(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025151755
(43)【公開日】2025-10-09
(54)【発明の名称】パラメータ推定システムおよび運転診断システム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20251002BHJP
G01P 15/00 20060101ALI20251002BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G01P15/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024053329
(22)【出願日】2024-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】弁理士法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】水原 悠貴
(72)【発明者】
【氏名】鳥居 武史
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 能英瑠
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181FF04
5H181FF10
5H181FF25
5H181FF27
5H181FF33
5H181LL06
5H181LL07
5H181MB02
(57)【要約】
【課題】パラメータの推定精度を向上させることが可能なパラメータ推定システム等を提供する。
【解決手段】本開示の一実施の形態に係るパラメータ推定システムは、加速度および角速度のうちの少なくとも一方に対応するパラメータの推定を行うシステムであって、移動体の内部に設置されていると共に、パラメータを第1座標系にて取得し、第1パラメータデータとして出力する慣性センサと、この慣性センサから出力される第1座標系の第1パラメータデータに基づいて、移動体の座標系である第2座標系におけるパラメータの推定を行い、第2パラメータデータとして出力する演算部と、を備えている。演算部は、第1パラメータデータに基づいて、第2座標系における複数の座標軸間の相関が最小となるように演算処理を行うことにより、第2パラメータデータを生成する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加速度および角速度のうちの少なくとも一方に対応するパラメータの推定を行うシステムであって、
移動体の内部に設置されていると共に、前記パラメータを第1座標系にて取得し、第1パラメータデータとして出力する慣性センサと、
前記慣性センサから出力される前記第1座標系の前記第1パラメータデータに基づいて、前記移動体の座標系である第2座標系における前記パラメータの推定を行い、第2パラメータデータとして出力する演算部と
を備え、
前記演算部は、前記第1パラメータデータに基づいて、前記第2座標系における複数の座標軸間の相関が最小となるように演算処理を行うことにより、前記第2パラメータデータを生成する
パラメータ推定システム。
【請求項2】
前記演算部は、
前記第1座標系の前記第1パラメータデータに基づいて所定の分析を行うことにより、前記第2座標系における第1の座標軸を決定する分析部と、
前記第1の座標軸を固定した状態において、前記第2座標系における前記第1の座標軸と第2および第3の座標軸との間の前記相関が最小となるように前記演算処理を行い、前記第2および第3の座標軸をそれぞれ決定する相関演算部と、
決定された前記第1ないし第3の座標軸を有する前記第2座標系を用いて、前記第1パラメータデータから前記第2パラメータデータへと変換する変換部と
を有する
請求項1に記載のパラメータ推定システム。
【請求項3】
前記第2座標系において、
前記第1の座標軸がヨー軸であると共に、
前記第2および第3の座標軸がそれぞれ、ピッチ軸およびロール軸である
請求項2に記載のパラメータ推定システム。
【請求項4】
前記演算部は、
前記移動体の停止時および直進時に取得された前記第1パラメータデータが無い場合に、
前記移動体における他の状態時に取得された前記第1パラメータデータに基づいて前記パラメータの推定を行い、前記第2パラメータデータを生成する
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のパラメータ推定システム。
【請求項5】
前記演算部は、
前記第1パラメータデータに基づいて推定された前記第2パラメータデータを利用して、
他のセンサにより取得された他のパラメータデータに対する補正処理を行う
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のパラメータ推定システム。
【請求項6】
前記慣性センサおよび前記演算部がそれぞれ、前記移動体の内部に設置された電子機器に内蔵されている
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のパラメータ推定システム。
【請求項7】
前記慣性センサが、前記移動体の内部に設置された電子機器に内蔵されていると共に、
前記演算部が、前記移動体の外部に設けられたサーバに内蔵されている
