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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025152392
(43)【公開日】2025-10-09
(54)【発明の名称】運転支援装置および車両
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20251002BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20251002BHJP
   G06V 20/58 20220101ALI20251002BHJP
【FI】
G08G1/16 F
G08G1/16 D
G06T7/00 650Z
G06V20/58
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024054261
(22)【出願日】2024-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】弁理士法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 貴太
(72)【発明者】
【氏名】志波 大樹
【テーマコード(参考)】
5H181
5L096
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181CC04
5H181FF03
5H181FF22
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL07
5L096BA04
5L096DA03
5L096FA67
(57)【要約】
【課題】信号機の提示に反して自車両もしくは他車両が交差点に進入したり、歩行者もしくは自転車運転者が横断歩道に進入したりする前に、自車両において報知または制動を行うことの可能な運転支援装置および車両を提供する。
【解決手段】本開示の一実施の形態に係る運転支援装置は、以下の2つを実行することが可能となっている。
(1)停車している車両の前方の交差点に設置された複数の信号機のうち、車両用の第1の信号機とは異なる第2の信号機の点灯状態の変化に伴って、車両が、第1の信号機の提示に反して交差点に進入を開始する可能性を判断すること
(2)上記可能性の大きさに応じて、車両のドライバに対する報知および車両の制動の少なくとも1つを制御すること
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
停車している車両の前方の交差点に設置された複数の信号機の点灯状態についての第1のデータを取得することの可能な取得部と、
前記第1のデータに基づいて、前記車両のドライバに対する報知、および前記車両の制動の少なくとも1つを制御することの可能な制御部と
を備え、
前記制御部は、
前記複数の信号機のうち、前記車両用の第1の信号機とは異なる第2の信号機の点灯状態の変化に伴って、前記車両が、前記第1の信号機の提示に反して前記交差点に進入を開始する可能性を判断することと、
前記可能性の大きさに応じて、前記報知および前記制動の少なくとも1つを制御することと
を実行することが可能となっている
運転支援装置。
【請求項2】
前記取得部は、前記ドライバの視線もしくは顔の向きについての第2のデータを取得することが可能となっており、
前記制御部は、前記第2のデータから得られる前記ドライバの視線もしくは顔の向きに基づいて、前記可能性を判断することが可能となっている
請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項3】
前記取得部は、前記第2の信号機が、前記交差点で交差する交差路を走行する交差車両用の信号機である場合であって、かつ前記第2の信号機の点灯状態の変化に伴って、前記交差路の手前において前記交差車両が減速しているか、または停車したことを示す第3のデータを取得することが可能となっており、
前記制御部は、前記第3のデータが得られた時に、前記ドライバの視線もしくは顔の向きが前記交差車両の方向を向いているときは、前記可能性が大きいと判断することが可能となっている
請求項2に記載の運転支援装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第2の信号機が、前記交差点で交差する交差路を走行する交差車両用の信号機である場合であって、かつ前記第2の信号機が前記交差点への進入を禁止する状態に変化した時に、前記ドライバの視線もしくは顔の向きが前記第2の信号機の方向を向いているときには、前記可能性が大きいと判断することが可能となっている
請求項2に記載の運転支援装置。
【請求項5】
前記取得部は、前記第2の信号機が、前記交差点で交差する交差路の横断歩道の手前に存在する前記歩行者もしくは前記軽車両用の信号機である場合であって、かつ前記第2の信号機の点灯状態の変化に伴って、前記歩行者もしくは前記軽車両が前記横断歩道を渡ろうとしていることを示す第4のデータを取得することが可能となっており、
前記制御部は、前記第4のデータが得られた時に、前記ドライバの視線もしくは顔の向きが前記歩行者もしくは前記軽車両の方向を向いているときは、前記可能性が大きいと判断することが可能となっている
請求項2に記載の運転支援装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記第2の信号機が、前記交差点で交差する交差路の横断歩道を横断する前記歩行者もしくは前記軽車両のための信号機である場合であって、かつ前記ドライバの視線もしくは顔の向きが前記第2の信号機の方向を向いている時に、前記第2の信号機が前記横断歩道への進入を許可する状態に変化したときには、前記可能性が大きいと判断することが可能となっている
請求項2に記載の運転支援装置。
【請求項7】
前記取得部は、前記第2の信号機が、前記車両が走行する走行路と隣接する、前記車両と同一方向に進行する隣接車線を走行する隣接車両のための信号機である場合であって、かつ前記第2の信号機の点灯状態の変化に伴って、前記隣接車両が前記交差点に進入しようとしていることを示す第5のデータを取得することが可能となっており、
前記制御部は、前記第5のデータが得られた時に、前記ドライバの視線もしくは顔の向きが前記隣接車両の方向を向いているときは、前記可能性が大きいと判断することが可能となっている
請求項2に記載の運転支援装置。
【請求項8】
前記取得部は、前記車両の、前記交差点の通過履歴データを取得することが可能となっており、
前記制御部は、前記通過履歴データに基づいて前記可能性を判断することが可能となっている
請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載の運転支援装置。
【請求項9】
停車している車両の前方の交差点に設置された複数の信号機の点灯状態についての第1のデータと、前記交差点に設けられた、前記交差点で交差する交差路の横断歩道の手前に存在する1または複数の歩行者もしくは自転車運転者についての第2のデータとを取得することの可能な取得部と、
前記第1のデータおよび前記第2のデータに基づいて、前記車両のドライバに対する報知、および前記車両の制動の少なくとも1つを制御することの可能な制御部と
を備え、
前記制御部は、
前記複数の信号機のうち、前記車両用の第1の信号機もしくは前記横断歩道を横断する交通参加者用の第2の信号機の点灯状態の変化に伴って、前記1または複数の歩行者もしくは自転車運転者のうち、少なくとも一の対象者が、前記第2の信号機の提示に反して前記横断歩道に進入を開始する可能性を判断することと、
前記可能性の大きさに応じて、前記報知および前記制動の少なくとも1つを制御することと
を実行することが可能となっている
運転支援装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記対象者の動作に基づいて前記可能性を判断することが可能となっている
請求項9に記載の運転支援装置。
【請求項11】
前記取得部は、前記対象者の視線もしくは顔の向きについての第3のデータを取得することが可能となっており、
前記制御部は、前記第3のデータから得られる前記対象者の視線もしくは顔の向きに基づいて、前記可能性を判断することが可能となっている
請求項9に記載の運転支援装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記第2のデータに含まれる、前記対象者の周囲の交通参加者の動きに基づいて、前記可能性を判断することが可能となっている
請求項9ないし請求項11のいずれか一項に記載の運転支援装置。
【請求項13】
停車している車両の前方の交差点に設置された複数の信号機の点灯状態についての第1のデータと、前記交差点で交差する交差路における前記交差点付近で停車している1または複数の交差車両についての第2のデータとを取得することの可能な取得部と、
前記第1のデータおよび前記第2のデータに基づいて、前記車両のドライバに対する報知、および前記車両の制動の少なくとも1つを制御することの可能な制御部と
を備え、
前記制御部は、
前記複数の信号機のうち、前記車両用の第1の信号機とは異なる、前記交差車両用の第2の信号機の点灯状態の変化に伴って、前記1または複数の交差車両のうち、少なくとも一の対象車両が、前記第2の信号機の提示に反して前記交差点に進入を開始する可能性を判断することと、
前記可能性の大きさに応じて、前記報知および前記制動の少なくとも1つを制御することと
を実行することが可能となっている
運転支援装置。
【請求項14】
前記取得部は、前記対象車両のドライバの視線もしくは顔の向きについての第3のデータを取得することが可能となっており、
前記制御部は、前記第3のデータから得られる前記ドライバの視線もしくは顔の向きに基づいて、前記可能性を判断することが可能となっている
請求項13に記載の運転支援装置。
【請求項15】
請求項1、請求項9および請求項13のいずれか一項に記載の運転支援装置を備えた
車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、運転支援装置および車両に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のドライバが、車両前方の交差点にある車両用信号機の提示に反して、交差点に誤って進入してしまうことがある。また、歩行者もしくは自転車運転者が歩行者用信号機の提示に反して、横断歩道に誤って進入してしまうことがある。
【0003】
ドライバの誤認による交差点への進入を防止する技術は、例えば、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6922479号公報
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1の実施の形態に係る運転支援装置は、取得部および制御部を備える。取得部は、停車している車両の前方の交差点に設置された複数の信号機の点灯状態についての第1のデータを取得することが可能となっている。制御部は、第1のデータに基づいて、車両のドライバに対する報知、および車両の制動の少なくとも1つを制御することが可能となっている。制御部は、以下の2つを実行することが可能となっている。
(A1)複数の信号機のうち、車両用の第1の信号機とは異なる第2の信号機の点灯状態の変化に伴って、車両が、第1の信号機の提示に反して交差点に進入を開始する可能性を判断すること
(A2)上記可能性の大きさに応じて、報知および制動の少なくとも1つを制御すること
【0006】
本開示の第2の実施の形態に係る運転支援装置は、取得部および制御部を備える。取得部は、停車している車両の前方の交差点に設置された複数の信号機の点灯状態についての第1のデータと、交差点に設けられた、交差点で交差する交差路の横断歩道の手前に存在する1または複数の歩行者もしくは自転車運転者についての第2のデータとを取得することが可能となっている。制御部は、第1のデータおよび第2のデータに基づいて、車両のドライバに対する報知、および車両の制動の少なくとも1つを制御することが可能となっている。制御部は、以下の2つを実行することが可能となっている。
(B1)複数の信号機のうち、車両用の第1の信号機もしくは横断歩道を横断する交通参加者用の第2の信号機の点灯状態の変化に伴って、1または複数の歩行者もしくは自転車運転者のうち、少なくとも一の対象者が、第2の信号機の提示に反して横断歩道に進入を開始する可能性を判断すること
(B2)上記可能性の大きさに応じて、報知および制動の少なくとも1つを制御すること
【0007】
本開示の第3の実施の形態に係る運転支援装置は、取得部および制御部を備える。取得部は、停車している車両の前方の交差点に設置された複数の信号機の点灯状態についての第1のデータと、交差点で交差する交差路における交差点付近で停車している1または複数の交差車両についての第2のデータとを取得することが可能となっている。制御部は、第1のデータおよび第2のデータに基づいて、車両のドライバに対する報知、および車両の制動の少なくとも1つを制御することが可能となっている。制御部は、以下の2つを実行することが可能となっている。
(C1)複数の信号機のうち、車両用の第1の信号機とは異なる、交差車両用の第2の信号機の点灯状態の変化に伴って、1または複数の交差車両のうち、少なくとも一の対象車両が、第2の信号機の提示に反して交差点に進入を開始する可能性を判断すること
