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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025151702
(43)【公開日】2025-10-09
(54)【発明の名称】加湿器
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/41 20180101AFI20251002BHJP
   F24F 6/04 20060101ALI20251002BHJP
【FI】
F24F11/41 210
F24F6/04
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024053255
(22)【出願日】2024-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】594017695
【氏名又は名称】ウエットマスター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081961
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 光春
(74)【代理人】
【識別番号】100112564
【弁理士】
【氏名又は名称】大熊 考一
(74)【代理人】
【識別番号】100163500
【弁理士】
【氏名又は名称】片桐 貞典
(74)【代理人】
【識別番号】230115598
【弁護士】
【氏名又は名称】木内 加奈子
(72)【発明者】
【氏名】荒川 泰広
(72)【発明者】
【氏名】眞崎 裕介
【テーマコード(参考)】
3L055
3L260
【Fターム(参考)】
3L055BA02
3L260BA25
3L260CA12
3L260CA15
3L260CB63
3L260CB64
3L260CB65
3L260DA08
3L260FC07
3L260FC12
3L260FC14
3L260GA12
(57)【要約】      (修正有)
【課題】加湿対象空間内に供給される空気の風量に起因するユーザの体感温度も考量した上で、ユーザにとって心地良い加湿対象空間の加湿を可能とした加湿器を提供する。
【解決手段】加湿器は、加湿対象空間の温度及び湿度を検出するセンサ36と、風量を制御する風量制御部45と、センサ36が検出した温度及び湿度を用いて現在体感温度を算出する体感温度算出部42と、体感温度算出部42が算出した現在体感温度と、予め設定されている目標体感温度を比較する体感温度比較部43と、体感温度比較部43が現在体感温度が目標体感温度以下と判断した場合、温度リミッタ機能を作動させる温度リミッタ部44と、を備える。風量制御部45は、温度リミッタ機能が作動されている場合、目標体感温度を上回るように風量を制御する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加湿対象空間の温度及び湿度を検出するセンサと、
空気にエネルギーを与え、前記加湿対象空間に前記空気を供給する送風機と、
前記送風機が供給する前記空気の風量を制御する風量制御部と、
前記空気の風速、前記センサが検出した温度及び湿度を用いて現在体感温度を算出する体感温度算出部と、
前記体感温度算出部が算出した前記現在体感温度と、予め設定されている目標体感温度を比較する体感温度比較部と、
前記体感温度比較部が前記現在体感温度が前記目標体感温度以下と判断した場合、温度リミッタ機能を作動させる温度リミッタ部と、
を備え、
前記風量制御部は、前記温度リミッタ機能が作動されている場合、前記目標体感温度を上回るように前記風量を制御する、
加湿器。
【請求項2】
前記温度リミッタ部は、
前記風量の下限値となる最小風量を設定する最小風量設定部と、
前記目標体感温度における目標体感温度風量を算出する目標体感温度風量算出部と、
前記目標体感温度風量と前記最小風量を比較する最小風量比較部と、
を有し、
前記風量制御部は、前記最小風量比較部が前記目標体感温度風量が前記最小風量よりも少ないと判断した場合、前記最小風量と同一になるように前記風量を制御する、
請求項1に記載の加湿器。
【請求項3】
前記センサが検出した温度と、予め設定されている適用温度を比較する適用温度比較部を更に備え、
前記温度リミッタ部は、前記適用温度比較部が前記センサが検出した温度が前記適用温度以下である場合に、前記温度リミッタ機能を作動させる、
請求項1又は2に記載の加湿器。
【請求項4】
前記風量について、手動モード及び自動モードをユーザが切り替え可能であり、
前記温度リミッタ部は、前記自動モードを選択されている場合に前記温度リミッタ機能を作動させる、
請求項1又は2に記載の加湿器。
【請求項5】
前記体感温度算出部は、前記温度リミッタ機能が作動中、加湿器を前記温度リミッタ機能を作動させず通常運転させた場合における仮の体感温度である仮想体感温度を算出し、
前記体感温度比較部は、前記目標体感温度と前記仮想体感温度を比較し、
前記温度リミッタ部は、前記仮想体感温度が前記目標体感温度よりも上回った場合に、前記温度リミッタ機能を停止させる、
請求項1又は2に記載の加湿器。
【請求項6】
前記温度リミッタ部は、
前記通常運転で加湿器を動作させた場合における通常風量を算出する通常風量算出部と、
