく、音声で読み上げられても良い。または、メッセージは、音声だけで出力されても良い。
【0082】
具体的には、状態管理部120は、予め設定されたテキストの一つを指定して出力するように指示する。表示画像出力部180は、指示に応じて、指定されたテキストに対応する文字列の画像を生成して、これを表示画像に重畳してHMI装置20に出力すると同時に、テキストとともに保存されていた音声データを、表示画像と併せてHMI装置20に出力する。これにより、乗員は、HMI装置20を見ていなくてもメッセージを受け取ることができる。
【0083】
駐車支援装置100の起動から自動駐車の完了までの制御の流れは、状態管理部120が管理するステートの遷移と、ステート毎の処理により、概略を説明できる。ステートは次のように設定しても良い。
【0084】
ステート0は、停車状態、すなわち車両が停止している状態である。車両1が走行したらステート1へ進む。駐車支援装置100は、駐車枠検知指示があれば駐車方法をドライバに照会する。ドライバが前向き駐車を選択した場合、ステート2へ進む。ドライバが後退駐車を選択した場合、別ルーチンへ進む。
【0085】
ステート1は、走行状態であり、駐車枠検知指示があればステート2へ進み、車両1が停車したらステート0へ戻る。ステート2は、説明状態であり、駐車支援装置100は、前向き自動駐車の起動手順を説明し、ステート3へ進む。ステート3は、検知状態であり、駐車支援装置100は、駐車枠検知を行い、駐車枠を検出したら次へ進む。
【0086】
ステート4は、検出状態であり、駐車支援装置100は、駐車枠の検出を報知し、次へ進む。ステート5は、受付状態であり、駐車支援装置100は、駐車指示の照会と時間的余裕のカウントダウンを報知しつつ、ドライバからの駐車指示を待つ。ドライバは報知に対して、駐車指示操作か否認動作のいずれかを行っても良いし、何も行わなくても良い。否認動作は、検出している駐車枠へ駐車しない事をドライバが意思表示する動作であり、否認動作を検出した場合は、検出している駐車枠をスキップして、先に進む。駐車支援装置100は、駐車指示を検出したら次へ進み、否認動作の受け付けまたは期限切れでステート3に戻る。
【0087】
ステート6は、照会状態であり、駐車支援装置100は、受付応答(ハンドル振動)を実行し、承認動作(ハンドルの解放)があれば次のステート7へ進む。ステート6で否認動作を検出した場合、または時間切れの場合はステート3に戻る。つまり、ドライバは駐車枠をスキップしたい場合、否認動作をしても良いし、何もしなくても良い。ステート7は、自走状態であり、車両1が直線と弧で構成された駐車経路を自動走行し、終わったら次へ進む。ステート8は、終了状態であり、駐車支援装置100は、自動駐車の終了を報知して終了する。
【0088】
検出している駐車枠へ駐車しないことをドライバが意思表示する否認動作は、ハンドルまたはウインカレバーを中立方向に戻す操作、または、所定角を越えてハンドルを回転する操作、または、ハザードランプの消灯、または、アクセルペダルの操作、または、駐車指示を取り消すボタン操作、のいずれでも良く、そのうち少なくとも一つを検出した場合に、否認動作があったと判定する。否認動作のタイミングは、前後しても良い。駐車指示の照会の前に否認動作があった場合は、駐車指示の照会をせず、駐車指示操作を受付けなければ良い。否認動作の前に駐車指示操作があった場合は、その駐車指示操作の受付けを取り消して、駐車指示が無かった場合と同じ状態にしても良い。例えば、転舵点の手前で徐行速度まで減速するようなブレーキ操作が、駐車指示操作として受付けられた場合、ドライバはアクセルペダルを踏んで加速することにより、スキップを指示できる。
【0089】
なお、否認動作が駐車指示操作と逆の操作である事は必要なく、否認動作があった時に駐車指示操作の受付けを取り消す事も必須ではない。例えば、前方左側に空き駐車枠が二つあって、手前から二つ目の駐車枠に駐車した場合、ドライバはウインカを左に倒して左側への自動駐車を指示する指示操作を行い、最初の受付応答(ハンドル振動)に対してアクセルを軽く踏んでスキップを指示しても良い。駐車支援装置100は、アクセル操作を否認動作として受け付けるが、ウインカが左に倒れているので、左への駐車指示は継続していると判定し、二つ目の駐車枠の確認点でも受付応答を出力する。このようにすると、二つ目の駐車枠に停めたい時は、2回目の振動で手を離せばよいので、空き駐車枠が連続する場合も、希望する駐車枠に自動駐車する事ができる。
【0090】
駐車支援装置100は別ルーチンの処理で後退駐車を実行することも可能であるが、本実施の形態では後退駐車の処理(別ルーチン)については説明を省略する。以下に、ステートの詳細説明を含む制御フローを、
図12乃至
図15を用いてステップ毎に説明する。
【0091】
駐車支援装置100の操作受付部110は、イグニンションがオンにされたかを判定する(ステップS1)。イグニンションがオンにされていない場合(ステップS1,NO)、ステップS1の処理に戻る。
【0092】
イグニンションがオンにされた場合(ステップS1,YES)、状態管理部120はドライバの操作や車両の状態の情報を受付け、駐車支援の状態(ステート)を管理する。例えば、状態管理部120は、車速が1km/hを超えているか否かを判定することにより、車両1が停車中(ステート0)か走行中(ステート1)か判定する(ステップS2)。この例では、車速が1km/h以下の微速も停止状態(ステート0)に含めている。
【0093】
次に、操作受付部110は、車速が1km/h以下で車両1が停止状態(ステート0)である(ステップS2,NO)時に、駐車枠検知ボタンが押され、駐車枠検知機能がオンにされたか否かを判定する(ステップS3)。駐車枠検知機能がオンにされていない場合(ステップS3,NO)、ステップS2の処理に戻る。
【0094】
停止状態(ステート0)で駐車枠検知機能がオンにされた場合(ステップS3,YES)、表示画像出力部180は、「前進」と「後退」のボタンを画面に表示し(ステップS4)、前進駐車か後退駐車かをドライバに照会する(ステップS5)。
【0095】
ドライバが前進駐車または後退駐車を指定する入力をしていない場合(ステップS5,未入力)、ステップS4の処理に戻る。ドライバが後退駐車を指定する入力をした場合(ステップS5,後退駐車)、状態管理部120は、後退駐車ルーチンの処理を実行する。本実施の形態の駐車支援装置100は、ノンストップで前進駐車できる機能に特徴があるので、停車して後退駐車する場合の処理については説明を省略する。
【0096】
ドライバが前進駐車を指定する入力をした場合(ステップS5,前進駐車)、状態管理部120は、説明状態(ステート2)に移行し、前向き自動駐車の起動手順をドライバに報知する説明状態(ステート2)に移行する(ステップS7)。
【0097】
