(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025152043
(43)【公開日】2025-10-09
(54)【発明の名称】人力駆動車用の検出装置、および、人力駆動車用のドライブユニット
(51)【国際特許分類】
B62M 6/50 20100101AFI20251002BHJP
B62M 6/55 20100101ALI20251002BHJP
【FI】
B62M6/50
B62M6/55
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024053750
(22)【出願日】2024-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】高山 仁志
(72)【発明者】
【氏名】山口 遼太
(57)【要約】
【課題】回転力に関する情報を好適に取得できる人力駆動車用の検出装置、および、人力駆動車用のドライブユニットを提供する。
【解決手段】検出装置は、人力駆動車用の検出装置であって、回転力が入力される入力体と、前記入力体に対する位置が変化可能な出力体と、前記入力体から前記出力体へ前記回転力を伝達するように構成される伝達体と、前記伝達体が前記入力体から前記出力体へ前記回転力を伝達する場合の前記入力体に対する前記出力体の相対位置を検出するように構成される検出部と、前記相対位置に基づいて、前記入力体に入力される前記回転力に関する情報を出力するように構成される情報出力部と、を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人力駆動車用の検出装置であって、
回転力が入力される入力体と、
前記入力体に対する位置が変化可能な出力体と、
前記入力体から前記出力体へ前記回転力を伝達するように構成される伝達体と、
前記伝達体が前記入力体から前記出力体へ前記回転力を伝達する場合の前記入力体に対する前記出力体の相対位置を検出するように構成される検出部と、
前記相対位置に基づいて、前記入力体に入力される前記回転力に関する情報を出力するように構成される情報出力部と、を備える、検出装置。
【請求項2】
前記入力体は、第1回転中心軸心を有し、
前記出力体は、第2回転中心軸心を有し、
前記第1回転中心軸心は、前記第2回転中心軸心と同心である、請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
前記相対位置は、前記入力体の回転角度に対する前記出力体の回転角度の差である相対回転角度を含み、
前記検出部は、前記相対回転角度を検出するように構成される相対回転角度検出部を含む、請求項2に記載の検出装置。
【請求項4】
前記情報出力部は、前記相対回転角度検出部が検出した前記相対回転角度に応じた検出信号に基づいて前記情報を出力するように構成される、請求項3に記載の検出装置。
【請求項5】
前記入力体および前記出力体を支持する支持部をさらに備え、
前記相対回転角度検出部は、前記支持部に対する前記入力体の回転角度を検出するように構成される第1角度検出器と、前記支持部に対する前記出力体の回転角度を検出するように構成される第2角度検出器と、を含み、
前記情報出力部は、前記第1角度検出器の第1出力と、前記第2角度検出器の第2出力とに応じて、前記相対回転角度を検出し、検出した前記相対回転角度に基づいて前記情報を出力するように構成される、請求項4に記載の検出装置。
【請求項6】
前記第1角度検出器および前記第2角度検出器の少なくとも1つは、回転角センサを含む、請求項5に記載の検出装置。
【請求項7】
前記第1角度検出器および前記第2角度検出器の少なくとも1つは、角速度センサを含む、請求項5に記載の検出装置。
【請求項8】
前記情報出力部は、前記入力体から前記出力体へ回転力が伝達される場合の所定範囲内における前記相対回転角度の変化に基づいて前記情報を出力するように構成され、
前記所定範囲は、1度以上かつ15度以下である、請求項4に記載の検出装置。
【請求項9】
前記検出部は、前記入力体および前記出力体の一方に設けられる検出対象と、前記入力体および前記出力体の他方に設けられ、前記検出対象との位置関係に応じた信号を出力する所定センサと、を含む、請求項3に記載の検出装置。
【請求項10】
前記入力体および前記出力体の一方は、内輪を含み、
前記入力体および前記出力体の他方は、外輪を含み、
前記伝達体は、前記内輪と前記外輪との間に設けられる係合部材を含む、請求項2に記載の検出装置。
【請求項11】
前記係合部材は、転動体を含む、請求項10に記載の検出装置。
【請求項12】
前記内輪および前記外輪の少なくとも1つには、前記係合部材が配置される凹部が設けられる、請求項10に記載の検出装置。
【請求項13】
前記入力体が第1回転方向へ回転する場合、前記入力体から前記出力体へ前記回転力が伝達されるように構成され、
前記入力体が前記第1回転方向とは反対の第2回転方向へ回転する場合、前記入力体に対する前記出力体の回転が許容されるように構成される、請求項1に記載の検出装置。
【請求項14】
前記第1回転方向は、前記人力駆動車が駆動する方向と対応し、
前記検出部は、前記入力体が前記第1回転方向へ回転する場合に前記相対位置を検出するように構成される、請求項13に記載の検出装置。
【請求項15】
前記入力体が第1回転方向へ回転する場合、前記入力体から前記出力体へ前記回転力が伝達されるように構成され、
前記入力体が前記第1回転方向とは反対の第2回転方向へ回転する場合、前記入力体から前記出力体へ前記回転力が伝達されるように構成される、請求項1に記載の検出装置。
【請求項16】
前記入力体は、前記人力駆動車のクランク軸を含む、請求項1に記載の検出装置。
【請求項17】
前記出力体は、前記人力駆動車の推進をアシストするモータの回転力が伝達されるように構成される、請求項1に記載の検出装置。
【請求項18】
人力駆動車用のドライブユニットであって、
請求項1から16のいずれか一項に記載の検出装置と、
前記人力駆動車の推進をアシストするモータと、を備え、
前記モータは、前記入力体および前記出力体の一方に、前記モータの回転力を伝達するように構成される、ドライブユニット。
【請求項19】