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のパラメータ推定システム。
【請求項8】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のパラメータ推定システムと、
前記演算部から出力される前記第2パラメータデータに基づいて、前記移動体の運転に関する診断を行う診断部と
を備えた運転診断システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、パラメータ推定システムおよび運転診断システムに関する。
【背景技術】
【0002】
移動体(各種の車両や航空機など)に関する各種のパラメータ(例えば、加速度や角速度など)を推定するシステムとして、各種の技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなパラメータ推定システム等では、例えば、パラメータの推定精度を向上させることが求められている。パラメータの推定精度を向上させることが可能なパラメータ推定システム、および、そのようなパラメータ推定システムを備えた運転診断システムを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一実施の形態に係るパラメータ推定システムは、加速度および角速度のうちの少なくとも一方に対応するパラメータの推定を行うシステムであって、移動体の内部に設置されていると共に、パラメータを第1座標系にて取得し、第1パラメータデータとして出力する慣性センサと、この慣性センサから出力される第1座標系の第1パラメータデータに基づいて、移動体の座標系である第2座標系におけるパラメータの推定を行い、第2パラメータデータとして出力する演算部と、を備えたものである。演算部は、第1パラメータデータに基づいて、第2座標系における複数の座標軸間の相関が最小となるように演算処理を行うことにより、第2パラメータデータを生成する。
【0006】
本開示の一実施の形態に係る運転診断システムは、上記本開示の一実施の形態に係るパラメータ推定システムと、上記演算部から出力される第2パラメータデータに基づいて、移動体の運転に関する診断を行う診断部と、を備えたものである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本開示の一実施の形態に係る各種のシステムが適用される車両の概略構成例を表す模式図である。
【
図2】
図2は、
図1に示した車両および電子機器の詳細構成例を表すブロック図である。
【
図3】
図3は、
図1に示した電子機器における座標系の一例を表す模式図である。
【
図4】
図4は、
図1に示した車両における座標系の一例を表す模式図である。
【
図5】
図5は、実施の形態に係る各種の処理例を表す流れ図である。
【
図6】
図6は、変形例に係る車両、電子機器およびサーバの構成例を表すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.実施の形態(車両の内部に設置された電子機器に演算部が内蔵されている場合の例)
2.変形例(移動体の外部に設けられたサーバに演算部が内蔵されている場合の例)
3.その他の変形例
【0009】
<1.実施の形態>
[構成]
図1は、本開示の一実施の形態に係る各種のシステム(後述するパラメータ推定システムおよび運転診断システム)が適用される車両1の概略構成例を、模式的に表したものである。
図2は、
図1に示した車両1および電子機器(後述する電子機器8)の詳細構成例を、ブロック図で表したものである。また、
図3は、電子機器8における座標系の一例(後述するxyz座標系)を模式的に表したものであり、
図4は、車両1における座標系の一例(後述するXYZ座標系)を模式的に表したものである。
【0010】
この車両1は、
図1,
図2に示したように、車両制御部11、バッテリ12および通信器13を備えている。また、
図1に示したように、この車両1の内部には、電子機器8が所定の姿勢状態にて設置されている。この電子機器8は、例えば、車両1のユーザ9(運転者を含む乗員など)が保有しているか、あるいは貸与されている機器であり、例えばスマートフォンやタブレット等により構成されている。
【0011】
電子機器8は、例えば
図1に示したように、慣性センサ811、磁気センサ812、演算部82、診断部83、表示部841、音声出力部842および通信器85を、有している。
【0012】
ここで、車両1は、本開示の一実施の形態における「移動体」の一具体例に対応している。また、慣性センサ811および演算部82(後述するパラメータ推定部821およびパラメータ補正部823)は、本開示の一実施の形態における「パラメータ推定システム」の一具体例に対応している。慣性センサ811、演算部82および診断部83は、本開示の一実施の形態における「運転診断システム」の一具体例に対応している。
【0013】
(A.車両制御部11,バッテリ12,通信器13)
上記した車両制御部11は、車両1における各種動作を制御したり、各種の演算処理を行ったりする部材(制御ユニット)である。具体的には、車両制御部11は、例えば、プログラムを実行する1または複数のプロセッサ(CPU:Central Processing Unit)と、これらのプロセッサに通信可能に接続される1または複数のメモリと、を含んで構成される。また、このようなメモリは、例えば、処理データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)、および、プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)等により構成される。
