IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アイホン株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-カメラシステム 図1
  • 特開-カメラシステム 図2
  • 特開-カメラシステム 図3
  • 特開-カメラシステム 図4
  • 特開-カメラシステム 図5
  • 特開-カメラシステム 図6
  • 特開-カメラシステム 図7
  • 特開-カメラシステム 図8
  • 特開-カメラシステム 図9
  • 特開-カメラシステム 図10
  • 特開-カメラシステム 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025152406
(43)【公開日】2025-10-09
(54)【発明の名称】カメラシステム
(51)【国際特許分類】
   G03B 17/56 20210101AFI20251002BHJP
   H04N 23/695 20230101ALI20251002BHJP
   H04N 23/50 20230101ALI20251002BHJP
【FI】
G03B17/56 B
H04N23/695
H04N23/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024054280
(22)【出願日】2024-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000100908
【氏名又は名称】アイホン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135127
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 正己
(72)【発明者】
【氏名】中尾 幸伸
(72)【発明者】
【氏名】水谷 行孝
(72)【発明者】
【氏名】大森 幹也
【テーマコード(参考)】
2H105
5C122
【Fターム(参考)】
2H105AA06
2H105EE21
5C122DA11
5C122EA59
5C122EA66
5C122FJ01
5C122FJ03
5C122FJ14
5C122GD04
5C122GE18
(57)【要約】
【課題】マイクの向きをカメラの撮像方向に合わせて変更することができるカメラシステムを提供する。
【解決手段】カメラとマイクとが内蔵された本体ケース10を備えたカメラ装置2と、スピーカが内蔵された本体ケース20を備えた通信装置3とを、少なくとも上下方向を軸とした回転動作が可能な角度調整機構部6により連結しているため、マイクの向きをカメラの撮像方向に合わせて変更することができ、カメラにより撮像された映像とマイクにより集音された音声や環境音とが一致しないという状況が起こらない。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラ、マイク、及びスピーカを備えているとともに、所定方向を軸とする回転動作によってカメラの撮像方向を調整することができるカメラシステムであって、
前記カメラと前記マイクとが備えられた第1のケースと、前記スピーカが備えられた第2のケースとを有するとともに、
前記第1のケースと前記第2のケースとが、前記所定方向を軸とした回転動作が可能な角度調整機構部により連結されていることを特徴とするカメラシステム。
【請求項2】
前記第1のケースに内蔵されている第1の基板と、前記第2のケースに内蔵されている第2の基板とを電気的に接続する接続ケーブルが、前記第1のケースから前記第2のケースにかけて前記角度調整機構部内を通して配されていることを特徴とする請求項1に記載のカメラシステム。
【請求項3】
前記第1のケース内と、前記第2のケース内と、前記角度調整機構部内との少なくとも何れか一箇所において、前記接続ケーブルがゴム若しくは合成樹脂製のケーブル保持部材に挿通され、前記ケーブル保持部材が所定の取付孔に差し込まれた状態で取り付けられているとともに、
前記ケーブル保持部材の周面に、前記ケーブル保持部材の周面と前記取付孔の内面との隙間を塞ぐ凸条部が設けられていることを特徴とする請求項2に記載のカメラシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラ、マイク、及びスピーカを備えたカメラシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、撮像方向を調整可能とされたカメラを有するカメラシステムには、マイク及びスピーカを備えることがある(たとえば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-164670号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のカメラシステムでは、カメラの撮像方向に合わせてマイクの向きが変わるというようなことがなく、カメラの撮像方向によってはカメラにより撮像された映像とマイクにより集音された音声や環境音とが一致しないという問題があった。