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<図1>
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025015157
(43)【公開日】2025-01-30
(54)【発明の名称】電子ペーパー及び画像表示方法
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/34 20060101AFI20250123BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20250123BHJP
   G02F 1/167 20190101ALI20250123BHJP
【FI】
G09G3/34 C
G09G3/20 612B
G09G3/20 641P
G09G3/20 632G
G09G3/20 650M
G02F1/167
G09G3/20 660J
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023118355
(22)【出願日】2023-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 知哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148493
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 浩二
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】加藤 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】藤井 宣行
【テーマコード(参考)】
2K101
5C080
【Fターム(参考)】
2K101AA04
2K101AA08
2K101BA02
2K101BA12
2K101BB43
2K101BC02
2K101BC28
2K101BD61
2K101BE32
2K101BE71
2K101EB84
2K101EC71
2K101EE02
2K101EG52
2K101EG54
2K101EJ21
2K101EK35
5C080AA13
5C080BB05
5C080DD16
5C080EE29
5C080FF03
5C080JJ01
5C080JJ02
5C080JJ05
5C080JJ07
5C080KK01
5C080KK31
5C080KK34
(57)【要約】
【課題】本来の表示内容の妨げになることなく、電池の残量に関する情報を表示可能な電子ペーパー及び画像表示方法を提供する。
【解決手段】電子ペーパー100は、電力を供給する電池5と、電圧を印加することにより運動する色粒子を含む表示パネル10と、画像データに基づいて色粒子に書き換え電圧を印加することにより表示パネル10の画像を書き換える書き換え動作を制御する制御部21と、電池5の残量を検出する残量検出部22と、検出された残量に基づいて画像データの少なくとも一部に対して視覚的効果を有する画像変換を行う画像変換部23とを備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力を供給する電池と、
電圧を印加することにより運動する色粒子を含む表示パネルと、
画像データに基づいて前記色粒子に書き換え電圧を印加することにより前記表示パネルの画像を書き換える書き換え動作を制御する制御部と、
前記電池の残量を検出する残量検出部と、
検出された前記残量に基づいて前記画像データの少なくとも一部に対して視覚的効果を有する画像変換を行う画像変換部と
を備える、電子ペーパー。
【請求項2】
前記画像変換部は、前記残量に基づいて前記画像データの一部に対して前記画像変換を行う、請求項1に記載の電子ペーパー。
【請求項3】
前記画像変換部は、前記残量が予め定められた基準値以下の場合に、前記画像変換を行う、請求項1または請求項2に記載の電子ペーパー。
【請求項4】
前記画像変換部は、前記残量が少なくなるほど前記画像変換の程度を強める、請求項1または請求項2に記載の電子ペーパー。
【請求項5】
前記画像変換部は、入力階調値に対して出力階調値が高くなるように変換する第1階調変換、または前記入力階調値に対して前記出力階調値が低くなるように変換する第2階調変換のいずれかを行う、請求項1または請求項2に記載の電子ペーパー。
【請求項6】
前記画像変換部は、前記残量が少なくなるほど入力階調値に対する出力階調値の階調数を減らす階調圧縮を行う、請求項1または請求項2に記載の電子ペーパー。
