(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025151982
(43)【公開日】2025-10-09
(54)【発明の名称】計算方法、ピストン型造波装置、及び計算プログラム
(51)【国際特許分類】
G01M 10/00 20060101AFI20251002BHJP
【FI】
G01M10/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024053659
(22)【出願日】2024-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000166627
【氏名又は名称】五洋建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】高橋 研也
【テーマコード(参考)】
2G023
【Fターム(参考)】
2G023BA03
2G023BB22
2G023BC03
2G023BD07
(57)【要約】
【課題】ピストン型造波装置において、水槽の底面上に海底地形を模した勾配が設けられている場合であっても造波された波の波形を目標波形に近づけること。
【解決手段】計算方法(M10)は、水深hである目標位置における目標津波水位波形ηと、水深hと、造波板の可動範囲における水深h0と、から造波板位置における水位波形η0を計算する水位波形計算工程(S11)と、前記造波板位置における水平水粒子速度を時間積分することにより造波変位を計算する造波変位計算工程(S13)と、を含む。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピストン型造波装置における造波板の変位による造波変位を計算する計算方法であって、
水深hである目標位置における目標津波水位波形ηと、水深hと、造波板が並進移動する可動範囲における水深h0と、から造波板位置における水位波形η0を計算する水位波形計算工程と、
水位波形η0から前記造波板位置における水平水粒子速度を計算し、当該水平水粒子速度を時間積分することにより造波変位を計算する造波変位計算工程と、を含んでいる計算方法。
【請求項2】
前記水位波形計算工程のあとに実施する造波変位補正工程を更に含み、
当該造波変位補正工程は、前記造波板の前記並進移動に伴い生じる水の流出に起因する水位波形η0のズレを補正することにより補正済水位波形η0fixを生成する、
請求項1に記載の計算方法。
【請求項3】
前記造波変位計算工程は、補正済水位波形η0fixから補正済水平水粒子速度ufixを計算し、補正済水平水粒子速度ufixを時間積分することにより前記ズレを補正済である補正済造波変位を得る、
請求項2に記載の計算方法。
ここで、補正済水平水粒子速度ufixは、式(1)で表され、aは前記可動範囲における底面と前記造波板との隙間であり、gは重力加速度であり、Ccは所定の係数である。
【数1】
【請求項4】
所定の水深となるように水が張られた水槽であって、平面視において長方形状を有する水槽と、前記水槽の長辺に沿って造波板を並進移動させることにより任意波形を有する波を造波する造波部と、前記造波板が設けられている造波板位置の変位による造波変位を計算する制御部と、を備えたピストン型造波装置であって、
前記制御部は、
水深hである目標位置における目標津波水位波形ηと、水深hと、造波板が並進移動する可動範囲における水深h0と、から造波板位置における水位波形η0を計算する水位波形計算部と、
水位波形η0から前記造波板位置における水平水粒子速度を計算し、当該水平水粒子速度から造波変位を計算する造波変位計算部と、を備えているピストン型造波装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記造波板の前記並進移動に伴い生じる水の流出に起因する水位波形η0のズレを補正することにより補正済水位波形η0fixを生成する造波変位補正部を更に備えている、
請求項4に記載のピストン型造波装置。
【請求項6】
前記造波変位計算部は、補正済水位波形η0fixから補正済水平水粒子速度ufixを計算し、補正済水平水粒子速度ufixを時間積分することにより前記ズレを補正済である補正済造波変位を得る、
請求項5に記載のピストン型造波装置。
ここで、補正済水平水粒子速度ufixは、式(2)で表され、aは前記造波板が前記可動範囲における底面と前記造波板との隙間であり、gは重力加速度であり、Ccは所定の係数である。
【数2】
【請求項7】
前記造波板の下端部と前記水槽の底面との間には隙間が設けられており、
前記下端部に設けられ、且つ、前記隙間を埋めるシール部材を更に備えており、
前記シール部材を構成する材料は、前記下端部を構成する材料と比較して、前記底面との間における摩擦係数が小さい材料からなる、請求項4~6の何れか1項に記載のピストン型造波装置。
【請求項8】