また、従来のカメラシステムでは、マイクとスピーカとが同一のケース体に設けられているため、スピーカから発せられた音や声がケース体の内部を通ってマイクに伝わりやすいという問題もある。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みなされたものであって、マイクの向きをカメラの撮像方向に合わせて変更することができる上、スピーカから発せられた音や声がケース体の内部を通ってマイクに伝わりにくいカメラシステムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のうち請求項1に記載の発明は、カメラ、マイク、及びスピーカを備えているとともに、所定方向を軸とする回転動作によってカメラの撮像方向を調整することができるカメラシステムであって、カメラとマイクとが備えられた第1のケースと、スピーカが備えられた第2のケースとを有するとともに、第1のケースと第2のケースとが、所定方向を軸とした回転動作が可能な角度調整機構部により連結されていることを特徴とする。
本発明によれば、カメラとマイクとが備えられた第1のケースと、スピーカが備えられた第2のケースとを有するとともに、第1のケースと第2のケースとが、所定方向を軸とした回転動作が可能な角度調整機構部により連結されているため、マイクの向きをカメラの撮像方向に合わせて変更することができ、カメラにより撮像された映像とマイクにより集音された音声や環境音とが一致しないという状況が起こらない。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、第1のケースに内蔵されている第1の基板と、第2のケースに内蔵されている第2の基板とを電気的に接続する接続ケーブルが、第1のケースから第2のケースにかけて角度調整機構部内を通して配されていることを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、第1のケースに内蔵されている第1の基板と、第2のケースに内蔵されている第2の基板とを電気的に接続する接続ケーブルが、第1のケースから第2のケースにかけて角度調整機構部内を通して配されているため、接続ケーブルの外部への露出を減らすことができ、カメラの撮像角度の調整時に接続ケーブルが不用意に傷つく等の事態が起こりにくい。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、第1のケース内と、第2のケース内と、角度調整機構部内との少なくとも何れか一箇所において、接続ケーブルがゴム若しくは合成樹脂製のケーブル保持部材に挿通され、ケーブル保持部材が所定の取付孔に差し込まれた状態で取り付けられているとともに、ケーブル保持部材の周面に、ケーブル保持部材の周面と取付孔の内面との隙間を塞ぐ凸条部が設けられていることを特徴とする
請求項3に記載の発明によれば、第1のケース内と、第2のケース内と、角度調整機構部内との少なくとも何れか一箇所において、接続ケーブルがゴム若しくは合成樹脂製のケーブル保持部材に挿通され、ケーブル保持部材が所定の取付孔に差し込まれた状態で取り付けられているとともに、ケーブル保持部材の周面に、ケーブル保持部材の周面と取付孔の内面との隙間を塞ぐ凸条部が設けられているため、スピーカから発せられた音声が第2のケース内から角度調整機構部内を通って第1のケース内に達しにくくなっている。すなわち、スピーカから発せられた音声がマイクによる集音に影響を及ぼしにくいカメラシステムとすることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、カメラとマイクとが備えられた第1のケースと、スピーカが備えられた第2のケースとを有するとともに、第1のケースと第2のケースとを、所定方向を軸とした回転動作が可能な角度調整機構部により連結している。したがって、マイクの向きをカメラの撮像方向に合わせて変更することができ、カメラにより撮像された映像とマイクにより集音された音声や環境音とが一致しないという状況が起こらないカメラシステムとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】監視カメラの外観を示した斜視説明図である。
図2】化粧パネルが取り外されたカメラ装置の本体ケースを前側から示した説明図である。
図3】通信装置を前側から示した説明図である。
図4】化粧カバーが取り外された通信装置の本体ケースを前側から示した説明図である。
図5図4の状態にある本体ケースから後金具を分離した状態を前方左斜め上から示した斜視説明図である。
図6図5と同状態にある本体ケース及び後金具を前方左斜め下から示した斜視説明図である。
図7】分解状態にある後金具を前方左斜め上から示した斜視説明図である。
図8】分解状態にある後金具を前方左斜め下から示した斜視説明図である。
