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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025152677
(43)【公開日】2025-10-10
(54)【発明の名称】車両用ドア装置
(51)【国際特許分類】
   E05F 15/611 20150101AFI20251002BHJP
   B60J 5/10 20060101ALI20251002BHJP
【FI】
E05F15/611
B60J5/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024054690
(22)【出願日】2024-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】明石 成平
(72)【発明者】
【氏名】角谷 誠一
【テーマコード(参考)】
2E052
【Fターム(参考)】
2E052AA09
2E052CA06
2E052DA02
2E052DB02
2E052EA09
2E052EB01
2E052EC01
2E052GC07
2E052GD01
(57)【要約】
【課題】精度よく、ドアの開閉動作を行う。
【解決手段】ドア装置70は、車体2に設けられたドア開口部3を開閉するドア5の車幅方向端部5weに設けられたドア側矯正面81を有するドア側矯正部材71を備える。また、ドア装置70は、ドア開口部3に進入するドア5の閉動作に基づきドア側矯正面81に対向するドア開口側矯正面82を有してドア開口部3の車幅方向端部3weに設けられたドア開口側矯正部材72を備える。そして、ドア装置70においては、車体2に対するドア5の支持姿勢に応じてドア側矯正面81とドア開口側矯正面82とが摺接することにより、そのドア5の支持姿勢が矯正される。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に設けられたドア開口部を開閉するドアの車幅方向端部に設けられたドア側矯正面を有するドア側矯正部材と、
前記ドア開口部に進入する前記ドアの閉動作に基づき前記ドア側矯正面に対向するドア開口側矯正面を有して前記ドア開口部の車幅方向端部に設けられたドア開口側矯正部材と、を備え、
前記車体に対する前記ドアの支持姿勢に応じて前記ドア側矯正面と前記ドア開口側矯正面とが摺接することにより、前記支持姿勢が矯正される車両用ドア装置。
【請求項2】
前記ドア側矯正面と前記ドア開口側矯正面とが車幅方向に対向するとともに、前記ドア側矯正面及び前記ドア開口側矯正面の少なくとも何れか一方が、上下方向に開閉動作する前記ドアの閉動作に基づいた前記ドア開口部に対する前記ドアの進入方向に向かって車幅方向内側に先細りとなるテーパ面を有する請求項1に記載の車両用ドア装置。
【請求項3】
前記ドア側矯正部材及び前記ドア開口側矯正部材の一方が、上下方向に開閉動作する前記ドアの閉動作に基づいた前記ドア開口部に対する前記ドアの進入方向に沿って延在する係合溝を備えるとともに、
前記ドア側矯正部材及び前記ドア開口側矯正部材の他方が、前記ドアの閉動作に基づき前記係合溝内に進入する係合部材を備え、
前記係合溝の内面及び該内面に対向する前記係合部材の対向面が、前記ドア側矯正面及び前記ドア開口側矯正面を構成する請求項1に記載の車両用ドア装置。
【請求項4】
前記ドアは、車両後方に開口する前記ドア開口部を開閉するバックドアであるとともに、前記ドア開口部の車幅方向両側に設けられた四節リンク機構の動作に基づいて該四節リンク機構を介して前記車体に支持された前記ドアが上下方向に開閉動作する
請求項1~請求項3の何れか一項に記載の車両用ドア装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ドア装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のドアには、例えば、特許文献1に記載のバックドアのように、所謂跳ね上げ式の構成を有するものがある。即ち、一般に、車体の後端部に設けられた後方に開口するドア開口部を、リヤハッチや後部ハッチ、或いはリヤゲート等と呼称する。そして、このような車両後部のドア開口部に支持されたドアをバックドアと呼称する。
【0003】
また、跳ね上げ式のドアは、ドア開口部の上端部近傍に、その車体に対するドアの連結位置を有している。そして、この連結位置周りにドアが回動することで、開動作時、その下端部分が上方に持ち上がる態様で、このドアが開閉動作する構成になっている。
【0004】
更に、特許文献1には、ドア開口部の幅方向両側に設けられた一対の四節リンク機構を介して車体にドアを支持する構成が開示されている。そして、これにより、全閉位置近傍の開閉動作時、そのバックドアを構成するドアの移動軌跡が車両後方側に膨らみ難い構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008-195091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、車両のドアにおいては、その型式を問わず、質感の高さが求められる。このため、精度よく、その開閉動作を行うことが重要な課題となっている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る車両用ドア装置は、車体に設けられたドア開口部を開閉するドアの車幅方向端部に設けられたドア側矯正面を有するドア側矯正部材と、前記ドア開口部に進入する前記ドアの閉動作に基づき前記ドア側矯正面に対向するドア開口側矯正面を有して前記ドア開口部の車幅方向端部に設けられたドア開口側矯正部材と、を備え、前記車体に対する前記ドアの支持姿勢に応じて前記ドア側矯正面と前記ドア開口側矯正面とが摺接することにより、前記支持姿勢が矯正される。
【0008】
上記構成によれば、正しい支持姿勢でドアを全閉位置に配置することができる。その結果、精度よく、このドアを開閉動作させることができる。そして、これにより、ドアの質感を高めることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、精度よく、ドアの開閉動作を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、車両後部の斜視図である。
図2図2は、車両後部の斜視図である。
図3図3は、車両後部の側面図である。
図4図4は、車両後部の側面図である。
図5図5は、車両後部の側面図である。
図6図6は、車両後部の正面図である。
図7図7は、車両後部の正面図である。
図8図8は、ドア側矯正部材及びドア開口側矯正部材の側面図である。
図9図9は、ドアの幅方向端部に設けられたドア側矯正部材の説明図である。
図10図10は、ドア側矯正部材の正面図である。
図11図11は、ドア開口側矯正部材の正面図である。
図12図12は、ドア開口側矯正部材の背面図である。
図13図13は、係合溝及び係合部材、並びにストッパ部材の説明図である。
図14図14は、係合溝及び係合部材、並びにストッパ部材の斜視図である。
図15図15は、係合溝に対して係合部材の進入する方向から見た係合溝及び係合部材、並びにストッパ部材の平面図である。
図16図16は、別例の係合溝及び係合部材の平面図である。
図17図17は、別例の係合溝及び係合部材の説明図である。
図18図18は、別例の係合溝及び係合部材の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、車両用ドア装置を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
<バックドア>
図1図3に示すように、本実施形態の車両1は、車体2の後端2rに設けられた車両後方(図3中、右側)に開口するドア開口部3と、このドア開口部3を開閉するドア5と、を備えている。
【0012】
詳述すると、本実施形態の車両1においては、この車両1の幅方向、つまりは車幅方向が、これらのドア開口部3及びドア5の幅方向となっている。尚、「車幅方向」は「車両幅方向」と同義である。そして、ドア開口部3の幅方向については、その「開口幅方向」と言い換えることができる。
【0013】