ステップS2において、車両が走行状態(ステート1)であるとステップS6に進む。ステップS6において、駐車枠検知機能がオンにされた場合(ステップS6、YES)も、前向き自動駐車の起動手順をドライバに報知する説明状態(ステート2)に移行する(ステップS7)。
【0098】
つまり、ステップS2において、車速が1km/hを超えていて車両1が走行状態(ステート1)にある場合、駐車枠検知機能がオンにされると、ドライバに照会せずに前進駐車が指定されたものとする。
【0099】
これは、後退駐車は必ず停車を伴うので、ドライバが後退駐車を選択する場合は停車中に操作すれば良いが、前進駐車は停車を伴わずに駐車するので、走行中は選択操作が困難であることに対応した最適化である。
【0100】
ステップS6において、駐車枠検知機能がオンにされなかった場合(ステップS6、NO)はステップS2に移行し、車速の判定に戻る。
【0101】
ステップS7の説明状態(ステート2)では、表示画像出力部180は、自動駐車手順を報知する。具体的には、ドライバが自動駐車を起動する手順を音声メッセージで報知し、助手席から自動駐車を起動する手順を表示画像で報知する。助手席から駐車指示する手段を設けない場合は、表示画像出力部180は、ドライバが自動駐車させる手順を、表示画像で報知しても良い。なお、次のステップには、メッセージ出力の完了を待たずに遷移する。
【0102】
そして、駐車枠検知部140は、フロントカメラ画像から駐車枠を探す駐車枠検知を実行し、検知状態(ステート3)に移行する(これより
図13、ステップS8)。
【0103】
次に、駐車枠検知部140は、駐車枠が検出されたか否かを判定する(ステップS9)。駐車枠が検出されていない場合(ステップS9,NO)、ステップS8の処理に戻る。駐車枠が検出された場合(ステップS9,YES)、ステート4の検出状態に進み、表示画像出力部180は、駐車枠の検出を音声メッセージで報知する(ステップS10)。なお、メッセージは駐車枠を検出した位置に依存し、駐車枠は左右両方で検出することがあるので、左右のうち一方の検知範囲の探索が完了した時点では報知せず、両方の探索完了を待って、検出の有無を判定すると良い。
【0104】
また、ステップS10では音声メッセージの長さは、駐車指示を受け付ける時間的余裕に応じて選択しても良い。時間的余裕は車速に依存するので、車速に応じて選択しても良い。例えば、車速が遅ければ「右に駐車枠を検出しました、駐車しますか」と報知し、速ければ「右に駐車しますか」と報知しても良い。
【0105】
ステップS11からステップS15は、ステート5の受付状態に対応する処理であり、時間的余裕を報知しながら駐車指示を受け付ける。つまり、時間的余裕を報知するメッセージの出力中に、ステップS11からステップS15のループを複数回廻る。
【0106】
まず、表示画像出力部180は、時間的余裕を、例えば「3,2,1,0」のように簡単な数字のうちの一つを、時間的余裕としてドライバに報知する。例えば、最初のループでは「3」、次のループでは「2」の様に時間的余裕をカウントダウンしていく(ステップS11)。なお、時間的余裕の報知は、車速に応じて各数字を報知する時間間隔を変えると良い。駐車枠を検出してから駐車指示を締め切るまでの時間は、検出した駐車枠までの距離と車速で決まるので不定であるが、時間的余裕の報知が不定な数字から始めると、操作手順を説明しにくく、理解されにくいからである。
【0107】
そこで、例えば、時間的余裕を「3,2,1,0」と報知する場合、「報知の間隔=時間的余裕の初期値÷4」のように報知の間隔を設定すれば良い。そうすれば「三つ数える間に指示すれば良い」と判る。
【0108】
次に、状態管理部120は、時間的余裕として「0」が報知されたか否かを判定する(ステップS12)。時間的余裕として「0」が報知された場合(ステップS12,YES)は、駐車指示の受付期間が終わっているので、ステップS8に戻って次の駐車枠を検知し、検知状態(ステート3)に移行する。なお、時間切れで駐車しない場合に、「駐車枠をスキップしました」のような、スキップすることを報知する処理を、ステップS8に戻る前に実行させても良い。
【0109】
時間的余裕として0が報知されていない場合(ステップS12,NO)、操作受付部110は、駐車に対するドライバの否認動作(例えばアクセル操作)があったか否かを判定する(ステップS13)。
【0110】
否認動作があった場合(ステップS13,YES)、駐車枠のスキップが指示されたと判定し、ステップS8の処理に戻る。なお、ステップS12の場合と同様に、「駐車枠をスキップしました」のような、スキップすることを報知する処理を、ステップS8に戻る前に実行させても良い。
【0111】
否認動作がない場合(ステップS13,NO)、操作受付部110は、駐車指示(例えばウインカ操作)が検出されたか否かを判定する(ステップS14)。駐車指示が検出されていない場合(ステップS14,NO)、状態管理部120は、時間的余裕の減算を行い(ステップS15)、ステップS11に戻って、更新した時間的余裕を報知する。
【0112】
すなわち、時間切れが無く(ステップS12、NO)、否認動作が無く(ステップS13、NO)、駐車指示も無ければ(ステップS14、NO)、状態管理部120は、ステップS15で時間的余裕を更新(減算)して、ステップS11の時間的余裕の報知処理に戻る。
【0113】
駐車指示が検出された場合(ステップS14,YES)、状態管理部120は、駐車指示が妥当か否かを判定する(ステップS16)。例えば、ウインカの方向に検出した駐車枠が無ければ、駐車指示が妥当ではなく、否認動作と判定して(ステップS16、NO)、ステップS8に戻る。つまり、ドライバは、空き駐車枠と逆方向を指示することで否認しても良い。
【0114】
例えば、ウインカが出た方向に検出した駐車枠があれば、状態管理部120は、駐車指示が妥当であると判定し(これより
図14、ステップS16、YES)、その駐車指示を受け付け、ステップS17の処理に進む。
【0115】
ステップS17からステップS22の処理は、ステート6の照会状態に対応する処理であり、照会信号(例えばハンドルの振動)を一定時間出力して、承認動作(例えばハンドルの解放または操舵トルクの低下)を求める処理である。
【0116】
まず、状態管理部120は、駐車枠が前記駐車指示操作に符合すると判定した場合に、承認動作を照会する照会信号を出力させる。照会信号は、前記操縦系の振動、音声、およびメッセージのいずれかを含む。例えば、ドライバはハンドルが振動した時に、承認動作としてハンドルから手を離せば良い。承認動作の受付期間を管理するため、照会信号の出力期間をタイマでカウントする(ステップS17)。そして、状態管理部120は、駐車に対する否認動作が検出されたか否かを判定する(ステップS18)。
【0117】