前記情報に基づいて、前記モータを制御するように構成される制御部をさらに備える、請求項18に記載のドライブユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、人力駆動車用の検出装置、および、人力駆動車用のドライブユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、歪みゲージを用いて回転力を検出する人力駆動車用の検出装置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の目的の1つは、回転力に関する情報を好適に取得できる人力駆動車用の検出装置、および、人力駆動車用のドライブユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1側面に従う検出装置は、人力駆動車用の検出装置であって、回転力が入力される入力体と、前記入力体に対する位置が変化可能な出力体と、前記入力体から前記出力体へ前記回転力を伝達するように構成される伝達体と、前記伝達体が前記入力体から前記出力体へ前記回転力を伝達する場合の前記入力体に対する前記出力体の相対位置を検出するように構成される検出部と、前記相対位置に基づいて、前記入力体に入力される前記回転力に関する情報を出力するように構成される情報出力部と、を備える。
第1側面の検出装置によれば、入力体に対する出力体の相対位置の検出結果に基づいて、回転力に関する情報を好適に取得できる。
【0006】
本開示の第1側面に従う第2側面の検出装置において、前記入力体は、第1回転中心軸心を有し、前記出力体は、第2回転中心軸心を有し、前記第1回転中心軸心は、前記第2回転中心軸心と同心である。
第2側面の検出装置によれば、回転中心軸心が同心の入力体および出力体を含む検出装置において、回転力に関する情報を好適に取得できる。
【0007】
本開示の第2側面に従う第3側面の検出装置において、前記相対位置は、前記入力体の回転角度に対する前記出力体の回転角度の差である相対回転角度を含み、前記検出部は、前記相対回転角度を検出するように構成される相対回転角度検出部を含む。
第3側面の検出装置によれば、相対回転角度検出部によって検出される相対回転角度に基づいて、回転力に関する情報を好適に取得できる。
【0008】
本開示の第3側面に従う第4側面の検出装置において、前記情報出力部は、前記相対回転角度検出部が検出した前記相対回転角度に応じた検出信号に基づいて前記情報を出力するように構成される。
第4側面の検出装置によれば、情報出力部が相対回転角度に基づいて回転力に関する情報を出力できる。
【0009】
本開示の第4側面に従う第5側面の検出装置において、前記入力体および前記出力体を支持する支持部をさらに備え、前記相対回転角度検出部は、前記支持部に対する前記入力体の回転角度を検出するように構成される第1角度検出器と、前記支持部に対する前記出力体の回転角度を検出するように構成される第2角度検出器と、を含み、前記情報出力部は、前記第1角度検出器の第1出力と、前記第2角度検出器の第2出力とに応じて、前記相対回転角度を検出し、検出した前記相対回転角度に基づいて前記情報を出力するように構成される。
第5側面の検出装置によれば、支持部に対する入力体の回転角度、および、支持部に対する出力体の回転角度から相対回転角度を検出できるため、相対回転角度検出部を好適に構成できる。
【0010】
本開示の第5側面に従う第6側面の検出装置において、前記第1角度検出器および前記第2角度検出器の少なくとも1つは、回転角センサを含む。
第6側面の検出装置によれば、回転角センサによって支持部に対する入力体の回転角度、および、支持部に対する出力体の回転角度の少なくとも1つを好適に検出できる。
【0011】
本開示の第5側面に従う第7側面の検出装置において、前記第1角度検出器および前記第2角度検出器の少なくとも1つは、角速度センサを含む。
第7側面の検出装置によれば、角速度センサによって支持部に対する入力体の回転角度、および、支持部に対する出力体の回転角度の少なくとも1つを好適に検出できる。
【0012】
本開示の第4側面から第7側面のいずれか1つに従う第8側面の検出装置において、前記情報出力部は、前記入力体から前記出力体へ回転力が伝達される場合の所定範囲内における前記相対回転角度の変化に基づいて前記情報を出力するように構成され、前記所定範囲は、1度以上かつ15度以下である。
第8側面の検出装置によれば、所定範囲内における相対回転角度に基づいて、回転力に関する情報を好適に取得できる。
【0013】
本開示の第3側面または第4側面に従う第9側面の検出装置において、前記検出部は、前記入力体および前記出力体の一方に設けられる検出対象と、前記入力体および前記出力体の他方に設けられ、前記検出対象との位置関係に応じた信号を出力する所定センサと、を含む。
第9側面の検出装置によれば、1つの所定センサによって相対位置を検出できる。
【0014】
本開示の第2側面から第9側面のいずれか1つに従う第10側面の検出装置において、前記入力体および前記出力体の一方は、内輪を含み、前記入力体および前記出力体の他方は、外輪を含み、前記伝達体は、前記内輪と前記外輪との間に設けられる係合部材を含む。
第10側面の検出装置によれば、内輪、外輪、および、係合部材を含む検出装置において、回転力に関する情報を好適に取得できる。
【0015】
本開示の第10側面に従う第11側面の検出装置において、前記係合部材は、転動体を含む。
第11側面の検出装置によれば、転動体を含む検出装置において、回転力に関する情報を好適に取得できる。
【0016】
本開示の第10側面または第11側面に従う第12側面の検出装置において、前記内輪および前記外輪の少なくとも1つには、前記係合部材が配置される凹部が設けられる。
第12側面の検出装置によれば、内輪および外輪の少なくとも1つに凹部が設けられるため、係合部材を内輪と外輪との間に好適に設けることができる。
【0017】
本開示の第1側面から第12側面のいずれか1つに従う第13側面の検出装置において、前記入力体が第1回転方向へ回転する場合、前記入力体から前記出力体へ前記回転力が伝達されるように構成され、前記入力体が前記第1回転方向とは反対の第2回転方向へ回転する場合、前記入力体に対する前記出力体の回転が許容されるように構成される。
第13側面の検出装置によれば、人力駆動車における回転力の伝達経路上に配置されるワンウェイクラッチを検出装置の一部として利用できる。
【0018】
本開示の第13側面に従う第14側面の検出装置において、前記第1回転方向は、前記人力駆動車が駆動する方向と対応し、前記検出部は、前記入力体が前記第1回転方向へ回転する場合に前記相対位置を検出するように構成される。
第14側面の検出装置によれば、検出部が、入力体が第1回転方向へ回転する場合に相対位置を検出するため、人力駆動車を駆動させる回転力に関する情報を取得できる。
【0019】
本開示の第1側面から第12側面のいずれか1つに従う第15側面の検出装置において、前記入力体が第1回転方向へ回転する場合、前記入力体から前記出力体へ前記回転力が伝達されるように構成され、前記入力体が前記第1回転方向とは反対の第2回転方向へ回転する場合、前記入力体から前記出力体へ前記回転力が伝達されるように構成される。
第15側面の検出装置によれば、入力体が出力体に対して第1回転方向および第2回転方向のいずれに回転する場合にも回転力が伝達される構成においても、回転力に関する情報を好適に取得できる。