請求項4に記載のピストン型造波装置の前記制御部としてコンピュータを機能させるための計算プログラムであって、前記水位波形計算部及び前記造波変位計算部としてコンピュータを機能させるための計算プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピストン型造波装置に関する。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1には、所定の水深となるように水が張られた水槽であって、平面視において長方形状を有する水槽と、水槽の長辺に沿って水槽中を往復することにより、任意波形を有する波を造波する造波板と、を備えたピストン型造波装置(非特許文献1では、自走式造波水路と呼ばれている)が記載されている。ピストン型造波装置は、ゲートを上下動させることによって造波を行うゲート式造波装置(例えば、特許文献1参照)と比較して、所望の任意波形を有する波を造波しやすい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】臼井 彰宏、青木 伸一、川崎 浩司、自走式造波装置による任意波形の造波に関する数値的検討、土木学会論文集B3(海洋開発)、Vol.73, No.2, I_234-I-239, 2017.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このような造波装置を用いて津波を模した波を造波する動機の1つとして、水槽の底面上に実際の海底地形を模した勾配を設けておき、水深が異なる各位置における波動を可視化することが挙げられる。
【0006】
しかしながら、非特許文献1においては、水が張られている全区間において水深が一定であるモデルを用いている(非特許文献1の図-2参照)。したがって、水槽の底面上に実際の海底地形を模した勾配を設けた場合に、所定の水深を有する所定の位置(以下では目標位置とする)において得られる波形が、予め想定していた波形(以下では、目標波形とする)と一致しにくい。なお、非特許文献1の図-1には底面上に勾配が形成されており、水深が位置に応じて一定ではないピストン型造波装置のイメージが図示されている。ただし、図-1はあくまでもイメージであり、底面上に勾配が形成されており、水深が一定ではない場合について、非特許文献1では想定していない。
【0007】
本発明の一態様は、上述した課題に鑑みなされたものであり、その目的は、ピストン型造波装置において、水槽の底面上に海底地形を模した勾配が設けられている場合であっても、造波された波の波形を目標波形に近づけることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る計算方法は、ピストン型造波装置における造波板の変位による造波変位を計算する計算方法であって、水深hである目標位置における目標津波水位波形ηと、水深hと、造波板が並進移動する可動範囲における水深h0と、から造波板位置における水位波形η0を計算する水位波形計算工程と、水位波形η0から前記造波板位置における水平水粒子速度を計算し、当該水平水粒子速度を時間積分することにより造波変位を計算する造波変位計算工程と、を含んでいる。
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の別の一態様に係るピストン型造波装置は、所定の水深となるように水が張られた水槽であって、平面視において長方形状を有する水槽と、前記水槽の長辺に沿って造波板を並進移動させることにより任意波形を有する波を造波する造波部と、前記造波板が設けられている造波板位置の変位による造波変位を計算する制御部と、を備えたピストン型造波装置であって、前記制御部は、水深hである目標位置における目標津波水位波形ηと、水深hと、造波板が並進移動する可動範囲における水深h0と、から造波板位置における水位波形η0を計算する水位波形計算部と、水位波形η0から前記造波板位置における水平水粒子速度を計算し、当該水平水粒子速度から造波変位を計算する造波変位計算部と、を備えている。
【0010】
本発明の各態様に係るピストン型造波装置の制御部は、コンピュータによって実現してもよい。この場合には、コンピュータを前記制御部が備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより、前記制御部をコンピュータにて実現させる計算プログラムであって、ピストン型造波装置における計算プログラムも本発明の範疇に入る。また、前記計算プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様によれば、ピストン型造波装置において、造波板位置における水深h0と目標位置の水深hとが異なる場合に、造波された波の波形を目標波形に近づけることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態1に係るピストン型造波装置の長軸に沿った断面の模式図である。
【
図2】
図1に示したピストン型造波装置が備えている造波板の正面図である。
【
図3】
図1に示したピストン型造波装置が備えている制御部のブロック図である。
【
図4】
図3に示した制御部の各部における水位波形を示すグラフである。(a)は、計算方法の計算開始前において与えられた目標津波水位波形を示し、(b)は、水位波形計算部において計算された造波板位置における水位波形を示すグラフである。(c)~(e)は、造波変位補正部において補正された造波板位置における水位波形を示すグラフである。
【
図5】(a)及び(b)の各々は、それぞれ、
図2に示す造波板の第1の変形例及び第2の変形例の拡大正面図である。