【0014】
(車両制御部11)
この車両制御部11は、
図2に示した例では、走行制御部111、バッテリ制御部112、通信制御部113および情報取得部114を、有している。
【0015】
走行制御部111は、車両1の走行動作を制御するユニットであり、車両1の走行に関する統括的な制御を行う。具体的には、走行制御部111は、例えば、車両1における駆動系、制動系および操舵系等の制御を行うようになっている。
【0016】
バッテリ制御部112は、後述するバッテリ12の動作(充電動作や放電動作等)を制御するユニットである。また、通信制御部113は、後述する通信器13の通信動作を制御するユニットである。
【0017】
情報取得部114は、車両1に関する各種の情報(車両データ)を取得するユニットである。なお、このような車両データとしては、例えば、車両1における車両識別番号や、走行情報(走行距離や、車両1の周囲の撮像データなど)等が、挙げられる。
【0018】
(バッテリ12,通信器13)
バッテリ12は、車両1の動力源として機能する部品であり、例えばリチウムイオン電池等の各種の2次電池を用いて構成されている。通信器13は、車両1の外部(例えば、サーバ等の情報処理装置や、車両1以外の他車両など)との間で、各種の通信を行う機器である。
【0019】
(B.電子機器8)
上記した慣性センサ811は、車両1の内部に設置されており、
図1,
図2に示した例では、車両1の内部に設置された電子機器8(前述)に内蔵されている。この慣性センサ811は、所定のパラメータPrを所定の座標系(以下説明するxyz座標系)にて取得し、パラメータデータDp1として出力するセンサである。この所定のパラメータPrとしては、例えば、加速度および角速度のうちの少なくとも一方に対応するパラメータ等が、挙げられる。
【0020】
ここで、例えば
図3に示したように、慣性センサ811が電子機器8に内蔵されている場合で説明すると、この慣性センサ811における座標系は、複数の座標軸(x軸,y軸,z軸)を有するxyz座標系にて規定されている。また、この
図3の例では、x軸(電子機器8の長軸方向に沿った軸)はロール軸、y軸(電子機器8の短軸方向に沿った軸)はピッチ軸、z軸(電子機器8の厚み方向に沿った軸)はヨー軸として、それぞれ規定されている。
【0021】
なお、上記したパラメータデータDp1は、本開示の一実施の形態における「第1パラメータデータ」の一具体例に対応している。また、上記した慣性センサ811の座標系(xyz座標系)は、本開示の一実施の形態における「第1座標系」の一具体例に対応している。
【0022】
磁気センサ812は、車両1の内部に設置されており、
図1,
図2に示した例では慣性センサ811と同様に、電子機器8に内蔵されている。この磁気センサ812は、上記したパラメータPrとは異なる他のパラメータデータ(磁気データ)を取得して、出力するセンサである。
【0023】
なお、この磁気センサ812は、本開示の一実施の形態における「他のセンサ」の一具体例に対応している。また、上記した磁気データは、本開示の一実施の形態における「他のパラメータデータ」の一具体例に対応している。
【0024】
(演算部82)
演算部82は、電子機器8における各種の演算処理を行う部材(演算ユニット)である。具体的には、演算部82は、例えば、プログラムを実行する1または複数のプロセッサ(CPU)と、これらのプロセッサに通信可能に接続される1または複数のメモリと、を含んで構成される。また、このようなメモリは、例えば、処理データを一時的に記憶するRAM、および、プログラムを記憶するROM等により構成される。
【0025】
この演算部82は、
図2に示した例では、パラメータ推定部821およびパラメータ補正部823を、有している。
【0026】
パラメータ推定部821は、慣性センサ811から出力されるパラメータデータDp1(xyz座標系)に基づいて、車両1の座標系(以下説明するXYZ座標系)におけるパラメータPrの推定を行い、パラメータデータDp2として出力するユニットである。
【0027】
ここで、例えば
図4に示したように、この車両1における座標系は、複数の座標軸(X軸,Y軸,Z軸)を有するXYZ座標系にて規定されている。また、この
図4の例では、X軸(車両1の前後方向に沿った軸)はロール軸、Y軸(車両1の幅方向に沿った軸)はピッチ軸、Z軸(車両1の高さ方向に沿った軸)はヨー軸として、それぞれ規定されている。
【0028】
なお、上記したパラメータデータDp2は、本開示の一実施の形態における「第2パラメータデータ」の一具体例に対応している。また、上記した車両1の座標系(XYZ座標系)は、本開示の一実施の形態における「第2座標系」の一具体例に対応している。
【0029】
このパラメータ推定部821は、詳細は後述するが、パラメータデータDp1(xyz座標系)に基づいて、パラメータデータDp2(XYZ座標系)の推定処理を行う。また、パラメータ推定部821は、後述する所定の条件を満たす場合には、パラメータデータDp1(xyz座標系)に基づいて、XYZ座標系における複数の座標軸(