目標体感温度風量算出部によって算出された目標体感温度風量と、前記通常風量算出部よって算出された通常風量を比較する通常風量比較部と、
を有し、
前記風量制御部は、前記通常風量比較部が前記目標体感温度風量が前記通常風量よりも多いと判断した場合、前記目標体感温度風量が前記通常風量と同一になるように制御する、
請求項5に記載の加湿器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加湿対象空間内に空気を供給する送風機を備えた加湿器に関する。
【背景技術】
【0002】
室内の湿度をより快適に保つための装置として、加湿器が広く利用されている。加湿器は、部屋などの加湿対象空間に供給する空気を加湿用の水分を含んだ加湿モジュールに接触させることで加湿を行う。加湿器は送風機を備え、送風機は加湿対象空間の空気を吸入し、加湿モジュールに向けて排出される。
【0003】
加湿器の運転中、加湿モジュールには加湿用の水分が給水装置により供給される。給水装置により加湿モジュールへ供給された水分は、気体と接触して気体を加湿する。そして、加湿された気体は、加湿対象空間内に放出される。このようにして、加湿対象空間内の湿度がユーザの所望の湿度に維持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6611823号公報
【特許文献2】特開2017-003205号公報
【特許文献3】特開2008-281241号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような従来技術の加湿器においては、ユーザが設定した相対湿度の目標値を得るために必要な運転条件が予め設定され、この運転条件に基づいて送風機を運転すると共に加湿モジュールに給水し、加湿対象空間に供給する空気の風量を調整する。
【0006】
しかし、加湿器をこの運転条件に基づいて運転するだけの従来技術では、加湿対象空間内に存在するユーザの体感温度としては、加湿対象空間内が必ずしも適切な温度になっていると感じることができない問題があった。例えば、加湿対象空間内に放出された加湿された空気は、加湿対象空間内で流動することから、ユーザの体に当たることが避けられないが加湿対象空間内が低温であると、放出された空気がユーザの体に当たることで、ユーザは寒さを感じ不快になることがある。人が感じる体感温度は、同じ気温であっても、例えば、風速が1m/s増加すると、体感温度は1℃ほど低くなると言われている。そのため、従来技術のように単にユーザが設定した湿度となるように予め設定された運転条件に基づいて加湿を行っても、ユーザにとって心地良い空間を提供することは不可能である。
【0007】
本発明は上記のような従来技術の問題点を解決するために提案されたものである。本発明の目的は、加湿対象空間内に供給される空気の風量に起因するユーザの体感温度も考量した上で、ユーザにとって心地良い加湿対象空間の加湿を可能とした加湿器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の加湿器は、加湿対象空間の温度及び湿度を検出するセンサと、空気にエネルギーを与え、前記加湿対象空間に前記空気を供給する送風機と、前記送風機が供給する前記空気の風量を制御する風量制御部と、前記空気の風速、前記センサが検出した温度及び湿度を用いて現在体感温度を算出する体感温度算出部と、前記体感温度算出部が算出した前記現在体感温度と、予め設定されている目標体感温度を比較する体感温度比較部と、前記体感温度比較部が前記現在体感温度が前記目標体感温度以下と判断した場合、温度リミッタ機能を作動させる温度リミッタ部と、
を備え、前記風量制御部は、前記温度リミッタ機能が作動されている場合、前記目標体感温度を上回るように前記風量を制御する。
【0009】
前記温度リミッタ部は、前記風量の下限値となる最小風量を設定する最小風量設定部と、前記目標体感温度における目標体感温度風量を算出する目標体感温度風量算出部と、前記目標体感温度風量と前記最小風量を比較する最小風量比較部と、を有し、前記風量制御部は、前記最小風量比較部が前記目標体感温度風量が前記最小風量よりも少ないと判断した場合、前記最小風量と同一になるように前記風量を制御するようにしてもよい。
【0010】
前記センサが検出した温度と、予め設定されている適用温度を比較する適用温度比較部を更に備え、前記温度リミッタ部は、前記適用温度比較部が前記センサが検出した温度が前記適用温度以下である場合に、前記温度リミッタ機能を作動させるようにしてもよい。
【0011】
前記風量について、手動モード及び自動モードをユーザが切り替え可能であり、前記温度リミッタ部は、前記自動モードを選択されている場合に前記温度リミッタ機能を作動させるようにしてもよい。
【0012】
前記体感温度算出部は、前記温度リミッタ機能が作動中、加湿器を前記温度リミッタ機能を作動させず通常運転させた場合における仮の体感温度である仮想体感温度を算出し、前記体感温度比較部は、前記目標体感温度と前記仮想体感温度を比較し、前記温度リミッタ部は、前記仮想体感温度が前記目標体感温度よりも上回った場合に、前記温度リミッタ機能を停止させるようにしてもよい。
【0013】