【請求項7】
前記画像変換部は、前記画像の各画素に対して空間フィルタリングを行うとともに、前記残量が少なくなるほど前記空間フィルタリングで用いる周辺画素数を増やす、請求項1または請求項2に記載の電子ペーパー。
【請求項8】
前記空間フィルタリングは平滑化を含む、請求項7に記載の電子ペーパー。
【請求項9】
前記画像変換部は、前記画像の各画素に対して色調変換を行う、請求項1または請求項2に記載の電子ペーパー。
【請求項10】
電圧を印加することにより運動する色粒子に書き換え電圧を印加することにより画像データに基づいて前記色粒子を含む表示パネルの画像を書き換える書き換え動作を制御する制御工程と、
電池の残量を検出する残量検出工程と、
検出された前記残量に基づいて前記画像データの少なくとも一部に対して視認可能な画像変換を行う画像変換工程と
を含む、画像表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子ペーパー及び画像表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、何度も書き換え可能で消費電力の低い表示装置として、電子ペーパーが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、電子ペーパーの電池残量に基づいてディスプレイの表示部に電池残量の情報(電池残量を示す画像)を表示することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2011/001671号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電子ペーパーを用いた携帯端末には、パソコンや携帯電話と同様に電池が内蔵されている。電池残量はアイコン等で表示され、ユーザ自身で把握できる。電池残量が減ってくると、ユーザが必要に応じて充電を行う。しかし、業務用の電子ペーパー端末は、コンシューマー向け端末とは事情が異なる。例えば、電子ペーパー端末が広告表示を行っている状態で、広告内容とは関連がない電池残量表示や充電を促す表示を画面上に出すことは好ましくない。
【0005】
また、電子ペーパーは表示画面の書き換え時以外は待機状態であり、電力消費を抑えられる利点があるが、一方で広告表示の用途では長期間放置される可能性がある。そのため、電池を内蔵した電子ペーパー製品では、過放電による璽池の劣化(充電不可となったり、液漏れが生じる等)が懸念される。
【0006】
本開示は、本来の表示内容の妨げになることなく、電池の残量に関する情報を表示可能な電子ペーパー及び画像表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の電子ペーパーは、電力を供給する電池と、電圧を印加することにより運動する色粒子を含む表示パネルと、画像データに基づいて前記色粒子に書き換え電圧を印加することにより前記表示パネルの画像を書き換える書き換え動作を制御する制御部と、前記電池の残量を検出する残量検出部と、検出された前記残量に基づいて前記画像データの少なくとも一部に対して視覚的効果を有する画像変換を行う画像変換部とを備える。
【0008】
本開示の画像表示方法は、電圧を印加することにより運動する色粒子に書き換え電圧を印加することにより画像データに基づいて前記色粒子を含む表示パネルの画像を書き換える書き換え動作を制御する制御工程と、電池の残量を検出する残量検出工程と、検出された前記残量に基づいて前記画像データの少なくとも一部に対して視認可能な画像変換を行う画像変換工程とを含む。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、本来の表示内容の妨げになることなく、電池の残量に関する情報が表示可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の第1実施形態に係る電子ペーパー100の構造を概略的に示す断面図である。
図2】電子ペーパー100のマイクロカプセル周辺の構造を概略的に示す拡大図である。
図3】電子ペーパー100の機能的構成を示すブロック図である。
図4】電子ペーパー100の画像表示方法を説明するためのフローチャートである。
図5】電池5の残量が約半年で無くなると仮定した場合の、電池5の残量の時間的推移を例示するグラフである。
図6A】電池5の残量が100%のときの表示画像を例示する図である。
図6B】電池5の残量が約60%のときの表示画像を例示する図である。
図6C】電池5の残量が0%間際になったときの表示画像を例示する図である。