図4の例では、X軸,Y軸,Z軸)間の相関が最小となるように演算処理を行う。このような演算処理により、パラメータデータDp2(XYZ座標系)が生成されるようになっている。なお、ここで言う「最小となるように」とは、後述する各種の演算の際の誤差ばらつき等を、含む概念のものである。また、パラメータ推定部821は、
図2に示した例では、分析部821a、相関演算部821bおよび変換部821cを、有している。
【0030】
分析部821aは、パラメータデータDp1(xyz座標系)に基づいて、後述する所定の分析を行うことにより、XYZ座標系における第1の座標軸(例えば、Z軸:ヨー軸)を決定するユニットである。
【0031】
相関演算部821bは、分析部821aによって決定された第1の座標軸を固定した状態において、所定の演算処理(相関演算処理)を行うことにより、XYZ座標系における第2および第3の座標軸を、それぞれ決定するユニットである。具体的には、この相関演算部821bは、第1の座標軸(例えば、Z軸:ヨー軸)と、第2の座標軸(例えば、Y軸:ピッチ軸)および第3の座標軸(例えば、X軸:ロール軸)との間の相関が、上記したように最小となるように、演算処理を行う。
【0032】
変換部821cは、分析部821aおよび相関演算部821bによって決定された第1~第3の座標軸(Z軸,Y軸,X軸)を有するXYZ座標系を用いて、パラメータデータDp1(xyz座標系)からパラメータデータDp2(XYZ座標系)へと変換するユニットである。言い換えると、この変換部821cは、パラメータデータDp1からパラメータデータDp2への変換処理を行うようになっている。
【0033】
ここで、上記したXYZ座標系におけるZ軸(ヨー軸)は、本開示の一実施の形態における「第1の座標軸」の一具体例に対応している。また、Y軸(ピッチ軸)は、本開示の一実施の形態における「第2の座標軸」の一具体例に対応しており、X軸(ロール軸)は、本開示の一実施の形態における「第3の座標軸」の一具体例に対応している。ただし、この例には限られず、例えば、本開示の一実施の形態における「第1の座標軸」、「第2の座標軸」および「第3の座標軸」と、X軸,Y軸,Z軸との組合せを、他の組合せとしてもよい。
【0034】
上記したパラメータ補正部823は、パラメータ推定部821においてパラメータデータDp1(xyz座標系)を基に推定されたパラメータデータDp2(XYZ座標系)を利用して、他のセンサにより取得された他のパラメータデータに対する補正処理を行うユニットである。具体的には、
図2の例ではパラメータ補正部823は、推定されたパラメータデータDp2を利用して、磁気センサ812により取得された磁気データに対する補正処理(パラメータ補正処理)を、行うようになっている。
【0035】
(診断部83)
診断部83は、パラメータ推定部821から出力されるパラメータデータDp2(XYZ座標系)に基づいて、車両1の運転に関する診断処理(運転診断処理)を行うユニットである。このような診断部83による運転診断処理の結果は、例えば、以下説明する表示部841や音声出力部842等を介して、車両1のユーザ9(運転者を含む乗員など)へと提供されるようになっている。
【0036】
なお、このような診断部83も、上記した演算部82と同様に、例えば、プログラムを実行する1または複数のプロセッサ(CPU)と、これらのプロセッサに通信可能に接続される1または複数のメモリと、を含んで構成される。
【0037】
(表示部841,音声出力部842,通信器85)
表示部841は、各種の情報を表示する部材である。この表示部841は、各種方式のディスプレイ(例えば、液晶ディスプレイや、有機EL(Electro-Luminescence)等)を用いて構成されるようになっている。
【0038】
音声出力部842は、各種の音声を出力する部材であり、例えば各種のスピーカー等を用いて構成されるようになっている。
【0039】
通信器85は、電子機器8の外部(例えば、サーバ等の情報処理装置や、通信基地局、車両1など)との間で、各種の通信を行う機器である。
【0040】
[動作および作用・効果]
続いて、本実施の形態における動作および作用・効果について、詳細に説明する。
【0041】
(A.一般的なパラメータ推定方法について)
まず、一般的なパラメータ推定方法(従来の既知の手法)では、車両の内部に設置されている電子機器に内蔵された慣性センサを用いて、以下のようにして、車両のパラメータ(加速度や角速度など)を取得するようになっている。すなわち、この従来の手法では、車両が水平面上に存在している状態において、その車両の停止時および直進時にて慣性センサにより取得された3軸のパラメータを、その車両における3軸のパラメータへと変換する、変換行列(回転行列)を算出する。そして、この変換行列を用いて、慣性センサにおける座標軸と車両における座標軸とを、対応させるようになっている。
【0042】
ところが、例えば、コーナーや上り坂などを含む任意のコースを車両が走行した際には、慣性センサにて取得されたパラメータデータのみに基づいて、車両のパラメータ(加速度や角速度)のデータを得ようとした場合、この従来の手法では、例えば以下のような課題がある。すなわち、まず、例えば上記したような任意のコースを走行して取得したパラメータデータでは、上記した変換行列が得られない可能性がある。また、上記した停止時や直進時の判定(状態の判定)を正確に行うためには、例えば、方位角やGPS(Global Positioning System)等の測定データも必要となる。更に、この従来の手法では、電子機器の姿勢(設置状態)が変更された場合、その都度、慣性センサによるパラメータデータの取得(再計測)が必要となる。