前記温度リミッタ部は、前記通常運転で加湿器を動作させた場合における通常風量を算出する通常風量算出部と、目標体感温度風量算出部によって算出された目標体感温度風量と、前記通常風量算出部よって算出された通常風量を比較する通常風量比較部と、を有し、前記風量制御部は、前記通常風量比較部が前記目標体感温度風量が前記通常風量よりも多いと判断した場合、前記目標体感温度風量が前記通常風量と同一になるように制御するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、加湿対象空間内に供給される空気の風量に起因するユーザの体感温度も考量した上で、ユーザにとって心地良い加湿対象空間の加湿を可能とした加湿器を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1の実施形態の気化式加湿器の全体構成を示す斜視図である。
図2】第1の実施形態における制御部の構成を示すブロック図である。
図3】温度リミッタ部の構成を示すブロック図である。
図4】第1の実施形態における温度リミッタ部が温度リミッタ機能の作動させる手順を示すフローチャートである。
図5】温度リミッタ機能作動中、温度リミッタ部によって風量を調整する方法を示すフローチャートである。
図6】第2の実施形態における温度リミッタ部の構成を示すブロック図である。
図7】第2の実施形態における温度リミッタ機能作動中、温度リミッタ部によって風量を調整する方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[1.第1の実施形態]
[1-1.第1の実施形態の構成]
第1の実施形態に係る加湿器について図面を参照しつつ説明する。以下の説明では、加湿器は気化式加湿器100として説明する。図1は、本実施形態の気化式加湿器100の全体構成を示す斜視図である。なお、図1では、内部構成を示すため、ハウジング1を透明化して示している。各図面においては、理解容易のため、厚み、寸法、位置関係、比率又は形状等を強調して示している場合があり、本発明は、それら強調に限定されるものではない。
【0017】
気化式加湿器100は、水分を含ませたフィルターに風をあてることで水分を気化させて放出することで、加湿を行う機器である。本実施形態の気化式加湿器100は、建物の天井に設置される。即ち、気化式加湿器100は、加湿器本体10を天井内に埋め込み、吸気口21及び吹出口22を天井面に取り付けられている。もっとも、気化式加湿器100の設置場所は、天井に限られず、床や卓上であってもよい。
【0018】
気化式加湿器100は、図1に示すように、加湿器本体10と制御部4を備える。制御部4は、加湿器本体10内に内蔵されていてもよいし、加湿器本体10の外部に設けられていてもよい。加湿器本体10は、ハウジング1、化粧グリル2及び加湿装置3を備える。加湿装置3は、送風機31、加湿モジュール32、給水装置33、ドレンパン34、電装部35及びセンサ36を備える。制御部4は、加湿器本体10の各構成部材を制御することで、気化式加湿器100の加湿量を制御する。
【0019】
(ハウジング)
ハウジング1は、建物の天井の内部に配置される箱型の部材である。ハウジング1は、送風機31、加湿モジュール32、給水装置33、ドレンパン34、電装部35及びセンサ36を収容する。ハウジング1の下面には、矩形状の開口が設けられている。この開口から、各部材をハウジング1内に収容する。
【0020】
(化粧グリル)
化粧グリル2は、ハウジング1の下面に設けられた開口を覆う矩形状の化粧板である。化粧グリル2は、ハウジング1の開口と略同形同大である。化粧グリル2は、ハウジング1に対して、開閉可能に固定される。化粧グリル2は、吸気口21及び吹出口22を有する。
【0021】
吸気口21は、化粧グリル2の一方端部側に設けられた概略矩形状の開口である。吸気口21は、建物内の空気をハウジング内に取り込む。吸気口21は、取り込んだ空気を送風機31に供給する。なお、吸気口21と送風機31の間には、不図示のフィルターが吸気口21の背面を覆うように設けられている。
【0022】
吹出口22は、化粧グリル2の他方端部側に設けられた概略矩形状の開口である。吸気口21から取り込んだ空気を加湿モジュール32で加湿した後、加湿された空気が吹出口22から加湿対象空間に供給される。
【0023】
(送風機)
送風機31は、空気に運動エネルギーを与え、送り出す装置である。送風機31は、例えば、ファンを用いることができる。送風機31は、ハウジング1の内部において、化粧グリル2の吸気口21側に設けられる。送風機31は、吸気口21の上方に配置され、吸気口21が取り込んだ空気を吸入する。吸気口21の長手方向と直交する両側面が、送風機31の吸入口である。送風機31の排出口は、加湿モジュール32の一側面と対向するように設けられる。送風機31は、吸気口21を介して吸入した空気を加湿モジュール32の一側面に供給する。送風機31の排出口側には、加湿モジュール32に供給する空気が、加湿モジュール32の側面全体に拡がるように中間スペーサが設けられていてもよい。
【0024】
(加湿モジュール)
