(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025152817
(43)【公開日】2025-10-10
(54)【発明の名称】コイル構造体およびコイル構造用部品
(51)【国際特許分類】
H01F 17/00 20060101AFI20251002BHJP
H01F 17/04 20060101ALI20251002BHJP
【FI】
H01F17/00 C
H01F17/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024054926
(22)【出願日】2024-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100129296
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 博昭
(72)【発明者】
【氏名】松浦 利典
(72)【発明者】
【氏名】飛田 和哉
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 進之介
(72)【発明者】
【氏名】高久 宗裕
(72)【発明者】
【氏名】加藤 一
【テーマコード(参考)】
5E070
【Fターム(参考)】
5E070AA01
5E070AB01
5E070AB04
5E070BA11
5E070CB15
(57)【要約】
【課題】インダクタンス値を調整することができるコイル構造体およびコイル構造用部品を提供する。
【解決手段】 コイル構造体100においては、インダクタンス値を容易に調整することができる。たとえば、U字状導体5A~5Cの寸法(線幅等)が異なる複数種の積層コイル部品1を準備しておき、積層コイル部品1の種類を適宜に選択してプリント基板3に実装することで、所望のインダクタンス値を容易に得ることができる。一方、継線9の寸法(線幅等)が異なる複数種のプリント基板3を準備しておくことで、積層コイル部品1を実装するプリント基板3の種類を適宜に選択することで、所望のインダクタンス値を容易に得ることができる。すなわち、積層コイル部品1とプリント基板3との組み合わせにより、インダクタンス値を自在かつ容易に調整することができる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント基板と、該プリント基板上に実装された電子部品とを備え、
前記電子部品が、
前記プリント基板と対面する実装面を有する素体と、
前記素体内に設けられ、前記実装面に対して平行な軸周りに配置されるとともに、両端部が前記実装面まで延びる複数のU字状導体と
を含み、
前記プリント基板が、前記複数のU字状導体のうちの異なるU字状導体の端部同士をつなぐ継線を含み、
前記電子部品の複数のU字状導体と前記プリント基板の継線とが、前記軸回りに巻回されたコイル構造を形成している、コイル構造体。
【請求項2】
前記素体が、積層された複数の絶縁層で構成され、積層方向に対して交差する前記実装面と、該実装面に対して平行な第1方向において対面する一対の端面と、前記積層方向および前記第1方向に対して直交する第2方向において対面する一対の側面とを有し、
前記コイル構造が前記第2方向に沿う軸回りに巻回されている、請求項1に記載のコイル構造体。
【請求項3】
前記U字状導体が、前記実装面に関して前記軸より離れた位置において前記第1方向に沿って直線状に延びる平行配線と、該平行配線の両端部から積層方向に沿って直線状に前記実装面まで延びる1対の垂直配線とを含む、請求項2に記載のコイル構造体。
【請求項4】
前記U字状導体が、前記実装面に関して前記軸より離れた位置において前記積層方向に対して直交する方向かつ前記第1方向に交差する方向に沿って直線状に延びる平行配線と、該平行配線の両端部から積層方向に沿って直線状に前記実装面まで延びる1対の垂直配線とを含む、請求項2に記載のコイル構造体。
【請求項5】
前記積層方向から見て、前記複数のU字状導体が前記第2方向に沿って等間隔で並んでいる、請求項2に記載のコイル構造体。
【請求項6】
前記電子部品が実装される前記プリント基板の表面に前記継線が設けられている、請求項1に記載のコイル構造体。
【請求項7】
前記継線の一部が前記プリント基板の内部に埋設されている、請求項1に記載のコイル構造体。
【請求項8】
実装面を有する素体と、
前記素体内に設けられ、前記実装面に対して平行な軸周りに配置されるとともに両端部が前記実装面まで延びる複数のU字状導体
とを備え、