また、本実施形態の車両1は、ドア開口部3の車幅方向両側に設けられた左右一対の四節リンク機構10,10を備えている。更に、本実施形態のドア5は、これらの四節リンク機構10,10を介して、その車幅方向両側が車体2に支持されている。そして、本実施形態の車両1においては、これにより、その四節リンク機構10,10の動作に基づいて、車両後端のドア開口部3に設けられたドア5が上下方向に開閉動作する。つまりは、その車両1のリヤハッチ13に設けられたバックドア15が上下方向に開閉動作する構成になっている。
【0014】
<四節リンク機構によるドアの支持構造>
図1図5に示すように、本実施形態の車両1において、各四節リンク機構10,10は、これらの各四節リンク機構10,10を構成する一対のリンク部材20,20として、それぞれ、メインリンク21及びサブリンク22を備えている。また、これらのメインリンク21及びサブリンク22は、それぞれ、車体2に対する回動連結点X1及びドア5に対する回動連結点X2を有している。更に、本実施形態の四節リンク機構10において、サブリンク22は、そのメインリンク21よりも短いショートリンクとしての構成を有している。そして、本実施形態の車両1においては、このサブリンク22よりも下方の位置において、そのメインリンク21が車体2にドア5を支持する構成になっている。
【0015】
詳述すると、図3図5に示すように、本実施形態の車両1において、サブリンク22は、ドア開口部3の上端部3aよりも上方の位置、詳しくは、車体2が車両1のルーフ23を形成する位置に、その車体2に対する回動連結点X1を有している。そして、本実施形態のサブリンク22は、ドア5の上端部5a近傍に、そのドア5に対する回動連結点X2を有している。
【0016】
一方、メインリンク21は、ドア開口部3の上端部3aよりも下方の位置に、その車体2に対する回動連結点X1を有している。そして、このメインリンク21は、ドア5に対するサブリンク22の回動連結点X2よりも下方の位置に、そのドア5に対する回動連結点X2を有している。
【0017】
具体的には、本実施形態の車両1は、バックドア15を構成するドア5が全閉位置P0にある場合に、このドア5に設けられたリヤウィドウ24が車両1の後方、斜め上方側(図3中、斜め右上方側)に臨む構成となっている。更に、このドア5は、そのリヤウィドウ24を構成する上側窓枠部25と、この上側窓枠部25の下端部分に連続して上下方向(各図中、上下方向)に延在する下側壁部26と、を有している。そして、本実施形態のメインリンク21は、このドア5における上側窓枠部25と下側壁部26との接続部分に、そのドア5に対する回動連結点X2を有している。
【0018】
更に、本実施形態の車両1においては、これらのメインリンク21及びサブリンク22が、それぞれ、その車体2に対する回動連結点X1周りに、各図中、反時計回り方向に回動することにより、その四節リンク機構10に支持されたドア5が開動作する。詳しくは、それぞれ、そのドア5に対する回動連結点X2周りの相対回動を伴いながら、これらのメインリンク21及びサブリンク22が車体2に対する回動連結点X1周りに回動する。そして、本実施形態の車両1は、これらのメインリンク21及びサブリンク22が、それぞれ、その車体2に対する回動連結点X1周りに、各図中、時計回り方向に回動することにより、その四節リンク機構10に支持されたドア5が閉動作する構成になっている。
【0019】
また、本実施形態の車両1においては、ドア5の上端部5a近傍を支持するサブリンク22がメインリンク21よりも短いショートリンクであることにより、ドア5の開動作時、その上端部5a側よりも下端部5b側が大きく上方に持ち上がる。そして、本実施形態の車両1は、これにより、そのバックドア15が所謂跳ね上げ式の構成を有するものとなっている。
【0020】
更に、本実施形態の車両1においては、ドア5の開動作時、サブリンク22に支持されたドア5の上端部5aが、そのサブリンク22の回動によって、ルーフ23の上方に引き上げられる。そして、本実施形態の車両1は、これにより、全閉位置P0近傍の開閉動作時、そのバックドア15を構成するドア5の移動軌跡Rが車両後方側(各図中、右側)に膨らみ難い構成となっている。
【0021】
<連結長可変機構>
また、図3図5に示すように、本実施形態の車両1において、四節リンク機構10のリンク部材20を構成するメインリンク21には、このメインリンク21における車体2とドア5との間の連結長Lを変更する連結長可変機構30が設けられている。即ち、本実施形態のメインリンク21は、この連結長可変機構30の動作に基づいて、その車体2に対する回動連結点X1とドア5に対する回動連結点X2との間の連結長Lが変化する。具体的には、この連結長可変機構30は、ドア5の開閉動作に伴い車体2に対する回動連結点X1回りにメインリンク21が回動する際、その回動位置に応じてメインリンク21の連結長Lを変更する機能を有している。そして、本実施形態の車両1は、これにより、全閉位置P0近傍の開閉動作時、より一層、そのバックドア15を構成するドア5の移動軌跡Rが車両後方側に膨らみ難い構成となっている。
【0022】
詳述すると、本実施形態の車両1においては、ドア5の開動作時、連結長可変機構30の動作に基づいて、そのドア5が全閉位置P0から中間位置Pxに到達するまで、徐々に、そのメインリンク21の連結長Lが短縮される(L0→Lx,L0>Lx)。また、ドア5の閉動作時には、連結長可変機構30の動作に基づいて、そのドア5が中間位置Pxから全閉位置P0に到達するまで、徐々に、そのメインリンク21の連結長Lが延長される(Lx→L0)。そして、本実施形態の車両1は、これにより、全閉位置P0近傍においては、そのドア5の下端部5bが略上下方向に移動する状態で、このドア5が開閉動作する構成になっている。
【0023】
更に、本実施形態の車両1においては、ドア5の全閉動作時、このドア5がドア開口部3に進入する状態で、その全閉位置P0に移動する。そして、本実施形態の車両1は、これにより、そのドア5が全閉状態にある場合に、このドア5の外表面5sと車体2の外表面2sとが略面一に配置される構成となっている。
【0024】
また、本実施形態の車両1においては、ドア5の開動作時、連結長可変機構30の動作に基づいて、そのドア5が中間位置Pxから全開位置P1に到達するまで、徐々に、そのメインリンク21の連結長Lが延長される(Lx→L1,Lx<L1)。また、ドア5の閉動作時には、このドア5が全開位置P1から中間位置Pxに到達するまで、徐々に、そのメインリンク21の連結長Lが短縮される(L1→Lx)。そして、本実施形態の車両1は、これにより、全開位置P1において、そのドア5に対するメインリンク21の回動連結点X2、つまりは、このメインリンク21に支持されたドア5の下端部5b側が大きく上方に持ち上がる構成となっている。
【0025】
<ロック装置>
また、図1及び図2に示すように、本実施形態の車両1は、そのバックドア15としてのドア5を全閉状態で車両後端のドア開口部3に保持するロック装置40を備えている。具体的には、この車両1には、そのロック装置40として、ドア5の上端部5aに設けられたアッパロック40U及びドア5の下端部5bに設けられたロアロック40Lを備えている。更に、これらの各ロック装置40は、それぞれ、ドア5が全閉位置P0に移動することにより、車体2側に設けられたストライカ41に係合するラッチ機構43を備えている。そして、各ロック装置40は、これら各ラッチ機構43及び各ストライカ41の係合力に基づいて、そのドア5を全閉位置P0に拘束する。
【0026】
即ち、ロアロック40Lのラッチ機構43を構成するロアラッチ43Lは、このロアラッチ43Lが設けられたドア5の下端部5bをドア開口部3の下端部3bに拘束する。更に、アッパロック40Uのラッチ機構43を構成するアッパラッチ43Uは、このアッパラッチ43Uが設けられたドア5の上端部5aをドア開口部3の上端部3aに拘束する。そして、本実施形態の車両1は、これにより、全閉位置P0に移動したドア5を、安定的に、その全閉状態に保持することのできる構成となっている。
【0027】
<駆動装置>
また、図1図5に示すように、本実施形態の車両1は、メインリンク21を駆動することにより、このメインリンク21をリンク部材20とする四節リンク機構10の動作に基づいて、そのドア5を開閉動作させる駆動装置50を備えている。
【0028】
