(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025151712
(43)【公開日】2025-10-09
(54)【発明の名称】ゲームシステム
(51)【国際特許分類】
A63F 9/24 20060101AFI20251002BHJP
A63F 13/212 20140101ALI20251002BHJP
A63F 13/245 20140101ALI20251002BHJP
A63F 13/46 20140101ALI20251002BHJP
A63F 9/00 20060101ALI20251002BHJP
A63F 13/92 20140101ALI20251002BHJP
【FI】
A63F9/24 Z
A63F9/24 P
A63F9/24 J
A63F13/212
A63F13/245
A63F13/46
A63F9/00 A
A63F13/92
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024053266
(22)【出願日】2024-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】725004907
【氏名又は名称】株式会社バンダイナムコエクスペリエンス
(71)【出願人】
【識別番号】318016342
【氏名又は名称】株式会社バンダイナムコアミューズメントラボ
(74)【代理人】
【識別番号】100124682
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100166523
【弁理士】
【氏名又は名称】西河 宏晃
(74)【代理人】
【識別番号】100090479
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 一
(72)【発明者】
【氏名】戸島 高広
(72)【発明者】
【氏名】新井 宣行
(72)【発明者】
【氏名】江頭 規雄
(72)【発明者】
【氏名】岩▲崎▼ 周造
(57)【要約】
【課題】ヒット判定精度の高いゲームシステムの技術を提供すること。
【解決手段】ゲームシステム1000は、バトル用具10を装備したプレーヤ2同士のバトルプレイを提供する。バトル用具10は、打撃攻撃アイテムである第1種パーツ31と、打撃目標部位である第2種パーツ32とを備える。バトル用具10は、第1種パーツ31にRFIDタグ33を有し、第2種パーツ32別に対応するRFID読取器および被打撃センサを有する。ゲームシステム1000は、ヒットされた第2種パーツ32に対応するRFID読取器によるヒットした第1種パーツ31のRFIDタグ33のタグ読み取りと、ヒットされた第2種パーツ32に対応する被打撃センサによる被打撃検知との両方がなされたか、一方のみがなされたかに基づいて打撃の成否を判定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレーヤが装備するバトル用具と、制御システムとを具備し、前記バトル用具を装備したプレーヤ同士のバトルプレイの演出を制御するゲームシステムであって、
前記バトル用具は、第1種パーツと第2種パーツとを備え、
前記第1種パーツは、近距離無線通信を行うタグと読取器とのうちの前記タグを有し、
前記第2種パーツは、前記読取器と、被打撃センサとを有し、
前記制御システムは、前記読取器による読取検知と前記被打撃センサによる被打撃検知との両方がなされたか、一方のみがなされたかに基づいて打撃の成否を判定する成否判定手段を有し、前記成否判定手段により打撃成功と判定された場合に所定の演出制御を実行する、
ゲームシステム。
【請求項2】
前記第1種パーツは、有効な打撃と判定するための領域に離散的に複数の前記タグを設置して有する、
請求項1に記載のゲームシステム。
【請求項3】
前記タグは、当該タグが設けられた前記第1種パーツの種類および/又は部位に関連付けられた識別情報を前記近距離無線通信で発信し、
前記読取器は、前記近距離無線通信で前記識別情報を読み取って前記読取検知の情報に含め、
前記制御システムは、前記読取検知の情報に含まれる前記識別情報に基づく演出制御を実行する、
請求項1に記載のゲームシステム。
【請求項4】
前記第2種パーツは、前記バトル用具を構成する部位別に存在し、
前記成否判定手段は、同一の部位の前記第2種パーツに設けられた前記読取器による読取検知と前記被打撃センサによる被打撃検知との両方に基づいて、当該部位に対する打撃の成否を判定することで、部位別に打撃の成否を判定する、
請求項1に記載のゲームシステム。
【請求項5】
前記制御システムは、前記成否判定手段によって打撃成功と判定された部位に応じた演出制御を実行する、
請求項4に記載のゲームシステム。
【請求項6】
前記被打撃センサは、打撃を受けた物理量を検知することが可能であり、
前記制御システムは、前記成否判定手段により打撃成功と判定された場合に、前記被打撃センサにより検知された物理量に基づく演出制御を実行する、
請求項1に記載のゲームシステム。
【請求項7】
各プレーヤの前記バトル用具に設けられた前記タグは、当該プレーヤ用であることを示す情報に関連付けられた識別情報を前記近距離無線通信で発信し、
前記制御システムは、前記読取検知がなされた前記読取器がどのプレーヤ用の前記バトル用具のものであるかと、当該読取検知の情報に含まれる前記識別情報と、に基づいてプレーヤ自らの打撃を自ら被ったか否かを判定する手段を有する、
請求項1に記載のゲームシステム。
【請求項8】
前記バトル用具は、発光部を備え、
前記制御システムは、前記成否判定手段により打撃成功と判定された場合に前記発光部を発光させる演出制御を実行する、
請求項1から7の何れか一項に記載のゲームシステム。
【請求項9】
前記バトル用具は、特別演出部を備え、
前記制御システムは、前記成否判定手段による判定結果に基づいて、前記バトルプレイにおける勝者プレーヤ又は敗者プレーヤを判定する勝敗判定手段を有し、当該勝敗判定手段の判定結果に基づいて前記特別演出部による演出を発動させる、
請求項1から7の何れか一項に記載のゲームシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲームシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
プレーヤ同士が擬似戦闘を体験する対戦型アトラクション向けのゲームシステムが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、各プレーヤが、グローブ・肩・胸・背中・腕の部位別のユニットを有するゲーム器具を装着して対戦するゲームシステムが示されている。グローブは、RFIDを利用した送信機と、攻撃アイテムデータを記憶したメモリーカードのリーダーと、を有する。肩・胸・背中・腕の各ユニットはRFIDを利用した受信機を有する。背中のユニットは、自プレーヤの体力値データを記憶する記憶装置を搭載する。各ユニットは、互いに無線通信接続されている。
【0004】
各プレーヤは、ゲーム器具を装着して、グローブを相手の肩・胸・背中・腕のユニットに当てるように擬似戦闘を行う。グローブが相手の肩・胸・背中・腕の何れかのユニットにヒットした場合、グローブの送信機からヒット先のユニットの受信機へ攻撃アイテムデータが送信される。攻撃を受けた側のゲーム器具では、受信した攻撃アイテムデータに基づいて自プレーヤの体力値を減算して、ゲームの優劣を判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した従来のゲームシステムは、ヒット判定(打撃の成功判定)を、グローブとヒットしたユニットとの間のRFID(Radio Frequency Identification)を利用した攻撃アイテムデータの送受信に頼っているため、判定精度が低下する可能性があった。例えば、グローブが相手の肩・胸・背中・腕の何れかのユニットに接触せずともRFIDの通信距離内に位置又は通過した場合には、パンチが当たらずとも、ヒット判定と判断される可能性があった。
【0007】
本発明が解決しようとする第1の課題は、ヒット判定精度の高いゲームシステムの技術を提供することである。第2の課題は、当該ゲームシステムでのゲームの興趣を高める技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した課題を解決するための第1の発明は、プレーヤが装備するバトル用具と、制御システムとを具備し、前記バトル用具を装備したプレーヤ同士のバトルプレイの演出を制御するゲームシステムであって、前記バトル用具は、第1種パーツと第2種パーツとを備え、前記第1種パーツは、近距離無線通信を行うタグ(例えば、