(C2)上記可能性の大きさに応じて、報知および制動の少なくとも1つを制御すること
【0008】
本開示の第1の実施の形態に係る車両は、運転支援装置を備える。運転支援装置は、取得部および制御部を有する。取得部は、停車している車両の前方の交差点に設置された複数の信号機の点灯状態についての第1のデータと、交差点に設けられた、交差点で交差する交差路の横断歩道の手前に存在する1または複数の歩行者もしくは自転車運転者についての第2のデータとを取得することが可能となっている。制御部は、第1のデータおよび第2のデータに基づいて、車両のドライバに対する報知、および車両の制動の少なくとも1つを制御することが可能となっている。制御部は、以下の2つを実行することが可能となっている。
(A1)複数の信号機のうち、車両用の第1の信号機とは異なる第2の信号機の点灯状態の変化に伴って、車両が、第1の信号機の提示に反して交差点に進入を開始する可能性を判断すること
(A2)上記可能性の大きさに応じて、報知および制動の少なくとも1つを制御すること
【0009】
本開示の第2の実施の形態に係る車両は、運転支援装置を備える。運転支援装置は、取得部および制御部を備える。取得部は、停車している車両の前方の交差点に設置された複数の信号機の点灯状態についての第1のデータと、交差点に設けられた、交差点で交差する交差路の横断歩道の手前に存在する1または複数の歩行者もしくは自転車運転者についての第2のデータとを取得することが可能となっている。制御部は、第1のデータおよび第2のデータに基づいて、車両のドライバに対する報知、および車両の制動の少なくとも1つを制御することが可能となっている。制御部は、以下の2つを実行することが可能となっている。
(B1)複数の信号機のうち、車両用の第1の信号機の点灯状態の変化に伴って、1または複数の歩行者もしくは自転車運転者のうち、少なくとも一の対象者が、対象者用の第2の信号機の提示に反して横断歩道に進入を開始する可能性を判断すること
(B2)上記可能性の大きさに応じて、報知および制動の少なくとも1つを制御すること
【0010】
本開示の第3の実施の形態に係る車両は、運転支援装置を備える。運転支援装置は、取得部および制御部を有する。取得部は、停車している車両の前方の交差点に設置された複数の信号機の点灯状態についての第1のデータと、交差点で交差する交差路における交差点付近で停車している1または複数の交差車両についての第2のデータとを取得することが可能となっている。制御部は、第1のデータおよび第2のデータに基づいて、車両のドライバに対する報知、および車両の制動の少なくとも1つを制御することが可能となっている。制御部は、以下の2つを実行することが可能となっている。
(C1)複数の信号機のうち、車両用の第1の信号機とは異なる、交差車両用の第2の信号機の点灯状態の変化に伴って、1または複数の交差車両のうち、少なくとも一の対象車両が、第2の信号機の提示に反して交差点に進入を開始する可能性を判断すること
(C2)上記可能性の大きさに応じて、報知および制動の少なくとも1つを制御すること
【図面の簡単な説明】
【0011】
添付図面は、本開示をさらに理解するために設けられており、本明細書に組み込まれるとともに、本明細書の一部を構成するものである。図面は、一実施の形態を示し、明細書とともに、本開示の原理を説明する役割を果たす。
【0012】
図1図1は、本開示の第1の実施の形態で想定される交通状況の一例を表す図である。
図2図2は、本開示の第1の実施の形態に係る車両の機能ブロックの一例を表す図である。
図3図3は、図2の車両における運転支援手順の一例を表す図である。
図4図4は、本開示の第1の実施の形態で想定される交通状況の一変形例を表す図である。
図5図5は、本開示の第1の実施の形態で想定される交通状況の一変形例を表す図である。
図6図6は、本開示の第1の実施の形態で想定される交通状況の一変形例を表す図である。
図7図7は、本開示の第1の実施の形態で想定される交通状況の一変形例を表す図である。
図8図8は、本開示の第2の実施の形態で想定される交通状況の一例を表す図である。
図9図9は、本開示の第2の実施の形態に係る車両の機能ブロックの一例を表す図である。
図10図10は、本開示の第3の実施の形態で想定される交通状況の一例を表す図である。
図11図11は、本開示の第3の実施の形態に係る車両の機能ブロックの一例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示のいくつかの例示的な実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明は、本開示の一具体例を示すものであり、本開示を限定するものと解釈されてはならない。例えば、数値、形状、材料、部品、各部品の位置および各部品の接続方法等を含む各要素は、一例にすぎず、本開示を限定するものと解釈されてはならない。また、以下の例示的な実施の形態において、本開示の最上位概念に基づく独立項に記載されていない構成要素は、任意的なものであり、必要に応じて設けられ得る。図面は模式的なものであり、原寸通りの図示を意図してはいない。本明細書および図面の全般において、略同じ機能および略同じ構成を有する構成要素については、同一の参照符号を付し、重複する説明を省略する。また、本開示の一実施の形態に直接関係の無い構成要素は、図面に図示してはいない。
【0014】
<1.背景>
通常、信号機の設置された交差点において、同一方向に進行する車両用信号機および歩行者用信号機の提示は一致する。しかし、例えば、歩車分離式交差点では、同一方向に進行する車両用信号機および歩行者用信号機の提示は一致しない場合がある。例えば、歩車分離式交差点において、第1の車線と第2の車線が交差している場合に、第1の車線の車両用信号機が青から赤へ変化した後、第1の車線の横断歩道に対する歩行者用信号機が赤から青に切り替わった後も、第2の車線の車両用信号機は赤を維持し続け、所定の期間経過後に青になることがある。
【0015】
ところで、このような歩車分離式交差点を通過した経験が無いか、または、少ないドライバは、進行方向が同一の車両用信号機および歩行者用信号機の提示が一致するという誤った認識を持っている可能性が高い。この場合、このドライバは、車両用信号機の提示を正しく認識せずに、例えば、歩行者用信号機を見て車両用信号機も青であると誤って認識し、歩車分離式交差点へ減速せずに進入したり、停車状態から発車しようとしたりして、他の交通参加者と衝突する危険がある。
【0016】
また、歩行者または自転車運転者が、進行方向が同一の車両用信号機および歩行者用信号機の提示が一致するという誤った認識を持っていることもある。この場合、歩行者または自転車運転者が、例えば、端末操作に集中して歩行者用信号機の提示をよく確かめないまま、同一進行方向の乗用車の動作から歩行者用信号機が青であると誤って認識することも起こり得る。この結果、歩行者または自転車運転者が、歩行者用信号が赤にも関わらず横断歩道の横断を開始し、同一進行方向の左折車両や対面からの右折車両などと衝突する危険がある。
【0017】
そこで、本願発明者は、鋭意検討した結果、信号機の提示に反して自車両または他の交通参加者が交差点に進入する可能性(誤認可能性)を予測することの可能な技術を想起した。以下に、誤認が生じ得る交通状況の一例を挙げて、今回新たに想起した技術の背景について説明する。
【0018】
図1は、誤認が生じ得る交通状況の一例を表したものである。図1では、車両(自車両)100aは、片側1車線の道路Laを走行しているものとする。道路Laは、車両100aが走行している走行車線La1と、中央線を介して走行車線La2に沿って設けられた対向車線La2とにより構成されている。道路Laには、車両100aの前方において、交差点CLが設けられている。道路Laは、交差点CLにおいて道路Lbと交差している。道路Lbは、車両100b(交差車両)が走行している走行車線Lb1と、中央線を介して走行車線Lb1に沿って設けられた対向車線Lb2とにより構成されている。
【0019】
道路Laには、車両100aとの関係で交差点CLの手前および奥のそれぞれに横断歩道CWaと車両用の信号機TLaが設けられている。道路Lbには、車両100bとの関係で交差点CLの手前および奥のそれぞれに横断歩道CWbと車両用の信号機TLbが設けられている。
【0020】
信号機TLaが交差点CLへの進入を禁止する状態(赤信号)となっている。車両100aは、減速しながら交差点CLに近づき、停止線の手前で停止する。その後、信号機TLbが交差点CLへの進入を許可する状態(青信号)から交差点CLへの進入を禁止する状態(赤信号)に変化する。車両100bは、このような信号機TLbの点灯状態の変化に伴って、交差路CLの手前で減速している。このとき、車両100aのドライバは、信号機TLaを注視しておらず、車両100bが交差路CLの手前で減速している様子を眺めている。つまり、車両100aのドライバは、車両前方をよく見ておらず、よそ見をしている。車両100aのドライバは、車両100bが交差路CLの手前で減速している様子を見て、信号機TLaがそろそろ、交差点CLへの進入を禁止する状態(赤信号)から交差点CLへの進入を許可する状態(青信号)に変化すると錯覚する。その結果、車両100aのドライバは、このような信号機TLaの点灯状態の変化が生じたと誤認して、車両100aを発進させようとする。つまり、車両100aが、信号機TLaの提示に反して交差点CLに進入を開始しようとする。
【0021】
上述したような、車両100aのドライバによる誤認が生じ得る交通状況を、車両100aが交差点CLに進入を開始する前に判別することができれば、車両100aが他の交通参加者と衝突するのを避けるための報知や制動を確実に行うことが可能となる。そこで、本願発明者は、車両100aのドライバによる誤認が生じ得る交通状況を、車両100aが交差点CLに進入を開始する前に判別し、車両100aのドライバに所定の報知を行ったり、車両100aが交差点CLに進入しようとしたときに車両100aの制動を行ったりすることの可能な技術を想起した。以下に、それを実現するための運転支援装置および車両について詳細に説明する。
【0022】
<2.第1の実施の形態>
[構成例]
まず、本開示の第1の実施の形態に係る制御ユニット30を備えた車両1について説明する。図2は、車両1の機能ブロックの一例を表したものである。制御ユニット30が、本開示の「運転支援装置」の一具体例に相当する。車両1が、後述の車両100aの一具体例に相当し、本開示の「車両」の一具体例に相当する。
【0023】
車両1は、原動機(エンジンまたはモータ)の駆動により走行することが可能となっている。車両1は、例えば、図2に示したように、センサ部10、通信部20、制御ユニット30、記憶部40、報知部50およびアクセルペダルモータ60を備える。
【0024】
センサ部10は、車両1に搭載された各種センサを含んで構成される。センサ部10は、例えば、ブレーキ踏込み量センサ、車速センサ、加速度センサおよび角速度センサを含んで構成される。センサ部10は、上記以外のセンサを含んでもよい。
【0025】
ブレーキ踏込み量センサは、ブレーキペダル踏込み量を検出することが可能となっている。ブレーキ踏込み量センサは、検出した踏込み量についての時系列データ(ブレーキ踏込み量データ)を制御ユニット30に出力することが可能となっている。
【0026】
車速センサは、車両1の速度(車速)を検出することが可能となっている。車速センサは、検出した車速についての時系列データ(車速データ)を制御ユニット30に出力することが可能となっている。加速度センサは、車両1に加えられる加速度を検出することが可能となっている。加速度センサは、検出した3つの方向の加速度についての時系列データ(加速度データ)を制御ユニット30に出力することが可能となっている。角速度センサは、車両1の角速度を検出することが可能となっている。角速度センサは、検出した3つの角速度(ヨー角速度、ロール角速度、ピッチ角速度)についての時系列データ(角速度データ)を制御ユニット30に出力することが可能となっている。
【0027】
センサ部10は、さらに、車両1のドライバを含む車内を撮像することの可能なカメラと、ドライバ状態検出部とを含んで構成される。カメラは、車両1のドライバが撮像対象となる位置に配置され、撮像により得られた画像データをドライバ状態検出部に出力することが可能となっている。ドライバ状態検出部は、画像データに基づいて、車両1のドライバの視線もしくは顔の向きについてのデータ(視線データDa)を制御ユニット30に出力することが可能となっている。
【0028】
センサ部10は、さらに、ステレオカメラと、走行環境検出部とを含んで構成される。ステレオカメラは、車両1の周辺の実空間をセンシングする自律センサである。ステレオカメラは、例えば、車両1の、幅方向における中央部分を挟んで左右対称な位置に配置され、車両1の前方を異なる視点からステレオ撮像することが可能となっている。ステレオカメラは、撮像により得られた画像データDb(一対のステレオ画像データ)を制御ユニット30に出力することが可能となっている。
【0029】