否認動作が検出されていない場合(ステップS18,NO)、状態管理部120は、照会信号が出ている間に、駐車に対する承認動作が検出されたか否かを判定する(ステップS19)。
【0118】
ここまでのステップで、駐車枠が駐車指示操作に符合すると判定し、照会信号を出力しており、承認動作があった場合に自動駐車を開始する。承認動作はハンドルの解放、またはハンドルの操舵トルクの低下、ブレーキペダルの解放、またはブレーキペダルの減圧、のいずれかであり、そのうち少なくとも一つを検出している時に、承認動作があったと判定する。つまり、ハンドルの解放とブレーキペダルの解放の両方があった場合に承認動作があったと判定しても良い。そうすれば、ステップS23以降で自動駐車を開始する時に、ドライバの手足による干渉を受けずに自動操舵や車速制御を行うことができる。
【0119】
承認動作が検出されていない場合(ステップS19、NO)、状態管理部120は、タイマを減算する(ステップS20)。そして、状態管理部120は、タイマのカウント値が0より大きいか否かを判定する(ステップS21)。
【0120】
そして、タイマのカウント値が0より大きい場合(ステップS21,YES)、ステップS18の処理に戻り、ループの周回を続ける。タイマのカウント値が0になった場合(ステップS21,NO)、状態管理部120は、照会信号の出力を停止して(ステップS22)、ステップS8の処理に戻り、次の駐車枠の検知を行う。
【0121】
ステップS18において、否認動作を検出した場合(ステップS18、YES)、状態管理部120は、直ちに駐車枠をスキップする指示を受けたと判断し、照会信号を停止して(ステップS22)、次の駐車枠の検知に戻る(ステップS8)。なお、ステップS22で行う処理に、「スキップしました」のような、スキップする事の報知を加えても良い。
【0122】
否認動作は、ステート5の受付状態での否認動作(例えば、アクセル操作)と同じ動作でも良いし、駐車指示と逆方向の操作(例えば、ハンドルを逆向きに廻す)でも良いし、駐車指示の取り消し(例えば、ハザードランプの消灯)でも良い。また、照会信号が出ている間に承認動作をしなければ(例えば、ハンドルが振動しても手を離さない)、否認動作をした場合と同じ結果になるので(ステップS21,NO)、駐車を望まない場合は、いずれかをすれば良い。
【0123】
否認動作が無く(ステップS18,NO)、照会信号が出ている間に承認動作が行われた場合(ステップS19、YES)、表示画像出力部180は、自動駐車の開始を報知する(これより
図15、ステップS23)。承認動作の受付期間を照会信号が出ている間に制限する理由は、車両が所定の転舵点を越える前に自動駐車を開始するためである。つまり、車両が所定の転舵点を越える前に承認動作があった場合に限り、自動駐車を開始する。
【0124】
ステップS23からステップS26の処理は、ステート7の自走状態に対応する処理である。
【0125】
まず、表示画像出力部180は、例えば「自動駐車を開始します」のような、自動駐車の開始をドライバに報知する(ステップS23)。その後、走行制御部160は、車両1に駐車経路を自動走行させる(ステップS24)。
【0126】
自動走行(ステート7の自走状態)では、舵角と車速を自動制御して、経路計算部150が計算した駐車経路を車両1が走行する。駐車経路は、車両1の進路上にある転舵点まで直進する直線部分と、転舵点から旋回終了点まで円周上を走行する曲線部分と、旋回終了点から目標駐車位置まで直進する直線部分の三つの部分経路からなる。
【0127】
部分経路の各々について、舵角と走行距離が計算してあるので、所定の舵角で、所定の距離だけ走行したら、舵角を変えて次の部分経路の走行に移行すれば良い。
【0128】
その後、車両1は、駐車枠の中心線上を直線走行する最後の部分経路を、所定の距離だけ走行すると目標駐車位置に到達する。走行制御部160は、車両1が目標駐車位置に到達したか否かを判定する(ステップS25)。
【0129】
車両1が目標駐車位置に到達した場合(ステップS25,YES)、走行制御部160は、車両1を停車させる(ステップS26)。その後、表示画像出力部180は、「自動駐車を終了します」とドライバに報知する(ステップS27)。そして、ドライバがギヤをパーキングに入れ、EPS(電動パワーステアリング)がOFFになれば終了(ステート8の終了状態)である。
【0130】
本実施の形態のフローは、空き駐車枠を検出した後に駐車指示があることを前提としているが、空き駐車枠を検出する前に駐車指示がある場合の対応を説明する。
図16は、駐車枠検出前の状態を示す図である。
【0131】
図16では、空き駐車枠S1の駐車枠線L1の一部が駐車車両3に隠された状態にあるので、駐車枠は検出されない。この状態から車両1が前進すると、先ず、フロントカメラ画像で駐車枠S1が検出できるようになり、次にドライバが駐車枠S1内を確認できるようになるが、駐車枠S1が検出できていない
図16の時点で、駐車枠S1が駐車可能であるとドライバが予断して、駐車指示操作を行うことがある。
【0132】
そこで、駐車枠S1を未検出の時も、駐車指示操作を受け付けるようにしても良い。それに伴い、駐車指示操作を受け付けた時に駐車指示操作に符合する駐車枠を検出していない場合は、駐車枠が駐車指示操作に符合するか否かの判定を保留し、駐車指示操作に符合する駐車枠を検出した時に判定を行うようにしても良い。駐車枠を検出していない時に判定すると、駐車枠が駐車指示操作に符合しないと判定してしまうからである。これを、駐車指示操作に符合する駐車枠を検出するまで、符合するか否かの判定を延期する、と言い換えても良い。
【0133】
駐車指示操作に符合する駐車枠を検出していない場合には、駐車枠を全く検出していない場合を始め、駐車枠を検出しているが駐車指示操作が指示する方向には無い場合や、駐車枠を検出しているが、その駐車枠の確認点に達していない場合を含めても良い。まだ駐車枠を検出していない場合は、検出するまで待っても良いし、駐車指示操作が早すぎる場合は、確認点に達するまで待てばよい。
【0134】
判定の保留には期限を付けても良い。判定の保留をいつまでも継続していると、駐車指示操作を行ったことをドライバが忘れたころに判定が行われ、ドライバが意図しない動作になる恐れがあるからである。そこで、判定の保留中に所定の時間が経過した場合、または、判定の保留中に所定の距離を走行した場合は、駐車指示操作の受け付けを取り消し、自動駐車を行わないようにする。
【0135】
一例として、時速3kmで走行している時に、停めたい駐車枠の10m前で駐車を指示すると想定して基準を決めても良い。駐車枠の標準の幅は2.5mなので、10mは4枠分に相当する。時速3kmなら、10mの走行に12秒を要するので、保留中に所定の時間(例えば12秒)が経過した場合は保留を継続せず、駐車指示操作の受け付けを取り消して、自動駐車を行わないと決定してもよい。または、保留中に所定の距離(例えば10m)を走行したことを条件として、駐車指示操作の受け付けを取り消して、自動駐車を行わないと決定してもよい。そのようにすれば、ドライバが3枠先の駐車枠に駐車させるつもりで駐車指示操作をした場合にも対応できる。そして3枠先の駐車枠が空いていれば自動駐車を行い、4枠進んでも空き駐車枠の検出が無ければ、その時点で駐車指示操作をキャンセルしたと報知すれば良い。