図2のRFIDタグ33)と読取器(例えば、
図5のRFID読取器63)とのうちの前記タグを有し、前記第2種パーツは、前記読取器と、被打撃センサとを有し、前記制御システムは、前記読取器による読取検知と前記被打撃センサによる被打撃検知との両方がなされたか、一方のみがなされたかに基づいて打撃の成否を判定する成否判定手段(例えば、
図9の成否判定部202、
図13のステップS50からステップS56)を有し、前記成否判定手段により打撃成功と判定された場合に所定の演出制御を実行する(例えば、
図8のダメージ発光、
図13のステップS94)、ゲームシステムである。
【0009】
第1の発明によれば、ゲームシステムは、打撃の成功判定すなわちヒット判定を、打撃に伴い接近した第1種パーツのタグを第2種パーツの読取器が読み取ることと、打撃を被った第2種パーツの被打撃センサが被打撃を検知することと、の2重判定で実現する。よって、ヒット判定の精度を従来よりも高めることが可能になる。
【0010】
第2の発明は、上記のゲームシステムにおいて、前記第1種パーツは、有効な打撃と判定するための領域(例えば、
図2の領域39)に離散的に複数の前記タグを設置して有する、ゲームシステムである。
【0011】
第2の発明によれば、タグが特定の領域に限定的に設置されているので、プレーヤは当該領域を相手に当てるように格闘プレイする必要がある。つまり、ゲームシステムは、有効な攻撃を得るための適度なルールを実現する構成を有し、ゲームの興趣を高めることが可能になる。また、ゲームシステムは、当該領域に満遍なくタグを設置することで、当該領域の何処が相手に当たってもヒット判定することが可能になる。
【0012】
第3の発明は、上記のゲームシステムにおいて、前記タグは、当該タグが設けられた前記第1種パーツの種類および/又は部位に関連付けられた識別情報(例えば、
図7のタグID、
図9の第1種パーツ登録データ514の攻撃アイテム名、サブ部位別タグIDリスト)を前記近距離無線通信で発信し、前記読取器は、前記近距離無線通信で前記識別情報を読み取って前記読取検知の情報に含め、前記制御システムは、前記読取検知の情報に含まれる前記識別情報に基づく演出制御を実行する(例えば、
図10の打撃成功演出定義データ520)、ゲームシステムである。
【0013】
第3の発明によれば、ゲームシステムは、どの第1種パーツがヒットしたか、第1種パーツの何処がヒットしたかに応じて演出制御することが可能になる。
【0014】
第4の発明は、上記のゲームシステムにおいて、前記第2種パーツは、前記バトル用具を構成する部位別(例えば、
図1の打撃目標部位ポッド14)に存在し、前記成否判定手段は、同一の部位の前記第2種パーツに設けられた前記読取器による読取検知と前記被打撃センサによる被打撃検知との両方に基づいて、当該部位に対する打撃の成否を判定することで、部位別に打撃の成否を判定する、ゲームシステムである。
【0015】
第4の発明によれば、ゲームシステムは、どの部位の第2種パーツに打撃を受けたかを判定することが可能になる。
【0016】
第5の発明は、上記のゲームシステムにおいて、前記制御システムは、前記成否判定手段によって打撃成功と判定された部位に応じた演出制御を実行する(例えば、
図10の打撃成功演出定義データ520)、ゲームシステムである。
【0017】
第5の発明によれば、ゲームシステムは、どの部位への打撃が成功したかによって演出制御することが可能になる。
【0018】
第6の発明は、上記のゲームシステムにおいて、前記被打撃センサは、打撃を受けた物理量を検知することが可能であり、前記制御システムは、前記成否判定手段により打撃成功と判定された場合に、前記被打撃センサにより検知された物理量に基づく演出制御を実行する(例えば、
図10の打撃成功演出定義データ520、
図11のダメージ値算定基準データ552)、ゲームシステムである。
【0019】
第6の発明によれば、ゲームシステムは、被打撃センサによって検知された被打撃に係る物理量に応じた演出制御をすることが可能になる。
【0020】
第7の発明は、上記のゲームシステムにおいて、各プレーヤの前記バトル用具に設けられた前記タグは、当該プレーヤ用であることを示す情報に関連付けられた識別情報(例えば、センサID)を前記近距離無線通信で発信し、前記制御システムは、前記読取検知がなされた前記読取器がどのプレーヤ用の前記バトル用具のものであるかと、当該読取検知の情報に含まれる前記識別情報と、に基づいてプレーヤ自らの打撃を自ら被ったか否かを判定する手段(例えば、
図5のバトル用具制御基板50、
図9の彼我判定部204、
図13のステップS54)を有する、ゲームシステムである。
【0021】
第7の発明によれば、ゲームシステムは、その打撃が自身によるものか対戦相手によるものかの彼我を識別することが可能になる。
【0022】
第8の発明は、上記のゲームシステムにおいて、前記バトル用具は、発光部(例えば、
図1および
図5におけるLED群70およびダメージ演出LED82)を備え、前記制御システムは、前記成否判定手段により打撃成功と判定された場合に前記発光部を発光させる演出制御を実行する(例えば、
図13のステップS94)、ゲームシステムである。
【0023】
第8の発明によれば、ゲームシステムは、発光を利用した演出を実行することが可能になる。
【0024】
第9の発明は、上記のゲームシステムにおいて、前記バトル用具は、特別演出部(例えば、
図2の特別演出装置90)を備え、前記制御システムは、前記成否判定手段による判定結果に基づいて、前記バトルプレイにおける勝者プレーヤ又は敗者プレーヤを判定する勝敗判定手段(例えば、
図11の勝敗判定部226、
図12のステップS100)を有し、当該勝敗判定手段の判定結果に基づいて前記特別演出部による演出を発動させる(例えば、
図9の演出制御部206、
図13のステップS114)、ゲームシステムである。
【0025】
第9の発明によれば、ゲームシステムは、勝敗に応じた特別な演出を実行することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図2】装着状態のバトル用具を正面向かって右から見た右側面図。
【
図5】バトル用具に搭載されている電装品を説明するための図。
【
図7】打撃の成功判定(ヒット判定)について説明するための図。
【
図8】LED群の発光制御について説明するための図。
【
図9】バトル用具が記憶するプログラムやデータの例と、バトル用具で実現される機能部について説明するための図。
【
図10】打撃成功演出定義データのデータ構成例を示す図。
【
図11】進行制御コンピュータが記憶するプログラムやデータの例と、進行制御コンピュータで実現される機能部について説明するための図。
【
図12】進行制御コンピュータが実行する進行制御処理の流れを説明するためのフローチャート。
【
図13】バトル用具が実行するバトル用具制御処理の流れを説明するためのフローチャート。
【
図16】打撃成功の判定(ヒット判定)の変形例を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して本発明の実施形態の例を説明するが、本発明を適用可能な形態が以下の実施形態に限られないことは勿論である。
【0028】
図1は、本実施形態のゲームシステム1000の構成例を示す側面図である。
ゲームシステム1000は、複数のプレーヤ2(2a,2b)がそれぞれに割り当てられたバトル用具10(10a,10b)を装着して、擬似格闘戦を楽しむ対戦型アトラクションゲームを実現する。
【0029】
ゲームシステム1000は、参加人数分のバトル用具10(10a,10b;
図1の例では参加人数は2名)と、ゲームの進行制御をする進行制御コンピュータ1100と、を有する。
【0030】
進行制御コンピュータ1100は、ゲーム進行に係る制御を行うコンピュータシステムである。進行制御コンピュータ1100は、本体装置1101に制御基板1150を搭載する。そして、進行制御コンピュータ1100は、制御基板1150に実装されているICメモリ1152から制御プログラムを読み出してCPU1151で演算処理して、ゲーム進行に係る各種機能を実現する。
【0031】