ステレオカメラは、撮像により得られた画像データDb(一対のステレオ画像データ)に基づいて、対応する対象の位置のズレ量から求めた距離画像データDcを生成することが可能となっている。走行環境検出部は、例えば、距離画像データDcに基づき、車両1の周辺の道路を区画する車線区画線を求めることが可能となっている。走行環境検出部は、さらに、車両1が走行する走行路(走行レーン)の左右を区画する区画線の道路曲率、および左右区画線間の幅(車幅)を求めることが可能となっている。走行環境検出部は、さらに、距離画像データDcに対して所定のパターンマッチングなどを行い、車線や、車両1の周辺に存在する構造物等の立体物を検出することが可能となっている。
【0030】
ここで、走行環境検出部における立体物の検出では、例えば、立体物の種別、立体物までの距離、立体物の速度、立体物と車両(自車両)との相対速度などの検出が行われる。検出対象の立体物としては、例えば、信号機、交差点、道路標識、停止線、他の車両、歩行者、自転車、建築物などが挙げられる。建築物としては、例えば、戸建て住宅、集合住宅(マンション)、商業施設、工場、看板などが挙げられる。走行環境検出部は、このようにして取得した立体物の情報等を含む、車両1の周辺の走行環境データDdを制御ユニット30に出力することが可能となっている。
【0031】
通信部20は、画像データDbおよび距離画像データDcからは得られないデータを補うためのデータを、例えば、車車間通信、路車間通信および衛星通信により取得することが可能となっている。通信部20は、取得したデータを制御ユニット30に出力することが可能となっている。
【0032】
通信部20は、例えば、車車間通信により、他の車両で得られたデータ(例えば、車両位置、車速)を取得することが可能となっている。通信部20は、例えば、衛星通信により、複数の測位衛星から発信される測位信号を受信することが可能となっている。
【0033】
通信部20は、例えば、路車間通信により、車両1の周囲の道路地図データを取得することが可能となっている。道路地図データは、例えば、高精度な道路地図情報(ダイナミックマップ)からなり、主として道路情報を構成する静的情報及び準静的情報と、主として交通情報を構成する準動的情報及び動的情報とを有している。
【0034】
道路情報を構成する静的情報は、例えば、道路や道路上の構造物、道路の周囲の構造物、車線情報、路面情報、恒久的な規制情報等、1ヶ月以内の更新頻度が求められる情報によって構成されている。「道路」には、例えば、道路の位置および形状、交差点、ならびに道路の属性(例えば、国道、県道、市道、私有道、優先道路、非優先道路、一般道、高速道路)等が含まれる。「道路上の構造物」には、例えば、交通標識、信号機、カーブミラー、歩道橋、停留所、ごみ収集所等が含まれる。「道路の周囲の構造物」には、例えば、各種建物、公園等が含まれる。
【0035】
道路情報を構成する準静的情報は、例えば、道路工事やイベント等による交通規制情報、広域気象情報、渋滞予測等、1時間以内での更新頻度が求められる情報によって構成されている。
【0036】
交通情報を構成する準動的情報は、例えば、観測時点における実際の渋滞状況や走行規制、落下物や障害物等、一時的な走行障害状況、実際の事故状態、狭域気象情報など、1分以内での更新頻度が求められる情報によって構成されている。
【0037】
交通情報を構成する動的情報は、例えば、移動体の間で送信・交換される情報や現在示されている信号の情報、交差点内の歩行者・自転車情報、道路を走行する車両情報等、1秒単位での更新頻度が求められる情報によって構成されている。このような道路地図情報は、各車両から次の情報を受信するまでの周期で維持・更新され、更新された道路地図情報は通信部20を通じて各車両に適宜送信される。
【0038】
制御ユニット30は、車両1の全体を制御することが可能となっている。制御ユニット30は、例えば、いわゆるECU(Electronic Control Unit)であり、例えば、1または複数のプロセッサ、および1または複数のメモリなどを含んで構成される。制御ユニット30は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などを含んで構成されてもよい。このとき、制御ユニット30は、例えば、記憶部に記憶されたプログラムを実行することにより、車両1の全体を制御することが可能となっている。
【0039】
制御ユニット30は、例えば、ロケータユニットを有している。ロケータユニットは、通信部20を通じて受信した測位信号に基づき車両1の位置座標を取得することが可能となっている。ロケータユニットは、取得した位置座標をルート地図情報上にマップマッチングして、道路地図上の自車位置を推定することが可能となっている。ロケータユニットは、取得した車両1の位置座標に基づき、車両1を含む所定の範囲の地図情報を後述の道路地図DB(データベース)41に格納されている地図情報から取得する。
【0040】
ロケータユニットは、トンネル内走行などのように感度低下により測位衛星からの有効な測位信号を受信することができない環境において、センサ部10で検出した車速、角速度、および前後加速度に基づいて自車位置を推定する自律航法に切換えて、道路地図上の自車位置を推定することが可能となっている。
【0041】
ロケータユニットは、上述のように通信部20を通じて受信した測位信号或いはセンサ部10で検出した情報等に基づいて道路地図上の車両1の位置(自車位置)を推定すると、推定した道路地図上の自車位置に基づき、車両1が走行中の走行路の道路種別等を判定することが可能となっている。
【0042】
ロケータユニットは、推定により得られた自車位置についてのデータを通過時刻とともに通過履歴データ42に追加することにより、通過履歴データ42を最新の状態に更新することが可能となっている。ロケータユニットは、通信部20を通じた外部通信(路車間通信、および車車間通信)により取得した道路地図情報を用い、道路地図DB41に格納された道路地図情報を最新の状態に更新することが可能となっている。この情報更新は、静的情報のみならず、準静的情報、準動的情報、および動的情報についても行われる。これにより、道路地図情報は、車外との通信により取得した道路情報及び交通情報を含んで構成され、道路上を走行する車両等の移動体の情報が略リアルタイムで更新される。
【0043】
ロケータユニットは、上述のようにして認識した走行環境データDdに基づいて道路地図情報の検証を行い、道路地図DB41に格納された道路地図情報を最新の状態に更新する。この情報更新は、静的情報のみならず、準静的情報、準動的情報、及び、動的情報についても行われる。これにより、上述のようにして認識した道路上を走行する車両等の移動体の情報については、リアルタイムで更新される。
【0044】
制御ユニット30は、さらに、例えば、図2に示したように、走行制御部31を有している。走行制御部31は、車両1の走行(例えば、アクセルペダル踏込み量)と、車両1の走行に関する報知とを制御することが可能となっている。走行制御部31は、例えば、図2に示したように、データ取得部32、誤認判定部33、支援決定部34、報知制御部35およびアクセルペダル制御部36を有している。
【0045】
データ取得部32は、センサ部10から得られた各種データ、通信部20を介して外部から得られた各種データ、および車両1の各種デバイス(例えば、方向指示器)に対する各種制御信号を取得することが可能となっている。データ取得部32は、取得した各種データおよび各種制御信号に基づいて、下記の点灯状態データDe、下記の他車両データDf、および上記の視線データDaを取得することが可能となっている。データ取得部32は、さらに、記憶部40の通過履歴データ42から、車両100aの前方の交差点CLの通過履歴データDgを読み出すことが可能となっている。記憶部40は、例えば、不揮発性メモリ等を含んで構成されている。記憶部40は、例えば、図2に示したように、道路地図DB41および通過履歴データDgを記憶している。なお、下記の符合は、図1に記載の符合に対応している。点灯状態データDeが、本開示の「第1のデータ」の一具体例に相当する。視線データDaが、本開示の「第2のデータ」の一具体例に相当する。交通参加者データDfが、本開示の「第6のデータ」の一具体例に相当する。
【0046】
(点灯状態データDd)
点灯状態データDdは、停車している車両100aの前方の交差点CLに設置された複数の信号機(例えば、信号機TLa,TLb)の点灯状態についてのデータである。点灯状態データDdは、交差点CLの手前で車両100aの前方に他の車両が存在しないとき(つまり、車両100aが車列の先頭にいるとき)の、交差点CLに設置された複数の信号機(例えば、信号機TLa,TLb)の点灯状態についてのデータである。信号機TLaが、本開示の「第1の信号機」の一具体例に相当する。信号機TLbが、本開示の「第2の信号機」の一具体例に相当する。
【0047】
(他車両データDf)
他車両データDfは、道路Lbに存在する車両100bについてのデータであり、例えば、道路Lbに存在する車両100bの位置および速度についてのデータである。
【0048】
(通過履歴データDg)
通過履歴データDgは、車両100aが交差点CLを通過した履歴についてのデータである。通過履歴データDgでは、例えば、車両100aの位置データが通過時刻と対応付けて格納されている。
【0049】
誤認判定部33は、点灯状態データDdに基づいて、信号機TLbの点灯状態の変化を検出することが可能となっている。「信号機TLbの点灯状態の変化」とは、信号機TLbが交差点CLへの進入を許可する状態(青信号)から交差点CLへの進入を禁止する状態(赤信号)に変化することを指している。以下では、点灯状態データDdに基づいた、信号機TLbの点灯状態の変化についてのデータを、状態変化データDhと称する。
【0050】
誤認判定部33は、信号機TLbの点灯状態の変化を検出したとき(状態変化データDhが得られたとき)、他車両データDfに基づいて、信号機TLbの点灯状態の変化に伴って、車両100bが交差路CLの手前で減速しているか、または停車する交通状況を検出することが可能となっている。以下では、信号機TLbの点灯状態の変化に伴う、車両100bが交差路CLの手前で減速しているか、または停車する交通状況についてのデータを、他車両データDiと称する。他車両データDiが、本開示の「第3のデータ」の一具体例に相当する。
【0051】
誤認判定部33は、信号機TLbの点灯状態の変化に伴って車両100aが信号機TLaの提示に反して交差点CLに進入を開始する可能性を判断することが可能となっている。誤認判定部33は、他車両データDiが得られたとき、視線データDaから得られる車両100aのドライバの視線もしくは顔の向きに基づいて、上記可能性を判断することが可能となっている。誤認判定部33は、例えば、他車両データDiが得られた時に、視線データDaから得られる車両100aのドライバの視線もしくは顔の向きが車両100bの方向を向いているときは、上記可能性が大きいと判断することが可能となっている。誤認判定部33は、例えば、信号機TLbの点灯状態の変化に伴って、車両100bが交差路CLの手前で減速しているか、または停車している間に、車両100aのドライバの視線もしくは顔の向きが車両100bの方向を向いているときは、上記可能性が大きいと判断することが可能となっている。誤認判定部33は、例えば、信号機TLbの点灯状態の変化に伴って、車両100bが交差路CLの手前で減速していたり、停車していたりしている間のうち、車両100aのドライバの視線もしくは顔の向きが車両100bの方向を向いている時間の大きさに応じて、上記可能性の大きさを判断することが可能となっている。
【0052】
車両100aのドライバの視線もしくは顔の向きが車両100bの方向を向いているか否かの判断は、例えば、車両100aのドライバの顔もしくは視線の向きが車両100bの方向を含む所定の視野角θaの範囲内にあるか否かによって行われる。誤認判定部33は、例えば、車両100aのドライバの顔もしくは視線の向きが視野角θaの範囲内にあるとき、上記可能性が大きいと判断することが可能となっている。つまり、誤認判定部33は、車両100aが交差点CL手前(停止線手前)で停車しているときに、車両100aのドライバが車両前方(例えば、信号機TLa)を注視しておらず、長い時間よそ見をしているとき、上記可能性が大きいと判断することが可能となっている。
【0053】
誤認判定部33は、通過履歴データDgに基づいて、上記可能性を判断することが可能となっている。誤認判定部33は、例えば、通過履歴データDgに含まれる、交差点CLの位置データに対応する位置データの数をカウントし、それにより得られるカウント値を交差点CLの通過回数Coとすることが可能となっている。誤認判定部33は、例えば、交差点CLの通過回数Coに基づいて、上記可能性を判断することが可能となっている。
【0054】
誤認判定部33は、信号機TLbの点灯状態の変化に伴って車両100aが信号機TLaの提示に反して交差点CLに進入を開始する可能性の大きさを数値(誤認割合R)で算出することが可能となっている。誤認判定部33は、例えば、以下の式(1)~式(5)を用いて、誤認割合Rを算出することが可能となっている。
【0055】
R=αFego+βVego+γAego+ε…(1)
α+β+γ+ε=1…(2)
Fego=1/Co…(3)
Vego=1-(T1/T2)…(4)
Aego:1-(D1/D2)…(5)
【0056】
Fego:車両100aのドライバによる交差点CLの通過頻度(0以上1以下の値)