【0020】
本開示の第1側面から第15側面のいずれか1つに従う第16側面の検出装置において、前記入力体は、前記人力駆動車のクランク軸を含む。
第16側面の検出装置によれば、入力体がクランク軸を含むため、クランク軸に入力される回転力に関する情報を取得できる。
【0021】
本開示の第1側面から第16側面のいずれか1つに従う第17側面の検出装置において、前記出力体は、前記人力駆動車の推進をアシストするモータの回転力が伝達されるように構成される。
第17側面の検出装置によれば、出力体にモータの回転力が伝達される検出装置において、回転力に関する情報を好適に取得できる。
【0022】
本開示の第18側面に従うドライブユニットは、人力駆動車用のドライブユニットであって、第1側面から第17側面のいずれか1つの検出装置と、前記人力駆動車の推進をアシストするモータと、を備え、前記モータは、前記入力体および前記出力体の一方に、前記モータの回転力を伝達するように構成される。
第18側面のドライブユニットによれば、入力体および出力体の一方にモータの回転力が伝達されるドライブユニットにおいて、回転力に関する情報を好適に取得できる。
【0023】
本開示の第18側面に従う第19側面のドライブユニットにおいて、前記情報に基づいて、前記モータを制御するように構成される制御部をさらに備える。
第19側面のドライブユニットによれば、回転力に関する情報に基づいてモータを好適に制御できる。
【発明の効果】
【0024】
本開示の人力駆動車用の検出装置、および、人力駆動車用のドライブユニットは、回転力に関する情報を好適に取得できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】第1実施形態の人力駆動車用のドライブユニットを含む人力駆動車の側面図である。
【
図2】
図1の人力駆動車用のドライブユニットの断面図である。
【
図4】
図1の人力駆動車用のドライブユニットの電気的な構成を示すブロック図である。
【
図5】
図3の入力体が出力体に対して第1回転方向に回転する場合の入力体、出力体、伝達体、および、その周辺の状態を示す模式図である。
【
図6】
図3の出力体が入力体に対して第1回転方向に回転する場合の入力体、出力体、伝達体、および、その周辺の状態を示す模式図である。
【
図7】入力体に入力される回転力と、入力体に対する出力体の回転角度との関係を示すグラフである。
【
図8】第2実施形態の入力体が出力体に対して第1回転方向に回転する場合の入力体、出力体、伝達体、および、その周辺の状態を示す模式図である。
【
図9】第2実施形態の出力体が入力体に対して第1回転方向に回転する場合の入力体、出力体、伝達体、および、その周辺の状態を示す模式図である。
【
図10】変更例の人力駆動車用のドライブユニットの電気的な構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
<第1実施形態>
図1から
図7を参照して、第1実施形態の人力駆動車用のドライブユニット40、および、人力駆動車用の検出装置70が説明される。
【0027】
人力駆動車10は、少なくとも1つの車輪を有し、少なくとも人力駆動力によって駆動できる乗り物である。人力駆動車10は、例えばマウンテンバイク、ロードバイク、シティバイク、カーゴバイク、ハンドバイク、および、リカンベントなど種々の種類の自転車を含む。人力駆動車10が有する車輪の数は限定されない。人力駆動車10は、例えば1輪車および2輪以上の車輪を有する乗り物も含む。人力駆動車10は、人力駆動力のみによって駆動できる乗り物に限定されない。人力駆動車10は、人力駆動力だけではなく、電気モータの駆動力を推進に利用するイーバイク(E-bike)を含む。イーバイクは、電気モータによって推進が補助される電動アシスト自転車を含む。以下、各実施形態において、人力駆動車10を自転車として説明する。
【0028】
図1に示されるように、人力駆動車10は、例えば、クランク12と、少なくとも1つの車輪14と、車体16と、を含む。少なくとも1つの車輪14は、例えば、前輪14F、および、後輪14Rを含む。車体16は、フレーム18を含む。例えば、フレーム18にはサドル18Aが取り付けられる。
【0029】
クランク12は、例えば、クランク軸12Aと、一対のクランクアーム12Bとを含む。クランク軸12Aは、例えば、フレーム18に対して回転可能である。クランクアーム12Bのそれぞれは、例えば、クランク軸12Aの軸方向の端部のそれぞれに設けられる。クランクアーム12Bには、例えば、ペダル20が連結される。
【0030】
フレーム18には、フロントフォーク22が接続される。フロントフォーク22には、前輪14Fが取り付けられる。フロントフォーク22には、ハンドルバー24がステム26を介して連結される。後輪14Rは、フレーム18に支持される。
【0031】
クランク12は、駆動機構28によって後輪14Rと連結される。後輪14Rは、クランク軸12Aが回転することによって駆動される。前輪14Fおよび後輪14Rの少なくとも1つが、駆動機構28によってクランク12に連結されてもよい。
【0032】
駆動機構28は、例えば、クランク軸12Aに連結される少なくとも1つの第1回転体30を含む。少なくとも1つの第1回転体30は、例えば、フロントスプロケットを含む。少なくとも1つの第1回転体30は、プーリ、または、ベベルギアを含んでいてもよい。
【0033】
駆動機構28は、例えば、少なくとも1つの第2回転体32および伝達部材34を含む。伝達部材34は、少なくとも1つの第1回転体30の回転力を少なくとも1つの第2回転体32に伝達するように構成される。伝達部材34は、例えば、チェーンを含む。チェーンは、例えば、フロントスプロケットおよびリアスプロケットに巻き掛けられる。伝達部材34は、ベルト、または、シャフトを含んでいてもよい。少なくとも1つの第2回転体32は、例えば、リアスプロケットを含む。少なくとも1つの第2回転体32は、プーリ、または、ベベルギアを含んでもよい。少なくとも1つの第2回転体32は、例えば、後輪14Rに連結される。後輪14Rは、少なくとも1つの第2回転体32の回転にともなって回転するように構成される。駆動機構28は、例えば、第1回転体30から後輪14Rまでの間に設けられる所定ワンウェイクラッチを含む。所定ワンウェイクラッチは、例えば、第2回転体32と後輪14Rとの間に設けられる。
【0034】
人力駆動車10は、例えば、バッテリ36をさらに含む。バッテリ36は、例えば、1または複数のバッテリ素子を含む。バッテリ素子は、例えば、二次電池を含む。バッテリ36は、例えば、フレーム18に設けられる。バッテリ36は、例えば、人力駆動車用のドライブユニット40に電力を供給する。バッテリ36は、ドライブユニット40に設けられてもよい。
【0035】