図9】分解状態にある後金具を前方右斜め下から示した斜視説明図である。
図10】連結金具を上側から示した説明図である。
図11】ケース保持部材を示した説明図であり、(a)は前側から、(b)は上側から夫々示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態となる監視カメラについて、図面にもとづき詳細に説明する。
【0012】
図1は、監視カメラ1の外観を示した斜視説明図である。図2は、化粧パネル13が取り外されたカメラ装置2の本体ケース10を前側から示した説明図である。図3は、通信装置3を前側から示した説明図である。図4は、化粧カバー23が取り外された通信装置3の本体ケース20を前側から示した説明図である。図5は、図4の状態にある本体ケース20から後金具30を分離した状態を前方左斜め上から示した斜視説明図である。図6は、図5と同状態にある本体ケース20及び後金具30を前方左斜め下から示した斜視説明図である。図7は、分解状態にある後金具30を前方左斜め上から示した斜視説明図である。図8は、分解状態にある後金具30を前方左斜め下から示した斜視説明図である。図9は、分解状態にある後金具30を前方右斜め下から示した斜視説明図である。図10は、連結金具34を上側から示した説明図である。図11は、ケース保持部材57を示した説明図であり、(a)は前側から、(b)は上側から夫々示している。
【0013】
監視カメラ1は、カメラ部4及びマイク部5を有するカメラ装置2と、スピーカ部7を有するとともに他の機器との間でカメラ部4が撮像した映像を送受信する通信装置3とを備えてなる。通信装置3は、カメラ装置2の後側に角度調整機構部6を介して連結されている。そして、通信装置3に対するカメラ装置2の姿勢、すなわちカメラの撮像方向は、角度調整機構部6における上下方向を軸とする回動及び左右方向を軸とする回動によって調整可能となっている。なお、このような監視カメラ1は、通信装置3の本体ケース20後面を壁面等の設置面側へ向け、カメラ装置2が通信装置3の前方に位置する状態で設置される。
【0014】
まず、カメラ装置2について説明する。
カメラ装置2は、略板状の前ケース11、前面に開口する箱状で、前ケース11の後側に組み付けられる後ケース12、及び前ケース11の前面を覆うように取り付けられる化粧パネル13を備えた本体ケース10を有してなる。前ケース11の前面上部には、本体ケース10に内蔵されるカメラ(図示せず)のレンズを露出させるためのカメラ窓14が、カメラ部4の一構成要素として設けられている。一方、前ケース11の前面下部には、本体ケース10に内蔵されるマイク(図示せず)へ音声を効率良く集音するための集音部15が、マイク部5の一構成要素として設けられている。さらに、本体ケース10の後面下部(後ケース12の後面下部)には、角度調整機構部6の一構成要素である前金具16がネジ止めされている。
【0015】
次に、通信装置3について説明する。
通信装置3は、後方へ開口する箱状の前ケース21、前ケース21の後面開口を塞ぐように組み付けられる後ケース(図示せず)、及び前ケース21の前面を覆うように取り付けられる化粧カバー23を備えた本体ケース20を有してなる。前ケース21の前面上部には、本体ケース20に内蔵されるスピーカ(図示せず)から発せられた音声を本体ケース20外へ報音させるためのスピーカ孔24が、スピーカ部7の一構成要素として設けられている。また、本体ケース20の下部には、壁側から延びる電源ケーブル(図示せず)や通信ケーブル(図示せず)を本体ケース20の前方へ引き出すための引き出し口25が開設されている。
【0016】
さらに、本体ケース20の底部には、角度調整機構部6の一構成要素であり、連結ネジ31によって前金具16と一体化される後金具30がネジ止めされている。そして、通信装置3からカメラ装置2にかけて、カメラ装置2の制御基板(図示せず)と、通信装置3の制御基板(図示せず)とを電気的に接続する接続ケーブル32が配線されており、当該接続ケーブル32は、本体ケース20から角度調整機構部6内、すなわち後金具30の内部と前金具16の内部とを通されて本体ケース10内に達している。
【0017】
後金具30は、本体ケース20にネジ止めされる保持金具33と、保持金具33に対して回転可能に保持される連結金具34とを有してなる。保持金具33は、前後方向が厚み方向となる板状の固定部35と、固定部35から前方へ突出する保持部36とを一体的に備えている。そして、固定部35の左右両端には、本体ケース20にネジ止めするための固定孔37、37と、本体ケース20への固定位置を位置決めするための位置決め孔38とが夫々設けられている。
【0018】
また、保持部36の上面には、上面視円形の収納凹部39が設けられており、該収納凹部39内には、連結金具34の軸部44を挿通状態で軸支するための軸支孔40が開設されている。該軸支孔40は、保持部36を上下方向に貫通しているとともに、収納凹部39と同心円状の円孔とされている。さらに、保持部36の下面で軸支孔40の近傍となる箇所には、連結金具34の回転可能な範囲を規制する規制ネジ41を下方から螺入可能な規制孔42が設けられている。