前記素体外において前記複数のU字状導体のうちの異なるU字状導体の端部同士がつながれて、前記軸回りに巻回されたコイル構造が形成される、コイル構造用部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイル構造体およびコイル構造用部品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、コイル部品が実装されるプリント基板上に、ランドを含む導体パターンが形成された構成が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明者らは、インダクタンス値について研究を重ね、インダクタンス値を調整することができる技術を新たに見出した。
【0005】
本発明の一側面は、インダクタンス値を調整することができるコイル構造体およびコイル構造用部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係るコイル構造体は、プリント基板と、該プリント基板上に実装された電子部品とを備え、電子部品が、プリント基板と対面する実装面を有する素体と、素体内に設けられ、実装面に対して平行な軸周りに配置されるとともに、両端部が実装面まで延びる複数のU字状導体とを含み、プリント基板が、複数のU字状導体のうちの異なるU字状導体の端部同士をつなぐ継線を含み、電子部品の複数のU字状導体とプリント基板の継線とが、軸回りに巻回されたコイル構造を形成している。
【0007】
本発明の一側面に係るコイル構造用部品は、実装面を有する素体と、素体内に設けられ、実装面に対して平行な軸周りに配置されるとともに両端部が実装面まで延びる複数のU字状導体とを備え、素体外において複数のU字状導体のうちの異なるU字状導体の端部同士がつながれて、軸回りに巻回されたコイル構造が形成される。
【0008】
上記コイル構造体およびコイル構造用部品においては、素体内に設けられた複数のU字状導体のうちの異なるU字状導体の端部同士が素体外でつながれてコイル構造を形成することで、容易にインダクタンス値を調整することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一側面によれば、インダクタンス値を調整することができるコイル構造体およびコイル構造用部品が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施形態に係るコイル構造体の斜視図である。
【
図2】
図1に示した積層コイル部品の各層の構成を示した分解斜視図である。
【
図4】
図1に示したプリント基板の継線を示した図である。
【
図6】
図5に示したプリント基板の継線を示した図である。
【
図7】異なる態様のプリント基板を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0012】
図1を参照して、本実施形態に係るコイル構造体を説明する。
図1は、一実施形態に係るコイル構造体の斜視図である。
図1に示されるように、コイル構造体100は、積層コイル部品1(電子部品、コイル構造用部品)と、積層コイル部品1が表面実装されるプリント基板3とを備えて構成されている。
【0013】
積層コイル部品1は、素体2と、内部導体5とを備えて構成されている。
【0014】
素体2は、直方体形状を呈している。直方体形状には、角部及び稜線部が面取りされている直方体の形状、及び、角部及び稜線部が丸められている直方体の形状が含まれる。素体2は、外面として、一対の端面2a、2bと、一対の主面2c、2dと、一対の側面2e、2fと、を有している。端面2a、2bは、互いに対向している。主面2c、2dは、互いに対向している。側面2e、2fは、互いに対向している。以下では、端面2a、2bの対向方向を第1方向D1、側面2e、2fの対向方向を第2方向D2、及び、主面2c、2dの対向方向を第3方向D3とする。第1方向D1、第3方向D3、及び第2方向D2は互いに略直交している。
【0015】
端面2a、2bは、主面2c、2dを連結するように第3方向D3に延在している。端面2a、2bは、側面2e、2fを連結するように第2方向D2にも延在している。主面2c、2dは、端面2a、2bを連結するように第1方向D1に延在している。主面2c、2dは、側面2e、2fを連結するように第2方向D2にも延在している。側面2e、2fは、端面2a、2bを連結するように第1方向D1に延在している。側面2e、2fは、主面2c、2dを連結するように第3方向D3にも延在している。
【0016】
主面2dは、実装面であり、プリント基板3に表面実装する際、プリント基板3と対向する面である。端面2a、2bは、実装面(すなわち主面2d)から連続する面である。
【0017】