【
図6】本発明の実施形態2に係る計算方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
〔実施形態1〕
<ピストン型造波装置>
本発明の実施形態1に係るピストン型造波装置10について、
図1~
図5を参照して説明する。
図1は、ピストン型造波装置10の長軸に沿った断面の模式図である。そのため、
図1には、ピストン型造波装置10において、水槽11の内部空間のみを図示している。
図2は、ピストン型造波装置10が備えている造波板153の正面図である。
図3は、ピストン型造波装置10が備えている制御部16のブロック図である。
図4は、制御部16が実施する計算方法M10の各工程における水位波形を示すグラフである。
図4の(a)は、計算方法M10の計算開始前において与えられた目標津波水位波形ηを示し、
図4の(b)は、水位波形計算部161において計算された造波板位置における水位波形η0を示すグラフである。
図4の(c)~(e)は、造波変位補正部162において補正された造波板位置における水位波形η0を示すグラフである。
図5の(a)及び(b)の各々は、それぞれ、造波板153の第1の変形例及び第2の変形例の拡大正面図である。
【0014】
図1に示すように、ピストン型造波装置10は、水槽11と、海底模型12と、緩衝材13と、水14と、造波部15と、制御部16と、を備えている。
【0015】
(水槽)
水槽11は、底面111と、前壁と、後壁と、一対の側壁と、を備えた直方体状の容器であって、
図1に示すように水を張る容器である。底面111は、天頂方向から平面視した場合に長方形状である。すなわち、水槽11は、天頂方向から平面視した場合に長方形状である。底面111のサイズ(換言すればピストン型造波装置10の平面サイズ)は限定されないが、例えば、底面111の長辺の長さは、50000mmであり、底面111の短辺の長さは、600mmである。
図1は、底面111に対して垂直であり、且つ、底面111の長辺と平行である断面における模式図である。
【0016】
底面111の四方は、一対の短辺に対応して設けられた前壁及び後壁と、一対の長辺に対応して設けられた一対の側壁と、により囲まれている。水槽11において、これらの壁の高さ(換言すれば、内部空間の深さ)は、例えば1200mmである。なお、後述するように、水槽11の内部空間には造波板153が配置されている。以下においては、前壁及び後壁のうち、造波板153の配置位置から遠い壁を前壁と称し、造波板153の配置位置から近い壁を後壁と称する。
図1においては、紙面の左側に前壁が位置し、紙面の右側に後壁が位置している。
図1からも分かるように、前壁は岸側に位置し、後壁は沖側に位置する。
【0017】
図1においては、底面111の長辺と平行な方向をx軸方向とし、底面111の短辺と平行な方向をy軸方向とし、底面111に対して垂直な方向をz軸方向と定めている。また、x軸方向において沖から岸へ向かう方向をx軸正方向と定め、z軸方向において天頂へ向かう方向をz軸正方向と定め、x軸正方向及びz軸正方向とともに右手系の直交座標系を構成するようにy軸正方向を定めている。この直交座標系の定め方は、
図1、
図4、及び
図5において共通である。なお、
図1においては、図中において海底の形状を分かりやすくするため、z軸方向に拡大して図示している。したがって、
図1に図示されている構造物の縦横比は、実際の縦横比を反映するものではない。
【0018】
図1に示すように、水槽11の内部空間は、造波板153により2つの領域である領域112と領域113とに隔てられる。領域112は、岸側に位置する領域であり、領域113は、沖側に位置する領域である。
【0019】
(海底模型)
海底模型12は、海底地形の形状を模して製作された模型である。海底模型12において模する海底地形は、実在する海底及び想定する海底の何れであってもよい。本実施形態では、
図1に示すように、岸側に位置する前壁と接する部分の高さが最も高く、沖側(x軸負方向側)へ向かうにしたがって高さが低くなる断面形状を採用している。ただし、海底模型12の断面形状は、これに限定されず、自由に設定することができる。なお、海底模型12の断面形状には、沖側(x軸負方向側)へ向かうにしたがって、高さが低くなったあとに再び高くなる凹凸のような海底地形が含まれていてもよい。
【0020】
このように構成された海底模型12を水槽11の内部空間に製作することによって、水槽11の底面111上に海底地形を模した勾配を再現することができる。
【0021】
ピストン型造波装置10を用いて造波の実験を実施する場合、
図1に示すように、水槽11の内部空間に、所定の高さまで水14を注入する。以下においては、海底模型12のうち、水14により覆われている部分を海底面121と称し、水14から露出している部分を陸地122と称する。
【0022】
(緩衝材)
緩衝材13は、領域113に配置されたスポンジ製のブロックである。緩衝材13は、後壁に接するように固定されている。後述する造波板153を用いて造波した場合、x軸正方向に向かって伝搬した波は、やがて、海底模型12の表面あるいは前壁により反射される。緩衝材13は、x軸負方向に向かって伝搬する反射波を減衰させる目的で配置されている。
【0023】