すなわち、進行制御コンピュータ1100は、制御基板1150に実装されている通信装置1153でバトル用具10(10a,10b)とデータ通信可能に有線或いは無線で接続されている。そして、進行制御コンピュータ1100は、バトル用具10(10a,10b)から送信される信号に基づいてゲーム進行に係る制御を行う。また、進行制御コンピュータ1100は、ゲーム進行の制御の情報をバトル用具10(10a,10b)へ送信する。なお、進行制御コンピュータ1100は、ゲーム進行に係る各種情報(例えば、ゲームプレイの残時間、バトル用具10毎の残HP(ヒットポイント)、勝敗結果、など)をモニタ1160に表示する。
【0032】
次に、バトル用具10について説明する。
図1のバトル用具10は、装着状態の正面図を示している。
図2は、装着状態のバトル用具10を正面向かって右から見た右側面図を示している。
【0033】
バトル用具10(10a,10b)は、人の上半身に装着する外骨格をイメージして作成されている。バトル用具10(10a,10b)は、個体識別を目的に個別に配色や一部の形状が異なるようにデザインされているが、基本的に同じ構造を有している。
【0034】
バトル用具10は、プレーヤ2と連結される骨格に相当する基本構造部20と、基本構造部20に着脱自在に固定される複数のクッション12および打撃目標部位ポッド14を有する。
【0035】
クッション12は、エアクッションや、ウレタンフォーム材、ポリエチレンフォーム材、などの弾性体によって作られている。クッション12は、プレイ中の擬似格闘戦で生じ得る衝突や転倒からプレーヤ2を防護する。
【0036】
なお、クッション12を基本構造部20へ固定する方法は、面ファスナーやバンド締結など適宜選択することができる。また、プレーヤ2は、バトル用具10を装着する前に、ヘルメット等の個別身体防具を装着してプレイするとしてもよい。
【0037】
クッション12を設ける数や部位は適宜設定可能である。クッション12として、例えば、左右それぞれの上腕クッション12a、左右それぞれの前腕クッション12b、上方背部クッション12c、下方背部クッション12d、を有する。また、左右の一方の腕の先端に取り付けられる拳クッション12g、左右の他方の腕の先端に取り付けられる棒クッション12p、を有する。
【0038】
拳クッション12gと、棒クッション12pは、相手に当てて攻撃するための攻撃アイテムに相当する第1種パーツ31である。
【0039】
拳クッション12gは、第1の攻撃アイテムである握り拳としての役割を担う。拳クッション12gの先端側に設けられた有効な打撃と判定するための領域39(
図2参照)には、複数のRFIDタグ33(図中の破線小楕円)が満遍なく離散的に貼設されている。
【0040】
棒クッション12pは、第2の攻撃アイテムである剣としての役割を担う。棒クッション12pの先端側に設けられた有効な打撃と判定するための領域39(
図2参照)には、複数のRFIDタグ33が満遍なく離散的に貼設されている。
【0041】
拳クッション12gと棒クッション12pの一方がプレーヤ2の利き手側に装備される。拳クッション12gと棒クッション12pとのどちらを利き手側に装備するかによってプレイ難易度が変化するので、プレーヤ2同士で合意の上、適宜設定するとよい。
【0042】
なお、第1種パーツ31の種類によっては、サブ部位34(34a,34b,…)が設定されており、RFIDタグ33は、サブ部位34別に貼設・登録されている。どのRFIDタグ33のタグIDが読み取られたかで、当該第1種パーツ31の何処がヒットしたかを判定するのに利用される。
図2の例では、棒クッション12pのRFIDタグ33は、先端の第1サブ部位34aと、先端よりやや持ち手側の側面に当たる第2サブ部位34bとに設けられている。
【0043】
打撃目標部位ポッド14は、自身にとっての防御部位であり相手にとっての打撃目標部位を示す第2種パーツ32である。打撃目標部位ポッド14は、外部からの衝撃を内部に適度に伝えることができる比較的硬質なプラスチック材料で形成されて、基本構造部20に着脱自在に固定されている。固定方法は、面ファスナーやバンド締結など適宜選択することができる。
【0044】
打撃目標部位ポッド14を設ける数や部位は、第2種パーツ32を設ける数や、バトル用具10のデザインによって生まれる部位に合わせて適宜設定する。
図1と
図2の例では、第2種パーツ32は、頭部と、バトル用具10を装着したプレーヤ2にとって右肩となる右肩部と、バトル用具10を装着したプレーヤ2にとって左肩となる左肩部と、腹部との4つとされる。そして、打撃目標部位ポッド14は、1つの第2種パーツ32が1ポッドとなるように、頭部ポッド14a・右肩ポッド14b・左肩ポッド14c・腹部ポッド14dを有する。
【0045】
図3は、バトル用具10の基本構造部の正面図であって、
図1からプレーヤ2・クッション12・打撃目標部位ポッド14が省略されている。
図4は、バトル用具10の基本構造部の右側面図であって、
図2からプレーヤ2・クッション12・打撃目標部位ポッド14が省略されている。
【0046】
基本構造部20は、背負子フレーム21と、腕支持フレーム22と、前方防護フレーム23と、を有する。これらのフレームは、例えばアルミ円管材・アルミ引き抜き材・強化プラスチック材・FRPなどを使って軽量に作られている。また、背負子フレーム21は、プレイ時の衝突や衝撃、転倒などをしても損傷や塑性変形をしないように高剛性に作られている。
【0047】
背負子フレーム21は、プレーヤ2が装帯部5でプレーヤ2に固定されて背負われる基部である。装帯部5は、例えば、背面パッド5a・ウエストベルト5b・ショルダーハーネス5c、などを有する。
【0048】
前述の上方背部クッション12cは、背負子フレーム21の上部に固定され、下方背部クッション12dは、背負子フレーム21の下部に固定される(
図2参照)。
【0049】
腕支持フレーム22は、背負子フレーム21の上部から左右それぞれへ延設されている。
腕支持フレーム22は、プレーヤ2が装着するとプレーヤ2にとって右側になる端に右腕フレーム24Rを有し、プレーヤ2が装着するとプレーヤ2にとって左側になる端に左腕フレーム24Lを有する。そして、腕支持フレーム22の右端に右肩ポッド14bが固定され、左端に左肩ポッド14cが固定される(
図1参照)。
【0050】
右腕フレーム24Rと左腕フレーム24Lは、左右対称であること以外は基本的には同じ構造を有している。例えば、右腕フレーム24Rと左腕フレーム24Lは、上から順に、肩関節部24a・上腕フレーム24b・肘関節部24c・前腕フレーム24dを有する。
【0051】
肩関節部24aは、バトル用具10を装着したプレーヤ2の肩関節の動きをトレース可能な構造部であって、腕支持フレーム22に連結している。肩関節部24aは、例えば、ボールジョイント、弾性体(例えば、コイルばねや、ゴム紐、など)、索状体、紐体、複数のリンクを連結したリンク構造部、などで実現してもよい。
【0052】
上腕フレーム24bには、上腕クッション12aが固定される(
図1参照)。固定方法は、面ファスナーやバンド締結などを適宜選択することができる。
【0053】
肘関節部24cは、バトル用具10を装着したプレーヤ2の肘関節の動きをトレース可能な構造部である。肘関節部24cは、例えば、ボールジョイント、弾性体、索状体、紐体、複数のリンクを連結したリンク構造部、などで実現してもよい。
【0054】
前腕フレーム24dは、プレーヤ2の前腕部を固定する固定ベルト6を有する。そして、前腕フレーム24dに、前腕クッション12bと、拳クッション12g又は棒クッション12pと、の2つのクッションが固定される(
図1参照)。固定方法は、面ファスナーやバンド締結などを適宜選択することができる。
【0055】
前方防護フレーム23は、背負子フレーム21の上端から始まり、バトル用具10を装着したプレーヤ2の頭上を通って前方へ回り、更に胸部前方へ垂れるに至る。前方防護フレーム23は、背負子フレーム21との間にプレーヤ2の上半身が入るスペースを画成している。
【0056】
前方防護フレーム23の上面には頭部ポッド14aが固定され、下端前面には腹部ポッド14dが固定される(
図1参照)。固定方法は、面ファスナーやバンド締結などを適宜選択することができる。
【0057】
また、前方防護フレーム23の前面全体は、透明防護板25で覆われている。透明防護板25は、アクリル等の透明樹脂板としてもよい。
【0058】
図5は、バトル用具10に搭載されている電装品を説明するための図である。
バトル用具10は、バトル用具制御基板50と、バッテリー59と、第2種パーツ32別に対応づけられた検知基板60(60a,60b,…)と、を有する。また、第2種パーツ32別に対応づけられた発光部である複数のLED群70(70a,70b,…)と、ステータスインジケータ80と、特別演出装置90と、を有する。
