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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025152062
(43)【公開日】2025-10-09
(54)【発明の名称】チューブポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04C 5/00 20060101AFI20251002BHJP
【FI】
F04C5/00 341C
F04C5/00 341B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024053778
(22)【出願日】2024-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】594046329
【氏名又は名称】ケーピーエス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100130650
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 泰光
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【弁理士】
【氏名又は名称】小淵 景太
(74)【代理人】
【識別番号】100200609
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 智和
(74)【代理人】
【識別番号】100217467
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴崎 一磨
(72)【発明者】
【氏名】杉村 泰範
(72)【発明者】
【氏名】磯田 知基
(57)【要約】
【課題】送液OFF操作時に生じる弾性チューブ内残圧による液漏れをできるだけ少なくすることができるチューブポンプを提供する。
【解決手段】円弧内面状のガイド面111と、当該ガイド面111に沿わせて配置された弾性チューブ12と、上記ガイド面111を構成する円弧の中心位置を回転軸131として回転し、周方向等間隔に支持した複数のローラ14を有するロータ13と、を含み、ロータ13の回転により、ローラ14が上記ガイド面111との間の上記弾性チューブ12をしごき変形させるチューブポンプA1,A2,A3において、上記ガイド面111またはローラ14の外周面141は、ロータ13の回転軸131に沿う断面において、回転軸131の軸線L1に対して傾斜する傾斜部112,142を有している。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円弧内面状のガイド面と、当該ガイド面に沿わせて配置された弾性チューブと、上記ガイド面を構成する円弧の中心位置を回転軸として回転し、周方向等間隔に支持した複数のローラを有するロータと、を含み、上記ロータの回転により、上記ローラが上記ガイド面との間の上記弾性チューブをしごき変形させるチューブポンプにおいて、
上記ガイド面または上記ローラの外周面は、上記ロータの回転軸に沿う断面において、上記回転軸の軸線に対して傾斜する傾斜部を有していることを特徴とする、チューブポンプ。
【請求項2】
上記傾斜部は、上記ガイド面に形成されており、当該ガイド面の上記回転軸の軸線方向一方側において当該一方側に向かうほど上記軸線までの距離が短くなる第1傾斜部と、当該ガイド面の上記回転軸の軸線方向他方側において当該他方側に向かうほど上記軸線までに距離が短くなる第2傾斜部とを含んでいる、請求項1に記載のチューブポンプ。
【請求項3】
上記傾斜部は、上記ローラの外周面に形成されており、当該外周面の上記回転軸の軸線方向一方側において当該一方側に向かうほど上記軸線までの距離が短くなる第1傾斜部と、当該外周面の上記回転軸の軸線方向他方側において当該他方側に向かうほど上記軸線までに距離が短くなる第2傾斜部とを含んでいる、請求項1に記載のチューブポンプ。
【請求項4】
上記傾斜部の傾斜角度は、2~6°であり、好ましくは3~4°である、請求項1に記載のチューブポンプ。
【請求項5】
上記弾性チューブの入口側が輸液チューブを介して麻酔液容器に接続され、上記弾性チューブの出口側が輸液チューブを介して注射針に接続され、フートペダルにより上記ロータの回転がON/OFF操作される、請求項1ないし4のいずれかに記載のチューブポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チューブポンプに関し、例えば、下肢静脈瘤の治療時等にTLA麻酔を施行するのに好適なチューブポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