緩衝材13は、材料や、形状や、サイズなどは、限定されず、適宜設計することができる。
【0024】
(造波部)
図1に示すように、造波部15は、レール151と、駆動部152と、造波板153と、を備えている。造波部15は、水槽11の底面111の長辺に沿った方向(x軸方向)に造波板153を並進移動させることにより任意波形を有する波を造波する。
【0025】
レール151は、水槽11の上方に設置された鋼鉄製の柱状部材である。レール151は、その軸方向がx軸方向と平行になるように設置されている。後述する駆動部152がレール151の軸方向と平行に移動するため、レール151は、造波板153をx軸方向に平行に並進移動するときの軌道となる。本実施形態では、
図2に示すように、2本のレール151を用いている。ただし、レール151の本数は、限定されない。
【0026】
駆動部152は、
図1及び
図2では図示を省略しているものの、モータの動力により回転する車輪を備えている。その車輪は、レール151と嵌合しており、回転することにより、駆動部152をレール151の軸方向と平行に並進移動させる。また、駆動部152には、後述する造波板153の上端部が固定されている(
図2参照)。すなわち、駆動部152の下方には、造波板153がぶら下がった状態で固定されている。
【0027】
駆動部152のモータは、後述する制御部16から供給される制御信号Scによって駆動される。したがって、駆動部152に固定された造波板153の位置xは、制御信号Scにより制御される。なお、本実施形態において、造波板153の位置xは、造波板153の一対の主面のうち前側(x軸正方向側)の主面の位置で規定し、造波板位置と呼ぶ。
【0028】
造波板153は、鋼鉄製の板状部材である。造波板153の主面は、
図2に示すように長方形であり、その短辺の長さは、底面111の短辺の長さ(本実施形態では600mm)よりも短く、その長辺の長さは、水槽11の内部空間の深さ(本実施形態では1200mm)よりも長い。本実施形態において、造波板153の主面の短辺の長さは500mmである。よって、造波板153の長辺と、水槽11の側壁との間には、隙間b(本実施形態においては、b=50mm)が生じる(
図2参照)。また、当該主面の長辺の長さは1300mmである。
【0029】
このように構成された造波板153は、その主面がyz平面と平行になるように、水槽11の内部空間に差し込まれた状態で駆動部152に固定されている。本実施形態においては、造波板153の下端部を構成する短辺と水槽11の底面111との間に生じる隙間aが100mmとなるように、造波板153を駆動部152に固定している。
【0030】
また、このように構成された造波部15は、造波板153をx軸方向と平行な方向(
図1に示す矢印Aの方向)に並進移動させることができる。なお、
図1に示すように、造波板153の可動範囲Rにおいて、下限を位置x0とし、上限をx1とする。すなわち、可動範囲Rは、位置xがx0≦x≦x1である領域である。
【0031】
以下においては、x=x0を造波板153の始位置とする。始位置からx軸正方向(岸に向かう方向)に向けて造波板位置を並進移動させることにより、ピストン型造波装置10は、水槽11の主に領域112に津波を模した波を造波する。
【0032】
(制御部)
制御部16は、造波板位置の変位による造波変位を計算するとともに、計算した造波変位に基づいて実際の造波板位置の並進移動を制御する。制御部16は、造波した結果得られる水位波形であって、目標位置xtにおける水位波形が、予め設定してある目標津波水位波形ηに近づくように、造波板位置における造波変位を計算する。以下に、制御部16の構成について説明する。
【0033】
図3に示すように、制御部16は、水位波形計算部161と、造波変位補正部162と、造波変位計算部163と、を備えている。
【0034】
津波の波高は、海岸近傍、内湾、地形狭窄部などで発達するので、波の屈折・浅水変位の解析を応用し、水位波形計算部161は、目標位置xtにおける目標津波水位波形η(
図4の(a)参照)と、目標位置xtにおける水深hと、造波板が並進移動する可動範囲Rにおける水深h0と、から造波板位置における水位波形η0(
図4の(b)参照)を計算する。上述したように、本発明の一態様において、海底模型12は、凹凸のような海底地形を含み得る。そのため、水深hが目標位置xtと等しい位置(例えば位置x’とする)が1又は複数存在し得る。このように所定の水深hとなる位置が複数存在する場合であっても、本発明の一態様は、目標津波水位波形ηと、水深hと、水深h0と、から水位波形η0を計算することができる。また、このような場合、本発明の一態様により得られる水位波形η0は、目標位置xt及び位置x’の何れにおいても同じ水位波形となる。
【0035】
グリーンの法則によれば、水槽11の幅つまり入射波の水路幅が一定である場合には水路幅の変化を考慮する必要が無いため、水深h、目標津波水位波形η、水深h0、及び水位波形η0の関係は、(η/η0)=(h0/h)1/4若しくは(η/η0)=(h/h0)-1/4で与えられる。したがって、任意の目標津波水位波形ηが与えられたときに、水位波形η0は、η0=η/(h0/h)1/4若しくは(η/η0)=(h/h0)-1/4である。
【0036】