【0059】
バトル用具制御基板50とバッテリー59は、背負子フレーム21の背面に固定されている背部ケース26内に収容される(
図4参照)。
【0060】
バトル用具制御基板50は、CPU51と、ICメモリ52と、インターフェースIC53と、第1通信モジュール54と、第2通信モジュール56とを有する。CPU51は、ICメモリ52に記憶されているプログラムを読み込み、ICメモリ52を一時記憶領域として利用しながら演算処理を実行することによって、バトル用具10をプレーヤ別のゲームコントローラとしての機能を実現する。
【0061】
インターフェースIC53は、当該基板から、LED群70・ステータスインジケータ80・特別演出装置90への信号の出力制御を行う。
【0062】
第1通信モジュール54は、有線通信又は無線通信により当該基板と検知基板60とのデータ通信を実現する。無線通信を採用する場合、例えば、近距離無線用の通信モジュールとする。
【0063】
第2通信モジュール56は、有線通信又は無線通信により当該バトル用具10と進行制御コンピュータ1100とのデータ通信、当該バトル用具10と他のバトル用具10とのデータ通信を実現する。無線通信を採用する場合、例えば、近距離無線用の通信モジュールとする。
なお、第1通信モジュール54と第2通信モジュール56は、共通でもよい。
【0064】
検知基板60(60a,60b,…)は、第2種パーツ32別に用意され、基本構造部20又は打撃目標部位ポッド14に固定される(
図3、
図4参照)。第2種パーツ32は、検知基板60を有すると言い換えることもできる。
【0065】
例えば、検知基板60を基本構造部20に固定する構成では、頭部ポッド14a用の検知基板60aは、頭部ポッド14aの内部で、頭部ポッド14aを固定する基部に固定される。右肩ポッド14b用の検知基板60bは腕支持フレーム22の右端部に固定され、左肩ポッド14c用の検知基板60cは腕支持フレーム22の左端部に固定される。腹部ポッド14d用の検知基板60dは前方防護フレーム23の下端背面側に固定される。
【0066】
例えば、検知基板60を打撃目標部位ポッド14に固定する構成では、打撃目標部位ポッド14の内面や、打撃目標部位ポッド14をフレームに支持する支持構造部に固定する。
【0067】
1つの検知基板60は、MCU(Micro Controller Unit)61と、被打撃センサ62と、RFID読取器63と、バッテリー64と、第3通信モジュール65と、を備える。
【0068】
被打撃センサ62は、当該基板が対応する第2種パーツ32に作用した衝撃を検出するセンサである。被打撃センサ62は、例えば加速度センサや振動センサを用いて実現することができる。
【0069】
被打撃センサ62は、加速度値と加速度変化を監視しており、所定の基準値以上の加速度値を検出すると、打撃を被ったことにより生じた物理量(加速度や振動)を検出したと判定してもよい。すなわち「被打撃の検知」をする。そして、被打撃センサ62は、固有のセンサIDおよび検出加速度値(又は振動値)をMCU61へ出力する。
【0070】
或いは、被打撃センサ62の検出信号が常時MCU61へ出力されており、MCU61が、加速度値と加速度変化を監視しており、所定の基準値以上の加速度値を検出すると、「被打撃の検知」をする構成としてもよい。
【0071】
なお、被打撃センサ62は、検知基板60に実装される構成に限らない。例えば、被打撃センサ62を打撃目標部位ポッド14の内面に貼設して、検知基板60まで信号線で接続する構成としてもよい。
【0072】
RFID読取器63は、所定の通信可能距離内に接近したRFIDタグ33(
図2参照)と通信して当該タグのタグIDを取得し、読取情報としてタグIDをMCU61へ出力する。通信可能距離は、他の検知基板60のRFID読取器63の通信可能距離と重ならないように設定するのが好ましい。例えば、数cm~10cm程度とすると好適である。
【0073】
第3通信モジュール65は、バトル用具制御基板50の第1通信モジュール54と有線通信又は無線通信を実現する。無線通信の場合、近距離無線通信を利用してもよい。
【0074】
1つのLED群70は、複数のLED(Light Emitting Diode)で構成されてバトル用具制御基板50により一体的に発光制御される発光部である。LED群70は、多色発光する構成であると好ましい。LED群70(70a,70b,…)は、対戦相手に見えるように、且つ対応する第2種パーツ32との1対1の関係が分かり易い位置に設置される(
図1,
図3参照)。
【0075】
例えば、頭部ポッド14aに対応する頭部ポッド用LED群70aは、前方防護フレーム23の上縁部に前方に向けて設置される。右肩ポッド14bに対応する右肩ポッド用LED群70bは、前方防護フレーム23の正面向かって左縁部に設置される。左肩ポッド14cに対応する左肩ポッド用LED群70cは、前方防護フレーム23の正面向かって右縁部に設置される。腹部ポッド14dに対応する腹部ポッド用LED群70dは、前方防護フレーム23の下縁部に設置される。
【0076】
なお、LED群70に代えて他の発光素子や発光デバイスを使用してもよい。例えば、LEDに代えて、OELD(Organic Electro Luminescence Display)等の小型発光ディスプレイデバイス、などを使用してもよい。
【0077】
ステータスインジケータ80は、前方防護フレーム23の上端部に固定され(
図3、
図4参照)、当該バトル用具10を装着するプレーヤ2へ、ゲームにおける当該プレーヤ2に設定されているパラメータ値等の通知等を行う。
【0078】
例えば、ステータスインジケータ80は、スピーカ81と、ダメージ演出LED82と、残時間インジケータ83と、残HPインジケータ84と、を有する。
【0079】
スピーカ81は、各種音声・効果音を放音する。スピーカ81は、例えば、ゲーム開始を告げる音楽やゲーム説明の音声、ダメージを受けたことを報せる効果音、ダメージを与えたことを報せる効果音、残時間が少なくなったことを告げる効果音、などを放音するとしてもよい。
【0080】
ダメージ演出LED82は、ゲームプレイ中に当該バトル用具10が対戦相手からの攻撃を被ってダメージが発生した場合に、これを通知するために発光制御される。発光色・発光時間長・明滅パターンで、ダメージの大きさを段階的に表現するように発光制御される。
【0081】
残時間インジケータ83は、所定のゲームプレイ時間の残り時間を表示する。
【0082】
残HPインジケータ84は、バトル用具10に設定されている残HPの状態を表示する。
図6は、残HPインジケータ84の表示例を示す図である。
ゲーム開始時には、バトル用具10の第2種パーツ32それぞれに初期HPが設定され、初期HPを基準に打撃成功の判定(ヒット判定)する毎に決定されるダメージ値だけ、都度に減算されて残HPが決まる。全ての第2種パーツ32の残HPが「0」になった場合、又は特定の第2種パーツ32(例えば、頭部)の残HPが「0」になると、ゲームで負けとなる。
【0083】
残HPインジケータ84は、複数の第2種パーツ32それぞれに対応する複数のインジケータLED85(85a,85b,…)を有する。インジケータLED85(85a,85b,…)は、それぞれ対応する第2種パーツ32の残HPの初期HPに対する割合に応じて点灯制御される。例えば、点灯の有無、発光色の違い、発光明滅パターンによって、残HPをプレーヤ2へ報せる。
【0084】
図5に戻って、特別演出装置90は、バトルプレイゲームの勝敗が決した際の特別な演出を実現する装置であって、バトル用具制御基板50により発動制御される。特別演出装置90は、例えば、スモーク発生装置、花吹雪発生装置、頭部ポッド14aを外したり傾かせる機構部、などであってもよい。特別演出装置90の取り付け位置も適宜設定可能である。例えば、頭部ポッド14aの近傍に固定されるとしてもよい(
図2参照)。
【0085】
図7は、打撃の成功判定すなわちヒット判定について説明するための図である。第1のバトル用具10aの拳クッション12g(第1種パーツ31)が、第2のバトル用具10bの腹部ポッド14d(第2種パーツ32)に当たった様子を例示している。
【0086】
腹部ポッド用の検知基板60dの被打撃センサ62(
図5参照)は、腹部ポッド14dが拳クッション12gにより打撃を受けた物理量が所定の基準を超える場合、被打撃を検知して、MCU61へ固有のセンサIDおよび検出加速度値を出力する。又は、MUC61が被打撃センサ62の検出加速度を常時監視しており、所定の基準を超える場合に、被打撃を検知する。