【0043】
このようにして従来の手法では、車両の走行状況や、車両内での電子機器の姿勢(設置状態)に起因して、上記したパラメータの推定への影響が大きくなる結果、パラメータの推定精度が低下してしまうおそれがあると言える。
【0044】
(B.本実施の形態のパラメータ推定処理等)
そこで本実施の形態では、例えば以下のようにして、前述したパラメータPr(パラメータデータDp2)の推定処理等を、行うようになっている。
【0045】
図5は、本実施の形態に係る各種の処理例(上記したパラメータPrの推定処理等)を、流れ図で表したものである。
【0046】
この
図5に示した一連の処理例では、まず、パラメータ推定部821は、慣性センサ811からパラメータデータDp1(xyz座標系)を取得する(ステップS11)。次に、パラメータ推定部821は、このパラメータデータDp1において、車両1の停止時および直進時に取得されたパラメータデータDp1が含まれているのか否かを、判定する(ステップS12)。
【0047】
ここで、車両1の停止時および直進時におけるパラメータデータDp1が含まれている(有る)場合には(ステップS12:Y)、以下のようになる。すなわち、この場合にはパラメータ推定部821は、車両1の停止時および直進時におけるパラメータデータDp1に基づき、前述した従来の手法を用いて、パラメータデータDp2(XYZ座標系)の推定を行う(ステップS13)。一方、車両1の停止時および直進時におけるパラメータデータDp1が含まれていない(無い)場合には(ステップS12:N)、以下のようになる。すなわち、この場合にはパラメータ推定部821は、車両1における(停止時および直進時を除いた)他の状態時に取得されたパラメータデータDp1に基づき、前述した本実施の形態の手法(XYZ座標系における複数の座標軸間の相関を最小化させる手法)を用いて、パラメータデータDp2(XYZ座標系)の推定を行う(ステップS14)。
【0048】
(B-1.各手法によるパラメータデータDp2の推定処理の詳細について)
ここで、上記した従来の手法および本実施の形態の手法によるパラメータデータDp2の推定処理の詳細について、以下説明する。
【0049】
まず、前述したパラメータPrの一例として、加速度aおよび角速度ωがそれぞれ規定されている場合において、前述したxyz座標系(慣性センサ811の座標系)からXYZ座標系(車両1の座標系)へと変換する行列を、変換行列(回転行列)Rとする。そして、このモデルにおいて、加速度aおよび角速度ωに関して、以下の式(1)および式(2)がそれぞれ成り立つと仮定する。
【0050】
【0051】
なお、ax,ay,azはそれぞれ、x軸方向,y軸方向,z軸方向の加速度aであり、aX,aY,aZはそれぞれ、X軸方向,Y軸方向,Z軸方向の加速度aである。同様に、ωx,ωy,ωzはそれぞれ、x軸方向,y軸方向,z軸方向の角速度ωであり、ωX(=0),ωY,ωZはそれぞれ、X軸方向,Y軸方向,Z軸方向の角速度ωである。また、
図4を参照すると、車両1におけるX軸方向(前後方向),Y軸方向(幅方向),Z軸方向(高さ方向)のパラメータPr(加速度aおよび角速度ω)はそれぞれ、以下の各要素に対応している。
・X軸方向のパラメータPr:車両1におけるアクセル操作
・Y軸方向のパラメータPr:車両1におけるステアリング操作
・Z軸方向のパラメータPr:走行路の勾配および路面の粗さ
【0052】
(従来の手法)
ここで、上記した従来の手法によるパラメータデータDp2の推定処理(ステップS13)では、パラメータ推定部821は、上記した変換行列(回転行列)Rを、以下のようにして求める。
【0053】
具体的にはまず、上記したXYZ座標系を基準とした場合において、上記したxyz座標系との角度差(回転角)をそれぞれ、ロール回転角α、ピッチ回転角β、ヨー回転角γとすると、変換行列Rは、以下の式(3)のように表される。
【0054】
すると、車両1の静止時においては、重力加速度G(x軸方向,y軸方向,z軸方向の重力加速度Gx,Gy,Gz)を規定すると、慣性センサ811に生じる加速度は、重力加速度Gのみとなるため、以下の式(4)を用いると、以下のようになる。すなわち、上記したロール回転角αおよびピッチ回転角βがそれぞれ決定され、鉛直方向が分かることになる。
【0055】
また、車両1の直進時においては、重力加速度Gに加えて前後加速度(車両1の進行方向の加速度)Mが、慣性センサ811に生じることから、以下の式(5)を用いると、以下のようになる。すなわち、残りのヨー回転角γが決定され、前後方向の分かることになる。
【0056】
【0057】
このようにしてロール回転角α、ピッチ回転角β、ヨー回転角γがそれぞれ決定されることで、上記した式(3)を用いて変換行列Rが求められるため、パラメータ推定部821はこの変換行列Rを用いて、従来の手法によるパラメータデータDp2の推定処理を行う。
【0058】
(本実施の形態の手法)
一方、上記した本実施の形態の手法によるパラメータデータDp2の推定処理(ステップS14)では、パラメータ推定部821は以下のようにして、パラメータデータDp2の推定処理を行う。