詳述すると、本実施形態の車両1において、この駆動装置50は、図示しないモータを駆動源とするアクチュエータ51と、このアクチュエータ51の駆動出力をメインリンク21に入力するトルク入力部52と、を備えている。具体的には、本実施形態のアクチュエータ51は、モータ駆動により軸方向長さが伸縮するリニアアクチュエータ53としての構成を有している。また、本実施形態の駆動装置50は、このアクチュエータ51を、ドア開口部3の車幅方向端部3weに沿う状態で、その車体2に対するメインリンク21の回動連結点X1よりも下方に配置する。更に、本実施形態のトルク入力部52は、車体2に対するメインリンク21の回動連結点X1近傍において、このアクチュエータ51の駆動出力となる軸方向長さの伸縮を、そのメインリンク21の駆動トルクに変換する。そして、本実施形態の駆動装置50は、これにより、そのアクチュエータ51の駆動力に基づいて、車体2に対する回動連結点X1周りにメインリンク21を回転駆動する構成になっている。
【0029】
<システム構成>
図3に示すように、本実施形態の車両1において、上記のように構成された駆動装置50は、制御装置60によって、その作動が制御されている。具体的には、本実施形態の制御装置60は、駆動装置50のアクチュエータ51、詳しくは、その駆動源となる図示しないモータに対して駆動電力を供給する。そして、本実施形態の制御装置60は、この駆動電力の供給を通じて、その駆動装置50の作動を制御する。つまりは、この駆動装置50に駆動されるメインリンク21、及びサブリンク22が形成する四節リンク機構10に支持されたドア5の開閉動作を制御する構成となっている。
【0030】
詳述すると、図1図3に示すように、本実施形態の制御装置60には、車両1のドア5や車室内、或いは携帯機等に設けられた操作入力部61に対する利用者の操作入力が、操作入力信号S1として入力されるようになっている。例えば、本実施形態の車両1には、跳ね上げ式のバックドア15としての構成を有するドア5及びドア開口部3の下方、リヤバンパ62の下側位置に、静電容量センサ63が設けられている。即ち、本実施形態の車両1においては、この静電容量センサ63を用いて、その利用者の操作入力を非接触で検出することのできる所謂キックセンサ64が形成されている。そして、本実施形態の制御装置60は、これらの操作入力部61が出力する操作入力信号S1に基づいて、その利用者によるドア5の作動要求を検知する。
【0031】
更に、本実施形態の制御装置60には、ドア5の作動状態や車両状態を示す各種の制御信号S2が入力される。例えば、本実施形態の制御装置60には、その制御信号S2として、ドア5の開閉動作位置や車速等が入力される。そして、本実施形態の制御装置60は、上記操作入力信号S1に加え、これらの制御信号S2に基づいて、その駆動装置50の駆動力に基づいたドア5の開閉動作を制御する。
【0032】
また、本実施形態の車両1において、ドア5の下端部5bには、このドア5の閉動作時、その「挟み込みの発生」を検出するためのタッチセンサ65が設けられている。尚、このタッチセンサ65としては、接点式或いは静電容量式の感圧センサの他、非接触センサを用いることができる。そして、本実施形態の制御装置60は、このタッチセンサ65の出力信号に基づき「挟み込みの発生」を検出した場合、例えば、閉動作中のドア5を反転駆動する等、その挟み込み状態を解消するための制御を実行する構成となっている。
【0033】
尚、本実施形態の車両1において、これらの各操作入力部61が出力する操作入力信号S1、及び各種のセンサ装置66が出力する制御信号S2は、例えば、CAN(Control Area Network)等の車内ネットワーク67を介して制御装置60に入力される。また、車内ネットワーク67としては、その他、LAN(Local Area Network)等を用いることができる。そして、この車内ネットワーク67は、信号線を用いた有線式の他、無線通信を用いて構成することができる。
【0034】
また、本実施形態の車両1においては、制御装置60によって、そのドア5に設けられたクローザ装置68の作動が制御される。即ち、クローザ装置68は、各ロック装置40のラッチ機構43がハーフラッチ状態にある場合に、このラッチ機構43を駆動してフルラッチ状態に移行させるクローザ機能を有している。また、このクローザ装置68は、そのラッチ機構43を駆動してアンラッチ状態に移行させるリリース機能を有している。そして、本実施形態の制御装置60は、このクローザ装置68の作動を通じて、各ロック装置40を構成するラッチ機構43の係脱状態を制御、つまりは、ドア5を全閉位置P0に拘束し、及び、その拘束を解除する。
【0035】
具体的には、本実施形態のクローザ装置68は、ロアロック40Lと一体に設けられている。更に、本実施形態の車両1において、このクローザ装置68の駆動力は、図示しない駆動ケーブルを介してアッパロック40Uに伝達される。そして、本実施形態の制御装置60は、これにより、そのロアラッチ43L及びアッパラッチ43Uが連動する状態で、これらのロアロック40L及びアッパロック40Uの作動を制御することが可能となっている。
【0036】
尚、クローザ装置68の型式、及び、その配置については、任意変更することができる。例えば、そのクローザ装置68がアッパロック40Uと一体に設けられた構成とすることができる。また、これらの各ロック装置40について、それぞれ、独立したクローザ装置68を設ける構成であってもよい。更に、これらの各ロック装置40から離れた位置にクローザ装置68を配置してもよい。そして、各ロック装置40をクローズ動作させるクローザ装置68とは別体に、その各ロック装置40をリリース動作させるリリース装置を設ける構成としてもよい。
【0037】
即ち、図3に示すように、本実施形態の制御装置60は、利用者の作動要求を示す操作入力信号S1の入力に基づいて、その駆動装置50とともにクローザ装置68の作動を制御する。例えば、制御装置60は、駆動装置50の作動によるドア5の開駆動制御に先立ち、そのクローザ装置68の作動による各ロック装置40のリリース制御を実行する。また、制御装置60は、駆動装置50の作動によるドア5の閉駆動制御後、続いて、そのクローザ装置68の作動による各ロック装置40のクローズ制御を実行する。そして、本実施形態の車両1は、これにより、そのメインリンク21及びサブリンク22により構成される四節リンク機構10に支持されたドア5の全閉状態からの開動作、及び、全閉状態に至るドア5の閉動作が円滑に行われる構成になっている。
【0038】
<支持姿勢矯正機構>
本実施形態の車両1においては、上記のように、その所謂パワーバックドアとしての構成を有したドア装置70が形成されている。更に、本実施形態のドア装置70は、車体2に対するドア5の支持姿勢を矯正する機能を有している。そして、これにより、そのバックドア15として車両後端のドア開口部3に設けられたドア5が、精度よく、開閉動作する構成となっている。
【0039】
図6及び図7に示すように、本実施形態のドア装置70は、車幅方向を幅方向(図6及び図7中、左右方向)として上下方向に開閉動作するドア5の両車幅方向端部5we,5weに設けられた左右一対のドア側矯正部材71,71を備えている。また、ドア装置70は、このドア5により開閉されるドア開口部3の両車幅方向端部3we,3weに設けられた左右一対のドア開口側矯正部材72,72を備えている。更に、本実施形態の車両1においては、ドア5が全閉位置P0にある状態で、これらの各ドア側矯正部材71,71及び各ドア開口側矯正部材72,72が、互いに対向する位置に配置される。換言すると、これらの各ドア側矯正部材71,71及び各ドア開口側矯正部材72,72が、ドア開口部3に進入するドア5の閉動作に基づいて、車幅方向、即ち互いの幅方向に対向する位置に配置される。そして、本実施形態のドア装置70は、これにより、これらの各ドア側矯正部材71,71及び各ドア開口側矯正部材72,72が、そのドア開口部3に設けられたドア5の支持姿勢矯正機構75として機能する構成になっている。
【0040】
尚、本実施形態のドア装置70において、各ドア側矯正部材71,71は、そのドア5の車幅方向に対称であることを除いて、略同一の構成を有している。更に、各ドア開口側矯正部材72,72もまた、そのドア開口部3の車幅方向に対称であることを除いて、略同一の構成を有している。このため、以下、説明の便宜上、そのドア開口部3及びドア5の車幅方向一方側(各図中、左側)に設けられたドア側矯正部材71及びドア開口側矯正部材72についてのみ、図面を参照して、その構成を説明することとする。
【0041】
<矯正板及びテーパ面>