図7】本開示の第2実施形態に係る電子ペーパー100Aの電池5の残量の時間的推移を例示するグラフである。
図8A】電子ペーパー100Aにおいて電池5の残量が100~40%のときの表示画像を例示する図である。
図8B】電池5の残量が約30%のときの表示画像を例示する図である。
図8C】電池5の残量が約20%のときの表示画像を例示する図である。
図8D】電池5の残量が10%のときの表示画像を例示する図である。
図9A】本開示の第2実施形態の変形例に係る電子ペーパー100Bにおいて電池5の残量が30%のときの表示画像を例示する図である。
図9B】電池5の残量が20%のときの表示画像を例示する図である。
図9C】電池5の残量が10%のときの表示画像を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0012】
<第1実施形態>
1.1 電子ペーパー100の構造
図1図6を参照して、本開示の第1実施形態に係る電子ペーパー100について説明する。図1は、本開示の第1実施形態の電子ペーパー100の構造を概略的に示す断面図である。
【0013】
図1に示すように、電子ペーパー100は、画像を表示する表示装置として機能する。電子ペーパー100は、例えば、電子棚札、電子広告、電子書籍端末または電子ノートとして用いられるが、ここでは広告表示を行う業務用装置を想定する。ただし、電子ペーパー100は、電子棚札、電子広告、電子書籍端末及び電子ノート以外の装置として用いられてもよい。
【0014】
電子ペーパー100は、筐体1と、表示パネル10と、制御装置20(図3を参照して後述)とを備える。筐体1は、表示パネル10を収容する。筐体1は、前面に開口部1aを有する。制御装置20は、電子ペーパー100の各種動作を制御する。これにより、電子ペーパー100は、所定の画像を表示する。
【0015】
表示パネル10は、画像を表示する。表示パネル10は、筐体1の開口部1aよりも大きく形成されており、開口部1aを覆うように配置される。表示パネル10のうち、開口部1aに対応する領域は、ユーザにより画像が視認される表示領域である。
【0016】
また、表示パネル10は、第1基板11と、第1基板11に対向配置される第2基板12と、複数のマイクロカプセル13と、第1電極14と、第2電極15とを備える。
【0017】
第1基板11は、ガラスまたは樹脂等の透明な板部材またはシート部材によって形成されている。第1基板11の外側(第2基板12とは反対側)の表面には、反射防止膜が形成されていてもよいし、撥水加工が施されていてもよい。第2基板12は、ガラスまたは樹脂等の板部材またはシート部材によって形成されている。
【0018】
マイクロカプセル13は、第1基板11と第2基板12との間に配置される。マイクロカプセル13は、第1基板11と第2基板12との間に、例えば1層敷き詰められる。マイクロカプセル13は、略球形を有する。マイクロカプセル13は、例えば、数十μm以上、数百μm以下の直径を有する。
【0019】
図2は、電子ペーパー100のマイクロカプセル13周辺の構造を概略的に示す拡大図である。図2に示すように、マイクロカプセル13は、膜131と、複数の色粒子132と、分散液133とを有する。膜131は、例えば、透明である。膜131は、例えば、透明な樹脂製の膜である。膜131の材質は、特に限定されるものではないが、例えば、ウレタン樹脂、メラニン樹脂、またはゴムである。
【0020】
色粒子132は、顔料である。色粒子132は、表示パネル10に表示される画像の一部を構成する。色粒子132は、電圧を印加されることにより運動する。本実施形態において、「運動する」には、移動したり回転したりすることが含まれる。本実施形態では、色粒子132は、電気泳動する粒子である。具体的には、色粒子132は、第1電極14と第2電極15との間に印加される電圧に応じて、分散液133内を移動する。これにより、表示パネル10に所定の画像が表示される。
【0021】
色粒子132は、例えば、有機または無機の粒子である。本実施形態では、色粒子132は、例えば、黒色顔料としての黒色粒子132aと、白色顔料としての白色粒子132bとを有する。黒色顔料としての黒色粒子132aは、特に限定されるものではないが、例えば、カーボンブラックまたはチタンブラックを含む。白色顔料としての白色粒子132bは、特に限定されるものではないが、例えば、二酸化チタンまたは三酸化アンチモンを含む。なお、黒色粒子132a及び白色粒子132bは、本開示の「色粒子」の一例である。
【0022】