チューブポンプの代表的な構成は、例えば特許文献1に示されているように、円弧内面状のガイド面に沿わせて弾性チューブを配置し、ガイド面を構成する円弧の中心位置を回転軸として回転するロータに周方向等間隔に支持させた複数のローラにより、ガイド面との間の弾性チューブをしごき変形させるようになっている。ローラの押圧力により弾性チューブに形成される狭窄部がロータの回転により送液方向前方に移動することにより、弾性チューブ内の液体の送液が行われる。
【0003】
この種のチューブポンプをTLA麻酔施行に用いる場合、弾性チューブの入口側が輸液チューブを介して麻酔液容器に接続されるとともに、弾性チューブの出口側が輸液チューブを介して注射針に接続される。このチューブポンプによる送液は、例えばフートペダルによりON/OFF操作される。すなわち、フートペダルのON操作により上記ロータが所定回転数で回転し、OFF操作により上記ロータが停止する。
【0004】
ところで、この種のチューブポンプは、フートペダルをOFF操作してロータの回転を停止させても、弾性チューブ内の残圧による出口側からの余分な送液がなされてしまうという宿命がある。たとえば、この種のチューブポンプを用いたTLA麻酔施行の現場では、注射針を患者の下肢から引き抜いてフートペダルをOFF操作しても、数秒間注射針の先端から麻酔液が漏れ続けるという現象が起こる。このようなことは、医療行為現場が麻酔液で汚れることになるし、麻酔液の無駄にもつながるので好ましいことではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】WO 2017/159841号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、送液OFF操作時に生じる弾性チューブ内残圧による液漏れをできるだけ少なくすることができるチューブポンプを提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を採用した。
【0008】
すなわち、本発明によって提供されるチューブポンプは、円弧内面状のガイド面と、当該ガイド面に沿わせて配置された弾性チューブと、上記ガイド面を構成する円弧の中心位置を回転軸として回転し、周方向等間隔に支持した複数のローラを有するロータと、を含み、上記ロータの回転により、上記ローラが上記ガイド面との間の上記弾性チューブをしごき変形させるチューブポンプにおいて、上記ガイド面または上記ローラの外周面は、上記ロータの回転軸に沿う断面において、上記回転軸の軸線に対して傾斜する傾斜部を有していることを特徴とする。
【0009】
好ましい実施の形態では、上記傾斜部は、上記ガイド面に形成されており、当該ガイド面の上記回転軸の軸線方向一方側において当該一方側に向かうほど上記軸線までの距離が短くなる第1傾斜部と、当該ガイド面の上記回転軸の軸線方向他方側において当該他方側に向かうほど上記軸線までに距離が短くなる第2傾斜部とを含んでいる。
【0010】
好ましい実施の形態では、上記傾斜部は、上記ローラの外周面に形成されており、当該外周面の上記回転軸の軸線方向一方側において当該一方側に向かうほど上記軸線までの距離が短くなる第1傾斜部と、当該外周面の上記回転軸の軸線方向他方側において当該他方側に向かうほど上記軸線までに距離が短くなる第2傾斜部とを含んでいる。
【0011】
好ましい実施の形態では、上記傾斜部の傾斜角度は、2~6度であり、好ましくは3~4度である。
【0012】
好ましい実施の形態では、上記弾性チューブの入口側が輸液チューブを介して麻酔液容器に接続され、上記弾性チューブの出口側が輸液チューブを介して注射針に接続され、フートペダルにより上記ロータの回転がON/OFF操作される。
【発明の効果】
【0013】
上記構成のチューブポンプにおいては、弾性チューブにおけるガイド面とローラの外周面との間に挟圧される部位は、ガイド面とローラの外周面とのいずれかがロータの回転軸の軸線に対して傾斜する傾斜部を有していることから、当該弾性チューブの内部空間が完全に圧し潰されることがなく、上記挟圧部位の前後間にある程度の液体が流通できる状態が確保される。したがって、ロータが回転する送液ON状態からロータの回転が停止する送液OFF状態に切り替わった瞬間における弾性チューブ内の残圧が緩和され、送液OFF時の弾性チューブの出口からの余分な送液量を少なくすることができる。
【0014】