【0059】
具体的にはまず、本実施の形態の手法では、前述した式(1)中の右辺の各要素(aX,aY,aZ)、および、式(2)中の右辺の各要素(ωX(=0),ωY,ωZ)においてそれぞれ、各軸の要素同士が無相関であると仮定すると、以下のようになる。すなわち、式(1)中の左辺の各要素(ax,ay,az)同士、および、式(2)中の左辺の各要素(ωx,ωy,ωz)同士を、それぞれ無相関化することで、上記した変換行列Rが未知の状態においても、式(1),式(2)中の各右辺の形に分解できることになる。
【0060】
したがって、例えば、慣性センサ811にて取得したパラメータデータDp1をAとすると、例えば特異値分解を用いて、以下の式(6)のように表される。なお、この式(6)中の(ΣV)が、式(1),式(2)中の各右辺の要素(車両1におけるパラメータデータDp2)に相当し、式(6)中のUが、上記した変換行列Rに相当する。
【0061】
【0062】
このようにして本実施の形態の手法では、パラメータ推定部821は、パラメータデータDp1(xyz座標系)に基づいて、XYZ座標系における複数の座標軸(X軸,Y軸,Z軸)間の相関が最小となるように、演算処理を行う。このような演算処理により、パラメータデータDp2(XYZ座標系)が生成されるようになっている。
【0063】
また、パラメータ推定部821は、
図2に示した例では、前述した分析部821a、相関演算部821bおよび変換部821cにおいて、所定の分析(主成分分析)を行うことで、パラメータデータDp2(XYZ座標系)の推定処理を行うようになっている。
【0064】
具体的には、分析部821aは、パラメータデータDp1(xyz座標系)に基づいて主成分分析を行うことにより、XYZ座標系における第1の座標軸(例えば、Z軸:ヨー軸)を決定する。次いで、相関演算部821bは、分析部821aによって決定された第1の座標軸を固定した状態において相関演算処理を行うことにより、XYZ座標系における第2および第3の座標軸を、それぞれ決定する。詳細には、相関演算部821bは、第1の座標軸(例えば、Z軸:ヨー軸)と、第2の座標軸(例えば、Y軸:ピッチ軸)および第3の座標軸(例えば、X軸:ロール軸)との間の相関が、上記したように最小となるように、演算処理を行う。続いて、変換部821cは、分析部821aおよび相関演算部821bによって決定された第1~第3の座標軸(Z軸,Y軸,X軸)を有するXYZ座標系を用いて、パラメータデータDp1(xyz座標系)からパラメータデータ(XYZ座標系)へと変換する。つまり、変換部821cは、パラメータデータDp1からパラメータデータDp2への変換処理を行うことで、パラメータデータDp2を生成するようになっている。
【0065】
(B-2.他のパラメータデータの補正処理
ここで、上記したステップS14(本実施の形態の手法を用いたパラメータデータDp2の推定処理)の後に、パラメータ補正部823は、前述した他のパラメータデータの補正処理を行う(ステップS15)。つまり、パラメータ補正部823は、ステップS14において推定されたパラメータデータDp2(XYZ座標系)を利用して、他のセンサ(磁気センサ812など)により取得された他のパラメータデータ(磁気データなど)に対する補正処理を行う。
【0066】
(B-3.運転診断処理
また、上記したステップS13,S15の各々の後に、診断部83は、ステップS13,S15においてそれぞれ推定されたパラメータデータDp2(XYZ座標系)に基づいて、車両1の運転に関する診断処理(運転診断処理)を行う。なお、このような診断部83による運転診断処理の結果は、例えば、表示部841や音声出力部842等を介して、車両1のユーザ9(運転者を含む乗員など)へと提供されることになる。
【0067】
【0068】
(C.作用・効果)
このようにして本実施の形態では、慣性センサ811から出力されるパラメータデータDp1(xyz座標系)に基づいて、車両1の座標系(XYZ座標系)でのパラメータPrの推定を行う際に、以下のような演算処理が行われる。すなわち、このXYZ座標系での複数の座標軸(X軸,Y軸,Z軸)間の相関が最小となるように演算処理が行われることで、パラメータデータDp2(XYZ座標系)が生成される。これにより本実施の形態では、車両1の移動状況(走行状況)や、車両1内での電子機器8の姿勢(設置状態)に起因した、パラメータPrの推定への影響が小さくなる。その結果、本実施の形態では、パラメータPrの推定精度を向上させることが可能となる。
【0069】
また、本実施の形態では、車両1の停止時および直進時に取得されたパラメータデータDp1が無い場合には、車両1における他の状態時に取得されたパラメータデータDp1に基づいてパラメータPrの推定を行い、パラメータデータDp2を生成することから、以下のようになる。すなわち、車両1の停止時や直進時におけるパラメータデータDp1が無い場合(任意のコースの走行時)であっても、従来の手法(
図5中のステップS13参照)とは異なり、パラメータデータDp2の推定を行うことが可能となる。
【0070】