図4に示されるように、ドライブユニット40は、例えば、検出装置70と、モータ50と、を備える。
図2に示されるように、人力駆動車用のドライブユニット40は、例えば、クランク軸12Aのまわりに設けられる。ドライブユニット40は、例えば、ハウジング44をさらに備える。ハウジング44は、収容空間44Sを形成する。ドライブユニット40には、クランク軸12Aが設けられる。ドライブユニット40は、クランク軸12Aを含んでもよい。クランク軸12Aは、ハウジング44に支持される。
【0036】
ドライブユニット40は、例えば、クランク軸12Aの回転中心軸心CAに沿うように延びる軸部材42を備える。軸部材42は、例えば、クランク軸12Aに接続される。軸部材42は、例えば、中空軸である。クランク軸12Aは、例えば、軸部材42の内部に配置される。軸部材42は、回転中心軸心CAに沿う方向における第1端部42Aと、回転中心軸心CAに沿う方向において第1端部42Aとは反対側の第2端部42Bとを含む。軸部材42は、例えば、クランク軸12Aと接続されるクランク軸接続部42Cを含む。クランク軸接続部42Cは、例えば、第1端部42Aに設けられる。クランク軸接続部42Cは、例えば、スプラインまたはセレーションによって、クランク軸12Aの外面に係合する。軸部材42は、例えば、クランク軸接続部42Cを介してクランク軸12Aと一体に回転するようにクランク軸12Aに接続される。
【0037】
図1および
図2に示されるように、ドライブユニット40は、例えば、出力部46と、軸部材42の回転力を出力部46に伝達する伝達部48と、を備える。出力部46には、例えば、人力駆動力による回転力、および、モータ50の回転力が伝達される。出力部46には、第1回転体30が取り付けられる。出力部46は、第1回転体30に回転力を伝達する。第1回転体30は、例えば、スプラインまたはセレーションによって、出力部46の外面に係合する。軸部材42は、例えば、伝達部48を介して出力部46に接続される。伝達部48は、例えば、軸部材42の第2端部42Bに設けられる。出力部46は、例えば、中空軸である。クランク軸12Aは、例えば、出力部46の内部に配置される。軸部材42の回転中心軸心、および、出力部46の回転中心軸心は、例えば、回転中心軸心CAと同心である。なお、本明細書の「同心」は、例えば、製造、駆動、および、経年劣化等により生じる微小なずれを許容する。
【0038】
クランク軸12Aは、例えば、第1クランク軸受40Aおよび第2クランク軸受40Bによって回転可能に支持される。第1クランク軸受40Aは、例えば、ハウジング44とクランク軸12Aとの間に設けられる。第1クランク軸受40Aは、例えば、クランク軸12Aの一方の端部をハウジング44に対して回転可能に支持する。第1クランク軸受40Aは、例えば、玉軸受、または、ころ軸受である。第1クランク軸受40Aは、すべり軸受であってもよい。第2クランク軸受40Bは、例えば、出力部46とクランク軸12Aとの間に設けられる。第2クランク軸受40Bは、クランク軸12Aの他方の端部を出力部46に対して回転可能に支持する。第2クランク軸受40Bは、例えば、すべり軸受である。第2クランク軸受40Bは、玉軸受、または、ころ軸受であってもよい。
【0039】
出力部46は、例えば、出力部軸受40Cによって回転可能に支持される。出力部軸受40Cは、例えば、ハウジング44と出力部46との間に設けられる。出力部軸受40Cは、例えば、出力部46をハウジング44に対して回転可能に支持する。出力部軸受40Cは、例えば、玉軸受、または、ころ軸受である。出力部軸受40Cは、すべり軸受であってもよい。
【0040】
ドライブユニット40は、例えば、クランク軸支持部40Dをさらに備える。クランク軸支持部40Dは、回転中心軸心CAに沿う方向において、軸部材42のうちのクランク軸接続部42Cとは異なる部分に配置される。クランク軸支持部40Dは、例えば、筒状に形成される。クランク軸支持部40Dは、クランク軸12Aの外面と軸部材42の内面との間に配置される。
【0041】
モータ50は、人力駆動車10の推進をアシストする。モータ50は、例えば、ハウジング44に支持される。モータ50の少なくとも一部は、例えば、収容空間44Sに配置される。モータ50は、例えばインナーロータ型のモータを含む。モータ50は、ステータ50Aおよびロータ50Bを含む。
【0042】
ドライブユニット40は、例えば、減速機52を備える。減速機52は、例えば、モータ50および出力部46に接続される。モータ50の回転力は、減速機52を介して出力部46に伝達される。減速機52は、例えば、モータ50の回転力を減速して出力部46に伝達するように構成される。減速機52は、例えば、複数の歯車を含む。減速機52は、遊星歯車機構を含んでいてもよく、プーリまたはスプロケットを含んでいてもよい。
【0043】
モータ50から出力部46までのモータ50の回転力の伝達経路には、モータワンウェイクラッチ54が設けられてもよい。モータワンウェイクラッチ54は、例えば、減速機52に設けられる。モータワンウェイクラッチ54は、例えば、人力駆動車10が前進する方向と対応する方向にモータ50が回転する場合に、モータ50の回転力を出力部46に伝達する。モータワンウェイクラッチ54は、例えば、出力部46が、人力駆動車10が前進する方向と対応する方向に回転する場合に出力部46およびモータ50の相対回転を許容するように構成される。
【0044】
ドライブユニット40は、例えば、軸部材42の回転力を出力部46に伝達する動力伝達機構56を備える。伝達部48は、例えば、動力伝達機構56の一部を構成する。本実施形態の動力伝達機構56は、例えば、ワンウェイクラッチとして構成される。
【0045】
図3に示されるように、動力伝達機構56は、例えば、軸部材42に設けられる内輪58と、出力部46と一体に回転する外輪60と、内輪58と外輪60との間に設けられる係合部材62と、を含む。外輪60は、例えば、出力部46の内面に設けられる。外輪60は、例えば、出力部46と一体に形成される。外輪60は、出力部46と別体に形成されてもよい。内輪58は、例えば、軸部材42の外面に設けられる。内輪58は、例えば、軸部材42と一体に形成される。内輪58は、軸部材42と別体に形成されてもよい。係合部材62は、例えば、転動体62Aを含む。転動体62Aは、例えば、ローラおよび球のいずれかである。係合部材62は、例えば、2つ以上の転動体62Aを含む。
【0046】
図1および
図2に示されるように、ドライブユニット40は、例えば、制御部64をさらに備える。制御部64は、例えば、収容空間44Sに配置される回路基板64Aに設けられる。制御部64は、モータ50を制御する。制御部64は、例えば、駆動回路を制御することによってモータ50を制御する。駆動回路は、例えば、バッテリ36からモータ50への電力の供給を制御するインバータ回路を含む。