黒色粒子132aは、例えば、マイナスに帯電している。その一方、白色粒子132bは、例えば、プラスに帯電している。つまり、黒色粒子132aと白色粒子132bとは、互いに色が異なるとともに、互いに異なる極性に帯電している。なお、黒色粒子132aがプラスに帯電し、白色粒子132bがマイナスに帯電してもよい。
【0023】
本実施形態では、上記のように、色粒子132は、黒色顔料及び白色顔料を含む。ただし、色粒子132は、黒色顔料及び白色顔料に代えて、他の色の顔料を含んでもよい。また、色粒子132は、黒色顔料及び白色顔料に加えて、他の色の顔料を含んでもよい。他の色の顔料として、例えば、黄色顔料、赤色顔料、青色顔料、白色顔料及び/または緑色顔料が使用可能である。
【0024】
分散液133は、例えば、透明である。分散液133は、絶縁性を有する液体である。分散液133は、特に限定されるものではないが、例えば、水、アルコール系溶媒、エステル類、ケトン類、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、または油類を含んでもよい。本実施形態では、分散液133は、例えば、脂肪族炭化水素を含む。
【0025】
第1電極14及び第2電極15は、マイクロカプセル13を挟むように互いに対向して配置される。
【0026】
第1電極14は、例えば、マイクロカプセル13に対して外側(第1基板11側)に配置される。第1電極14は、例えば、第1基板11上に形成されていてもよい。本実施形態では、第1電極14は、第1基板11上に形成されている。
【0027】
第1電極14は、透光性を有する導電材料により形成されている。第1電極14は、特に限定されるものではないが、例えば、ITOにより形成されている。本実施形態では、第1電極14は、共通電極である。第1電極14は、例えば、複数(ここでは、全て)の画素に対して1つ設けられている。第1電極14は、例えば、接地されており、グランド電位を有する。
【0028】
第2電極15は、例えば、マイクロカプセル13に対して内側(第2基板12側)に配置される。第2電極15は、例えば、第2基板12上に形成されていてもよい。本実施形態では、第2電極15は、第2基板12上に形成されている。
【0029】
第2電極15は、特に限定されるものではないが、例えば、銅等の金属材料により形成されている。本実施形態では、第2電極15は、画素電極である。第2電極15は、平面視で略矩形状に形成されており、複数設けられている。複数の第2電極15は、互いに所定の隙間を隔てて、隣接して配置されている。
【0030】
例えば、第2電極15aに正の電位を印加すると、第2電極15aと第1電極14との間の黒色粒子132aは、第2電極15aに引き寄せられる。また、第2電極15aと第1電極14との間の白色粒子132bは、第1電極14に引き寄せられる。
【0031】
その一方、例えば、第2電極15bに負の電位を印加すると、第2電極15bと第1電極14との間の黒色粒子132aは、第1電極14に引き寄せられる。また、第2電極15bと第1電極14との間の白色粒子132bは、第2電極15bに引き寄せられる。
【0032】
1.2 電子ペーパー100の機能的構成
次に、図3を参照して、電子ペーパー100の機能的構成について説明する。図3は、電子ペーパー100の機能的構成を示すブロック図である。
【0033】
図3に示すように、電子ペーパー100は、上述した表示パネル10及び制御装置20に加え、通信部3と、電力を供給する電池5とを備える。電子ペーパー100は、ユーザによる入力操作を受け付ける操作ボタンをさらに含んでもよい。また、電子ペーパー100は、表示パネル10の表面に、ユーザによる入力操作を受け付けるタッチパネルを含んでもよい。
【0034】
通信部3は、例えば、無線通信するためのインターフェイス装置である。通信部3は、例えば、ネットワークインターフェイスコントローラである。通信部3は、例えば、インターネット及び公衆電話網等の通信ネットワークを介して、パーソナルコンピュータ等と通信する。通信部3は、例えば、パーソナルコンピュータ等の指示端末(図示せず)からの指示信号を受信可能である。なお、通信部3は、指示端末(図示せず)との間で信号を送受信可能であってもよい。また、通信部3は、例えば、有線通信するためのインターフェイス装置であってもよい。
【0035】
制御装置20は、制御部21と、残量検出部22と、画像変換部23と、記憶部24とを含む。制御部21は、プロセッサを有する。制御部21は、例えば、中央処理演算機(Central Processing Unit:CPU)を有する。または、制御部21は、汎用演算機を有してもよい。
【0036】
記憶部24は、データ及びコンピュータプログラムを記憶する。データは、例えば、表示パネル10に表示させる表示画像に関する画像データを含む。