Vego:車両100aのドライバによる信号機TLaの目視割合(0以上1以下の値)
Aego:車両100aのドライバによるブレーキペダル操作量(0以上1以下の値)
α,β,γ:係数(0以上1以下の値)
ε:補正値(0以上1以下の値)
T1:車両100aのドライバによる信号機TLaの目視時間(s)
T2:車両100aが信号待ちのため停車している時間(s)
D1:車両100aのドライバによるブレーキペダル踏み込み量
D2:ブレーキペダルにおける、ブレーキペダル踏み込み量の最大値
【0057】
支援決定部34は、誤認判定部33で得られた誤認割合Rの大きさに基づいて、運転支援方法を決定することが可能となっている。支援決定部34は、誤認判定部33で得られた誤認割合Rの大きさに基づいて、車両100aのドライバに対する報知、および車両100aの制動の少なくとも1つを制御することが可能となっている。
【0058】
支援決定部34は、誤認割合Rが小さい(0<R1~R2)とき、車両100aのドライバは、信号機TLaの点灯状態の変化が生じたと誤認している可能性が低い。なお、R1は例えば0.3であり、R2は例えば0.5である。このとき、支援決定部34は、運転支援方法として報知を選択し、報知の方法としてアイコン表示を行うことを決定することが可能となっている。支援決定部34は、アイコン表示を行うための制御信号を報知制御部35に出力することが可能となっている。
【0059】
支援決定部34は、誤認割合Rが中程度(R2~R3)のとき、車両100aのドライバは、信号機TLaの点灯状態の変化が生じたと誤認している可能性がある程度高い。なお、R3は例えば0.7である。このとき、支援決定部34は、運転支援方法として報知を選択し、報知の方法としてアイコン表示だけでなく警告音(例えばビープ音)の発出も行うことを決定することが可能となっている。支援決定部34は、アイコン表示および警告音発出を行うための制御信号を報知制御部35に出力することが可能となっている。
【0060】
支援決定部34は、誤認割合Rが高い(R3~1)のとき、車両100aのドライバは、信号機TLaの点灯状態の変化が生じたと誤認している可能性が非常に高い。このとき、支援決定部34は、運転支援方法として報知および制動の双方を選択し、報知の方法としてアイコン表示だけでなく警告音(例えばビープ音)もしくは警告音声(危険性を知らせるアナウンス)の発出も行い、さらに、制動の方法としてアクセルペダルの踏み込みを制限することを決定することが可能となっている。支援決定部34は、アイコン表示および警告音もしくは警告音声の発出を行うための制御信号を報知制御部35に出力することが可能となっている。支援決定部34は、さらに、アクセルペダルの踏み込みを制限するための制御信号をアクセルペダル制御部36に出力することが可能となっている。
【0061】
報知制御部35は、支援決定部34から入力される制御信号に従って、報知部50に報知を行わせることが可能となっている。報知制御部35は、支援決定部34から、アイコン表示を行うための制御信号が入力されたときは、入力された制御信号に基づいたアイコン表示を行うための映像信号を報知部50に出力することが可能となっている。アイコンとしては、例えば、赤信号を提示している信号機の画像が挙げられる。報知部50は、例えば、表示装置であり、報知制御部35から入力される映像信号に応じた映像を表示することが可能となっている。車両100aのドライバは、報知部50の表示を見ることにより自身の誤認に気づき、車両100aの発進を停止することが可能となる。
【0062】
報知制御部35は、支援決定部34から、警告音(例えばビープ音)もしくは警告音声(危険性を知らせるアナウンス)の発出を行うための制御信号が入力されたときは、入力された制御信号に基づいた音出力を行うための音信号を報知部50に出力することが可能となっている。報知部50は、例えば、スピーカ、もしくは、音出力機能付きの表示装置であり、報知制御部35から入力される音信号に応じた音を出力することが可能となっている。車両100aのドライバは、報知部50からの音出力を聞くことにより自身の誤認に気づき、車両100aの発進を停止することが可能となる。
【0063】
アクセルペダル制御部36は、支援決定部34から入力される制御信号に従って、アクセルペダルの踏み込みを制限することが可能となっている。アクセルペダル制御部36は、は、支援決定部34から、アクセルペダルの踏み込みを制限するための制御信号が入力されたときは、入力された制御信号に基づくトルク制御信号を、アクセルペダルモータ60に出力することが可能となっている。アクセルペダルモータ60は、アクセルペダルの踏み込みに応じて変位する、アクセルペダルに連結された連結部材に対して、アクセルペダルの踏み込みを制限するトルクを出力することが可能となっている。車両100aのドライバは、アクセルペダルの踏み込みが制限されていることにより自身の誤認に気づき、踏み込むペダルをアクセルペダルからブレーキペダルに変更することにより車両100aを停車させることが可能となる。
【0064】
次に、図1の交通状況における車両1の運転支援手順について説明する。
【0065】
図3は、車両1における運転支援手順の一例を表したものである。走行制御部31は、画像データDb等を含む各種データを取得する(ステップS101)。走行制御部31は、必要に応じて各種制御信号も取得する。続いて、走行制御部31は、取得した各種データおよび各種制御信号に基づいて、車両100a(自車両)の前方に交差点CLが存在するか否かを判定する(ステップS102)。走行制御部31は、例えば、画像データDbに基づいて、車両100aの前方の交差点CLを検出する。
【0066】
走行制御部31は、車両100aの前方に交差点CLが存在すると判定した場合(ステップS102;Y)、取得した各種データおよび各種制御信号に基づいて、交差点CLが通常の信号スケジュールで交通整理を行う交差点であるか否かを判定する(ステップS103)。「通常の信号スケジュールで交通整理を行う交差点」とは、交差点において交差する2つの道路(第1の道路、第2の道路)のそれぞれに設けられた車両用信号機において、第1の道路の車両用信号機が青から赤に変化するのに同期して、第2の道路の車両用信号機が赤から青に変化する交差点を指している。また、「通常の信号スケジュールで交通整理を行う交差点」とは、交差点において交差する2つの道路(第1の道路、第2の道路)のそれぞれに設けられた歩行者用信号機において、第1の道路の歩行者用信号機が青から赤に変化するのに同期して、第2の道路の歩行者用信号機が赤から青に変化する交差点を指している。走行制御部31は、例えば、交道路地図DB41に含まれる交差点CLの情報に基づいて、交差点CLが通常の信号スケジュールで交通整理を行う交差点であるか否かを判定する。
【0067】
走行制御部31は、交差点CLが通常の信号スケジュールで交通整理を行う交差点ではないと判定した場合(ステップS103;N)、取得した各種データおよび各種制御信号に基づいて、交差点CLの手前で車両100aの前方に他の車両が存在しない(つまり、車両100aが車列の先頭にいる)か否かを判定する(ステップS104)。走行制御部31は、例えば、画像データDbに基づいて、車両100aの前方に他の車両が存在するか否かを検出する。
【0068】
走行制御部31は、車両100aが車列の先頭にいると判定した場合(ステップS104;Y)、取得した各種データおよび各種制御信号に基づいて、車両100aのドライバによる誤認可能性(誤認割合R)を算出する(ステップS105)。走行制御部31は、算出した誤認可能性(誤認割合R)の大きさに応じて、車両100aのドライバに対する報知、および車両100aの制動の少なくとも1つを制御する(ステップS106)。
【0069】
走行制御部31は、この運転支援を終了しない場合(ステップS107;N)、ステップS101に戻る。このようにして、図1の交通状況における車両1の運転支援が実行される。
【0070】
[効果]
次に、車両1の効果について説明する。
【0071】
本実施の形態では、信号機TLbの点灯状態の変化に伴って、車両100aが、信号機TLaの提示に反して交差点CLに進入を開始する可能性が判断され、これにより得られた可能性の大きさに応じて、報知および制動の少なくとも1つが制御される。これにより、車両100aのドライバが、車両100aの前方をよく見ず、よそ見をしていた結果、車両100aを誤って交差点CLに進入させてしまう前に、車両100aのドライバに対して報知をしたり、車両100aに対して制動を行ったりすることが可能となる。
【0072】
本実施の形態では、車両1のドライバの視線もしくは顔の向きに基づいて、車両100aが、信号機TLaの提示に反して交差点CLに進入を開始する可能性が判断される。これにより、車両100aのドライバが、車両100aの前方をよく見ず、よそ見をしていた結果、車両100aを誤って交差点CLに進入させてしまう前に、車両100aのドライバに対して報知をしたり、車両100aに対して制動を行ったりすることが可能となる。
【0073】
本実施の形態では、信号機TLbの点灯状態の変化に伴って、車両100bが交差路CLの手前で減速しているか、または停車する交通状況の時に、車両100aのドライバの視線もしくは顔の向きが車両100bの方向を向いているときは、車両100aが、信号機TLaの提示に反して交差点CLに進入を開始する可能性が大きいと判断される。これにより、これにより、車両100aのドライバが、車両100aの前方をよく見ず、車両100bの動きに気を取られていた結果、車両100aを誤って交差点CLに進入させてしまう前に、車両100aのドライバに対して報知をしたり、車両100aに対して制動を行ったりすることが可能となる。
【0074】
本実施の形態では、車両100aの、交差点CLの通過履歴に基づいて、車両100aが、信号機TLaの提示に反して交差点CLに進入を開始する可能性が判断される。これにより、これにより、車両100aのドライバが、交差点CLにおける交通整理の特徴に慣れていない結果、車両100aを誤って交差点CLに進入させてしまう前に、車両100aのドライバに対して報知をしたり、車両100aに対して制動を行ったりすることが可能となる。
【0075】
<3.第1の実施の形態の変形例>
次に、第1の実施の形態の変形例に係る車両1について説明する。
【0076】
車両100aのドライバが、信号機TLaの点灯状態の変化が生じたと誤認し得る交通状況としては、他にも、例えば、図4図5図6図7に示した交通状況が挙げられる。図4図5図6図75は、車両100aのドライバによる誤認が生じ得る交通状況の他の例を表したものである。
【0077】
[変形例A]
図4は、誤認が生じ得る交通状況の一例を表したものである。図4では、車両100aのドライバは、信号機TLaを注視しておらず、信号機TLbの点灯状態の変化を眺めている。つまり、車両100aのドライバは、車両前方をよく見ておらず、よそ見をしている。車両100aのドライバは、信号機TLbの点灯状態の変化を見て、信号機TLaがそろそろ、信号機TLbが交差点CLへの進入を禁止する状態(赤信号)から交差点CLへの進入を許可する状態(青信号)に変化すると錯覚する。その結果、車両100aのドライバは、このような信号機TLaの点灯状態の変化が生じたと誤認して、車両100aを発進させようとする。つまり、車両100aが、信号機TLaの提示に反して交差点CLに進入を開始しようとする。
【0078】
図4に記載の交通状況において、誤認判定部33は、信号機TLbの点灯状態の変化に伴って車両100aが信号機TLaの提示に反して交差点CLに進入を開始する可能性を判断することが可能となっている。誤認判定部33は、信号機TLbの点灯状態の変化を検出した時(状態変化データDhが得られた時)に、視線データDaから得られる車両100aのドライバの視線もしくは顔の向きが信号機TLbの方向を向いているときは、上記可能性が大きいと判断することが可能となっている。誤認判定部33は、例えば、信号機TLbの点灯状態が変化している間(例えば、信号機TLbが青信号から黄信号となり、黄信号から赤信号となる間)に、車両100aのドライバの視線もしくは顔の向きが信号機TLbの方向を向いているときは、上記可能性が大きいと判断することが可能となっている。誤認判定部33は、例えば、信号機TLbの点灯状態が変化している間に、車両100aのドライバの視線もしくは顔の向きが信号機TLbの方向を向いている時間の大きさに応じて、上記可能性の大きさを判断することが可能となっている。
【0079】
このような交通状況においても、上記実施の形態と同様に、信号機TLbの点灯状態の変化に伴って、車両100aが、信号機TLaの提示に反して交差点CLに進入を開始する可能性が判断され、これにより得られた可能性の大きさに応じて、報知および制動の少なくとも1つが制御される。これにより、車両100aのドライバが、車両100aの前方をよく見ず、よそ見をしていた結果、車両100aを誤って交差点CLに進入させてしまう前に、車両100aのドライバに対して報知をしたり、車両100aに対して制動を行ったりすることが可能となる。
【0080】
[変形例B]