【0087】
また、拳クッション12gのRFIDタグ33が通信可能距離内に達することで、腹部ポッド用の検知基板60dのRFID読取器63が当該タグのタグIDを読み取り、これを「読取検知の情報」として、MCU61へ出力する。
【0088】
MCU61は、被打撃が検知され、且つ、RFID読取器63からタグIDが入力されていると、バトル用具制御基板50へ1次被打撃通知を送信する。換言すると、a)被打撃の検知と、b)RFID読取器63からのタグIDの入力と、の両方でもってMCU61は、打撃されたと認定(検知)する。a)被打撃の検知と、b)RFID読取器63からのタグIDの入力と、のうちの一方のみでは、打撃されたとは認定(検知)しない。
【0089】
打撃されたことを認定(検知)したMCU61はその旨をバトル用具制御基板50に通知する。これが「1次被打撃通知」である。「1次被打撃通知」では、被打撃センサ62に固有のセンサIDと、検出加速度値(例えば、ピーク加速度値)と、RFID読取器63に固有の読取器IDと、RFID読取器63から入力されたタグIDと、を送信する。
【0090】
なお、被打撃センサ62が固有のセンサIDを出力できない構成の場合や、RFID読取器63が固有の読取器IDを出力できない構成の場合は、MCU61又は別途搭載されるICメモリにそれらを予め記憶しておいて、1次被打撃通知に適宜含めるとしてもよい。被打撃センサ62のセンサIDや、RFID読取器63の読取器IDは、検知基板60に設定されている所定の基板IDで代用してもよい。
【0091】
図5に戻って、バトル用具制御基板50は、検知基板60から1次被打撃通知を受信すると、打撃されたことは分かるが、果たしてその打撃が、相手の攻撃による打撃なのか、自分で自分を攻撃してしまった(自機の第1種パーツ31が第2種パーツ32に当たってしまった)と判定されたことによる打撃なのかの彼我判定を行う。すなわち、1次被打撃通知に含まれるタグIDが、当該基板が搭載されているバトル用具10(以下、自用具という)のRFIDタグ33に該当するか否かを判定する。該当する場合には自分で自分を攻撃してしまったと判定されたことによる打撃を意味する。そのため、該当しないと判定することで、相手の攻撃による打撃、すなわち「打撃成功」と判定する。より具体的には、相手のバトル用具10(以下、相手用具)の第1種パーツ31が、1次被打撃通知に含まれるセンサIDに対応する第2種パーツ32に対して打撃したことによる「打撃成功」であると判定する。当該第2種パーツ32にヒットがあったとみなす「ヒット判定」をすると言い換えることができる。
【0092】
ヒット判定したバトル用具制御基板50は、進行制御コンピュータ1100へ2次被打撃通知を送信する。「2次被打撃通知」では、自用具に固有のバトル用具IDと、被打撃の第2種パーツ32を示す被打撃第2種パーツIDと、被打撃の検知に係るタグIDと、被打撃の検知に係る検出加速度値と、を送信する。被打撃第2種パーツIDは、1次被打撃通知のセンサIDを、被打撃センサ62と第2種パーツ32とを対応づけた所定の登録データと照合して得る。
【0093】
進行制御コンピュータ1100は、バトル用具制御基板50とともに、制御システム1002を構成する。
進行制御コンピュータ1100は、バトル用具10別に、且つ、第2種パーツ32別に、初期HP(Hit Point)として初期の残HPを設定し、ゲームの進行制御を開始している。進行制御コンピュータ1100は、バトル用具10からの2次被打撃通知を受信すると、2次被打撃通知の情報に基づいてダメージ値を決定する。そして、ヒット判定されたバトル用具10の被打撃第2種パーツの残HPをダメージ値だけ減算する。最終的には、進行制御コンピュータ1100は、各バトル用具10の残HPに基づいてゲームを進行させ、ゲームの勝敗を判定する。
【0094】
進行制御コンピュータ1100は、決定したダメージ値と第2種パーツ32別の残HPの情報(例えば、残HPの値、又は初期HPに対する残HPの割合)とを、2次被打撃通知元のバトル用具10へ返信する。
【0095】
バトル用具10のバトル用具制御基板50は、進行制御コンピュータ1100からダメージ値と残HPの情報とを受信すると、これを一時記憶する。そして、バトル用具制御基板50は、被打撃第2種パーツに対応するLED群70にて当該ダメージ値に応じたダメージ発光制御を一定時間行い、その後、第2種パーツ32毎の残HPを対応するLED群70にて示す残HP発光制御を行う。
【0096】
図8は、LED群70の発光制御について説明するための図であって、
図8(1)はダメージ発光の例、
図8(2)は残HP発光の例、をそれぞれ示している。
【0097】
ダメージ発光では、1つのLED群70が備える複数のLEDのうち、発光する位置・発光するLEDの数・発光する色・発光明滅パターンを適宜組み合わせて、ダメージ値の大きさを視覚的に表現する。対戦相手は、このダメージ発光をもって自身の攻撃の実効性を確認することができる。
【0098】
残HP発光では、初期HPに対する残HPの割合を発光するLEDの数や、発光色の割合で視覚的に表現する。対戦相手は、この残HP発光をもって、どこの第2種パーツ32のHPがどれだけ残っているかを知ることができる。当然、残HPが0%の第2種パーツ32を更に攻撃しても勝敗には影響しないので、対戦相手は残HP発光に基づいて、残HPが0%に達していない第2種パーツ32を選択的に攻撃する必要があることになる。
【0099】
図9は、バトル用具10が記憶するプログラムやデータの例と、バトル用具10で実現される機能部について説明するための図である。
バトル用具10は、ICメモリ52に、バトル用具制御プログラム501と、バトル用具登録データ510と、打撃成功演出定義データ520と、特別演出定義データ530と、第2種パーツ別HP管理データ540と、現在日時900と、を記憶する。
【0100】
バトル用具制御プログラム501は、CPU51が実行・演算処理することで、バトル用具制御部200tとしての機能を実現する。
バトル用具制御部200tは、制御システム1002としての機能の一部を担っている。具体的には、バトル用具制御部200tは、成否判定部202と、彼我判定部204と、演出制御部206と、ステータス通知制御部208と、計時部280tと、を有する。
【0101】
成否判定部202は、RFID読取器63による読取検知と被打撃センサ62による被打撃検知との両方がなされたか、一方のみがなされたかに基づいて打撃の成否を判定する。打撃成功の判定は「ヒット判定」となる。前述のように、頭部・左肩・右肩・腹部の4部位が第2種パーツ32とされ、第2種パーツ32毎に検知基板60が用意されている。よって、成否判定部202は、同一の部位の第2種パーツ32に設けられたRFID読取器63による読取検知と被打撃センサ62による被打撃検知との両方に基づいて、当該部位に対する打撃の成否を判定することで、部位別に打撃の成否を判定する、といえる。
【0102】
彼我判定部204は、読取検知がなされたRFID読取器63がどのプレーヤ用のバトル用具10のものであるかと、当該読取検知の情報に含まれるタグID(識別情報)と、に基づいてプレーヤ自らの打撃を自ら被ったか否かを判定する。すなわち、打撃成功の判定の起源となった打撃が、自傷打撃であるか対戦相手からの打撃であるかを判定する。
【0103】
演出制御部206は、打撃成功と判定された場合つまり対戦相手からの攻撃のヒット判定がされた場合に、所定の演出制御を実行する。スピーカ81(
図5参照)からのダメージ効果音の放音制御、ダメージ演出LED82(
図5参照)の発光制御、LED群70によるダメージ発光の制御(
図8参照)、などがこれに該当する。特別演出装置90をスモーク発生装置とした場合、ダメージに応じた少量のスモークを短時間放出させる制御を演出制御に含めてもよい。
【0104】
また、演出制御部206は、バトルプレイの勝敗判定結果に基づいて特別演出装置90(
図2参照)による演出を発動させる。具体的には、特別演出装置90でスモークを発生させる。
【0105】
ステータス通知制御部208は、バトル用具に対応づけられているゲーム進行に係る情報をプレーヤに通知する制御を行う。残時間インジケータ83の表示制御、残HPインジケータ84の表示制御、LED群70での第2種パーツ32別の残HPの表示制御、などがこれに該当する(
図5参照)。
【0106】
計時部280tは、システムクロックを利用して現在日時900や制限時間等の各種計時を行う。
【0107】