詳述すると、図8図10に示すように、本実施形態のドア側矯正部材71は、ドア5が全閉位置P0にある場合に、車両1の上下方向(各図中、上下方向)に延在する状態で、そのドア5の車幅方向端部5weに固定された略平板状の矯正板73を有している。尚、本実施形態の車両1において、このドア側矯正部材71は、そのドア5に対するメインリンク21の回動連結点X2が設けられた上側窓枠部25及び下側壁部26の接続部分近傍、詳しくは、その下側壁部26の上端位置に固定されている。また、ドア開口側矯正部材72,72も同様に、車両1の上下方向に延在する状態で、そのドア開口部3の車幅方向端部3weに固定された略平板状の矯正板74を有している。更に、本実施形態のドア装置70においては、ドア5が全閉位置P0にある場合に、これらドア側矯正部材71の矯正板73とドア開口側矯正部材72の矯正板74とが、僅かな隙間を空けて、車幅方向(図8中、左右方向)に対向する。そして、本実施形態のドア装置70は、これにより、これらのドア側矯正部材71及びドア開口側矯正部材72によって、そのドア開口部3に設けられた車体2に対するドア5の支持姿勢を矯正することが可能となっている。
【0042】
即ち、上記のように、本実施形態の車両1において、このドア5は、ドア開口部3の車幅方向両側に設けられた一対の四節リンク機構10,10を介して車体2に支持されている。そして、本実施形態のドア装置70は、これにより、跳ね上げ式のバックドア15としての構成を有するドア5について、その開閉動作の設計自由度を確保する構成になっている。
【0043】
しかしながら、このような四節リンク機構10を用いることにより、例えば、公差や組付誤差等によって、その車体2に対するドア5の支持姿勢に乱れが生じやすくなる傾向がある。そして、これにより、例えば、全閉動作時、その互いに係合するラッチ機構43とストライカ41との間に位置ズレが生ずる等、開閉動作の精度が低下することで、その質感の確保が難しくなるおそれがある。
【0044】
この点を踏まえ、本実施形態のドア装置70においては、そのドア側矯正部材71の矯正板73及びドア開口側矯正部材72の矯正板74が、互いに対向するドア側矯正面81及びドア開口側矯正面82を構成する。詳しくは、そのドア開口部3及びドア5の幅方向、つまりは車幅方向に対向するドア側矯正面81m及びドア開口側矯正面82mを構成する。即ち、これらのドア側矯正面81m及びドア開口側矯正面82mは、ドア5の全閉動作時、そのドア開口部3に進入するドア5の閉動作に基づいて、互いに対向する位置に配置される。更に、これらのドア側矯正面81m及びドア開口側矯正面82mは、車体2に対するドア5の支持姿勢に応じて互いに摺接可能に構成されている。具体的には、ドア5の全閉動作時、このドア5が正しい支持姿勢を有する場合には、これらのドア側矯正面81m及びドア開口側矯正面82mが摺接しない。一方、ドア5の支持姿勢に乱れが生ずることで、これらのドア側矯正面81m及びドア開口側矯正面82mが摺接する。そして、本実施形態のドア装置70は、これらのドア側矯正面81m及びドア開口側矯正面82mの摺接により生じた反力に基づいて、その車体2に対するドア5の支持姿勢を矯正する。詳しくは、これらのドア側矯正面81m及びドア開口側矯正面82mが互いに対向する車幅方向において、そのドア5に生じた支持姿勢の乱れを矯正する構成となっている。
【0045】
尚、本実施形態の車両1においては、上方から下方に向かうドア5の閉動作に基づいて、そのドア開口部3に対してドア5が進入する方向に位置するドア5の下端部5bが、このドア5の進入端部85となる。また、ドア5の全閉位置P0において、このドア5の下端部5bに対向するドア開口部3の下端部3bが、このドア開口部3の被進入端部86となる。更に、ドア5の全閉動作時、このドア5の下端部5bとドア開口部3の下端部3bとが正対することにより、そのラッチ機構43とストライカ41とが互いに正しい位置関係で係合する。そして、本実施形態のドア装置70は、このドア5の進入端部85とドア開口部3の被進入端部86とが正対するドア5の支持姿勢を正しい姿勢として、その支持姿勢矯正機構75によりドア5の支持姿勢が矯正される構成になっている。
【0046】
さらに詳述すると、図8に示すように、本実施形態のドア装置70において、ドア側矯正部材71の矯正板73が形成するドア側矯正面81mは、テーパ面90としての構成を有している。具体的には、このテーパ面90は、ドア開口部3に対するドア5の進入方向(図8中、下側)に向かって、その車幅方向内側(同図中、右側)に向かって徐々に先細りとなるテーパ面形状を有している。換言すると、このテーパ面90は、ドア5の進入方向側に位置する矯正板73の下端部73bに近い位置ほど、そのテーパ面形状が、より車幅方向内側に配置される。そして、本実施形態のドア装置70は、これにより、そのドア側矯正面81m及びドア開口側矯正面82mが摺接することにより生ずる摺動抵抗を抑えつつ、そのドア開口部3に対するドア5の進入によって、徐々にドア5の支持姿勢を矯正する構成になっている。
【0047】
更に、本実施形態のドア側矯正部材71は、矯正板73の下端部73bとなる位置、つまりは、ドア5の全閉動作時、そのドア開口部3に対するドア5の進入方向に位置する進入方向端部71bに設けられたドア側大テーパ部91を有している。即ち、このドア側大テーパ部91には、そのドア側矯正面81mに付与されたテーパ面90のテーパ角度θ1よりも大きなテーパ角度θ2が付与されている。そして、本実施形態のドア装置70は、これにより、ドア5の支持姿勢に乱れが生じている状態においても、ドア5がドア開口部3に対して進入する際、円滑に、そのドア側矯正面81mがドア開口側矯正面82mに摺接する位置に移動することが可能となっている。
【0048】
また、本実施形態のドア装置70において、ドア開口側矯正部材72は、その矯正板74の上端部74aとなる位置に設けられたドア開口側大テーパ部92を有している。即ち、このドア開口側大テーパ部92は、ドア5の開動作時、そのドア開口部3からドア5が退出する方向(図8中、上側)に位置するドア開口側矯正部材72の退出方向端部72aに設けられている。更に、このドア開口側大テーパ部92もまた、ドア開口部3に対するドア5の進入方向に向かって、その車幅方向内側に向かって徐々に先細りとなるテーパ面形状を有している。換言すると、このドア開口側大テーパ部92は、ドア5の退出方向側に位置する矯正板74の上端部74aにおける下側の位置ほど、そのテーパ面形状が、より車幅方向内側に配置される。また、本実施形態のドア装置70においては、ドア開口側矯正面82mに対してテーパ角度θは付与されていない。このため、相対的に、そのドア開口側矯正部材72の退出方向端部72aとなる矯正板74の上端部74aが、テーパ角度θの大きいドア開口側大テーパ部92となる。そして、本実施形態のドア装置70は、これにより、より円滑に、そのドア側矯正面81mがドア開口側矯正面82mに摺接する位置に移動することが可能となっている。
【0049】
更に、本実施形態のドア側矯正部材71は、矯正板73の上端部73aとなる位置、つまりは、ドア5の開動作時、そのドア開口部3からドア5が退出する方向に位置する退出方向端部71aに設けられた退出側テーパ面93を有している。更に、この退出側テーパ面93は、ドア開口部3からドア5が退出する方向に向かって、その車幅方向内側に向かって徐々に先細りとなるテーパ面形状を有している。換言すると、この退出側テーパ面93は、ドア5の退出方向側に位置する矯正板73の上端部73aにおける上側の位置ほど、そのテーパ面形状が、より車幅方向内側に配置される。そして、本実施形態のドア装置70は、これにより、ドア側矯正面81mとドア開口側矯正面82mとが互いに摺接する状態からドア5が開動作した場合であっても、その矯正板73の上端部73aがドア開口側矯正面82mに引っ掛かり難い構成になっている。
【0050】
<係合溝及び係合部材>
また、図11図14に示すように、本実施形態のドア装置70において、ドア開口側矯正部材72は、その矯正板74に設けられた上下方向に延在する係合溝100を備えている。更に、ドア側矯正部材71は、ドア5の全閉動作時、このドア5がドア開口部3に進入することにより、そのドア開口側矯正部材72側の係合溝100内に進入する係合部材110を備えている(図10参照)。そして、本実施形態のドア装置70は、これらの係合溝100及び係合部材110の係合によっても、その車体2に対するドア5の支持姿勢を矯正することのできる構成となっている。
【0051】