【0019】
一方、連結金具34は、上面視円板状の鍔部43と、鍔部43から上方へ突出する軸部44と、鍔部43から下方へ突出する連結部45とを一体的に備えている。軸部44は、上面視円形の凸部であり、外周面を軸支孔40内面に当接させた状態で軸支孔40内を挿通可能となっている。また、軸部44の上端面には、連結金具34を保持金具33に保持させるためのネジ46、46を上方から螺入可能な保持孔47、47と、上方へ突出していて後述する抜け止め板56を位置決めするガイドリブ48、48とが設けられている。
【0020】
鍔部43は、軸部44と同心円状の円板とされていて、該鍔部43の軸部44よりも外周寄りで、且つ、連結部45が設けられていない箇所には、規制ネジ41の軸部を遊挿可能な規制スリット49が開設されている。規制スリット49は、鍔部43を上下方向に貫通しているとともに、軸部44と同心円となる円周上に沿って延びている。また、鍔部43における軸部44よりも外周寄りとなる箇所で、規制スリット49と異なる位置には、水抜き孔50が開設されている。
【0021】
また、連結部45の周面における上面視で規制スリット49と重ならない箇所には、前金具16が連結される連結面51が設けられている。連結面51には、連結ネジ31を差し込み可能で、連結部45を水平方向に貫通するように設けられた連結孔52の一端が開口している。さらに、連結金具34には、軸部44の上端面と連結面51とに開口する一連の空間が形成されており、該空間が、接続ケーブル32を配線するための配線空間53となる。
【0022】
そして、上記保持金具33と連結金具34とは以下のようにして一体化され、後金具30が組み立てられる。
まず保持金具33における保持部36の下側から、連結金具34の軸部44を軸支孔40に挿通させ、軸部44の上端側を収納凹部39内へ突出させる。次に収納凹部39内において合成樹脂製の保護リング54を配するとともに、保護リング54上にウェーブワッシャ55を配した後、抜け止め板56をネジ46、46によって軸部44の上端面にネジ止めする。最後に、連結金具34の下方から規制スリット49を介して規制孔42へと規制ネジ41をねじ込むことにより、保持金具33に対して連結金具34が軸部44を中心に回転可能に保持され、すなわち保持金具33と連結金具34とが一体化され、後金具30の組み立ては完了となる。
【0023】
なお、保護リング54とウェーブワッシャ55とは、軸支孔40よりも大径なリング体とされており、軸部44が保護リング54及びウェーブワッシャ55を貫通するような格好で収納凹部39内に配されることになる。また、抜け止め板56は、直径が軸部44よりも大径とされた円板状に成形されてなる。該抜け止め板56には、配線空間53の軸部44の上端面側の開口を露出可能な大開口60が設けられている。また、大開口60には、ガイドリブ48、48が差し込み可能となっており、上記軸部44へのネジ止め状態においては、ガイドリブ48、48の外周面が大開口60の開口縁に当接した状態となる。さらに、大開口60の開口縁から径方向外側へ切り込むようにして、ネジ46、46によるネジ止めを可能とするための切り欠き61、61が設けられている。したがって、抜け止め板56を軸部44の上端面にネジ止めすることにより、軸部44の軸支孔40からの抜け止めがなされる。
【0024】
また、連結金具34の重量に加えて、最終的には後金具30に連結されるカメラ装置2の重量により、ウェーブワッシャ55が、保護リング54と抜け止め板56とにより上下から挟持され押し潰された格好となる。したがって、上下方向を軸とする回転方向へ負荷がかけられていない状態では、カメラ装置2の重量により抜け止め板56と保持部36側との間に生じる摩擦力によって、保持金具33に対する連結金具34の回転姿勢はそのまま保持される。一方、一定以上の負荷がかけられると、保持金具33に対して連結金具34が軸部44を中心として回転する、すなわち保持金具33に対する連結金具34の回転姿勢が変更される。この際、ウェーブワッシャ55によって抜け止め板56と収納凹部39側(具体的には保護リング54)との間に隙間が生じることで上記摩擦力が軽減されているため、連結金具34の姿勢変更に必要な負荷は工具等を必要としない程度の負荷となる。ただし、そのような回転姿勢の変更は、規制ネジ41及び規制スリット49により所定範囲内に制限されている。すなわち、規制ネジ41が規制スリット49の一端に位置する第1の回転姿勢と、規制ネジ41が規制スリット49の他端に位置する第2の回転姿勢との間でのみ連結金具34の回転は許容される。
【0025】