【0136】
駐車指示操作を受け付けた時に駐車指示操作に符合する駐車枠を検出していない場合は、ドライバの操作が駐車指示ではなかった場合を含むので、保留中に駐車指示操作を取り消す否認動作があったと判定した場合は、駐車指示操作の受け付けを取り消し、自動駐車を行わないと決定してもよい。例えば、ハンドルが廻され、舵角が第一の閾値(例えば10度)を越えた時に駐車指示操作があったと判定した場合、ハンドルが廻された方向に駐車枠の検出が無く、更に、舵角が第二の閾値(例えば30度)を越えた場合は、右左折のためのハンドル操作だったと推定して、判定の保留を取り消し、駐車指示が無かったことにしても良い。ハンドルまたはウインカレバーを中立に戻すとか、ハザードランプを消灯するなど、駐車指示操作を取り消す操作も、否認動作と判定して同様に処理して良い。直進状態から駐車を開始する時は、減速する事はあっても加速することは無いので、アクセル操作が所定の閾値を越えた時も、否認動作と判定して良い。
【0137】
判定の保留に対する否認動作の判定基準(例えば閾値)は、照会信号に対する否認動作の判定基準と同じでも良いが、より、否認動作であると判定し易くしても良い。つまり、駐車指示操作に符合する駐車枠を検出していない場合は、駐車指示操作に符合する駐車枠を検出している場合よりも、否認動作があったと判定し易くしても良い。なぜなら、駐車枠の検出が無い場合の方が、駐車を意図している確率が低いので、否認判定がドライバの意図に反する確率が低く、駐車を意図しているが駐車指示が早すぎた場合には、駐車枠を検出した時に、再度、指示させても良いので、否認判定によるデメリットが小さいからである。
【0138】
例えば、駐車枠S1内を確認できない状態で自動駐車を開始することは不安全であるし、駐車枠S1を検出しない状態では駐車経路を決定できないので、ステート3(検知状態)つまり駐車枠検知を起動しているが、駐車枠S1を検出していない時は、
図13の制御フローの通り駐車指示操作を検出しないようにしても良い。また、
図13の制御フローでステップS9からステップS8に戻る途中に、駐車指示を検出するステップを挿入し、そこで駐車指示を検出した場合は、「安全のため、駐車枠内を確認して駐車指示して下さい」のように、確認と再度の指示操作を求めても良い。そのようにすれば、早すぎる駐車指示を受付けないようにしても、受け入れられ易くなる。
【0139】
また、指示操作を受け付けて保留する場合も、報知を同時に行うと良い。前記説明のように、駐車枠S1を未検出の状態(ステップS9,NO)でステップS8に戻る途中に駐車指示操作を検出するステップを挿入し、そこで駐車指示を検出した場合に、駐車指示操作を受け付けたことを報知すると良い。駐車指示操作を受け付けたことをドライバに知らせないと、不必要で過剰な操作を招くことがあるので、例えば、「検知中です。お待ちください」のようなメッセージを出力して駐車指示を受け付けたことを報知する。その後、駐車枠S1の検出を待って、ステート4,5を経ずにステート6の照会状態(ステップS17)に進ませるようにフローを変更しても良い。駐車枠S1の検出と、駐車指示操作の検出のタイミングが前後しても、ステート6の照会状態以後の制御は同じで良い。
【0140】
ドライバは手動運転中、前方を注視している必要があるが、助手席の乗員はHMI装置20を見たり操作したりすることができるので、助手席から自動駐車機能を操作可能にしても良い。例えば、ステート2の説明状態において、ドライバへの音声による説明と同時に、HMI装置20の画面上に説明図やテキストを表示して、助手席の乗員が自動駐車を指示するための手順を説明しても良い。
【0141】
HMI装置20の画面上にフロントカメラ画像を表示し、駐車枠S1を検出(ステート5の受付状態)したら、検出した駐車枠S1を示す画像を重畳表示して、重畳表示した画像(つまり検出した駐車枠S1)をタッチすると、駐車指示として受け付けるようにしても良い。検出した駐車枠S1は、車両進行方向の左右いずれか、または両方にあるので、画面をタッチする操作は方向の指示を含む駐車指示操作の一例である。
【0142】
助手席からの駐車指示操作は、例えばハザードランプの点灯であっても良い。ハザードランプは助手席からも操作可能な位置に配置されているので、ハザードランプの点灯を駐車指示として受け付けるようにしても良い。ハザードランプの点灯は、方向の指示を含まない駐車指示操作の一例である。ハザードランプによる駐車指示操作があった時に、検出した駐車枠S1が左右両方にある場合は、HMI装置20の画面上で右か左かを選択させればよい。
【0143】
なお、助手席の乗員が駐車指示をしても、ステート6の照会状態でドライバが承認動作をしなければ自動駐車は開始しないので、最終的な決定権はドライバにあると言える。
【0144】
駐車指示操作に応じて、減速させるようにしても良い。例えば、走行制御部160は、駐車枠が、車両1の進行方向の左右両方にある場合、または駐車指示操作が方向の指示を含まない駐車指示操作である場合に、方向の指示を含む駐車指示操作が行われるまで、車両1が所定の転舵点を越えないように車速を制御することとしてもよい。例えば、ハザードランプによる駐車指示操作があった時に、検出した駐車枠S1が左右両方にある場合は、HMI装置20の画面上で右か左かを選択する操作、または、ハンドルかウインカレバーで左右を選択する操作があるまで減速を続ける。この時の減速率(時間当たりの速度変化=加速度)を、所定の転舵点の手前で車速がゼロになるように設定すると、左右を選択する操作があるまで車両1が所定の転舵点を越えることは無い。
【0145】
また、助手席の乗員とドライバとで確認点が異なることに対応しても良い。
図17Aは、助手席の乗員の確認点を示す図であり、
図17Bは、ドライバの確認点を示す図である。ドライバは手動運転中、前方を注視する必要があるので、
図17Bのように駐車枠S1内を目視可能になる、B(P4)の位置から駐車指示操作を受付けると良い。これに対し、HMI装置20にフロントカメラ画像を表示しておけば、助手席の乗員はHMI装置20でカメラ画像を見て、駐車枠S1内の安全を確認できるので、A(P3)の位置から駐車指示操作を受付けるようにしても良い。
【0146】
安全のため、確認点より手前でドライバによる駐車指示操作があっても、駐車指示を受付けないか、または受付の応答を延期しても良いが、助手席の乗員による駐車指示操作については、カメラ画像上で確認可能になる点を確認点として、駐車指示操作を受付けても良い。つまり、HMI装置20による駐車指示と、ハンドルやウインカ等による駐車指示とで、駐車指示の受付開始時点を変えても良い。