図5は、誤認が生じ得る交通状況の一例を表したものである。図5では、横断歩道CWbを横断する歩行者100cおよび自転車運転者100d用の信号機TLcが交差点CLに設けられている。歩行者用の信号機TLcは、信号機TLbの点灯状態の変化に同期して、信号機TLcが横断歩道CWbへの進入を禁止する状態(赤信号)から横断歩道CWbへの進入を許可する状態(青信号)に変化する。歩行者100cおよび自転車運転者100dは、このような信号機TLbcの点灯状態の変化を見て、横断歩道CWbへの進入を開始する。車両100aのドライバは、信号機TLaを注視しておらず、歩行者100cおよび自転車運転者100dの動き(横断歩道CWbへの進入の開始)を眺めている。つまり、車両100aのドライバは、車両前方をよく見ておらず、よそ見をしている。車両100aのドライバは、歩行者100cおよび自転車運転者100dの動きを見て、信号機TLaが、信号機TLbが交差点CLへの進入を禁止する状態(赤信号)から交差点CLへの進入を許可する状態(青信号)に変化したと錯覚する。その結果、車両100aのドライバは、このような信号機TLaの点灯状態の変化が生じたと誤認して、車両100aを発進させようとする。つまり、車両100aが、信号機TLaの提示に反して交差点CLに進入を開始しようとする。
【0081】
図5に記載の交通状況において、データ取得部32は、取得した各種データおよび各種制御信号に基づいて、下記の点灯状態データDj、下記の歩行者データDkおよび視線データDaを取得することが可能となっている。データ取得部32は、さらに、記憶部40の通過履歴データ42から、車両100aの前方の交差点CLの通過履歴データDgを読み出すことが可能となっている。下記の符合は、図5に記載の符合に対応している。点灯状態データDjが、本開示の「第1のデータ」の一具体例に相当する。視線データDaが、本開示の「第2のデータ」の一具体例に相当する。歩行者データDkが、本開示の「第4のデータ」の一具体例に相当する。交通参加者データDfが、本開示の「第6のデータ」の一具体例に相当する。
【0082】
(点灯状態データDj)
点灯状態データDjは、停車している車両100aの前方の交差点CLに設置された複数の信号機(例えば、信号機TLa,TLb,TLc)の点灯状態についてのデータである。点灯状態データDjは、交差点CLの手前で車両100aの前方に他の車両が存在しないとき(つまり、車両100aが車列の先頭にいるとき)の、交差点CLに設置された複数の信号機(例えば、信号機TLa,TLb,TLc)の点灯状態についてのデータである。信号機TLaが、本開示の「第1の信号機」の一具体例に相当する。信号機TLcが、本開示の「第2の信号機」の一具体例に相当する。
【0083】
(歩行者データDk)
歩行者データDkは、交差点CL付近に存在する歩行者100cおよび自転車運転者100dについてのデータであり、例えば、交差点CL付近に存在する歩行者100cおよび自転車運転者100dの位置および速度についてのデータである。
【0084】
誤認判定部33は、点灯状態データDjに基づいて、信号機TLcの点灯状態の変化を検出することが可能となっている。「信号機TLcの点灯状態の変化」とは、信号機TLcが横断歩道CWbへの進入を禁止する状態(赤信号)から横断歩道CWbへの進入を許可する状態(青信号)に変化することを指している。以下では、点灯状態データDjに基づいた、信号機TLcの点灯状態の変化についてのデータを、状態変化データDlと称する。
【0085】
誤認判定部33は、信号機TLcの点灯状態が変化に伴って車両100aが信号機TLaの提示に反して交差点CLに進入を開始する可能性を判断することが可能となっている。誤認判定部33は、信号機TLcの点灯状態の変化を検出した時(状態変化データDlが得られた時)に、視線データDaから得られる車両100aのドライバの視線もしくは顔の向きに基づいて、上記可能性を判断することが可能となっている。
【0086】
誤認判定部33は、信号機TLcの点灯状態の変化を検出した時(状態変化データDlが得られた時)に、視線データDaから得られる車両100aのドライバの視線もしくは顔の向きが歩行者100cおよび自転車運転者100dの方向を向いているときは、上記可能性が大きいと判断することが可能となっている。誤認判定部33は、例えば、信号機TLcの点灯状態が変化している間(例えば、信号機TLcが横断歩道CWbへの進入を禁止する状態(赤信号)から横断歩道CWbへの進入を許可する状態(青信号)に変化している間)に、車両100aのドライバの視線もしくは顔の向きが歩行者100cおよび自転車運転者100dの方向を向いているときは、上記可能性が大きいと判断することが可能となっている。誤認判定部33は、例えば、信号機TLcの点灯状態が変化している間のうち、車両100aのドライバの視線もしくは顔の向きが歩行者100cおよび自転車運転者100dの方向を向いている時間の大きさに応じて、上記可能性の大きさを判断することが可能となっている。
【0087】
図5に記載の交通状況においても、上記実施の形態と同様に、信号機TLcの点灯状態の変化に伴って、車両100aが、信号機TLaの提示に反して交差点CLに進入を開始する可能性が判断され、これにより得られた可能性の大きさに応じて、報知および制動の少なくとも1つが制御される。これにより、車両100aのドライバが、車両100aの前方をよく見ず、よそ見をしていた結果、車両100aを誤って交差点CLに進入させてしまう前に、車両100aのドライバに対して報知をしたり、車両100aに対して制動を行ったりすることが可能となる。
【0088】
[変形例C]
図6は、誤認が生じ得る交通状況の一例を表したものである。図6では、横断歩道CWbを横断する歩行者100cおよび自転車運転者100d用の信号機TLcが交差点CLに設けられている。歩行者用の信号機TLcは、信号機TLbの点灯状態の変化に同期して、信号機TLcが横断歩道CWbへの進入を禁止する状態(赤信号)から横断歩道CWbへの進入を許可する状態(青信号)に変化する。歩行者100cおよび自転車運転者100dは、このような信号機TLbcの点灯状態の変化を見て、横断歩道CWbへの進入を開始する。車両100aのドライバは、信号機TLaを注視しておらず、信号機TLbcの点灯状態の変化を眺めている。つまり、車両100aのドライバは、車両前方をよく見ておらず、よそ見をしている。車両100aのドライバは、信号機TLbcの点灯状態の変化を見て、信号機TLaが、信号機TLbが交差点CLへの進入を禁止する状態(赤信号)から交差点CLへの進入を許可する状態(青信号)に変化したと錯覚する。その結果、車両100aのドライバは、このような信号機TLaの点灯状態の変化が生じたと誤認して、車両100aを発進させようとする。つまり、車両100aが、信号機TLaの提示に反して交差点CLに進入を開始しようとする。
【0089】
誤認判定部33は、点灯状態データDjに基づいて、信号機TLcの点灯状態の変化を検出することが可能となっている。「信号機TLcの点灯状態の変化」とは、信号機TLcが横断歩道CWbへの進入を禁止する状態(赤信号)から横断歩道CWbへの進入を許可する状態(青信号)に変化することを指している。以下では、点灯状態データDjに基づいた、信号機TLcの点灯状態の変化についてのデータを、状態変化データDlと称する。
【0090】
誤認判定部33は、信号機TLcの点灯状態が変化に伴って車両100aが信号機TLaの提示に反して交差点CLに進入を開始する可能性を判断することが可能となっている。誤認判定部33は、信号機TLcの点灯状態の変化を検出した時(状態変化データDlが得られた時)に、視線データDaから得られる車両100aのドライバの視線もしくは顔の向きに基づいて、上記可能性を判断することが可能となっている。
【0091】
誤認判定部33は、信号機TLcの点灯状態の変化を検出した時(状態変化データDlが得られた時)に、視線データDaから得られる車両100aのドライバの視線もしくは顔の向きが信号機TLcの方向を向いているときは、上記可能性が大きいと判断することが可能となっている。誤認判定部33は、例えば、信号機TLcの点灯状態が変化している間(例えば、信号機TLcが横断歩道CWbへの進入を禁止する状態(赤信号)から横断歩道CWbへの進入を許可する状態(青信号)に変化している間)に、車両100aのドライバの視線もしくは顔の向きが信号機TLcの方向を向いているときは、上記可能性が大きいと判断することが可能となっている。誤認判定部33は、例えば、信号機TLcの点灯状態が変化している間に、車両100aのドライバの視線もしくは顔の向きが信号機TLcの方向を向いている時間の大きさに応じて、上記可能性の大きさを判断することが可能となっている。
【0092】
図6に記載の交通状況においても、上記実施の形態と同様に、信号機TLcの点灯状態の変化に伴って、車両100aが、信号機TLaの提示に反して交差点CLに進入を開始する可能性が判断され、これにより得られた可能性の大きさに応じて、報知および制動の少なくとも1つが制御される。これにより、車両100aのドライバが、車両100aの前方をよく見ず、よそ見をしていた結果、車両100aを誤って交差点CLに進入させてしまう前に、車両100aのドライバに対して報知をしたり、車両100aに対して制動を行ったりすることが可能となる。
【0093】
[変形例D]
図7は、誤認が生じ得る交通状況の一例を表したものである。図7では、車両(自車両)100aは、片側2車線の道路Lcを走行しているものとする。道路Lcは、車両100aが走行している走行車線Lc1と、走行方向が走行車線La1と同一であって、かつ車両100eが走行している走行車線Lc2と、中央線を介して走行車線Lc2に沿って設けられた2つの対向車線Lc3,Lc4とにより構成されている。対向車線Lc3には、車両100fが車両100aの走行方向とは反対方向に走行しており、対向車線Lc4には、車両100gが車両100aの走行方向とは反対方向に走行している。道路Lcには、車両100a,100eの前方および車両100f,100gの前方において、交差点CLが設けられている。道路Lcは、交差点CLにおいて道路Lbと交差している。道路Lbは、走行車線Lb1および対向車線Lb2により構成されている。
【0094】
道路Lcには、車両100a,100eとの関係で交差点CLの手前に横断歩道CWaと車両用の信号機TLc3,TLc4が設けられており、車両100a,100eとの関係で交差点CLの奥に横断歩道CWaと車両用の信号機TLc1,TLc2が設けられている。
【0095】
信号機TLc1,TLc2,TLc3,TLc4が交差点CLへの進入を禁止する状態(赤信号)となっている。さらに、信号機TLbが交差点CLへの進入を禁止する状態(赤信号)となっている。車両100a,100b,100f,100gは、減速しながら交差点CLに近づき、停止線の手前で停止する。その後、信号機TLc2,TLc3が交差点CLへの進入を禁止する状態(赤信号)から交差点CLへの進入を許可する状態(青信号)に変化する。車両100e,100fは、このような信号機TLc2,TLc3の点灯状態の変化に伴って、交差路CLへの進入を開始する。このとき、車両100aのドライバは、信号機TLc1を注視しておらず、車両100eが発進を開始する様子を眺めている。つまり、車両100aのドライバは、車両前方をよく見ておらず、よそ見をしている。車両100aのドライバは、車両100eが発進を開始する様子を見て、信号機TLc1が交差点CLへの進入を禁止する状態(赤信号)から交差点CLへの進入を許可する状態(青信号)に変化したと錯覚する。その結果、車両100aのドライバは、このような信号機TLc1の点灯状態の変化が生じたと誤認して、車両100aを発進させようとする。つまり、車両100aが、信号機TLc1の提示に反して交差点CLに進入を開始しようとする。
【0096】
図7に記載の交通状況において、データ取得部32は、取得した各種データおよび各種制御信号に基づいて、下記の点灯状態データDm、下記の他車両データDn、および上記の視線データDaを取得することが可能となっている。データ取得部32は、さらに、記憶部40の通過履歴データ42から、車両100aの前方の交差点CLの通過履歴データDgを読み出すことが可能となっている。下記の符合は、図7に記載の符合に対応している。点灯状態データDmが、本開示の「第1のデータ」の一具体例に相当する。他車両データDnが、本開示の「第5のデータ」の一具体例に相当する。視線データDaが、本開示の「第2のデータ」の一具体例に相当する。交通参加者データDfが、本開示の「第6のデータ」の一具体例に相当する。
【0097】
(点灯状態データDm)
点灯状態データDmは、停車している車両100aの前方の交差点CLに設置された複数の信号機(例えば、信号機TLc1~TLc4)の点灯状態についてのデータである。点灯状態データDmは、交差点CLの手前で車両100aの前方に他の車両が存在しないとき(つまり、車両100aが車列の先頭にいるとき)の、交差点CLに設置された複数の信号機(例えば、信号機TLc1~TLc4)の点灯状態についてのデータである。信号機TLc1が、本開示の「第1の信号機」の一具体例に相当する。信号機TLc2が、本開示の「第2の信号機」の一具体例に相当する。
【0098】
(他車両データDn)
他車両データDnは、走行車線Lc2に存在する車両100eについてのデータであり、例えば、走行車線Lc2に存在する車両100eの位置および速度についてのデータである。
【0099】