バトル用具登録データ510は、当該バトル用具10(自用具)の登録データである。バトル用具登録データ510は、固有のバトル用具ID512と、第1種パーツ登録データ514と、第2種パーツ登録データ516と、を含む。勿論、これら以外のデータも適宜含めてもよい。
【0108】
第1種パーツ登録データ514は、第1種パーツ31別に用意され、当該パーツに係る情報を格納する。例えば、第1種パーツ登録データ514は、第1種パーツIDと、攻撃アイテム名と、当該パーツに貼設されたRFIDタグ33のタグIDリストと、を格納する。タグIDリストは、当該第1種パーツ31にサブ部位34(
図2参照)が設定されている場合は、サブ部位名とタグIDを対応づけたサブ部位別タグIDリストとされる。
【0109】
第2種パーツ登録データ516は、第2種パーツ32別に用意され、当該パーツに係る情報を格納する。例えば、第2種パーツIDと、当該パーツがバトル用具10どの部位(例えば、頭部・左肩・右肩・腹部の4部位の何れ)に該当するかを示す部位IDと、当該パーツに対応する検知基板60の基板IDと、を格納する。また、当該検知基板60が搭載する被打撃センサ62のセンサIDと、当該検知基板60が搭載するRFID読取器63の読取器IDと、を格納する。勿論、これら以外のデータも適宜格納してもよい。
【0110】
打撃成功演出定義データ520は、打撃成功判定(ヒット判定)された場合に実行される演出の種類毎に用意され、当該演出の実行に係る各種データを格納する。
1つの打撃成功演出定義データ520は、例えば
図10に示すように、適用要件522と、発光演出パターンデータ524と、音演出パターンデータ526と、を含む。
【0111】
適用要件522は、当該定義データが選択・適用されるために満たされるべき条件を示す。適用要件522は、1つ又は複数のサブ条件523のANDやORによる組み合わせにより記述される。サブ条件523としては、例えば、被打撃第2種パーツ条件523a、被打撃部位条件523b、攻撃アイテム条件523c、打撃サブ部位条件523d、残HP条件523e、ダメージ値条件523f、など用いる。
【0112】
被打撃第2種パーツ条件523aは、どの第2種パーツ32が被打撃されたかについての満たすべき条件であり、第2種パーツIDのリストとして記述される。
【0113】
被打撃部位条件523bは、バトル用具10のどの部位が被打撃されたかについての満たすべき条件であり、部位名のリストとして記述される。
【0114】
攻撃アイテム条件523cは、どの種類の第1種パーツ31で打撃を受けたかについての満たすべき条件であり、第1種パーツIDや攻撃アイテム名のリストとして記述される。攻撃アイテム条件523cを満たすか否かは、打撃時に読み取られたRFIDタグ33のタグIDを含む第1種パーツ登録データ514を検索し、その第1種パーツID・攻撃アイテム名を参照して判定する。
【0115】
打撃サブ部位条件523dは、第1種パーツ31のどのサブ部位34(
図2参照)で打撃を受けたかについて満たすべき条件であり、攻撃アイテム条件523cが示す第1種パーツ31に設定されているサブ部位34のリストとして記述される。打撃サブ部位条件523dを満たすか否かは、打撃時に読み取られたRFIDタグ33のタグIDを含む第1種パーツ登録データ514を検索し、そのサブ部位別タグIDリストを参照して判定する。
【0116】
残HP条件523eは、被打撃された第2種パーツ32の残HPについての満たすべき条件であり、残HPの範囲や閾値で記述される。もし、バトル用具10の1つの部位に複数の第2種パーツ32を対応づけて設定する構成では、残HP条件523eは、被打撃された部位に係る残HPについて満たすべき条件としてもよい。
【0117】
ダメージ値条件523fは、被ったダメージ値についての満たすべき条件であり、ダメージ値の範囲や閾値で記述される。
【0118】
なお、サブ条件523の1つ又は複数は、実質的に未設定・制限無しに設定してもよい。
また、これら以外のパラメータ値を用いて記述されるサブ条件523を用いるとしてもよい。
【0119】
発光演出パターンデータ524は、LED群70やダメージ演出LED82(
図5参照)を用いた発光演出を実現するデータであり、発光するLEDの位置、発光時間、発光色などを指定する。
【0120】
音演出パターンデータ526は、スピーカ81(
図5参照)から放音させる効果音等の音声データである。
【0121】
図9に戻って、特別演出定義データ530は、ゲームの勝敗が決した場合に実行される演出毎に用意され、当該演出に係る各種データを格納する。1つの特別演出定義データ530は、適用要件と、特別演出装置作動パターンデータと、発光演出パターンデータと、を含む。
【0122】
適用要件は、当該定義データが選択・適用されるために満たすべき条件を定義する。例えば、当該バトル用具10のプレーヤ2が勝者プレーヤであるか敗者プレーヤであるかの何れかを示す。その他、プレイ開始から勝敗決定までの経過時間についての満たすべき条件を加えてもよい。
【0123】
特別演出装置作動パターンデータは、特別演出装置90(
図5参照)を所定のパターンで動作させるためのデータである。
【0124】
第2種パーツ別HP管理データ540は、当該バトル用具10の第2種パーツ32別に用意され、第2種パーツIDと、初期HPと、残HPと、を格納する。初期HPは、ゲーム開始前に進行制御コンピュータ1100により決定された値を受信し格納する。残HPは、初期HPから、進行制御コンピュータ1100により決定されたダメージ値を減算した残り値である。
【0125】
図11は、進行制御コンピュータ1100が記憶するプログラムやデータの例と、進行制御コンピュータ1100で実現される機能部について説明するための図である。
進行制御コンピュータ1100は、ICメモリ1152に、ゲームプログラム503と、バトル用具登録データ510pcと、初期HP定義データ550と、ダメージ値算定基準データ552と、プレイデータ700と、現在日時900と、を記憶する。勿論、これら以外も適宜記憶してもよい。
【0126】
ゲームプログラム503は、CPU1151が実行・演算処理することで、進行制御部200pcとしての機能を実現する。
進行制御部200pcは、制御システム1002としての機能の一部を担っている。具体的には、進行制御部200pcは、初期HP設定部220と、ダメージ値判定部222と、残HP管理部224と、勝敗判定部226と、計時部280pcと、を有する。
【0127】
初期HP設定部220は、ゲーム開始前にプレーヤ2別の年齢の入力を受け付け、初期HP定義データ550を参照して入力された年齢に応じて、当該プレーヤ2が使用するバトル用具10の第2種パーツ32別の初期HPを設定する。
【0128】
ダメージ値判定部222は、バトル用具10からの2次被打撃通知に基づいて、ダメージ値を算定する。
【0129】
残HP管理部224は、プレーヤ2が使用するバトル用具10の残HPを管理する。
【0130】
勝敗判定部226は、打撃成功の判定結果に基づいて、バトルプレイにおける勝者プレーヤ又は敗者プレーヤを判定する。例えば、ゲームプレイ時間が「0」になる前に、先にバトル用具10の全ての残HPが「0」になったプレーヤを、敗者プレーヤと判定するとしてもよい。また、ゲームプレイ時間が「0」になった時点で、残HPが「0」になった第2種パーツ32の数がより少ないプレーヤ、又は残HPの合計値がより多いプレーヤを、勝者プレーヤと判定するとしてもよい。
【0131】
計時部280pcは、システムクロックを利用して現在日時900や制限時間等の各種計時を行う。
【0132】
バトル用具登録データ510pcは、各バトル用具10が記憶するバトル用具登録データ510(
図9参照)と同じ内容で、ゲームに使用するバトル用具10の数だけ記憶されている。本実施形態では、2名のプレーヤ2(2a,2b)の1対1の対戦形式を前提としているので、バトル用具登録データ510pcは2つだけ図示されているが、多対多のチーム対戦形式の場合は、人数分のバトル用具登録データ510pcが記憶されることになる。
【0133】
初期HP定義データ550は、年齢範囲別に複数種類用意されている。1つの初期HP定義データ550は、適用年齢範囲と、第2種パーツ別初期HPリストと、を含む。本実施形態では、第2種パーツ32は、バトル用具10の部位と1対1に設定されているので、第2種パーツ別初期HPリストは部位別初期HPリストと読み替えてもよい。
【0134】
ダメージ値算定基準データ552は、第1種パーツ31を示す第1種パーツID(又は攻撃アイテム名)と、当該第1種パーツ31のサブ部位IDと、被打撃第2種パーツを示す第2種パーツID(又は被打撃部位)と、の組み合わせ別に用意されている。