【0047】
図2および
図4に示されるように、制御部64は、例えば、各種制御を実行するためのプログラムを実行する演算処理装置を含む。演算処理装置は、例えば、CPU(Central Processing Unit)またはMPU(Micro Processing Unit)を含む。制御部64は、1または複数のマイクロコンピュータを含んでいてもよい。制御部64は、複数の場所に離れて配置される複数の演算処理装置を含んでいてもよい。
【0048】
ドライブユニット40は、例えば、記憶部66をさらに含む。記憶部66は、例えば、回路基板64Aに設けられる。記憶部66は、例えば、各種制御を実行するためのプログラムおよび制御処理に用いられる情報を記憶する。記憶部66は、例えば、不揮発性メモリおよび揮発性メモリの少なくとも1つを含む。不揮発性メモリは、例えば、ROM(Read-Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、および、フラッシュメモリの少なくとも1つを含む。揮発性メモリは、例えば、RAM(Random Access Memory)を含む。
【0049】
検出装置70は、例えば、回転力に関する情報を検出するように構成される。回転力に関する情報は、例えば、クランク12に入力される回転力に関する情報である。検出装置70は、例えば、制御部64に検出した回転力に関する情報を制御部64に出力するように構成される。制御部64は、例えば、回転力に関する情報に基づいて、モータ50を制御するように構成される。制御部64は、例えば、回転力に関する情報に基づいて、人力駆動力を算出するように構成される。制御部64は、例えば、人力駆動力に基づいてモータ50を制御するように構成される。制御部64は、例えば、人力駆動力に対するモータ50の駆動力の比率が所定比率になるようにモータ50を制御するように構成される。
【0050】
図3に示されるように、検出装置70は、入力体72と、出力体74と、伝達体76と、検出部78と、情報出力部80と、を備える。入力体72には、回転力が入力される。出力体74は、入力体72に対する位置が変化可能である。伝達体76は、入力体72から出力体74へ回転力を伝達するように構成される。入力体72は、例えば、第1回転中心軸心CA1を有する。出力体74は、例えば、第2回転中心軸心CA2を有する。第1回転中心軸心CA1は、第2回転中心軸心CA2と同心である。第1回転中心軸心CA1および第2回転中心軸心CA2のそれぞれは、例えば、回転中心軸心CAと同心である。
【0051】
図5に示されるように、入力体72および出力体74の一方は、例えば、内輪58を含む。入力体72および出力体74の他方は、例えば、外輪60を含む。伝達体76は、係合部材62を含む。本実施形態では、入力体72が内輪58を含み、かつ、出力体74が外輪60を含む。入力体72が外輪60を含み、かつ、出力体74が内輪58を含んでもよい。
【0052】
図3に示されるように、モータ50は、入力体72および出力体74の一方に、モータ50の回転力を伝達するように構成される。本実施形態では、出力体74は、モータ50の回転力が伝達されるように構成される。モータ50の回転力は、減速機52を介して出力体74である外輪60に伝達される。モータ50の回転力は、出力体74である外輪60から出力部46へ伝達される。
【0053】
図5に示されるように、内輪58および外輪60の少なくとも1つには、凹部82が設けられる。凹部82には、係合部材62が配置される。凹部82は、例えば、外輪60の内面に設けられる。凹部82は、例えば、回転中心軸心CAに沿うように延びる溝部を含む。凹部82は、凹部82の底に位置する底面84と、係合部材62と係合可能な駆動面86と、係合部材62と係合不能な非駆動面88と、を含む。底面84は、係合部材62と接触しないように構成される。駆動面86は、係合部材62と係合することにより出力体74を駆動させる。駆動面86および非駆動面88は、回転中心軸心CAの径方向において内輪58の外面と対向する。駆動面86は、非駆動面88よりも径方向における傾斜が緩やかに構成される。
【0054】
回転中心軸心CAの周方向において、駆動面86は、第1回転方向R1における底面84の端部と連続する。第1回転方向R1は、例えば、人力駆動車10が駆動する方向と対応する。回転中心軸心CAの周方向において、非駆動面88は、第2回転方向R2における底面84の端部と連続する。第2回転方向R2は、第1回転方向R1とは反対の方向である。
【0055】
係合部材62は、例えば、内輪58の外面に設けられる。動力伝達機構56は、例えば、係合部材62を内輪58の外面に支持する支持部材70Aと、支持部材70Aと係合部材62との間に設けられる付勢部材70Bと、を有する。支持部材70Aは、例えば、係合部材62が、回転中心軸心CAの軸方向において内輪58からずれないように内輪58を支持する。支持部材70Aは、例えば、リテーナを含む。付勢部材70Bは、例えば、係合部材62を第1回転方向R1へ付勢する。付勢部材70Bは、例えば、スプリングを含む。支持部材70Aおよび付勢部材70Bは、省略されてもよい。
【0056】
検出装置70は、入力体72が第1回転方向R1へ回転する場合、例えば、入力体72から出力体74へ回転力が伝達されるように構成される。検出装置70は、入力体72が第2回転方向R2へ回転する場合、例えば、入力体72に対する出力体74の回転が許容されるように構成される。
【0057】
動力伝達機構56は、入力体72と出力体74との間における動力伝達状態を、係合部材62が内輪58および外輪60に係合する係合状態と、係合部材62が内輪58および外輪60に係合しない非係合状態との間において切り替え可能に構成される。
【0058】
図5に示されるように、入力体72が出力体74に対して第1回転方向R1へ回転する場合、内輪58が外輪60に対して第1回転方向R1に回転する。内輪58が外輪60に対して第1回転方向R1に回転すると、係合部材62は駆動面86と接触する。係合部材62が駆動面86と接触することによって、係合部材62が内輪58および外輪60に係合する。入力体72が出力体74に対して第1回転方向R1へ回転する場合、係合部材62が内輪58および外輪60に係合することによって、入力体72から出力体74へ第1回転方向R1の回転力が伝達される。
【0059】