【0147】
フロントカメラ画像で駐車枠S1内を確認できることは、駐車枠S1を検出したことによって判るので、駐車枠S1の検出時点以降の駐車指示操作を受付けるようにしても良い。つまり、助手席からの駐車指示操作については、検出点を確認点と見なして良い。
【0148】
例えば、助手席から可能な駐車指示操作である、ハザードランプの点灯や、専用のボタンやHMI装置20の画面上のボタンの操作に対しては、駐車枠S1を検出した時点から駐車指示操作として受け付けても良い。操作があった時点で駐車枠S1を検出していない場合、「お待ちください」とアナウンスして待たせ、駐車枠S1を検出した時点で「左に駐車しますか?」と照会しても良い。
【0149】
また、駐車指示操作をドライバが行う指示操作、たとえばウインカの操作であっても、車速が十分に低いことを条件として、駐車枠S1を検出した時点から駐車指示操作として受け付けても良い。
【0150】
前進駐車では、転舵限界点P1を越えると検出した駐車枠S1に正しく駐車できなくなるので、受付状態において「左に駐車しますか?3,2,1」のように時間的余裕を報知し、時間内に駐車指示が無ければ、「0,駐車枠をスキップします」のように駐車しないことを報知して駐車枠検知に戻っても良い。
【0151】
商店の入り口から遠い等の何らかの理由で、検出された駐車枠に駐車したくない場合、ドライバは、時間切れを待たず、否認動作によりスキップを指示しても良い。例えば、「左に駐車しますか?」という問い合わせに応じてアクセルペダルを踏めば、否認動作と判定される。助手席からHMI装置20の画面上で操作する場合、画面上に表示された「NO」のボタンを押せば否認動作と判定される。
【0152】
また、駐車枠のスキップは照会状態においても行える。例えば、駐車枠検知の報知があった時にウインカレバーを操作したが、駐車指示操作のつもりではなく、駐車枠の先にある通路の方に曲がる事を意思表示するためだった場合には、ハンドルが振動した時に、ドライバは手を離さなければ良い。そうすれば車両1は、ハンドルの把持を否認動作と判定し、「駐車枠をスキップします」のように自動駐車しないことを報知して駐車枠検知に戻る。
【0153】
また照会状態では、受付状態の場合と同様に、アクセルペダルを踏むことで否認しても良い。照会状態における否認操作は、駐車指示を取り消す操作であっても良い。例えば、ウインカレバーで駐車指示した場合、ウインカレバーを中立の位置に戻せば否認操作になる。助手席の人がハザードランプの点灯で駐車指示した場合、ハザードランプを消灯すれば否認操作になる。また、否認操作は駐車指示とは別の操作であっても良い。例えば、HMI装置20の画面上の「NO」のボタンを押せば、駐車指示の手段と関係なく、否認動作と判定されるようにしても良い。つまり、助手席の人に拒否権を持たせても良い。
【0154】
図18は、次の駐車枠を検知しておく工夫を示す図である。制御フローではスキップが選択されるまで次の駐車枠を検知しないが、スキップを待たずに次の駐車枠を検知しても良い。例えば、駐車枠11を検出した時に、より前方の駐車枠が想定される範囲12を駐車枠検知領域に設定して駐車枠を検知しても良い。
【0155】
駐車枠11を検出した時は、
図18に示すように、次の駐車枠線がある位置13を予測すると良い。具体的には、検出した駐車枠11の枠線の位置と間隔に基づいて次の駐車枠線がある位置13を予測し、それを含むように駐車枠検知領域を設定すると良い。または、車両の前進に合わせて、例えば1m前進する毎に駐車枠検知を繰り返すようにしてもよい。駐車枠検知を継続的に実行していれば、駐車枠がスキップされる前に次の駐車枠を検出することがある。予め、次の駐車枠を検知しておくと、一つの駐車枠がスキップされた時に、次の駐車枠の有無に合わせて処理を最適化できる。
【0156】
例えば、次の駐車枠を検出していた場合は、次の駐車枠を検出していない場合と、異なるメッセージを出力するようにしても良い。具体的には、次の駐車枠を検出していた場合はスキップを報知するメッセージを短縮しても良い。そうすれば、次の駐車枠への自動駐車を提案するメッセージの出力前に、スキップを報知するメッセージの出力を完了させることができる。つまり、前のメッセージが出力中であるために、次の駐車枠への自動駐車を提案するメッセージの出力が遅れたり、スキップを報知するメッセージが途中で打ち切られて、不完全になったりすることを避けられる。
【0157】
図19は、空き駐車枠が連続する時のメッセージ出力について説明する図である。駐車枠S1と駐車枠S2が連続して空いている場合、駐車枠S1の転舵限界点P1aと、駐車枠S2の転舵限界点P1bが設定され、それぞれの転舵限界点に対応して駐車指示を打診するアナウンスが行われる。
【0158】
駐車枠S2が未検知の時に駐車枠S1がスキップされると、「駐車しますか?3,2,1,0,スキップしました」とアナウンスするが、「スキップしました」のアナウンスの途中で次の駐車枠S2を検出した時は、転舵限界点P1bまでにドライバの操作が間に合うように「スキップしました」を途中で打ち切って「駐車しますか?」と問う必要がある。そこで、予め次の駐車枠を検知しておいて、駐車枠S2を検出していた場合は、スキップの報知を短縮するか省略し、例えば、「駐車しますか?3,2,1,0,駐車しますか?3,2・・・」のように報知しても良い。
【0159】
一例として、転舵限界点の間隔が2.5m、車速が時速3kmの場合を想定する。この場合、2.5m÷(3km/3600秒)=3秒毎に転舵限界点を通過するので、例えば、最短3秒で一巡するメッセージ「駐車しますか?3,2,1,0」を作っておいて、空き駐車枠が連続しない場合に「スキップしました」を挿入するようにしても良い。また、車速に応じて出力するメッセージの長さを変えても良いし、メッセージ出力に最短で3秒を要することに対応して、車速が時速3km以下になるように制御しても良い。
【0160】
ステート6の照会状態で自動駐車の承認を求める制御を紹介したが、自動駐車の承認は、必ずしも必要ではなく、駐車指示に応じて、直ちに自動駐車を開始しても良い。例えば、走行中に駐車枠検知機能が起動された時に、進行方向の左右に進行方向と概ね平行な白線を検出した場合、左右の白線の間を通路と認識して、通路の中央を自動操舵で走行させる機能を起動しても良い。つまり、駐車枠検知しながら通路を走行する通路走行の段階で、自動操舵を開始しても良い。また、車速も含めて自動制御する自動走行を開始しても良い。既に自動走行を開始しているなら、自動駐車を開始する時に、改めて承認を求めなくても良い。
【0161】