更に、本実施の形態では、パラメータデータDp1(xyz座標系)に基づいて推定されたパラメータデータDp2(XYZ座標系)を利用して、他のセンサ(磁気センサ812等)により取得された他のパラメータデータに対する補正処理が行われることから、以下のようになる。すなわち、そのようにして推定されたパラメータデータDp2を利用して補正処理が行われるため、上記した他のパラメータデータについても、データ値の精度を高めることが可能となる。
【0071】
更に、本実施の形態では、パラメータ推定部821から出力されるパラメータデータDp2に基づいて、診断部83にて車両1の運転に関する診断処理が行われるようにしたので、以下のようになる。すなわち、推定されたパラメータデータDp2(車両1におけるXYZ座標系)を基にした運転診断処理が行われることから、精度の高い運転診断結果を、車両1のユーザ9(運転者を含む乗員など)へと提供することが可能となる。
【0072】
<2.変形例>
続いて、上記実施の形態の変形例について説明する。なお、以下では、実施の形態における構成要素と同一のものには同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0073】
図6は、変形例に係る車両1、電子機器8Aおよびサーバ2の詳細構成例を、ブロック図で表したものである。この
図6に示した変形例では、
図2に示した実施の形態において、電子機器8の代わりに電子機器8Aが設けられていると共に、車両1の外部にサーバ2が追加されたものとなっており、他の構成は基本的に同様となっている。
【0074】
(電子機器8A)
電子機器8Aは、
図2に示した電子機器8において、演算部82の代わりに演算部82Aを備えていると共に、診断部83が設けられていない(省かれている)ものとなっており、他の構成は基本的に同様となっている。
【0075】
演算部82Aは、
図2に示した演算部82において、パラメータ推定部821およびパラメータ補正部823を含んでいない構成となっており、他の構成は基本的に同様となっている。
【0076】
(サーバ2)
サーバ2は、車両1の外部に設けられた情報処理装置であり、実施の形態にて説明したパラメータ推定部821、パラメータ補正部823および診断部83が、それぞれ内蔵されている。
【0077】
なお、例えば
図6に示したように、このようなサーバ2と電子機器8A(通信器85)との間では、各種データの送受信が行われるようになっている。
【0078】
このように、上記実施の形態では、慣性センサ811、演算部82(パラメータ推定部821およびパラメータ補正部823)および診断部83がそれぞれ、車両1の内部に設置された電子機器8に内蔵されていたのに対し、本変形例では、上記した構成となっている。すなわち、本変形例では、慣性センサ811が、車両1の内部に設置された電子機器8Aに内蔵されていると共に、パラメータ推定部821、パラメータ補正部823および診断部83がそれぞれ、車両1の外部に設けられたサーバ2(情報処理装置)に内蔵されている。
【0079】
ここで、本変形例では、パラメータ推定部821およびパラメータ補正部823が、本開示の一実施の形態における「演算部」の一具体例に対応している。また、本変形例においても上記実施の形態と同様に、慣性センサ811、パラメータ推定部821およびパラメータ補正部823が、本開示の一実施の形態における「パラメータ推定システム」の一具体例に対応している。また、本変形例においても上記実施の形態と同様に、慣性センサ811、パラメータ推定部821、パラメータ補正部823および診断部83が、本開示の一実施の形態における「運転診断システム」の一具体例に対応している。
【0080】
このような構成の本変形例においても、基本的には、上記実施の形態と同様の作用により、同様の効果を得ることが可能となる。
【0081】
<3.その他の変形例>
以上、実施の形態および変形例を挙げて本開示を説明したが、本開示はこれらの実施の形態等に限定されず、種々の変形が可能である。
【0082】
例えば、車両、電子機器およびサーバ等における各部材の構成(形式、配置、個数等)については、上記実施の形態等で説明したものには限られない。すなわち、これらの各部材における構成については、他の形式や配置、個数等であってもよい。具体的には、例えば、上記実施の形態等では、本開示の一実施の形態における「演算部」が、電子機器またはサーバに内蔵されている場合の例について説明したが、これらの例には限られない。すなわち、例えば、本開示の一実施の形態における「演算部」が、本開示の一実施の形態における「移動体」自体に内蔵されているようにしてもよい。また、上記実施の形態等で説明した各種パラメータの値や範囲、大小関係等についても、上記実施の形態等で説明したものには限られず、他の値や範囲、大小関係等であってもよい。
【0083】
また、上記実施の形態等では、各種の処理例(パラメータの推定処理や補正処理、運転診断処理等)について具体的に挙げて説明したが、上記実施の形態等で説明した手法には限られず、例えば他の手法を用いるようにしてもよい。
【0084】
更に、上記実施の形態等では、本開示の一実施の形態における「パラメータ」の一例として、加速度および角速度を挙げて説明したが、例えば、他の種類のパラメータを、本開示の一実施の形態における「パラメータ」として適用するようにしてもよい。また、上記実施の形態等では、本開示の一実施の形態における「他のセンサ」および「他のパラメータ」の一例として、磁気センサ812および磁気データを挙げて説明したが、例えば、他の種類のセンサやパラメータを適用するようにしてもよい。更に、上記実施の形態等では、慣性センサ811および車両1,1Aにおける各座標系(xyz座標系およびXYZ座標系)について、具体的に挙げて説明したが、これらの座標系の例には限られず、例えば、他の種類の座標系を適用するようにしてもよい。