造波変位補正部162は、造波板153の並進移動に伴い生じる水の流出であって、造波板153近傍で発生する領域112から領域113への水の流出に起因する造波効率の低下による水位波形η0の振幅のズレを補正し、補正済水位波形η01を生成する(
図4の(c)参照)。上述したように、造波板153と水槽11の底面111との間には、隙間a及び隙間bが存在する。これらの隙間a及び隙間bは、領域112と領域113とをつなぐ水の流路となるため造波板153をx軸正方向へ向かって並進移動させることにより造波板153前背面において発生した水位差により領域112から領域113への水の流出が生じる。この水の流出は、造波した波(入射波)の水位波形の振幅を小さくする方向に作用する。したがって、水の流出に起因する水位波形η0のズレを補正するために、造波変位補正部162は、水位波形η0の振幅を大きくする方向に補正する。
【0037】
また、造波変位補正部162は、水の流出に起因する振幅のズレの補正に加えて、浅水変形の補正と、造波板移動変位の補正と、も実施し、浅水変形の補正を施したあとの補正済水位波形η02、及び、造波板移動変位の補正を施したあとの補正済水位波形η03を生成する。これらの浅水変形の補正及び造波板移動変位の補正の各々は、それぞれ、非特許文献1の「(3)造波板位置の計算方法のまとめ」を参照し、非特許文献1の式(3)及び式(11)を用いて実施することができる。したがって、ここでは、これらの補正については、説明を省略する。
図4の(d)及び(e)の各々には、それぞれ、浅水変形の補正を施したあとの補正済水位波形η02、及び、造波板移動変位の補正を施したあとの補正済水位波形η03を図示している。
【0038】
なお、上述した補正済水位波形η01~η03は、補正済水位波形η0fixの一例である。補正済水位波形η0fixは、補正済水位波形η01~η03を総称する場合の呼称である。
【0039】
造波変位計算部163は、造波変位補正部162が生成した補正済水位波形η0fixの何れか(すなわち補正済水位波形η01~η03の何れか)から造波板位置における水平水粒子速度を計算し、当該水平水粒子速度から造波変位を計算する。
【0040】
より詳しくは、造波変位計算部163は、造波変位補正部162が生成した補正済水位波形η0fixの何れか(すなわち補正済水位波形η01~η03の何れか)から造波板位置における水平水粒子速度(すなわち補正済水平水粒子速度ufix)を計算し、補正済水平水粒子速度ufixを時間積分することにより前記ズレを補正済である補正済造波変位を得る。
【0041】
補正済であるか否かを問わずに、水位波形から水平水粒子速度を計算し、得られた水平水粒子速度を時間積分することにより造波変位を得る計算方法については、非特許文献1の「(3)造波板位置の計算方法のまとめ」に記載されている。したがって、ここでは、これらの計算方法については、説明を省略する。
【0042】
制御部16においては、補正済水位波形η0fixの何れかを用いて造波変位を計算するので、少なくとも水の流出に起因する水位波形η0の振幅のズレを補正した補正済造波変位を得ることができる。とはいえ、補正済水位波形η01より補正済水位波形η02を用いることが好ましく、補正済水位波形η02より補正済水位波形η03を用いることが好ましい。補正済水位波形η03を用いることによって、補正済水位波形η01,η02を用いる場合よりも、造波された波の波形を目標波形に近づけることができる。
【0043】
ここで、補正済水平水粒子速度ufixは、式(1)で表され、aは造波板153が前記並進移動する区間(すなわち可動範囲R)における底面111と造波板153との隙間であり、gは重力加速度であり、Ccは所定の係数である。また、式(1)では、補正済水位波形η0fixとして補正済水位波形η03を用いる場合を示している。
【数1】
【0044】
津波は、海の広範囲に亘って生じるため、とても長い波長Lを有する。すなわち、津波は、波長Lに対して水深hがとても浅いという境界条件のもとで発生する。よって、津波は、相対水深h/L<1/20を満たすので、いわゆる長波として扱うことができる。長波においては、造波板位置における速度であって並進方向と平行な速度(水平水粒子速度)と、造波板速度とが一致することが知られている。この関係は、水の流出に起因するズレを補償しているか否かに関わらず成立するため、補正済水平水粒子速度と補正済である造波板速度とは、一致する。非特許文献1に記載されているように、造波板速度は、造波板位置の時間当たりの造波変位を時間微分することにより得られる。そのため、補正済である造波板速度(すなわち補正済水平水粒子速度)を時間積分することにより水の流出に起因するズレを補正済である造波変位を得ることができる。
【0045】
(ソフトウェアによる実現例)
ピストン型造波装置10(以下、「装置」と呼ぶ)の機能は、当該装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、当該装置の各制御ブロック(特に制御部16に含まれる水位波形計算部161、造波変位補正部162、及び造波変位計算部163)としてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。
【0046】