図6に示されるように、出力体74が入力体72に対して第1回転方向R1へ回転する場合、外輪60が内輪58に対して第1回転方向R1に回転する。出力体74が入力体72に対して第1回転方向R1へ回転する場合は、例えば、モータ50の回転力によって出力体74の第1回転方向R1への回転速度が入力体72の第1回転方向R1への回転速度よりも速くなる場合を含む。出力体74が入力体72に対して第1回転方向R1へ回転する場合は、例えば、クランク12が逆回転することによって入力体72が第2回転方向R2に回転する場合を含む。外輪60が内輪58に対して第1回転方向R1に回転すると、係合部材62は、駆動面86よりも非駆動面88側に位置する。付勢部材70Bは、係合部材62が非駆動面88に接触しないように、係合部材62を第1回転方向R1に向かって付勢する。したがって、出力体74が入力体72に対して第1回転方向R1へ回転する場合、係合部材62は、非駆動面88と駆動面86との間に維持される。出力体74が入力体72に対して第1回転方向R1へ回転する場合、係合部材62は、凹部82の内部において空転する。出力体74が入力体72に対して第1回転方向R1へ回転する場合、係合部材62が内輪58および外輪60に係合しないため、入力体72に対する出力体74の回転が許容される。
【0060】
図3に示されるように、検出装置70は、例えば、支持部90をさらに備える。支持部90は、入力体72および出力体74を支持する。支持部90は、例えば、ドライブユニット40のハウジング44を含む。支持部90は、人力駆動車10のフレーム18を含んでもよい。
【0061】
図3および
図4に示される検出部78は、相対位置を検出するように構成される。相対位置は、伝達体76が入力体72から出力体74へ回転力を伝達する場合の入力体72に対する出力体74の位置である。検出部78は、例えば、入力体72が第1回転方向R1へ回転する場合に相対位置を検出するように構成される。
【0062】
相対位置は、例えば、動力伝達機構56が非係合状態から係合状態に切り替えられた時点から、入力体72である内輪58に対する出力体74である外輪60の位置である。検出部78は、例えば、動力伝達機構56が非係合状態から係合状態に切り替えられた時点からの相対位置を検出するように構成される。動力伝達機構56が非係合状態から係合状態に切り替えられた時点は、例えば、入力体72が出力体74に対して第2回転方向R2へ回転する状態から、入力体72が出力体74に対して第1回転方向R1へ回転する状態に切り替えられた時点である。動力伝達機構56が非係合状態から係合状態に切り替えられた時点は、例えば、入力体72および出力体74の回転が停止している状態から、入力体72が出力体74に対して第1回転方向R1へ回転する状態に切り替えられた時点である。制御部64は、例えば、入力体72および出力体74の少なくとも1つの回転状態に応じて、動力伝達機構56が非係合状態から係合状態に切り替えられた時点を判定する。検出装置70は、係合部材62と駆動面86との接触を検出する接触検出部を含んでもよい。制御部64は、係合部材62と駆動面86とが接触した時点を、非係合状態から係合状態に切り替えられた時点として用いてもよい。
【0063】
相対位置は、例えば、相対回転角度を含む。相対回転角度は、入力体72の回転角度に対する出力体74の回転角度の差である。入力体72の回転角度は、例えば、支持部90に対する入力体72の回転角度を含む。出力体74の回転角度は、例えば、支持部90に対する出力体74の回転角度を含む。入力体72の回転角度、および、出力体74の回転角度は、支持部90以外の基準に対する回転角度であってもよい。
【0064】
検出部78は、例えば、相対回転角度検出部92を含む。相対回転角度検出部92は、相対回転角度を検出するように構成される。相対回転角度検出部92は、例えば、第1角度検出器92Aと、第2角度検出器92Bと、を含む。第1角度検出器92Aは、支持部90に対する入力体72の回転角度を検出するように構成される。第2角度検出器92Bは、支持部90に対する出力体74の回転角度を検出するように構成される。
【0065】
第1角度検出器92Aおよび第2角度検出器92Bの少なくとも1つは、例えば、回転角センサ94を含む。本実施形態では、第1角度検出器92Aおよび第2角度検出器92Bの両方が、回転角センサ94を含む。
【0066】
図3に示されるように、回転角センサ94は、検出対象94Aと、所定センサ94Bと、を含む。第1角度検出器92Aの検出対象94Aは、入力体72および支持部90の一方に設けられる。第1角度検出器92Aの所定センサ94Bは、入力体72および支持部90の他方に設けられる。第2角度検出器92Bの検出対象94Aは、出力体74および支持部90の一方に設けられる。第2角度検出器92Bの所定センサ94Bは、出力体74および支持部90の他方に設けられる。
【0067】
検出対象94Aは、例えば、磁石を含む。所定センサ94Bは、検出対象94Aの磁石の磁界を検出する。所定センサ94Bは、検出対象94Aとの位置関係に応じた信号を情報出力部80に出力する。検出対象94Aは、例えば、周方向に複数の磁極が交互に並んで配置される環状の磁石である。第1角度検出器92Aおよび第2角度検出器92Bの一方が、信号を第1角度検出器92Aおよび第2角度検出器92Bの他方に送信してもよい。第1角度検出器92Aおよび第2角度検出器92Bの他方が相対回転角度を算出した後に、算出した相対回転角度を情報出力部80に出力してもよい。
【0068】
情報出力部80は、相対位置に基づいて、入力体72に入力される回転力に関する情報を出力するように構成される。情報出力部80は、例えば、各種制御を実行するためのプログラムを実行する演算処理装置を含む。演算処理装置は、例えば、CPUまたはMPUを含む。情報出力部80は、1または複数のマイクロコンピュータを含んでいてもよい。情報出力部80は、複数の場所に離れて配置される複数の演算処理装置を含んでいてもよい。情報出力部80は、制御部64に含まれてもよい。情報出力部80は、検出部78に設けられてもよい。
【0069】
情報出力部80は、回路基板64Aに設けられてもよい。情報出力部80は、例えば、第1角度検出器92Aおよび第2角度検出器92Bと有線または無線によって通信可能に構成されてもよい。
【0070】
情報出力部80は、例えば、相対回転角度検出部92が検出した相対回転角度に応じた検出信号に基づいて回転力に関する情報を出力するように構成される。情報出力部80は、例えば、有線または無線によって制御部64と通信可能に接続されている。情報出力部80は、例えば、制御部64に情報を出力するように構成される。
【0071】
情報出力部80は、例えば、第1角度検出器92Aの第1出力と、第2角度検出器92Bの第2出力とに応じて、相対回転角度を検出する。情報出力部80は、例えば、検出した相対回転角度に基づいて回転力に関する情報を出力するように構成される。情報出力部80は、例えば、第1角度検出器92Aが検出した支持部90に対する入力体72の回転角度、および、第2角度検出器92Bが検出した支持部90に対する出力体74の回転角度から相対回転角度を検出する。情報出力部80は、例えば、第1角度検出器92Aによって検出される、支持部90に対する入力体72の回転角度と、第2角度検出器92Bによって検出される、支持部90に対する出力体74の回転角度との差分を、相対回転角度として検出する。