自動操舵は、ドライバがハンドルを離す(ハンドルに操舵力を加えない)ことが前提なので、自動操舵を開始する時に、自動操舵の報知と、承認動作(ハンドルを離す)の確認を行うと良い。自動操舵で通路を走行している時にドライバがウインカレバーで駐車指示をした場合、ハンドルは既に離しているので、自動駐車を開始するために承認動作(ハンドルを離す)を求める必要はない。
【0162】
通路走行中はドライバに車速を制御させ、自動駐車中は車速も自動制御する場合は、自動駐車の開始時にペダルを解放させる必要があるが、自動駐車中も車速を自動制御しない場合は、ペダルを解放させる必要は無い。また、通路走行が自動走行(舵角と車速の両方を自動制御)の場合も、ペダルを解放させる必要が無い。承認が不要な場合、ステート5の受付状態で、駐車指示を受付けたと判定した時に、ステート6の照会状態を経ずにステート7の自走状態に遷移させても良い。
【0163】
無論、ドライバに報知せずに車両の挙動を変えることは好ましくなく、自動駐車の承認を求めない場合も自動駐車の開始は報知した方が良いので、ステート6で自動駐車を開始することを報知してから、ステート7の自走状態に遷移するようにしても良い。
【0164】
なお、一般に報知は、ドライバから煩わしく思われることがあり、特に、時間的余裕を報知すると心理的余裕を奪うため、嫌われることがある。そこで、心理的余裕を増やす方向の工夫を加えても良い。
【0165】
前進駐車においては、検出した駐車枠の手前に転舵限界点があり、転舵限界点を越えると検出した駐車枠に正しく駐車できなくなるので、承認動作を行うまでの時間的余裕が限られる。そこで、駐車指示操作があった時に、車両を減速させて、転舵限界点を越えるまでの時間を引き延ばすと良い。そうすれば、時間的余裕が増えるので、心理的余裕も増えることになる。例えば、ハザードランプが点灯された時に、検出された駐車枠が左右にあった場合、右か左か選択する操作も必要なので、ハザードランプの点灯に応じて自動的に減速させ、左右の選択が間に合うようにしても良い。
【0166】
駐車指示操作に応じて、自動で減速したり、減速を指示したりすることは、ドライバがウインカやハンドルで駐車指示操作を行う場合においても有効である。ウインカやハンドルで駐車指示操作を行う際に、ドライバがブレーキ操作による減速を行うことを、駐車指示操作として受け付ける条件としても良いし、駐車指示操作に応じて自動的に減速するようにしても良い。
【0167】
または、転舵した時に乗員が感じる横方向の加速度を抑える必要があるので、駐車指示操作として受け付ける条件に、車速が所定の閾値以下であることを駐車指示操作の検出条件に加えても良い。例えば、徐行速度まで減速することと、ウインカ操作が行われることの両方があった場合に、駐車指示操作を検出したと判定するようにしても良い。そうすれば、駐車指示操作を検出した時に、十分に減速されていることになる。または、ドライバに指示して減速させても良い。駐車指示操作があった時に、車速が所定の閾値を越えている場合は「減速して下さい」とアナウンスし、車速が所定の閾値以下にならない場合には「速度が速すぎました」とアナウンスして自動駐車を開始しないようにしても良い。また、駐車枠を検出した時、または、駐車指示操作を検出した時に、車両の車速が所定値(例えば時速10km)を超える場合、走行制御部は車両を自動的に減速して、車速が所定の閾値以下になるようにしても良い。
【0168】
図20は、駐車枠を検出した時に減速を開始することを説明する図である。空き駐車枠を探して、比較的早い速度(例えば時速15km)で駐車場内を走行していると、駐車指示操作があった時点で減速を開始しても、転舵を開始するまでに十分に減速できなかったり、転舵を開始するまでの減速が急減速になったりして、乗員が不快に感じることがある。
【0169】
そこで、駐車枠S1を検出した時点で車速を所定の閾値と比較し、所定の閾値を越えている場合は自動的に減速しても良いし、車速が速ければ自動駐車を開始できないことをドライバに報知して、減速を要求しても良い。
【0170】
駐車枠を検出した位置(検出点P3)で減速を開始すると、転舵点P2までの距離を走行する間に減速すれば良いので、減速率(加速度)を抑えることができ、旋回開始時の車速を抑えることにより、乗員が感じる遠心力(加速度)を小さくすることができる。
【0171】
空き駐車枠を検出した時の減速と、駐車指示があった時の減速は、併用しても良い。例えば、空き駐車枠を検出した時と、駐車指示があった時の、どちらか早い方の時点で減速を開始しても良いし、空き駐車枠を検出した時に、時速10km以下になるまで減速し、駐車指示があった時に時速5km以下になるまで減速するようにしても良い。
【0172】
また、駐車枠検知機能が作動している時に車速を監視し、車速が所定値を超える場合は、自動駐車を行わないことをドライバに報知して、減速を要求しても良い。例えば、「時速10km以上では駐車枠検知しません」と時速10kmを越えて走行している時に報知し、時速10kmを下回ると「駐車枠検知を開始します」と報知するようにすれば、ドライバは停めたい駐車枠に近づいた時に時速10km未満に減速するようになる。
【0173】
前進駐車においては、検出した駐車枠S1の手前に転舵点P2があり、転舵点P2を越えると検出した駐車枠に駐車できなくなるので、ステート5の受付状態において「左に駐車しますか?3,2,1」のように、カウントダウンで時間的余裕を報知する例を示したが、このような切迫感がある報知をすると、「急かされているようで嫌だ」と不快に感じる人も多い。
【0174】
そこで、駐車指示操作を受付けるまで、車両が所定の転舵点を越えないように車両の車速を制御しても良い。転舵点P2を越えないように減速させることにより、時間的余裕の報知を不要にしても良い。具体的には、駐車枠S1を検出した時点から減速を自動的に行い、その減速率を、転舵点P2より手前で車速がゼロになる(停車する)ように設定する。すると、ドライバの判断が遅れて、駐車指示も否認動作もしない状態が続くと、転舵点P2の手前で車両が停車する。つまり、転舵点P2を越えないように減速すると、時間的余裕が無限大になるので、時間的余裕を報知する必要性が無くなる。
【0175】
図21は、転舵点P2を越えないよう減速する工夫を示す図である。例えば、駐車枠S1を検出した時点で、転舵限界点P1の手前に転舵点P2を設定し、減速率一定で減速すると、転舵点P2の手前で速度がゼロになるように減速率を設定する。下のグラフのように減速率一定で減速している時に、車両の進んだ距離は上のグラフのように二次曲線になり、転舵点P2の手前で車速がゼロになって停止する。停止してしまえば時間的制約は無くなり、ドライバがHMI装置20の画面を見て確認しても問題ないので、安全に駐車指示を出せる。
【0176】
このような制御にしても、必ずしも一時停止する訳ではなく、車両が停車する前に駐車指示を行えば、停車せずに自動駐車に移行するので、ドライバが素早く操作すればノンストップで自動駐車が開始する。