素体2の第1方向D1における長さは、素体2の第3方向D3における長さ及び素体2の第2方向D2における長さよりも長い。素体2の第3方向D3における長さは、素体2の第2方向D2における長さよりも短い。すなわち、本実施形態では、端面2a、2b、主面2c、2d及び側面2e、2fは、長方形状を呈している。素体2の第3方向D3における長さは、素体2の第2方向D2における長さと同等であってもよいし、素体2の第2方向D2における長さよりも長くてもよい。
【0018】
なお、本実施形態で「同等」とは、等しいことに加えて、予め設定した範囲での微差又は製造誤差などを含んだ値を同等としてもよい。たとえば、複数の値が、当該複数の値の平均値の±5%の範囲内に含まれているのであれば、当該複数の値は同等であると規定する。
【0019】
素体2は、
図2に示すように、複数の素体層が第3方向D3において積層された構成を有し、本実施形態では素体2は7層の素体層21~27で構成されている。つまり、素体2の積層方向は第3方向D3と一致する。実際の素体2では、複数の素体層21~27は、その層間の境界が視認できない程度に一体化されていてもよいし、層間の境界が視認できるように一体化されていてもよい。
【0020】
各素体層21~27は、主に樹脂材料で構成されている。樹脂材料は、たとえば、液晶ポリマー、ポリイミド樹脂、結晶性ポリスチレン、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ビスマレイド系樹脂及びフッ素系樹脂から選択された少なくとも一つを含んでいる。樹脂材料には、フィラーが含まれていてもよく含まれていなくてもよい。フィラーは、たとえば、無機フィラーである。無機フィラーとしては、たとえば、シリカが挙げられる。
【0021】
図2に示すように、素体層21~27のうち、主面2cを構成する素体層21は樹脂材料のみで構成されている。素体層22~27には、後述するコイル構造の一部を構成する内部導体5の配線部6、8a~8eが埋設されている。より詳しくは、素体層22には複数の平行配線6が埋設されており、素体層23~27には後述する垂直配線8を構成する配線部8a~8eがそれぞれ埋設されている。
【0022】
なお、各素体層21~27は、磁性材料で構成されていてもよい。磁性材料は、たとえば、Ni-Cu-Zn系フェライト材料、Ni-Cu-Zn-Mg系フェライト材料、又はNi-Cu系フェライト材料を含んでいる。磁性材料は、たとえばFe合金を含んでいてもよい。各素体層21~27には非磁性材料が含まれていてもよく、非磁性材料はガラスセラミック材料又は誘電体材料であってもよい。
【0023】
内部導体5は、素体2内に配置されている。内部導体5は、複数のU字状導電で構成されており、本実施形態では3つのU字状導体5A~5Cで構成されている。各U字状導体5A~5Cは、平行配線6と1対の垂直配線8とが電気的に接続されることによって構成されている。各U字状導体5A~5Cは、主面2dに対して平行である第2方向D2に沿う軸Z周りに設けられている。3つのU字状導体5A~5Cは、側面2fからU字状導体5A、U字状導体5B、U字状導体5Cの順で、第2方向D2に沿って等間隔で設けられている。各U字状導体5A~5Cの平行配線6および垂直配線8は、導電材料(たとえば、Cu)で構成されている。
【0024】
各U字状導体5A~5Cの平行配線6は、素体2の主面2c側に配置されている。すなわち、素体2の主面2dに関して軸Zより離れた位置に配置されている。各平行配線6は、素体2の端面2a、2b、主面2c及び側面2e、2fから離間して配置されている。各平行配線6は、互いに平行であり、第1方向D1に沿って延在している。各平行配線6のそれぞれには、二つの垂直配線8が接続されている。各平行配線6は、二つの垂直配線8に架け渡されている。各平行配線6の延在方向の一方の端部(端面2a側の端部)は、垂直配線8の一方の端部(主面2c側の端部)に接続されている。各平行配線6の延在方向の他方の端部(端面2b側の端部)は、垂直配線8の一方の端部に接続されている。
【0025】
垂直配線8のそれぞれは、素体2の端面2a側及び端面2b側のそれぞれに配置されている。垂直配線8のそれぞれは、第3方向D3に沿って延在している。垂直配線8は、端面2a、2b、主面2c及び側面2e、2fから離間して配置されている。第3方向D3に直交する断面における垂直配線8の断面形状は、本実施形態では略矩形状(具体的には略正方形状)である。垂直配線8の断面形状は、たとえば円形状や楕円形状、四角形以外の多角形状であってもよい。垂直配線8は、平行配線6から主面2dまで延びている。垂直配線8の一方の端部は、平行配線6の一方の端部及び他方の端部に接続されている。垂直配線8の他方の端部は、主面2dまで延びて2dから露出している。
【0026】