【0037】
記憶部24は、主記憶装置と、補助記憶装置とを含む。主記憶装置は、例えば、半導体メモリである。補助記憶装置は、例えば、半導体メモリ及び/またはハードディスクドライブである。記憶部24はリムーバブルメディアを含んでいてもよい。制御部21は、記憶部24の記憶しているコンピュータプログラムを実行して、後述する書き換え動作を実行する。
【0038】
次に、制御部21について詳細に説明する。制御部21は、書き換え動作を実行可能である。書き換え動作は、表示パネル10の画像を書き換える動作である。
【0039】
制御部21は、画像データに基づいて書き換え動作を実行する。制御部21は、色粒子132に書き換え電圧を印加することにより書き換え動作を実行する。具体的には、制御部21は、第1電極14及び第2電極15間に書き換え電圧を印加することにより書き換え動作を実行する。
【0040】
書き換え電圧は、書き換え後の画像の表示階調に対応する電圧である。例えば、白黒の16階調のダイナミックレンジにおいて、書き換え後の表示画像のうちのある画素の表示階調が例えば「5」である場合には、その画素に表示階調「5」に対応する電圧が印加される。書き換え動作では、書き換え後の表示画像の各画素の表示階調に対応する電圧が、画素毎に印加される。なお、書き換え後の表示画像のうちのある画素の表示階調が例えば「15(白)」である場合には、その画素には正の最大電圧(表示階調「15」に対応する電圧)が印加される。また、書き換え後の表示画像のうちのある画素の表示階調が例えば「0(黒)」である場合には、その画素には負の最大電圧(表示階調「0」に対応する電圧)が印加される。
【0041】
残量検出部22は、電池5の残量を検出する。電池5の残量は、例えば、所定の消費電流における電池5の電圧の検出結果に基づいて検出できる。ただし、電圧検出時の消費電流が小さ過ぎると、電池5の残量が少なくなっていても、電圧が一時的に本来よりも高めに出現することがあり得るので注意が必要である。例えば、電池5の電圧の検出結果と残量の関係を予め実験等で求めておき、それらのデータが記憶部24に記憶されていてもよい。その場合、残量検出部22は、電池5の電圧の検出結果と記憶部24に記憶されているデータを用いて、電池5の残量を検出することができる。
【0042】
電池5の電圧の検出方法としては、例えば、制御装置20がA/D変換(Analog/Digital Conversion)機能を有していれば、その機能が使用できる。具体的には、電池5の正極側を制御装置20のA/D入力ポートに接続することで、制御装置20が電池5の電圧を検出できる。ただし、電池5の電圧の検出方法は、これに限らない。
【0043】
電子ペーパー100の電力消費の大部分が、表示パネル10の表示内容の書き換え動作やその直前の画像変換を含む演算等によるものであれば、書き換え動作の実行回数に基づいて電池5の残量の推定が可能である。そこで、電池5の充電完了後の、表示パネル10の書き換え動作の積算実行回数や電池5の残量との関係データが記憶部24に記憶されるようにしてもよい。その場合、残量検出部22は、書き換え動作の積算実行回数等に基づいて電池5の残量を検出できる。
【0044】
また、表示パネル10の待機状態における消費電流自体は僅かであっても、長時間が経過すると電力消費としては無視できない可能性もある。そこで、電池5の充電完了後の経過時間と電池5の残量との関係データや、充電完了日時が記憶部24に記憶されるようにしてもよい。その場合、残量検出部22は、電池5の充電完了後の経過時間等に基づいて電池5の残量を検出できる。
【0045】
また、残量検出部22は、上述した方法、すなわち、電池5の電圧の検出結果、表示パネル10の書き換え動作の積算実行回数、及び電池5の充電完了後の経過時間の少なくとも2つ以上を組み合わせて電池5の残量を検出してもよい。ただし、電池5の残量の検出方法は、ここで例示した方法には限らない。
【0046】
なお、電池5がスマートバッテリであれば、残量検出部22は、電池5から残量の情報を読み出すことができる。これにより、残量検出部22は、電池5の正確な残量を検出できる。
【0047】
画像変換部23は、検出された残量に基づいて画像データの少なくとも一部に対して視覚的効果を有する画像変換を行う。したがって、電子ペーパー100は、電池5の残量に基づいて画像データの少なくとも一部に対して視覚的効果を有する画像変換を行ってから書き換え動作を行うことができる。この結果、表示パネル10に表示する本来の表示内容の妨げになることなく、電池5の残量に関する情報が表示可能となる。
【0048】