詳述すると、本実施形態のドア開口側矯正部材72においては、略平板状の外形を有した矯正板74を厚み方向、つまりは、車幅方向(図11及び図12中、紙面に直交する方向)に貫通する態様で、その係合溝100が設けられている。また、この係合溝100は、ドア5が全閉位置P0にある場合に、その矯正板74における下端部74b側よりも上端部74a側が車両後方側(図11中、左側、図12中、右側)に配置されるような傾きを有して、この矯正板74の上下方向に延設されている。そして、本実施形態のドア開口側矯正部材72は、これにより、この矯正板74に設けられた係合溝100が、そのドア開口部3に対するドア5の進入方向に沿って延在する構成になっている。
【0052】
尚、本実施形態の矯正板74は、その車両後方側に配置される上端部74a側の一部分が切り欠かれた形状を有している。そして、ドア開口側矯正部材72は、これにより、互いに対向する係合溝100の側壁面100sa,100sbのうち、車両後方側に臨む一方の側壁面100saの上端部分が、その矯正板74の上端部74aまで係合溝100外に露出する構成となっている。
【0053】
また、本実施形態のドア装置70において、そのドア側矯正部材71に設けられた係合部材110は、扁平略円筒状の外形を有したローラー111としての構成を有している。具体的には、本実施形態のドア側矯正部材71は、そのドア側矯正面81mからドア5の車幅方向外側(図8参照、同図中、左側)に突出する態様で矯正板73に設けられた支軸112を有している。そして、本実施形態のドア側矯正部材71は、この支軸112によって、その係合部材110としてのローラー111が回転自在に軸支された構成を有している。
【0054】
更に、本実施形態のドア装置70においては、ドア5の全閉動作時、ドア開口側矯正部材72の係合溝100内に進入したローラー111の周面111sが、その係合溝100の側壁面100sa,100sbに対向する。具体的には、本実施形態のローラー111は、係合溝100内に配置されることにより、その周面111sが、車両後方側に臨む側壁面100saに対向するとともに、車両前方側(図11中、右側、図12中、左側)に臨む側壁面100sbに対向する。尚、本実施形態のドア開口側矯正部材72においては、その係合溝100内にローラー111が進入する前に、このローラー111の周面111sが、その係合溝100外に露出した車両後方側に臨む側壁面100saに対向する。そして、本実施形態のドア装置70は、これにより、車体2に対するドア5の支持姿勢に応じて、その係合部材110となるローラー111の周面111sと係合溝100の側壁面100sa,100sbとが互いに摺接可能に構成されている。
【0055】
即ち、本実施形態のドア装置70においては、ドア側矯正部材71に設けられたローラー111の周面111sを係合部材110側の対向面110sとして、このローラー111の周面111sがドア側矯正面81を構成する。また、ドア開口側矯正部材72に設けられた係合溝100の内面100sを構成する両側壁面100sa,100sbが、それぞれ、そのドア開口側矯正面82を構成する。更に、これら係合溝100の両側壁面100sa,100sbと係合部材110側の対向面110sとが、車両前後方向に対向する。そして、本実施形態のドア装置70においては、これにより、車両前後方向に対向するドア側矯正面81n及びドア開口側矯正面82nが構成されている。
【0056】
更に、これらのドア側矯正面81n及びドア開口側矯正面82nもまた、車体2に対するドア5の支持姿勢に応じて互いに摺接可能に構成されている。具体的には、ドア5の全閉動作時、このドア5が正しい支持姿勢を有する場合には、これらのドア側矯正面81n及びドア開口側矯正面82nが摺接しない。一方、ドア5の支持姿勢に乱れが生ずることで、これらのドア側矯正面81n及びドア開口側矯正面82nが摺接する。そして、本実施形態のドア装置70は、これらのドア側矯正面81n及びドア開口側矯正面82nの摺接により生じた反力に基づいて、その車体2に対するドア5の支持姿勢を矯正する。詳しくは、ドア5の厚み方向となる車両前後方向に生じた支持姿勢の乱れを矯正する構成となっている。
【0057】
さらに詳述すると、本実施形態の係合溝100は、この係合溝100に対して係合部材110としてのローラー111が進入する位置、つまりは、この係合溝100の開口端100aに近いほど、その溝幅Wが広くなる。そして、本実施形態のドア装置70は、これにより、ドア5の支持姿勢に乱れが生じた状態においても、このドア5がドア開口部3に対して進入する際、円滑に、係合溝100内に係合部材110となるローラー111が進入可能となる。つまりは、そのドア側矯正面81nとドア開口側矯正面82nとが互いに摺接する位置に移動することが可能となっている。
【0058】
<ストッパ部材>
また、図12図15に示すように、本実施形態のドア開口側矯正部材72は、上記のように構成された係合溝100の底部100b近傍において、その矯正板74に固定されたストッパ部材130を備えている。具体的には、本実施形態のストッパ部材130は、略平板状の外形を有して矯正板74の裏面74sb、つまりはドア開口側矯正面82mの裏側に固定される固定部131を有している。更に、このストッパ部材130は、係合溝100内に配置される当接部132を有している。即ち、本実施形態のストッパ部材130は、ドア開口側矯正部材72の係合溝100内に進入したドア側矯正部材71のローラー111が、そのドア5の閉動作に基づき係合溝100内を底部100b側に移動することにより、この当接部132に当接する。そして、本実施形態のドア装置70は、これにより、そのドア開口部3内におけるローラー111の移動、つまりは、このローラー111を係合部材110とするドア側矯正部材71が固定されたドア5の閉方向移動を規制する構成となっている。
【0059】
詳述すると、本実施形態のストッパ部材130において、当接部132は、断面略円弧状の湾曲面形状を有した当接面130sを有している。更に、この当接面130sは、ドア側矯正部材71側の係合部材110を構成するローラー111の周面111sと略同じ曲率半径を有している。そして、本実施形態のストッパ部材130は、これにより、その当接部132にローラー111が当接した位置において、このローラー111を安定的に保持することが可能となっている。
【0060】
更に、本実施形態のストッパ部材130は、その当接部132が、この当接部132の当接面130sと係合溝100の両側壁面100sa,100sbとを連続的に接続する。そして、本実施形態のドア装置70は、これにより、このストッパ部材130が、その係合溝100の内面100sに連続して係合部材110の対向面110sに対向する矯正面135を有する構成となっている。
【0061】
<本実施形態の作用>
即ち、本実施形態のドア装置70においては、ドア5の全閉動作時、車体2に対するドア5の支持姿勢に乱れが生ずることで、その互いに対向する位置に配置されたドア側矯正面81及びドア開口側矯正面82が摺接する。そして、これにより、これらのドア側矯正面81及びドア開口側矯正面82の摺接により生じた反力に基づいて、その車体2に対するドア5の支持姿勢が矯正される。
【0062】
<本実施形態の効果>
次に、本実施形態の効果について説明する。
(1)ドア装置70は、車体2に設けられたドア開口部3を開閉するドア5の車幅方向端部5weに設けられたドア側矯正面81を有するドア側矯正部材71を備える。また、ドア装置70は、ドア開口部3に進入するドア5の閉動作に基づきドア側矯正面81に対向するドア開口側矯正面82を有してドア開口部3の車幅方向端部3weに設けられたドア開口側矯正部材72を備える。そして、ドア装置70においては、車体2に対するドア5の支持姿勢に応じてドア側矯正面81とドア開口側矯正面82とが摺接することにより、そのドア5の支持姿勢が矯正される。
【0063】
上記構成によれば、正しい支持姿勢でドア5を全閉位置P0に配置することができる。その結果、精度よく、このドア5を開閉動作させることができる。そして、これにより、ドア5の質感を高めることができる。
【0064】
加えて、例えば、車両衝突時等、ドア開口部3の近傍において、車体2に衝撃荷重が印加された場合であっても、好適に、そのドア5によりドア開口部3が閉じられた状態を維持することができる。そして、これにより、その高い安全性及び信頼性を確保することができる。
【0065】