【0177】
図22は、転舵点P2を越えないよう減速する工夫を示す別の図である。この図では車両が停止する前に駐車枠のスキップを指示した場合のグラフであり、スキップを指示すると車両は再加速して次の駐車枠に向かうので、車両は一時停止しない。こうした速度制御により、時間余裕を報知して不快感を招くことを避けながら、良好な使用感を得ることができる。
【0178】
このような、転舵点P2を越えないよう減速する工夫は、ステート6の照会状態に適用しても良い。つまり、操縦系が解放されるまで、車両が所定の転舵点を越えないように車両の車速を制御する。
図14のフロー図では、照会信号出力から所定時間(例えば1秒)が経過すると駐車枠がスキップされるので、直ちに承認動作(例えばハンドルの解放)をする必要がある。しかし、承認動作や否認動作を検出するまでは転舵点P2を越えないよう減速すれば、ドライバの動作を待つ時間の上限は無くても良い。
【0179】
例えば、車両の走行中にハンドルを離すことに不安を感じる人は、車両が転舵点P2の手前で停止した時にハンドルを離せば良いし、慣れている人は、ハンドルが振動した時に速やかにハンドルを離し、最小限の減速で止まらずに自動駐車を開始しても良い。また、スキップしたい時は、車両の停車を待たずにアクセルを踏むなどして、次の枠に向かえばよい。
【0180】
また、速度は駐車場の状況に応じて制御しても良い。前進駐車が前提の駐車場は、車両1の進行方向と駐車枠の中心軸が鋭角になるように駐車枠が設定されることが多く、駐車可能な駐車枠が通路の片側にだけ設定されることがある。例えば、車両進行方向に対して中心軸が鈍角になる駐車枠は、他の通路から進入するように設定された駐車枠である。
【0181】
そこで、前進駐車の駐車枠検知は、車両の進行方向と駐車枠の中心軸の成す角を評価し、鈍角であれば駐車枠として検出しない。また、駐車枠は利用上の都合が良い側が先に埋まる傾向があるので、駐車可能な駐車枠が通路の片側にだけある確率と比較して、通路の左右両側にある確率は小さい。
【0182】
よって、検出された駐車枠が左右両側にある場合に限って、左右の選択に時間が取れるよう、減速を強くしたり、停車させたりしても、利便性の低下は比較的小さく抑えられる。例えば、ハザードランプが点灯された時に、検出された駐車枠が左右両側にあった場合は、左右を選択する操作が更に必要なので、検出された駐車枠が左右一方にある場合よりも低い速度まで減速させても良いし、停車させても良いし、転舵限界点を越えない減速率で減速させても良い。
【0183】
また、駐車指示操作が、ドライバによる操作(ハンドルやウインカによる操作)か、助手席側乗員による操作(ハザードランプやHMI装置20による操作)か、によって減速の制御を変えても良い。
【0184】
ドライバはハンドルで身体を支えることができるのに対し、例えば、助手席の人がHMI装置20の画面上で操作した時に減速すると、加速度で身体が不安定になり、画面上のボタンを正しく押せないことがある。そこで、検出された駐車枠が左右にあって、駐車指示が方向の指示を伴わない場合は、方向の指示を伴う駐車指示があるまで、加速度で身体が不安定にならないように、減速率を抑えても良いし、停車させてから左右を選択させても良い。
【0185】
例えば、駐車指示がハザードランプなら無条件に停車させ、停車した後に左右を選択するボタンを画面表示して、自動駐車を開始するまでの操作を、全て停車中に行わせても良い。停車中なら、ドライバも任意に画面を見て操作することができる。駐車指示操作を助手席の人が行うケースはドライバが行うケースよりも少ないので、確定的に停車させるようにしても、利便性の低下は比較的小さい。
【0186】
図23は、ドライバがハンドル操作で駐車指示する場合の対応を示す図である。駐車指示操作がハンドル操作で行われる場合、ドライバが転舵した地点が転舵点として妥当な範囲であれば、その点を転舵点として自動駐車に移行しても良い。但し、ドライバが転舵する地点は予測できないので、転舵した時点で駐車経路を計算できることが前提となる。言い換えると、転舵した時点で駐車経路を計算できないなら、その点を転舵点として自動駐車に移行することはできない。また、ドライバが転舵した地点が転舵点として妥当でない場合もある。
【0187】
図23に示すように、駐車枠S1のずっと手前でハンドル操作による駐車指示操作が行われた場合は、ドライバが転舵した地点で転舵すると、駐車枠S1に正しく駐車する駐車経路が設定できない。そのような場合には、転舵させず、進路を維持させる必要がある。つまり、駐車経路が設定できない場合は、「ここからは駐車できません」と警告したり、操舵に逆らう反力をEPSで発生させて進路を維持させたりする必要がある。
【0188】
前述のように予め転舵点を決めて経路計算を行う場合は、ドライバのハンドル操作は駐車指示としてのみ受付けると良い。つまり、予定した転舵点で転舵することを前提とするので、ドライバのハンドル操作に逆らって進路を維持する。
【0189】
但し、ハンドルが危険回避や通路の右左折の目的で操作されることがあるので、不安全にならないように制御上の注意が必要である。例えば、小さな操舵力で少しだけハンドルが廻された時は、操舵に逆らう反力をEPSで発生させて進路を維持するが、操舵力が閾値を越えた時は反力を発生しないように制御しても良い。
【0190】
ハンドルが廻されると、反力で逆らっても進路が変わることがあるので、計算した進路通りに走行できなくなる恐れがある。そこで、ハンドルによる駐車指示の必要条件を、「左に振って中立に戻す」または「右に振って中立に戻す」にしても良い。そうすれば、ハンドルが中立で進路が元に戻った状態で駐車指示として受け付けられるので、ハンドルが廻っていて経路計算が容易になる。また、「振って戻す」操作は、危険回避や右左折の際の操作と区別できる点でも好ましい。
【0191】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、または、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0192】
本開示は、駐車支援装置および駐車支援方法に利用することができる。
【符号の説明】
【0193】
1 車両
2 カメラ
10 操作装置
20 HMI装置
30 車両制御装置
40 ナビゲーション装置
100 駐車支援装置
101 CPU
102 ROM
103 RAM
104 I/O
105 IMP
110 操作受付部
120 状態管理部
130 画像取得部
140 駐車枠検知部
150 経路計算部
160 走行制御部
170 記憶部
180 表示画像出力部
【手続補正書】
【提出日】2024-12-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車枠を検知する駐車枠検知部と、
車両の乗員の駐車指示操作を受け付ける操作受付部と、