なお、「画像データの少なくとも一部に対して」は、画像変換が常に画像データの全体に対して行われるとは限らず、画像データの一部に対してのみ画像変換が行われることがあることを意味する。「視覚的効果を有する画像変換」は、直接的・意図的な視覚的効果を有することを意味する。つまり、例えば、ファイル形式(JPEG、GIF、PNG等)の変換のように、直接的・意図的な視覚的効果を有さない画像変換は原則として含まれない。
【0049】
画像変換部23は、電池5の残量に基づいて画像データの一部に対して画像変換を行ってもよい。したがって、電子ペーパー100は、電池5の残量に基づいて画像データの一部に対してのみ視覚的効果を有する画像変換を行ってから書き換え動作を行うことができる。この結果、表示パネル10の大部分で本来の表示内容をそのまま維持しながら、表示パネル10の一部で電池5の残量に関する情報が表示可能となる。
【0050】
画像変換部23は、電池5の残量が予め定められた基準値以下の場合に、画像変換を行ってもよい。したがって、電子ペーパー100は、電池5の残量が予め定められた基準値を超えている間は画像変換を行わない。この結果、電池5の残量が十分ある期間は本来の表示内容をそのまま維持し、電池5の残量が少なくなったときのみ残量に関する情報が表示可能となる。なお、「基準値」とは、例えば40%である。すなわち、電池5の残量が40%以下の場合に、画像変換部23が画像変換を行ってもよい。
【0051】
画像変換部23は、電池5の残量が少なくなるほど画像変換の程度を強めてもよい。したがって、電子ペーパー100は、電池5の残量が十分なときは画像変換を弱めに行うとともに、残量が少なくなるほど画像変換の程度を強める。この結果、電池5の残量が十分ある期間は表示内容の見た目をあまり変えず、電池5の残量が少なくなったときに表示内容の見た目を次第に大きく変えるので、残量に関する情報がわかりやすく表示可能となる。例えば、電池5の残量が50%のときは、画像変換部23が画像の階調をやや明るめに補正する程度に留め、電池5の残量が25%になったら、画像変換部23が画像の階調をかなり明るめに補正するような態様である。
【0052】
1.3 画像変換の具体例
(1)階調補正
画像変換部23は、入力階調値に対して出力階調値が高くなるように変換する画像変換(本開示の「第1階調変換」の一例)を行ってもよい。または、画像変換部23は、入力階調値に対して出力階調値が低くなるように変換する画像変換(本開示の「第2階調変換」の一例)を行ってもよい。したがって、元の画像データに忠実な画像よりも明るくなる(白色に近づく)または暗くなる(黒色に近づく)ように画像の階調が補正される。この結果、元の画像データに忠実な画像とは視覚的に異なる画像が表示されるようになるので、画像変換の効果を容易に視認できる。
【0053】
(2)階調圧縮
画像変換部23は、電池5の残量が少なくなるほど、入力階調値に対する出力階調値の階調数を減らす階調圧縮を行ってもよい。したがって、電池5の残量が少なくなればなるほど、画像データの階調数が少なくなるので、滑らかだった階調変化が粗く変化するようになる。この結果、元の画像データに忠実な画像とは視覚的に異なる画像が表示されるようになるので、画像変換の効果を容易に視認できる。
【0054】
(3)空間フィルタリング
画像変換部23は、画像の各画素に対して空間フィルタリングを行うとともに、電池5の残量が少なくなるほど空間フィルタリングで用いる周辺画素数を増やしてもよい。したがって、電池5の残量が少なくなるほど、空間フィルタリングで用いる周辺画素数が増やされるので、空間フィルタリングの効果が強くなる。この結果、元の画像データに忠実な画像とは視覚的に異なる画像が表示されるようになるので、画像変換の効果を容易に視認できる。
【0055】
空間フィルタリングとしては、例えば、平滑化が挙げられる。したがって、電池5の残量が少なくなるほど、平滑化で用いる周辺画素数が増やされるので、画像のエッジ等のボケがより強くなる。この結果、元の画像データに忠実な画像とは視覚的に異なる画像が表示されるようになるので、画像変換の効果を容易に視認できる。ただし、空間フィルタリングは、平滑化に限られず、例えば、モザイク処理であってもよい。
【0056】
(4)色調変換
画像変換部23は、画像の各画素に対して色調変換を行ってもよい。したがって、元の画像データに忠実な画像の色調が次第に変化する。この結果、元の画像データに忠実な画像とは視覚的に異なる画像が表示されるようになるので、画像変換の効果を容易に視認できる。色調変換としては、例えば、色を薄くしたり(カラー画像をモノクロ画像に近づけたり)、全体をセピア調に変化させることが挙げられるが、これらに限らない。