【0072】
情報出力部80は、例えば、入力体72から出力体74へ回転力が伝達される場合の所定範囲内における相対回転角度の変化に基づいて情報を出力するように構成される。所定範囲は、例えば、1度以上かつ15度以下である。周方向における駆動面86から非駆動面88までの角度は、例えば、所定範囲よりも大きい。周方向における駆動面86から非駆動面88までの角度は、例えば、15度よりも大きくかつ18度よりも小さい。周方向における駆動面86から非駆動面88までの角度は、係合部材62が周方向において凹部82内を移動できれば、15度以下であってもよく、18度以上であってもよい。所定範囲は、動力伝達機構56の特性、および、検出部78の検出精度の少なくとも1つに応じて設定される。
【0073】
図7では、出力部46が固定された状態において、クランク軸12Aに第1回転方向R1への回転力が付与された場合の、出力部46に対するクランク軸12Aの回転角度の測定結果が示される。本測定では、発明者は、開始点SPからクランク軸12Aにかける第1回転方向R1の回転力を増加させ、かつ、その後回転力を減少させることを2回繰り返した。開始点SPでは、係合部材62は駆動面86に接触している状態である。発明者は、測定期間において、出力部46に対するクランク軸12Aの回転角度を測定した。
【0074】
図7のグラフに示されるように、係合部材62が駆動面86に接触した状態において、入力体72に入力される駆動力が大きくなるほど、入力体72は出力体74に対して第1回転方向R1に回転する。入力体72に入力される駆動力が小さくなると、入力体72は出力体74に対して第2回転方向R2に回転する。再び入力体72に入力される駆動力が大きくなると、入力体72は出力体74に対して第1回転方向R1に回転する。本測定において測定された、入力体72の出力体74に対する第1回転方向R1への回転量は、凹部82の内部において係合部材62が移動可能な範囲よりも小さい。発明者は、動力伝達機構56が、内輪58が第1回転方向R1へ回転し、係合状態において内輪58から外輪60へ回転力が伝達されている状態であっても、内輪58が外輪60に対して第1回転方向R1へ回転するとともに、係合状態における外輪60に対する内輪58の回転角度は、入力体72に入力される回転力に応じて変化するという新しい知見を見出した。
【0075】
検出装置70は、相対位置に基づいて、入力体72に入力される回転力を検出できる。したがって、検出装置70は、トルクセンサ等を用いずに、入力体72に入力される回転力を検出できる。
【0076】
<第2実施形態>
図1、
図3、
図8、および、
図9を参照して、第2実施形態の人力駆動車用のドライブユニット40、および、人力駆動車用の検出装置70が説明される。第2実施形態の人力駆動車用のドライブユニット40、および、人力駆動車用の検出装置70は、動力伝達機構56の構成が第1実施形態の動力伝達機構56の構成と異なる。第1実施形態の人力駆動車用の検出装置70、および、人力駆動車用のドライブユニット40と同様の構成については、第1実施形態と同一の符号が付され、重複する説明が省略される。
【0077】
本実施形態の検出装置70は、入力体72が第1回転方向R1へ回転する場合、入力体72から出力体74へ回転力が伝達されるように構成される。検出装置70は、入力体72が第2回転方向R2へ回転する場合、例えば、入力体72から出力体74へ回転力が伝達されるように構成される。本実施形態の動力伝達機構56が適用される人力駆動車10は、例えば、後輪14Rのハブにコースタブレーキが設けられる。本実施形態の駆動機構28は、例えば、第1回転体30から後輪14Rまでの間に所定ワンウェイクラッチが設けられない。本実施形態では、入力体72であるクランク軸12Aに入力される第2回転方向R2への回転力が後輪14Rまで伝達されるため、コースタブレーキが好適に動作できる。
【0078】
本実施形態では、動力伝達機構56は入力体72の第1回転方向R1および第2回転方向R2の両方の回転力を出力体74へ伝達するように構成される。本実施形態の動力伝達機構56は、非駆動面88を有しない。本実施形態の動力伝達機構56は、駆動面86および非駆動面88に代えて、第1駆動面86Aおよび第2駆動面86Bを有する。
【0079】
図8に示されるように、本実施形態の凹部82は、底面84と、係合部材62と係合可能な第1駆動面86Aと、係合部材62と係合可能な第2駆動面86Bと、を含む。第1駆動面86Aは、係合部材62と係合することにより出力体74を第1回転方向R1に駆動させる。第2駆動面86Bは、係合部材62と係合することにより出力体74を第2回転方向R2に駆動させる。第1駆動面86Aおよび第2駆動面86Bは、回転中心軸心CAの径方向において内輪58の外面と対向する。第2駆動面86Bは、回転中心軸心CAと周方向における第1駆動面86Aと第2駆動面86Bとの中心点とを通過する線分に関して、第1駆動面86Aと対称に形成されてもよい。
【0080】
回転中心軸心CAの周方向において、第1駆動面86Aは、第1回転方向R1における底面84の端部と連続する。回転中心軸心CAの周方向において、第2駆動面86Bは、第2回転方向R2における底面84の端部と連続する。本実施形態では、付勢部材70Bは、周方向における係合部材62の両側に配置される。2つの付勢部材70Bは、係合部材62が第1駆動面86Aおよび第2駆動面86Bの一方から他方に移動する場合、係合部材62が第1駆動面86Aおよび第2駆動面86Bの一方に固着しないように係合部材62を付勢する。
【0081】
図8に示されるように、入力体72が出力体74に対して第1回転方向R1へ回転する場合、第1実施形態と同様に、係合部材62が第1駆動面86Aと接触することによって、係合部材62が内輪58および外輪60に係合する。入力体72が出力体74に対して第1回転方向R1へ回転する場合、係合部材62が内輪58および外輪60に係合することによって、入力体72から出力体74へ第1回転方向R1の回転力が伝達される。
【0082】
図9に示されるように、入力体72が出力体74に対して第2回転方向R2へ回転する場合、係合部材62が第2駆動面86Bと接触することによって、係合部材62が内輪58および外輪60に係合する。入力体72が出力体74に対して第2回転方向R2へ回転する場合、係合部材62が内輪58および外輪60に係合することによって、入力体72から出力体74へ第2回転方向R2の回転力が伝達される。入力体72から出力体74へ第2回転方向R2の回転力が伝達されることによって、例えば、コースタブレーキが作動する。
【0083】
<変更例>