前記駐車指示操作に符合する駐車枠に前記車両を自動駐車させる走行制御部と、
を備え、
前記駐車枠が前記車両の進行方向の左右いずれか一方向だけにあるか、または、前記駐車指示操作が方向の指示を含む駐車指示操作であり、前記駐車指示操作が指示する方向に前記駐車枠があるか、のいずれかの場合であって、かつ、前記駐車枠が前記車両の進行方向の所定の範囲にある場合に、前記駐車枠が前記駐車指示操作に符合すると判定し、
前記駐車枠検知部により検出された駐車枠に対応する所定の確認点を設定し、前記所定の確認点は、前記車両の乗員が前記駐車枠内を確認できるようになる地点であって、前記所定の範囲の始端は、前記所定の確認点に基づいて設定し、
前記乗員が前記駐車枠内を確認できるようになる地点は、前記乗員の頭部、または、前記車両に設けられたカメラと、前記駐車枠の長辺の延長線との位置関係に基づいて設定する、
駐車支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載の駐車支援装置であって、
前記駐車指示操作は、ハンドルを回転する操作、ウインカレバーを倒す操作、ハザードランプの点灯、ブレーキペダルの操作、所定のボタン操作のうち、少なくとも一つを含む操作であり、
前記方向の指示を含む駐車指示操作は、ハンドルを回転する操作、ウインカレバーを倒す操作、所定のボタンの操作のうち、少なくとも一つを含む操作である、
駐車支援装置。
【請求項3】
請求項1に記載の駐車支援装置であって、
前記駐車指示操作を受け付けた時に、前記駐車指示操作に符合する駐車枠を検出していない場合は、前記駐車枠が前記駐車指示操作に符合するか否かの判定を保留する、
駐車支援装置。
【請求項4】
請求項3に記載の駐車支援装置であって、
前記判定の保留中に所定の時間が経過した場合、または、前記判定の保留中に所定の距離を走行した場合は、前記駐車指示操作の受け付けを取り消し、前記自動駐車を行わない、
駐車支援装置。
【請求項5】
請求項1または請求項3に記載の駐車支援装置であって、
ハンドルまたはウインカレバーを中立方向に戻す操作、または、所定角を越えてハンドルを回転する操作、または、ハザードランプの消灯、または、アクセルペダルの操作、または、前記駐車指示を取り消すボタン操作、のうち少なくとも一つを検出した場合は、否認動作があったと判定し、前記否認動作があった場合は、前記自動駐車を行わない、
駐車支援装置。
【請求項6】
請求項5に記載の駐車支援装置であって、
前記駐車指示操作に符合する駐車枠を検出していない場合は、前記駐車指示操作に符合する駐車枠を検出している場合よりも、前記否認動作があったと判定し易くする、
駐車支援装置。
【請求項7】
請求項1に記載の駐車支援装置であって、
前記駐車枠検知部により検出された駐車枠に対応する所定の転舵点を設定し、前記所定の転舵点は、前記車両が前記駐車枠に収まる経路の旋回開始位置であって、前記所定の範囲の終端を前記所定の転舵点に基づいて設定する、
駐車支援装置。
【請求項8】
請求項7に記載の駐車支援装置であって、
前記走行制御部は、前記駐車指示操作が行われるまで、前記車両が前記所定の転舵点を越えないように車速を制御する、
駐車支援装置。
【請求項9】
請求項1に記載の駐車支援装置であって、
前記車両の車速が第1の所定値を超える場合、前記自動駐車を行わない、
駐車支援装置。
【請求項10】
請求項1に記載の駐車支援装置であって、
前記駐車枠を検出した場合、または、前記駐車指示操作を検出した場合で、かつ、前記車両の車速が第2の所定値を超える場合、前記走行制御部は前記車両を減速させる、
駐車支援装置。
【請求項11】
請求項1に記載の駐車支援装置であって、
前記駐車枠が前記駐車指示操作に符合すると判定し、かつ、承認動作があった場合に前記自動駐車を開始し、前記操作受付部がハンドルの解放、または前記ハンドルの操舵トルクの低下、ブレーキペダルの解放、または前記ブレーキペダルの減圧、のうち少なくとも一つを検出している時に、承認動作があったと判定する、
駐車支援装置。
【請求項12】
請求項11に記載の駐車支援装置であって、
前記駐車枠が前記駐車指示操作に符合すると判定した場合に、前記承認動作を照会する照会信号を出力し、前記照会信号は、操縦系の振動、音声、およびメッセージのいずれかを含む、
駐車支援装置。
【請求項13】
請求項11に記載の駐車支援装置であって、
前記車両が所定の転舵点を越える前に前記承認動作があった場合に前記自動駐車を開始する、
駐車支援装置。
【請求項14】
請求項11に記載の駐車支援装置であって、
前記承認動作があるまで、前記車両が所定の転舵点を越えないように前記車両の車速を制御する、
駐車支援装置。
【請求項15】
駐車枠を検知するステップと、
車両の乗員の駐車指示操作を受け付けるステップと、
前記駐車枠が前記車両の進行方向の左右いずれか一方向にだけあるか、または、前記駐車指示操作が方向の指示を含む駐車指示操作であり、前記駐車指示操作が指示する方向に前記駐車枠があるか、のいずれかの場合であって、かつ、前記駐車枠が前記車両の進行方向の所定の範囲にある場合に、前記駐車枠が前記駐車指示操作に符合すると判定するステップと、
前記駐車指示操作に符合する駐車枠に前記車両の自動駐車を行うステップと、
を備えた駐車支援方法であって、
前記駐車枠に対応する所定の確認点を設定するステップと、
前記所定の確認点を、前記車両の乗員が前記駐車枠内を確認できるようになる地点であって、前記所定の範囲の始端は、前記所定の確認点に基づいて設定するステップと、
前記乗員が前記駐車枠内を確認できるようになる地点を、前記乗員の頭部、または、前記車両に設けられたカメラと、前記駐車枠の長辺の延長線との位置関係に基づいて設定するステップと、を更に備えた
駐車支援方法。
【請求項16】
駐車枠を検知するステップと、
車両の乗員の駐車指示操作を受け付けるステップと、
前記駐車枠が前記車両の進行方向の左右いずれか一方向にだけあるか、または、前記駐車指示操作が方向の指示を含む駐車指示操作であり、前記駐車指示操作が指示する方向に前記駐車枠があるか、のいずれかの場合であって、かつ、前記駐車枠が前記車両の進行方向の所定の範囲にある場合に、前記駐車枠が前記駐車指示操作に符合すると判定するステップと、
前記駐車指示操作に符合する駐車枠に前記車両の自動駐車を行うステップと、
をコンピュータに実行させる駐車支援プログラムであって、
前記駐車枠に対応する所定の確認点を設定するステップと、
前記所定の確認点を、前記車両の乗員が前記駐車枠内を確認できるようになる地点であって、前記所定の範囲の始端は、前記所定の確認点に基づいて設定するステップと、
前記乗員が前記駐車枠内を確認できるようになる地点を、前記乗員の頭部、または、前記車両に設けられたカメラと、前記駐車枠の長辺の延長線との位置関係に基づいて設定するステップと、
を更にコンピュータに実行させる駐車支援プログラム。