加湿モジュール32は、例えば、不織布等により形成された断面波形の板状の加湿素材が複数積層された、略直方体形状の部材である。加湿モジュール32は、給水装置33から供給された水分を一時的に保持し、この保持した水分により送風機31から供給された空気を加湿する。即ち、送風機31から加湿モジュール32の一側面に供給された空気は、加湿モジュール32内を通過することで加湿され、加湿された空気が加湿モジュール32の他側面から排出される。加湿モジュール32は、ドレンパン34に取り外し可能に固定されている。
【0025】
(給水装置)
給水装置33は、給水ヘッダ等を含み、給水ヘッダは加湿モジュール32の上部に配置される。給水装置33は、加湿モジュール32に水分を供給する。給水装置33には、不図示の電磁弁等が設けられており、電磁弁等を制御することで、給水や停止、給水量の調整が行われる。
【0026】
(ドレンパン)
ドレンパン34は、加湿モジュール32の下方に設けられる。ドレンパン34は、上面が開口した箱型形状を有する。ドレンパン34の寸法は、加湿モジュール32の幅及び奥行よりも大きく、高さは低い。ドレンパン34は、加湿モジュール32から流れ落ちる水を受けとめ、貯留する。
【0027】
なお、ドレンパン34は、給水装置33の電磁弁から漏水が生じた場合であっても、漏水を受けとめ、貯留可能に設計されている。また、ドレンパン34は、ハウジング1に設けられた支持部材から取り外し可能に固定されている。ドレンパン34の底面には、排水口が設けられている。ドレンパン34の底面は、排水口に向かって傾斜している。排水口には、下方に向かって延びる管が設けられており、この管に排水キャップが挿入されている。
【0028】
(電装部)
電装部35は、吸気口21と送風機31の間に設けられている直方体形状の部材である。電装部35は、センサ36のコネクタと接続可能に構成されている。電装部35は、センサ36が検出した検出情報を受信する。
【0029】
(センサ)
センサ36は、加湿対象空間の温度や相対湿度を検出する。センサ36は、常に稼働させ、時々刻々変動する温度及び相対湿度を検出していてもよいし、例えば1分間隔など所定の間隔ごとに温度及び相対湿度を検出してもよい。センサ36は、湿度センサや温度センサ等のセンサ本体が、基板に実装されたモジュールタイプを用いることができる。検出した温度情報や湿度情報は、電装部35に送信する。
【0030】
センサ36は、加湿器本体10内に設けられている。本実施形態では、センサ36は、空気の流路の上流側に設けられ、図1に示すように、電装部35の側面に設けられている。センサ36は、ネジ等の固定具によって電装部35に固定されている。もっとも、センサ36は必ずしも加湿器本体10内に設けられている必要はなく、加湿対象空間内に設置されていてもよい。
【0031】
本実施形態のセンサ36は、保護カバーに収容されている。保護カバーは、カバー内に空気が滞留しないように、複数のスリットが設けられている。なお、センサ36は、保護カバーに収容しなくてもよい。
【0032】
(制御部)
制御部4は、コンピュータ及びドライバ回路等により構成される。コンピュータは、Flash Memoryといったストレージ、RAM、CPU等により構成される。制御部4は、気化式加湿器100の各種構成部材を制御する。特に、本実施形態の制御部4は、所定の体感温度以下となった場合に、温度リミッタ機能が作動し、風量を自動制御する。温度リミッタ機能とは、所定の体感温度となった場合、当該所定の体感温度以上になるように風量を調整する機能である。なお、温度リミッタ機能が作動していない状態を通常運転という場合がある。
【0033】
図2は、制御部4の構成を示すブロック図である。制御部4は、現在体感温度が目標体感温度以下になると、温度リミッタ機能を作動させる。図2に示すように、制御部4は、センサ情報取得部41、体感温度算出部42、体感温度比較部43、温度リミッタ部44及び風量制御部45を有する。
【0034】
センサ情報取得部41は、センサ36が検出した温度情報及び湿度情報を取得する。取得方法は、有線、無線を問わず、如何なる手法であってもよい。センサ情報取得部41は、取得するたびに温度情報及び湿度情報が更新する。センサ情報取得部41が取得した温度情報及び湿度情報は、記憶部(不図示)に記憶される。
【0035】
体感温度算出部42は、現在体感温度を算出する。現在体感温度は、現在の風速に基づいたユーザが感じる体感の温度を示す。体感温度算出部42は、例えば、下記の式(1)及び(2)に基づいて体感温度を求める。
【0036】
【数1】
【数2】

Tm:体感温度(℃)
t:温度(℃)
v:風速(m/s)
h:相対湿度(%)
【0037】
体感温度算出部42は、センサ36が検出した温度情報及び湿度情報をセンサ情報取得部41から受信する。また、風速は、センサ36で検出してもよいし、ユーザが設定した目標湿度になるように予め設定された風量に基づいて、下記数式(3)に基づいて風速を算出してもよい。
【0038】
【数3】
v:風速(m/s)
x:風量(%)
【0039】
体感温度比較部43は、体感温度算出部42が算出した現在体感温度と目標体感温度を比較する。目標体感温度は、ユーザが寒さを感じる下限値として予め設定された体感温度である。目標体感温度としては、これに限定されるものではないが、例えば15℃である。目標体感温度は、予め記憶部(不図示)に記憶されている。
【0040】
体感温度比較部43は、温度リミッタ機能が作動していない場合には、現在体感温度と目標体感温度を比較する。体感温度比較部43は、現在体感温度が目標体感温度以下になったと判断した場合、後述のとおり、温度リミッタ部44が温度リミッタ機能を作動させる。