U字状導体5Aを構成する1対の垂直配線8のうちの端面2a側に位置する垂直配線8は、一方の端部が平行配線6の一方の端部に接続されていると共に他方の端部が端部5aを構成している。U字状導体5Aを構成する1対の垂直配線8のうちの端面2b側に位置する垂直配線8は、一方の端部が平行配線6の他方の端部に接続されていると共に他方の端部が端部5bを構成している。U字状導体5Bを構成する1対の垂直配線8のうちの端面2a側に位置する垂直配線8は、一方の端部が平行配線6の一方の端部に接続されていると共に他方の端部が端部5cを構成している。U字状導体5Bを構成する1対の垂直配線8のうちの端面2b側に位置する垂直配線8は、一方の端部が平行配線6の他方の端部に接続されていると共に他方の端部が端部5dを構成している。U字状導体5Cを構成する1対の垂直配線8のうちの端面2a側に位置する垂直配線8は、一方の端部が平行配線6の一方の端部に接続されていると共に他方の端部が端部5eを構成している。U字状導体5Cを構成する1対の垂直配線8のうちの端面2b側に位置する垂直配線8は、一方の端部が平行配線6の他方の端部に接続されていると共に他方の端部が端部5fを構成している。
【0027】
本実施形態においては、素体2の主面2d上に、3つのU字状導体5A~5Cの各端部5a~5fにそれぞれ接続されるパッド電極7a~7fが設けられている。パッド電極7a~7fは、各端部5a~5fが露出する領域に設けられている。本実施形態において、パッド電極7a~7fは矩形状である。各パッド電極7a~7fはめっき層で構成することができる。
【0028】
プリント基板3は、積層コイル部品1の素体2の実装面(主面2d)と対面する表面3aを有する。本実施形態では、
図3に示すように、プリント基板3の表面3a上に継線9が設けられている。継線9は、パッド電極7a~7fとそれぞれ重なる位置に設けられた複数のランド電極9a~9fと、複数の接続電極9g、9hを含む。接続電極9gは、パッド電極7bに対応するランド電極9bからパッド電極7cに対応するランド電極9cへ向かって延びており、第1方向D1に対して斜行している。パッド電極7bはU字状導体5Aの端部5bに接続されており、パッド電極7cはU字状導体5Bの端部5cに接続されているため、接続電極9gを介して、U字状導体5AとU字状導体5Bとが電気的に接続されている。接続電極9hは、パッド電極7dに対応するランド電極9dからパッド電極7eに対応するランド電極9eへ向かって延びており、第1方向D1に対して斜行している。パッド電極7dはU字状導体5Bの端部5dに接続されており、パッド電極7eはU字状導体5Cの端部5eに接続されているため、接続電極9hを介して、U字状導体5BとU字状導体5Cとが電気的に接続されている。
【0029】
継線9の複数の接続電極9g、9hの数は、複数の平行配線6よりも数が一本少ない。すなわち、平行配線6がn本である場合には、継線9の接続電極はn-1本となる。本実施形態では、平行配線6は3本であり、継線9の接続電極は2本である。
【0030】
積層コイル部品1のプリント基板3への実装は、一例として、互いに重なるパッド電極7a~7fとランド電極9a~9fとをはんだ接続することで実現することができる。
【0031】
上述したコイル構造体100においては、積層コイル部品1とプリント基板3とによってコイル構造が形成されている。このコイル構造は、積層コイル部品1の素体2内に設けられたU字状導体5A~5Cと、プリント基板3の表面3aに設けられた継線9を含んでおり、軸Z回りに巻回されている。たとえば、U字状導体5Aの端部5aとU字状導体5Cの端部5fとの間に電圧が印加された場合、電流は、U字状導体5A内を端部5aから端部5bまで流れ、端部5bからパッド電極7b、ランド電極9bを介して接続電極9gに流入してランド電極9cまで流れ、ランド電極9cからパッド電極7cを介してU字状導体5Bに流入して端部5cから端部5dまで流れ、端部5dからパッド電極7d、ランド電極9dを介して接続電極9hに流入してランド電極9eまで流れ、ランド電極9eからパッド電極7eを介してU字状導体5Cに流入して端部5eから端部5fまで流れる。このとき、電流は軸Z回りに流れて、上記コイル構造が全体として螺旋コイルとして機能する。
【0032】
上述したコイル構造体100においては、インダクタンス値を容易に調整することができる。たとえば、U字状導体5A~5Cの寸法(線幅等)が異なる複数種の積層コイル部品1を準備しておき、積層コイル部品1の種類を適宜に選択してプリント基板3に実装することで、所望のインダクタンス値を容易に得ることができる。一方、継線9の寸法(線幅等)が異なる複数種のプリント基板3を準備しておくことで、積層コイル部品1を実装するプリント基板3の種類を適宜に選択することで、所望のインダクタンス値を容易に得ることができる。すなわち、積層コイル部品1とプリント基板3との組み合わせにより、インダクタンス値を自在かつ容易に調整することができる。
【0033】