本発明のその他の特徴および利点は、図面を参照して以下に行う詳細な説明から、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1実施形態に係るチューブポンプの全体外観正面図である。
図2図1のII-II線に沿う断面図である。
図3】開閉カバーを省略して図2の矢印III方向から見た図である。
図4図3のIV-IV線に沿う断面図である。
図5】本発明の第2実施形態に係るチューブポンプの要部を示し、図3のIV-IV線に沿う断面に相当する図である。
図6】本発明の第3実施形態に係るチューブポンプの要部を示し、図3のIV-IV線に沿う断面に相当する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0017】
図1は、本発明に係るチューブポンプA1の全体構成例を示し、図2図3は本発明の第1実施形態の要部を示す。このチューブポンプA1は、TLA麻酔施行に用いるものとして構成されている。このチューブポンプA1は、後に詳述するポンプ機構10を内蔵する筐体20と、ポンプ機構10の給液側に接続され、麻酔液容器30につながる輸液チューブ31と、ポンプ機構10の吐出側に接続され、注射針40につながる輸液チューブ41と、送液ON/OFF操作用のフートペダル50とを有している。筐体20の前面には、後記するポンプ機構10の弾性チューブ12を装着したり交換したりするための開閉カバー21と、電源スイッチや送液量調整用ダイヤル等のスイッチ類22とが配置されている。
【0018】
図2および図3に表れているように、ポンプ機構10は、円弧内面状のガイド面111と、当該ガイド面111に沿わせて配置された弾性チューブ12と、回転周方向等間隔に支持した4個のローラ14を有するロータ13と、を基本的に有する。ガイド面111は、ロータ13の上方において下向きに形成されており、当該ガイド面111を構成する円弧の中心角は、概ね、120°~150°に設定されている。このガイド面111はまた、ベース板23に上下方向にスライド移動可能に支持されたガイドブロック11の下面に形成されている。ガイドブロック11は、図示しないリンク機構を介するなどして、開閉カバー21の開閉に連動して上下移動させられるようになっている。すなわち、開閉カバー21を開けると、これに連動してガイドブロック11およびガイド面111が上方に退避させられ、開閉カバー21を閉じると、これに連動してガイドブロック11が下動させられ、ガイド面111はロータ13のローラ14との間に弾性チューブ12を所定圧力で挟む適正位置であるポンプ作動位置とされる。ガイド面111は、ロータ13の回転軸131の軸線L1方向に所定幅を有しており、上記回転軸131に沿う断面形状に特徴を有するが、これについてはさらに後述する。
【0019】
ロータ13は、ベース板23の背後に配置した、減速機構付き電動モータ15により、回転軸131を中心として図3の反時計回り方向に回転させられる。電動モータ15は、例えば直流ブラシモータが採用される。このロータ13は、前面側フランジ132と背面側フランジ133とを有しており、これらフランジ132,133間に掛け渡されたローラピン143にローラ14が回転可能に套挿支持されている。本実施形態においては、ローラ14は、ロータ13の回転軸131の軸周り周方向等間隔に、すなわち90°ごとに4個設けられている。ローラ14はまた、ガイド面111の上記回転軸131の軸線方向幅に対応して、所定寸法の軸方向長さを有する回転体形状をしている。なお、ガイド面111がポンプ作動位置をとるとき、ガイド面111を形成する円弧の中心は、ロータ13の回転軸131と一致することになる。
【0020】
弾性チューブ12は、例えばPVC(ポリ塩化ビニル)製のチューブであり、適度に弾性変形可能である。この弾性チューブ12は、両端に接続ブッシュ(給液側接続ブッシュ121および吐出側接続ブッシュ122)が設けられ、図3に表れているように、ガイド面111に沿わせるようにしつつ、当該ガイド面111とロータ13との間を通るように配されるとともに、両端の接続ブッシュ、121,122をベース板23と一体的な起立壁231に係止して装着される。給液側接続ブッシュ121には、上記した麻酔液容器30につながる輸液チューブ31が接続され、吐出側接続ブッシュ122には、上記した注射針40につながる輸液チューブ41が接続される。
【0021】
麻酔液容器30につながる輸液チューブ31ないし弾性チューブ12が麻酔液で満たされた状態でポンプ機構10を作動させると、ロータ13の回転に伴いローラ14が弾性チューブ12をガイド面111に押し付けつつ、当該弾性チューブ12をしごき変形させ、これにより弾性チューブ12内の麻酔液が輸液チューブ41を介して注射針40に向けて送液される。