各実施形態に関する説明は、本開示に従う人力駆動車用のドライブユニット、および、人力駆動車用の検出装置が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本開示に従う人力駆動車用のドライブユニット、および、人力駆動車用の検出装置は、例えば以下に示される各実施形態の変更例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変更例が組み合わせられた形態を取り得る。以下の変更例において、実施形態の形態と共通する部分については、実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0084】
・人力駆動車10からドライブユニット40が省略されてもよい。本変更例では、例えば、検出装置70は、フレーム18のボトムブラケットに設けられる。本変更例の支持部90は、例えば、ボトムブラケットのハウジングまたはフレーム18を含んでもよい。
【0085】
・情報出力部80は、回転力に関する情報を、ドライブユニット40以外の電動コンポーネントに出力してもよい。ドライブユニット40以外の電動コンポーネントは、例えば、電動ブレーキ装置、電動変速装置、電動シートポスト、電動サスペンション、および、サイクルコンピュータの少なくとも1つを含む。
【0086】
・第1回転中心軸心CA1は、第2回転中心軸心CA2と離れて設けられてもよい。本変更例では、出力体74が、人力駆動力の伝達経路において出力部46よりも後輪14R側の部材を含んでもよい。出力体74は、例えば、第2回転体32を含む。出力体74は、クランク12の回転速度に対する第2回転体32の回転速度の変速比を変更するように構成される変速装置のプーリであってもよい。クランク軸12Aに対する第2回転体32の相対回転角度は、クランク軸12Aから第2回転体32までに含まれる部材のクリアランス等によって、クランク軸12Aに入力される回転力に応じて変化する。クランク軸12Aの回転角度に対するプーリの相対回転角度は、クランク軸12Aからプーリまでに含まれる部材のクリアランス等によって、クランク軸12Aに入力される回転力に応じて変化する。したがって、本変更例においても、検出装置70は、入力体72に入力される回転力を好適に検出できる。
【0087】
・相対位置は、相対回転角度以外を含んでもよい。例えば、入力体72がクランク軸12Aを含み、かつ、出力体74が伝達部材34を含む。入力体72がクランク軸12Aを含み、かつ、出力体74が伝達部材34を含む場合、検出装置70は、例えば、クランク軸12Aまたは支持部90に対する出力体74の位置を相対位置として検出する。クランク軸12Aに対する伝達部材34の相対位置は、クランク軸12Aから伝達部材34までに含まれる部材のクリアランス、および、伝達部材34の張力の少なくとも1つによって、クランク軸12Aに入力される回転力に応じて変化する。したがって、本変更例においても、検出装置70は、入力体72に入力される回転力を好適に検出できる。
【0088】
・第1角度検出器92Aおよび第2角度検出器92Bの少なくとも1つは、角速度センサを含んでもよい。
図10に示される第1角度検出器92Aは、第1角速度センサ96Aを含む。
図10に示される第2角度検出器92Bは、第2角速度センサ96Bを含む。第1角速度センサ96Aは、例えば、入力体72の第1回転中心軸心CA1まわりの角速度を検出する。第2角速度センサ96Bは、例えば、出力体74の第2回転中心軸心CA2まわりの角速度を検出する。情報出力部80は、入力体72の角速度から入力体72の回転角度を算出する。情報出力部80は、出力体74の角速度から出力体74の回転角度を算出する。
【0089】
・第1角度検出器92Aおよび第2角度検出器92Bの少なくとも1つは、バリアブルキャパシタ、または、ポテンショメータを含んでもよい。
【0090】
・第2角度検出器92Bに含まれるセンサの種類は、第1角度検出器92Aに含まれるセンサの種類と異なっていてもよい。例えば、第1角度検出器92Aは、回転角センサ94、角速度センサ、バリアブルキャパシタ、および、ポテンショメータのいずれか1つを含み、第2角度検出器92Bは、第1角度検出器92Aが回転角センサ94、角速度センサ、バリアブルキャパシタ、および、ポテンショメータのうち第1角度検出器92Aとは異なる1つを含んでもよい。
【0091】
・検出部78は、検出対象94Aと、所定センサ94Bと、を含んでもよい。本変更例では、検出対象94Aは、例えば、入力体72および出力体74の一方に設けられ、所定センサ94Bは、例えば入力体72および出力体74の他方に設けられる。所定センサ94Bは、例えば、検出対象94Aとの位置関係に応じた信号を出力する。本変更例では、所定センサ94Bは、例えば、相対回転角度に応じた信号を出力する。本変更例では、所定センサ94Bは、位置関係に応じた信号を無線によって制御部64に出力するように構成されてもよく、スリップリング等を介して制御部64に出力するように構成されてもよい。
【0092】
・係合部材62は、転動体62Aに代えて爪部材を含んでもよい。爪部材は、例えば、内輪58の外面、および、外輪60の内面の一方に設けられる。爪部材は、例えば、内輪58が第1回転方向R1および第2回転方向R2の少なくとも一方に回転する場合に、内輪58の外面、および、外輪60の内面の他方に係合する。
【0093】
・入力体72は、人力駆動車10のクランク軸12Aを含んでもよい。本変更例では、例えば、ドライブユニット40から軸部材42が省略される。内輪58は、クランク軸12Aと別体に構成されてクランク軸12Aに圧入等によって取り付けられてもよく、クランク軸12Aと一体に形成されてもよい。
【0094】
・第2実施形態において、検出部78は、入力体72が第2回転方向R2へ回転する場合に相対位置を検出するように構成されてもよい。
【0095】
本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、所望の選択肢の「1つ以上」を意味する。一例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が2つであれば「1つの選択肢のみ」または「2つの選択肢の双方」を意味する。他の例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が3つ以上であれば「1つの選択肢のみ」または「2つ以上の任意の選択肢の組み合わせ」を意味する。
【符号の説明】
【0096】
10…人力駆動車、12A…クランク軸、40…ドライブユニット、50…モータ、58…内輪、60…外輪、62…係合部材、62A…転動体、64…制御部、70…検出装置、72…入力体、74…出力体、76…伝達体、78…検出部、80…情報出力部、82…凹部、90…支持部、92…相対回転角度検出部、92A…第1角度検出器、92B…第2角度検出器、94…回転角センサ、94A…検出対象、94B…所定センサ。