【0057】
1.4 電子ペーパー100の画像表示方法
次に、図4を参照して、本実施形態の電子ペーパー100の画像表示方法について説明する。図4は、電子ペーパー100の画像表示方法を説明するためのフローチャートである。電子ペーパー100の画像表示方法は、ステップS1~S4を含む。
【0058】
以下では、図4を参照して、電子ペーパー100がユーザまたは指示端末から画像を書き換える指示を受けた後の画像表示方法について説明する。なお、ユーザによる書き換え指示は、例えば、ユーザが電子ペーパー100を操作することによって行われる。また、指示端末による書き換え指示は、例えば、予め決められた時刻に、指示端末から電子ペーパー100に書き換え信号を送信することによって行われる。
【0059】
また、電子ペーパー100の画像表示方法の説明においては、理解を容易にするために、第1電圧を表示階調0に対応する電圧(ここでは、-5V)とし、第2電圧を表示階調15に対応する電圧(ここでは、+5V)として説明する。
【0060】
図4に示すように、ステップS1において、制御部21は、書き換え後の表示画像に関する画像データを取得する。具体的には、制御部21は、書き換え後の表示画像に関する画像データを記憶部24から取得する。なお、画像データは、予め記憶部24に記憶されていてもよいし、指示端末から電子ペーパー100に送信されてもよい。
【0061】
次に、ステップS2において、残量検出部22が電池5の残量を検出する。なお、ステップS2は、本開示の「残量検出工程」の一例である。
【0062】
次に、ステップS3において、画像変換部23は、検出された残量に基づいて画像データの少なくとも一部に対して視覚的効果を有する画像変換を行う。なお、ステップS3は、本開示の「画像変換工程」の一例である。
【0063】
次に、ステップS4において、制御部21は、画像データに基づいて書き換え動作を実行する。具体的には、制御部21は、第1電極14及び第2電極15間に書き換え電圧を印加する。このとき、制御部21は、書き換え後の表示画像の各画素の表示階調に対応する電圧を、画素毎に印加する。そして、制御部21は、書き換え電圧を所定時間(例えば、0.2sec×6回)印加した後に、電圧の印加を停止する。なお、電子ペーパー100では、電圧の印加を停止した後も、表示画像は表示パネル10上に維持される。また、ステップS4は、本開示の「制御工程」の一例である。
【0064】
以上のようにして、電子ペーパー100の表示画像の書き換えが終了する。
【0065】
1.5 電子ペーパー100による画像表示例
図5は、電池5の残量が約半年で無くなると仮定した場合の、電池5の残量の時間的推移を例示するグラフである。図6Aは、電池5の残量が100%のときの表示画像を例示する図である。図6Bは、電池5の残量が約60%のときの表示画像を例示する図である。図6Cは、電池5の残量が0%間際になったときの表示画像を例示する図である。
【0066】
電子ペーパー100では、画像変換部23は、電池5の残量が少なくなるほど画像が明るくなるように、表示画像の階調を補正する。例えば、電池5が充電直後で残量が100%のとき(図5のP51)、画像変換部23は、図6Aに示すように、画像の階調を補正しない。
【0067】
3ヶ月程度が経過して電池5の残量が約60%になったとき(図5のP52)、画像変換部23は、図6Bに示すように、画像の階調をやや明るめに補正する。さらに3ヶ月(計6ヶ月程度)が経過して電池5の残量が0%間際になったとき(図5のP53)、画像変換部23は、図6Cに示すように、画像の階調をやや明るめに補正する。
【0068】
この結果、表示される広告のデザインなどがあまり損なわれることなく、電子ペーパー100Aの設置者や管理者が気付きやすい視覚的効果がもたらされる。
【0069】
<第2実施形態>
上述した第1実施形態に係る電子ペーパー100は、電池5の残量に応じて画像の階調補正の程度を徐々に強めるようにしていた。これに対して、第2実施形態に係る電子ペーパー100Aでは、電池5の残量が予め定められた基準値以下の場合のみ画像変換が行われる点が異なる。
【0070】
図7は、本開示の第2実施形態に係る電子ペーパー100Aの電池5の残量の時間的推移を例示するグラフである。図8Aは、電子ペーパー100Aにおいて電池5の残量が100~40%のときの表示画像を例示する図である。図8Bは、電池5の残量が約30%のときの表示画像を例示する図である。図8Cは、電池5の残量が約20%のときの表示画像を例示する図である。図8Dは、電池5の残量が0%間際になったときの表示画像を例示する図である。
【0071】