(2)ドア装置70においては、そのドア側矯正部材71及びドア開口側矯正部材72が、車幅方向に対向するドア側矯正面81m及びドア開口側矯正面82mを構成する。そして、ドア側矯正面81mは、上下方向に開閉動作するドア5の閉動作に基づいたドア開口部3に対するドア5の進入方向に向かって、車幅方向内側に先細りとなるテーパ面90を有する。
【0066】
上記構成によれば、車幅方向において、好適に、そのドア5に生じた支持姿勢の乱れを矯正することができる。更に、そのテーパ面形状に基づいて、ドア側矯正面81m及びドア開口側矯正面82mが摺接することにより生ずる摺動抵抗を抑えることができる。そして、これにより、円滑に、そのドア5の支持姿勢を矯正することができる。その結果、高い質感を確保することができる。
【0067】
(3)ドア開口側矯正部材72は、上下方向に開閉動作するドア5の閉動作に基づいたドア開口部3に対するドア5の進入方向に沿って延在する係合溝100を備える。また、ドア側矯正部材71は、ドア5の全閉動作時、このドア5がドア開口部3に進入することにより、その係合溝100内に進入する係合部材110を備える。そして、ドア装置70は、これにより、その係合溝100の内面100s、及び、この内面100sに対向する係合部材110の対向面110sが、そのドア側矯正面81及びドア開口側矯正面82を構成する。
【0068】
上記構成によれば、係合溝100の内面100sと係合部材110の対向面110sとが対向する方向において、そのドア側矯正面81とドア開口側矯正面82との摺接により、車体2に対するドア5の支持姿勢を矯正することができる。そして、係合溝100及び係合部材110の係合力に基づいて、その車体2に対するドア5の支持姿勢を強く矯正することができる。
【0069】
(4)ドア5は、車両後方に開口するドア開口部3を開閉するバックドア15としての構成を有する。更に、ドア開口部3の車幅方向両側に設けられた四節リンク機構10,10を介して、そのドア5が車体2に支持される。そして、これにより、その四節リンク機構10,10の動作に基づいて、そのドア5が上下方向に開閉動作する。
【0070】
上記構成によれば、車体2に支持された状態で上下方向に開閉動作する車両1のバックドア15について、その開閉動作の設計自由度を高めることができる。しかしながら、例えば、公差や組付誤差等によって、その車体2に対するドア5の支持姿勢に乱れが生じやすくなる傾向がある。従って、このような構成にドア側矯正部材71及びドア開口側矯正部材72を設けることで、より顕著な効果を得ることができる。
【0071】
(5)ドア側矯正部材71は、ドア5の閉動作に基づいたドア開口部3に対するドア5の進入方向に位置する進入方向端部71bに設けられたドア側大テーパ部91を有する。そして、このドア側大テーパ部91には、そのドア側矯正面81mに付与されたテーパ面90のテーパ角度θ1よりも大きなテーパ角度θ2が付与される。
【0072】
上記構成によれば、ドア5の支持姿勢に乱れが生じている状態においても、ドア側大テーパ部91をガイド形状部として、円滑に、そのドア側矯正面81mがドア開口側矯正面82mに摺接する位置に移動することができる。
【0073】
(6)ドア開口側矯正部材72は、ドア5の開動作に基づきドア開口部3からドア5が退出する方向に位置する退出方向端部72aに設けられたドア開口側大テーパ部92を有する。そして、このドア開口側大テーパ部92は、ドア開口部3に対するドア5の進入方向に向かって、その車幅方向内側に向かって徐々に先細りとなるテーパ面形状を有する。
【0074】
上記構成によれば、ドア5の支持姿勢に乱れが生じている状態においても、ドア開口側大テーパ部92をガイド形状部として、円滑に、そのドア側矯正面81mがドア開口側矯正面82mに摺接する位置に移動することができる。
【0075】
(7)ドア側矯正部材71は、ドア5の開動作に基づきドア開口部3からドア5が退出する方向に位置する退出方向端部71aに設けられた退出側テーパ面93を有する。そして、この退出側テーパ面93は、ドア開口部3からドア5が退出する方向に向かって、車幅方向内側に先細りとなるテーパ面形状を有する。
【0076】
上記構成によれば、ドア側矯正面81mとドア開口側矯正面82mとが互いに摺接する状態からドア5が開動作した場合であっても、そのドア側矯正部材71の退出方向端部71aがドア開口側矯正面82mに引っ掛かり難くすることができる。
【0077】
(8)ドア装置70においては、係合溝100の内面100s及び係合部材110の対向面110sが、車両前後方向に対向する。
上記構成によれば、係合溝100の内面100s及び係合部材110の対向面110sにより構成されるドア側矯正面81n及びドア開口側矯正面82nが、ドア5の厚み方向に対向する状態で、互いに摺接可能に構成することができる。そして、これにより、好適に、そのドア5の厚み方向に生じた支持姿勢の乱れを矯正することができる。
【0078】
(9)係合溝100は、この係合溝100に対して係合部材110としてのローラー111が進入する位置、つまりは、この係合溝100の開口端100aに近いほど、その溝幅Wが広くなる。
【0079】
上記構成によれば、ドア5の支持姿勢に乱れが生じた状態においても、このドア5がドア開口部3に対して進入する際、円滑に、その係合溝100内に係合部材110を進入させることができる。
【0080】
(10)ドア装置70は、係合溝100内に進入した係合部材110に当接することにより、そのドア開口部3内における係合部材110の移動を規制するストッパ部材130を備える。
【0081】
上記構成によれば、ストッパ部材130に対して係合部材110が当接する位置において、そのドア5の全閉位置P0を規定することができる。そして、これにより、例えば、公差や組付誤差等、ドア5の支持構造を要因として、全閉位置P0に配置されたドア5の支持姿勢に乱れが生じやすい場合であっても、正しい支持姿勢で、そのドア5を全閉位置P0に配置することができる。その結果、より精度よく、このドア5を開閉動作させることができる。加えて、車体2に衝撃荷重が印加された場合であっても、より好適に、そのドア5によりドア開口部3が閉じられた状態を維持することができる。
【0082】
(11)ストッパ部材130は、係合溝100の内面100sに連続して、その係合部材110の対向面110sに対向する矯正面135を有する。
上記構成によれば、より好適に、係合溝100の内面100sと係合部材110の対向面110sとが対向する方向において、その車体2に対するドア5の支持姿勢を矯正することができる。
【0083】
(12)ドア装置70は、ドア5の両車幅方向端部5we,5weに設けられた左右一対のドア側矯正部材71,71と、ドア開口部3の両車幅方向端部3we,3weに設けられた左右一対のドア開口側矯正部材72,72と、を備える。
【0084】
上記構成によれば、ドア5の支持姿勢に乱れが生じている場合に、ドア5及びドア開口部3の車幅方向両側に設けられた何れかのドア側矯正部材71及びドア開口側矯正部材72において、そのドア側矯正面81とドア開口側矯正面82とを摺接させることができる。そして、これにより、より好適に、その車体2に対するドア5の支持姿勢を矯正することができる。
【0085】
(13)ドア装置70においては、ドア5の閉動作に基づきドア開口部3に対してドア5が進入する方向に位置するドア5の進入端部85とドア開口部3の被進入端部86とが正対するように、その車体2に対するドア5の支持姿勢が矯正される。
【0086】
上記構成によれば、ドア5に設けられたラッチ機構43とドア開口部3に設けられたストライカ41とを互いに正しい位置関係で係合させることができる。そして、これにより、高精度の開閉動作を担保することで、そのドア5の質感を高めることができる。
【0087】
(14)ドア装置70は、四節リンク機構10のリンク部材20を構成するメインリンク21に設けられた連結長可変機構30を備える。そして、ドア装置70は、この連結長可変機構30の作動に基づいて、そのメインリンク21の車体2に対する回動連結点X1及びドア5に対する回動連結点X2間の連結長Lを変更可能に構成される。
【0088】
上記構成によれば、車体2に支持された状態でドア開口部3を開閉するドア5について、より一層、その開閉動作の設計自由度を高めることができる。しかしながら、これにより、車体2に対するドア5の支持姿勢に乱れが生じやすくなる。従って、このような構成にドア側矯正部材71及びドア開口側矯正部材72を設けることで、より顕著な効果を得ることができる。