【0135】
1つのダメージ値算定基準データ552は、適用要件と、算定関数と、が格納されている。
【0136】
ダメージ値算定基準データ552の適用要件は、「どの種類の第1種パーツ31の何処(サブ部位34)が、どの第2種パーツ32に打撃成功判定(ヒット判定)されたか」を示すように記述される。
【0137】
具体的には、ダメージ値算定基準データ552の適用要件は、
(1)打撃成功の判定の起源となった第1種パーツ31を示す第1種パーツID(又は攻撃アイテム名)と、
(2)打撃成功の判定の起源となった第1種パーツ31に設定されているサブ部位34(
図2参照)のサブ部位IDと、
(3)打撃を受けた第2種パーツ32を示す第2種パーツIDと、
の組み合わせで記述される。
なお、当該適用要件のサブ部位IDは、実質的な未定・無指定とする設定も可能である。
【0138】
ダメージ値算定基準データ552の算定関数は、検出加速度値(例えば、被打撃を検知した際のピーク加速度値)を変数として含むように設定されており、基本的には、検出加速度値が大きい程、算定されるダメージ値が大きくなるように設定されている。適宜、算定されるダメージ値に上限値が設けてもよい。
【0139】
プレイデータ700は、ゲーム可能な残時間を示すゲームプレイ時間702と、プレーヤ別のプレーヤデータ710を有する。
本実施形態では、2名のプレーヤ2(2a,2b)の1対1の対戦形式を前提としているので、プレーヤデータ710は2つだけ図示されているが、多対多のチーム対戦形式の場合は、人数分のプレーヤデータ710が記憶されることになる。
【0140】
1つのプレーヤデータ710は、使用バトル用具ID712と、プレーヤ名714と、プレーヤ年齢716と、第2種パーツ別HP管理データ718と、を含む。勿論、これら以外のデータも適宜含めてもよい。
【0141】
第2種パーツ別HP管理データ718は、使用するバトル用具10の第2種パーツ32別に用意され、第2種パーツIDと、初期HPと、残HPと、を格納する。
【0142】
次に、進行制御コンピュータ1100およびバトル用具10で実行される処理の流れについて説明する。
図12は、進行制御コンピュータ1100が実行する進行制御処理の流れを説明するためのフローチャートである。
図13は、バトル用具10が実行するバトル用具制御処理の流れを説明するためのフローチャートである。
【0143】
図12に示すように、進行制御コンピュータ1100は、プレーヤ別にプレーヤ名とプレーヤ年齢の設定入力を受け付ける(ステップS10)。
次いで、進行制御コンピュータ1100は、バトル用具10毎に、第2種パーツ別HP管理データ718の初期HPと残HPとを、初期HP定義データ550に基づいて設定し(ステップS12)、それらを各バトル用具10へ送信する(ステップS14;通信A)。
【0144】
次いで、進行制御コンピュータ1100は、ゲームプレイの進行制御を開始するとともに(ステップS16)、所定のプレイ開始信号を各バトル用具10へ送信する(ステップS18;通信B)。進行制御コンピュータ1100は、進行制御を開始するとともにゲームプレイ時間702に初期値を設定してカウントダウンを開始する。
【0145】
図13において、バトル用具10は、進行制御コンピュータ1100から第2種パーツ32別の初期HPを受信すると(通信A)、第2種パーツ別HP管理データ540(
図9参照)を設定・記憶する(ステップS30)。
【0146】
また、バトル用具10は、進行制御コンピュータ1100からプレイ開始信号(通信B)を受信すると(ステップS32)、ステータスインジケータ80(
図5参照)の表示制御を開始する(ステップS34)。また、LED群70での残HPの発光制御を開始し(ステップS36)、被打撃の監視を開始する(ステップS38)。
【0147】
第1種パーツ31が第2種パーツ32にヒットすると、ヒットされたバトル用具10は、被打撃センサ62で計測された物理量が所定の基準を超えると「被打撃を検知」と判定する(ステップS50)。
【0148】
また、第1種パーツ31が第2種パーツ32にヒットすると、当該第1種パーツ31のRFIDタグ33が当該第2種パーツ32のRFID読取器63通信可能距離内に入る。打撃を受けた第2種パーツ32では、検知基板60のRFID読取器63が、自動的に当該第1種パーツ31のRFIDタグ33を読み取る(ステップS52のYES)。
【0149】
ヒットされたバトル用具10は、読み取ったタグIDを、自用具に記憶されている第2種パーツ登録データ516(
図9参照)と照合して、読み取ったタグIDが自機の第1種パーツ31のRFIDタグ33のそれであるか彼我判定する。
【0150】
そして、照合の結果、該当するタグIDが登録されていなければ、ステップS50で検知した被打撃は、自用具の第1種パーツ31が自分に当たったのではなく、他用具(対戦相手)の第1種パーツ31が当たったものであると判定する(ステップS54のYES)。
【0151】
ヒットされたバトル用具10は、被打撃の検知およびタグIDの読取検知が所定の同時認定時間差内で成立していること、そして検知した被打撃が対戦相手によるものであること、をもって打撃成功すなわちヒット判定をする(ステップS56)。
【0152】
そして、進行制御コンピュータ1100へ2次被打撃通知を送信する(ステップS58;通信C)。2次被打撃通知は、ヒットされたバトル用具10のバトル用具IDと、被打撃の第2種パーツ32を示す被打撃第2種パーツIDと、被打撃の検知に係るタグIDと、被打撃の検知に係る検出加速度値と、を含む。被打撃第2種パーツIDは、被打撃の検知に係る被打撃センサ62のセンサIDを、第2種パーツ登録データ516照合して得る。
【0153】
図12において、進行制御コンピュータ1100は、バトル用具10からの2次被打撃通知を受信すると(ステップS70のYES)、ダメージ値算定基準データ552のうち、適用要件が満たされる基準データに従ってダメージ値を算定する(ステップS72)。そして、進行制御コンピュータ1100は、算定したダメージ値を、2次被打撃通知元のバトル用具10へ返信する(ステップS74;通信D)。
【0154】
次いで、進行制御コンピュータ1100は、2次被打撃通知元のバトル用具10の残HPの管理をする(ステップS76)。すなわち、プレーヤデータ710(
図11参照)のうち、2次被打撃通知元のバトル用具10の被打撃第2種パーツ(被打撃部位)の第2種パーツ別HP管理データ718の残HPを、算定したダメージ値だけ減算・更新する。
【0155】
図13において、2次被打撃通知元のバトル用具10は、進行制御コンピュータ1100からダメージ値を受信する(ステップS90;通信D)。そして、第2種パーツ別HP管理データ540(
図9参照)のうち、被打撃第2種パーツの残HPを、受信したダメージ値だけ減算する(ステップS92)。
【0156】
次いで、2次被打撃通知元のバトル用具10は、打撃成功演出を実行する(ステップS94)。具体的には、打撃成功演出定義データ520(
図10参照)のうち、適用要件522を満たす定義データを検索し、その発光演出パターンデータ524を参照する。そして、被打撃第2種パーツ(被打撃検知部位)に対応するLED群70にてダメージ発光を制御し、ステータスインジケータ80のダメージ演出LED82の発光を制御する(
図5参照)。また、適用要件522を満たす定義データの音演出パターンデータ526を参照して、スピーカ81から音声を放音する。
【0157】
打撃成功演出の内容に特別演出装置90(
図5参照)によるスモーク発生を含める構成では、勝敗判定時の正規の特別演出よりも短時間且つ少量のスモークを発生させるとしてもよい。
【0158】
図12において、進行制御コンピュータ1100は、所与のタイミングで勝敗判定を実行する(ステップS100)。勝敗が決定すれば(ステップS102のYES)、勝敗結果を全てのバトル用具10へ送信し(ステップS104;通信E)、勝敗結果をモニタ1160で表示させて(ステップS106)、一連の処理を終了する。
【0159】
図13において、バトル用具10は、勝敗結果を受信するまで(ステップS112のNO)、
図13のステップS50からステップS106を繰り返す。
【0160】
勝敗結果を受信すると(ステップS112のYES)、特別演出を実行する(ステップS114)。具体的には、バトル用具10は、特別演出定義データ530(
図9参照)のなかから適用要件を満たす定義データを検索する。そして、検索した定義データの特別演出装置作動パターンデータを参照して特別演出装置90を作動させ、発光演出パターンデータを参照して、LED群70やダメージ演出LED82の発光を制御する。そして、一連の処理を終了する。