また、上述したようにして組み立てられた後金具30の配線空間53に接続ケーブル32を配線する際には、軸部44の上端面の開口側において接続ケーブル32をケーブル保持部材57に通し、そのケーブル保持部材57を配線空間53の軸部44の上端面側の開口に取り付ける。ケーブル保持部材57は、前述の開口に差し込み可能なゴム製の栓状に成形され、自身を上下に貫通するように接続ケーブル32を挿通可能なケーブル挿通孔58が設けられている。また、ケーブル保持部材57の周面には、外方へ突出する凸条部59が周方向に沿って延設されている。したがって、ケーブル保持部材57を開口に差し込んだ際、凸条部59が弾性変形して開口からの不用意な脱落が防止される。また、当該凸条部59の箇所において、ケーブル保持部材57と配線空間53の内面とが密着するため、通信装置3のスピーカから発せられた音声が本体ケース20内から配線空間53内を通ってカメラ装置2側へ、ひいてはマイク部5に伝わってしまい、マイク部5の集音に影響を及ぼしてしまうという事態の軽減が図られる。
【0026】
さらに、上記後金具30(特に連結金具34の連結面51)に前金具16をネジ止めすることによって、カメラ装置2は、後金具30における連結金具34の上下方向を軸とした回転動作に伴い、通信装置3に対して上下方向を軸とした左右への回転姿勢を変更することができる。すなわち、カメラのパン角度及びマイクによる集音方向を調整することができる。
【0027】
以上のような構成を有する監視カメラ1によれば、カメラとマイクとが内蔵された本体ケース10を備えたカメラ装置2と、スピーカが内蔵された本体ケース20を備えた通信装置3とを、少なくとも上下方向を軸とした回転動作が可能な角度調整機構部6により連結しているため、マイクの向きをカメラの撮像方向に合わせて変更することができ、カメラにより撮像された映像とマイクにより集音された音声や環境音とが一致しないという状況が起こらない。
【0028】
また、カメラ装置2の制御基板と、通信装置3の制御基板とを電気的に接続する接続ケーブル32が、通信装置3の本体ケース20から角度調整機構部6内、すなわち後金具30の内部と前金具16の内部とを通されてカメラ装置2の本体ケース10内へと配されているため、接続ケーブル32の外部への露出を減らすことができる。したがって、カメラ装置2の回転姿勢を変更する際に、接続ケーブル32が周囲に触れたり角度調整機構部6に外部から干渉したりしにくく、接続ケーブル32が不用意に傷ついてしまうような事態が起こりにくい。
【0029】
さらに、角度調整機構部6内において、接続ケーブル32がゴム製のケーブル保持部材57に挿通され、ケーブル保持部材57が連結金具34の配線空間53内に差し込まれた状態で取り付けられているとともに、ケーブル保持部材57の周面に、ケーブル保持部材57の周面と配線空間53の内面との隙間を塞ぐ凸条部59が設けられているため、スピーカから発せられた音声が通信装置3の本体ケース20から角度調整機構部6内を通ってカメラ装置2の本体ケース10内に達しにくくなっている。すなわち、スピーカから発せられた音声がマイクによる集音に影響を及ぼしにくい監視カメラ1とすることができる。
【0030】
なお、本発明に係るカメラシステムは、上記実施形態の態様に何ら限定されるものではなく、カメラシステムの全体的な構成は勿論、第1のケースと第2のケースとの連結に係る構成等についても、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、必要に応じて適宜変更することができる。
【0031】
たとえば、上記実施形態では、後金具において保持金具に連結金具を保持させるとともに、該連結金具に前金具を連結することによって角度調整機構部を構成しているが、角度調整機構部の構成はそのような構成に限定されることはなく、ギア等を用いた別の角度調整機構部を採用することも当然可能である。
また、上記実施形態では、角度調整機構部内を通して接続ケーブルを配線しているが、そのように角度調整機構部内を通さず、第1のケースと第2のケースとの間においては接続ケーブルが外部に露出するように配線しても何ら問題はない。
【0032】
さらに、上記実施形態では、接続ケーブルをケーブル保持部材に通しているが、そのようなケーブル保持部材を設けないとしてもよいし、角度調整機構部内ではなく第1のケース内や第2のケース内においてケーブル保持部材に通すようにしたり、複数箇所においてケーブル保持部材に通すようにしてもよい。さらにまた、上記実施形態では、ゴム製のケーブル保持部材を採用しているが、弾性を有する合成樹脂製のケーブル保持部材を採用可能であることは言うまでもない。
加えて、上記実施形態では、第2のケースを通信装置の本体ケースとしているが、スピーカさえ備えていれば第2のケースに通信機能をもたせずともよく、通信機能を有する別途第3のケースを設ける等しても何ら問題はない。
【符号の説明】
【0033】
1・・監視カメラ(カメラシステム)、2・・カメラ装置、3・・通信装置、4・・カメラ部、5・・マイク部、6・・角度調整機構部、7・・スピーカ部、10・・本体ケース(第1のケース)、16・・前金具、20・・本体ケース(第2のケース)、30・・後金具、32・・接続ケーブル、53・・配線空間(取付孔)、57・・ケーブル保持部材、59・・凸条部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11