U字状導体の平行配線6は、上述した態様のように第1方向D1に対して平行に延在していてもよく、第1方向D1に対して交差する方向に延在していてもよい。
図5に示した態様では、素体2には、第1方向D1に対して交差する方向に直線状に延在する平行配線6をそれぞれ有する2つのU字状導体5A、5Bを含む内部導体5が設けられている。
図5に示した態様では、コイル構造の軸Zは第2方向D2に対して交差している。
図5に示した積層コイル部品1の場合には、プリント基板3の継線9は
図6に示した構成となり得る。すなわち、継線9は、U字状導体5Aの端部5bと接続されるランド電極9bからU字状導体5Bの端部5cと接続されるランド電極9cへ向かって延びる1つの接続電極9gを含む。接続電極9gは、第1方向D1に対して平行に延在している。
図5、6に示した態様では、継線9の接続電極9g、9hがプリント基板3の内部に埋設された場合は、U字状導体の平行配線6が第1方向D1に対して平行に延在する場合に比べて、素体寸法を変えることなく、コイル内径が拡大する(より詳しくは実装面2dに対して平行な方向に拡大する)。それにより、コイル構造体100のコイル構造のインダクタンス値の向上が図られる。
【0034】
なお、プリント基板3の継線9は、必ずしも全体が表面3a上に設けられている必要はなく、一部がプリント基板3の内部に埋設されている態様であってもよい。
図7に示した態様では、継線9の接続電極9g、9hがプリント基板3の内部に埋設されている。このとき、接続電極9g、9hは、プリント基板3の表面3aから厚さ方向に延びるビア導体9i、9jにより、ランド電極9b~9eと接続電極9g、9hとが接続される。
図7に示した継線9であっても、積層コイル部品1とプリント基板3とによってコイル構造が形成される。
図7に示したように、継線9の接続電極9g、9hがプリント基板3の内部に埋設された場合は、接続電極9g、9hがプリント基板3の表面3aに設けられた場合に比べて、コイル内径が積層方向(第3方向D3)に拡大する。それにより、コイル構造体100のコイル構造のインダクタンス値の向上が図られる。
【0035】
上述の記載から把握されるとおり、本明細書は下記を開示している。
[付記1]
プリント基板と、該プリント基板上に実装された電子部品とを備え、
前記電子部品が、
前記プリント基板と対面する実装面を有する素体と、
前記素体内に設けられ、前記実装面に対して平行な軸周りに配置されるとともに、両端部が前記実装面まで延びる複数のU字状導体と
を含み、
前記プリント基板が、前記複数のU字状導体のうちの異なるU字状導体の端部同士をつなぐ継線を含み、
前記電子部品の複数のU字状導体と前記プリント基板の継線とが、前記軸回りに巻回されたコイル構造を形成している、コイル構造体。
[付記2]
前記素体が、積層された複数の絶縁層で構成され、積層方向に対して交差する前記実装面と、該実装面に対して平行な第1方向において対面する一対の端面と、前記積層方向および前記第1方向に対して直交する第2方向において対面する一対の側面とを有し、
前記コイル構造が前記第2方向に沿う軸回りに巻回されている、付記1に記載のコイル構造体。
[付記3]
前記U字状導体が、前記実装面に関して前記軸より離れた位置において前記第1方向に沿って直線状に延びる平行配線と、該平行配線の両端部から積層方向に沿って直線状に前記実装面まで延びる1対の垂直配線とを含む、付記2に記載のコイル構造体。
[付記4]
前記U字状導体が、前記実装面に関して前記軸より離れた位置において前記積層方向に対して直交する方向かつ前記第1方向に交差する方向に沿って直線状に延びる平行配線と、該平行配線の両端部から積層方向に沿って直線状に前記実装面まで延びる1対の垂直配線とを含む、付記2に記載のコイル構造体。
[付記5]
前記積層方向から見て、前記複数のU字状導体が前記第2方向に沿って等間隔で並んでいる、付記2~4のいずれか一つに記載のコイル構造体。
[付記6]
前記電子部品が実装される前記プリント基板の表面に前記継線が設けられている、付記1~5のいずれか一つに記載のコイル構造体。
[付記7]
前記継線の一部が前記プリント基板の内部に埋設されている、付記1~5のいずれか一つに記載のコイル構造体。
[付記8]
実装面を有する素体と、
前記素体内に設けられ、前記実装面に対して平行な軸周りに配置されるとともに両端部が前記実装面まで延びる複数のU字状導体
とを備え、
前記素体外において前記複数のU字状導体のうちの異なるU字状導体の端部同士がつながれて、前記軸回りに巻回されたコイル構造が形成される、コイル構造用部品。
【符号の説明】
【0036】
1…積層コイル部品、2…素体、3…プリント基板、5…内部導体、5a~5f…端部、6…平行配線、8…垂直配線、9…継線、100…コイル構造体、D1…第1方向、D2…第2方向、D3…第3方向。