【0089】
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0090】
・上記実施形態では、ドア側矯正面81mが、ドア開口部3に対するドア5の進入方向に向かって、その車幅方向内側に向かって徐々に先細りとなるテーパ面形状を有することとした。しかし、これに限らず、ドア開口側矯正面82mが、このようなドア開口部3に対するドア5の進入方向に向かって、その車幅方向内側に向かって徐々に先細りとなるテーパ面形状を有する構成であってもよい。更に、ドア側矯正面81m及びドア開口側矯正面82mの両方が、このようなテーパ面形状を有する構成であってもよい。そして、ドア側矯正面81m及びドア開口側矯正面82mの両方が、このようなテーパ面形状を有しない構成であってもよい。
【0091】
・また、テーパ面90のテーパ角度θ1及びドア側大テーパ部91のテーパ角度θ2については、それぞれ、任意に設定してもよい。そして、ドア開口側大テーパ部92及び退出側テーパ面93についてもまた、それぞれ、そのテーパ面形状は、任意に設定してもよい。
【0092】
・上記実施形態では、ドア側矯正部材71が、その進入方向端部71bに設けられたドア側大テーパ部91と、その退出方向端部71aに設けられた退出側テーパ面93と、を有する。そして、ドア開口側矯正部材72が、退出方向端部72aに設けられたドア開口側大テーパ部92を有することとした。しかし、これに限らず、ドア側矯正部材71が、ドア側大テーパ部91又は退出側テーパ面93の何れか一方を有する構成であってもよい。また、ドア側矯正部材71が、このようなドア側大テーパ部91及び退出側テーパ面93を有しない構成であってもよい。そして、ドア開口側矯正部材72が、そのドア開口側大テーパ部92を有しない構成であってもよい。
【0093】
・上記実施形態では、係合部材110は、扁平略円筒状の外形を有したローラー111としての構成を有することとした。しかし、これに限らず、係合部材110の形状は任意に変更してもよい。そして、係合溝100の溝形状もまた、その係合部材110の形状に合わせて任意に変更してもよい。
【0094】
例えば、図16に示すように、その係合部材110Bを構成するローラー111Bが、略円錐状の外形を有することにより、車幅方向外側(図16中、左側)に向かって先細りとなるテーパ面140を形成する。そして、ドア開口側矯正部材72側の係合溝100Bについてもまた、このローラー111Bのテーパ面140が係合部材110Bの対向面110sとなるように、その溝形状を変更する。つまりは、この係合溝100Bの内面100sを構成する両側壁面100sa,100sbが、その車幅方向外側に向かって先細りとなるテーパ面150としてもよい。
【0095】
上記構成によれば、車幅方向においても、その互いに対向する係合溝100Bの内面100s及び係合部材110Bの対向面110sにより構成されるドア側矯正面81n及びドア開口側矯正面82nが摺接可能となる。そして、これにより、これらの係合部材110B及び係合溝100Bを支持姿勢矯正機構75に用いて、その車幅方向において、好適に、そのドア5に生じた支持姿勢の乱れを矯正することができる。
【0096】
・また、図17に示すように、係合溝100Cが、その内面100sとして、車幅方向内側(図17中、右側)に臨む端壁面100scを有する。そして、係合部材110Cが、その端壁面100scに対する対向面110sを有する構成としてもよい。尚、この例においては、略半球状のローラー111Cを用いることにより、このローラー111Cの球面160が、その係合溝100Cの内面100sを構成する両側壁面100sa,100sb、及び端壁面100scに対向する。このような構成としても、これらの係合部材110C及び係合溝100Cを支持姿勢矯正機構75に用いて、その車幅方向において、好適に、そのドア5に生じた支持姿勢の乱れを矯正することができる。
【0097】
・また、図18に示すように、係合部材110Dを構成するローラー111Dが、車幅方向外側に向かって先細りとなるテーパ面141、及び、その車幅方向内側に向かって先細りとなるテーパ面142を有する。更に、係合溝100Dもまた、その内面100sとして、車幅方向外側に向かって先細りとなるテーパ面151、及び、その車幅方向内側に向かって先細りとなるテーパ面152を有する。そして、これにより、そのローラー111Dの各テーパ面141,142が、それぞれ、その係合溝100D側の各テーパ面151,152に対向する係合部材110Dの対向面110sとなる構成としてもよい。
【0098】
上記構成によれば、一組の係合溝100D及び係合部材110Dにより構成される支持姿勢矯正機構75によって、その車幅の両方向について、好適に、ドア5に生じた支持姿勢の乱れを矯正することができる。
【0099】
・また、係合部材110の構成については、任意に変更してもよい。必ずしもローラー111のような回転体を用いなくともよい。例えば、軸状部材や鈎状部材等により、その係合部材110を形成する構成であってもよい。
【0100】
・上記実施形態では、ドア5の両車幅方向端部5we,5weに設けられた左右一対のドア側矯正部材71,71と、ドア開口部3の両車幅方向端部3we,3weに設けられた左右一対のドア開口側矯正部材72,72と、を備えることとした。しかし、これに限らず、ドア5における一方の車幅方向端部5we、及び、この一方の車幅方向端部5weに対向するドア開口部3の車幅方向端部3weに対して、そのドア側矯正部材71及びドア開口側矯正部材72を設ける構成としてもよい。
【0101】
・上記実施形態では、ドア開口側矯正部材72が、ドア開口部3に対するドア5の進入方向に沿って延在する係合溝100を備えるとともに、そのドア側矯正部材71が、この係合溝100内に進入する係合部材110を備えることとした。しかし、これに限らず、ドア開口側矯正部材72が係合部材110を備えるとともに、ドア側矯正部材71が係合溝100を備える構成であってもよい。
【0102】
・上記実施形態では、ドア側矯正部材71及びドア開口側矯正部材72は、車幅方向に対向するドア側矯正面81m及びドア開口側矯正面82mを有する。そして、これらのドア側矯正部材71及びドア開口側矯正部材72は、併せて、その係合溝100及び係合部材110を備えることとした。しかし、これに限らず、ドア側矯正部材71及びドア開口側矯正部材72が、車幅方向に対向するドア側矯正面81m及びドア開口側矯正面82mを有しない構成であってもよい。そして、ドア側矯正部材71及びドア開口側矯正部材72が、係合溝100及び係合部材110を有しない構成であってもよい。
【0103】
・上記実施形態では、四節リンク機構10のメインリンク21に設けられた連結長可変機構30を備えることとした。しかし、これに限らず、サブリンク22に設けられた連結長可変機構30を有していてもよい。また、メインリンク21及びサブリンク22の両方に連結長可変機構30を有していてもよい。そして、このような連結長可変機構30を有しない構成であってもよい。
【0104】
・上記実施形態では、ドア開口部3の車幅方向両側に設けられた四節リンク機構10,10を介して、そのドア5が車体2に支持されることとした。しかし、これに限らず、ドア5の支持構造については、任意に変更してもよい。車体2に支持されたドア5が、そのドア開口部3を開閉可能であればよい。
【0105】
・上記実施形態では、車両1のリヤハッチ13に設けられた跳ね上げ式のバックドア15を構成するドア5に具体化した。しかし、これに限らず、例えば、車両前方に開口するドア開口部3を開閉するフロントドアに適用してもよい。更に、ドア5の形状についてもまた、任意に変更してもよい。そして、例えば、リッドやフード等と呼称されるドアと同様の機能を有した車両用の開閉体に適用してもよい。
【0106】
・また、駆動装置50の構成についても、任意に変更してもよい。例えば、アクチュエータ51には、必ずしもリニアアクチュエータ53を用いなくともよい。そして、駆動装置50を有しない手動式の車両用ドア装置に適用してもよい。
【0107】
次に、上記実施形態及び変更例から把握できる技術的思想について記載する。
(イ)前記ドア側矯正面と前記ドア開口側矯正面とが車幅方向に対向するとともに、前記ドア側矯正面及び前記ドア開口側矯正面の少なくとも何れか一方が、上下方向に開閉動作する前記ドアの閉動作に基づいた前記ドア開口部に対する前記ドアの進入方向に向かって車幅方向内側に先細りとなるテーパ面を有する。