【0041】
また、体感温度比較部43は、温度リミッタ機能が作動している間は、時々刻々変化する現在体感温度と目標体感温度を比較する。現在体感温度が目標体感温度よりも高くなった場合に、温度リミッタ部44は温度リミッタ機能を停止する。
【0042】
図3は、第1の実施形態における温度リミッタ部の構成を示すブロック図である。温度リミッタ部44は、温度リミッタ機能が作動中、現在体感温度が目標体感温度よりも高くなるように、気化式加湿器100の風量を調整する。温度リミッタ部44は、目標体感温度風量と最小風量を比較する最小風量比較と、目標体感温度風量と自動モード風量を比較する自動風量比較モードを有する。温度リミッタ部44は、最小風量設定部441、目標体感温度風量算出部442、最小風量比較部443を有する。
【0043】
最小風量設定部441は、気化式加湿器100の最小風量を設定する。最小風量とは、これ以上風量を弱くすることができない下限値である。風量を弱くし過ぎると、加湿性能上、実用的でないため、予め最小風量を定めている。そのため、最小風量設定部441には、予め最小風量が設定されている。最小風量は、これに限定するものではないが、20%である。また、最小風量設定部441は、風速等から最小風量を算出してもよい。例えば、予め風速の最小値が定められており、この風速の最小値から上記数式(3)に基づいて最小風量を算出してもよい。
【0044】
目標体感温度風量算出部442は、目標体感温度風量を算出する。目標体感温度が15℃に設定されている場合、目標体感温度風量算出部442は、上記数式(1)のTmに15を代入する。また、目標体感温度風量算出部442は、センサ36が検出する温度及び相対湿度に基づいて、上記数式(1)及び(2)から風速を算出する。そして、目標体感温度風量算出部442は、算出した風速に基づいて上記数式(3)から目標体感温度における風量を算出する。
【0045】
最小風量比較部443は、最小風量設定部441に設定された最小風量と、目標体感温度風量算出部442によって算出された目標体感温度風量を比較する。最小風量比較部443は、目標体感温度風量が最小風量よりも少ない場合、目標体感温度風量が最小風量と同一になるよう制御する。一方、最小風量比較部443は、目標体感温度風量が最小風量以上の場合には、当該目標体感温度風量として制御する。
【0046】
図2に示すように、風量制御部45は、加湿対象空間に向けて供給する空気の風量を制御する。風量制御部45は、送風機31を制御することで、加湿対象空間に供給する風量を制御する。気化式加湿器100は、風量について、手動モード及び自動モードが設定されており、ユーザはリモコン等の各種操作によって切り替えることできる。手動モードは、ユーザが自由に風量を選択できるモードであり、例えば、「弱」「中」「強」の3段階に設定されている。自動モードは、設定湿度とセンサ36が検出した湿度の差に応じて、加湿対象空間を設定湿度にするために最適な風量を自動調整する。なお、風量制御部45は、送風機31から供給される空気が加湿モジュール32等を通過することによる負荷を考慮したうえで、加湿対象空間に向けて供給する空気の風量を制御している。
【0047】
気化式加湿器100が通常運転、即ち、温度リミッタ機能が作動していない状態の場合には、風量制御部45は、予め設定されている風量に基づいて風量を制御する。一方、温度リミッタ機能が作動している場合には、風量制御部45は、温度リミッタ部44で算出・調整された風量によって制御する。
【0048】
制御部4は、適用温度比較部46を有する。記憶部(不図示)には、適用温度が予め記憶されている。適用温度とは、温度リミッタ機能を適用する温度範囲を示す。適用温度は、これに限定されるわけではないが、例えば15℃以下である。適用温度比較部46は、適用温度と、センサ36が検出した温度を比較する。温度リミッタ部44は、適用温度比較部46がセンサ36が検出した温度が適用温度以下の場合に、温度リミッタ機能を作動させる。
【0049】
[1-2.第1の実施形態の作用]
以下、本実施形態の作用について図面を参照しつつ説明する。
(1)制御部4の動作
図4は、温度リミッタ部44が温度リミッタ機能の作動させる手順を示すフローチャートである。
【0050】
まず、制御部4は、記憶部(不図示)に目標体感温度が設定されていることを確認する(ステップ01)。なお、以下では、目標体感温度が15℃に設定されていることを前提に説明する。
【0051】
体感温度算出部42は、風速又は風量やセンサ情報取得部41が取得した温度情報及び湿度情報に基づいて、現在体感温度を算出する(ステップ02)。制御部4は、温度リミッタ機能が有効・無効かを判断する(ステップ03)。気化式加湿器100は、温度リミッタ機能を有効又は無効に切り替え可能であり、有効の場合のみ、温度リミッタ機能は作動する。換言すれば、温度リミッタ機能が無効の場合には、仮に、現在体感温度が目標体感温度を下回ったとしても、温度リミッタ機能は作動しない。そのため、ステップ03において、制御部4が温度リミッタ機能が有効になっていると判断された場合のみ(ステップ03 Yes)、ステップ04に移行する。一方、制御部4が無効と判断した場合(ステップ03 No)は、ステップ08に移行する。