誤認判定部33は、点灯状態データDmに基づいて、信号機TLc2,TLc3の点灯状態の変化を検出することが可能となっている。「信号機TLc2,TLc3の点灯状態の変化」とは、信号機TLc2,TLc3が交差点CLへの進入を禁止する状態(赤信号)から交差点CLへの進入を許可する状態(青信号)に変化することを指している。以下では、点灯状態データDmに基づいた、信号機TLc2,TLc3の点灯状態の変化についてのデータを、状態変化データDoと称する。
【0100】
誤認判定部33は、信号機TLc2,TLc3の点灯状態が変化に伴って車両100aが信号機TLc1の提示に反して交差点CLに進入を開始する可能性を判断することが可能となっている。誤認判定部33は、信号機TLc2,TLc3の点灯状態の変化を検出した時(状態変化データDoが得られた時)に、視線データDaから得られる車両100aのドライバの視線もしくは顔の向きに基づいて、上記可能性を判断することが可能となっている。
【0101】
誤認判定部33は、信号機TLc2,TLc3の点灯状態の変化を検出した時(状態変化データDoが得られた時)に、視線データDaから得られる車両100aのドライバの視線もしくは顔の向きが車両100eの方向を向いているときは、上記可能性が大きいと判断することが可能となっている。誤認判定部33は、例えば、信号機TLc2,TLc3の点灯状態が変化した時(例えば、信号機TLc2,TLcが赤信号から青信号となった時)、および、信号機TLc2,TLc3の点灯状態の変化が完了した後所定の期間(例えば、信号機TLc2,TLc3が青信号となってから所定の期間)に、車両100aのドライバの視線もしくは顔の向きが車両100eの方向を向いているときは、上記可能性が大きいと判断することが可能となっている。誤認判定部33は、例えば、信号機TLc2,TLc3の点灯状態が変化した時、および信号機TLc2,TLc3の点灯状態の変化が完了した後所定の期間に、車両100aのドライバの視線もしくは顔の向きが車両100eの方向を向いている時間の大きさに応じて、上記可能性の大きさを判断することが可能となっている。
【0102】
図7に記載の交通状況においても、上記実施の形態と同様に、信号機TLc2,TLc3の点灯状態の変化に伴って、車両100aが、信号機TLc1の提示に反して交差点CLに進入を開始する可能性が判断され、これにより得られた可能性の大きさに応じて、報知および制動の少なくとも1つが制御される。これにより、車両100aのドライバが、車両100aの前方をよく見ず、よそ見をしていた結果、車両100aを誤って交差点CLに進入させてしまう前に、車両100aのドライバに対して報知をしたり、車両100aに対して制動を行ったりすることが可能となる。
【0103】
<4.第2の実施の形態>
[構成例]
次に、本開示の第2の実施の形態に係る車両2について説明する。以下では、第1の実施の形態に係る車両1おける各構成要素に付与した符合と共通の符合の構成要素についての説明を適宜、省略するものとする。
【0104】
図8は、誤認が生じ得る交通状況の一例を表したものである。図8では、横断歩道CWbを横断する交通参加者用の信号機TLcが交差点CLに設けられている。信号機TLcは、信号機TLaおよび信号機TLbの点灯状態の変化に同期していない。信号機TLcは、信号機TLbが交差点CLへの進入を許可する状態(青信号)から交差点CLへの進入を禁止する状態(赤信号)に変化すると同時に、信号機TLaが交差点CLへの進入を禁止する状態(赤信号)から交差点CLへの進入を許可する状態(青信号)に変化した後、所定の間、横断歩道CWbへの進入を禁止する状態(赤信号)となっている。
【0105】
歩行者100cおよび自転車運転者100dは、車両100aから見て交差点CLの手前の歩道に存在している。歩行者100cおよび自転車運転者100dは、互いに近接した位置に存在している。歩行者100cは、例えば、交差点CLの手前で立ち止まっており、端末操作、読書または会話をしており、信号機TLcを注視していない。一方、自転車運転者100dは、交差点CLに向かって移動している。
【0106】
歩行者100cは、信号機TLaまたは信号機TLbの点灯状態の変化を見て、信号機TLcが横断歩道CWbへの進入を禁止する状態(赤信号)から横断歩道CWbへの進入を許可する状態(青信号)に変化したと錯覚する。その結果、歩行者100cは、このような信号機TLcの点灯状態の変化が生じたと誤認して、横断歩道CWbへの進入を開始しようとする。つまり、歩行者100cが、信号機TLcの提示に反して横断歩道CWbに進入を開始しようとする。
【0107】
上述したような、歩行者100cによる誤認が生じ得る交通状況を、歩行者100cが横断歩道CWbに進入を開始する前に判別することができれば、車両100aが歩行者100cと衝突するのを避けるための報知や制動を確実に行うことが可能となる。そこで、本願発明者は、歩行者100cによる誤認が生じ得る交通状況を、歩行者100cが横断歩道CWbに進入を開始する前に判別し、車両100aのドライバに所定の報知を行ったり、車両100aが交差点CLに進入しようとしたときに車両100aの制動を行ったりすることの可能な技術を想起した。以下に、それを実現するための運転支援装置および車両について詳細に説明する。なお、上記の事例において、信号機TLcの点灯状態の変化を誤認する対象が、歩行者100cではなく、自転車運転者100dであってもよい。このときは、歩行者100cが、交差点CLに向かって移動している。
【0108】
図9は、車両2の概略構成例を表したものである。制御ユニット30が、本開示の「運転支援装置」の一具体例に相当する。車両2が、車両100aの一具体例に相当し、本開示の「車両」の一具体例に相当する。
【0109】
車両2は、原動機(エンジンまたはモータ)の駆動により走行することが可能となっている。車両2は、例えば、図9に示したように、センサ部10、通信部20、制御ユニット30、記憶部40、報知部50およびアクセルペダルモータ60を備える。記憶部40には、道路地図DB41が記憶されている。
【0110】
制御ユニット30は、例えば、図9に示したように、走行制御部31を有している。走行制御部31は、車両2の走行(例えば、アクセルペダル踏込み量)と、車両2の走行に関する報知とを制御することが可能となっている。走行制御部31は、例えば、図9に示したように、データ取得部32、誤認判定部37、支援決定部34、報知制御部35およびアクセルペダル制御部36を有している。
【0111】
データ取得部32は、センサ部10から得られた各種データ、通信部20を介して外部から得られた各種データ、および車両1の各種デバイス(例えば、方向指示器)に対する各種制御信号を取得することが可能となっている。データ取得部32は、取得した各種データおよび各種制御信号に基づいて、上記の点灯状態データDj、下記の歩行者データDk、および下記の視線データDpを取得することが可能となっている。下記の符合は、図8に記載の符合に対応している。点灯状態データDjが、本開示の「第1のデータ」の一具体例に相当する。歩行者データDkが、本開示の「第2のデータ」の一具体例に相当する。視線データDpが、本開示の「第3のデータ」の一具体例に相当する。
【0112】
(歩行者データDk)
歩行者データDkは、交差点CL付近に存在する歩行者100cおよび自転車運転者100dについてのデータであり、例えば、交差点CL付近に存在する歩行者100cおよび自転車運転者100dの位置および速度についてのデータや、交差点CL付近に存在する歩行者100cおよび自転車運転者100dの状態および動きについてのデータを含む。
【0113】
(視線データDp)
視線データDpは、歩行者100cおよび自転車運転者100dの視線もしくは顔の向きについてのデータである。ドライバ状態検出部は、カメラで得られた画像データに基づいて、歩行者100cおよび自転車運転者100dの視線もしくは顔の向きについてのデータ(視線データDp)を制御ユニット30に出力することが可能となっている。
【0114】
誤認判定部37は、点灯状態データDjに基づいて、信号機TLaの点灯状態の変化、または、信号機TLbの点灯状態の変化を検出することが可能となっている。「信号機TLaの点灯状態の変化」とは、信号機TLbが交差点CLへの進入を禁止する状態(赤信号)にから交差点CLへの進入を許可する状態(青信号)に変化することを指している。「信号機TLbの点灯状態の変化」とは、信号機TLbが交差点CLへの進入を許可する状態(青信号)から交差点CLへの進入を禁止する状態(赤信号)に変化することを指している。以下では、点灯状態データDjに基づいた、信号機TLaの点灯状態の変化、または、信号機TLbの点灯状態の変化についてのデータを、状態変化データDqと称する。
【0115】
誤認判定部37は、信号機TLaの点灯状態の変化、または、信号機TLbの点灯状態の変化を検出したとき(状態変化データDqが得られたとき)に、歩行者データDkに基づいて、信号機TLaもしくは信号機TLbの点灯状態の変化に伴って、歩行者100cが信号機TLcの提示に反して横断歩道CWbに進入を開始する可能性を判断することが可能となっている。誤認判定部37は、歩行者データDkに含まれる歩行者100cの状態および動きに基づいて、上記可能性を判断することが可能となっている。歩行者データDkにおいて、歩行者100cの動作として、端末操作、読書または会話等の、信号機TLcを見落とし易くする動作が含まれているとする。このとき、誤認判定部37は、上記可能性が大きいと判断することが可能となっている。
【0116】
誤認判定部37は、信号機TLaもしくは信号機TLbの点灯状態の変化を検出した時(状態変化データDqが得られた時)に、視線データDpから得られる歩行者100cの視線もしくは顔の向きに基づいて、上記可能性を判断することが可能となっている。誤認判定部37は、状態変化データDqが得られた時に、視線データDpから得られる歩行者100cの視線もしくは顔の向きが信号機TLaおよび信号機TLbの方向とは異なる方向を向いているときは、上記可能性が大きいと判断することが可能となっている。誤認判定部37は、例えば、信号機TLaもしくは信号機TLbの点灯状態が変化している間に、歩行者100cの視線もしくは顔の向きが信号機TLaおよび信号機TLbの方向とは異なる方向を向いているときは、上記可能性が大きいと判断することが可能となっている。誤認判定部37は、例えば、信号機TLaもしくは信号機TLbの点灯状態が変化している間に、歩行者100cの視線もしくは顔の向きが信号機TLaおよび信号機TLbの方向とは異なる方向を向いている時間の大きさに応じて、上記可能性の大きさを判断することが可能となっている。
【0117】
歩行者100cの視線もしくは顔の向きが信号機TLaおよび信号機TLbの方向とは異なる方向を向いているか否かの判断は、例えば、画像データDbから得られる、歩行者100cの顔もしくは視線の向きが信号機TLaおよび信号機TLbの方向を含む所定の視野角の範囲外にあるか否かによって行われる。誤認判定部37は、例えば、歩行者100cの顔もしくは視線の向きが上記の視野角の範囲外にあるとき、上記可能性が大きいと判断することが可能となっている。つまり、誤認判定部37は、車両100aが交差点CL手前(停止線手前)で停車しているときに、歩行者100cが信号機TLcを注視しておらず、長い時間よそ見をしているとき、上記可能性が大きいと判断することが可能となっている。
【0118】
誤認判定部37は、歩行者データDkに含まれる、歩行者100cの周囲の交通参加者(例えば、自転車運転者100d)の動きに基づいて、上記可能性を判断することが可能となっている。誤認判定部37は、例えば、自転車運転者100dが歩行者100cの近くで、交差点CLに向かって移動しているとき、上記可能性が大きいと判断することが可能となっている。
【0119】
誤認判定部37は、信号機TLaもしくは信号機TLbの点灯状態の変化に伴って歩行者100cが信号機TLcの提示に反して横断歩道CWbに進入を開始する可能性の大きさを数値(誤認割合R)で算出することが可能となっている。誤認判定部37は、例えば、以下の式(6)~式(9)を用いて、誤認割合Rを算出することが可能となっている。
【0120】
R=α’×Dsub×Msub+ε’…(6)
α’+ε’=1…(7)
Dsub=1 or 0…(8)
Msub=1/L…(9)
【0121】
Dsub:歩行者100cによる携帯端末所有の有無(有:1、無:0)
Msub:歩行者100cと自転車運転者100dとの距離(m)
α’:係数(0以上1以下の値)
ε’:補正値(0以上1以下の値)
【0122】
なお、信号機TLcの点灯状態の変化を誤認する対象が、自転車運転者100dとなっており、信号機TLcの点灯状態の変化を誤認する対象の近くを移動する交通参加者が歩行者100cとなっている場合には、式(6)~式(9)において、歩行者100cを自転車運転者100dと読み替えるとともに、自転車運転者100dを歩行者100cと読み替えるものとする。また、信号機TLcの点灯状態の変化を誤認する対象が、歩行者100cとなっており、信号機TLcの点灯状態の変化を誤認する対象の近くを移動する交通参加者が歩行者100cとは異なる歩行者である場合には、式(6)~式(9)において、自転車運転者100dを歩行者と読み替えるものとする。
【0123】