【0022】
図4に、ポンプ機構10のロータ13の回転軸131に沿う断面を示す。同図から分かるように、ローラ14の外周面141はロータ13の回転軸131の軸線L1と平行である一方、ガイド面111は、ロータ13の回転軸131の軸線L1に対して傾斜する傾斜部112を有している。本実施形態においては、ガイド面111の上記回転軸131の軸線L1方向一方側(図4の右方側)において当該一方側に向かうほど上記軸線L1までの距離が短くなる第1傾斜部112aと、当該ガイド面111の上記回転軸131の軸線L1方向他方側(図4の左方側)において当該他方側に向かうほど上記軸線L1までの距離が短くなる第2傾斜部112bとを含んで構成されている。すなわち、ガイド面111は、その横断面において、下向き略V字状の凹みを有しているのであり、かかる横断面形状は、ガイド面111の円弧方向に延びる各部において一様である。ただし、第1傾斜部112aと第2傾斜部112bの傾斜角度αは、2~6°、好ましくは3~4°程度とされる。なお、第1傾斜部112aと第2傾斜部112bは本実施形態のように横断面において直線の組合せに限らず、横断面において凹曲線の組合せとし、ガイド面112が横断面において全体として凹曲面となるようにしてもよい。
【0023】
次に、上記構成のチューブポンプA1の作動状態について説明する。
【0024】
ロータ13の回転により、ローラ14が弾性チューブ12をガイド面111に押し付けつつ、当該弾性チューブ12をしごき変形させ、これにより弾性チューブ12内の麻酔液が注射針40に向けて送液されるのは上述したとおりであるが、上記構成のチューブポンプA1においては、ロータ13の回転を停止させたとき、すなわち、送液OFF操作をしたときの止水機能が改善される。すなわち、弾性チューブ12におけるガイド面111とローラ14の外周面141との間に挟圧される部位は、ガイド面111が横断面において凹状の傾斜部142a,142bを有していることから、図4に詳示するように、当該弾性チューブ12の内部空間が完全に圧し潰されることがなく、上記挟圧部位の前後間に麻酔液がある程度流通できる状態が確保される。したがって、ロータ13が回転する送液ON状態からロータ13の回転が停止する送液OFF状態に切り替わった瞬間における弾性チューブ12内の残圧が緩和され、送液OFF時の弾性チューブ12の吐出側からの余分な送液量を少なくすることができる。
【0025】
したがって、上記構成のチューブポンプA1をTLA麻酔施行に用いる場合において、フートペダル50のOFF操作時、注射針40の先端から数秒間麻酔液が漏れ続けるという現象を防止もしくは軽減することができる。
【0026】
しかも、本実施形態においては、ガイド面111に設けられる傾斜部112a,112bとして、横断面において凹状にしているので、ロータ13の回転時に弾性チューブ12をガイド面111の幅方向中央に位置付けようとする、センタリング機能を果たし、ポンプ機構10の作動中、不用意に弾性チューブ12がガイド面111とローラ14との間の挟圧状態からロータ13の回転軸131方向に脱落してしまうといった不具合の発生を防止することができる。
【0027】
図5は、本発明の第2実施形態に係るチューブポンプA2の要部を示し、図3のIV‐IV線断面に相当する。
【0028】
図5から分かるように、本実施形態では、ガイド面111はロータ13の回転軸131の軸線L1と平行とする一方、ローラ14の外周面141は、ロータ13の回転軸131の軸線L1に対して傾斜する傾斜部142を有している。本実施形態においては、ローラ14の外周面141の上記回転軸131の軸線L1方向一方側(図5の右方側)において当該一方側に向かうほど上記軸線L1までの距離が短くなる第1傾斜部142aと、当該ローラ14の外周面141の上記回転軸131の軸線L1方向他方側(図5の左方側)において当該他方側に向かうほど上記軸線L1までの距離が短くなる第2傾斜部142bとを含んで構成されている。すなわち、ローラ14の外周面141は、ロータ13の回転軸131に沿う断面において、略V字状の凹みが形成されている。ただし、第1傾斜部14
2aと第2傾斜部142bの傾斜角度αは、第1実施形態と同様、2~6°、好ましくは3~4°程度とされる。なお、第1傾斜部142aと第2傾斜部142bは本実施形態のように横断面において直線の組合せに限らず、横断面において凹曲線の組合せとし、ガイド面142が横断面において全体として凹曲面となるようにしてもよい。
【0029】