【0052】
また、適用温度比較部46は、温度リミッタ機能が適用される温度以下かを判断する(ステップ04)。適用温度比較部46は、適用温度とセンサ情報取得部41が取得した温度情報を比較する。例えば、適用温度が15℃以下と設定されている場合、センサ36によって検出された温度が10℃の場合、適用温度比較部46は、適用温度以下と判断し、(ステップ04 Yes)は、ステップ05に移行する。一方、センサ36によって検出された温度が20℃の場合、適用温度比較部46は、適用温度より高いと判断し(ステップ04 No)、ステップ08に移行する。適用温度を設定している理由は、加湿対象空間内の温度が適用温度以上あれば、風量が強くても寒さを感じる可能性は低いためである。
【0053】
更に、制御部4は、風量のモードについて判断する(ステップ05)。風量は自動モードと手動モードをユーザが選択できる。温度リミッタ機能は、風量が自動モードになっている場合のみ、作動させる。体感温度は、人によって変わるものなので手動モードでユーザが風量を設定している場合には、ユーザが設定した風量で運転する方が当該ユーザに適した体感温度になるからである。
【0054】
体感温度比較部43は、目標体感温度とステップ03において体感温度算出部42が算出した現在体感温度を比較する。現在体感温度が目標体感温度以下となった場合(ステップ06 Yes)、温度リミッタ部44は温度リミッタ機能を作動させる(ステップ07)。一方、現在体感温度が目標体感温度よりも高い場合(ステップ06 No)には、ステップ08に移行する。
【0055】
風量制御部45は、通常運転時又は温度リミッタ機能作動時それぞれに応じた風量に制御する。風量制御部45から風量に関する情報が加湿器本体10に送信され、気化式加湿器100はそれに応じた空気を吹出口22から加湿対象空間に放出する。
【0056】
ステップ08まで到達すると、またステップ02に戻り、これを繰り返す。この繰り返しの間においては、ステップ02では、温度リミッタ機能が作動している状態において、体感温度算出部42が現在体感温度を算出し、体感温度比較部43は、この現在体感温度と目標体感温度を比較し続ける。そして、体感温度比較部43は、現在体感温度が目標体感温度を上回ると判断すると、温度リミッタ部44は温度リミッタ機能を停止させ、通常運転を再開させる。
【0057】
(2)温度リミッタ部44の動作
次に、温度リミッタ部44により温度リミッタ機能の動作内容について、図面を参照しつつ説明する。図5は、温度リミッタ機能の作動中、温度リミッタ部44によって風量を調整する方法を示すフローチャートである。
【0058】
最小風量設定部441には、最小風量が設定されている(ステップ21)。本実施形態では、最小風量は、20%と設定されていることを前提に説明する。
【0059】
目標体感温度風量算出部442は、目標体感温度風量を算出する(ステップ22)。本実施形態では、目標体感温度が15℃に設定されているので、15℃における風量を上記数式(1)~(3)に基づいて算出する。
【0060】
最小風量比較部443は、最小風量設定部441に設定された最小風量と、目標体感温度風量算出部442が算出した目標体感温度風量を比較する(ステップ23)。目標体感温度風量が、例えば25%であり、最小風量以上の場合(ステップ23 No)には、ステップ25に移行し、当該目標体感温度風量が温度リミッタ機能作動時の風量として適用される。
【0061】
一方、目標体感温度風量が、例えば15%であり、最小風量よりも少ない場合(ステップ23 Yes)には、ステップ24に移行する。最小風量比較部443は、目標体感温度風量が最小風量よりも少ないと判断した場合、目標体感温度風量を最小風量と同一になるように調整する(ステップ24)。即ち、目標体感温度風量は、20%に調整される。目標体感温度風量が最小風量よりも少ないと加湿性能上、実用的でないため、最小風量以上になるように調整する。その後、ステップ25に移行し、当該目標体感温度風量が温度リミッタ機能作動時の風量として適用される。
【0062】
[1-3.第1の実施形態の効果]
以上のとおり、本実施形態の気化式加湿器100は、加湿対象空間の温度及び湿度を検出するセンサ36と、風量を制御する風量制御部45と、センサ36が検出した温度及び湿度を用いて現在体感温度を算出する体感温度算出部42と、体感温度算出部42が算出した現在体感温度と、予め設定されている目標体感温度を比較する体感温度比較部43と、体感温度比較部43が、現在体感温度が目標体感温度以下と判断した場合、温度リミッタ機能を作動させる温度リミッタ部44と、を備える。風量制御部45は、温度リミッタ機能が作動されている場合、目標体感温度を上回るように風量を制御する。
【0063】
従来の加湿器では、ユーザの体感温度としては、加湿対象空間内が必ずしも適切な温度になっていると感じることができない問題があった。例えば、加湿対象空間内に放出された加湿された空気は、加湿対象空間内で流動することから、ユーザの体に当たることが避けられない。このとき、加湿された空気は気化熱によって温度が下がるため、放出された空気がユーザの体に当たることで、ユーザは寒さを感じ不快になることがある。また、加湿対象空間内が低温であると、気化する水分量が低下し効率的な加湿運転が困難になる。そのため、従来のように単にユーザが設定した湿度となるように予め設定された運転条件に基づいて加湿を行っても、ユーザにとって心地良い空間を提供することは不可能である。そこで、本実施形態の気化式加湿器100は、目標体感温度以下になった場合、風量を制御する。これにより、ユーザが寒さを感じて不快になることを軽減できる。