支援決定部34は、誤認判定部37で得られた誤認割合Rの大きさに基づいて、運転支援方法を決定することが可能となっている。支援決定部34は、誤認判定部37で得られた誤認割合Rの大きさに基づいて、車両100aのドライバに対する報知、および車両100aの制動の少なくとも1つを制御することが可能となっている。報知制御部35は、支援決定部34から入力される制御信号に従って、報知部50に報知を行わせることが可能となっている。アクセルペダル制御部36は、支援決定部34から入力される制御信号に従って、アクセルペダルの踏み込みを制限することが可能となっている。
【0124】
次に、図3を参照しつつ、図8の交通状況における車両2の運転支援手順について説明する。
【0125】
走行制御部31は、画像データDb等を含む各種データを取得する(ステップS101)。走行制御部31は、必要に応じて各種制御信号も取得する。続いて、走行制御部31は、取得した各種データおよび各種制御信号に基づいて、車両100a(自車両)の前方に交差点CLが存在するか否かを判定する(ステップS102)。走行制御部31は、例えば、画像データDbに基づいて、車両100aの前方の交差点CLを検出する。
【0126】
走行制御部31は、車両100aの前方に交差点CLが存在すると判定した場合(ステップS102;Y)、取得した各種データおよび各種制御信号に基づいて、交差点CLが通常の信号スケジュールで交通整理を行う交差点であるか否かを判定する(ステップS103)。走行制御部31は、例えば、交道路地図DB41に含まれる交差点CLの情報に基づいて、交差点CLが通常の信号スケジュールで交通整理を行う交差点であるか否かを判定する。
【0127】
走行制御部31は、交差点CLが通常の信号スケジュールで交通整理を行う交差点ではないと判定した場合(ステップS103;N)、取得した各種データおよび各種制御信号に基づいて、交差点CLの手前で車両100aの前方に他の車両が存在しない(つまり、車両100aが車列の先頭にいる)か否かを判定する(ステップS104)。走行制御部31は、例えば、画像データDbに基づいて、車両100aの前方に他の車両が存在するか否かを検出する。
【0128】
走行制御部31は、車両100aが車列の先頭にいると判定した場合(ステップS104;Y)、取得した各種データおよび各種制御信号に基づいて、歩行者100cによる誤認可能性(誤認割合R)を算出する(ステップS105)。走行制御部31は、算出した誤認可能性(誤認割合R)の大きさに応じて、車両100aのドライバに対する報知、および車両100aの制動の少なくとも1つを制御する(ステップS106)。
【0129】
走行制御部31は、この運転支援を終了しない場合(ステップS107;N)、ステップS101に戻る。このようにして、図8の交通状況における車両2の運転支援が実行される。
【0130】
[効果]
次に、車両2の効果について説明する。
【0131】
本実施の形態では、信号機TLaもしくは信号機TLbの点灯状態の変化に伴って、歩行者100cが、信号機TLcの提示に反して横断歩道CWbに進入を開始する可能性が判断され、これにより得られた可能性の大きさに応じて、報知および制動の少なくとも1つが制御される。これにより、歩行者100cが、信号機TLcをよく見ず、よそ見をしていた結果、誤って横断歩道CWbに進入してしまう前に、車両100aのドライバに対して報知をしたり、車両100aに対して制動を行ったりすることが可能となる。
【0132】
本実施の形態では、歩行者100cの動作に基づいて、歩行者100cが、信号機TLcの提示に反して横断歩道CWbに進入を開始する可能性が判断される。これにより、歩行者100cが、信号機TLcをよく見ず、よそ見をしていた結果、誤って横断歩道CWbに進入してしまう前に、車両100aのドライバに対して報知をしたり、車両100aに対して制動を行ったりすることが可能となる。
【0133】
本実施の形態では、歩行者100cの視線もしくは顔の向きに基づいて、歩行者100cが、信号機TLcの提示に反して横断歩道CWbに進入を開始する可能性が判断される。これにより、歩行者100cが、信号機TLcをよく見ず、よそ見をしていた結果、誤って横断歩道CWbに進入してしまう前に、車両100aのドライバに対して報知をしたり、車両100aに対して制動を行ったりすることが可能となる。
【0134】
本実施の形態では、歩行者100cの近くを移動する自転車運転者100dの動きに基づいて、歩行者100cが、信号機TLcの提示に反して横断歩道CWbに進入を開始する可能性が判断される。これにより、歩行者100cが、信号機TLcをよく見ず、自転車運転者100dの動きにつられた結果、誤って横断歩道CWbに進入してしまう前に、車両100aのドライバに対して報知をしたり、車両100aに対して制動を行ったりすることが可能となる。
【0135】
<5.第3の実施の形態>
[構成例]
次に、本開示の第3の実施の形態に係る車両3について説明する。以下では、第1の実施の形態に係る車両1おける各構成要素に付与した符合と共通の符合の構成要素についての説明を適宜、省略するものとする。
【0136】
図10は、交通状況の一例を表したものである。図10では、車両(自車両)100aは、片側2車線の道路Lcを走行しているものとする。道路Lcは、走行車線Lc1,Lc2と、対向車線Lc3,Lc4とにより構成されている。道路Lcには、車両100a,100eの前方および車両100f,100gの前方において、交差点CLが設けられている。道路Lcは、交差点CLにおいて道路Lbと交差している。道路Lbは、走行車線Lb1および対向車線Lb2により構成されている。道路Lcには、車両100a,100eとの関係で交差点CLの手前に横断歩道CWaと車両用の信号機TLc3,TLc4が設けられており、車両100a,100eとの関係で交差点CLの奥に横断歩道CWaと車両用の信号機TLc1,TLc2が設けられている。
【0137】
信号機TLc1,TLc2,TLc3,TLc4が交差点CLへの進入を禁止する状態(赤信号)となっている。さらに、信号機TLbが交差点CLへの進入を禁止する状態(赤信号)となっている。車両100a,100b,100f,100gは、減速しながら交差点CLに近づき、停止線の手前で停止する。その後、信号機TLc1,TLc4が交差点CLへの進入を禁止する状態(赤信号)から交差点CLへの進入を許可する状態(青信号)に変化する。車両100a,100gは、このような信号機TLc1,TLc4の点灯状態の変化に伴って、交差路CLへの進入を開始しようとする。このとき、車両100fのドライバは、信号機TLc3を注視しておらず、車両100fに隣接する車両100gが発進を開始する様子を眺めている。つまり、車両100fのドライバは、車両前方をよく見ておらず、よそ見をしている。車両100fのドライバは、車両100gが発進を開始する様子を見て、信号機TLc3が交差点CLへの進入を禁止する状態(赤信号)から交差点CLへの進入を許可する状態(青信号)に変化したと錯覚する。その結果、車両100fのドライバは、このような信号機TLc3の点灯状態の変化が生じたと誤認して、車両100fを発進させようとする。つまり、車両100fが、信号機TLc3の提示に反して交差点CLに進入を開始しようとする。
【0138】
上述したような、車両100fによる誤認が生じ得る交通状況を、車両100fが交差点CLに進入を開始する前に判別することができれば、車両100aが車両100fと衝突するのを避けるための報知や制動を確実に行うことが可能となる。そこで、本願発明者は、車両100fによる誤認が生じ得る交通状況を、車両100fが交差点CLに進入を開始する前に判別し、車両100aのドライバに所定の報知を行ったり、車両100aが交差点CLに進入しようとしたときに車両100aの制動を行ったりすることの可能な技術を想起した。以下に、それを実現するための運転支援装置および車両について詳細に説明する。
【0139】
図11は、車両3の概略構成例を表したものである。制御ユニット30が、本開示の「運転支援装置」の一具体例に相当する。車両3が、車両100aの一具体例に相当し、本開示の「車両」の一具体例に相当する。
【0140】
車両3は、原動機(エンジンまたはモータ)の駆動により走行することが可能となっている。車両2は、例えば、図11に示したように、センサ部10、通信部20、制御ユニット30、記憶部40、報知部50およびアクセルペダルモータ60を備える。記憶部40には、道路地図DB41が記憶されている。
【0141】
制御ユニット30は、例えば、図11に示したように、走行制御部31を有している。走行制御部31は、車両3の走行(例えば、アクセルペダル踏込み量)と、車両3の走行に関する報知とを制御することが可能となっている。走行制御部31は、例えば、図11に示したように、データ取得部32、誤認判定部38、支援決定部34、報知制御部35およびアクセルペダル制御部36を有している。
【0142】
データ取得部32は、センサ部10から得られた各種データ、通信部20を介して外部から得られた各種データ、および車両3の各種デバイス(例えば、方向指示器)に対する各種制御信号を取得することが可能となっている。データ取得部32は、取得した各種データおよび各種制御信号に基づいて、点灯状態データDm、下記の他車両データDr、および下記の視線データDsを取得することが可能となっている。下記の符合は、図10に記載の符合に対応している。点灯状態データDmが、本開示の「第1のデータ」の一具体例に相当する。他車両データDrが、本開示の「第2のデータ」の一具体例に相当する。視線データDaが、本開示の「第3のデータ」の一具体例に相当する。
【0143】
(他車両データDr)
他車両データDnは、走行車線Lc3に存在する車両100fについてのデータであり、例えば、走行車線Lc3に存在する車両100fの位置および速度についてのデータである。
【0144】
(視線データDs)
視線データDpは、車両100fのドライバの視線もしくは顔の向きについてのデータである。ドライバ状態検出部は、カメラで得られた画像データに基づいて、車両100fのドライバの視線もしくは顔の向きについてのデータ(視線データDs)を制御ユニット30に出力することが可能となっている。
【0145】
誤認判定部33は、点灯状態データDmに基づいて、信号機TLc1,TLc4の点灯状態の変化を検出することが可能となっている。「信号機TLc1,TLc4の点灯状態の変化」とは、信号機TLc1,TLc4が交差点CLへの進入を禁止する状態(赤信号)にから交差点CLへの進入を許可する状態(青信号)に変化することを指している。以下では、点灯状態データDmに基づいた、信号機TLc1,TLc4の点灯状態の変化についてのデータを、状態変化データDtと称する。
【0146】
誤認判定部33は、信号機TLc1,TLc4の点灯状態の変化を検出したとき(状態変化データDtが得られたとき)に、他車両データDrに基づいて、信号機TLc1,TLc4の点灯状態の変化に伴って、車両100fが信号機TLc3の提示に反して交差点CLに進入を開始する可能性を判断することが可能となっている。誤認判定部33は、信号機TLc1,TLc4の点灯状態の変化を検出した時(状態変化データDtが得られた時)に、視線データDsから得られる車両100fのドライバの視線もしくは顔の向きに基づいて、上記可能性を判断することが可能となっている。
【0147】
誤認判定部33は、信号機TLc1,TLc4の点灯状態の変化を検出した時(状態変化データDtが得られた時)に、視線データDsから得られる車両100fのドライバの視線もしくは顔の向きが車両100gの方向を向いているときは、上記可能性が大きいと判断することが可能となっている。誤認判定部33は、例えば、信号機TLc1,TLc4の点灯状態が変化した時(例えば、信号機TLc1,TLc4が赤信号から青信号となった時)、および、信号機TLc1,TLc4の点灯状態の変化が完了した後所定の期間(例えば、信号機TLc1,TLc4が青信号となってから所定の期間)に、車両100fのドライバの視線もしくは顔の向きが車両100gの方向を向いているときは、上記可能性が大きいと判断することが可能となっている。誤認判定部33は、例えば、信号機TLc1,TLc4の点灯状態が変化した時、および信号機TLc1,TLc4の点灯状態の変化が完了した後所定の期間に、車両100fのドライバの視線もしくは顔の向きが車両100gの方向を向いている時間の大きさに応じて、上記可能性の大きさを判断することが可能となっている。
【0148】
誤認判定部33は、信号機TLc1,TLc4の点灯状態の変化に伴って車両100fが信号機TLc3の提示に反して交差点CLに進入を開始する可能性の大きさを数値(誤認割合R)で算出することが可能となっている。誤認判定部33は、例えば、以下の式(10)~式(13)を用いて、誤認割合Rを算出することが可能となっている。
【0149】
R=β’Uego×Lsub+ε’’…(10)
β’+ε’=1…(11)
Uego=1-(T3/T4)…(12)
Lsub=1/L…(13)
【0150】
Uego:車両100fのドライバによる信号機TLc3の目視割合(0以上1以下の値)
Lsub:車両100fと車両100gとの距離(m)
β’:係数(0以上1以下の値)
ε’’:補正値(0以上1以下の値)
T3:車両100fのドライバによる信号機TLc3の目視時間(s)
T4:車両100fが信号待ちのため停車している時間(s)
【0151】