本実施形態においても、第1実施形態について上述したのと同様の作用効果を期待することができる。すなわち、弾性チューブ12におけるガイド面111とローラ14の外周面141との間に挟圧される部位は、ローラ14の外周面141が断面において凹状の傾斜部142a,142bを有していることから、図5に詳示するように、当該弾性チューブ12の内部空間が完全に圧し潰されることがなく、上記挟圧部位の前後間に麻酔液がある程度流通できる状態が確保され、したがって、ロータ13が回転する送液ON状態からロータ13の回転が停止する送液OFF状態に切り替わった瞬間における弾性チューブ12内の残圧が緩和され、送液OFF時の弾性チューブ12の吐出側からの余分な送液量を少なくすることができる。また、本実施形態においては、ローラ14の外周面141が断面において凹状の傾斜部142a,142bを有していることから、第1実施形態と同様に、ロータ13の回転時に弾性チューブ12をガイド面111の幅方向中央に位置付けようとする、センタリング機能が発揮され、ポンプ機構10の作動中、不用意に弾性チューブ12がガイド面111とローラ14との間の挟圧状態からロータ13の回転軸131方向に脱落してしまうといった不具合の発生を防止することができる。
【0030】
図6は、本発明の第3実施形態に係るチューブポンプA3の要部を示し、図3のIV‐IV線断面に相当する。
【0031】
図6から分かるように、本実施形態では、ローラ14の外周面141はロータ13の回転軸131の軸線L1と平行である一方、ガイド面111は、そのロータ13の軸線L1方向の略全幅にわたり、上記回転軸131の軸線方向一方側(図の右方側)から他方側(図6の左方側)にかけて、次第に上記軸線L1までの距離が長くなる傾斜部112を有している。この傾斜部112の傾斜角度αは、上記した各実施形態と同様に、2~6°、好ましくは3~4°程度とされる。なお、この傾斜部112は、図に示されているように断面において直線状に延びるように形成するほか、断面において凹曲線または凸曲線状に延びるように形成してもよい。また、本実施形態においては、図に表れているように、ガイド面111における上記回転軸131の他方側(図6の左方側)の縁に、弾性チューブ12の脱落を防止するための下向きフランジ113が形成されている。
【0032】
本実施形態においても、第1実施形態について上述したのと同様の作用効果を期待することができる。すなわち、弾性チューブ12におけるガイド面111とローラ14の外周面141との間に挟圧される部位は、ガイド面111に横断面において傾斜する傾斜部112を有していることから、当該弾性チューブ12の内部空間が完全に圧し潰されることがなく、上記挟圧部位の前後間に麻酔液がある程度流通できる状態が確保され、したがって、ロータ13が回転する送液ON状態からロータ13の回転が停止する送液OFF状態に切り替わった瞬間における弾性チューブ12内の残圧が緩和され、送液OFF時の弾性チューブ12の吐出側からの余分な送液量を少なくすることができる。
【0033】
もちろん、本発明は上記した各実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した事項の範囲内でのあらゆる変更は、本発明の範囲に含まれる。
【0034】
上記した各実施形態においては、ガイド面111とローラ14の外周面141とのいずれか一方が傾斜部112,142を有するものとしたが、ガイド面111とローラ14の外周面141との双方が傾斜部112,142を有するように構成することもできる。
【0035】
さらに、上記した各実施形態に係るチューブポンプA1、A2,A3は、TLA麻酔施行に用いるものとして構成されているが、もちろん、発明に係るチューブポンプの使用目的は問われない。
【符号の説明】
【0036】
A1,A2,A3 チューブポンプ
α 傾斜角度(傾斜部142の)
L1 軸線(回転軸131の)
10 ポンプ機構
11 ガイドブロック
111 ガイド面
112 傾斜部
112a 第1傾斜部
112b 第2傾斜部
113 下向きフランジ13
12 弾性チューブ
121 接続ブッシュ(給液側)
122 接続ブッシュ(吐出側)
13 ロータ
131 回転軸
132 前面側フランジ
133 背面側フランジ
14 ローラ
141 外周面
142 傾斜部
142a 第1傾斜部
142b 第2傾斜部
143 ローラピン
15 電動モータ
20 筐体
21 開閉カバー
22 スイッチ類
23 ベース板
231 起立
30 麻酔液容器
31 輸液チューブ
40 注射針
41 輸液チューブ
50 フートペダル
図1
図2
図3
図4
図5
図6