電子ペーパー100Aでは、電池5の残量が40%を超えている間は、画像変換部23は画像変換を行わない。例えば、電池5が充電直後で残量が100%のとき(図7のP71)、画像変換部23は、図8Aに示すように、画像の階調を補正しない。4か月程度が経過して電池5の残量が約40%になっても(図7のP72)、画像変換部23はやはり画像の階調を補正しない。
【0072】
しかし、5ヶ月程度が経過して電池5の残量が約30%になったとき(図7のP73)、画像変換部23は、図8Bに示すように、画像の階調をやや明るめに補正する。さらに約半月程度が経過して電池5の残量が約20%になったとき(図7のP74)、画像変換部23は、図8Cに示すように、画像の階調をさらに明るめに補正する。そして、電池5の残量が0%間際になったとき(図7のP75)、画像変換部23は、図8Dに示すように、画像の階調をかなり明るめに補正する。
【0073】
この結果、電池5の残量が十分ある期間(約4か月間)は本来の表示内容がそのまま維持されるので、表示される広告のデザインなどが損なわれることは一切ない。一方、電池5の残量が少なくなると、表示される広告のデザインの基本は維持しつつ、電子ペーパー100Aの設置者や管理者が気付きやすい視覚的効果がもたらされる。さらに、電池5の残量の減り方に対する表示内容の視覚的効果の変化の割合が、第1実施形態と比較して大きくなる。これにより、電子ペーパー100Aの設置者や管理者がより気付きやすくなる。
【0074】
<第2実施形態の変形例>
上述した第2実施形態に係る電子ペーパー100Aでは、画像変換は常に画像データの全体に対して行われる。これに対して、以下で説明する第2実施形態の変形例に係る電子ペーパー100Bでは、画像変換が画像データの一部(具体的には右端側の細い帯状領域)に対してのみ行われる点が異なる。
【0075】
図9Aは、本開示の第2実施形態の変形例に係る電子ペーパー100Bにおいて電池5の残量が30%のときの表示画像を例示する図である。図9Bは、電池5の残量が20%のときの表示画像を例示する図である。図9Cは、電池5の残量が10%のときの表示画像を例示する図である。
【0076】
電子ペーパー100Bでは、電池5の残量が40%を超えている間は、画像変換部23は画像変換を行わない。そのため、表示パネル10に表示される画像は、第2実施形態に係る電子ペーパー100Aによって表示される画像と全く同じである。つまり、例えば、電池5が充電直後で残量が100%のとき(図7のP71)も、残量が約40%のときも(図7のP72)、図8Aに示した画像が表示される。
【0077】
一方、5ヶ月程度が経過して電池5の残量が約30%になったとき(図7のP73)、画像変換部23は、図9Aに示すように、画像の右端側の細い帯状領域10aの階調をやや明るめに補正する。さらに約半月程度が経過して電池5の残量が約20%になったとき(図7のP74)、画像変換部23は、図9Bに示すように、画像の右端側の細い帯状領域10aの階調をさらに明るめに補正する。そして、電池5の残量が0%間際になったとき(図7のP75)、画像変換部23は、図9Cに示すように、画像の右端側の細い帯状領域10aの階調をかなり明るめに補正する。
【0078】
この結果、電池5の残量が少なくなっても、表示される広告のデザインの基本は画面の大部分で維持しつつ、電子ペーパー100Aの設置者や管理者が気付きやすい視覚的効果がもたらされる。
【0079】
<他の実施形態>
例えば、上記実施形態では、マイクロカプセル13を有するマイクロカプセル方式の電子ペーパー100に本開示を適用する例について説明したが、本開示はこれに限らない。例えば、マイクロカプセル13を有さず、色粒子132を有する方式の電子ペーパーに本開示が適用されてもよい。また、色粒子132の表面が半球面ずつ2色に塗り分けられ、色粒子132を回転させることにより表示画像を書き換えるツイストボール方式の電子ペーパーに、本開示が適用されてもよい。
【0080】
本発明は、その主旨または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文にはなんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本開示は、電子ペーパー等に利用可能である。
【符号の説明】
【0082】
100、100A、100B 電子ペーパー
1 筐体
3 通信部
5 電池
10 表示パネル
20 制御装置
21 制御部
22 残量検出部
23 画像変換部
24 記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図9A
図9B
図9C