【0108】
上記構成によれば、車幅方向において、好適に、そのドアに生じた支持姿勢の乱れを矯正することができる。更に、そのテーパ面形状に基づいて、ドア側矯正面及びドア開口側矯正面が摺接することにより生ずる摺動抵抗を抑えることができる。そして、これにより、円滑に、そのドアの支持姿勢を矯正することができる。その結果、その高い質感を確保することができる。
【0109】
(ロ)前記ドア側矯正部材及び前記ドア開口側矯正部材の一方が、上下方向に開閉動作する前記ドアの閉動作に基づいた前記ドア開口部に対する前記ドアの進入方向に沿って延在する係合溝を備えるとともに、前記ドア側矯正部材及び前記ドア開口側矯正部材の他方が、前記ドアの閉動作に基づき前記係合溝内に進入する係合部材を備え、前記係合溝の内面及び該内面に対向する前記係合部材の対向面が、前記ドア側矯正面及び前記ドア開口側矯正面を構成する。
【0110】
上記構成によれば、係合溝の内面と係合部材の対向面とが対向する方向において、そのドア側矯正面とドア開口側矯正面との摺接により、車体に対するドアの支持姿勢を矯正することができる。そして、係合溝及び係合部材の係合力に基づいて、より強く、その車体に対するドアの支持姿勢を矯正することができる。
【0111】
(ハ)前記ドアは、車両後方に開口する前記ドア開口部を開閉するバックドアであるとともに、前記ドア開口部の車幅方向両側に設けられた四節リンク機構の動作に基づいて該四節リンク機構を介して前記車体に支持された前記ドアが上下方向に開閉動作する。
【0112】
上記構成によれば、車体に支持された状態で上下方向に開閉動作する車両のバックドアについて、その開閉動作の設計自由度を高めることができる。しかしながら、例えば、公差や組付誤差等によって、その車体に対するドアの支持姿勢に乱れが生じやすくなる傾向がある。従って、このような構成にドア側矯正部材及びドア開口側矯正部材を設けることで、より顕著な効果を得ることができる。
【0113】
(ホ)前記ドアの閉動作に基づいた前記ドア開口部に対する前記ドアの進入方向に位置する前記ドア側矯正部材の進入方向端部に前記ドア側矯正面よりも前記テーパ面のテーパ角度が大きいドア側大テーパ部を有する。
【0114】
上記構成によれば、ドアの支持姿勢に乱れが生じている状態においても、ドア側大テーパ部をガイド形状部として、円滑に、そのドア側矯正面がドア開口側矯正面に摺接する位置に移動することができる。
【0115】
(ヘ)前記ドアの開動作に基づき前記ドア開口部から前記ドアが退出する方向に位置する前記ドア開口側矯正部材の退出方向端部に前記ドア開口側矯正面よりも前記テーパ面のテーパ角度が大きいドア開口側大テーパ部を有する。
【0116】
上記構成によれば、ドアの支持姿勢に乱れが生じている状態においても、ドア開口側大テーパ部をガイド形状部として、円滑に、そのドア側矯正面がドア開口側矯正面に摺接する位置に移動することができる。
【0117】
(ト)前記ドアの開動作に基づき前記ドア開口部から前記ドアが退出する方向に位置する前記ドア側矯正部材の退出方向端部に前記ドアの退出方向に向かって車幅方向内側に先細りとなる退出側テーパ面を有する。
【0118】
上記構成によれば、ドア側矯正面とドア開口側矯正面とが互いに摺接する状態からドアが開動作した場合であっても、そのドア側矯正部材の退出方向端部がドア開口側矯正面に引っ掛かり難くすることができる。
【0119】
(チ)前記係合溝の内面及び前記係合部材の対向面が、車両前後方向に対向する。
上記構成によれば、係合溝の内面及び係合部材の対向面により構成されるドア側矯正面及びドア開口側矯正面が、ドアの厚み方向となる車両前後方向に対向する状態で、互いに摺接可能に構成することができる。そして、これにより、好適に、そのドアの厚み方向に生じた支持姿勢の乱れを矯正することができる。
【0120】
(リ)前記係合溝に対して前記係合部材が進入する係合溝の開口端に近いほど前記係合溝の溝幅が広くなる。
上記構成によれば、ドアの支持姿勢に乱れが生じた状態においても、このドアがドア開口部に対して進入する際、円滑に、その係合溝内に係合部材を進入させることができる。
【0121】
(ヌ)前記係合溝内に進入した前記係合部材に当接することにより前記係合溝内における前記係合部材の移動を規制するストッパ部材を備える。
上記構成によれば、ストッパ部材に対して係合部材が当接する位置において、そのドアの全閉位置を規定することができる。そして、これにより、例えば、公差や組付誤差等、ドアの支持構造を要因として、全閉位置に配置されたドアの支持姿勢に乱れが生じやすい場合であっても、正しい支持姿勢で、そのドアを全閉位置に配置することができる。その結果、より精度よく、このドアを開閉動作させることができる。加えて、車体に衝撃荷重が印加された場合であっても、より好適に、そのドアによりドア開口部が閉じられた状態を維持することができる。
【0122】
(ル)前記ストッパ部材が前記係合溝の内面に連続して前記係合部材の対向面に対向する矯正面を有する。
上記構成によれば、より好適に、係合溝の内面と係合部材の対向面とが対向する方向において、その車体に対するドアの支持姿勢を矯正することができる。
【0123】
(ヲ)前記係合溝の内面及び前記係合部材の対向面として、車幅方向に先細りとなるテーパ面を有する。
上記構成によれば、車幅方向においても、その互いに対向する係合溝の内面及び係合部材の対向面により構成されるドア側矯正面及びドア開口側矯正面が摺接可能となる。そして、これにより、係合部材及び係合溝を支持姿勢矯正機構に用いて、その車幅方向において、好適に、ドアに生じた支持姿勢の乱れを矯正することができる。
【0124】
(ワ)前記係合溝の内面及び前記係合部材の対向面が、車幅方向に対向する。
上記構成によれば、車幅方向においても、その互いに対向する係合溝の内面及び係合部材の対向面により構成されるドア側矯正面及びドア開口側矯正面が摺接可能となる。そして、これにより、係合部材及び係合溝を支持姿勢矯正機構に用いて、その車幅方向において、好適に、ドアに生じた支持姿勢の乱れを矯正することができる。
【0125】
(カ)前記ドアの両車幅方向端部に設けられた一対の前記ドア側矯正部材と、前記ドア開口部の両車幅方向端部に設けられた一対の前記ドア開口側矯正部材と、を備える。
上記構成によれば、ドアの支持姿勢に乱れが生じている場合に、ドア及びドア開口部の車幅方向両側に設けられた何れかのドア側矯正部材及びドア開口側矯正部材において、そのドア側矯正面とドア開口側矯正面とを摺接させることができる。そして、これにより、より好適に、その車体に対するドアの支持姿勢を矯正することができる。
【0126】
(ヨ)前記ドアの閉動作に基づき前記ドア開口部に対して前記ドアが進入する方向に位置する前記ドアの進入端部と前記ドア開口部の被進入端部とが正対するように前記ドアの前記支持姿勢が矯正される。
【0127】
上記構成によれば、ドアに設けられたラッチ機構とドア開口部に設けられたストライカとを互いに正しい位置関係で係合させることができる。そして、これにより、高精度の開閉動作を担保することで、そのドアの質感を高めることができる。
【0128】
(タ)前記車体に対する回動連結点及び前記ドアに対する回動連結点を有して前記車体と前記ドアとを連結することにより前記四節リンクを構成するリンク部材に設けられた前記車体に対する前記ドアの連結長を変更可能に構成された連結長可変機構を備える。
【0129】
上記構成によれば、車体に支持された状態でドア開口部を開閉するドアについて、より一層、その開閉動作の設計自由度を高めることができる。しかしながら、これにより、車体に対するドアの支持姿勢に乱れが生じやすくなる。従って、このような構成にドア側矯正部材及びドア開口側矯正部材を設けることで、より顕著な効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0130】
2…車体、3…ドア開口部、3we…車幅方向端部、5…ドア、5we…車幅方向端部、70…ドア装置、71…ドア側矯正部材、72…ドア開口側矯正部材、81…ドア側矯正面、82…ドア開口側矯正面。
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
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図10
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図18