【0064】
温度リミッタ部44は、風量の下限値となる最小風量を設定する最小風量設定部441と、目標体感温度における目標体感温度風量を算出する目標体感温度風量算出部442と、目標体感温度風量と最小風量を比較する最小風量比較部443と、を有する。風量制御部45は、最小風量比較部443が目標体感温度風量が最小風量よりも少ないと判断した場合、最小風量と同一になるように前記風量を制御する。
【0065】
これにより、風量は、温度リミッタ機能が作動しても最小風量を下回ることがない。風量をあまり小さくし過ぎると、振動や騒音が生じる原因となり、また、加湿性能が発揮され難くなる。そこで、本実施形態のように、温度リミッタ機能を作動させても、最小風量を下回らないように制御することで、加湿機能を発揮させ、かつ、ユーザが寒さを感じて不快になることを軽減できる。
【0066】
センサ36が検出した温度と、予め設定されている適用温度を比較する適用温度比較部46を更に備え、温度リミッタ部44は、適用温度比較部46がセンサ36が検出した温度が適用温度以下である場合に、温度リミッタ機能を作動させる。
【0067】
例えば、加湿対象空間が温度が高い場合、風量が多くてもユーザが寒さを感じることは少ない。また、風量を下げると、加湿量も低下する。そのため、適用温度よりも温度が高い場合には、温度リミッタ機能を作動させない。これにより、ユーザに不快感を与えずに、加湿性能を存分に発揮させることができる。
【0068】
風量について、手動モード及び自動モードをユーザが切り替え可能であり、温度リミッタ部44は、自動モードを選択されている場合に温度リミッタ機能を作動させる。
【0069】
これにより、ユーザの選択を優先できる。体感温度は人によって異なるため、目標体感温度を下回った場合においても、ユーザによっては寒さを感じない場合もある。そのため、ユーザが手動モードで風量を選択している場合には、温度リミッタ機能を作動させず、ユーザの選択を優先する。これにより、個々のユーザの希望にあった気化式加湿器100を提供できる。
【0070】
気化式加湿器100は、温度リミッタ機能を有効又は無効に切り替え可能であり、有効の場合のみ、温度リミッタ機能は作動する。例えば、気化式加湿器100の設置時又はメンテナンス時などに試運転をする場合には、温度リミッタ機能を無効にして温度リミッタ機能が作動して、試運転の支障になることを防止できる。
【0071】
[2.第2の実施形態]
第2の実施形態に係る気化式加湿器100について、説明する。なお、第1の実施形態と同一構成については同一符号を付して詳細な説明を省略する。上記実施形態では、現在体感温度が目標体感温度を上回った場合に、温度リミッタ部44が温度リミッタ機能を停止させていた。第2の実施形態では、現在体感温度のみではなく仮想体感温度も目標体感温度を上回った場合に温度リミッタ機能を停止させる。
【0072】
仮想体感温度は、温度リミッタ機能を作動させずに、通常運転(自動モード又は手動モード)で気化式加湿器100を運転させた場合の体感温度のことである。即ち、仮想体感温度は、実際には温度リミッタ機能が作動しているので、通常運転における加湿は行われていないが、仮に通常運転で気化式加湿器100を運転させた場合の風量における仮想の体感温度である。体感温度算出部42は、仮想体感温度を現在体感温度と同様の方法で算出すればよい。具体的には、第2の実施形態に係る気化式加湿器100は、温度リミッタ機能が作動中、体感温度算出部42が上記数式(1)~(3)に基づいて仮想体感温度を算出する。
【0073】
そして、体感温度比較部43は、温度リミッタ機能が作動中、現在体感温度と目標体感温度の比較に加えて、体感温度算出部42が算出した仮想体感温度と目標体感温度も比較する。即ち、本実施形態の体感温度比較部43は、図4のステップ06において、現在体感温度及び仮想体感温度と目標体感温度を比較する。温度リミッタ部44は、現在体感温度及び仮想体感温度がともに目標体感温度を上回った場合、作動している温度リミッタ機能を停止させ、自動モード又は手動モードに切り替え、通常運転が再開する。
【0074】
図6は、第2の実施形態の温度リミッタ部44の構成を示すブロック図である。温度リミッタ部44は、図6に示すように、通常風量算出部444及び通常風量比較部445を更に有する。通常風量算出部444は、自動モード又は手動モードで気化式加湿器100を動作させた場合(気化式加湿器100を通常運転させた場合)における通常風量を算出する。通常風量算出部444は、センサ36によって検出した湿度と、設定湿度から通常風量を算出する。
【0075】
通常風量比較部445は、目標体感温度風量算出部442によって算出された目標体感温度風量と、通常風量算出部444よって算出された通常風量を比較する。最小風量比較部443において、目標体感温度風量が最小風量よりも少ないと判断された場合には、通常風量比較部445は、最小風量と同一の風量となった目標体感温度風量と通常風量を比較する。
【0076】