この場合、上記装置は、上記プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この制御装置と記憶装置により上記プログラムを実行することにより、上記各実施形態で説明した各機能が実現される。
【0047】
上記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、上記装置が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上記プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して上記装置に供給されてもよい。
【0048】
また、上記各制御ブロックの機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上記各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本発明の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより上記各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
【0049】
(造波板の変形例)
図2に示すように、造波板153と水槽11の底面111及び側壁の各々との間には、それぞれ、隙間a及び隙間bが形成されている。このことにより、造波時に、造波板153が水槽11の底面111及び側壁に接触したり引っかかったりする可能性を低減することができる。その一方で、隙間a及び隙間bは、領域112と領域113とをつなぐ水の流路となる。これらの流路は、上述したように、水の流出に起因する水位波形η0の振幅のズレの原因になりやすい。
【0050】
そこで、造波板153の下端部である短辺と、底面111との間に隙間が設けられている場合(
図5の(a)参照)には、造波板153の下端部にシール部材154が設けられていることが好ましい。シール部材154は、隙間aを埋めるように構成されている。したがって、
図5の(a)に示す様に、隙間aをゼロにすることもできる。
【0051】
なお、このように造波板153にシール部材154を追加した場合であっても、造波板153の長辺と、水槽11の側壁との間に生じた隙間bは残ったままである。このような場合であっても、制御部16においては、係数Ccの値を最適化することによって、造波板位置において造波された波の波形を目標位置xtにおける目標波形に更に近づけさせることができる。
【0052】
また、隙間aに加えて隙間bも塞ぎたい場合には、
図5の(b)に示すように、両方の隙間を埋めるように、造波板153の下端部である短辺と、造波板153の長辺との両方にシール部材154Aを設けることが好ましい。この構成によれば、領域112から領域113への水の流出をより抑制することができる。
【0053】
なお、シール部材154及びシール部材154Aを構成する材料は、造波板153の下端部を構成する材料(本実施形態では鋼鉄)と比較して、底面111との間における摩擦係数が小さい材料であることが好ましい。このような材料の例としては、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン、PTFE)が挙げられる。
【0054】
また、造波板153とシール部材154,154Aとの間には、弾性体により構成された中間層が設けられていてもよい。この構成によれば、造波板153及びシール部材154,154Aが水槽11の内壁に引っかかる可能性を低減しつつ、隙間a及び隙間bの少なくとも何れかの隙間をゼロに近づける(本実施形態ではゼロにする)ことが容易となる。
【0055】
〔実施形態2〕
本発明の実施形態2に係る計算方法M10について、
図6を参照して説明する。
図6は、計算方法M10のフローチャートである。
【0056】
計算方法M10は、ピストン型造波装置10の制御部16の構成を計算方法として表現したものである。すなわち、計算方法M10は、ピストン型造波装置10を利用して造波の実験を行うことに先だって、目標位置xtに、所望の水位波形(目標津波水位波形η)と波形のズレが小さい波を造波するために実施される。本実施形態では、ピストン型造波装置10の各部材の説明を省略し、計算方法M10の各工程と、制御部16の各部(各機能ブロック)との対応関係を説明し、各工程について簡単に説明する。
【0057】
図6に示すように、計算方法M10は、水位波形計算工程S11と、造波変位補正工程S12と、造波変位計算工程S13と、を含んでいる。水位波形計算工程S11、造波変位補正工程S12、及び造波変位計算工程S13の各々は、それぞれ、制御部16が備えている水位波形計算部161、造波変位補正部162、及び造波変位計算部163が処理する工程である。
【0058】
すなわち、計算方法M10は、ピストン型造波装置10における造波板153の変位による造波変位を計算する計算方法であって、水位波形計算工程S11は、水深hである目標位置xtにおける目標津波水位波形ηと、水深hと、造波板153が並進移動する可動範囲Rにおける水深h0と、から造波板位置における水位波形η0を計算し、造波変位補正工程S12は、造波板153の並進移動に伴い生じる水の流出に起因する水位波形η0の振幅のズレを補正することにより補正済水位波形η0fixを生成し、造波変位計算工程S13は、造波変位補正工程S12において補正済である水位波形η0(実施形態1,2では補正済水位波形η0fix)から前記造波板位置における水平水粒子速度(実施形態1,2では補正済水平水粒子速度ufix)を計算し、当該水平水粒子速度を時間積分することにより造波変位を計算する。