【0085】
加えて、上記実施の形態等では、本開示の一実施の形態における「移動体」の一例として、車両を挙げて説明したが、この例には限られず、例えば、航空機などの他の種類の移動体を適用するようにしてもよい。また、上記実施の形態等では、車両1,1Aにおける動力源としてバッテリ12が設けられている場合、つまり、車両1,1Aが電気自動車(EV:Electric Vehicle)またはハイブリッド車(HEV:Hybrid Electric Vehicle)である場合の例について説明したが、この例には限られない。すなわち、例えば、車両1,1Aが、ガソリン車または燃料自動車等であってもよい。
【0086】
また、上記実施の形態等で説明した一連の処理は、ハードウェア(回路)で行われるようにしてもよいし、ソフトウェア(プログラム)で行われるようにしてもよいし、ハードウェアとソフトウェアとの組合せで行われるようにしてもよい。ソフトウェアで行われるようにした場合、そのソフトウェアは、各機能をコンピュータにより実行させるためのプログラム群で構成される。各プログラムは、例えば、上記コンピュータに予め組み込まれて用いられてもよいし、ネットワークや記録媒体から上記コンピュータにインストールして用いられてもよい。
【0087】
更に、これまでに説明した各種の例を、任意の組み合わせで適用させるようにしてもよい。
【0088】
なお、本明細書中に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、また、他の効果があってもよい。
【0089】
また、本開示は、以下のような構成を取ることも可能である。
(1)
加速度および角速度のうちの少なくとも一方に対応するパラメータの推定を行うシステムであって、
移動体の内部に設置されていると共に、前記パラメータを第1座標系にて取得し、第1パラメータデータとして出力する慣性センサと、
前記慣性センサから出力される前記第1座標系の前記第1パラメータデータに基づいて、前記移動体の座標系である第2座標系における前記パラメータの推定を行い、第2パラメータデータとして出力する演算部と
を備え、
前記演算部は、前記第1パラメータデータに基づいて、前記第2座標系における複数の座標軸間の相関が最小となるように演算処理を行うことにより、前記第2パラメータデータを生成する
パラメータ推定システム。
(2)
前記演算部は、
前記第1座標系の前記第1パラメータデータに基づいて所定の分析を行うことにより、前記第2座標系における第1の座標軸を決定する分析部と、
前記第1の座標軸を固定した状態において、前記第2座標系における前記第1の座標軸と第2および第3の座標軸との間の前記相関が最小となるように前記演算処理を行い、前記第2および第3の座標軸をそれぞれ決定する相関演算部と、
決定された前記第1ないし第3の座標軸を有する前記第2座標系を用いて、前記第1パラメータデータから前記第2パラメータデータへと変換する変換部と
を有する
上記(1)に記載のパラメータ推定システム。
(3)
前記第2座標系において、
前記第1の座標軸がヨー軸であると共に、
前記第2および第3の座標軸がそれぞれ、ピッチ軸およびロール軸である
上記(2)に記載のパラメータ推定システム。
(4)
前記演算部は、
前記移動体の停止時および直進時に取得された前記第1パラメータデータが無い場合に、
前記移動体における他の状態時に取得された前記第1パラメータデータに基づいて前記パラメータの推定を行い、前記第2パラメータデータを生成する
上記(1)ないし(3)のいずれかに記載のパラメータ推定システム。
(5)
前記演算部は、
前記第1パラメータデータに基づいて推定された前記第2パラメータデータを利用して、
他のセンサにより取得された他のパラメータデータに対する補正処理を行う
上記(1)ないし(4)のいずれかに記載のパラメータ推定システム。
(6)
前記慣性センサおよび前記演算部がそれぞれ、前記移動体の内部に設置された電子機器に内蔵されている
上記(1)ないし(5)のいずれかに記載のパラメータ推定システム。
(7)
前記慣性センサが、前記移動体の内部に設置された電子機器に内蔵されていると共に、
前記演算部が、前記移動体の外部に設けられたサーバに内蔵されている
上記(1)ないし(5)のいずれかに記載のパラメータ推定システム。
(8)
上記(1)ないし(7)のいずれかに記載のパラメータ推定システムと、
前記演算部から出力される前記第2パラメータデータに基づいて、前記移動体の運転に関する診断を行う診断部と
を備えた運転診断システム。
【符号の説明】
【0090】
1…車両、11…車両制御部、111…走行制御部、112…バッテリ制御部、113…通信制御部、114…情報取得部、12…バッテリ、13…通信器、2…サーバ、8,8A…電子機器、811…慣性センサ、812…磁気センサ、82,82A…演算部、821…パラメータ推定部、821a…分析部、821b…相関演算部、821c…変換部、823…パラメータ推定部、83…診断部、841…表示部、842…音声出力部、85…通信器、9…ユーザ、Pr…パラメータ、Dp1,Dp2…パラメータデータ。