通常風量比較部445は、目標体感温度風量が通常風量よりも多い場合には、目標体感温度風量が通常風量と同一になるように制御する。なお、通常風量は、最小風量設定部441に設定されている最小風量を下回らないように予め設定されている。一方、通常風量比較部445は、目標体感温度風量が通常風量以下の場合には、当該目標体感温度風量として制御する。
【0077】
次に、第2の実施形態における温度リミッタ部44の動作について説明する。図7は、温度リミッタ機能の作動中、温度リミッタ部44によって風量を調整する方法を示すフローチャートである。ステップ24までは、第1の実施形態と同様である。
【0078】
目標体感温度風量が、最小風量以上と判断(ステップ23 No)した後又は目標体感温度風量を最小風量と同一になるよう調整(ステップ24)した後、通常風量算出部444は、通常風量を算出する(ステップ26)。通常風量比較部445は、通常風量算出部444が算出した通常風量と目標体感温度風量を比較する(ステップ27)。目標体感温度風量が、通常風量以下の場合(ステップ27 No)には、ステップS25に移行し、当該目標体感温度風量が温度リミッタ機能作動時の風量として適用される(ステップ25)。
【0079】
一方、目標体感温度風量が通常風量よりも多い場合(ステップ27 Yes)、目標体感温度風量は通常風量と同一になるよう調整される(ステップ28)。そして、この調整された目標体感温度風量が温度リミッタ機能作動時の風量として適用される(ステップ25)。温度リミッタ部44は、各ステップを経て適用された目標体感温度風量を風量制御部45に送信し、風量制御部45によって風量が制御される。
【0080】
以上のとおり、第2の実施形態に係る気化式加湿器100は、体感温度算出部42が現在体感温度及び仮想体感温度を算出し、体感温度比較部43は、現在体感温度及び仮想体感温度を目標体感温度とそれぞれ比較する。温度リミッタ部44は、体感温度比較部43が現在体感温度及び仮想体感温度それぞれが目標体感温度を上回ったと判断した場合に、作動中の温度リミッタ機能を停止し、自動モードに戻す。
【0081】
これにより、温度リミッタ機能から自動モードに戻した場合においても、目標体感温度以下になることがなく、ユーザが寒さを感じることを軽減できる。例えば、温度リミッタ機能を停止して、風量を自動モード又は手動モードである通常運転に戻した場合、急に風量は多くなり、ユーザの体感温度が低下し、寒さを感じる虞がある。しかし、本実施形態では、現在体感温度のみではなく、通常運転で運転させた場合の仮想体感温度と目標体感温度を比較し、現在体感温度及び仮想体感温度がともに目標体感温度を上回った場合に、温度リミッタ機能を停止させ、自動モードに戻している。そのため、温度リミッタ機能から自動モード又は手動モードの通常運転に切り替わった後においても、目標体感温度を上回っており、ユーザが寒さを感じることが軽減できる。
【0082】
さらに、本実施形態では、目標体感温度風量が通常風量よりも多い場合、目標体感温度風量が通常風量と同一になるように制御している。現在体感温度が目標体感温度に近づくにつれ、風量は増加する傾向となる。場合によって、目標体感温度風量が通常風量よりも多くなることも生じる。このような状態で温度リミッタ機能を停止して自動モード又は手動モードによる通常運転に切り替えると、急に風量が変化してしまう場合がある。しかし、本実施形態では、上記のとおり、目標体感温度風量が通常風量よりも多い場合、目標体感温度風量が通常風量と同一になるように制御しているので、温度リミッタ機能の切り替え時に風量の不連続を防止できる。
【0083】
[3.他の実施形態]
本明細書においては、本発明に係る実施形態を説明したが、この実施形態は例として提示したものであって、発明の範囲を限定することを意図していない。上記のような実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の範囲を逸脱しない範囲で、種々の省略や置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0084】
目標体感温度や適用温度は、ユーザが自由に設定できるようにしてもよい。これにより、ユーザそれぞれの体感温度に合わせることができる。
【0085】
上記実施形態では、加湿器を気化式加湿器100として説明したが、気化式加湿器に限定するものではない。
【0086】
目標体感温度風量が通常風量よりも多い場合、目標体感温度風量が通常風量と同一にする制御は、仮想体感温度を算出した第2の実施形態において構成させたが、現在体感温度のみを算出する第1の実施形態に構成させてもよい。
【符号の説明】
【0087】
100 気化式加湿器
10 加湿器本体
1 ハウジング
2 化粧グリル
21 吸気口
22 吹出口
3 加湿装置
31 送風機
32 加湿モジュール
33 給水装置
34 ドレンパン
35 電装部
36 センサ
4 制御部
41 センサ情報取得部
42 体感温度算出部
43 体感温度比較部
44 温度リミッタ部
441 最小風量設定部
442 目標体感温度風量算出部
443 最小風量比較部
444 通常風量算出部
445 通常風量比較部
45 風量制御部
46 適用温度比較部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7