【0161】
以上、本実施形態によれば、ヒット判定精度の高い格闘対戦型アトラクション向けゲームシステムを実現できる。また、当該ゲームシステムでのゲームの興趣を高めることができる。
【0162】
すなわち、ゲームシステム1000は、打撃の成功判定(ヒット判定)を、打撃に伴い接近した第1種パーツ31のRFIDタグ33の読み取りと、打撃を被った第2種パーツ32の被打撃センサ62による被打撃の検知と、の2重判定で実現する。よって、ヒット判定の精度を従来よりも高めることが可能になる。
【0163】
また、第1種パーツ31のRFIDタグ33が特定の領域39(
図2参照)に限定的に設置されているので、プレーヤは当該領域を相手に当てるように格闘プレイする必要がある。つまり、有効な攻撃を得るための適度な「縛り」を設けて、ゲームの興趣を高めることが可能になる。
【0164】
加えて、ゲームシステム1000は、(1)どの第1種パーツ31の何処がヒットしたか、(2)どの部位の第2種パーツ或いはどの部位へにヒットしたか、(3)どれだけの強度でヒットしたか、応じて演出制御することが可能になる。よって、ヒット状況に応じて様々な演出が実行されゲームの興趣が高まる。そして、勝敗が決すれば、勝敗に応じた特別な演出が実行されることもゲームの興趣を高めてくれる。
【0165】
〔変形例〕
以上、本発明を適用した実施形態の例について説明したが、本発明を適用可能な形態は上記形態に限定されるものではなく適宜構成要素の追加・省略・変更を施すことができる。
【0166】
(変形例その1)
例えば、制御システム1002としての機能を、バトル用具制御部200t(
図9参照)と、進行制御部200pc(
図11参照)とで分担する例を示したが、機能の分担の仕方は上記実施形態の例に限らず適宜変更可能である。
【0167】
例えば、上記実施形態において、進行制御部200pcで担っていた初期HP設定部220・ダメージ値判定部222・残HP管理部224・勝敗判定部226の機能を、バトル用具制御部200tにて実現する構成としてもよい。この場合、進行制御コンピュータ1100を省略してもよい。
【0168】
また例えば、上記実施形態において、バトル用具制御部200tで担っていた成否判定部202・彼我判定部204・演出制御部206・ステータス通知制御部208の機能を、進行制御部200pcで集約実現する構成としてもよい。この場合、バトル用具制御基板50は、検知基板60・LED群70・ステータスインジケータ80・特別演出装置90(
図5参照)などバトル用具10の電装部と、進行制御コンピュータ1100とのデータ中継機という位置付けとしてもよい。
【0169】
勿論、制御システム1002としての機能を、バトル用具制御部200tにて機能を集約実現する構成と、進行制御部200pcにて機能を集約実現する構成と、の中間の機能分担で実現してもよい。
【0170】
(変形例その2)
また、第1種パーツ31の例として、拳クッション12gと棒クッション12pを例示したが、第1種パーツ31の種類はこれらに限らない。
【0171】
例えば、
図14に示すように、両刃斧を摸した斧クッション12axを第1種パーツ31としてもよい。この場合、各刃部それぞれをサブ部位34(34e,34f)に設定するとしてもよい。類似したデザインとしては、ハンマーを摸した第1種パーツ31を設定してもよい。
【0172】
また例えば、
図15に示すように、銃および銃を把持する手を摸した銃クッション12gnを、第1種パーツ31としてもよい。銃クッション12gnは、スポンジ弾35と、これを圧縮空気で発射するスポンジ銃36と、を有する。この場合、スポンジ弾35にRFIDタグ33を内蔵又は貼設する。また、スポンジ銃36にも領域39を設定してRFIDタグ33を内蔵又は貼設する。そして、スポンジ弾35とスポンジ銃36それぞれを異なるサブ部位34(34g,34h)としてもよい。弾数は適宜設定する。
【0173】
勿論、これらの第1種パーツ31も上記実施形態の第1種パーツ31と同様に、前腕フレーム24d(
図3参照)に着脱自在とする。プレーヤ2がゲーム開始前に使用する第1種パーツ31を選択・換装できるようにしてもよい。
【0174】
(変形例その3)
上記実施形態では、2名のプレーヤによる個人対戦形式を前提で説明したが、チーム対戦形式でもよい。その場合、ステップS54における彼我判定は、自チーム(我)と、他チーム(彼)との判定とする。つまり、同じチームのバトル用具10の第1種パーツ31に打撃されてもこれを打撃成功の判定から除外するとしてもよい。
【0175】
(変形例その4)
上記実施形態では、被打撃センサ62(
図5参照)として加速度センサを例示したが、その他のセンサで実現してもよい。例えば、クッション12とともに打撃目標部位ポッド14を同様に空気充填体(例えば、ビニール風船)として実現する場合、空気充填口に空気圧センサを取り付けて、打撃時の空気圧の急激な変化をもって被打撃を検知するとしてもよい。或いは、第2種パーツ32を衝撃で外れる支持具で保持する構成では、当該支持具にスイッチを設け、衝撃で第2種パーツ32が外れたことをスイッチの通電OFFをもって検出する、としてもよい。
【0176】
(変形例その5)
上記実施形態では、バトル用具10の部位(頭部・右肩・左肩・腹部の4部位)それぞれに第2種パーツ32を設定しているが、バトル用具10の1つの部位に複数の第2種パーツ32を設定する構成でもよい。例えば、1つの頭部に、前頭部用の第2種パーツ32と、後頭部用の第2種パーツ32と、を設定するといった具合である。
【0177】
(変形例その6)
図16に示すように、第1種パーツ31(
図16の例では拳クッション12g)に、加速度検知を利用した衝突センサ69を搭載した検知基板60(60g)を設け、衝突センサ69による衝突検知を打撃成功の判定(ヒット判定)に用いてもよい。
【0178】
具体的には、第1種パーツ31の検知基板60(60g)の衝突センサ69で衝突を検知すると、検知基板60(60g)はバトル用具制御基板50(50a)へ、衝突センサ69のセンサIDを1次打撃通知として送信する。
【0179】
バトル用具制御基板50(50a)は、第1種パーツ登録データ514に、当該第1種パーツの検知基板60の衝突センサ69のセンサIDを含んで記憶している。そして、1次打撃通知を受信したバトル用具制御基板50(50a)は、他のバトル用具10(10b)へバトル用具IDを2次打撃通知として送信する。
【0180】
被打撃検知したバトル用具10(10b)のバトル用具制御基板50(50b)は、ステップS54(
図13参照)で肯定判定した後に、2次打撃通知を受信したか確認し、受信している場合に、打撃成功の判定を行う(ステップS56相当)。
【0181】
当該構成では、更に打撃成功の判定をするための条件を多重化し、打撃成功の判定(ヒット判定)の精度を高めることができる。
【0182】
(変形例その7)
上記実施形態では、バトル用具10を外骨格風にデザインし、プレーヤ2がこれを背負って羽織るようにして使用する例を示したが、バトル用具10のデザインはこれ以外でもよい。
【0183】
例えば、バトル用具10に、プレーヤ2の脛部を覆う脛クッションを追加し、これも第2種パーツ32としてもよい。
【符号の説明】
【0184】
2…プレーヤ
10…バトル用具
12…クッション
12g…拳クッション
12p…棒クッション
14…打撃目標部位ポッド
20…基本構造部
25…透明防護板
31…第1種パーツ
32…第2種パーツ
33…RFIDタグ
39…領域
50…バトル用具制御基板
60…検知基板
62…被打撃センサ
63…RFID読取器
70…LED群
80…ステータスインジケータ
90…特別演出装置
200pc…進行制御部
200t…バトル用具制御部
202…成否判定部
204…彼我判定部
206…演出制御部
226…勝敗判定部
501…バトル用具制御プログラム
503…ゲームプログラム
510…バトル用具登録データ
514…第1種パーツ登録データ
516…第2種パーツ登録データ
520…打撃成功演出定義データ
523a…被打撃第2種パーツ条件
523b…被打撃部位条件
523c…攻撃アイテム条件
523d…打撃サブ部位条件
523e…残HP条件
523f…ダメージ値条件
524…発光演出パターンデータ
530…特別演出定義データ
540…第2種パーツ別HP管理データ
552…ダメージ値算定基準データ
700…プレイデータ
716…プレーヤ年齢
718…第2種パーツ別HP管理データ
1000…ゲームシステム
1002…制御システム
1100…進行制御コンピュータ