【0059】
また、造波変位計算工程S13は、補正済水位波形η0fixから補正済水平水粒子速度ufixを計算し、補正済水平水粒子速度ufixを時間積分することにより前記ズレを補正済である補正済造波変位を得ることが好ましい。本実施形態では、実施形態1と同様に、補正済水位波形η0fixとして補正済水位波形η03を用いるものとする。
【0060】
ここで、補正済水平水粒子速度ufixは、式(2)で表され、aは造波板153の可動範囲Rにおける底面111と造波板153との隙間であり、gは重力加速度であり、Ccは所定の係数である。
【数2】
【0061】
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0062】
〔まとめ〕
上記の課題を解決するために、本発明の第1の態様に係る計算方法は、ピストン型造波装置における造波板の変位による造波変位を計算する計算方法であって、水深hである目標位置における目標津波水位波形ηと、水深hと、造波板が並進移動する可動範囲における水深h0と、から造波板位置における水位波形η0を計算する水位波形計算工程と、水位波形η0から前記造波板位置における水平水粒子速度を計算し、当該水平水粒子速度を時間積分することにより造波変位を計算する造波変位計算工程と、を含んでいる。
【0063】
上記の構成によれば、目標津波水位波形ηと、水深hと、水深h0と、を考慮して、目標位置における目標津波水位波形ηから造波板位置における水位波形η0を得る。そのうえで、造波板位置における水位波形η0を有する波を造波するように造波変位を計算する。したがって、本ピストン型造波装置は、水槽の底面上に海底地形を模した勾配が設けられている場合であっても、造波された波の波形を目標波形に近づけることができる。
【0064】
本発明の第2の態様に係る計算方法においては、上述した第1の態様に係る計算方法の構成に加えて、前記水位波形計算工程のあとに実施する造波変位補正工程を更に含み、当該造波変位補正工程は、前記造波板の前記並進移動に伴い生じる水の流出に起因する水位波形η0のズレを補正することにより補正済水位波形η0fixを生成する、構成が採用されている。
【0065】
ピストン型造波装置においては、水槽を構成する壁と造波板との間に、大小の差はあるとしても何らかの隙間が存在する場合が多い。この隙間は、水槽に水を充填した場合に、造波板により隔てられる2つの領域(造波板位置を基準として、岸側に位置する領域及び沖側に位置する領域)同士を連通する流路として機能する。したがって、造波板を岸側へ向かって並進移動させることによって波を起こす場合、造波板153近傍において岸側に位置する領域から沖側に位置する領域に水が流出するため、造波効率が低下し造波する波の波形が目標波形から乖離しやすい。上記の構成によれば、水深hと水深h0との違いに加えて上述した水の流出に起因するズレも考慮するため、造波する波の波形を目標波形により近づけることができる。
【0066】
本発明の第3の態様に係る計算方法においては、上述した第2の態様に係る計算方法の構成に加えて、前記造波変位計算工程は、前記造波変位補正工程において前記ズレを補正済である補正済水位波形η0fixから補正済水平水粒子速度ufixを計算し、補正済水平水粒子速度ufixを時間積分することにより前記ズレを補正済である補正済造波変位を得る、構成が採用されている。
【0067】
ここで、補正済水平水粒子速度ufixは、式(3)で表され、aは前記可動範囲における底面と前記造波板との隙間であり、gは重力加速度であり、Ccは所定の係数である。なお、実施形態1に記載の式(1)及び実施形態2に記載の式(2)では、補正済水位波形η0fixとして補正済水位波形η03を用いる場合を示している。一方、式(3)では、補正済水位波形η0fixとして補正済水位波形η01~η03の何れを用いるかを限定していない。
【数3】
【0068】
津波は、波長に対して水深がとても浅い波であるため、いわゆる長波として扱うことができる。長波においては、造波板位置における速度であって並進方向と平行な速度(水平水粒子速度)と、造波板速度とが一致することが知られている。この関係は、水の流出に起因するズレを補償しているか否かに関わらず成立するため、補正済水平水粒子速度と補正済である造波板速度とは、一致する。非特許文献1に記載されているように、造波板速度は、造波板位置の時間当たりの造波変位を時間微分することにより得られる。そのため、補正済である造波板速度(すなわち補正済水平水粒子速度)を時間積分することにより水の流出に起因するズレを補正済である造波変位を得ることができる。
【0069】
なお、本計算方法を用いて得られた補正済造波変位に基づき造波を行った場合であっても、造波された波の波形と目標波形との間に振幅のズレが生じる可能性はある。その場合、複数の係数Ccの各々を採用して造波の実験を行うことにより各係数Ccにおけるズレを特定し、もっともズレが小さくなる係数Ccを採用することが好ましい。また、上述した実験を行うことにより係数Ccと振幅のズレとの相関関係を取得し、もっともズレが小さくなると予測される係数Ccを採用することもできる。