支援決定部34は、誤認判定部33で得られた誤認割合Rの大きさに基づいて、運転支援方法を決定することが可能となっている。支援決定部34は、誤認判定部33で得られた誤認割合Rの大きさに基づいて、車両100aのドライバに対する報知、および車両100aの制動の少なくとも1つを制御することが可能となっている。報知制御部35は、支援決定部34から入力される制御信号に従って、報知部50に報知を行わせることが可能となっている。アクセルペダル制御部36は、支援決定部34から入力される制御信号に従って、アクセルペダルの踏み込みを制限することが可能となっている。
【0152】
次に、図3を参照しつつ、図10の交通状況における車両3の運転支援手順について説明する。
【0153】
走行制御部31は、画像データDb等を含む各種データを取得する(ステップS101)。走行制御部31は、必要に応じて各種制御信号も取得する。続いて、走行制御部31は、取得した各種データおよび各種制御信号に基づいて、車両100a(自車両)の前方に交差点CLが存在するか否かを判定する(ステップS102)。走行制御部31は、例えば、画像データDbに基づいて、車両100aの前方の交差点CLを検出する。
【0154】
走行制御部31は、車両100aの前方に交差点CLが存在すると判定した場合(ステップS102;Y)、取得した各種データおよび各種制御信号に基づいて、交差点CLが通常の信号スケジュールで交通整理を行う交差点であるか否かを判定する(ステップS103)。走行制御部31は、例えば、交道路地図DB41に含まれる交差点CLの情報に基づいて、交差点CLが通常の信号スケジュールで交通整理を行う交差点であるか否かを判定する。
【0155】
走行制御部31は、交差点CLが通常の信号スケジュールで交通整理を行う交差点ではないと判定した場合(ステップS103;N)、取得した各種データおよび各種制御信号に基づいて、交差点CLの手前で車両100aの前方に他の車両が存在しない(つまり、車両100aが車列の先頭にいる)か否かを判定する(ステップS104)。走行制御部31は、例えば、画像データDbに基づいて、車両100aの前方に他の車両が存在するか否かを検出する。
【0156】
走行制御部31は、車両100aが車列の先頭にいると判定した場合(ステップS104;Y)、取得した各種データおよび各種制御信号に基づいて、車両100fによる誤認可能性(誤認割合R)を算出する(ステップS105)。走行制御部31は、算出した誤認可能性(誤認割合R)の大きさに応じて、車両100aのドライバに対する報知、および車両100aの制動の少なくとも1つを制御する(ステップS106)。
【0157】
走行制御部31は、この運転支援を終了しない場合(ステップS107;N)、ステップS101に戻る。このようにして、図10の交通状況における車両3の運転支援が実行される。
【0158】
[効果]
次に、車両3の効果について説明する。
【0159】
本実施の形態では、信号機TLc1,TLc4の点灯状態の変化に伴って、車両100fが、信号機TLc3の提示に反して交差点CLに進入を開始する可能性が判断され、これにより得られた可能性の大きさに応じて、報知および制動の少なくとも1つが制御される。これにより、車両100fが、信号機TLc3をよく見ず、よそ見をしていた結果、誤って交差点CLに進入してしまう前に、車両100aのドライバに対して報知をしたり、車両100aに対して制動を行ったりすることが可能となる。
【0160】
本実施の形態では、車両100fの視線もしくは顔の向きに基づいて、車両100fが、信号機TLc3の提示に反して交差点CLに進入を開始する可能性が判断される。これにより、車両100fが、信号機TLc3をよく見ず、よそ見をしていた結果、誤って交差点CLに進入してしまう前に、車両100aのドライバに対して報知をしたり、車両100aに対して制動を行ったりすることが可能となる。
【0161】
なお、本明細書中に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、また、他の効果があってもよい。
【0162】
また、例えば、本開示は以下のような構成を取ることができる。
(1)
停車している車両の前方の交差点に設置された複数の信号機の点灯状態についての第1のデータを取得することの可能な取得部と、
前記第1のデータに基づいて、前記車両のドライバに対する報知、および前記車両の制動の少なくとも1つを制御することの可能な制御部と
を備え、
前記制御部は、
前記複数の信号機のうち、前記車両用の第1の信号機とは異なる第2の信号機の点灯状態の変化に伴って、前記車両が、前記第1の信号機の提示に反して前記交差点に進入を開始する可能性を判断することと、
前記可能性の大きさに応じて、前記報知および前記制動の少なくとも1つを制御することと
を実行することが可能となっている
運転支援装置。
(2)
前記取得部は、前記ドライバの視線もしくは顔の向きについての第2のデータを取得することが可能となっており、
前記制御部は、前記第2のデータから得られる前記ドライバの視線もしくは顔の向きに基づいて、前記可能性を判断することが可能となっている
(1)に記載の運転支援装置。
(3)
前記取得部は、前記第2の信号機が、前記交差点で交差する交差路を走行する交差車両用の信号機である場合であって、かつ前記第2の信号機の点灯状態の変化に伴って、前記交差路の手前において前記交差車両が減速しているか、または停車したことを示す第3のデータを取得することが可能となっており、
前記制御部は、前記第3のデータが得られた時に、前記ドライバの視線もしくは顔の向きが前記交差車両の方向を向いているときは、前記可能性が大きいと判断することが可能となっている
(2)に記載の運転支援装置。
(4)
前記制御部は、前記第2の信号機が、前記交差点で交差する交差路を走行する交差車両用の信号機である場合であって、かつ前記第2の信号機が前記交差点への進入を禁止する状態に変化した時に、前記ドライバの視線もしくは顔の向きが前記第2の信号機の方向を向いているときには、前記可能性が大きいと判断することが可能となっている
(2)に記載の運転支援装置。
(5)
前記取得部は、前記第2の信号機が、前記交差点で交差する交差路の横断歩道の手前に存在する前記歩行者もしくは前記軽車両用の信号機である場合であって、かつ前記第2の信号機の点灯状態の変化に伴って、前記歩行者もしくは前記軽車両が前記横断歩道を渡ろうとしていることを示す第4のデータを取得することが可能となっており、
前記制御部は、前記第4のデータが得られた時に、前記ドライバの視線もしくは顔の向きが前記歩行者もしくは前記軽車両の方向を向いているときは、前記可能性が大きいと判断することが可能となっている
(2)に記載の運転支援装置。
(6)
前記制御部は、前記第2の信号機が、前記交差点で交差する交差路の横断歩道を横断する前記歩行者もしくは前記軽車両のための信号機である場合であって、かつ前記ドライバの視線もしくは顔の向きが前記第2の信号機の方向を向いている時に、前記第2の信号機が前記横断歩道への進入を許可する状態に変化したときには、前記可能性が大きいと判断することが可能となっている
(2)に記載の運転支援装置。
(7)
前記取得部は、前記第2の信号機が、前記車両が走行する走行路と隣接する、前記車両と同一方向に進行する隣接車線を走行する隣接車両のための信号機である場合であって、かつ前記第2の信号機の点灯状態の変化に伴って、前記隣接車両が前記交差点に進入しようとしていることを示す第5のデータを取得することが可能となっており、
前記制御部は、前記第5のデータが得られた時に、前記ドライバの視線もしくは顔の向きが前記隣接車両の方向を向いているときは、前記可能性が大きいと判断することが可能となっている
(2)に記載の運転支援装置。
(8)
前記取得部は、前記車両の、前記交差点の通過履歴データを取得することが可能となっており、
前記制御部は、前記通過履歴データに基づいて前記可能性を判断することが可能となっている
(1)ないし(7)のいずれか1つに記載の運転支援装置。
(9)
停車している車両の前方の交差点に設置された複数の信号機の点灯状態についての第1のデータと、前記交差点に設けられた、前記交差点で交差する交差路の横断歩道の手前に存在する1または複数の歩行者もしくは自転車運転者についての第2のデータとを取得することの可能な取得部と、
前記第1のデータおよび前記第2のデータに基づいて、前記車両のドライバに対する報知、および前記車両の制動の少なくとも1つを制御することの可能な制御部と
を備え、
前記制御部は、
前記複数の信号機のうち、前記車両用の第1の信号機もしくは前記横断歩道を横断する交通参加者用の第2の信号機の点灯状態の変化に伴って、前記1または複数の歩行者もしくは自転車運転者のうち、少なくとも一の対象者が、前記第2の信号機の提示に反して前記横断歩道に進入を開始する可能性を判断することと、
前記可能性の大きさに応じて、前記報知および前記制動の少なくとも1つを制御することと
を実行することが可能となっている
運転支援装置。
(10)
前記制御部は、前記対象者の動作に基づいて前記可能性を判断することが可能となっている
(9)に記載の運転支援装置。
(11)
前記取得部は、前記対象者の視線もしくは顔の向きについての第3のデータを取得することが可能となっており、
前記制御部は、前記第3のデータから得られる前記対象者の視線もしくは顔の向きに基づいて、前記可能性を判断することが可能となっている
(9)または(10)に記載の運転支援装置。
(12)
前記制御部は、前記第2のデータに含まれる、前記対象者以外の前記歩行者もしくは前記自動車運転者の動きに基づいて、前記可能性を判断することが可能となっている
(9)ないし(11)のいずれか1つに記載の運転支援装置。
(13)
停車している車両の前方の交差点に設置された複数の信号機の点灯状態についての第1のデータと、前記交差点で交差する交差路における前記交差点付近で停車している1または複数の交差車両についての第2のデータとを取得することの可能な取得部と、
前記第1のデータおよび前記第2のデータに基づいて、前記車両のドライバに対する報知、および前記車両の制動の少なくとも1つを制御することの可能な制御部と
を備え、
前記制御部は、
前記複数の信号機のうち、前記車両用の第1の信号機とは異なる、前記交差車両用の第2の信号機の点灯状態の変化に伴って、前記1または複数の交差車両のうち、少なくとも一の対象車両が、前記第2の信号機の提示に反して前記交差点に進入を開始する可能性を判断することと、
前記可能性の大きさに応じて、前記報知および前記制動の少なくとも1つを制御することと
を実行することが可能となっている
運転支援装置。
(14)
前記取得部は、前記対象車両のドライバの視線もしくは顔の向きについての第3のデータを取得することが可能となっており、
前記制御部は、前記第3のデータから得られる前記ドライバの視線もしくは顔の向きに基づいて、前記可能性を判断することが可能となっている
(13)に記載の運転支援装置。
(15)
(1)ないし(14)のいずれか1つに記載の運転支援装置を備えた
車両。
【0163】
図1図8図10に示す制御ユニット30は、少なくとも1つのプロセッサ(例えば、中央演算処理装置(CPU))、少なくとも1つの特定用途向け集積回路(ASIC)および/または少なくとも1つのフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)等の、少なくとも1つの半導体集積回路を含む回路によって実施可能である。少なくとも1つのプロセッサは、少なくとも1つの非一時的かつ有形のコンピュータ可読媒体から指示を読み込むことによって、図1図8図10に示す制御ユニット30における各種機能のうちの全部または一部を実行するように構成可能である。そのような媒体は、ハードディスク等の各種磁気媒体、CDまたはDVD等の各種光媒体、揮発性メモリまたは不揮発性メモリ等の各種半導体メモリ(すなわち、半導体回路)を含む様々な形態をとり得るが、これらには限定されない。揮発性メモリは、DRAMおよびSRAMを含み得る。不揮発性メモリは、ROMおよびNVRAMを含み得る。ASICは、図1図8図10に示す制御ユニット30における各種機能のうちの全部または一部を実行するように特化された集積回路(IC)である。FPGAは、図1図8図10に示す制御ユニット30における各種機能のうちの全部または一部を実行するように、製造後に構成可能に設計された集積回路である。
【符号の説明】
【0164】
1,2,3…車両、10…センサ部、20…通信部、30…制御ユニット、31…走行制御部、32…データ取得部、33,37,38…誤認判定部、34…支援決定部、35…報知制御部、36…アクセルペダル制御部、40…記憶部、41…道路地図DB、42…通過履歴データ、50…報知部、60…アクセルペダルモータ、100a,100b,100e,100f,100g…車両,100c…歩行者、100d…自転車運転者、CL…交差点、CWa,CWb…横断歩道、Da…視線データ、Db…画像データ、Dc…距離画像データ、Dd…走行環境データ、De…点灯状態データ、Df…他車両データ、Dg…通過履歴データ、Dh…状態変化データ、Di…他車両データ、Dj…点灯状態データ、Dk…歩行者データ、Dl…状態変化データ、Dm…点灯状態データ、Dn…他車両データ、Do…状態変化データ、Dp…視線データ、Dq…状態変化データ、Dr…他車両データ、Ds…視線データ、La,Lb…道路、La1…走行車線、La2…対向車線、Lb1…走行車線、Lb2…対向車線、TLa,TLb,TLc,TLc1,TLc2,TLc3,TLc4…信号機。
図1
図2
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図11