【0070】
同じ補正済造波変位を採用したとしても、造波を実際に行うピストン型造波装置の構成の違いに起因して、前記ズレには、ピストン型造波装置ごとに差があることを、本願の発明者は見いだした。また、本計算方法では、水槽の底面上に実際の海底地形を模した勾配を形成したうえで造波を行うことを前提としている。ここで、海底地形を模した勾配の形状によっても前記ズレの生じかたは、異なる場合が多い。例えば、目標位置における水深hが同じであっても、目標位置を含む近傍領域における勾配の付き方によって、ズレの生じ方が異なる場合も考えられる。本計算方法では、このようなズレをできるだけ低減するための補正用係数としても係数Ccを用いることができるので、造波された波の波形を目標波形に更に近づけることができる。
【0071】
上記の課題を解決するために、本発明の第4の態様に係るピストン型造波装置10は、所定の水深となるように水が張られた水槽であって、平面視において長方形状を有する水槽と、前記水槽の長辺に沿って造波板153を並進移動させることにより任意波形を有する波を造波する造波部15と、造波板153が設けられている造波板位置の変位による造波変位を計算する制御部16と、を備えたピストン型造波装置10であって、制御部16は、水深hである目標位置xtにおける目標津波水位波形ηと、水深hと、造波板153が並進移動する可動範囲における水深h0と、から造波板位置における水位波形η0を計算する水位波形計算部と、水位波形η0から前記造波板位置における水平水粒子速度を計算し、当該水平水粒子速度から造波変位を計算する造波変位計算部163と、を備えている。
【0072】
本発明の第5の態様に係るピストン型造波装置においては、上述した第4の態様に係るピストン型造波装置10の構成に加えて、制御部16は、造波板153の前記並進移動に伴い生じる水の流出に起因する水位波形η0のズレを補正することにより補正済水位波形η0fixを生成する造波変位補正部162を更に備えている、構成が採用されている。
【0073】
本発明の第6の態様に係るピストン型造波装置10においては、上述した第5の態様に係るピストン型造波装置の構成に加えて、造波変位計算部163は、造波変位補正部162において前記ズレを補正済である補正済水位波形η0fixから補正済水平水粒子速度ufixを計算し、補正済水平水粒子速度ufixを時間積分することによりズレを補正済である補正済造波変位を得る、構成が採用されている。
【0074】
ここで、補正済水平水粒子速度ufixは、式(4)で表され、aは可動範囲における底面と造波板153との隙間であり、gは重力加速度であり、Ccは所定の係数である。なお、式(4)では、式(3)と同様に、補正済水位波形η0fixとして補正済水位波形η01~η03の何れを用いるかを限定していない。
【数4】
【0075】
第4の態様~第6の態様に係るピストン型造波装置10の各々は、それぞれ、上述した第1の態様~第3の態様に係る計算方法と同じ効果を奏する。
【0076】
本発明の第7の態様に係るピストン型造波装置10においては、上述した第4の態様~第6の態様の何れか一態様に係るピストン型造波装置10の構成に加えて、造波板153の下端部と水槽の底面との間には隙間が設けられており、下端部に設けられ、且つ、隙間を埋めるシール部材を更に備えており、シール部材を構成する材料は、下端部を構成する材料と比較して、前記底面との間における摩擦係数が小さい材料からなる、構成が採用されている。
【0077】
上記の構成によれば、上述した流路の断面積を小さくすることができるため、造波時に生じ得る水の流出であって、造波板153より岸側に位置する領域から造波板153より沖側に位置する領域への水の流出を低減することができる。したがって、造波板153の並進移動を波に変換する場合の変換効率を高めることができる。言い方を替えれば、ピストン型造波装置におけるエネルギー効率を高め、目標位置xtにおける目標津波水位波形ηを造波することができる。
【0078】
また、シール部材の設け方によっては、上述した水の流出を無視できる程度に低減することもできる。上述した水の流出が無視できる程度である場合には、制御部の構成を簡略化することができる。
【0079】
本発明の各態様に係るピストン型造波装置の制御部16は、コンピュータによって実現してもよい。この場合には、コンピュータを制御部16が備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより、制御部をコンピュータにて実現させる計算プログラムであって、ピストン型造波装置10における計算プログラムも本発明の範疇に入る。また、前記計算プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【符号の説明】
【0080】
10 ピストン型造波装置
11 水槽
111 底面
12 海底模型
121 海底面(勾配)
122 陸地
13 緩衝材
14 水
15 造波部
151 レール
152 駆動部
153 造波板
154,154A シール部材
16 制御部
161 水位波形計算部
162 造波変位補正部
163 造波変位計算部